ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2019/1/1  Saudi Aramcoと LANXESS のJV のARLANXEO、Aramco 100%に

Saudi Aramcoと ドイツのLANXESS は12月31日、 2016年4月1日に両社の50/50JVとして設立したARLANXEO Holding B.V.がAramco の100%の子会社になったと発表した。

2018年8月8日にLANXESS による持分売却の意向が発表され、その後、手続きを進め、今般、関係諸手続きを完了した。

ARLANXEOの設立時点で、両社は2021年までの売却禁止期間(Lock-up period)で合意していたが、繰り上げた。

ARLANXEO の価値は30億ユーロと評価されており、LANXESSは負債を控除後の50%分 約14億ドルを受け取る。

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Lanxess は2015年9月22日、Saudi Aramco との間で合成ゴムのJVを設立する契約に調印した。

LANXESS とSaudi Aramco 子会社のAramco Overseas Companyが50%ずつ出資する。


Lanxessは2016年2月10日、独禁法承認手続きを完了し、JVが2016年4月1日に発足すると発表した。社名はARLANXEO となった。

2015/9/28   LANXESS、合成ゴム事業をSaudi Aramco とのJV化


Saudi Aramco と住友化学のJVのPetroRabighは2018年3月28日、第二期計画の
EPDM がオンスペックとなったと発表した。これで第二期計画がすべてスタートした。

ARLANXEOは2018年2月5日、PetroRabighのEPDMを販売すると発表した。

同社のブランド"Keltan"に Kingdom of Saudi Arabiaを示す "KSA"を付け、"Keltan KSA"のブランドで全世界で販売する。

2018/4/11   サウジで高機能化学品プラント 相次ぎ生産開始

Saudi Aramcoは下流部門の拡充を進めているが、今回のARLANXEOの100%子会社化で、エネルギーから化学品までに広がるvalue-chainを強化する。


2019/1/4 米、中国けん制へ新法成立

トランプ米大統領は2018年12月31日、アジア諸国との安全保障や経済面の包括的な協力強化を盛り込んだ「アジア再保証推進法:
Asia Reassurance Initiative Act:ARIA」に署名し、同法が成立した。

法案:https://www.congress.gov/bill/115th-congress/senate-bill/2736/text#toc-H8D70EE453E2F41CFA3259C8F8F0FC0EE

この法律は、2018年4月24日に対中強硬派の共和党のCory Gardner、Marco Rubio、民主党のEd Markey、Ben Cardin上院議員が提出したもの。

2018年12月の上院及び下院での採決では野党・民主党を含め賛成し、対中強硬の方針は議会の総意となった。

ホワイトハウスによれば、この法律はインド・太平洋地域での米国の安全保障、経済的利害、米国のバリューを高めるための多面的戦略を確立するものである。

東アジア、東南アジアでの米国のプログラムのために2019年-2023年度について各年度
15億ドルの予算を充てる。

この予算は米国にとって最も能力の高い同盟国、およびパートナーと二国間、多国間で定期的な関与を行い、戦略的課題に対処するために使用される。

目的として以下を挙げている。(3)では中国と北朝鮮を名指しで挙げている。

 (1) to advance United States foreign policy interests and objectives in the Indo-Pacific region

 (2) to improve the defense capacity and resiliency of partner nations

 (3) to conduct regular bilateral and multilateral engagements to meet strategic challenges, including—

   (A) certain destabilizing activities of the People’s Republic of China; and

   (B) emerging threats, such as the nuclear and ballistic missile programs of the Democratic People’s Republic of Korea;

 (4) to build new counterterrorism partnership programs

 (5) to help partner countries strengthen their democratic systems

 (6) to ensure that the regulatory environments for trade, infrastructure, and investment in partner countries are transparent, open, and free of corruption;

 (7) to encourage responsible natural resource management in partner countries, which is closely associated with economic growth; and

 (8) to increase maritime domain awareness programs in South Asia and Southeast Asia—

   (A) by expanding the scope of naval and coast guard training efforts with Southeast Asian countries;

   (B) by expanding cooperation with democratic partners in South Asia, including Bangladesh, Nepal, and Sri Lanka;

   (C) through intelligence sharing and other information-sharing efforts; and

   (D) through multilateral engagements, including by involving Japan, Australia, and India in such efforts.

