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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2014/7/16 バイオ燃料生産拠点確立事業、本年度で支援打ち切り
農林水産省は7月9日、バイオ燃料生産拠点確立事業における3地区(北海道2地区、新潟県1地区)に対する支援について、平成26年度予算限りとすることを決定したと発表した。
2014年2月に設置した外部有識者からなる「バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会」が検証を行い、5月9日に「自立化、事業化は難しい」との報告書を取りまとめた。
河野太郎衆院議員の「ごまめの歯ぎしり」(2014/7/11) によると、経緯は以下の通り。
農水省は、2007年から北海道二か所、新潟一か所で行われている国産バイオエタノール製造・販売事業に支援をしてきた。
しかし、2007年度から2014年度まで218億円の補助金を投入しながら、三か所のいずれも事業化のめどが全く立たないという状況であった。
それどころか毎年、20億円を超える補助金がこれからも延々と突っ込まれかねない状況にあった。
自民党のムダボチーム(「無駄撲滅プロジェクトチーム」:河野太郎座長)は、昨年12月のヒアリングの結果、この事業の検証を農水省に命じた。
農水省は、これを受けて外部有識者による検証委員会を立ち上げて、今後の事業化の可能性を検証した。この間、3つの事業主体に対して、検証委員会は事業の計画を作り直しを求めたり、さまざまな努力をした結果、自立化、事業化は難しいという結論を出した。
これを受けて、農水省はムダボチームに、今年度限りで事業を打ち切ることを報告し、チームも了承した。
「国策にそって取り組んできた事業だけに...」というコメントも事業主体からあったが、国策だから赤字を垂れ流してもかまわないということにはならない。
今回は、農水省が極めて前向きに、素早く対応し、検証委員会も省庁の有識者会議とはこんなものという常識を覆すような目覚ましい活動をしてくれたことを特記しておきたい。
バイオ燃料生産拠点確立事業の概要と検証委員会が指摘する問題点は以下の通り。
3地区いずれも平成29年度以降の自立化・事業化という補助目的を達成することは困難と判断される。
北海道バイオエタノール | オエノンホールディングス | |||
主原料@ | 計画 | 製糖向けてん菜 (交付金対象数量64万tを上回る生産部分) |
米 @15/kg | 一時的に政府所有米 最終は道産米 100% |
現状 | 生産は64万トンをかなり下回り、余剰生産はなし | @39/kg | 道産多収米 1% | |
問題点 | 余剰が発生するかどうか不確定なものを主原料とする構想 | 甘い想定価格 | 目論見は完全に破綻 | |
主原料A | 計画 | 規格外小麦 @15/kg | ||
現状 | @27.5/kg | |||
問題点 |
穀物価格は外部要因で変動するもので、価格高騰への対応策なし。 |
|||
採算 | 楽観的ケース(エタノール価格 up、てんさい余剰4万トン等)のみ事業化可能というのは評価できない。 | 同左。 その場合も外部要因がわずかにマイナスに振れると赤字。 |
新潟市(全国農業協同組合連合会) | |
特徴 | (外部要因に左右されにくい生産及び販売体制構築) ・当初計画どおり地元産の原料(多収米)を量・価格とも安定的に調達 ・自らバイオエタノール混合ガソリンを販売する体制を整備 (地域循環型エネルギーシステム構築) 多収米の生産からバイオエタノールの製造、バイオエタノール混合ガソリンの販売・利用及び発酵残渣の飼料等利用の全てのプロセスを一貫して新潟県内で。 |
問題点 | (収支改善進まず。平成24 年度想定:304 円/L→平成24年度実績:654 円/L) ・施設規模が最大生産量1,000kL/年と小さい ・メンテナンス費用が想像以上に ・重油からもみ殻ブリケット燃料への転換の遅れ等 当初計画からバイオエタノール生産だけでは赤字が生ずることを想定しているのに、 |
検証委員会の指摘は当然だが、このことは計画当初から分かっている筈で、それにもかかわらず農水省が莫大な補助金を投入してきたことが問題である。
BASFとメキシコの石油化学メーカーのAlpekは7月10日、両社の50/50JVのPoliolesを下記の通り再編すると発表した。
1)AlpekはPoliolesの全てのEPS事業(Altamiraの165千トンのEPSプラントを含む)を取得する。
2)BASFはPoliolesのポリウレタン事業(Lerma工場の特定のプラントと、ポリウレタンシステム、イソシアネート、ポリオールの販売権を含む)を取得する。
3)上記を除き、Poliolesは両社のJVとして継続する。
4)これとは別に、Alpekは北米と南米のBASFのEPS事業を取得する。
・北米・南米のBASFのEPS販売チャネル
・ブラジルのGuaratinguetá とアルゼンチンのGeneral LagosのBASFのEPS製造プラント
・BASFのチリ子会社 Aislapol, S.A. のEPSの発泡製品事業
Alpekが取得するEPSの能力は合わせて230千トンとなる。
但し、従来型EPSに特殊な黒鉛粒子を練り込み、熱線反射により断熱効果を高めた Neopor® (grey EPS)
は譲渡の対象外で、BASFは今後も米国、カナダ、南米で販売を継続し、メキシコではAlpekが代理店契約に基づきBASFのために販売する。
上記の取引の対価は公表しない。
ーーー
INEOSは6月30日、BASFから両社の50/50JVのStyrolutionの持分を11億ユーロで買収すると発表した。
BASFは2011年のJV設立時に、ドイツ、ベルギー、韓国、インド、メキシコのSM、PS、ABS、SBS、及びそれらのコポリマーを拠出していたが、これらはINEOSに帰属することとなる。
但し、下記の事業はJVに拠出せず、BASFが自社事業として継続している。
今回、米大陸のEPS事業からも撤退することとなる。・発泡ポリスチレン
・発泡ポリスチレン用のLudwigshafen のSM/PS事業
・南京のBASF-YPCのSM/PS事業
SM 120千トン
PS 200
EPS 52
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POLIOLESは1965年2月に事業を開始した。
・ BASFは1969年末にJVの40%株主のWyandotte Chemicalsを買収した。
・ メキシコのコングロマリットGrupo Industrial ALFA は1974年にJVの60%を取得した。
・ BASFは1994年にALFAから10%を取得し、50/50JVとした。
Poliolesはメキシコの Altamira とLermaに工場を持ち、下記の製品を扱う。
・EPS
・Polyurethans
・Industrial Chemicals
Ethylene Glycols、Propylene Glycols、Glycol Ethers、Brake Fluid
PEG、PPG、Polyalkylene glycols、非イオン界面活性剤、キレート剤、殺菌剤、ワックス、油田用ケミカル、
電気メッキ、グリーン製品
今回、EPSとポリウレタンを分離し、工業薬品専門のメーカーとなる。
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Grupo Industrial
ALFAはコングロマリットで、傘下に下記の子会社を持つ。
Alpec:Poliolesの株主
メキシコ最大の石油化学会社。
北米のポリエステル(PTA、PET、ポリエステル繊維)のトップメーカーで、米大陸最大のEPSメーカー。
メキシコの唯一のPPとカプロラクタムのメーカー。
NEMAC:自動車用アルミニウム製パワートレイン部品の最大のメーカー
SIGMA:肉製品
ALESTRA:IT
NEWPEK:石油開発
2014/7/18 JX日鉱日石開発、米国で石炭火力発電所の排ガス活用による原油増産プロジェクトを開始
JX日鉱日石開発は7月15日、米国のJX Nippon Oil Exploration (EOR) Limitedを通じて、米国で石炭火力発電所の燃焼排ガスから二酸化炭素(CO2)を回収するプラントを建設し、回収したCO2の油田への圧入により原油の増産を図るプロジェクトを開始したと発表した。
CO2回収事業は、三菱重工業と米国の大手建設会社The Industrial Company(TIC)によるコンソーシアムが建設する。
