2007/4/12 日本経済新聞

富士フイルム ナノ技術でがん治療剤
 ゼラチンで塗り薬 抗がん剤の効果持続 5年内メド実用化

 富士フイルムはフィルム製造で培ったナノテクノロジー(超微細技術)を活用し、抗がん剤の効き目を長くする塗り薬技術を開発した。

 塗り薬にはフィルムの主材料であるゼラチンを使う。

 ゼラチンを直径約100ナノメートルの微粒子にして抗がん剤を染み込ませる。


2007/4/12 日本経済新聞

カプセル内視鏡 イスラエル社と世界で販売提携 富士フイルム子会社

 富士フイルム子会社の光学機器メーカー、フジノン(さいたま市)は11日、米ナスダック上場のカプセル内視鏡メーカー、ギブン・イメージング(イスラエル)と業務提携したと発表した。ギブンのカプセル内視鏡を世界で販売するほか、フジノンの光学技術とギブンの画像解析技術などを組み合わせ、消化器分野で次世代内視鏡システムを共同開発する。


日本経済新聞 2008/2/13         3社発表    古森社長インタビュー

富山化学、富士フィルムが買収 総額1000億円超 医薬に本格参入
 月内にもTOB 業界再編が加速

 富士フイルムホールディングスが東証一部上場の新薬メーカー、富山化学工業を買収する。月内にもTOB(株式公開買い付け)を開始し、子会社化する。買収総額は1千億円を超える見通し。富山化学の持つ新薬開発力を足掛かりに医薬事業に本格参入する。

2006/11/2 富士フイルム、超音波画像診断分野に参入 メディカル・ライフサイエンス事業拡大

 富山化学の筆頭株主である大正製薬は、保有株を売却せずに富士フイルムによるTOBに賛同。富山化学の第三者割当増資の一部を引き受けて出資比率を拡大し、3社で医薬品の研究開発や販売などを推進する。大正製薬は12日、ビオフェルミン製薬の買収も発表しており、事業基盤の拡大に拍車をかける。富山化学への最終的な出資比率は富士フイルムが約3分の2、大正製薬が3分の1程度になる見込み。

2002  大正製薬、富山化学と提携    大正富山医薬品株式会社の設立
2003  大正製薬、富山化学の一般用医薬品販売権を承継

 富山化学は鳥インフルエンザ治療薬などの開発を進めているが、新薬開発費用がかさみ07年3月期には最終赤字に転落。昨年9月末で160億円強の累積損失を抱えている。


富山化学工業
 東証一部上場の中堅製薬会社。研究開発に特化しており、タミフルなど従来品とは作用の仕組みが違うインフルエンザ治療薬や、リウマチ根治薬などを開発している。2007年3月期の連結売上高は167億円、87億円の最終赤字。07年9月末の連結従業員数は1056人。

日本経済新聞 2008/2/14

 13日会見した富士フィルムの古森重隆社長は、医療関連事業を育て「10年後をめどに売上高1兆円の総合ヘルスケア企業を目指す」と述べた。医療分野は画像診断を衷心とした診断、サプリメントなどの予防関連が主体だったが、富山化学を傘下に収めて治療分野に進出。予防や診断から治療までカバーする。
 富山化学の売上高は今期予想で320億円程度だが、インフルエンザ治療薬など有望とされる新薬候補を抱えており、買収に踏み切る。
 また、1兆円達成に向けた新たなM&Aは「いろいろな可能性がある」とした。

医薬再編、異業種が主導 規模、世界とは開き

大手製薬5社と主な兼業メー力一の連結売上高と時価総額(単位 億円)

製薬大手5社
会社名 連結売上高 時価総額
武田薬品工業   14,000  54,334
アステラス製薬    9,710  23,716
第一三共    8,760  22,785
エーザイ    7,390  11,447
中外製薬    3,448   6,956
 
兼業メーカー(傘下の製薬会社)
  連結売上高 医薬売上高 時価総額
三菱ケミカルHD
(田辺三菱製薬)
  29,400   4,000   10,348
富士フイルムHD   28,500    −   20,327 
住友化学
(大日本住友製薬)
  19,400   2,400   10,876
キリンHD
(4月に協和発酵を子会社に)
  18,011    699   17,140
旭化成   17,140   1,150    7,812
東レ   16,400    500    8,324
味の素   12,250    845    7,798
帝人   10,400   1,150    3,613
明治製菓    4,100   1,110    1,881
(注)売上高は2008年3月期予測。中外製薬とキリンHDは07年12月期実績。
   医薬亮上高はセグメント情報から作成。時価総額は2月12日の終値から算出

 



平成20年2月13日 富士フイルムホールディングス/大正製薬/富山化学工業 

富士フイルム、大正製薬、および富山化学による戦略的資本・業務提携の基本合意について

 富士フイルムホールディングス株式会社(社長:古森重隆、以下富士フイルム)、大正製薬株式会社(社長:上原明、以下大正製薬)、富山化学工業株式会社(社長:菅田益司、以下富山化学)の三社は、本日、富山化学の「医療用医薬品事業」の強化を中心とする戦略的資本・業務提携を行うことで基本合意に至りましたので、お知らせいたします。

 本日の基本合意に基づき、まず富山化学が実施する第三者割当増資を富士フイルムおよび大正製薬が引き受け、次に、富士フイルムが富山化学の公開買付けを行います。さらに富山化学による全部取得条項付株式の発行を通じた方法を経て、富士フイルムから大正製薬に一部の株式譲渡を行い、最終的に富士フイルムが66%、大正製薬が34%の富山化学の株式を保有する予定です。

≪業務提携の骨子≫

【富士フイルムにとっての本戦略的提携の位置付けおよびその狙い】


 今回、富士フイルムは、連結子会社の
富士フイルムRIファーマ株式会社(放射性医薬品事業)、富士フイルムファインケミカルズ株式会社(医薬品原薬・中間体事業)に加え、研究開発型企業として高い実績をあげている富山化学と株式取得による戦略的提携を行い、医療用医薬品事業に本格参入することで、今後は「予防〜診断〜治療」という全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーグループとして、新たな事業ドメインによる戦略展開を進めます。

【大正製薬にとっての本戦略的提携の位置付けおよびその狙い】

【富山化学にとっての本戦略的提携の意義およびその効果】

 富山化学にとっては、富士フイルムが写真事業を通じて長年蓄積してきた多様な独自技術(各種診断技術、解析技術、ナノ乳化分散技術、薄膜形成技術、精密合成技術、RI標識抗体技術、コラーゲン技術など)や人材、そしてグループ会社の生産技術や開発力という経営資源の提供を受けることで、富山化学が有する新薬パイプラインの強化および治験期間の短縮化が期待され、また、富士フイルムの分散技術によるナノ粒子化など、富士フイルム独自のFTD(Formulation Targeting Delivery)技術の応用展開により、従来にない新たな医薬品を開発することが可能となります。
 さらに、富士フイルム、大正製薬との戦略的な業務提携および資本提携により得られる資金支援、生産支援、海外販売網の構築支援を通じて、富山化学は収益性を大幅に向上させるとともに、特定疾患領域における有力製薬メーカーへの飛躍が期待できるものと考えております。

[2008年2月末]

 富山化学は、富士フイルムおよび大正製薬を割当先とした約300億円の第三者割当増資を実施し、両社はそれぞれ約198億円、約102億円を引き受けます。

[2008年2月19日〜同年3月18日(予定)]

 富士フイルムにより富山化学株式の公開買付け(1株あたり880円。ただし、応募株式が73,190,000株に満たないときは、応募株式の全部買付けを行わないものとします。)を実施する予定です。(買付け期間予定:2008年2月19日〜同年3月18日)なお、本日開催の富山化学の取締役会において、本公開買付けに関する賛同決議がなされています。

[2008年7月目途]

 第三者割当増資を実施し、本公開買付けが成立した後、富士フイルムおよび大正製薬は、合わせて富山化学の発行済株式総数の3分の2以上を取得することになり、富山化学は臨時株主総会の決議により、その発行するすべての株式を全部取得条項付株式に変更した上で、その株式の取得と引き換えに富山化学は新たな株式を交付します。


2008年11月27日 富士フイルム

富士フイルム 急成長する中国医療IT事業に本格参入
  中国の医療ITシステムでトップシェアの天健社を子会社化

富士フイルム株式会社(社長:古森 重)は、中国の医療ITシステム会社 北京天健源達科技有限公司(本社:中国 北京、以下天健社)を株式取得により子会社化し、12月より急成長する中国医療IT分野における事業拡大に向けた取り組みを本格展開していきます。

北京天健源達科技有限公司の概要

設立1993年(天健社の前身の会社)

所在地

中国 北京(本社)

その他拠点 瀋陽、石家荘、南京、長沙、広州、西安、重慶

事業内容 中国における医療IT製品の開発、販売、保守サービス
売上高 約13億円(2007年度)
従業員数 約370名

2009年2月5日 富士フイルム

内視鏡製品の国内販売子会社「フジノン東芝ESシステム」を完全子会社化
  開発・製造・販売・アフターサービスまでの一貫体制を構築し、内視鏡事業の競争力を強化!

