日本経済新聞 2002/11/13        合意

新日鉄・宝山が合弁 上海に工場、1200億円 自動車鋼板で主導権

 新日本製鉄と中国の鉄鋼最大手、上海宝山鋼鉄は自動車用鋼板の合弁工場建設で大筋合意した。年内にも正式決定する。投資額は約80億元(約1200億円)で、中国の鉄鋼業界で最大の合弁事業となる。日米欧の自動車メーカーの対中進出が相次ぎ、高品質な鋼材の需要が急増する見通しで、日中の最大手が組み成長分野の主導権を握る。
 


日本経済新聞 2002/11/13

新日鉄と住金 日新含め品種別集約 ステンレス事業統合で

 新日本製鉄と住友金属工業は2003年10月にステンレス事業を統合するのに合わせ、新日鉄グループの日新製鋼も含めて品種別など生産集約する方針だ。統合会社の収益力を高めるため「(競争力のある)日新も含めて最適な生産体制を考える」(新月鉄首脳)べきだと判断した。
 新日鉄はこれまでに日新との間で自動車部品向け、建材向けなど品種別に母材を相互に供給。生産集約効果を高めるため、現在はそれぞれ月間1万数千トン程度の相互供給を拡大することなどを検討するとみられる。
 両社のステンレス母材の生産拠点は新日鉄の光製鉄所(山口県光市)と八幡製鉄所(北九州市)、
日新の呉製鉄所(広島県呉市)と周南製鋼所(山口県新南陽市)。
 新日鉄と住金のステンレス事業はともに単独では赤字基調。統合会社は初年度から経常黒字をめざす計画だが、統合だけでは大幅な収益改善は見込みにくいため、日新との協力拡大を進める。

 


2002/12/5 日本経済新聞          発表文

ニチメン 住商に鉄鋼部門譲渡 来年7月めど 社員も700人転籍

 住友商事とニチメンは4日、ニチメンの鉄鋼部門を住商に譲渡することで大筋合意した。5日にも発表する。譲渡対象は普通鋼、特殊鋼、ステンレスの国内取引、貿易部門などで年間売上高は1500億円程度とみられる。ニチメンは採算性が低い金属部門を大幅に縮小、住商は主力の金属事業を強化する。
 ニチメン本体で手掛ける鉄鋼関連事業のほか、内外の関係会社も同時に譲渡する方向で検討しており、ニチメンから住商へ連結べ−スで700人程度の社員が転籍する見通しだ。
 譲渡価額などは未定。譲渡時期は来年7月ごろになる見通し。譲渡後もニチメングループには、金属部門のうち非鉄金属や貴金属の取引を手掛ける年間売上高1千億円規模の部門が残る見通しだが、順次縮小する。
 ニチメンは今春、鉄鉱石などの鉄鋼原料事業を日商岩井に譲渡、製品部門からの撤退も検討してきた。鉄鋼部門ではメーカーから支払われる手数料(口銭)が縮小しているほか、商社の選別も進んでいるため、単独での生き残りは難しいと判断した。一方、住商の金属部門の売上高は連結べースで約9千億円(2002年3月期)。同社は今春、中堅商社の野村トレーディング・ホールディングスから鉄鋼事業を買収するなど、金属部門の強化を図っている。
 大手商杜の金属部門では、伊藤忠商事と丸紅、三菱商事と日商岩井はそれぞれ鉄鋼製品事業を統合、トーメンは筆頭株主の豊田通商に鉄鋼、非鉄両部門を譲渡している。メーカーの集約を機に、商社の事業の統合や譲渡が相次いでいる。


2002/12/05 ニチメン/ 住友商事

ニチメン株式会社から住友商事株式会社への鉄鋼製品事業の譲渡に関する基本合意の件

 本日、平成14年12月5日、住友商事株式会社(社長:岡素之、以下住友商事)とニチメン株式会社(社長:半林亨、以下ニチメン)は、平成15年7月初旬を目処にニチメンの鉄鋼製品事業を住友商事へ譲渡することに基本合意いたしましたのでお知らせいたします。

 ニチメンは、中期経営計画「NP2002」において、事業ポートフォリオの再構築を目指し、事業の「選択と集中」による重点分野への経営資源の傾斜配分を推進しておりますが、今般、この一環として、ステンレス・特殊鋼製品、自動車関連鉄鋼製品、各種鋼板等鉄鋼製品に関わる国内取引・貿易取引、および子会社・海外拠点で営む鉄鋼製品事業を住友商事に譲渡することといたしました。

