2019/12/16 米中貿易協議、第1段階で合意
米中両政府は12月13日、貿易協議の「第1段階」で正式合意したと発表した。
米国は対中制裁関税の新規発動を中止し、発動済みの関税を一部緩和する。米政府によると、中国は米国から年間500億ドル規模の農産品購入を約束した。
来年1月初めの署名を目指して中国と合意文書の作成作業を進める。
今回は口頭での合意で、これから文書化して署名する。双方の発表には一致していない部分もあり、両国首脳が署名して初めて安心できる。
付記
トランプ大統領は12月31日、中国側高官を1月15日にホワイトハウスに招き、正式に合意文書に署名するとツイッターで表明した。
ーーー
Trump大統領は5月5日、中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、5月10日から現在の10%から25%に引き上げると表明した。
大統領は5月8日、フロリダ州で開かれた支持者集会で、「中国が約束を破った。そんなことは許さない。だから中国は代償を払うことになる」と述べた。
米ブルームバーグ通信によると、北京での閣僚協議で中国側が、外国企業に対する技術移転強要を是正する法整備を拒否した。ライトハイザー氏からその報告を受けた大統領が怒り、追加関税を課す対中制裁の強化を決めたという。
中国側は文書に署名して初めて正式合意であるとした。
2019/5/14 米中通商協議で3つの相違点
ーーー
White Houseは“Historic Phase One Trade
Agreement”で合意したと誇った。
中国は、知財、技術移転、農業、金融サービス、通貨、為替レートの分野での構造改革に同意した。
効果的な実施のための強力な紛争解決制度を含んでいる。
合意の一部として、米国はSection
301での追加関税を大きく修正することに合意した。
このPhase 1 交渉は、米国の対中貿易のバランス回復に向け重要な一歩となる。
USTRも同様の発表をしたが、中国製品に対する制裁関税については以下の通り。
米国はSection 301 調査で制裁関税を課した。
今回、中国製品2500億ドルに対する25%の制裁関税は維持する。1200億ドルに対する関税(現在15%)は7.5%とする。
(12月15日発動予定の 消費財 1600億ドル
に対する15%の制裁関税は延期と報じられるが、USTRはこれに触れていない。)
USTRは
Fact Sheet を発表した。
技術移転
中国は外国企業の中国進出や政府承認の取得等の見返りに技術移転を求める永年の慣行を止めることに同意。
技術移転、ライセンスは市場条件に基づく。
中国政府は外国の技術を取得するための海外投資支援をやめる。
農業
貿易の構造的障壁を取り除き、米国の食品、農業製品・海産物の輸出の大幅拡大をサポート
農業製品・海産物への非関税障壁を取り除く。
金融サービス
幅広い金融サービス業者に対する永年の貿易・投資バリアを取り除く。
通貨
通貨切り下げや為替レートの目標設定をやめる。透明性、説明メカニズムを推進。
貿易拡大
中国は2年間で2000億ドル以上の財・サービスの輸入(2017年比で)
輸入増は、製造製品、食料、農業・海産物、エネルギー製品、サービスを含む。
2021年以降も数年間、同じ傾向を続け、米中貿易のリバランスに。
紛争解決
合意違反なら必要な措置を取る。(報道では関税再発動)
中国政府高官は13日、第1段階の貿易協定を発表した。
合意は、 「序文、知的財産権、技術移転、食料と農産物、金融サービス、為替レートと透明性、貿易拡大、二国間評価と紛争解決、最終条項の9章」が含まれる。
可能な限り早期に法的なレビューや翻訳校正などの必要な手続きを完了し、契約の正式な署名に関する具体的な取り決めを交渉する。
米国が中国製品に対する関税の賦課を段階的に廃止する。
中国は米国の農産物の輸入を大幅に増やし、農産物の国内需給のギャップを埋めることができる。米国は、中国で作られた「調理された家禽およびナマズ製品」、および梨の柑橘類と新鮮なナツメヤシを米国に輸出することに同意した。
知的財産権に関して、企業秘密、薬物に関連する知的財産権の保護、特許の有効性の延長、地理的表示、著作権侵害の取り締まり、電子商取引プラットフォームの偽造など、いくつかの分野で合意に達した。著作権侵害および偽造製品の生産と輸出を取り締まり、商標の悪意のある登録を取り締まり、知的財産権の司法執行と手続きを強化する。
これは、知的財産保護の強化に関する中国の改革の方向に沿っており、イノベーションの保護に資し、外国の知的財産の中国への参入を促進し、高品質の経済発展を促進する必要性を満たしている。-
ーーー
報道では、制裁関税での合意は以下の通り。
米国
2500億ドル分は25%の関税を維持
1200億ドル分は15%の関税を半分の7.5%に引き下げ(署名の30日後に)
12/15実施予定の1600億ドル分への15%追加課税を延期
中国
12/15実施予定の5%&10%追加関税を延期(自動車関税 25%+10% も延期)
米国の対中制裁関税:
当初
8/23 発表
10/11
12/13
@〜B
2500億ドル
@ 340億ドル
2018/7/6 25%
2019/10/1 30%予定
(→10/15に延期)
引き上げ延期
(25%維持)
25%据え置き
A 160億ドル
2018/8/23 25%
B 2000億ドル
2018/9/24 10%
→2019/5/10 25%
C 3000億ドル
一般 1200億ドル
2019/9/1 10%
9/1 15%
→
7.5%に引き下げ
消費財 1600億ドル
2019/12/15 10%
12/15 15% 予定
→
発動見送り
中国の対米報復関税:青字 が今回合意
当初
8/1発表
12/13
@+A
500億ドル
@340億ドル
2018/7/6 25%
うち自動車
2019/1から停止→
(自動車)
2019/12/15 復活
(自動車部品)
2019/12/15 復活
5078の税目、約750億ドル
5% & 10%(追加&新規) 2019/9/1 計1717品目
2019/12/5 計3361品目予定
なお、9/11に除外品目発表
@AB 9/11除外品目除き、 据え置き
自動車・部品は停止
5078の税目
9/1実施分据え置き
12/5分 見送り
A160億ドル
2018/8/23 25%
B600億ドル
A
2018/9/24 5% うち部品
2019/4から停止→
B
2018/9/24 10%
Bの一部
2019/6/1→ 20%
Bの一部
→ 25%
中国の乗用車関税:
全体
対米国
当初
25%
25%
2018年5月
15%
↓
15%
2018年7月 対米追加関税 25%
40%
2019年1月〜3月 対米追加関税免除
15%
2019年4月1日より追加関税を一時停止
15%
2019年12月15日以降 復活+追加10%予定
50%
2019/12/13 停止
15%
これまでの経緯:
2019/12/17 製薬大手の米Merckと仏Sanofi、癌治療薬メーカーを買収
米Merckと仏Sanofiは12月9日、別々に、がん治療薬を手掛ける同業の買収を発表した。
米Merck (ドイツのMerckと区分するため、米加以外での社名は MSD
)は中堅の米国のArQule を27億ドルで、Sanofiは米の新興メーカー Synthorxを25億ドルで買収する。
前者は時価総額の1.32倍、後者は2.82倍と、大幅なプレミアムをつけた買収である。売り手市場となっている。
1) Merck / ArQule
ArQule は 多種の癌と非腫瘍学的兆候に関与する生物学的経路に焦点を当て、治療法の研究・開発を行うバイオ医薬品会社である。
臨床段階のパイプラインは、標的とされる患者集団に属する約4つの候補薬から成り立つ。
「ARQ 531」は野生型およびC481S変異型のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の強力且つ可逆的な二重阻害剤である。
「ARQ 092」はプロテインキナーゼB(AKT)、セリン/スレオニンキナーゼの強力で選択的な阻害剤である。
「ARQ 751」は、AKTの強力且つ選択的な阻害剤で、AKTを保有する固形腫瘍、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)の臨床開発段階にある。
「ARQ 087」は、線維芽細胞を優先的に阻害するように 設計されるマルチキナーゼ阻害剤である。
Merckは特に「ARQ 531」を重視している。
なお、第一三共は2008年11月にArQule との間で抗がん剤の研究開発で提携することに合意した。
契約一時金は計7500万ドルで、第一三共が重点領域とするがん治療領域の研究開発パイプラインの強化が狙いである。
ArQuleが米国で開発中の固形がんを対象とするARQ197のアジアの一部(日本・中国・韓国・台湾)を除く全世界での開発および販売権を取得するライセンス契約と、ArQuleが所有する新規キナーゼ阻害薬を探索する技術(AKIP)を用いた共同研究契約からなる。
ARQ197は、肝細胞増殖因子HGFの受容体であるc-Metを選択的に阻害する新規機序の低分子化合物。
第一三共は2015年12月の報告で、ArQuleとの提携による肝細胞癌治療薬チバンチニブ(ARQ197)に期待を示しているが、 2017年2月に、第3相臨床試験において、全生存期間の延長を達成することができなかったと発表した。
