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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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フランスで法律の違憲性を判断する憲法評議会は2009年12月29日、仏政府が1月から導入を予定していた炭素税(The taxe carbone) を無効とする裁定を発表した。政府の新年度予算や税制改革は根本から練り直しを迫られる。
フランス政府は二酸化炭素(CO2)排出量の抑制や省エネ技術開発促進のため、CO2 1トンあたり17ユーロ(24.35米ドル)の炭素税導入を中心とする税制改革法案を成立させた。
Sarkozy大統領は、税金を欧州炭素市場のCO2平均価格に合わせたとしている。
消費者に石油、ガス、石炭の使用減を促すのが目的で、暖房や自動車燃料の値上げとなる。
ガソリンでリッター 4セント、ディーゼル油で4.5セントが課せられる。
但し、負担増を相殺するため、
都市部の成年1人当たり46ユーロ(農村部は 62ユーロ)、扶養家族は1人10セントの税額控除を行う。
農村部で160m2の家に住み、自動車を使う、子ども2人の夫婦の例では試算で年に143ユーロを払うが、144ユーロの払い戻しを受ける。
都市部で60m2のアパートに住み、バスで通勤する単身者の例では31ユーロの支払いとなるが、46ユーロの払い戻しを受ける。
汚染が少ないほど、有利となる。
問題は、これが重工業や発電所などに適用されないことである。電力業界は原子力発電所が主流のため、対象外となった。
憲法評議会はこれを問題視した。
製油所など環境汚染が甚だしい1000以上の事業所や火力発電所が課税を免れ、免税対象は企業排出CO2の93%に及ぶと試算し、「温暖化対策の目標に逆行し、税の平等原則に違反する」と批判、法律を無効とした。
Francois Fillon首相は12月29日、新たな炭素税法案を1月20日の閣議に提出する方針を示した。
付記
Fillon首相は3月23日、7月に導入を予定していた炭素税の導入を断念することを明らかにした。
フランス企業の競争力を損ねる恐れがあるとの理由で、EUレベルで導入するべきだと述べた。
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アイルランド政府は2009年12月10日、40億ユーロの歳出削減を柱とする2010年度の財政方針を発表した。
削減策の柱は公務員の給与引き下げで、ほかに増税策として家庭や企業で使う石炭や石油など燃料を対象とする炭素税を導入した。排出される二酸化炭素(CO2)1トン当たり15ユーロを課税する。
2010/1/4 住友化学、豪州農薬メーカー Nufarm と包括的業務資本提携へ
住友化学は2009年12月29日、豪州農薬会社 Nufarm Limited の発行済み株式の20%の取得ならびに同社と農薬事業の包括的な事業提携を行う方向で、基本的な枠組みを定めた覚書を締結したと発表した。
今後さらに協議を進め、最終的にはNufarmの株主総会での承認を経て、4月にTOBを通じ株式を取得し、筆頭株主となる。
1株14豪ドルで総額500億円程度となる。
TOB完了後、住友化学は取締役1名を派遣する。
豪州紙報道では、住友化学では既に豪州のForeign Investment Review Boardの承認を得ている。
まず販売と製品の2分野で協力する。
販売面では、住友化学が日本などアジアを中心に持つ販売拠点と、Nufarmの中・東欧、南米など25カ国にある拠点をお互いに活用。
製品面では、住友化学が主力とする果樹や野菜に使う殺虫剤と、Nufarmが強い除草剤を供給しあう。
住友化学は、現時点で工場の再編などは想定していないとしている。
付記
住友化学は4月12日、20%取得を発表した。
4月9日のTOB締め切りで81.45%が応募、当初予定の20%を買い付ける。資金は約610百万豪ドル。
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同社は2011年5月、更に3%の買い増しを発表した。ーーー
住友化学とNuFarmは2010年7月以降、農薬の相互販売を始める。
住友化学は欧米でNuFarmの製品を販売、NuFarmは7月から住友化学の殺虫剤をインドネシアで、9月から殺菌剤、除草剤を含む5製品をブラジルで販売する。
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住友化学は9月30日、関係会社株式のうち時価が著しく下落しているものについて評価損を計上することとなったと発表した。
単体:のれん相当額の一時償却 406億円
連結:減損処理による評価損を計上 287億円時価が大きく下落しているNuFarm株式に関するもの
住友化学は2011年3月31日、NuFarmの株価が回復したため、評価損を取り消した。
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住友化学は12月17日、ニューファーム社との提携関係の強化を発表した。
住友化学が豪州市場で販売している主要6製品の最終製品化(農薬有効成分の製剤化、包装など)をニューファーム社に委託する。
また、両社は、オーストラリア、ニュージーランドにおける種子処理用製品の販売協力の具体化にむけた協議を進めており、さらに、両社の持つ有効成分による混合製剤の検討も2011年より開始する予定。
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Nufarm Limitedは1957年設立の、メルボルンに本社を置く農薬会社で、豪州、ニュージーランド、アジア、欧州、南北アメリカに工場と営業拠点を持ち、従業員は3,155
人 。
特許切れ農薬ではイスラエルのMakhteshim Agan
Industries に次ぐ世界第二位。
同社の決算は以下の通り。(百万豪ドル)
09/7月期 | 08/7月期 | 増減 | |
売上高 | 2,677 | 2,492 | 185 |
営業損益 | 151 | 309 | -157 |
当期損益 | 81 | 138 | -58 |
地域別実績
09/7月期 | 08/7月期 | |||
売上高 | 営業損益 | 売上高 | 営業損益 | |
Australasia | 850 | 118 | 875 | 148 |
Europe | 637 | 101 | 555 | 56 |
North America | 775 | 8 | 631 | 84 |
South America | 415 | -41 | 431 | 59 |
全社 | -35 | -39 | ||
合計 | 2,677 | 151 | 2,492 | 309 |
09/7月期 品目別売上高比率
除草剤 | Glyphosate | 31% | Monsanto “Roundup” |
Phenoxies | 21% | Akzo | |
その他 | 20% | ||
殺虫剤 | 8% | ||
殺菌剤 | 7% | ||
その他 | 13% | PGR(植物成長調整剤)、機能性展着剤、 種子処理、種子、散布機、その他 |
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Nufarmは2007年11月5日、中国化工集団公司 (ChemChina)、Blackstone Group 及び Fox Paine Management III, LLC からの買収提案を受け入れた。買収額は30億豪ドル。
しかしながら、コンソーシアムは交渉期限の同年12月10日までに正式提案をすることが出来ないと通知し、その結果、交渉は打ち切られた。
グローバルな信用収縮により、有利な借入ができなくなったのが理由とみられている。
2007/12/15 ChemChina 等の豪州の農薬会社Nufarm 買収交渉、破談
2009年9月27日、中国中化集団公司(Sinochem)は9月28日、1株13豪ドル、合計28億豪ドルでNufarmを買収する非拘束契約を締結した。
Sinochem はエネルギー、農業資材、化学品、ファイナンス、不動産をコア事業として展開する国営企業で、農業資材では肥料、農薬、種子を扱う中国最大の企業である。
この買収はこの分野での研究開発、製造、販売、サービスのチェーンのグローバル企業になるというSinochemの戦略に合うものである。
2009/10/6 Sinochem、豪州農薬会社Nufarmを買収へ
しかし、Nufarmは12月21日、Sinochemが上記の非拘束契約を締結できないとし、1株12豪ドルでの買収を再提案したことを認めた。Nufarmの取締役会はこれを慎重に審議し、この再提案を受けるのは株主の利益にとり最善とはいえないと判断した。
判断理由は以下の通り。
・今回の12豪ドルは当初提案の13豪ドルと比べ非常に安い。
・Sinochem提案は多くの条件付きで、いくつかは受け入れがたいもの。
・Sinochem提案は中国と豪州当局の承認を要する。
・Nufarm取締役会は自社の事業と今後の成長に自信を持っている。
・住友化学からの有利な提案がある。
Nufarm 会長は、住友の提案はNufarmの企業価値を正しく評価したものであり、同社との提携は長期的に利益を生むとしている。
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日本経済新聞によれば世界の主要農薬企業の2007年の農薬売上高は以下の通り(単位:100万米ドル)
