日本経済新聞 2002/12/2

繊維・化学各社 中国で高機能樹脂拡充
 現地生産の家電・自動車用

 繊維・化学各社は中国で高機能樹脂事業を拡大する。東レは深セン市と上海市でナイロンなどの樹脂に難燃剤や着色剤を加え、機能を高めるコンパウンド(成型前材料)の製造設備を増強。帝人化成、旭化成などはコンパウンドのほか高機能樹脂も生産する。家電・OA機器や自動車メーカーが中国生産を強化、樹脂製品の高機能化が求められるのに対応する。
 
東レがコンパウンド設備を増設するのは約9割出資する麗碧複合塑料(深セン市)と、三井物産や三井化学などと共同で設立した上海三井複合塑料(上海市)。それぞれ自動車部品などに使うナイロン、PBT(ポリブチレン・テレフタレート)向けのコンパウンド設備を建設、2003年春までに稼働する。投資額は数十億円。年産能力はともに3千トン。両拠点のコンパウンドの生産能力は計4万4千トンと現在より約2割増える。
 
帝人化成は約15億円を投資して上海にOA機器の外枠などに使うポリカーボネートなどのコンパウンド設備を建設、2003年夏に稼働する。年産能力は2万トン。日本、シンガポールにポリカーボネート工場を持つが、中国で同樹脂を生産することも検討している。
 
旭化成は江蘇省のコンパウンド会社を買収したのに続き、米デュポンと組み、80億−90億円を投資して同省に年産2万トンのポリアセタール樹脂設備を建設、2004年春に稼働する。 
高機能樹脂専業の
ポリプラスチックス三菱ガス化学などと約170億円を投資し、江蘇省に年産6万トンのポリアセタールの設備を建設、2005年に稼働する。同樹脂は耐摩耗性に優れ主に電気製品の歯車などに使う。
 中国を含めたアジアでは、耐熱性や耐摩耗性に優れ、軽量の高機能樹脂の需要が自動車や家電向けを中心に年7%程度伸びるとの予想がある。各社は投資額が少なくてすむコンパウンド事業で顧客を開拓し、川上の樹脂生産を進める戦略を立てている。

 


2003/1/9 三井化学

米国PPコンパウンド関係会社の統合について

 当社(社長:中西宏幸)は、米国におけるPPコンパウンド事業の強化を図るために、ATC Inc.(ATC)と、Color & Composite Technologies, Inc.(CCT)とを本年1月1日をもって統合し、Advanced Composites, Inc.(ACI)を設立致しました。

 北米における自動車生産は、ここ2〜3年、1,700万台/年の横ばいで推移すると見られています。しかしPPコンパウンドの需要は、インパネ等内装材用途でのPP化進行により1台あたりの使用量が増加し、2002年の約50万トンから2005年には約60万トン規模まで増加すると見込まれています。
 こうした環境下、ACIにおいては、増大する需要に対応し、ATC、CCT両社が培ってきた銘柄開発・生産等の技術シナジーを追求し、顧客の要請に応え、事業の拡大を図っていきます。併せて、購買、処方、生産、間接部門等の合理化を追求し、コスト競争力のより一層の強化を図ります。
 統合新会社ACIの概要は別紙のとおりですが、事業計画としては日系自動車メーカー及び米国ビッグ3に対する積極的な拡販等により、2002年度売上高170百万USドル(ATC・CCT落付計)を2005年度には240百万USドルに、拡大していきます。
 当社は、2002年4月に住友化学工業株式会社との間で、三井住友ポリオレフィン株式会社を設立し、ポリオレフィン事業の強化を図っております。PPコンパウンド事業の強化、拡大は同方針に沿うものであります。
 また、当社は、日本及び北米以外にも次のPPコンパウンド事業拠点を有しております。

  タイ : Grand Siam Composites Co. Ltd.、生産能力22千トン/年
  中国 : 上海三井複合塑料有限公司、生産能力24千トン/年
  欧州 : Mitsui Chemicals Europe GmbH 外部委託10千t/年

(別 紙)

統合新会社ACIの概要
  1.社名   Advanced Composites, Inc.
  2.設立   2003年1月1日
  3.資本金   14.1百万USドル
     出資比率   Mitsui Chemicals America Inc.(MCI−A) 
三井物産(含Mitsui Plastics Inc.) 
丸紅アメリカ
62.8%
27.0%
10.2%
  4.本社    オハイオ州シドニー
  5.工場    <工場名/設備能力(千トン/年)>
 ・オハイオ工場     65
 ・テネシー工場     44
 ・メキシコ工場(注)  11
            計 120
(注)ACIの100%出資関係会社 Advanced Composites Mexicana S.A de C.V
  6.社長   河合洋一
  7.従業員   430名
  8.事業内容   樹脂コンパウンドの製造・販売
  9.売上高   170百万USドル(2002年度ATC・CCT落付計)  

 


2003/03/26 LNP/ 旭ファイバーグラス

LNPエンジニアリング・プラスチックス 旭ファイバーグラス社と戦略的業務提携を締結
  旭ファイバーグラス社は長繊維強化複合材料「Verton®」をLNP社に製造

 ゼネラル・エレクトリック(GE)プラスチックス傘下の、熱可塑性エンジニアリング・プラスチックスのカスタム・コンパウンドに関する世界的リーダーであるLNPエンジニアリング・プラスチックス(本社:米国ペンシルバニア州エクストン)は本日、旭硝子(株)の100%子会社で、ガラスファイバーの専業メーカーである旭ファイバーグラス(株)(AFGC)との戦略的業務提携を発表しました。この業務提携は複数年度にわたり、AFGCがLNPの仕様に基づき、アジア太平洋地域で販売される長繊維強化熱可塑性樹脂「Verton®」の製造と供給を行うというものです。この提携によってLNPは3つの主要自動車生産地域すべてにVerton繊維強化樹脂を供給できるようになります。

 LNPの社長兼CEOおよびGEの副社長であるチャーリー・クルー(Charlie Crew)は次のように述べています。「この製造契約はアジア太平洋地域のお客様に高品質なVerton繊維強化樹脂を供給するもので、この地域の自動車をはじめとする産業市場からの期待にさらに応えることを可能とするものです。AFGCはすぐれたガラスファイバー製品を持つ世界の一流企業であり、この契約を同社との間に締結できたことをうれしく思っています。」

 LNPは世界を代表する熱可塑性エンジニアリング・プラスチックスのカスタム・コンパウンダーとして、北米、欧州、およびアジアの9個所の製造拠点から製品の製造と流通を行っています。しかしアジア太平洋地域には、これまでガラス長繊維強化樹脂の製造拠点が存在しませんでした。この契約に基づきLNPにはアジア太平洋地域でのVerton製造が可能になると共に販売力が強化され、またAFGCにはファイバーガラスと長繊維強化熱可塑性樹脂に関するLNPの優れた技術を市場に最大限に反映させることが実現します。さらにLNPはこの提携を通じ、自動車をはじめとする製造企業がその製造拠点のグローバル化と新たな地域へ製造拠点展開を行う中で、安定した性能と品質を持つ材料への要求の高まりに対応できるようになります。

 AFGCはこの契約に基づき、日本国内向けのVertonをGEポリマーランドジャパンに供給します。アジア域内の他の地域についてはAFGCから中国上海に拠点を置くアジア太平洋地域のLNPに供給され、GEプラスチックスおよびLNPの流通ネットワークを通じて販売されます。販売と技術サービスはLNPによってのみ行なわれます。

 LNPはガラス長繊維強化熱可塑性樹脂の開発と製造に関して世界をリードする企業です。Vertonは自動車用フロントエンド・モジュール、ドアパネル、サンルーフのビーム部分、シフトレバー用ベースなどの構造材に使用され、またポンプやコンプレッサーのハウジングなど他の産業用途にも活用されています。Verton®は軽量化、コストダウン、構造体での抜群の強度実現などに貢献し、またダイカスト部品の代替品としても極めて優れているため、このような材料への需要については拡大が予想されています。


(添付資料)

 LNPについてLNPは世界を代表する熱可塑性エンジニアリング・プラスチックスのカスタム・コンパウンダーで、数々の新規用途開発で数多くの実績があります。米国ペンシルバニア州エクストンに本社を置き、米国、メキシコ、欧州、アジア太平洋地域、南米の全域に9箇所の生産拠点を持ち、グローバルに製造販売を行っています。LNPは、革新的で、付加価値の高い製品および実現可能なソリューションを提供しています。製品は情報技術、自動車、ヘルスケアといった業界向け、消費者向けのspecialty compoundsとして幅広い用途に使われています。
 同社のWebサイトは、 www.LNP.com でご覧になれます。

GEプラスチックスについて
 GEプラスチックスは、世界中に大規模な製造施設を擁する熱可塑性エンジニアリングプラスチックのリーディングメーカーです。LEXAN® ポリカーボネートをはじめとするGEプラスチックスの素材は、CDおよびDVD、自動車部品、コンピューターのハウジング、調理器具、屋外標識、携帯電話、防弾シールド、建築素材といった幅広い用途に用いられています。GEプラスチックスは傘下のLNPエンジニアリング・プラスチックス事業を通じて、熱可塑性エンジニアリングプラスチックのカスタム・コンパウンドで世界をリードしています。また、GEポリマーランドを通じて各種樹脂を、GEポリマーシェイプスおよびGEストラクチャード・プロダクツを通じてシート、フィルム、ロッド、チューブなどの製品を全世界で販売しています。2003年はGEの化学者であるダニエル・W・フォックス博士(Dr.Daniel W.Fox)が1953年にLEXANポリカーボネートを発明してから50年目にあたり、GEプラスチックスの50年におよぶ革新技術の節目の年となります。

旭ファイバーグラスについて
 旭硝子株式会社の100%子会社である旭ファイバーグラス(AFGC)は、1956年、日本初のガラス繊維専門メーカーとして、創設されました。以来、多くの可能性を秘めたガラス繊維の、日本唯一の総合専門メーカーとして、新しい技術、新しい用途の開発に努め、高品質の製品を市場に提供してきました。また、省エネルギーに欠かせない断熱材(グラスウール)や、プラスチック強化基材としてのガラス長繊維(グラスファイバー)の供給はもとより、ガラス繊維本来の断熱、吸音材や強化、構造材としての分野に加え、電子機器、通信、宇宙、バイオ、環境保全などの複合・高機能材料としての用途にまで拡大しています。
 旭ファイバーグラス社のWebサイトは、 www.afgc.co.jp. でご覧になれます。


2003/9/4 ゴムタイムス

リケンテクノス   日本ポリオレフィンのTPO事業を引き受け

 リケンテクノス梶i木下宏一社長)は9月4日、日本ポリオレフィン鰍ニオレフィン系熱可塑性エラストマー事業に関する営業譲渡契約を締結、日本ポリオレフィンの有するオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名=オレフレックス)の製造・販売の権利を引き継ぐことになったと発表した。
 営業譲渡契約 は9月1日付けで交わされたが、成長著しい熱可塑性エラストマー市場において、
リケンテクノスと日本ポリオレフィンが有する熱可塑性エラストマー製品はほとんど競合しない位置にあり、リケンテクノスにおいても熱可塑性エラストマーの拡大には、日本ポリオレフィンのTPO/TPVが主体のオレフレックス事業を引き継ぐことは、顧客に対する品揃え強化につながり、また、両社の持つ知識・ノウハウの融合によりエラストマー事業拡充・強化につながるとし、日本ポリオレフィンの同事業(年間約10億円)を引き継ぐことにしたもの。
 なお、日本ポリオレフィンは9月1日付で日本ポリケム鰍ニPE事業の統合が決定しており、PE事業への集中を図る。

 *日本ポリオレフィン川崎工場で製造


リケンテクノスの熱可塑性エラストマー

         http://www.rikentechnos.co.jp/products/fine.html

 理研の熱可塑性エラストマーは、当社の長年のPVC事業やプラスチックスコンパウンド事業に携わる中で蓄積された配合、混練技術を、SBC系、TPE系に応用展開することによりその優れたゴム弾性をいかし、市場ニーズに合うように機能化したユーザーフレンドリーな材料です。レオストマー、マルチユーズドレオストマー、アクティマー、ハイパーアロイアクティマー、トリニティ等お客様のご要望に沿うよう多くのシリーズを取り揃えています。