2) Sanofi / Synthorx
自然界のすべての生物の遺伝子情報は、A、G、C、Tの4種類の文字で表わされるが、Floyd
Romesberg 博士が率いるサンディエゴにあるScripps Research Instituteと博士が設立したSynthorxの研究チームが、自然界には無い2種類の遺伝子文字を追加した細菌を作成し、異質なたんぱく質を作り出すことに成功した。
博士は、「地球上の多様な生命はたった2つの塩基対、A-TとC-GからなるDNAでコードされている。われわれが作成したのは、この2対に加えて第3の人工の塩基対が安定して組み込まれた生物だ」と述べた。
Synthorx のプロジェクトの1つでは、抗がん剤「インターロイキン-2」の新しいバージョン(THOR-707)を作ることを目指している。インターロイキン-2は複数の厄介な副作用を伴うが、半合成のバクテリアが鍵となるポイントにおいて普通で無い成分に入れ換えることで、問題を解決できるかもしれないとされる。
Sanofiはこれを大きく評価しており、これと同社の製品とのコンビネーションを期待している。
ーーー
Sanofiは買収資金を確保するため、提携相手の米Regeneron
Pharmaceuticals の株式を売却する可能性があることを明らかにした。
Sanofiはまた、血友病や乳がん、多発性硬化症、希少疾患など6つの有望な治療分野に照準を定め、糖尿病と心臓疾患の研究をやめ、生産性を高めることで2022年までに20億ユーロの節減を見込むことを明らかにした。
「画期的なイノベーションがより難しくなりつつあり、効率を高めてチャンスのある分野に経営資源を投入する必要があることを認識している」としている。
2019/12/18 HOYA、東芝子会社に敵対的TOB
HOYAは12月13日、東芝子会社の 半導体製造装置メーカーの ニューフレアテクノロジーのTOBを実施すると発表した。 1株 12,900 円でのTOBで、 最大1477億円を投じて全株の取得を目指す。
TOBの買付予定数の下限を 7,634,000 株( 66.67 %) と設定しており、 東芝デ バイス&ストレージが応募することが必要条件となる。
ニューフレアテクノロジーの大株主は次の通り。(2019/9/30)
東芝デバイス&ストレージ
52.35%
東芝子会社
東芝機械
15.78%
東芝が売却、グループから外れる。2020/4に芝浦機械に改称
一方、親会社の東芝は12月13日、上場子会社4社のうち、 POSレジ世界首位 の東芝テックを除く3社、発電設備の東芝プラントシステム 、船舶や産業向けの電機システムを手掛ける西芝電機 と、 ニューフレアテクノロジー
に対しTOBを実施すると発表した。総額は約2000億円。完全子会社化することで、少数株主との利益相反の可能性を回避し、経営資源の相互活用や意思決定の迅速化につなげる。
付記
東芝プラントシステムと西芝電機に対するTOBは成立した。
東芝プラントシステムは持株が95.28%、西芝電機は92.68%となるが、 今後、残る株式を取得して完全子会社化する。
なお、東芝は12月23日、ニューフレアテクノロジーのTOBを2020年1月16日まで延長すると発表した。株主に両社の提案の検討期間を設けるため、ニューフレアが東芝にTOB期間の延長を要請した。
付記
東芝機械は1月15日、東芝によるニューフレアテクノロジーのTOBに応募すると発表した。
東芝はHOYAの提案に応じないと決めており、HOYAのTOBが成立する可能性はなくなった。このため、東芝機械は東芝によるTOB(HOYAの提示価格より安い)に応募しても、株主から訴訟を起こされる恐れがなくなったと判断した模様。
付記
東芝は1月17日、ニューフレアテクノロジーに対するTOBが成立したと発表した。
東芝は従来からニューフレア株の52.4%を保有していたが、TOB後の保有割合は84.66%になる。
HOYAも同日、TOBを実施しないと発表した。
東芝はニューフレアが手掛ける製造装置の基幹部品を製造しており、完全子会社化することで研究開発が機動的にできると判断した。
東芝のニューフレアTOB価格は11,900円で、買い付け期間は2019年11月14日から12月25日となっている。
(12月12日の終値は11,930円、13日は13,330円)
これに対し、HOYAは1,000円高い12,900円でのTOBで、東芝( 東芝デバイス&ストレージ)によるTOBが成立していないことを条件にした。
2020年4月のTOB開始を目指す。
東芝側はこれに応じない構えで、敵対的な争奪戦に発展する可能性がある。
東芝はTOBの成立条件として14.27%を下限に設定している(これで保有株が2/3を超えることとなる)。
東芝機械が応じれば、この時点でTOBは成立し、その後は株式売り渡し請求や株式併合などの手段で完全子会社とし、上場廃止となる。しかし、この可能性は低い。
東芝機械は1938年に芝浦製作所(東芝)が出資・設立した老舗のグループ企業だった。
東芝は2017年3月2日、20%超を出資する東芝機械の株式を売却すると発表した。当時、原子力発電事業の巨額損失で揺らいだ財務の立て直しのため、事業や保有株の売却を急いでいた。
3月3日の取引開始前に東芝機械が東京証券取引所の立会外取引を通じて自社株買いを実施し、東芝所有株を買い受けた。
2020年4月からは、社名から「東芝」を外し、芝浦機械に改称する。同社のブランドは「 SHIBAURA」である 。
現在の東芝機械の筆頭株主は、村上世彰氏が事実上率いるファンドのオフィスサポートで、自社で5.93%、共同保有分を含め9.19%を保有する。
村上氏は「東芝機械は、今のまま東芝のTOBに応じるなんてことはしないはずだ」とコメントした。
証券会社幹部も「このまま東芝機械が価格が低い方の東芝のTOBに応じたら、東芝機械自身が株主代表訴訟を起こされるリスクがある」と指摘する。
今後、東芝が買い取り価格を引き上げ、HOYAとの間で争奪戦となる可能性がある。
逆に、東芝が路線変更する可能性も噂されている。ニューフレアを完全子会社化すると約650億円の出費となるのに対し、HOYAのTOBに応じれば700億円以上の現金が手に入る
ことになる。
ーーー
ニューフレアテクノロジーは2002年に東芝機械から半導体装置事業を継承して創業した。
半導体デバイスの性能と生産性向上の源泉である微細化の要となるフォトマスク
に高精度な回路パターンを形成する電子ビームマスク描画装置 に関して30年以上の開発の歴史を持つ。
また、フォトマスクの仕上がりを検査するマスク検査装置 を開発し、さらに、今後電気自動車など用途の拡大が期待される
パワー半導体向けのエピタキシャル成長装置 も開発から実用化の段階に入っている。
HOYAは半導体ウエハーに回路を描く原版となる「ブランクス」と呼ぶガラス製品で7割以上のシェアを握るほか、この表面に微細な回路を形成した「フォトマスク」も提供している。
回路を描画する装置を手掛けるニューフレアを取り込むことで半導体関連の事業を強化したい考え
で、2017年以降、ニューフレアに対して複数回、提携を打診していたという。
2019/12/19 ジャパンディスプレイ、 いちごアセットグループ からの資金調達に関する基本合意書締結
ジャパンディスプレイ(JDI)は12月12日、 独立系投資顧問のいちごアセットグループ からの資金調達に関する基本合意書
を締結したと発表した。
いちごアセットは、 日本開発銀行客員研究員やモルガン・スタンレー証券の株式統括本部長を務めたScott
Callon 氏が2006年5月に設立した 。
社名の 「いちご」は千利休が説いた茶人の心構え「一期一会」から採った。経営理念は、
「日本を世界一豊かに。その未来へ心を尽くす一期一会の『いちご』」である。
Callon
社長の投資スタンスは長期保有が原則とされる。
ーーー
JDIは Suwa
Investment Holdings との間で800億円の投資を受ける契約を締結しているが、Suwa
Investment 出資者が次々離脱しており、残る出資者と交渉を継続しているが、目途が立っていない。
Suwa Investment Holdingsとの交渉経緯:
当初案
2019/6/17 JDI 発表
6/27 発表
7/12発表
9/26発表
状況
台湾
TPK Holding
( 宸鴻集団 )
230百万ドル
(250億円)
離脱通知受領
ー
ー
ー
ー
Cosgrove Global
130百万ドル
(140億円)
機関決定の通知未受領
→ 離脱通知
ー
ー
ー
ー
中国
Harvest Tech Investment
Managemen t
( 嘉実基金管理)
190百万ドル
(210億円)
200百万ドルに増
200百万ドル
(220億円)
自社 200百万ドル
Apple 100百万ドル
(計 322億円)
→
離脱通知
(CB-2) 200億円
機関決定。
200億円
200億円
→
不足の場合、更に出資
200百万ドル
(220億円)
未定
+100百万ドル
香港
Oasis Management
ー
離脱代替150百万ドル
150百万ドル
(160億円)
150 〜 180 百万米ドル
(約161 〜 約 193 億円)
→
800億円との
差額追加
交渉
合計
800億円
800億円
683億円〜715億円
800億円
?
