ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2012/3/15 中国企業によるDupontの二酸化チタン技術の産業スパイ事件
サンフランシスコの連邦陪審院は2月8日、中国国営の大手鉄鋼メーカーの攀鋼集団(Pangang
Group)とその子会社3社及び米企業1社を、商業機密窃取の疑いがあるとして起訴した。
また中国系アメリカ人夫婦2人、デュポン前職員2人が起訴された。
今回起訴されたのは以下の通り。
攀鋼集団、子会社の攀鋼バナジウム、攀鋼集団バナジウム業、攀鋼集団国際経済貿易有限公司
USA Performance Technology Inc. (Walter Liewの経営していたコンサルタント会社)
Robert J. Maegerle(元DuPont社員)
Tze Chao(同上)
Walter & Christina Liew(夫婦、USA
Performance Technology)
中国系アメリカ人夫婦が2人のDuPont元社員からDuPontの二酸化チタンに関する商業機密を手に入れ、攀鋼に売却した疑いがもたれている。
Liewの貸金庫にあった書類には、Liewは1991年に中国政府の役人から中国で二酸化チタン工場を建設するための技術の取得を依頼されたと書かれている。
検察側はLiewと会った中国人の一人は中国共産党の高官で、その後政治局入りをしていることを明らかにした。
DuPontはこの事業で70年の経歴があり、世界シェアの20%を占める。
同社の塩素法は他社の硫酸法に比べると廃棄物もエネルギー消費も少ないのが特徴。
検事は論告で、中国は二酸化チタンの能力が不足しており、この技術の確保が経済的にも科学的にも必要であるが、DuPontが中国にライセンスする気がないため、中国政府はこれを盗もうとしたとしている。
1998年に Maegerle
は二酸化チタン製造プラントの設計に必要なプロセスや機器などのDuPontの秘密情報を Liew に渡した。
2005年にMaegerleはDuPontの塩素法プロセスに関する秘密情報を送った。
2008年にMaegerle、Liew、Tze Chaoは攀鋼集団に、中国で年産10万トンの二酸化チタンのプラントを建設するための資料を送った。
起訴された4人のうち、Tze Chaoは秘密情報を攀鋼集団に渡したことを認め、司法への協力に応じた。
しかし、Liew夫妻とMaegerleは容疑を否認している。
攀鋼集団側の弁護士も出廷したが、米国の司法が中国企業を裁くことは出来ないと主張、司法権についての争いのためだけの出廷だとしている。
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DuPont に関しては、同社の有機ELに関する企業秘密を盗んで母校の北京大学に持ち帰ろうとしたとして中国生まれの研究員Hong Mengが2010年10月に禁固14か月となっている。
2009/9/12 DuPont、産業スパイを摘発
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韓米FTA交渉は2007年4月2日に妥結した。最後まで争点となった牛肉を含む農業と自動車分野でも合意した。
なお、コメについては対象外となっている。
2007/4/4 米韓FTA妥結
しかし、自動車関連などで米国内の反対が強く、批准されないままとなっていた。
2010年7月の韓国・EUのFTA妥結を受け、争点を話し合うための通産相会議が11月に行われたが、自動車と牛肉問題で合意に達せず、決裂した。
2010/11/12 米韓FTA協議、決裂
最終的に、米国は牛肉問題はFTAと別の問題とする韓国の主張を受け入れ、その代わり、韓国は自動車で大きな妥協を行い、2010年12月3日に交渉が妥結した。
2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結
米上下両院は2011年10月12日、韓国とのFTAの実施法案を賛成多数で可決した。
韓国与党ハンナラ党は11月22日、国会で韓米FTA批准案を強行可決した。本会議場では、これを阻止しようとする野党の議員が催涙弾を投げるなど一時大混乱に陥った。
2011/11/25 韓国、韓米FTA批准案を強行可決
韓国国会は2011年12月30日、米国とFTAの再交渉をするよう政府に求める決議を賛成多数で可決した。
決議は特に「ISD条項」(投資家対国家紛争仲裁制度)について「主権を脅かしかねない」と指摘、破棄も含めて米国と再交渉するよう求めている。
2012/1/7 韓国国会、「米とのFTA再交渉」決議
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韓国外交通商部は本年2月21日、韓米FTAが3月15日午前0時に発効すると発表した。
最大の争点のISD条項に関しては、「削除は検討していない」と述べ、「FTA発効後90日以内にサービス投資委員会を開き、ISDをめぐる問題を論議するための特別班を構成する予定」とした。
なお、本条項は2007年の最初の妥結時から入っていた。
韓国が既に80カ国以上と結んだ投資協定にもISDは入っている。
総選挙を4月に控えた韓国の野党内に反発が残っているが、一時は「破棄」を求める姿勢を示していた最大野党・民主統合党の韓明淑代表は、「(問題のある条項の)再交渉に力点を置いている」と語るなど軌道修正を図っている。
付記
米通商代表部は2011年11月に韓国でのFTAの国会批准を控え、「韓米FTAが発効されれば、韓国が提起するいかなる問題にも、韓国と交渉する準備ができている」と明らかにした。
しかし、2012年5月、「米政府は、韓国が心配する様々な問題に耳を傾ける準備ができている」としつつも、FTAの再交渉については否定的な考えを示した。
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韓国は米国、EU、EFTA(欧州自由貿易連合)、シンガポール、ASEAN、インド、チリ、ペルーとFTAを結んでいる。
3月11日にはトルコとのFTAの商品分野の交渉が妥結した。遅くとも来年初めにはFTA発効を目指している。
付記 3月26日、トルコとのFTA交渉が合意に達した。
米国・EU・ASEANの世界3大経済圏とFTAを結んだ唯一の国となり、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」(韓国政府)となる。
世界経済の低迷や欧州財政危機の中でも昨年、欧州企業の韓国への直接投資は急増し、日本や中国企業もその後を追っている。中国など、海外に流れた国内企業各社が次々とUターンの準備をしているという。
2011/3/16 ExxonMobil、新たなエネルギー源の開発に5年間で1850億ドルの投資を計画
ExxonMobilのTillerson会長兼CEOは3月8日に行った講演で、将来の需要の伸びに対応するための新たなエネルギー源の開発に今後5年間で約1,850億ドルを投資すると述べた。これは過去5年間の投資を29%上回る。
ExxonMobilでは今後著しい効率改善があったとしても、世界のエネルギー需要は2040年までに2010年比で30パーセント増加すると見ている。電力需要に伴って天然ガスが主要なエネルギー源として最も急成長し、石油と天然ガスが今後30年間のエネルギー需要の60パーセントを満たすと予想している。
これに対応するため、ExxonMobilは2016年までの5年間に年間370億ドルを投資する。
2012年から2014年の間に合計21件の石油・ガス計画が生産開始する。
このうち
2012年と2013年には、西アフリカの4カ所、カザフスタンのKashagan Phase 1 、カナダの Kearl Oil Sands project
を含む9件の主要な川上プロジェクトを開始、2016年までに原油換算で日産100万バレル以上の純産出量を期待している。
Kashagan ガス田はカスピ海北部にある海上ガス田で、Eni が主体で開発しており、日本の国際石油開発(Inpex) も参加している。
出資比率は、Eni (18.52%)、Shell (18.52%)、Total (18.52%)、ExxonMobil (18.52%)、ConocoPhillips (9.26%)、KazMunayGas (8.33%)、Inpex (8.33%)。Kearl Oil Sands ProjectはAlberta州のKearl Lake areaで開発中で、出資比率は、
Imperial Oil Resources 70%、ExxonMobil 30%。
同社では過去2、3年、天然ガス開発に注力している。同社では天然ガスは2025年までに石炭を追い抜き2番目に重要な燃料になると見ている。
ExxonMobil は2009年12月にXTO Energyを410億ドルで買収すると発表した。
XTOは米国のみで操業する非在来型天然ガス生産大手で、シェールガス、タイトガス、コールベッド・メタン、シェールオイルなど、合計換算 45兆立方フィートのガス資源を有しており、Barnett, Fayetteville, Haynesville, Marcellusなど主要シェールガスの全てで開発を行っている。
しかし天然ガスは今のところ、儲かっていない。シェールガスの供給増大で価格が急落している。
Chesapeake EnergyやConocoPhillipsは供給過剰対策で本年に生産を停止している。
Exxonは天然ガスの生産減は行わないが、将来計画では石油を重視するとしている。
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Tillerson会長はシェール開発についても述べた。
シェールの採掘には水圧破砕法(Hydraulic fracturing 又は fracking)が使われているが、一部でこの技術ではガスを採取できないケースがあることが分かった。
坑井内に高い圧力を加えて採収層に割れ目(フラクチャー)を作り、その中に砂などの支持材を充填することによりその閉塞を防ぎ、採収層内に非常に浸透性の高い油・ガスの通り道を形成するもの。
大量の水と600種類にも及ぶ薬剤を投入する。一つの井戸で18回も投入する。
ExxonMobil はXTO
Energyを買収したが、ポーランドで行った最初のシェールガス開発(2か所)で失敗した。
昨年第4四半期に完成した井戸はガスが出ず、高圧ジェットでの試みも失敗した。
米国のシェール層でも水圧破砕法が有効でないものが確認されている。
Exxonでは現在、他の流動体、プロパント(砂やセラミックの顆粒)、ポンプ技術の使用でうまくいかないか、検討している。
こういう問題はあるが、同社では Bakken シェールで40万エーカー、Permian
Basinで80万エーカー、Woodford Shaleで17万エーカーの権利を持ち、シェールは同社にとってのドル箱(Cash Cow )になるとみている。