富士フイルム株式会社(社長:古森 重驕jは、東芝メディカルシステムズ株式会社(社長:小松 研一、以下東芝メディカル)との間で、内視鏡製品の国内販売子会社であるフジノン東芝ESシステムの東芝メディカルの全保有株式(40%)を富士フイルムが譲受することで合意しました。株式譲受日は3月31日を予定しています。

富士フイルムは、平成20年10月に、成長事業であるメディカル・ライフサイエ ンス事業の中でも重点分野として位置付けている内視鏡事業を子会社のフジノン株式会社より移管し、開発・製造・マーケティング機能を強化しています。

また、完全子会社化にあわせて、4月1日付けでFTSを医療機材国内販売子会社である富士フイルムメディカルに統合し、FMSのもとでメディカル製品の国内販売の一元化を図ります。

【FTSの概要(平成21年1月31日現在)】

商号

フジノン東芝ESシステム株式会社

代表者

宇田川 哲夫

本店所在地 

東京都文京区本郷1-28-10 本郷TKビル1F

創立年月

平成14年3月

資本金

200百万円

株主構成

富士フイルム 60%、東芝メディカルシステムズ 40%

事業の内容

内視鏡およびその関連商品の日本国内における販売・サービス

決算期

3月

【FMSの概要(平成21年1月31日現在)】

商号

富士フイルムメディカル株式会社

代表者

加藤 久豊

本店所在地 

東京都港区西麻布2-26-30 富士フイルム西麻布ビル

創立年月

昭和40年1月

資本金

1,200百万円

株主構成

富士フイルム 100%

事業の内容

医療用ネットワークシステム・機材の設計開発・販売
医療系ネットワークシステム・機材の技術サービス

決算期

3月

 


2010年2月9日 富士フイルム

富士フイルム 医薬品開発・販売に本格参入
  富士フイルムファーマ株式会社を設立
  三菱商事、東邦ホールディングスと資本・業務提携

富士フイルム株式会社(社長:古森 重驕jは、平成22年4月営業開始を目指して富士フイルムファーマ株式会社(社長:八木 完二、以下FFP)を設立し、医薬品開発・販売に本格参入します。また、三菱商事株式会社(以下三菱商事)、東邦ホールディングス株式会社(以下東邦 HD)との資本・業務提携により早期にビジネスを確立し、高品質で信頼性の高い医薬品を医療機関に安定供給していきます。

今回の新会社設立は、富士フイルムの医薬品事業の開発、販売基盤を構築することを目的としており、FFPは医薬品の開発、製造および販売を行います。営業開始当初はジェネリック医薬品の販売から開始します。

ジェネリック医薬品は先発医薬品に比べて安価であり、国内では厚生労働省が患者 負担の軽減や医療費抑制を目的として、普及を推進しています。一方、今後の利用促進のためには、医療関係者に対し、ジェネリック医薬品の品質や安定供給、 情報提供に関する信頼性を高めていく必要があると言われています。FFPはこうしたニーズに対応し、「原材料の品質管理」「製造工程および設計品質の管 理」「市販後の品質管理」という「3つの品質管理」を中心とした「FFP独自の医薬品に対する品質保証基準」(*1)を設け、この基準に合致した製品を国 内外の提携製薬企業から選別評価・調達し、富士フイルムブランド製品として医療機関や調剤薬局にお届けし、信頼性の高いジェネリック医薬品の普及に努めま す。

さらに、FFPは富士フイルムの医薬品研究所と連携して、独自のFTD技術 (*2)を駆使した高付加価値なジェネリック医薬品を開発、販売します。将来は、同技術を軸に、ジェネリック医薬品に限らず富士フイルムが開発する特長あ る新薬も手掛ける総合医薬品会社を目指します。FTD技術の活用によって、薬剤の溶解性向上、安定性向上、徐放化、剤型変更などを実現し、従来品と比較し て、体への負担が少なく、医療機関にとって使いやすい薬剤の提供を目指します。

富士フイルムは、今回のFFP設立にあたり、医療分野で幅広いライフサイエンス ビジネスを推進し、国内外の製薬会社・原薬メーカーとの強いネットワークを持つ三菱商事と提携し、高品質な原薬を低コストで入手できる体制をつくります。 また、医薬品卸売大手の一社として、広範な販売網と物流ネットワークを持つ東邦HDと提携することで、医薬品の安定供給の体制を構築します。この両社と資 本関係を含む業務提携を行い、医薬品業界における新しい事業モデルの構築を目指します。

富士フイルムグループは、メディカル・ライフサイエンス事業を重要な成長分野と して位置付け、総合ヘルスケアカンパニーとして「予防〜診断〜治療」の全領域をカバーしていくことを目指し、事業を展開しています。「治療」の領域におい ては、優れた創薬力を有する富山化学工業、放射性医薬品で長年の実績がある富士フイルムRIファーマなど新薬メーカーが傘下にあり、独自の抗体開発技術を 持つ東大発ベンチャーの株式会社ペルセウスプロテオミクス、医薬品原料生産を手掛ける富士フイルムファインケミカルズ株式会社をグループ内に有しております。また、新薬候補の探索強化を目的に昨年6月に医薬品研究所を設立し、医薬品事業を拡大してきました。「診断」の領域においては、デジタルX線画像診断 装置や医用画像情報システム、内視鏡などで、長年にわたり医療業界において実績があります。これらの富士フイルムグループにおける独自技術とリソースを生かし、総力を結集して特長のある医薬品の研究、開発を行いFFPの医薬品事業に活用していきます。

2006年10月に第一製薬より治療用放射性医薬品メーカーの第一ラジオアイソトープ研究所(1968年に第一製薬とMallinckrodt とのJVで設立、1988年に第一製薬の100%子会社)を買収し、富士フイルムRI ファーマと改称した。

1971年に写真用原料メーカーの三協化学(1990年代に医薬品製品に進出)に40%出資したが、2006年にこれを100%子会社とし、富士フイルムファインケミカルズに改称した。

ペルセウスプロテオミクス (Perseus Proteomics)
2009年2月に第三者割り当てにより株式の77%を取得、同社は富士フィルムの子会社となった。
今後ペルセウスは、ガンや生活習慣病に対する抗体医薬品シーズや診断マーカーの開発をさらに推し進める。

*1 FFP独自の医薬品に対する品質保証基準: 写真フィルム事業で培った高い信頼を持つ富士フイルム製品の品質基準をジェネリック医薬品にも適用しようとするもので、FFP独自の品質保証を確保するための「3つの品質管理」の運用基準。

*2 写真フィルムなどの開発で培った富士フイルムの独自の技術。乳化、分散、ナノ粒子、ナノカプセル形成、多孔質・多層薄膜などによって、目的とする化学物質 を「処方化、製剤化」(Formulation)して、「目的の部位」(Targeting)に「適切な量を、適切なタイミングで届ける」(Delivery)技術。

 

ライフサイエンス研究所
体外診断分野(生化学、免疫、遺伝子)、ヘルスケア分野(機能性化粧品・機能性食品)、および創薬分野(FTD、生体適合性材料、抗体)の基盤技術構築と製品開発を行っています。

