化学工業日報 2000/2/2

住化グループ 田岡化学/三建化工が合併
 10月1日付 中間体事業を強化

 田岡化学工業と三建化工の住友化学工業系ファインケミカル2社が10月1日付で合併する。両社ともに医・農薬中間体の受託生産事業の強化に取り組んでおり、両社が合併することで、事業規模の拡大をはじめ、研究開発、生産設備の有効活用など相乗効果を発揮、生き残りを目指す。
 田岡化学、三建化工の両社は1日、合併覚書に調印し、10月1日に合併することにした。田岡化学を存続会社とし、三建化工は解散する。合併比率は1対1.2で三建化工1株に対して田岡化学1.2株を割り当てる。合併後の売上高は2001年3月期146億円、2002年3月期で187億円を見込んでいる。
 住友化学はグローバル戦略、連結経営体制の強化を強力に進めており、関係会社についても事業の重複、研究開発、技術、販売などのシナジー効果が期待できる領域で合併、事業統合を検討することを要請していた。三建化工は経営が悪化しており、塩ビ重合触媒向けの有機過酸化物事業を化薬アクゾに売却するなど事業構造改善を進めているが単独では生き残りが難しくなっていた、この中で同じ住友化学グループで医・農薬中間体の受託事業を進めていた田岡化学が三建化工の技術、マルチパーパスプラントの活用などメリットがあると判断した。
 今回の合併の目玉となった医・農薬中間体事業は現在、両社合わせて年間20億円程度。これが2002年度には1.5倍増の約30億円が見込まれるなど、マルチパーパス・プラントを含めた体制整備が大きく貢献するものと見込んでいる。伊達梅吉・田岡化学社長も「この事業は年々、競争が激しくなっている。その中で双方の設備・技術を持ち寄ることで、格段の競争力をつけることができる」という。
 また、将来の設備増強については、具体的な計画はまだ明らかでないものの、「両社の現在の償却枠を合わせると約16億円となり、柔軟かつ大規模な投資が可能となる」と、含みを持たせた。


化学工業日報 2000/12/15

精密化学品 米市場開拓を強化 住化 ヒューストンに支店

 住友化学工業は、有機中間体などを中心とした精密化学品の海外市場開拓に拍車をかける。欧州では昨年、「
住友化学ベルギーにおいて染料のラボと新事務棟を建設、取り扱い品目を大幅拡充したのに続き、アジアでは、タイの合弁「バラケミカル」が新立地を確保し、工場建設を進めているが今月初め、米ヒューストンに化成品、機能材料などの販売拠点となる支店を新たに開設したことを明らかにした。同社ではアジア、欧州に比べ遅れていたこれら製品の米国マーケット開拓を本格化、精密化学品事業の海外売上高比率を今後4年間でさらに10%程度高めていく方針。
 住友化学の精密化学品部門は合成染料をはじめスーパーエンジニアリングプラスチック、高分子添加剤、半導体用フォトレジスト、ガリウム・ヒ素エピタキシャルウエハーなどと多彩。ただ米国市場においては、サンフランシスコのオフィスを軸に電子材料などの拡販は進んだものの、紙用加工樹脂や医薬中間体、エンプラ、水処理剤などの市場開拓は遅れていた。
 このため新たにヒューストンに事務所を構え、米国人をトップに据え、ニューヨーク支店などとの連携を深めながら化成品、機能材料などの市場開拓に本格的に取り組むことにした模様。主要経済圏では、昨年までに欧州拠点の住友化学ベルギーにおいて大幅増資やテクニカルサービス用ラボの新設、新事務棟の建設などに踏み切っており、アジアではタイ合弁のバラケミカルが、昨年までに追加導入した繊維用加工樹脂、タイヤ改質剤、蛍光増白剤などの設備によって、バンプー工業団地にある現有工場がフルキャパシティとなっているため新工場用地を取得し、工場建設を進めている。
 これに先駆け同社では、韓国においてもソウル南方の平沢(ピョンタク)に得た約7万平方メートルの敷地内で、
東友ファインケムの新生産拠点として、電子産業用薬品やファインケミカル製品の新工場を建設、同所には品質管理などを目的とした研究棟も来春完成する見通し。
 住友化学では、これら供給面の充実を背景に、ここ4年間で構成比が10%アップした精密化学品事業における海外売上高を、今後4年間でさらに10%高めていく方針で、戦略的投資を続けていく意向となっている。


