ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから
目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は http://blog.knak.jp
2016/8/16 天津爆発事故、1周年
173人の死者・行方不明者を出した天津市の大規模爆発から8月12日で1年を迎えた。
天津市の工業地帯で2015年8月12日夜、大規模な爆発が発生した。
爆発は、天津東疆保税港区の瑞海公司(RuiHai
International Logistics) の危険物倉庫で起こった。
コンテナーヤードには7類の危険品(第一類の火薬と第七類の放射性物質を除く)合計111種 11,384トン、うち硝酸アンモニウム
800トン、シアン化ナトリウム 681トン、ニトロセルロース類229トンを保管していた。
うち運抵庫(受入倉庫)には72種類、合計4,840トンを保管、うち硝酸アンモニウム800トン、シアン化ナトリウム
360トン、ニトロセルロース類48トンを保管していた。
シアン化ナトリウム681トンは、施設の設計上の保管量を40倍以上も上回る。
事故の発生から1ヶ月も経たない9月初めに、天津市は浜海新区の爆発現場を「海港生態公園 ( 海港エコ公園)」として整備する計画を明らかにした。
公園は24ヘクタールで「エコ、活気、暮らし、記念」を理念とし、事故前に着工していた小学校や幼稚園も敷地内に建てる。11月に着工し、2016年7月の完成を目指すという。
全体は43ヘクタールで、公園部分(下図の赤線内)は約24ヘクタール。公園の池は丁度、爆発の穴の場所。
南側には小学校、幼稚園などが、西側にはグリーンベルトがつくられる。
大惨事の原因究明も済んでいない中での発表に、事故車両を埋めようとした温州の高速鉄道と同じだと、批判が相次いだ。
2015/9/7 天津の爆発事故現場、早くも公園化計画 批判相次ぐ
天津市は当初、2016年7月の完成としていたが、実際にはほとんど進んでいない。
1年前 (上の写真の逆の北側から見たもの)
現状
現在は爆発によりできた直径約100メートルの穴を重機によって埋める作業が昼夜を問わず続いている。
建設業者によると、爆発による汚染状況は想像していたより遥かに深刻で、1〜2年での完成は難しいという。
更に 当局は、商業秘密を含むとして汚染データを公開していないという。
地元政府は8月10日、現場周辺の復旧状況を公表し、周辺の大気や水質については問題ないとした。
しかし、爆心地から数百メートルと最も近い距離にあるマンション群「海港城」では、割れた窓や外壁はほぼ完全に改修され、表面上は新築物件のようだが、住み人はほとんどいないという。
2016/8/17 マイナス金利の影響
日本銀行は1月29日、政策委員会・金融政策決定会合で、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。今後は、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で緩和手段を駆使して、金融緩和を進めることとした。
金融機関が保有する日本銀行当座預金に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
(2月16日から)
今後、必要な場合、さらに金利を引き下げるとした。
2月3日発表
金利率
2月残高
年80兆円増
2015年平均残高
210兆円
210兆円
0.1%
これを超えた残高
うち一定割合
40兆円
残り
0%
これを超える分
10兆円
10〜30兆円
-0.1%
2016/2/13 マイナス金利の波紋
導入から半年が経過したが、目的の「2%の物価安定目標の早期実現」の兆しは見えない。
逆に悪影響はいろいろ出ている。
2016/8/13付日経によると、金融庁は日銀のマイナス金利政策の影響を聞き取り調査し、日銀に懸念を伝えた。
・ 利ざやの縮小などから、3メガ銀行グループの2017年3月期決算で少なくとも3000億円程度の減益要因になる。
マイナス金利による減益幅
マイナス金利幅拡大ケースの上積み
(金利収入面のみ)
三菱UFJ
1550億円
480億円
三井住友
750億〜760億円
410億円
みずほ
610億円
600億円
・ 自己資本埋め合わせ対策としての公募増資は踏み切りにくく、リスク資産圧縮は融資先の絞込みに結びつく可能性がある。
・ ある銀行では年利0.625%で貸す住宅ローンの採算が割れ、銀行単体で赤字となっていた。
・ マイナス金利の長期国債などの変動影響を時価で評価したところ、1年間で自己資本比率が半分に減った保険会社ももあった。
付記
各行は2009年1月以降、短プラを変更していない(ほとんどが 1.475%)
金融庁は短プラ引き下げの影響を調査した。
「三菱UFJは全ての金利を0.2%下げる」「三井住友は短プラ0.1%下げ」などと3メガごとに条件を設定したところ、減益額が金利収入だけでも1500億円に上った。