医薬品研究所
ライフサイエンス研究所で開始した医薬研究をさらに本格的に展開するために新たに設立された研究所です。創薬研究に必要な薬理評価技術、ドラッグデザイン技術に加え、富士フイルムが強みとする有機合成技術、解析技術、画像・診断技術などのコア技術を駆使した独自のプロセスにより、がん領域を中心とし た低分子医薬品、DDS医薬品などの探索研究を進めています。

 
1. 新会社の概要
(1) 社名 : 富士フイルムファーマ株式会社
(2) 事業内容 : 医薬品の研究開発、製造、販売および輸出入
(3) 設立年月日 : 平成21年11月2日
(4) 資本金 : 50百万円
(5) 代表取締役社長 : 八木 完二
(6) 営業開始 : 平成22年4月(予定)
(7) 株主 : 富士フイルム(80%)、三菱商事(15%)、東邦HD(5%)
(8) 提携企業の役割
  • 三菱商事 : 国内外からの良質な原薬および医薬品の調達、海外販路の開拓などを支援。
  • 東邦HD : FFP製品の販売・物流を担当し、医療機関に安定供給する。FFP製品の医療機関、調剤薬局への販売活動展開。
    (2009/4 純粋持株会社体制へ移行し、東邦薬品(株)から東邦ホールディングス(株)に改称)
2. FFPの「3つの品質管理」への取り組み
富士フイルムは、写真フィルムの製造において、製品の均一性・信頼性を最重要視し、原材料の調達から包装に至るまでの 各工程に厳しい品質保証を課してきました。FFPは、ジェネリック医薬品の販売にあたり、お客さまに安心して当社の医薬品を使用いただくため、在庫確保と 納期短縮による安定供給に取り組むことはいうまでもなく、富士フイルムの厳しい品質管理システムを医薬品に適用して、「3つの品質管理」を中心とした 「FFP独自の医薬品に対する品質保証基準」を設けました。
(1) 原材料の品質管理
ジェネリック医薬品の原材料に関して、その製造所、製造マネジメント、原薬(特に不純物プロファイル)にわたって品質管理を行っていきます。これにより、確かなエビデンスのもとに製造された原材料を使った医薬品を提供していきます。
(2) 製造工程および設計品質の管理
FFPは、製造委託先の定期的監査を実施することにより、均一な品質を確保します。また、製剤物性の確認、定期的な溶出試験などをとおして設計品質を管理します。これらの施策により、徹底した高品質の医薬品を供給する体制を構築していきます。
(3) 市販後の品質管理
FFPの医薬品を安心して選んでいただくため、グループ内の医療ITネットワークシステム(*3)も活用し、薬剤の有効性、副作用情報など、市販後の医薬品に関する情報の収集と提供に努めます。

*3 富士フイルムが「診断」領域で展開中の医用画像情報ネットワークシステム「SYNAPSE」、および病院と診療所のネットワーク医用サービス 「C@Rna」がある。富士フイルムは、これらのシステムとサービスを他の医療ITと連携させ、全診療情報を統合したクリニカルインフォメーションシステ ム(CIS)へ展開することを目指している。


2009年6月26日

画期的な医薬品の創出を目指し、新薬候補の探索を強化!
「富士フイルム医薬品研究所」を設立

有機合成・解析・イメージングなど独自の先端技術を融合

富士フイルム株式会社(社長:古森 重驕jは、医薬品事業の一層の発展を図るため、がんおよび再生医療領域を中心とした新薬候補を探索する新たな研究組織として、本日付で「富士フイルム医薬品研究所」を神奈川県開成町に設立いたしました。薬理と合成を中心とした従来型の創薬に富士フイルム独自の先端技術を融合し、画期的な医薬品の創出を目指 します。

新研究所では、当初は主にがん領域を対象として、低分子医薬品、FTD技術 (*1)を活用したDDS医薬品(*2)などの探索を重点テーマとして研究します。抗がん剤の創薬研究は、活性化合物(*3)の設計技術(ドラッグデザイ ン)と、薬物動態解析技術(*4)やイメージング技術を活用した薬理評価技術を融合することが重要であり、富士フイルムの強みである有機合成技術、解析技 術、イメージング技術を始めとする広範囲な技術力を生かして、本分野の研究を強化・推進していきます。また、将来の展開を見据えて再生医療領域の研究にも 着手します。そのために、薬理や生化学、有機合成、解析、FTD技術など各研究所に分散していた多彩な技術とそれぞれの分野の研究者を新研究所に集約して 一体となって新薬候補の探索を進めます。

富士フイルムグループは、メディカル・ライフサイエンス事業を重要な成長分野と して位置づけ、総合ヘルスケアカンパニーとして「予防〜診断〜治療」の全領域をカバーしていくことを目指し、事業を展開しています。「治療」の領域におい ては、放射性医薬品のパイオニアとして長年の実績がある富士フイルムRIファーマ、 優れた創薬力を有する富山化学工業、独自の抗体開発技術を持つ創薬系バイオベンチャーのペルセウスプロテオミクスの3社をグループ会社化することで医薬品 事業を拡大。富士フイルムグループにおける幅広い異分野の技術との融合を図り、写真フィルムなどさまざまな製品開発で蓄積してきた20万種類におよぶ独自の化合物ライブラリーや先進の材料技術の医薬品への展開・活用を推進しています。

今後も高い技術力と豊富な経験を生かして、先進独自の技術をもって最適なソリューションをご提供し、人々のクォリティ オブ ライフのさらなる向上に努めていきます。

*1 写真フィルムなどの開発で培った富士フイルムの独自の技術。乳化、分散、ナノ粒子、ナノカプセル形成、多孔質・多層薄膜などによって、目的とする化学物質 を「処方化、製剤化」(Formulation)して、「目的の部位」(Targeting)に「適切な量を、適切なタイミングで届け る」(Delivery)技術。

*2 目標とする患部に薬物を効果的に送り込む技術を適用した薬剤。DDS:Drug Delivery System(薬物送達システム)の略。

*3 疾患の原因となる因子(創薬ターゲット)に作用を示す化合物。

*4 投与された薬物がどのように吸収され、組織に分布し、代謝され、排泄されるのかを解析する技術。


2010年8月30日 富士フイルム

富士フイルム ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社と資本提携

  再生医療(*1)材料の研究・開発を加速させ、事業化を推進

 富士フイルム株式会社(社長:古森 重驕jは、このたび、国内で細胞再生医療材料事業を展開する株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(社長:小澤 洋介、以下J-TEC)による40億円の第三者割当増資を引き受けることを決定いたしました。増資引き受け後は、同社が発行する株式の41%を保有するこ ととなる見込みです。

 再生医療は、人工臓器や移植による治療に代わり、失われた組織や臓器を再生させ ることが可能な、有望な治療法として注目されています。特に、拒絶反応の無い移植用の組織や臓器の作製につながるiPS細胞(*2)の登場以来、最近の研 究の進展は目覚しいものがありますが、安全性の確保など多くの課題があり、iPS細胞の実用化にはかなりの時間を要する状況です。また自家細胞を用いた再 生医療をさらに発展させるには(1)分化・増殖して人の組織となる「細胞」のみならず、(2)細胞の分化・増殖を誘導する増殖因子などの「サイトカイン (*3)」、そして(3)細胞が正常に生育・増殖するために必要な「足場(*4)」の三要素を、最適に組み合わせながら進化させていく必要があります。

 富士フイルムは、長年の写真事業をとおして培ったコラーゲンなどの高分子材料に 関する知見やノウハウと、素材を微粒子化・多孔化する成型技術などを応用し、「足場」の素材に求められる生体適合性、生分解性、機械強度などの性能につい て研究を進めてきました。そしてその成果として、遺伝子工学を応用して、生体適合性に優れるコラーゲンをモデルとしたリコンビナントペプチド(*5) (RCP)とその量産技術を開発しました。さらにこのRCPを「足場」材として、細胞と組み合わせた再生医療材料に展開を図るため、細胞/サイトカインを 用いた培養技術に秀でたJ-TECと強固な関係を結び、研究開発を加速させる目的で資本提携を行うことを決定しました。