今回、 この Suwa からの
出資が 2019 年 12 月 31 日までに実施されなかった場 合に、いちごトラストから 800 億円から 900 億円の資金調達 を実施する旨の最終契約の締結 に向けて協議を進めることを合意 した。 具体的な内容及び条件につ
いては、今後両社協 議の上決定する
。
付記 Suwa からの出資
は 2019 年 12 月 31 日までに実施されなかった。JDIはいちごトラストとの協議を進める。
JDIはこれに加え、下記の交渉をしていることを明らかにした。
1) 需要家のApple
AppleはSuwaの中国投資家を通じて100百万ドルの出資を予定していた。
12月12日に、いちごアセットから400億円以上の資金調達を条件に、下記の点で協議することで合意した。
・取引の支払い条件の緩和
・白山工場生産装置の購入を通じる可能性も含め、200百万ドルの供与
2) 別の取引先
いちごアセットからの資金調達を条件に、下記の点で協議することで合意した。
・ JDIに対する資金援助、JDI所有資産の取得及び支払期限の延長等を含 めた事業面及び財務面における 総額約 50 百万ドルの 支援
・ 車載分野及びディス プレイ分野での戦略的提携、及びサプライチェーンマネジメントにおける協業
ーーー
JDIについては、下記の問題がある。
1) JDIは11月21日、経理担当の男性幹部が不正経理を繰り返し、会社の資金約5億7800万円を着服していたと発表した。
JDIはこの幹部を2018年12月に懲戒解雇するとともに、刑事告訴しているが、この発表後に自殺したと報道されている。
2) この幹部は11月26日に、JDIの過年度決算で不適切な会計処理を行っていたこと、それが当時の経営陣からの指示で行ったことを会社に伝えた。
JDIは今後特別委員会で事実関係の調査を進めるとしている。
3) 債務超過
2019年9月末の中間決算で 101,612百万円の債務超過となった。
単位:億円
売上高
営業利益
経常利益
特別損益
当期利益
期末
純資産
2017/3
8,844
185
-89
-24
-317
3, 2 7 1
2018/3
7,175
-617
-937
-1,437
-2,472
8 2 0
2019/3
6,367
-310
-442
-625
-1,094
7 0
2018/4-9
2,143
-145
-190
119
-95
2019/4-9
2,378
-356
-438
-637
-1,087
-1, 0 1 6
増減
235
-211
-248
-756
-992
下記の特別損失を計上した。
白山工場減損追加(一時停止関連)-514、 早期割増退職金
- 90、その他、合計 -637百万円
参考 2019/4-6決算 2019/8/14
JDIが債務超過に
本業の液晶パネル事業が韓国や中国メーカーとの厳しい競争にさらされている。
これまでSuwa Investment との交渉は二転三転した。
今回、協議開始で合意した段階であり、実際に出資が行われるまでは安心できない。
2019/12/19 米下院、トランプ大統領を弾劾訴追
米下院は12月18日の本会議でトランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追決議案を賛成多数で可決した。
「権力乱用」の弾劾条項は賛成230、反対197で可決した。
共和党
民主党
無所属
合計
民主党
賛成
0
229
1
230
反対
195
2
197
Peterson、 Van
Drew
present
1
1
Gabbard
棄権
2
1
3
合計
197
233
1
431
議会調査への協力要請を拒否するよう政権幹部らに指示した「議会妨害」の条項は賛成229、反対198で可決された。
共和党
民主党
無所属
合計
民主党
賛成
0
228
1
229
反対
195
3
198
Peterson、
Van Drew、 Golden
present
1
1
Gabbard
棄権
2
1
3
合計
197
233
1
431
下院総数 435、現在 欠員 4
共和党は棄権の2名を除き、全員が反対した。
民主党からは下記議員が賛成せず。
Collin Petersonと Jeff
Van Drewの2人は、 10月31日に下院本会議でトランプ大統領に対する弾劾調査の手続きを定めた決議案
に民主党から反対した2名である。
Jeff Van Drewは その採決の後、「党派を超えた支持がなければ、弾劾調査は国家をさらに分断し、最終的には上院で却下されるだけだ」と主張した。
今回、 数日内に民主党を離脱するかどうかを発表すると述べた。12月13 日にホワイトハウスでトランプ大統領と面会している。
Collin Petersonは大統領は罪を犯していないと述べた。
Jared Golden 議員は「権力乱用」では賛成、「議会妨害」では反対した。
Tulsi Gabbard議員は両議案でいずれも、「出席」と返事し、棄権した。
大統領が弾劾訴追されたのは米史上3人目で、社会の分断が深まる同国で、二大政党間の対立が一段と激化する見通し。
2020年1月上旬には、上院での弾劾裁判に移るが、上院は、与党・共和党が優勢のため、罷免に至る可能性は低いとみられている。
付記
上院共和党は短期に否決する構えだが、下院のペロシ議長は政権高官を証人として招致することなどを求め、対立している。
民主党は裁判の公平性確保を求めており、上院が裁判の手続きを決めるまで、弾劾決議を上院に送付しない。また、弾劾裁判で検事役を務める下院議員の指名もしていない。
2019/12/20 富士フイルム、日立の医療機器事業を買収
日立製作所 は12月18日、 画像診断関連事業 を 富士フイルム に譲渡すること を決定した
と発表した。
日立は関連事業を新設の子会社
富士フィルムヘルスケアに移管し、同社の株すべてを富士フィルムに譲渡する。
付記 2021年2月、 会社分割の 手続きが開始されたことを受けて、買収完了予定時期を 2021 年 3 月 31 日とすることに決定
付記 2021年3月31日、買収手続きを完了し、 日立製作所が事業 承継のために設立した 「富士フイルムヘルスケア」 は 富士フイルム の 100% 子会社としてスタート。
分割する部門の事業内容
は、 画像診断システム ( CT 、 MRI 、 X 線診断装置、超音波診断装置等 ) 、電子カルテ等の 研究 開発・製 造・販売 ・保守サービス
で、この事業の2019年3月期売上高は
1,432 億円
であった。
両社は事業価値を 1,790 億円
とすること で 合意しており、最終的な株 式譲渡価額は、純運転資本額
と純有利子負債額で調整し、確定 する 。
日立は 連結決算
で 事業再編等利益 約 1,110 億円を計上する
。
画像 診断関連 事業 は、 先進国では高齢化や慢性疾患の増加、新興国では経済成長に 伴う医療水準の向上などのニーズがあり安定的な成長が見込まれている
。
一方で、 業界再編の進展 や グローバル 競争 の 激化により 、事業規模 の 拡大がますます重要 になって いる。
また、日立の場合、 機器の単独販売が多く、営業利益率は低水準になっている。
本年8月の報道では、日立は画像診断機器事業を売却する方針で、売却先の選定に入っており、海外の投資ファンドなどが買収に関心を示している
とされた。
今回、 補完性の高 い 販売チャネル や 画像処理などの優れた 技術力を持つ富士フイルムに 対象事業を 譲渡 することが、さらなる成長と競争力強化のために最適であると判断した。
付記
2023/7/18 メディカルシステム事業のさらなる体制強化に向けて国内グループ会社を再編
ーーー
売却する事業は、日立の子会社だった旧日立メディコ
が手掛けるMRIとコンピューター断層撮影装置(CT)、さらにその子会社日立アロカメディカルが強みを持っていた超音波診断装置を中心とした画像診断機器事業である。
日立メディコ:
1949年に日立製作所と紡織機械メーカー
6社の出資により東日本繊維機械として設立。
当初は紡織機械の販売にあたっていたが、日立の各種レントゲン機械を扱うようになり、1954年
に日立レントゲンに改称した。
1969年に大阪レントゲン製作所を合併、医療機器部門に本格的に乗り出し,1973年社名を日立メディコに変更した。
X線装置,コンピュータ断層撮影装置,磁気共鳴画像
MRI装置などを独自に開発した。
アロカメディカル:
超音波診断装置、骨粗鬆症診断装置、放射線測定装置、バイオ関連装置、検体検査装置、分注装置などを手がける。
特に超音波診断装置については、世界で初めて製品化したパイオニアとして知られ、広く海外にも展開した。
日立は2016年にヘルスケア事業強化に向け、日立メディコおよび日立アロカメディカルの製造部門以外の部門を日立に
吸収し、製造部門は日立メディコを存続会社として合併し、日立ヘルスケア・マニュファクチャリングとした。
ーーー
日立製作所は急速に構造改革を進めている。
このたび、中核子会社である化学大手、日立化成の売却を巡り、昭和電工に買収の優先交渉権を与えることを決めた。
昭和電工は12月18日、日立化成を株式公開買い付け(TOB)により買収すると発表した。買付代金は総額9640億円となる。
日立は所有する51.29%全てを譲渡する。譲渡金額は4,940億円。
2019/12/2
日立製作所、子会社日立化成を昭和電工に売却へ
火力発電システム事業
では、別記の記事の通り、 三菱重工業
とのJVの 三菱日立パワーシステムズ
にかかわる紛争をこのたび解決し、同社の株式をすべて三菱重工に譲渡し、この事業から撤退する。
今後は、収益重視の選択と集中を加速し、インフラやITに経営資源を集中し、海外勢との競争に勝つ体制づくりを急ぐ。
ーーー
調査会社によると、画像診断機器ではドイツのシーメンスがシェア23.1%でトップ、GEが21.8%で2位、オランダのフィリップスが20.5%で、キャノン(9.5%)、富士フィルム(5.5%)、日立(2.9%)などが続く。
富士フイルムは医療用画像管理システムでは世界シェアで首位(17.5%)に位置するが、MRIやCTといった医療機器を持っていなかった。
富士フイルムホールディングスは、日立の磁気共鳴画像装置(MRI)などの医療機器に富士フイルム独自の画像処理技術や人工知能(AI)などのソフトウエアを組み合わせ一括して提供し、海外大手3社を追い上げる。
2019/12/20 日立、 三菱重工業とのJVの損失負担をめぐる紛争で和解、火力発電事業から撤退
日立製作所 は12月18日、日立と 三菱重工業 の 火力発電システム事業を統合したJVの 三菱日立パワーシステムズ が取り組 む 南アフリ カ共和国のボイラー建設プロジェクト の承継 に 関して、 和解 が成立し た
と発表した。
和解に至るまでの経緯:
三菱重工業と日立製作所は2014年2月に両社の火力発電所のインフラ事業を統合し、三菱重工業 65%、日立製作所 35%出資で、三菱日立パワーシステムズを設立した。
三菱日立パワーシステムズが承継した日立受注事業で問題が生じた。
日立は2007年から2008年にかけて、南アの電力会社 Eskom から、同社が建設するMedupi 発電所および Kusile発電所向けに各6基、計12基の石炭火力発電プラント用ボイラー設備を総額約5,700億円で受注した。しかし、1基目の運転開始が当初予定の2012年から2015年にずれ込むなど工期は大幅に遅れ
、損失膨らんだ。設計の見直しなどで今も完工していない。
この事業を三菱日立パワーシステムズが引き継ぐための契約では、
・効力発生日より前の事象に起因する偶発債務及び同日時点において既に発生済みの請求権については日立が責任を持ち、
・効力発生日以降の事業遂行については三菱日立パワーシステムズが責任を持つことを前提に、
・効力発生日時点に遡ったプロジェクト工程と収支見積の精緻化を行い、それに基づき最終譲渡価格を決定し、暫定価格との差額を調整する旨が合意されている。
三菱重工は、分割効力発生日時点において既に損失が見込まれたプロジェクトであり、受注条件などに問題があったとして、三菱日立パワーシステムズ発足後に発生した損失も日立が負担すべきだと主張し
、2016年3月に約3,790億円の請求を行った。
日立は同年4月に、契約に基づく法的根拠に欠けるため請求に応じられない旨を回答した。
三菱重工は、2017年3月には請求額を約7,634億円に増やした。
その後両社で協議してきたが、まとまらなかったとして三菱重工は7月31日、第三者に解決を委ねる仲裁の手続きを、日本商事仲裁協会に申し立てたと発表した。
2017/2/13 三菱重工と日立、南アの火力発電プラント工事で争い