レオストマー
 レオストマーはハードセグメントにPSソフトセグメントにゴム分子を持つスチレン系エラストマーのコンパウンドです。ハードセグメントがPSであるため耐熱変形性や耐油性に劣りますがほかのTPEと比較してゴムらしく、低硬度で弾性、常温付近での優れた圧縮永久歪などの特徴があります。また衛生性にも優れ医療用から食品用のグレードも有ります。

マルチユーズドレオストマー
 マルチユーズドレオストマーはPEを主体とするオレフィン系エラストマーです。コストパフォーマンスに優れ透明グレードや食品用グレードも有ります。

アクティマー
 アクティマーはスチレン系エラストマーであるレオストマーに、高温でのゴム弾性、耐油性などを付与して、一層の高機能化を実現した動的架橋熱可塑性エラストマーです。コンパウンド製造時に架橋されているため成形時には一般の熱可塑性樹脂と同様に成形できます。

トリニティ
 トリニティは耐油性がアクティマーに比べ若干劣りますが圧縮永久歪や機械特性は同等以上のコストパフォーマンスに優れた動的架橋熱可塑性エラストマーです。ノンハロゲン難燃グレードも有ります。


2003/09/12 富士経済

高機能熱可塑性エラストマー市場調査を実施
−自動車分野は2002年市場規模53,010t、2008年には67,070tの予測−

 総合マーケティングビジネスの(株)富士経済 (東京都中央区日本橋 原 務社長03−3664−5811)は調査報告書「2003年 高機能熱可塑性エラストマー&コンパウンドの用途展開とグローバル戦略」をまとめた。高機能熱可塑性エラストマー市場は、物質改善に伴い、着実に既存素材からの代替によりダイナミックに変化している市場である。

●熱可塑性エラストマーの種類
 スチレンブロックコポリマー(SBS、SIS、水添SBC)       
 オレフィン系エラストマー(非架橋型/架橋型)
 SBCコンパウンド(SBS、水添SBC、[非架橋型/架橋型])  
 塩ビ系エラストマー(TPVC)
 塩素化ポリエチレン系エラストマー(CPE)              
 ウレタン系エラストマー(TPU)
 ポリエステル系エラストマー(TPEE)                 
 ポリアミド系エラストマー(TPAE)
 フッ素系エラストマー                           
 塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ
 シリコーン系エラストマー                        
 シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン
 エステルハロゲン系ポリマーアロイ

【 熱可塑性エラストマーの特徴 】

(1)マテリアルリサイクルに優れている  
(2)ゴムと樹脂の中間の特性を有する
(3)ゴムと比較して加硫工程が不要    
(4)樹脂と同様の成形性を有する 
(5)様々な配合剤と共に使用可能

【 熱可塑性エラストマーの現状の使用方法 】
(1)熱可塑性エラストマー単独使用
  ex)水添SBCコンパウンド、TPV、TPVC、Syn−1,2−BR、TPU、TPEE、TPAE
(2)相異なる樹脂の相溶化剤としての使用
(3)相手樹脂の物性改質(配合剤)としての使用
  ex)SBS、エポキシ化スチレン系エラストマー、水添SBC、CPE、シリコーン系
(4)ベースポリマーとしての使用
  ex)SBS、SIS、水添SBC、CPE、Syn−1,2−BR、TPU、TPEE
(5)硬質樹脂との二色形成
  ex)水添SBCコンパウンド、TPU、TPV、Alcryn


【 熱可塑性エラストマーの国内需要推移予測 】

・熱可塑性エラストマー(TPE)トータルの需要推移
 2003年見込み952億円(対2000年比111.1%) 
 2008年予測1,118億円(対2000年比130.5%)
 TPEは、既存素材からの代替、すなわちゴム並びに樹脂代替で市場が拡大している。TPE市場は一部の品目(ex.SBS、SIS)を除くと高機能・高価格な素材が多い。全般的な市場の動きとしてはTPEの品目の大半で、今後も市場拡大が見込まれる。TPEの機能自体で採用されているというよりも、ゴム代替ならば「加硫工程不要」、樹脂代替ならば「リサイクル」「軽量」「脱PVC」といった点からTPE化が進んでいる。しかし、さほど、市場規模がある訳ではなく、低価格化は起こりにくい傾向にある。そのため、既存素材と比較して高価格であり、TPE化のスピードは遅い。SBCを除いたTPEの中で市場変動が激しく、注目を集めている品目は、環境性に優れた「TPO(TPV)」や「水添SBCコンパウンド(水添TPS)」であり、PVC代替素材として需要が拡大している。これらのTPEの最終用途の多くは、SBCを除くと、シール材や表皮材向けが主体である。

【 熱可塑性エラストマー(TPE)の種類別需要推移 】
 2001年にIT不況の影響をうけて、減少したTPEもあるが、基本的には上昇傾向にある。従来から市場を形成するSBSが25%以上と最も高い数量ウェイトを占めている。SBSは道路舗装材の高機能化に伴い需要は伸長しており、更に数量は上昇すると考えられる。TPVC、非架橋TPO、TPO、TPVは2000年時点では殆ど同レベルの需要量であった。その後、非PVC化・軽量化・リサイクルなどが進行しTPVや非架橋TPOは上昇傾向にあるが、TPVCは低下傾向で推移している。TPU、TPEE、TPAEは数量ウェイトが上昇しているものの、TPE平均伸長率と比較すると、新規用途開拓が進んでおらず、伸びは鈍化している。

【 用途分野別のTPE化の現状と将来予測 】
 本調査で区分した、「自動車」「工業(非自動車)」「雑貨」「樹脂改質」のうち、TPEは「自動車」「工業(非自動車)」「雑貨」用途では、「シール材」「各製品の表皮材」「靴底材料」として主に使用されている。特にシール材に関しては各分野に亘って様々な用途で需要がある。以下、上記の4分野ごとにTPE化の動向分析結果を記す。

●自動車分野 2002年市場規模 53,010t  2008年市場規模予測 67,070t
 自動車分野で現在TPE化が進んでいる用途はPVC代替の「内装表皮材」とCR代替の「ブーツ類」である。需要拡大が見込める有望なTPEはTPO(TPV)とTPEEである。自動車メーカー各社は軽量化や脱PVC化を推進する代替素材の1つとしてTPO化を進めるため更なる需要が見込める。
 今後本格的な需要が見込まれる用途としてはシール材(ウェザーストリップ)といったものである。

●工業分野 2002年市場規模 88,540t 2008年市場規模予測 111,860t
 工業分野に関してはTPEでは物性面に限界がある事から、アスファルト改質向けのSBSを除いては、顕著なTPE化は見られなかった。この分野のTPE化の特徴としては、ある特定の条件に限定した使われ方が多く、既に既存素材と棲み分けがなされている場合が多い。そのような中で、建築用や家電用のガスケット・パッキンではPVC代替でTPE化の検討や採用が徐々に進んでいる。今後は、医療用チューブでPVC代替によるTPE化が進行する事が予想される。

●雑貨分野 2002年市場規模 44,050t 2008年市場規模予測 52,720t
 雑貨関係は低価格の消費財が多く、高価な素材であるTPEの採用ウェイトが低い分野である。スポーツ用品などでは、一部のハイエンドユーザーに需要が限定されているのが現状である。しかし、ユーザーによっては環境配慮や商品及び企業イメージの向上を狙って、玩具・グリップ・シューズ類で徐々にTPE化が進む傾向にある。雑貨分野は1個あたりのTPE使用量は微々たるものであるが、裾野が広く潜在ユーザーも多い事から、今後もグリップや玩具類を中心に徐々にTPE化が進むと予想される。

●樹脂改質分野 2002年市場規模 37,750t 2008年市場規模予測 41,490t
 樹脂改質分野のTPEは相手樹脂や最終用途の市況に左右される。特に用途が事実上限定されているSBS、CPE、Syn−1,2−BRでは国内市場が成熟しており、今後も横ばい若しくは縮小で推移する可能性が高い。

【 参入企業のグローバル展開 】
 TPEの場合、SBCを除いては市場規模が世界トータルでも10万トン以下の品目が多い。日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアとグローバルに事業展開を行っているメーカーは資金力のある一部の大手メーカーに限定されている。参入メーカーの大半は本国、及び周辺地域の展開が主体となっている。
 TPEは近年世界的に市場規模が拡大傾向にある為、参入メーカーによるグローバル展開が活発化している。そのため、近年では、販売面のみならず、生産面でも生産設備の能力増強や海外での新設が顕著である。特に、SBS水添SBC、TPV、TPUは、成長性が高く参入メーカー数も多いことから、メーカー間の競争が激化する方向にある。しばらくは、日本、アメリカ、ヨーロッパ市場での需要が牽引してTPE市場は拡大する傾向にある。しかし、日本、アメリカ、ヨーロッパでTPE化が進んだ後は、製造拠点が増加している中国を主体としたアジアへの事業展開が本格化すると予想される。

【 調査レポートの構成 】
 総括市場分析編では、熱可塑性エラストマーの種類と位置付け、熱可塑性エラストマーの流通構造などについて解明。高機能熱可塑性エラストマーとコンパウンド集計編では、種類別の集計、種類別のメーカーシェア状況などを明記。高機能熱可塑性エラストマーとコンパウンド個別市場動向編では、16品目の市場動向を細かく分析している。応用分野・用途分析編では、自動車分野、工業分野(非自動車)、雑貨分野、樹脂改質分野、それぞれの市場動向、参入メーカー、採用素材の動向について分析している。巻末には参入企業連絡先一覧を収録している。


【 調査方法 】
 参入企業の担当者、および業界関係者との直接ヒアリングをもとに、熱可塑性エラストマー16品目、さらに4応用分野、用途分析について調査した。調査は、2003年6月〜7月に行われた。


2003年10月16日 クラレ

熱可塑性エラストマー生産設備の増設について
   
http://www.kuraray.co.jp/press/2003/031016/031016.html

 当社は鹿島事業所(茨城県鹿島郡神栖町)の熱可塑性エラストマー(水素添加スチレン系エラストマー:当社商標<セプトン><ハイブラー>)の生産設備を年産4,000トン増設し、年産23,000トンとすることを決定しました。この設備は2005年1月から稼働する予定で、米国子会社(年産12,000トン)と合わせた当社グループの生産能力は年35,000トンとなります。
 
 当社の熱可塑性エラストマーは優れた弾力性を持った合成ゴムで、通常のプラスチックと同様に加熱による成形加工が可能で、自動車内装や電気機器部品、住宅部材関連等のほか、玩具、工具、文具等の身の回りにある軟質素材として広く使われています。またエンジニアリングプラスチック(自動車や電子材料として使われる耐熱性高強度プラスチック)の衝撃強度改良などの硬質プラスチックの脆さを補う改質剤用途や、粘接着性を生かした非有機溶剤系接着剤原料としても使われています。
 
  現在、世界の水素添加スチレン系エラストマー市場の規模は年間約10万トン(2002年 当社推定)です。中でも加硫ゴム代替や軟質塩ビ代替用途が欧・米・アジアとも拡大基調にあり年率約10%の成長が続いています。また性能面では近年ますます高機能化が求められています。
 
  当社は1990年に鹿島事業所で年産1,000トンからこの事業を始め、以降、数次の増強を行い、現在では同事業所の生産能力は19,000トンに拡大しています。また2002年9月からは米国でも生産(セプカ社:テキサス州パサディナ 生産能力12,000トン)を開始しています。
 
  当社はかねてより熱可塑性エラストマー事業をポバール・<エバール>などの酢ビ・ポバール系事業に続くコア事業と位置付け、日米合わせて50,000トン規模に拡大するために積極的な展開を進めています。このたびの増設はこの50,000トン構想の一環として、急速に拡大しているアジア地域を中心とした需要の拡大、及び高機能材用途に対応するために決定しました。今後の世界的な需要拡大に対応するため、当社は引き続きグループとしての能力増強の検討を進めており早期に50,000トン体制を築きあげる所存です。

概要

場  所 当社 鹿島事業所(茨城県鹿島郡神栖町 事業所長:執行役員 草野 学)
生産能力 現状      年産 19,000トン  
    今回増強   +4,000トン 稼働開始予定:2005年1月
    計       年産 23,000トン
設備投資額 約15億円