台湾については、以下の通り規定している。

a) 米国のコミットメント

 (1) to support the close economic, political, and security relationship between Taiwan and the United States;

 (2) to faithfully enforce all existing United States Government commitments to Taiwan, consistent with the Taiwan Relations Act of 1979 (Public Law 96–8), the 3 joint communiques, and the Six Assurances agreed to by President Ronald Reagan in July 1982; and

 (3) to counter efforts to change the status quo and to support peaceful resolution acceptable to both sides of the Taiwan Strait.

(b) 台湾への武器売却
 
The President should conduct regular transfers of defense articles to Taiwan that are tailored to meet the existing and likely future threats from the People’s Republic of China, including supporting the efforts of Taiwan to develop and integrate asymmetric capabilities, as appropriate, including mobile, survivable, and cost-effective capabilities, into its military forces.

(c) 台湾への米高級官僚の訪問
 
The President should encourage the travel of highlevel United States officials to Taiwan, in accordance with the Taiwan Travel Act

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台湾への防衛装備品の売却推進やインド太平洋地域での定期的な航行の自由作戦を盛り込み、中国をけん制している。
 

これに対し、中国の習近平国家主席は1月2日の演説で米国を念頭に台湾問題への介入に強く反発した。

世界には一つの中国しかなく、『一つの中国』原則の堅持は一般に認められた国際関係の準則であり、国際社会の共通認識だ。

『台湾独立』分裂活動に反対し、国家統一の完成を目指す中国人民の正義の事業を国際社会は幅広く理解し、支持している。中国政府はこれに称賛と感謝の意を表する。中国人のことは中国人が決めなければならない。台湾問題は中国の内政であり、中国の核心的利益と中国人民の民族感情に関わり、外国からのいかなる干渉も許さない。

習主席は、平和統一の実現、一国二制度適用、「一つの中国」原則の堅持、中台の融合・発展、統一意識の増進の5項目の対台湾方針を示した。

一方で「武力行使を放棄することは承諾しない」とも明言し、台湾との関係強化に動く米国を念頭に「外部勢力の干渉」を拒否する姿勢を鮮明にした。


この習主席の会見を受け、台湾の蔡英文総統は会見を行い、「台湾は一国二制度を断固として受け入れない。台湾の人々の大半は一国二制度に反対している」と反論、統一のために武力行使も辞さないという中国側の姿勢について、「圧力と脅迫を用いるのではなく、平和的な方法でお互いの違いに対処しなければならない」と述べた。

 


2019/1/5 武田薬品、1月8日にShire plcの買収完了へ 

武田薬品は1月4日、アイルランドの製薬大手Shire plc 買収に関して英ジャージー裁判所の認可を取得したと発表した。

 

武田薬品は今回の買収に英国の法律に基づく Scheme of arrangement を活用した。

英国法上、上場会社を完全子会社化するには、公開買付で大部分を取得し、残り株を買い取る方法Squeeze Out)と、Scheme of arrangement を使う方法がある。

前者の場合、TOBで90%以上を取得した場合に限り、Squeeze Outの提案ができる。TOBでは3か月以上かかるとされる。

後者の場合は、議決に参加した株主の過半数が賛成し、賛成株主が75%以上を有している場合に限り、裁判所が認可する。最短で2か月とされる。株主総会で賛成を得られない場合、改めてTOBをすすめることができる。

臨時株主総会を通じた株主の同意と裁判所の認可があれば短期間で全株式を取得できる買収手法で、英国企業の買収にはこの手法が使われるケースが多い。

 

武田薬品は2018年11月20日、Shire plcの買収で欧州委員会の承認を取得した。

2018/11/21 武田薬品、シャイアー買収でEUの承認取得 

各国の承認を得たことから、武田薬品は12月5日、臨時株主総会を開き、Shire plcの買収を決議した。創業家の一部が反対していたが株主の過半を占める機関投資家が賛成し、株主全体の3分の2以上の同意を得た。

Shire plc も同日の株主総会で売却を承認した。
 

今回、裁判所の認可を得たことで1月8日にも買収が完了する。日本企業のM&Aとして最大となる460億ポンドの買収が実現する。

付記

2019年1月8日付で買収を完了した。

買収金額(円換算)は、買収を発表した昨年5月時点は約6.8兆円だったが、円高が進んだことで約6.2兆円となった。

同日付で普通株式を発行した。増加する資本金及び資本準備金の額は下記の通り。   
  増加する資本金の額:1兆5656億4千万円
  
  増加する資本準備金の額:1兆5656億4千万円

連結売上高が3兆円超の世界8位となる巨大製薬会社が誕生する。

 
   ソース:https://answers.ten-navi.com/pharmanews/13709/

 


