ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2020/4/2    ジャパンディスプレイ、白山工場の生産装置の一部をアップルに売却

ジャパンディスプレイ(JDI)は3月31日、生産装置の一部の売却について同社顧客(アップル)と最終契約を締結したと発表した。

JDIは2019年12月に下記の発表をしている。

当該顧客との間で、当社によるいちごアセットグループからの400億円以上の資金調達の実施等を条件として、
当社顧客が
取引の支払条件の緩和を行う旨、及び
当社白山工場の生産装置の購入を通じて実施する可能性も含めて、当社による当社顧客からの200百万米ドルの資金調達を実施する旨の最終契約の締結に向けて協議することで合意いたしました。

2018/12/19 ジャパンディスプレイ、いちごアセットグループからの資金調達に関する基本合意書締結

JDIは1月31日、独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントから最大1008億円の出資を受け入れる方向で最終契約を結んだと発表した。3月13日には、100億円の追加の資金調達で基本合意、最大 1108億円となる。これに基づき、アップルと最終契約を締結した。

2020/2/3 JDI、いちごアセットマネジメントと最終契約

具体的には、白山工場内の液晶ディスプレイ生産装置 を200百万ドルで売却する。同工場は2019年7月から停止している。

売却代金200百万ドル(概算215億円)は3月31日付で、アップルからの前受金残高879億円(2月末残高)と相殺する。

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2019年末に、JDIが白山工場を Appleと シャープへ売却する方向で交渉していると報じられた。

報道を受け、JDIは12月27日に以下のコメントを発表した。

白山工場の今後の取り扱いについては、あらゆる選択肢を検討しておりますが、現時点で決まったことはありません。
なお、上記選択肢を検討するにあたり、 現在、白山工場では生産設備及びインフラ設備等の状態を総点検しておりま す。

今回、JDIは白山工場内の液晶ディスプレイ生産装置 をアップルに売却したが、「これ以外の白山工場の製造装置、白山工場の土地及び建物について、国内事業会社へ譲渡すること について 継続検討中です」としている。

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JDIは2015年3月6日、石川県白山市に第6世代(1500×1850ミリメートル)液晶新工場を建設すると発表した。月産2万5000枚の能力で、投資額は1700億円。

新工場の建設はAppleからの増産依頼によるもので、投資資金の大半はAppleからの前受け金1700億円で賄った。但し、Apple専用とせず、中国スマホメーカーなど他社へも供給する予定であった。

問題は、JDIと Apple の契約である。この前受金の契約には下記の条項がある。

・JDIは年間2億ドルまたは売上高の4%のいずれか高い金額を四半期ごとに返済する。

・JDIの現預金残高は300億円以上を維持する。

・上記2つの条項を守れなければ、Appleは、前受け金の即時全額返済、または白山工場の差し押さえを要求できる権利を持つ。

返済原資は貸し手であるAppleからの注文次第であることが問題で、Apple側の理由で注文が減ると、たちまち返済原資に行き詰まった。

本来、このような場合にはTake or Pay 条項を入れるが、この契約には入れていなかった。

今回、液晶ディスプレイ生産装置 を取り上げられたが、なお前受金は660億円程度残っており、残りも取り上げられることとなろう。

JDIは白山工場をアップルとシャープに800億〜900億円で売却する交渉をしていたとされる。今回の分を除くと700億円弱となり、前受金の残高に相当する。

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なお、石川県は3月31日、白山工場の開設に伴って交付した補助金8億円の5月末までの返還を請求した。

白山工場には、2017年4月と2018年4月の2回に分けて雇用拡大関連企業立地促進補助金が2億円、創造的産業等立地促進補助金が6億円交付されている。

白山工場は昨年7月から稼働を停止しており、「補助金交付から5年以内に事業を廃止、休止した場合は返還を請求できる」とする県の交付要綱に基づき判断した。JDI側も返還の方針を示している。

 


2020/4/3    テルモ、人工心肺(ECMO)の生産倍増

医療機器大手のテルモは4月1日、人工心肺装置(ECMO)の生産台数を2倍程度に増やす方針を明らかにした。

静岡県内の拠点で年間百数十台程度を生産しているが、早期に100台程度を上乗せして生産できる態勢を整える。

ECMOは人工呼吸器でも救命が難しい重症者に使われる治療装置で、テルモは国内最大手。中国での感染拡大が深刻化した1月から、部品メーカーに増産を依頼して準備を進めていた。ECMOに付ける人工肺などの消耗品の増産も急ぐ。

業界2位の泉工医科工業も増産を決めた。

 

3月の日本呼吸療法医学会・日本臨床工学技士会の調査では、ECMO配置台数は全国で約1400台で、東京には196台、大阪には103台ある。

重症患者を治療する国際医療センターを視察した西村経済再生担当相は「医療供給体制の確保が最優先課題のひとつ」としてECMOなどの増産をあげた。感染者が急激に増えている東京都について「早急に700台まで増やしたい」と述べた。

政府はすでにECMOの増産に補助金を出すことを決めており、企業もフル操業で対応する。

但し、患者1人当たり医師4〜5人、看護師10人以上、臨床工学技士2〜3人の合わせて20人程度のスタッフが必要とされ、要員の手当てが必要となる。

西村大臣は2日、「すでに人工呼吸器やECMOの導入補助を行っているが、さらに必要となる事態も想定し、1人でも多くの命を守る思いで医療体制の整備に取り組みたい」と述べ、来週まとめる緊急経済対策にECMOの増産や導入支援、さらに扱う人材育成の支援策を盛り込む考えを示した。

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ECMO(Extra Corporeal Membrane Oxygenation)は経皮的心肺補助システムで、急性心筋梗塞等による心原性ショックや心停止などの緊急症例に対する治療で、太腿の血管 に直接カテーテルを挿入して血液を体外へ引き出し、遠心ポンプと膜型人工肺を用いた閉鎖回路からなる人工心肺装置により、患者の心臓と肺の代わりの役割を果たす。

1分間でおよそ4リットルの血液を入れ替えることができるという。ECMOを使い、弱った肺を休ませている間に対症療法を行い、患者自身の免疫によってウイルスが排除されるのを待つ。

「人工呼吸器」は肺の機能を「補助」するもので、肺に酸素を入れ、肺から血管の中に入れていくもの。初期の患者に使われる。

一方、「ECMO」は肺の機能を「代替」するもので、血管の中に直接酸素を入れる装置。
血液を太ももの付け根の血管から取り出し、エクモの「人工肺」に血液を送り、二酸化炭素を取り除く。その後、血液を血管に戻すことで、体の中の臓器に酸素が届けられる。
ECMOで血液が循環している限り、肺が止まって呼吸をしていなくても生きることができるため、肺の機能を使うことが難しい重篤な患者に使われる。エクモの使用期間は2〜4週間とされる。

呼吸だけのサポートを目的とするVV-ECMO(体外式膜型人工肺)と 、主に循環のサポートを目的とするVA-ECMO(経皮的心肺補助)があ り、エルモは後者をPCPS(Percutaneous Cardio Pulmonary Support)と呼んでいる。

テルモがPCPSの開発を本格的に手がけたのは1989年で、開発にあたっては、QUICK(5分以内でセットアップ可能)、COMPACT(救急車に搭載可能)、 SIMPLE(最低必要な機能)の3つを設定して、研究開発にチャレンジした。