 

【参考資料】

市場規模: 10万トン(2002年 当社推定)…米国50%・欧州25%・アジア(日本含む)25%
   
主な用途:
  加硫ゴム代替 … 自動車・家電・OA機器・住宅・食品・医療・玩具・スポーツ用品・工具・雑貨
  軟質塩ビ代替 … 自動車・家電・医療・食品・玩具・スポーツ用品・雑貨
  樹脂改質剤 … 自動車・家電・OA機器・食品
  粘接着剤 … 衛生材料  


日本工業新聞 2004/1/5

三菱化学と米エクソン、PPコンパウンドで欧でも提携交渉

 三菱化学が米エクソンモービルと、欧州で自動車部品などに使用するPP(ポリプロピレン)コンパウンド(成形前材料)事業で提携交渉に入ったことが4日までに明らかになった。欧州にPPコンパウンド拠点を持たない三菱化学と、欧州進出する日系自動車メーカーへの納入拡大をもくろむエクソンの思惑が一致した。三菱化学がエクソンの仏子会社と合弁会社を設立する方向で検討し、出資比率や時期など詳細は今後詰める。

 三菱化学とエクソンは、すでにシンガポールに折半出資で「マイテックス・ポリマーズ・アジアパシフィック」を、米国のインディアナ州に同じく折半出資で「マイテックス・ポリマー・ジェネラルパートナーシップ」を設立し、PPコンパウンド事業を展開している。欧州でも共同で事業を手掛けることで、提携関係を拡大する。

 三菱化学は、日本、米国、欧州、アジアの四極でPPコンパウンド拠点を持つことになり、自動車メーカーのグローバル調達に対応する体制を整える。

 三菱化学は、エクソンと共同で展開するシンガポールと米国以外にも、中国の北京市で、現地資本と合弁で「北京聚菱燕塑料」を設立し、PPコンパウンドを生産している。さらに、日系自動車メーカーの中国進出に対応するため、中国の南部地域にも生産拠点を設置することを検討するなど、PPコンパウンドの国際展開を強化する。

 一方、エクソンは、仏子会社の「エクソンモービル・フランス」で、PPコンパウンドを生産し、欧州の自動車メーカーに供給している。三菱化学と組むことで、トヨタ自動車など欧州に進出する日系の自動車メーカーに対する納入拡大を狙う。

 PPコンパウンドは、汎用合成樹脂のPPをベースに、着色したり添加剤を混ぜて、インスツルメントパネルやバンパーなどの自動車部品に成形する前の樹脂材料。PPは他の汎用合成樹脂と比べて比重が軽いため、自動車1台当たりの使用量が増加する傾向にある。また、日系自動車メーカーが海外進出するのに伴い、国内と同じ品質の製品が求められるため、三菱化学のほか三井化学など化学各社が、PPコンパウンドの海外展開を強化している。


2004/03/23 三井化学

中国におけるポリプロピレン自動車材新会社設立について
http://www.mitsui-chem.co.jp/whats/040324.pdf

 当社(社長:中西宏幸)は、中国におけるポリプロピレン(PP)自動車材事業の強化を図るため、新たに本年5月、製造・販売・技術サービスの諸機能を持つ新会社を中国華南地区に設立することを決定いたしました。

<新会社の概要>
 1)会社名 :三井化学複合塑料(中山)有限公司<仮称>
 2)出資形態:三井化学100%
 3)所在地 :広東省中山市 中山火炬高技術産業開発区
 4)事業内容:PP自動車材の製造・販売
 5)設備能力:15千トン/年
 6)操業開始:2005年春

 当社は、新中期経営計画(04〜07年度)において機能性材料分野の拡大・成長とともに、石化・基礎化分野の収益力強化を基本戦略の一つとしており、その石化事業分野のコアであるPP事業においては、PP自動車材事業を中核と位置付けております。
 そのPP自動車材事業の戦略は、日本の自動車メーカーの世界展開に対応した四極(日本、アジア、北米、欧州)において、高品質のPP自動車材を供給する製造・販売・技術サービス体制を整備し、収益力の強化を図ることであります。

 中国における自動車生産台数は、2002年の325万台から2003年には439万台(中国汽車工業協会)と急増し、米国、日本、ドイツに次いで世界第四位(販売台数は三位)となり、今後も高い成長率が予想されています。特に華南地区においては、日系自動車メーカーの新増設計画に伴い、同地区におけるPP自動車材需要も大幅に増加する見込みであります。

 これに対応し、当社は既に操業中の上海三井複合塑料有限公司(上海、当社16.7%出資)に加え、新たに華南地区において生産拠点を築き、これを一体運営することにより更なる供給安定性、コスト競争力の強化を図る所存であります。


[別紙]
三井化学グループの世界におけるPP自動車材事業拠点            (単位:千トン)

地区 会社名 本社所在地 生産能力
(05年予定)
日本 三井化学株式会社 東京    200
北米 Advanced Composites Inc. 米国オハイオ州    135
Advanced Composites Mexicana s.a. de c.v. メキシコ     12
欧州 Mitsui Chemicals Europe Gmbh ドイツデュッセルドルフ    (10)*
タイ Grand Siam Composites Co., Ltd. バンコク     40
中国 上海三井複合塑料有限公司 上海     24
新会社<仮称>:三井化学複合塑料(中山)有限公司 広東省中山市     15
合計      436

*欧州は外部生産委託


2004/4/26 東洋インキ製造

プラスチック用着色剤・コンパウンド 華南新会社(工場)設立について
http://www.toyoink.co.jp/news/2004/04042701.html

概要:
 東洋インキ製造株式会社(東京都中央区京橋 代表取締役社長 佐久間国雄)は、中国華南地区において、プラスチック用着色剤およびコンパウンドの生産を開始するため、2004年3月に「珠海東洋塑料有限公司」を設立した。日系のIT・OA関連メーカーや自動車メーカーの華南地区(広東省)への生産シフトの加速に対応する。
 東洋インキ製造では、プラスチック用着色剤およびコンパウンド事業において、グローバル展開、特に中国ビジネスの強化を図っており、同事業では、中国において上海に次いで二番目、アジア地区で、韓国、フィリピンと合わせ四番目の生産拠点となる。同社では、「顧客重視」の経営方針のもと、グローバルに「顧客に密着した生産・販売体制」を構築し、顧客サービスの向上を図ることで、事業基盤の強化を推進する。
 また、東洋インキの中国・アジア地区における有機顔料のマザープラントである既存の「珠海東洋油墨有限公司」の隣接地に新会社を設立することで、同地区の色材事業拡大を図っていく。

設立内容:
新会社名  珠海東洋塑料有限公司
場所     中国 広東省珠海市
資本金    450万USドル(総投資金額 900万USドル)
設立     2004年3月設立
工場稼動  2004年11月予定
土地面積  約19,000平方メートル
生産能力  第一期 7,200トン/年
生産品目  プラスチック用着色剤および樹脂コンパウンド


2004年6月10日 信越ポリマー

信越ポリマーの化成品事業、中国に進出
アジアにサプライチェーン拡大
http://www.shinpoly.co.jp/topics/news/20040609.html

 信越ポリマー株式会社(本社 東京、社長 日浦 致、資本金 116億円)は、化成品事業の海外展開に乗り出すことにしました。第一弾として7月をめどにに塩ビコンパウンドの量産体制を敷き、現地に進出している自動車メーカーに対して高品質な塩ビコンパウンドを現地調達できる体制を整えます。

 中国へのプロダクトシフトは近年、欧米メーカーを含め、量から質への転換が急ピッチで進められています。これに対し現地の供給サイドは、量から質への転換が遅れ、高付加価値原料の現地調達が大きな課題となっていました。今回の中国進出はこうした状況を踏まえたもので、信越ポリマーではまず、高重合系高付加価値のコンパウンドの量産を7月から開始し、今後は、当社の戦略商品である高付加価値コンパウンド(塩ビ系熱可塑性エラストマー)「エクセラスト」の量産を検討していきます。すでにユーザーの評価も終わり、900トン/半期の量産体制に入ります。

 信越ポリマーの中国進出は業界では早く、1993年には蘇州に現地法人を設立、キーパッドの生産を開始、その後、生産体制を拡張、コネクター、ロールの生産にも着手するなど中国での足場を固め、電子機器はじめ、自動車メーカーに対しリードタイム短縮のための現地調達体制を整えてきました。

 中国での塩ビ製品の展開は当社にとって長年の課題でしたが、汎用塩ビ製品は原料価格や人件費等の問題でなかなか実現されずにいました。しかし、ここにきてメーカー側の量から質への転換、すなわち高付加価値原料の現地調達が浮上するようになり、状況は大きく変わり始めました。

 信越ポリマーが目指しているのは、当社独自のブレンド技術で実現した耐久性に優れ環境負荷も少ない高付加価値コンパウンド「エクセラスト」のラインアップをユーザーニーズに合わせ現地で提供していくことにあります。
 初年度の年間販売量は2,000トン、3年後をめどに4,000t/年トンに拡大させていく計画。


化学工業日報 2004/6/10

中国・深洲でOEMによる量産体制を構築したもので、現地に進出している自動車部品メーカー向けに供給する。


2004年7月12日 住化カラー

北米新会社(住化カラー・アメリカ)設立について
http://www.sumikacolor.co.jp/12.htm

 住化カラーは、北米におけるポリオレフィン等の着色コンパウンド事業を展開するため、「Sumika Color America, Inc.」を、このたび設立いたしました。事業開始は来年1月を予定しており、当面の生産は、現地コンパウンダー(アメリカ合衆国テネシー州)に委託して行います。

 北米での好調な自動車生産の伸び、自動車内外装部品へのポリオレフィンの採用増加に伴い、ポリオレフィンの着色コンパウンドの需要は日系自動車メーカー、Big-3 ともに急速に伸びています。このため、現地生産・供給の要望が強く、グローバルサプライ体制の確立が急務となっていました。今回の新会社設立はこうした要望に応え、日系自動車メーカー向け、Big-3向けに現地生産体制を整えることにより、事業拡大を図るものです。

 住化カラーは、今回の北米での新会社設立を契機に、新中期経営計画(2004年度〜2006年度)に掲げた「2010年度の"住化カラーグループのあるべき姿"―"グローバルな市場で貢献し、持続的に成長する会社"」の実現に向け、さらに海外市場への事業展開を推進していく所存です。

〔新会社の概要〕
1.社 名 :Sumika Color America, Inc.
2.資本金 :50万米ドル
3.株 主 :住化カラー100%
4.本 社 :アメリカ合衆国デラウエア州
5.社 長 :山守 雅彦
6.事業内容 :合成樹脂コンパウンド、着色剤、各種添加剤などの製造・販売


2004/11/01 三井化学

タイにおけるポリプロピレン自動車材能力増強について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=85321

 当社(社長:中西宏幸)は、東南アジアにおけるポリプロピレン(PP)自動車材の需要拡大に対応するため、タイの合弁会社グランド・サイアム・コンポジッツ社(GSC:Grand Siam Composites Co., Ltd.)の生産能力を8,000トン/年増強することと致しました。

<GSC増強計画概要>
 ・生産能力    年産8千トン増強
             (40,000トン/年→48,000トン/年)
 ・スケジュール  着工:2005年2月
             完工:2005年6月

 当社は、PP自動車材事業を石化事業分野の中核事業と位置付けております。日系自動車メーカーがグローバル展開を加速していく中で、東南アジアにおいては、タイが非常に重要な位置付けとなりつつあります。すなわち、タイは、タイ国内への自動車供給に加え、アセアン諸国への輸出拠点となっていることから、タイの自動車生産台数は伸びを続け、2005年には100万台を超え、2010年には180万台まで達する見通しであり、それに伴いタイにおけるPP自動車材需要も大きく拡大していくことが見込まれています。

 こうした環境の下、当社はGSCにおける生産体制の整備・拡大を進めており、2004年7月に生産能力を8,000トン/年増強したのに続き、今回の増強によりタイにおけるPP自動車材のトップメーカーとしての地位が更に強化されます。
 また、2005年4月には当社の100%子会社である三井化学複合塑料(中山)有限公司において、15,000トン/年の商業生産を開始することと併せ、世界四極(日本、北米、欧州、アジア)において、高品質の製品を供給する体制が更に強化されることとなります。

 当社は今後とも日系自動車メーカーの世界展開に対応し、高品質の製品を供給する製造・販売・技術サービス体制を整備し、さらなる事業の強化・拡大を進めていく所存です。

グランド・サイアム・コンポジッツ社の概要
1.社名   Grand Siam Composites Co., Ltd.
2.設立   1996年2月
3.資本金   60百万バーツ
4.出資   三井化学
Cementhai Chemical
Mitsiam Plastics
豊田通商Thailand
48%
46%
 3%
 3%
5.所在地   本社:1Siam Cement Rd., Bangsue, Bangkok 10800 Thailand
工場:ラヨン県マプタプット
6.社長   佐竹孝
7.事業内容   PPコンパウンドの製造販売及びPPの販売


三井化学グループの世界におけるPP自動車材事業拠点
(単位:千トン)

地区 会社名 本社所在地 生産能力
(現状)
生産能力
(05.6予定)

日本

三井化学株式会社

東京

200

200

北米

Advanced Composites Inc.