2002/5/20 住友化学 

精密化学品のタイでの拠点強化

 住友化学は、成長が再加速しているアジア地域での精密化学品などの事業活動をいち早く強化するために、タイのバラウィンザー社と合弁で設立したバラケミカル社への出資比率を従来の42 .5 %から55 %に拡大することでバラウィンザー社と合意に達しました。
 当社は、バラケミカル社を1973年に主に現地企業に向けた繊維用加工樹脂を生産・販売する合弁企業としてバラウィンザー社、住友商事(株)との間で設立しました。その後、近年のアジア経済の成長に伴い、蛍光染料の生産・販売やアジア地域の技術サービス拠点として染色技術サービスラボの設置など事業領域を拡大してきました。昨年には、新たにスーパーエンジニアリングプラスチックである液晶ポリマー(LCP )の製造設備新設に着工し、このほど完成、操業を開始したところです。
 当社は、2001 年から2003 年までの中期経営計画において、アジアにおけるプレゼンスの強化をビジョンとして掲げていますが、その方針にのっとり、今後はパートナーであるバラウィンザー社との緊密な連携のもとに協力関係を維持しつつ、同社を連結対象子会社としてグループ戦略を共有し、住友化学と一体となった事業展開を図ってまいります。既に、将来の拡張に向けて現在の工場隣接地を取得しており、従来にも増して積極的に経営資源を投入し、精密化学品や情報電子化学品事業のアジア地域の製造・技術サービスの拠点としてビジネスの拡大を推進し、数年のうちに売上高を倍増したいと考えています。

 具体的には、以下の新たな事業展開を検討・推進していくこととしています。

 @ アジア地域の現地ユーザーに密着した生産・供給体制の確立
(LCP 、接着剤など)
 A 住友化学の技術蓄積を活用し、現地ユーザーに向けたサービス業務など新たな
ビジネスのインキュベーターとしての役割
(分析サービス、環境サービスなど)
 B 日本国内ユーザーの海外移転やコスト合理化要求に対応した供給基地
(タイヤ用ゴム改質材、紙用加工樹脂など)


バラケミカル社の概要

社名 :バラケミカル(Bara Chemical Co., Ltd.)
本社所在地 :タイサムットプラカーン県
社長 :ヨジンワタナサクル(Dr. Yodjin Uahwatanasakul )
資本金 :60 百万バーツ
資本構成 :住友化学55 %、バラウィンザー45 %
売上高 :3 億バーツ
事業概要 :繊維用加工樹脂、ゴム用接着剤、その他化学品の製造・販売
従業員数 :約100 名

2001/3/27 住友化学

精密化学品の国内販売体制強化について

 住友化学は、2001 年4 月1 日付けで、住友化学全額出資の「住化染料テック株式会社」の社名を同社の取り扱い品目の拡大に応じて「
住化ケムテックス株式会社」に変更いたします。
 「住化染料テック株式会社」は需要家に密着した技術サービス体制の実現と販売体制の強化を目的として、住友化学の染料の国内販売および技術サービス部門を分社し、1995 年3 月30 日に設立いたしましたが、これまで順調に事業展開を図るとともに、繊維用加工樹脂や、紙用加工樹脂など、取り扱い品目を順次加え、業容を拡大してまいりました。本年4 月からは接着剤原料であるVAE エマルジョンを取り扱い品目に加えることといたします。
 今後も、技術支援を含む国内販売を担当する会社として、小回りのきく特徴を発揮し、住友化学の精密化学部門を中心とした製品の拡販を通じて、業容の拡大を目指してまいります。
 また、染料事業においては、本年5 月から、インターネットを使った会員制によるE ビジネスをスタートさせ、効率的な取引方法の選択肢を需要家に提供するとともに、「技術情報提供サイト」を用意することにより、良質なサービスを効果的に提供し、顧客満足度の向上を図ってまいります。

〈会社概要〉

1. 社名   住化ケムテックス株式会社
(Sumika Chemtex Company, Limited)
2. 本社   大阪市此花区(住友化学大阪工場内)
3. 社長   岡村一美(住友化学機能材事業部長)
4. 資本金   40 百万円(全額、住友化学工業株式会社が出資)
5. 売上規模   約130 億円
6. 人員   55 名



