日本経済新聞 2003/4/16

高機能包装用フィルム ユニチカが2割増産

 ユニチカはレトルト食品向けなどを用途とする高機能の包装用フィルムを増産する。6億円を投じ、現在の2割増の年間1万1500トン程度に増やす。通常タイプのフィルムは低価格の海外製品に押されており、国内では高機能タイプの生産比率を引き上げていく。
 増産するのは気密性の高いフィルムや接着機能を持ったフィルムなど。宇治プラスチック工場(京都府宇治市)の通常タイプの製造設備を転用する。3系列で計6億円を投じ、気密性などを高めるコート加工設備を導入する。高機能フィルムの橘格は通常タイプの2−3倍ほどという。 同社は国内外で年間に計5万1千トンのフィルム生産能力を持ち、主に国内やアジア向けに販売している。このうち高機能タイプは国内生産が中心。中国などでの需要増を国内生産の強化でまかなう。
 フィルムなど高分子事業と呼ぶ分野の売上高は2003年3月期末で550億円、営業利益は75億円という。同社では高機能タイプヘの転換により5億ー10億円程度の増収効果を見込む。


ユニチカ 高分子事業(フィルム)

      http://www.unitika.co.jp/business/object/koubun/01.htm

世界市場で活躍する差別化フィルム。 高分子事業の中核をなすのがプラスチック事業です。特にナイロンとポリエステルを扱うフィルム分野での活躍には目覚ましいものがあります。ナイロンフィルム"エンブレム"の総生産能力は年間約4万5千トン。これは世界市場の半分のシェアを占める数字です。一般品はもとより、差別化品の充実にシフトを展開し、現在宇治プラスチック工場では、差別化品製造ラインの増設を計画。続いて欧州拠点のエンブレム・ヨーロッパ、東南アジア拠点のエンブレム・アジアでも設備増設を行い、これまで国内が中心だった差別化品の展開を欧米諸国をはじめとする、海外市場にも拡大していきます。成長市場である東南アジアにおいては、今後さらに強力な展開を進行していきます。一方ポリエステルフィルム"エンブレット"は国内のみで生産。易引き裂きグレードなどの差別化品を中心に、食品包装から工業用途まで、幅広く需要が拡大しています。

食品包装から工業用途まで広がるクオリティ。 ナイロンフィルム"エンブレム"は、ユニチカが世界で初めて開発した「同時二軸延伸法」によって作られています。食品包装用ナイロンフィルムとしては世界ナンバーワンの生産量を誇るトップブランド。強靱性、柔軟性、耐破裂性などの特性で、さまざまな食品包装に使われています。またほかにもナイロン系複層フィルム"エンブロン"や、樹脂系の包装材であるポリエステル系多層シート"マルチレート"など、数々のユニチカのブランドが、食品包装の分野で高い評価を得ています。一方産業資材でも、ユニチカフィルムは工業製品から電子機器分野まで、幅広く展開。ノートパソコンやプリンターに使われるフラットケーブル、液晶表示用のフィルムなど、生活のシーンの中で使われているものから、生産工場の工程で必要とされるマスキングフィルムまで、そのクオリティでシーンを広げています。そして分野を越えて現在最も力を注いでいるのが、生分解性素材"テラマック"の用途展開です。ミニディスク(MD)の包装材やフィルム窓付封筒などへの採用をはじめ、用途が拡大中。循環型社会構築のニーズに応えています。


日本経済新聞 2003/5/24         ユニゾン発表  キョウデン発表

ユニゾン キョウデンから成型部品事業部門買収 MBO式で50億円

 投資会社のユニゾン・キャピタル(東京・千代田)は23日、6月末にもキョウデンからプラスチック成型部品事業部門を約50億円で買収すると発表した。事業部門の幹部も買収に参加するMBO(経営陣による企業買収)形式をとる。キョウデンはプリント基板などに経営資源を集中する。

 新会社名はタクミック・エスビー。本社は神奈川県相模原市に置く。資本金は10億円。事業を統括している横堀信昭氏が社長に就任する。ユニゾンから3人を役員として派遣する。競争力のある国内の設計・開発部門とアジアの量産拠点、海外も含めた従業員2千人はそのまま継承する。不採算の国内生産拠点は買収しない。
 買収対象の事業部門は、1998年に
経営破たんした昭和プラスチックスをキョウデンが引き継いで発足した。年商は家電、自動車向けを中心に約70億円。買収金額のうち株式20億円をユニゾンの運営する投資ファンド(基金)と新会社の経営陣が出資。残り30億円はあおぞら銀行が中心になって融資する。


2003/5/23 キョウデン

当社及びグループ会社の事業再構築に関するお知らせ
http://www.kyoden.co.jp/ir/pdf/20030523_3.pdf

 当社は、Unison Capital Partners, L.P. (以下「ユニゾン」という。)と、同社のグループ会社である株式会社タクミック・エスピー(以下「タクミック」という。)を通じて、当社のプラスチック成形事業部門および海外子会社のプラスチック成形事業部門(以下併せて「対象事業」という。)を対象とする営業譲渡および株式譲渡契約(以下「最終契約」という。)を締結致しましたので、お知らせ致します。

1.譲渡の目的
 当社は、以前より事業の「選択と集中」を進めており、その一環としてトーエイ電資株式会社への出資、及び日本エレクトロニクス株式会社の営業譲受などコア事業であるプリント配線基板事業を強化してまいりました。その一方でEMS 事業の中核でありましたパソコン製造販売子会社の株式会社フリーウェイを昨年11 月に営業譲渡のうえ、前期に清算いたしました。そのことにより対象事業のグループ内シナジー効果が薄れてきたものの、対象事業は多数の顧客企業より多大なる信頼を受けて業績も好調であることから、社会的使命の観点から事業継続・拡大の道を模索しておりました。今般ユニゾンとの合意により対象事業のマネジメント・バイアウト(MBO)の手法による「独立」に道が開かれることとなりました。

2.譲渡の方法
 ユニゾンと対象事業の経営陣グループが共同でタクミック経営権の100%を保有したうえで、タクミックが対象事業の営業譲渡及び株式譲渡の受け皿となるスキームによるマネジメント・バイアウト(MBO)。

3.営業譲渡の内容
(1) 譲渡対象事業
  当社モデリング事業部
(2) 譲渡資産
  当該事業に係る機械設備一式、並びに営業資産、全従業員
(3) 譲渡部門の実績
 @ 売上高610 百万円
 A 経常利益52 百万円

4.株式譲渡の内容
 株式譲渡により異動する子会社の概要は下記のとおりであります。
(1) KYODEN PRODUCTS (THAILAND) CO., LTD.
   代表者 井本佳秀
   設立年月日 2000 年1 月31 日
   従業員数 547 名
   資本金 305 百万タイ・バーツ
(2) P.T. KYODEN PRODUCTS INDO
   代表者 平泉永幸
   設立年月日 2000 年3 月20 日
   従業員数 2 名
   資本金 US$1,200,000
(3) P.T. SHOWPLA INDO
   代表者 竹尾恒美
   設立年月日 1991 年1 月29 日
   従業員数 766 名
   資本金 23,825 百万インドネシア・ルピア
(4) SHOWPLA VIETNAM CO., LTD.
   代表者 井本佳秀
   設立年月日 1994 年7 月25 日
   従業員数 600 名
   資本金 US$10,000,000

5.譲渡先の概要
(1) 商号株式会社 タクミック・エスピー
(2) 本店所在地 神奈川県相模原市橋本台2-6-5
(3) 事業内容 筐体・機構部品のデザイン・設計、金型・海外事業支援
(4) 代表者 江原伸好
(5) 資本金 10 億円(予定)
(6) 株主 Unison Capital Partners, L.P. 、対象事業経営陣グループ(予定)

6.譲渡の日程
(1) 取締役会決議 平成15 年5 月23 日
(2) 譲渡契約締結日 平成15 年5 月23 日
(3) 譲渡日 平成15 年6 月末日(予定)