 一方、住友商事は、鉄鋼事業をコアビジネスとして位置付けており、譲渡を受けるニチメンの鉄鋼製品事業に経営資源を投入して、同鉄鋼事業の更なる強化・拡充を図ります。住友商事は本年、旧野村貿易鉄鋼貿易事業を買収し、アジア地域の薄板事業を強化しておりますが、今回、ニチメンから鉄鋼製品事業を譲り受けることによって、住友商事の事業基盤は飛躍的に拡大し、同分野での住友商事のプレゼンスが一挙に高まるものと期待しています。

 なお、事業譲渡価額と決済方法、および事業譲渡方法は未定です。


日本経済新聞 2002/12/7

世界最大手アルセロール 上海合弁に参加 新日鉄・宝山と組む

 新日本製鉄と中国の鉄鋼大手の上海宝山鋼鉄が計画する中国での自動車用鋼板の合弁事業に、世界最大の鉄鋼メーカーの
アルセロール(ルクセンブルク)が参加する見通しになった。欧州自動車メーカーの中国進出をにらんで、新日鉄、上海宝山は新日鉄と包括提携しているアルセロールを巻き込むのが得策と判断、3社合弁に向けて最終調整に入った。
 新日鉄、上海宝山は粗鋼生産量で世界3位と5位前後。上海に合弁会社を設立、自動車ボディーなどに使う溶融亜鉛めっき鋼板などを生産する。工場は年末にも着工し2005年稼働の計画。投資総額は約1千億円。合弁の出資比率は新日鉄と上海宝山の折半で大筋合意。アルセロール出資分は新日鉄の一部を譲る形になる可能性が大きい。

 


構造改革に挑む 世界の鉄鋼再編 再編で変わる欧州鉄鋼地図  
      
http://www.japanmetal.com/special/special_48.html


 欧州では、1952年、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が発足し、本格的に復興の道のりを歩み始めた。58年1月にはECSCを基礎として「欧州経済共同体」(EEC)がスタート。67年、EECおよびECSCにユーラトム(欧州原子力共同体)が大合同、ECが成立。域内関税の撤廃をはじめ、産業政策の共通化など25年に及ぶ努力が積み重ねられた。
 この間、鉄鋼産業ではEC委員会の下、クオーターごとの生産割り当て、工場別出荷調整、設備調整など、事実上の合理化カルテルに当たるガイドラインに守られ、発展してきた。

 92年、欧州連合(EU)が誕生。政治統合も成り、99年1月共通通貨「ユーロ」による決済が始まり、本年2月末、加盟各国通貨は消え、ユーロ貨幣に1本化された。同時に、本年7月にはECSCの50年協定も消滅する。
 こうしたECからEUへの完全統合による市場規模の拡大をにらんで、各国鉄鋼業は、国営企業の民営化、コスト競争力の強化に向けて、企業統合・合併を競って推進した。90年代半ばまでには、いわゆる「1国1ミル」体制を確立。さらに、世紀末から最近にかけては、国境を越えた大統合に踏み込んできている。

 ドイツは94年時点、大手企業としてはティッセン、クルップ/ヘッシュ、など4社グループが存在していた。このうち、1、2位企業が97年4月合併、新たにティッセン・クルップ・シュタールとして発足。残されたクレックナーは94年後半、ベルギーのシドマールに株式72%を売却。また、EKOは同じくベルギーのコックリルに株式60%を譲渡。ドイツ単独資本はTKS1社になった。

 フランスは、国営系企業ユジノール/サシロールが95年7月民営化。97年ユジノールに改称、(1)鋼板(2)ステンレス(3)合金鋼・特殊鋼の3部門に整理統合、スリム化した。その後、ベルギーのコックリルを合併。さらに、アルベドグループと本年2月統合、世界最大企業「
アルセロール」として、新発足した。

 ベルギーは94年時点、コックリル、シドマール、フォルジ、ウジーヌの大手4社体制だった。このうち、フォルジは96年12月倒産。ウジーヌは97年2月、オランダ・ホーゴベンスに株式50%を売却、同年3月には高炉部門を閉鎖し、電炉(50万トン)のみとなった。コックリルは独EKO社を買収、98年にはユジノールと統合、さらにアルセロールに合流した。

 ルクセンブルクのアルベドは独・仏・スペイン・ベルギーにまたがる大鉄鋼メーカーとして統合の中心に座り、ついに世界最大企業の名をものにした。 英国・オランダは99年秋に合併(コーラス)、当時欧州第1位となったが、アルセロールに抜かれた。