2002/4/5 東レ

経営統合によるファインケミカル事業の強化について

 東レは、4月1日に発表した「21世紀の新しい東レ」への転換(プロジェクト New TORAY21)の一環として本体の事業や関係会社について、多面的な観点から総点検を行い、更に一歩踏み込んだ体質強化、企業構造改革を図っています。この中で、今後益々高い成長が見込まれる情報通信、ライフサイエンス、環境・安全・アメニティーの成長3領域に経営資源を重点配分すると共に、事業分野が類似・近接した会社に対しては、積極的に統合を進め、合体によるシナジーの追求、管理コストの低減を図ることにしています。
 この経営改革の実行の一つとして、東レ及び東レグループのファインケミカル事業を更に強化するために以下の通り統合を実施します。

 現在、ファインケミカル業界を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、競争も激化しており、IT分野、医農薬中間体、環境・安全・アメニティーなどの特殊な製品を除いて、厳しい状況が続いております。このような状況下、東レおよび東レグループのファインケミカル事業は高付加価値追求型の特徴ある製品を中心としてグローバルに事業展開を行ってきました。具体的には、(1)
東レで機能ポリマと医農薬中間体を中心としたファインケミカルを、(2)東レ・ファインケミカル(株)(以下TFC)でDMSO(ジメチルスルホキシド)を中心にIT関連の機能ケミカルや機能部材を、また(3)東レチオコール(株)(以下TTC)では建築・土木用シーリング材にポリサルファイドポリマを、各々事業展開してきました。

 この度、グループ全体のファインケミカル事業を更に強化するために、東レグループのファインケミカル関連事業会社である
TFCとTTCを合併し、その後東レ(株)ケミカル事業本部の機能ポリマ関連事業を統合いたします。

 順序として、まずTFCとTTCを4月1日付で合併し、存続会社は東レ・ファインケミカル(株)(本社:千葉県浦安市、社長:戸田憲男)としました。引き続き、東レ(株)の機能ポリマ関連事業を東レから分割し、存続会社に5月末付けで譲渡します。この新会社を東レグループのファインケミカル関連事業の中核会社と位置づけ、グローバル・ニッチ市場に強い世界有数のファインケミカル会社に育てていきます。

 なおTTCは、これまで東レ(株)85%、(株)野村事務所10%、ロームアンドハース社5%(本社:米国ペンシルバニア州フィラデルフィア市、会長兼CEO:Raji Gupta 、以下R&H)の合弁会社でしたが、この3月に東レが他の2社の所有する全株式を買い取りました。

 3者を統合した新会社には、世界のマーケットで高いシェアを誇る2つの主力製品、DMSOと「チオコール」があります。DMSOは液晶表示デバイスや半導体集積回路製造時の洗浄剤を主用途とする有機イオウ化合物であり、「チオコール」は建築・土木用シーリング材に使用される、イオウを骨格に持つポリサルファイドポリマです。これらに、塗料用アクリル樹脂を中心とした機能ポリマが加わり、新会社を支える3本柱となります。更に、フッ素繊維や極細繊維不織布などの機能部材および医農薬中間体などの機能ケミカルがあります。新会社はこのように、多彩な事業を展開するファインケミカルメーカーです。なお、売上高は、平成14年度170億円を予定しています。

 新会社は、千葉工場(千葉県市原市)が主力工場となり、そこではDMSO、「チオコール」および塗料用アクリル樹脂を生産しています。統合により、旧TFCの有機合成技術、TTCのイオウポリマ技術と、さらに東レのアクリルポリマ技術の融合による製品開発のスピードアップ、生産設備の拡充のしやすさ、原材料ならびに製品の物流合理化など、合併による様々なシナジー効果を期待しています。

 事業拡大の第1歩として、「チオコール」の年産3,000トンの増能力を実施します。6月稼働を目指しますが、増能力後の生産能力は、従来の年産5,000トンと併せ、8,000トンとなります。これは、昨年、R&H社がポリサルファイド事業から突然撤退を発表したことにより、本ポリマの主要用途であるシーリング材業界において、需給バランスが大きく崩れ、世界的に深刻な供給不足が予想されるからです。さらに2003年には、年産1万トンまでの増能力を行い、世界第2位の地位を揺るぎないものにする計画です。