7.譲渡価額 約35 億円
8.今後の見通し
 本日発表の決算短信におり込んでおります。


2003/5/23 ユニゾン・キャピタル   http://www.unisoncap.com/jp/

 ユニゾン・キャピタル・パートナーズ・エル・ピー(Unison Capital Partners, L.P. 以下「ユニゾン」)は、本日そのグループ会社である株式会社タクミック・エスピー(以下「タクミック・エスピー」)を通じて、株式会社キョウデン(以下「キョウデン」)のプラスチック成形事業部門(以下「対象事業」)を対象とする営業譲渡並びに株式譲渡契約(以下「最終契約」)を締結いたしました。

 対象事業は、日本、インドネシア、ベトナム、タイの4カ国に事業拠点を持ち、年商70億円を超えるプラスチック成形事業のスペシャリスト集団です。日本拠点が保有するデザイン・設計・試作・金型起工等のノウハウと、海外拠点が保有する樹脂の成形・塗装・印刷・サブアセンブリーに至るまでのノウハウを武器に、製造工程の上流から下流までのいかなる工程においても技術・サービスを提供することで日系企業を中心とする多数の顧客企業から「最も信頼できる成形プレイヤー」との評価を獲得しています。

 本日の最終契約締結を契機としてユニゾンと対象事業の経営陣グループは共同でタクミック・エスピーを100%所有するマネジメント・バイアウト(MBO)の手法により対象事業の「独立化計画」を実行していきます。この「独立化計画」は、現株式会社キョウデンプロダクツ社長横堀信昭氏、同副社長田ノ岡義夫氏をリーダーとし、累積業界経験が90年に及ぶ5名の経営陣グループによって着想・企画され、その後「独立系」としての価値観を共有するユニゾンとの共同作業として詳細設計が進められてきたものです。

 独立後は、タクミック・エスピーとその海外子会社が対象事業の日本拠点、海外生産拠点双方の人員・ノウハウを完全に引き継ぐことで、従来からの業務を一切中断することなく、企業価値向上を目指していきます。具体的には、これまで対象事業が培ってきた卓越した顧客基盤をベースに、本件を通じた資本増強(タクミック・エスピーの資本金は10億円を予定しています)により可能となる適切な設備投資と人員増強を進め、国内・海外拠点一体となった技術・サービス提供力の向上を実現していきます。

 タクミック・エスピーの取締役には代表取締役に就任予定の横堀、田ノ岡両氏に加え、海外子会社3社の社長が就任し、ユニゾンが派遣する取締役とともにグループの舵取りを担っていく予定です。

ユニゾン・キャピタルについて
 ユニゾン・キャピタル株式会社(代表取締役:江原伸好、佐山展生)は、日本企業を対象としたプライベート・エクイティ投資会社として1998年に設立されました。完全な独立系企業として少数の日本人プロフェッショナルによる運営体制を特色としております。

 当社が日本における活動を委託されているプライベート・エクイティ・ファンド「ユニゾン・キャピタル・パートナーズL.P.」(ケイマン籍)は、内外の機関投資家、事業法人の出資を得て、2000年7月までに総コミットメント金額380億円をもって設定されました。大企業の非中核事業部門や経営面でのてこ入れを必要とする中堅企業への投資活動を行っており、これまでに、中堅消費者金融会社であるオリエント信販株式会社、酒販店フランチャイズチェーン本部である株式会社マインマート、日産自動車系の自動車部品メーカーである株式会社キリウ、ITおよびゲーム分野でのリーディング出版会社である株式会社アスキー及び株式会社エンターブレインを傘下に持つ株式会社メディアリーヴス、キャラメルコーンやハーベストなどのロングセラーで知られる製菓プレイヤー株式会社東ハトに投資しています。


2002/5/28 ユニゾン・キャピタル

株式会社アスキーとの株式交換契約締結について

当社は、本日開催の当社取締役会において、2002年10月1日を期して、株式交換により株式会社アスキー(以下「アスキー」、店頭上場銘柄コード:9473)を完全子会社とすることを決議し、アスキーとの間において株式交換契約を締結しました。本株式交換の結果、アスキーの株式は上場廃止となる予定です。

本年3月にアスキーの経営権を取得した後、当社はアスキーの経営資源をPC・IT分野の出版事業に集中させることを基本方針として、当社取締役である小森哲郎、吉井重治を顧問として派遣し同社の再建に向けての取り組みを本格的に開始したところであります。両名は、本年6月26日開催のアスキー株主総会において取締役に選任された後、それぞれ代表取締役社長、取締役副社長に就任する予定です。


独立後のタクミック・エスピーとその海外子会社について

「新グループの概要」

                           DShowpla Management Asia Pte.,Ltd

  @日本 Aインドネシア Bベトナム Cタイ
会社名
株式会社タクミック・エスピー
                       
P.T. Showpla Indo
                     
Showpla Vietnam Co., Ltd.
                   
Kyoden Products Thailand (7月にSP Evolution Thailand Co., Ltd.に名称 変更予定)
所在地
      
神奈川県相模原市橋本台2-6-5
Tel: +81-(0)42-775-8230 Fax: -8231
Block l,3-4 Kawasan Industri MM2100,
Cibitung, Bekasi,17520 Indonesia
Tel: +62-(0)21-898-0905 Fax: -0314
(ビエンホア工場)
Bien Hoa Industrial Zone 2, Bien Hoa City,
Dong Nai Province, Vietnam
Tel: +84-(0)61-83-6280 Fax: -6281
(ハノイ工場)
Viet Hung Commune, Dong Anh Province,
Ha Noi, Vietnam
Tel:+84(0)4-883-6149 Fax: -6155
7/119 Moo 4 Amata City Industrial Estate,
T. Mapyangporn, A. Pluakdaeng,
Rayong, 21140 Thailand
Tel:+66-(0)38-65-0111 Fax: -0112
                     
責任者
横堀信昭 (代表取締役社長)
田ノ岡義夫 (代表取締役副社長)
田ノ岡義夫(コミッショナー議長)
竹尾恒実 (代表取締役社長)
飼鳥晶夫 (代表取締役社長)
Thomas Sim (取締役副社長)
井本佳秀 (代表取締役社長)
重田邦男 (取締役副社長)
設立
6月末営業譲受予定
1991年1月23日
1994年7月24日
2000年1月31日
資本金
10億円(予定)
12.5百万USドル
10百万USドル
305百万タイバーツ
株主
Unison Capital Partners, L.P.
主要経営陣
株式会社タクミック・エスピー及び関連法人
株式会社タクミック・エスピー(85%)
住友商事グループ(15%)
株式会社タクミック・エスピー
年商(2002年度)
         
611百万円(モデリング事業部)
25.5百万USドル
12.5百万USドル
800百万バーツ
従業員数 
40名
772名
605名
540名
業務内容
筐体・機構部品のデザイン・設計
金型・治工具等製品開発
海外事業支援
プラスチックス射出成形・塗装・印刷・ホットスタンプ・組立等量産加工全般
プラスチックス射出成形・ブロー成形・塗装・ 印刷・ホットスタンプ・組立等
量産加工全般
プラスチックス射出成形・組立・
天井型エアコンユニット・
自動車積載スピーカー(他)
二次加工(塗装、印刷)
機械設備
3DCAD- Pro-E、U-G、IDEAS CAM- H-CAM、 光造形機、真空注形機、マシニングセンター 3基、三次元測定機、投影機
成形機 20t〜1600t (57台)
塗装ロボット 4台、自動塗装機 2台
成形機 60t〜1300t (30台;ビエンホア21台、 ハノイ9台)
ブロー成形機 8台、塗装ブース 4台
自動印刷機 3台
成形機 20t〜2000t (48台)
組立ライン 9ライン
自動塗装機 1台、塗装ブース 2台

日本経済新聞 1998/8/15                       Showpla (UK)

昭和プラスチックス 更正法申請、負債177億円  海外急拡大で財務悪化

 電気機器向け樹脂成型品の中堅メーカー、昭和プラスチックス(大阪府羽曳野市、中川健三社長)は14日、大阪地裁に対し会社更生法の適用を申請した。負債総額は177億69百万円。子会社のショープラ工業(奈良県山辺郡)と広島ショープラ(広島県三次市)も更生法の適用を申請した。同社はアジアを中心にショープラ・グループを展開、海外拠点の急速な拡大により財務内容が悪化した。国内やアジアでの金融不安を背景に金融機関からの資金調達が困難となり運転資金が不足した。