1999年に米国3M社からカーディオバスキュラー(人工心肺関連事業)を譲り受け、テルモカーディオバスキュラー社を設立、カニューレ、血液ガスモニター機器、ローラーポンプなどを加えて、人工心肺システムのすべてを供給できるようになった。


2020/4/3  デンカ、「アビガン」の原料供給開始 

デンカは4月2日、新型コロナウイルスの治療薬として期待されている抗インフルエンザ薬「アビガン」の原料供給を開始すると発表した。

香料や農薬、医薬品などに使われる化合物の「マロン酸ジエチル」を新潟県内の工場で5月から生産開始する。

デンカはマロン酸ジエチルの国内唯一のメーカーで、その原料となるモノクロル酢酸も国内で唯一、 デンカ子会社のデナックが生産している。

デナックは、電気化学が1976年に Akzo Zout Chemie(現 Akzo Nobel Chemical)との合弁でモノクロル酢酸の製造販売会社として設立した。

原料から最終製品に至る一貫生産体制のもと2017年4月までマロン酸ジエチルの生産を行ってき たが、海外製品との競合が激しくなり、2017年4月に国内生産を休止していた。

今回、政府から国内での一貫した供給体制構築のため生産再開の要請を受け、決定した。


 


2020/4/4 トランプ大統領、原油価格引き上げに動く  

OPECプラスの協調減産が3月31日に期限切れとなった。原油価格は既に大きく下がり、WTI原油は3月30日に一時19.27ドルと、2002年2月以来、18年ぶりの安値となった。

トランプ米大統領は3月30日、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、ロシアとサウジアラビアが繰り広げている石油価格戦争などについて話し合った。大統領は原油安の行き過ぎを懸念していると述べた。

ロシア大統領府によると、この日の会談は米国の提案によって開かれ、「長時間」に及んだ。両首脳は両国のエネルギー当局者が原油について協議することで一致した。新型コロナウイルスについても話し合い、感染の規模に対する懸念を共有した。

ホワイトハウスは声明で、両首脳が「世界のエネルギー市場における安定の重要性について一致した」と表明した。


トランプ大統領は電話協議に先立ち、「原油価格があまりにも安い」と不満を示した。協調減産を見送ったサウジアラビアとロシアを名指しして「気が狂っている」と痛烈に非難した。

国内のシェールオイル生産者を念頭に「ある産業が消滅してほしくない」と指摘、原油安が米国内の石油産業に打撃になるとの懸念を強調した。

大統領の懸念する通り、シェール大手のWhiting Petroleumが4月1日、Chapter 11を申請した。

ノースダコタ州のバッケン鉱区の主要業者で、2019年の売上高は約15億ドル。債権者と再編計画と基本合意しており、事業は継続する。

3月19日に、ロシアとサウジアラビア間で勃発した石油の価格戦争に自身が「適切な時期」に介入するだろうと述べている。

「ロシアは経済全体が原油収入を基盤に成り立っているが、石油価格がここ数十年で最も低くなっている。壊滅的な事態だ。サウジにとっても状況は非常に悪い。だが、両国は価格と生産の面で戦っている。適切な時期に私が介入する」と述べた。

 

トランプ米大統領は3月31日、歴史的な原油価格急落に歯止めをかけるため米国にはロシアとサウジアラビアと会合を開く用意があると表明した。

「われわれが共に集まり、何ができるかを見極めることなるだろう」と述べた上で、ロシアとサウジの協議に「必要なら私も適切な時期に加わる」と明言した。

大統領は4月2日、ツイッターで 、両国が最大で日量1500万バレルの減産に踏み切る可能性があるとの見通しを示した。(MBSはMohammad bin Salman)

Just spoke to my friend MBS (Crown Prince) of Saudi Arabia, who spoke with President Putin of Russia, & I expect & hope that they will be cutting back approximately 10 Million Barrels, and maybe substantially more which, if it happens, will be GREAT for the oil & gas industry!

Could be as high as 15 Million Barrels. Good (GREAT) news for everyone!

しかし、米政府当局者は同日、トランプ大統領はサウジアラビアとロシアによる原油供給削減策の正式な詳細について情報を持っていないと述べた。また、大統領が国内石油企業に対し協調減産に同意するよう要請しないことも明らかにした。

トランプ大統領の要請をうけ、サウジアラビアは4月2日、「OPECプラスとその他の国」に対し、石油市場の安定のため、緊急の会合を開くことを要請した。

「その他の国」は米国を念頭に置いていると思われる。米国抜きの従来のOPECプラスだけの減産は考え難い。

プーチン大統領は4月3日、「パートナーとして」最大の産油国である米国にも応分の負担を求める考えを示唆した。

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OPECとロシアなどのOPECプラスは過去3年余り協調減産を実施し、原油価格の維持に努めてきた。しかし、枠組みの外にいる米国のシェール業界が増産を続けた結果、参加国にはシェアを奪われただけとの不満がある。今回、サウジとロシアが大規模の増産に踏み切ったが、米国のシェールオイルが狙いであるとの見方が強い。

原油価格急落に歯止めをかけるためには、OPECとロシアの減産に加え、米国も増産しない約束が必要であるが、独占禁止法のもとで業者が協調することは違法であり、政府が生産を規制することもできない。

米下院司法委員会は2019年2月7日、石油輸出国機構(OPEC)加盟国を反トラスト法違反で提訴することを可能にする「石油生産輸出カルテル禁止(No Oil Producing and Exporting Cartels Act : NOPEC法案)」を全会一致で可決した。同様の法案が上院の財政委員会に提出された。 しかし、上院では投票に至っておらず、法律としては成立していない。

米国政府がOPEC加盟国をSherman Antitrust Actで訴訟できるというもので、Aramcoが米国での上場を避ける理由の一つである。

OPECそのものさえも独占禁止法違反としながら、トランプ大統領はこの問題にどう対応しようというのか。

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Saudi Aramco は増産と輸出拡大の準備を着々と進めている。

まず、現在の輸出量は日量10百万バレルだが、発電の燃料をAl-Fadhili gas plantからの天然ガスに切り替えることによる余剰と需要減による余剰の60万バレルを輸出に回す。

Aramcoは主要な石油関連サービス企業に対し、生産量を4月から現在の最高の12百万バレルに引き上げる計画を支援するよう要請した。更に、能力を13百万バレルに引き上げるため、必要な労働者、機器を準備するよう要請した。

業界筋では、Aramcoは「適者残存戦略」(survival-of-the-fittest oil strategy)により高コストのライバルを長期的に排除する積りだろうとしている。


Aramcoは海外にはオランダのロッテルダム、エジプトのSidi Kerirと沖縄に原油を貯蔵しているが、3月末から大量の原油をロッテルダムに送り込んでいる。早期納入可能をうたい、需要を獲得する。


2020/4/5 米大使館、在日米国人に帰国を勧告 

米大使館は4月3日、Health Alert を出した。
https://jp.usembassy.gov/health-alert-us-embassy-tokyo-april3-2020/

「日本でCOVID-19症例が増加しており、全国の医療関係者や政治家の間では、患者の急増が差し迫っていると懸念する声が高まっている。米国市民が米国への帰国を希望する場合は、今すぐその準備をしなければならない、一時滞在の米国市民は、無期限に海外に滞在する準備ができている場合を除き、米国への即時帰国を手配する必要がある」としている。


