化学工業日報 2003/3/13

日本カーバイド 積水化学に塩素化塩ビ樹脂の商権譲渡  

 日本力ーバイド工業は3月31日付で塩素化塩化ビニル樹脂の商権を積水化学工業に譲渡することを決めた。事業の見直し、経営資源の集中による企業体質強化策の一環となるもの。12日に譲渡契約書を締結した。
 今回の商権譲渡にともない2003年3月期に3億2千万円(見込み)の特別利益を計上する。昨年11月に公表した業績予想に修正はない。


*日本カーバイド製品案内から

  塩素化塩化ビニル樹脂 /ニカテンプ
   (耐熱パイプ、継手、バルブ、耐熱シート、異形品)

*同社は塩素化塩ビ樹脂をVCMから生産している。

*旭硝子は日本カーバイド工業(株)に17.8%出資している。


塩素化塩ビ樹脂 セキスイPVC-HA

■高い耐熱性を持った塩素化塩ビ樹脂

 セキスイPVC-HAは特殊塩化ビニル重合体を塩素化することにより、塩化ビニル重合体の優れた性能を損なうことなく耐熱性を向上させた塩素化塩化ビニル重合体です。
 中耐熱グレード、高耐熱グレード、さらには高流動グレードなどのグレードがあり、耐熱性を生かした広範囲の用途に特性を発揮します。

■製法

 ポリ塩化ビニル(PVC)を塩素化して製造します。



日刊ケミカルニュース 2003/7/22

塩ビ事業の再生と自立化 ヴイテック取締役社長 平井祥司

 『3月末でセントラル化学からVCMの引き取りを中止した。水島工場でエチレン(三菱化学)から塩素、EDC、VCMまで原料の完全自製化体制を確立する。12月の電解の増設が完成すれば、わが国唯一の「体制」となる』と、平井さん。00年4月に三菱化学と東亜合成の塩ビ事業を統合して設立したヴイテック。「水面下」でなお厳しい状態だが、04年の黒字化を最大目標に存続を目指すことになった。『まさに限られた期間内に黒字化を実現しなくてはならない。ポリマービジネスは今回が初めてだが、やり甲斐がある』(平井祥司社長)。これまで、アライアンスを視野に再生を目指してきたヴイテックだが、方向転換し、自立化に向けた取り組みが本格化してきた。

ー  社長に就任されて3ヵ月余りになったが。

平井 樹脂事業は未知、未経験の分野だが、経営改善を急ぎ、黒字化を実現したい。そういう意味で責任の重さを痛感している。昭和42年に三菱油化入社以来、主としてスチレンモノマーなど化成品事業担当が長かった。それこそポリマー事業は今回のヴイテックが初めてだが、目標は一つで、ともかく黒字化に向けて全力投球していきたい。

ー  ヴイテックは自主的“構改”も行った。

平井 三菱化学と東亜合成の塩ビ事業を統合し、00年4月にスタートした。昨年末から今年はじめにかけて思い切った設備の休・廃棄、つまり大幅な“構改”を行った。赤字会社で債務超過となった当社だが、“構改”をやるにも資金が必要。そのためにも黒字化に向けて積極的に取り組んでいる。年末には完全自製化を実現する。塩素、EDC、VCMの原料部門を水島工場内で集中生産する計画で準備を順調に進めている。つまり、水島工場ではエチレン(三菱化学)から、塩素、EDC、VCMの一貫生産体制を、しかも完全自製化体制を確立する。確かに当社はアライアンスの最終組としてスタートし、その存続を危惧する向きもあったようだが、まずは黒字化を実現、さらに系列の加エメーカーとの連携を深めることで、自立化していこうということだ。

ー  一時はアライアンスを視野に入れていたが。

平井 塩ビ業界は平成4年度以降11年連続の赤字を計上している状態で、トータルすれば1500億円を上回っているようだ。まさに国家的損失だ。アライアンスを中心にピーク時には10社以上もあったメーカーが現在は「5社体制」になっている。しかし、いくらプレーヤーを減らして透明度をよくしても赤字だ。つまり、1社も収益を上げているところはない、ということになる。赤字同士のメーカーが組んでもよくなるという保証はない。ともかく、自立化に向けてスタートし、強くなろうということだ。

ー  資本金60億円、債務超過の状態ということだが。

平井 親会社のご協力で会社を存続させることになったが、まず、04年には黒字化をめざしていきたい。たしかにアライアンスも視野に入れていたようだが、今は自立化に向け黒字化の実現を急ぐことにしている。スタート以来3年間で40億円、さらに今年から2年間で20億円、トータル60億円の合理化、コストダウンを達成する計画だ。まず、最適生産体制に構築するためにもPVCの余剰設備5.6万千tを廃棄した。川崎工場の2系列18万tのうち1系列6.5万千tを昨年末に休・廃棄して11.5万t体制にした。四日市工場も11万tのうち1.5万tを休止した。一部のデボトル増強により2系列10.4万tに改造した。さらに水島工場は10万tから11.5万tに増強。3工場39万tから33.4万tに再構築、最適運転体制を確立した。
 今年12月には電解4.5万tの増設も完成し、年産18万t体制にする。この電解の増強が完成すれば、それこそ、わが国唯一の完全自製化体制を確立することになる。川崎工場では3月末でセントラル化学からのVCMの購入をストップしている。当面、塩素の不足分は輸入EDC等を手当てする。
水島工場のVCMも30万tから35万tにデボトル増強した。すでに5〜6月の定修時を利用して完成している。まさに、当社としては大改革を実施中ということだが、黒字化に向けた取り組みを進めているところだ。


Platts 2003/12/4

Braskem consolidates control of Trikem

Braskem, Brazil's largest petrochemical conglomerate, consolidated its control of Trikem, Brazil's largest PVC producer, the group reported Dec 4. Braskem, with nearly all of Trikem's common (voting) shares, except for a 7.09% stake owned by the Portus pension fund, swapped Braskem preferred (non-voting) shares with Portus, in exchange for the pension funds's Trikem common shares, thus giving Braskem 99.99% (common-share) control of Trikem. Minority shareholders have the remaining .01% stake. Braskem earlier this year acquired the 13.41% common-share stake in Trikem, owned by Japan's Mitsubishi Chemical. Braskem also acquired a 10.06% stake in Trikem owned by Nissho Iwai company by giving the Japanese trader Braskem common shares in exchange.


Ciquine Petroquimica

Chemical Week, May 15, 2002

Elekeiroz wins bidding race for Ciquine.

Elekeiroz (Sao Paulo) entered the winning R21 million ($8.6 million) bid last week for alcohols and plasticizers producer Ciquine (Camacari). Elekeiroz paid nearly double the minimum bidding price of R11.6 million. Brazil's Central Bank auctioned Ciquine as part of its sell-off of state holding company Companhia Petroquimica de Participacao (Conepar). Elekeiroz, a subsidiary of Banco Itau (Sao Paulo), beat out competitor Petrom (Sao Paulo) for Ciquine.

The Central Bank's attempt to auction Ciquine last year failed when no bidders turned up. The minimum price at that time was R40 million ($16.5 million), which Elekeiroz and Petrom had said was too high.

Petrom and Elekeiroz both produce phthalic anhydride and need oxo-alcohols feedstock to make plasticizers. Ciquine last year expanded oxo-alcohols production 13% to, 136,000 m.r./year. Ciquine also produces 100,000 m.r./year of plasticizers and 42,000 m.r./year of phrhalic anhydride. The Brazilian government sold Ciquine separately from Conepar's main asset, a controlling stake in Brazil's largest ethylene cracker Copene (Camacari).

Brazil's Elekeiroz to invest $35-mil on oxo-alcohols upgrades


Chemical Week, Nov 21, 2001

Brazil plans to auction Ciquine.

The Brazilian Government says it will auction Ciquine (Camacari), a producer of anhydrides, oxo alcohols, and plasticizers, on November 28. State-owned holding company Companhia Petroquimica de Participacao (Conepar) has a majority stake in Ciquine. The auction will be conducted by Brazil's Central Bank, which controls Conepar. Ciquine's other shareholder is Mitsubishi Chemical.

Ciquine recently completed a project to expand its oxo-alcohols capacity at Camacari by 13%, to 136 000 m.t./year, and is considering an expansion of anydrides capacity by an unspecified amount. The company also has capacity for 100,000 m.t./year of plasticizers.

Elekeiroz (Sao Paulo) and Petrom (Sao Paulo) are likely contenders to acquire Ciquine, sources say. Petrom is the company formed by former Carbocloro executives when that company ceased operations in 1997.

The Central Bank acquired Conepar through the bankruptcy of Banco Economic. Ciquine sold its stake in maleic anhydride producer Maleic (Ensenada, Argentina) to Repsol-YPF (Buenos Aires) in 1999. The Brazilian government decided to sell its stake in Ciquine separately from the sale of its controlling stake in ethylene cracker Copene (Camacari), which was also part of Conepar and was auctioned last July.


Platts 2003/12/15

Brazil's Elekeiroz to invest $35-mil on oxo-alcohols upgrades

Elekeiroz, a major Brazilian maleic anhydride, phthalic anhydride and oxo-alcohols producer, plans to spend R$100-mil ($35-mil) on a series of upgrades and debottleneckings by mid-2005, Elekeiroz CEO Reinaldo Rubbi said Monday. The company is expected to boost oxo-alcohols output from 112,000 mt/yr to 140,000 mt/yr, MA from 20,000 mt/yr to 22,000 mt/yr, and PA from 64,000 mt/yr to 69,000 mt/yr. It also expects to increase plasticizers' output from 18,000 mt/yr to 20,000 mt/yr, and sulfuric acid from 290,000 mt/yr to 310,000 mt/yr. Elekeiroz said it plans to get the additional benzene for boosting MA output from the Petroquimica Uniao cracker in Sao Paulo state, while it would procure the additional propylene for oxo alcohol output and additional orthoxylene for PA from the Braskem cracker in northeastern Bahia state. Elekeiroz will get part of the $35-mil from the Development Bank and the rest from its cash flow operations.