両社は仲裁手続きと並行して協議を続けてきたが、今回、下記の通り和解に至った。
1)
日立は 、 三菱日立パワーシステムズ の日立 所有株式全て ( 保有比率 35% ) を
三菱重工業 に引き渡し
、火力発電事業から撤退する。
2) 日立は、三菱重工業に対し、2000億円の賠償金を支払う。
日立の 三菱日立パワーシステムズ の子会社に対する債権を700億円で三菱重工業に譲渡する。
これらを相殺し、差引1,300億円を三菱重工業に支払う。
3)
三菱重工業は株式と現金の受領後、仲裁請求を取り下げる。
日立は2020年3月決算で特別損失として3,780億円を計上すると発表した。
和解金
-2,000億円
債権譲渡
700億円
差引現金支払
-1,300億円
JV 株式等
-2,480億円
差引合計
-3,780億円
債権を700億円で譲渡し、和解金と相殺するため、現金支払いは1300億円で正しい。
但し、700億円の債権を700億円で譲渡するとすれば、この分の損益はゼロで、和解金の2000億円と株式譲渡損の合計の4,480億円の損失となる。
現金支払い分の1300億円を損失にする場合、既に評価減して簿価をゼロとしている債権を700億円で譲渡する必要がある。
恐らくそうと思われるが、今回発表では不明。
発表のとおりであれば、結果的には、2016年3月に三菱重工業が請求し、日立が拒否した金額の支払いで決着したこととなる。
2019/12/20 米議会、予算案を可決
トランプ大統領の弾劾で大騒ぎの米国議会は暫定予算の期限切れ直前の12月19日に予算案(2019/10〜2020/9)を可決し、大統領に送った。 トランプ大統領は署名するとみられ、政府機関の一部閉鎖は回避される。
付記 大統領は12月20日に署名し、予算は成立した。
予算を巡っては、 7月22日に、今後2年間の連邦政府の歳出と債務の上限について与野党で合意した。2020会計年度(2019年10月〜20年9月)と21会計年度の歳出上限を計3200億ドル引き上げるほか、債務上限に ついては、 2021年7月末まで2年間棚上げする。
2019/7/25 米
歳出上限と債務上限を引き上げ
しかし、具体的な予算については トランプ大統領が選挙公約に掲げる「国境の壁」の建設費などで妥協点を見いだせておらず、進展がなく、9月27日に 米連邦政府の支出を2019年のレベルで11月21日まで手当てするつなぎ予算が通った。
2019/9/30 米つなぎ予算が成立、11月21日まで協議継続
トランプ大統領は11月21日、12月20日までの暫定予算案に署名、暫定予算成立により政府機関閉鎖は寸前で回避された。
2019/11/25 トランプ大統領、暫定予算案に署名
、政府閉鎖を回避
その期限が近づくなか、大統領弾劾の議論の最中、議会は数週間にわたり超党派協議を行ない、政権と暫定合意した。
法案の規模は1兆4000億ドルで、社会保障費など「義務的」経費は今回の法案には含まれない。歳出増は財政赤字の拡大を招き、2019会計年度の財政赤字は9840億ドルとなる。議会予算局(CBO)は、今後10年の財政赤字の年間平均を1兆2000億ドルと予想している。
国防総省の予算は、前年度から220億ドル増額の7,380億ドルとなった。トランプ大統領が目玉政策として掲げる宇宙軍創設に関する予算も盛り込まれた。
トランプ大統領はメキシコ国境の壁建設費として50億ドルを要求していたが、予算案に盛り込まれたのは前年度並みの13億7000万ドルにとどまった。但し、民主党が反対していた軍事予算の壁建設への転用が可能とすることで折り合った。
下記が盛り込まれた。
非軍人の給与を平均で3.1%引き上げ。
若者の喫煙対策として、たばこの最低購入年齢を現行の18歳から21歳に引き上げる措置。
米食品医薬品局(FDA)が半年以内に規制案を策定し、3年をかけて州当局と連携して新たなルールを導入する。
オバマケア(医療保険制度改革法)の財源を支える目的で創設されたものの、導入見送りとなった税などの廃止。
地方自治体が来年11月の大統領選および議会選挙の準備に充てる費用.。サイバー攻撃に対するインフラ強化などに充てる。
数十年間凍結されてきた銃犯罪に関する研究予算。
民主党は裁量的経費が現行水準より440億ドル増えることになったと成果を強調した。ペロシ下院議長は、「全ての民主党員は、米国民の健康や金融面の安定、福利にとって大きな勝利となったこの力強い歳出パッケージを大いに誇りに思ってよい」と話した。
下院は12月17日、各省庁の予算のうち、国防総省関連歳出法案と非国防省庁などの歳出法案に分けて投票し、それぞれ可決した。
第一の法案は、国防総省、国土安全保障省、商務省、司法省、財務省その他の歳出
共和党
民主党
無所属
合計
賛成
130
150
280
反対
62
75
1
138
棄権
5
7
12
合計
197
232
1
430
下院総数 435、現在 欠員 4、民主党1名欠席
第二の法案は、農務省、労働省、内務省、運輸省、国務省その他の歳出
共和党の反対が多い。
共和党
民主党
無所属
合計
賛成
79
218
297
反対
112
7
1
120
棄権
6
7
13
合計
197
232
1
430
2法案は上院に送られ、12月19日に可決された。
第一の法案
共和党
民主党
民主系
無所属
合計
賛成
46
34
1
81
反対
4
7
11
棄権
3
4
1
8
合計
53
45
2
100
第二の法案
こちらも共和党の反対が多い。
共和党
民主党
民主系
無所属
合計
賛成
31
39
1
71
反対
21
2
23
棄権
1
4
1
6
合計
53
45
2
100
2019/12/21 英下院、離脱関連法案の基本方針を可決、来年1月8日に採決
ジョンソン首相は12月20日、EUと合意した離脱協定案を国内法に反映する関連法案を提出した。
前回の法案に、EUとのFTAの締結が間に合わない場合でも、来年12月末までの移行期間を延長したり、EU法の英国への適用停止日を延期したりできなくする条項を付け加えた。
下院は12月20日、離脱関連法案の第二読会を行い、法案の基本方針を 359 対 234
で可決した。その後、日程を決める議事進行動議を 353 対 243で可決した。
この後、来年1月6日と7日に委員会審議が行われ、1月8日に第三読会で最終審議を行う。
与党保守党は今回の総選挙で過半数を得ており、来年1月31日の離脱は確実になったとみられる。
議会の法律審議は次の通り行われる。
第 一読会( First
Reading )
本会議で法律案の題名朗読
第 二 読会( Second
Reading )
本会議で法律案の基本方針審議(その後は、 基本方針から外れる修正案は許されない)
議事進行動議 ( Programme
Motion )
その後の法 律案審議の日程 表決
委員会段階( Committee
Stage )
逐条審査
第三 読会( Third
Reading )
本会議での法律案最終審議
10月の離脱関連法案の審議では、10月22日の 「第二読会」議案を329対299で可決した。
しかし、 離脱関連法案を早期に成立させるために政府が提出した「議事進行動議」が308対322の僅差で否決された。
否決後、ジョンソン首相は立法手続きを中断した。
2019/10/23
Brexit の延期 濃厚に
その後、総選挙となり、今回の圧勝となった。
議席の推移と今回投票結果:
解散 前
2017/6/8
選挙
今回
解散前
今回
選挙
12/20
賛成
反対
棄権
他
保守党
330
317
298
365
353
10
2
民主統一党(NI)
8
10
10
8
7
1
(与党)
ー
(327)
(308)
ー
労働党
232
262
243
202
6
162
32
2
スコットランド国民党(Scot)
56
35
35
47
45
2
自由民主党
8
12
20
11
11
独立党
1
0
0
1
1
独立グループ
0
24
ー
Change UK
5
0
シンフェイン党(NI)
4
7
7
7
7
ブライドカムリ(Wales)
3
4
4
4
4
緑の党
1
1
1
1
1
社会民主労働党(NI)
3
0
0
2
2
北アイルランド同盟党(NI)
0
0
0
1
1
アルスター統一党(NI)
2
0
0
0
無所属
1
1
0
0
議長
1
1
1
1
1
空席
0
0
2
0
合計
650
650
650
650
359
234
52
5
議長と副議長(3人:未選任)、シンフェイン党(7人)は投票せず。
付記 2020/1/8
副議長が選任された。保守党から2人、労働党から1人となった。
ーーー
英議会下院は12月17日に再開し、初日慣例の議長選任( Sir
Lindsay Hoyle が再任)と議員による宣誓が行われた。
総選挙前の 10月31日にJohn
Bercow下院議長が議員を引退した。後任の議長の選任は11月4日に行われ、労働党のSir Lindsay Hoyleが議長に選任された。
北アイルランド選出のシンフェイン党はこの国家元首(エリザベス2世)への宣誓 を拒否し、登院をせず、 議員歳費も受け取っていない。
Sir Lindsay
Hoyle議長選任で、労働党は202議員となった。
エリザベス女王は12月19日にジョンソン政権の施政方針を読み上げた。
来年1月末のEU離脱が最優先課題とあらためて表明し、離脱の移行期間を延期しないことを明言した。
「EU離脱を達成することが優先課題であり、英国は1月末に離脱する」 「英国を優柔不断の締め付けから解放し、人々や企業の信認を取り戻す。離脱後の移行期間を2020年以降に延期する可能性を排除 し、これ以上の躊躇や遅れを回避する」
また、離脱後はFTAに基づくEUとの将来関係を模索するとともに、EU以外の主要経済国とも通商交渉を開始するとした。
海外からの移民についてはポイント制を導入し、英国に寄与する熟練労働者を優遇するとしている。
移行期間の11カ月内にEUとのFTAを締結し、発効させなければ、2021年1月にEUとの間で関税が発生することとなり、合意なき離脱に似た事態が発生する。
移行期間は2020年12月末までとなっており、双方が合意すれば移行期間の延長を2年までも認められる。
但し、移行期間中は英国はEU法に従うと共に、EU予算への拠出も継続する。一方、加盟国としての権利は失う。
EUとしては、英国が簡単に、有利に離脱出来た場合、今後、離脱を希望する加盟国が出る可能性があるため、英国に厳しい姿勢を示している。
しかし、FTAが期間内に発効せず、合意なき 離脱
に似た状況になることはEUにとっても好ましくない。
ジョンソン首相は、これを盾に、2020年中のFTA締結・発効をEUに求めるもの。
2019/12/22
米福音派の有力誌、トランプ大統領の罷免呼びかけ
キリスト教福音派は米人口の4分の1を占めるとされる最大の宗教勢力で、トランプ米大統領の支持基盤となっている。
福音派の指導的牧師として保守派に強い影響力を持ち、トランプ氏を支持したBilly
Graham (2018年2月に死去)が創刊した雑誌 Christianity
Today は12月19日、「トランプは罷免されるべきだ」(Trump Should
Be Removed from Office)と題する論評を掲載した。
https://www.christianitytoday.com/ct/2019/december-web-only/trump-should-be-removed-from-office.html
内容は次の通り。
本誌の創設者の Billy Graham は、Christianity
Today は福音派のクリスチャンが信仰の面からニュースを理解するのを助けるとした。
トランプ大統領の弾劾は重要な事件だ。
大統領は政敵の評判を落とすため、自分の権力を使って外国首脳に働き掛けた。そうした行為は憲法違反というだけでなく、極めて不道徳的だ。
大統領は政権で道徳概念を捨て去った。
福音派支持者は、彼の最高裁任命、宗教の自由の保護、経済運営などを支持する。しかし、弾劾のヒアリングで、個人の利益のため権力を乱用し、憲法上の誓約を裏切った。大統領の道徳欠如が明らかになった。大統領制を傷つけ、米国の威信を傷つけ、米国民の精神と未来を傷つけた。業績よりも道徳的、政治的危険の方が大きい。
トランプ氏を上院で罷免すべきか、次の選挙で落選させるべきかは、慎重な判断を要する問題だ。トランプ氏の罷免は党派ではなく十戒の創造主への忠誠心が試される問題となっている。
That he should be removed, we believe, is not a matter of partisan loyalties
but loyalty to the Creator of the Ten Commandments.