2019/1/5 中国、預金準備率引き下げと減税を実施へ 

中国の李克強首相は1月4日、市中銀行の預金準備率の引き下げや減税、手数料削減を行う考えを示した。景気減速を受けて一段の措置を取る姿勢を明確にした。

李首相は、小規模な民間企業を支援する目的の預金準備率の引き下げを行うと表明したほか、マクロ政策でカウンターシクリカル(反循環的)な調整を強化し、さらなる減税と手数料引き下げを実施する考えを示した。

「預金準備率を全面的に下げたり、特定の銀行向けに下げたりする手段をうまく運用し、民間企業と中小零細企業の資金調達を支える」と述べた。

12月31日に発表された2018年12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は、2年半ぶりに業況改善・悪化の分かれ目となる50を下回った。今後の活動をみる上で目安となる新規受注は引き続き弱く、国内企業を取り巻く環境は今後も悪化する可能性があることが示された。

資金繰りを支えて倒産を防ぐ狙いがある。

 

これを受け、中国人民銀行(中央銀行)は同日、預金準備率を1ポイント下げると発表した。1月15日と25日にそれぞれ0.5ポイントずつ下げる。大手銀行の標準的な準備率は現在の14.5%から13.5%になる。

引き下げは2018年10月以来3カ月ぶり。

中小銀行は12.5%が11.5%になる。

付記

中国人民銀行は5月6日、中小銀行を対象に預金準備率を引き下げると発表した。地方の商業銀行約1000行が対象で、預金準備率は現状の11.5%から8%に下げる。地方の中小信用組合と同水準になる。

2800億元(約4兆6千億円)規模の長期資金を放出することで、中小企業向け融資を促進する狙いがある。


大手銀行の標準的な預金準備率は2016年3月以来、2018年春まで17.0%であった。

中国人民銀行(中央銀行)は2017年9月30日、一定の条件を満たした銀行に限り、預金準備率を2018年から最大1.5%下げると発表した。

2017/10/7 中国、預金準備率最大1.5%下げ 

2018年に入り、準備率は3回引き下げられた。

2018年4月25日から預金準備率を1ポイント下げ、16.0%とした。準備率下げで浮いた預金は人民銀による市中銀行向け貸し出しの返済に大半をあてることを義務づけた。金融監督の強化で苦しくなった一部の中小銀行の資金繰りを支援する狙いがあるとみられた。

2018年7月5日から預金準備率を0.5ポイント下げ、大手銀行の標準的な準備率を15.5%に下げた。

2018年10月15日から大手銀行が15.5%から14.5%へ、中小銀行が13.5%から12.5%へ、1%ポイント引き下げた。

今回更に1%ポイント下がり、大手銀行が13.5%、中小銀行が12.5%になる。



2019/1/7 英国議会、Brexit案の採決へ 

英国議会は1月7日に再開し、1月14日の週に採決が行われる予定。離脱まで3カ月を切り、2度目の採決延期は困難で、いよいよ最終段階を迎える。

付記

採決は1月15日の予定。

英議会下院は1月9日、採決で離脱案が否決された場合、メイ首相が3日以内に「プランB(代替案)」を議会に提案するよう求める修正動議を賛成多数で可決した。
規定では「21日以内」となっていた。政府はEUと十分な協
議をすることなく議会に新たな提案をしなければならなくなる 。

メイ首相は2018年12月10日、英国のEUからの離脱案を巡り、12月11日に議会下院で予定していた採決を見送ると表明した。

離脱案の内容に対して野党だけでなく与党の一部からの反発も強く、このままでは採決しても否決が確実だと判断した。

特に、Backstop案移行期間中にも北アイルランド問題が解決しない場合に英国全土をEU関税同盟に残すという最後の策)では英国が永遠にEU関税同盟に残ることとなり、「EUの政策決定に関与できないまま、EU規則に縛られ続ける」と不満が噴出している。