 ショープラ・アジアは「堅調」
 昭和プラスチックスは97年8月に大阪証券取引所の外国部に上場した
ショープラ・アジア(シンガポール)に33%強出資する筆頭株主で、中川社長は同社の会長も務める。
 「ショープラ・アジア自身の需要は堅調」(中川氏)で増収増益基調が続いているため、同社はシンガポールと大証での上場を継続、昭和プラスチックスも保全管理人(水野武夫弁護士)のもとで、ショープラ・グループの統括会社を継続する方針。
 資命繰り悪化の直接の原因について中川氏は「メキシコに建設した生産拠点の工事代金の融資を約束していた金融機関に断られたため」としている。
 ショープラ・グループは海外12カ国19拠点をもち、積極的な海外展開で知られている。昭和プラスチックスには旭化成工業と住友商事がそれぞれ15%出資している。旭化成の山本一元社長は「取引があるため出資していたが、今日の件については全く報告を受けていない」という。

解説 アジア機器で信用力低下 資金繰りに詰まる

 本体の足腰がぜい弱なまま急ぎ過ぎたグローバル展開が、国内やアジアでの金融不安をきっかけに挫折した−。昭和プラスチックスの会社更生法申請の背景にはこんな構図が見える。アジアの通貨危機と日本の金融機関による貸し渋りが重なった結果、成功を収めていた中小企業が一気に経営破たんに追い込まれたケースともいえる。
 昭プラは77年のシンガポール進出を手始めに、現在は海外12カ国に拠点を展開。海外統括会社のショープラ・アジアは96年にシンガポール証券取引所に上場し、昨年は大阪証券取引所の外国部への上場第1号となり話題を呼んだ。
 アジアに通貨危機が広がった後も現地工場からの海外輸出は総じて好調で、ショープラ・アジアの98年上期の業績は大幅な増収増益になったという。だが現地法人の好業績とは裏腹に、アジアを中心に積極的な海外展開を続けてきたことから、アジア通貨危機をきっかけに昭プラ全体の信用力が急速に低下した。金融機関の貸し渋りなどを受け、予定していたメキシコ工場の建設資金の調達が難しくなり、資金繰りに行き詰まった。
 中川社長は14日の会見で「ショープラ・メキシコヘの融資が予定通りできれば、今日の事態にはならなかった」と唇をかんだが、同拠点への出資は「上場企業であるショープラ・アジアが行うにはリスクが大き過ぎる」(中川氏)との認識は当初からあった。昭プラは円高を背景に東南アジアに生産を移した電機メーカーの要望にこたえ、リスク覚悟で次々に拠点を展開した。そのため負債は年間売上高(97年5月期で85億円)の2倍強にも達していた。
 大手に対抗して無理に業容を拡大したことが裏目に出た形で、「同業他社に比べて海外事業のノウハウが豊富なために、自らの力を過信してしまった」(中川氏)面は否めない。

1937 筒中プラスチック(筒井、中川両家が経営)の加工部門独立
      (日本で最初に社名に「プラスチック」を使用)   

 


2000/8/14  The Straits Times

Sports retailer to rescue Showpla
http://www.siamfuture.com/asiannews/asiannewstxt.asp?aid=258

Some shareholders of the plastics maker are crying foul over the share swap deal, which values their shares at less than a cent apiece.

ROYAL Sporting House (RSH) has emerged as the white knight for beleaguered Showpla Asia -- a move which has incurred the wrath of several shareholders, given the "poor swap ratio''.

Under a deal stitched up by judicial managers Ernst & Young, Showpla shareholders will be given three Royal Sporting House shares, worth a total of 80 cents, for every 1,000 shares of Showpla they own.

This values each existing Showpla share at just 0.08 cent. The shares, which have been suspended since March last year, were last traded at 5-1/2 cents -- a far cry from the 37 cents they hit during their heyday in early 1996.

As a result, some shareholders said they were shortchanged by the deal.

In fact, one disgruntled shareholder who wrote to The Straits Times called it "more like daylight robbery''. He declined to be named.

But industry-watchers point to a recent deal which was cut, in which L&M Group Investments will acquire about 90 percent of debt-laden Van der Horst (VDH).

In that deal, VDH shareholders are also expected to get virtually nothing. Under that deal, L&M will pay $5 million for VDH, on top of the $11 million it will fork out for its Indonesian assets. It will also assume VDH's debt.

A source said for the same $5 million Royal Sporting House is paying for Showpla -- $1 million of which is in cash and the remainder in stock -- it will get a hollow shell of a business.

Showpla's assets, which include three plastic-components plants in China and another in India -- will all be sold to help pay off the more than $200 million in group debts that it is saddled with.

"When you have debts exceeding $200 million and realisable assets of less than $10 million as in the case of Showpla, there is actually no hope in hell shareholders will get anything,'' said a market-watcher.

In that case, any payout is a bonus since creditors get first bite at the sales proceeds.

In response to queries by The Straits Times, white knight Royal Sporting House -- which operates more than 640 standalone stores and shops-in-shop in Singapore, Malaysia, the United Arab Emirates, the Philippines and Brunei -- confirmed its interest in Showpla.

"The RSH Group is embarking on the reverse takeover of Showpla Asia and there are several approvals that are being sought. We are in the process of obtaining these approvals,'' a spokesman said.

It did not, however, say why it was eyeing the troubled company.

However, previous reports have said that Royal Sporting House wants to go public, and some in the industry have speculated that in taking the reverse takeover route, it may be hoping for a quicker listing process.

The sports retailer will delist Showpla shares and issue its own shares to Showpla shareholders. It will then apply for a listing.

A shareholders' meeting, first scheduled for Aug 3, and later changed to Aug 17, is understood to have been postponed yet again to give Showpla shareholders more time to study the scheme of arrangement.

Before the deal can go through, 90 percent of those present and voting must be in favour. Court and creditor approval is also required.

Showpla sowed the seeds of its own destruction in 1996 when it expanded too quickly.

When the regional economic crisis struck, it found itself weighed down by cashflow problems as it faced a mismatch of short-term funding and long-term commitments.

In August 1998, Showpla's Japan-based parent company had also filed for court protection -- throwing into doubt the recoverability of $20 million in loans extended by the Singapore group to its parent.


2000/10/11 RSH Limited
http://www.rshlimited.com/news_11oct2000.htm

Royal Clicks Limited, the parent of the Royal Sporting House Group of companies, recorded a 1.16 times subscription rate for its placement shares.

In addition to the placement shares, approximately 5 million new shares were issued to Showpla Asia Limited's ("Showpla") creditors and shareholders pursuant to Showpla's scheme of arrangement, which was
approved by its creditors and shareholders in August 2000. Showpla's shares will be delisted from the mainboard of the Singapore Exchange Securities Trading Limited as of 12 October 2000.


1998/10/15 British Chemicals & Rubber On Line

Showpla bought out of receivership
http://www.polymer-age.co.uk/archive8.htm#Showpla%20bought%20out%20of%20receivership

Showpla (UK), which went into receivership when its Japanese parent company hit financial problems, has been bought by Webgrove Holdings. Showpla is an injection moulder supplying TV cabinets to European-based Japanese electronics companies. It is also a first-tier automotive supplier. The company went into receivership in August after Showa Plastics - partly owned by Sumitomo and Asahi Chemical - filed for protection from its creditors after falling victim to the economic downturn in the Far East.
Webgrove Holdings is a company set up three years ago by Paul Webb and David Grove to buy Link Plastics, and which subsequently bought Silkjet and Digitool. The addition of Showpla brings the company's annual sales up to around
£30 million, with more than 450 employees. Webgrove is looking for further acquisitions in plastics processing.


2001/8/8 British Chemicals & Rubber On Line

1,400 tonne gas-assist machine for Showpla
http://www.polymer-age.co.uk/archive42.htm

A 1,400 tonne Mega H injection moulding machine with gas injection, a CNC de-mould robot with a multi-sprue cutting device, granulator and conveyor have been sold by Sandretto to Showpla mouldings for the production of large electronic components. Eight of the 20 machines at Showpla now have gas injection which is enabling the moulding of large fascia panels and associated components without witness marks from ribs and bosses.