これに対し、大統領は12月20日、「極左雑誌だ」「もう読まない」などとツイッターで反撃した。「私ほど福音派のために尽力した大統領はいない」とも述べた。
A far left magazine, or very “progressive,” as
some would call it, which has been doing poorly and hasn’t been involved
with the Billy Graham family for many years, Christianity Today, knows
nothing about reading a perfect transcript of a routine phone call and would
rather have a Radical Left nonbeliever, who wants to take your religion &
your guns, than Donald Trump as your President.
No President has done more for the Evangelical
community , and it’s not even close. You’ll not get anything from
those Dems on stage. I won’t be reading ET again!
I
guess the magazine, “Christianity Today,” is looking for Elizabeth Warren,
Bernie Sanders, or those of the socialist/communist bent, to guard their
religion. How about Sleepy Joe?
The fact is, no President has ever done what I have done for Evangelicals,
or religion itself!
Billy Grahamの息子のFranklin
Grahamは、この雑誌を創刊した父は この論評に同意しなかっただろう、失望しているだろうと述べた。父は真のトランプを知っており、彼を信じ、彼に投票した。トランプが国民に必要な人間だと信じていたとも述べた。
CT Magazine released an editorial saying
Trump should be removed from office & they invoked my father’s name, so I
felt I should respond.
Yes, Billy Graham founded Christianity Today; but no, he would not agree
with their piece. He’d be disappointed.
I hadn’t shared who my father Billy
Graham voted for in 2016, but because of CT Magazine’s article, I felt it
necessary to share now.
My father knew real Donald Trump, believed in him & voted for him. He
believed Donald J. Trump was the man for this hour in history for our
nation.
Franklin Grahamは 「トランプ氏こそ神から遣わされた大統領だ」と述べていた。
ーーー
福音派は聖書の信仰に目覚めた保守的なプロテスタントの総称。
Billy
Grahamは福音派を代表する指導者で、全米各地にとどまらず、世界185の国と地域で伝道し、2億を超える人々に教えを説いたとされている。トルーマン以降、歴代すべての大統領と親しい関係を結んだことでも知られている。
大統領選挙では、トランプ候補が福音派から圧倒的多数の支持を集めたことが勝利を決定づける要因のひとつになった。福音派からの支持率は81%に上った。
トランプ候補は、最高裁をはじめ連邦判事に保守派を選ぶと公約し、妊娠中絶などに強く反対した。イスラエルのアメリカ大使館をエルサレムに移転すると公約し、その通りしている。
アメリカの税法には教会など免税措置を受ける非営利団体が、選挙で特定候補を応援したり反対表明したりすることを禁じる規制(ジョンソン修正条項)があるが、トランプ大統領は今この条項を撤廃して、宗教団体による政治参加を広げるよう目指している。
2019/12/23 世界の石油化学製品の需給動向 (2019)
METIは10月17日、2023年までの世界のエチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ 、発表した。
発表内容は次の通り。
商品別国別の需要・能力・生産をグラフ化した。 http://www.knak.jp/METI-world/meti-2019/index.html
特記事項:
1.中国の動向等
中国において 新増設計画は 引き続き計画・検討されている。 第 13 次 5 ヵ年計画( 13-5 計画)では、次 期統合型エチレンコンビナートとして 2020 年以降を目途に7つの地域に集約、原料の多様化、環境問 題、エネルギー循環型も含めた、新規エチレンプラントの構想が打ち出されている 。
2.米国のシェール革命の影響
米国においてシェール由来の エタンコンプレックスの更なる 新増設計画が予定されており、 2030 年を目途に米国のエチレン製造能力が 5 千万d規模に 拡大する見通しとなっている。
昨年度 1Q 以降の
DowDupont /Chevron Phillips/ExxonMobil の 150万トン のメガコンプレッ クスの稼働開始以降、予想通り、米国がエチレン系石化品の一大輸出基地化し、懸念通りグロー バルな石化需給、市況に影響を与え始めている。
同時にスタートした米中 経済摩擦も大きく影響し、グローバルなトレードに大きな変化をもたらした。
米国では堅調な経済成長を基に内需の伸びも期待されるが、現状で既にエチレン換算で約 800 万ト ン、プロピレン換算で約 100 万トンの輸出超過となっており、今後稼働する新増設計画の大部分が輸出 に向けられと予想され、特に誘導品としての PE 、 EG を中心とした輸出増が 2019 〜 20 年以降のグロ ーバルなマーケットに与える影響が懸念される。
また、エチレンでの輸出も増加傾向にあり、今後の輸 出用ターミナルの増強次第で、更に増加するものと予想される。
概要は以下の通り。
1.世界のエチレン系誘導品
1)生産能力
2)需要
3)世界のエチレン系誘導品の需給バランス(エチレン換算 百万トン)
世界計
アジア計
うち中国
北米計
中東計
2017
能力
178.2
70.7
29.0
35.2
31.1
生産
154.0
59.0
25.0
33.9
28.1
需要
149.7
74.1
44.1
25.7
9.6
バランス
4.3
-15.1
-19.1
8.2
18.5
2023
能力
222.8
97.9
48.4
45.1
33.8
生産
193.4
81.3
39.1
42.4
32.3
需要
182.5
94.8
59.1
28.9
12.4
バランス
10.9
-13.5
-20.0
13.5
19.9
2.世界のプロピレン系誘導品
1)生産能力
2)需要
3) 世界のプロピレン系誘導品の需給バランス(プロピレン換算
百万トン )
世界計
アジア計
うち中国
北米計
中東計
2017
能力
117.0
52.9
34.2
17.4
10.3
生産
104.4
55.5
29.5
14.7
9.5
需要
98.7
56.4
34.3
14.0
3.6
バランス
5.7
-0.9
-4.8
0.7
5.9
2023
能力
147.6
86.7
50.8
19.8
12.0
生産
130.4
76.5
43.1
15.9
11.1
需要
120.0
71.8
45.5
15.2
5.0
バランス
10.4
4.7
-2.4
0.7
6.1
3.主要製品の需給 (総能力、総生産と地域別需要)
PSは生産が需要を常時大きく下回っており、元資料に誤りがあると思われる。
他の商品のグラフ 及び商品別の国別の需要・能力・生産のグラフは下記にあります。
http://www.knak.jp/METI-world/meti-2019/index.html
2019/12/24 サハリン1のLNG計画
12月20日付の日本経済新聞は、サハリン1のLNG計画について、 日本の官民が米エクソンモービルなどと共同で事業を推進する方針を固めたと報じた。
エクソンとロシア国営石油会社ロスネフチのほか、経産省と伊藤忠、石油資源開発、丸紅などが出資する「サハリン石油ガス開発」
などの企業連合が事業を推進する方針という。
デカストリ港で年産620万トンの生産能力を持つLNGプラントの建設を目指している。 2027年にも生産を始め、事業費は1兆円規模になる見通し。ロシアは天然ガスの供給先を欧州からアジアにも広げたい意向で、日本もロシアとの関係を強化し調達を多様化する。
サハリン1プロジェクトの概要は下記のとおり。
事業主体
・ Exxon
Neftegas 30%
(米、エクソン・モービル子会社、オペレーター)
・サハリン石油ガス開発(株)(通称:SODECO)30%
・ ONGC Videsh (インド、20%)
・ Sakhalinmorneftegas-Shelf (ロシア、11.5%)
・ Rosneft -Astra
(ロシア 8.5%)
投 資 額
約120億ドル以上
開発鉱区
オドプト、チャイヴォ、アルクトン・ダギ
推定可採
埋 蔵 量
@石油 約23億バレル
A天然ガス 約4,850億立方メートル
サハリン石油ガス開発には、 経済産業大臣
50.00%、 伊藤忠グループ
16.29% 、 石油資源開発
15.3 %、 丸紅
11.68%、 国際石油開発帝石
5.74% が出資(端数異動あり)
チャイウォ油ガス田からは、2005年10月より、海上のプラットフォームや陸上の坑井基地・処理施設などの生産施設を用いて原油・天然ガスが生産されている。2015年4月には大偏距掘削で13,500mという世界最長記録を達成した。オドプト油ガス田では2010年9月から、アルクトン・ダギ油ガス田では2015年1月より各々原油生産を開始している。
原油とガスの輸送については下記の通り。
<石油>サハリン島を東西に横断し大陸側に至るパイプラインで運搬、そこからタンカーで日本等へ輸出
<ガス>
当初案は 、北海道の内陸の一部(石狩平野)を経由する海底パイプラインにより運搬 する予定であったが、
パイプライン敷設の漁業補償問題や、最大需要家になるとみられた東京電力も購入に難色を示したため、この計画は白紙となった。
その後 、 ガスプロムと英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが主導する「サハリン2」 (南端のプリゴロドノエまでパイプラインで運搬し、液化)にガスを販売する計画だったが、価格交渉が決裂し、自前でLNGを輸出する方針に転換した。