2018/12/12  Brexit 難航

英国の与党・保守党では12月12日、メイ首相に対する不信任投票が行われ、結果は信任が200票、不信任が117票で、メイ首相の続投が確定した。

信任されたメイ首相は官邸で会見し、北アイルランドのバックストップについて、12月13〜14日に開催される欧州理事会(EU首脳会議)でEUから「法的・政治的な」確約を得るべく働き掛けを行う、とコメントした。しかし、EU側は合意文書を変更することは拒否している。

報道によると、アイルランド首相は1月3日にドイツのメルケル首相と電話で協議し、現行の合意文書に変更は加えないものの、英国にさらなる確約と保証を提示することで一致したという。

メイ首相は、欧州各国の首脳から離脱協定のいくつかの条件についてさらなる確証を得ていく方針。

コックス法務長官から受けた法的助言では、Backstopについて、「恒久的なものを意図しておらず、別の恒久的な取り決めに替えるという当事者の明確な意思を記すものだが、国際法では代替的な合意が取り交わされるまでの間、無期限に存続する」と指摘、「停止する権利がないため、英国が長期的、反復的な交渉に縛られる法的リスクがある」としている。

EUは合意文書の変更は拒否しているが、どのような「確約と保証」で法的リスクを避けられるかが問題である。

 

メイ首相は1月1日の新年の挨拶で、議会が離脱協定を承認すればイギリスは「窮地を脱し」、「意見の違いを棚上げにできるようになる」と述べた。

合意に基づく秩序だった Brexitが実現すれば、イギリスは住宅不足や技術教育の改善、国民保健制度(NHS)の追加予算確保といった課題にエネルギーを注力できるようになると説明した。

 

離脱協定が発効するには下院(定数650)での合意案承認が不可欠で、正副議長らを除いた639の過半数(320)の支持が必要である。

下院の体制は次の通りで、保守党全員が賛成しても過半数に及ばない。

  議員 投票  
保守党 318 316 議長(保守党)と副議長3人(保守党1人、労働党2人)の計4人は採決に加わらない。
民主統一党 10 10
労働党 262 260
他野党 53 53
シン・フェイン党 7 0 アイルランドのナショナリズム政党
エリザベス2世女王への宣誓を拒否して登院せず、議員歳費も受け取らず
合計 650 639  
過半数   320  

メイ政権に閣外協力する北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)のSammy Wilson党首は1月4日、離脱案を支持しない方針を示すとともに、バックストップは「信用詐欺」と指摘し、農家や企業は合意なき離脱を心配せずゆったり構えるべきと述べた。

バックストップでは、EU制限物質が海外から北アイルランドを経由してアイルランドに入るのを規制するため、工業製品、環境、農産品などに関してEU規制が適用され、通関手続きはEUの関税法典に従うとなっており、「アイルランドとの間の厳しい国境管理を避けるのに必須」として、北アイルランドにのみEU規制が適用される。

労働党は採決で否決された場合、政府に対する不信任案を提出し、早期の総選挙実施を狙っている。労働党党首は、労働党が政権をとれば、EUと再交渉してより良い離脱条件を引き出す道を模索すると述べている。

肝心の与党保守党でも離脱案への反対が強い。

調査会社のYouGovは12月17〜22日に保守党員1,215人を対象に調査を行った。

https://d25d2506sfb94s.cloudfront.net/cumulus_uploads/document/veyvny2qzz/QMULResults_181222_ConMembers_Brexit_w1.pdf

結果は次の通りで、離脱案反対が過半数で、合意なしの離脱にも賛成の方が多い。

・ 離脱案に賛成か?  賛成:38%、反対:59%

・ 離脱案は国民投票の結果を尊重しているか?  Yes:42%、 No:53%

・ メイ首相の交渉は成功か?  Yes :15%、 Noで、他のリーダーならもっと良い結果:37%、Noで、誰がやっても同じ:43%

・ 労働党ならもっと良い結果を出せたか?  No :96%

・ 否決の場合、総選挙を望むか?  No :83%  (保守党敗北が必至のため)

・ 否決の場合、国民投票を望むか?  Yes:14%、No :82%

・合意なしの離脱    好ましい、ほっとする:63%、失望や怒り:23%

 

採決で過半数をとるのは難しく、合意なし離脱の可能性が強まっている。

 


2019/1/8    SABIC、米国でメタノール生産へ

SABICは12月31日、ルイジアナ州 St. James Parishでワールドクラスのメタノール工場の建設を計画しているSouth Louisiana Methanol (SLM) との間で、本計画に参画する基本契約を調印した。
計画の実施には認可を得られることと資金の目途がつくことが条件となる。