 このほか、英国に本拠を置く「
LNM」はイスパット・グループとして知られる。99年世界ランキング9位だったが、2000年4位に躍進。米・加・独・露・アイルランド・メキシコ・インドネシア等に生産拠点をもつ異色企業だ。

 欧州ミルのめまぐるしい統合合併の動きは、長期的視点・戦略に基づく強いダイナミズムを感じさせるものといえよう。


日本経済新聞 2004/10/26

粗鋼生産世界トップ 2位LNM、米ISG買収

 鉄鋼世界2位のLNMグループ(本社オランダ)は25日、来年3月末までに米鉄鋼大手インターナショナル・スチール・グループ(ISG)を買収することで合意したと発表した。新会社の粗鋼生産量は年間5千万トンを超える見通しで、現在最大手のアルセロール(ルクセンブルク)を抜き世界トップとなる。
 LNMグループの2社が合併すると同時に、米ISGも買収して新会社を設立する。新会社名は「ミタル・スチール」で、オランダのロッテルダム市に本拠を置く。
 LNMグループはインド人富豪で、英国在住のラクシュミ・ミタル氏が会長兼オーナー。過去15年間にメキシコやカザフスタンなど途上国の旧国営鉄鋼会社を相次ぎ買収、再建してきた。2003年の粗鋼生産量は約3500万トンと、3位の新日本製鉄を上回る。グループにはオランダで上場するイスパット・インターナショナルと、非上場のLNMホールディングズがあり、両社が十カ国以上で製鉄所を運営している。
 米ISGは粗鋼生産能力が1300トン強。世界順位は13番前後とみられており、経営規模から単独での生き残りは難しかった。
 ミタル氏は「激戦の鉄鋼産業で勝ち残るには粗鋼生産量を(現在の2倍の)年8千万トン規模に拡大する必要がある」と指摘していた。


日本経済新聞 2002/12/19

ステンレス統合会社へ出資 新日鉄8割、住金2割

 新日本製鉄と住友金属工業は来年10月に設立するステンレス事業の統合会社の出資比率を新日鉄80%、住金20%程度とすることで大筋合意した。両社で合計7ラインあるステンレスの冷間圧延設備のうち1ラインを休止するなど設備を集約し、新会社は初年度から黒字化を目指す。来週に正式決定し発表する。
 新日鉄は現在、住金にステンレス鋼板の母材となる熱延コイルを供給しており、統合会社でも主導権を握る。統合会社の社長は新日鉄から出す見通し。日新製鋼との間で実施してきたステンレス鋼材の相互供給などの提携関係は継続する。
 統合会社は両社のステンレス生産設備を現物出資し設立。事業統合に当たり住金は鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)のステンレス冷間圧延設備を1ライン休止する。新日鉄は光製鉄所(山口県光市)の連続鋳造設備4基のうち自社開発設備1基を本体に残し、統合会社の負担にならないようにするもようだ。
 統合会社は厚鋼板生産を新日鉄の八幡製鉄所(北九州市)に集中するなど生産体制見直しや間接部門のスリム化で収益力を高める。新日鉄、住金のステンレス事業はともに赤字だったが、統合会社は年間数十億円規模の経常黒字を見込む。


日本経済新聞 2003/6/12      日新製鋼、否定のコメントを発表

ステンレス鋼板 中国生産4倍に 日新製鋼、600億円を投資

 日新製鋼は中国でステンレス鋼板の生産能力を4倍に拡大する。現地工場に約600億円を追加投資、2005年までに生産能力を単一工場で世界最大の年60万トンとする。王子製紙も600億円を投じて中国に製紙工場を建設することを決めており、中国の内需拡大をにらんだ素材メーカーの大型投資が広がり始めた。
 日新製鋼は中国の鉄鋼最大手、上海宝鋼集団や阪和興業などとの合弁会社である寧波宝新不銹鋼(浙江省寧波市)で1998年からステンレス冷延鋼板の生産を始めた。合弁会社の生産能力は年16万トン。約90億円を投じて増設工事を進めており年内に年産24万トン体制とする。この工事に続いて今夏にも隣接地(約40万平方メートル)で新工場棟の建設に着手。約2年かけて合計年60万トンの大型工場とする。
 日新製鋼と宝鋼集団など主要株主が現在、追加投資について協議している。寧波市関係者は「宝鋼側が早期着工を希望しており、月内には最終決定する」としている。
 中国の2002年のステンレス需要は約160万トン。建材や食器用などに需要が伸びているが、需要の約7割を輸入に頼っている。


