2003/01/10 日本製紙/大昭和製紙

富士コーテッドペーパー株式会社株式譲渡について

 日本ユニパックホールディンググループの日本製紙株式会社と大昭和製紙株式会社は、
経営統合に関する公正取引委員会からの指摘事項に対する対応措置として、平成13年4月6日に発表いたしました富士コーテッドペーパー株式会社の株式譲渡につき、今般、丸紅株式会社と合意に達し、株式譲渡契約に調印いたしました。平成15年4月1日に同社普通株式98万株(発行済株式の100%)を譲渡いたします。

 株式譲渡後も、富士コーテッドペーパー社の営業内容に変更はなく、従前の通り、生産・販売を行ってまいります。今後、株式譲渡日までの期間に必要な移行準備作業をすすめ、皆様にご迷惑をお掛けすることなくスムーズな譲渡を実現し、所期の目的を果たしたいと考えております。長年ご愛顧をいただいておりますお客様、お取引先の皆様におかれましては、今回の株式譲渡につき何卒ご理解を賜り、引き続きお引き立てを賜りますよう、切にお願い申し上げます。

[富士コーテッドペーパー株式会社概要(平成15年4月以降)]

1.所在地   本社: 東京都千代田区大手町1−4−2(丸紅本社内)
富士事業所: 静岡県富士市蓼原600番地
吉永事業所: 静岡県富士市比奈798番地
2.代表者    代表取締役社長  本田 忠生(元丸紅株式会社紙パルプ本部副本部長)
3.生産品種    塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、印刷用紙、包装用紙
4.生産能力   約24万トン/年
5.主要設備  
コーター :形式 :幅(mm) :日産(t) :主要製品 :稼動
富士31号機 :ファウンテンブレード
 コーター
: 3,250 : 200.1 :塗工印刷用紙 :1972/3
富士32号機 :ブレードコーター : 3,200 : 195.0 :塗工印刷用紙 :1977/5
吉永30号機 :ダイナミックブレード
 コーター          
: 3,223 : 277.3 :塗工印刷用紙 :1987/11

 


日本経済新聞 2003/2/12

新素材 成熟市場に刺激 プラスチック系原料 

主成分古紙 環境に配慮
 環境に対する負荷を減らすなど環境対応型の新素材の需要が伸びている。
 様々な形状に加工ができ、見た目や用途は合成樹脂そのものーー。北越製紙はプラスチックの特性を持つ紙「Eペレツト」を開発、販売を始めた。原料は51%以上が古紙のため、容器包装リサイクル法では紙として扱われる。主成分の古紙に汎用合成樹脂のポリプロピレンを混合し、成型用の原料として使いやすい粒状に固めた。折り曲げ強度が強く耐熱性も高いという。
 最大の売り物は紙として廃棄処分できることだ。燃焼した場合の燃焼カロリーは合成樹脂より低く、燃焼炉を傷めない。紙と同様に燃え、有毒ガスも発生しないという。カレンダーの留め具や商品展示台などに使われる例が増えており、食器や日用品などへの用途拡大が見込まれている。
 価格はポリプロピレンに比べると5割ほど高いが、今後量産効果も出てくる上、「紙として処理できるトータルコストを考えれば、市場の拡大は可能」と販売を担当する北越パッケージ(東京・千代田)はみる。

  北越製紙ホームページ  http://www.hpaper-na.co.jp/product.html

    ■X7 エックスセブンは、最先端の製紙技術を駆使し、セルロース繊維に熱可塑性樹脂を高配合した複合素材です。低圧力下で高度な成形性を備え、表皮一体成形や他素材との複合成形を可能にしました。建材・家具等さまざまな領域に応用が拡がる先進コンポジットです。
               
    ■Eペレット X7シートを発展させ射出成形に造粒したものがEペレットです。Eペレットは絶乾重量で51%以上の古紙で構成された素材で容器包装リサイクル法上紙に分類されます。セルロース繊維の特長をそのまま生かしているため、成形品は剛性・耐熱性に優れ、焼却も容易にできるようになりました。射出成形の市場は広く、機能と環境の両面から、今、脚光を浴びています。
     

日本経済新聞 2003/10/11

生分解性樹脂 紙で「補強」 北越製紙・三井化学 耐熱性2.5倍 強度は1.2倍

 北越製紙と三井化学は植物を原料にした生分解性樹脂に紙を加え、強度を従来の1.2倍、耐熱性を同2.5倍に引き上げた。北越製紙の長岡工場(新潟県長岡市)で初年度200トン、2年後に年1000トンを生産する計画。自動車や家電、日用品など幅広い用途を開拓する。
 開発した「ELペレット」(商品名)はトウモロコシから作るポリ乳酸に、塩素をほとんど含まないパルプでつくった紙を混ぜて製品化した。汎用の樹脂と同じ成型加工ができ、成型コストも約4割安いという。
 三井化学がポリ乳酸を供給し、北越製紙が生産・販売を担当する。1キロ当たり400円以下になる見込み。北越製紙では2005年度に約4億円の売り上げを見込む。
 生分解性樹脂は土や水の中で無害な物質に分解する。衣料品や包装材だけでなく、今後は自動車やパソコンなど耐久消費財の部材で引き合いが増えると期待している。


日刊工業新聞 2003/2/14

三菱製紙、レジンコート紙を増産−世界シェア20%目指す

 三菱製紙は感光材料用レジンコート紙(RC紙)の生産量を年産2億平方メートルから04年度に同3億平方メートルに拡大する。さらに需要開拓を進め早期に2倍の年産4億平方メートルを狙う。写真用印画紙やインクジェット用紙向けの需要増に対応、輸出も拡大する。03年度に北上工場(岩手県北上市)への生産統合が完了し、競争力が増すため事業を本格化、RC原紙の世界シェア20%を目指す。

 RC紙は写真用印画紙やインクジェット用紙など感光材料に使われる。世界的な市場の伸びが期待され、生産量は現在の年産約14億平方メートルから05年には同20億平方メートルへの拡大が予想されている。

 三菱製紙は写真原紙事業をコア事業と位置付け、200億円を投じ北上工場に生産を集約。3月末で閉鎖する中川工場(東京都葛飾区)から北上工場へのRC紙製造設備の移設を行った。03年度から同工場での一貫生産体制が整う。


日本経済新聞 2003/3/25

日本ユニパック 段ボール事業3位めざす             
発表文
 東缶興業との提携発表 傘下8子会社合併も


 日本ユニパックホールディングは24日、東洋製缶系の東缶興業(東京・千代田)と今夏をめどに段ボール事業で提携すると正式発表した。製品の相互OEM(相手先ブランドによる生産)供給や物流面などで協力する。
 製紙最大手の日本ユニパックは段ボール原紙の生産シェアは国内3位だが、段ボールの生産は6位前後にとどまっており、段ボール部門強化が課題だった。提携をてこに原紙から段ボール加工まで手がける一貫メーカーとしてレンゴー、王子製紙に次ぐ3位メーカーの地位を確保する方針。
 日本ユニパツクは4月に段ボールを主力とするグループの板紙事業部門を集約して日本大昭和板紙として発足させる予定、大昭和板紙は2005年度に約100億円の経常利益を目指す。
 日本ユニパックは提携に加え、段ボール事業を手がける傘下の日本板紙(東京・千代田)の8つの段ボール子会社を10月1日に合併させる。合併比率などは未定だが、2004年度中にパートを含む1020人の従業員のうち約240人を削減、年15億円の統合効果を見込む。
 日本製紙連合会によると、2003年の段ボールを含む板紙需要は前年比で0.3%減少する見通し。今回の提携を機に、他の段ボール専業メーカーを巻き込んだ再編が進むことも予想される。


2003年3月24日 日本ユニパックホールディング/日本板紙

段ボール事業の強化について

 
日本ユニパックホールディングは、グループ各事業の強化と経営の効率化をはかるため、グループ内事業別再編成を進めております。
 昨年10月に日本製紙の多角化3部門(液体紙容器事業、木材事業、化成品事業)を分社・再編しました。また、グループのコア事業である洋紙事業の一元化(日本製紙、大昭和製紙(除く板紙事業)、日本紙共販の3社合併)と、段ボール原紙を軸とした板紙事業の一元化(日本大昭和板紙を核として生販一体)は、既に発表したとおり、本年4月1日付けで実施致します。
 また、段原紙事業強化と併せて検討して参りました当社グループの段ボール事業については、下記のとおり、
日本板紙傘下の段ボール子会社の再編・統廃合と、段ボール加工大手メーカーとの業務提携により事業の強化を図ることとしました。
 こうした諸施策を通じて、段ボール事業の厳しい経営環境の下で早期に経営を安定させ、顧客の皆様にこれまで以上にきめ細かいサービスを提供してゆけるものと確信しております。
 また、日本板紙は「段原紙を核とする板紙事業」と「傘下の段ボール事業」の両面にわたり強化策を早期に実現し、グループ全体の収益向上に貢献することで、日本ユニパックホールディング株主の皆様のご期待にもお応えしてゆく所存です。
 引き続き、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