この計画は石炭火力発電所から大気中へ排出する温暖化ガス(CO2)の低減と老朽化した油田における原油生産量の飛躍的な増加を同時に実現するもの。
、
本プロジェクトは、米国の独立系発電事業者(IPP)トップのNRG
Energy, Inc.の子会社と JX EORとの50:50の合弁事業会社Petra
Nova Parish Holdings LLCを通じて実行する。
この合弁事業会社が、NRGが米国テキサス州に保有する米国最大の石炭火力発電所のW. A. Parish石炭火力発電所8号機に、燃焼排ガスからCO2を回収する世界最大規模のプラントを建設し、回収したCO2を同発電所の南西約130kmのテキサス州の老朽したWest Ranch油田の地下に圧入することで、原油の増産を図る。
このスキームを通じて、これまで同石炭火力発電所から大気中に放出されていたCO2を年間約160万トン削減する。
West Ranch油田の生産量は現在の日量約500バレルから日量約12,000バレルへと飛躍的に高まり、累計増産量は約6,000万バレルとなる見込み。
JXはJV のPetra Nova Parishを通じてWest Ranch 油田の25%権益を保有している。
本プロジェクトのCO2回収プラントは、三菱重工業と米国の大手建設会社The
Industrial Company(TIC)によるコンソーシアムが建設する。
CO2回収能力は日量4,776トン、CO2回収率は90%で、燃焼排ガスからCO2
を回収するプラントとしては世界最大となる。
CO2回収プラントは、排ガスの前処理設備(脱硫)、CO2吸収・再生設備、CO2圧送設備、ユーティリティー設備などで構成される。
三菱重工業はCO2回収技術ライセンスを供与、CO2回収プラントとその付帯設備建設のEPC(設計・調達・建設)はTICとのコンソーシアムが請け負う。
三菱重工業のCO2回収技術は、関西電力と共同開発した高性能な吸収液KS-1™を用いるKM CDR Process®と呼ばれるプロセスで、他の方式に比べエネルギー消費量が大幅に少ないのが特徴。
2016年第4四半期からCO2回収プラントの商業運転およびウェスト・ランチ油田へのCO2の圧入を開始する予定。
本プロジェクトは総額約10億米ドルの投資規模を見込んでいる。
本プロジェクトの必要資金については、温室効果ガスの排出量を削減しながら米国内の膨大な化石燃料を活用するという
Clean Coal Power Initiative Programのもと、米国エネルギー省から補助金(167百万米ドル)が得られるほか、国際協力銀行およびみずほ銀行との間で、プロジェクト・ファイナンス方式での融資に合意している。
みずほ銀行の融資に対しては、独立行政法人日本貿易保険による保険が付保される。
2014/7/19 HIV治癒とみられた米女児、血液検査でウイルスを確認
米ミシシッピ州でエイズウイルス(HIV)に感染した母親から生まれ、その直後の治療開始により治癒したとみられていた4歳の女児が、7月初めの検査で血液に検知可能なレベルのウイルスが確認されたことが分かった。女児に対する治療は2013年3月に公表され、新生児のHIV治療法に新たな知見を与える画期的なケースになる可能性があるとみられていた。
米国立アレルギー感染症研究所の所長は10日の記者会見で、「女児、医療スタッフ、HIV研究者らにとって、残念な結果となった」と述べた。
ーーー
後天性免疫不全症候群(AIDS : Acquired Immune Deficiency Syndrome)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす免疫不全症で、完治・治癒に至ることは現在でも困難である。
抗HIV薬は様々なものが開発され、著しい発展を遂げてきているが、抗HIV薬治療は一生継続する必要がある。抗HIV薬には、「逆転写酵素阻害薬」、「プロテアーゼ阻害薬」「インテグラーゼ阻害薬」「CCR5阻害薬」があるが、これらは、あくまでウイルスが増えるのを抑える薬であって、ウイルスを死滅させる薬ではない。このため、飲み続ける必要がある。
しかし、これまで治癒したとみられた人が2人だけいた。
一人は当時ドイツ在住の米国人男性Timothy
Ray Brownで、2007年にベルリンで白血病治療のため骨髄移植を受けた。
移植したのは、遺伝的にエイズへの免疫力を持つ人の幹細胞で、2%程度の人がこうした遺伝子を持っているとされる。
手術により、白血病だけでなくエイズも治癒した。あらゆる機関で血液検査や内視鏡検査を受けたが、HIVは見つからなかった。
ただし、これは極めて例外的なケースとされている。
もう一人が母親の胎内でHIVに感染したこの女児で、母親は出産の直前になってHIVの陽性反応が確認され、母子感染を防ぐための治療も受けていなかった。
治療に当たったミシシッピ大学医療センターのHIV専門医は、感染のリスクが高いと判断し、出生後約30時間で女児に抗ウイルス薬の投与を開始
した。
女児は数日のうちに、HIV感染が確認されたが、治療の結果、女児の血中のウイルスは減少し続け、治療開始から29日以内に、通常の血液検査では検出できないレベルに到達した。
18カ月間にわたり治療を受けた後、治療は停止された。
その後、定期的な検査を受けているが、これまでHIVは検出されていなかった。
米国の研究チームは2013年3月、この女児が「機能的な治癒」に至ったと発表した。
機能的な治癒とは、ウイルスが通常の血液検査では検出されないレベルにまで抑制された状態を指す。
ウイルスが完全に消滅したわけではないものの、生涯にわたって治療を受け続ける必要はなくなる。
これまでの治療では、母子感染の疑いのある乳児には6週間にわたって予防薬を投与し、HIV感染が確認された時点で治療を開始するのが一般的だった
。
このケースでは、出生直後、まだHIVの陽性反応が確認されないうちから抗ウイルス薬を投与したのが重要で、新生児のHIV治療法に新たな知見を与える画期的なケースと期待されていた。
食品医薬品安全処はミールワームの栄養成分を分析し、毒性をテストした結果、食品として使用する上で問題がないと説明した。
農村振興庁によると、洗浄、殺菌、凍結乾燥という工程を経て粉末化されたミールワームの幼虫はタンパク質と脂肪が80%以上を占め、食品材料として利用価値が高いことが分かった。内訳はタンパク質が45−57%、脂肪が25−34%だった。特に脂肪の75%が心血管疾患の予防に効果がある不飽和脂肪酸だった。
ミールワーム(Mealworm)はゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫で、
小鳥や爬虫類の餌、釣り餌とするために飼育・増殖されている。
通常は
チャイロコメノゴミムシダマシ(Yellow mealworm)の幼虫を指す。
韓国政府はミールワームの幼虫以外にもシラホシハナムグリ、カブトムシ、コオロギなどの食用化に向けた研究も進めている。
国連食糧農業機関(FAO)も昆虫を未来の代替食料として注目している。
2014/7/21 MylanがAbbottのジェネリック事業の一部を買収 、本社移転も目的の一つ
米ジェネリック医薬品メーカーのMylan は、米医薬品大手 Abbott が保有する米国以外の先進国市場におけるBranded Generics事業を約53億ドル相当のMylan 株式で買収すると発表した。
Branded GenericsはGenericsメーカーが、 長期収載品を新薬メーカーから ブランドをそのまま引き継いで生産・販売する医薬品。
Abbott
はオランダで設立する新会社に欧州や日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの事業(フランスと日本の製造設備を含む)を移し、Mylanがこれと統合する。
Mylanはこれにより、本社を税金の安いオランダに置き、税負担を軽くする。
Mylanは買収により、消化薬のCreon®や鎮痛薬のBrufen®、インフルエンザワクチンなど、5つの分野(心血管代謝、消化器、抗感染/呼吸器疾患、
中枢神経系、女性・男性の健康)での100以上のジェネリック医薬品及びいくつかの特許で保護され成長が見込まれる製品を
借入金を含まないベースで獲得することになる。
これらの製品の売上高は約19億ドルで、Mylanの事業を更に多様化するとともに、米国以外での基盤を強化する。
欧州では、伊・英・独・仏などでの基盤を強化し、売上高をほぼ倍増する。
カナダと日本でも売上を倍増以上とし、豪州とニュージーランド、中欧、東欧でも基盤を強化する。
買収により、Mylanの売上高は100億ドル、EBITDAは約30億ドルになると見込まれる。