ガスの液化については、当初はロスネフチとエクソン両社で建設する方針だった。
両社は2013年にLNGプラントの建設計画をプーチン大統領に提示した。しかし、ウクライナ紛争を巡る対ロシア制裁など多数の要因が重なり、現在まで実現していない。
2018年10月報道では、両社にサハリン石油ガス開発とインドのONGCを加えた4社での建設に変更された。
LNGの生産自体は経済制裁の対象ではないが、ロシア企業は制裁により金融市場へのアクセスが制限されている。 サハリン石油ガス開発とONGC両社と組むことで、コストを分担できるほか、制裁に伴うリスクを和らげる狙いもあるとみられる。
サハリン計画については http://www.knak.jp/blog/2006-6-1.htm#sakhalin
サハリン1計画については 2018/7/25
ロシア国営石油大手 Rosneft、サハリン1の参加者を提訴
サハリン2計画については 2 007/1/9 サハリン2計画 再スタートとその背景
2019/12/25 昭和電工、日立化成にTOB
昭和電工は12月18日、日立化成を株式公開買い付け(TOB)により買収すると発表した。
12月初めに、日立製作所がグループの中核子会社である化学大手、日立化成の売却を巡り、昭和電工に買収の優先交渉権を与えることを決めたと報じられていた。
2019/12/2
日立製作所、子会社日立化成を昭和電工に売却へ
発表では、TOB価格は1株4,630円、買付代金は総額9640億円となる。
昭和電工は、今回の買収によって、5G、半導体、自動車電動化などに注目した7事業領域での成長を目指す、としている。
日立製作所は所有する51.29%全てを譲渡する。譲渡金額は4,940億円になる。
付記
昭和電工は2020年3月23日、日立化成に対するTOBを3月24日に始めると発表した。期間は4月20日までで、1株あたり4630円、買収総額は約9600億円。
TOBの前提としていた日本、中国、韓国、米国、欧州連合及び台湾の独占禁止法の審査を通過した。
発行済みの全株式を取得し、6月の買収完了を目指す。
付記
TOBの結果、87.61%を取得した。取得金額は
8,445億69百万円。4月28日付で昭和電工の連結子会社になる。
今後、 全株式を取得し、6〜7月をめどに完全子会社とし、上場廃止する。
買収によるノレン代は約5200億円で、20年償却でも償却費は年間260億円となる。
付記
日立化成は2020年6月19日に上場廃止となった。(1970年に上場)
6月23日に完全子会社化。
昭和電工は6月23日、連結子会社化した日立化成の社名を2020年10月1日付で「昭和電工マテリアルズ株式会社」(Showa Denko Materials
Co., Ltd.)に商号変更すると発表した。
付記
2021年6月、買収した日立化成の電子機器などに使うプリント配線板事業を、国内投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループに売却することが分かった。売却額は約400億円とみられる。
日立化成買収後、財務改善のため事業売却を進めている。
ーーー
当初、三井化学などの総合化学メーカーや米投資ファンドなどが名乗りを上げたが、買収額などで折り合わなかった。2次入札で高値をつけた昭和電工が最終候補となった。
買収額の約1兆円は、日立化成の実績(売上高 6,810億円、調整後営業利益
486億円、株主帰属利益 287億円:2019/3連結)からみて、高すぎると思われる。
更に、通常の買収であれば51%を取得し、子会社にすればよい。この場合は5,000億円の支出で済む。
しかし、今回の場合は次の理由で100%のTOBが必要で、1兆円が必要となる。これも他社にとって障害になったと思われる。
証券取引所内外、どちらの取引であっても、買付け後の株式等所有割合が1/3を超える場合はTOBによる実施が義務付けられている。
現行制度上、公開買付者は、TOBに際して買い付ける株券等の数について、上限を設定することが認められている。
但し、買付け後の株券等所有割合が3分の2以上となる買付けを行う場合には、買付数に上限を設けることを認めず、応募のあった株券等を全て買い取ることを義務付けられる。
(51%の取得であれば、上限を設けることができる。)
但し、応募株券等の数の合計が上限を超えるときは、あん分比例の方式により応募株主から平等に買付けを行うものとされている。
今回の場合、 日立化成の11月25日の終値は3,465円であった。昭電のTOB価格は1株4,630円
で、全株主が応募するのは確実である。
問題は、日立製作所は持株(51.29%)全てを売却するのが目的である。昭電が仮に51%のTOBをした場合、日立が売れるのは、按分により、26.2%にとどまってしまう。
このため、日立の51.29%を全部売却するには、100%TOBしかないことになる。
ーーー
昭和電工は 、TOB当事者として完全子会社であるHCホールディングスを設立し、 買収資金9700億円を次により手当てする。
昭電
みずほ銀行からの融資
2,950億円
HC ホールディング
みずほ銀行、日本政策投資銀行にA種優先株を発行
2,750億円
みずほ銀行からノンリコースローン
4,000億円
合計
9,700億円
優先株とノンリコースローン(日立化成の返済能力に依拠)の活用に より昭和電工の 直接的な出資金額 を抑制 する。
昭和電工は普通株式の発行を伴う資金調達は予定せず、 株式の 希薄化は伴わない 。 実質負担は@の2,950億円にとどまるとしている。
買収後、両社は2つの ステアリング・コミッティを通じて事業統合を進める。
@ 事業ポートフォリオ・マネジメント、投資、予算および 資金調達に係る意思決定
A 統合作業の進捗管理・監督
株式取得日 1 年後を目 途に 実質的な統合 を目指す。
2019/12/26 米EPAと司法省、除草剤Roundupの発癌被害裁判でBayer側支持の意見書
現在、上の2番目の裁判の控訴審がサンフランシスコで行われている。
元の裁判では、裁判官は懲罰的賠償は高すぎるとして大幅に減額したが、「除草剤Roundupのラベルには発癌の危険が示されておらず欠陥である」との陪審員の判断については否定せず、有罪にした。
控訴裁でBayerは、Roundupが癌の原因ではないとし、無罪を主張した。
米EPAと司法省は12月20日、friend of the court brief
(=amicus curiae:個別事件の法律問題で第三者が裁判所に提出する情報または意見)を提出した。
このなかでEPAは、EPAはRoundupのラベルを調べ、承認したこと、Roundupには発癌性はなく、このため、発癌性の危険を表示する必要性はないとした。判決は覆すべきであるとしている。
EPAは発癌性を認めず、製品ラベルには当然、発癌性の危険は表示されていない。しかし、カリフォルニア州は発癌性製品のリストに含めており、発癌性の危険が表示されていないのは違法となる。
原告側弁護士は、連邦法ではなく、州法を基に訴訟を起こし、一審の裁判官もこれを認めたもの。
州法に基づき、連邦法でのラベルを否定した形となっている。
EPAと司法省は、ラベルは法律で認めたもので、それと異なるやり方での使用は法律違反であるとし、州は農薬の販売や使用を制限することは出来るが、国が承認したラベルと異なるもの、追加したものを求めることは出来ないとしている。
ーーー
背景は以下の通り。
2015 年 3 月 に WHO の下部組織である 国際がん研究機関( IARC )が 、 Roundup の有効成分である glyphosate
を グループ 2 A ( ヒトに対しておそらく発がん性があ る) に分類した。グループ2Aは、「 ヒトへの発がん性については限られた証拠しかないが、実験動物の発がんについては十分な証拠がある場合」である。
しかし、この判断は米国EPAやEU、豪州、ニュージーランド、ドイツ、日本、カナダなど各国の関係省庁の判断と異なる。
EPAは2017年12月、glyphosateは“not likely to be
carcinogenic to humans”との判断を再確認した。
しかしながら、カリフォルニア州では上記IARCの判断に基づき 、glyphosateを 「カリフォルニアで発癌性があると知られる」“Prop
65” chemicals のリストに含めた。そして、
glyphosateを含む製品には警告ラベルを記載することを求めた。
プロポジション65(Prop
65 )は、正式名称を「1986年安全飲料水および有害物質施行法」といい、1986年11月の環境投票活動として有権者によって制定された。
カリフォルニア州の市民および飲料水資源を、癌、先天異常または他の生殖害を引き起こすことが知られている化学物質から保護することを目的としている。
この結果、裁判では発癌性の警告がラベルになかったとして有罪判決につながった。
しかし、EPAは本判決後の本年8月、glyphosateを含む製品を登録している全社に手紙を送り、glyphosateはヒトへの発癌性はないとの判断に基づき、glyphosate製品ラベルにProp
65 の発癌性警告を載せることは「誤りで、ミスリーディングである」とした。
・法律では、農薬の “misbranding”は禁止されており、農薬のラベルはEPAの承認が必要である。
・EPAとしては、「誤りで、ミスリーディングである」発癌性警告を含んだglyphosate製品のラベルは承認しない。そのような警告はラベルから外す必要がある。
・連邦裁判所は既にカリフォルニア州がProp 65 labeling requirementを求めることを禁止している。(Nat’l Ass’n of
Wheat Growers v. Zeise)
2019/12/27
ロシアとウクライナ、
欧州向けガス輸出で合意
ロシアとウクライナは12月19日、2020年1月以降もウクライナのパイプラインを経由してロシア産の天然ガスを欧州に供給することで基本合意した。
現在の輸送契約は2019年末に失効するが、新しい契約を結ぶ交渉が難航していた。
ロシアとウクライナは天然ガスを巡り、何度も争っており、ウクライナを経由するパイプラインでロシアから天然ガスを受けている欧州も巻き込まれてきた。
ロシアの国営ガス会社ガスプロムはドイツに向かう「ノルドストリーム2」とトルコに至る「トルコストリーム」の2本の大型ガスパイプラインを2020年に稼働させる予定で
ある。
Nord Stream -2
は全長約1200キロメートルで、バルト海を通ってロシアと独北部を結ぶ。輸送能力は年550億立方メートルで、ロシアの欧州へのガス輸出量の約4分の1に当たる。年内に完工するとの観測が出ている。
ウクライナを迂回したロシア産ガスの輸出ルートでは、黒海からトルコに輸出し、さらにブルガリアやハンガリーなどに輸出する Turkish
Stream も建設されている。
2020年に運用開始の予定。
2019/11/9 Nord
Stream -2 、年内完工へ
ロシア側は「ノルドストリーム2」と「トルコストリーム」の開通で、ウクライナ東部で争っており、過去にガスパイプラインを巡って何度もトラブルを起こしていたウクライナ経由の輸送量を減らしたい思惑がある。