2003/06/12 日新製鋼

お知らせ

 本日、一部報道に当社が中国でのステンレス鋼板生産に関して600億円の投資を行う旨の記事が掲載されましたが、本件に関して以下のとおりお知らせいたします。

 当社が上海宝鋼集団公司等との合弁で設立した寧波宝新不銹鋼有限公司(当社出資比率:20%)は、旺盛な中国の需要に支えられ極めて好調な営業を続けており、当初の年産8万トンから16万トン体制まで拡張し、本年度中には24万トンまで増強することを決定しております。

 同社では、中国での需要増に対応するためさらなる増強も視野に入れており、当社としても世界戦略の一環としてその参画方法を検討しているところですが、当社としての対応は現時点では決定しておりませんし、掲載されたような多額にのぼる投資を当社が行うことはありません。


日本経済新聞 2003/7/23                発表

新日鉄・宝山、包括提携へ 大市場に生産拠点 株式持ち合いも視野に

 新日本製鉄と中国の鉄鋼最大手、上海宝山鋼鉄は22日、自動車用鋼板の合弁事業について基本合意書に調印した。2005年5月をメドに生産を始める。両社の首脳は包括提携も検討すると表明。世界粗鋼生産2位の新日鉄と同5位の宝山がアジアや世界市場をにらんだ戦略的な提携関係の構築に動き出した。
 新日鉄は合弁会社を通じて、宝山が昨年末から建設を始めた冷延鋼板工場を共同運営する。総投資額は約千億円。日中の鉄鋼業界にとって最大の合弁事業となる。合弁会社には宝山側が50%、新日鉄は35%以上を出資。鉄鋼世界最大手の
アルセロール(ルクセンブルク)も参加する方向で調整している。


2003/07/22 新日本製鐵            

自動車用鋼板を製造・販売する合弁会社設立に関する基本合意について

 新日本製鐵株式会社(社長三村明夫)と宝山鋼鉄株式有限公司(総経理艾宝俊)は、中国における自動車市場の発展に伴い中長期的な成長が見込まれる高級自動車用鋼板需要に応えるため、自動車用鋼板を製造・販売する合弁会社を宝山鋼鉄構内(上海市宝山区)に設立することについて基本合意に至り、7月22日、意向書を締結いたしました。

 両社は、今回の合意に基づき詳細条件を詰め、年内にも正式契約を締結、中央政府の設立認可を経て、2005年5月に営業運転を開始することを目指しております。

 宝山鋼鉄は、1978年の日中平和友好条約締結に伴う経済協力の象徴的なプロジェクトの一つとして中国国民の努力と新日鐵の協力の下に生まれ、爾来、中国経済の発展に大きく貢献してまいりました。この間、新日鐵と宝山鋼鉄は、多面に渡り、協力、合作関係を深めて参りましたが、今回の合弁事業を通じてより強固な関係を築き上げることで、中国の鉄鋼及び自動車産業の発展、また日中経済協力の一層の強化に対し、更なる貢献ができるものと確信しております。

基本合意の概要

(1)目的   主として中国大陸内における自動車用鋼板需要への対応
(2)事業内容   自動車用鋼板等の製造・販売
(3)製品   冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板(主として自動車向け。一部、家電・建材用を含む)
(4)設備(年産)   酸洗/冷延:170万トン
連続焼鈍(C.A.P.L.):90万トン
第一溶融亜鉛メッキ(No.1 CGL):45万トン
第二溶融亜鉛メッキ(No.2 CGL):35万トン
               :   宝山鋼鉄が既に国際競争入札により契約し、建設中の1800mm冷延工場を、合弁会社が取得する。
(5)技術   設備契約に基づき新日鐵が投入する自らの高級自動車用鋼板製造技術の他、市場の需要に基づき、新日鐵と宝山鋼鉄は、さらにそれぞれが保有する高級自動車用鋼板製造及び需要家サービスに関する技術・ノウハウを投入する
(6)総投資額   65億元程度(約1000億円)
(7)要員規模   約600名
(8)登録資本   30億元(約450億円)
(9)出資比率   (中方)宝山鋼鉄株式有限公司:50%
(外資方)当社主体:50%
(10)経営組織    中方、外資方同数から成る董事会の決議の下、宝山鋼鉄が指名する総経理と新日鐵が指名する副総経理等から成る経営管理機構が業務を執行する。
(11)期間   合弁設立から20年
(12)立地   宝山鋼鉄構内(上海市宝山区)
(13)スケジュール   2003年末に合弁契約締結予定
2005年5月に生産開始予定