 昨今、アメリカの景気回復が期待され、これに伴い国内および台湾での液晶表示デバイスや半導体集積回路の生産回復が見込まれます。従って、DMSOの需要が、今後、大幅に伸びると予想され、DMSO合成能力と使用済みDMSOの回収能力を増やす計画です。
 更に、東レの機能ポリマ関連事業の内、アクリル樹脂についても、従来の塗料用樹脂に加えて旧TFC,TTC両社のマーケット情報を活用し、IT関連・環境関連のユーザーニーズにマッチングした新製品の開発を進めていきます。
 以上の各アイテムを足掛かりに、グローバル・ニッチ市場に強い世界有数のファインケミカル会社に育成していきます。


<ご参考>

○新会社の概要(平成14年6月1日予定)

社  名 : 東レ・ファインケミカル株式会社
本  社 : 千葉県浦安市
社  長 : 戸田 憲男
資 本 金 : 474百万円
株  主 : 東レ100%
工  場
(主製造品)
: (1)守山工場(滋賀県守山市) ・・・ DMSO、医農薬中間体、電子材料用接着剤
 (2)松山工場(愛媛県松山市) ・・・ フッ素繊維、メルトブロー不織布、
   セルローススポンジ
 (3)千葉工場(千葉県市原市) ・・・ DMSO、DMS、ポリサルファイドポリマおよび加工品、
   塗料用アクリル樹脂
 (4)東海工場(愛知県東海市) ・・・ ゴム・樹脂添加剤、医農薬中間体
事業内容 : (1)DMSO事業
  (2)ポリサルファイドポリマ「チオコール」および同加工品事業
  (3)医農薬中間体や二硫化炭素などの機能ケミカル事業
  (4)不織布、フッ素繊維、セルローススポンジなどの機能部材事業
  (5)ナイロン解重合などのリサイクル事業
売 上 高 : 平成14年度 170億円(予定)
従 業 員 : 353名

○TFCの概要(平成14年3月末日現在)

社  名 : 東レ・ファインケミカル株式会社
本  社 : 滋賀県守山市
社  長 : 戸田 憲男
資 本 金 : 300百万円
株  主 : 東レ100%
工  場
(主製造品)
: (1)守山工場(滋賀県守山市) ・・・ DMSO、医農薬中間体、電子材料用接着剤
 (2)松山工場(愛媛県松山市) ・・・ フッ素繊維、メルトブロー不織布、
   セルローススポンジ
 (3)千葉工場(千葉県市原市) ・・・ DMSO、DMS
 (4)東海工場(愛知県東海市) ・・・ ゴム・樹脂添加剤、医農薬中間体
事業内容 : (1)DMSO事業
  (2)医農薬中間体や二硫化炭素などの機能ケミカル事業
  (3)不織布、フッ素繊維、セルローススポンジなどの機能部材事業
  (4)ナイロン解重合などのリサイクル事業
売 上 高 : 110億円(平成12年度)
従 業 員 : 261名


○TTCの概要(平成14年3月末日現在)

社  名 : 東レチオコール株式会社
本  社 : 千葉県浦安市
社  長 : 石井 清堅
資 本 金 : 440百万円
株  主 : 東レ100%
工  場 : 千葉工場(千葉県市原市)  
事業内容 : ポリサルファイドポリマ(商品名「チオコール」)および同加工品事業  
売 上 高 : 30億円(平成12年度)  
従 業 員 : 66人  

○東レ機能ポリマ関連事業の概要(平成14年3月末日現在)

工  場 : 千葉工場(千葉県市原市)
事業内容 : 塗料用アクリル樹脂等の機能ポリマ事業
売上高 : 20億円(平成12年度)
従業員 : 26名



2001/11/5 東レ

工業生産可能な不斉合成による光学活性医薬中間体の製造技術の開発について

 東レ(株)は、この度、医薬中間体となる光学活性体を、高収率・低コストで生産できる革新的な製造技術を開発しました。
 非光学活性体である炭素-炭素二重結合を有する不飽和化合物に、光学活性天然物を原料にした不斉試薬を作用させて、化合物の不飽和炭素上に水酸基を導入し、医薬中間体となる光学活性アルコールを創出させる、世界的に例のない工業的な不斉合成技術であります。本製造法によるパイロット生産は既に終了し、光学分割法より20%以上も安価に製造できることが確認できました。
 今後は、不斉合成技術を活かし、光学活性アルコール、光学活性アミンなどの光学活性体製造への展開を図っていきます。
 