医療崩壊が起こりかけている米国よりも日本の方が安心だと思われるが、理由として下記の通り述べている。

他国と比較し、日本で陽性と報告された人は比較的少ないが、幅広く検査をしないという日本政府の決定の結果、正確にCOVID-19の蔓延率を測るのが難しい。

日本の医療システムには信頼を置くが、患者が増えていることから、今後数週間で医療システムが機能するかどうか判断できない。

患者が急増した場合、持病をもつ米国市民がこれまで日本で受けていた医療を受けることが出来なくなるかも分からない。

日本政府は米国を初め、多くの国からの入国を禁止しており、国際便も減少している。4月3日現在で日本から米国への航空便は以前の11%に過ぎない。これが更に減ると見るのが妥当で、緊急時にタイムリーに帰国するのが難しくなる、更には不可能になるかも分からない。

帰国を考えている人は、まだ帰国便があるうちに、すぐに飛行機を予約せよ。

 


2020/4/6  トランプ大統領、医療用マスク輸出禁止令に署名 

トランプ政権は4月2日、医療用のN95高機能医療用マスクを製造する米大手3Mに対し、カナダとラテンアメリカ各国にマスクを輸出しないよう求めた。

トランプ米大統領は4月3日、「国防生産法」に基づき、新型コロナウイルスへの対応に必要なN95マスクなど個人用保護具の輸出を禁止する命令書に署名した。声明文で「非常に必要とされている個人用保護具の輸出を阻止することにより、買いだめや価格つり上げ、その他の不当に利益を得る行為を防止する」と説明した。

これに対し、カナダのトルドー首相は3日、記者団に「間違った判断だ」と強い抗議の意思を示した。米国がマスクの輸出制限に動けば、カナダは報復措置に出るかとの質問に対し、フリーランド副首相は「カナダの国益を守るために全ての行動を取る」と応じた。


3Mは4月3日、下記の発表を行った。輸出禁止は人道的に問題あるとともに、他国からの輸入を禁止されかねず、逆効果だとしている。

3Mはこれまで、出来る限り多くのN95マスクを米市場に供給してきたが、政府は4月2日、国防生産法に基づき、N95マスクについて連邦緊急事態管理庁(FEMA)の注文を優先するよう求めた。3Mはこれに応じる。

政府は、海外から輸入するマスクを増やすよう求めた。3Mは今週初めに、3Mが中国で生産するN95マスク10百万枚を米国に輸入する承認を中国から得た。

政府はまた、3Mが現在米国で生産するマスクをカナダとラテンアメリカに輸出するのを止めるよう求めた。しかしこれは、3Mの製品に頼っているこれらの国の医療従事者への供給をやめるという人道的問題を意味する。また、米国製の輸出をとめると、他の国が報復する可能性がある。そうなれば、米国で供給されるマスクの量が結果として減ることになる。逆効果となる。

(3Mは国内外でN95を月1億枚生産し、このうち約3分の1が米国産だという。海外拠点からの米国向け輸出が止まると大変なことになる。)

3Mのマスクについて、便乗値上げや不法な横流しがあれば報告する。司法当局と協力する。
3Mは値上げはしない。

これに対し、トランプ大統領はツイッターを通じて「3Mが輸出禁止命令に従わない場合、その代価を支払うことになるだろう」と警告した。

We hit 3M hard today after seeing what they were doing with their Masks. “P Act” all the way.

Big surprise to many in government as to what they were doing - will have a big price to pay!

新型コロナウイルスに対応する医療従事者を守るためのマスクを確保する動きが世界中で加速しており、マスク市場は「ワイルド・ウエスト」と化している。

フランスとドイツの高官によると、米国はマスクの世界最大生産国である中国に市場価格を大幅に上回る値段を払っている。既に契約を結んだ欧州の国から契約を奪い取ることもあるという。

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N95マスクは、最も捕集しにくいと言われる0.3μmの微粒子を95%以上捕集できることが確認されているマスク。

N95は米労働安全衛生研究所(NIOSH)の規格で、「N」は耐油性が無いこと(Not resistant to oil)、「95」は試験粒子を 95% 以上捕集できることを表している。

耐油性(下記)と性能(95%、99%、99.97%以上=100)の組み合わせで9つの規格が決められている。

N:Not resistant to oil(耐油性なし)
R:Resistant to oil(耐油性あり)
P:Oil Proof(防油性あり)

2020/4/6 英野党・労働党 新党首選出 

2019年12月12日の英国の下院総選挙で野党労働党は大敗、40議席を失い、203議席にとどまった。Jeremy Corbyn党首は辞任を表明した。

労働党は1月7日以降、新党首候補の受け付けや投票者の登録など正式な手続きに入ったが、最終的に3候補に絞られた。

労働党は4月4日、新党首に影の内閣でBrexit政策などを担当した元弁護士のKeir Starmer(57)が選出されたと発表した。

新党首は中道寄りに路線を修正し、党勢回復を図るとみられている。

投票結果は次の通り。

Sir Keir Starmer (57) 56.2%
Rebecca Long-Bailey (40) 27.6%
Lisa Nandy (40) 16.2%

 Lisa Nandyは新しい影の内閣で外相に就任した。

 


全米の感染者は31万2千人を超え、死者は8500人超となった。

幸いにも日本の場合、米国や欧州諸国に比べると、感染者、死者はまだ少ないが、日本でも増加しつつあり、いよいよ、緊急事態宣言が出される。

Can an Old Vaccine Stop the New Coronavirus?)と題する記事を掲載した。副題は、「1世紀前に開発されたワクチンは安価で安全で、人体の免疫システムを増強するようだ」というもの。

3月30日にメルボルンの科学者がBCGワクチンとプラシーボ(偽薬)を使い、数千人の医者やヘルス関連従業員を対象に 新型コロナウイルスに対するワクチンの有効性についての臨床テストを開始したという。

https://www.nytimes.com/2020/04/03/health/coronavirus-bcg-vaccine.html

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免疫学の第一人者である大阪大学免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之招聘教授がBCGワクチンの接種と新型コロナウイルスについて解説するコラムがある。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200405-00171556/

下記は宮坂教授の資料を本ブログが組み換えたもので、各国のCOVID-19による100万人当たりの死亡数と、BCG注射の状況を対比したもの。

  100万人
当たり
死亡
BCG注射 BCG亜株
現在も継続 過去に実施 実施せず
スペイン 259.7     Denmark
イタリア 253.9     X Denmark
フランス 120.6     Denmark
英国 69.6     Denmark
イラン 46.7    
スウェーデン 40.1     Denmark
米国 27.2     X TICE
ポルトガル 25.1     Denmark
ドイツ 17.5     Denmark
ノルウェー 12.9     Denmark
トルコ 6.9     ソ連/Bulgaria
韓国 3.7     1種以上
中国 2.5     ソ連/Bulgaria
イラク 1.8     Japan
豪州 1.4     Connaught
日本 0.6     Japan
台湾 0.2     Japan?