1.グループ段ボール8社の生産体制再構築

(1) 段ボール8社の統合
  生産、販売体制のスリム化によるコスト削減と経営資源の一元化を図るため、日本板紙(株)段ボール事業統括本部を含めて1社に統合する。
     
  新会社名 :日板パッケージ株式会社
  存続会社 :ケージーパック株式会社
  本社所在地 :東京都
  社  長 :加賀谷 滋(日本板紙株式会社常務取締役)
  統合時期 :2003年10月1日
  資本金、合併比率、役員、組織については未定
  新会社概要 売上 約300億円 従業員1,020名(パート含む)
     

 【資料】「段ボール8社の概要」

(2) 段ボール事業の生産体制再構築
  各地域で近接する生産拠点の統廃合を実施し、操業率の向上及び人員の削減による生産性の向上を図る。
     
  実施時期 :新体制発足までに具体策を決定(2003年度下期中に実行)
  目標人員 :約780名(削減予定人員:約240名)
  効果金額 :年間 約15億円


2.東罐興業との業務提携
 段ボール業界において、より事業基盤を強固にするため、日本板紙株式会社と東罐興業株式会社は、段ボール事業について業務提携を進めることで合意しました。

 ・ 業務提携内容 業務提携に関するお知らせをご参照下さい。



段ボール8社の概要

  2001年度 人員数 事業所
資本金
(百万円)
売上高
(百万円)

十条東段ボール株式会社
 ・本社:福島県いわき市

60

1,872

86

勿来(福島県いわき市)
高畠(山形県東置賜郡)

ケージーパック株式会社
 ・本社:埼玉県草加市

306

13,753

379

東京(埼玉県草加市)
富士(静岡県富士市)
関西(滋賀県草津市)

日板パッケージ東京株式会社
 ・本社:千葉県松戸市

440

4,961

182

松戸(千葉県松戸市)
古河(茨城県猿島郡)

サンミック千代田段ボール株式会社
 ・本社:東京都千代田区

310

1,853

58

東京(神奈川県愛甲郡)

十条段ボール株式会社
 ・本社:大阪府門真市

100

2,825

95

大阪(大阪府門真市)
名古屋(愛知県安城市)

中部段ボール株式会社
 ・本社:愛知県春日井市

200

1,788

74

愛知県春日井市

後藤段ボール株式会社
 ・本社:岐阜県本巣郡

90

1,103

77

岐阜県本巣郡

日板パッケージ京都株式会社
 ・本社:京都府久世郡

80

1,431

55

京都府久世郡

合計
(日本板紙)

1,586

29,586

1,006
(15)

1,021




2003年3月24日 日本板紙/東罐興業

業務提携に関するお知らせ

 日本板紙株式会社(平成15年4月1日に日本大昭和板紙株式会社となる予定)と、東罐興業株式会社は、段ボール事業について下記の通り業務提携を進めることで合意いたしました。

1.業務提携の理由
 本提携は、激変する段ボール業界においてより事業基盤を強固にするため、対等、互恵の精神で相互に協力し、お得意様にご満足戴ける体制作りと経営の効率化、収益の向上を目指すためのものです。なお、本提携は合併や事業統合を意図するものではありません。

2.業務提携の主な内容
 業務提携の範囲は「生産協力」「物流協力」「資材面での協力」その他全般にわたるものであります。特に「生産協力」につきましては地域毎で相互委託の充実を図ってまいります。今後、それぞれの協力分野で推進委員会を設置して具体策を検討、成果を得る予定であります。

東罐興業株式会社の概要

(1) 商号   東罐興業株式会社
(2) 代表者名   岩佐秀三郎
(3) 所在地   東京都千代田区内幸町一丁目3番1号
(4) 設立年月日   昭和18年2月
(5) 主な事業の内容   1. 段ボール製品の製造販売。
2. 印刷紙器製品の製造販売。
3. 紙コップ・紙容器製品の製造販売。
4. 樹脂コップ・樹脂容器製品の製造販売。
5. 各前号の製品の生産機械の製造販売ならびに
   これらに関する工事の設計施工。
(6) 資本の額   15億3千万円
(7) 大株主   東洋製罐株式会社
(8) 従業員数   1,610名(H14/3月末・連結)
(9) 売上高   913億円(H14/3月期・連結)




日本経済新聞 2003/7/17

北越製紙 日本加工製紙の工場買収

 北越製紙は昨年5月に経営破たんした日本加工製紙の勝田工場(茨城県ひたちなか市)を今月29日に買収することで破産管財人と合意した。買収額は6億円。北越製紙は隣接地に雑誌の表紙などに使う白板紙の工場を設けており、当面は倉庫として利用する方針。
 日本加工製紙の勝田工場の敷地面積は約18万平方メートルで、書籍に使う塗工紙などを年6万7千トンほど生産していた。北越製紙は工場の買収後に一部塗工設備の売却なども進めるとみられ、将来の利用方法については未定としている。
 日本加工製紙は塗工紙の販売不振などにより経営が悪化。昨年5月末に東京地裁に自己破産を申請した。


2003年9月29日 日本ユニパックホールディング/日本大昭和板紙

段ボール事業の再編について 
   
http://www.nipponunipac.com/news/news03092902.html

 本年3月24日に発表しました当グループの段ボール事業強化につきまして安定した黒字体質の確立を目指して検討してまいりましたが、新たに発足します「日板パッケージ株式会社」の目標とそれに到達するスケジュール・方策が決定しましたので、お知らせいたします。 新会社に対しまして、皆様のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。

1.生産拠点の統廃合

(1) 10月1日に段ボール6社が合併し、「日板パッケージ(株)」として発足。 その後、新会社は残りの2社の営業を継承し、両社及び1工場を閉鎖、9工場1事業所に再編成して、設備の稼働率向上と固定負担の軽減を図る。(8社13生産拠点→1社9工場1事業所)
  合併会社 : 十條東段ボール(勿来・高畠)・ケージーパック(東京・富士・関西)・日板パッケージ東京(松戸・古河)・十條段ボール(名古屋)・後藤段ボール・日板パッケージ京都
 ・ 閉鎖会社及び工場 : 中部段ボール・サンミック千代田段ボール・十條段ボール大阪工場
   
(2) 事業統合後の生産体制の維持及び効率の向上のため、今年度中に2工場の設備増強・改善を行う。
 ・ 愛知工場:コルゲーターを更新し、2直操業体制実施
 ・ 静岡工場:製函設備を増強し、2直操業体制実施
 ・ その他の工場、事業所についてもユーザーニーズに応じた対策を実施し、品質の強化、向上を図る。
   
2.事業構造の改善
(1) 人員の合理化
 ・ 平成14年4月1日現在1,021名を平成16年度末773名とする。(248名減)
  役員 : 37名を 7名 (30名減)
  従業員(含むパート) : 984名を 766名 (218名減)
(2) 営業力の強化
 ・ 従来の8社の個別営業体制を解消し、営業の一元化を図る。
指揮命令系統の統一と営業責任を明確にするため、営業本部の下に広域ユーザー営業部と各地区の営業を統括する地区営業部(関東・中部・関西)を設置し、顧客・地域密着型の営業を展開する。
(3) システムネットワークの構築
 ・ 全社一律の営業及び管理システムの導入により、管理・間接部門の人員削減及び情報伝達の迅速化を図る。
(4) 東罐興業との業務提携
 ・ 相互OEM生産実施により、各工場の操業率向上と交錯輸送の回避による物流費の削減を図る。
 ・ 資材の共同調達によるコストダウンを図る。
 ・ 技術交流及び人的交流の推進により、生産効率及び品質の向上を図る。
 ・ 業界内での地位の向上及びユーザーの信頼度向上のため、共同戦略を検討・推進する。
   
3.事業再編による収益目標  
  平成14年度に対し23億円収益改善し、平成17年度に経常利益6億円以上を目指す。
 ・ 人員合理化 14億円
 ・ 工場閉鎖による固定費減 5億円
 ・ 業務提携等による効果 4億円

4.当面のスケジュール  
  平成15年10月1日 6社合併・「日板パッケージ」発足
  平成15年12月末  十條段ボール大阪工場閉鎖
  平成16年1月末   愛知工場コルゲーター更新2直操業体制へ移行
  平成16年3月末   日板パッケージが中部段ボール・サンミック千代田段ボールの営業を継承し、
              両社は閉鎖
  平成16年5月末   静岡工場2直操業体制へ移行

5.今後取り組む課題  

平成17年度中に上記の事業構造の改善を進め、安定的な黒字体質を実現する。その後、キャッシュフローを活用して、更なる省力化及び老朽化した設備の更新を実施することで、一層の体質強化を推進する。

日板パッケージ株式会社の概要 

  本社所在地 : 東京都千代田区神田須田町1-3
  資本金 : 306百万円
  売上高 : 300億円
  従業員 : 1,021名(発足時点) → 773名(平成16年度末)
  社長  : 加賀谷 滋