他方、Abbottは新しいMylan(Mylan NV)の株式1億500万株(現在のMylanの株価で53億ドル相当で、21%の株主となる)を受け取るが、これを比較的早期に売却してさらなる医療機器事業買収や自社株買いなどの資金に充当していく方針。
Abbott は
力強い成長が見込める新興国市場では引き続き、自社でBranded Generics事業を展開していく。オランダ、ドイツ、カナダの製造設備も維持する。
Abbottに残るBranded
Generics事業の売上高は29億ドル。
Mylanの前身のMylan
Laboratoriesは2007年にドイツのMerck
KGaA からgeneric部門のMerck
Generic Groupを、また、インドのMatrix
Laboratoriesを買収し、genericで世界第三位になった。
Mylanの事業は、ジェネリック、API(医薬品原体)、スペシャリティーの3種類に分類される。
ジェネリック事業はさらに、北米地域、欧州・中東・アフリカ地域、アジア太平洋地域と地域別に分けられている。
日本では2008年2月にマイラン製薬 を設立、同年5月にメルク製薬を吸収合併した。
ーーー
Mylanは買収を機の本社を税金の安いオランダに置き、税負担を軽くするが、同様の動きが広まっている。
最近の動き:
1)Medtronic
世界2位の医療機器メーカーで 心臓ペースメーカーでは世界最大のシェアを誇る米Medtronic
は6月15日、アイルランドの手術関連製品メーカーのCovidienを429億ドルで買収することで合意した。
買収により、外科手術の縫合に使用するスキンステープラーや人工呼吸装置といった製品のラインアップが新たに加わり、医療機器分野で競合するJohnson &
Johnson に対し優位に立つと見られる。
統合後のMedtronic
はCovidienの本部があるアイルランドのダブリンを本拠地とする。
Covidienは米マサチューセッツ州に本部を構えているが、2009年からはアイルランド法人として事業を展開している。
Medtronic
の海外子会社がここ数年で205億ドルの非課税所得を計上しており、本社がアイルランドに移ることにより、米国の法人所得税率35%の適用を受けることなくこれらの資金にアクセスできるようになる
。
現状では米国でこれを利用しようとすれば、米国に持ち込む時点で課税されるが、アイルランド法人の場合は、米国での課税なしでフルに利用できる。
Medtronic のCEOは、米国外で得た利益をより有効に活用できることについて「米国の医療機器業界を活性化する上で重要だ。当社はこれらの資金から、向こう10年間で少なくとも100億ドルを米国内の事業に再投資する方針をすでに発表している」と述べた。
2)AbbVie Inc.
AbbVie Inc.は米国の製薬会社で、2013年初めに、米Abbott Laboratoriesからスピンオフして誕生した。
同社はアイルランドの製薬大手Shire Pharmaceuticalsに買収提案をしていたが、Shireは7月14日、AbbVieの提案を受け入れると表明、株主に受け入れるよう呼びかけた。
Shire は患者数の少ない希少疾病に強い製薬会社で、競合を避けながら4割弱の高い営業利益率を誇っている。
AbbVieは6月20日、Shireの取締役会に現金と株式を組み合わせた買収案を3度提示したと明らかにした。
3回目の案はShireの1株を46.26ポンドと評価する内容だったが、Shireの取締役会は安すぎるとして拒否した。今回の提案はShireの1株を53.20ポンド と評価するもので、Shireの1株当たり現金24.44ポンドと新しいAbbVie株式 0.8960 株を与える。
買収が成立すれば、AbbVie株の約25%はShireの株主が保有することになる。
買収金額は従来の総額約270億ポンドから約310億ポンドに引き上げられた。
AbbVieは7月18日、Shire 買収で合意した。
AbbVieは売上高の柱となる大型薬の特許失効を控え、希少疾患に強いShire の持つ医薬品を取り込んで収益強化を図るが、買収後は、法人税率が低い英国に持ち株会社を設立し米国で上場する。
付記
AbbVie は10月15日、Shire Pharmaceuticals 買収を撤回すると発表した。
米政府が9月22日に節税目的の本社移転の抑制を狙った新規則を発表したため、国外に会社を設立することを含む買収効果が不透明になったと判断した。2014/10/20 買収・合併による節税目的の海外移転禁止の動き強まる
3)Pfizer
Pfizerは本年1月からAstraZenecaに買収提案を行ってきたが、5月26日、Pfizerは買収断念を発表した。
Pfizerの経営幹部が、買収目的の一つを「効果的な租税負担を構築する」こととした。
買収後は英国に多くの利益を留保・移転し、米国の高い税を回避するというものであった。
2014/5/12 Pfizer が AstraZenecaに買収提案
ある国に本拠を置く多国籍企業グループが外国に法人を設立し、この外国法人がその企業グループの最終的な親会社になる組織再編は
inversionと呼ばれる。
米国や欧州はこれらの動きを問題視している。
Pfizerの行動や、AppleやGoogleの「合法的脱税」が米国議会で問題となり、課税逃れ阻止の法案提出の動きも出てきた。
2013年6月に北アイルランドで開かれたG8サミットは、首脳宣言に多国籍企業の税逃れを防ぐための国際協調などを盛り込んだ。
欧州委員会は6月11日、Apple、Starbucks、Fiat Finance and Trade
3社の法人税に関して、それぞれアイルランド、オランダ、ルクセンブルクの各国税務当局が下した判断について、本格的な調査を開始したことを明らかにした。
企業を対象とした調査ではなく、各国の税制が問題ないかどうかの調査である。
2014/6/13 欧州委員会、Apple等の法人税を調査
2014/7/22 エチレンセンター11社の収益状況(平成25会計年度)
経済産業省は7月16日、2013年度のエチレンセンター11社の収益状況を発表した。
エチレンセンター11社の石油化学部門の売上高は、経済政策及び金融政策を受けた円高の是正による輸出増加や内需の回復、原燃料価格の上昇を受け販売価格を是正したこと等により、5兆3052億円と前年同期に比べ 21.0%の増加となった。
経常利益については、円高の是正による為替差益の発生、市況の上昇等により、1548億円と、前年同期に比べ約2.3倍の大幅な増加となった。
損益の過去の推移は以下の通り。(億円)
年度 経常損益 営業損益 単独 単独 連結 2000 913 - 1,338 01 75 211 643 02 431 613 1,236 03 654 709 1,380 04 2,132 2,156 3,338 05 1,753 1,770 2,946 06 2,725 2,455 3,856 07 2,108 1,900 2,973 08 -1,825 -2,016 -2,034 09 -94 3 338 10 749 689 1,768 11 1,002 705 1,994 12 679 460 839 13 1,548 1,443 2,112
集計対象は下記の通り。大阪石油化学は三井化学子会社のため、実質10社である。
エチレンセンター 11社 単独ベース 連結ベース 10社の下記部門 旭化成ケミカルズ 旭化成 ケミカル部門 出光興産(石油化学部門) 出光興産 石油化学製品部門 昭和電工 昭和電工 石油化学部門 JX日鉱日石エネルギー(石油化学部門) JX日鉱日石エネルギー 石油化学部門 住友化学 住友化学 基礎化学部門、石油化学部門 東ソー 東ソー 石油化学部門 東燃化学 東燃ゼネラル石油 石油化学事業部門 丸善石油化学 丸善石油化学 (全社) 三井化学 三井化学 石化、基礎化学品、機能樹脂部門 大阪石油化学 三菱化学 三菱ケミカルHD ケミカル、ポリマーズ 単独ベースで、出光とJXは記載部門のみ、他は全社。
連結ベースは、連結対象会社の変更等があるので、前年度と単純な比較は出来ない。
2014/7/22 中国の三一重工 米国での買収めぐり米政府に勝訴
米国で計画した風力発電所建設を中止させた米オバマ大統領の命令を不服として米国で提訴していた中国建機大手の三一重工は7月16日、「勝訴した」と発表した。
米裁判所は大統領令が正当な手続きを踏んでおらず、三一側の財産権を奪ったと判断した。
オバマ大統領は2012年9月28日、「国の安全保障に関わる」として、三一重工の役員2名が共同所有しているRalls
Corp.