これからは下記の傾向がみられる。

@広範なBCG接種をしている国は死亡率が低い。現在やっていない国は総じて死亡率が高い。

宮坂教授のコメント  (  )は本ブログの付記

100万人当たりの死亡者数が10以下の国が7カ国あり、そのうちの6カ国が広範なBCG接種を現在行っている。

その6カ国のうち、3カ国がBCGワクチンの日本株、2カ国が旧ソ連株を使っている。(後記)

これまで広範なBCG接種をやっていなかったアメリカ、イタリアは人口100万人当たりの死亡率は高い 。(スペインは16年間しか実施せず、1981年に廃止した。)

欧州諸国は、ポルトガル以外は広範なBCG接種はかなり前に止めていて、これらの国では軒並み死亡率が高い。ノルウェーは死亡率が低め だが、この国は他の北欧諸国よりも長く広範接種を続けていた。

スペインの隣国のポルトガルは、他の欧州諸国と同じデンマーク株を使っているが、現在も広範なBCG接種を続けている。

(死者の多いイランの隣国のイラクは日本株の接種を現在も行っており、死者は少ない。)

Aワクチンのうち、ソ連株、日本株を使う国は死亡率が低い。死亡率が高い国はDenmark株が多い。

日本株とソ連株は、デンマーク株と細胞膜構成成分が異なる。

日本株とソ連株は他の亜株に比し、 結核に対して免疫を起こす力は同程度だが、 生菌数が非常に多い。

B ここでは分析していないが、感染率と異なり、死亡率の場合は医療体制の問題がある。


これだけから見ると、「日本株」をずっと接種してきた日本は死亡率が低くとどまる可能性はある。

但し、宮坂教授も、全く相関がなさそうな二つのことが同様の変化を示す例をあげ、「BCGの効果についても慎重な検討が必要だと思います」 としている。

 

日本ワクチン学会は4月3日、「新型コロナウイルス感染症に対するBCG ワクチンの効果に関する見解」を示した。

(1)「新型コロナウイルスによる感染症に対してBCGワクチンが有効ではないか」という仮説は、いまだその真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない。

(2)BCGワクチン接種の効能・効果は「結核予防」であり、新型コロナウイルス感染症の発症および重症化の予防を目的とはしていない。また、主たる対象は乳幼児であり、高齢者への接種に関わる知見は十分とは言えない。

(3)本来の適応と対象に合致しない接種が増大する結果、定期接種としての乳児へのBCGワクチンの安定供給が影響を受ける事態は避けなければならない。

ーーー

但し、これが偶然の一致ではなく、BCGについては実際に効果がある可能性もある。

リーレクリニック大手町は「BCGワクチンと新型コロナウイルス感染症」で、BCGワクチンのオフターゲット効果(結核予防以外の効果)について述べている。

肺がんへの予防効果の報告

小児期にBCGワクチンを受けた人の肺がん罹患率は18.2例/10万人年、プラセボ群では45.4例で、有意に肺がんが低下したという。

BCGワクチンが膀胱がんの治療に用いられていること、喘息や寄生虫などに有効

膀胱がんに対して非常に重要な治療法として膀胱内注入療法がある。筋層非浸潤性がんに対して積極的に行われる。

膀胱内注入療法は、抗がん剤あるいはBCG(ウシ型弱毒結核菌)を生理食塩水に溶解して、尿道から膀胱に挿入したカテーテルを通じて膀胱内に注入し、ある程度の時間排尿せずに薬剤を膀胱内に接触させる方法。(国立がん研究センター)

BCG膀注療法は再発の抑制効果があることが確認されているという。

BCG投与により結核とは関係のない病原体に対しても実は免疫力が強化されている

EUでは1980年代からBCGを任意にした。
ノルウェーは上図では「現在も実施」になっているが、その後、強制的集団接種は廃止


2020/4/8   愛媛大学と大日本住友製薬、新規マラリア伝搬阻止ワクチン開発へ

愛媛大学プロテオサイエンスセンターと大日本住友製薬は4月3日、米国のNPO団体のPATHProgram for Appropriate Technology in Health)と3進めている「新規マラリア阻止ワクチンの前臨床開発プロジェクト、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金GHIT Fund)の助成案件に選定されたと発表した。

5億円の助成金を受け、新規マラリア阻止ワクチンの前臨床開発を行う。

GHIT Fundは、政府・企業・財団が出資するもので2013年4月に設立された。開発途上国に蔓延する感染症の新薬やワクチン等の新しい医薬品の研究開発および製品化を促進することにより、グローバルヘルスへ貢献することを目的にしている。

GHIT Fundは今回、マラリア、結核、熱帯病のシャーガス病、マイセトーマ、リーシュマニア症、リンパ系フィラリア症(象皮症)、オンコセルカ症(河川盲目症)に対する新薬開発11件に対して、総額約32.9億円の投資を行うことを決定した。新規案件が5件、継続案件が6件で、本件以外にもマラリア関連が5件ある。今回の投資案件一覧
 

PATHはビル&メリンダ・ゲイツ財団の寄付を受け、1999年から「マラリア撲滅」を目指してマラリアワクチン・イニシアチブ(MVI)を実施している。

プロテオサイエンスセンター(Proteo-Science Center)は,愛媛大学で開発されたコムギ無細胞タンパク質合成技術を基盤として,タンパク質機能から生命現象の解明に至るポストゲノムの生命科学研究のみならずその医学応用研究を行い,プロテオサイエンスの国際拠点形成,及び,がん,自己免疫病,難治性感染症など難病の新しい診断・治療法の開発を目的に設立された。

マラリア原虫はハマダラカに寄生する。「伝播阻止ワクチン」は、蚊の中でマラリア原虫の発育を阻止する。
他に、ヒトへの感染を阻止する「感染阻止ワクチン」、ヒト体内で赤血球期原虫の増殖を阻止する「発病阻止ワクチン」がある。

後の2種のワクチンは、ワクチン接種した本人が病原体から守られるが、感染阻止ワクチンは本人はマラリア原虫から守られない。しかし、蚊がワクチンを接種した人の血を吸 うと、その蚊に寄生するマラリア原虫は激減するため、他の人は守られることとなる。本ワクチンはマラリア流行地域において、コミュニティー全体をマラリア感染から守り、さらなる感染の拡大を防ぐワクチンとして期待されている。

このワクチン候補となる原虫タンパク質も限られており、またそのタンパク質合成も困難なことからその研究開発は順調には進んでいなかった。

プロジェクトの対象となるワクチン製ヒトから蚊への原虫感染サイクルを断つことができるマラリア伝阻止ワクチン候補製剤で
愛媛大学とPATHにより見出され高品質な新規熱帯熱マラリア抗原Pfs230D1+と、
・大日本住友製薬が持つ
新規ワクチンアジュバントToll様受容体7アジュバントDSP-0546Eで構成されている。

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愛媛大学と大日本住友製薬は2019年4月9日、アフリカやアジアなどで猛威を振るうマラリアのワクチン開発につながる抗原を発見したと発表した。

愛媛大学の遠藤弥重太特別栄誉教授はコムギ無細胞タンパク質合成法を世界に先駆けて実用化に成功している。

小麦の種子は、主に外皮、胚乳、胚芽の3つから構成され、胚芽にはタンパク合成に必要な翻訳因子が豊富に含まれてい る。

コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を使えば、真核生物、原核生物、ウィルスなど多様な生物種由来のタンパク質をつくることが可能 。

コムギ抽出液に対象のDNAを入れると、転写、翻訳され、タンパク質がつくられる。

愛媛大学のプロテオサイエンスセンターでは、この技術を利用して、マラリア原虫タンパク質を作成した。

精製したマラリアタンパク質をウサギに注射すると、148種の抗体が出来た。

マラリア原虫と148種の抗体を1日培養し、原虫増殖阻害効果が高く、遺伝子変異による耐性化の可能性が非常に低い抗体 PfRipr を見つけた。

しかし、PfRiprは複雑すぎ、多量に合成できない という問題があった.