 


「人民網日本語版」2003年7月29日

鉄鋼世界最大手アルセロールが宝鋼と提携

鉄鋼世界最大手のアルセロールは28日、中国鉄鋼最大手の上海宝鋼集団公司と、自動車用鋼板加工およびステンレス生産プロジェクトに関する合意文書に調印した。

アルセロールは欧州の鉄鋼3社が合併して誕生した企業で、本社はベルギー・ルクセンブルクにある。宝鋼との合意に基づき、宝鋼が建設中の中国最大のステンレス生産拠点プロジェクトに冷延鋼板の製造技術を提供するほか、自動車用鋼板のレーザー溶接加工企業を合弁で設立することも決まっている。宝鋼の徐楽江副総経理は「アルセロールは欧州最大の自動車用溶接板メーカーで確かな技術をもっている。一方、宝鋼は中国の自動車用鋼板市場でシェアの半分を占める。技術と市場が結びついて新しい合弁企業が誕生する」と説明する。

専門家の分析によると、これまで海外の鉄鋼企業は主に貿易を通じて中国鋼材市場に参入してきたが、今回のアルセロールの中国戦略はそれと異なり、中国の鉄鋼大手と提携することによって市場参入を図ろうとしている。これは貿易摩擦を回避できるだけでなく、安定して市場に参入できる方法といえる。中国企業にとっても優れた技術を導入し、適正な競争を促進するといった利点がある。


July 28, 2003 Arcelor

Arcelor and Bao Steel create Chinese joint-venture for automotive products

Arcelor and Bao Steel have signed an agreement for a Tailor Welded Blanks joint-venture operation to be set up in the Shanghai area. This joint-venture company, combining secure access to raw materials from Bao Steel and leading edge technology for tailor welded blanks production from Arcelor, will allow to offer the breakthrough technological advantages of tailor welded blanks to auto manufacturers operating in China.

The use of tailor welded blanks in automotive applications can contribute to a lower vehicle weight and thus better fuel efficiency while improving safety and handling through enhanced body characteristics.

The construction work for the new facility will begin as of 2003, with supply to customers scheduled to start as of the second half of 2004. In an initial phase the plant will have an annual capacity of 2 million units of tailor welded blanks.

With 104,000 employees in over 60 countries, Arcelor is the world's largest steel producer. In 2002, o-n a pro forma basis, production was approximately 44 million tons of steel with a turnover of 26.6 billion euros. Arcelor is a major player in all its main markets: automotive, construction, household appliances and packaging as well as general industry.

 


日本経済新聞 2004/11/16

米鉄鋼ISG 三井鉱山買収を打診 百数十億円 再生機構に

 米2位の鉄鋼メーカー、インターナショナル・スチール・グループ(ISG)が産業再生機構に対し、同機構の支援を受け経営再建中の
三井鉱山の買収を申し入れたことが15日、明らかになった。鉄鋼原料の需給が世界的にひっ迫するなか、原料のコークスを中長期的に安定確保する狙い。ISGはLNMグループ(オランダ)と合併し、世界最大の鉄鋼メーカーになることが決まっており、鉄鋼の国際再編が日本に波及した格好だ。

国際再編 日本に波及
 来日したISGのウィルバー・ロス会長が15日に再生機構を訪れ、買収を打診した。再生機構が保有する三井鉱山の普通株52%を買い取り、経営権取得を目指す。提示額は百数十億円とみられる。
 ISGへの売却が決まれば、再生機構が支援企業を外資に売却する初のケースになる。再生機構は早ければ年内にも入札方式で三井鉱山の売却先を決める見通し。ほかに入札企業が現れ、買収を競う可能性もある。
 ISGとLNMグループが来春までに合併し誕生する
ミタル・スチールは、粗鋼生産能力が年約5200万トン。アルセロール(ルクセンブルク)を抜き世界最大手に躍進する。同規模の粗鋼生産を続けるには、原料となるコークスの安定調達が欠かせない。このため独自の原料炭調達ルートと高い加工技術を持つ三井鉱山に着目した。
 ISGによる買収が成立すれば、三井鉱山はミタルの原料供給部門として同社の世界戦略に組み込まれることになる。
 三井鉱山にとっても、コークス安定供給先の確保とともに、再建後のグローバル展開に大きな足がかりが得られる。
 三井鉱山は土地評価額の下落と財務悪化から2003年3月期に債務超過に陥り、昨年12月に再生機構による債権買い取りが決定した。主力行などによる1千億円強の債務免除とともに減・増資を実施。再生機構が普通株の52%(100億円)と優先株(同)を取得して子会社化した。
 再生機構は三井鉱山の経営陣を刷新。水環境事業やセメント事業の一部など非中核事業を売却し、100社以上の関連会社を半減させる一方、需要増が見込めるコークス事業では120億円をかけて休止炉を再稼動することを決めた。

