2021/11/11 Sinopec、米企業と20年間のLNG売買契約に調印
中国石油化工集団(China Petroleum & Chemical Corp.:Sinopec)と米国のVenture
Global LNGは11月4日、ルイジアナ州のPlaquemines LNG export facilityから年間計400万トンのLNGを供給する20年売買契約2件の調印を発表した。
また、Sinopec子会社の中国国際石油化工聯合(UNIPEC)は、Venture
GlobalのCalcasieu Pass
LNG export facilityから短期的に350万トンのLNGを購入することに合意した。
これは米国企業が締結したこれまで最大の単一のLNG供給取引で、中国の米国産LNG輸入は倍増する。
Venture Global LNGは エネルギー省から非FTA諸国向け輸出許可を取得
している。
Venture
Global LNGはルイジアナ州の2カ所にLNG施設を持ち、それぞれで増設を検討している。
立地
能力
Venture Global Plaquemines LNG
Plaquemines, Louisiana
年間2000万トン
Venture Global Calcasieu Pass
LNG
Cameron, Louisiana
年間1000万トン
Venture Global CP2 LNG
Cameron, Louisiana
年間2000万トン
最高2400万トン
計画段階
Venture Global Delta LNG
Plaquemines, Louisiana.
年間2000万トン
計画段階
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Venture Global
LNGは9月2日、同社がポーランドのPGNiG(Polish Oil and Gas
Company)に20年間、液化天然ガス(LNG)を年200万トン追加販売する契約に最終合意した。LNGはVenture
GlobalのCalcasieu Pass LNGとPlaquemines LNGの両輸出施設から供給される。
2018年に両社が結んだ既存の売買契約を修正し、Calcasieu Pass
LNGから購入するLNG量を年150万トン、Plaquemines LNGからの購入量を400万トン、合計550万トンとする。
2021/11/12 韓国で尿素水不足、物流や工業セクターが大混乱
韓国でディーゼル車の運行や工場の操業に必要な尿素水が不足し、大問題となっている。
尿素水は排気ガスの浄化に使われている。韓国では、2015年以降に製造されたディーゼル車は、ディーゼルエンジンの排気中の窒素酸化物(NOx)を尿素水で浄化する尿素SCRシステムを搭載する必要がある。
韓国は他国に比べてディーゼル車の占める割合が高い。国内で運行中の車両約2600万台のうち、ディーゼル車は919万台を占め、尿素水を満たしておく必要のある排気ガス低減装置を装着した車は21%の216万台に達する。
尿素水がないと、乗用車は発進できず、トラックも最大時速20キロでしか走行できない。
排気ガス低減装置(SCR)には、尿素水を定期的に入れる必要があり、尿素水が不足すると警告灯がつき、エンジンがかからないようになるソフトウェアが使われている。
トラックの運行が止まれば、ガソリンスタンドにガソリンを供給できなくなる事態も想定される。ほぼすべての産業で物流コストが上がり、日用品の値上げにつながりかねない。
工業部門も環境汚染対策の一環で尿素の利用を義務付けられており、尿素が不足すれば、生産が止まる恐れがある。
2020年に輸入された尿素
835千トンのうち、工業用は34.7%、車両用は9.8%、残りは肥料用だった。
産業用尿素水は純度が低く不純物が多い。自動車に注入すれば、排気ガスの汚染物質が十分に取り除けない恐れがある。
なお、韓国外交部は11月10日、「中国製尿素の輸入手続きを速やかに進めるため、さまざまなルートで中国側と意思疎通 した結果、わが企業の契約済みの物量1万8700トンに対する輸出手続きが進められることを確認した」と明らかにした。
尿素水の尿素濃度は約30%のため、尿素水5万6100トンを生産できる量となる。
韓国で1カ月に自動車運行に使われる尿素水は2万5000トン程度。
付記
ロッテ精密化学は11月11日、グループの辛東彬(重光昭夫)会長が自身の人脈を動員し、ベトナム(8000トン)、サウジ(2000トン)、日本(1000トン)、ロシア、インドネシアから尿素計1万1700トンを単独で確保したと明らかにした。
付記