  【工場・事業所 所在地】



(工場)

工 場 名 (旧 社 名) 所 在 地
福島工場 (十條東段ボール勿来工場) 福島県 いわき市
茨城工場 (日板パッケージ東京古河工場) 茨城県 猿島郡 総和町
埼玉工場 (ケージーパック東京事業所) 埼玉県 草加市
千葉工場 (日板パッケージ東京松戸工場) 千葉県 松戸市
静岡工場 (ケージパック静岡工場) 静岡県 富士市
愛知工場 (十條段ボール名古屋工場) 愛知県 安城市
岐阜工場 (後藤段ボール) 岐阜県 瑞穂市
滋賀工場 (ケージーパック関西事業所) 滋賀県 草津市
京都工場 (日板パッケージ京都) 京都府 久世郡 久御山町

(事業所)

事 業 所 名(旧 社 名)            所 在 地
高畠事業所 (十條東段ボール高畠工場) 山形県 東置賜郡 高畠町

 


2003年10月24日 日本製紙

大竹紙業株式会社株式譲渡について
   
http://www.nipponunipac.com/news/news03102401.html

 日本ユニパックホールディンググループの日本製紙株式会社は、2001年4月の経営統合に際して公正取引委員会から指摘された事項に対する自主的措置として、統合後3年以内に大竹紙業株式会社および富士コーテッドペーパー株式会社の株式を第三者に譲渡することを決定し、譲渡先の選定を進めてまいりました。これにより、まず本年4月1日に、富士コーテッドペーパーの株式を丸紅株式会社に譲渡いたしました。
 今般、大竹紙業の株式譲渡につき、三島製紙株式会社と合意に達し、2004年4月1日に、大竹紙業普通株式2,200万株(発行済株式の100%)を39億円にて譲渡する運びとなりました。これをもって2社の譲渡措置はすべて完了いたします。

 株式譲渡後も、大竹紙業株式会社の事業内容に変更はなく、従前の通り生産・出荷を行ってまいります。 今後、株式譲渡日までの期間に必要な移行準備作業をすすめ、皆様にご迷惑をお掛けすることなくスムーズな譲渡を実現し、所期の目的を果たしたいと考えております。長年ご愛顧をいただいておりますお客様、お取引先の皆様におかれましては、今回の株式譲渡につき何卒ご理解を賜り、引き続きお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

[大竹紙業株式会社概要]

1.所在地   広島県大竹市東栄1丁目16−1(本社・工場)
2.設立   昭和23年12月(1948年12月)
3.資本金   21億円(発行済株式22,000千株)
4.代表者   代表取締役社長 渡邊 總明
5.従業員数   313名
6.売上高   189億円(2002年度)
7.主な生産品目   塗工印刷用紙、上級印刷紙、包装用紙
8.生産量   177,682トン(2002年暦年)
9.主要生産設備  

 


2003/11/10 日本工業新聞             発表

製紙排水からバイオマス燃料、日本製紙が技術開発に着手

 日本製紙は、製紙工場の排水からバイオマス燃料を製造する技術開発に乗り出す。エネルギー利用の合理化や化石燃料使用の削減などが狙い。経済産業省のエネルギー使用合理化黒液濃縮メタン発酵技術開発補助事業で、期間は2003年度から05年度までの3年間。今年度は約2億円の補助金交付を受けている。

 勇払工場(苫小牧市)に次世代型メタン発酵設備を設置、クラフトパルプ製造工程排水で国内初となるメタン発酵の技術開発に取り組む。排水からメタンガスを得る技術を確立するとともに、従来型排水処理設備に要していたエネルギーを削減する。約1000キロリットルの重油(換算値)の削減が可能になるとともに、二酸化炭素を年間約3000トン減らす。

 メタン発酵は、無酸素や酸素の限られた状態のもとで、細菌の働きによって有機物を分解し、メタンを生成する方法。通常は高濃度の有機分を含む排水を処理しており、また処理と並行して燃料となるメタンを生成することができるため、これまでは食品業界や下水処理業界などの排水処理で実績がある。

 製紙工場には、低濃度の有機分を含むクラフトパルプ製造工程の排水があるが、これまでは低濃度の有機分しかない排水を効率的に処理できるメタン発酵技術や設備はなかった。


2003/11/7  日本製紙

製紙工場排水からバイオマス燃料を製造
〜国内初のクラフトパルプ製造工程排水の実証プラントを設置してメタン発酵を研究開発〜
   
http://www.nipponunipac.com/news/news03110701.html

 日本ユニパックホールディンググループの日本製紙(社長:三好孝彦)は、国内で初めてとなるクラフトパルプ製造工程排水のメタン発酵(注1)の技術開発に着手します。本技術開発では、排水からメタンガスを得る技術を確立させるとともに、従来型排水処理設備に要していたエネルギーを削減することで、エネルギーの使用合理化をめざします。
 期間は平成15年度から平成17年度の3年間で、今年度はパイロットプラントを用いて臭気成分除去や発酵阻害物質についての研究を行います。さらに来年度からは、これらの研究に加え実用化に向けた実証試験を行う予定です。

 製紙工場には、低濃度の有機分を含むクラフトパルプ製造工程の排水があります。この排水は微生物を用いた生物的処理や、薬品を使用した化学的・物理的処理により、きれいにしています。しかし、これらの方法は単に排水を処理するだけのものであり、メタン発酵などのように排水を有効利用しているわけではありません。メタン発酵は、通常は高濃度の有機分を含む排水を処理しており、また処理と並行して燃料となるメタンを生成することができるため、これまで食品業界や下水処理業界などの排水処理で数々の実績があります。しかし、今回のような低濃度の有機分(化学的酸素要求量で約1,000mg/L)しかない排水を効率的に処理できるメタン発酵技術および設備はありませんでした。

 今回の技術開発の実証プラントとして、勇払工場(北海道苫小牧市)に次世代型のメタン発酵設備の導入を予定しています。これにより従来排水処理に要していたエネルギーを削減でき、また生成されるメタンはバイオマス燃料として、場内で使用される化石燃料の一部を代替することが可能となります。これらを総合して約1千キロリットルの重油(換算値)が削減可能であり、地球温暖化ガスである化石燃料由来の二酸化炭素を年間約3千トン削減することができます。なお、この開発事業は、経済産業省の「エネルギー使用合理化黒液濃縮水メタン発酵技術開発」補助事業として、本年度約2億円の補助金交付を受けています。

(注1)メタン発酵:  
酸素の限られた、または酸素の無い条件下で、細菌の働きによって有機物を分解し、メタンを生成する発酵方法。なお、一般家庭で使われている都市ガスの主成分はこのメタンである。


日本経済新聞 2003/12/22          発表

日本ユニパック中国進出 新聞・書籍用紙で合弁 国内過剰設備を移設

 日本ユニパックホールディングは2005年6月をメドに中国・北京市近郊で新聞用紙と書籍用紙の合弁生産を始める。現地の中堅製紙メーカーと共同で新工場を建設し、年15万トン製造する。日本での紙需要の伸び悩みで操業停止する国内の過剰設備を、年7%の紙市場の拡大が見込まれる中国の工場に移設。総投資額は約100億円に抑えた。
 製紙や化学など素材メーカーが新たな生産活動を始める場合には、新規設備などに多大な費用が必要になる。投資効率を高めることなどを目的に、海外進出の際に余剰設備を持ち込むケースは珍しい。日本ユニパックは今回、操業停止または停止を予定する紙の製造機械を傘下の日本製紙の白老工場(北海道自老町)から3台持ち込む。
 合弁会社は日本製紙グループが55%、承徳帝賢針紡股分有限公司(河北省)が45%出資する。従業員は約300人。日本製紙が社長を派遣し、工場の操業を指導する。合弁相手の販売ルートを活用し、華北地域の新聞社や出版・印刷会社に製品を納入する。
 日本ユニパックは工場増設により、2007年度をメドに年産能力を約60万トンに引き上げることも検討。製造機械は持ち込み方式を継続する。
 日本ユニパックは当初2006年度以降に海外市場に本格進出する計画だったが、中国では2008年の北京オリンピックなどを控え、今後も紙の需要が高水準で推移すると判断し、計画を前倒しすることにした。
 国内製紙大手では
王子製紙が約700億円を投じ、2006年末からパンフレツトなどに使う塗工紙を年60万トン製造する計画で、製紙二強の中国への本格進出が出そろうことになる。


2003/12/24 日本製紙

中国華北における洋紙合弁会社の設立について
  
http://www.nipponunipac.com/news/news03122401.pdf

 日本ユニパックホールディンググループの日本製紙(本社:東京都千代田区社長:三好孝彦)は、承徳帝賢針紡股分有限公司との合弁で、中国河北省承徳市に洋紙製造会社を設立することを決定しました。
 第一段階として、国内の生産体制再構築により停機する白老工場(北海道白老郡白老町)の抄紙機3台(年産能力15万トン)及び付帯設備を新会社に移設し、当社の人材を有効活用して操業指導をおこない、2005年年央に立ち上げを予定しています。
 また、当社は合弁会社へ過半数を出資し、経営権を保有します。
 これにより、生産体制再構築による国内工場の競争力強化と並行し、早期かつ低リスクで、高い成長を続けている中国の洋紙市場に参入します。
 合弁新会社立ち上げ後の製造販売状況により、将来的には、2007年度を目処に60万トン規模への拡大を検討します。