米国オハイオ州

135

135

Advanced Composites Mexicana s.a de c.v

メキシコ

12

12

欧州

Mitsui Chemicals Europe Gmbh

ドイツデュッセルドルフ

*(10)

*(10)

アジア

タイ

Grand Siam Composites Co., Ltd.

バンコク

40

48

中国

上海三井複合塑料有限公司

上海

24

24

三井化学複合塑料(中山)有限公司

広東省中山市

(05.4商業生
産開始予定)

15

合計         * 欧州は外部生産委託

421

444

 


日本経済新聞 2005/1/14

自動車向け樹脂材料 三井化学、中国に新工場。

 三井化学は中国に自動部品向けの樹脂材料工場を新設する。年産能力は1万5千トンで、2006年末にも稼働させる計画。トヨタ自動車やホンダなど、日系自動車メーカーが同国で生産を拡大するのに対応する。
 新工場を建設するのはトヨタが増産を計画している天津市。汎用合成樹脂のポリプロピレンに着色剤やゴムなどを混ぜ、すぐに自動車のバンパーやダッシュボードなどに成型できるようにした、コンパウンドと呼ぶ材料を生産する。投資額は20億円弱に上るとみられ、資本構成などはこれから詰める。
 三井化学は三井物産などと共同出資で上海市にもコンパウンド工場を持つほか、今年5月には広東省中山市の全額出資子会社でも生産を始める。日系自動車メーカーの主要生産拠点近辺に工場を設けることで、中国での安定供給体制を整える。
 ポリプロピレンから作るコンパウンドは耐熱性や成型加工性が高いことから自動車部品など向けに需要が拡大している。


2005年3月18日 旭化成ケミカルズ/長瀬産業

旭化成ケミカルズ株式会社と長瀬産業株式会社の折半出資による新事業会社設立について
http://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/news/2004/ch050318.html

  旭化成ケミカルズ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:藤原 健嗣)と長瀬産業株式会社(本社:東京都中央区、社長:長瀬 洋)は、特殊樹脂(ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂および特殊難燃処方ポリカーボネート(PC)樹脂)コンパウンド品、およびその加工製品について、市場開発および用途開発段階から製造・販売まで行う合弁会社(新会社名:サンデルタ株式会社)を折半出資により設立いたしました。
  新会社は、旭化成ケミカルズの持つ技術力と、長瀬産業の持つマーケティング力を組み合わせることで、より川下分野を目指した高加工度、高付加価値製品の開発、販売を行い、市場要求に応えるソリューション型のビジネスを目指します。
  コンパウンド・製品加工は外部委託を予定しており、また、設立当初は、PTTコンパウンド樹脂および環境調和型の難燃PC樹脂を用い、その特性を最大限に生かした高付加価値加工製品の製造・ 販売を行います。
 さらに将来は、両社の新規開発テーマの中から合弁事業の機能を生かせるテーマを選択し、新会社の事業を広げていく予定です。 5年後に年間売上50億円を目標とします。

1. 新会社の概要
(1) 商 号 : サンデルタ株式会社 (英文名:Sun Delta Corporation )
(2) 資本金 : 4億9千万円(旭化成ケミカルズ(株)50% 長瀬産業(株)50%)
(3) 事業内容 : 樹脂製品の用途開発、ならびに加工製品の製造販売
(4) 代表者 : 代表取締役社長   笠井 康治 (旭化成ケミカルズ株式会社)
         代表取締役副社長 本田 武夫  (長瀬産業株式会社)        
(5) 本 社 : 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 日比谷三井ビル        
(6) 営業開始 : 2005年4月1日
    
2. 商品説明
(1) PTTコンパウンド樹脂
 コンパウンド品のベース原料となるポリトリメチレンテレフタレートは、新規ポリエステル系樹脂として注目されており、すでに繊維用途で日米にて製品化されております。
 同じポリエステル系樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)に比 べ、「表面硬度」やフィラを入れた時の「外観平滑性」に優れます。
 これらの特長を最大限に生かしたコンパウンド樹脂を用い、環境問題にも適応した住設関連素材(特に水回り部品)として使用されることが検討されています。さらに、製膜性にも優れるため射出成形のみならず、シート、フィルム分野での用途が期待されています。
 なお、ベース原料であるPTTレジンは、外部PTTメーカーより調達します。
   
(2) 特殊難燃処方PC樹脂
  臭素系及びリン系の難燃剤を一切使用しない旭化成ケミカルズの独自技術による難燃PCコンパウンド品です。この難燃PCコンパウンド品は、PC樹脂が本来持っている優れた特性に加え、超薄肉成形品においても高度な難燃性を発揮するため、薄肉成形品での用途開発が期待されています。
  なお、ベース原料であるPCレジンは外部PCメーカーより調達します。
   
3. 両出資会社の概要
旭化成ケミカルズ株式会社
  (英文名:ASAHI KASEI CHEMICALS CORPORATION)
(1) 本 社 : 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 日比谷三井ビル
(2) 代表者 : 代表取締役 社長 藤原 健嗣
(3) 資本金 : 30億円
(4) 事業内容 : 各種ケミカル製品の製造、販売等        
(5) 決算期 : 3月31日        
(6) 売上高 : 約5,500億円(2005年3月期予想:連結ベース)        
(7) 従業員 : 約4,500名        
(8) 株 主 : 旭化成株式会社 (100%)
   
長瀬産業株式会社 
  (英文名:  NAGASE & CO.LTD.)
(1) 本 社 : 東京都中央区日本橋小舟町5−1        
(2) 代表者 : 代表取締役 社長 長瀬 洋        
(3) 資本金 : 97億円        
(4) 事業内容 : 染料、化学品、合成樹脂、機械、電子材料、化粧品、健康食品、医療機器等の
           輸出・輸入及び国内販売
(5) 決算期 : 3月31日        
(6) 売上高 : 約5,700億円億円(2005年3月期予想:連結ベース)        
(7) 従業員 : 約800名


2005年3月28日 住友化学

中国におけるポリプロピレン自動車材新会社設立について
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20050328_1.pdf

 住友化学は、中国における自動車産業向けポリプロピレン(以下「PP」)事業の拡大を図るべく、このたび中国華南地区にPPコンパウンドの製造および販売を行う新会社を設立することを決定いたしました。新会社の概要は以下のとおりです。

・会社名称 珠海住化複合塑料有限公司
・出資比率 住友化学株式会社55%、東洋インキ製造株式会社45%
・所在地   中華人民共和国広東省珠海市斗門区富山工業区
・事業内容 自動車材料を中心とするPPコンパウンドの製造および販売
・設備能力 当初10,000トン/年(将来20,000トン/年)
・設立時期 2005年5月頃
・操業開始 2006年央 

 住友化学は、PPなどポリオレフィン事業を石油化学部門の重点事業と位置付け、製品の高付加価値化による事業基盤の強化を図っており、その一環として、PPコンパウンド事業拡大を進めています。PPコンパウンドは、PPに合成ゴムや無機フィラーなどの素材を混練することで、それぞれの素材単体では発揮されない優れた性質を示す高性能な材料であり、自動車のバンパーや内装材等の用途に需要が拡大しています。
 当社は、日本・シンガポール・北米の三拠点で独自技術によるPPの製造プラントを有していますが、この優位性を活かして、世界で同一品質の高性能PPコンパウンドの供給体制を整え、自動車メーカーのグローバルな生産体制のニーズに対応していくことをめざしています。中国は自動車産業の成長が目覚しく、中でも華南地区では日系自動車メーカー各社の生産工場新設・増設が多数計画されており、PPコンパウンドの需要が大幅に増加することが予想されます。この急速な需要の拡大と高度な品質要求に迅速に対応し、PP事業の拡大を図るには、当社がシンガポールで生産するPPを活用し、中国華南地区においてPPコンパウンドの生産販売体制を構築することが最良の策と判断いたしました。
 また、PPコンパウンドの製造には着色技術が重要な役割を果たしますが、東洋インキ製造は卓越した合成樹脂着色技術を持ち、既に世界各国で合成樹脂用着色剤や着色コンパウンド事業を展開しています。今回の新会社を同社との協業で行うことで、より高いレベルの需要家の満足をめざします。
 当社は、今後ともPPコンパウンドのグローバル供給体制を一層充実させ、事業の拡大、収益基盤の強化を図ってまいります。


2005/5/10 チッソ

ファンクスター(ガラス長繊維強化熱可塑性樹脂)の米国展開について

 チッソ株式会社は、チッソのガラス長繊維強化熱可塑性樹脂「ファンクスター」に関し、米国での製造及び販売を行なう会社を設立し、米国における事業を開始することに致しましたのでお知らせいたします。

 ファンクスターは、チッソ独自の技術により開発された射出成形用ガラス長繊維強化熱可塑性樹脂で、優れた剛性と耐衝撃性を有し、従来のスタンパブルシートによる成形品と同等の性能が射出成形により可能となり、格段に生産性の向上が期待できる高機能性樹脂です。
当社はファンクスターの米国展開に先立ち、北米における多岐にわたる事業会社を統括し、管理部門の合理化、経営資源の最適配分及び新規事業の展開を加速することを目的とした新会社、North American Chisso Corp.を設立しました。さらにこの新会社の全額出資により、ガラス長繊維強化熱可塑性樹脂「ファンクスター」の北米展開を図るための製造販売会社 COMUSA LLC を設立し、チッソの繊維事業の提携先であるジョージア州FiberVisions社のコビントン工場内に新たに能力10千トンの生産設備を設置し、現地への供給体制を強化するとともに、デトロイトでの営業拠点設置により顧客へのサービスの向上を図り、北米の自動車産業などへの新たな事業展開を図って参ります。

 チッソは、1994年のファンクスター発売以来、家電、工業部品及び自動車分野等の機能部品、大型構造用部材として幅広い用途展開を図っており、自動車用構造部材を中心に国内外に販売が拡大しています。今後国内はもとより、世界の自動車産業の中心である北米をはじめとしてヨーロッパ他の重要地域での積極的な事業展開により、ファンクスターの全世界に向けた供給体制を整えてまいります。
 なお、ファンクスターの国内向け販売は、三菱化学グループと共同で運営している日本ポリプロ株式会社(本社:東京都港区、社長:村上永一)が実施しております。

【新会社の概要】
・会社名:  COMUSA LLC
・事業内容: ガラス長繊維強化熱可塑性樹脂「ファンクスター」の製造及び販売
・設 立:  2005年4月
・本社・営業所: ミシガン州デトロイト
・工 場:  ジョージア州コビントン
・竣工予定: 2005年12月
・出荷開始予定: 2006年1月
・資本金:  300万ドル (North American Chisso Corp. 100%)
・生産能力: 10,000d/年

【参考】
North American Chisso Corp.の概要
・会社名:  North American Chisso Corp.
・事業内容: 北米における事業会社の統括及び管理事務の業務受託、新規事業等の探索
・設 立:  2005年4月
・本 社:  ニューヨーク州 ライ市(Rye)
・資本金:  320万ドル (チッソ 100%)