 J-TECは日本における再生医療のパイオニアで、細胞培養に優れた独自の技術 を保有し、自家培養表皮(*6)「ジェイス」の製造販売承認を取得するなど、国内で細胞再生医療材料事業を実施する唯一のバイオベンチャー企業です。J- TECの強みは、国内で唯一再生医療の事業経験を有する企業としての研究・開発・生産などの多面に渡る技術力とノウハウであり、富士フイルムの強みは、足 場材の基盤となる材料技術、材料を最適な構造に仕上げる微細成型技術、そして今後の再生医療に不可欠な生体イメージング技術を保有することです。両社が協 力して再生医療材料の研究開発を進めるに当っても、なお実用化までには幾つかの課題が残されており、課題解決までに数年の期間は必要となるものの、今回の 資本提携をとおして再生医療に大きな一歩を踏み出すことになります。

 富士フイルムグループは、医療関連の事業を重要な成長分野として位置付け、「予 防〜診断〜治療」の全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーを目指した事業展開を進めています。今後も高い技術力と豊富な経験を生かし、先進独自の技 術をもって最適なソリューションをご提供し、人々のクオリティ オブ ライフのさらなる向上に努めます。

*1 再生医療 : 人工的に培養した細胞や組織などを用いて損傷した臓器や組織を再生し、患部の機能を回復させる医療技術。人工臓器や移植に代わる有望な治療法として現在注目されている。

*2 iPS細胞 : 体細胞に遺伝子操作を加え、すべての細胞に分化することができる、人工的に作り出した幹細胞。幹細胞とは、一定の範囲の細胞に分化する能力(多分化能)を持ち、細胞分裂を繰り返しても多分化能を失わない細胞。

*3 サイトカイン :細胞から産生される蛋白(たんぱく)質で、受容体を持つ細胞に働きかけ、細胞の増殖・分化・機能発現を誘導する。

*4 足場 : 細胞が接着し正常に増殖するために必要な場を提供する細胞外物質(細胞外マトリックス、スカフォールドともいう)。

*5 リコンビナントペプチド : コラーゲンの遺伝子を細胞に組み込んで、遺伝子工学により細胞培養で作製した蛋白(たんぱく)質。

*6 自家培養表皮 : 患者本人の皮膚細胞から採取した表皮細胞を、培養で増やしシート状にして戻し、皮膚を再生することを目的にした再生医療材料。

<J-TECの概要>

再生医療製品および関連製品の研究・開発、製造、販売を主要な事業目的として、薬事法の適用を受ける再生医療製品事業と、薬事法の適用を受けない研究開発支援事業を展開している。

所在地 愛知県蒲郡市三谷北通6丁目209番地-1
設立 1999年2月1日
資本金 57億1,495万円
事業内容 再生医療製品、研究開発支援製品の研究・開発、製造および販売

ティッシュエンジニアリングとは、1993年に米国の研究者によって提唱された概念で、生きた細胞を使って本来の機能をできるだけ保持した組織・臓器を人工的に作り出すことを目的としています。
ティッシュエンジニアリングを実現するためには、生きた「細胞」、人工的に作られた「材料」、細胞や生体に影響をもたらす種々の「生理活性物質」の3つの要素が必要であり、これらを一定時間、適切な環境において組み合わせることで、生体機能を有した組織・臓器を創出できるという考えに基づいています。
また、それぞれの研究の実現には、医学・工学・理学・薬学などの異分野間研究交流(学際的研究)が重要とされています。さらに、従来、主に基礎研究の目的で使われていた細胞培養という手法を、培養した細胞そのものを患者治療に用いる点で革新的であるとされています。

日本では再生医療という領域の一部(または再生医療を実現する手段)として認識されており、「組織工学」とも呼ばれています。
ティッシュエンジニアリングは、再生医療の実現に向けた新しい手段です。J-TECの社名には日本でティッシュエンジニアリングを確立する決意が込められています。

事業
@自家培養表皮
正常な皮膚から増殖能力が優れた表皮細胞を取り出して人工的に培養し、皮膚のようにシート状にしたものを受傷部位に移植する培養表皮移植の技術

A自家培養軟骨
軟骨組織はケガなどで一度損傷を受けると自然には治らない組織。
(軟骨組織には血管がなく、損傷を受けても、それを治すための細胞も、細胞を増やすための栄養も供給されないので、軟骨は自然治癒しない。)
軟骨細胞には増殖する能力があるため、患者の軟骨組織の一部を取り出し、軟骨細胞が増殖できるような環境を整えて作るのが自家培養軟骨。軟骨欠損に自家培養軟骨を移植することで修復が期待される。

B自家培養角膜上皮
角膜のもととなる細胞は角膜輪部(瞳の周辺の部分)に存在し、ここから新しい角膜ができる。
角膜に重度の障害を受けた場合、わずかでも正常な輪部が残っていれば、その輪部組織から角膜上皮細胞を分離・培養することにより自家培養角膜上皮をつくり、これを移植する。

研究開発支援事業
J-TECでは、医療用培養表皮や培養軟骨の開発で蓄積した高度な培養技術を応用して、研究用ヒト培養組織(ヒトの細胞を用いて体外で培養し、再構築させた組織)モデルを開発し、販売している。
ヒト組織に極めて近い構造を再現できるため、動物や単純な培養細胞の代替とな る種々の実験への適用が可能で、外用医薬品や化粧品の開発、皮膚を用いた各種研究に使用することができる。

・LabCyte EPI-MODEL(ラボサイト エピ・モデル)
  ヒト正常表皮細胞を重層培養したヒト3次元培養表皮モデル
  (
実験動物による皮膚刺激性試験の代替材料)

・メラノサイト含有ヒト3次元培養表皮 LabCyte MELANO-MODEL ラボサイト メラノ・モデル)
  ヒ ト正常表皮細胞にメラノサイト(色素細胞)を加えて3次元培養したラボサイト メラノ・モデル。
  (薬剤・UVなどの各種刺激により、培養中のメラノサイト増殖やメラニン産生誘導を確認できる)

・ヒト3次元培養角膜上皮 LabCyte CORNEA-MODEL (ラボサイト 角膜モデル)
  ヒト正常角膜上皮細胞を重層培養したヒト3次元培養角膜上皮モデル
  (化合物の眼刺激性試験に加えて、角膜上皮の分子生物学的解析に利用)


2011/2/28 

富士フイルム バイオ医薬品分野に参入し医薬品事業を拡大
 バイオ医薬品受託製造のリーディングカンパニー2 社の全株式を米国メルク社から取得

 富士フイルム株式会社(社長:古森 重驕jは、このたび、米国Merck & Co., Inc.(本社:米国 ニュージャージー州、社長:Kenneth C. Frazier、以下メルク社)の100%子会社で、バイオ医薬品の受託製造会社(Contract Manufacturing Organization、CMO)であるMSD Biologics (UK) Limited 社(本社:英国ビリンガム、以下MSD バイオロジクス社)、およびDiosynth RTP Inc. 社(本社:米国ノースカロライナ州、以下ダイオシンス社)の発行済全株式を取得することを決定し、平成23年2月25日、株式譲渡契約を締結いたしました。 富士フイルムは、MSD バイオロジクス社とダイオシンス社の2社を100%子会社として新たにスタートさせます。

 がんやリウマチなど、未だに有効な治療方法が確立されていないアンメット・メディカル・ニーズが高い一部の疾患領域では、有効な治療薬として、バイオ医薬品に期待が高まっています。バイオ医薬品は、化学合成では達成できない薬理作用がある複雑な構造を持ったタンパク質などの生体分子※1を活用した医薬品です。副作用が非常に少なく、高い効能が期待できることから、医薬品市場におけるバイオ医薬品の割合は今後ますます拡大すると予想されます。一方、バイオ医薬品の製造には、タンパク質などの培養・抽出・精製といった高度な技術やノウハウが必要で、生産コストが高く、安定性・抗原性の確認も難しいといった課題が挙げられています。