一方、経済の悪化に苦しむウクライナは多くの輸送量を確保した長期契約で、多額の通過料を得ることを目指した。
更に、過去の契約が不当だったとしてガスプロムを相手取り、複数の訴訟や罰金の請求を試みていた。
ーーー
今回の合意は、契約期間は5年で、ウクライナのパイプラインを経由する欧州への供給量を20年が650億立方メートル、2021年から400億立方メートルと段階的に減らす。
さらにロシアは国際裁判所の決定に従い、ウクライナに約30億ドルの賠償金を支払う。ロシア側が30億ドルの支払いに同意したことで
、他の訴訟問題などはひとまず取り下げた模様。
これにより、来年以降のロシアの欧州向けガス輸出は下記の通りとなる模様。
・
現状
今後
ノルドストリーム 1
590億m3
→
ノルドストリーム 2
ーーー
550億m3
ベラルーシ経由
420億m3
→
ウクライナ経由
800億m3
650→400億m3
トルコストリーム
ーーー
315億m3
ブルーストリーム
130億m3
→
なお、米国では12月20日、トランプ大統領の署名で「国防権限法」が成立した。
米国は、欧州のロシアへのエネルギー依存が深まることで「欧州の安全保障上の脅威」になると懸念しており、国防権限法で「ノルト・ストリーム2」への制裁を決めた。今後、明らかになるが、敷設事業に関係する企業が制裁対象になる見込み。
米国の決定を受け、敷設事業に参加するスイス拠点のAllseasは12月21日、作業の停止を発表した。
パイプラインの総延長約1200kmのうち、残りは約130kmとなっている。Allseas社の離脱で、事業を主導するガスプロムは関係企業に代行させる検討を始めた。
米国の制裁で、完成が来年後半にずれ込む可能性も取りざたされている。ラブロフ露外相は「対抗措置」も警告、ドイツのショルツ副首相兼財務相は「ドイツと欧州の主権への深刻な攻撃だ」と批判した。
2019/12/28 中国、859品目の関税引き下げ
中国の国務院関税税則委員会は12月23日、来年1月1日から食品やハイテク製品の部品など859品目の輸入品
について、WTO加盟国に対する最恵国税率(MFN税率)より低い輸入暫定税率を適用すると発表した。
そのほか、WTO加盟議定書の情報技術協定に基づき、2020年7月1日から情報技術製品176品目について、第5段階の引き下げを実施する。
中国の経済開放をアピールするとともに、内需を刺激する。
ーーー
昨年も同様の措置を行った。
中国財政部は2018年12月24日、2019年の輸出入の関税調整計画を発表した。
2019年1月1日より、自動車生産ライン向け産業ロボットなど706品目で現行の最恵国税率よりも低い暫定税率が適用される。
2019年7月からは電子・IT製品に対する通算4回目の減税も実施する。医療診断装置やスピーカー、プリンターなど幅広く、298品目が対象となる。
2018/12/26
中国、来年1月から一部品目で関税引き下げ
ーーー
今回の859品目のうち、ぜんそく治療用のアルカロイド類医薬品、新型糖尿病治療薬を生産する原料などについて、投薬コストを引き下げ、新薬の生産を促進するために、ゼロ関税を実施する。
また、国内で比較的供給が不足している財の消費を増やすため、食品について新たに暫定税率を設けた。
アフリカ豚コレラの流行により供給不足が指摘されている冷凍豚肉の関税率は12%から8%に引き下げられる。
冷凍アボガド、非冷凍のオレンジジュースなどの商品に対する輸入暫定税率を新たに引き下げる。
さらに、先進技術・設備・部品の輸入を拡大し、ハイテク技術産業の発展をサポートするためとして、自動車のオートマチックトランスミッションに用いるトルクコンバーターやアルミニウム製バルブコア、集積回路(IC)ストレージやフォトレジスト用分散液などの半導体関連製品についても、新たに関税率が引き下げられる。
現地の報道では、ハイテク製品については、一部の国がコアとなる部品・技術・原材料の供給を断つことで中国企業に圧迫を加えているとし、同分野の輸入を拡大することでボトルネックを解消する必要があること、また、一部の国が中国のハイテク製品に対し関税を引き上げているため関連企業が大きな圧力に直面しており、部品や原材料の関税率引き下げによって、こうした企業のランニングコストを削減できるとしている。
一方で、中国が輸入規制を強化している固体廃棄物のうち、タングステンとニオブの2種のくずに対しては輸入暫定税率が取り消され、より高いMFN税率が再び適用される。
1月1日からの859品目の関税は: http://gss.mof.gov.cn/gzdt/zhengcefabu/201912/P020191220564315355326.pdf
2020年7月1日からは、ICや医療用診断装置など情報技術製品176品目に対する最恵国税率について5回目の引き下げを実施すると同時に、7つの情報技術製品の輸入暫定税率を廃止する。
7月1日からの情報技術製品の関税は:http://gss.mof.gov.cn/gzdt/zhengcefabu/201912/P020191220564315742803.pdf
2019/12/30 イタリア、デジタル課税を導入、
フランスに追随
イタリア議会代議院(下院)は12月23日、2020年の予算案を賛成334、反対232で可決した。
このなかで、フランスに追随してデジタル課税 の2020年1月1日導入を決めた。
世界での売上高が7億5000万ユーロ以上、イタリア国内で550万ユーロ以上の売り上げがある企業を対象に、デジタル収入に3%の税金を課す。
ネット広告や音楽のデジタル配信、クラウドコンピューティングなどを手がける企業が対象となる。
政府はデジタル課税で年間7億ユーロ程度の税収を見込んでいる。
グーグルやフェイスブックなど米IT大手は物理的な施設を持たずに、データのやりとりなどで稼ぐ。現在、オフィスや工場などの「恒久的施設」(Permanent
Establishment ) がないと外国法人には法人税を原則課すことができない
。
このため、欧州や日本ではこれら各社の税負担が極端に低い。
欧州委員会は昨年3月21日、デジタル分野における課税に関する指令案を発表した。
その後、EUでは暫定的な税の適用について、議論を進めてきたが、税制の変更には全会一致の承認が必要となる。
EUのデジタル課税案には、低税率で米IT大手などを誘致してきたアイルランドなどが導入に猛反発し、また米国からの「報復」を警戒するドイツなども、国際的な課税ルール見直しの議論を見極めるべきだと早期導入に慎重な姿勢を崩さず、調整が難航した。
フランス上院は7月11日、Digital Services Tax法案を可決し、Macron
大統領は7月24日にこれに署名、これが法律となった。
課税事業
(i ) ユーザーが他のユーザーとコンタクトしたり、商品やサービスを購入するデジタルインターフェースの供与
(ii )
フランスのユーザーに広告する業者にデジタルインターフェースでサービスを供与
課税対象企業
課税事業の全世界売上が750百万ユーロ以上で、
フランスのユーザーからのそれが25百万ユーロ以上
税率
対象売上高の3%
課税開始
2019/1/1に遡及
米通商代表部(USTR)は12月2日、フランスが導入したデジタルサービス税が米国のIT企業を不当に差別していると断定し、24億ドル分に相当するフランスの63品目に最大100%の制裁関税を検討する。
2019/12/5 米、仏デジタル税に制裁関税検討
米国はイタリアに対しても報復措置をちらつかせている。
経済協力開発機構(OECD)もデジタル課税についての国際的なルール作りを進めており、2020年1月までの大枠合意を目指している
が、ムニューシン米財務長官は12月上旬、OECDのグリア事務総長に「米国は独自のデジタル課税に強く反対する。米企業活動に差別的な影響を及ぼす」との書簡を送付した。米国の反対で協議は難航する可能性が高い。
ーーー
この動きに対し、アマゾンやグーグルは日本で法人税を支払うように変更した。
アマゾンは日本法人が2017年12月期と2018年12月期に、それぞれ約150億円の法人税を納付したとされる。
従来は、米国本社が日本の業者から購入、日本の需要家に販売する形をとっていた。売買差益は日本で非課税となる。
製品の倉庫への受け入れ、需要家への配送は日本子会社が受託し、受託料だけを収入として、少額の税金を納入していた。
現在は、日本法人が購入、販売する形に変更、売買差益は課税対象となった。
グーグルも、以前は日本の事業の大半はシンガポール法人が契約し、日本以外で売り上げを計上していた。
2019年4月からは、主力の広告事業で日本法人が日本国内の契約を結ぶことにした。
ーーー
今回、イタリアで2020年の予算案が議会で可決されたのは、大きな進展である。下院では予算案と政府の信任案との一体案として提出され、可決された。
昨年6月に発足したイタリアの「五つ星運動」と「同盟」の連立政権は、与党の「同盟」が内閣不信任案を提出し、崩壊の危機に瀕した。
2019/8/13 イタリア連立政権、崩壊の危機
中道左派「民主党(PD)」とポピュリスト(大衆迎合主義者)政党「五つ星運動」は8月28日、新たな連立政権を樹立することで合意した。
コンテ首相は9月4日、「五つ星運動」と「民主党」の2党連立による組閣名簿をマッタレッラ大統領に提出、9月5日に新閣僚の就任宣誓式を行った。
両党は政策合意で、EUとの連携を打ち出した。連立政権は、次期総選挙が開かれる2023年まで続くこととなる。
今回の予算案の可決は両党の連立の結果である。上院では既に12月16日に承認されており、法として成立した。
主なポイント:
財政赤字目標 GDPの2.2%
財政赤字問題については 2019/5/10 イタリアの2019年度見通し、債務削減の対EU公約未達へ
EUの財政規律の基本は、財政赤字の対GDP比
3%未満、公的債務残高の対GDP比率 60%未満である。 (公的債務残高は多くの国が基準を超えている。)
イタリアの公的債務残高は2018年の134.8%から、2019年には135.7%にアップする見込みで、2019年3QのイタリアのGDPは+0.1%に過ぎない。
付加価値税(VAT) 引き上げ凍結。 230億ユーロの歳入減、2021年に大幅引き上げが必要となる。
欧州委員会は付加価値税を2020年に予定通りひきあげ、財政規律を維持するよう促すが政権は慎重で、「別の税収確保の方法を考えたい」としている。
2018年予算安定化法案で2019年1月からの増税が定められていたが、2019年予算法において増税時期は先送りされ、2020年から実施すると定めている。
当初の税率の変更案 赤字 は凍結
現状
2019/1/1
2020/1/1
2021/1/1
標準税率
22%
24.2%
24.9%
25%
軽減税率
10%
11.5%
13%
プラスチック税
2020年予算案には、プラスチック製品(ボトル、ポリ袋、トレイ、洗剤容器等々)に1kg当たり1ユーロの税を課す案が含まれた。
最終的に1kg当たり45セントに修正された。
2019/12/30 韓国の月城原発1号機、ようやく永久停止決定
韓国の月城原発1号機のが永久停止がようやく正式に決定した。原子力安全委員会は12月24日、韓国水力原子力が2019年2月28日に申請した月城原発1号機の永久停止運営変更案を賛成5、反対2で承認した。
月城原発1号機は古里原発1号機に続き、国内で2番目の永久停止原発となる。