日本経済新聞 2003/6/14

自動車天井シート 生産能カを2倍に JFE、アジアに輸出も

 JFEグループは自動車用の天井シート素材を来年から増産する。ポリプロピレン樹脂とガラス繊維の複合素材で、好調な需要を背景に生産能力を2倍近くに引き上げる。ユーザーの海外移転に伴いアジア向け輸出も開始する。
 増産するのは旧川崎製鉄と旧NKKの化学事業統合会社であるJFEケミカルの子会社、ケープラシート(千葉市)。天井シート基板となる複合素材を年間600万平方メートル生産、国内で乗用車向けの約2割のシェアを持つ。
 年末に新プレスラインを設置、能力を年間1100万平方メートル近くに増強、軽量かつ吸音性に優れるシートの生産を開始する。アジア進出する日系と現地の自動車メーカーにも供給していく。JFEスチールが現代グループの現代ハイスコに薄板原板を販売している関係から、現代自動車への輸出商談を進めている。
 シート端材の破砕機も導入し、自社と顧客から発生する端材を回収、再利用を始める。ケープラシートの売上高を2002年度20億円から2005年度に30億円へ引き上げる。


(旧 川崎製鉄 ホームページ)

ケープラシート(株)では、鋼板と同様に、プレス加工の出来るプラスチック複合材料(ポリプロピレン+グラスファイバー)のスタンパブルシートを製造販売しています。

1991年6月,ケープラシート鰍ノおいて年産5800tの能力の抄紙法によるスタンパブルシート「KPシート」の製造設備が完成した。製造方法は、英国のウィギンス・ティーブ社から導入された泡液を用いる特殊な抄紙技術を基本としている。


1990年設立時  川崎製鉄 60%、住化 20%、伊藤忠 10%、タキロン 10%


化学工業日報  2001/8/30

川鉄−ケープラシート、自動車用高剛性プラシートを開発

 川崎製鉄と同社グループでスタンパブルシートを手掛けるケープラシート(本社・千葉市、泉山禎男社長)は、軽量で高剛性を有したプラスチックシート(KPシートUL)を共同開発した。自動車部品の軽量化とモジュール化に対応したもので、これを内装材に用いることで、従来品(KPシート)に比べ20−30%の軽量化が可能。

 


日本経済新聞 2003/6/16

大型成型品 ゼオン・帝人 8月統合 売上高、2005年度100億円狙う

 日本ゼオンと帝人は、浄化槽やトラックのバンパーなどに使う大型成型品事業を8月に統合することで合意した。ゼオングループで同事業を手がけるRIMTEC(東京・港)に、帝人が事業譲渡するとともに4割出資する。原料分野に強いゼオンと成型加工技術や販売力を持つ帝人が組むことで、前年度実績に比べ倍増の2005年度に100億円規模の事業に育てる。
 8月1日付でゼオン子会社のRIMTECが資本金を1千万円から4億9千万円に増資。ゼオンと帝人が6対4の割合で出資に応じる。帝人で大型成型品関連事業を手がける子会社から担当者らがRIMTECに移り、増資後は約40人体制となる見込み。帝人は岩国工場(山口県岩国市)に持つ関連生産プラントを廃棄する方針。
 大型成型物には繊維強化プラスチック(FRP)を使うことが多い。ゼオンと帝人はジシクロペンタジエン(DCPD)を主原料とする液体材料を利用する。
 DCPDは不純物を含まず、化学反応もしやすいため、高温高圧で成型する必要のあるFRPに比べて加工が簡単で、製造時のエネルギーコストは10分の1以下という。FRPのようにガラス繊維を含まないため再利用もしやすい。
 だが大型成型用材料としてはFRPに出遅れ、販売するのはゼオンと帝人の2社のみ。公共事業の低迷で主用途である浄化槽需要が減少するなど事業環境は厳しく、両社の売上高はそれぞれ35億円、15億円程度にとどまっているとみられる。
 事業を統合すれば、現在50%程度にとどまるゼオンのDCPD生産設備の稼働率が向上し、原料コストの低下も見込める。

ジシクロペンタジエン(DCPD)
 ナフサ(粗製ガソリン)を分解し得られる炭素と水素からなる無色透明の液体。触媒を加えて混ぜると常温で高い圧力をかけなくても化学反応をおこし短時間で樹脂に固まるため、大型で複雑な形状の成型物の原料に適する。大型成型用材料として広く普及が進んでいる繊維強化プラスチック(FRP)用とは違うタイプの成型機が必要で、普及の足かせになっている。国内の市場規模はFRP 40万トンに対し、DCPDは3万トン弱。

『PENTAM®http://www.zeon.co.jp/business/enterprise/rim/index.html

世界的優位性を持つC5留分であるジシクロペンタジエンを主原料としてRIM(反応射出成形)方式によって得られる大形成形品『PENTAM®』を提供しています。『PENTAM®』は金型内で反応と成形を同時に行う省資・省エネ型の成形品で、その物性はエンジニアリングプラスチック並の強靱さを持ち、かつ再生可能な環境保護にも適応される製品になっています。日本ゼオンはこのRIMの生産システムを通して商品企画段階から量産化までの総合力でお客さまのニーズにお応えしていきます。
(『PENTAM
®』は日本ゼオンの登録商標です。)

PENTAM®(ゼオン-RIM)の成型方法

A/B液を混合するミキシングヘッド部にC液を同時注入し、重合硬化反応の制御や添加剤などを精度良く導入するシステムです。マルチ注入システムは、数kgの小型成形品から100kgを超える大形成形品を、短時間の内に生産することが可能であり、更に着色剤や難燃剤などを同時注入することで、より付加価値の高い成形品を得ることが出来ます。 

主原料 ジシクロペンタジエン(低粘性液体)
成形法 反応射出成形(RIM法Reaction Injection Molding)



2003/8/13 EU IP/03/1157
http://europa.eu.int/rapid/start/cgi/guesten.ksh?p_action.gettxt=gt&doc=IP/03/1157|0|RAPID&lg=en&display=

Commission clears the creation of a plastic and plastic moulding joint venture by Zeon and Teijin

The European Commission has cleared the proposed creation of a joint venture that brings together DCPD RIM (dicyclopentadiene reaction injection moulding) activities of Zeon and Teijin. The Commission identified competition concerns in a European market for DCPD formulations; the raw material sold to moulders who then convert it into finished products. The parties submitted an undertaking to dispose of Teijin's direct and indirect interests in Metton America Incorporated (MAI). This disposal will remove all the overlap in the European market. After evaluation of the commitments package, the Commission concluded that the remedies will remove its competition concerns and to restore effective competition.

On 30th June 2003, Zeon and Teijin notified the Commission of their intention to combine the bulk of their world-wide activities in the production of DCPD RIM formulations and DCPD mouldings into a new joint venture company.

In relation to plastic mouldings these products (which include septic tanks and truck parts) are bulky and difficult to transport. The joint venture company RIMTEC will produce these products only in Japan and there will be no effect in the European union.

Zeon and Teijin
(注 Metton Europe) are the only suppliers of DCPD RIM formulations in Europe. The combination of their activities therefore gave rise to serious competition concerns. The parties, however, undertook to divest Teijin's controlling interest in Metton America Incorporated (MAI) to an independent and viable third party. This will remove the entire overlap and the Commission has therefore cleared the operation subject to the undertaking.

Zeon is a Japanese company that is active in the design, manufacturing and distribution of synthetic rubbers, synthetic latex, chemicals, medical equipment, environmental and civil engineering materials. Zeon is present in the DCPD RIM business. Its subsidiary Zeon RIM manufactures moulding. A second subsidiary Zeon Chemical Yonezawa as manufactures the DCPD RIM formulation.

Teijin is a Japanese company that is the ultimate parent company of a group of undertakings active in developing and marketing fibres. Its main activities encompass five business segments: (I) Fibres and textiles, (ii) Films and Plastics, (iii) Pharmaceuticals and Home Health Care; (iv) Machinery and Engineering and (v) New Products and Other Businesses which focus on new solutions and state-oftheart materials in the IT sector;

With regard to DCPD RIM products, Teijin's operates in this sector through its wholly owned subsidiary, Teijin Metton. Teijin Metton holds 60% of the shares in MTN Chemicals, one of the parents of the MAI joint venture, which is also active in the DCPD RIM business. MTN Chemicals holds 60% of the shares in MAI. Teijin Metton also directly holds 25% of MAI's shares.