三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長は4月14日、都内の講演で日本銀行のマイナス金利政策について、銀行にとっては「短期的効果は明らかにネガティブだ」と述べた。
「銀行はマイナス金利を個人や法人顧客に転嫁できないだろうから、資金利ざやはさらに縮小して基礎体力低下をもたらし」、銀行業界では「体力勝負の持久戦は厳しさを増し長期化することになる」とした。
一方、マイナス金利の経済効果については、欧州の先行例などを示し、既に金利の低い日本で企業や個人の投資を促すかどうかは分からず「残念ながら懸念を増大させる方向に働いてしまっているようだ」、「個人も企業も政策効果に懐疑的になってしまっており、将来に対する不確実性が増すにつれて支出や投資計画を凍結している」と述べた。
平野社長の懸念のとおりとなった。
ーーー
三井住友銀行の労働組合は2月23日、物価上昇に弾みがつかない中、マイナス金利などで本業の収益が悪化する懸念が出てきたため、春闘でのベースアップ要求を3年ぶりに見送る方針を固めた。三菱東京UFJ銀行やみずほフィナンシャルグループの労働組合もこれに従った。
2016年春闘は、政府が賃上げを呼びかける「官製春闘」の3年目にあたる。
安倍政権の要請に応えて、経団連は労働組合が求めるベースアップを容認する方針を固めていたが、マイナス金利が足を引っ張る結果となった。
ーーー
三菱東京UFJ銀行は7月13日、国債の入札に参加する際の特別な資格である国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)の資格返上を正式に届け出た。財務省は7月15日付けで資格を取り消した。今後は特別参加者の役割を三菱UFJモルガン・スタンレー証券が行い、三菱UFJ銀行も必要に応じて国債の入札には参加する。
外資系では資格返上の例はあるが、日本の金融機関では2004年10月の制度導入以来初のケースとなる。メンバーは国内大手銀行や証券会社など計21社となる。
プライマリーディーラーは、財務省が開催する国債市場特別参加者会合に参加し、財務省と意見交換等を行うことができるが、下記の義務を持つ。
・応札責任:
全ての国債の入札で、相応な価格で、発行予定額の4%以上 の相応の額を応札すること。
・落札責任:
直近2四半期中の入札で、短期・中期・長期・超長期の各ゾーンについて、発行予定額の一定割合(原則短期ゾーン0.5%、短期以外のゾーンは1%)以上の額の落札を行うこと。
・流通市場における責任:
国債流通市場に十分な流動性を提供すること。
・情報提供:
財務省に対して、国債の取引動向等に関する情報を提供すること。
これまで各銀行は自己資本比率を計算する際に、日本国債のリスクを事実上「ゼロ」と扱っており、貸し倒れリスクのない国債を大量に購入してきた。
三菱UFJの国債保有額は突出している。
2016年3月末
三菱UFJ 28.3兆円
みずほ 15.0兆円
三井住友 9.8兆円
しかし、利回りがマイナスに下がった国債を買い続ければ損失が出る懸念がある。
日経によると、三菱東京UFJ銀行で 「国債の金利変動リスクを自己資本に反映させたらどうなるか」のシミュレーションを行った結果、「どのモデルを使って計算しても国債金利が一律2%上がると自己資本比率は5%程度下がる」という結果が出た。当時の自己資本の3分の1を吹き飛ばすというものであった。
プライマリーディーラーの場合は応札責任、落札責任があり、損失が出る懸念がある国債を買い続けることは株主に説明できない。
ーーー
日銀が導入したマイナス金利政策が企業業績に打撃を与えている。
市場金利が低下し、「退職給付債務」が膨らみ、利益を圧迫し始めた。
退職給付債務は国債や優良社債の利回りを参考にして決める「割引率」を使って計算する。市場金利が下がれば運用益が減ることになり、退職給付債務は拡大し、現時点で保有する年金資産を差し引いた積み立て不足は、費用計上する必要がある。
明らかにされた例は下記の通りだが、今後、他社にも拡大する。
大和ハウス工業
2016年3月期に849億円の特別損失を計上
住友林業
2016年3月期に115億円の費用を計上
LIXIL
2016年3月期の営業利益を108億円押し下げ
ダスキン
2017年3月期から5年で50億円の費用計上
四国電力
2017年3月期に166億円の費用計上
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金融庁は銀行救済のため、法令改正を行った。
金融庁は7月7日、「金融商品取引所等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令 」を出した。
金融商品取引所はデリバティブ(金融派生商品)取引時に、決済の不履行に備えて顧客から一定の証拠金を預かっている。
これらはこれまで、銀行等への預金で管理することとなっていた。
しかし、マイナス金利ルールでは、銀行の預金(預かり金)が増加すると、その分は銀行が日銀に金利を支払うことが必要になる。