2005/7/28 クラレ

熱可塑性エラストマー事業の米国での増強について
http://www.kuraray.co.jp/release/2005/050728.html

 当社は、熱可塑性エラストマー(水素添加スチレン系エラストマー:当社商標<セプトン><ハイブラー>の世界的な需要拡大に対応するため、SEPTON COMPANY OF AMERICA(以下 セプカ社:アメリカ)の設備を増強することを決定しました。
 現行設備のボトルネックを解消することにより、
年産6,000トンの能力増強を行います。
 (
増設後生産能力:年産18,000トン・2007年3月完工予定・投資額:12百万米ドル)

 熱可塑性エラストマー<セプトン><ハイブラー>は、当社が1990年に開発・事業化した合成ゴムで、優れた弾力性を持ち、通常のプラスチックと同様に加熱による成形加工が可能で、自動車内装や電気機器部品、住宅部材関連等のほか、玩具、工具、文具等の身の回りにある軟質素材として広く使われています。水素添加スチレン系エラストマーの世界需要は、加硫ゴム代替や軟質塩ビ代替用途を中心に米国・欧州・アジアを中心にして年率約10%の成長が続いています。

 当社はかねてより熱可塑性エラストマー事業をポバール・<エバール>などの酢ビ・ポバール系事業に続くコア事業と位置付け、日米合わせて50,000トン規模に拡大するために積極的な展開を進めています。このたびの増設はこの50,000トン構想の一環として、米国を中心とした需要の拡大、及び高機能材用途に対応するために決定しました。
 今後とも当社は、ユーザーと密着した開発体制を強化し、市場のニーズに十分に対応できる新製品の開発、新市場の創造に努め、熱可塑性エラストマー事業の強化・拡大に注力していきます。

セプカ社での設備投資の概要
場   所 : 米国 テキサス州 パサディナ
生産能力 : 現状 年産 12,000トン
        今回増設分 +6,000トン (05年7月着工・07年3月完工予定)
        計 年産 18,000トン
設備投資額 : 12百万米ドル

熱可塑性エラストマー 生産能力 *2005年7月時点   (千トン/年)

  現状* 増設計画 完工予定 増設後
セプカ社   12   +6 2007年3月   18
鹿島事業所   23       23
合計   35   +6     41

■ セプカ社の概要
1. 正式名称 : SEPTON COMPANY OF AMERICA
2. 本社 : 米国 テキサス州
3. 生産能力 : 年産12,000トン
4. 社長 : 水野 雅夫
5. 資本金 : 35百万米ドル


2005/10/6 三井化学

ドイツにおけるコンパウンド新会社の設立
http://www.mitsui-chem.co.jp/whats/2005_1006.htm

 当社(社長:藤吉建二)は、自動車・建材等に使用されるオレフィン系熱可塑性エラストマー(商標:ミラストマー(R))、及び食品包装材等に使用される接着性ポリオレフィン樹脂(商標アドマー(R))のコンパウンド製品(高分子配合素材)の製造・販売を行っております。この度、ドイツにおける有力コンパウンドメーカーであるPolymer−Chemie(ポリマーシミー)社との間で新会社を設立することで合意いたしましたのでお知らせします。

<新会社の概要>     
1. 社名 : Sun Alloys Europe GmbH (サンアロイ ヨーロッパ)
2. 設立及び操業開始 : 2006年1月
3. 合弁相手 : Polymer−Chemie GmbH (ドイツ)
4. 所在地 : Bad Sobernheim、 Polymer−Chemie 敷地内
         (バート ゾーバンハイム、フランクフルト西南西約100km)
5. 資本金 : 2百万ユーロ (三井化学 50%、Polymer-Chemie 50%)
6. 生産能力 : 15千トン/年(2011年には30千トン/年)

 ミラストマー及びアドマーは、顧客が求める物性を実現するため、添加材等とのコンパウンド(配合、混ぜること)を行い、自動車、建材、食品包装材等の分野で使用されています。当社は現在、世界3拠点(日・米・欧)に両製品の製造拠点を有しておりますが、欧州における当該分野での需要拡大に安定的に対応するには、有力コンパウンダーとの合弁による製造基盤の強化が不可欠と判断いたしました。

 ミラストマーは、耐候性、耐熱・耐寒性、電気特性、耐化学薬品性に優れ、リサイクル可能で軽量でもあるため、近年環境配慮型の素材として注目を浴びています。このため自動車部品、建材、日用品等への用途が拓け、世界的規模で需要が拡大しています。特に自動車用表皮材分野では、環境対応志向を強める欧州系自動車メーカーから高い評価を得て、同分野における素材としてデファクト・スタンダードの地位を確立しています。

 アドマーは、当社が世界に先駆けて開発してきた接着性樹脂であり、従来から容器包装材、自動車部品向け等に販売を行ってきました。当社の欧州における現地製造・販売の経験は約20年に及んでおり、新会社では当社が長年に亘って培ってきた経験を活かして製品の差別化を推し進め、本製品のグローバル展開を供給面から強化いたします。

 当社は中期経営計画において、機能性ポリマーズを始めとする機能性材料分野の拡大・成長を目指しております。これからも触媒技術、重合技術をベースに開発された高機能樹脂を、当社独自のコンパウンド技術によって更に付加価値を高め、お客様へ新たな価値を提供し続けることで機能性材料分野の拡大・成長を加速して参ります。

別紙
Polymer-Chemie GmbH 概要    
1. 事業内容 : コンパウンド品販売(生産能力:塩ビ 10万トン、ポリオレフィン 5.7万トン、リサイクル 2万トン)
2. 所在地 : Haystrasse (ハイシュトラッセ)7-13 Bad Sobernheim 55566
3. 工場 : 同上
4. 設立 : 1973年
5. 資本金 : 13百万ユーロ
6. 社長 : Dr.Gerald Hauf
7. 売上高 : 70百万ユーロ (2004年)
8. 従業員数 : 300名


2006/04/04 東レ

中国・華東地区における樹脂コンパウンド新会社の設立について
http://www.toray.co.jp/news/pla/nr060404.html

 東レ株式会社はこのたび、中国・華東地区における樹脂コンパウンド品の供給体制を強化するべく、江蘇省蘇州市に新会社の設立を決定しました。台湾系の樹脂コンパウンド会社「吉祥塑料科技(蘇州)有限公司」(吉祥社)の株式を70%取得し、新たに当社の自製コンパウンド拠点として「東麗吉祥塑料科技(蘇州)有限公司」(Toray Jixiang Plastics (SuZhou) Co., Ltd. 略称:TJPS社)を本年4月上旬に設立します。

 今回の新会社設立は、中国における当社樹脂コンパウンド拠点の整備・拡充戦略の一環として実施するものです。華東地区は、欧米系自動車メーカーの一大生産拠点として成長してきましたが、近年は自動車産業にとどまらず、日系をはじめ、アジア、欧米の家電、OA機器、IT関連、電機・電子部品メーカー各社が相次ぎ進出しています。進出企業の積極的な事業拡大に伴い、エンジニアリングプラスチック需要の飛躍的な拡大が期待されます。東レはこの需要増に対応して樹脂コンパウンド品の現地供給体制を強化するべく、これまで外注先として起用してきた吉祥社の経営権を取得し、当社主導の新たなコンパウンド生産拠点の設置を決定しました。

 東レはTJPS社を、中国・華東地区における当社エンジニアリングプラスチック、およびABS樹脂の高機能コンパウンド品生産の中核拠点と位置づけ、当社のコンパウンド技術を導入することで更なる高品質生産体制を構築します。華東地区における樹脂販売体制を拡充する一方、TJPS社、および東麗繊維研究所(中国)有限公司(TFRC)の技術サービス機能を一体的に活用することで、成長市場における事業拡大に弾みをつけます。

 東レは現在、樹脂事業において、高成長を続ける中国市場の顧客ニーズに的確かつ迅速に対応するべく、華南・華東・華北の各地域において樹脂コンパウンド拠点網の整備・拡充を進めています。華南地区では、2005年に樹脂販売会社である「東麗塑料(香港)有限公司」(TPHK)および樹脂コンパウンドの生産会社である「東麗塑料(深セン)有限公司」(TPSZ)を設立し、同地区における販売・生産体制を強化しています。東レは海外拠点の強化を軸にグローバルオペレーションを一層深化させ、成長市場を確実に取り込むことでグループ樹脂事業のさらなる拡大を推進して参ります。

<新会社概要>
東麗吉祥塑料科技(蘇州)有限公司
(Toray Jixiang Plastics (SuZhou) Co.,Ltd. (TJPS))
1.設立: 2006年4月上旬予定
2.所在地: 中国江蘇省蘇州市呉中区胥口鎮胥江工業園
3.事業概要: 樹脂コンパウンドおよび着色品の生産
4.董事長: 森野 仁 (東レ(株)取締役 樹脂事業部門長)
5.総経理: 西垣 薫 (東レ(株)出身)
6.資本金: 5,000千US$
7.出資比率: 東レグループ70%(*)、A&G社(個人所有)30%
         (*)東レ(株):60%、東麗(中国)投資有限公司(TCH):10%
8.社員数: 51名(2006年3月末現在)
9.生産能力: 18,000トン/年


2006/5/10 三菱化学

自動車用PPコンパウンド事業のグローバル展開の強化について

 三菱化学株式会社(本社:東京都港区、社長:冨澤 龍一、以下「MCC」という。)は、エクソンモービル社(本社:アメリカ合衆国テキサス州、CEO:Rex W. Tillerson)の化学部門であるエクソンモービルケミカル社(以下「EMC」という。)とのポリプロピレン(PP)コンパウンド製造販売の合弁会社2社(別紙ご参照、以下「Mytex 2社」という。)について、本年6月1日をもってEMCの持分を買い取り、両社を100%子会社とすることとし、本日エクソンモービルケミカル社との契約に調印いたしました。

 PPの需要は、国内、海外ともに堅調に推移しておりますが、とりわけ、PPを原料とする自動車用コンパウンドの市場は、自動車生産・販売台数、自動車1台あたりの樹脂使用量の増加に伴い、全世界で年率6%の成長を続けています。

 MCCグループでは、PP事業をコア事業の一つと位置づけ、チッソ石油化学株式会社との合弁会社である日本ポリプロ株式会社(以下「JPP」という。)を中心に積極的に事業展開しており、中でも自動車用材料等高品質グレード分野を得意としております。当社グループは、グローバル化が進む自動車業界のお客様のご要望に対応するため、日本、北米、東南アジア及び中国に生産・販売拠点を設置、世界各地域に所在するお客様の製造拠点への製品供給体制を実現し、信頼関係を築いてまいりました。さらに昨今では、地域に関わらず品質が一定した製品(グローバル材)の供給に対するニーズが高まってきております。

 このようなニーズに対応するため、当社としては、Mytex 2社を100%子会社とした上で、両社の自動車用PPコンパウンド事業とJPPを中心とする国内PP事業との一体性を高めた事業展開を行ってまいります。また、PPコンパウンド事業の強化のためには、高品質な原料PPを安定的に確保することが不可欠ですが、北米・東南アジア拠点においては、従来から引き続き、EMCから原料PPの供給を受けることで同社との協力体制を継続するとともに、今後JPPの高付加価値PPプロセスライセンス事業との連携によって、より高品質な原料PPのグローバルな安定確保を図ります。これらの施策により、自動車業界に高品質なグローバル材をご提供できる体制を確立してまいります。

 なお、当社グループはこれまで、EMCのシンガポール子会社に対してPP引取権を持ち、PPを Mytex Polymers Asia Pacific(Mytex-AP)社経由で工業材料分野に販売しておりましたが、今回のMytex 2社の100%子会社化に際し、Mytex-AP 社は自動車用PPコンパウンドに集中することとし、同PP引取権は解消いたします。


別紙
<日本ポリプロ株式会社の概要>
本  社 東京都港区
社  長 村上 永一
資 本 金 5,000百万円
出資比率 65% 日本ポリケム株式会社(三菱化学株式会社100%出資子会社)
      35% チッソ石油化学株式会社


<Mytex Polymers General Partnership 社の概要>
設立 1987年
所在地 アメリカ合衆国インディアナ州
持分比率 Japan Plychem America, LLC   50%
      Mytex Polymers Inc.   50%
       (EMC100%出資子会社)