 MSD バイオロジクス社とダイオシンス社は、バイオ医薬品の開発・製造に必要なタンパク質を、効率的に細胞や微生物を使って発現させる高度なバイオテクノロジーや、培養から抽出、精製にいたるプロセスの管理ノウハウ、経験豊かな人材、製造設備を持つバイオ医薬品受託製造のリーディングカンパニーです。これまで、メルク社は両社を生産プロセスの開発から製造までを行う「Merck Biomanufacturing Network」として一体運営してきました。今回、富士フイルムがこれらの2社を買収するのは、メルク社が、シェリング・プラウ社との合併を機にバイオ医薬品の受託製造事業を見直し、生産設備を最適化することに伴うものです。

 バイオ医薬品の受託製造市場は年率15%以上の成長が見込まれており、生産能力の確保がきわめて重要な課題です。富士フイルムは、これらの2社を買収することで、今後市場が拡大するバイオ医薬品事業に本格的に参入し、受託製造事業を強力に展開します。長年、写真フィルム事業で培った生産や品質管理、そしてコラーゲンなどの高分子材料に関する知見を両社の今後の事業運営に活かしていきます。

 富士フイルムは、メディカル・ライフサイエンス事業を重要な成長分野と位置付け、設備投資や研究開発を大幅に強化、積極的なM&A 展開による事業の拡大を進めています。その一環として、「医薬品・ヘルスケア研究所」や、開発から製造・販売までを担う「富士フイルムファーマ」を設立しました。また、抗感染症などの領域を中心とした医薬品に取り組む「富山化学工業」や、放射性医薬品などに取り組む「富士フイルムRI ファーマ」、独自の抗体開発技術を持つ「ペルセウスプロテオミクス」などの富士フイルムグループの医薬品関連企業と、細胞再生医療材料事業を展開する「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」等と連携し、独自技術を活かした医薬品、再生医療材料の研究・開発を推進しています。
 富士フイルムグループは今後も、先進独自の技術で、人々のクォリティ オブ ライフのさらなる向上に努めます。

※1 生体分子 : 生物の生命活動に係わっている分子レベルの物質。代表的なものにタンパク質、ペプチド、核酸などがある。
医薬品としては、例えば成長ホルモンやインスリン、抗体などタンパク質が主に使われている。

<MSD バイオロジクス社およびダイオシンス社の事業概要>
MSDバイオロジクス社
会社名 MSD Biologics (UK) Limited
所在地 英国 Billingham
事業内容 微生物を用いたバイオ医薬品の開発・製造受託事業者。バイオベンチャーや製薬企業からの業務を請け負う。
英国化学メーカーICI 社の特殊化学部門を起源とし、1996 年、英国Zeneca 社としてCMO 事業を開始。微生物培養の研究開発・製造に優れ、独自の開発技術とバイオ医薬品の治験から商用生産まで一貫して対応が可能なGMP 製造設備を有する。FDA(Food and Drug Administration 米国食品医薬品局)による商用生産の許認可実績を持つ。

ダイオシンス社
会社名 Diosynth RTP Inc.
所在地 米国ノースカロライナ州Morrisville
事業内容 細胞や微生物を用いたバイオ医薬品の開発・製造受託事業者。バイオベンチャーや製薬企業からの業務を請け負う。
バイオ医薬品の開発からラージスケールの量産製造まで豊富な経験とバイオ医薬品の治験から商用生産まで一貫して対応が可能なGMP 承認を得た製造設備を有する。FDA による商用生産の許認可実績を持つ。
1923 年創業。


平成23年 7月28日 富士フイルム          

ジェネリック医薬品大手企業Dr. Reddy’s Laboratories と業務提携
ジェネリック医薬品の開発・製造合弁会社を国内に設立

 富士フイルム株式会社(社長:古森 重驕jは、ジェネリック医薬品大手企業である
Dr. Reddys Laboratories Ltd(本社:インド、CEO G V Prasad、以下DRL社)と、日本市場向けのジェネリック医薬品事業で業務提携し、国内に合弁会社を設立する基本合意を本日締結いたしました。今後、新会社は、高品質かつ競争力のあるジェネリック医薬品を開発・製造し、平成26年の市場導入を目標に準備を進めていきます。

 国内においては、政府が「平成24年度までに後発医薬品の数量シェアを30%以上にする」という目標を掲げ、患者負担の軽減や医療費抑制を目的に、先発医薬品に比べて安価なジェネリック医薬品の普及を図っています。一方、ジェネリック医薬品を、今後ますます普及させていくためには、医療機関や患者にとってこれまで以上に安心して使用できる、高品質な製品を安定的に供給することが求められます。

 今回、富士フイルムが業務提携するDRL社は、インドではトップクラスで、世界でもトップ10に入るジェネリック医薬品の開発・製造・販売会社です。売上高は1,300億円を超え、その31%を北米、22%を欧州、15%をロシア、32%をインドを含むその他地域で占めてます。今後、基本合意に沿って、両社でジェネリック医薬品の開発・製造の新会社(
出資比率 富士フイルム:51%、DRL社:49%)を設立します。

 新会社では、富士フイルムが写真フィルムで培った高度な品質管理技術や生産技術と、DRL社がグローバル展開の中で蓄積してきた原薬や製剤中間体の低コスト生産技術などを融合して、高品質でコスト競争力に優れたジェネリック医薬品を開発・製造していきます。また、日本市場のニーズを取り入れた製品設計を行なうことで、信頼性の高いジェネリック医薬品を提供し、さらなる普及を図っていきます。

 富士フイルムは、独自のFTD技術を駆使したスーパージェネリック医薬品(※)の開発や、製品の高度な品質管理技術に、今回の提携で備えた高いコスト競争力を加えて、さらに強い事業基盤を構築し、ジェネリック医薬品分野への取り組みを加速させていきます。また、DRL社との提携を足がかりに、DRL社のネットワークを通じて、ワールドワイドにスーパージェネリック医薬品を提供することも検討していきます。

 富士フイルムは、メディカル・ライフサイエンス事業を重要な成長分野として位置付け、総合ヘルスケアカンパニーとして「予防〜診断〜治療」の全領域をカバーしていくことを目指し、事業を展開しています。今後も先進独自の技術とリソースを生かし、人々のクォリティ オブ ライフのさらなる向上につなげるための医薬品分野の取り組みを強化していきます。

※ 写真フィルムなどの開発で培った、富士フイルム独自のFTD技術を使い、患者の負担軽減や医療機関での取扱い易さの向上を目的に改良したジェネリック医薬品。FTD技術とは、乳化や分散、ナノ粒子、ナノカプセル形成、多孔質・多層薄膜などによって、目的とする化学物質を「処方化、製剤化」(Formulation)して、「目的の部位」(Targeting)に「適切な量を、適切なタイミングで届ける」(Delivery)技術。

【DRL社の概要】
会社名 Dr. Reddy’s Laboratories Ltd
所在地 8-2-337, Road No.3, Banjara Hills, Hyderabad 500034, India
代表者 G V Prasad
資本金 846百万ルピー
売上  US$1,667百万(平成23年3月期)
従業員 約14,700名(平成23年3月末時点)
事業内容 ジェネリック医薬品事業他

2011/5/12 イスラエルの後発薬最大手テバ、日米で買収


2013年6月3日 富士フイルム   

ジェネリック医薬品の開発・製造合弁会社の設立に関する基本合意を解消
 

富士フイルムは、ジェネリック医薬品企業であるDr. Reddy’s Laboratories Ltd(ドクターレディーズラボラトリーズ、本社:インド、CEO:G V Prasad、以下DRL社)との合弁会社設立に関する基本合意を解消しましたので、お知らせいたします。

富士フイルムは、平成23年7月に、国内におけるジェネリック医薬品の開発・製造合弁会社の設立に関して、DLR社と基本合意を締結しました。その後、合弁会社設立に向けて詳細検討を進めてきましたが、医薬品事業の成長戦略を検討する中で、よりプライオリティーの高い領域へ資源・リソースを投入していくことが必要と考え、このほどDRL社との基本合意を円満に解消しました。