日本経済新聞 2003/12/20           METI 塩ビ樹脂の商慣行実態調査

塩ビ価格「後決め」廃止 信越化学、収支見通し明確に 来年、値上げ後押し

 信越化学工業は塩化ビニール樹脂の値決め方式を来年1月から変更する。塩ビは出荷後に価格交渉する「後決め」が主流だが、出荷前に値決めする「先決め」にすべて改める。後決めでは正確な四半期決算の開示が難しいと判断、収支見通しを明確にする。すでに表明した塩ビ値上げを後押しする狙いもある。
 同社は塩ビの生産能力で国内2位。大手塩ビ管メーカー向けをはじめ出荷量の6割程度は後決め方式をとり、先決めの比率は中小需要家を中心に4割前後にとどまる。例えば今年4−9月分については9月ごろから交渉を始め、11月初めまでにようやく決着した。
 来年からは事前に価格交渉を済ませてから出荷する。仮に交渉が長引き1月前半ごろまでまとまらなかった場合は、出荷量の削減といった対応策を検討する。3月の期末が近づいて需要家が再交渉を持ちかけてきても応じない。
 新方式について大口需要家のクボタは「断る理由はない。ただ、業界の足並みがそろうかどうか見極めたうえで対応したい」(合成管事業部)と話している。
 価格の後決めはかつて石油化学製品や石油、紙・パルプなどで目立ち、不透明な商慣習との批判が多かった。過去にさかのぼって値上げを帳消しにしたり上げ幅を圧縮したりする例もあり、メーカーにとっては不利な価格決定方式だった。石油や紙・パルプのメーカーが先行して廃止に動いたが、過当競争体質の強い塩ビは従来のまま残っていた。
 信越化学はナフサ高を受けて今年4月からの塩ビ値上げを表明したが、メーカーの足並みがそろわず実現しなかった。改めて来年1月21日納入分から1キロ当たり7.5円、さらに2月21日納入分から7.5円の計15円(15%)の値上げを決めた。先決めになれば、交渉が長期化して値上げがうやむやになりかねない弊害を防げる利点がある。


日刊工業新聞 2004/1/7

豊成と西沢技研、高難燃性塩ビを開発−塩化水素ガス30分の1

 ゴム製品を手がける豊成(東京都中央区、中島豊社長、03・5565・9531)は、西沢技術研究所(横浜市泉区、西沢仁代表、045・802・7037)と共同で、有害性が低く、難燃性の高い塩化ビニールを開発した。特殊な配合によるもので、試作品レベルでは従来の塩ビに比べて、塩化水素ガス発生量を約20分の1―30分の1、ダイオキシン類発生量を10分の1以下に抑えた。

 課題は低コストの実現だが、サッシや玩具、各種原料のメーカーに提案、04年中にも量産に踏み切る方針。今回の低有害塩ビは、特殊な配合剤を使って素材に塩化水素ガスとダイオキシンを吸着させており、両社共同で特許申請中だ。従来品は燃焼時の有害性が指摘されているが、試作品の塩化水素ガス発生量は1―3%(従来汎用品28―34%)、塩ビ1グラム当たりダイオキシン発生量は0・8ミリ―2・5ミリグラム(同15ミリ―25ミリグラム)というデータが得られた。

 燃焼時の発煙量(光学密度)は、現製品の約1/4と少ない。他物質に転換した場合のように、金型や口金を新規に製作する必要がなく、印刷、押し出しといった加工性は従来の塩ビ同様という。ただコスト面では従来の塩ビよりやや割高となり、量産化による低価格実現が求められそう。豊成は長野県に工場を持ち、ガスケット、パッキンなどサッシ関連製品を扱う。年商は約3億2000万円。

 


化学工業日報 2004/1/15

東ソー、PVC中国生産具体化へ
 広州に独資で10万トン、来年末にも稼働、将来の倍増視野

 東ソーは、中国での塩化ビニル樹脂(PVC)事業を日本資本単独で進める意向を固め、広州を立地場所として年産10万トン能力規模の計画案の最終的策定に入った。このほど開始した環境アセスメントなどが終了次第、最終的な意思決定を図って認可取得に向けたFS(企業化調査)案を当局に提出する。実行する場合、FS案提出は数力月後となるとみられ、さらに数力月後の認可取得を経て着工する。2005年末か2006年初頭には、国内メーカー初となる中国PVC設備が稼働を始めることになる。
 東ソーの中国PVC計画は、広東省広州市内の開発区で自社技術に基づく年10万ー11万トン能力設備を建設するのが骨子。塩ビモノマー(VCM)は日本の南陽事業所から持ち込み、製品は現地の需要家に全量を供給する。投資規模は30−40億円程度とみられ、出資主体には東ソーのほか三菱商事が加わる可能性もあるが、いずれにしろ日本資本100%とする。設計は同規模のプラントをもう1基増設可能とし、将来的に20万トン規模への拡大も視野に入れる。
 すでに登記準備、環境評価などの手続きを開始しており、これらを踏まえて数力月のうちに事業性の評価を下し最終決定を図る。そのうえでFS案を当局に提出して認可を取得次第、建設を始める。工期は20カ月ほどかかるとみられる。
 東ソーでは、自家発電ー電解ーVCMーPVCからなるビニル・チェーンにイソシアネートを組み込んだビニル・イソシアネート・チェーンの拡大を進めており、その中では世界有数の規模と成長性を誇る中国市場へのアプローチが重要課題となっている。輸出べースではVCMのほかPVCでもグループ会社の大洋塩ビが従来から攻勢をかけているが、さらに現地市場動向を的確に探るためには現地での事業化が必要と判断、ここ数年をかけてFSを続けてきていた。
 当初は現地企業との合弁を計画していたが、2年前から「大型のエチレン法」によるPVCプロジェクトを外資だけでできるようになったことや、上海クロルアルカリなどパートナー候補との方向性の違いなどから独資での事業化を決めた。広州周辺は加工業など需要家が多く存在している割には競合メーカーが比較的少ないことなどから立地場所として選定した。また現地需要向けの販売に特化することで、加工品での再輸出を図る需要家向け供給を主体としている大洋塩ビとは住み分けを図っていく。
 高成長を続ける中国市場を巡っては、現地企業のほか、韓国、台湾勢なども進出を活発化させている。そうしたなかで日本企業は、三井物産がマイノリティ出資で現地企業と合弁を組んでいるほかは企業化を図っていないのが現状。VCM、PVC輸出に加えてVCM持ち込みのPVCの中国生産にも乗り出すことで、アジアにおけるチェーンのプレゼンスをさらに確固たるものにしていく。

 


日刊ケミカルニュース 2004/2/16

☆呉羽化学、3月末PVC10万t休止、“構改"一巡

 呉羽化学は錦工場の塩化ビニル樹脂(PVC)年産10万t設備を3月末に休止し、事実上塩ビ事業から撤退する。同社は03年1月にPVCの営業権を大洋塩ビに譲渡したが、それ以降は受託生産を行っている。しかし、3月末には契約が切れるのを機会に呉羽化学は錦工場での生産を打ち切り、設備を廃棄することにしている。
 大洋塩ビは、すでに自主的な“構改"により、四日市31万t、大阪17万t、千葉9万t、3工場合計57万t体制に構築している。呉羽化学への委託生産が3月末で打ち切りとなることから4月以降は3工場に振り分けて最適生産体制に構築する方針だ。
 塩ビ業界はアライアンスを中心に再構築が進み、大洋塩ビ、新第一塩ビ、ヴイテックのアライアンス組3社と信越化学、鐘淵化学の5社体制になっている。ピーク時の95年6月時点にはメーカー16社が乱立していたが、まさに塩ビ業界が生き残っていくための最後の手段には思い切った再編、再構築が不可欠だとして、トップダウンにより"構改"を実現した。まさに、95年当時には280−90万tあった設備能力は現有250万t弱となっており、今回、呉羽化学が10万tを休止すれば240万tを割り込むことになる。昨年の塩ビの内需は143−4万t、輸出73万t、合計220万t弱。依然、供給能力が過剰とみる向きもあるが、いよいよ塩ビ業界の自主的“構改"もほぼ一巡することになった。


2004/02/23 三菱化学

ヴイテック株式会社への出資比率変更について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=65658

 三菱化学株式会社(本社:東京都港区、社長:冨澤 龍一、以下「三菱」)及び東亞合成株式会社(本社:東京都港区、社長:山寺 炳彦、以下「東亞」)は、両社が出資するヴイテック株式会社(本社:東京都千代田区 社長:平井 祥司、以下「ヴイテック」−現行出資比率三菱60%:東亞40%)の出資比率変更について協議を続けてまいりましたが、三菱が東亞の保有するヴイテックの株式の一部を譲り受け、出資比率を三菱85.1%、東亞14.9%とすることにつき本日基本合意に至りました。今後、詳細条件の検討を経て本年3月末までに最終合意を行う予定です。