このたんぱく質を小さく断片化し、強い薬効を有し、大量合成が可能なPfRipr5 (Rh5 interacting protein)を見出した。

マラリアワクチンは、マラリア原虫のタンパク質とアジュバンド(免疫増強剤:マラリアタンパク質に対する抗体をつくらせる)でつくる。

愛媛大学と大日本住友製薬は2019年にGHIT Fundから93百万円の助成金を受け、このマラリアタンパク質Ripr5 をつかったワクチンの開発を進めた。

2019/4/11 愛媛大学と大日本住友製薬のマラリアワクチン開発

 

今回のプロジェクトは、愛媛大学/PATHにより見出され高品質な新規熱帯熱マラリア抗原Pfs230D1+と、大日本住友製薬が持つ新規ワクチンアジュバントTLR7アジュバント)DSP-0546Eで構成されるワクチン製の前臨床開発を行う。

TLR7アジュバントDSP-0546E)は、ウイルス由来のRNA を感知して自然免疫応答を引き起こすToll 様受容体の一つであるTLR7 を活性化させる物質で、抗原に添加することによって免疫応答の量、質および持続性を高める免疫増強作用を有する。

20204月から2年間、PATHが代表者としてプロジェクト全体管理し、抗原タンパク質の提供、前臨床試験および治験申請業務を担当する。
愛媛大学は免疫原性な本剤が誘導する抗体の機能評価を、大日本住友製薬はアジュバント製剤の開発や非臨床評価を担当する。

本プロジェクトの終了後に、3者は米国において臨床試験を開始する予定。


2020/4/9   新型コロナの次は「ハンタウイルス」

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、中国で別の感染症による死亡事例が確認された。

中国では習近平主席が3月10日に武漢を視察したのを境に「復工復産(産業・経済活動の再開)」が加速され、コロナ対策のため自宅待機していた多くの労働者が工場や工事現場などに戻っている。

3月23日午前4時ごろ、京昆高速道路を走行中の大型バスで山東省栄成市の出稼ぎ先工場に向かっていた労働者・田さんが、陝西省寧陝県付近で倦怠感、発熱、呼吸困難、筋肉痛など新型コロナウイルス感染症によく似た症状を訴え、途中下車し、県内の病院に入院した。

しかし、発症からわずか3時間後の同日午前7時10分に急死した。新型コロナウイルス検査結果は陰性だったが、体内から「漢坦病毒(ハンタウイルス)」が検出された。

この男性に同行していた2人にも熱が高いことから感染の疑いが持たれているほか、高速バスに乗っていたドライバーや乗客30人が健康観察を受けているが、24時間ごとのウイルス検査では全員陰性だという。

田さんの感染経路などは明らかにされていない。

ーーー

ハンタウイルスとはネズミが媒介する病原体で、2週間の潜伏期を経て発熱や呼吸困難を引き起こす。

第二次世界大戦中に旧日本軍が中国東北部の満州国に進駐した際、原因不明の出血熱が流行した記録が残っている。「流行性出血熱」として報告された 。
朝鮮戦争のときには国連軍の兵隊の間で約3200人が原因不明の出血熱に感染したことで注目された。 

日本では1970年代半ばから各地の医学系動物実験施設においてラット取扱い者の間に不明熱の患者が相次いで発生した。
(1984年までに127人が感染、うち1人が死亡しているが、国内ではそれ以降は患者発生の報告はない。)

1976年に、韓国高麗大学の李氏らが流行地のアカネズミからウイルスを突き止め、 アカネズミを捕獲した川の名前をとって「漢坦病毒」ハンタンウイルス)と命名した。 日本では1982 年に感染研と北大獣医学部により札幌医科大学のラットから原因ウイルスが国内で初めて分離された。

その後の研究の進展に伴い、ブニヤウイルス科の5 番目の新しい属としてハンタ(hanta)ウイルス属と命名された。

感染したげっ歯類の糞便、唾液、または尿と直接接触するか、エアロゾル化した排泄物からウイルスを吸入することにより感染する。

自然宿主のげっ歯目ならびにトガリネズミ目などの小型哺乳動物に対して病原性を示すことはないが、人に感染すると腎症候性出血熱(HFRS)やハンタウイルス肺症候群(HPS)といった重篤な疾病を引き起こす。 両疾患を合わせてハンタウイルス感染症と総称する。

ワクチンはHFRSに対して韓国と中国で市販されているいるが、我が国では用いられていない。治療法は対処療法による。

ハンタウイルス感染症ではヒトからヒトへの感染が起こらないと考えられているが、1996 年9 月の南部アルゼンチンのケースで、ヒトからヒトへの感染が起こった例が確認されているという。


2020/4/9 米大統領選、民主党Sanders上院議員 撤退
 

米大統領選民主党候補のBernie Sanders上院議員(78)が4月8日、選挙戦からの撤退を表明した。

新型コロナの感染拡大で各州の予備選は延期が相次ぎ、選挙活動は大きく制約を受けている が、インターネットを通じた演説で、「われわれはかつてない危機に直面している。この困難な状況のなか勝つことができない選挙戦を続けることはわれわれに求められている重要な仕事の妨げとなる」と述べた。

Joe Biden前副大統領の勝利を祝福するとも述べ、革新的な政策を前進させるためBiden氏と手を取り合うと語った。

Trump打倒に向けてBiden氏に協力を約束しながらも、国民皆保険などリベラル色の強い自身の政策を反映させる努力は続ける考えを示した。ツイッターでは、正義のための戦いは続くとしている。

Today I am suspending my campaign.
But while the campaign ends, the struggle for justice continues on.

秋の大統領選挙はTrump大統領とJoe Biden前副大統領との争いとなる。

付記

Bernie Sanders上院議員は4月13日、Joe Biden前副大統領への支持を表明した。

付記

ニューヨーク州の選挙管理委員会は4月27日、大統領選民主党候補指名に向けた6月23日の予備選を中止した。同州に割り当てられた代議員274人は全て Biden候補が獲得する。

オバマ前大統領、クリントン元国務長官などがBiden候補を支持。

ーーー

Sanders上院議員は国民皆保険や大学無償化など経済的格差を解消する政策を掲げ、若者から支持を獲得し、一時は最有力候補との見方もあった。

しかし、3月に入り指名争いから脱落した中道派の候補者が相次いでBiden氏支持を表明すると、スーパーチューズデー以降は大きく引き離された。撤退表明した左派のWarren上院議員 さえも支持を表明していない。

まだ逆転の余地もあるが、陣営内からも撤退すべしとの声が出始めており、撤退を決めた。

 

獲得代議員数

 
初戦
Iowa
4/3 残り
必要数
Joe Biden前副大統領 6 1,217 774 合計3,979のうち最低 1,991が必要
Bernie Sanders上院議員 12 914 1,077
Elizabeth Warren上院議員 8 81   3/5 撤退表明 支持 表明せず(下記参照)
Michael Bloomberg 元NY市長 0 55   3/4 撤退表明 Biden支持
Pete Buttigieg前South Bend市長 14 26   3/1 撤退表明 Biden支持
Amy Klobuchar上院議員 1 7   3/2 撤退表明 Biden 支持
Tulsi Gabbard下院議員 0 2   3/19  撤退表明 Biden支持
その他候補 0 0    
合計 41 2,302 1,677  

3,979

 

付記 Warren上院議員は4月15日、Biden前副大統領への支持を表明した。

なお、予備選の延期が相次ぐなか、ウィスコンシン州予備選投票が4月7日に行われた。
郵便投票の到着を待つ必要があり、結果の確定は13日以降になる。(上の表には含まれていない)