によるオレゴン州の米海軍施設近くの風力発電企業4社の買収と所有を禁止し、2012年に取得した所有権を放棄することを求めた。
買収目的は、三一重工の子会社の Sany Electric
が製造する風力発電タービンで風力発電を行うことであった。
Ralls Corp. の買収行為がアメリカの安全を脅かす可能性があると認識し、買収の阻止を命じたとしている。
近くの米海軍施設(Naval Weapons Systems Training Facility)では遠方から自動操縦する無人飛行機と、爆撃機に同行して敵のレーダーを邪魔するelectronic warfare aircraftの訓練が行われている。
当初、米国の外国投資委員会(CFIUS)がこの取引をやめるよう命じたが、Ralls
Corp.がこれを越権行為で違法であると訴えた。
このため、大統領がCFIUSの提言を基に命令した。
2012/10/4 オバマ大統領、米国内での中国企業の風力発電買収を阻止
三一重工はこれを不服として、オバマ大統領とCFIUSを米コロンビア地区連邦地裁に提訴した。
「一枚の禁止令により、2000万ドル以上の直接的な損失が生じ(間接的な損失を含まず)、企業の対外的なイメージも損なわれる。提訴はやむなきことだった。誰も裁判を望んでおらず、当社は潔白を証明するため仕方なく訴訟措置を講じた」
「米国は何の説明もなく、中国の風力発電プロジェクトを無理やり中止させた。中国製の設備の使用を禁じた上、当社が米国人の経営する米国企業に譲渡するのを禁じ、補償すら行わなかった」
ワシントン州の米控訴審裁判所は7月16日、地裁判決を覆し、3人の裁判官全員一致で、大統領の命令は正当な手続きなしで、Ralls
Corp.の財産権を奪ったと判断した。
Ralls Corp. は政府が使用した情報にアクセスできず、政府の懸念に反論できなかったが、これは憲法の正当な手続きの権利の否定であるとした。
「正当な手続きでは少なくとも、当事者は政府が判断の基にした機密扱いでない証拠にアクセスし、それに反論する機会が与えられるべきである」としている。
この結果、Ralls Corp.は外国投資委員会が判断に使った機密扱いでない情報にアクセスでき、反論できることとなる。またその情報を公開できる。
現在のところ、政府が上告するか、裁判所に再ヒアリングを求めるのか、不明。
(米国では控訴審は再ヒアリングを行う場合がある)
外国投資委員会がこれより前に中国企業の買収阻止を命じたのは、1990年2 月にGeorge
Bush大統領が行ったもので、China National
Aero-Technology Import and Export Corp(中国宇宙航空技術輸出入公司)による航空機部品メーカーのMAMCO
Manufacturing, Inc.の買収のみ。
BRICS (ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の第6回首脳会議が7月15日、ブラジルのFortalezaで開かれ、新興国や途上国の社会基盤整備支援を目的としたNew Development Bankと、5カ国が金融危機の際に資金を融通しあう外貨準備基金(BRICS Contingent Reserve Arrangement)の設立に合意する「Fortaleza Declaration and Action Plan」に署名した。
各国議会の承認を得て設立・実行される。
BRICSは以前から、世銀とIMFの政策に途上国の意思が公平に反映されていないと指摘し、IMFと世界銀行での発言権拡大を求めてきた。
今回合意した開発銀行と準備基金は、欧米がIMFや世界銀行で支配的地位を維持していることや、新興国にほとんど発言権が与えられないといった現状を打破することにある。
同時に、BRICS内での中国と他国の勢力争いが明らかになった。
2年にわたる交渉で、最大の懸案だったのは資金の不足ではなく、中国の存在だったとされる。
中国1カ国の経済力は、他の4カ国のそれを合わせたものより大きい。
世界第2位の経済力を誇る中国が、その政治力を拡大すべく、影響力を行使しようとするのではないかとの懸念がくすぶっている。
1)New
Development Bank
本部 上海 本部を中国とするかインドとするか、ギリギリまで交渉。
インドを立てるため、ブラジルが初代総裁をインドに譲り、まとまった。Africa Regional Center 南ア 総裁 輪番制
初代:インドから授権資本 1000億ドル 当初出資 500億ドル(各国100億ドルずつ) 中国は当初、他国よりも資本金を多く拠出したいと主張 。
同額拠出とするブラジルとインドの意見が採用された。今後の増資 7年以内に1000億ドルまで
他国出資受入
BRICS出資が55%を下回らない。
中国が影響力を持つ国々に出資させ、銀行の実質的な支配権を握ろうとするのではないかとの危惧がある。運営開始 「出来るだけ早期」
2016年目標
2)BRICS Contingent Reserve Arrangement
拠出額 1000億ドル 国別 中国 410億ドル
ブラジル 180億ドル
ロシア 180億ドル
インド 180億ドル
南ア 50億ドル
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IMFは2010年に、新興国の出資比率を引き上げ、理事会への登用を増やす「IMF改革」に合意した。
改革案が実現すれば、IMFへの出資比率で米国、日本に続く第3位に中国が浮上、更に上位10カ国にインド、ロシア、ブラジルが入り、新興国の発言力が増す。
IMFへの出資比率 (%)
現状 改革後 米国 17.67 米国 17.41 日本 6.56 日本 6.46 ドイツ 6.11 中国 6.39 英国 4.51 ドイツ 5.59 フランス 4.51 英国 4.23 中国 4.00 フランス 4.23 イタリア 3.31 イタリア 3.16 サウジ 2.93 インド 2.75 カナダ 2.67 ロシア 2.71 ロシア 2.50 ブラジル 2.32
大半の国はすでに批准手続きを進めているが、米国では議会の賛成が得られず、批准されていない。
G20財務相・中央銀行総裁会議は本年4月、米国に対しIMF改革案を年末までに批准するよう求め、批准できなかった場合は米国抜きでIMF改革を進めるとする共同声明を採択した。
実際には、米国の承認なしで改革を進めるのは難しい。
今回の宣言でも「2010年に採択されたIMF改革案が実行されないことに失望し、深刻な懸念を持っている。これはIMFの正当性、信用性、有効性を傷つけている」と厳しく批判した。
世銀に対しても、もっと民主的な運営を求めている。
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南米11カ国(スリナム、アルゼンチン、ボリビア、コロンビア、チリ、エクアドル、ガイアナ、パラグアイ、ペルー、ウルガイ、ベネズエラ)の首脳は7月16日、BRICS首脳とブラジリアで会談し、「選択肢が増える」と支持した。
ボリビアのモラレス大統領はIMF・世銀による貸付制度を「脅迫まがい」と非難し「それに代わる枠組みを世界は待ち望んでいた。新自由主義と新植民地主義の台頭に歯止めをきかすことができる」と力説した。
ウルグアイのムヒカ大統領も「財政難の小国にとって選択肢が増えるのは良い」と期待を寄せた。
世銀やIMFは融資の際、緊縮財政や規制緩和、国営企業の民営化などの厳しい条件を課しており、世銀・IMFを批判する声が高まっている。
2014/7/24 インドネシアの天然ガス公社、米国のシェール権益を取得
インドネシアの天然ガス公社 PT Perusahaan Gas Negara (Persero) Tbk (PGN) の石油・ガス開発子会社 PT Saka Energi Indonesia は7月15日、テキサスに拠点を置く Swift Energy からテキサス州のEagle Ford シェールのFasken鉱区の権益の36%を現金175百万ドルの対価で取得した。両社は本年5月に契約を締結した。