これを避けるため、金融庁は、金融商品取引所が証拠金を(銀行等以外に)日銀に直接預けられるように法令を改正した。
金融庁はマイナス金利の副作用に対して「助け舟」が必要だと判断した。
2016/8/18 消費者物価指数の改定
総務省は、ライフスタイルの変化を統計に反映させるために、「消費者物価指数」の調査品目などを見直す「基準改定」を5年ごとに行っている。
2016年7月分から改定するが、今回は基準となる年(指数を100とする年次)を現在の2010年から2015年に変更するとともに、毎月、価格を調べている588品目のうち、30品目余りを入れ替えた。
8月12日、新たな基準で計算した指数を過去にさかのぼって公表した。これに合わせ日銀も「日銀コアコア」について発表した。
2%の物価上昇率を目指す日銀の金融政策にも影響するため、結果が注目されていたが、小幅な変更にとどまった。
(日銀コアコアは各月とも旧基準を下回る結果となった。)
品目入れ替えの例
費目
追加品目
廃止品目
食料
からあげ弁当
しょうが焼き定食(外食)
親子どんぶり
お子様ランチ
住居
カーポート
壁紙張替費
左官手間代
板ガラス取替費
家具・家事用品
空気清浄機
水筒
電気カーペット
電気アイロン
保健医療
青汁
マスク
ヘルスメーター
体温計
交通・通信
電動アシスト自転車
ロードサービス料
自動車ワックス
ETC車載器
教養・娯楽
競技用靴
ペットトイレ用品
筆入れ
植木鉢
諸経費
カウンセリング化粧品
警備料
合計品目数
33品目
32品目
選択の条件
@〜Bの基準を全て満たす 品目
@ 新たな財・サービスの出現や普及、嗜好の変化などによる消費構造の変化に伴い、家計消費支出上重要度が高くなった品目
A 中分類指数の精度の向上及び代表性の確保に資する品目
B 円滑な価格取集が可能で、かつ、価格変化を的確に把握できる品目
@〜Bの基準のいずれかに該当 する場合
@ 消費構造の変化などに伴い、家計消費支出上重要度が低くなった品目
A その品目がなくても、中分類指数の精度が確保できる品目
B 円滑な価格取集が困難となった又は価格変化を的確に把握できなくなった品目
詳細は下記
http://www.stat.go.jp/data/cpi/2015/plan/pdf/2015plan.pdf
2016/8/19 G lobal
Top 50 Chemical Company
Chemical & Engineering News の8月15日号は 2015年のG lobal
Top 50 Chemical Company を掲載した。
http://cen.acs.org/global-top-50.html?type=paidArticleContent
化学会社のChemical部門の売上高、営業利益、資産、設備投資、R&D支出を分析している。
日本企業では、売上高で三菱ケミカルホールディングスが
2014年の11位から9位に上がり、東レが21位から15位に上がった。住友化学は18位から21位に下がった。
三井化学は2014年が19位で、2015年は25位。
アジアでは、Sinopecが3位(前年も3位)、台湾のFormosa Plastics
が5位(前年6位)、韓国のLG Chem が11位(前年13位)に入っている。
なお、Bayerは2014年9月に MaterialScience 部門をCovestroとして分離した。
Bayerとしての2014年売上高は23,464百万ドルで10位であったが、2015年にはCovestroが売上高 11,504百万ドルで20位に入った。
営業利益、営業利益率でみると、日本企業は低位にある。
但し、売上高27位の信越化学の営業利益、営業利益率は高い。
2016/8/20 世界のGDPの推移
世界銀行は2015年の世界各国のGDPを発表した。
http://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.MKTP.CD
上位各国のGDPは下記の通り。
上位5カ国の過去の推移は下記の通り。
日本は2012年以降、下降を続けており、中国との格差はどんどん広がっている。
日、独、英の低迷と比べ、米国経済の堅調さが目立つ。
2016/8/30 Mylanの医薬品 EpiPenの値上げに対する批判
米国で製薬会社 Mylanに対する非難が集中している。
命の危険がある急性アレルギー反応「アナフィラキシー」を緩和するために用いられる注射薬「EpiPen」の価格をかつての5倍にまで引き上げ、不当に利益を得ているというもの。
EpiPen
は、アレルギー疾患のうち、食物・薬物・ハチ等などにより即時型・多臓器アレルギー反応(アナフィラキシー症状)を起こす可能性の高い患者に対して事前に処方され、それを携帯し、緊急補助治療の目的に使用される医薬品である。
成分はepinephrineで、これはadrenalineの米国での名前。
症状出現後30分以内(遅くとも60分以内)に注射すれば、死亡者を減少させる効果が期待できる。
アナフィラキシーが起こる恐れのある何百万人もの患者に処方されている注射薬で、流通はMylanがほぼ独占している。