なお、DRL社とは、今後、原薬の開発・製造、製剤の開発・製造の委託、スーパージェネリック医薬品の開発・マーケティングなどにおける協業の可能性を検討していきます。



2014年10月27日 富士フイルム

富士フイルム 成長するワクチン受託製造市場へ参入
    
バイオ医薬品受託製造子会社を通じて、米国の受託製造会社Kalon社を買収

 
富士フイルムは、この度、富士フイルムの子会社でバイオ医薬品(*1)受託製造会社(CMO)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies USA., Inc.(FDBU)を通じて、バイオ医薬品CMOでワクチン製造に強みを持つ、Kalon Biotherapeutics, LLC(米国テキサス州alon社)を買収します。これにより、ワクチンCMO市場に参入し、バイオ医薬品事業をさらに拡大していきます。

FDBUは、10月22日、Kalon社の持分所有者であるテキサス州およびテキサス A&M大学(*3)と、Kalon社の持分譲渡に関する契約を締結しました。今後、数か月以内に決済手続き(*4)を行い、Kalon社の全持分の49%を取得します。また、Kalon社の取締役の過半数を富士フイルムグループから任命します。

今後FDBUは、本契約に規定されたマイルストーンに沿って持分比率を100%まで引き上げていきます。

Kalon社は、平成23年にテキサスA&M大学によって設立された、高度な技術と最先端の設備を持つバイオ医薬品CMO会社です。米国保健福祉省傘下の米国生物医学先端研究開発局(以下、BARDA)(*5)から、バイオテロや新型インフルエンザのパンデミックなどの非常時に公共の健康を守るための医療手段を開発・製造する重要拠点「Center For Innovation In Advanced Development and Manufacturing」(CIADM)の1つとして指定されています。また、テキサス州はテキサス新興技術基金(Texas Emerging Technology Fund)(*6)を通して、本拠点の建設・運営を援助しています。

Kalon社はワクチンを動物細胞培養法で製造することに強みを持っています。ワクチン製造に必要なウイルスを製造工程内にとどめる、世界トップレベル(*7)の高度な封じ込め技術を保有しており、新型インフルエンザウイルスやエボラウイルス、炭疽菌などに対するワクチンを安全かつ安定的に製造することができます。

さらにKalon社は、ウイルスの高度な封じ込めが可能な、小型で可動式のモバイルクリーンルームを完備しています。このモバイルクリーンルームを同社のワクチン製造施設である「National Center for Therapeutics Manufacturing」に、最大20基まで設置することが可能です。この設備では、多品種のワクチンを同時並行で製造することができます。さらに、増設が容易なため、顧客からの増産要請にも柔軟に対応します。

本クリーンルームは、動物細胞培養法によるワクチンはもちろんのこと、抗体医薬品を含むあらゆる種類のバイオ医薬品の製造も可能で、今後高まるバイオ医薬品の多品種少量生産ニーズに応えることができます。

富士フイルムは、テキサス州行政庁およびテキサスA&M大学のサポートも得ながら、ワクチン分野への取り組みを強化していきます。

現在、バイオ医薬品は、副作用が非常に少なく、高い効能が期待できることから、その医薬品市場に占める割合は今後ますます拡大すると予想されており、同時にバイオ医薬品CMO市場は年率約7%(*8)の成長が見込まれています。なかでもワクチンの用途が、従来の感染症予防に加え、がんの予防・治療にも広がっていることなどから、ワクチンのCMO市場は、年率10%以上(*8)と高い成長が予想されています。

富士フイルムは、平成23年に米国Merck & Co., Inc.(*9)からバイオ医薬品の受託製造会社2社を買収し、FDBUおよびFUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited(以下、FDBK) として始動させてバイオ医薬品CMO事業に参入しました。その後、バイオ医薬品を含む医薬品ビジネスで長年の経験を持つ三菱商事と業務提携し、FDBUおよびFDBKの事業体制を強化してきました。

現在、富士フイルムは、長年の写真フィルムで培った生産技術や品質管理技術などを FDBU/FDBKに投入し、高品質なバイオ医薬品の効率的な生産を図っています。今後、FDBU/FDBKが持つ、高度な動物細胞・微生物培養技術(Apollo ™、pAVEway ™)、および昆虫細胞培養技術に、Kalon社の強みを組み合わせて、さまざまなワクチン製造ニーズにワンストップで応えられるサービス体制を構築し、バイオ医薬品事業のさらなる拡大を図っていきます。

*1 低分子医薬品では実現できない作用を持つ、たんぱく質などの生体分子を活用した医薬品。ワクチンのほかに、インスリン、成長ホルモン、抗体医薬品などを含む。
*2 Contract Manufacturing Organizationの略。薬剤開発初期の細胞株開発からプロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを、製薬企業などに対して提供する。
*3 米国最大規模の高等教育機関ネットワーク。テキサス州カレッジステーションのメインキャンパスを含む州内11の大学と、7つの州行政機関、2つの部局と事務室により構成される。
*4 本契約の締結後、米国政府機関による承認などを経て、決済手続きを行います。
*5 アメリカ合衆国保健福祉省傘下の組織。生物兵器や新型感染症などの緊急事態に備えて、必要な製品を開発および供給することを目的とする。
*6 2005年にテキサス州議会により設立された投資基金。約5億米ドルの予算を有し、これまでに約2.2億米ドルの助成金をテキサス州内の大学へ、2.1億米ドル超を145以上の新興企業に対し投資してきた。
*7 バイオセーフティーレベルで、レベル3まで対応可能。商用生産設備としては世界トップレベル。
*8 富士フイルム調べ
*9 北米以外では、Merck Sharp & Dohmeの社名を使用しています。
 
【Kalon社の会社概要】
会社名 Kalon Biotherapeutics, LLC
設立 2011年2月25日
所在地 College Station,Texas,U.S.A
代表取締役社長・CEO Andrew Strong

【FDBU、FDBKの会社概要】

  FDBU FDBK
会社名 FUJIFILM Diosynth Biotechnologies USA.,Inc. FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited
設立 1994年 1996年
所在地 101 J. Morris Commons Lane,
Morrisville, NC 27560, United States
Belasis Avenue, Billingham, TS23 1LH,
United Kingdom
代表取締役社長・CEO Steve Bagshaw Steve Bagshaw
株主構成 富士フイルム(80%)
三菱商事(20%)
富士フイルム(80%)
三菱商事(20%)

2015 年3 月30 日 富士フィルムホールディングス 

iPS 細胞の開発・製造のリーディングカンパニー 米国 Cellular Dynamics International, Inc.の買収合意
再生医療分野における事業を拡大

富士フイルムホールディングスは、本日、iPS 細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるCellular Dynamics International, Inc.(CEO:Robert Palay、本社:米国ウィスコンシン州マディソン、CDI )と、当社が株式公開買付けにより、CDI 社を買収することについて合意しました。
富士フイルムは、米国子会社を通じた本公開買付けにより、CDI 社の発行済普通株式の総数を総額(完全希薄化ベース※1)約307 百万米ドル(1株当たり16.5 米ドル)で取得します。

※1 オプション及びワラントがすべて行使されたときを前提として換算した場合。

本買収後、CDI 社は、当社の連結子会社として、米国ウィスコンシン州マディソン及びカリフォルニア州ノバトにおいて事業を継続することを予定しています。本買収は友好的なものであり、両社の取締役会において全会一致で承認されました。なお、本買収完了のためには、競争法上要求される手続きの完了を含む一定の条件を満たす必要があります。
今回買収するCDI 社は、2004 年に設立され、2013 年7 月にNASDAQ に上場したバイオベンチャー企業です。
CDI 社は、良質なiPS 細胞を大量に安定生産する技術に強みを持っており、大手製薬企業や先端研究機関など多くのユーザーとの供給契約、開発受託契約を締結しています。
現在、創薬支援や細胞治療、幹細胞バンク向けのiPS 細胞の開発・製造を行っており、既に創薬支援向けでは、心筋や神経、肝臓など12 種類の高品質なiPS 細胞を安定的に提供しています。