South Louisiana MethanolはNew Zealandの独立系の石油・ガス事業者のTodd Corporation と、テキサス州のエネルギー会社の ZEEP Incorporated のパートナーシップで、2012年2月にシェールガスを利用して米国南部にワールドクラスのメタノール工場を建設する計画を発表した。

2013年2月末にルイジアナ州 St. James Parishにメタノール工場を建設することを発表した。

現在の状況は次の通り。

能力は米国で最大の年産200万トンで、建設費用は20億ドル (当初予算では13億ドルであった)。既存のメタノール技術とCO2回収技術を使用する。

基本設計は既に終えており、大気汚染防止法の認可を受領済。

立地の5マイル範囲に7本の天然ガスパイプラインがあり、原料入手に問題はない。

当初の計画から建設費が上昇したことも理由か、着工できないでいたが、SABICを入れることで前進させる。

South Louisiana Methanolは、「SABICはメタノール工場の操業で長年の経験を持ち、グローバルな販売網を持っており、今回の契約締結の発表ができて嬉しい」としている。

 

SABICはサウジにIBN SINA(National Methanol)とAR-RAZI(Saudi Methanol)の2つのメタノールJVを持つ。

IBN SINA(National Methanol)はSABICが50%、Celaneseが25%、Pan Energyが25%出資していた。

現在はSABICとCTE Petrochemicalsの50/50JV。CTE Petrochemical はCelanese Corporationと Duke Energyの50/50のパートナーシップ。
(1997年にDukeとPanEnergyが合併してDuke Energyとなった。)

IBN SINAでは中東及びアフリカ地区で最初のポリアセタール(POM) の年産5万トンプラントの生産開始を祝う式典が2018年4月5日に開かれた。

POM ホモポリマーは、メタノールを空気酸化してホルムアルデヒドをつくり、これを重合して生産する。

AR-RAZI(Saudi Methanol)はSABICと日本・サウジアラビアメタノール(JSMC)との50/50JVであったが、2018年11月29日の合弁契約期限切れに伴い、JSMCのAR-RAZI持株の半分(全体の25%)を150百万ドルでSABICに売却した。日本側は2019年3月末までに下記の条件での合弁契約の20年間継続の可否を決定する。継続しない場合、残り25%も150百万ドルで売却し、SABIC 100% とする。

2018/12/7 三菱瓦斯化学、Saudi Methanol でSABICと合意、最終的には2019年3月末に決定

SABICはSADAF(Shell とのJVであったが、現在はSABIC 100%)などでメタノールとTBAを反応させ、MTBEにしている。また上記の通り、IBN SINAでメタノールを原料にポリアセタール(POM) を生産している。


2019/1/9  ブリストル・マイヤーズスクイブ、米バイオ製薬大手セルジーンを買収 

米製薬大手Bristol-Myers Squibbと米バイオ製薬大手Celgene Corporation  は1月3日、Bristol-Myers Squibbが現金と株式 約740億ドルでCelgene Corporationを買収する契約に調印したと発表した。

Celgeneの株主は、Celgene株式1株につき、
Bristol-Myers Squibbの株式1株と現金50ドルを受け取る。加えて、Celgene株式1株につき、売買可能な成功対価受領権(Contingent Value Right :CVR)  1口を受け取る。将来、契約上のマイルストーンが達成された際に支払いを受ける。

Bristol-Myers Squibb 株の1月2日終値 $52.43 に基づけば、Celgene株式1株当たり $102.43 プラス CVR 1口となる。

取引完了後、従来のBristol-Myers Squibb株主は会社の69%を、Celgene株主は31%を保有することとなる。

買収により、「がんや炎症、免疫と心臓血管の病気に悩む患者のニーズに応えられるバイオ製薬企業が誕生する。」

ソース:https://answers.ten-navi.com/pharmanews/13709/

 

英調査会社Evaluate によると、2017年のがん治療薬市場の世界シェアでRoche が1位、Celgene が2位、Bristol-Myers Squibbが3位となっている。