同社は2011年7月、Sinopecとの間で四川省でのシェールガス開発の可能性を共同で評価することに合意した。
同社はまた、アルゼンチンのVaca Muertaシェールの開発も行っている。
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なお、シェールガスについては環境汚染の懸念から規制強化の動きがある。
フランスでは2011年7月に水圧破砕法を使用するシェールオイル、シェールガスの開発を禁止した。(Law
No.2011-835)
これに基づき、2011年10月に米国のSchuepbach社のNant とVilleneuve-de-Berg
での計画とフランスのTotal のMontélimarでの計画の認可が取り消された。
ブルガリア議会は本年1月18日、水圧破砕法による石油・ガス開発禁止法案を可決した。
水圧破砕法の利用禁止に加え、ブルガリアの領土・領海内のシェールだけに限らず、石炭やオイルサンド(油砂)、オイルシェール(油母頁岩)からの天然ガスと石油の抽出も禁止する
。
ブルガリア政府は2011年6月にChevronに対し、北東部ドブルジャ地方での試掘を認めたが、認可は取り消された。
米国の各州でも規制の動きがある。
参考 2011/8/8 「ガスランド 〜アメリカ 水汚染の実態〜」
付記 コメントで下記記事の紹介がありました。
水質汚染のあった採掘坑では、水道水を汲み上げる帯水層に接する部分がセメントで適切に隔離されておらず、汚染物質が帯水層に流れ込んだという。
日本化学会は3月13日、化学にまつわる貴重な歴史資料「化学遺産」に、7件を認定したと発表した。
http://www.chemistry.or.jp/archives/isan-nintei3.html
これで化学遺産は17件となった。
日本化学会は、歴史資料の中でも特に貴重なものを文化遺産、産業遺産として次世代に伝え、化学に関する学術と教育の向上及び化学工業の発展に資することを目的とし、2010年3月に、第1回として6件の、2011年3月に第2回として4件の「化学遺産認定」を行っている。
2010/3/18 化学遺産認定
2011/3/17 化学遺産、第二回認定なお、国立科学博物館も同じような趣旨で「未来技術遺産」の登録を行っている。
2011/10/8 「未来技術遺産」
第3回認定は以下の通り。
▽ 『眞島利行ウルシオール研究関連資料』
眞島利行(1874-1962年)は、漆の主成分であるウルシオールの構造決定を皮切りに、日本特産の天然有機化合物の構造研究を中心とした研究を推進 し、日本の有機化学を世界的なレベルに高めた。
▽『田丸節郎資料(写真および書簡類)』
田丸節郎(1879-1944年)は、1908年にドイツのFritz Haber研究室に留学し、アンモニア合成の研究に参画した。
ドイツでの経験を活かして理化学研究所第1号館(化学)の設計や学術振興会の創設などに貢献した。
▽『鈴木梅太郎ビタミンB1発見関係資料』
国立科学博物館所蔵の最初に作られたビタミンB1の結晶や、もとになる米ぬか成分の標本など。
鈴木梅太郎(1874-1943年)は当時不治の病と恐れられた脚気の原因を研究し、1910年に微量でも生命活動の維持に必要な物質を発見し「オリザニン」と命名した(現在のビタミンB1)。
これは、実質的に世界で初めてビタミンの概念を提唱し、ビタミンを発見したことになる。
▽『日本の合成染料工業発祥に関するベンゼン精製装置』
本州化学工業(当時の由良精工)和歌山工場の国産ベンゼン精製装置
第一次世界大戦の勃発によりドイツから合成染料の輸入が途絶えたため、1914年に三井鉱山でのアリザリンレッドの工業化を皮切りに日本の合成染料工業が始まった。
▽『日本初期の塩化ビニル樹脂成形加工品』
東亜合成子会社のアロン化成保管の当時の製品見本と、古河電気工業の塩化ビニル被覆電線の営業用の見本。
東亞合成化学は1951年、イギリスのウインザー社の押出機を改良して塩化ビニル管の試作に成功し、水道管などに広く使われた。
軟質塩化ビニルの電線被覆は1949年に古河電気工業がアメリカの押出機を用いて国産化を実現した。
これらは国立科学博物館の「未来技術遺産」に登録されている。
2008 00009号 国産初期の硬質塩化ビニル管サンプル アロン化成
名古屋工場1951 2010 00057号 塩化ビニル被覆電線・ケーブル見本
― 現存最古級の塩化ビニル被覆電線―古河電工
(市原市)1950〜
1955頃
▽『日本のビニロン工業の発祥を示す資料』
京都大に保存されている装置や、クラレが所蔵する初期の繊維
1939年10月、ビニロンの基礎研究が京都大学桜田一郎教授らによって発表され、国産初の合成繊維として期待された。
倉敷絹織(現在のクラレ)、鐘淵紡績(現在のKBセーレン)など民間企業で研究されたが第二次世界大戦の進行で阻まれた。
1950年、倉敷レイヨンにより初めて工業化された。これも国立科学博物館の「未来技術遺産」に登録されている。
2010 00056号 ビニロン(ポリビニルアルコール繊維)
― 国産初の合成繊維 ―クラレ
岡山事業所1950
▽『日本のセメント産業の発祥を示す資料』
日本初の民間セメント製造企業小野田セメントがセメント焼成用に作った徳利(とっくり)窯。
1875年に隅田川東岸で、日本で初めてセメントを製造した官営工場が払い下げられ、後の日本セメント誕生となった。
一方、最初の民営セメント製造会社(後の小野田セメント)が1881年山口県小野田に誕生した。
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なお、日本化学会は第3回認定に関する公開講座を開催する。
第6回「化学遺産市民公開講座」
平成24年3月25日(日)13時〜17時
慶応義塾大学日吉キャンパス第4校舎独立館3階D-310教室
2012/3/19 旭化成、米国ZOLL Medical Corporationを買収
旭化成は3月12日、米国の救命救急医療機器大手であるZOLL Medical
Corporationを買収することで合意したと発表した。
買収金額は総額約22.1億米ドル。
ZOLLは生命蘇生技術をコアテクノロジーとした会社で、米国の体外除細動器市場では強固な事業基盤を保有している。
着用式除細動器「LifeVest」や体温マネージメント機器「Thermogard」等の革新的医療機器で事業拡大を図るとともに、欧州、アジアへの拡大を進めている。
ZOLLは1980年にDr. Paul M. Zoll など3人が設立した。
Dr.Zollは1952年に Beth Israel Hospitalの心臓病クリニック長の時に、心拍停止時に外部からの電気刺激が効果を生むことを見付けた。2011年度の売上高は5億2370万ドル、営業利益は4820万ドル。
旭化成は既に2011年8月から、日本での事業強化を模索していたZOLLとの協業の第一弾として AED(自動体外式除細動器)「ZOLL AED Plus」の販売を開始するとともに、ZOLLの日本における薬事コンサルタントおよびマーケティングを引き受けている。
今般、今後の両社のさらなる協力関係の強化について協議した結果、本買収の合意に至った。
付記
旭化成は2020年3月25日、子会社のZOLL Medical Corporationが、COVID-19の世界的感染拡大を受け、人工呼吸器の生産数を約25倍の1万台/月に拡大すると発表した。
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旭化成は2011年4月にグループ総合力の結集と融合を目指す「これからプロジェクト」(環境・エネルギー、住・くらし、医療の3領域)を立ち上げた。
医療関連分野については、次世代の中核事業領域と位置付け、グローバルな成長戦略を推進している。
同社のヘルスケア事業は2つの領域により構成されている。
@泌尿器・骨領域・血液疾患等の医薬事業
骨粗しょう症治療剤「エルシトニン」、「テリボン」
排尿障害改善剤「フリバス」錠
抗うつ剤「トレドミン」(日本で初めて開発されたセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
血液凝固阻止剤「リコモジュリン」(世界初の遺伝子組み換え型卜ロンボモジュリン製剤)
診断薬
A透析等の血液浄化関連、バイオプロセス関連の医療機器事業
透析 ポリスルホン膜人工腎臓「APS」 (膜分離技術)
アフェレシス(血液浄化療法)
「プラノバ」 世界初のウイルス除去フィルター2009/5/30 旭化成クラレメディカル、米社と透析事業で包括的な事業提携
(旭化成クラレメディカルはその後、旭化成100%となり、旭化成メディカルとなった。)
これらの事業に加え、新たに成長を牽引する事業基盤として、クリティカルケア(救命救急医療)分野に絞り、参入の機会を模索していた。
今後、ZOLLの成長戦略の実現および加速のために必要な資源投入を図る。また、M&Aを含め積極的な戦略的投資を行う。
なお、買収に伴うノレン代は1500億円程度となり、同社では20年で償却する方針としている。
2012/3/20 JX日鉱日石エネルギー、カナダでXstrata Coalと原料炭合弁事業
JX日鉱日石エネルギーは3月14日、豪州子会社(JX Nippon Oil & Energy)とXstrata Coalが、カナダ西部British Columbia州のPeace River 炭田において原料炭合弁事業を開始したと発表した。
JXはXstrata CoalからXstrata Coal British
Columbia Group の持分の25%を435百万米ドルで取得した。
Xstrataは持分の75%を保有し、本JV鉱区の開発、操業および運営を行う。
Xstrata Coal British Columbia Group
は下記の互いに隣接する原料炭権益を100%保有している。
・First Coal Corporation
2011年8月にXstrataが147百万カナダドルで元のオーナーから買収した。
・Lossan石炭権益
Xstrataが2011年10月にCline Mining から40百万カナダドルで買収した。
・Sukunka hard coking coal deposit
Xstrata が2012年3月8日にTalisman Energyから500百万米ドルで買収したばかり。
(これらの買収額からだけ計算すると、JXの25%の持分の買収額435百万米ドルは非常に高い)
JXエネルギーはFirst Coal所有鉱区およびSukunka鉱区から産出される原料炭の日本向け総販売代理店を務める。
調査が先行しているスクンカ鉱区(確定および推定資源量が2.36
億トン)およびススカ鉱区(旧ロッサン石炭権益と近接するファースト・コール所有鉱区の一部を統合した、より大規模な露天掘りプロジェクト、資源量はロッサンだけで2.4億トン程度)は、あわせて年に950