<合弁会社の概要>
 (1)総投資額:約100億円
 (2)資本金:約60億円(日本製紙グループ55%、承徳帝賢針紡股分有限公司45%)
 (3)事業規模:年間売上高約100億円、年産能力約15万トン(抄紙機3台)
 (4)製造製品:洋紙全般
 (5)工場立地:河北省承徳市
 (6)従業員:約300人
 (7)会社設立:2005年6月予定

<承徳帝賢針紡股分有限公司の概要>
 (1)本社所在地:河北省承徳県下板城鎮
 (2)代表者:王淑賢
 (3)資本金:439百万元(約60億円)
 (4)従業員:約1万5千人
 (5)事業内容:紡績及び紙・板紙事業


2004/01/28 中越パルプ工業

株式交換による完全子会社化についてのお知らせ
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=63848

 中越パルプ工業株式会社(以下「中越パルプ」)と中越パルプの子会社である三善製紙株式会社(以下「三善」)の両者は、本日、それぞれの取締役会で中越パルプを完全親会社とし、三善が株式交換によって完全子会社になる株式交換契約書の承認決議をいたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1.完全子会社化の目的
 中越パルプと三善とが、相互の協力関係を深め、今後の共同事業戦略をより迅速に実施できる体制を整備し、中越パルプグループにおける事業戦略をより明確にすることにより、中越パルプと三善の事業の伸張を期するために実施いたします。

2.株式交換の条件等
(1)株式交換の日程
 平成16年1月28日  株式交換契約書の承認取締役会及び同契約の締結
 平成16年5月1日   株式交換の日
 (注)中越パルプは簡易株式交換制度を利用するため、本件株式交換について承認株主総会決議は行わない予定です。

(2)株式交換比率
 会社名             中越パルプ        三善
 株式交換比率           1            0.20

(注)
1.株式の割当比率
 三善の普通株式1株に対して中越パルプの普通株式0.20株を割当て交付いたします。但し、中越パルプが既に保有する三善の株式については、中越パルプの株式を割当てません。

2.中越パルプ、三善は監査法人芹沢会計事務所を第三者機関として選定し、株式交換比率の算定を依頼しました。
 その結果をもとに中越パルプと三善は協議の上、上記のとおり合意いたしました。

3.第三者機関による算定結果、算定方法および算定根拠
 監査法人芹沢会計事務所は、中越パルプについては市場株価による分析を行い、三善については中越パルプを比準会社とする類似会社比準方式による分析を行い、株式交換比率を算定しております。

4.株式交換により割当てる自己株式
  普通株式 合計 206,010株

(3)株式交換交付金
 株式交換交付金は支払いません。


1. 株式交換の当事会社の概要(平成15年9月30日現在)

(1)商号 中越パルプ工業株式会社
(完全親会社)
三善製紙株式会社
(完全子会社)
(2)事業内容 紙パルプの製造・加工並びに販売 各種紙の製造・加工並びに販売
(3)設立 昭和22年2月 昭和23年4月
(4)本店所在地 東京都中央区銀座二丁目10番6号 石川県金沢市金石北三丁目1番1号
(5)代表者 代表取締役社長菅野二郎 代表取締役社長伊藤眞純
(6)資本金 17,259 百万円 102 百万円
(7)発行済株式総数 116,654,883株 2,050,000 株
(8)株主資本 50,130 百万円 4 百万円
(9)総資産 145,145 百万円 2,068 百万円
(10)決算期 3月31日 3月31日
(11)従業員数 1,101名 78名
(12)主要取引先 大倉三幸
日本紙パルプ商事
国際紙パルプ商事
日本紙パルプ商事
大倉三幸
国際紙パルプ商事
吉川紙商事株式会社
(13)大株主および
持株比率
王子製紙9.03%
日本紙パルプ商事5.20%
竃k陸銀行4.92%
鰍ンずほコーポレート銀行4.84%
大倉三幸4.32%
国際紙パルプ商事4.03%
鰍おぞら銀行3.66%
農林中央金庫3.44%
他株主11,317 名60.56%
中越パルプ工業49.75%
共同エステート9.76%
北陸流通7.80%
中越パッケージ6.83%
共友商事4.88%
高岡化成3.90%
北陸紙工3.90%
北陸エンジニアリング1.95%
他株主900 名11.23%
(14)主要取引銀行 鰍ンずほコーポレート銀行
農林中央金庫
竃k陸銀行
鰍おぞら銀行
日本政策投資銀行
農林中央金庫
商工組合中央金庫
(15)当事会社の関係 資本関係 中越パルプは三善の発行済株式総数
の49.75%を保有する筆頭株主です。
人的関係 中越パルプの取締役3名が三善の取
締役を兼任しており、うち1名が代
表取締役を兼任しております。
中越パルプの従業員1名が三善の監
査役を兼任しております。
取引関係 中越パルプは三善へ主要原料のパル
プを販売しております。
中越パルプから資金の借入がありま
す(平成15年9月末現在800 百万円)。

 


日本経済新聞 2004/2/28

日本ハイパックと大日本紙業が合併 来年1月シェア7位

 中部地方を地盤とする中堅段ボールメーカーの大日本紙業と日本ハイパックは27日、2005年1月に合伴することで基本合意したと発表した。合併後の連結売上高は500億円弱で、業界でのシェアは7位となる。両社は中国での共同生産や資本提携などを進めてきたが、生産量の頭打ちと原紙価格の高騰などで収益環境が悪化、合併で生き残りを図る。
 存続会社は大日本紙業。ハイパックの普通株式1株に対し、大日本紙業の0.65株を割り当てる。近く合併準備委員会を設け、経営体制や社名など詳細を詰める。工場部門は切り離し、生産子会社の「大日本紙業」「日本ハイパック」を新たに設立する。
 大日本紙業はカゴメ系の段ボールメーカー。200年12月期の連結売上高は218億円で業界10位。日本ハイパックは電気製品などの包装材に強みを持ち、2003年3月期の連結売上高は254億円で同9位。


2004/05/25 日本製紙

中国における販売会社の設立について
http://www.nipponunipac.com/news/news04052501.html

 日本ユニパックホールディンググループの日本製紙(社長:三好孝彦)は、中国上海市に販売会社を設立することを決定しました。

 この新会社設立の目的は下記の通りです。

(1) 昨年12月に発表した中国河北省での洋紙合弁会社(来年春稼動予定)の市場開拓。
(2) 当社グループ製品の販売を通して、現地における独自の顧客開拓と販売ネットワークの構築を行い、今後の中国事業の拡大を目指す。

<会社概要>
(1)会 社 名 :日紙国際貿易(上海)有限公司(仮称)
           英文名:Nippon Paper Industries Trading (shanghai) Co., Ltd.
(2)所 在 地 :中国上海市外高橋保税区  営業拠点:上海市、北京市 他
(3)資 本 金 :20万米ドル(日本製紙100%出資)
(4)人  員   :10名程度(当初)
(5)事業内容  :紙、原材料等の輸入販売、当社中国合弁会社製品の販売支援など
(6)営業開始  :2004年7月予定

<ご参考:当社グループの中国拠点>

社 名 事業内容 所在地 設立期日 出資比率
寿光麗奔製紙有限公司 ノーカーボン原紙の製造 山東省寿光市 1995.12 61.5%
上海日奔紙張紙獎有限公司 寿光麗奔製品の販売 上海市 1996.11 30%
浙江景興紙業 ライナー・中芯他の製造・販売 浙江省平湖市 2001.8出資 5.5%
浙江景興日紙有限公司 中芯の製造・販売 浙江省平湖市 建設中 41%
上海恒富紙業有限公司 各種紙箱、紙器の製造・販売 上海市松江区 2003.8出資 23%
承徳日紙有限公司 洋紙の製造・販売 河北省承徳市 設立中 55%
エロパックチャイナ(仮) 飲料用紙容器の製造・販売 江蘇省 設立中 25%

日本経済新聞 2005/1/19

日本製紙の中国合弁相手 資金難で生産停止

 日本製紙の中国での合弁相手企業である承徳帝賢針紡が18日、資金繰り悪化で紙など生産の90%を停止したことが明らかになった。日本製紙は今年7月にも合弁会社で生産を開始する予定だが、今後の相手企業の資金繰りの状況次第では合弁プロジェクトの見直しを迫られそうだ。
 承徳帝賢針紡が上場している深セン証券取引所が18日に発表した公告によると、同社は資金繰りの悪化で紙などの原材料の購入ができず、ほとんどの生産設備を停止した。日本製紙は承徳社が45%出資する紙合弁会社に55%の割合で資本参加することで2003年12月に基本合意している。合弁会社の総投資額は約100億円で、2007年度メドに年間60万トンの印刷用紙などの生産を計画している。
 承徳社は従業員約1万5千人で紙生産や紡績を手掛けている。日本製紙は承徳社の販売ルートを活用し、華北地域の新聞社や出版・印刷会社に製品を納入する戦略だ。
 合弁相手の資金難について日本製紙は「事実関係を調査中」(広報室)として、情報収集を急いでいる。