ソース:http://info.evaluategroup.com/rs/607-YGS-364/images/WP2018.pdf Page 30
 

Celgeneは、癌や炎症・免疫性疾患領域における革新的な治療薬の研究・開発および販売を行ってい る。治験薬は、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、すい臓癌、非小細胞肺がん、黒色腫を含む難治性の血液 癌および固形癌の患者を対象としている。
さらに、乾癬や乾癬性関節炎のような深刻な炎症性疾患の治療薬として、複数の化合物が評価されている。

Bristol-Myers Squibbはノーベル賞の本庶佑名誉教授のがん免疫治療薬オプジーボについて、日本、韓国、台湾以外で開発・商業化の権利を持つ。

「免疫チェックポイント」を阻害して、免疫細胞に癌細胞を攻撃させるのが、免疫チェックポイント阻害薬である。
  機能 承認 開発中
抗PD-1抗体 免疫細胞のPD-1に結合し、PD-1と癌細胞のPD-L1の結合を防止 オプジーボ(小野薬品/BMS)
キイトルーダ(米Merck)
 
抗PD-L1抗体 癌細胞のPD-L1に結合し、PD-1とPD-L1の結合を防止   Roche/中外製薬
AstraZeneca
独Merck
/Pfyzer
抗CTLA-4抗体 免疫細胞のCTLA-4に結合し、CTLA-4と樹状細胞のB7の結合を防止 ヤーボイ(BMS/小野薬品)
 
AstraZeneca

オプジーボの製薬を担当した小野薬品には、PD-1分子の働きを邪魔する「抗体」を作る技術がなかった。

米ベンチャー企業 Medarexとの提携で「完全ヒト型抗PD-1 抗体」を入手でき、オプジーボが誕生した。

Bristol-Myers Squibbは2009年7月22日、Medarexを24億ドルで買収すると発表した。これにより、日本、韓国、台湾以外での開発・商業化の権利を引き継いだ。

2016/11/17  オプジーボ 50%値下げ

 

なお、三菱UFJ銀行がこの買収で、提携先の米 Morgan Stanleyと共同で335億ドル買収資金の供給で合意した。三菱UFJ銀行の融資額は2兆円程度に上る見通し。

 


2019/1/9 米 Ely Lilly 、バイオ医薬の米Loxo Oncologyを買収 

米製薬大手のEly Lillyは1月7日、同業の米Loxo Oncologyを買収すると発表した。買収額は約80億ドル。

Ely Lillyはがん分野の企業を相次ぎ買収しており、開発競争が激化するがん分野で品ぞろえを増やし競争力を高める考え。

Ely Lillyは2018年5月には人体の免疫系を生かした複数のがん治療薬を開発している ARMO Biosciences を16億ドルで買収した。


Loxo Oncologyは
遺伝子情報に基づく癌の患者の治療薬の開発に特化する企業。

Ely Lilly は「Loxoがもつポートフォリオにより、がん患者に新たな治療の機会を提供することができる」とコメントした。

Loxoのポートフォリオは下記の通りで、肺がんや血液がんなど、幅広いがんの治療薬を持つ。

米国食品医薬品局(FDA)は2018年11月26日、既知の後天的な耐性変異を伴わない神経栄養因子受容体チロシンキナーゼ(NTRK)融合遺伝子を有し、転移がみられるか、外科的切除による重篤な合併症の発症率が高く、適切な治療がない、もしくは治療後にがんの進行がみられた固形腫瘍を有する成人および小児患者に対して、VITRAKVI(一般名 larotrectinib)を迅速承認した。

これはLoxo Oncology とBayerが共同開発したもの。現在、BayerがEUで申請している。

 


2019/1/10 マレーシアのRAPID計画、間もなくスタート 

マレーシアの国営石油会社PetronasとSaudi Aramco が270〜280億ドルを投じてマレーシア南部ジョホール州 Pengerangで建設してきたRAPID計画(日量30万バレルの精油所と石油化学コンプレックス)が間もなく正式にスタートする。

2018年11月29日にメカニカルコンプリ―ションとなり、それ以降、試運転を続けており、1月後半に原油蒸留を開始する。
2018年9月に最初の原油 200万バレルが現地に到着している。

Project RAPIDRefinery and Petrochemical Integrated Development )は石油精製から石油化学までの一貫生産プロジェクトで、2011年5月にNajib Razak首相が建設を発表した。既存の同国の石油、ガス、石化設備と合わせ、マレーシアを地域の石油産業のハブにするという政府の方針に基づく。