世界の主要農薬企業の農薬売上高(100万米ドル) | ||||||||||||||||||||
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このうち、NufarmとMakhteshim Agan は主として特許切れ農薬を扱う。
Syngentaは2000年にNovartis の農薬事業と(旧ICIのAstraZenecaの)Zeneca Agroが合併してできた。
住友化学は原体販売が中心のため、売上高が少ない。
Arysta LifeScience はトーメンとニチメンの農業化学品事業、および医薬・動物薬関連事業を統合したもので、2001年10月に設立された。
2002年9月に、アジアで活動する米系ファンドのOlympus Capital が出資、その後段階的に出資比率を上げ、2006年12月に(トーメンが合併した)豊田通商の持株を、2007年6月にニチメンの持株を買収し、100%株主となった。
2008年に欧州最大の買収ファンド、英Permira がOlympus Capital から全株を買収した。
2007/10/26 欧州最大買収ファンドのペルミラ、農薬大手アリスタ買収
2010/1/5 アラブ諸国で初のアブダビ原発、韓国電力連合が受注
アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のアブダビ国営原子力エネルギー会社(Emirates Nuclear Energy Corporation:ENEC)は2009年12月27日、アラブ諸国初となる原子力発電所の建設を韓国電力公社を中心とする韓国企業連合に発注することを決め、合意文書に調印した。
韓国電力のほか韓国水力原子力、現代建設、斗山重工業、サムスン物産、Westinghouse(東芝子会社)、国際プロジェクトマネジメント会社の英AMECとなどがメンバー。
UAEで認知度の高い現代建設と三星物産を入れた。
各社の参加でコンソーシアムは原発の建設から運営まで全てのことが可能であることを積極的に説得することができた。外国企業の参加を通じ、『韓国が中心 になったグローバルなチーム』というイメージを強調することができた。
韓国では原子炉冷却材ポンプや制御計測装置などの基幹技術に関しては独自に開発できておらず、今回もこれらはWestinghouseからの技術供与で行なわれる。供与される部分は工事費全体の5%ほどとされる。
急きょUAE入りした李明博大統領が27日にハリファ大統領と会談し、General Electric/日立を中心とする日米企業連合、フランス電力公社/Areva(世界最大の原子力産業複合企業)などのフランス連合を抑えて巨額プロジェクトの受注を勝ち取った。
韓国初の外国での原子力発電所建設の契約で、現代建設の経営者出身で、経済重視の外交を展開してきた李大統領の執念が実った。
UAEはエネルギー部門を近代化し、エネルギーソースを多様化する計画を進めている。
核拡散を恐れる米国が計画に反対していたが、UAEが12月17日に米国との間で、ウラン濃縮を行わないこと、使用済み燃料の再処理をしないことを約束する協定に調印し、前進した。
韓国電力のグループは4基の第三世代1400MW 軽水炉原発を設計、建設し、操業支援を行う。
1基は2017年に稼動、残りも2020年までに稼動する予定。
4基の建設費だけで200億ドル、これに加え、原子炉の耐用年数の60年間にわたり、原発の操業、メンテナンス、燃料供給を行い、これを合わせると契約額は合計400億ドルとなる。
ENECと韓国電力は原発の操業のためのJVを設立するとともに、燃料供給などの他のJV設立も検討する。
最初の3年間は韓国電力が燃料を供給する。
付記
韓国の提示が200億ドルに対し、仏連合、日米連合(日立/GE)は320億ドル程度とされる。
韓国が施設完成後の操業、人材育成もまとめて引き受ける一括方式だったが、日米仏は建設中心の提案であった。
付記
2011年2月の韓国紙の報道では、韓国政府が100億ドル(原発4基の総工費186億ドルの半分以上)を28年間にわたり同国に融資する方向で準備を進めていることが判明した。受注当時、公表されていなかったことが問題視されている。
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韓国政府100%出資の韓国電力は現在、20基の原発を運転しており、2030年までに更に10基を建設する。
韓国の強みは、30年間無事故という徹底した安全管理、高い技術力、価格競争力などとされる。
韓国知識経済部によると、韓国における原発の建設費用は1キロワット当た り2300ドルで、米国の3582ドル、フランスと日本の2900ドルよりも安い。また原発建設に必要な期間は52カ月で、フランスの60カ月、ロシアの83カ月より短いという。
韓国にとっては史上初の原発プラント輸出で、米国、フランス、日本との競争に勝利しての受注となった。
世界に原発プラントを輸出する能力を持つ国はこれまで、米国、フランス、カナダ、ロシア、日本の
5カ国だけだったが、韓国は今回の受注により、世界で6番目の原発輸出国となる。
大統領府関係者は「今回の受注による新規の雇用拡大効果は、10年間の建設期間で 11万人に達すると見込まれている。建設や機器の製作、設計、技術開発、金融など、関連する効果も考慮に入れれば、国の経済全体に大きくプラスになるだろ う」と述べた。
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韓国とUAEは、今回の原子力発電所建設の契約を交わすにあたって、原発の建設および運営の期間である70年にわたるパートナー関係を結ぶこととなった。
12月27日、「韓国・UAE政府間経済協力協定」を締結した。
原子力分野のほか、再生エネルギー、造船、半導体、
人材養成などの分野で両国間の長期パートナー関係を構築する。
UAEが推進している炭素排出ゼロ都市 「Masdar City」の建設プロジェクトに韓国側が参加する。
人材養成分野でも、両国が共同で協力案の細部を詰めていくとした。
また両国は包括的「軍事交流協力協定(MOU)」を締結した。
両国は、防衛産業の技術交流や軍の教育訓練協力、軍高官の交換派遣、パイロット養成支援など20項目で合意した。
韓国政府消息通は、「金長官は、韓国型原発を選定する場合、軍事関連分野でかなりのインセンティブを提供する、という意志を提示したものとみられる」と語った。
李明博大統領はこの日、UAEでハリーファ大統領と首脳会談を開いたが、その場で韓国電力の企業連合による受注が最終的に決まり、両国関係を「戦略的同伴者関係」へと引き上げることでも合意した。
李大統領とシェイク・ハリーファUAE大統領兼アブダビ首長は首脳会談直後、原発事業契約書の調印式、韓国・UAE経済協力協定の調印式に出席した。
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UAEは今回初めて国際競争入札を行った。
9月以降は事実上、韓国電力とフランスのアレバの連合に絞られたが、韓国とフランスの国同士の争いとなった。
アレバは価格面や工期など、提案書の内容では不利であったが、サルコジ大統領が中心となって逆転を狙った。
朝鮮日報によると、サルコジ大統領は「UAEの戦闘機をフランス製のミラージュから最新型のラファエロに交換する」とか、「UAEに駐屯するフランス軍を増強する」などと提案した。
さらに、ルーブル美術館の分館をUAEに建設する案や、「UAEが大使館などを持たない国では、フランス大使館を無償で使っても良い」「核の傘を提供する」などとまで持ち掛けていたという。
サルコジ大統領は5月にアブダビを訪問し、ムハマド王子に対して週に2回から3回も電話をかけることもあったという。
李大統領は7月に韓国電力がUAEに提案書を提出する際、「工期を6カ月短縮せよ」「事業費をさらに10%安くして提出せよ」などとアドバイスしたという。
大統領府の尹政策室長は外交通商部、国防部、知識経済部、教育科学技術部、韓国電力などからなるプロジェクトチームを指揮した。最終的に経済、安全保障、教育などを網羅するパッケージプログラムが、UAEに提案された。
李大統領はムハマド王子と6回電話で話をし、外交経路を通じて親書も送った。
大統領府の関係者は「何よりも李大統領は、韓国とUAEが今回の原子力発電所建設事業を通じ
て、“百年の知己”になるという点を強調して説得した」と語る。
フランスや韓国の大統領の動きを見ると、このような大規模プロジェクトで日本が敗退するのは当然である。
付記(2010/2/8)
日本はベトナムでも敗退した。
東南アジア初の原子力発電所第一期工事(原発2基)でベトナム電力公社はロシアの国営ロスアトム(РосАтом)に発注する方針を固めた。
軍事協力なども含めた攻勢が決め手になった模様。日本(東芝、三菱重工業、日立製作所)、フランス(アレバ)も激しい競争を展開し、日本政府がFS費用の肩代わりを打診するなど官民で受注獲得を目指したが、ロシアに及ばなかった。
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韓国政府はUAE原発を受注した12月27日を「原子力の日」と制定することを検討中。
韓国電力は世界初の原子力専門大学院を設立する。12月29日、教育科学技術部から韓電国際原子力大学院大学(INGS)設立の認可を受けた。国内専門人材を養成すると同時に、韓国原子力技術に詳しい外国人材を育成し、海外原子力発電所の受注人脈として活用する。