米国ではSanofi が競合品のAuvi-Q
を販売していたが、2015年11月に、誤った投与量が注入される可能性があるとして自主回収した。
イスラエルのTeva Pharmaceutical はEpiPenのジェネリックをFDAに申請していたが、本年2月29日、FDAに大きな問題点を指摘され、却下された。
同社では上市は著しく遅れるとしており、2017年以前の上市は期待できないとみられている。
米上院の2人の有力議員が8月22日の上院司法委員会で、EpiPenの価格(2本入り)を過去6年間に100ドルから500ドル以上につり上げたとして同社を激しく糾弾した。
報道によると、実際には100ドルから600ドルに上がっており、その間、
同社のCEOの年俸は245万ドルから1893万ドルに上がったという。
日本ではファイザーが2012年8月にMylanから独占的販売権を取得するライセンス契約を締結した。
日本では2011年9月から保険が適用されている。
薬価は、大人用(0.3mg)が10,894円、子供用(0.15mg) が7,979円。
価格急騰で家族や学校、緊急救援隊員によるEpiPenへの使用を困難にしていると指摘し、価格引き下げを求めた。
EpiPenは1年ごとに買い替える必要があり、両議員によると、価格上昇により多くの患者が購入を続けられなくなっている。また、学校への常備や、患者が加入する健康保険プログラムへの出資額の増加により、政府も巨額の負担を強いられているという。
議員はまた、米連邦取引委員会に対し反トラスト法違反容疑での調査を要求した。
既に市場に長く流通していた同薬を2007年に買収したMylanは研究開発費を回収する必要もないとして、「EpiPenの継続的な価格引き上げには、何ら正当性がないとみられる」と指摘した。
これに対しMylanは、EpiPenには保険が適用されるため、大半の患者の負担は皆無か少額にすぎない上、同社は2012年から6万5000校以上にEpiPenを無料配布してきたと反論し
た。
民主党大統領候補のHillary
Clinton が8月24日に 「製薬会社が正当な理由なく薬を値上げし、患者よりも自社の利益を優先することは間違っている」とし、Mylanの事例は「非常識」と非難、 自主的値下げを要請した結果、Mylanは25日、 患者の自己負担額を軽減する方針を発表した。
実際の定価引き下げは見送ったものの、患者が割引きカードを活用することで、2本入りの購入で最大300ドルのコストを軽減できる措置を導入した。 これまで定価で購入してきた患者にとっては、自己負担額が実質半減することになる。
さらに、患者支援プログラムの使用要件を拡大し、保険未加入の患者や家族の自己負担額を軽減する方針を示した。
MylanのCEOは、同社がこれまでにEpiPenの改善に向け数十億ドルを投じてきたとしたうえで、薬剤給付管理会社や保険会社などが関与するため、同社が実際に回収できるのは定価の半分を下回る水準に過ぎないと主張している。
Clinton陣営は、Mylanの措置を歓迎するとしつつも、「定価を引き下げることなく割り引きを提供しても、高額の薬価を反映し保険料が上昇するため、今回の措置では不十分」との見解を示した。
ーーー
2015年9月には、 カナダの製薬大手 Valeant Pharmaceuticals
が2種類の心疾患治療薬を大幅に値上げしたことをめぐり、米議会下院の監視・政府改革委員会の民主党委員らが問題視した。
ValeantはMarathon Pharmaceuticals
から2種類の心疾患治療薬(特許切れだがジェネリック品無し)を買収したが、即日、大幅値上げした。
医薬品
Marathon価格
Valeant価格
値上げ率
Isuprel
215.46$
1,346.62$
525%
Nitropress
257.80$
805.61$
212%
議員は、Valeantが2つの薬剤の権利を取得した当日にそれぞれ525%、212%値上げした根拠になる文書の提出を要請していたが、同社は機密性が高いとして情報の提出を拒んだ。
Valeant はこれまで、成長の大部分を買収や、買収で手に入れた割安な医薬品の値上げに依存していた。
同社 は米国での医薬品値上げで監督当局や政治家から監視の対象となり、数カ月にわたって混乱に見舞われている。
2016年3月15日の米国の株式市場で、Valeantの株価が51%下落した。
業績見通しを下方修正したことや、2015年第4四半期決算が予想を下回ったこと、4月の期限までに年次報告書を提出しなかった場合はデフォルトに陥る恐れがあると明らかにしたことなどが理由。
Valeant は再建対策の一つとしてコアでない資産の売却も検討しており、問い合わせもあるという。
Wall Street Journalによると、武田薬品と投資会社TPGから共同での買収提案があった。金額の提示はなかったとされ、Veleantはこれを拒否、その後の話し合いはないという。
Valeantは4月25日にライバルのアイルランドの製薬大手 Perrigo Co.