東洋エンジニアリングは2014年8月21日、RAPIDのうち、中核をなすスチーム・クラッカー・コンプレックスを一括受注したと発表した。下記プラントを建設する。

エチレン、ガソリン熱分解、ブタジエン抽出、ベンゼン分離、MTBE、用役その他

2014/8/25   東洋エンジニアリング、マレーシアで大規模石化プラント受注  

製油所関連の建設は、下記各社が受注した。

残油流動接触分解装置 (RFCC)、LPG処理装置、プロピレン回収装置、caustic中和装置 consortium of
  CTCI Corp.(中鼎工程公司)
  千代田化工
  Synerlitz (Malaysia) Sdn. Bhd.
  MIE Industrial Sdn. Bhd.
原油蒸留装置、常圧残油脱硫装置、水素回収・供給装置 Sinopec Engineering (Group) Co. Ltd.
ケロシン水素化装置、ディーゼル水素化装置、ナフサ水素化装置ほか Tecnicas Reunidas SA(スペイン)
アミン回収装置、硫黄回収装置、Sour water 除去装置、液体硫黄貯蔵装置、硫黄固体化装置 Petrofac International (UAE) LLC

付帯設備としては、コージェネレーション設備(1300 MW)、LNG受入基地、LNG再ガス化設備、空気分離装置、 真水供給設備、原油・製品タンク、ユーティリティーなどがある。

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SaudiAramco は2017年2月28日、 RAPIDの建設に70億ドルを投資すると発表した。

SABICはRAPID refineryのフィードストックの70%を供給する。天然ガス、電力、その他用役はPETRONASが供給する。

2017/3/2 SaudiAramco、マレーシアのRAPID計画に参加 

両社は2018年3月、Share Purchase Agreement を締結し、石油精製、石油化学事業を50/50で運営することとした。

2018年5月、50/50 JVの社名を決定した。

石油精製はPengerang Refining Company Sdn Bhd  略称 PRefChem Refining

石油化学はPengerang Petrochemical Company Sdn Bhd   略称 PRefChem Petrochemical

全体を “PRefChem” と呼ぶ。

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PRefChem Refining は日量30万バレルで、低硫黄ジェット燃料、自動車用ガソリンとディーゼルなどを生産するとともに、PRefChem Refiningに原料を供給する。

PRefChem Petrochemical については、製品及びその能力などは明らかにされていないが、断片的に以下の発表が行われている。

 ナフサクラッカー
 
 過酸化水素と酸化プロピレン
EvonikとPetronasは2013年1月、過酸化水素、1-ブテン、オキソ製品のJVを設立する覚書を締結した。

報道では過酸化水素は25万トン、1-ブテン 11万トン、イソノニルアルコール 22万トンとなっている。

酸化プロピレンはEvonikとThyssenKrupp Uhdeが開発したHPPO processを採用するとされている。


 ポリエチレン

INEOS Technologiesは2012年11月、LLDPE/HDPE(350千トン)計画に Innovene G 技術が採用されたと発表した。


 ポリプロピレン

Lyondellbasellは2012年12月、PP(2系列合計 900千トン)計画に Spheripol PP  技術が採用されたと発表した。


 合成ゴム(中止)

イタリアのEniの子会社の Versalis とPetronasは2013年11月、合成ゴム(4製品)の製造販売のJVの設立契約を締結した。Petronasが60%、Versalisが40%を出資するとされた。

しかし、この計画は2016年4月に取り止めとなった。

市場の動向や採算性が低いことなど、諸般の事情を勘案したとしている。


 Specialty chemical products (取り止め)

BASFとPetronasは2012年3月、specialty chemical products のJV設立の覚書を締結した。
製品は、イソノナノール、ポリイソブチレン、非イオン系界面活性剤、メタンスルホン酸、炭素繊維プリカーサなど

しかし、両社は2013年1月、合意に達しなかったとして、取り止めた。

   Specialty chemical products

Evonik とPetronas は2013年1月、下記製品のJV設立の覚書を締結した。

過酸化水素 250,000トン、イソノナノール 220,000トン、1-ブテン 110,000トン

  Ethylene Glycol

Petronas は2015年12月、シェル技術によるEthylene Glycol 年産74万トンプラントの建設を韓国のSamsung Engineering に発注した。
合わせて、上記のポリエチレン 35万トンプラントも発注した。