<Mytex Polymers Asia Pacific Priveate Limited 社の概要>
設 立 2000年
所在地 シンガポール
出資比率 三菱化学シンガポール社  50%
      ExxonMobil Chemical Asia Pacific 社 50%
         (EMC100%出資子会社)


日本経済新聞 2006/11/29

三井物産 自動車部品向け 樹脂材料の海外生産拡大 アジア2工場買収 メーカー進出加速に対応

 三井物産は家電や自動車部品などに使う合成樹脂の成型前材料である樹脂コンパウンドの海外生産を拡大する。樹脂加工の
ヘキサケミカル(大阪府東大阪市)と組み、インドネシアで出光興産から、マレーシアでは新日鉄化学からそれぞれ生産工場を買収した。日系自動車・家電メーカーの海外展開の加速で高品質な樹脂コンパウンドの需要が拡大するとみて、インドや中東欧でも拠点を確保する方針だ。
 
インドネシアでは、出光興産がジャカルタ近郊に保有するコンパウンドメーカーに出資した。出資後の株式保有比率は三井物産が60%、ヘキサケミカル20%、出光興産が20%となる。2006年12月期の売り上げは1800万ドル(約21億円)の見込み。
 
マレーシアでは新日鉄化学が全額出資するコンパウンド会社を三井物産とヘキサケミカルの共同出資会社が買収することで合意した。年内にも手続きを完了する。08年3月期に2800万ドル(約33億円)の売り上げを見込む。
 いずれも買収額は明らかにしていない。三井物産とヘキサケミカルはテレビの外枠材料など、現地に進出している日系家電メーカー向けの製品供給を引き継ぐ。そのうえでインドネシアで2割程度の生産能力増強を検討する。マレーシアでは加工する樹脂の種類を増やして、自動車向けなど新たな顧客を開拓する。
 三井物産とヘキサケミカルは
米国オハイオ州に昨年8月に共同出資会社を設立、今年6月から年産1万5千トンの生産を開
始した。米国、アジア2カ国の拠点確保で三井物産グループのコンパウンド年産能力は3割増の合計30万トンとなる。
 今後はインドや中東欧地域を候補地に、50億円程度を投じて新たに生産拠点を設ける方向で検討している。

三井物産の樹脂コンパウンドの新拠点
国名 生産能力
(年産)
対応樹脂・主な顧客
米国
(オハイオ州)
 15,000トン 自動車向けのABS,PP
インドネシア
(ジャカルタ近郊)
 15,000トン 家電・情報機器向けのPS
マレーシア
(クアラルンプール近郊)
 35,000トン 家電向けPS

 


2007年1月31日 東レ/新エネルギー・産業技術総合開発機構

世界初、衝撃吸収プラスチックを開発
―産学官連携で革新ナノアロイプラスチックを創出―

 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(神奈川県川崎市、理事長:牧野 力、以下「NEDO技術開発機構」)の委託事業である「精密高分子技術プロジェクト」*1において、 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:榊原 定征、以下「東レ」)はこのたび、山形大学・井上教授グループと共同で、通常は高機能プラスチックとしての特性を示し、急激に衝撃を加えたときにゴムのように変形して衝撃を吸収する世界初の衝撃吸収プラスチックの開発に成功しました。2種類以上のプラスチックをナノメートル単位で最適にアロイ化(混合)する「ナノアロイ技術」の深化により実現したもので、従来のプラスチックの常識を覆す革新材料の創出により、全く新しい用途、分野への材料展開が可能になります。本プロジェクトにおいて、2008年までに実用化に向けた基本技術を確立し、プロジェクト終了後、東レは2010年までの製品化を目指します。

 プラスチックは一般的な特性として、通常は高い強度や剛性を有しますが、急激に衝撃を加えると脆くなる欠点があります。一方でゴム材料は、強度、剛性は低いものの、急激に衝撃を加えても脆くならない靱性(じんせい)を有します。これまで、プラスチックの耐衝撃性を改良するため、衝撃を吸収するゴム成分をアロイ化する試みがなされてきましたが、従来のポリマーアロイ技術ではミクロンメートル単位で異種ポリマーを分散していたため、組み合わせるポリマーそれぞれの特長を充分に反映できず、かえってプラスチックの強度や剛性を低下させてしまうことから、 限定的な展開にとどまっていました。

 今回の開発プロジェクトでは、2種類以上のポリマーを混合する製造装置の設計を見直し、スクリューの長さと径の比を従来の約3倍以上とした二軸押出機を新たに開発しました。これにより、プラスチックとゴムを溶融状態で強い剪断力(せんだんりょく:ポリマーを変形させる力)を付与しながら混練することが可能となり、それぞれの材料特性を併せ持った数十ナノメートル単位の粒子「ナノミセル」を多数含むナノアロイ構造「ナノミセルアロイ」を形成することに成功しました。この特異なナノアロイ構造が、世界初の材料特性を創出できたキーポイントです。

 本技術を
ポリアミド(ナイロン)とポリオレフィンに適用し、実物大の自動車部品を模した成形品で各種物性試験を行ったところ、ポリアミド特有の強度、剛性を維持しつつ、高速の衝突実験*2で材料の大塑性変形(ゴムに似た変形作用)を実証することに成功しました。衝撃吸収の詳細なメカニズムについては解析中ですが、ナノメートル単位でプラスチックとゴムそれぞれの特性を併せ持った「ナノミセルアロイ」の構造が、衝撃に対して緩衝材の役割を果たすものと推定しています。

 今回の革新技術により、一つのプラスチック材料に相反する特性を両立させることが可能になることから、例えば自動車材料向けには、耐久性や耐候性を満たしつつ、衝撃吸収による歩行者保護にも貢献できる外装部材への適用など、全く新しい素材提案が期待されます。東レは本技術を用いた自動車材料をはじめ、エネルギー吸収性能を活かせる電機・電子部品やスポーツ用品等、新規用途の開発を進めていきます。

 「精密高分子技術プロジェクト」は、経済産業省の「ナノテクノロジープログラム」の一つとして、NEDO技術開発機構が財団法人化学技術戦略推進機構(JCII)、独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)に委託して実施しています。具体的には15の民間企業とJCII、AIST、大学が参画して14の開発チームを構成、5つの集中研究体において研究開発を進めています。今回開発に成功した衝撃吸収プラスチックは、山形大学集中研究体において井上教授をリーダーに、東レが中心となって開発に取り組んできた成果です。

 NEDO技術開発機構では、本プロジェクトにおいて、高分子材料が本来持っている極限的な性能・機能を発揮させるために、ナノレベルの高次構造制御(分子の集合状態の制御)を行い、高度化しつつあるユーザーの要求に応えるための取り組みを行います。そのために、プロジェクトの後半では、より実用化イメージを明確にした研究テーマに資源を集中し、情報通信、自動車等の分野の具体的な出口の提示につなげます。プロジェクト終了後は、プロジェクトの開発成果をもとに、参画の各企業が製品化を推進します。

*1 プロジェクト実施期間:平成13年4月〜20年3月
  プロジェクト18年度予算:6.6億円
  プロジェクトリーダー: 中濱精一(独立行政法人産業技術総合研究所 研究コーディネータ)
*2 自動車の衝突事故による衝撃イメージを想定して、時速36kmで衝撃を加えたもの。


日本経済新聞 2007/5/1

米で車用樹脂材生産 リケンテクノス 三菱商事と新工場

 樹脂加工大手のリケンテクノスは三菱商事と、米国に自動車の内装などに使う軽量の高機能樹脂コンパウンド(成型前材料)の新工場を建設する。燃費改善のため軽量の樹脂材料のニーズが高まっているうえ、主要な顧客である日系自動車メーカ一が北米で増産しており、現地生産に踏み切る。
 三菱商事とケンタッキー州に
新会社を設立済みで、新工場も同州に建設する。稼働開始は7月の予定。敷地面積は約12万平方メートルで、投資額は約30億円。新会社にはリケンテクノスが60%を出資している。
 新工場では熱を加えて成型する「熱可塑性エラストマー」と呼ばれる機能性樹脂のコンパウンドを生産する。同素材は自動車のガラス周りなどに使用するモール類やドア周りの内外装材の原料になる。
 当初は年6千トンのコンパウンドを生産し、需要動向をみながら4年後をめどに年1万2千トンまで引き上げる。これまでは日本国内でコンパウンドを生産し、北米に輸出していた。
 自動車のシート材などには、従来塩化ビニール樹脂や合成ゴムが一般に使われていた。熱可塑性エラストマーは塩ビなどよりも2−3割ほど軽いほかリサイクルが容易なため採用が広がっている。リケンテクノスによると世界需要は毎年10%前後伸びているという。


2006/7/19 リケンテクノス

合弁会社設立に関するお知らせ

 当社は平成18年7月19日付で、三菱商事株式会社と米国において熱可塑性エラストマーコンパウンドの現地生産を主な目的とした合弁会社を設立することを合意いたしましたので下記のとおりお知らせいたします。

1.合弁会社設立の目的
 当社の熱可塑性エラストマーコンパウンドの国内販売量は自動車分野を中心に順調に増加しており、今後この傾向はさらに加速されていくものと考えられます。 また、当社の熱可塑性エラストマーコンパウンドは既に北米の日系自動車部品用に採用されておりますが、日本と同様に自動車分野での需要増加が見込まれます。 現在当社は日本からの輸出と当社米国関連会社での外注生産で対応をしておりますが、現行の供給体制ではこのような北米の需要に応じた生産・供給量の確保と品質の維持が難しいと思われます。 このような市場動向を鑑み、当社は三菱商事株式会社との共同出資で米国に熱可塑性エラストマーコンパウンドの製造・販売会社を設立することを決定いたしました。

2.合弁会社の概要
(1)商号 日文表記:リケンエラストマーズ コーポレーション 英文表記:RIKEN ELASTOMERS CORPORATION
(2)代表者 未定
(3)本店所在地 Hopkinsville, Kentucky, U.S.A.
(4)設立年月日 平成18年7月(予定)
(5)主な事業の内容 高機能プラスチックコンパウンドの製造販売
(6)決算期 12月31日
(7)従業員数 約25名(事業開始時)
(8)資本金 10,000千米ドル
(9)株主構成及び出資割合
    リケンテクノス株式会社 60%
    三菱商事株式会社 30%
    Mitsubishi International Corporation 10%

3.今後の見通し
 事業開始予定 平成19年7月
 平成19年度 年商 4億円
 平成20年度 年商 12億円
 平成21年度 年商 18億円


日本経済新聞 2007/5/12

自動車用樹脂材 三井化学、BRICsで増産
 インドや南米 2015年までに5工場

 三丼化学グループは自動車用の樹脂材料の世界生産をBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)中心に拡大する。現在は世界主要8工場の体制を、インドや南米などに5工場を2015年までに新設する方針。総投資額は100億円を超える見通しで、総生産能力は約25%増える。トヨタ自動車やホンダなど主要顧客が世界生産を急いでいるのに対応し、樹脂材料も現地生産に踏み切る。

生産能力25%増
 増産するのは代表的な汎用樹脂のポリプロピレン(PP〉に添加剤を混ぜて機能を高めたコンパウンド(成型前材料)。自動車のバンパーや内装などに使う。三井化学の子会社で、PPで国内最大手のプライムポリマーが事業を手掛けている。
 インドではまず北部のデリー近郊に09年に年15千トンの工場を稼働し、さらに南部地域などを候補に1工場を新設する。中国では広東省にある現工場の年産能力を08年に1万トン増強した上で、北部の天津などを候補に1工場を新設する計画だ。
 15年までの早い段階で南米初の工場と、中東欧・ロシア市場への供給も視野に入れた欧州初の自社工場を新設する計画。欧州は現在、ドイツとオランダの委託工場で生産している。
 自動車用の樹脂材料は委託を含めて主要8工場で生産し、生産能力は07年末で約65万トン。プライムポリマーによると、同社の世界シェアは推定20%で蘭バセルに次ぐ2位。工場の新増設が完了すれば年産能力は80万トンに達し、世界首位に肉薄する。
 自動車では燃費向上のために鉄鋼の代わりに樹脂の採用が広がっている。日系自動車各社がBRICsなどで海外生産を拡大する中、現地生産化で迅速に納入できる体制を整え、樹脂材料の需要を取り込む。
 三井化学の藤吉建二社長は11日の決算説明会で「日系自動車メーカーの世界での動きが急で、自動車材の増産も当初計画より相当早めている」と述べ、海外展開を急ぐ考えを強調した。