のCEOのJoseph Papaを会長・CEOとして迎えることを決めた。
4月29日に2015年の年次報告書を提出し、デフォルトをひとまず免れた。
これによると、株主帰属純損益は、2014年の+881百万ドルに対し、2015年は-292 百万ドルとなっている。
その後、資産家のWarren Buffett が5月初めに、Valeant
のビジネスモデルには非常に大きな欠陥があると述べたこともあり、株価は2015年8 月の高値から85%余り下落した。
2016/5/30
武田薬品、カナダのValeant Pharmaceuticalsに買収を提案、拒否される
Valeantは2016年5月、2剤について、病院に対し最低10%、数量に応じ20%、30%、40%のリベートを支払うと発表した。
2016/8/31 Pfizer、AstraZeneca から抗感染症薬買収
Pfizerは8月24日、AstraZeneca
から複数の抗感染症薬の権利を最大15億7500万ドルで取得すると発表した。対象には既存の抗生物質の耐性菌に効果がある新薬などを含む。世界的に需要が拡大する感染症薬で品ぞろえを強化、収益拡大につなげる。
AstraZeneca としては、 呼吸器・自己免疫疾患、循環器・代謝疾患、オンコロジーの3つの重点領域に注力する戦略の一環。
Pfizerは 一時金として先ず手続き完了後(本年第4四半期を予定)に
550百万ドルを支払い、2019年1月に175百万ドルを支払う。
加えて、 新薬候補の開発目標達成などに応じて 250百万ドル、販売高に応じて600百万ドル、合計最高で850百万ドルを支払う。(以上で最高
1,575百万ドル)
また、特定市場での製品Zavicefta と ATM-AVI
の売上高に対しロイヤリティを支払う。
取得するのは、EUで承認を受けた新薬 Zavicefta
を含む抗菌薬3種類と開発中の新薬候補2種で、主に米国外での販売権。
北米では、 Allergan
Pharmaceuticalが4製品について権利を持つ。
Zinforoでは日本で武田薬品が、Merrem/Meronemでは大日本住友製薬が日本とアジア諸国での権利を持つ。
Zavicefta
は既存の抗生物質が効かない耐性菌に使えるため、今後の需要拡大が見込まれる。
製品名
他社権利
Zinforo(ceftaroline fosamil)
Forest
Laboratories から導入
2012年8月に上市
北米: Allergan
Pharmaceutical
日本:武田薬品
Zavicefta (CAZ-AVI)
第三世代セフェム系抗生剤のセフタジジムとセリンベータラクタマーゼ阻害剤avibactamの合剤
2016/6/28にEUの承認取得
北米:Allergan
Merrem/Meronem(meropenem)
メロペネム水和物
日本・中国・台湾・韓国:大日本住友製薬
大日本住友製薬は、マレーシア・フィリピン・インドネシア・香港についてのオプションを持つ。
ATM-AVI
現在、 Phase
II 段階
北米:Allergan
CXL
開発中
北米:Allergan
Pfizerは8月22日、バイオファーマのMedivation, Inc. を買収する契約を締結したと発表した。
5月16日には、米バイオ医薬の Anacor
Pharmaceuticals, Inc. を52億ドルで買収すると発表している。
短期的な収益拡大につながる主力薬の買収に積極姿勢を強めている。
2016/8/24 Pfizer、Medivation
を買収
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