予備選を巡ってはエバーズ知事(民主党)が6月に延期する知事命令を出したが、予備選と同時に市長選や州最高裁判事の選挙もあり、州議会で多数を占める共和党が延期に反対、州最高裁が知事の延期命令を無効と判断し、外出禁止令のなか、予定通りの開催が決まった。
 


2020/4/9 トランプ大統領、CVD-19治療に抗マラリア薬を絶賛 

このところ、トランプ大統領が新型コロナウイルスをめぐり、繰り返し、「マラリアなどの治療に使われる薬が有効だと思う」と主張している。

抗マラリア剤のヒドロキシクロロキン で、免疫に関わる病気の全身性・皮膚エリテマトーデス治療薬としても使われている。

有効性は確認されておらず、副作用も指摘されているため、専門家はいさめ続けているが、大統領は意に介 さず、「とても強力な薬だ」「これはゲームチェンジャーだ」と繰り返す。

クロロキン1934年にドイツのBayerが合成した 。マラリアの治療に有効であるが、毒性が強いため 、開発は中止された。
第二次大戦中に米軍が入手し、マラリアの特効薬と 認めた。

WHO最近、従来常用されてきたクロロキンが 抵抗性のため、ほとんどの国でその効果を失ってしまったと指摘している。

日本では、2015年7月にサノフィのプラケニル®が「全身性エリテマトーデス,皮膚エリテマトーデス」の適応症で承認を取得し,同年9月から販売されている 。

 

付記

米食品医薬品局(FDA)は4月24日、抗マラリア薬の「ヒドロキシクロロキン」と「クロロキン」について、心臓に深刻な副作用を引き起こすリスクがあると警告した。医者の監督下で慎重に使うよう呼びかけた。

FDAは新型コロナの治療薬として承認していないが、医療現場では既に一定条件の下で使われている。FDAは「深刻で生命を脅かす可能性がある心臓への副作用が報告されている」と指摘し、副作用のリスクを抑えるため入念な事前検討や経過観察を医療関係者に求めた。

付記

トランプ大統領は5月18日、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンについて、自分は予防薬として飲んでいると発言した。COVID-19への効果はまだ未確認で、医薬品当局は心臓への悪影響など副作用があり得ると警告している。

ーーー

最近、CVD-19に対する効果が相次いで報告されている。

2020年2月4日付Cell Researchに、中国科学院武漢ウイルス研究所などの研究グループが効果があることを発表した。

3月10日に日本感染症学会のホームページ上で、 九州地方にある医療機関の医師らが報告した。
他の治療が効かない2名の患者に投与したところ、症状が改善した。
  http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200312_5.pdf

3月20日にフランスの研究チームが International Journal of Antimicrobial Agents 誌に、新型コロナウイルス肺炎の治療および患者のウイルス保有期間減少に効果をもつ可能性があると報告した。

アメリカFDAは2020年3月29日、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンについて、Covid-19の治療で小規模な症例の報告しかないものの「想定される効能がリスクを上回ると考えられる」として、緊急治療薬として承認した 。(Emergency Use Authorization)

トランプ大統領はこれらの点から「COVID-19に有効だと思う」と繰り返している。

しかし、FDAは慎重で、「現在、まだテスト中である」とし、緊急治療薬としての承認は特定の条件に合致した患者にのみ適用されるとしている。

米保健福祉省(HHS)は「症例報告ベースで、COVID-19の入院患者にある程度の利益をもたらす可能性があることが示唆されているものの、COVID-19への有効性を示す科学的根拠を提供するには、臨床試験が必要だ」とくぎを刺している。

多くの専門家は、データが少なすぎるとしてこの緊急治療薬としての承認に批判的で、FDAのあるOBは、「一体誰がこれにサインしたのか」と怒っている。

ホワイトハウスの新型コロナ対策チームの主要メンバーの一人でもある国立アレルギー感染症研究所の所長 も効果について「根拠が乏しく、はっきりしたことは言えない」と懸念を示す。
薬を使わなかった場合と比較しておらず、信頼性に欠けるとされる。不整脈などの副作用の懸念もあり、不用意に服用すると危険だという。(
長期使用する場合、網膜症の恐れがある。)

これに対し、経済担当のピーター・ナバロ大統領補佐官が「十分に有効性がある」とし、ホワイトハウス内でぶつかっているという。

4月5日の会見で、大統領ははすでに2900万回分の薬を備蓄していると明かし、「ダメで元々だ」「もし効いたときに、早く使わなかったことを残念に思うだろう」などと繰り返し発言した。

 

最近、過剰な期待から品薄となり、常備薬として必要な患者の手に届きにくくなっている問題も起きている。
欧州医薬品庁(EMA)は4月1日、医師の行う治験や国が特別に許可した場合でなければヒドロキシクロロキンを使わないよう声明を出した。

ーーー

Novartisのジェネリックおよびバイオ後続品部門でクロロキンを製造するSandoz は30百万錠のヒドロキシクロロキンを寄付した。Bayerも100万錠のクロロキンを寄付した。

Novartisは4月3日、COVID-19の支援として、ジェネリック医薬品ヒドロキシクロロキンを最大1億3,000万回分相当を寄付すると発表した。同社は現在、新型コロナウイルス感染症の治療に向け臨床試験を実施している。

規制当局が新型コロナウイルス感染患者への投与を認めた場合、現在在庫として保有している200mg/投与x 5,000万回を含み、最大1億3,000万回分を5月末までに寄付する。
今後の供給の拡大も視野に入れており、世界の需要を満たすために世界中のメーカーと協力して取り組んでいく考えとしている。

 


2020/4/10 3Mと米政府がマスクについて発表、大量の追加輸入を実施、カナダなどへの輸出を継続 

3Mは4月6日、トランプ政権と共同で下記の発表を行った。

新型コロナウイルス対策で不足する医療用マスクを米国に3か月で166.5百万枚輸入する。

政権との協働により、現在COVID-19の蔓延で戦っている諸国で人道的問題を起こさない。(これまで3Mが米国から輸出していたカナダとラテンアメリカへの輸出を続けることで政権と合意したことを意味する。発表の中でその旨、明記している。)

また、便乗値上げや偽物防止に努める。

ーーー

トランプ政権は4月2日、医療用のN95高機能医療用マスクを製造する米大手3Mに対し、カナダとラテンアメリカ各国にマスクを輸出しないよう求めた。

トランプ米大統領は4月3日、「国防生産法」に基づき、新型コロナウイルスへの対応に必要なN95マスクなど個人用保護具の輸出を禁止する命令書に署名した。

これに対し、カナダのトルドー首相は記者団に「間違った判断だ」と強い抗議の意思を示した。米国がマスクの輸出制限に動けば、カナダは報復措置に出るかとの質問に対し、フリーランド副首相は「カナダの国益を守るために全ての行動を取る」と応じた。

3Mは4月3日 の発表で、輸出禁止は人道的に問題あるとともに、他国からの輸入を禁止されかねず、逆効果だとした。

トランプ大統領はツイッターを通じて「3Mが輸出禁止命令に従わない場合、その代価を支払うことになるだろう」と警告した。

2020/4/6  トランプ大統領、医療用マスク輸出禁止令に署名   

本件については、3Mの主張が正しく、トランプ政権のやり方は問題である。

この問題が表に出て以来、米国が各地でマスクを買いあさり、中国に市場価格を大幅に上回る値段を払っており、既に契約を結んだ欧州の国から契約を奪い取ることもあるという話がひろがった。 マスク市場は「ワイルド・ウエスト」と化していると言われている。