ISG
 米投資ファンドのWLロスが、破たんした米鉄鋼メーカー4社を買収して発足した。粗鋼生産量は米国2位。来春までに世界2位のLNMグループと合併して世界最大手の「ミタル・グループ」となる。LNMはインド人のラクシュミ・ミタル会長が一代で築き上げた鉄鋼グループで、世界14カ国に生産拠点を持つ。

 


日本経済新聞 2005/10/9

ミタル、インドに製鉄所 生産能力年1200万トン 93億ドル投資、州政府と調印

 世界最大の鉄鋼メーカーであるミタル・スチール(オランダ)は8日、インド東部ジャルカンド州に年間生産能力1200万トンの一貫製鉄所を建設することで同州政府と合意し、覚書に調印した。総投資額は4千億ルピー(約93億ドル)。インドではタタ製鉄が同州で、韓国・ポスコが隣接するオリッサ州で同規模の製鉄所建設を決めた。ミタルの進出でインドは世界有数の鉄鋼生産国に浮上する。
 ジヤルカンド州の州都ランチーで同日午後開いた調印式には、ミタル・スチールのラクシュミ・N・ミタル会長兼最高経営責任者(CE0)やムンダ州政府首相らが出席した。同杜は今後、州政府に対し建設場所などを含む詳細な計画書を提出する。
 覚書によると、ミタルは年産能力600万トンの製鉄所2つを8年半の間に建設する。このほか、出力2500メガワットの発電所なども設置する。製鉄所の規模は、新日鉄君津製鉄所(同約1千万トン)を上回る。
 順調な経済成長が続くインドでは、シン首相率いる政府が道路や港湾などのインフラ整備を積極的に進めている。調印後に記者会見したミタル会長は「インドは急成長市場で、鉄鋼消費量も今後、中国などに近づく」などと述べた。
 現在年間約7千万トンの生産能力を持つミタルはインド進出によって、中期目標として掲げた「年間粗鋼生産量1億トン」に向かって大きく前進する。
 約35億トンの鉄鉱石確認埋蔵量があるジャルカンドをはじめ、隣接するオリッサ、チャッティスガルのインド東部3州には、ポスコをはじめタタ製鉄などインドの大手・中堅メーカー35社以上が製鉄所建設を計画中だ。完成すれば、インド全体の粗鋼生産量は2015年にも現在の3倍強の1億トンに達する見通し。インドは、中国や日本に次ぐ一大鉄鋼生産国への仲間入りを射程圏に入れつつある。


日本経済新聞 2005/10/9

創業者のミタル氏 母国に初の大型投資 世界3位の大富豪 買収路線で巨大企業に

 ミタル・スチールを率いるラクシュミ・N・ミタル氏(55)は、世界各地の製鉄所を買収し、創業30年で同社を世界最大の鉄鋼メーカーに育て上げた。米経済誌フォーブスが発表した2005年版の世界長者番付によると総資産は約250億ドルで、ビル・ゲイツ米マイクロソフト会長らに続き3位。在外インド人富豪の代表格だ。
 1950年、インド北西部ラジャスタン州で生まれたミタル氏は、カルカッタ(現コルカタ)で一族が経営する製鉄所に入社したが、規制の強いインドに見切りをつけ、76年にインドネシアでミタル・スチールの前身である鉄鋼会社イスパト・インターナショナルを設立した。
 89年にトリニダード・トバゴの国営製鉄所を買収したのを皮切りにメキシコ、カザフスタン、南アフリカ、ポーランドなどで業績不振の鉄鋼大手を相次ぎ買収、再建した。オランダに本社を置くミタル・スチールは今春、世界12位の米インターナショナル・スチール・グループ(ISG)を買収、粗鋼生産量世界一になった。
 欧米で成功した在外インド人は母国に積極的に投資するがミタル氏がインドに投資するのは今回が初めて。ミタル家は米ニューヨーク証券取引所などに上場する同社の発行済み株式の88%を保有する。