 ヴイテックは、塩化ビニル事業を取り巻く厳しい環境の中、競争力強化のため、昨年来合理化諸施策を実施して参りました。(競争力強化実施経緯:別紙2ご参照)合理化実施の過程の中で、設備運転・エチレン等原料供給の面で、発足当時に比べ両親会社のヴイテックに対する役割/貢献度合が変化してきたことから、昨年より両社で出資比率の見直しの検討を開始し、本日の基本合意に至りました。なお、ヴイテックにおける営業等の運営体制は従来どおりで、今回の出資比率変更による影響はありません。

 三菱・東亞両社にとって、塩化ビニル事業の収益改善は喫緊の課題であることから、今後とも、両社は株主として、ヴイテックが実施する更なる競争力強化に向けての諸施策を支援してまいります。

(参考資料)

【ヴイテック社の概要】

1 社名 ヴイテック株式会社
2 設立 平成12年4月1日
3 社長 平井 祥司
4 本店所在地 東京都千代田区
5 資本金 60億円
6 売上高 269億円 (平成15年12月期)
7 出資比率 三菱化学株式会社 :60%、
東亞合成株式会社 :40%
8 事業内容 電解製品、塩化ビニルモノマー及び塩化ビニル樹脂の製造、販売、研究開発
及び技術サービス
9 従業員数 112人(平成15年12月末現在)


ヴイテック社競争力強化実施経緯

2002/12   「塩化ビニル事業強化策」発表。
     
2003/1   塩化ビニル樹脂(PVC)について、川崎工場及び四日市工場の製造設備の一部を停止。
    (生産能力:39万トン→33.4万トン/年)
製造設備全般にわたり生産性を一層向上させることにより、大幅なコスト削減を実現。
     
2003/3   セントラル化学株式会社との塩化ビニルモノマー(VCM)取引を平成15年3月31日に終了。
     
2003/6   生産性向上技術の確立により、水島工場VCM製造設備を増強。(生産能力:30万トン→35万トン/年)
          
2003/12   水島工場の電解製造設備の増強工事等完了。
これにより、VCM生産能力に見合った中間原料である二塩化エタン(EDC)全量を自社で生産する体制を確立し、高価格のEDC輸入の影響を回避。

 


日本経済新聞 2004/4/15

東ソー 塩ビ、日中で一貫生産
 国内は原料、中国で樹脂 500億円を投資

 化学大手の東ソーは代表的な汎用樹脂である塩化ビニールで、国内に原料プラントを、その原料を使い樹脂を製造する工場を中国に新設し、日中一貫の生産体制を構築する。原料は自家発電を利用して低コスト生産できる日本に集中、国内でアジア最大の167万トンの年産能力を整える。総投資額は約500億円。リストラの一段落した日本の化学メーカーが攻めの戦略投資に転じる動きで、日中一体となって競争力を高める取り組みが広がりそうだ。
 主力拠点の南陽事業所(山口県周南市)に塩ビ原料の塩ビモノマーの新プラントを建設する。
年産能力60万トンで、2006年初めまでに稼働する。関連投資を含めた南陽での投資額は400億円強。四日市事業所(三重県四日市市)と合わせたモノマー年産能力は現在より56%増え、アジア最大手、台湾プラスチックの158万トン(米国生産分除く)を上回る規模となる。
 中国では三菱商事と共同出資で広州市に塩ビ樹脂会社を設立、日本から輸出するモノマーを使って樹脂を生産する。新会社は約40億円を投じ、
年産能力11万トンのプラントを2006年前半に稼働する。江蘇省でも現地の塩ビ樹脂大手に出資し、原料の受け皿を確保する。このほかフィリピンでの生産増強も計画している。
 東ソーがモノマーの生産を日本に集中するのは、日本で生産した方がコスト競争力があるためだ。モノマーの生産工程では主原料の塩を塩素などに分解するため大量の電力を使う。東ソーは南陽事業所に日本最大の自家発電設備を備え、コストの安い電力を使って集中生産できる。
 中国では電力不足に加え、外資に対する自家発電設備の規制があり、モノマーを大量生産するのは難しい。南陽事業所は中国に地理的に近く、輸送費を低く抑えられる利点もある。 
 素材需給のひっ迫で、塩ビモノマーや樹脂の価格は高騰。中国やアジアでの塩ビモノマー価格は3月末時点で1トン750−760ドルと、昨年同時期の580−590ドルに比べて約3割上昇している。東ソーは日中一貫生産でコストを下げ、世界的に競争力を高める。
 中国では建設・土木資材や雑貨向けなどに塩ビ樹脂の需要が急拡大、2003年には前年比11%増の614万トンに達した。ただ自国だけでは需要の伸びに対応できず、約220万トンを日本などから輸入。塩ビモノマーも輸入に依存している。日本の塩ビモノマー輸出量は2003年に前年比6%増の約62万トンとなったが、9割近くは中国向け。今年に入っても増加傾向が続いている。

国内原料生産に供給力 東ソー、供給先も確保

 東ソーが汎用樹脂の塩化ビニールで日本と中国の一貫生産体制を構築する。塩ビは中国の需要が急拡大する一方、原料の塩ビモノマーも含めて供給が追いつかない状況。東ソーはコスト競争力の高い日本の生産拠点をフル活用し、いち早く増産体制を敷くことで一段の競争力強化を狙う。
 日本の塩ビメーカーでは東ソーやトクヤマなどは自前の自家発電設備を持つ。その他のメーカーも自社プラントが立地するコンビナートで自家発電設備を共有するケースが多い。外部から電気を購入する必要がないため、比較的低コストで塩ビモノマーを生産できる。とりわけ東ソーの南陽事業所は国際競争力が高いといわれる。
 日本での生産で塩ビモノマーのコスト競争力を維持できる理由は他にもある。ポリエチレンなど他の汎用樹脂の原料はすべてナフサ(粗製ガソリン)を分解して得られる。一方、塩ビモノマーの原料の6割は塩で、ナフサ分解でできる基礎原料のエチレンの比率は4割。ナフサ価格上昇の影響も他の汎用樹脂に比べ小さい。
 1990年代から設備集約などリストラを進めてきた日本の化学大手はここにきて、中国での積極投資に転じている。ただ、中国国内での原料確保には現時点では限界があり、原料対策が化学メーカーの競争力を左右する。東ソーは日本での原料の安定生産と同時に、原料の供給先も確保し、拡大する中国の需要を確実に取り込む戦略だ。


2004/4/21 東ソー

塩ビモノマー(VCM) 年産148万トン体制確立と中国における塩ビ樹脂(PVC)新プラント建設について

 東ソーは、南陽事業所で年産40万トン(60万トン含み)の第三VCMプラント第一期工事を行うことを決定、完成後は南陽事業所のVCM生産能力は年産123万トンとなり、四日市事業所(年産25万トン)と併せ会社全体で年産148万トンとアジア最大級のVCM生産体制が確立することになります。本工事は本年5月着工、2005年秋に完工する予定で、投資金額は約150億円。
 また東ソーは、中国におけるPVC事業の新たな展開を図るため、このたび中国広州市南沙経済開発区に、日本側100%出資によるPVC製造・販売の子会社「東曹(広州)化工有限公司」のプロジェクト申請を行うことを決定しました。新プラントは年産11万トン、本工事は2006年夏に完工する予定で、投資金額は約40億円。
 今回増設するVCMについては、中国・広州市のPVC新工場建設や今後のフィリピンのPRII(フィリピン・レジンズ・インダストリーズ)の増設計画など、グループ内PVC新増設プラントへの原料VCMの全量供給を図るとともに、中国、東南アジア等のPVC増強計画進展に伴うVCM需要の伸びに対応した外販を実施することとしています。
 東ソーは、南陽、四日市の両事業所を中心とする自家発電、港湾設備といった強力なインフラのもと、電解(苛性ソーダ・塩素)〜塩化ビニルモノマー(VCM)〜塩化ビニル樹脂(PVC)〜塩ビ加工へとつながる「ビニル・チェーン事業」と、南陽事業所に隣接する関係会社の日本ポリウレタン工業の「イソシアネート事業」の関連強化による「ビニル・イソシアネート・チェーン」事業の新たな構築に向けて、今後もより積極的な事業展開を図っていきます。


日刊ケミカルニュース 2004/5/25

☆東ソー、中国のPVCメーカーに資本参加の方針
  現地資本の「常州化工」、昨年秋20万tに倍増

 東ソーはビニル・イソシアネート・チェーンの第二期増強計画を決定Lたが、中国を中心にしたVCM(塩ビモノマー)の安定展開を図る計画で、現地PVCメーカーの「常州化工」への資本参加を行う方針だ。常州化工(江蘇省常州市)は昨年秋に塩ビ樹脂(PVC)年産10万tから20万tに倍増しており、原料VCMの安定確保を目指し、東ソーに資本参加の要請を行っている。これに対して東ソー自身、ビニル・イソシアネート・チエーンでのグローバリゼーションを加速していくためにも前向きの姿勢で交渉を進めている。
 同社は南陽事業所に約150億円を投入し、VCM40万t(60万t含み)の増設を決定、05年秋に完成する。一方、PVCについては約40億円を投入、中国の広州に11万設備を06年2Q中に完成の予定。さらに、フィリピンのPRIIでは1系列7万tの増設についても検討中。現有能力は9万tのフル操業を継続中。いまのところ、高成長が期待できる中国での新設の先行が有力だ。 フイリピン計画も推進する方針だが、インドネシア工場を含め年間約40万tのVCMの輸出を行っている。