万トンの生産が可能との技術調査結果が出ている。
産出される石炭の大部分は強粘結炭(コークスの主原料)が占め、一部はPCI
炭(高炉製鋼において微粉炭吹込に用いられる石炭)となる見込み。
ススカ鉱区に統合した鉱区を除くファースト・コール所有鉱区は本格的な探査開始に向けた準備中。
JXでは、従来の電力会社向けを中心とした一般炭事業に加えて、鉄鋼生産に不可欠とされる製鉄会社向け原料炭事業へも本格的にその領域を拡大するものとしている。
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Xstrataは主要鉱物資源の大手生産者で、スイスに本拠を置き、世界20
カ国に亘り、100 以上の事業及びプロジェクトを展開している。
銅、一般炭・原料炭、フェロクロム、亜鉛およびニッケルの生産に関しては世界で五指に入る。
銀、鉛、プラチナ、金、コバルトおよびバナジウムも生産している。
本年2月7日に、同じくスイスの商品取引最大手Glencore Internationalは、Xstrataを391億ポンド(約4兆7400億円)で買収し、対等合併すると発表した。
但し、Xstrataの一部株主が、Xstrataの価値を過小評価しているとして反対している。
2012/2/9 スイスの資源会社Glencore InternationalとXstrataが合併
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JX日鉱日石エネルギーはこれまでに、豪州とインドネシアで石炭事業に参加している。
1)豪州
Xstrata Coal とのJVで15.2%を出資するOakbridge Pty Ltd を通じて、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のBulga炭鉱に13.3%の権益を保有しており、ここで生産される一般炭を日本の電力会社などに販売している。(2010年度の国内需要家向け納入実績は750 万トン)
バルガ炭鉱は、露天掘と坑内掘の2つの炭鉱および選炭工場を持つ年産約1,100万トンの大規模な炭鉱で、可採埋蔵量3億トン以上、可採年数20 年以上となっている。
JXは1990年に同炭鉱の権益を持つOakbridgeに資本参加した。
他に、豊田通商、JFE商事、新日本製鉄が参加している。
2)インドネシア
2011年6月にインドネシア・西パプア州に炭鉱を保有するPT.Horna Inti Mandiriの株式の5%を取得し、生産される石炭の日本向け販売権も獲得した。
ホルナ社の保有する炭鉱は、インドネシアのパプア地域で最初に開発される炭鉱で、高カロリーかつ低灰分の極めて高品位な石炭の産出が見込まれている。
炭鉱面積は約6300haで資源量は1億トン程度と見込まれている。出荷開始は2012年で、当初は年100万トン程度を予定している。
韓国のSKグループの SK
Networks は3月12日、オーストラリアの炭鉱開発会社Cockatoo
Coal Ltd
の持株を現在の5.57%から40%にすると発表した。買収金額は47%のプレミアムで313百万豪ドル(332百万米ドル)になる。今年上半期中に取得する。
今後4年間は持株を40%以上にはしないという条項がある。
Cockatoo Coal には韓国の 製鉄会社POSCOが13.27%出資し、最大株主であった。第2ー4位は金融機関で、第5位がSKの5.57%であった。
他に韓国勢で、8位韓国資源公社Kores(4.07%)、9位Korea East-West Power(2.94%)、11位に韓国電力公社 KEPCO(1.97%)が入っている。
SK Networks はまた、Cockatoo Coal
が交渉している150百万豪ドルの借入金の保証を行う。
SKは5.57%の出資の際にCockatoo Coal との折半出資で石炭販売会社を設立しており、今回の
出資増でこの販売会社の経営権も手中に収める。
SK
NetworksはSKグループの商社で、1954年にSK Globalとして設立され、2003年に改称した。
そのGlobal Businessには、Resources & Energy部門があり、資源取引と開発に取り組んでいる。
(他に、Chemicals、Steel、Mobile Phone部門がある)
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Cockatoo Coal は、オーストラリアのクイーンズランド、ニューサウスウェールズ両州で13カ所の石炭鉱区を保有している。これら鉱区の石炭埋蔵量は15億トンで、現在石炭を全て輸入に依存している韓国の有煙炭年間輸入量(1億トン)の15倍に相当する。
鉱区は次の通り。
操業中:Baralaba Coal Mine
開発中:
@Bowen Basin Projects
Baralaba、Baralaba North、Baralaba South、Wonbindi
ASurat Basin Projects
Bottle Tree、Collingwood、Davies Road、Krugers、Taroom、Tin Hut Creek、Woori
BNSW Projects
Bylong Cockatoo Coal に出資する韓国電力公社KEPCO 100%。Cockatooが30%のオプション。
Hume Cockatooが30%、Cockatooに出資するPOSCOが70%
Cockatoo Coal が本格的な操業に入る2015年には年300万トン、19年には1200万トンの石炭生産が見込まれる。
SKグループは「石油、ガス、鉄鉱石に続き、石炭分野でも海外での資源開発に参入することになる」と説明している。
米国務省は3月20日、核開発疑惑を強めるイランへの追加金融制裁の適用対象から日本と欧州10か国の合計11か国を除外する方針を決め、米議会に伝達した。除外期間は180日間。
追加制裁は昨年12月31日に成立した2012年度国防権限法(National Defense
Authorization Act) 1245条に基づくもの。
イランの収入源となる原油輸出を封じるため、イラン中銀と決済関係を持つ大手外銀の米銀への口座開設やドル取引を制限することを明記しているが、他方、原油輸入を大幅に削減していれば例外とすることも盛り込んでいた。
イラン中央銀行との取引に関与する海外金融機関に制裁を科すかどうかの判断期限は3月1日。
これが適用されると、銀行はイラン中銀との決済が出来ないため、実質的に輸入が出来ないこととなる。
今回イランからの原油輸入を著しく減らしたとして適用除外したのは、日本、ベルギー、チェコ、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリー、オランダ、ポーランド、スペイン、英国。
クリントン国務長官は、これらの国の行動は決して容易なものではなかったとし、他国にもこれに従うよう求めた。
EUによる1月23日以降の新規購入禁止と7月1日以降の既存契約での購入禁止を高く評価し、日本については、日本が昨年直面したエネルギー危機を勘案すれば、日本のイラン原油輸入の著しい削減は特に注目すべきことだとした。
米国務省当局者は電話会見で、「日本は福島原発事故による困難にもかかわらず、2011年下半期にイランから輸入する原油量を15〜22%減らした。これは画期的な規模で、他の国にも手本になるだろう」と話した。
米オバマ政権は6月11日、韓国やインド、台湾、南ア、マレーシア、スリランカ、トルコの7か国・地域について、イラン産原油の輸入を大幅に削減したとして、核開発を進めるイランへの圧力強化を目的としたイラン制裁法の適用対象から除外すると発表した。
日本政府はこれまで、日本がイラン原油輸入量の削減ペースをさらに引き上げることを条件に、邦銀を制裁対象から除外する方向で米国政府と協議を進めてきた。
クリントン米国務長官は2月28日の上院歳出委員会の公聴会で、「特筆すべき状況がある。日本をご覧なさい。福島原発事故で電力不足に陥りながら、イラン産原油の輸入を15〜20%削減しようとしている」と述べ、日本の協力姿勢を高く評価した。
付記
中国外交部報道官は3月21日の定例記者会見で、以下の通り述べた。
「中国は自国の経済発展の必要に基づき、通常のルートでイラン産原油を輸入している。これは筋が通っており、合法的だ。国連安保理決議に違反しておらず、第三国や国際社会の利益も損なっていない。」
「中国は国内法を根拠に他国に一方的な制裁を課すことに一貫して反対しており、ましてや一方的制裁を第三国に強要するやり方は受け入れられない。」
ーーー
イラン原油輸入に関しては、もう一つの障害がある。
EUは今年1月に、イラン産原油の禁輸に加え、イランとの原油取引を対象にした保険や再保険をEU域内の保険会社が提供することを禁止した。7月から実施される。
日本の損害保険会社がイラン産の原油取引に関連して契約する再保険のうち、7〜8割はEU域内の保険会社に再保険しており、これが適用されると、損害保険会社が原油輸入などに必要な保険を提供できず、結果的にイランからの原油輸入が滞る可能性がある。
日本の損害保険会社が提供できる保険金額は現在の10分の1程度に縮小するとの見方もある。
このため、政府は事態を重く見て、EUに制裁の適用除外を求めてきた。
EUは3月20日、イラン産原油の輸送に対する保険サービス提供の禁止について適用除外措置を設けるかどうかをめぐり協議を行ったが、合意には至らず、決定は先送りされた。
3月23日にEU外相会合が予定されており、制裁の詳細を決める。
付記
EU各国は3月22日の大使級協議で、保険・再保険の提供禁止を含む制裁により原油相場が高騰する事態への懸念で一致し、制裁を一部免除することで原則合意した。
23日の外相理事会での決定は以下の通り。
・賠償保険については6月末まで再保険を認める。
・貨物保険と船舶保険は1月23日以前に結んだ契約に限り6月末まで再保険を認める。
1月23日以降の契約はすべて再保険を認めない。
(1年契約が主流で、4月に契約を更新するものも多い)
・7月1日以降の対応については、5月半ばまでに決定する。
付記
この決定を受け、大手損保はイラン産原油の輸送の保険内容を変更する方針を固めた。
貨物保険については、補償額を5割超 減額する。
船舶保険については、免責条項を導入、戦争保険についてイラン関連は免責する条項を追加する。付記
EUは6月25日の外相理事会で、7月1日から域内保険会社がイラン産原油輸送タンカーに損害保険を販売することを禁止することを決めた。日本では、「特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法」が6月20日の参議院本会議で全会一致で可決・成立した。
イラン産原油を運ぶ日本のタンカーに重大な事故が起きた場合、最大で76億ドルを国が補償する。
2012/3/22 韓国サムスン 電子、公取委の立ち入り妨害で過料