契約完了時に125百万ドルを支払い、残り50百万ドルは本年1月からの開発費の分担額として分割で支払う。
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インドネシアでもシェールガス開発の動きはある。
インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は国内に574兆立方フィートのシェールガスがあると推測している。
うち、スマトラ島に233兆立方フィート、カリマンタン島に194兆立方フィート、パプア島には90兆立方フィートの埋蔵量があるとする。
同省は2013年5月に国内初のシェールガス開発として、国営石油・ガスのPT Pertamina に北スマトラのSumbagut 鉱区の開発権を与えた。
2015年までに30件の生産分与契約(PSC)の締結を目指している。
同省は本年6月23日、2番目のシェールガス開発権を外国石油企業のコンソーシアムに与えた。
北スマトラのKisaranブロックで、コンソーシアムの構成は以下の通り。
New Zealand Oil & Gas 11.25% Bukit Energy(カナダ) 33.75% Pacific Oil & Gas (香港) 55.00%
しかし、採掘技術や輸送インフラなどが整備されておらず、インドネシアでのシェールガスの商業化には時間がかかると見られている。
2014/7/25 トヨタの「米づくりカイゼンネットワーク」コンソーシアム 発足
トヨタ自動車と石川県及び石川・愛知両県の9つの農業法人は7月18日、トヨタが開発した農業支援システムを導入し、収益性の高い米作りに取り組む共同事業体「米づくりカイゼンネットワーク」コンソーシアムを発足させた。
トヨタが自動車生産で培った「カイゼン」のノウハウを生産性向上に生かすもので、
同社がコメの生産農業法人向けに開発した「豊作計画」を導入、更なる効率化と品質向上に向けた実証実験を推進する。
小規模農家や地主が大規模米生産農業法人に田植えや稲刈りなどの農作業を委託するモデルが拡大している。
農家や地主ごとに広範囲に分断して存在する水田を限られた人員と日数の中で効率的に作業を進めなければならない。
トヨタは2011年から大規模に稲作を請け負う愛知県の農業生産法人・鍋八農産とシステム開発に取り組んだ。
鍋八農産は800の農家から委託された2000枚の水田約170ヘクタールの農作業をこなしている。
これまでは書類や紙地図を使って作業割り振りを行っていたが、間違いも多く効果的な作業ができていなかった。
日本にはこのような農業法人が2万社ほどある。
トヨタは自動車事業で培った生産管理手法や工程改善ノウハウを農業分野に応用し、生産プロセスの改善を行った。
「豊作計画」はクラウドサービスとなっており、米生産農業法人はスマートフォンやタブレット端末から簡単に利用できる。
システム中では、地図上に登録された多数の水田を複数の作業者が効率的に作業できるように、日ごとの作業計画が自動的に作成される。
この作業計画は、現場へ向かう個々の作業者のスマートフォンに配信され、作業者はGPSで作業すべきエリアを確認してから向かう。
そして作業の開始、終了時にスマートフォンのボタンを押すことで、共有のデータベースに情報が集まり、広域に分散する農作業の進捗の集中管理や、作業日報や請負先へのレポートの自動作成も可能となる。
農業法人では実際に働くスタッフは30代が中心で、スマホも扱える。
農作業だけでなく、それ以降の乾燥、精米等のプロセスもカバーしており、稲品種、稲作エリア、肥料条件、天候、作業工数、乾燥条件等の作業データとそれから得られた収量、品質データを蓄積し分析することにより、より低コストで美味しい米づくりに活用できる。
2012年から鍋八農産を含む愛知の4法人で「豊作計画」を試行、今年度から石川県の5法人が参加した。
現在は米生産農業法人が主に取り扱う米、麦、大豆などに対応しているが、将来的には、技術革新を進め対応作物を広げることで、国内の農業の活性化や競争力強化に側面的に貢献したいと している。
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農林水産省は、2014年度より農業界と経済界が連携して行う、低コスト生産技術体系の確立、ICT(Information and Comunication Technology)を活用した効率的生産体制の構築、低コスト農業機械の開発など先端モデル農業の確立に向けた取組を支援することを目的とし、「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」を実施している。
このなかには、愛媛県のグドウグリーンテックと住友化学などの「サンライズ先端農業コンソーシアム」があるが、これは、パナソニックのカメレオンコード(カラーバーコード)の活用と日産自動車の生産システム
住友化学は、農薬、肥料、農業資材等の農業関連製品やサービスを幅広く提供しており、安全安心で効率的な農業生産を総合的に支援する「トータル・ソリューション・プロバイダー」ビジネスを展開している。
そのビジネスを実践する一つの形として、長野・大分・山形・三重・茨城の5カ所で農業法人「住化ファーム」を展開し、果物や野菜を生産しており、愛媛県西条市と愛知県豊田市では、日本経団連が推進する「未来都市モデルプロジェクト」の先進農業モデルとして「サンライズファーム西条」「サンライズファーム豊田」を設立・運営している。
2014年3月にはサンライズファーム西条に地元企業各社とのJVでサンライズ西条加工センターを設立した。
2014/7/26 伊藤忠、タイのチャロン・ポカパングループと資本・業務提携
伊藤忠は7月24日、アジア有数の大手複合企業の一つ タイのCharoen Pokphnad Group (CP)と資本・業務提携契約を締結した。
CPグループは農業と食料品を中心に情報通信、流通、金融、医薬品等の非資源事業を手がけるアジア有数の大手複合企業の一つで、傘下にCharoen Pokphand FoodsやC.P.Pokphand等を有し、タイ、中国等を中心に国際的に事業を展開している。
アジアにおける非資源分野で提携するとともに、CPは伊藤忠の第三者割当を引き受け、4.9%(1024億円)の出資で伊藤忠の筆頭株主となる。
伊藤忠はCPの子会社に25%(870億円)出資する。
伊藤忠の大株主は信託口を除くと、みずほ銀行が2.47%、三井住友海上火災が2.38%、日本生命が2.15%となっている。
なお、伊藤忠は株式の希薄化を防ぐため、1100億円を限度とする同じ株数(7800万株)の自社株買いを行うことを発表した。
伊藤忠はアジアでの非資源分野事業の拡大を検討する中で、CPグループの有するアジアにおける強固なネットワークや知名度に着目した。
CPグループもアジアにおける食料事業を含む非資源分野事業の更なる展開を図っており、特に欧米の伊藤忠のこの分野での経営基盤に着目した。
両社は2013年11月より協議、検討を続け、今回の提携で合意した。
半年間検討するなかで、実効性を上げるために株式を持ち合おうということになったという。
提携内容は以下の通り。
業務提携 |
@ アジアを中心とした食料、化学品、情報通信、金融等を含む非資源分野における事業拡大機会の共同開拓 A タイ、中国、ベトナムなどを中心としたアジア地域における飼料、畜産、水産関連分野での共同取組の推進、同地域への原料供給体制の整備 |
資本提携 |
Charoen Pokphnad
Group (CP)は汕頭出身の潮州人で1921年にタイに渡航した謝易初とその後を追ってきた弟の謝少飛による園芸店 正大荘行が前身となっている。
同社は中国に大々的に進出しているが、中国語では同社はこの名前から正大集団と呼ばれる。
その後、謝易初の長男のチャラン(謝正民)が家畜飼料の販売店Charoen Pokphnad を設立した。