 一般に不斉合成は、不斉試薬と呼ばれる光学活性体が用いられ、この試薬を非光学活性体に作用させて、一方の光学活性体を高い割合で得ることを特徴とします。光学活性体の製造においては、反応収率と共に、光学純度が重要な意味を持ちます。これは、医薬中間体の場合、光学異性体(R体とS体)で生体に対する作用が全く異なる場合が多いために、一般的に目的とする光学活性体中に光学異性体の混入が0.5%以下(99%ee以上)に抑えることが要求されるからです。したがって、不斉合成で得た光学活性体の光学純度が低い場合には、精製工程の実施が不可欠になります。
 現在の不斉合成研究は、高反応収率・高純度の光学活性体が得られる不斉試薬を合成するために、不斉試薬の構造及び合成法が複雑になる傾向にありますが、東レは、製造コストに焦点を当て反応収率と光学純度を別々に捉えた二段プロセス法という「逆転の発想」により、コスト競争力の高い工業的製造法を開発しました。

 この二段プロセス法は、不斉合成により、低純度・高反応収率の光学活性体を創出する第一プロセスと、精製により、低純度から高純度にして、高収率で光学活性体を生産する第二プロセスから成り立っています。
 第一プロセスの、新たに開発した不斉合成の特徴は、1)不斉試薬を天然物から誘導するため安価に製造できること、2)不斉試薬の合成から不斉合成までを一つの反応缶で実施できる簡便でシンプルなワンポットプロセスであること、3)室温付近での不斉合成が可能であるなど反応条件の制約を極小化したこと、4)多くの不飽和化合物にも適用可能で、汎用性の高い技術であること、5)用いる後処理剤により多種の光学活性体を製造できる点です。また、第二プロセスでは、これまでの蓄積技術を活用し、精製の高効率化を実現しました。更に、当社独自の高精度光学純度分析法を採用し、光学活性体の品質保証をしております。
 これらは、東レが既に有している光学分割、分析、品質評価等の技術を駆使することにより可能となりましたが、本プロセスにより、ラセミ体による光学分割より20%以上も安価な製造コストで、高純度の光学活性体を生産することが可能となりました。

 現在、医薬品は非光学活性体から光学活性体にシフトしており、その結果、光学活性医薬中間体の売上高は、1996年以来、対前年比2桁の高い伸びを示しています。

 東レは、平成14年度から本技術を用いた新プロセスによる工業生産を開始し、循環器系などの医薬中間体を生産する予定です。今後とも、不斉合成技術を、選択資化、化学誘導、光学分割といった従来の保有技術に加えることで、技術開発力が一層強化され、幅広い光学活性医薬中間体を供給していきます。


2000/12/21 三菱レイヨン/アクゾノーベルレジン社

三菱レイヨン株式会社とアクゾノーベルレジン社が高機能樹脂分野において戦略的提携  

 三菱レイヨン株式会社とアクゾノーベルレジン社(本社:オランダ ベルゲンオプソム) は、
塗料、印刷インキ用用途における高機能樹脂分野において、開発並びに事業運営面 において協力し合うことを決定し、お互い良きパートナーとして、ステップバイステッ プでグローバルな戦略的提携を築き上げることを合意しました。

1.提携の背景

 アクゾノーベルレジン社はアクリル、アルキド、メラミン樹脂等巾広い材料を保有し、 特に印刷インキ分野では世界第2位の規模を有する総合樹脂メーカです。欧州での厳し い環境規制のもと、いち早く水性樹脂等の開発に取り組んでいます。一方、当社では、 アクリル系樹脂のメインサプライヤーとして自動車トップコート塗料用樹脂を始め、各 種樹脂製品、繊維などの分野で市場に貢献すると同時に、国内自動車業界で要求される 品質基準などへの対応技術も含め、豊富なマーケット経験を保有しています。
 ユーザーである塗料、インキメーカーは、現在、益々強い革新性をもって急速にグローバル化を 推進しています。このことは、従来にも増して、ワールドワイドで迅速対応可能な供給網整備の 必要性や新たな高機能レジンの技術開発のスピードアップが問われていることを意味しています。 このような状況を鑑みて、既に当社と技術ライセンス等を行ってきたアクゾノーベルレジン社と 戦略的提携を結ぶに至りました。その第一ステップとして両社協議の結果、2000年11月より 共同研究開発をスタートすることに致しました。