またCDI 社は、
  California Institute for Regenerative Medicine (CIRM)とのiPS 疾患細胞バンクの樹立、
  免疫拒絶を起こしにくいHLAタイプを持ったドナーから作るcGMP準拠iPS 細胞バンクの樹立、
  National Eye Institute (NEI )へのドライ型加齢黄斑変性症の臨床試験開始届を行うための前臨床試験用iPS 細胞受託を進めるなど、
米国でのiPS 細胞供給ビジネスを積極的に展開しています。

※2 CIRM(California Institute for Regenerative Medicine)は、2004 年に設立された慢性疾患・慢性傷害の診断・治療を目的とした幹細胞と再生医療のカリフォルニアの研究機関。
※3 HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)は、ほぼすべての細胞と体液に分布していて、組織適合性抗原(ヒトの免疫に関わる重要な分子)として働いている。造血幹細胞移植や臓器移植では、自分のHLA のタイプに合わないものはすべて異物と認識して攻撃を始めてしまうため、免疫拒絶反応を抑制する必要からHLA の適合性が重要視される。
※4 GMP(Good Manufacturing Practice)とは、「医薬品の製造管理および品質管理に関する基準」のことで、おおもとは WHO によって作成され、各国の事情に合わせて修正されたものが使われる。このうち、アメリカの FDA が定めたものをcGMP(current Good Manufacturing Practice)と呼ぶ。
※5 NEI は、米国の保健福祉省公衆衛生局の医学研究拠点機関NIH(National Institutes of Health)に所属し眼疾患治療の研究/支援をする機関。

※6 加齢黄斑変性症は、加齢に伴って目の奥にあり光を感じる網膜の中心部分である黄斑部が変性を起こす疾患で、進行すると失明に至る。網膜の下からもろい血管が伸びて起こる「ウエット型」と、それ以外の「ドライ型」がある。患者は世界で約3 千万人と推定され、既存の治療法として、「ウエット型」に対しては、光線力学療法、光凝固療法、抗VEGF 薬などがあるが完治には至らず、「ドライ型」に対しては有効な治療方法が確立されていない。日本では「ウエット型」が、米国では「ドライ型」が全体の9 割を占めると言われている。

富士フイルムは、これまで写真フィルムの研究開発・製造などで培ってきた技術やノウハウを活用して、再生医療に必要な、細胞増殖のための「足場」 として、生体適合性に優れ、さまざまな形状に加工できるリコンビナントペプチド(RCP)を開発しています。また昨年12 月には、日本で再生医療製品を上市している株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)を連結子会社化するなど、再生医療分野への取り組みを強化してきました。今回、CDI 社買収を通じ、iPS 細胞を使った創薬支援分野に参入します。さらに、CDI 社のiPS 細胞関連技術・ノウハウと富士フイルムの高機能素材技術・エンジニアリング技術やJ-TEC の品質マネージメントシステムとのシナジーを発揮させ、再生医療製品の開発加速、再生医療の事業領域の拡大を図るとともに、再生医療の産業化に貢献していくことを目指します。

※7 再生医療は、人工的に培養した細胞や組織などを用いて損傷した臓器や組織を再生し、患部の機能を回復させる医療技術。再生医療は、@分化・
増殖して人の組織となる「細胞」、A細胞の分化・増殖を誘導する増殖因子等の「サイトカイン」、B細胞が正常に生育・増殖するために必要な「足
場」が重要な三要素である。
※8 細胞が接着し正常に増殖するために必要な場を提供する細胞外物質(細胞外マトリックス、スキャフォールドとも言う)。
※9 ヒト
T型コラーゲンをモデルとし、遺伝子工学技術を用いて酵母細胞に産生させた人工タンパク質。

1. 本買収の概要
(1) 本公開買付け実施者
当社米国子会社の下に設立された買収目的子会社(SPC)
本買収のため、当社は、当社米国子会社(FUJIFILM Holdings America Corporation)の完全子会社としてSPC を米国ウィスコンシン州に設立しました。本公開買付け終了後、必要に応じてトップ・アップ・オプションを行使した後、SPC はCDI 社にウィスコンシン州法に基づく略式合併によって吸収合併され、CDI 社は当社の連結子会社となります。

※10 本公開買付けにより取得したCDI 社株式とあわせ、CDI 社発行済普通株式数の90%超の数(完全希薄化ベース)に達するまでの新株を、CDI 社よ
り直接取得すること。これにより、ウィスコンシン州法に基づく略式合併を行い、株主総会決議を経ることなく、本買収を完了する予定。

(2) 本公開買付けの対象会社 Cellular Dynamics International, Inc.
(3) 買付けを行う株券等の種類 普通株式
(4) 買付け価格 1 株当たり16.5 米ドル
(5) 買付けに要する資金 約307 百万米ドル(予定)

CDI 社の概要
(1) 会社名 Cellular Dynamics International, Inc.(セルラー・ダイナミクス・インターナショナル)
(2) 設立 2004 年
(3) 所在地 米国 ウィスコンシン州マディソン
(4) Chairman and CEO Robert Palay
(5) 売上 16.7 百万米ドル(2014 年度)
(6) 従業員数 155 名(2014 年12 月31 日時点)
(7) 主な拠点 ウィスコンシン州マディソン、カリフォルニア州ノバト


日経 2015/3/30 富士フイルム会長「細胞治療も視野」 米社買収で会見

 ――セルラーを買収する理由は。

 「セルラーの特徴はiPS細胞の生産技術にある。安定した高い品質を持つiPS細胞を生産でき、とても優れた会社だと判断した」

 ――買収額が高いのではないか。

 「昨年夏以降の決算発表でセルラー社の株価が下がり、現在の株価は過小評価されていると判断している。今回の買収で富士フイルムの再生医療のポートフォリオはほぼ埋まった」

 ――買収後のセルラーの運営は。

 「セルラー社の強みを生かしながら、富士フイルムとシナジーを発揮できる分野を強化する。詳細はこれから決める。4月下旬には最終的に買収が確定するだろう」

 ――iPS細胞の創薬支援に続く新規事業の見通しは。

 「再生医療は富士フイルムの傘下にあるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)が皮膚や軟骨を手がけている。iPS細胞を使った治療はこれからだが、細胞治療にも取り組みたい。例えばパーキンソン病や加齢黄斑変性の分野では臨床研究への応用も十分ありえるだろう」

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2015/4/9 日経

iPS特許、米社と連携 山中教授表明、臨床に弾み

京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は8日、日本経済新聞の取材に応じ、富士フイルムホールディングス(HD)が買収する米ベンチャーとiPS細胞関連の有力特許の相互利用などを推進する考えを明らかにした。再生医療や創薬に適した高品質なiPS細胞などの安定供給につながり、臨床応用に弾みがつきそうだ。

山中教授のiPS細胞作製に関する基本特許はiPSアカデミアジャパン(京都市)が管理している。一方、富士フイルムHDが3月30日に買収すると発表した米セルラー・ダイナミクス・インターナショナル(CDI)は、がんになりにくい安全なiPS細胞を作ったりiPS細胞から心臓の細胞を育てたりするための特許を幅広く保有する。

富士フイルムHDは4月下旬以降にCDIを連結子会社にする予定だ。これを機に山中教授は、それぞれの特許を相互に利用できるようにするクロスライセンス契約の締結など。「これまで以上に深い協力ができると期待している」と話した。

CDIは高品質なiPS細胞製品を供給できるのが強みで、世界中の研究機関が購入している。CDLは山中教授の特許の実施権をすでに得ている。今後、クロスライセンスなどが進み協力関係が深まればより優れたiPS細胞製品が世の中に普及する可能性が高まる。

山中教授は.「どの企業も安心してiPS細胞を使える状況にするのが、特許上の課題だ」と指摘した、提携でiPS細胞製品の標準化が進めば、企業や大学が研究を進めやすくなるとみられる。

ーーー

2015/4/6 日本経済新聞

「iPS発明国」の面目保つ富士フイルムの米社買収
 

富士フイルムホールディングスが3月30日に買収を発表した米セルラー・ダイナミクス・インターナショナル(CDI、ウィスコンシン州)は、iPS細胞製品のデファクト・スタンダード(事実上の標準)を握る可能性があると「再生医療業界」で注目されている存在だ。山中伸弥京都大教授のライバルが創業者に名を連ね、高品質なiPS細胞製品を安定供給するため同社から細胞を調達する国内企業も多い。「iPS細胞発明国」の日本だが、医療応用でCDIに後れを取り市場を握られる懸念もあった。買収はその流れを変え、巻き返しの機会となる可能性がある。