日本経済新聞 2007/8/5       発表

自動車用樹脂 米欧アに新工場 住友化学、生産能力3倍に

 住友化学は2009年までに米欧アジアの5カ国に自動車のバンパーなどに使う樹脂材料の工場を設ける。旭化成グループの欧州生産会社を買収し、米国やインド、タイに工場を建設する。生産能力は3.3倍に増える。自動軍の燃費改善のため、軽量な樹脂の採用が世界的に増えている。日系自動車メーカーのグローバル生産に合わせて拠点を構え、自動車向け樹脂材料で世界3位グループヘの浮上を目指す。
 工場では汎用樹脂と添加剤を混ぜ、機能を高めたコンパウンド(成型前材料)を製造する。住友化学は08年にサウジアラビアで大型の石油化学プラントを稼働させる。汎用樹脂を低コストで大量に供給できるため、これを原料にした樹脂材料の生産を拡大する。
 9月にも旭化成系で英仏に拠点を持つ英
AK&N社を買収する。住友化学が50%、残りを伊藤忠商事と東洋インキ製造のグループ会社が出資する。米国では東洋インキと共同出資会社を設立し、09年初めにアトランタ郊外に新工場を稼働させる。タイとインドにも新工場を建設する。一連の投資額は約100億円。
 住友化学の樹脂材料拠点は千葉県と
中国・珠海の2カ所にある。世界シェアは5位以下だが、7拠点になる09年の生産能力は3.3倍の年16万6千トンに拡大し、オランダのバセルや三井化学に次ぐ3位グループに食い込むとみられる。
 日系自動車メーカーの海外展開に伴い、素材産業も現地に供給拠点を構えることがシェア確保の条件になりつつある。樹脂のほか鉄鋼、非鉄金属、ガラスなどで新興市場を含めた海外拠点増強の動きが相次いでいる。

  AK&N

    2000/6 新日鐵化学の100%子会社を譲り受け 
        
旧称 Thermofil Polymers (UK) LTD.  Thermofil Polymeres (France) S.A. (TPSA)

出資 旭化成 65%
    ニチメン 35%

立地 英 ハバント 能力 33千トン
    仏 アルル  
能力 13千トン


2007/8/8 住友化学

北米ならびに欧州における自動車用ポリプロピレンコンパウンド事業の拡大について

 住友化学は、このたび、ポリプロピレン(PP)事業のグローバル戦略の一環として、北米ならびに欧州において、自動車のバンパーなどに用いられるPPコンパウンドの生産・販売拠点を新たに設置することといたしました。
 住友化学は、PPを石油化学分野のコア事業のひとつと位置づけ、かねてから積極的なグローバル展開を進めています。シンガポール、北米・テキサス州に加え、来年後半にはサウジアラビア・ラービグで生産を開始することにより、日本の千葉も含めた世界4極で、自社プロセスによる年産200万トン規模の供給体制が構築されることになります。
 PPのグローバルな供給体制を有することは、その川下製品となるPPコンパウンドにおいても、品質設計、コスト競争力、安定供給性などの戦略的展開を図る上で極めて有利であり、住友化学は、この強みを最大限に生かし、世界の主要市場におけるグローバルサプライヤーの地位を確立してまいります。PPコンパウンドについては、昨年、成長著しい中国に「珠海住化複合塑料有限公司」を設立、年産1万トンの新工場が稼動を開始し、さらに増強の計画を検討中ですが、このたび、自動車の2大生産地域である北米と欧州にも、新たな拠点を設けることとしたものです。
 北米においては、住友化学は、シェブロン・フィリップス・ケミカル社との合弁会社「Phillips Sumika Polypropylene Company(フィリップス スミカ ポリプロピレン カンパニー)」を通じて長年PP事業を運営するとともに、PPコンパウンドについても、他社への委託生産方式でその販売量を順調に伸ばしています。今回の計画では、住友化学および東洋インキグループで新たに設立する合弁会社が、PPコンパウンドの新工場を建設し、北米において従来以上に高品質でコスト競争力を有する製品を拡販する体制を整えることで、さらなる事業拡大を目指します。
 一方、欧州においては、これまで住友化学のPP事業の基盤は小さく、最適な事業拡大策について検討を重ねていましたが、旭化成ケミカルズ株式会社とプラネサ社(双日グループ)が運営するイギリスならびにフランスのコンパウンド事業拠点を、住友化学が、伊藤忠商事グループ、東洋インキグループとともに買収することで、このたび合意に達したものです。買収対象事業は欧州で自動車・家電を中心に幅広く事業を展開しておりますが、住友化学は、PPのグローバルな供給体制と長年蓄積した技術を武器に、これら既存ビジネスの強化を積極的に図るとともに、さらなる付加価値あるコンパウンド事業を展開していきたいと考えています。
 住友化学は、顧客各社の国際展開に応じて、今後も、PPコンパウンドのグローバルな供給体制を充実させ、PP事業の高付加価値化と拡大・強化を積極的に進めていく考えです。

<新事業拠点の概要>
1.北米新会社の概要
・ 会社名 Sumika Polymer Compounds America Inc.
        (スミカ ポリマー コンパウンズ アメリカ社)
・ 本社 米国ジョージア州アトランタ近郊
・ 事業内容 PPコンパウンドの製造・販売
・ 出資比率 住友化学55%:東洋インキインターナショナル45%
・ 設立時期 2007年9月(予定)
・ 社長 未定(住友化学から派遣予定)
・ 生産能力 PPコンパウンド26千d/年
・ 従業員数 約50名
・ 操業開始 2009年初(予定)

2.欧州買収事業の概要
・ 会社名 (現社名)AK&N(UK)Limited
      (変更後)Sumika Polymer Compounds Europe Limited に商号変更予定
            (スミカ ポリマー コンパウンズ ヨーロッパ社)
・ 本社 英国ハーバント(英国南部ポーツマス近郊)
・ 事業拠点 英国(ハーバント)、フランス(アルル)
・ 事業内容 PPを中心とした樹脂コンパウンドの製造・販売
・ 出資比率
   (買収前)旭化成ケミカルズ65%:プラネサ35%
   (買収後)住友化学50%:伊藤忠グループ25%:東洋インキグループ25%
・ 社長 未定(住友化学から派遣予定)
・ 生産能力 英国4万d/年、フランス2万d/年、(計6万d/年)
・ 従業員数 約165名
・ 売上高 約110億円/年


2007年8月22日 カネカ

新製品の継続的投入で高付加価値エラストマー事業を本格展開

第一弾として、独自技術により開発した熱可塑性エラストマーを積極販売。
   5年後、売上高約20億円を目指す 

 株式会社カネカ(本社:大阪市。社長:大西正躬)は、高付加価値エラストマー事業を本格展開する。第一弾として、独自技術により開発した熱可塑性エラストマー『シブスター(SIBSTAR®)』を積極販売する。
 当社鹿島工場(茨城県神栖市。工場長:津下和永)の敷地内に、第一期として年産1200トンの能力を有する製造設備を新設する。稼働予定は2008(平成20)年秋で、5年後の売上高として約20億円を目指す。更に、『シブスター(SIBSTAR®)』の能力増強、新製品の上市などにより、高付加価値エラストマー群として50億円以上の売上げを目指す。

 『シブスター(SIBSTAR®)』は、当社が2003(平成15)年に世界で初めて工業化に成功した精密重合(リビングカチオン重合)法により重合される
ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(以下、SIBS)で、完全飽和型の熱可塑性エラストマーである。
従来のスチレン系熱可塑性エラストマーに比較して、

・柔軟かつ高い強度を持ち、可塑剤を使用しなくても充分な柔軟性が得られる。
・優れたガスバリア性を有し、ガスバリア性ゴムとして知られるブチルゴムと同等レベルである。
・外から加わる振動を熱エネルギーに変換してエネルギーロスを起こさせることにより、高い制振性能を発現する。
・主鎖が完全飽和型であることにより、優れた熱安定性を備えている。
など多くの特長を有している。

 SIBSの事業化については、これまでにも市場で試みられてきたが、ポリマー構造の制御が難しいこと、製造コストが高いことなどにより、本格的な展開が困難であった。当社は、独自の技術で最適な製造プロセスを開発し、製造コストの大幅削減に成功した。主力の米国市場においては、既にガスバリア性を活かす用途での販売を開始した。また国内では、制振性能を活かして家庭用、小型機械設備用の耐震材に使用され高い評価を得ている。更に、粘着剤分野、ガスバリア性を活かしたシール材・パッキン・キャップ材・チューブ・ホースなど、幅広い分野での用途展開の可能性が高まったことにより、グローバルに事業を積極展開していく。

 当社は、塩ビ強化用モディファイヤーのMBS期脂や、弾性シーリング材のベースポリマーとして世界初の変成シリコーンポリマーなど、独自技術による機能性樹脂をグローバルに展開し、順調に事業を拡大させてきている。
また最近では、エポキシ樹脂用モディファイヤー、ナノコンポジット技術による射出成形用樹脂など新製品を相次ぎ上市し、本格展開を進めている。今般新たな製品をラインナップすることにより、当社の重点戦略分野である機能性樹脂事業の拡大とグローバル展開をより一層加速させていく。



2007/11/8 三井化学/プライムポリマー

インドにおけるポリプロピレン自動車材新会社設立について

 三井化学株式会社(社長:藤吉 建二)および三井化学の子会社である株式会社プライムポリマー(社長:岩淵 滋)は、インドにおけるポリプロピレン(PP)自動車材の需要拡大に対応するため新会社を設立しました。会社概要が決定したため、下記の通りお知らせいたします。
 なお、本年11月13日(火)に現地にて起工式を執り行う予定です。

<新会社の概要>
1. 会社名 Mitsui Prime Advanced Composites India PVT LTD
2. 事業概要 ポリプロピレン自動車材の製造、販売
3. 設立時期 2007年9月
4. 資本金 4.3億ルピー(3.0円/ルピー換算、13億円)
5. 出資比率 三井化学80%、プライムポリマー20%
6. 社長 木原 敏秀
7. 所在地 ラジャスタン州ニムラナ
8. 商業運転開始 2009年4月
9. 生産能力 15千t/年

 三井化学グループでは本年2月にインド駐在事務所を開所いたしましたが、本新会社設立によりインドにおける初の事業会社が誕生することになります。
 インドの自動車市場は年率15%で拡大し、自動車販売台数は昨年の130万台から2010年には210万台に達する見通しです。インドでの生産体制を強化している日系自動車メーカーに対し、原料として需要の拡大が見込まれるPP自動車材を安定的に供給するために、今般の現地法人設立に至ったものです。三井化学グループにとっては北米、タイ、中国に続く自社生産供給拠点となりました。
 三井化学グループは新たに策定したグランドデザインの中で長期経営目標を定め、その実現のために3つの事業ポートフォリオ(機能材料事業、先端化学品事業、基礎化学品事業)を設定しました。
 PP自動車材事業は、安定的な収益確保を目指す基礎化学品事業にて中核事業と位置付けられており、三井化学グループでは日系自動車メーカーへのグローバルサプライヤーとして、積極的にPP自動車材事業の拡大を図って参ります。