韓国公正取引委員会は3月18日、サムスン電子が調査官の立ち入りを妨害したとして、法律で定める最高額となる過料4億ウォン(約2,970万円)の処分を下したと発表した。
「サムスン電子はこれまでも常習的に調査妨害をしてきたが、今回は役員の指揮により、組織的に妨害が行われた点を考慮した」としている。
調査妨害の過料としてはこれまで食品大手のCJ第一製糖の3億4000万ウォンが最高であった。
詳細は以下の通り。
韓国公取委は3月15日、携帯電話端末メーカー3社と通信3社がグルになって携帯電話価格を膨らませ大幅な割引特典を付与するかのように消費者をだましてきた事実を明らかにし、是正命令と共に課徴金を賦課した。
アップルのiPhoneだけが唯一このような問題がないことが明らかになった。
摘発されたのは以下の6社。
端末メーカー:サムスン電子、LG電子、パンテック
通信会社:SKテレコム、KT、LGU+
端末メーカーと通信会社は2008年からの3年間にわたり携帯電話を代理店に渡す際に、価格を実際より高く策定し、差額分を「値引き」し、消費者に大きな恩恵を与えているように振る舞った。
価格を高くして‘高価携帯電話イメージ’を作った。
公取委は2011年3月にこの情報を入手し、サムスン電子水原事業所に調査に入った。
しかし、調査官が正門に到着すると、警備員は「時間を稼げ」という内部指示に従い、「技術保安のために、事前の約束がなければ内部には入れない」とする社内規定を理由に
阻止した。
サムスンの社員と調査官は約50分にわたり、言い分を主張し合った。調査官は112申告(日本の110番)までした。
その間、サムスン社内では調査対象の資料が廃棄され(机の引き出しを丸ごと交換)、担当職員のパソコン3台は新品に交換された。
サムスンはそうした工作を全て終えた後で、調査官の立ち入りを許したが、既に多くの資料が消えた後だった。
サムスンには、これに備えた‘事前シナリオ’が出来ていた。
担当常務は水原事業場の某所に隠れ、公取委職員が撤収した後、隠しておいたコンピュータを取り出し、ファイル削除プログラムで該当資料を消した。
サムスン電子の情報保護グループ長は2日後の会議で警備会社を褒めた。
この他にも虚偽の資料を提出するなど幹部の指示で調査妨害が常習的に行われていたという。
2003年以降、サムスングループの公取委調査妨害は5回目(三星電子は3回目)で、サムスンが公権力を無力化する事例が相次いでいる。
公取委は1年余りの調査を経て、このようなサムスン電子の調査妨害行為を内部報告文書、防犯カメラ、役員間電子メール等を通して明らかにし、史上最高額である4億ウォンの過料を課した。
サムスン電子は今回、独禁法違反で総額142億8000万ウォン(約10億6100万円)の課徴金を課された。
このうち23億8000万ウォン(約1億7700万円)は調査妨害による加重分だった。
過料の4億ウォンと合わせると合計146億8000万ウォンで、うち調査妨害で27億8000万ウォン(約2億700万円)の支払いとなる。
6社の課徴金の総額は453億ウォンで、最高はSKテレコムの202億ウォン、次がサムスンで、3位がKTの51億ウォン。
さらに公取委は、各社が複雑な料金体系から利益を得ているとして、料金に関する情報を開示するよう各社に命じたほか、新たな割引を禁じている。
ーーー
公正取引法は6月16日に改正施行され、調査妨害行為には、過料だけでなく、刑事処罰も行える。
2月27日に国会を通過した公正取引法改正案では暴言、暴行、現場立ち入りの妨害などの調査妨害に3年以下の懲役または2億ウォン以下の罰金を課す条項が追加された。
付記
韓国政府の正当な調査を妨害するサムスンの行動が問題視されている。韓国中央日報が報じた。
サムスン電子の社内通信網には「子どもに恥ずかしい」「熱心に働いて積み上げたイメージが水の泡になった」という書き込みが相次いで上げられた。
これを受けサムスン電子の李健熙会長は3月21日、関係者を厳しく叱責した。
「昨年から順法教育を強化しているが実質的な行動変化につながってはいない。誤った認識と慣行が依然として残っているようだ」と話した。サムスンは公取委の調査を妨害したサムスン電子役員を重懲戒することにした。
李健熙会長は経営復帰2周年を迎える。サムスン電子はこの2年間好成績だが、会長の経営復帰後、サムスンテックウィン(光学機器や軍事機器などを生産)の不正、談合、公取委調査妨害まで、サムスンのイメージにダメージを与える事件が続けて起きている。
サムスンテックウィンの不正内容については公開していないが、K9自走砲などの部品を調達する際に納品メーカーから金品や過度な接待を受けたり、法人カードを個人的な用途に流用したなどの可能性がささやかれている。
この時も会長は、「サムスングループ全体に不正腐敗が横行している」と激怒した。今年1月にはサムスン電子が洗濯機とテレビ価格をLG電子と談合して課徴金を賦課された。先月にはサムスンタレスが潜水艦装備開発事業で談合し課徴金59億9000万ウォンを課されている。
実績を重視するサムスン特有の文化が変わらなければ大きな成果を上げにくいという指摘が出ている。
財界関係者は、「サムスンは派閥や学閥と関連した弊害が少ない代わりに、経営陣が実績だけで評価される文化。会社全体では成果を出すのに有利な面があるが、経営陣は実績をまとめたり公取委の調査妨害を通じて不利な事実を隠そうとする誘惑に苦しめられるほかない」と話した。
公取委関係者は、「昨年のサムスン電子の調査妨害は偶発的な行動とみるのは難しいほどだった。公正社会という目標を達成するためには法秩序をしっかり守るという大企業オーナーの意志が最も重要だと考える」と話した。
2012/3/23 国際石油開発帝石、豪プレリュードFLNGプロジェクトの権益取得
国際石油開発帝石(Inpex)はShell が西豪州沖合WA-44-L鉱区にて開発中のPrelude FLNGプロジェクトの17.5%の権益を取得することで合意したと発表した。
プロジェクト概要 | |||||||||||||
|
|||||||||||||
西豪州Broome市の北北東約475kmの沖合 | FLNGの構想図 | ||||||||||||
Shellは、オペレーターとして2011年5月に世界初のFLNG方式によるプレリュードガス田およびコンチェルトガス田の開発についての最終投資決定をし、現在開発作業中。
なお、両ガス田に隣接するIchthys ガス・コンデンセート田については、2012年1月に国際石油開発帝石(INPEX)が最終投資決定を行った。生産開始は2016年12月末の予定。
権益比率は以下の通りで、INPEXがオペレーターとなる。
INPEX 72.805 % Total 24.000 東京ガス 1.575 大阪ガス 1.200 東邦ガス 0.420 天然ガスはDarwinに建設する陸上プラントで液化してLNGとLPGとして生産・出荷、また洋上貯油・出荷施設(FPSO)でコンデンセートを生産・出荷する。
2012/1/16 国際石油開発帝石、豪州イクシスLNGプロジェクト 最終投資決定
ーーー
Inpexはインドネシア共和国アラフラ海Masela鉱区Abadiガス田の開発において、FLNG方式による開発準備作業をオペレーターとして実施している。
Inpex 90%、EMP Energi Indonesia 10%でInpexがオペレーターで開発を進めていたが、技術的に難しいFLNG方式を採用しているため 、当初の年450万トンの計画を年250万トンでスタートすることでインドネシア政府の承認を得た。
Inpexは2011年7月、Shellを戦略的パートナーとし、権益30%を譲渡した。
Inpexでは今回のPrelude FLNGプロジェクトへの参画により得られるShellの経験・知見を活用することにより、Abadi LNGプロジェクトを一層着実に遂行できること を期待している。
ーーー
同社のインドネシア及び豪州近辺の開発プロジェクトは以下の通り。
インドネシア
@マハカム沖鉱区およびアタカユニット(*はオペレーター)
A南ナトゥナ海B鉱区
Bマセラ鉱区(アバディ)
Cベラウ鉱区ータングーLNGプロジェクト
詳細は http://www.inpex.co.jp/business/indonesia.html
オーストラリア・チモール海
@ WA-35-L 鉱区(ヴァンゴッホ油田)、WA-43-L鉱区(ラベンスワース油田)ほか
A WA-37-R鉱区(イクシス)ならびに周辺鉱区
B バユ・ウンダンプロジェクト
C キタン油田
2012/3/24 米商務省、中国製ソラーパネルに相殺関税
米商務省は3月20日、中国のソラーパネルメーカーが中国政府から不当な補助金を受けているとして、相殺関税を課す仮決定を下した。
相殺関税の対象となるのは中国製の結晶シリコン型ソラーパネルで、税率は2.90〜4.73%。
中国製の太陽電池セル(発電素子)を使ったパネルやモジュールであれば、第三国から輸入する製品にも適用される。
仮決定の税率は以下の通り。 SunTech Power Holdings (尚徳電力) 2.90% Trina Solar(天合光能) 4.73% 他の全ての中国メーカー及び輸出者 3.59%
最終決定は今年6月の予定。
商務省はダンピング課税の調査も進めており、5月17日に発表する。
付記
米商務省は5月17日、中国製太陽電池を対象に、31.14−249.96%の反ダンピング関税を課す仮決定を下した。
仮決定の税率は以下の通り。 Wuxi Suntech 31.22% Trina Solar 31.14% 他の59社 31.18% 他の全ての中国メーカー及び輸出者 249.96% 米国商務省は今回の仮決定に続き、今年10月上旬に最終決定を下す見通し。
付記
米商務省は10月10日、反ダンピング関税と相殺関税を課す最終決定を下した。米国際貿易委員会(ITC)が11月下旬の会合で、米企業の被害を最終的に認定すれば、実際に納税命令を出す。
内容は以下の通り。 (%) (AD:反ダンピング、CVD:相殺関税)
仮決定 最終決定 AD CVD 合計 AD 輸出
補助金調整後
ADCVD 合計 Wuxi Suntech 31.22 2.90 34.12 31.73 -10.54 21.19 14.78 35.97 Trina Solar 31.14 4.73 35.87 18.32 -10.54 7.78 15.97 23.75 他の59社 31.18 3.61 34.79 25.96 -10.54 15.42 15.24 30.66 他の全て 249.96 3.61 253.57 249.96 -10.54 239.42 15.24 254.66 付記
米商務省は5月30日、中国から輸入された風力発電タワー(Wind-Turbine Tower)が中国政府から補助金を受け不当に安い価格で販売されているとして、相殺関税を課す仮決定を下した。
CS Wind 13.74%
Titan Group 26%
その他 19.87%付記