The Japanese Fair Trade Commission on 29th April 2003 cleared the operation.


Metton America, Inc.         http://www.metton.com/

The headquarters for Metton America is located in Houston, Texas in the U.S. with an affiliate, Metton Europe, in Dusseldorf, Germany. In Asia, Metton
® LMR is available from Teijin-Metton Ltd with headquarters in Tokyo, Japan. Nichimen Corporation is a worldwide trading company supplying Metton LMR to many international molders.

Metton® LMR (liquid molding resin)
Metton LMR is a tough and durable engineering plastic material used to produce large or thick molded parts for many diversified applications. Metton LMR provides part design freedom with integrated functionality and part consolidation opportunities similar to injection molding for replacement of traditional materials such as wood and metal. Low internal mold pressures of 15 to 30 psi allow part sizes up to 120 ft2(9 m2) in closed molds such as machined aluminum, nickel shell or cast aluminum. Adhesion to paint and structural adhesives is excellent. Metton LMR is supplied in closed containers in various sizes from 55 gallon (200 liter) to 5000 gallon (19,000 liter) ISO Containers to Bulk Onsite Storage.

「メトン」は、ジシクロペンタジエンを主原料とした全く新しいオレフィン系架橋タイプの熱硬化性樹脂で、耐衝撃性・剛性等が高い水準でバランスし、RIM成形により大型で複雑な形状をした成形品を製造できる画期的な新素材です。 バンパー・冷凍コンテナのハウジングや冷凍機の枠材等に使用されています。

帝人→100%→帝人メトン →60%→MTN Chemicals→60%→ Meton America
→→→→→→→→→→→ 40%→

        


大型成型樹脂 メトン®  http://www.teijin-eco.com/ecoproducts/02.html

帝人メトンでは大型成型品の製造に最適なオレフィン系熱硬化樹脂「メトン」を製造し、環境ビジネスへのアプローチを行っています。
メトンは低粘度で液状のため、大型で複雑・肉厚な成型品を製造することが容易なこと、低圧成形のため、比較的安価な金型や成形設備で量産が可能なこと、物性のバランスが優れていて壊れ難いことなどの特長をもっております。生活雑排水を浄化する合併式浄化槽の外殻や生ゴミを完全に分解する生ゴミ処理槽の外殻等の環境保全機器、設備の素材として幅広く採用されています。
さらに、メトンは以下のようにその存在、採用自体が環境にやさしい側面を持っており、近年ガラス入りの樹脂に代わって採用を広げています。

(1) 軽量である
  物性が優れている上に比重が軽い(1.03)ので、成形品の軽量化が図れ燃料消費量の低減、排気ガスの削減に貢献しています。
(2) 成形時のエネルギー消費量が少ない
  成型時に高温高圧を必要とせず、自己発熱を利用して重合をさせるため、原料製造から成形までのエネルギー消費量が大幅に少ない素材です。
(3) 廃棄物の処理が容易
  ガラス繊維が入っておらず、有毒物質を含まないオレフィン樹脂なので、製鉄所のコークスの代替等原燃料としての再利用、処分方法が確立しています。

 


日本経済新聞 2003/6/21                  発表

鐘淵化学 断熱材、フロン使わず 来年2月までに生産体制

 鐘淵化学工業は2004年2月までに、温暖化ガスのフロンを全く使わない断熱材の生産体制に移行する。約30億円を投じ、国内の全4工場の生産設備をノンフロンの断熱材を生産できるように切り替える。住宅メーカーを中心にノンフロン製品の需要が増えていることに対応した。 
 鐘淵化学は15億円強を投じ、鹿島工場(茨城県神栖町)と北海道カネカ(北海道恵庭市)、九州カネライト(福岡県筑後市)の3工場の生産設備を切り替えた。
 来春までに、さらに15億円弱を投じて大阪工場(大阪府摂津市)にも新設備を導入。全工場でノンフロン断熱材を生産できるようにする。同社の生産能力は全工場で3万トン強になる。
 発泡剤は断熱材の生産工程でも必要になる。鐘淵化学は発泡剤を温暖化ガスの代替フロンから炭化水素系のガスに切り替えることで、ノンフロン化することに成功した。商品名は「カネライトスーパーE」で、オゾン層の保護や温暖化防止につながるという。
 鐘淵化学の断熱材は5割程度が住宅向け。住宅メーカーの需要増加などで売り上げ拡大を目指す。2002年度の断熱材の国内販売量は約6万5千トン。このうち、米化学大手ダウ・ケミカルの子会社、ダウ化工が30%強で首位。鐘淵化学は約30%と、きん差で2位につけている。 
 建材分野で環境保護に関する意識が年々高まっており、大手住宅メーカーの間でノンフロン断熱材の需要が増えている。


2003/6/23  鐘淵化学工業

押出法ポリスチレンフォーム、全工場全種にわたる完全ノンフロン化が実現
 ― 来春、大阪工場の全面切り替えにより完了。今までの投資総額、約30億円 ―

鐘淵化学工業は、平成12年12月に世界に先駆けて全てのフロン類・ハロゲン化炭化水素系発泡剤を含まない押出法ポリスチレンフォーム(保温板3種)(商品名:「カネライトスーパーE」)の開発に成功し、一部地域(関西圏)での試験販売を開始した。
グリーン購入法等高まる環境意識と、それに基づく市場の旺盛な需要に応えるため供給体制の整備を進め、平成13年11月に全国販売を開始した。
その後、相次いで北海道、九州の整備を完了し、来春に大阪工場(大阪府摂津市)の最終整備を行うことで、生産4工場全てで全品種にわたるノンフロン化が完結する。これまでにノンフロン化に関連した投資の総額は、約30億円に達する。
   
「カネライトスーパーE」の生産拠点は、大阪工場(大阪府摂津市)、鹿島工場(茨城県鹿島郡)、北海道カネカ(北海道恵庭市)、九州カネライト(福岡県筑後市)の4工場体制となる。
   
押出法ポリスチレンフォームは、JIS規格で断熱性能の高い順に3種、2種、1種に区分されている。当社は、1種については事業化当初よりノンフロン品で上市している。2種は、平成13年4月より北海道地区を皮切りにノンフロン品への切り替えを開始しており、最も断熱性能が高い3種についても、平成12年12月にノンフロン化を実現している。
   
【参考】
押出法ポリスチレンフォームは、その主原料であるポリスチレンが熱可塑性のためマテリアルリサイクルが可能である。
本年7月施行の建築基準法改正では、「カネライトスーパーE」はホルムアルデヒドを放散しない材料に区分されており、一切の使用制限を受けない。
産業廃棄物処理法の改正に合わせて、当社の断熱材である「カネライトフォーム」が広域再生利用指定の認可を取得すべく計画している。

 


化学工業日報 2003/6/24

オカモト静岡工場に集中投資 建材用PVCフィルム、2次、3次加工増強

 オカモトは、今期設備投資として前期比4倍強の27億円を計上する。そのうち静岡工場(静岡県吉田町)に21億円を投じる計画で、三宝樹脂工業との技術提携にともない建材用塩化ビニル樹脂(PVC)フィルム事業の生産増強に充てる。二次加工、三次加工を中心に能力を高める考えだ。また営業体制も整備していく方針で、7月からマーケット分野別の組織に移行、効率的な営業展開を図っていく。
 オカモトはPVCフィルム事業で技術提携した三宝樹脂の工場を、静岡工場内に2004年4月をめどに完成させる計画を進めている。三宝樹脂の工場が高速道路公団の施工にともなう土地の収用により操業が困難になったことにともなう措置。 当面は建材用プリントおよびエンボス加工のPVCフィルムについて技術交流を行い、将来的には事業継承も視野に入れる見込み。
 これにともないオカモトは、建材用PVCフィルムの二次加工、三次加工能力を高める目的で積極投資を行う。 今期の設備投資としてはほかに、スキンやカイロ、粘着テープなどを手掛ける茨城工場(茨城県竜ヶ崎市)に4.5億円、ゴム製チェーンやゴムバンド、インジェクションブーツなどの福島工場(福島県いわき市)には1.5億円を計画
ている。 また、マーケット分野別営業体制を構築するため、7月1日付で組織改革を実施する。スキンやシューズ、手袋などの生活用品についてはホームセンター向けの展開を強化しており、着実に伸ばしている。同社はこれまで産業用製品を中心に工場営業が多かったが、広範製品にわたりホームセンター展開などを強化するかたちで、顧客志向を一層明確化していくのが狙い。
 