2008年1月21日 三菱化学

樹脂コンパウンド事業の統合について
〜アプコ社吸収合併〜

 三菱化学株式会社(本社:東京都港区、社長:小林 喜光)は、樹脂コンパウンド事業の更なる強化を図るため、当社の完全子会社であるアプコ株式会社(以下「アプコ社」)を本年4月1日付で吸収合併することといたしました。
 アプコ社は、1999年10月に当社の100%子会社である三菱化学MKV株式会社(以下「MKV」)が国内外で推進してきました塩ビコンパウンド事業を住友ベークライト社の塩ビコンパウンド事業と統合させる形で設立されました。その後、両社が有する塩ビコンパウンド以外の機能性樹脂コンパウンドも統合し、2006年10月には、アプコ社の住友ベークライト社が所有する株式を当社が買い取ることにより、アプコ社を直接・間接出資を合わせ当社の100%子会社(出資比率:MKV 76%、当社 24%)といたしました。さらに2007年4月1日付アプコ社を当社100%の完全子会社とし、機能性樹脂事業との連携強化を図ってまいりました。今回、当社がアプコ社を吸収合併することにより、名実ともに「樹脂コンパウンド」事業運営の一体化を図るものです。
 当社が属する三菱ケミカルホールディングスグループは、中期経営計画「革進−Phase2」において、機能性樹脂事業を「集中事業」のひとつと位置づけ、特に自動車向けを中心とした熱可塑性エラストマー事業については、米国製造拠点の能力倍増等、積極的に事業拡大を図って参りました。
 当社は、今回の統合により、自動車分野をはじめ電線、建材等各種産業分野向けの塩ビ・機能性樹脂コンパウンド材料を製品ラインナップに加え、「開発・製造・マーケティングの強化」および「米国・中国・タイ・シンガポールの各海外拠点によるグローバル対応」の戦略的な事業運営を加速させ、お客様からの多様なご要望に対して、より迅速で高度なソリューションを提供して参ります。

【参考資料:アプコ社の概要】
1. 本社 東京都港区芝四丁目14番1号
2. 社長 永井 一史 (ながい ひとし)
3. 資本金 350百万円 (2007年12月31日現在)
4. 売上高 単独:168億円、連結:約219億円 (2006年12月期)
5. 主要製品 塩ビ、機能性樹脂コンパウンド
6. 主要株主 三菱化学(株)100
%


2008年4月24日 三井化学/プライムポリマー

北米、タイ、中国における09年末までのポリプロピレン自動車材能力増強について

 三井化学株式会社(社長:藤吉建二)及び株式会社プライムポリマー(社長:岩淵滋)は、ポリプロピレン(PP)自動車材の需要拡大に対応するため、北米、タイ、中国において、合計73千トン(24%)の生産能力を増強することと致しました。現在建設中のインド新会社の生産能力(15千トン)と合わせると、今後2年以内に、88千トン(29%)の能力増強を行うことになります。

<増強計画の概要>

  地域 社 名 生 産 能 力
(千トン/年)
07年末 増強幅 09年末



北米 Advanced Composites Inc. (オハイオ工場) 109 6 115
                  (テネシー工場) 63 17 80
Advanced Composites Mexicana S.A DE C.V. 20 5 25
タイ Grand Siam Composites Co., Ltd. 86 27 113
中国 三井化学複合塑料(中山)有限公司 24 18 42
  小       計 302 73 375
建設中 インド Mitsui Prime Advanced Composites India PVT LTD 15 15
  合  計(外部委託を除く) 302 88 390
外部委託 欧州 Mitsui Chemicals Europe GmbH (15)   (15)

 三井化学(株)はPP自動車材事業を基礎化学品事業分野の中核事業と位置付け、その具体的な事業展開は(株)プライムポリマーが統轄しております。
 日系自動車メーカーはグローバル展開を加速しており、海外での生産台数を着実に伸ばしてきております。こうした環境下、(株)プライムポリマーは、世界各地域(日本、北米、欧州、タイ、中国、インド)で生産体制の強化・拡大を進めており、今回の北米、タイ、中国における増強により、PP自動車材において世界でトップクラスの供給力がさらに強化されることになります。
 両社は今後とも日系自動車メーカーの世界展開に対応し、高品質の製品を供給する製造・販売・技術サービス体制を整備し、さらなる事業の強化・拡大を積極的に進めていく所存です。

参考資料
<1.Advanced Composites Inc.の会社概要>
(1)設立: 1991 年9 月
(2)資本金: 14.1 百万ドル
(3)出資: 三井化学アメリカ59.8%、プライムポリマー3.0%、他37.2%
(4)本社: 米国 オハイオ州
(5)工場: 米国 オハイオ州、テネシー州

<2.Advanced Composites Mexicana S.A. DE C.V.の会社概要>
(1)設立: 1994 年2 月
(2)資本金: 2.6 百万ドル
(3)出資: Advanced Composites Inc.100.0%
(4)本社・工場: メキシコ アグアスカリエンテス

<3.Grand Siam Composites Co., Ltd の会社概要>
(1)設立: 1996年2 月
(2)資本金: 6370 万バーツ
(3)出資: 三井化学45.2%、プライムポリマー3.0%、
SCG ケミカルズ46.2%、他5.6%
(4)本社: タイ国 バンコク
(5)工場: タイ国 ラヨン
<4.三井化学複合塑料(中山)有限公司の会社概要>
(1)設立: 2004 年4 月
(2)資本金: 9.23 百万ドル(US)
(3)出資: 三井化学65.0%、プライムポリマー5.0%、SCG ケミカルズシンガポール20.0%、他10.0%
(4)本社・工場: 中国 広東省中山市

<5.Mitsui Prime Advanced Composites India PVT LTD の会社概要>
(1)設立: 2007 年9 月
(2)資本金: 4.8 億ルピー
(3)出資: 三井化学80.0%、プライムポリマー20.0%
(4)工場: インド ラジャスタン州ニムラナ
(5)商業運転開始予定: 2009 年4 月


2008/6/4 出光興産

中国広州市南沙地区にコンパウンド工場を建設

 当社(本社:東京都千代田区、社長:天坊昭彦)は、需要伸張が見込まれる中国華南地区および東南アジアへの更なる安定供給を図るため、中国広東省広州市に当社初の機能性樹脂コンパウンド製造工場建設を6月3日に決定しました。
 当社は、
ポリカーボネート(PC)をはじめ、世界に先駆けて開発したシンジオタクチックポリスチレン(SPS)、およびポリフェニレンサルファイド(PPS)の3種類の機能性樹脂コンパウンドの製造販売を行っており、日本、アジア(中国)、欧州(イギリス)、米国に委託加工による製造拠点を確保し、グローバルな供給体制を確立しています。
 アジア地域では中国華南地区を中心に、PC、SPS、PPSのコンパウンドの需要が年20%程度で伸びています。用途は、PCでは液晶ディスプレイ、電機・電子機器、OA家電等の需要、PPSでは精密成型性や放熱特性を生かした金属代替向けなどが中心です。また今後は、中国での自動車生産量の増大により、自動車電装部品向けSPSの需要拡大が予測されます。
 当社は、拡大するコンパウンド需要に対応しながら高品質な製品を安定的に供給し、コンパウンド化による高付加価値化を更に推進するためには、自社コンパウンド工場を保有することが急務と判断しました。ベースレジンからコンパウンドまで一貫生産体制を構築し、当社の技術を最大限に発揮できる体制確立を目指します。
 建設地は、今後も需要伸張が見込まれる華南地区および今後拡大が予想される東南アジアへの供給を考慮し、南沙経済技術開発区内の「輸出加工区」を選定しました。工場は、押出機3系列、年産約1万トンからスタートいたしますが、3年後の2011年には2万トン体制にする計画です。なお、建設地としては3万トン規模まで対応可能です。
 当社は、新工場の竣工により、保有するコンパウンド技術・品質管理技術等を最大限に発揮し、さらに高品質な機能性コンパウンドを製造するとともに、中国・東南アジアのお客様への供給体制を確固なものにしてまいります。

中国広州市南沙地区にコンパウンド工場を建設
<概要>
・ 会社名称 :出光複合工程塑料(広州)有限公司
・ 代表者 :松尾 信正
・ 生産品目 :機能性3樹脂のコンパウンド
・ 工場所在地 :広東省広州市南沙経済技術開発区内輸出加工区
・ 工場敷地面積:24,500u
・ 建築開始 :2008年10月予定
・ 操業開始予定:2009年10月予定


平成20年8月27日 三菱化学

ボレアレス社と自動車産業向ポリプロピレンコンパウンドの供給強化に向けた契約を締結

欧州 欧州三菱化学がBorealisに製造委託 
     エリア:EU、スイス、ノルウェー、CIS、ロシア、トルコ、南アフリカ
米国 BorealisがMytex Polymers に製造委託
     エリア:米国、カナダ、メキシコ

 三菱化学株式会社は、グループ会社でありポリプロピレン事業を行っている日本ポリプロ株式会社(日本ポリケム 65% ・チッソ石油化学 35%出資 )を通じて、高付加価値樹脂のリーディングサプライヤーであるボレアレスAG社(本社:オーストリア ウィーン、CEO:マーク・ギャレット)と、アメリカ及びヨーロッパにおける、自動車産業用ポリプロピレンコンパウンド(PPコンパウンド)の供給強化に向けた業務提携をすることと致しました。本提携により、高品質、高性能のPPコンパウンドの現地生産・供給を通じて、自動車メーカーのニーズに対応し、競争力の向上を図ってまいります。
 高性能PPコンパウンドは、バンパー、インストルメンタル・パネル、ドア・トリム・パネルその他自動車内外装部品の製造に幅広く用いられており、生産性の向上、軽量化、燃費の向上といった今日の世界的な自動車メーカーの要望に対応できる材料であります。
 ボレアレス社は、Borstar の登録商標で知られている技術を用いて、欧州三菱化学社(本社:ドイツ デュセルドルフ。CEO:長谷川龍、三菱化学100%出資)が提供する処方に従って高性能スペシャリティPPコンパウンドを製造致します。このコンパウンドの処方は、日本ポリプロ株式会社の技術であります。
 ボレアレスグループと三菱化学グループは、世界展開する各自動車メーカーへPPコンパウンドを供給するためにさまざまな地域に拠点を確立しております。ボレアレスグループは、ヨーロッパ及びブラジル(ボレアレス社とブラスケムS.A.社の合弁事業)に、三菱化学グループは、日本、アメリカ、中国、タイ(建設中)、インド(建設中)に、それぞれPPコンパウンド設備を保有しております。

 ボレアレス社のマーク・ギャレットCEOコメント:「我々は、この協業によって、国際的な自動車メーカーにより貢献できるものと期待している。自動車メーカーは、国際舞台で自動車を製造している。このため、材料メーカーとして、我々は、世界中の顧客に対し高品質、高性能のPPコンパウンドを供給する能力を持ち、最高のサービスを提供しなければならない。」

 日本ポリプロ社の阿部正浩社長コメント:「ボレアレス社との契約によって、顧客の様々なポリプロピレンに対するニーズに対応することができ、ヨーロッパの自動車分野における我々のグローバルサプライヤーとしての地位を強化することにつながるものと信じている。」

 ヨーロッパにおけるPPコンパウンド生産供給契約は、ボレアレスAG社と欧州三菱化学社との間で締結致しました。
また、アメリカにおけるPPコンパウンド生産供給契約は、マイテックス・ポリマーズ・U.S.社(本社:インディアナ州ジェファーソンビル、CEO:森本敏宏、日本ポリケム社を通じて三菱化学が100%出資)とボレアレス・コンパウンド社(本社:ニュージャージー州ポート・マレー、ボレアレス社100%出資)との間で締結致しました。

参考資料
第1、 ボレアレス社(Borealis AG)について
 1、 本社 オーストリア ウィーン
 2、 売上 6,350 百万ユーロ (2007年度)
     欧州第2位のポリプロピレンメーカー (生産能力 1,700千t )
 3、 従業員 5,467人(2007年度)

第2、 米国契約に定める生産供給体制
 三菱化学グループとボレアレス社は、欧州とは逆の立場で、ボレアレス・コンパウンド社が提供する処方に従って、マイテックス・ポリマーズ・U.S.社がPPコンパウンドを製造し、ボレアレス・コンパウンド社に供給する。

第3、 本生産供給契約の範囲
1、 欧州契約に定める生産供給体制の適用エリア:
    EU、スイス、ノルウェー、CIS、ロシア、トルコ、南アフリカ
2、 米国契約による生産供給体制の適用エリア:
    米国、カナダ、メキシコ

第4、 本契約による三菱化学グループの期待効果
 現在、三菱化学グループの自動車メーカー向け高機能PPコンパウンドの供給拠点は、日本、米国、中国にあり、タイ、インドにも建設中である。今回の契約によって、これらの従来拠点に加えて、欧州、ロシア、トルコ、南アフリカ地域の自動車メーカー拠点向けにも高機能PPコンパウンドを供給することが可能となる。