ーーー
月城原発1号機(67.9万kW)はCANDU方式で1983年4月22日に稼働したが、2012年に第1次運営許可期間が終了した。
韓国水力原子力は7,000億ウォン(約660億円) を投入して設備を交換するなど安全性を強化した後、 原子力安全委員会の承認を受け2022年までの延長稼働に入った。
これに対し、近隣の住民ら2100人余りが運転延長は無効だとして安全委を相手に行政訴訟を起こした。
一審のソウル行政裁判所は2017年2月7日、原告側の主張を認め延長を取り消す判決を言い渡した。延長審査の過程で原子力安全に関する法令が求める書類が不足していたことや、適切な決裁が行われなかったことなどを指摘、原子力安全委員のうち、委員の資格がないにもかかわらず審査に参加していた人物がいたことも問題視した。
韓国水力原子力は控訴した。
しかし、 再稼働の方針は政権と共に変わった。
文在寅大統領は選挙運動中に「新規の原発建設を全面中断し、建設計画を白紙化する」と公言し、老朽のものを閉鎖、建設中のものは見直し、今後40年で原発に頼らないエネルギー政策に切り替えると述べた。
大統領選挙前の2017年4月14日、脱原発市民団体6団体と反原発についての政策協定を結んだが、月城1号については、「判決を尊重し、寿命延長裁判の控訴を取り下げ、1号機を即座に閉鎖する」とした。
大統領は2017年6月に「月城1号機を可及的早く閉鎖する」と述べた。
2017/6/1
韓国、建設予定の原発の設計を中断、新大統領の脱原発方針の一環
続いて 韓国水力原子力の 理事会は早期閉鎖を決定した。安全性ではなく経済性に問題があるという理由
であった
しかし、これが問題となった。7,000億ウオンを投入したのに、稼働率を50%台に下げて「経済性がない」と結論付けた。取締役会開催を前日に通知し、経済性を分析した具体的な計算資料も提示しなかった。「かっぱらい理事会」という批判が出
た。
その後、韓国原子力安全技術院は月城原発1号機の検査を進め、安全性に問題がないとの審査結果を原子力安全委に提出した。
韓国水力原子力 は閉鎖を押し通し、2019年2月には安全委員会に永久停止の申請(運営変更許可申請)を提出した。
国会でも問題と判断し、「韓国水力原子力月城1号機早期閉鎖の決定の妥当性 および理事らの背任行為 」に関する監査院の監査要求案を本会議で議決した。監査院は間もなく監査を開始する。
しかし、原子力安全委員会は今回、評決を行い、常任委員2人が永久停止に反対したが、常任委員2人と非常任委員3人が賛成を表明した。
賛成した委員は「すでに3回目の審議なのに到底折り合いがつかない問題で本当に嫌だが、表決をするのがそれなりに賢明だ。月城1号機の寿命が現時点で3年も残っていないため、今回停止して消耗的な論争を減らすべき」と
述べた。
委員長は「これまで問題になっている韓国水力原子力 の背任などは、安全性の審査段階での規制システムとは異なる部分
で、原発の再稼働の可否や追加の投入費用7000億ウォンなどは、われわれが責任を負う領域ではない」と述べた。
科学技術界の重鎮13人は12月19日、文大統領に対し、脱原発エネルギー政策の全面撤回を促すとともに、次世代原発モデルAPR-1400を引き続き輸出するために
、現在保留している新ハンウル( 蔚珍) 原発3、4号機の建設を再開するよう提言した。
運転開始
原子炉形式
容量
kW
大統領の政策協定
ハンウル
( 蔚珍)
1
1988 /9 /10
加圧軽水炉 (PWR)
95万
2
1989 / 9 / 30
加圧軽水炉 (PWR)
95万
3
1998 / 8 / 11
加圧軽水炉 (PWR)
100万
4
1999 / 12 / 31
加圧軽水炉 (PWR)
100万
5
2004 / 7 / 29
加圧軽水炉 (PWR)
100万
6
2005 / 4 / 22
加圧軽水炉 (PWR)
100万
新ハンウル
1
(2018/4)
KSNP (APR-1400)
140万
建設を暫定的に中止し、社会的合意を通じて運転の是非を決定
2
(2019/2)
KSNP (APR-1400)
140万
3
KSNP (APR-1400)
140万
許可を取り消す。
4
KSNP (APR-1400)
140万
ハンピッ
(霊光)
1
1986 / 8 / 25
加圧軽水炉(PWR)
95万
2
1987 / 6 / 10
加圧軽水炉(PWR)
95万
3
1995 /12
加圧軽水炉(SYSTEM80)
100万
4
1996 /3
加圧軽水炉(SYSTEM80)
100万
5
2002 / 5 / 21
KSNP(OPR-1000)
100万
6
2002 / 12 / 24
KSNP(OPR-1000)
100万
月城
1
1983 / 4 / 22
CANDU
67.9万
運転延長取り消し判決の控訴を取り下げ、今回閉鎖決定
2
1997 / 7 / 1
CANDU
70万
3
1998 / 7 / 1
CANDU
70万
4
1999 / 10 / 1
CANDU
70万
新月城
1
2012 / 7 / 31
KSNP(OPR-1000)
100万
2
2015/7
KSNP(OPR-1000)
100万
3
KSNP(OPR-1000)
100万
(未認可)
4
KSNP(OPR-1000)
100万
古里
1
1978 / 4
加圧水型(PWR)
58.7万
(2017年6月停止が決定している。)
2
1983 / 7
加圧水型(PWR)
65万
3
1985 / 9
加圧水型(PWR)
95 万
4
1986 / 4
加圧水型(PWR)
95万
新古里
1
2011 / 2
加圧水型(PWR)
100万
2
2012/7
加圧水型(PWR)
100万
3
2017/1
加圧水型(PWR)
140万
4
間もなく
加圧水型(PWR)
140万
建設を暫定的に中止し、社会的合意を通じて運転の是非を決定
5
加圧水型(PWR)
140万
許可を取り消す。
6
加圧水型(PWR)
140万
三陟
4基
白紙に戻す。
盈徳
4基
2019/12/31
アステラス製薬、新しい CAR細胞療法 の Xyphos
Biosciencesを買収
アステラス製薬は12月26日、カリフォルニア州のXyphos Biosciences,
Inc.の発行済み全株式を取得した。
2017年設立で、 がん免疫治療技術を活用した医薬品の研究開発を行っており、従業員は7名。
買収手続完了時に1億2,000万ドル
を支払った。
これと、開発の進捗に応じたマイルストン支払いを合わせ、最大で総額6億6,500万ドル が支払われる
。
Xyphos社が有するCAR(Chimeric
Antigen
Receptor:キメラ抗原受容体)細胞療法に関する技術プラットフォームであるACCELTM (Advanced
Cellular Control through Engineered Ligands)とともに、がん免疫の分野をリードする優秀な人材を獲得する
。
CAR-T細胞治療は、患者由来の免疫細胞(T細胞)の遺伝子組み換えを行い、がん細胞を捉えて攻撃しやすくした上で患者の体内に戻す免疫細胞医療で、治療法が確立していない重篤・致死的な疾患に対する治療法として期待されている。
米国で2017年8月30日、 再発・難治性(r/r)B
細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および若年成人患者を対象とするCAR-T療法の
CTL019(商品名 Kymriah)が米FDAの承認を得た。
厚生労働省は2019年2月20日、薬事・食品衛生審議会
再生医療等製品・生物由来技術部会を開催し、ノバルティスファーマの「キムリア点滴静注」(チサゲンレクルユーセル)を 国内初のCAR-T細胞医療 として正式承認することを了承した。2019年3月26日に承認
を取得した。
CAR-T細胞療法では日本では、第一三共が米国Gilead
Scienceの大細胞型B細胞リンパ腫 を対象に申請準備中であるほか、大塚製薬やセルジーンが開発を行っている。
2019/2/22 厚労省部会、国内初の遺伝子治療2品目の承認を了承
Xyphos社独自のACCELTM 技術は、タンパク工学により創製した受容体とリガンドタンパクの特異的な結合を利用した合成生物学的手法に基づいてい
る。
受容体を発現させたナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞といった免疫細胞(convertible CAR® 細胞) と、攻撃標的であるがん抗原を認識する抗体 をリガンドタンパク と融合させた抗体-リガンド融合タンパク(MicAbody) を患者に投与し、治療する技術
。
リガンド(ligand)とは、特定の受容体(receptor)に特異的に結合する物質
攻撃対象となるがん細胞の特徴に応じて、MicAbodyを取り替えたり、複数使用することで、convertible CAR® 細胞に異なるがん抗原や複数のがん抗原を認識させ、 様々ながん細胞を攻撃することができ
る。
また、MicAbodyの投与量を調節することで、免疫細胞による過剰な免疫反応を制御し、従来のCAR-T療法で見られるサイトカイン放出症候群(cytokine
release syndrome)の発生を抑制できることも期待される。
サイトカイン 放出症候群 : CAR - T 療法下で見られる 有害事象 の一つで、過剰な免疫反応に より 多量のサイトカイン
( 細胞から分泌される低分子のタンパク質) が放出され 、血中のサイトカイン濃度が高度に上昇すること により 起こ
る。
インフルエンザ様症状(発熱、悪心・悪寒、筋肉痛等) 、 重度の低血圧、頻脈、呼吸困難など の 症状が急激に進展すると死亡に至ることがあ
る。
さらに、MicAbodyの抗体部分を別のタンパクに替えることにより、convertible CAR® 細胞の増殖や生存制御も可能にな
る。
Xyphos社のconvertible CAR® -T細胞のリードプログラムは現在、前臨床開発段階にあり、2021年に初めての臨床試験が行われる予定。
アステラス製薬では、自社子会社Universal
Cells社が有するユニバーサルドナー細胞技術と組み合わせ、白血球型抗原(HLA)不適合による拒絶を抑えた多能性幹細胞からconvertible CAR® 細胞を作製することで、革新的CAR-細胞医療製品が創製できると期待してい
る。
アステラス製薬は2018年2月14日、
米国のバイオベンチャーであるUniversal
Cells Inc. を買収したと発表した。
Universal
Cellsは、白血球型抗原(HLA)不適合による拒絶という細胞医療の課題を解決し、全ての患者の治療に用いることが可能な細胞医療製品を創製できる独自技術であるユニバーサルドナー細胞技術 を有している。
独自に開発した遺伝子の編集技術 を用いてHLA(自己と非自己を識別することができる細胞 の表面抗原)の発現を調整する。
rAAV(recombinant adeno-associated
virus)を用いてヒト胚性の幹細胞(ES細胞)の遺伝子編集を行なった結果として、免疫拒絶反応を免れる細胞を作製できた。
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