2003/06/26 凸版印刷

透明蒸着フィルム、福岡に製造設備導入し、生産能力を倍増

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、社長:足立直樹)は、透明蒸着フィルムの今後の需要拡大に対応するため、8月に福岡県のパッケージ製造工場である福岡第一工場に透明蒸着フィルムの製造設備を増設・稼動します。これにより、生産能力を従来のほぼ倍増となる9,000t/年(フィルム重量)に引き上げ、食品・化学品用途などの既存分野に加え、昨秋に開発した透明蒸着フィルム市場で世界最高性能を有する「GXフィルム」の市場投入で拡大しつつあるエレクトロニクス製品包装等の需要に対応します。

<これまでの経緯>
 今日の包装用途では、内容物の保護とともに商品の安全性や安心感を訴求できる材料が求められています。そのため、透明蒸着フィルムをはじめとする透明包装材料へのニーズは高く、厳しい市場環境の中でも年10%以上の高い市場拡大を続けています。
 また、透明蒸着フィルムは、包装材料を主用途としているほか、バリア性、透明性、などから、将来的には、ディスプレイ用機能性フィルムなどへの新規分野への展開が期待されています。
 凸版印刷は業界に先駆けて1989年より透明蒸着フィルム「GLフィルム」を開発、販売を開始し、現在では透明蒸着フィルム市場では世界シェアNo1を誇る製品として食品、飲料、化学品など幅広い用途に採用されています。
 また、昨秋に開発した「GXフィルム」は透明蒸着フィルムの中でも世界最高レベルで、アルミ箔に匹敵する水蒸気バリア性を実現しています。既にエレクトロニクス業界で採用されているほか、多数の顧客と共に導入に向けた評価テストを進めています。
 このため、今後も継続した市場拡大が予想される上、さらなる機能開発により市場を牽引するべく、設備の増設を行います。
   
<設備の導入について>
 福岡県のパッケージ製造工場である福岡第一工場(福岡県古賀市)に透明蒸着フィルムの製造設備を増設し、8月より稼動します。
 福岡第一工場は、2001年に竣工した最新鋭の工場です。この度の設備増強は、関西以西への供給を主に担うほか、今後の急速な需要拡大が期待される中国・アジア市場への供給体制を視野に入れたものです。
 新設備の稼動後は、凸版印刷全体で従来と比べほぼ倍増となる約9,000t/年の供給体制となります。
 レトルトパウチをはじめとした食品・飲料・化学品等の既存用途に加えて、「GXフィルム」により拡大しつつあるエレクトロニクス製品包装等の需要増にも対応します。
   
<今後の展開>
 今後は、反射防止等ディスプレイ向け機能性フィルムをはじめ、電子・光学部品の基材や要素部材など、新規分野への展開を積極的に進めます。

2003/06/26 帝人デュポンフィルム

ナノレベルの精密コーティングを可能にする新規コーティング加工フィルムの生産設備新設について 
 
帝人デュポンフィルム株式会社(本社:東京都千代田区、社長:北條 正明、以下TDFJ)は、このたび、コーティング加工フィルムの生産拠点がある宇都宮事業所に、新技術によるコーティング設備を新設することを決定しました。
 この設備は、超精密な薄膜形成を目的とするもので、ベースフィルム上にナノオーダーの精度でコーティングすることが可能となり、光学・電子材料および環境・エネルギー分野関連などの最先端市場での販売拡大が期待できます。
 TDFJは、こうした用途に対し、ベースフィルムから加工までの一貫体制によるフィルムメーカーとしての優位性を保ちながら、高品質で高効率な生産体制でコーティングフィルムを供給することを計画しています。
 詳細は下記のとおりです。

1.新設の目的

(1)  TDFJは、コーティング加工フィルム事業として、1990年よりシリコーン離型フィルム「ピューレックス®」の生産を開始しました。その後、医療用、セラミックコンデンサー用、LCD偏光板用など、高機能を要求される分野で急速に販売を拡大してきています。
(2)  TDFJでは、これに続く新たな用途に向けた新製品を確立するため、従来のプロセスとは全く異なる技術を開発し、コスト競争力のある生産技術を確立しました。ナノテクノロジーをベースとした塗材技術、数十ナノメートル以下の精度で塗布厚みをコントロールできる新塗工技術および設備の開発により、新規商品の生産を可能とするものです。 
(3)  環境適応や省資源を意識した商品づくりが求められる中、デジタル化の進行とともに様々な新商品の展開が期待されており、大型薄型テレビに代表されるような高度な技術集約型商品が上市してきています。また一方では、太陽光発電などの研究開発が着実に進んでいます。
(4)  TDFJは、こうした用途に向けて需要が高まっている透明導電性、電磁波シールド、無反射、ハイバリアーなどの機能を持った高品質な加工フィルムを、このたびの新技術・新設備により提供していきます。
(5)  従来の「ピューレックス®」に加え、このたびの新設備で生産される超精密薄膜のコーティングフィルムを上市し、まずは光学用最先端市場に投入していきます。これにより高性能でコスト競争力のある製品提供が可能となり、今後、環境・エネルギー分野など、広範囲での使用が期待されます。

2.新設備の概要

(1)生産能力 :  コーティング能力 = 3000万m2/年
              (既存設備との合計コーティング能力 = 9000万m2/年) 
(2)設備投資 :  約15億円 
(3)完成時期 :  2004年6月 
(4)設置場所 :  帝人デュポンフィルム株式会社 宇都宮事業所内
             (栃木県宇都宮市清原工業団地13−1) 


2003年6月30日 三菱レイヨン株式会社

三菱バーリントン株式会社の社名変更のお知らせ

 三菱レイヨン株式会社(本社:東京都港区、社長:皇 芳之)は、カーペット事業を展開しているグループ会社の三菱バーリントン株式会社(本社:東京都中央区、社長:古谷忠義)の社名を、2003年7月1日をもって「三菱レイヨン・カーペット株式会社」に変更致します。


 三菱レイヨンは、1971年に米国バーリントン・インダストリーズ社と共同出資で三菱バーリントンを設立して以来、カーペット事業については三菱バーリントンを中心に30有余年事業活動を行なってきましたが、本年3月に、米国バーリントン・インダストリーズ社より同社所有の全株式を譲り受けて
出資比率を95%から100%に致しました。これを機会に、三菱バーリントンの社名を三菱レイヨン・カーペットと変更し新たに出発することとしました。
 三菱レイヨン・カーペットは、タイルカーペットを主力製品とするカーペットメーカーとして、今後とも当社繊維事業の一翼を担ってまいります。

新社名   三菱レイヨン・カーペット株式会社
    (英文表記 MITSUBISHI RAYON CARPET COMPANY LIMITED)
旧社名   三菱バーリントン株式会社
社名変更日   2003年7月1日
     
【会社概要】
会社名   三菱レイヨン・カーペット株式会社
創業   1971年4月
代表者   代表取締役社長 古谷忠義
本社所在地   東京都中央区日本橋浜町2−62−6
資本金   4億円
株主   三菱レイヨン株式会社100%
年商   60億円
従業員数   50名
事業内容   カーペットの製造及び販売、貨物の保管及び運送取次



日刊工業新聞 2003/8/11

オカモトとトーメンプラ販売、東ガス子会社からフィルム事業を買収

 オカモトとトーメンプラスチック販売(東京都千代田区)は8日、東京ガス・フロロマテリアル(東京都台東区)のフッ素樹脂フィルム事業を10月1日付で共同買収すると発表した。買収額は明らかにしていない。プラスチックフィルム事業の製品ラインアップの拡充を進めるオカモト、トーメンプラ販売と、不採算事業の選択と集中を進める東ガス・フロロマテの親会社である東ガス側の思惑が一致した。