中国商務省は7月20日、米国と韓国製の太陽光発電パネル向け多結晶シリコンについて反ダンピング調査を、米国製については更に反補助金調査も開始したと発表した。
ーーー
米商務省は2011年10月、ドイツのソラーパネル大手SolarWorld の米国子会社など7社から、「中国メーカーは政府支援を受けて生産・販売コストより安くパネルを販売している」として、関連調査と100%超の関税適用をするよう請願を受けた。
これを受け、米商務省は11月9日、反ダンピング課税と相殺関税について調査すると発表した。
中国からのソラーパネルの輸入は2009年の640百万ドルから2010年に1,500百万ドルに急増した。
ダンピング課税に賛成するグループは、免税、安い原料、安い土地代や電気水道代、有利な借入金、輸出保険、輸出支援など、中国政府による実質的な補助金に対し、相殺関税を課するよう求めている。他方、中国からの安い輸入パネルで太陽発電を推進している米国のメーカー25社(The Coalition for Affordable Solar Energy)はこれに反対し、太陽電池の価格上昇で米国の需要は減少し、10万人の職が失われるとしている。
商務省の調査開始発表に反発した中国商務部は11月25日、米政府による自国の再生可能エネルギー業界への政策支援や補助金拠出が貿易障壁に当たるかどうか、調査を始めたと発表した。
2012年5月25日までに調査結果を公表し、貿易障壁が存在すると判断した場合は、WTOへの提訴など相応の措置を講じるとしている。
ITC(米国際貿易委員会)は12月2日、中国から輸入されたソラーパネルが米市場で不当に安く販売されており国内業界に損害を与えているとの仮決定を示した。
米国のアンチ・ダンピング調査は、ITCが外国企業によるダンピングで国内企業が被害にあったかどうかを認定、
商務省がダンピング・マージンを認定する。
2011/12/1 太陽電池で米国と中国が互いに貿易障壁調査開始
ーーー
米国企業が100%超の関税を求めたのに対し、今回の商務省の仮
決定の税率は2.90〜4.73%と非常に低い。
一般的には中国政府のソラーパネル業界への支援は30%に及ぶとされていた。
米メーカー7社で組織する団体はそれにもかかわらず、この決定を称賛し、この決定が市場でのフェアな競争を回復させるとしている。
中国メーカーは今回の低率の相殺関税の仮決定は、中国のソラー業界が補助金で安値販売をしているという批判が誤りであったことを示していると述べた。
また、中国からの安い輸入パネルで太陽発電を推進している米国のメーカーには安堵感がある。
ダンピング課税についても、同様の結果を期待するとしている。
しかし、中国側には決定はアンフェアで、国際的なルールに反しているとの意見が出て おり、低率とはいえ相殺関税を課したことで、対抗策を打ち出している中国政府の反応が懸念される。
ーーー
これとは別に、
米国商務省は3月19日、中国製スチールホイールに対し、反ダンピング関税と相殺関税を課すと発表した。反ダンピング関税の税率は44.96−193.54%、相殺関税は25.66−38.32%。
ーーー
2011年の米国の貿易赤字(サービスを除く)のうち、対中国赤字が2955億ドルで全体の40%を占めている。(対日赤字は8.5%)
対中赤字は2000年代前半から一貫して増加、2009年には金融危機の影響で貿易量が減少して一時減ったが、2011年は10年比で増加している。
このため、米国内で人民元問題などで対中強硬論が拡大する可能性がある。
共和党の大統領候補のロムニー前マサチューセッツ州知事は「為替操作国認定」の方針を明言している。
オバマ大統領は1月24日の一般教書演説で、「競争相手がルールを無視した場合に傍観はしない」と述べ、中国の通商政策や知的財産侵害を批判した。
中国などの「不公正な貿易慣行」を調査する新部局の新設を明言し、米中摩擦の解消に善処するようくぎを刺した。
2012/2/13 米国の貿易収支赤字
日本化学会は、約30年後に実現を目指す研究目標を掲げた「化学の夢ロードマップ」を策定した。
詳細は http://kanto.chemistry.or.jp/menu/roadmap/111018/Roadmap.html#03
「夢」の数は分野別に104に上り、実現すれば「10〜15のノーベル化学賞受賞も可能」と意気込んでいる。
日本化学会第92春季年会会場にてシンポジウムを開催する。
WEBでは公開されていない10分野、104件の個別テーマを掲載したロードマップ(冊子)を希望者に有料(2,000円)頒布する。
主催: 日本化学会 学術研究活性化委員会
日時: 3月27日(火) 13:30-16:30
会場: 第92春季年会SA会場
(慶應大学日吉キャンパス 第4校舎独立館 D205教室)
2012/3/26 原子力安全委員会、大飯原発のストレステスト 1次評価を確認
内閣府原子力安全委員会は3月23日、定期検査で停止している関西電力大飯原発3、4号機の再稼働の前提となるストレステストの1次評価について、問題ないとの確認結果を決定した。安全委が安全評価を了承したのは初。
関西電力大飯原発の1次評価については、3号機については昨年10月28日に、4号機については11月17日に保安院に提出され、ともに本年2月13日に保安院の評価が終了して安全委に報告されていた。
関電の報告では、両基は想定より1.8倍大きい地震の揺れや、4倍の高さの津波でも炉心損傷しないとしている。
現在までに他に14基について1次評価が提出されているが、これらは全て、まだ保安院で評価中。
付記
保安院は3月26日、四国電力伊方原発3号機の1次評価を妥当とする審査書をまとめ、原子力安全委員会に報告した。
終了後、記者会見した安全委の班目委員長は「1次だけでは不十分で、2次まできちんとやってほしい。安全性の確認は保安院が責任をもってやるべきで、安全委はその確認をするだけ。再稼働の判断をするのは政府だ」と語った。
斑目委員長は会見で、「要するに、すべて『Yes but』なんです」と述べた。
全交流電源喪失など危機的な状況も想定した評価手法が取り入れられたことや、非常用電源車の高台への配備など福島第一事故を受け導入された緊急安全対策に一定の効果があると確認されたことなどを挙げたが、今後の安全対策への注文は27項目にも及び、報告書の半分以上を割いた。
最大の注文は「一次評価は簡略な方法にすぎない。被害拡大を防ぐ対策までを検証する二次評価を速やかに実施すべきだ」と求めたこと。
「われわれは保安院がやったことに対して、この部分はそう、ただしこういうこともしてくれと書いた。総合的安全評価はあくまで1次評価と2次評価をあわせてやるもので、ぜひ2次評価までやってほしい」
「1次評価を運転再開と結び付けるのは政府の判断で、安全委として申し上げることではない。(見解文は)若干わかりにくいとの指摘があったが、科学者として述べないといけないことはすべてここで述べた」
「世界的に見てストレステストと再稼働を結び付けている国はない。それはそれで1つの政治判断としてなされることで、安全委として何かを申し上げることはない」
「わが国はある意味、シビアアクシデントは起こり得ないと考えてきた。それが結局、今回の事故を防げなかった最大の理由だと思う。緊急安全対策を取り、さらに非常に簡略的だがこういう総合的安全評価を始めたのは非常に大きな一歩だ」
「総合的安全評価は1次と2次の両方がないとできないので、まずはとにかく2次評価をしてもらいたい」
* 保安院が昨年末までをめどに提出を求めた2次評価の結果はどこからも出ていない。
なお、関電が提出した評価は2011年10月1日時点のもので、当時は5キロ以上離れた活断層の連動は考慮しないでよいこととなっていた。
大飯原発周辺には、陸側の「熊川断層」と、海側の若狭湾内に延びる2つの活断層があり、3断層の全長は約63キロに及ぶ。ストレステスト評価時点では、海側2断層(全長約35キロ)の連動は考慮に入れたが、3断層連動は想定しなかった。
保安院は今年1月、東日本大震災を受けて、従来のルールを見直すよう、電力各社に指示した。
これに対し、関電は3断層の連動について「可能性は極めて低い」とし、仮に3断層が連動したとしても、基準地震動の1.8倍は超えないと保安院に報告した。
保安院は「計算の根拠が不明確だ」などとして、詳細な評価をするよう再度求めている。
付記
保安院は3月28日、3つの断層が連動して動いても安全性は保たれるとした関電の判断を妥当と評価した。
今後さらに詳細な影響を調べ、耐震安全性評価(バックチェック)の最終報告書の提出を支持した。バックチェックは原発の運転中でも実施できる。
ーーー
原発の再稼働については、安全委の了承後に、首相、官房長官、経済産業相、原発相が安全性を確認して再稼働の是非を判断することとなっている。これまでは地元の理解を得て、判断するとしていた。
これについて、官房長官は3月8日、地元合意に先立って再稼働の是非を判断する方針を明らかにした。
国の責任を明確にすることで地元を説得するねらいで、その後、地元の理解を得て再稼働の是非を最終決定する。
なお、民主党の原発事故収束対策プロジェクトチームは、再稼働を「時期尚早」と結論づけている。
「福島第一原発の事故原因の解明を待たずに再稼働すれば、同様の事故を繰り返すおそれがある」としている。
政府は原発を運転開始から原則40年で廃炉にすることを明記した原子炉等規制法改正案を閣議決定したが、原子力規制庁設置を含め法案成立の見通しはついていない。
付記
野田首相は4月3日、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を巡り、関係3閣僚と初の協議を行い、経産省に対し、再稼働の是非を判断するための「暫定安全基準」の整備を指示した。
ーーー
中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)に増設を計画している6号機をいったん白紙に戻すことが分かった。
昨年3月の電力供給計画では運転開始時期を「2020年前後」と明記していたが、今月末に国に提出する新年度からの供給計画では削除する。
ーーー
原発の状況は以下の通り。東電柏崎刈羽6号機は3月26日に停止、残りは北海道電力泊3号機のみとなる。
北海道電力は泊3号機を定期検査のため5月5日に運転停止させる。
付記
東京電力は福島第一原発の1〜4号機(計281万2千キロワット)を、4月19日付で「廃止」すると発表した。
発電所名 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
運転開始 | 型式 | 40年 まで 年数 |
能力 (万KW) |
稼働中 (定検 時期) |
停止 | 1次評価 | |||
保安院へ提出 | 安全委へ報告 | 安全委 確認 |
|||||||
北海道電力 泊 |
@ 1989/6/22 | PWR | 57.9 | ○ | 12/7 | ||||
A 1991/4/12 | PWR | 57.9 | ○ | 12/27 | |||||
B 2009/12/22 | PWR | 91.2 | 5/5 | ||||||