石油化学新報 2004/6/2  

東ソー、中国のPVC展開強化〜丸紅とともに常州化工に10%超出資
一広州でのPVC事業化計画は当初予定生産能力から倍増検討一
   

 東ソーは中国でのPVC(塩ビ樹脂)事業展開を強化する。江蘇省常州市の現地PVCメーカーの常州化工に丸紅とともにそれぞれ十数%の資本参加を決めた。南陽事業所からのVCM(塩ビモノマー)販売先確保と中国の塩ビ市場動向把握を図るのが狙い。また今年4月に発表した広東省広州市でのPVC事業化計画については、中国政府が小規模石化計画の制限措置を4月末に打ち出したため、当初予定の年産11万トンの設備規模を倍増する検討を始めた。
 東ソーは4月に、南陽事業所でのVCM40万トン設備増設
(2005年秋完工)と中国・広東省広州市でのPVC11万トン設備新設(2006年夏完工)の各計画を発表。中国を中心とするアジアのVCM、PVC需要拡大に対応し、中核事業であるビニル・チェーンヘの集中により大きな飛躍を図ろうとしている。こうしたなか中国でかねてからのVCM販売先である常州化工ヘ資本参加することで、中国の塩ビ市場動向をより詳細に把握できると判断した。出資額は数億円規模とみられる。常州化工は昨年末にPVC設備を増設し、生産能力を10万トン増の24万トンに引き上げており、東ソーからの資本参加を受けることで世界的に不足する原料VCMの安定的な調達につなげる。
 一方、中国では政府が小規模石化計画の制限措置を4月末に表明し、PVCについては最低20万トン
(カーバイド法は8万トン)の設備規模にする必要が生じているため、東ソーは広州市南沙経済開発区に設立するPVC事業子会社「東曹(広州)化工有限公司」(東ソー80%/三菱商事20%出資)で当初予定の11万トンの設備規模を倍増する検討に入った。現在正式認可を待っている状況にあり、事態の推移を見守りながら結論を出すことになる。


日本経済新聞 2004/9/8                事前報道

塩ビ樹脂 中国メーカーに出資 東ソー・丸紅 原料販売先を確保

 東ソーと丸紅は中国の塩化ビニール樹脂メーカーに資本参加する。日本で東ソーが増産する塩ビ樹脂原料の販売先を確保し、拡大する中国需要を確実に取り込む狙い。
 中国の塩ビ樹脂メーカー、
常州新東化工(江蘇省常州市)が10月に設立する新会社(資本金約10億7千万円)に、東ソーと丸紅がそれぞれ14.9%ずつ出資する。
 常州新東化工は常州市に新設した年産能力10万トンの塩ビ樹脂プラント用の原料を安定確保するために、原料調達先である東ソーに資本参加を要請した。東ソーは出資により、新会社に原料の塩ビモノマーを年間5万トン供給する権利を得る。塩ビモノマーの販売は丸紅が仲介する。
 東ソーはこのほかにも、広東省広州に塩ビ樹脂を年22万トン生産する合弁会社を2006年前半に設立する。06年初めまでに南陽事業所(山口県周南市)の塩ビモノマーの年産能力を現在比56%増やすのに対応して、原料の安定供給先を複数確保する戦略だ。
 中国の塩ビ樹脂市場は、建設・土木材料や雑貨向けを中心に03年は前年比11%増の614万トンに達しており、08年に900万トンを超えると予測されている。自国だけでは需要の伸びに対応できず、塩ビモノマーの輸入依存が続く見通し。


日本経済新聞 2004/9/2

中国塩ビ事業 東ソー、3商社と連合
 三井物産・丸紅も出資 生産計画を倍増

 東ソーは中国での塩化ビニール樹脂の生産計画を見直し、生産能力を
当初計画の2倍の年産22万トンに引き上げる。投資額も2倍の80億円に増やす考えで、三菱商事と設立予定の共同生産会社に三井物産と丸紅からの出資も受け入れる。中国では塩ビ需要の拡大が見込まれており、2006年後半に生産を始める計画。3商社の参加で日本連合をつくり、日本企業による中国最大の汎用樹脂生産計画を軌道に乗せる。
 東ソーは当初、三菱商事と共同出資会社を設立して広州市に年産11万トンの設備を設け、2006年前半から中国国内向けに生産を始める計画だった。その後、中国政府が塩ビ樹脂の
新規設備は年20万トンを認可の最低規模とする方針を打ち出したため、計画を再検討してきた。
 新計画では3商社から年内をメドに設立する共同生産会社に3分の1程度の出資を受ける。商社内の出資割合は三菱商事が半分、三井物産と丸紅が残りを折半する見通し。月内にも広東省政府に新計画を再申請する。
 東ソーは元々、年産11万トン規模で生産を始め、市場開拓が進んだ段階で同規模の設備を追加する計画だった。中国政府の新方針を受け、最初から年産11万トンの設備2系列で生産を始める。生産規模が一気に2倍になるため、三井物産と丸紅にも計画に参加してもらい、3商社の中国での販売力を生かす。


日本経済新聞 2004/12/7

信越化学 米で塩ビ一貫生産 1000億円投資、能力も3割増

 塩化ビニール樹脂で世界最大手の信越化学工業は米国に、塩ビを原料から一貫生産する大型工場を新設する。米では従来塩ビ樹脂生産のみを手掛けてきたが、総額1千億円を投資し2007年末までに年産能力75万トンの原料工場を建設、塩ビ樹脂の年産能力も3割増やす。需要増で塩ビ原料が世界的に不足するなか最大需要地の北米に自前の原料供給拠点を確保する。

 加工性や耐久性が高い塩ビ樹脂は水道管から自動車内装まで幅広く使われ、北米での需要は年6−7%の伸びが続く。鋼材や化学品など素材需給がひっ迫するなか、日本メーカーの間には原材料の安定確保を急ぐ動きが出ている。信越化学も原料の調達体制を整え、将来の増産にも備える。1千億円という投資額は日系化学メーカーの対米投資として過去最大。
 全額出資子会社の米シンテック(テキサス州)が05年に新工場の建設を開始。06年末から段階的に生産を始め、07年末時点での年産能力は塩ビ樹脂の中間原料である
塩ビモノマーが75万トン、モノマーの主原料である塩素が45万トン。塩ビ樹脂についても60万トンの設備を新設する。現在稼働中の塩ビ樹脂工場はテキサス州とルイジアナ州にあり、新工場の立地も両州のどちらかに決める。投資資金は全額をシンテックの自己資金で賄う。
 シンテックは北米の塩ビ樹脂市場で約3割のシェアを握るトップ企業。
現在の年産能力は204万トンと、日本全体の塩ビ樹脂生産能力にほぼ匹敵する。モノマーは長期契約を結んでいる米ダウ・、ケミカルから調達してきたが、ダウが一部の設備を縮小・停止するなか、中長期的な安定調達へ自前生産に踏みきる。将来は塩素と並ぶモノマーの主原料であるエチレンの現地生産も検討しており、実施すれば新たに1千億円規模の投資になる。
*knak注 他にBordenから購入し停止中の27万トンあり、合計231万トン
 塩ビ樹脂の世界需要は年2650万トン程度、うち北米市場が年700万トン近くを占める。

塩ビ原料安定調達狙う 潤沢な資金 集中投資

 信越化学工業の米国での塩化ビニール樹脂事業への大型投資は、潤沢なキャッシュフローを武器とした得意領域への集中投資戦略の一環だ。直径300ミリの半導体ウエハーへの投資で先行者利益を得たのと同様に、世界的に供給能力が不足している塩ビ原料でもいち早く安定調達体制を確保。同業他社を一段と引き離すことで高成長の維持を狙う。

 信越化学の主力製品は塩ビ樹脂、半導体シリコンウエハー、自動車・家電部品向けシリコーン樹脂など。2005年3月期の連結営業利益は10期連続で最高益を更新する見通しだが、2ケタ増益は4年ぶり。来期以降も2ケタ増益を継続するための成長戦略と連結べ−スで4500億円に上る手持ち資金の活用法が最大の焦点となっている。
 回答の一つが、今回の米国での大型投資計画だ。信越化学の塩ビ生産拠点は日本、欧州、米国。今後の成長が期待される中国を含むアジアヘの供給は主に日本が担うが、米州の塩ビ需要も堅調な伸びが見込まれる。一方で、米では原料メーカーの大型増産計画はない。市況性の強い塩ビ事業で今から原料生産に参入するリスクは小さくない。だが、同社には得意領域への先行投資と徹底して無駄を省く経営戦略で安定した収益基盤を築いてきた実績がある。
 
全額出資子会社シンテック(テキサス州)の塩ビ樹脂生産量は、日本全体にほぼ匹敵するが、従業員数は約230人と日本の塩ビ業界で働く人員数の約10分の1。新工場では最新技術の導入で生産効率を上げ、さらにコスト競争力を高める。
 新工場の候補地は岩塩が豊富で塩ビの出発原料である塩の調達コストも安い。中東や中国に比ベカントリーリスクが低く、塩素の生産に必要な電力の安定供給に問題がないことも、米への大型投資の判断材料となった。既存2工場は港に近く、内外の需要動向に応じて現在1−2割の輸出比率を増やすことも可能だ。
 信越化学の金川千尋社長は独自の相場観に基づく先手必勝の戦略で知られる。巨額な手持ち資金を後ろ盾に、大胆な投資戦略に出始めた金川社長の経営手腕が再び問われる。


2004.12.7 信越化学

「信越化学 米国で塩ビの大拡張計画」
=シンテック社の塩ビ一貫工場計画を発表=
http://www.shinetsu.co.jp/j/news/s20041207.shtml

 信越化学工業株式会社(本社:東京、社長:金川千尋)は、世界最大の塩ビメーカーで顧客は全世界に亘っている。今回その中核をなすシンテック社(本社:米ヒューストン)が大増設を行い、世界の塩ビ市場における圧倒的な地位を更に堅固なものとし、世界の塩ビ需要の伸びが続く限り、塩ビ事業の拡張を先手先手に進めて行く。