蔚山市の古里(コリ)原発付近にキャンパスを設置し、2年間の修士課程として2012年開校する。原発の設計・建設・運転・整備専門人材を育成する。
付記
韓国知識経済部は1月13日、原発を韓国の新たな輸出戦略産業として育成することを目標に、以下のような内容の「原子力発電輸出産業化戦略」を、李明博大統領に報告した。
UAEの原子力発電所建設事業受注を機に、原発の国際競争力を高め、2012年までに10基、2030年までに80基を輸出し、世界の新規原発建設市場でシェア20%を獲得、米国、フランスに次ぐ3大原発輸出大国入りを目指す。
これに向け、原発国産化など研究・開発(R&D)に総額5000億ウォンを投じ、関連人材も集中的に育成する。
目標が達成できれば、総受注規模は4000億ドルに達し、156万7000人の雇用効果が見込まれる。韓国型原発の寿命を現在の60年から80年に伸ばし、建設工期を52か月から36か月に短縮しながら、炉心の損傷頻度を10倍改善するなど安全性を高めることなどを目標に、新たなR&Dプロジェクトを進める。
官民共同で2011〜2017年に 4000億ウォンを投じる。輸出対象国の状況に合わせ、トータル輸出、資機材・サービス輸出、人材育成支援など個別に対応する輸出戦略を講じ、老朽原発を保有する国には運営・整備人材の輸出も積極的に模索する。
中小型原発と輸出型研究炉モデルの早期開発、超高温ガス炉など未来型原発の開発も進める。
国際原子力専門大学院の開校時期は、2011年9月に前倒しにする。年100人程度の高級人材を育成する。
ウランを安定的に確保する長期対策も、近く策定する。
東ソーは中国で塩ビの新工場を建設する。
日本経済新聞によると、広州市の「東曹(広州)化工」の隣接地を取得し、100億円を投じて2010年中に新工場の建設に着手する。現在の年産能力は22万トンだが、 新工場は約40万トンとする計画で2012年の稼働を目指す。
ブルームバーグの報道では、東ソーは中国政府から30万トン増強するよう要請されており、東ソーとしては「いつごろ、どの程度増強するかについては中国政府と協議中」とのこと。
ただ、中国市場の需要は拡大しており、東曹(広州)化工はフル稼働の状態のため、2010年度中には増強の方向性を明確にするという。
東曹(広州)化工は2004年12月の設立で、東ソーが67%を出資、ほかに三菱商事、三井物産、丸紅が出資する。
立地は広州市南沙経済開発区。
当初は年産11万トンの計画であったが、中国政府が20万トン未満の新設を認めない方針を打ち出したため、能力を倍増した。
ーーー
2009年上期時点の中国のPVCメーカーのトップ10は以下の通り。
天津大沽化工 | 800千トン |
新疆天業(Xinjiang Tianye) | 720 |
シノペック齊魯 | 600 |
宜賓天原(Yibin Tianyuan) | 500 |
上海クロルアルカリ | 480 |
新疆中泰 | 480 |
山西楡社(Shanxi Yushe) | 420 |
Formosa 寧波 | 400 |
内モンゴルElion (Yili) Chemical | 400 |
ChemChina昊華宇航化工 | 400 |
* 天津大沽化工は天津LG大沽化工(340千トン)のパートナー
* 新疆中泰化工はウルムチの中泰産業パークでPVC
360千トンを建設中で2010年にスタートする。
これに加え、下記の計画を持つ。
中国では相変わらず、多くの大規模計画が打ち出されている。
新疆中泰化工は2009年8月19日、新疆ウイグル自治区の阜康の中泰阜康産業パークで大規模計画の第一期の着工の式典を行った。
イオン交換膜法ソーダ年産120万トン、PVC 160万トン、カーバイドスラッグセメント320万トンを建設する。最終的には2015年に完成の予定。
今回はその第一期計画で、苛性ソーダ300千トン、PVC400千トンを建設、2011年第4四半期にスタートさせる。ーーー
ダウと神華集団は2009年11月3日、陜西省楡林市で大規模石炭化学JVの起工式を行った。
石炭と岩塩を原料とし、石炭化学・クロルアルカリ技術を使った23のプラントが建設される。
塩ビはメタノールからつくるエチレンを原料とする。
メタノール 332万トン Coal to Methanol オレフィン 122万トン Methanol to Olefins クロルアルカリ 50万トン EDC 51万トン PVC 50万トン
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安徽省淮北礦業(集団)の子会社Anhui
Hwasuは、安徽省Luquiao に新しく発電所、電解、カーバイド法VCM、PVC(年産100万トン)を建設するが、このたび、PVCに関してArkemaの技術を導入した。
Arkemaと提携している
Aker Solutionsが基礎設計を担当する。
計画は2期に分かれ、第一期50万トンは2011年稼動の予定。
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中国のPVCの輸入は2008年秋に急落した後、年末から急上昇したが、2009年夏に再度急落した。
また、日本品は(韓国、米国、ロシア、台湾とともに)ダンピング課税対象となっており、2009年9月に更に5年延長となった。
日本からの輸出は課税対象外のペーストと、汎用品については保税加工貿易用に限られており、将来に期待できない。
また、VCMの輸入も同じパターンを示している。
中国の新設PVCのほとんどはカーバイド法であり、輸入VCMによるものは少ない。
東ソーにとってはPVCは別として、ビニルチェーンのエチレン、電解、VCMの維持のためには、PVCを現地生産し、その原料のVCMを輸出するのが一つの手であろう。
2010/1/7 INEOSとシノペック、南京にフェノールJV設立を検討
Ineosは2010年1月1日、シノペック揚子石油化学との間で、南京ケミカルパークでのフェノール/アセトン製造のJV設立の検討を行う覚書を締結したと発表した。
新設するのはフェノール40万トン、アセトン25万トンの中国では最大のプラントで、原料のキュメン
55万トンのプラントを含む。
2013年完成を目標とする。
INEOS Phenol
はドイツ、ベルギー、米国(アラバマ州)にプラントを有し、現在の合計能力はフェノールが187万トン、アセトンが115万トンとなっている。同社はこれで、欧州、米国、アジアにプラントを持つ唯一のグローバルカンパニーとなる。
シノペックは北京の燕山石化で8万トンと10万トンの2系列、上海中石化高橋分公司で12.5万トンのプラント(下記参照)を持ち、天津のSINOPEC SABIC Tianjin Petrochemical で35万トンプラントを建設している。
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三井化学は2009年11月、シノペックとの間でフェノールの合弁事業に向け基本合意、12月に以下の「フェノール及びアセトンの新設プロジェクトに関する覚書」を締結した。
1. 所在地 上海市・上海化学工業区 2. 出資比率 50:50 3. 生産能力
フェノール アセトン BPA 今回新設 25万トン 15万トン 既設(上海中石化三井化工) 12万トン 既設(上海中石化高橋分公司) 12.5万トン 7.5万トン 合計 37.5万トン 22.5万トン 12万トン 4. 新プラントプロセス 三井化学技術 5. 営業運転開始時期 2013年第2四半期
2009/11/4 三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意
三井化学はこれにより、誘導品事業(ビスフェノールA、MIBK)を含めたフェノール事業で世界トップを目指すとした。
1位:Ineos Phenol (誘導品なし):187万トン
2位:三井化学:フェノール92万トン、誘導品54万トン、合計146万トン→184万トン
3位:Solutia:フェノール86万トン、ビスフェノールA 11万トン、合計97万トン
しかし、Ineos Phenol は今回の計画が加わると、フェノール227万トンでトップを維持する。
2009年12月30日、中国石油天然気(ペトロチャイナ)の蘭鄭長・石油パイプライン(甘粛省蘭州―河南省鄭州―湖南省長沙)完成後の輸送開始の過程で、渭南ライン(陝西省渭南市)で漏れが発生した。
ペトロチャイナがディーゼル油の輸送量に異常を発見し、輸送停止した後、漏出がわかった。
15万リットルのディーゼル油が漏れ、そのうち10万リットルが渭南ステーションから約2.75km離れた地点で黄河支流の赤水河(Chishui)に流入、更に渭河(Wei)にも流入していた。
第三者による破壊行為の可能性が噂されたが、ペトロチャイナはこれを否定している。
ペトロチャイナでは油が黄河に入るのを防ぐために、川の23カ所に油ブロックベルトを設け、当局も3カ所にfloating damを造った。陝西省渭南市では700人以上が水路を掘り、黄河への流入を防ぐ努力をした。
しかし、汚染は黄河にまで広がり、河南省鄭州市にある鞏義大橋より西の流域で基準値を超える水質汚染が確認された。
河南省西部の三門峡ダムでは1月2日以降、汚染された黄河の水が流出するのを防ぐため発電を停止した。
中国当局は1月5日、飲用水の水源となっている黄河の支流、赤水河と渭河が「深刻な汚染」に見舞われており、水質の汚染がますます進んでいると発表した。
両河川の水質は、4日には中国の水質管理基準で最悪レベルのレベル5に達した。レベル5の水は、農業用水に利用できるが、飲用には適さないとされている。