東北電力 東通 |
@ 2005/12/8 | BWR(Mark-I 改) | 110.0 | ○ | 12/27 | ||||
東北電力 女川 |
@ 1984/6/1 | BWR(Mark-I) | 52.4 | ◎ | |||||
A 1995/7/28 | BWR(Mark-I 改) | 82.5 | ◎ | ||||||
B 2002/1/30 | BWR(Mark-I 改) | 82.5 | ◎ | ||||||
東京電力 福島第一 |
@ 1971/3/26 | BWR(Mark-I) | 0 | 46.0 | ◎ x | ||||
A 1974/7/18 | BWR(Mark-I) | 2 | 78.4 | ◎ x | |||||
B 1976/3/27 | BWR(Mark-I) | 4 | 78.4 | ◎ x | |||||
C 1978/10/12 | BWR(Mark-I) | 6 | 78.4 | ○ x | |||||
D 1978/4/18 | BWR(Mark-I) | 6 | 78.4 | ○ | |||||
E 1979/10/24 | BWR(Mark-U) | 7 | 110.0 | ○ | |||||
東京電力 福島第二 |
@ 1982/4/20 | BWR(Mark-U) | 110.0 | ◎ | |||||
A 1984/2/3 | BWR(Mark-U改) | 110.0 | ◎ | ||||||
B 1985/6/21 | BWR(Mark-U改) | 110.0 | ◎ | ||||||
C 1987/8/25 | BWR(Mark-U改) | 110.0 | ◎ | ||||||
日本原子力 東海 |
A 1978/11/28 | BWR | 6 | 110.0 | ◎ | ||||
東京電力 柏崎刈羽 |
@ 1985/9/18 | BWR(Mark-U) | 110.0 | ○ | 1/16 | ||||
A 1990/9/28 | BWR(Mark-U改) | 110.0 | ◎ | ||||||
B 1993/8/11 | BWR(Mark-U改) | 110.0 | ◎ | ||||||
C 1994/8/11 | BWR(Mark-U改) | 110.0 | ◎ | ||||||
D 1990/4/10 | BWR(Mark-U改) | 110.0 | ○ | ||||||
E 1996/11/7 | ABWR | 135.6 | ○ | ||||||
F 1997/7/2 | ABWR | 135.6 | ○ | 1/16 | |||||
中部電力 浜岡 |
B 1987/8/28 | BWR(Mark-I 改) | 110.0 | ○ | |||||
C 1993/9/3 | BWR(Mark-I 改) | 113.7 | ● | ||||||
D 2005/1/18 | ABWR | 138.0 | ● | ||||||
北陸電力 志賀 |
@ 1993/7/30 | BWR(Mark-I改) | 54.0 | ○ | |||||
A 2006/3/15 | ABWR | 135.8 | ○ | 2/1 | |||||
日本原子力 敦賀 |
@ 1970/3/14 | BWR(Mark-I) | 0 | 35.7 | ○ | ||||
A 1987/7/25 | PWR | 116.0 | ○ | 12/27 | |||||
関西電力 美浜 |
@ 1970/11/28 | PWR | 0 | 34.0 | ○ | ||||
A 1972/7/25 | PWR | 1> | 50.0 | ○ | |||||
B 1976/3/15 | PWR | 4 | 82.6 | ○ | 12/21 | ||||
関西電力 大飯 |
@ 1979/3/27 | PWR | 7 | 117.5 | ○ | 1/27 | |||
A 1979/12/5 | PWR | 7 | 117.5 | ○ | |||||
B 1991/12/18 | PWR | 118.0 | ○ | 10/28 | 2/13 | 3/23 | |||
C 1993/2/2 | PWR | 118.0 | ○ | 11/17 | 2/13 | 3/23 | |||
関西電力 高浜 |
@ 1974/11/14 | PWR | 2 | 82.6 | ○ | 1/13 | |||
A 1975/11/14 | PWR | 3 | 82.6 | ○ | |||||
B 1985/1/17 | PWR | 87.0 | ○ | ||||||
C 1985/6/5 | PWR | 87.0 | ○ | 4/6 | |||||
中国電力 島根 |
@ 1974/3/29 | BWR(Mark-I) | 2 | 46.0 | ○ | ||||
A 1989/2/10 | BWR(Mark-I改) | 82.0 | ○ | ||||||
四国電力 伊方 |
@ 1977/9/30 | PWR | 5 | 56.6 | ○ | ||||
A 1982/3/19 | PWR | 56.6 | ○ | ||||||
B 1994/12/15 | PWR | 89.0 | ○ | 11/14 | 3/26 | ||||
九州電力 玄海 |
@ 1975/10/15 | PWR | 3 | 55.9 | ○ | ||||
A 1981/3/30 | PWR | 9 | 55.9 | ○ | 12/14 | ||||
B 1994/3/18 | PWR | 118.0 | ○ | ||||||
C 1997/7/25 | PWR | 118.0 | ○ | ||||||
九州電力 川内 |
@ 1984/7/4 | PWR | 89.0 | ○ | 12/14 | ||||
A 1985/11/28 | PWR | 89.0 | ○ | 12/14 | |||||
合計 | 54基 | 1基 | 53基 | 17基 | 3基 | 2基 | |||
Jパワー 大間 | 建設中 | ABWR | 138.3 | ||||||
中国 島根3号 | ABWR | 137.3 | |||||||
東京 東通1号 (計画 2号) |
ABWR | 138.5 |
PWR:加圧水型、BWR:沸騰水型、ABWR(Advanced
BWR):改良型沸騰水型
BWRのうち、格納容器がMark-1型は問題とされている。
停止中 ○ 定検・トラブルで停止 36基(37-1)
◎ 震災で停止 11基(14-3)
● 政府要請で停止 2基
X 廃炉決定 4基
環境省は3月21日、国立・国定公園内での地熱発電の設置基準を緩和することを決めた。
これまで開発規制区域の外から斜めに掘る「傾斜掘削」のみを容認する方針を示していたが、自然環境への影響を最小限にとどめるなどの条件付きで、区域内で掘る「垂直掘削」も認めるとした。
国立・国定公園は自然景観や生物多様性の度合いで、特別保護地区、第1〜3種特別地域などに分けて管理されているが、このうち規制が比較的緩い第2、3種特別地域で垂直掘削が容認される 。
条件は以下の通り。
▽関係者間の合意形成
▽環境影響を最小限にとどめる技術の導入
▽周辺の荒廃地の緑化や温泉事業者への熱水供給など地域貢献
▽長期モニタリングと情報の開示
公園内での地熱発電をめぐって環境省は本年2月に環境保全に支障がない場合などに特別地域外から「斜め掘り」する工法を認めたが、斜め掘りはコストがかさむうえ、適当な場所が少なく、垂直掘りを求める声が出ていた。
規制緩和の理由について、環境省は「エネルギー供給状況の変化から、地熱資源利用に道を開くことを決断せざるを得なかった」と説明した。
政府のエネルギー・環境会議のコスト等検証委員会の報告書によると、地熱発電のコストは1キロワット時あたり 9〜11円程度で、石炭火力とほぼ同水準となっている。
経済産業省は候補地として、阿寒国立公園阿寒地域(北海道)、大雪山国立公園白水沢地域(同)、十和田八幡平国立公園菰ノ森地域(秋田県)、栗駒国定公園木地山・下の岱地域(同)、同公園小安地域(同)、磐梯朝日国立公園磐梯地域(福島県)の6地域を挙げている。
日本自然保護協会は3月21日、「影響が未知数の発電施設を作ることは将来に大きな禍根を残す。環境行政の後退と言わざるを得ない」とするコメントを出した。
日本には世界有数の潜在的地熱発電能力があるが、開発候補地の約8割は公園内にあって開発が遅れている。
地熱資源量 (万kw) |
地熱発電 容量(万kw) |
|
米国 | 3,000 | 253 |
インドネシア | 2,779 | 80 |
日本 | 2,347 | 54 |
フィリピン | 600 | 193 |
メキシコ | 600 | 95 |
アイスランド | 580 | 17 |
日本経済新聞によれば、 出光興産、国際石油開発帝石、三菱マテリアル、石油資源開発、三井石油開発などは福島県内で国内最大の地熱発電所を建設する方針を固めた。
発電容量は27万キロワットになる見通しで、総事業費は1千億円規模になるとみられ、2020年ごろの稼働を目指す。
候補地は磐梯朝日国立公園の敷地内で、福島市、二本松市、猪苗代町など。
なお、地熱発電プラントでは東芝、三菱重工業、富士電機の3社で世界市場の7割を握っている。
ーーー
日本の地熱発電所は以下の通り。
(環境省 http://www.env.go.jp/nature/onsen/council/chinetu/03/mat_07.pdf)
蒸気供給 | 発電 | 認可出力 (千kW) |
||
森発電所 | 北海道森町 | 北海道電力 | 50→25 | |
澄川地熱発電所 | 秋田県鹿角市 | 三菱マテリアル | 東北電力 | 50 |
上の岱地熱発電所 | 秋田県湯沢市 |
秋田地熱 |
東北電力 |
28.8 |
松川地熱発電所 | 岩手県八幡平市 |
東北水力地熱 |
23.5 | |
葛根田地熱発電所 | 岩手県雫石町 | 東北水力地熱 | 東北電力 | 1号機 50 2号機 30 |
鬼首地熱発電所 | 宮城県大崎市 | 電源開発 | 15 | |
柳津西山地熱発電所 | 福島県柳津町 | 奥会津地熱 | 東北電力 | 65 |
八丈島地熱発電所 | 東京都八丈町 | 東京電力 | 3.3 | |
滝上発電所 | 大分県九重町 | 出光大分地熱 | 九州電力 | 27.5 |
大岳発電所 | 大分県九重町 | 九州電力 | 12.5 | |
八丁原発電所 | 大分県九重町 | 九州電力 | 1号機 55 2号機 55 * 2 |
|
大霧発電所 | 鹿児島県霧島市 | 日鉄鹿児島 地熱 |
九州電力 | 30 |
山川発電所 | 鹿児島県指宿市 | 九州電力 | 30 | |
(以下、自家用) | ||||
大沼地熱発電所 | 秋田県鹿角市 | 三菱マテリアル | 9.5 | |
杉乃井地熱発電所 | 大分県別府市 | 杉乃井ホテル | 1.9 | |
九重地熱発電所 | 大分県九重町 | 九重観光ホテル | 0.99 | |