 東ガス・フロロマテから引き継ぐフッ素樹脂フィルムの営業はトーメンプラ販売が担当、オカモトが製品の開発と品質管理を行う。当面、生産は東ガス・フロロマテの委託先で行うが、将来的にはオカモトが自社生産する。東ガス・フロロマテの同事業の売上高は、国内需要の低迷からピークの98年度に比べ39%減の5億5000万円に縮小していた。


東京ガス・フロロマテリアル株式会社

所  在  地   東京都台東区松が谷1−3−3 東京ガス台東ビル3F
設    立   平成6年1月6日
資  本  金   2億円
事 業 概 要   1.フッ素樹脂フィルムの用途開発、商品開発
    2.フッ素樹脂フィルムの販売
3.フッ素樹脂フィルム応用素材の製造、販売

 


2003/09/01 (株)興人

フィルム加工2社の合併について

 株式会社興人(本社 東京都中央区、社長:横田勝行)のフィルム加工部門子会社、八代セロファン加工株式会社(本社 熊本県八代市、社長:水谷友二)とシーアンドエス株式会社(本社 東京都中央区、社長:有田正信)は、両社の競争力・収益力強化と事業拡大を目指し、2001年7月から販売・購買・生産等の多方面にわたる業務提携を推進してきましたが、提携の成果が上がってきたことから、このたびこれを更に押し進め2004年4月1日をもって合併することに合意し、本日「合併基本覚書」を締結いたしました。

 この合併は、興人のフィルムセグメントの事業戦略の一貫として、加工2社の業務統合による事業基盤拡大と経営改革を図るとともに、原反フィルムを製造する興人とこれを加工する合併新社の連携強化により、顧客要望に応える設備増強、新商品の開発の促進と品質管理の向上等を図る計画であります。

 合併2社の売上高(2003年3月期)の単純合計は85億円ですが、これら新設機の稼働などにより、2008年3月期には売上高100億円を計画しています。

「合併基本覚書」の要旨

1.合併期日 2004年4月1日
2.合併手続 両社対等の立場で行うものとするが、手続上は八代セロファン加工(株)を存続会社とする吸収合併による。
3.割当比率  :  シーアンドエス(株)の株式1株につき、八代セロファン加工(株)の株式12.4株を割り当てる。
4.新社名 未定
5.新役員 代表取締役社長   有田正信(現シーアンドエス(株)社長)
代表取締役副社長  水谷友二(現八代セロファン加工(株)社長)
6.新本社 東京都中央区(現シーアンドエス(株)本社所在地)


ご参考 (興人及び合併2 社の概要)

〈株式会社 興 人 〉
・社長 横田勝行
・本社 東京都中央区
・設立 1937 年3 月
・資本金 110 億円
・主要株主   三菱商事鰍Q9 .7 %、三菱化学鰍V .9 %、
三菱製紙鰍V .9 %
・主な事業 発酵製品・化成品・プラスチックフィルム・化学紙の製造・販売及び不動産の開発・分譲
・売上高 457 億円(2003 年3 月期)
・従業員数 749 人
・工場所在地 熊本県八代市(プラスチックフィルム、化成品製造)、
大分県佐伯市(発酵製品製造)、静岡県富士市(化学紙製造)
     
〈八代セロファン加工株式会社〉
・社長 水谷友二
・本社 熊本県八代市
・設立 1963 年5 月
・資本金 40 百万円
・主要株主 葛サ人50 .1 %、シーアンドエス鰍X .9 %
・主な事業 コンバーティングフィルムの印刷とラミネート
・売上高 45 .3 億円(2003 年3 月期)
・従業員数 105 人
・工場所在地 熊本県八代市
・営業地域 九州、西日本
     
〈シーアンドエス株式会社〉
・社長 有田正信
・本社 東京都中央区
・設立 1998 年10 月、潟Vョーラミとシーアンドビー鰍Q社合併で設立。
    ショーラミ =1967 年5 月 設立
シーアンドビー梶≠P972 年6 月 設立
八代セロファン加工の厚木工場を継承、操業開始
・資本金 59 .2 百万円
・主要株主 葛サ人58 .8 %、八代セロファン加工鰍P6 .2 %
・主な事業 コンバーティングフィルムの印刷とラミネート
・売上高 40 .0 億円(2003 年3 月期)
・従業員数 100 人
・工場所在地 長野県飯田市、山梨県韮崎市
・営業地域 東日本、関西

2003/09/26 東レ

ナノ積層技術によるフィルム先端材料の開発
−分子オーダーの厚さで多層積層されたフィルムの開発に成功−
  
http://www.toray.co.jp/news/film/nr030926.html

 東レ(株)は、この度、複数の異なるポリマーを、数ナノメートルオーダーという分子オーダーの厚さで、高精度に積層(ナノ積層)する製膜技術を世界に先駆けて開発し、それによって、フィルムの基本特性を飛躍的に向上させ、また、新しい機能を発現させることに成功しました。

 東レではナノテクノロジーを次代の中核技術のひとつと位置づけ、その研究を強化していますが、繊維・フィルム・樹脂などの基幹素材においても、東レ独自のナノテクノロジーを駆使した先端材料の創出に注力しています。かかる研究の成果として、すでに、繊維では従来の極細繊維よりも繊維径が2桁小さい、髪の毛の太さの数千分の一にまで達するナノオーダー径の細い単糸で構成されたマルチフィラメント形状のナノファイバーを得る新技術を創出しています。又、フィルムでは、複数の異なるポリマーを数ナノメートルオーダーで微分散させるナノアロイ技術を開発し、これをベースにポリエステルフィルムの耐熱性を大幅に向上した高耐熱フィルムを創出し、すでに市場に展開しています。

 今回のナノオーダーの高精度積層技術は、これらにつづく革新的なナノテクノロジーであり、フィルム特性の極限を追求するための新技術として位置づけ、これを駆使した画期的なフィルム先端材料の開発に取り組んでおります。

 東レは、これまでにも基材フィルムの表面に薄い機能層を形成するフィルムの薄膜積層技術を先駆的に研究・開発してきており、データテープ用フィルムなどですでに生産化しておりますが、その積層数は2〜3層程度、積層厚さもサブミクロンオーダーであり、フィルムの表面構造制御を主眼とするものでした。また、最近、光の反射特性を制御するための積層フィルムが提案されていますが、これらのフィルムの積層数は数十から数百層であり、層数を多くするためにはいったん積層したフィルムを貼り合わせて作るものが主流でした。

 今回のナノ積層技術は、従来技術を大きく飛躍させた複合製膜技術であり、1枚の薄いフィルム中の積層数が、従来よりも1〜2桁多い、数千層もの層を、後工程で貼り合わせることなく、製膜工程内で作ることができるという画期的な技術です。この技術の特徴とポイントを以下に示します。

1.新規多層積層装置
 溶融押出工程におけるポリマーの流れ解析等を踏まえて設計した新規な積層装置を製膜設備に導入し、数千層もの多層積層を、高精度で積層する新技術を開発しました。フィルムの全体の厚さは、用途に応じて通常のポリエステルフィルムと同じ範囲で変更が可能です

2.ナノオーダーの高精度積層
 本技術で一枚のフィルム中に数千の層を形成させた場合、一層の厚みが高分子鎖の繰り返し単位に相当するナノメートルオーダーとなり、従来技術では、到達できなかった、ナノ積層の領域に初めて踏み込めるようになりました。たとえば5ミクロン厚さのフィルムに2000層を形成させた場合、1層あたりの厚さは2.5nmと分子オーダーとなり、これは高分子の結晶サイズに相当するものです。

3.ナノ積層による新しい世界
 ナノ積層フィルムで、一層あたりの厚さを高分子の結晶サイズレベルまで薄くできた結果、世界で初めてのナノ空間での位置規制効果が発現し、層界面での相互作用の飛躍的な増大などといったナノ効果と合わせて、従来では不可能であった独自の高分子構造を形成できるようになりました。