2005/1/31 中越パルプ工業/三菱製紙

合併に関するお知らせ
http://web.infoweb.ne.jp/mpm/ir/etc/gapei_050131.pdf

 中越パルプ工業株式会社と三菱製紙株式会社は、平成17年10月1日(予定)を期して対等の精神で合併することについて基本合意に達し、本日の両社取締役会において、それぞれ決議のうえ、合併に関する基本合意の覚書を締結いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1.合併の趣旨
 両社の存立基盤である我が国の紙需要は既に飽和状態にあり、今後は人口の減少とともに緩やかに減少していくものと推定されます。一方で、東アジアをはじめとする新興市場の紙需要は、将来に亘り増加して行くことが予測されております。
 このなかにあって、アジア諸国、特に中国における製紙産業の発展に伴い、東アジアの紙市場は急速に一体化するとともに、生き残りをかけた国際競争が激化する方向にあります。
 このような経営環境の構造的、かつ、急激な変化に前向きに対応し、持続的な成長を遂げるためには、合併により企業体力の強化と効率化を図ることが両社にとって不可欠であると判断するに至りました。
 この合併により事業規模の拡大を実現するとともに、お客様のご信頼に一層応えて参りたいと存じます。新会社にあっては、合併効果の実現、生産の統合・再配置、ならびに営業・技術開発力の強化充実を志向し、経営の効率化・安定化と収益性の向上を図ることによって株主価値の最大化を積極的に推進してまいります。

2.合併の要旨
(1) 合併の日程
 合併に関する覚書承認取締役会 平成17年1月31日
 合併に関する覚書の締結 平成17年1月31日
 合併契約書承認取締役会 平成17年5月下旬(予定)
 合併契約書の締結 平成17年5月下旬(予定)
 合併契約書承認株主総会 平成17年6月下旬(予定)
 合併期日 平成17年10月1日(予定)
 なお、今後、手続きを進める中で、やむを得ない状況が生じた場合は、両社協議の上、日程を変更する場合があります。

(2) 合併の方式
 両社対等の精神で合併いたしますが、手続き上は中越パルプ工業株式会社を存続会社とする吸収合併方式で、三菱製紙株式会社は解散いたします。

(3) 合併に期待する効果
 以下施策により、年50億円程度のコスト削減効果が期待できます。
 1. 生産・調達のコスト削減および効率化
 2. 販売・物流の合理化
 3. 人件費・管理費の削減

(4) 合併の推進体制
 合併業務を円滑・迅速に推進するために、合併準備委員会を設置いたします。
(5) その他の条件
 合併比率その他の事項については、今後の協議により決定する予定です。

3.合併当事会社の概要(平成16年3月31日現在) 略
4.最近3決算期の業績(連結) 略

5.合併後の状況
(1) 商号 三菱中越製紙株式会社(仮称)
(2) 事業内容 紙・パルプ・写真感光材料の製造、加工及び販売など
(3) 本店所在地 東京都千代田区丸の内三丁目4番2号(三菱製紙の現本店所在地)
(4) 決算期 3月31日
(5) 役員(予定)
 新会社の役員については、今後、両社で協議の上、決定していく予定でおります。三菱製紙株式会社が代表取締役会長を、中越パルプ工業株式会社が代表取締役社長を、それぞれ推薦することを予定しております。併せて執行役員制度を導入することを予定しております。
(6) その他 合併後の資本金、業績見通し等については、今後決定次第お知らせいたします。


日本経済新聞 2005/2/1

中越パルプ 三菱製紙を吸収合併  業界7位と5位、10月に

 製紙業界第7位の中越パルプ工業と同5位の三菱製紙は31日、10月1日付で合併すると発表した。存続会社は中越パルプで、売り上げ規模で2倍の三菱製紙を吸収合併する。三菱製紙は2005年3月期に最終赤字に陥る見通しになるなど経営不振が長引いており事実上、中越パルプが救済する。
 両社の2004年3月期の連結売上高を単純合計すると3457億円となり国内第5位。従業員は約7100人になる。今後、資産査定を進め5月下旬までに合併比率を決め、合併契約書を締結する。6月末の株主総会で正式承認される見通し。新会社名は「三菱中越製紙」(仮称)で中越パルプから社長を、三菱製紙から会長を出す予定。三菱製紙は解散する。
 同日会見した中越パルプの菅野二郎社長は「厳しい経営環境を乗り越えるには規模拡大による収益力向上が必要だった」と合併の狙いを語った。
 三菱製紙の佐藤健社長も「工場立地が補完関係にあり、人件費削減や生産効率化などの経営統合効果を最も出せる組み合わせ」と強調、資材の共同購買や生産効率化で年間50億円のコスト削減を見込めるとした。
 主力の印刷情報用紙分野では統合後のシェアを約13%と一気に業界3位まで高められる。中越パルプにとっては、合理化のほか三菱製紙が得意とする高級印刷用紙を取り込める利点がある。
 三菱製紙は約300億円を投じた写真印画紙などを生産する北上工場(岩手県北上市)の稼働率が上がらず、05年3月期の連結最終損益が240億円の最終赤字になる見通し。経営再建が急務となっていた。

中越の筆頭株主「王子」思惑見え隠れ

 両社合併の背景には中越パルプの筆頭株主である王子製紙の思惑が見え隠れする。製紙業界では、包括提携関係にある三菱製紙と北越製紙との合併交渉が昨年に事実上、破談したため王子製紙が中越パルプを通じて三菱製紙を傘下に取り込んだとの見方が多い。
 31日の会見で中越パルプの菅野社長は日本製紙グループ本社と王子製紙の二強に次ぐ「独立した第三位グループを目指す」と、王子色が強まるとの見方を否定した。
 だが、王子製紙は中越パルプの株式の9%を握る筆頭株主。菅野社長が初の生え抜き社長に就任するまで、中越パルプの歴代トップは王子製紙出身者が務めてきた。
 王子製紙が直接三菱製紙を吸収した場合、シェアが40%以上になる品種もあり、公正取引委員会の承認を得にくい。中越パルプを介する形で三菱製紙を事実上グループに取り込むことを狙ったと見る向きが多い。中途半端な規模に悩む中越パルプの生き残り策にも有効だ。
 今回の合併交渉は北越製紙との経営統合が進まなかった三菱製紙が持ちかけた。三菱製紙の経営再建を急ぐメーンバンクの東京三菱銀行の意向が強く働いた。王子製紙も中越パルプの事業規模拡大の好機と見てわずか2カ月半で合意に達した。


日本経済新聞 2005/8/31

王子製紙 中国生産合弁で 現地政府が外資指針変更

王子製紙は中国で計画している紙生産プロジェクトを合弁方式に切り替えた。現地政府の外国企業に対する対中投資の指針が変更され、単独事業ができなくなったため。中国の投資会社から現地法人への10%の出資を受け入れた。事業の認可取得が当初予定より遅れており、現地資本の受け入れで早期着工に結びつけたい考えだ。
 現地法人の王子制紙に出資したのは、南通経済技術開発区が所有する投資会社、南通経済技術開発区総公司。出資比率は王子製紙が90%に対して南通側が10%。
 今年初めに中国の国家発展改革委員会と商務省が連名で発表した対中投資のガイドライン「外商投資産業指導目録」によると、年間30万トン以上の製紙原料である化学パルプ生産や上級紙の生産は合弁か合作に限る、との条項が追加された。
 王子の中国プロジェクトは追加条項に当てはまるため、合弁方式への変更を余儀なくされた。現地企業と手を組むことで許認可作業の進展に弾みをつける。当初は04年度中にも建設着工する計画だったが、現時点での誉工時期は未定。
 王子は既に合弁方式での認可取得を始めており、国家発展改革委員会に対して申請作業を進めている。08年度中の生産開始を目指す。
 王子によると、総額2200億円投じて年間120万トンの印刷用紙を中国で生産する計画。日本企業の対中単独投資では最大規模。


平成17年10月17日 大王製紙

古紙から製紙用無機薬品を再生することに成功
http://www.daio-paper.co.jp/newsrelease/archieve/n171017.html

 当社は地球環境の保全活動を重点課題ととらえ、古紙の利用促進、海外植林事業の拡大、化石燃料からバイオマスエネルギー*1への転換など、限りある資源のリサイクル化に向け、積極的に活動しています。

*1:植物などの生物体(バイオマス)によって作り出された、再生可能なエネルギー。

 この中で、古紙の利用については、国内で初めて古紙100%の新聞用紙の上市や、雑誌古紙単体での紙用古紙パルプ化*2に成功するなど、古紙の再利用化技術の開発に取組んできました。