黄河流域の各市は監視ステーションを設置し、毎時水質をチェックしている。
ディーゼル油が漏れた場所では1000m2の土地が10m掘られ、汚染土壌を除去、他の場所からの土で埋め戻された。
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中国では2005年11月にペトロチャイナの子会社・吉林石油化学の事故により、ベンゼンが流出して松花江の水質が汚染され、大問題となった。
2010/1/8 日本カーリットで爆発事故
1月7日午後5時45分ごろ、横浜市金沢区福浦の日本カーリットの工場で相次いで爆発が起き、敷地内の製造棟や倉庫など計8棟、約2200平方メートルがほぼ全焼し、午後8時15分、鎮火した。
工場の男性従業員6人が負傷したほか、近くを車で通行していた男性と別の工場の男性従業員の計2人も爆風で割れたガラスなどでけがを した。8人はいずれも軽傷。
爆発があったのは、顧客から受託して化学薬品などを合成する有機製造所。事故は液晶パネルの原料素材の製造を午後5時ごろ終えた後に起きた。高圧反応釜に窒素化合物を入れて水素ガスの圧力をかけ、アミン系の精製物をつくっていた。
事故当時は人はいなかったが、工場の敷地内に15人がいたという。
同工場は元は日本カーリットの子会社(1942年に出資)の関東高圧化学の工場で、日本カーリットが2009年4月に吸収合併し、ファインケミカル事業本部として事業を継続していた。
この工場は日本唯一の過塩素酸メーカーで、高圧水素還元(水添)をメインとした様々な有機合成を行い、受託合成も行っている。
付記
同社は2月1日、今後当地において、従来行っていた事業(過塩素酸製造並びに受託合成事業等)は行わないこととしたと発表した。
付記
神奈川県警捜査1課は12月10日、業務上過失傷害と業務上過失激発物破裂容疑で当時の工場長ら5人を書類送検した。
当時、高圧釜では複数の薬品を約160度まで高温反応させて化学物質を製造していた。
爆発は就業時間が過ぎて作業員が釜の電源を落とした後で、反応が進む最中に装置停止で温度管理ができなくなり、温度と圧力が上昇する「暴走反応」が起きたとみ
られる。
作業員が「反応が止まっていたと思い作業を中断した」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。
実際には反応が進んで爆発が起きたとみられる。
県警は作業手順が守られなかったことが事故の原因と判断した。
事故を巡っては、市消防局が9月、爆発で工場敷地内と工場周辺の建物99棟、車両69台が一部または全部で破損したと集計。損害額は5億円に上るとの調査結果を出した。
同社は10月31日付で工場の廃止を決定。跡地の利用方法は決まっていないという。
ーーー
同工場では2008年4月7日、敷地内の実験棟で爆発事故があり、従業員2人が病院に運ばれ、うち1人が死亡した。
化学物質トリクロロシランなどの液体をオートクレーブで混ぜる際、加湿装置から蒸気が漏れ、薬品と混ざって化学反応を起こして圧力が異常に上がり、釜が爆発した。
高圧釜の定期自主検査を11年間行っていなかったため、高圧釜内部の加湿装置の劣化に気づかなかった。
工場長はオートクレーブの法定の定期自主検査について「しなくてもいいと思っていた」としている。
県警幹部によると、工場長は、同事故で死亡した研究グループ課から、「(高圧釜が)老朽化しているので取り換えてください」などと訴えられていたが、放置していたという。
本件では2009年12月16日、神奈川県警捜査1課と金沢署は、業務上過失致死傷容疑で元工場長と元副工場長を、事故で死亡した同工場研究グループ課長を容疑者死亡のまま業務上過失傷害容疑で、それぞれ横浜地検へ書類送検した。
また、県警は、市の許可なく法定貯蔵量(50kg)を超えるトリクロロシラン169kgを貯蔵したとして、同社と調達責任者だった当時の営業課長を消防法違反容疑で同地検へ書類送検した。
しかし、横浜地検は12月28日、当時の工場長ら3人について、年明けにも嫌疑不十分や被疑者死亡で不起訴とする方針を固めた。地検は「法定の検査を行っても亀裂を発見することは困難だった」と判断した。
付記
横浜地検は2010年3月25日、3人を嫌疑不十分や被疑者死亡で不起訴とした。
法人としての同社と元工場長は労働安全衛生法違反容疑でも送検されており、横浜区検は同日、同社を「法人消滅」で不起訴とする一方、元工場長を同法違反で横浜簡裁に略式起訴。簡裁は同日、罰金50万円の略式命令を出した。
ーーー
日本カーリットは爆薬、信号用火工品、工業薬品、電子材料、機能性材料、砥材、化学装置、ボトリング事業に関する製品の開発、製造、流通、廃棄迄を行っている。
創業者浅野総一郎は、火薬類の国内自給を目指し、1916年にスウェーデンからカーリット爆薬の技術を導入した。
カーリット爆薬 (Carlit) は、スウェーデンのO.B.Carlsonが発明した爆薬で、過塩素酸アンモニウムを酸化剤とし、ケイ素鉄と木粉を燃焼剤とする爆薬で重油を結合剤として添加する。化学的に安定で自然分解しないという特徴がある。
1919年に保土ヶ谷工場を建設し、カーリットの製造を開始、1920年に日本カーリットを設立した。
一時、浅野セメントに吸収され、再独立した。
1995年に保土ヶ谷工場を閉鎖、群馬県渋川市に赤城工場を建設し、火薬類の製造を行っている。
昨年末の河野太郎衆議院議員のブログに面白い記載があった。
アメリカの学者達とスッポンを食べているときに、それは起きた。
おっ、コラーゲン、コラーゲンなどといいながらつついていると、おもむろにそのアメリカ人が、「なぜ、日本人はcollagenなどというものを喜んで食するのか?」
「えっ、お肌にいいからだろ」。
「コラーゲンは食べても全量分解され、やがて排出されるだけである」と、曰う。
「コラーゲンを食べると関節に良いとか美容によいというのは、血液型が性格に影響を及ぼす等というのと同じ、全く非科学的な戯れ言である」。
スッポン鍋だけでなく、コラーゲン効果をうたったドリンク、サプルメント、化粧品などの宣伝が多い。
これについて、福岡伸一・青山学院大学教授が昨年10月に日本経済新聞夕刊のコラムに2回にわたり、書いている。
まず、「消化の意味」について。
消化は何のために行われるのでしょうか?
消化のほんとうの意味は別にある。情報を解体するため、消化は行われる。
例えばタンパク質。タンパク質はアミノ酸の連結による高分子で、アミノ酸は個々のアルファベット、タンパク質はそれによって書かれた文章にあたる。そして全ての生物は、固有の文法と文体に従って構成された文章からなる一大物語といえる。
食物とは、それが動物性のものであれ、植物性のものであれ、もともと生物体の一部であったものだ。
そこには持ち主固有の情報が満載されている。この情報がいきなり、私の身体の内部にやってくると、私の身体固有の情報系と衝突、干渉、混乱が生じる。
これを回避するため、消化酵素は、物語と文章を解体 し、意味を持たない音素のレベルに還元する。そのアルファベットを吸収して、私たちは自分固有の物語を構築する。実にこれが生きているということなのである。
そして、コラーゲンの幻想について、
コラーゲンはタンパク質である。細胞間のクッションとなりお肌の張りを保つ。関節の潤滑剤としても働く。
しかし、私たちが食品として摂取したコラーゲンは動物や魚由来のものであり、消化管内で分解されてアミノ酸となる。コラーゲンはもともと消化されにくいタンバク質なのでそのまま排泄されてしまう分もかなりある。
少なくともいえることは、他者のコラーゲンがまるごと消化管を通り抜け、細胞間や関節に届いて、その場所に補給されることは全くありえないということである。私たちの細胞は、コラーゲンが必要なときは、吸収したアミノ酸からいくらでも作りだすことができる。そしてコラーゲンの合成に必要なアミノ酸は、ごくあ りきたりなものなので、どんなタンパク質にも含まれている。
だから普通の食事をしている限り、コラーゲンが不足するなどということもありえないのである。
安井至先生の「市民のための環境学ガイド」でも、2009年3月22日の「食品リスクと思い込めば『健康』に?」で、サプリメント理解のための最低限の知識 を挙げている。
・ | 通常の薬などは、口から摂取したままの形で吸収されるが、それは、腸壁などを通ることができる小さな分子だからである。 |
・ | タンパク質は、アミノ酸という小さな分子に分解されて吸収される。 |
・ | でんぷんなどは、糖が数多く結合したものであるが、これは糖に分解されてから吸収される。 |
・ | 脂肪類は、脂肪酸に分解され吸収される。 |
(以下 略) |
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河野代議士の話の落ち:
コラーゲン、効かなくても、寒いから鍋行くか。
福岡教授の話の落ち:
外見は本物とそっくりに作った偽薬を、それとは知らせずに投与すると、かなりの割合でなんらかの改善が見られる。いわゆるプラセボ(偽薬)効果である。ことほどさようにヒトは信じやすく、信じる者は救われる。
だから私は、コラーゲンの共同幻想に陥っている人たちを見ても何かを諌言するつもりはない。ただ幸いであると思う。そしてひとりごちる。それに一体いくら払ったのだろうと。
水俣病の原因企業チッソが、水俣病被害者救済特別措置法に盛り込まれた同社の分社化について「10月1日を目標に社内の体制を整える」 との方針を示したことが分かった。
後藤舜吉会長が、社内報「オール チッソ」の年頭所感で明らかにした。各紙報道によれば要旨は次の通り。