4.ナノ積層フィルムの特徴
 上記のナノ効果によって、従来のフィルムでは到底達成できない特性が確認されつつあります。
 たとえばこのナノ積層フィルムの熱寸法変化率は、従来のポリエステルフィルムの約1/10であり、飛躍的に寸法安定性を向上させることに成功しました。また熱特性、機械特性といった基本特性はもちろん、電気特性、気体透過性等、多くの特性を飛躍的に向上できることが期待できます。


 以上のように、新たに開発した多層積層装置を用いた世界で初めてのナノ積層技術は、フィルムの飛躍的な高性能化、高機能化の強い武器になるものであり、次世代フィルム技術の中核と位置づけ、研究・開発を強化しています。

 今般、この技術をベースに、東レ独自のポリマー設計技術も駆使して、高強度・耐引裂性・高透明性を兼ね備えた、高機能二軸延伸ポリエステル系フィルムの開発に世界で初めて成功しました。

 東レ“ルミラー”に代表される二軸延伸ポリエステルフィルムでは、フィルムの強度と耐引裂性は相反するものであり、高強度フィルムほど裂けやすくなってしまうのが常識でした。従来は、耐引裂性を高くすると、強度が極端に低下したり、種々の用途で重要視されるフィルムの透明性が大きく悪化してしまうといった致命的な問題があり、フィルムの展開用途が限定されていました。

 東レはナノ積層技術によって、ポリエステルフィルムの高強度・耐熱性・透明性といった本来の特徴を犠牲にすることなく、飛躍的に耐引裂性を向上させた高機能フィルムを創出しました。このフィルムは、フィルムの引裂破壊の解析によってそのメカニズムを解明し、その原理をもとにして、応力剪断場のエネルギー分散・吸収に有効な積層用ポリマーを設計し、1枚の薄いフィルム中に多層積層構造を形成することで、高強度・耐熱性・透明性を損なうことなく、引裂強度を飛躍的に向上させることに成功したものであり、従来にはない、新しいコンセプトのフィルムです。

 このフィルムは、東レ“ルミラー”に代表される二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと比較して、同等レベルの弾性率・強度、耐熱性、寸法安定性等を有しながら、その引裂強度は約40倍にも達しており、非常に破れにくいという特徴を有しています。また、この特徴に加えて光線透過率90%以上、ヘイズ値(濁りの度合い)1.0%以下という特性値が示すように、透明性にきわめて優れるフィルムであります。これらの特徴を生かし、高い透明性とより高いセキュリティーを求められる窓貼り等の建材用途やフラットパネルディスプレイに代表される電子材料関連部材などの用途へ大きく展開していく予定です。

 東レでは、この高機能フィルムの基本技術をすでに確立し、既に生産機での設備化を完了しており平成15年度中に生産化し、市場へ投入していく計画です。更に本技術は既存の東レの世界中の設備に展開可能で、マーケットニーズに対応した生産対応が可能です。

 さらにこのナノ積層技術は上記用途のみならず、卓越したフィルム特性が実現できること、多岐にわたる機能付与が可能となることから、今後、多くの用途に展開できると期待しています。


日本経済新聞 2003/10/8

中国で発泡材の現法設立 鐘淵化学工業

 パソコンなどの包装材やバンパーなどの自動車部材に使う発泡ポリオレフィンの製造会社を中国で設立したと7日、発表した。2004年夏に稼働、年間約1200トンを生産する。日本の家電や自動車メーカーの中国進出を背景にした需要増に対応する。新会社は「蘇州愛培朗緩衝塑料」(江蘇省)。


2003年10月8日 鐘化

発泡ポリオレフィン事業、中国に新工場を建設
― 年産1200トン。来年夏、稼働予定 ―
   
http://www.kaneka.co.jp/news/n031008.html

鐘淵化学工業は、発泡ポリオレフィン事業(商品名:「エペラン」)について、需要が急増している中国への本格展開を決めた。今年9月に、現地法人「蘇州愛培朗緩衝塑料有限公司」を設立し、江蘇省蘇州に発泡ポリオレフィンビーズ製造工場を建設し、来年の夏の稼働を目指す。工場用地を含む投資総額は、約5億円を見込む。
当社の発泡ポリオレフィン事業は、日本、米国、欧州、東南アジアとグローバルに事業展開している。その主たる需要は、LCDやPCを中心とするIT産業関連用途である包装機能材、バンパーを中心とする自動車部材である。成長が著しい中国において生産拠点を確保し、新規市場開拓を進めて需要の拡大を目指す。中国を加えることにより5拠点体制となり、グローバル事業展開を加速させる。5拠点を合わせた能力は、年産約26000トンとなる。
IT産業は日本、台湾、韓国、米国の各メーカーが、上海〜蘇州〜南京地区に投資を集中させており、高機能性を特徴とする発泡ポリオレフィン包装緩衝材の需要拡大が予想される。自動車産業は、米国、欧州、日本による積極的な合併・提携が行われ、更なる合併・提携を見据えれば、一層の拡大が予想される。
現在、当社の中国への対応は、日本(大阪工場、鹿島工場)、マレーシア(カネカエペラン)から輸出しているが、現地生産拠点立上後は、新拠点からの供給に切りかえていく。現在、現地の成形加工メーカー、ITメーカー、自動車メーカーに対する技術サービスを含めた市場開発の充実・強化のため、すでに現地中国人を採用し、体制を整備してきている。本年初め増員し、更なる市場開発を加速させるべく、各種用途におけるユーザーとの本格的マーケティング活動を開始している。

【新会社の概要】

会社名  : 蘇州愛培朗緩衝塑料有限公司
資本金  : 3億円(当社、100%出資)
所在地  : 中国江蘇省蘇州市蘇州工業園区
敷地面積: 約2万3千m2
社員数  : 約40名
主要製品: 発泡ポリオレフィン製品「エペラン」の製造、販売
生産能力: 約1200トン/年


Chemnet Tokyo 2003年11月04日

旭化成L&Lの高機能シート加工事業がタイと中国でスタート
日系の電機・電子企業や自動車メーカーのニーズに対応  

 旭化成ライフ&リビング(旭化成L&L。9月30日までは旭化成の生活製品カンパニー)のポリエチレン系高機能シートをユーザーのニーズに合致した機能性の緩衝・梱包材に現地で加工する事業がこのほどタイと中国で相次いでスタートした。
 
 一つは、機能性緩衝・梱包材の有力企業の株式会社生出と旭化成L&Lなどが共同出資してタイに設立した「生出タイランド」による家電向け並びに自動車部品向けの機能性緩衝・梱包材の事業。もうひとつは、旭化成L&Lや上野システックなど3社の共同出資会社が全額出資で香港に設立した「威龍包装材料」による事務機器向けの同緩衝・梱包材ビジネス。
 いずれも、旭化成L&Lが鈴鹿工場で製造した高発泡ポリエチレンシート「サンテックフォーム」と低発泡ポリエチレンシート「メフ」の2種類のシートを現地のユーザーのニーズに合致した形状と機能を持つ緩衝・梱包材に加工し、販売していくワールド・ソリューーション型ビジネス。当面の納入先は、タイの場合が日系の家電メーカーと自動車メーカー。香港では、同じく日系の事務機器メーカーが中心となる。
 「生出タイランド」は、チョンブル県アマタナ工業団地内でこのほど加工工場の開所式を開いて本格的な生産・販売活動を開始した。一方の「威龍包装材料」は、深せん地区の新工場で同じくオープンセレモニーを開催したのを機に本格操業をスタートさせた。
 
 旭化成L&Lは、10月1日の分社化・再スタートを契機にプラスチック製高機能生活関連製品事業の国際展開にこれまで以上に積極的に取り組む構え。タイと中国における「サンテックフォ−ム」と「メフ」の加工事業が軌道に乗ればモデルケースの一つとなる。


化学工業日報 2003/11/19

JSP、中国でEPPビーズを一貫生産体制へ

 JSPは中国で発泡プラスチック事業を強化する。このほど無錫の新工場が本格操業を開始し、発泡ポリプロピレン(EPP)ビーズの2次発泡をスタートしたのに続き、来年春にも第2期計画に着手。早ければ11月から現在シンガポールおよび台湾から調達している予備発泡ビーズの現地生産に乗り出す。予備発泡ビーズからの一貫体制を整えることで自動車分野を中心とした需要家への対応力を強化するとともにコスト競争力を高める。