 これまでシンテック社は、塩ビポリマーのみ生産してきたが、今回の計画では塩ビ原料からの一貫工場を建設して、塩ビ事業の大幅な拡大の基礎を築く。その構成は、モノマー年間生産能力75万トン/年(1.65ビリオンポンド)、塩素45万トン/年(1.0ビリオンポンド)、ソーダ50万トン/年(1.1ビリオンポンド)及び塩ビポリマー60万トン/年(1.3ビリオンポンド)。これらの総投資額は合計約1,000百万ドル(約1,000億円)で、これを2段階に分けて行う。

 第一段階の建設は、モノマー50万トン/年、塩素30万トン/年、ソーダ33万トン/年、ポリマー30万トン/年で、2006年末工場建設完成を目標としている。第二段階の建設は、2007年末完成を目標として行う。立地はポリマー工場が既にあるテキサス州かルイジアナ州のどちらかとする予定。また投資資金は全額シンテック社の自己資金で賄う計画である。

 最終的には、原料のエチレンを経済性によっては自前で生産することも選択肢の一つとして時間をかけて慎重に検討する。このような壮大な計画を米国で行うこととした理由は、先ず北米はカントリーリスクが少ないこと、又北米で堅調な塩ビ需要の伸びが見込まれること、更に長期的に見て競争力のある原料の安定調達が可能であること等が主たる理由である。

 ちなみに信越化学はアメリカのシンテック社を中核としヨーロッパ、日本の工場がそれを補完する形で、世界的に塩ビ需要が伸びる中、その需要を的確に捉え事業を拡大し、世界中の優良顧客に安定した供給を行ってきている。
 なかでもシンテック社は本年操業30周年を迎え、現在では北米で約3割のシェア−を持つ。

 シンテック社は従来も米国市場を中心に世界市場の拡大を一手に引き受け、操業開始時の能力(年産10万トン)の20倍以上(200万トン)の現生産能力に至るまでの増設を重ねてきた。今後も北米を中心にして全世界の市場を大胆に取り込み、これに必要な投資は一切惜しまない方針である。

 塩ビは成長性の高い汎用樹脂であるが、主として世界的な塩素増産の制約から供給能力の増加が阻まれつつある。そのため、シンテック社は現在ダウケミカル社から長期契約に基づき原料の塩ビモノマーの供給を受けているが、ダウとのシンテック操業以来の友好関係は今後も維持しながら、独自の原料ソースの建設に乗り出す。


日本経済新聞 2005/1/19

信越化、欧州で塩ビ増産 オランダで2割拡大 建材向け需要好調

 塩化ビニール樹脂で世界最大手の信越化学工業はオランダにある欧州の塩ビ生産・販売拠点の年産能力を2割増の54万トンに拡大する。投資額は約70億円で、2006年10月の完成を目指す。上下水道用パイプなど建材向けを中心に堅調な伸びを見込む欧州需要を取り込む。
 増産投資するのは信越化学の全額出資子会社、信越PVC(蘭ヒルバーサム)。同社の現在の年産能力はオランダ(正しくは
Porvoo,Finland の生産委託先の9万トンを含め44万トン。このうち、自社工場の能力を35万トンから45万トンに拡大することで、信越PVCの総生産能力を54万トンに引き上げる。
 欧州では水道管や自動車部品のほか、省エネ対策用として断熱性が求められる窓枠などで塩ビ樹脂の需要が拡大している。信越PVCは一昨年11月に塩ビ樹脂の中間原料である塩ビモノマーの年産能力を50万トン(正しくは55万トン)から62万トンに増設しており、樹脂供給体制の増強に備えてきた。 信越化学は日、米、欧の三極体制で塩ビを生産しており、現在の年産能力は323万トンと世界首位。米では千億円を投資し、07年末までに75万トンノの塩ビモノマー工場や60万トンの塩ビ樹脂工場などを新設する計画を発表している。


2005/1/19 信越化学

信越化学、オランダ信越PVC社の塩化ビニル樹脂生産能力増強で70億円投資
オランダ信越PVC社工場増設についてのメモ
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=91019&lindID=4

1)信越化学工業(株)(社長:金川千尋)は塩化ビニル樹脂(PVC)のヨーロッパでの生産・販売拠点、100%子会社の信越PVC社(※Shin‐Etsu PVC B.V.、オランダ、社長:荒井文男)において、同社のオランダ・Pernisの工場の塩化ビニル樹脂の生産能力を年産35万トンから45万トンへ増強する。工事は近々に着手した後2段階に分けて進め、最終的には2006年10月の完成を予定している。今回の増設計画に要する投資金額は50百万 Euro(約70億円)を予定している。

2)信越化学は1999年末にシェルケミカルとアクゾノーベルが保有をしていたVCM/PVC事業を買収し、2000年1月より信越PVC社として生産・販売を開始し、当初より信越グループの収益に貢献してきている。今後も欧州ではPVCの需要が伸びる見込みから、工場の増設に着手するもの。信越PVC社の現在の生産能力は、生産委託先のフィンランド・Neste社の9万トンを含め年産44万トン。今回オランダ・Pernisの工場を拡充し更に生産効率を上げることで、信越PVC社としての生産能力を年産54万トンまで増強する。

3)なお信越PVC社では、既に一昨年11月に塩化ビニルモノマー(VCM)の生産能力を年産50万トンから62万トンへ増設している。

4)信越PVC社は、欧州の顧客ニーズを的確にとらえ、強力な販売力で、過去四年間ほぼフル生産・販売を続けてきており、今回の増設後、更なるPVCの増設も視野に入れている。

5)欧州ではPVCは上下水道用パイプ等に加え、省エネ対策用として断熱性が求められる窓枠などで今後も堅調な伸びが見込まれている。

6)信越化学は米国、欧州、日本の三極体制でPVC生産を行っており、生産能力は現在合計323万トンに達する世界最大のメーカーである。なお当社は直近では、米国の子会社・シンテック社のPVC生産能力を2006年、2007年の2段階に分けて204万トン/年から264万トン/年へと増強する、電解、VCM、PVCの大型一貫工場の建設を発表している。

※Shin‐Etsu PVC B.V.:
  VCM工場:Botlek(オランダ・ロッテルダム郊外)
  PVC工場:Pernis(オランダ・ロッテルダム郊外) 
   → 両工場は7kmほど離れた位置関係にある。


2005/03/09 ヴイテック

ヴイテック、新ビジネスモデル構築へ2007年12月までの経営方針を策定
−夢と挑戦 新ビジネスモデル構築へ− 2005年1月から新たなスタート
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=95303&lindID=4

 ヴイテック株式会社(本社:東京都千代田区 社長:平井 祥司)は、2000年4月の創立以来、塩化ビニル事業を取り巻く厳しい環境下、競争力強化のために徹底した合理化及び設備廃棄、電解増強、VCM能増等、生産性向上のための諸施策を積極的に取り進めてまいりました。この結果、累計で約60億円におよぶ製造コストの削減を達成するとともに、原料から製品に至る競争力のある一貫生産体制を確立し、同事業の採算性の改善を実現、 2004年12月期には、創業以来初の黒字化を達成しました。今般、三菱化学グループが2005年4月より新中期計画「革進−Phase2」を実施することにあわせ、当社は、さらなる競争力強化・飛躍を図るべく、3ヵ年の経営方針を策定し、本年1月から新たなスタートをきりました。

1. 当社経営方針(2005年1月〜2007年12月)骨子は以下の通り

(1)成長を続けるアジア市場のなかでも中国市場を今後の重要なマーケットと位置づけ、今後同市場への供給体制の強化に加え、競争力のある当社の塩化ビニル製造技術のライセンス等ナレッジビジネスを展開していきます。

(2)循環型社会への取り組みとして、塩化ビニル樹脂の環境に与える負荷を最大限軽減するため、塩化ビニル樹脂の開発から製造、物流、使用、廃棄までの全てのプロセスでのリサイクル化の検討を進めてまいります。

(3)上記の施策に加え、従来から取り組んでいる生産性向上の更なる深化を目指し、事業構造の変革、強化を進めてまいります。具体的には、生産体制の最適化、生産革進活動の深化等各種合理化を更に進めることにより、コスト競争力を強化していきます。

2.当面の具体的な取組み(詳細は別途説明資料ご参照)

(1)水島の塩化ビニルモノマー(VCM)の生産能力を、本年1月着工、11月完成を目処に5万トン/年の設備増強を行います(35万トン/年→40万トン/年)。これにより成長を続ける中国市場へのVCM供給体制を強化します。(別紙1ご参照)

(2)塩リサイクル及びPVCリサイクル(塩化ビニル樹脂の再利用化技術)の検討に積極的に取り組んでまいります。塩リサイクルの検討はJFEエンジニアリング株式会社、三菱化学株式会社との共同開発で一般廃棄物、産業廃棄物中の塩素を塩として回収し、再利用すべく検討してまいりましたが、今般実用化の目処が立ち、本年4月から稼働を開始します。また、塩化ビニル樹脂の再利用化技術は、廃プラスチックから塩化ビニル樹脂を分離、再生する技術で、三菱化学株式会社との共同で2005年1月から実用化に向けた研究開発に着手しました。昨年末に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の認可を受け、2006年度の事業化を目指しています。(別紙2ご参照)