今年は待望久しい分社化元年。会社は水俣病特別措置法に従い、およそ3年で水俣病の最終解決を図ると同時に、分社化で一挙に再生を果たす方針だ。今年はその第1段階。現チッソの事業をすべて引き継ぐ100%子会社(新チッソ)の設立と営業開始を実現する。
チッソ史上、戦後の企業再建整備法に基づく新日本窒素肥料の発足(1950年)に匹敵する画期的な出来事。
環境省が立案中の救済措置方針が決定すれば、すぐ分社化の手続きに入る。営業開始は10月1日を目標に体制を整える。
新チッソは水俣病の債務は負わない。約500億円の純資産を持ち、連結経常利益の現状約200億円がほとんどそのまま最終利益となる。
* 最近の業績は以下の通り(億円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益 水俣病
補償損失公害防止
事業費
負担08/3 2697 208 202 108 -40 -8 09/3 2492 152 103 30 -37 -8 09/9中 1171 106 65 17 -18 - そのため信用が格段に向上し、取引活性化や人材確保に役立つ。水俣病の桎梏から解放されることで経営は安定し、社員のモラールも向上すると期待する。
分社化はすべての関係者に有益。認定患者の補償金は常に最優先で確保する。今回の救済対象者も新チッソの上場による原資で、はじめて一時金受給が可能となる。地域経済の安定・向上がもたらされ、国、県にとっては公的融資の早期回収が可能となる。3年後を見据え、収益力の最大化に取り組まねばならない。新会社上場でチッソ再生は一応果たされるが、将来の患者補償金積み立てに加え、公的負債や金 融支援負債の返済まで責任を完遂しなくては真の自立・再生とは言えないからだ。自立後の新チッソは、資本市場などの新しい世界に入っていける。
必ずや関係者全員が分社化して良かったと思う日が来ると確信している。
チッソの事業部門を100%子会社化して上場・独立させ、現在のチッソは補償部門だけを担う親会社とする内容。
上場後の株式売却益で約1500億円の公的債務と約400億円の金融機関に対する債務に加え、将来も続く患者補償を担う。
親会社は当面、子会社の株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するとしている。
付記
チッソは2010年6月4日、「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」第8条に基づき、同法第4章の規定等の適用を受ける者として指定を受けるため、環境大臣に申請を行った。
第四章 公的支援を受けている関係事業者の経営形態の見直し
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水俣病の未認定患者を救済するための特別措置法案は2009年7月3日の衆院本会議で、自民、公明、民主、国民新の各党の賛成多数で可決され、8日午前の参院本会議で与党や民主党などの賛成多数で可決、成立した。
最終解決に向けた取組は以下の通りとなった。
公害健康被害補償法:地域指定継続
チッソ分社化:
「チッソが一時金支払いに同意するまで凍結」の条件を加え、容認
(それまでは、環境相が分社化の前提となる事業再編計画を認可しない)2009/7/3 水俣病救済法案、衆院を通過、来週成立の見通し
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チッソの分社化は、同社を患者補償会社(親会社)と事業会社(子会社)に分け、子会社の株式売却益を被害者の補償にあてた上で親会社は将来清算することとなっているが、同法に基づく救済策は関係者間で協議中で、まだ合意には至っていない。
法に基づく救済措置の内容が決まる前にチッソが分社化に向けた準備日程を示したことに、一斉に反発、不快感をあらわにした。
水俣病患者連合(水俣市):「犯した罪の重さを理解していない。被害者の救済策が決まっていない中、『これで無罪放免』みたいなことを言っている。あきれてものが言えない」。
水俣病被害者芦北の会(津奈木町):「チッソは加害企業として、最後まで責任を果たすべきだ」
水俣病出水の会:「せっかく救済実現に向けて進んでいるのに、チッソはもっと謙虚であるべきだ」
水俣病不知火患者会(水俣市):「加害企業なのに許せない」
チッソ総務部は以下の通り述べている。
水俣病特別措置法に基づく救済策が整った後は、分社化で企業価値を高めることが当社の大命題。
企業価値を高めることで、次の段階である株式譲渡の際に患者補償や一時金支払い、公的債務返済のための原資を確保できる。
10月1日という数字は、日程上は厳しいが、分社化の時期を先延ばしすれば、その分、企業価値が下がる。目標を早く設定し、意気込みを示したも のだ。
水俣病被害者の救済問題では、特措法に基づく救済措置方針の策定作業やチッソと国、熊本県を相手に損害賠償請求訴訟を続ける団体との和解協議へ向けた動きが大詰めを迎えている。
小沢鋭仁環境相は1月5日の年初の閣議後会見で、同省が今年取り組む重要課題として、地球温暖化対策基本法案や生物多様性条約第10回締約国会議と並び、水俣病未認定患者の救済問題を挙げた。
未認定患者救済で、同省は昨年12月、水俣病特別措置法に基づく救済措置方針の土台となる案を公表。
小沢環境相は「救済手続きの開始目標にしている5月1日を念頭に作業していかないといけない」と述べたが、また「裁判も同時並行で行われており、バランスを考えながらやっていきたい」と、被害者団体の受け止めを見ながら作業を進める考えを示した。
今回の表明内容を読んだ小沢鋭仁環境相が激怒し、後藤会長の真意をただすよう小林次官に指示した。
小林光事務次官は、「分社化ありきの印象を生み、被害者の気持ちを逆なでする」と不快感を伝えた。
後藤会長は、「水俣病の桎梏から解放される」との表現については「関係者が解決に向け努力している時期だけに、言葉には注意を払うべきだった」と陳謝した。
しかし、10月1日の分社化目標については「分社化はいいことなので、できるだけ早く進めたい。社内体制を整える意味で、考え得る最も早い時期を言っている」と実現への意欲を伝えたという。
小林次官らは後藤会長に対し「法律は救済のためにあり、分社化のためにあるのではない」と伝えた。
中国の税関総署は1月10日、2009年の輸出額が前年比16.0%減の1兆2千億ドルになったと発表した。
2008年に輸出額が世界1位だったドイツも輸出がふるわず、2009年1〜11月の累計ですでに中国がドイツを上回っており、通年でも中国が初の世界トップになることが確実となった。
付記 ドイツの輸出額はドル換算で1兆1213億ドルとなり、中国が世界トップとなった。
2009年の輸出額は世界金融危機の影響で1983年以来26年ぶりの前年割れとなったが、12月の輸出は前年同月比17.7%増と、1年2ヶ月ぶりに増加に転じている。月間輸出額では歴代4位。
2009年の輸入額は前年比11.2%減の1兆ドルとなった。
12月は前年同月比55.9%と大きく増加した。鉄鉱石が6億3千万トン(前年比41.6%増)、原油 2億トン(同13.9%増)、大豆
4255万トン(同13.7%)と大幅増となった。
2009年の貿易収支黒字は1,961億ドルで、前年比34.2%減となった。
2009年の実績は以下の通り。
輸出 | 輸入 | ||||
金額(億$) | 前年比(%) | 金額(億$) | 前年比(%) | ||
1月 | 904.5 | -17.5 | 513.4 | -43.1 | |
2月 | 649.0 | -25.7 | 600.5 | -24.1 | |
3月 | 902.9 | -17.1 | 717.3 | -25.1 | |
4月 | 919.0 | -22.6 | 788.0 | -23.0 | |
5月 | 888.0 | -26.4 | 754.0 | -25.2 | |
6月 | 954.1 | -21.4 | 871.6 | -13.2 | |
7月 | 1,054.2 | -23.0 | 947.9 | -14.9 | |
8月 | 1,037.0 | -23.4 | 880.0 | -17.0 | |
9月 | 1,159.4 | -15.2 | 1,030.1 | -2.5 | |
10月 | 1,107.6 | -13.8 | 867.8 | -6.4 | |
11月 | 1,136.5 | -1.2 | 945.6 | +26.7 | |
12月 | 1,307.2 | +17.7 | 1,122.9 | +55.9 | |
年計 | 12,016.6 | -16.0 | 10,056.0 | -11.2 | |
付記 2010年 | |||||
1月 | 1,094.8 | +21.0 | 953.1 | +85.5 | |
2月 | 945.2 | +45.7 | 869.1 | +44.7 | |
3月 | 1,121.1 | +24.3 | 1,193.5 | +66.0 | 2004/4以来6年ぶりの赤字 |
4月 | 1,199.2 | +30.5 | 1,182.4 | +49.7 | |
5月 | 1,317.6 | +48.5 | 1,122.3 | +48.3 | |
6月 | 1,373.9 | +43.9 | 1,173.7 | +34.1 | 貿易総額 2,547.6は単月最高 |
上期 | 7,050.9 | +35.2 | 6,497.9 | +52.7 | |
7月 | 1,455.2 | +38.1 | 1,167.9 | +22.7 |
映画 The Informant を見た。