現在は農業と食料品を中心に情報通信、流通、金融、医薬品等の非資源事業を手がける。
アグリビジネスは種、飼料、養鶏・養殖、生産加工、貿易の5つの分野に分けられる。
タイ国内外の飼料工場では鶏、豚、エビ向けの飼料の生産がおこなわれている。
1989年には明治乳業との共同出資で CP-Meiji を設立、タイで牛乳・ヨーグルトなどの生産、販売を行っている。
1999年にはタイ初のセブンイレブンをバンコクに開店 した。現在では5,000を超える店舗がある。
2002年に上海にアジア最大規模の売り場面積をもつスーパーブランドモールの「正大広場」を開店した。
化学関係では1998年にSolvay、PTT Chemials との電解、VCM、PVCのJVのVinyThaiを設立している。
2014/7/28 米科学アカデミー、福島第一原発事故に関する報告書を公表
報告書は米国の原発の安全性を向上するため米議会がアカデミーに作成を要請したもの。
報告 報告は有料となっているが、左枠のDownload をクリックし、登録すると全文が無料で読める。
報告書は、当時の日本では深刻な事故を想定した緊急時の対応が不十分だったとしたうえで、政府と地方自治体の意思の疎通がうまくいかなかったことや、除染が必要だとする放射線量の基準があいまいだったことなどが、政府に対する国民の不信を招いたと指摘している。
事故が深刻化した要因として、東電と当時の原子力安全・保安院が津波対策を怠っていたことなどを挙げた。
「津波に対する原子炉の設計基準が不十分であることを示す証拠が集まっていたにもかかわらず、東電と保安院は重要な安全設備を守る措置を取らなかった」と指摘。
電源喪失に適切に対応するための手続きもなかったなどと述べ、こうした一連の要因が、事故をより深刻なものにしたと結論付けた。
また、東電と保安院は「安全文化」を軽視していたと批判した。
そのうえで、想定外の事態( beyond-design-basis events)を踏まえ住民避難を含む事故対処計画を見直すよう勧告した。
電力会社や政府は深刻な事故が起きた際の周辺住民への情報の提供のしかたや、病気の人やお年寄り、子どもといった弱い立場の人を守る対策、それに長期間の避難生活の影響の評価などが十分か検証すべきだと提言している。
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報告では、福島第一の人々は勇敢に対応したが、下記の点が障害となったとする。
1)東電と原子力安全・保安院が、設計基準が津波に不十分だとの多くの証拠があるにもかかわらず、重要な機器を津波から守る対策を取らなかった。
2)全ての交流・直流電力が失われ、リアクターの熱力学パラメーター、格納容器、使用済み核燃料プールの情報をリアルタイムに得られなかった。
3)上記の結果、1〜3号機が冷却できなかった。
4)多数の炉を同時管理しているため、現場の危機管理センターが混乱した。
5)現場のオペレータや危機管理センター員が電力喪失事故の手続きや訓練に欠け、水のレベルやリアクター圧力の管理、水素発生などに対応できなかった。
6)正確でタイムリーな情報発信、指示が出来なかった。
7)現場の危機管理センターのなか、及び現場と本社の役割と責任が明確でなかった。
8)多数の炉で長期間 問題が続いたため、事故管理スタッフが不足。
これを元に、米国の原発産業に以下の勧告を行った。
1)災厄についての新しい情報を求め、対応する。
2)重大事故に効果的に対応するため、プラントシステム、要員、訓練の改善
想定外の事故(beyond-design-basis events)に効果的に対応できるよう。
3)想定外の事故のリスクの評価能力の強化
米原子力業界と原子力規制委員会は想定外の事故のリスクを見つけ、評価し、対応する能力を強化する必要あり。
4)原子力安全規則に最新のリスク概念を導入
5)構外の危機対応能力のチェックと改善策の実施
構外に被害が生じる重大事故への対応
・広範な停電と通信・輸送・危機対応インフラへの被害
・放射能排出など原発事故情報がリアルタイムに伝わらない場合
・10マイルゾーンを超えた放射能の拡散
6)核安全カルチャーの改善
nuclear safety cultureの維持と絶えざるモニター
報告書は「原発構外の危機管理から学んだレッスン」という章を設けている。
福島第一事故の大きな問題は、老人や入院患者などの避難計画が無かったことである。
日本の報告は、入院患者の避難の大混乱を描いている。
避難のトラウマと病気の悪化で避難途中で死んだ人も多く、持ち物も持っていけず、数ヶ月で何箇所もたらい回しされた人も多い。
放射能汚染を恐れて受入を拒否した病院もある。
健康な老人でも避難中に死んだ人が多い。
1)福島第一事故の際の日本の緊急管理計画は大事故を扱うには不十分なものであった。
2)現場の状態、構外への放射能の拡散、事故の進展、近隣住民の汚染についてのリアルタイムの情報が欠けたため、政府と業界の意思決定プロセスは、不十分なものとなった。
3)中央政府と地方の調整は、コミュニケーション不足でうまくいかなかった。
4)老人や病人などの避難やヨウ化カリウム配布などの保護活動は、急造でバラバラであった。
5)放射能の基準や除染基準が異なり、変更され、住民の混乱と政府への不信感を生んだ。
6)除染と帰還の時期がまだ決まっていない。
7)危機の最中に有効なコミュニケーション戦略を確立できなかったため、政府や規制官庁、原子力業界への国民の不信が生じた。
そのうえで、電力会社や政府は深刻な事故が起きた際の周辺住民への情報の提供のしかたや、病気の人やお年寄り、子どもといった弱い立場の人を守る対策、それに長期間の避難生活の影響の評価などが十分か検証すべきだと提言している。
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大飯原発差し止め訴訟の判決では、想定外事故の可能性と、事故が起こった場合に混乱と焦燥の中で適切かつ迅速にこれらの措置をとることを原発従業員に求めることはできないとし、以下の通り述べている。
「この地震大国日本において、基準値振動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準値振動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを得ない。」
2014/5/30 大飯原発差し止め訴訟判決
原子力規制委員会は九州電力川内原発1、2号機について実質的に「審査合格」とした。
原子力規制委員会は「基準に適合しているかどうかを審査するだけで、稼働させるかどうかには関与しない」とし、田中俊一委員長は「基準への適合は審査したが、安全だとは私は言わない。これがゴールではないので、(九電は)努力していく必要がある」と述べた。
川内原発では桜島を含む鹿児島湾北部の「姶良カルデラ
」と呼ばれる火山地帯の巨大噴火が問題視されているが、九州電力は、カルデラ噴火の可能性は小さいとしたうえで、姶良カルデラなどの周辺に観測機器を新たに3か所設置し、監視を強化するとともに、噴火につながる地殻変動やマグマの上昇を細かい基準で判断するとした対策を説明し、規制委員会で了承された。
カルデラ噴火は破局噴火と呼ばれ、地下のマグマが一気に地上に噴出する壊滅的な噴火形式で、しばしば地球規模の環境変化や大量絶滅の原因となる。
姶良カルデラは2.2万年前に発生した。
カルデラ噴火が起これば、高温の火砕流が短時間で川内原発に到達する。
九電の案は、巨大噴火の兆候が出たら、原発を止め、放射性物質を冷却した上、安全な場所に移管するとする。
しかし、火山学者の間では、「巨大噴火は7300年間経験しておらず、今の火山学では巨大噴火を中長期的に予測するのは非常に困難だ」と、疑問の声が上がっている。仮に「3カ月後に巨大噴火」と予知できても、人は避難できるが、放射性物質の冷却には時間がかかり、移管できない。
原子力規制委員会の基準は、想定外の事故は起こらないであろうという前提に立っているようである。