岳の湯 (休止中) | 熊本県小国町 | 廣瀬商事 | 0.05 | |
霧島国際ホテル地熱発電所 | 鹿児島県霧島市 | 霧島国際ホテル | 0.1 | |
合計 | 540.14 |
* バイナリー発電
温泉水などで、沸点の低いペンタン、アンモニア水などを加熱・蒸発させ、その蒸気でタービンを回す方式
ーーー
下記の小説が地熱発電を取り上げている。問題点がよく分かる。
真山仁 「マグマ」(単行本は2006年2月出版) 外資系ファンドの野上妙子は、地熱発電を運営する会社の再建を任される。地熱発電に命をかける老研究者、それを政争に利用する政治家、欧米からの執拗な圧力など、さまざまな思惑が交錯する中で、地熱ビジネスは成功するのか──地球温暖化、石油価格の高騰、原発の安全性が叫ばれる今、地下エネルギーの可能性と未来を予感させる、ドラマ『ハゲタカ』の著者が描く大型経済情報小説。
|
日本地熱学会が2006年11月にこの小説をめぐる真山仁との対話を行っている。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/grsj/guest/event/mayama06/mayama-taidan.html
その中の産業技術総合研究所の人の発言:
御存じだと思いますけれども,私ども地熱関係者はほとんど『マグマ』は読んでいると思います。というのは,ちょうど我々どん底におりまして, そのときに小説『マグマ』が現れて,我々の精神的な支えになったと思うんです。
2012/3/28 Indorama、ナイジェリアでPET製造
タイ/インドネシアのIndoramaはこのたび、 ナイジェリアの子会社 Eleme Petrochemicals で21億ドルを投資し、PET、肥料、メタノールを製造することを決定した。
ナイジェリア政府は2005年に国営の Port Harcourt 製油所と 石油化学会社 Eleme Petrochemicals Company の民営化を決定、Indoramaが競売で韓国のLGやナイジェリア企業に勝ち、Eleme石化の75%を225百万ドルで取得した。
2006/5/26 アジア企業の海外展開
Eleme
Petrochemicalsの現在の株主は以下の通り。
ナイジェリア政府15%、Rivers州政府10%
Indorama 65%、地元コミュニティ 10%、従業員 7.5%
Eleme PetrochemicalsはRivers州のPort Harcourt市近郊のEleme町にあり、以下の製品を生産している。
オレフィン | 550千トン | 天然ガスリキッドのクラッカー(M.W.Kellog) | |
LL/HDPE | 240 | NovaのSclairtech process | |
PP | 95 | BasellのSpheripol process | |
ブテン-1 | 22 | LLDPE用に使用 |
このコンプレックスは1995年に千代田、日揮、神戸製鋼所、 Technimont、Spie Batignolles(フランス)のコンソーシアムにより建設された。
クラッカーは最近、KellogのSCORE 技術を導入して改良された。(当初能力は300千トン)
今回、これらに加えて、PET、肥料、メタノールを生産するもので、このうち、PETは能力が年産86千トンとしている。
(下図では既に建設中で能力を75千トンとしている)
Indorama
ではこのコンプレックス(Indoramaの唯一のオレフィンコンプレックス)をアフリカの石油化学のハブにすることを計画しており、更なる拡張も検討している。
ナイジェリアの通商投資大臣は、Indoramaが買収後にコンプレックスの改良に575百万ドルを投じたおかげで、Eleme Petrochemicalsは多額の税金を納め、国と州政府に配当を払うようになったと述べ、世界7位の産油国であるナイジェリアはこれまで石油化学をなおざりにしていたが、 今回の投資決定でアフリカで二番目に大きい石油化学設備を有することになると喜びを示した。
ーーー
Indorama Group は1974年にMohan
Lal Lohia (ML
Lohia)により設立された。
ML Lohia
は事業を3人の息子に分割した。長男OP
Lohiaはインド、次男
SP Lohia は インドネシア、三男
Aloke Lohia
(APL) は タイを受け継いだ。
その後、インドネシアの事業とタイの事業が統合された。
インドの事業は
Indo Rama Synthetics (India)
として別に運営されている。
Indoramaは世界最大のポリエステルメーカーで、世界12番目のPTAメーカー。
現在の同社の状況は以下の通り。
(インドネシアのポリエステル繊維関連は別紙参照)
ーーー
ーーー
2007/4/14 タイのIndorama Polymers、北米でPET工場新設へ
2010/4/1 Dow/PIC のPET合弁会社、イタリア工場をIndoramaに売却
2010/11/18 タイのIndorama、米国と中国でポリエステル等の工場を買収
2010/11/20 インドネシアとインドのIndoramaの現状
ーーー
なお、ナイジェリア政府が2005年にEleme Petrochemicals と同様に民営化を発表したPort Harcourt 製油所は依然、Nigerian National Oil Corporationが運営している。
Nigerian National Oil はEleme Petrochemicalsに隣接したPort Harcourt 製油所(2基)のほか、Kaduna とWarriに製油所をもっている。
Port Harcourt
No.1 60,000 bpsd 1965年にShell/Bpが建設、後に国有化
No.2 150,000 bpsd 1989年建設
Kaduna 110,000 bpsd 原油はWarriからパイプラインで受け入れ
Warri 125,000 bpsd
2012/3/29 住友金属鉱山、アラスカ金鉱山で新鉱床を確認
住友金属鉱山は3月27日、アラスカ州のPogo金鉱山で新たな鉱床を確認したと発表した。
Pogo金鉱山は住友金属鉱山が85%、住友商事が15%出資している鉱山で、追加鉱量を求めて探鉱を進めた結果、2006年から生産しているLiese金鉱床の北側約300メートルのEast Deep地区で新たな鉱床を確認した。
新鉱床では40 トンの埋蔵金量が見込まれ、この結果、Pogo金鉱山の埋蔵鉱量は12,332千トン、平均金品位12.5g/t、埋蔵金量は155トンとなる。
今後の探鉱によりさらなる鉱量獲得が期待できることから、2012年も探鉱を集中的に進める。
生産金量については、当面年産10〜11トンを維持していく。
この金鉱山は石油天然ガス・金属鉱物資源機構が、海外地質構造調査の一環で発見した。
海外地質構造調査は日本企業等が海外で探鉱を行う際に探鉱初期段階のリスクを軽減し、海外探鉱開発を促進するための制度で1968年に創設された。
調査は東西140キロ、南北100キロの広大な範囲で1994年から2001年にかけて行われた。
Pogo地区では地質調査、地化学探査、物理探査の結果、抽出された有望地区にボーリング調査を行い、高品位金鉱脈を発見した。
その後、住友金属鉱山などによる企業探鉱に引き継がれ、坑道探鉱などで金量152トンが確認された。
1997年にアラスカで鉱山経営の経験豊富な地元企業Teck Resources Ltd
を操業パートナーとし、2000年に環境許認可申請を提出し、2004年に認可を受け、鉱山開発が始まった。(出資比率は住友金属鉱山51%、住友商事9%、Tech
40%であった。)
地表の景観をできるだけ変えないで開発するため、露天掘り採掘ではなく坑内掘り(地下採掘)を採用し、鉱石を処理した後の廃石やスライムを採掘跡に埋め戻す工法や、坑内から出た水を循環して使う工法が採用された。
採掘後、選鉱→青化浸出→電解採取を経てドーレ(金品位約94%、銀品位約6%)として回収している。
その後、2009年7月にTeck Resourcesの持株を245百万米ドルで買収し、住友金属鉱山 85%、住友商事 15%の出資比率となった。
住友金属鉱山はTeckに代わり、オペレーターとなった。
同社は“非鉄メジャークラス入り”を戦略的な目標としており、この権益取得はその一環で、Pogo金鉱山は、自らが運営・操業する初の海外鉱山となった。
参考 2009/8/22 住友金属鉱山、比最大手ニッケル鉱山会社の株式を取得
ーーー
Teck Resources はカナダの資源大手で、石炭・銅・鉛・亜鉛・モリブデン・金を扱っており、亜鉛では世界最大級、原料炭の海上輸送シェアは世界2位。
同社は1913年に金鉱山生産のため設立されたTeck-Hughes Gold
Mines と、銀・亜鉛・鉛鉱山開発を主体とした1906年設立のComincoが2001年に合併してできた。(当初名はTeck
Cominco)
2008年には石炭事業のJVパートナーであるFording
Canadian Coal Trustを98億ドルで買収して石炭資産を拡大した。
Teck のFording Canadian Coal の買収後、コモディティの価格は暴落し、カナダ経済も不況に陥った。
Teck は2009年初めには借入金の一部の支払猶予を受けたが、借入金返済のため、資産売却、コストカットを行った。
この一環として金資産のJV権益の売却を進め、カナダの金鉱山の権益を2008年にJV相手のBarrick Goldに売却、2009年にPogo鉱山の権益を売却した。
直接的には第三者からPogo鉱山の権益を取得したいとのオファがあったとしている。
中国投資有限責任公司(CIC) は2009年7月、100%子会社の
Fullbloom Investment Corporation を通じて、資金難のTeck Resources
の株17.2%を現金15億米ドルで購入することで合意したと発表した。
CICへの株式売却収入15億米ドルは主に借入金返済に回された。
2009/7/14 中国政府系ファンドCIC、カナダの資源大手に出資
2012/3/30 シャープ、台湾の鴻海グループと戦略的グローバル・パートナーシップを構築
シャープは3月27日、電子機器の受託製造サービスの世界最大手の鴻海グループ(Hon
Hai) と戦略的グローバル・パートナーシップを構築すると発表した。
主要事業分野において業務提携するとともに、鴻海グループを割当先とした第三者割当による新株式の発行を行うことで合意した。
戦略的業務提携の概要は以下の通り。
1)鴻海グループへの第三者割当増資
669億円
グループ合計で9.88%となり、最大株主になる。
鴻海精密工業 4.06% 鴻準精密工業 0.65% Foxconn (Far East) 2.53% Q-Run Holdings 2.64% グループ合計 9.88%
2)鴻海精密工業の購買力を活用した堺工場の操業安定化とコスト競争力強化