New York Times のKurt Eichenwald が関係者から取材して書いたノンフィクション The Informant の映画化。
1992年、アメリカの穀物メジャーのArcher Daniels Midland(ADM)のBioProducts Division事業部長のMark Whitacre(演じるのはMatt Damon)は飼料添加物リジンの生産がうまくいかず、上司に責められる。
競争相手のAjinomotoの社員から同社がスパイを送り込み、ウイルスを入れたとの電話があり、情報代を要求される。会社はFBIに依頼し、FBIは彼の自宅の電話に盗聴器をつける。Mark は妻(演じるのはMelanie Lynskey)から本当のことをFBI捜査官(同 Scott Bakula)に言えと脅され、Andreas副会長主導の日米韓メーカーによるカルテルの存在を伝える。
FBIは米国での会合を秘密に撮影、Markにテープレコーダーで世界各地での会合での会話を録音させた。
Markの2年半に及ぶ 「“007”の2倍賢い諜報員 “0014”」と自賛する大活躍で、証拠が揃い、1995年に強制捜査が入る。Mark は悪をあばいた英雄として社長になれると思ったが・・・
次々と明らかになるMarkの嘘に、FBIは右往左往。
全くの作り話のように思えるためか、Kurt Eichenwald の原作のサブタイトルは A True Story となっている。
映画でも、Archer Daniels Midland(ADM)やAjinomoto、韓国のSewon やCheil などの社名や、ADMのMark Whitacre、Dwayne Andreas会長、その息子のMichael Andreas副会長、AjinomotoのMr.Mimoto(有罪となっている)など、全て実名で出てくる。
ーーー
リジンカルテル事件は独禁法の歴史に残る事件である。
リジンはアミノ酸で重要な飼料添加物である。バイオテクノロジーで生産される。
1980年代後半には味の素、協和発酵、韓国のSewonの3社が世界の生産の95%を占めていた。(味の素が60%)
ADMは原料のdextroseの大メーカーで、1991年にリジン生産に進出し、急激にシェアを伸ばした。
同年、韓国のCheil Jedang(第一精糖)も生産を開始した。
(Sewon はその後、Miwon Foodsと合併し、Desang Corporationとなった)
その結果、価格は大幅に下落し、コスト割れとなった。
1992年4月にADMは味の素、協和発酵と会い、"amino acids trade association"をつくり、その後、韓国のSewonとCheil Jedang(現在のCJ)が参加、価格や生産量、販売シェアを話し合った。
ADMは映画の中でも同社のモットーを明らかにしている。
"The
competitors are our friends, and the customers are our
enemies"
ーーー
実際には、その前の1990年に日本と韓国メーカーの間でカルテルは始まっている。
カルテルの詳細な経緯は競争政策研究センター(CPRC)の報告
「リーニエンシー制度の経済分析」のP.52「ケーススタディ:欧州リジン事件」に記載されている。ーーー
1992年11月にADMのMark Whitacre がFBIのInformantとなった。
1995年6月、ADMに強制捜査が入った。
ーーー
2000年4月、米ワシントンのホテルで、リジンカルテルの現場をFBIが隠し撮りし米司法省が編集した衝撃のビデオが公開された。
米法曹協会の定期会合の場で「カルテル行為の内情」と題した講義が追加され、ビデオが流された。字幕が付いており、どの社の誰が何を喋ったのか、すべて分かる。
ビデオを解説したテキストは、以下の言葉で締めくくられている。
「(法律家である)あなた方にこのビデオとテキストを役立ててほしい。まず顧客企業がカルテルに関わるのを思いとどまらせるために、そして、防止できなかった場合は違法行為を発見するために」。
日経BP (2000/6/21) 「FBIが隠し撮り--暴かれた味の素/協和発酵らの謀議」
ーーー
1996年に、各社は罪を認めた。
ADMは司法取引で、70百万ドルの罰金を支払った。(同時に判明したクエン酸事件の30百万ドルを加え、合計100百万ドル)
Michael Andreas副会長とMark
の直接の上司のTerrance
Wilson は罰金と3年の懲役となった。
また、これが契機となって、ADMは異性化糖に関する集団訴訟で400百万ドルを支払っている。
ADMの合計100百万ドルの罰金は、過去最高の7倍にもなる。
味の素と協和発酵、及びSewonは司法取引に応じて情報を提供し、各社と各社の役員各1名が罰金を払った。
付記 味の素のMr.Mimotoの罰金を会社が支払った疑惑が問題となった。
ADMと味の素、協和発酵の3社は需要家からの民事訴訟で、それぞれ、25百万ドル、10百万ドル、10百万ドルの支払いに応じている。
(これについては賠償額が少なすぎるとして、その後議論となっている)
この調査で、司法当局はカルテルが考えていたよりも広く行われていることを知り、その結果、ビタミンカルテル、ファックス用紙カルテル、黒鉛電極カルテルなどの摘発につながった。(クエン酸カルテルに関するHoffman-LaRocheなどの調査でビタミンカルテルの存在が分かった。)
日本企業はビタミンカルテルでは武田薬品、エーザイ、第一工業製薬が摘発されている。
黒鉛電極では昭和電工、東海カーボン、日本カーボン、SECカーボンに加え、UCAR International に50%出資していた三菱商事も摘発された。
主人公のWhitacre
はADMの調査で900万ドルの横領がばれ、情報提供による訴追免除を失い、8年半服役した。
(ADMはこれを理由にカルテル事件の揉み消しを図った。原作の大きな部分がこの問題に割かれている。)
彼は現在はバイオテクノロジー企業のCypress SystemsのCEOとなっている。
付記
Whitacreは刑期途中で特赦を申請し、FBI捜査官たちも司法省に要請した。
2001年1月、Clinton大統領は退任に当たり、176人に恩赦を実施した(特赦140人、減刑36人)。
この中に脱税などの容疑がかけられ逮捕直前に国外逃亡していた実業家 Marc Rich (スイスのGlencoreの設立者)が含まれている(彼の元の妻が民主党に総額100万ドル以上の献金を行っている)。しかし、Whitacre はこの特赦の対象から除外された。
Clinton大統領は退任直前に、Dwayne Andreas 元AMD会長を褒め称え、彼の「多くの親切」に対して感謝した。
ーーー
リジンカルテルはカナダとEUでも摘発された。
カナダではAMDが罰金1600万加ドル(リジン価格カルテル 900万、同市場分割 500万、クエン酸 200万加ドル)、味の素が罰金350万加ドル、Sewonが7万加ドルとなり、協和発酵は捜査協力で訴追免除、Cheilは販売がなく、不起訴となった。
EUでは1996年にLeniency Programが導入されたが、本事件はその適用の第1号となった。
1995年6月に米国で強制捜査が開始されたが、翌1996年7月、EU でLeniency Program が導入された直後に味の素が情報を提供し、適用を申請した。
欧州委員会は,一連の価格協定等の行為を同一の反競争的な目的を目指して共通の全体計画の文脈で行われた単一の継続的な違反とし、EC 設立条約第81条違反と認定した。
制裁金は以下の通りとなった。(千ユーロ)
味の素 | ADM | 協和発酵 | Sewon | Cheil | ||||||
算定開始額*1 | 30,000 | 30,000 | 15,000 | 15,000 | 15,000 | |||||
重大性(行為年数3〜5 年) 年10%増 | +40% | +12,000 | +30% | +9,000 | +40% | + 6,000 | +40% | + 6,000 | +30% | + 4,500 |
違反主導的役割 50%増 | +50% | +21,000 | +50% | +19,500 | ||||||
専ら受身な役割行為 年数加算を20%減 |
6000x (-20%) |
- 1,200 | ||||||||
当局介入直後に違反を終了 | -10% | - 6,300 | -10% | - 5,850 | -10% | - 2,100 | -10% | - 1,980 | -10% | - 9,150 |
Leniency Program*2 | -50% | -28,400 | -10% | -5,350 | -30% | -5,700 | -50% | -8,920 | -30% | -5,350 |
合計 | 28,300 | 47,300 | 13,200 | 8,900 | 12,200 | |||||
旧制度での想定制裁金*3 | (13,500) | (7,380) | (2,880) | (2,700) | (3,060) |
*1 企業規模により、味の素・ADM とそれ以外の2グループに分けた。
*2 Leniency Program 適用は以下による。
味の素(-50%):決定情報を提供したが、以下の理由で100%減額は適用されなかった。
・ADM参入前のカルテルについて情報提供なし
・米国での捜索時に欧州や日本の書類破棄を指示
・カルテルで主導的役割ADM(-10%):調査に協力せず。但し事実関係について争わないとした。
協和発酵(-30%):提出証拠は決定的なものでなく、非自発的
Sewon(-50%):十分な証拠を出したが、調査開始後で、委員会の要求に応じた協力(非自発的)