カナダなどへの輸出禁止を強行すれば、他国からの米国への資材や製品の輸出禁止も引き起こしかねない。

このため、3Mと政権が問題の収拾を図ったとみられる。

ーーー

3Mの会長は、大統領と政権のリーダーシップに感謝すると述べ、必要な医療用マスクを全米に供給するとともに、危機を悪用しようとするものに対処するという目標を政権と共有すると述べた。

今回の輸入は米国で3Mが生産する月間35百万枚のN95マスクを補完するもので、現在、米国で増設中であると述べた。

輸入は主に中国の生産工場から輸入する。政権は輸入手続きを省略する。

3Mは1月にN95の生産体制を倍増し、グローバルで年間11億枚生産するようにした。このうち、米国での生産は月間35百万枚(年4.2億枚)である。

既に更なる増設を行っており、12カ月以内にグローバル能力を20億枚に増やす。このうち、米国では6月に能力を月間50百万枚に増やす。

 


2020/4/10 米FRB、2兆3000億ドルの緊急資金供給 

米連邦準備理事会(FRB)は4月9日、新型コロナに対処する2兆3000億ドルの緊急資金供給策を決めた。

トランプ米政権と与野党の議会指導部は3月25日未明、新型コロナウイルス対策として2兆ドル規模の景気刺激策で最終合意し、上院は3月25日夜11時、下院は3月27日、法案(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act :CARES Act)を可決、トランプ大統領が直ちに署名し、法案は成立した。

2020/3/26   米与野党、2兆ドルを超える緊急景気浮揚予算案 で合意

Larry Kudlow 国家経済会議(NEC)委員長は、政府からの資金拠出を通じたFRBによる企業などへの資金供給が4兆ドルになると説明。経済対策効果は財政支出分を含め「総額で6兆ドル」と述べた。

今回のFRBの資金供給はその一環である。

 

内訳は以下の通り。

1) 従業員1万人以下、売上高25億ドル以下の中小企業に、民間銀行を通じて6000億ドルを融資する制度(Main Street Lending Program)の新設。

 民間銀行が融資するが、95%分はFRBが設立する特別目的事業体(Main Street facility)が買い取る。事実上、民間企業に直接資金供給する緊急措置。

 財務省はCARES Actに基づき、750億ドルをMain Street facilityに拠出する。

 融資を受ける企業は、従業員の維持、給与の支払い継続の努力が求められる。

2) 中小企業庁のPaycheck Protection Program (PPP) 強化

 中小企業が従業員に給与を支払うのを支援するためのPaycheck Protection Programについて、Paycheck Protection Program Liquidity Facilityが融資全額を担保に与信を行う。

3) 社債購入

 FRBは3月23日、金融市場の機能維持の第二弾の対策の導入を決めた。

 これに基づき、3つの特別目的会社(PMCCF、SMCCF、TALF)が8500億ドルの社債を購入する。財務省は850億ドルの与信を行う。

格付けの高い企業向けだが、対象は償還期間が最大5年の社債。FRBは一定のリスクを負うことになる。これまでは償還期間の短いコマーシャルペーパーの買い取りにとどまっていた。

4) 州や地方自治体支援のため、Municipal Liquidity Facility を設立し、最大5000億ドルの融資を行う。

 財務省はこれに350億ドルの与信を行う。


2020/4/10 OPECプラス、一旦原油減産を決めるが、メキシコの拒否で合意できず 

石油輸出国機構(OPEC)と、ロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は4月9日に開いた9時間にわたる緊急のテレビ会議で、5月から日量1000万バレルを協調して減産することを決めたと報じられた。

減産合意内容は下記の通り。

2020/5〜6 1000万bpd
2020/7〜12  800万bpd
2021/1〜2022/4  600万bpd

5〜6月についてはOPECを主導するサウジアラビアと非加盟産油国の代表格であるロシアが250万バレルずつ引き受け、生産量をそれぞれ日量 850万バレルに落とす。
他のメンバーは23%カットするというもの。

日量 1000万バレルの減産は世界の供給の約10%に相当する。2020年3月末までの減産取り決めでは、サウジの自主減産40万バレルを入れて OPECプラス合計で210万バレル(サウジが89万バレル、ロシアが30万バレル)で、それに比べると非常に多く、過去最大の減産である。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の落ち込みによる需要の減少は日量2000万バレルを超えるとみられており、需要の喪失分にははるかに及ばない。

OPECプラスは、米国やカナダ、ノルウェーなど枠組みに参加していない産油国については、4月10日に開かれる主要20カ国・地域(G20)エネルギー相会合で減産への協力を取り付けることを目指すと見られた。日量500万バレル削減を求めるとされた。

ノルウェーやカナダは減産に前向きとされるが、米国は需要減によって自然に生産減になるとして協調減産には消極的な立場のままである。

ーーー

しかし、この計画は、非OPECのメキシコが削減参加を拒否し、取り決めを認めないまま退席し、破綻した。
メキシコのエネルギー相は、同国が今後2カ月間の日量10万バレル減産を提案したとの声明を公表した。メキシコの2019年の生産は168万bpdで、23%の40万バレルの減産を求められていた。

OPECプラスはメキシコ抜きでの減産は行わない。また4月10日のOPECプラスの会合は予定していない。

付記

トランプ米大統領は4月10日、原油生産削減に向けてメキシコを支援することで合意したと明らかにした。メキシコ大統領は、米国が肩代わりする減産規模が日量25万バレルになると明かした。

トランプ大統領は、この25万バレルの肩代わり減産は「すでに実施済みだ」とし、この減産は他の産油国の合意次第で、メキシコは後日、米国に補償を行うとも述べた。

(ロシアは現在の米国の需要減による減産は協調減産とは認めていない。)

4月10日の緊急のG20エネルギー相テレビ会議は開催される。
G20議長国であるサウジアラビアが主催し、 新型コロナウイルスの感染拡大と経済封鎖によってエネルギー消費国の需要が急減していることへの対応を話し合う。

OPECプラス以外の各国が減産に合意すれば、進展する可能性はあるが、米国が減産に参加する可能性はほとんどない。

付記

G20エネルギー相は4月10日、テレビ会議形式で原油市場の安定に関する会合を行い、声明を発表した。声明は「エネルギー市場の安定確保のために必要かつ緊急の手段」を取ると述べるにとどまった。国別の削減量で産油国間の隔たりが埋まらなかった。

ーーー

これまでの経緯:

既報の通り、トランプ大統領が原油価格引き上げに動いた。

2020/4/4 トランプ大統領、原油価格引き上げに動く

サウジアラビア政府は4月2日、ムハンマド皇太子がトランプ大統領と電話会談し世界のエネルギー市場などの問題について協議したと明らかにした。そのうえで、新たな合意を結ぶため、OPECとロシアなどの産油国に対して、緊急会合の開催を呼びかけて減産について協議する考えを示した。

ロシアもプーチン大統領 が会合に賛同し、「世界全体で1日1千万バレル程度」という減産のメドまで示した。

OPECとロシアなどのOPECプラスは4月6日に電話会議を開き、協調減産を探る予定であった。しかし、これが 4月9日に延期となった。

ロシアが、油価低迷はサウジが米国のシェールオイルに対抗しようとして協調減産の合意から離脱し増産に転じたことが原因だと批判、
これに対し、サウジ側が「先に合意しなかったのはロシアだ」などと反発、会合を成功させるには調整が必要と判断した。