原発から30キロメートル圏内にある姶良市議会は7月11日、「川内原発の1、2号機の再稼働に反対し廃炉を求める」意見書を可決した。
ーーー
米科学アカデミーの報告書は「原発構外の危機管理」について福島の例から問題提起をしている。
国際原子力機関(IAEA)は原発事故対策として「5層の防護」を定めている。3層目までが過酷事故の防止で、4層目が過酷事故対策、5層目は放射性物質が敷地外に漏れ出る場合の防災対策を求めている。
運転状態 | 多重防護 レベル |
目的 | 必須手段 | |
事故発生防止/ 事故影響緩和 |
通常運転 | 第1層 | 異常運転及び故障の防止 | 保守的設計及び建設・運転における高い品質 |
予期される運転時の事象 | 第2層 | 異常運転の制御及び故障の検出 | 制御、制限及び防護系、並びにその他のサーベランス特性 | |
設計基準事故及び複合した運転時の事象 | 第3層 | 設計基準内への事故の制御 | 工学的安全施設及び事故時手順 | |
シビアアクシデント | 第4層 | 事故の進展防止及びシビアアクシデントの影響緩和 | 補完的手段及び格納容器の防護を含めたアクシデントマネジメント | |
シビアアクシデント後の状況 | 第5層 | 放射性物質の放出による放射線影響の緩和 | サイト外の緊急時対応 |
米国では、第5層について、米原子力規制委員会が、原発から半径10マイル(16キロ)の緊急計画区域について州政府・自治体や事業者の緊急時計画を厳密に評価し、運転を認可する。
市民団体「原子力資料情報サービス」は、緊急計画区域を半径25マイルに拡大し、50マイル圏内でも避難ルートを設定するよう求めている。
原子力規制委員会は施策の実行可能性をチェックし、複雑に想定を変えた長期訓練の実施を義務づけている。
緊急事態が発生した際、適切な防護措置が講じられる保証がオンサイト及びオフサイト緊急事態に対する準備で示されない限り、運転認可を与えない。
米科学アカデミーは今回、電力会社や政府は深刻な事故が起きた際の周辺住民への情報の提供のしかたや、病気の人やお年寄り、子どもといった弱い立場の人を守る対策、それに長期間の避難生活の影響の評価などが十分か検証すべきだと提言し た。
しかし、日本では原子力規制委員会は「原発が基準に適合しているかどうかを審査するだけで、稼働させるかどうかには関与しない。」
第5層の防災対策は規制委の審査対象外である。
政府は福島第1原発事故後、事故に備えた重点対策区域を原発から8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大したが、第5層の防災対策は災害対策基本法で自治体任せにされ ている。
川内原発が立地する鹿児島県の地域防災計画では、30キロ圏内の病院の入院患者や介護施設の入所者ら要援護者の避難計画は各施設が作るとなっている。
伊藤知事は「30キロ圏までの要援護者の避難計画は現実的ではない」と発言した。対象となる要援護者の数が増え、避難手段や受け入れ先の確保が難しいことが背景にある。
規制委員長は「安全とは、私は申し上げない」「世の中に絶対に安全だなんていうものは存在しない」と言い、政府は「安全は規制委の判断に委ね」 「個々の再稼働は事業者(電力会社)が判断する」と逃げている。
設備の基準を少々厳しくしても、事故の発生の可能性はある。「世の中に絶対に安全だなんていうものは存在しない
。」
その場合の避難対策は地域任せで、福島第一事故の前と同じでは、規制委が認めても、再稼動について地元の了解を得るのは難しいだろう。
米科学アカデミーの報告は米国政府と業界への提言だが、同時に日本への提言でもある。
第5層については政府が責任を持つべきである。
評判の悪い集団的自衛権をやめ、自衛隊をフルに使う体制を考えてはどうだろうか。
付記
鹿児島県の伊藤祐一郎知事は8月1日の記者会見で、九州電力川内原発について、再稼働の必要性を文書で示してほしいと経済産業省に要請したことを明らかにした。
安倍政権は再稼働について「政治判断しない」としており、最終的な責任の所在があいまいなままだが、知事は「国として意思を示す作業が必要だ」と述べた。
2014/7/29 DSM、江蘇江山製藥買収で合意、ビタミンC事業を強化
DSMは既存のスコットランドのDalry工場のビタミンCプラントを維持しつつ、江山製藥にサステナビリティや環境などに配慮する経営文化と品質管理のノウハウを注入してビタミンCの供給体制を増強、DSMが手掛けるHuman Nutrition & Health(健康食品やサプリメント向け)、Animal Nutrition & Health (動物用飼料向け)、Personal Care(化粧品向け)の3部門において、ビタミンC市場でのポジショニングをより強固にすることができると期待している。
江蘇江山製藥有限公司は1990年に中国・江蘇省に設立された。従業員は1,850名で、主力製品であるビタミンCの年間売上は約9000万USドル。
同社のもう一つの部門は消費者向けの栄養製品部門で、これは今回の取引に含まれない。
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DSMは欧州唯一のビタミンC製造メーカーである。
DSMは2003年にRoche
のビタミン、カロテノイド、クエン酸、その他のファインケミカルのVitamins & Fine Chemicals
Divisionを19.5億ユーロで買収した。
Rocheは1938年にビタミンCを初めて合成した企業である。
DSMはこの取引でスコットランドのDalry工場と米国New
Jersey州のBelvidere工場を引き継いだ。
しかし、後者については2005年に閉鎖し、現在はスコットランドだけで生産している。
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欧州ではBASFがデンマークでビタミンCを生産していた。
BASFは2000年に武田薬品とビタミンバルク事業で提携した。
@ 日本では両社によるビタミンバルク事業のJV BASF武田ビタミン(武田薬品 34%、BASF 66%)を新設
A 武田薬品の海外子会社(タケダ・フード・ビタミン米国、タケダ・ヨーロッパ、タケダ・フード・ビタミン・アジア)全株式をBASFに譲渡
B 武田薬品のビタミンC、B1、B2、B6、葉酸等のビタミンバルク製造技術・特許をBASFに譲渡
C 武田薬品は、光工場でビタミンバルクの生産を一定期間継続し、その全量をBASFへ供給武田薬品は2006年1月、BASF武田ビタミンの全株式(34%)をBASFジャパンに譲渡した。
BASFは武田から引き継いだNorth Carolina 州 Wilmington のビタミンC合成ラインを2002年に停止した。
同社は2005年にデンマークのGrena工場でのビタミンCの生産を停止した。
BASFは1995年に東北製薬とのJV BASF Vitamins を設立し、2000年に出資を70%から98%にし、2005年に100%とした。瀋陽市に工場を持つ。
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両社が各工場を閉鎖したのは、中国勢の安値攻勢に負けた結果である。
世界のビタミンC需要の 90% を中国メーカーの江蘇江山製薬、東北製薬、石藥集團維生藥業(石家莊)、河北Welcome(维尔康) 製薬などで製造している。
今回、BASFに続き、DSMも中国に進出する。
米司法当局は2012年に中国製のビタミンCの価格カルテル調査を開始した。米国の需要家の訴えによるものである。
裁判では、被告側は価格カルテルの存在は認めたが、中国政府に強いられたと弁解した。中国商務部もこの主張を裁判で認めたが、原告は政府の命令ではなく、自発的なカルテルだと主張した。
一部は裁判に到る前に和解、一部は裁判中に和解、残りが2013年3月に3倍増の罰金を言い渡された。
江蘇江山製藥 | 裁判前に和解 |
香港の中国製薬集団(石薬集団) 傘下の維生薬業 |
22.5百万ドルで和解 |