2.共同開発のメイン課題

 近年VOC(揮発性有機化合物)(注1)削減や環境負荷物質対策等、環境に優しい 材料に対する要求が地球レベルで高まるなか、従来国レベルでの規制が明確で無かった日本でも 大手自動車メーカーによるゼロエミッションへの取り組みが始まっています。
 特に自動車塗装の分野においては、有機系溶剤削減に向けて、水性塗料用レジン、ハイソリッド 型塗料用レジン(注2)、粉体塗料用レジンへの切り替えが、世界的レベルで急がれています。 日本においては未だ高い比率を占める、ローソリッドといわれるVOCの高い自動車塗料用レジンは、 欧州で急速に低減化が進み、米国に至っては、ほぼ皆無の使用率です。このような状況の中、 日本の自動車メーカーにおいては、上塗り塗料について、大巾なVOC削減の方針が打ち出されています。

 具体的には、最も有機溶剤比率の高い着色層用(注3)では、水性塗料用レジンが、低VOCを 達成できる材料として最有力といわれており、2005年本格化に向けて早期開発が求められています。 しかし、日本においては、年間の温・湿度変化やメーカー合格基準の高さから、未だ最適商品が開発されていないのが現状です。

 本課題の打開に向けて両社では、それぞれの保有する技術と知見を結集すると共に、迅速な商品開発を目指します。

3.将来の共同研究

 塗料や印刷インキ用途における戦略的キーワードは、エコロジー(環境)であり、 両社はこの将来ニーズに注力していきます。これは、水系塗料用レジンだけでなく 粉体塗料、UV塗料なども対象としています。

 今次の取組みが、欧州、米国に拠点をもつアクゾノーベルレジン社と、米国、タイ、 インドネシアに拠点をもつ当社とのビジネス全体のシナジー効果につながると同時に グローバルオペレーションも視野に入れながら、提携による相乗効果を最大限に生かす所存です。


2002/12/12 Business Wire via NewsEdge Corporation

Arch Chemicals to Offer Polycaprolactone and Polycarbonate Polyols in North and South America

Arch Chemicals, Inc. has announced a marketing alliance with Daicel Chemical Industries, Inc. under which Arch will market Daicel's polycaprolactone and polycarbonate polyols in North and South America.

These products will be sold under the Arch trade names of Poly-T(tm) and Poly-CD(tm).

"Daicel offers a wide range of high quality polycaprolactone and polycarbonate polyols in other parts of the world, and we are pleased to have created this alliance to service the North and South American markets with these products and technical support," said Bob Koroshetz, General Manager of Performance Urethanes for Arch Chemicals. "These products represent yet another important extension to our growing urethanes polyol product line, making Arch an even more valuable partner to our customers."

Polycaprolactone and polycarbonate polyols are used in high-end coating, adhesive and elastomer applications such as fabric coatings, contact and hot-melt adhesives, microcellular shoe soles and potting compounds. Product literature and samples may be obtained through Arch's customer service team at 1-800-636-3786, or through local Arch account managers.

Based in Tokyo and Osaka, Japan, Daicel Chemical Industries, Ltd. has annual revenues of $2 billion and its major products include cellulose acetate, acetate tow, acetic acid and its derivatives, caprolactone derivatives and other high-performance chemicals, intermediates for pharmaceuticals and agrochemicals, and inflators for automobile airbag systems.

Headquartered in Norwalk, CT, Arch Chemicals, Inc. (NYSE:ARJ) is a global specialty chemicals company with approximately $1 billion in annual sales, 3,000 employees, and manufacturing facilities in North America, South America, Europe, Asia and Africa. Arch and its subsidiaries have leadership positions in four key business segments -- Treatment Products, Microelectronic Materials, Performance Products and Other Specialty Products -- and they serve world leaders in these markets with forward-looking solutions to meet their chemical needs. The Company's main Web site is at www.archchemicals.com.