トランプ大統領は4月4日に、「多数のエネルギー産業の労働者を守るために輸入原油に関税を課す必要があれば私は必要なことは何でもする」と語り、4月5日に、サウジアラビアとロシアが原油の協調減産再開で合意できない場合、両国から輸入する原油に対して「大規模な関税」を上乗せすると明言した。

米エネルギー情報局によると、米国の原油輸入量は1月に日量640万バレルで、国内生産量の5割にあたる。

米国が関税で輸入を減らせば原油の余剰感が一段と高まりサウジやロシアに打撃になる可能性があるが、米国の消費者から反発が出るリスクもある。

OPECプラスは4月9日に会議を開くが、米国など他の産油国の協力が得られない限り、大幅減産には合意しない構えである。OPEC関係筋は、減産の規模は米国やカナダ、ブラジルなどの意向次第と強調、さらに、協調減産体制 崩壊後、一部加盟国が生産を拡大させており、減産のベースとなる水準も決める必要があると指摘した。

トランプ大統領は4月6日に、OPECから米石油会社に減産を要請するよう求められてはいないと述べた上で、米国の産油量はすでに減少しているとの見方を示した。
米エネルギー省は、米国の産油量は政府が行動しなくてもすでに減少して おり、さらに原油安を受け操業を縮小せざるを得ないため、米国の産油量は一時的に日量200万バレル程度減少するとの見方を示した。

しかし、ロシアの大統領報道官は原油需要減少や原油安を背景にした米国の減産を、市場安定に向けた協調減産は全く異なる削減だと述べ、減産の枠組みへの参加と応分の負担を求めた。

米国はこれまでのところ、減産合意に加わる方針は示していない。米企業は他社との生産調整が反トラスト法で禁止されている。 但し、専門家によると、州当局や連邦政府が生産水準を低く設定すれば減産は合法となる。

 

 

 


2020/4/11 トランプ 大統領、WHOへの拠出金削減を検討 


2020/4/14    韓国でCOVID-19 回復後に再陽性111人 

韓国の中央防疫対策本部は4月12日、新型コロナウイルスによる感染症が完治し、隔離が解除された後、再び陽性判定を受けた人が計111人になったと発表した。

付記

4月15日に133人となった。20代が30人で最も多く、50代(25人)、30代(20人)、40代(16人)、60代(15人)、80歳以上(13人)などの順

韓国の感染者は24時間の間隔で2回のRT-PCR検査で陰性が出てから隔離解除となる。

クラスター感染が発生したテグ(大邱)市などで再陽性の報告が多かった。

再陽性の原因がウイルスの「再活性化」なのか、或いは「再感染」なのか不明で、現在調べている。

WHOもこれに注目しており、ロイターの取材に対し、「PCR検査で陰性となった数日後、再び陽性となった患者に関する報告があったことを認識している。医療専門家と緊密に連絡を取り合い、個々の症例について 、より多くの情報を得るために努力している。感染の疑いのある患者の検査でサンプルを採取する際には、適切な手順を踏むことが重要だ」と述べた。

再陽性の確認が続ていることを受け、韓国当局は感染者の「自主隔離」解除後の管理を強化する方針である。そのためにはウイルスの排出期間が最も長い大便を通じて「大便検査」の完治検査を義務化すべきとの意見もある。

体内に微量のウイルスが残る場合、何らかの原因により再活性化があり得る。

韓国以外でも再陽性となる事例が発生している。

日本の厚労省も3月10日までに、再陽性化の事例の発生を受け、退院後4週間は検温を毎日行うなどして健康管理を続けるよう求める文書をまとめている。

査読を受けていない上海の研究で、COVID-19から回復した患者175人の血液サンプルの例がある。

約1/3で低レベルの抗体があったが、抗体が全くできていない患者もいた。老人の方が若者よりも抗体のレベルが高い。

抗体ができていないことは免疫が効かないことを意味するとの懸念がでている。

WHOは4月13日、新型コロナウイルスの感染者で回復後に再び陽性になる患者が出ていることについて、回復者に免疫がついているかは不明だとの見解を示した。
免疫を持つ人が限られれば、外出制限などの解除が遅れる可能性もある。

WHOの感染症専門家、マリア・ファンケルクホーフェ氏は記者会見で、上記の中国上海市の研究から、「(回復後に)検出できるほどの抗体反応を示さなかった人もいれば、非常に高い反応を示した人もいたことが分かった」と説明した。「回復した患者からのさらなる情報が必要だ」として、データ収集と分析を急ぐ方針を示した。今のところ免疫の全体像もつかめていないといい、「抗体がどう作用するか深く理解する必要がある」とも話した。

WHOは、各国が急いで規制を緩めれば、感染が再拡大するリスクが大きいと警告する。

テドロス事務局長は「新型コロナの感染は非常に速い一方、減速のスピードはかなり遅い。規制はゆっくりと解除されなければならない」と強調した。新型コロナの致死率については、2009年に流行した新型インフルエンザより「10倍高い」と警告した。

ーーー

一般的な感染症では感染して体内に抗体ができれば2度目はかかりにくい。

もし、COVID-19の場合に免疫が効きにくいということであれば、現在のやり方を考え直す必要がある。

 

免疫を前提とした動き:

トランプ米大統領は4月10日、新型コロナウイルスへの免疫をもっているかを調べる抗体の検査を迅速に承認するつもりだと述べた。

抗体検査で免疫があると確認できた人から外出制限を外すなど、経済活動の早期再開をめざす考えをにじませた。

 

英国とオランダは当初、新型ウイルスは感染しても多くの場合、軽症であるとの理由で、人口の6割程度の人が感染し、免疫保持者となることで感染を収束させる集団免疫理論にもとづ き、対策を発表した。

ジョンソン首相は、 「英国は封じ込めではなく、ピークを遅らせ、ピークを50%に抑えることでリスクを最小化する。よって、当面、学校は閉鎖しない、イベント禁止は効果が小さいので行わない、渡航制限も追随しない 。新型ウイルスは感染しても多くの場合、軽症である。ゆえに高齢者や持病を持つ人など重症化しやすい弱者対策に集中する」との医療方針を示した。

英政府は当初、「症状が重い人のみ病院で検査」という方針を取っており、検査対象者を制限した。3月12日の段階で、集会自粛などの要請を見送った。

オランダのルッテ首相は「これからしばらくの間で、大半のオランダ人がこのウイルスに感染する。感染した人はその後ほとんど免疫を持ち、集団免疫が大きいほど、リスクの高い高齢者や健康状態のよくない弱者にウイルスが広がる確率が減る」と説明した。

その後、批判が高まり、英政府は3月16日以降、学校の一斉休校や罰則付きの外出制限など対策を強化し、集団免疫という言葉も封印した。ルッテ首相も、「集団免疫は目的ではなく、今の対策の結果、付いてくるもの」と釈明し、3人以上の集会の原則禁止など、規制強化に乗り出した。

 

武田薬品工業は買収したシャイアーのノウハウを活用し、新型コロナに対する治療薬を開発している。

新型コロナに感染して回復した人の血液の中にある血漿成分から、抗体を含む免疫グロブリンを抽出して精製するもので、抗体をほかの患者に投与することで、患者の免疫が活性化され、病状を軽減することが期待できる。


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