Cheil(-30%):提出証拠は決定的なものでなく、非自発的
*3 旧制度での想定制裁金は リジン年間売上高 x 3年 x 6%
中国自動車工業協会の1月11日の発表では、中国の2009年の自動車販売台数は前年比46.15%増の1364万台となり、初めて世界一となった。うち、乗用車が1033万台(52.93%増)、商用車が331万台(28.39%増)であった。
生産は1379万台(前年比 48.30%増)で、乗用車は1038万台(54.11%増)、商用車が341万台(33.02%増)。
米国の調査会社の調べでは、米国の新車販売は1043万台で、前年比21.2%減となっている。
月次では2009年1月に初めて米国を追い抜いている。
付記
米国の生産は約570万台で世界3位。
日本の生産は前年(1157.6千台)の31.5%減の7,934.5台で、中国を大きく下回り、4年ぶりに世界2位に後退した。販売は4,609千台(前年は5,082千台)。
協会の事務局長は次のように述べた。
ここ数年来、中国のマクロ経済は持続的な急成長を遂げ、国民の生活レベルが徐々に向上している。
人口が多いため、人口あたりの自動車保有台数は少ないが、巨大な潜在的購買力が中国自動車工業の急成長を牽引するエンジンとなり、自動車工業は国民経済の重要な基幹産業となった。
今後10年間は 急成長の発展傾向を維持することが予想される。
中国の自動車販売の伸びは政府の消費刺激策によるところが大きい。
中国政府は2009年に入り、「汽車下郷」(農村部に自動車を)制度をスタートさせた。三輪自動車などを廃車とし、5万元以上の軽トラックや軽自動車に買い換える場合は5,000元を上限に、購入金額の10%を補助金として支給するという制度である。
5月には「汽車下郷」に自動車買い替えが追加され、自動車買い換えの財政補助をこれまでの10億元から50億元まで枠を拡大した。
中国政府は2009年12月9日の国務院常務会議で、消費刺激策の1年延長を決めた。
低排気量車の購入税減税や、農村部での自動車普及策の延長を決定。また「家電下郷」政策についても、対象製品の限度額を大きく引き上げることなどを打ち出した。
自動二輪車への補助金支給は、2013年1月31日までとする。
排気量1600cc以下の乗用車について、購入税の減税措置を2010年末まで延長。
(但し、低排気量車の購入税率を現在の5%から7.5%に引上げる。)
自動車の買い替え支援策に対する補助金の支給額を、現在の3,000〜6,000元から、5,000〜18,000元まで引き上げる。
中国の調査会社は2010年の自動車販売台数を1513万台と予想している。
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1月10日のテレビ東京の「日高義樹のワシントン・リポート」は「2010年 日本と世界に大変動か〜キッシンジャー博士に聞く」であった。
米国も欧州も日本も不景気が続くのに、どうして中国だけが成功したのか、との質問に対する博士の答えは、リーダーシップであった。
米国の場合、短期的視点で延々と議論するのに対し、中国では公的資金を長期的視点で迅速に有効に配分したのがうまくいったとする。
確かに、膨大な額の景気刺激策を早期に決めたことが大きい。
潜在需要の大きい農村部に限って、家電や自動車に補助金を出すというのは、米国でも日本でも反対が出て、決められないであろう。
ただし博士は、中国のやり方では今後、問題が起こることもあろうともしている。
同様のことを、Thomas L. Friedman が "The World is Flat" に続く "Hot, Flat, and Crowded" で述べている。
温暖化対策事業で米国が先頭を切らないといけないのに、石油業界など既存勢力の反対で遅々として進まず、このままでは新成長分野を他国(中国も含め)に支配されると嘆き、"China for Day (but Not for Two)"という1章を書いている。
「2日はいやだが、1日だけなら中国になりたい」というもので、米国では何年もかかる案件、レジ袋の有料化、ガソリン無鉛化、自動車燃費規制、等々をトップダウンの命令で直ちに実施したことを取り上げ、中国のやり方を(その部分だけは)羨ましく思っている。
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2009年の乗用車生産のTOP 10は以下の通り。
上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling ) | 976,808台 | 上海Automotive Industry/GM |
Shanghai Volkswagen | 729,007 | |
Shanghai GM | 727,616 | |
FAW Volkswagen | 682,374 | 第一汽車集団/Volkswagen/Audi |
Chag'an Motors | 654,467 | Chang'an Suzuki、Chang'an Ford |
Beijing Hyundai | 570,880 | |
東風日産(Dongfeng Nissan) | 578,327 | 東風汽車集団/日産自動車 |
比亜迪 (BYD) | 435,633 | Warren Buffett 10%出資 |
FAW Toyota | 435,512 | 中国第一汽車集団/トヨタ |
奇瑞汽車(Cherry) | 432,962 |
このうち、比亜迪(BYD)は王伝福が1995年にリチウムイオン電池製造販売のために設立した会社である。
社名は Build
Your Dream から付けた。
現在、リチウムイオン電池の製造で世界第3位で、携帯電話用では世界第1位のメーカーである。
同社は2003年、倒産した中小自動車メーカーの西安秦川汽車有限責任公司を2.7億元(約40億円)で買収し、自動車産業に参入した。
BYD自動車部門は小型車を中心に順調に業績を伸ばし、強みである電池との究極のシナジーをめざして電気自動車の開発に乗り出した。2008年12月、世界初のプラグインハイブリッドカー比亞迪F3DM を発売した。
2008年9月、米国の著名投資家であるWarren Buffettが2億3000万ドルを投じてBYDの約10%の株式を取得した。
Buffett氏は、「新エネルギーは大変重要な分野だ。すでに風力発電には参入しているが、今後はBYDとともにエコカー分野に積極的に打って出たい」としている。
フォルクスワーゲンは2009年5月、BYDとリチウムイオンバッテリーを使用したEVやハイブリッド車の開発で提携すると発表した。
付記
比亜迪(BYD)は1月12日、電気自動車「e6」を年内に米国市場に投入すると発表した。
5人乗り、最高時速140kmで、1回の充電で最大330km走れるという。
2010/1/14 韓国、首都機能移転を撤回、世宗市は教育科学経済都市に
韓国政府は1月11日、忠清南道などを中心に建設中の行政都市「世宗(セジョン)市」への首都機能を移転する計画を白紙撤回し、代わりに大企業や大学・研究機関を誘致して「教育科学経済都市」を建設すると正式発表した。
計画見直しに対し、首都機能移転を決定した盧武鉉前政権を支えた野党・民主党や地元自治体は強く反発、与党の一部にも反対論が根強くあり、6月の統一地方選挙では見直しの是非が最大の争点に浮上すると見られている。
付記
韓国国会の国土海洋委員会は、首都機能移転を白紙撤回し、教育科学経済都市を建設する案を反対多数で否決した。
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新行政首都建設構想は2002年12月の大統領選挙において盧武鉉候補が公約に掲げた。
ソウル首都圏には国土の1割ほどの面積に総人口の約半分が集中しており、一極集中の是正と国土の均衡発展という大義名分であった。
建設地域を最初から忠清圏に限定して提起されたことから, 票集めを意図した政略との批判も多かった。
政権発足直後から, 忠清圏内の候補地と目される市郡やその中心都市・大田広域市では地価が急騰し不動産バブルが到来した。
2003年12月末に「行政首都建設特別措置法」が成立した。
2004年6月には公共機関地方移転計画が発表され、移転地は忠清南道公州市と燕岐郡にまたがる地区に決まった。
これに対して首都圏を中心に反対勢力の活動も活発化、ソウルの三大新聞も反対の論陣をはった。
2004年10月、憲法裁判所は行政首都建設特別措置法は違憲との決定を下した。
韓国の憲法には首都に関する条項はないが、朝鮮王朝以来ソウルが首都であることは確かな事実であって不文憲法として規範化されており、これを廃止するならば憲法改正が必要であり,
国民投票しなければならないとした。
この結果、政府は首都移転ではなく、政府行政機関の一部を移転することに方針を変換した。
2005年に建設交通部、財政経済部など16省庁を忠清南道燕岐・公州地域に移転させることを内容とする「行政中心複合都市特別法」が成立、同年10月に「中央行政機関等の移転計画」が策定された。
- 移転対象機関は中央行政機関18部4処18庁のうち、12部4処2庁(その後の省庁改編で13省庁)。
ソウル残留は、青瓦台、国会、最高裁判所の他、統一部、外交部、国防部、法務部など。
2007年7月に着工し、2012年から移転を開始し、2014年に移転完了。
2006年12月、行政都市名を「世宗」と決めた。
世宗は李氏朝鮮の第4代国王(在位:1418年〜1450年)。
ハングルの制定を行ったことで知られ、李氏朝鮮の歴代君主中もっとも優れた君主とされる。