華北製薬集団 河北维尔康製薬 東北製薬 |
損害認定 54百万ドル 判決 3倍増 162.3百万ドル |
河北维尔康製薬は華北製薬集団と香港の三威國際企業(Triple
Well International)のJVである。
英文名はHebei Welcome Pharmaceutical だが、英国のWellcome
とは無関係。
アメリカでビタミンの価格カルテルが摘発されたのは、これが二度目である。
1999年に米、スイス、独、日、加の合計11社に総額 9億1050万ドルの罰金が課せられた。
武田薬品 72百万ドル 事業をBASFに売却 エーザイ 40百万ドル 第一工業製薬 25百万ドル Roche 500百万ドル 事業をDSMに売却 BASF 225百万ドル Merck 14百万ドル Degussa-Huls 13百万ドル Lonza 10.5百万ドル 各社はEUでも2001年に総額8億5522万ユーロの制裁金を課せられている。
2014/7/30 米商務部、中国・台湾製の結晶シリコン太陽電池製品に反ダンピング関税適用の仮決定
米商務省は7月25日、中国と台湾のメーカーの結晶シリコン太陽電池製品に反ダンピング関税の適用を仮決定した。
商務部は6月3日に中国製の結晶シリコン太陽電池製品に反補助金関税を課す仮決定を行っている。
商務省は2014年1月23日、中国製の結晶シリコン太陽電池製品などに対して、再度、反ダンピング・反補助金調査を実施する決定を下した。
SolarWorld Industries America Inc.からの申請を受けたもの。米国国際貿易委員会(ITC)は2月14日、中国から米国に輸出される太陽電池が、米国の関連産業に実質的な損失をもたらしたとする仮裁定を下した。
米国は既に中国製の太陽光パネルについて反ダンピング、反補助金関税を課しているが、今回の対象製品はバッテリー、モジュール、合板、パネル、建築一体化材料などが含まれる。
中国大陸から輸入される同製品のほか、台湾製も反ダンピング調査の対象となった。
今回の反補助金、反ダンピング課税の仮決定の結果は以下の通りで、保証金が徴収される。(単位:%)
反ダンピングと反補助金はダブルため、重複分を除外して保証金が決められている。
反補助金(CVD) 反ダンピング(AD) 合計
保証金dumping
margin保証金 China Wuxi Suntech Power & affiliates 35.21 42.33 14.03 49.24 Trina Solar 18.56 26.33 10.74 29.30 Renesola/Jinko 26.89 58.87 55.49 82.38 調査協力41社 42.33 20.38 47.27 調査非協力 165.04 165.04 191.93 Taiwan Gintech - 27.59 27.59 Motech - 44.18 44.18 Others - 35.89 35.89
2012年11月に決まった米国による中国製太陽光パネルのダンピング税率は下記の通り。
最終決定 AD CVD 合計 Wuxi Suntech 21.19 14.78 35.97 Trina Solar 7.78 15.97 23.75 他の59社 15.42 15.24 30.66 他の全て 239.42 15.24 254.66
中国は太陽光パネル関連で米国及びEUと熾烈な争いを繰り広げている。
経緯: 2014/5/5 中国、EUの太陽光パネル用ポリシリコンの反ダンピング・反補助金調査でクロの最終決定
米国とEUは中国の太陽光パネルに反ダンピング、反補助金調査を行い、これに対し、中国は米国とEUの太陽光パネル用ポリシリコンについて反ダンピング、反補助金調査を行った。
中国はこれに加え、中国に対して強硬姿勢を示したフランスへの報復としてEU産のワインについても調査を開始した。
EUと中国は太陽光パネルとワインについて、それぞれ和解した。
米国は強硬で、太陽光パネルについて反ダンピング、反補助金を決めた後、中国が米国のポリシリコンに反ダンピング、反補助金を決めると、直後に今回の太陽電池製品の調査を開始した。
最終的には原料のポリシリコン(米国品)と中国・台湾の太陽電池製品、太陽光パネルの全てに課税され、米国の消費者は高い製品を使わざるを得ないこととなる。
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世界貿易機関(WTO)は7月14日、中国産の鉄鋼製品や太陽光パネルなどに対する米国の懲罰的輸入関税の適用は国際規則に違反するとの判断を示し、中国側の主張を一部認めた。
米国側による対応の裏づけが補助金・相殺関税に関する1964年の
Marrakesh合意に沿っていないとする中国側の主張を支持した。ただし一部主張については認めなかった。
WTOはまた、インド産の一部鉄鋼製品に対する米国の相殺関税適用についても、インド側の主張を一部認めた。
今回の決定は、WTOが米国のやり方を問題視した直後に行われた。
2018/7/31 東レの韓国子会社、DuPontの情報窃盗事件で罰金
東レの連結子会社の韓国の東レ尖端素材(Toray Advanced Materials Korea)は、2013年11月6日、熊津ホールディングスほかとの間で熊津ケミカル(Woongjin Chemical)の株式56.2%を4,300億ウォンで取得する契約を締結し、2014年2月28日に全ての手続きを完了した。
熊津ケミカルは2014年4月にToray Chemical Korea Inc.と改称した。
2013/10/3 東レ、韓国 ウンジンケミカル買収へ
熊津ケミカルは ポリエステルフィラメント、ポリエステルファイバー、チップ、繊維、水処理フィルター、A-PET シート(無延伸フィルム)、アラミド繊維等の製造・販売を行っている。
報告によると、熊津ケミカルは同社のメタアラミド繊維のArawin® 開発に注力し、DuPontのメタ系芳香族ポリアラミドNomex®に対抗しようとしていた。
2011年1月から11月にかけて、熊津ケミカルは Arawin の改良のため、Nomex、特に Nomex paper
の製造プロセスに知識を持つDuPont退職者をコンサルタントして雇用しようとした。2人のDuPont
退職者が韓国を訪問し、その際、熊津側は強く情報開示を求めた。
Nomex paperはアラミドポリマーからフロック(短繊維)とファイブリッド(合成パルプ)を作り、これを水中に分散させて抄紙機にかけて製造される。
この後に高温・高圧でカレンダー加工を行い、高密度化をはかり内部結合力を高める。
この結果、高温下でも機械的、電気的に優れた紙が出来上がる。日本ではデュポン帝人アドバンスドペーパーが製造している。
DuPont は2011年にこの動きを察知し、FBIに相談した。
その後、熊津はFBIがDuPont情報窃盗容疑で2人の元従業員を調べていることを知った。
起訴猶予合意には、Toray Chemical が政府の調査に全面的に協力し、改善策を取ったことが記されている。
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DuPont のアラミド繊維の営業秘密を巡っては、韓国のKolon Industriesが争っている。
DuPontは2009年2月にKolon を商業秘密盗用で訴えた。
これに対し、KolonはDuPont技術の盗用を否定、自社技術で生産していると反論していた。
米国連邦第4巡回区控訴裁判所は2014年4月3日、「Kolonが敗訴した一審判決は無効であり、再審を命じる」との判決を下した。
これにより、KolonがDuPontに920.3百万ドルの賠償金を支払うよう命じるとともに、全世界で20年間、アラミド製品の生産や販売を禁止するとしていた判決は破棄された。
2014/4/8 DuPont と韓国Kolonのアラミド繊維の技術盗用裁判、差し戻し
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