*2:雑誌古紙は背糊やビニール等の異物が多く、利用する際は一般的に、他の古紙(新聞紙、上級紙等)と混合して紙用古紙パルプ化します。当社では設備改造と操業技術の改善により、雑誌古紙単体での紙用古紙パルプ化に成功しています。

 古紙の再利用化は、以前から新聞古紙や段ボール古紙で行われてきましたが、15年ほど前より、チラシやポスターなどの塗工紙*3の回収量が増加し、紙用古紙パルプの原料として使用されるようになりました。この事により、塗工紙からパルプ繊維を回収する技術は進歩してきましたが、一方で、製紙用無機薬品である填料・顔料*4を、紙へ再利用する技術は実用化されていません。

*3:パルプ繊維からなる紙の表面に、炭酸カルシウム・クレー等の製紙用無機薬品を塗布し、平滑性と印刷適性を持たせた紙。チラシやパンフレット等に利用されています。

*4:炭酸カルシウム・クレー・タルク等があり、用途により填料と顔料に区別されます。填料は紙製造時にパルプと同時に添加され、顔料は紙の表面に塗布されます。

 古紙中の製紙用無機薬品は、古紙からパルプ繊維を回収した後の残分となり、製紙スラッジと呼ばれます。製紙スラッジにはパルプ短繊維やインク成分等も含まれているため、ボイラーや焼却炉で焼却し、焼却灰は主にセメント原料として使用されますが、一部は産業廃棄物として埋立処分されています。

 しかしながら、当社は古紙の有効活用を促進して行くためには、製紙スラッジも紙用の貴重な資源として再生利用することが不可欠と考え、研究を続けてきました。

 製紙スラッジから製紙用無機薬品を回収するには、不純物(パルプ短繊維や インク成分等)を効率良く分離すること及び現状使用している天然産の製紙用無機薬品と遜色無い白色度を持ち、製紙用具などに損傷を与え ない微粒子状に加工することが必要です。

 当社では、化学パルプ用石灰の焼成及び自社製造填料の粉砕などで蓄積してきた技術をベースに、これらの問題点を解決し、製紙スラッジの焼成・粉砕などの加工技術を国内で初めて実用レベルで確立し、古紙から製紙用無機薬品を再生することに成功しました。

 このようにして再生した製紙用無機薬品を「再生填料」と呼んでいます。

<古紙のリサイクル工程(塗工紙を使用した広告用チラシの事例)>


 「再生填料」の試作品は、上質紙や塗工紙などで繰返し試用して、抄紙機や塗工機での操業性及び製品品質の評価テストを重ねた結果、実用可能な品質レベルにあることを確認しています。

 「再生填料」の製造技術をさらに発展させるため、本年9月、三島工場(四国中央市)に量産に向けた実証プラントを建設しました。

 今後、実証プラントで製造した「再生填料」を紙用の無機薬品として実用化し、「完全再生紙*5」を開発します。同時に、白色度の更なる向上を行い、逐次、塗工紙への用途展開を進め、近い将来、「再生填料」の生産能力を拡大し、天然産の製紙用無機薬品との置換えを進めることで、資源循環型社会の形成に寄与する所存です。

*5:完全再生紙:再生パルプを100%使用した紙は、当社品をはじめ既に市販されていますが、この紙に添加される填料・顔料は天然産の無機鉱物です。当社では再生パルプ100%の紙に、「再生填料」を使用したリサイクル素材100%の「完全再生紙」を開発する計画です。

<再生填料実証プラント概要>

1. 設備仕様: 製紙スラッジの脱水・乾燥・焼成・粉砕・貯蔵設備生産能力30トン/月
2. 品質: 白色度78〜83%(天然産クレーと同等)
       用途に応じ粒径調整可能
3. 設備投資金額: 約130百万円


2006/7/28 日本経済新聞夕刊

中国、王子の工場認可 総投資2300億円 製紙合弁、計画から3年

 王子製紙が中国江蘇省の南通市で計画している大型製紙工場の建設プロジェクトが、中国政府から正式な認可を受けたことが28日明らかになった。経済・産業政策の大枠を担当する国家発展改革委員会が正式に承認した。外資による中国での紙生産事業としては過去最大級となる王子のプロジェクトは2003年6月の計画発表から3年以上を経て、ようやく動き出す見通しとなった。
 発展改革委は王子に対し年産40万トンのライン2本からなる計80万トンの製紙工場の建設を認めた。このほか、年産71万4千トンの漂白パルプの生産ラインや自家発電装置、廃水処理場といった補助設備も認可した。
 総投資額は約158億3千万元(約2300百億円)のプロジェクトの事業主体は王子が90%、地元の南通市政府系の南通市経済技術開発区総公司が10%を出資した日中合弁会社となる。合弁期間は30年。
 王子は中国で印刷用紙を年産120万トン規模で現地生産することを03年に決めた。しかしその後中国政府が、年産30万トン以上の製紙工場に全額外資を認めない方針に転換。このため王子は05年に南通市政府傘下の投資会社との合弁方式に変更していた。
 王子の南通プロジェクトは日本企業の対中投資の代表的な大型案件。同プロジェクトの停滞については、素材の過剰生産を抑制する狙いがあるとの見方があった。また日中間の政治関係の悪化との関連も指摘されていたが、中国政府はこのところ対日関係改善に向けた動きを強めていた。
 今回の認可について王子は「認可の書類を現地地方政府を通して受ける予定だがまだ受け取っていない」(広報室)としている。

日本経済新聞 2006/7/29

王子、着工に時間も 第1期分、宙に浮く

 王子製紙が中国江蘇省で計画している大型製紙工場建設プロジェクトが中国政府から正式認可を受けていたことが明らかになった。3年もかかった認可作業が実を結んだ形だが、工場建設着工までに計画の見直しなどいくつかの課題が残る。王子の成長エンジンの核として中国工場がフル稼働するまでにはなお時間がかかりそうだ。
 王子は当初2004年度中に着工して06年末にも稼働させる計画だった。08年の北京オリンピックに向けて経済が急拡大する現地での紙需要を取り込むのが狙いだった。紙製造設備は着工から稼働まで2年近くかかり08年中の稼働は今のところ困難な状況だ。
 認可書を受け取り次第、王子は着工に向けて計画を洗い直す作業に取りかかる予定だが、内容次第では稼働開始時期が10年以降になる可能性もある。
 建設計画自体の見直しを迫られる可能性もある。王子は年間40万トンずつ3期に分けて合計同120万トンの現地紙生産を計画。今回、認可を得たのは当初08年以降に稼働を予定していた2期以降の原料パルプ製造設備や抄紙機だ。
 第1期の製造設備などの認可は地方政府の江蘇省から取得しているものの、中央政府から認められず宙に浮いた状態。王子は計画の2期以降を先行させるのか1期分の設備認可を待って着工に取りかかるのか、場合によっては計画の大幅変更もありそうだ。
 懸案だった中央政府の認可が部分的にせよ出たことで、同社の中国プロジェクトはようやく前進することになる。


日本経済新聞 2006/11/19

日本製紙、レンゴーと資本・業務提携
 売上高 王子抜き最大勢力に

 製紙業界2位の日本製紙グループ本社と4位のレンゴーは資本・業務提携する方針を固めた。株式を持ち合うほか、段ボールの生産・技術面などで連携する方向で最終調整している。積極的なM&A(企業の合併・買収)に動いている首位の王子製紙に対抗する狙い。両社の売上高を単純合計すると王子を上回り、製紙業界最大の勢力が誕生する。

 両社は週明けにも提携を発表する。資本面では数%程度の株式を持ち合う案が有力だ。
 業務面では段ボール事業で連携する。レンゴーは段ボール市場で首位で、グループ会社の日本トーカンパッケージを通じて事業展開する日本製紙は4位。工場間での原紙の相互供給や、段ボールのOEM(相手先ブランドによる生産)供給を検討する見込み。レンゴーにグループで4.6%出資する住友商事も連携に協力する。
 日本製紙は王子製紙と売り上げでほぼ並んでいるが、段ボールでは王子に離されていた。景気拡大に伴い段ボール需要は増加、収益性も高まっている。段ボール専業のレンゴーと組んで弱点を強化し、王子に総合路線で対抗していく。
 独立系のレンゴーは段ボールで24%のシェアを握るが、2005年に段ボール大手の森紙業を買収した王子にほぼ並ばれた。王子との競争が今後激化するのは確実なため、日本製紙と組み合計シェアを30%に高め、規模拡大を通じて採算性向上も狙う。
 日本製紙の2005年度の連結売上高は1兆1521億円、レンゴーは4021億円。合計すると1兆5542億円で、王子の1兆2138億円を抜く。王子が9%出資する中越パルプ工業を計算に入れても日本製紙ーレンゴーの規模が上回る。
 製紙業界では王子が7月に業界6位の北越製紙にTOB(株式の公開買い付け)を仕掛けた。失敗に終わったが、これを機に日本製紙が北越株の8.85%を取得。業界3位の大王製紙も北越に約2%出資するなど王子への対抗勢力作りが広がっている。2位の日本製紙と4位のレンゴーが連合形成に踏み出すことで、今後再編が加速するのは必至だ。