日本経済新聞 2006/1/28

鉄鋼2位アルセロール買収 最大手ミタルが提案 2兆6000億円


 鉄鋼世界最大手のミタル・スチール(オランダ)は27日、同業二位のアルセロール(ルクセンブルク)に対し総額186億ユーロ(約2兆6千億円)で買収を提案すると発表した。実現すれば、粗鋼生産量で世界シェアの1割、日本の年間生産量に相当する1億トンの巨大メーカーが誕生する。
 ミタルの提案は現金と株式交換を組み合わせた内容で、ミタル株4株と35.25ユーロをアルセロール株5株と交換する。アルセロールの1株あたりの買収額は28.21ユーロに相当し、26日の終値に対し27%もプレミアムを付けている。ラクシュミ・ミタル会長は記者会見で「友好的に協議していきたい」と述べた。買収に成功した場合、アルセロールが買収を決めたばかりのカナダの鉄鋼会社ドファスコをドイツ鉄鋼大手ティッセン・クルップに売却すると表明した。
 アルセロールは、提案は「敵対的だ」との声明を発表、取締役会を開き対応を決めるとしている。

ミタルが2位買収提案 中国の輸出攻勢に危機感 日米欧韓で大型再編も

 鉄鋼最大手ミタル・スチールによる二位アルセロール(ルクセンブルク)の買収提案は世界の鉄鋼産業が新たな「巨大再編の時代」に突入したことを意味している。欧米で減産が始まる中で、生産能力を拡大している中国の輸出攻勢はさけられず、市況悪化も予想される。今後、日米欧や韓国勢による大型再編が相次ぐ可能性もある。
 ラクシュミ・ミタル会長は27日の会見で、「両社の統合が実現すれば世界の鉄鋼産業が大きく前進する。業界の収益力を安定させる再編の動きを後押しするからだ」と強調した。
 ミタル会長は14日にアルセロール首脳に買収提案したが「肯定的な反応は得られなかった」という。今回は正式に提案し、アルセロールの株主らに買収メリットを訴える。同会長によれば、新会社は欧州、北米、旧ソ連地域の市場でトップシェアとなり、原料の調達などで年10億ドル超の相乗効果を期待できる。
 中国の輸出攻勢に危機感を持つミタル会長は将来の生き残りのために、1億ドルを生産規模の最低ラインとしている。昨年もウクライナ最大手の買収などを決定した。ただ、これまで敵対的な買収は手がけていない。
 欧州のトップ企業でブラジルやカナダで再編に動くアルセロールの買収は戦略的にメリットが大きい。欧州の自動車などの有力顧客をほぼ独占でき、アジアなどの再編でも最大のライバルがいなくなる。こうした思惑が重なり、大型買収に踏み切ったとみられる。
 もっとも今回の買収提案は実現が難しい。2002年にルクセンブルク、フランス、スペインの大手3社が合併して誕生。各政府が影響力を持っており、人員削減などにつながりかねないミタルの買収に反対する可能性がある。買収の先行きは不透明だが、仮に実現した場合、新日本製鉄の立場は微妙になる。新日鉄はアルセロールとは前身のユジノール時代から提携している。一方のミタルは主力製品が汎用鋼板で新日鉄と戦略は異なるが、米国で自動車用鋼板を合弁生産するなど、同様に提携関係にある。
 三村明夫新日鐵社長は27日夜「情報が限られており、収集のうえ冷静に分析し今後の対策を検討したい」と述べた。統合会社の経営方針次第では従来の関係に変化が生じる可能性もある。

▼ミタル・スチール
 インド生まれのラクシュミ・ミタル氏が1976年にインドネシアに設立。90年代から新興市場国で製鉄所を相次ぎ買収、最近は旧東欧圏、米国などでも買収を繰り返して規模を拡大した。04年の売上高は約220億ドル、粗鋼生産量(05年に買収した米ISGを含む)は約6千万トンと、世界一位。従業員は17万5千人。
▼アルセロール
 フランス、スペイン、ルクセンブルクの鉄鋼3社が合併して2002年に発足。04年の売上高は301億7600万ユーロ(約4兆2800億円)、粗鋼生産量は約4700万トンで世界二位。自動車用鋼材での世界シェアは約15%ある。60カ国以上に拠点を持ち従業員は9万4千人。中国に宝山鋼鉄、新日本製鉄との合弁会社がある。