中国が10月から輸出規制を始めたことで、日本(輸入の3割を中国に依存)でも品薄感が広がった。
経産省は12月に原料の尿素の増産を国内メーカー(三井化学と日産化学)に要請した。メーカーは増産に応じており、品薄感が改善に向かう見込み。
三井化学は定修開けの12月から従来より15%増のフル生産体制に入った。日産化学は8月からフル生産体制に入っている。
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アンモニアは窒素酸化物の酸素と結合する性質があり、窒素酸化物にアンモニアを吹きかけることで化学変化を起こして窒素(N2)と水(H2O)に還元される。 「SCR」
は「Selective Catalytic
Reduction」(選択的触媒による還元)の略で、外部から排気ガス中にアンモニアを加えることで、窒素酸化物を浄化する。
アンモニアを車両に積むのは危険な為、尿素水をタンクに入れて搭載し、これを排気中に噴射することにより高温化で加水分解させアンモニアガスを得る。
https://opty.co.jp/?page_id=211
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韓国では、韓国肥料(現ロッテ精密化学)など、国内で尿素を生産するメーカーがあったが、2010年代初頭に尿素水の生産から撤退し、100%を輸入している。
輸入品の97%が中国産であるが、中国は先月、国内市場を優先するため、輸出を制限した。
中国は毎年500万トンの尿素を世界市場に供給しているが、10月11日、自国内の肥料供給への支障を理由として、尿素に対する輸出前検査を義務付けた。
尿素は農業用化学肥料の最重要原料だが、9月初めまでは1トン当たり2500元を下回っていた尿素価格が急騰し、10月末にはほぼ3500元になった。
冬の小麦栽培を控えて中国海関は、特に検疫や検査なしに輸出されていた尿素などの29種の肥料品目に対して、検疫を義務付けた。
韓国政府は公的部門の尿素備蓄を放出しているほか、軍の備蓄も放出する。ベトナムや豪州などから尿素水を緊急輸入すると決め、まずベトナムから200トンの尿素を確保。最大1万トンの確保に向けて他の諸国とも交渉を進めている。
中国窒素肥料工業協会によると、現在の中国国内の尿素工場稼働率は56.9%で、中国が尿素の生産量を回復できずにいるのは、原材料である石炭不足問題が解決していないためとされる。
中国の各企業は石炭や天然ガスで作られたアンモニアから尿素を作っているが、石炭で作る尿素は76%に達する。
しかし、中国政府は2015年から毎年、中小の炭鉱数百カ所を閉鎖し、石炭採掘を規制している上、主な石炭輸入国だったオーストラリアとの間の外交摩擦まで重なり、石炭供給難がなかなか解消されないままになっており、石炭を原材料とする尿素業界も直撃を受けた。
中国政府は今年9月に発生した大規模電力難以降、10月から再び石炭の生産量を増やしているが、冬を越すための一時的な措置だとの見方が多い。インドネシアやロシアからの石炭輸入も拡大しているが、尿素生産よりも冬季の電力生産の方に優先的に投入される見通しである。
日本は昨年確保したアンモニア96万2814トンのうち、77%の74万3231トンを自社で生産した。
ディーゼル車が多く、尿素水の需要が高い欧州でも、域内には尿素生産業者が多く残っており、尿素水供給の中止や「大混乱」は起こっていない。但し、天然ガスの価格急騰により、生産中止や減産するメーカーも多く、尿素水供給が減り、欧州主要地域の尿素水価格は倍増した。ハンガリーとチェコでは尿素水の買いだめが発生している。
2021/11/13
Nord Stream 2 稼働問題
ロシアの国営エネルギー大手Gazpromは9月10日、ロシア産天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「Nord
Stream 2」の完成を発表した。
Nord Stream -2
は全長約1200キロメートルで、 サンクトペテルブルク北方のビポルクからバルト海海底約 1200 キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトまで を結ぶ。輸送能力は年550億立方メートルで、ロシアの欧州へのガス輸出量の約4分の1に当たる。
2019/11/9 Nord
Stream -2 、年内完工へ
付記
ドイツ連邦ネットワーク庁は11月16日、「Nordstream 2 」の認証手続きを凍結すると発表した。