2019/1/11   LGが世界初の「巻き取りテレビ」を発表

LG電子はラスベガスでのCES2019 (Consumer Electronics Show) 開幕前日の1月7日、世界初の巻き取り可能テレビ「The LG Signature OLED TV R」を公開した。年内に発売する。

「R」は、「Roll」「Rise」「Revolution」を意味するという。

クルクルと巻き取る構造は、LGの誇る有機ELディスプレイが可能とした。バックライトなしで自ら発光するOLEDの特性を生かし、ぐるぐる巻いても耐久性や画質には問題がない。「丸めたり広げたりすることを10万回以上できる耐久性を備えている上、寿命は一般有機ELテレビと変わらない」としている。

3つのモード、Full View、Line View、Zero View が用意されている。

Zero View は、画面がすべてボックス内に巻き取り収納されているモード。Zero View でもスピーカーとして音楽を楽しめる。

Line View は、時計、天気やスケデュールなどシンプルな情報のみを表示する画面を出す。

Full Viewは全面オープンで、スピーカーボックスから65インチサイズの有機ELディスプレイが上がってきて繰り広げられる。

価格は発表されていないが、最初のローラブルテレビだけに、5000万ウォン(約500万円)を超えると見られる。LG電子の関係者は、「インテリアにお金を惜しまない富裕層が初製品の主な顧客層になるだろう」と語った。

 

山形大学城戸淳二教授の1月9日付の「大学教授のぶっちゃけ話」では「巻けるテレビ」でこれを取り上げている。

最大の利点は軽いこと、持ち運びができること。今後、テレビは大型化 するが、巻けると簡単に運べる。テレビ電話、テレビ会議、その他諸々、仕事に遊びに、コミュニケーションツールとして使われるようになる。

山形大学では、ペラペラの壁紙のような有機ELディスプレイを印刷で作る技術を開発している。


別途、このブログでは以前に有機ELを扱っていた日本企業を取り上げている。

パイオニア  シャープ  NEC  三洋電機

有機EL照明の課題も

 


2019/1/12  ロッテ創業者長男、韓国でも取締役解任による損害賠償訴訟で敗訴 

日本のロッテホールディングス元副会長、辛東主(重光宏之)氏が、不当に取締役を解任されたとして韓国ホテルロッテなどを相手取り損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、ソウル高裁は1月8日、一審に続き原告の訴えを認めず、控訴を棄却した。

ホテルロッテと釜山ロッテホテルは2015年9月に臨時株主総会を開いて辛東主氏を取締役から解任した。
日本のロッテホールディングスは2015年8月17日、帝国ホテルで臨時株主総会を開き、創業者の次男の重光昭夫副会長を中心とした体制で経営を続けると確認し 、およそ15分で終了した。
これにより、事実上、韓国と日本ロッテの「ワントップ体制」が固まった。

2015/8/19 ロッテ、次男中心の体制に

これに対し同氏は韓国で、不当な解任で損害を負ったとして約8億7000万ウォン(約8400万円)の賠償を求めて訴訟を起こした。

一審は東主氏が取締役として正常に業務を遂行できず、会社に対する忠実義務と善管注意義務に違反したため、任期満了前に解任する正当な理由があったと判断した。

控訴審で、辛東主氏側は弟で韓国ロッテグループ会長の辛東彬(重光昭夫)氏が経営権を握ろうとする過程で解任されたと主張したが、ロッテ側は東主氏が取締役会の業務を怠ったほか、経営能力が不足しているため解任したと反論した。

これまでの経緯  2015/8/1   ロッテの内紛


日本でも、辛東主(重光宏之)氏は一審、二審で敗訴している。

ロッテグループ各社で務めていた取締役を正当な理由なく解任されたとして、辛東主(重光宏之)氏がグループ4社に合計約6億2000万円の損害賠償を請求していた訴訟の第一審判決で、東京地裁は2018年3月30日、宏之氏の請求を棄却した。宏之氏が経営面で悪影響が及びかねない事業を強引に進めたことから「役員として著しく不適任とされてもやむを得ない」と判断した。

東京高裁は2018年10月4日の控訴審で、請求を棄却した一審東京地裁判決を支持し、宏之氏の控訴を棄却した。裁判長は、ロッテホールディングスの取締役会でグループ会社の事業に関し担当者にうその説明をさせたと認定し「解任されてもやむを得ない理由があった」と判断した。


 


 


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