 当社は、「夢と挑戦」を旗印に、上記の経営諸施策を確実に実行し、原料エチレン、塩素からPVCに至る一貫生産体制の強みを生かしながら、さらなる競争力強化を図ります。また、お客様に対して、そして社会に対してどのようなご提案ができ、どのような貢献ができるかを事業テーマとして追求してまいります。

[別紙1]
塩化ビニルモノマー製造設備の能力増強について


 ヴイテック株式会社は、水島工場において塩化ビニルモノマー(VCM)製造設備につき、本年11月末完成を目標に5万d/年(35万d/年→40万d/年)の増設を行なうことを決定し、本年1月に着工いたしました。増産分は、全量中国を中心とするアジアマーケットへ輸出いたします。

今回の能力増強を決定した背景は以下のとおりです。
(1) 中国を中心としたアジア市場におけるVCM需要が旺盛であり、今後も同市場において需要の堅調な伸びが期待されること。
(2) 2003年6月にVCM製造設備の能力増強(30万d/年→35万d/年)を実施し、現在順調に稼動中であるが、更に既存設備をデボトルネックすることにより、比較的少額投資で能力増強が可能となったこと。
これまでも当社は4〜5万d/年のVCMを輸出してきましたが、今回の能力増強により、輸出量をほぼ倍増させることで、今後需要の拡大が期待される中国を中心としたアジア市場での積極的なビジネス展開を図ってまいります。

[別紙2]

リサイクル事業の取組みについて


 ヴイテック社は、廃塩化ビニル製品および塩素含有廃棄物リサイクルの推進を、今後の経営活動の柱の一つとして位置づけ、循環型社会実現に資する諸施策を実行してまいります。

1.「塩リサイクル事業開始」について
 ヴイテック株式会社は、JFEエンジニアリング株式会社(本社:東京都千代田区、社長:土手 重治)と共同で、塩化ビニル製品やその他塩素を含む廃棄物中から
塩素を塩として回収し、再利用するシステム(以下「塩リサイクルシステム」)を開発し、2005年4月より、同事業を開始致します。

 今回開発した塩回収システムの主なプロセスは、以下通りです。
(1) 建築廃材やカーシュレッダーダストなどの産業廃棄物や家庭ごみ等の一般廃棄物を1,200℃の高温でガス化・溶融し、含有されていた塩素を塩素ガスとして回収する。
(2) 塩素ガスを急速冷却し、塩酸により洗浄を行なった後、水処理工程にて苛性ソーダによる中和を行うことにより金属水酸化物等を除去した後、中和工程によって生成された塩水を工業塩として再資源化する。
(3) 再資源化された工業塩から、電解プラントに悪影響を及ぼす、微量のヨウ素を除去した上で、電解プラントで電気分解し、塩素と苛性ソーダを生成し、生成した塩素の一部と苛性ソーダを、上記(2)プロセスにおいて再利用する。
(4) 上記(3)のプロセスで再利用にまわされなかった余剰塩素を塩化ビニル樹脂製造原料として再利用する。

 従来、塩素回収への取組みは塩素含有濃度の高い廃棄物を高温・高圧の環境下で化学反応させることにより、塩酸として回収する方法等がありました。

 一方、塩素の含有率が低い廃棄物については、回収できる塩素量が少ないため、採算が取れず、直接または焼却後の埋立て処理とならざるを得ませんでした。

 今般開発した塩回収技術では、JFEグループの有するJFEサーモセレクト方式ガス化溶融システムにおける廃棄物のガス化溶融・成分抽出技術と、当社が電解事業において長年培ってきた塩水中の微量ヨウ素分析及び除去技術並びに塩の不純物除去に関する製造上のノウハウとを生かすことで、塩素含有率が低濃度の廃棄物からの塩素の回収と再利用を世界で初めて実現しました。

 本システムの実現・運用により、一般廃棄物及び産業廃棄物に含まれる塩素を100%リサイクル使用することが可能となります。全国の年間250千トンの一般廃棄物及び産業廃棄物から原料工業塩4,000トンを回収し、塩酸・苛性ソーダ及び塩化ビニル樹脂の原料として再利用することができます。今後、JFEエンジニアリング社と共同で、本技術を更に深化させることにより、水島地区のみならず、他地区での廃塩化ビニル樹脂及び塩素含有廃棄物リサイクルの展開が期待されます。

2.「PVCマテリアルリサイクル検討」について
 当社及び三菱化学株式会社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「平成16年度産業技術実用化開発費助成金交付」の認可を2004年12月に受け、塩化ビニル樹脂を含む廃プラスチックのマテリアルリサイクルの実用化技術を開発すべく2005年1月より共同研究を開始しました。これは、機能性溶媒を廃プラスチックに添加することで、塩化ビニル樹脂成分を分離・抽出し、再生する技術であり、三菱化学の有する機能性溶媒技術と当社の有する塩化ビニル樹脂製造ノウハウを生かすことにより、2006年度中の事業化を目指しているものです。本技術の実用化により、農業用ビニルや電線被膜材等の軟質製品のみならず、パイプ・建築資材など硬質製品の効率的なリサイクルが実現可能となります



日本経済新聞 2005/6/27

三井物産 米化学合弁から撤退 相手企業の事業売却で

 三井物産は米国の化学品合弁事業から撤退した。2000年からルイジアナ州で塩化ビニールの原料になる二塩化エチレンなどを生産・販売してきたが、合弁相手が身売りしたことで事業の不確定要素が高まったと判断、保有株式を手放した。売却額は数十億円のもよう。
 撤退したのは米建材・化学品大手のバルカンマテリアルズ(Vulcan Materials アラバマ州)との合弁事業。合弁会社の出資比率はバルカン51%、三井物産49%で、総額2億ドル(約210億円)を投じて二塩化エチレンを年間27万トン、カセイソーダと塩素を21万トン生産してきた。
 しかし、バルカンマテリアルズが事業再構築で化学部門を米石油大手オキシデンタル・ペトロリアムに売却することを決め、三井物産との合弁事業も譲渡の対象となった。三井物産は合弁相手の変更による混乱を望まずバルカンが三井物産の保有株式を買い取ったうえでオキシデンタルに譲渡することで合意した。


Jchem-News 2005/8/23

☆新第一塩ビ、ペースト塩ビ生産体制強化〜愛媛工場に重合缶を追加
−東西交錯輸送を解消/近い将来には高岡工場閉鎖が俎上に−

 新第一塩ビは今年初頭、ペースト塩ビ生産拠点である愛媛工場(愛媛県新居浜市)に重合缶を追加した。この重合缶は2000年3月に閉鎖した水島工場(岡山県倉敷市)で汎用塩ビ樹脂生産に使用していたもので、遊休重合缶を有効活用した。これまで公称能力通りに生産できなかった愛媛工場を強化するのが狙い。高岡工場(富山県高岡市)から西日本へ出荷していたペースト塩ビ全てを愛媛で生産できるようにし、2工場間の東西交錯輸送を完全に解消して物流合理化を図る。ただし近い将来には親会社の1社である日本ゼオンの経営資源配分の観点から、日本ゼオンの工場内にある高岡工場の閉鎖が俎上にのっており、さらなる生産再編に乗り出す可能性が出ている。


2005年10月28日 新第一塩ビ

特殊塩化ビニル樹脂の工場集約化について

 新第一塩ビ株式会社(本社:東京都港区、社長:前田宣忠)は、このたび出資会社である日本ゼオン株式会社と製造受委託契約を解消し、2008年3月末をもって高岡工場での特殊塩化ビニル樹脂の生産を停止することで合意いたしました。当社はこれにより特殊塩化ビニル樹脂の生産を愛媛工場に集約し、汎用塩化ビニル樹脂を生産する千葉、徳山両工場と合わせて最適生産体制の構築を目指してまいります。

 当社は、1995年7月にトクヤマ、日本ゼオン、住友化学の塩化ビニル樹脂事業を引継ぐ製販一体の統合会社として設立され、生産に関しては全て各出資会社と製造受委託契約を締結して運営されています。工場は徳山、千葉、高岡、愛媛の4工場であり、汎用塩化ビニル樹脂はトクヤマ徳山製造所及び住友化学千葉工場に製造委託、特殊塩化ビニル樹脂は日本ゼオン高岡工場及び住友化学愛媛工場に製造委託しています。 

 高岡工場は操業後50年近く経過し、製造設備も老朽化が進み維持・更新投資が今後増大する見通しであり、将来的な競争力強化を実現するためには愛媛工場に集約化することが最善と判断し、日本ゼオンの長期戦略とも合致したことから今回の合意に至ったものです。

 当社は、今後ともこれまでの合理化や最適生産体制構築により得た競争力を維持して継続的な事業基盤の強化を図っていく所存です。

 新第一塩ビ株式会社  
   資本金:20億円
   売上高:267億円(平成16年度)
   株主構成:(株)トクヤマ 71% 日本ゼオン(株) 14.5% 住友化学(株) 14.5%


2005年10月28日 日本ゼオン

特殊塩化ビニル樹脂の製造受託解消について

 日本ゼオン(社長 古河直純)は、新第一塩ビ株式会社(社長:前田宣忠 )との製造受委託を、解消し、2008年3月末をもって高岡工場における特殊塩化ビニル生産を停止することに合意した。
 なお、特殊塩化ビニル樹脂製造設備は、全て新第一塩ビ株式会社所有であり、新第一塩ビ株式会社は将来的な競争力強化を実現するために同社愛媛工場に集約することが最善と判断した。
 日本ゼオン並びに当社100%子会社オプテスの高岡工場は電子材料、光学フィルムなど高機能材料事業の拠点として拡大しており、特殊塩化ビニル樹脂製造設備跡地についてもこれら新規事業で活用を図ってゆく予定である。