運営する事業会社の「Nordstream 2 AG」はGazpromの子会社で、スイスに本拠を置くが、連邦ネットワーク庁は書類審査の結果、ドイツの法律に基づいて組織された事業会社だけが認可手続きの対象になるとの結論を出した。Nordstream
2 AGはドイツの法律に基づく子会社を設立する方針で、子会社が改めて認可を申請する。
ドイツ経済省は11月26日、「Nordstream
2
」を承認してもEUへのガス供給を脅かすことはないと発表した。EU諸国との協議の上、分析結果を当局に提出したとした。「分析の結果、承認はドイツおよびEUへのガス供給の安全性を脅かすものではないと結論付けた」と指摘している。
経済省のガス供給に関する分析は当局が承認手続きを続けるための需要な要件となっている。
付記
ドイツのショルツ首相は2022年2月22日、ノルドストリーム2の認可手続きを停止する考えを表明した。ロシアがウクライナ東部の武装勢力が支配する地域を独立国家として承認し、派兵を決めたことを受け、事実上の制裁に踏み切る。
独経済省に対してガス供給に関する報告書を撤回するように要請したことを明らかにし「技術的に聞こえるが、これによってパイプラインは認可できなくなる」と説明した。
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パイプラインは欧州のロシア産ガスへの依存を高め、ウクライナを迂回するものと批判されている。ロシアによる2014年のクリミア半島併合以降、対立関係にあるウクライナは、ロシアがパイプラインを「危険な地政学的武器」として利用する可能性があると欧州に警告してきた。
トランプ前大統領はこの計画でドイツのMerkel 首相を批判していた。バイデン大統領もNord
Stream 2は欧州にとって悪い取引だと信じていると語っていた。
しかし、バイデン大統領は5月25日、Nord Stream 2 計画の完了を容認する立場を表明した。
バイデン大統領は、「私は初めからNord Stream
2に反対してきた」と述べつつ、一方で、同プロジェクトは自身が大統領に就任した際にはほぼ完成していたと指摘した。その上で、「そのため、現在さらに制裁を科し続けることは、米国の欧州との関係の観点から非生産的となり得ると考えている」と発言した。
米国とドイツは7月21日、Nord Stream 2
の建設計画をめぐる合意を発表した。米独両政府の共同声明では、ロシアが天然ガスなどのエネルギーを、敵対関係にあるウクライナなど他国を揺さぶる「武器」として使用した場合、ドイツが独自の制裁措置をとるほか、EUにも制裁を働きかけることを明記した。
2021/5/28 米、ガスパイプライン計画「Nord
Stream 2」を容認
欧州で天然ガス価格の高騰が止まらない。世界経済の回復によるエネルギー需要の高まりや風力発電の不振などが要因とみられる。
国際エネルギー機関(IEA)は9月21日、声明を出し、ガス価格上昇について解説した。
それによると、需要の回復、技術的問題などによる供給体制の混乱、異常気象などの要因が重なっている。昨年の欧州の冬が異常に寒く、しかも長期間続き、暖房需要が増えた。加えて、ここ数週間、風が弱く、風力エネルギーをいつものように利用できないでいるという問題もあるという。
Nord Stream -2
は完成したが、稼働にはドイツの独禁当局の承認を得る必要がある。障害は2019年のEUガス指令の改正である。
次の3つが条件となるが、 2019年4月に欧州議会は、このルールを Nordstream-2 のような、第3国からEU圏へと入ってくるガスパイプラインへも適用する内容の指令を採択した。
(1)ガスの供給とガスの輸送を分離すること
(2)ガス輸送のために第三者にその利用を解放すること
(3)料金体系のドイツ規制当局による承認
(1)
はEU域内の部分のみで、ドイツの領域の海底から上陸地点を経て既存のパイプライン網に至る接続部分に限り適用されるが、Gazpromが双方を担う現在の形態は認められない。
これに対し、ロシア政府は早期稼働を求め、EUに対し圧力をかけている。
一部にはロシアが価格上昇を演出しているのではとの疑惑が出ている。
Gazpromは、供給契約で定められた約束は守っていると主張、欧州の大手ガス7社はGazpromが長期契約義務を果たしていると認めた
。
プーチン大統領は10月21日、「ドイツの規制当局があす供給を許可すれば、その翌日には175億立方メートルのガスの供給が始まる」と述べた。また、ガス不足と価格高騰はEUのエネルギー政策の責任だと指摘した。
Nord Stream
2の運営会社は10月18日、2本あるパイプラインの1本目について操業開始に向けテクニカルガスを充填したと発表した。2本目のラインについても稼働準備が順調に進んでいる。