両社は堺工場=シャープディスプレイプロダクトを「ワンカンパニー」として共同で事業運営を行うことにより、堺工場の操業安定化を実現する。
@ 鴻海の郭台銘董事長が46.48%を出資 660億円 これにより出資比率は、
シャープ 46.48%、郭董事長 46.48%、ソニー 7.04%となる。付記
2012年 ソニー離脱、凸版と大日本印刷が出資
2012年7月 堺ディスプレイプロダクトに改称
2016年 シャープが持ち株の一部を郭董事長に
現状 郭董事長 53.05%、シャープ 26.71%、凸版印刷 9.54%、大日本印刷 9.54%A 鴻海は堺で生産する液晶パネル、モジュールを最終的に50%まで引き取る。(10月以降) 堺工場が得意とする60型以上のパネルを鴻海が引き取ることで、結果的に大型テレビで新たなライバルを生 むとの懸念もある。
B 両社はシャープの開発力と、鴻海の高い実装生産力・コスト競争力など、両社の強みを活かしたグローバルレベルの新たなビジネスモデルを構築し、市場ニーズにマッチしたコスト競争力のあるデバイス・商品のタイムリーな市場投入を実現する。 液晶パネルだけでなく、太陽電池など幅広い分野での提携を検討する。両社は毎月、経営幹部を交えた協議会を開き、提携による相乗効果を高めていく。
シャープは、調達する資金1300億円を新規技術導入に関わる投資等に充当し、中長期的な収益力向上及びグローバル競争力の強化を図 る。
ーーー
シャープは2007年7月、新たに大阪府堺市に最先端の液晶パネル工場と、薄膜太陽電池を量産する太陽電池工場を併設することを決定したと発表した。
液晶パネル工場
・投資額:約3,800億円(新工場の全土地代含む)
・着工:2007年11月
・稼動開始:2010年3月までに
・主な生産品目:40型・50型・60型クラスの大型テレビ用液晶パネル
・マザーガラスサイズ:2,850mm x 3,050mm(第10世代)
(60型クラスのパネルが6枚、50型クラスは8枚、40型クラスは15枚取れる)
・投入能力 :月72,000枚(稼動当初は月36,000枚)2007/12/5 シャープの「21世紀型コンビナート」
2008年2月にシャープとソニーは、シャープの液晶パネル工場を分社化することにより、大型液晶パネル・モジュールの生産および販売を行う合弁会社を設立することについて、「意向確認覚書」を交わした。
会社名称 : シャープディスプレイプロダクト 設立日 : 2009年4月1日 稼動開始 : 2009年10月 出資比率 : シャープ66%、ソニー34% 事業内容 : 大型テレビ用液晶パネル・モジュールの生産および
シャープ、ソニーへの販売生産能力 : 72,000枚/月(稼動当初は36,000枚/月)(マザーガラス投入ベース)
2009年12月29日、ソニーはシャープディスプレイプロダクトの増資を引き受け、7.04%を100億円で取得した。
ソニーは堺工場で生産されるパネルの7%にあたる55万台分(40型換算)を受け取る。
2011年4月末までに最大34%まで引き上げられ、その時点で265万台分がソニーに供給されることとなっていた。
しかし液晶パネルの調達環境をめぐる変化を背景に、両社は2011年4月、ソニーの追加出資を先送りにした。
両社は本年3月28日、ソニーの追加出資を行なわないことで合意し、既存の出資分の取扱いや大型液晶パネル、液晶モジュールの合弁事業のあり方や取引関係について、2012年9月末を期限に検討を行なうと発表した。
付記
シャープとソニーは5月24日、シャープディスプレイプロダクトについて、6月末までにソニーが保有する株式(出資比率:7.04%)すべてを譲渡し、両社の合弁を解消すると発表した。対価として、ソニーの出資時と同額の100億円が全額現金で支払われる。
また、シャープと凸版印刷、大日本印刷は2012年5月24日、凸版、大日本及び大日本の100%子会社 DNPカラーテクノ堺の堺工場における液晶カラーフィルター事業をシャープディスプレイプロダクトに吸収分割の方式により承継させることを決めた。
これらの結果、シャープディスプレイプロダクトの出資比率は以下の通りとなる。(吸収分割で株式発行)
シャープ 37.61%
郭台銘
37.61
凸版 9.54
大日本 9.54
自己株式 5.70 (ソニーから買収分 旧 7.04%相当)
2012年7月12日に鴻海グループからの出資が完了した。7月17日付で社名を「堺ディスプレイプロダクト」に変更する。
2016年12月28日 シャープが持ち株 436千株を 17,170 百万円で郭台銘氏の投資会社に譲渡。
現状
郭台銘 (SIO International Holdings Limited) 53.05%
シャープ26.71%
凸版印刷 9.54%
大日本印刷 9.54%ーーー
ソニーとサムスンは2004年、韓国にアモルファスTFT液晶パネルの製造合弁会社S-LCDを設立した。
サムスンが発行済み株式の5割と1株を持ち、ソニーが残りを出資した。ソニーは2011年12月、この合弁を解消し、全株式をサムスンに譲渡すると発表した。
ーーー
堺工場は「昨年末まで80〜90%の稼働率を維持してきた」が、世界的なテレビ販売の不振と価格下落で足元の稼働率は50%に下落 している。
シャープは今期、主力の液晶事業の不振などで過去最大となる2900億円の最終赤字に転落する見通し。
奥田隆司・次期社長は今回の提携の狙いを以下の通り説明した。
研究開発から生産、販売まですべて自前で手掛ける単独の垂直統合モデルには限界があった。
鴻海グループが持つ高い生産・加工技術力とコスト競争力を融合し、両社の強みを生かしたグローバルでの垂直統合モデルを一緒に作り上げる。
魅力的な商品やデバイスを機動的に提供でき、シャープの弱点を補える。競争環境が厳しくなる中、液晶パネルの生産からテレビ販売まで自社で手掛ける垂直統合では限界があった。
ーーー
なお、鴻海グループは液晶パネルの奇美電子(Chimei Innokux)を持っている。
シャープでは将来は総合的な業務拡大も考えられるとしている。
鴻海グループは2003年に群創光電(Innolux Display)を設立した。
2009年に、奇美グループの奇美電子(Chi Mei Optoelectronics)及び統寶光電(TPO) の2社と統合し、奇美電子(Chimei Innokux)とした。
TPOはオランダのPhillipsのMobile Display Systemsと台湾のToppoly Optoelectronicsが合併したもの。
付記
奇美電子には奇美実業グループが約17%、鴻海グループが約11%を出資するが、2012年6月、奇美実業グループが役員を引き揚げ、8人の全役員が鴻海系となった。奇美実業は株式売却は現時点では考えていないとしている。ーーー
奇美電子は2012年末に鴻海グループの旧子会社名の群創光電(Innolux Display)に改称する。
2012/3/31 東洋エンジニアリング、エジプトのエチレン工場建設を受注
東洋エンジニアリングは3月28日、エジプト石油省傘下のエンジニアリング会社ENPPI (Engineering for the Petroleum and Process Industries) と共同で、同省傘下のエチレン関連製品メーカーのETHYDCO (Egyptian Ethylene and Derivatives Company) が、アレキサンドリアに建設するエチレン製造設備(年産46万トン)及びブタジエン抽出設備(2万トン)を受注したと発表した。受注金額は約6億ドルで、プラントの完成は2015年を予定。
国内で生産される天然ガスを原料に、エチレン、ブタジエンとユーティリティ・オフサイト設備を建設するもので、米国ルーマス社の最新技術をベースに、設計から工事・試運転までのEPC業務を一括請負で実施する。
これは同社が国営石油会社 SIDPEC (Sidi Kerir Petrochemicals Co.) 向けに2001年完工したエチレンプラント(年産30万トン)に次ぐ、エジプト2基目で最大のエチレンプラントとなる。
東洋エンジニアリングは2013年4月2日、ENPPI と共同でETHYDCOからポリエチレン製造設備を受注したと発表した。
アレキサンドリア県アメリア地区にUnivation Technologiesの最新技術をベースに40万トン(20万トン設備2系列)を建設する。
上記のエチレンプラントからエチレンの供給を受ける。
エジプトの石化事業の開発のために設立されたEgyptian Petrochemicals Holding Company (ECHEM)は2011年3月に新しいエチレンコンプレックス計画を明らかにした。
新会社の社名はETHYDCO (Egyptian Ethylene and Derivatives Company) で、株主は以下の通り。
The Egyptian Petrochemical Holding Company (ECHEM) 40% Sidi Kerir Petrochemicals (SIDPEC) 下記 30% Egyptian Natural Gas Company (GASCO) 原料供給 30%
アレキサンドリアにエチレンと誘導品のコンプレックスを建設するもので、アレキサンドリアのWestern Sahara complex で得られるエタンとプロパンを原料にエチレン、ポリエチレン、ブタジエン誘導品などを生産する。
このうち、東洋エンジニアリングは今回、エチレン製造設備(年産46万トン)及びブタジエン抽出設備(2万トン)を受注した。
Linde-KCA-Dresden は2011年9月、Univation 技術でのPE
(年産40万トン)プラントの設計を受注している。
東洋エンジニアリングはこのプラント建設の受注を目指している。
この他に下記を計画している。
SM 30万トン
PS 20万トン
SBR/PBR 能力未定
ーーー
エジプトのエチレン第1号プラントを持つSIDPEC (Sidi Kerir Petrochemicals Co.) は1997年にEgyptian Investment Laws の下に設立された。
現在はEgyptian Petrochemicals Holding Company (ECHEM) が20%を出資している。
他に、Misr Bank が21%、National Investment BankとNational Bank of
Egypt及びPVCメーカーのEgyptian Petrochemicals が各7%を出資している。
アレキサンドリアに下記のプラントを有している。
フィードストックはEgyptian Natural Gas Company (GASCO)から受け入れるエタンとプロパンのミックス。
Ethylene | 300 千トン |
Polyethylene ( HDPE & LLPE ) | 225千トン |
LPG | 50 千トン |
Butane –1 | 10 千トン |
最新分は http://blog.knak.jp