「対王子」ダンボールに波及 利益率高い「稼ぎ頭」 「北越」機に再編連鎖

 日本製紙グループ本社とレンゴーが資本・業務提携に踏み切る背景には、段ボール事業で勢力を増す王子製紙に対抗する狙いがある。利益率の高い段ボールは製紙事業の稼ぎ頭。王子が北越製紙に仕掛けた敵対的TOB(株式の公開買い付け)を契機に製紙業界では再編の動きが連鎖的に加速し、「王子対抗軸」となる合従連衡は周辺の段ボール業界にも広がった。
 王子製紙は2005年に段ボール大手の森紙業を買収し、段ボールシェアで首位のレンゴーに並んだ。段ボール原紙でもシェアトップの王子製紙は、加工部門も合わせた「段ボール一貫メーカー」として競争力を強化。規模のメリットを生かしたコスト競争力などを武器に、段ボール事業が王子最大の収益源に成長している。
 製紙各社の06年9月中間期は原燃料コストの上昇と競争激化で軒並み減益。日本製紙グループ本社の連結経常利益も202億円に減少し、王子に比べ69億円下回った。日本製紙は格差がついた要因の一つが段ボール関連の収益力であるとみており、段ボールをテコ入れして王子に対抗できる収益基盤を強化する。
 一方、レンゴーは長年守り続けてきた段ボールシェアトップの地位が王子の森紙業買収で揺らいでおり、中小メーカーを矢継ぎ早に傘下に収めて規模を徐々に拡大してきた。日本製紙グループの段ボール会社と組むことで、王子を一気に引き離しにかかる。
 今年7月に王子が北越にTOBを仕掛けたことをきっかけに、王子との対抗軸を形成する構図で製紙業界再編の動きが加速した。
 三菱商事の出資を受けた北越は9月、日本製紙と資本・業務提携で基本合意。北越は10月、独立系だった大王製紙とも株式持ち合いを柱とする資本・業務提携を発表した。北越と大王は王子に対し、業界団体である日本製紙連合会の会長職を辞任するよう要求している。
 日本製紙とレンゴーの提携も一連の製紙再編の一環といえそうで、印刷用紙だけでなく周辺の段ボール事業にまで波及してきた。今後は次々と手を組んだ各社が「王子包囲網」を強める形で緩やかな大連合へ向かうのか、事業ごとの限定的な提携にとどまるのかが焦点になる。


日本経済新聞 2006/11/21

段ボール生産再構築 日本製紙・レンゴー・住商 提携発表
 アジアで競争力強化 日本製紙 レンゴーの実質筆頭株主


製紙業界2位の日本製紙グループ本社と4位のレンゴー、住友商事は20日、資本・業務提携すると正式発表した。3社は株式を持ち合い、日本製紙はレンゴーに5%を出資して実質筆頭株主になる。段ボール原紙など板紙分野で設備のスクラップ・アンド・ビルドも含めて生産や技術、調達で協力。業界最大手の王子製紙に対抗する。日本製紙は王子が敵対的TOB(株式公開買い付け)を実施した北越製紙にも出資しており、今後の業界再編で主導権を握る可能性が出てきた。
 日本製紙グループ本社の中村雅知社長とレンゴーの大坪清社長、住友商事の岡素之社長が都内で記者会見して提携を発表した。製紙2社は、包装事業で日本製紙の事業再編を含めた包括的な強化策や、板紙全般で相互0EM(相手先ブランドによる供給)による販売の拡大、物流費の削減などを検討。老朽化した段ボール原紙の設備廃棄にも踏み込んで連携する。
 住友商事は古紙など原材料の調達コスト削減や海外での板紙事業拡大に協力する。3社は飲料容器など段ボール以外の包装事業でも開発や事業化で協力する。
 資本提携では、年金などの信託機関を除き、事業会社として日本製紙がレンゴーの実質筆頭株主になる。レンゴーは日本製紙の発行済み株式の3%を取得し、第2位株主となる。
 住商は子会社が持つレンゴー株の1.5%を日本製紙に譲渡する代わりに日本製紙株0.6%を譲り受ける。
 中村社長は「板紙分野でアジア市場を含め国際競争に打って出るための連携。特定企業への対抗やシェア拡大が狙いではない」と強調。大坪社長も「王子との関係は従来通り」と語った。
 20日の東京株式市場ではレンゴーの株価が前週末比41円高の682円で取引を終えた。上げ幅は6%を超えた。一方、日本製紙株の終値は41万4千円と4千円安、住商株も1466円と26円下げた。
 市場では、レンゴーと日本製紙が提携することで段ボール原紙の市況安定につながるほか、原材料の共同調達など両社の相乗効果への期待感が浮上。3社のうち、収益への寄与が最も大きいとみられるレンゴーへの買いが活発になった。

3社提携の骨子(共同検討項目)
・段ボール原紙設備のスクラップ・アンド・ビルド
・板紙事業全般にわたる生産体制再構築も含めた相互供給拡大と物流コスト削減
・技術協力、人材交流
・包装事業における新たな成長事業の探索・推進
・住商の内外ネットワークを活用した原材料調達及びマーケティング

「昨年夏から交渉」  3社社長一問一答

 日本製紙グループ本社の中村雅知社長とレンゴーの大坪清社長、住友商事の岡素之社長が20日に開いた記者会見での一問一答は以下の通り。

ー 3社提携に至る経緯は。
中村社長 「段ボールの板紙事業は、当社が得意な洋紙技術の延長線上では難しい。板紙技術のある企業と組みたいと思っ
ていた昨年夏、住商から(提携の)提案があったのでぜひ進めてほしいと言った」

ー 北越製紙を買収しようとした王子製紙への対抗策か。
中村社長 「そういう考えは全くない。提携話は(王子が北越の買収案を発表する前の)昨年夏からしていた」
大坪社長 「対抗策ではない。レンゴーは王子製紙と地域によって原紙の相互供給をしており、さらに増やす予定だ」

ー 日本製紙はTOBなどの企業買収よりも細かい提携戦略が目立つ。
中村社長 「日本製紙はかつて合併を繰り返したが、これに使うエネルギーは並大抵のことではない。経営のスピードを考えると、お互いの経営を尊重しながら連携するのが得策と考えた」

ー 商社を入れるメリツトは。
大坪社長 「日本市場は成熟しており海外展開が今後増える。中国以外の海外でも検討事項があり、住商の知恵を借りながら拡大したい」

ー 住商は日本製紙との原料取引をどれくらい伸ばせるのか。
岡社長 「まだ分析していないが、拡大できることを期待している。他メーカーとも取引をしているが、今後も関係は維持できるはずだ。提携が日本の製紙業界の国際競争力向上に役立てばいいと考えている」

日本製紙、再編へ主導権

 日本製紙グループ本社が他社との資本・業務提携を加速させている。王子製紙の北越製紙に対するTOBを阻止するため、今夏に北越に8.85%を出資。レンゴーの事実上の筆頭株主にもなる。王子がTOB失敗で業界再編に動きにくい状況のなか、日本製紙は個別分野ごとの提携で競争力を強化。製紙業界再編の主導権を握った格好だ。
 日本製紙の戦略は、敵対的TOBを実施した王子とは対照的だ。レンゴーと北越への出資比率は10%未満にとどめている。提携範囲も北越とは主に印刷用紙などの洋紙、レンゴーとは段ボール関連に絞って提携効果を出す戦略だ。「将来は海外の会社とも同じような提携をしていきたい」(中村社長)という。
 一方、王子の手法は2005年に段ボール大手の森紙業を買収したように会社を丸ごと買うケースが多い。王子の鈴木正一郎会長は「我々のプランを実現するには100%子会社化するしかなかった」と北越に仕掛けたTOBを振り返る。
 日本製紙とレンゴーは今回の提携は王子への対抗策ではないという。しかし両社の2005年度の連結売上高の合計は1兆5500億円。王子の1兆2100億円をしのぎ、結果的に強力な「対抗軸」になる。
 今後の再編の焦点は、事業ごとに提携を進める日本製紙の動向とともに商社の戦略にも注目が集まっている。
 三菱商事が北越製紙に24.4%出資したのに続き、今回、住友商事も日本製紙とレンゴーの再編の仲介に動いた。三菱商事と住商はともに紙パルプ事業では下位に甘んじてきた。業界再編を自社の事業強化の好機ととらえて製紙会社との陣営作りに動き、先行する丸紅を追撃する構えだ。
 住商の岡素之社長は記者会見で「日本製紙とレンゴーの接着剤の役目を果たし、提携が成果を上げるよう促進剤となっていく」と語った。
 総合商社の紙パルプ事業では丸紅が2006年3月期に連結ベースで売上高5100億円と2位の伊藤忠商事(同2200億円)以下を大きく引き離している。川上の流通・販売に至る一貫した事業モデルを構築する動きは活発化しており、今後も商社が製紙業界の再編を仲介する可能性は十分にある。