日本経済新聞 2006/1/18

中国製塩ビ樹脂 東アジア市場をかく乱 日本勢、戦略見直し迫られる

 代表的な合成樹脂である塩化ビニール樹脂で、中国の生産能力増強が東アジア市場をかく乱し始めた。低コスト製法によるプラントが相次いで増設され、供給過剰となった分が市場にあふれ出ている。その結果、域内の取引価格は軟化し、生産量の3割を中国などに輸出する日本の塩ビ各社は戦略の見直しを迫られている。
 「昨年末ごろから、中国製の塩ビが東アジアだけでなく中東各国でも流通し始めた」。大手商社の営業マンはこう明かす。中国の塩ビ生産能力は2005年末で推計900万トン強と1年で200万トン増えた。今年はさらに最大で300万トン拡大し、1200万トンになる見込み。
 同国の国内塩ビ需要は年10%のぺースで伸びているが、直近では720万トンと推定され、供給過剰が鮮明だ。同国の能力増強分の大半は石灰石から作るカーバイド法による旧式設備。世界の主流でナフサ(粗製ガソリン)から作るエチレン法設備は3割強に過ぎない。
 カーバイド法が普及する背景は生産コストが低いことがある。カーバイド法の塩ビの損益分岐点は1トン700ドル程度とみられる。一方、エチレン法は同900ドル程度だ。エチレン法の塩ビは最近の原油高に伴うエチレン価格でのコスト上昇が響いている。
 カーバイド法は環境汚染を引き起こす可能性を指摘されている。しかし厳しい環境規制は行われず、むしろ中国の地方政府は雇用拡大のために増設を促しているという。メーカーは増産に走り、東アジア市場の塩ビ需給は急速に緩和した。指標となる中国向け輸出価格は現在、1トン715ドル(運賃込み、中心値)と、直近のピークの昨年11月から20%下がった。市況の軟化で国内メーカーの輸出採算は「急速に悪化している」(最大手の大洋塩ビ)。
 中国の塩ビ生産能力の増強は同国の輸入減少にもつながる。現に需要家の多くは「輸入品から中国品に切り替えている」(大手商社)といい、05年の輸入量は約160万トン(見込み)と前年比20%減った。日本の塩ビ業界は生産量の3割を中国などへの輸出に振り向けており、輸入市場の縮小は日本メーカーに大きな打撃となりかねない。
 今のところ中国の輸入減の影響は出ていない。高品質の日本品に対するアジアなどの需要家の支持は根強いためで、日本の05年の塩ビ輸出総量は70万トン(見込み)で、04年より5%増えた。
 ただ今後は中国品の品質向上で日本品の引き合いが弱まりかねない。「輸出に頼らない仕組みを作らなければいけない」と、大手塩ビメーカーの役員は事業戦略の見直しの必要性を打ち明ける。塩ビの純輸入国だった中国の生産能力増強で、東アジア市場の構造が大きく変わりつつある。


Platts 2006/6/7

Shin Etsu PVC expansion expected on line by Jul 06

The expansion of Shin Etsu's polyvinyl chloride facility at Pernis, the Netherlands from 295,000mt/yr to 450,000mt/yr was expected to be completed by July 2006, a company source said Wednesday.
The PVC plant was just coming back onstream following a short shut-down during which the new reactor was fitted and computer systems for the extra capacity were installed. The plant would be fully online by Thursday, a second source said.
Additional material from Pernis had already been pre-marketed, according to the company. It will also replace lost volume following the end of Shin Etsu's tolling arrangement with Dynea Chemicals. Under this agreement, Shin Etsu had access to resin from the 100,000mt/yr Porvoo, Finland, site. The Finland plant was acquired by Finnplast Oy in July 2005 and the tolling arrangement ended.
Shin Etsu makes 620,000mt/yr of feedstock vinyl chloride monomer at Botlek, the Netherlands which will serve the expanded PVC plant. Even with the new capacity, it was understood that the company would still have around 20,000mt/yr of VCM for sale on the merchant market after internal consumption and honoring a long term supply contract to Iberia.


2006/9/13 Platts

Pakistan's Engro Asahi mulls plan to expand PVC output by 50%

Pakistan's sole polyvinyl chloride producer, Engro Asahi Polymer and Chemicals, is looking at expanding its 100,000 mt/year PVC plant in Karachi to 150,000 mt/year, either at the end of this year or in the beginning of next year, a company source said Wednesday.
The company is currently conducting feasibility studies and a decision is expected in the next month. However, initial findings appeared positive. If approved, startup of the expanded facility could occur during the second quarter of 2008.
According to the source, Pakistan's domestic construction industry will boom over the next two years, fuelling PVC pipe demand. "The economy is entering an upswing and we have already seen signs of a PVC demand surge from late last year," the source said.
Demand from 2006-2008, was expected to increase rapidly by an annual rate of 10-15%.
Engro Asahi estimated that PVC demand in Pakistan this year stands at close to 100,000mt, with supply and demand nearly balanced. However, sources close to the company pegged the total Pakistani PVC demand at closer to 120,000mt this year.
Pakistan's additional PVC requirements are usually obtained from Thailand and South Korea. "By 2008, Pakistan's PVC demand could easily reach 150,000mt," a source close to the company said.
Meanwhile, strong domestic PVC demand has drastically reduced Engro Asahi's export volume. The company normally exports 10,000-15,000mt of PVC yearly.
However, the company source forecasted that this year Engro Asahi export well under 10,000mt and the company does not expect to have to have any PVC available for exports at all during the second and third quarter.


日本経済新聞 2007/3/31

塩ビ、公共工事減で減産 東ソー・トクヤマ 設備を一部廃棄

 化学大手が水道管などの建築資材や電線のカバーに使う塩化ビニール樹脂を相次ぎ減産する。国内最大手の東ソーは国内生産量の2%程度に相当する生産設備を廃棄、同5位のトクヤマも工場閉鎖で生産能力を約15%減らす。鉄や化学品など素材産業の生産は景気回復や中国の需要拡大で高水準にあるが、塩ビ樹脂は公共工事の減少で需要が低迷。今後も減少が続けば新たな業界再編を迫られる可能性もある。
 東ソーは塩ビ子会社の大洋塩ビの大阪工場(同府高石市)で7月、年1万トンの生産能力を持つ生産設備を廃棄する。同社が減産に踏み切るのは3年ぶりとなる。
 トクヤマは塩ビ子会社の新第一塩ビの高岡工場(富山県高岡市)を2008年3月に閉鎖し、国内生産能力を年4万トン減らす。愛媛工場(同県新居浜市)に生産を集約する。
 国内2位の信越化学工業は国内唯一の塩ビ拠点である鹿島工場(茨城県神栖市)の稼働率を下げて数%の減産を実施した。同工場の年産能力は55万トン。3位のカネカと4位の三菱化学系のヴイテックは現時点で減産の予定はないという。
 塩ビの06年国内出荷は136万トンと1997年のピークから3割強減った。国内では95年に15社あったメーカーの再編が進み、03年までに今の大手5社体制となったが需要は低迷。輸出を含めた06年の国内生産量は210万トンと4年連続で減少している。


2007/4/9 新第一塩ビ         日本経済新聞記事に対応

特殊塩化ビニル樹脂の生産能力増強について

 新第一塩ビ株式会社(本社:東京都港区、社長:前田宣忠)は、高岡工場における特殊塩化ビニルの生産停止に伴う愛媛工場の増強を正式に決定いたしました。愛媛工場の能力を現状から年産7,000T増強して年産34,000Tとします。2008 年1月完工予定で、投資金額は出荷設備の整備などを含めて約12 億円。
 
2005 年10 月に発表いたしましたように、出資会社である日本ゼオン株式会社との製造受委託契約を解消するとともに、2008 年3 月末をもって高岡工場での特殊塩化ビニル樹脂の生産を停止することで合意いたしております。これに伴い、高岡工場の閉鎖による設備能力の減少を補うための愛媛工場の規模につきまして検討を続けておりましたが、この度、愛媛工場の設備能力を現状より7,000T/年増強することが最適と考え今回正式に決定しました。今後は、千葉、徳山両工場と合わせて最適生産体制の構築を目指してまいります。
 当社は、1995 年7月にトクヤマ、日本ゼオン、住友化学の塩化ビニル樹脂事業を引継ぐ製販一体の統合会社として設立され、事業競争力強化の一環として生産体制の再構築を進めてまいりました。今回の特殊塩化ビニル樹脂の愛媛工場への集約により、2008 年4 月からはこれまでの4工場体制から千葉、徳山、愛媛の3 工場体制となり、汎用塩化ビニル樹脂はトクヤマ・徳山製造所と住友化学・千葉工場へ、また特殊塩化ビニル樹脂は住友化学・愛媛工場へ製造委託することとなります。
 当社は、これまでの合理化や最適生産体制構築により得られた競争力を維持し、今後とも継続的な事業基盤の強化を図っていく所存です。

<ご参考>
新第一塩ビ株式会社
資本金:20 億円
売上高:277 億円(平成17 年度)
株主構成:(株)トクヤマ 71%、日本ゼオン(株) 14.5%、住友化学(株) 14.5%

---------------------------

METI報告能力(千トン)
千葉  80 
徳山 145 
高岡  40 
愛媛  27.4 65m3の増強報告済
計  292.4

愛媛の27.4にはHEXを2.4含む。
    GXは特殊品(VCM含有量50%以下) のためMETI報告から除外。
    ペーストは当初 20千トン、水島から移管の重合槽稼動で2005年より +5千トン
    (水島停止時に65m3 内部ジャケット 重合槽 2基のうち、1基を移管し、保管していた)