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李大統領も2007年の大統領選で首都機能移転に賛成したが、就任後、省庁分散による行政の非効率化などを理由に計画修正の必要性を主張。昨年11月、首都機能移転計画の撤回を表明し、国民に謝罪した。
今回の新計画は三星、ハンファ、熊進、ロッテなど大企業が参加する先端グリーン産業地区、国際科学ビジネスベルトの核心施設や高麗大学、KAISTなど大学を誘致し、世宗市を国家の未来新成長動力のメッカにするという構想。
・当初2030年だった完成時期を10年早める
・企業や大学・研究所などを建設する用地を、486万m2から1508万m2に拡大
・投資総額を8.5兆ウォンから16.5兆ウォンに拡大
・目標人口を17万人から50万人に増加---などが盛り込まれた。
サムスン・グループが進出して太陽光発電、燃料電池、発光ダイオードなどの生産体制を整えるほか、ハンファ・グループはエネルギー分野、ロッテ・グループは食品研究分野で進出する。
学術部門では、高麗大学、韓国科学技術院(KAIST)が大学院などを建設するほか、先端科学研究施設建設も目指す。
サムスングループの李健熙前会長は不正資金事件で有罪が確定していたが、昨年末、特別赦免された。このため、サムスン電子の「世宗市」への進出との取引説が噂されている。
教育科学技術部は1月11日、3兆5000億ウォンを投じて世宗市に「国際科学ビジネスベルト」を建設するという計画を発表した。
世宗市内の330万m2の敷地に仮称「世宗国際科学院」を建設し、その傘下に基礎科学研究院、重イオン加速器、国際科学大学院、先端融複合センターを置く。
世宗市と近隣の大徳研究団地、忠清北道五松・梧倉先端複合団地と有機的に連結、産学研の協力で「韓国版シリコンバレー」に育成する。
基礎科学研究院は、長期的な基礎技術プロジェクトに主に取り組む。
重イオン加速器はヨーロッパ粒子物理研究所(CERN)の加速器とは違い、直線型で建設される。
国際科学大学院は定員1800人で、先端基盤施設・教育課程を備える。
先端融複合研究センターは国内の大学・研究機関の研究力を集結する。
2009/1/15 欧州評議会、新型インフルエンザでWHOと製薬会社の癒着を調査
欧州47カ国が加盟する欧州評議会(The Council of Europe)は1月12日、世界保健機関(WHO)と新型インフルエンザのワクチンを製造する製薬会社との癒着が世界的大流行(H1N1 “pandemic” )を宣言したWHOの判断に影響を与えたとの疑惑について調査を開始すると発表した。
緊急調査開始の決議は欧州評議会議員会議(PACE)で承認された。
それによると、「インフルエンザの特許医薬品とワクチンを売るため、製薬会社はWHOなどの科学者や役人に影響を与え、世界中の政府に警告させて、限られた資金を有効性に欠けるワクチンに浪費させ、必要もないのに何百人もの健康な人を十分にテストしていないワクチンの副作用の危険に曝した」としている。
PACEの保健衛生委員会の委員長でドイツの疫学者で肺の病気の専門家のDr. Wolfgang Wodargが “false pandemic”であるとして動議を提起した。製薬会社は全プロセスで影響力を発揮しており、責任を取らせることが必要とする。利益の追求のため、身体に害を与えたと批判している。
Dr Wodarg によると、 “false pandemic”は昨年5月にメキシコで始まった。100件ほどの通常のインフルエンザを科学的証拠がないのに新しいpandemicの始まりと主張した。WHOは製薬会社と協調して“pandemic”の定義を変更し、これまでの「非常の多くの人が感染又は死亡」から、単に「人が免疫を持たないウイルスが国境を越えて広がる」とした。
ほとんどの国の政治家は直ちに反応し、ワクチンを発注した。その結果、製薬会社はリスクなしで膨大な利益を上げたと批判する。
WHOの推定では2009年末までに新型インフルエンザでの死亡者は約1万3千人で、これに対し、季節性インフルエンザの死者は毎年平均して25万人〜50万人に及んでいる。
2005年の鳥インフルエンザでも、150百万人が死ぬとの予想が出されたが、実際の死者は250人程度であった。この件も緊急調査の対象となる。
欧州各国では、ワクチンが大量に余り、売却や製薬会社との売買契約解除の動きが加速している。
フランスでは12.5億ドルで94百万doseのワクチンを購入したが、5百万doseしか使用されていない。
GlaxoSmithKlineは1月12日、ドイツ政府が注文したワクチンのうち3割が解約になったと発表した。
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日本では新型インフルエンザのワクチン接種が、65歳以上についても1月13日から前倒しで始まった。
新型インフル感染による死者数は1月6日までで計146人。持病がある人や高齢者の死亡率が高い。
厚生労働省によると、昨年12月25日現在、医療機関から新型インフルエンザワクチンで1899件の副作用報告があり、入院相当以上の重篤が294件、死亡が103件含まれていた。この間の推計接種者は1492万人。
付記
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会は1月15日、国が輸入を予定しているGlaxoSmithKlineとNovartisの新型インフルエンザワクチンについて、一定の条件付きで国内での販売を認めることを了承した。
これを受け、長妻厚相は同日、海外で安全性が証明されていれば日本の治験を省略する「特例承認」を行なった。来月中旬から健康な成人を中心に接種が始まる。
輸入するのはGlaxoSmithKline製の74百万doseとNovartis製の25百万dose。いずれも国産ワクチンで使っていない免疫補助剤が入っている。
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中西準子さんのホームページに本件が掲載された。
雑感505-2010.2.2 「WHOと製薬会社は、新型インフルエンザ騒動を煽ったのか?−欧州会議での調査始まる−」
ペトロチャイナ子会社の吉林石油化学は昨年7月、製油所の増設とSM、ABSプラント増設の地鎮祭を行った。
同社は吉林省にコンプレックスを持っている。
製油所は能力700万トンで、エチレン能力は当初38万トンと15万トンの2系列合計53万トンであったが、2005年に75万トンに、2007年に85万トンに増設した。
SMは能力14万トン、ABSは能力19万トンである。
今回、製油所を1000万トンに増設、新たに32万トンのSMと、20万トンのABS
2系列を新設する。
(当初案ではABSは30万トンの増設であったが、20万トン2系列、合計40万トンとなった)
増設が完了すれば、SM能力は合計46万トン、ABS能力は59万トンとなる。
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韓国の第一毛織は昨年12月22日、吉林石化とABS樹脂工場建設と生産のための技術協力契約を締結したことを明らかにした。
この契約で第一毛織は吉林石化にABS生産技術などを供与し、技術支援費と教育訓練費として2814万ドルを受けることになる。
第一毛織はサムソン系列で、1954年に設立された。
繊維業からスタートし、紳士服のフォーマル/カジュアル部門を立ち上げて、韓国のトータルファッションのリーディングカンパニーとして成長した。
繊維のみならず合成樹脂などの化学素材から電子化学材料まで幅広い製品を生産している。
合成樹脂部門では、PS、ABS、PC、エンプラ、人工大理石を扱っている。
現在の能力はPS 14万トン、EPS 8万トン、ABS 42万トン、PC 65千トンとなっている。
第一毛織は2005年にイラン国営石油化学の子会社 Tabriz PetrochemicalにABSとSANの技術供与を行っている。
第一毛織では「イランに続き中国にABS技術を輸出することで、新しいレベルのグローバルビジネス領域を開拓した。特殊樹脂技術の開発投資を拡大し、世界的な化学企業とのパートナーシップを強化していく」と述べた。
Tabriz Petrochemical はイランの北西端にあり、2005年にABSを35千トン増設して70千トンとし、新たにSAN 41千トンを新設している。同時にHIPS 40千トンも増設し80千トンとしている。
エチレン能力は136千トン、SM能力は95千トン。
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吉林石化は1月8日、ABS原料のエチルベンゼンとスチレンモノマーの建設のため、CB&Iの子会社のLummusとの間で技術ライセンスと設計の契約を締結した。
スチレンモノマーの能力は32万トンで、2011年のスタートを予定している。
Lummusは吉林石化の既存SMの建設時にも技術供与している。
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別途、上海華誼集団公司の子会社Shanghai Huayi Polymer はこのたび、38千トンのABSプラント建設の式典を行った。
20万トン計画の第一期となる。
中国のABSメーカーについては 2009/7/25 LG Chem、中国海洋石油との合弁で広東省でABSを生産
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