2003/03/19 九州大学/ 大日本インキ化学

九州大学と大日本インキ化学との包括的連携研究契約の締結について

 九州大学(福岡市東区、総長:梶山千里、以下九大)と大日本インキ化学工業株式会社(東京都中央区、社長:奥村晃三、以下DIC)は、このほど包括的連携研究契約を締結しました。

 この契約は、DICの様々な研究開発ニーズに対して、九大の工学研究院、総合理工学研究院、農学研究院、機能物質科学研究所の教官や産総研九州センターの併任教官などが参画し、各種の要素研究の融合を図りながら独創的なコンセプトを創出し、両者が共同して国際競争力に優れた最先端の実用化技術を開発することを目的としたものです。

 本包括的連携研究の運営は、九大の総長特別補佐(産学連携担当)およびDICのR&D担当役員、九大・DICの研究代表者・産学連携担当者などからなる「連携協議会」が担当します。また各研究プロジェクトの具体的研究計画などは、目標とする成果やスケジュールなどを示した「研究計画案」を両者の研究担当者が共同で策定し、それを連携協議会で議論し、新たなコンセプトの導入など必要な修正を加え、決定します。この連携協議会を通じて、九大とDICは研究に対する認識の相違を克服し、九大は個別研究室による縦割り的研究のやり方から脱却するとともに、各研究室の有する要素研究を融合し、両者が相互に納得する革新的技術の創出促進を目指しています。研究の進捗状況は定例的に連携協議会に報告され、研究開発方針の軌道修正やプロジェクトの差し替えなどを迅速に行います。

 一方、設定された研究プロジェクト以外にも、九大教官とDICの幅広い部門の技術者とが本音による技術交流を活発に行い、新規研究プロジェクトの企画や互いの研究者の活性化・レベルアップを図ります。DICではR&D本部の研究員に加えて事業部の技術者も参画し、主として実用化を重点にした研究に取り組み、研究者の九大派遣も積極的に行うことにしています。さらに本包括的連携研究では、DICからの提供資金に加えて公的資金の導入を図るなどして研究開発力の一層の強化を図る方針です。

 両者は、本包括的連携研究契約の最初の研究テーマとして「光機能性有機材料の開発」を取り上げ、その開発に向けて
 (1)安価で省エネ型の新規表示デバイスの開発
 (2)ナノ微粒子有機材料の製造技術の開発
 (3)新規光機能性材料の利用研究
 (4)バイオプロセスによる機能性高分子材料の開発
 (5)機能性ポリマーの重合用触媒の開発
の5つのプロジェクトをスタートします。

 両者は今後、さらなる新技術・新製品の開発に向けて、新たな研究テーマを積極的に取り上げていく方針です。


2003/3/19 Financial Times

New installations in the US for Chiral Technologies.

Daicel Chemical's subsidiary Chiral Technologies recently acquired land in West Chester, PA for the construction of a new commercial and technical centre. Chiral Technologies is a leading producer of chiral products for chromatography.


Chiral Technologies   http://www.chiraltech.com/new/intro.htm

 Chiral Technologies provides technical support, services and products to assist customers in Europe and North America in the analysis and separation of racemic compounds. For assistance in Asia, customers may contact Daicel Chemical Industries, Ltd. (Tokyo, Japan), a multi-billion dollar company with established expertise in cellulose chemistry and separation technologies. Daicel Chemical Industries, Ltd. is the parent company of Chiral Technologies.

 
Chiral Technologies focuses its resources on chromatographic resolution - the fastest, most effective means of analyzing chiral compounds and obtaining pure enantiomers. A staff of experienced scientists and engineers at each Technical Center develops methods, provides customer support services and develops new application data. Our products and custom separation services are accomplished in facilities that comply with cGMP quality guidelines.

 
Daicel® chiral HPLC columns, the most widely used and referenced chiral chromatography products in the world, are available from Chiral Technologies in Europe and North America. The core technology for Daicel chromatography products is polysaccharide-type chiral stationary phases. This technology has its origins with the research and resulting inventions of Professor Y. Okamoto of Nagoya University, Japan. Continued product development has resulted in bulk chiral stationary phase, preparative and process scale columns, simulated moving bed (SMB) chromatography technology and the availability of custom separation services.

Chiral Technologies,Inc.
  730 Springdale Drive,P.O.Box564,Exton,PA 19341,U.S.A.
  光学異体性分離カラムの販売及び光学活性体事業に関する技術サービス

欧州
Chiral Technologies-Europe SARL
  Parc d'lnnovation Blvd.,Gonthier d'Andernach,B.P.167, 67400,Illkirch,France
  光学異性体分離カラムの販売及び光学異性体の受託分離