 

愛媛の将来
 現状 27.4
 増強  7.0
 増強後 37.4
 HEX、GX廃止後 ペーストのみ32

高岡は2008年3月末で停止 


平成20年2月1日 信越化学工業

移転価格課税に基づく更正通知書の受領について

 本日、信越化学工業株式会社は、2002年3月期から2006年3月期までの5事業年度の当社と米国子会社シンテック社の収益に関して、東京国税局より、移転価格課税に基づく更正通知書を受領致しました。
 今回の更正通知による国外移転所得金額は約233億円で、追徴税額は法人税、事業税及び住民税(本税及び付帯税を含む)で合計約110億円と試算されます。これに対し、当社はこの更正処分を不服としており、異議申し立てを行なう予定です。
 シンテック社は1973年に設立され、翌年より年産10万tで操業を開始、現在は年産200万tを超える北米および世界一の塩化ビニル樹脂メーカーとなっております。操業開始以来、30数年間の間には事業環境が大きく変化する局面もありましたが、それらを乗り越え、10回を超える増設を重ねてきております。同社は、生産技術の改良と生産設備の合理化を推し進めるとともに、絶え間なく経営努力を重ね、国内外の顧客との信頼関係を一つ一つ築き上げ、世界中に強固な販売網を確立してまいりました。
 現在同社は、塩化ビニル樹脂事業で世界一の高収益会社となっておりますが、その源泉は、この同社における一日も欠かすことのない経営努力の積み重ねによるものです。
 当社としましては、シンテック社との取引条件は公正であり、また当社およびシンテック社はこれまで各国の税制にしたがい適正な納税を行なってきたと考えております。したがいまして、今回このような更正処分を受けるに至ったことは誠に遺憾であり、到底承服できるものではありません。今後、二国間協議の場も含め、公正な手続きの中で当社の主張が認められ、当社の納得できる結論が得られることを確信しております。
 なお、本件により、法人税等が増加することに伴い当期純利益が減少し、当期の業績への影響はありますが、現時点では、業績予想の見直しは行なっておりません。


平成20年4月10日 ヴイテック

塩化ビニル樹脂(PVC)輸出の停止とそれに伴う生産体制の見直しについて
                              
ヴイテック株式会社(本社:東京都港区、社長:川崎 芳夫)は、今後のPVCの販売について、本年5月末を以て関係会社向け等を除く輸出を停止し、国内向けに集中するとともに、それに最も適した生産・出荷体制に速やかに移行することを決定いたしました。これにより、電解製品、VCM、PVCの一貫生産の強みを活かしつつ、より筋肉質な事業体質への転換を図って行く所存でございます。
なお、背景並びに具体的な施策内容は下記の通りでございます。

1. 背景
(1)国内需要の減少を補うため、昨年後半より中国向けだけでなくトルコ、エジプトなど新興国向け輸出を積極的に増やして参りましたが、ドル価格では着実に上昇しているものの、コストアップやフレートの高騰、更には円高のため採算面では一向に改善が見られず、今後ともこのような輸出を続けて行くことは大きなリスクを伴うものと考えます。

(2)またナフサや重油・石炭の価格上昇は今後とも避けられないばかりか、これまで比較的安定していた工業塩も本年4月以降大幅な値上がりが確実な情勢であり、PVCのコスト上昇圧力は一段と強まるものと予想されます。

(3)このような需要、コスト両面の大きな構造変化に対応し、安定的に事業を継続して行くためには、一部プラントの停止を含む思い切った施策の実行が早急に必要であると判断した次第です。

2. 具体的施策
(1)現在当社のPVCは、四日市、川崎、水島の3工場を合わせ、304千トン/年の生産能力を有し、四日市、川崎工場は主に国内向けを、水島工場は輸出向けを主体にした生産、出荷を行っております。このうち水島のPVCプラントを本年5月末を以て停止し、四日市、川崎2工場生産による国内販売に集中した体制に速やかに移行いたします。

(2)水島工場停止後の当社のPVC生産能力は、川崎工場において本年7月の定期修理時に一部手直し増強を行なうことも含め220千トン/年となる予定です。

  2006/12/末 2007/12/末  
川崎 115,000 95,000 121,000
四日市 104,000 99,000 99,000
水島 115,000 110,000 0
(334,000) (304,000) (220,000)

(3)なお水島工場の電解プラント、塩化ビニルモノマーにつきましても新生産体制を踏まえ、若干の生産調整を行う予定です。


 【ヴイテック社の概要】
(1)社 名 ヴイテック株式会社
(2)設 立 平成12年4月1日
(3)社 長 川崎 芳夫
(4)本店所在地 東京都港区
(5)資本金 60億円
(6)売上高 418億円(平成19年12月期)
(7)出資比率 三菱化学株式会社 85.1%
          東亞合成株式会社 14.9%


2008/12/10 信越化学

当社関連会社CIRES社の完全子会社化について 

 信越化学工業株式会社(本社:東京、社長:金川千尋)は、ヨーロッパにおける塩ビ製造販売の関連会社・CIRES社(本社:ポルトガル、社長:R.B.オルタ)の完全子会社化を目指し、その手続きに入った。
  
 CIRES社は、1960年に、ポルトガルの現地法人と信越化学、三井物産の共同出資で、ポルトガルのエスタレージャに設立された。これは、日本の化学会社の中ではきわめて早い海外進出であり、以来半世紀近くにわたり、同社は塩化ビニル樹脂の製造とポルトガル・スペインといった南欧市場を中心とした販売を担ってきた。年産約3千トンで操業を開始した後、増設を重ね、現在では年産約20万トンまで生産能力を拡大している。

 今回の完全子会社化の目的は、CIRES社を信越化学と一体化させることで、同社の事業運営のスピードアップを図り、欧州における塩ビ事業の一翼を担う存在として事業を拡大させて行くことである。今後、CIRES社は信越グループの100%子会社として、これまで培ってきた生産技術力・販売力の更なる向上を図り、収益力の強化に努めていく。

 完全子会社化の手続きは、ヨーロッパにおける事業拠点のシンエツ・インターナショナル・ヨーロッパ(以下SEIE社)を通じて進める。(現在の出資比率は、現地法人等合計:47.86%、三井物産グループ:26.07%、SEIE社:26.07%)まず2008年12月9日付で、CIRES社の現在の株主の1社であるINEOS Chlor Vinyls Holdings B.V.の保有株式全株(CIRES社発行株式の26.23%)を同社から買い取る契約を締結。SEIE社が保有するCIRES社株式の保有割合は、ポルトガルを始めとする関係各国の競争当局等の承認を経て52.31%となる。
 SEIE社は、上記取引によりCIRES社株式の議決権を過半数取得後、ポルトガルの現地法に基づき、CIRES社の残りの全株式を対象に公開買付けを実施し、同社の完全子会社化を目指す。現時点では、公開買付け開始時期は2009年3月を見込んでいる。なお、CIRES社全株式取得に必要な資金は、約19百万ユーロ(約22億円)となる予定。

 信越化学の塩ビ事業は、アメリカのシンテック社を中核とし、欧州、日本と併せた3極体制で世界中の顧客に安定供給を行ってきている。信越化学では欧州での塩ビ需要の伸びに対応し、オランダのシンエツPVC社の生産能力を2006年に年産45万トンにまで拡張したことに続き、今回CIRES社の完全子会社化を図り、信越グループの欧州における塩ビ事業の基盤を固めていく。
 欧州での塩ビ需要は、省エネ対策用として断熱性が求められる窓枠などで今後も堅調な伸びが見込まれている。

CIRES社の概要
 @商    号:Companhia Industrial de Resinas Sinteticas, CIRES, S.A.
 A本社所在地:ポルトガル・エスタレージャ(ポルトガル北部、ポルト市近郊)
 B代表者:R.B.オルタ
 C主な事業内容:塩化ビニル樹脂の製造・販売(生産能力:約20万トン/年)
 D設立年月:1960年11月
 E資本金:15百万ユーロ
 F発行済株式総数: 普通株式 15,000,000株
 G決算期:12月期
 H従業員:124名(2008年6月30日現在)
 I最近事業年度における業績の動向:(単位:千ユーロ)

     2007年12月期 2006年12月期
売上高     176,195     158,175
営業利益     2,363       2,575
当期純利益    1,289       1,229
総資産     103,125     94,545
純資産       43,374    40,923


2009/10/28 化学工業日報

信越化学、米のPVC2期増強が来秋に完成

 信越化学工業は、米国の塩化ビニル樹脂子会社シンテックで進めている年30万トンの増強工事を来年秋にも完成させる。同社は米国需要の冷え込みが続くなか、昨年秋に稼働させた同規模の新設備も輸出の拡大によりフル操業・フル生産体制を構築、業績で他の米PVCメーカーを圧倒している。今後は「米国内でも遠慮なくシェアをとっていく」(金川千尋社長)構えで、攻めの姿勢により市場における地位を一層盤石なものとする。

 増強工事を進めているのは、シンテックのプラクミン工場(ルイジアナ州)。以前から2段階でPVC年60万トン能力を整備する計画を打ち出しており、昨年秋に1期工事として、年30万トンPVC設備を本格稼働させている。

 米国では、住宅市場の低迷などからPVC需要が大幅に減退している。こうしたなかシンテックは中南米から中近東、アフリカへと販路を広げ、出荷量の半分近くを輸出にあてることで、新設備稼働後もフル生産・フル販売体制を持続。このほど公表した2009年上半期(1〜6月)業績は市況下落の影響を受けたものの、8200万ドルの経常利益を確保した。