2006/11/21 日本経済新聞夕刊

東海パルプ・特種製紙 統合 来春 共同で持ち株会社 製紙再編中堅・下位に波及

 上場製紙会社8位の東海パルプと同12位の特種製紙は来年春にも経営統合する方針を固めた。原燃料高が製紙会社の業績を圧迫。特に企業規模の限られる中下位は苦しい経営状態が続いており、両社は互いの経営資源を活用することで生き残りを目指す。大手中心に進んできた製紙業界の再編が中下位にまで広がってきた。
 経営統合時期は来年4月を軸に最終調整している。共同で持ち株会社を設立して両社はその傘下に入る予定だ。
 東海パルプと特種製紙はともに静岡県を地盤に事業を展開している。統合後は両社の生産拠点を品種ごとに再構築するなどして効率的な生産体制を確立したい考え。東海パルプは段ボール原紙でシェア約5%と6位で、装飾用紙などに強みを持つ特種製紙とは品種構成にも補完効果が見込め、品ぞろえが拡充できるメリットがある。
 2006年3月期は重油や製紙原料パルプなどの価格上昇の影響を受け両社ともに3割以上の営業減益となった。規模が劣りコスト削減余地の少ない両社は単独での成長戦略が描きにくく、原燃料の共同購入や間接部門の簡素化も進めることで経営基盤の強化を図る。
 両社は統合しても規模の拡大は限定的。東海パルプの筆頭株主は約6.7%出資する三菱商事で、今後、同じく三菱商事が24.4%出資する北越製紙や同じ三菱グループの三菱製紙などを巻き込んだ再編が進む可能性もある。特種製紙も今春、三菱製紙子会社の株式を譲り受けるなど提携関係にある。
 製紙再編は王子製紙と日本製紙グループ本社の二大勢力を中心に進んできた。独立系の中下位メーカーは特定の分野に特化して収益を上げてきたが、最近の原燃料高で経営基盤が脆弱化しており、今後は中下位メーカーの再編が本格化しそうだ。


日本経済新聞 2007/10/26

王子、中国工場を来月着工 発表から4年半 行政手続き完了 2000億円投資が始動

王子製紙が中国現地生産に向け、11月に洋紙工場の建設に着手することが25日明らかになった。合弁会社設立の認可を同国政府から取得して行政手続きを終えたため、近く事業主体を設立する。まず年産40万トンで2010年に稼働させる予定で、総投資額は約2千億円。製紙大手による初の中国生産は計画発表から4年半を経て動き出す。国内市場の成熟化に対応して王子は中国進出で事業を拡大、最大手の基盤を強化する。

年産40万トン、10年稼働
 江蘇省南通市に「江蘇王子制紙」を設立する。王子が90%、残りを同市傘下の企業が出資する。11月下旬に起工式を開き、年明けから工事を本格化させる。12年には生産能力を倍増させ、原料パルプも内製化してコスト競争力を高める。新工場は1千人以上の現地従業員を雇用する見通し。定年退職した国府工場の熟練技術者を現地に派遣する。
 パンフレットやチラシなど商業印刷に使う塗工印刷用紙を中国で販売する。国内で取引が多い日本紙パルプ商事、国際紙パルプ商事など紙専門商社が中国に持つ営業網も活用していく。
 工場は最終的に年産能力を120万トンまで引き上げる計画だ。ただ、大幅な工場拡張には追加の行政認可が必要なため、計画通り進むか不透明な面もある。
 王子の「南通プロジェクト」は、日本企業による代表的な対中大型投資として注目され、当初は06年稼働を目指していた。昨夏、中国政府からプロジェクトは認可を受けたものの、その後に現地資本との合弁による事業会社設立の手続きが難航。たびたび計画の修正を余儀なくされていた。
 国内の紙市場は2000年をピークに頭打ちとなっている。少子高齢化による一段の縮小を見越し、業界は日本製紙グループ本社が全国3カ所の洋紙工場の閉鎖を決めるなど、国内生産縮小に動いている。一方で各社は輸出に力を入れ始めており、王子は中国現地生産を成長戦略の中核に据え、海外市場開拓で先行したい考えだ。

王子製紙「南通プロジェクト」の主な経緯

03年6月 中国江蘇省に工場を建設し、06年に稼働させる計画を発表
04年6月 07年の稼働開始に修正
05年5月 江蘇省に加えて中国政府の承認も必要になり、計画変更
06年7月 中国政府から工揚建設の認可取得
9月 09年の稼働開始に修正
07年5月 10年の稼働開始に修正
7月 合弁会社の設立を申請
10月 中国政府から合弁会社設立の認可取得
11月 起工式(予定)



2007/11/21 日本経済新聞

三菱製紙 王子製紙と資本・業務提携
 情報用紙を相互生産委託

 製紙最大手の王子製紙と同5位の三菱製紙は20日、資本・業務提携すると発表した。情報用紙事業における相互生産委託やアジアでの拡販が提携の柱。王子は三菱製紙の第三者割当増資を引き受けて持ち株比率2.34%の株主となり、三菱製紙は王子の海外子会社に10%程度を出資する。製紙各社は原燃料価格の高騰や国内市場の縮小で苦戦しており、提携で生き残りを図る動きが広がってきた。

 情報用紙事業のうち、請求書などに使う「ノーカーボン紙」と、レシートなどに使う「感熱記録紙」の2品種で提携する。ノーカーボン紙では三菱製紙が八戸(青森県八戸市)と高砂(兵庫県高砂市)の両工場に25億円を投じて能力を増強し、王子から生産を受託する。感熱記録紙では王子の完全子会社、王子ぺ-パー・タイランド(OPT、バンコク市)から三菱製紙がOEM供給を受け、アジアで販売する。
 提携に伴う生産体制変更の費用を確保するため、三菱製紙は王子を引受先とする第三者割当増資を12月5日に実施し、17億6900万円の資金を調達する。三菱製紙の増資引き受けで、王子は持ち株比率2.34%の第9位の株主になる。
 一方、三菱製紙は王子のOPTに来春をメドに約10億円出資し、10%程度の株主となる。出資の方法については今後詰める。
 ノーカーボン紙の国内年間生産は24万トンで、年率5%程度ずつ市場が縮小している。王子と三菱製紙はノーカーボン紙で共に国内シェアは20%程度とみられ、生産を三菱製紙の2工場に事実上集約することで稼働率向上による効率化を目指す。
 王子は2006年に北越製紙に対する敵対的なTOB(株式公開買い付け)の実施を表明。王子の構想を阻止する形で他社が動きTOBは失敗したが、その後、製紙業界では過当競争体質からの脱却を狙った資本・業務提携が進んでいる。
 三菱製紙の佐藤健社長は20日記者会見し、「王子との提携は情報用紙分野に限定したもので、今後、王子と他分野で提携する考えはない」と明言。自主独立路線を堅持することを強調した。

王子、再び再編の焦点に 三菱紙、三菱商事を牽制

 三菱製紙が王子製紙の出資を受け入れることで、昨年の王子による北越製紙への敵対的TOB(株式公開買い付げ)失敗をきっかけとする業界再編は新たな局面を迎えた。北越の筆頭株主となった三菱商事が描く再編構想に参加すると見られてきた三菱製紙が距離を置き、孤立を深めていた王子が巻き返しに出た格好だ。
 三菱製紙の佐藤社長は記者会見で王子との提携に至った経緯について、「どちらともなしに持ちかけた」と述べた。しかし、三菱製紙が王子に近づいたとの見方がある。三菱商事は王子、日本製紙グループ本社に次ぐ勢力を北越や三菱製紙を核に形成しようと狙っているとされる。三菱製紙の決断には北越に経営の主導権を握られるより、王子と部分連合を組み、三菱商事の構想を牽制したいとの思惑が見え隠れする。
 佐藤社長は会見で三菱商事との事前協議について「説明はした」と述べるにとどまった。王子の出資で三菱商事が出資比率は2.53%に低下、王子と拮抗する。
 一方、王子にとっては敵対的TOBの失敗後、業界内に広がった反王子の包囲網に風穴が開く形となった。
 同社は「協調できる事業分野があれば他社と連携していきたい」(篠田和久社長)と事業再構築への意欲を捨てておらず、情報用紙や特殊紙など製品ごとの提携戦略にかじを切っている。今夏には三菱商事が筆頭株主の特種東海ホールディングス」と特殊紙分野で提携、商品開発や物流面の合理化策で協力関係を築いている。
 原燃料価格の高騰が製紙会社の収益を圧追し、各社は提携で生産や物流のコスト削減を急いでいる。業界首位の王子も「単独での生き残りは難しい」(幹部)状況だ。今後、王子が三菱製紙との提携を足場に他社との連携を加速していくのか。三菱商事がどう巻き返すのかが次の焦点となる。