2006/12/15 日本経済新聞夕刊

米、反ダンピング課税撤廃 13年ぶり 日本製高級鋼板など

 米国際貿易委員会(ITC)は14日、日本製の高級鋼板に対する反ダンピング(不当廉売)課税を撤廃することを決めた。過度な安売りが再発する可能性が少ないと判断したもよう。課税に反発する日米の自動車業界や日本の鉄鋼業界にも配慮した。1993年8月から実施してきた上乗せ関税(税率36.41%)は約13年ぶりに廃止される。
 課税撤廃の対象となるのは、自動車の生産に欠かせない亜鉛めっき鋼板などの表面処理鋼板。ITCの委員6人のうち、4人の賛成票で撤廃を決めた。オーストラリア、カナダ、フランスの製品に対する課税も同時に撤廃するが、ドイツと韓国の製品については課税を継続する。
 表面処理鋼板の反ダンピング課税を巡っては、トヨタ自動車や新日本製鉄などの日本企業が撤廃を強く要求。日本政府も「不当な措置」として、世界貿易機関(WTO)に提訴してきた。
 最近は生産コストの上昇に悩む米自動車大手が日本企業に同調するなど、活発なロビー活動が繰り広げられていた。ITCは「課税の撤廃がダンピングの再発につながる可能性は小さい」との判断に傾いたもようだ。
 USスチールなどの米鉄鋼大手は、今回の決定になお不満を表明している。

日米自動車大手が歓迎
 米ゼネラル・モーターズ(GM)、トヨタ自動車など日米自動車メーカー大手6社は14日、高級鍋板の反ダンピング(不当廉売)課税で米国際貿易委員会(ITC)が下した無効裁定について「決定を支持する」との共同声明を出した。

米国の反ダンピング課税を巡る動き
1993年8月  ・日本製表面処理鋼板への課税実施
2004年11月  ・日本政府が米国をWTOに提訴
2005年11月  ・米ITCが課税見直し調査を開始
2006年9月  ・WTO紛争処理小委員会(1審)、日本の主張を大筋で退ける
    10月  ・日本政府、WTO上級委員会に上訴
      ・米ITCが課税問題で公聴会
    12月  ・米ITCが課税撤廃を決定

2006/12/16 日本経済新聞

自動車鋼板反ダンピング課税撤廃
 新日鐵、米向け供給整備へ 輸出・現地合弁の両面作戦

 米国際貿易委員会(ITC)が日本製の高級鋼板への反ダンピング(不当廉売)課税の撤廃を決めた。36.41%の高率関税を13年ぶりに廃止。日本の鉄鋼大手は自動車用鋼板を需給に応じて柔軟に供給できる体制となる。新日本製鉄は一方で現地での合弁生産の拡張を計画。輸出と現地生産の両面作戦で自動車生産の「本丸」である北米市場の開拓を進める。
 北米では高級鋼板の大口ユーザーであるトヨタ自動車やホンダなど日本の大手自動車メーカーが新工場の建設など大幅な増産計画を打ち出している。一方で国内生産は頭打ち。新日鉄にとって北米での自動車用鋼板の供給体制の整備は喫緊の課題となっていた。
 基本方針は北米での生産拡張だ。現地に足場を持つことでトヨタなどとの緊密な関係を維持する狙いがある。このため新日鉄は世界最大手アルセロール・ミタルと、米インディアナ州で運営する合弁工場の拡張協議を始めた。来年初めにも合意する見通しで、2008年をメドに自動車用鋼板生産の新設備を稼働、供給能力を引き上げる。
 ネックとなるのが反ダンビング課税だった。ミタルとの合弁工場は高炉からの一貫製鉄所でないため、需要の増減に対応するためには「作りだめ」が欠かせない。課税が撤廃され日本からの機動的な輸出が可能になれば在庫を圧縮できる。高強度鋼板など現地では製造不可能な製品も供給が可能になる。
 自動車メーカーも現地調達だけでは不安を抱える。02年にはホンダが調達難に陥り、新日鉄などが日本から20回に分けて鋼材を空輸する事態となった。
 10月にITCが開いた公聴会にはトヨタや米ゼネラル・モーターズ(GM)など日米の自動車大手6社が幹部を送り込み課税撤廃を訴えた。急速にグローバル化する自動車生産が、弱体化した米鉄鋼メーカーを保護してきた米当局の方針転換を迫り門戸開放を促したといえる。