■山中教授のライバルが創業

CDIの創業者の一人、ウィスコンシン大学のジェームズ・トムソン教授は受精卵から作る万能細胞であるES細胞(胚性幹細胞)の研究で有名だ。その経験を生かし、皮膚や血液の細胞に遺伝子を入れて作れるiPS細胞の研究でも世界の先頭集団に属する。

2007年には京都大学の山中教授と同じタイミングで、別の科学雑誌にヒトiPS細胞が作製できたと発表した。2人はiPS細胞研究を巡る競争の激しさを象徴するライバルとして、米メディアなどにも取り上げられた。山中教授は対決が強調されすぎるのを嫌い、講演会でトムソン教授とのツーショット写真をスクリーン上に映し「協調も大切」などと語ったものだ。

12年に山中教授と英国のジョン・ガードン英ケンブリッジ大学名誉教授はiPS細胞の成果でノーベル生理学・医学賞を受賞したが、トムソン教授は逃した。「なぜ」と疑問を口にする研究者もいた。しかしビジネスの世界では、トムソン教授のノウハウを引き継いだCDIが事業を大きく広げた。

同社の14年通期の売上高(販売協力を含む)は前年比40%増の約1670万ドル(1ドル=約120円)。巨額の研究開発費などのために純損益は3000万ドルの赤字だが、iPS細胞から作った心筋細胞や神経の細胞など製品群は豊富で受注は順調という。「ビジネスモデルとしては悪くない」と評価する声が多い。注目されるのは積極的な特許戦略とデファクト・スタンダードの構築だ。

■がんになりにくい細胞の作製で特許

CDIがもつ特許の範囲は体の様々な細胞からiPS細胞を作製する技術、iPS細胞から心筋や糖尿病治療への応用が期待される膵臓(すいぞう)のベータ細胞を作る技術など幅広い。中でもウイルスではなくプラスミドと呼ばれる環状DNAを使ってiPS細胞を作る技術は、がんになりにくい安全なiPS細胞を得るのに不可欠とされる。この技術に関する特許は13年に成立し、少なくとも30年まで有効だとCDIは説明している。

日本でも再生医療用のiPS細胞は、プラスミドを使って作るのが当然になっている。細胞を商品化する際、CDIに特許料支払いが必要になるとも指摘されている。山中教授のiPS細胞作製技術の基本特許はiPSアカデミアジャパン(京都市)が管理しているが、安心はできない。

CDIが米国で取得したiPS細胞などに関連した特許例

・多能性幹細胞からの膵臓(すいぞう)のベータ細胞などへの分化誘導

・ヒトES細胞などを自動培養する方法と機器

・血液の細胞の初期化によるiPS細胞の作製

・少量の末梢血からのiPS細胞の高効率作製

・ウイルスを使わないiPS細胞の作製法

・多能性幹細胞からの心筋細胞の作製

・ヒトES細胞やiPS細胞の血液の前駆細胞への分化誘導

(注)米特許商標庁のデータベースによる。CDIが買収した企業などがもっていた特許を含む

 神経系疾患の患者のiPS細胞から神経細胞を作って薬剤の効き目や副作用を調べるといった用途でも、CDIのiPS細胞製品は日本を含め世界で使われている。丁寧な細胞培養と品質管理が信頼につながり、同社のiPS細胞製品は医薬品試験では早くもデファクト・スタンダードの地位を固めつつある。このままでは「iPS細胞発明国」の日本が事業化で米国に飲み込まれる――。そんな危機感が強まるなかで、富士フイルムがCDIの買収を発表した。

富士フイルムは100社を超える参加企業があり、経済産業省と細胞の製法や品質の標準化作業などにも取り組む再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の会長企業でもある。今回の買収によって、iPS細胞の医療応用でCDIに技術、国際標準、供給網などの面で日本勢が包囲網を敷かれるのを防げるかもしれない。

もっとも、これですべて安泰というわけではない。富士フイルムは昨年、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC)を子会社化した。CDIの高品質なiPS細胞や治療用細胞を作る技術、J―TECの細胞シート作製のノウハウなどをフル活用すれば、再生医療用の細胞製品の一大供給インフラを手中にできる可能性がある。その時、山中教授が中心となって治療用のiPS細胞の備蓄を時間をかけて進めている「iPS細胞ストック」の位置づけはどうなるのか――。こんな心配をする声もある。

■国内のiPS細胞備蓄計画とは競合も

iPS細胞ストックは日本人の多くに共通する免疫タイプの細胞を集め、できるだけ多くの人に少ない拒絶反応で利用できるようにするのが狙いだ。国の巨額の支援を受けたiPS関連の最重要プロジェクトの1つでもある。ようやく、医薬品製造基準であるGMP基準に合致した細胞を、大阪大学や慶応大学に研究用に提供し始めた。目の難病治療にiPS細胞を使う臨床研究に取り組む理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーも、iPS細胞ストックの細胞の使用を計画している。

しかし、今後の治療用製品としての本格的な普及ではCDI製品がリードする可能性もある。今年2月、CDIは米国人の計19%に移植用として使える免疫タイプでGMP基準のiPS細胞2株を樹立したと発表している。富士フイルムがどのような戦略をとるかにもよるが、iPS細胞ストックの意味合いは、これまで考えられていたよりも薄れるかもしれない。

移植した細胞のがん化リスクを極力減らし拒絶反応を抑えるために解析や研究を積み重ね、慎重に臨床に移行する姿勢が大切なのはいうまでもない。一方で、再生医療の対象となりうる難病の患者らが少しでも早い治療の開始を待ち望んでいるのも事実だ。iPS細胞ストックと、事業化の実績があるCDIの細胞をどう使い分けるか。医療現場のニーズをくみつつ、iPS細胞技術を最大限に安全かつ有効に使うにはどうしたらよいのか、国と産業界、患者団体などが連携して考えていかなければならない。



2016年6月7日 富士フイルム

富士フイルム バイオ医薬品受託製造子会社の生産能力を増強

   米製薬企業メルク社が保有する20,000Lの培養設備を活用

富士フイルムの子会社でバイオ医薬品の受託製造会社(*2)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、FDB)(*3)は、米製薬企業Merck & Co., Inc.(以下、メルク社)(*4)と協業し、受託製造事業を拡大します。今後、同社が保有する20,000Lの大量微生物培養設備を活用し、バイオ医薬品の受託製造能力を増強していきます。

バイオ医薬品は、遺伝子を組み換えた微生物株(*5)や動物細胞株(*6)に産生させたタンパク質などを活用した医薬品です。副作用が非常に少なく高い効能が期待できることから、バイオ医薬品の医薬品市場に占める割合は、今後ますます拡大すると予想されており、同時に受託製造市場は年率8%(*7)の成長が見込まれています。

FDBは、高度な微生物・動物細胞培養技術(pAVEway™、Apollo™)や昆虫細胞培養技術などの技術開発を進めるとともに、生産設備を増強し、能力拡大を図ってきました。現在、100Lから5,000Lまでの微生物・動物細胞培養(*8)が可能な生産体制を構築しています。

FDBは、今後、既存の自社設備に加えて、メルク社のブリニー工場(アイルランド)の20,000Lの大量微生物培養設備を活用していく計画です。自社が保有していない20,000Lの微生物培養設備を加えることで、顧客の大量生産ニーズに応えるとともに、バイオ医薬品の受託製造能力を増強します。今回FDBは、メルク社が総額6千万ドルをかけて更新・改良する設備を使用することを予定しています。その設備を使った受託製造開始は2018年初めを計画しています。

またFDBは、顧客より受託したバイオ医薬品の生産プロセスなどを開発し、それらを今回使用するメルク社の製造設備に投入して技術サポートを行うことで、自社工場での生産と同レベルの高い品質を実現していきます。

FDBは、動物細胞や微生物を利用してバイオ医薬品に使われるタンパク質を効率的に産生する高度なバイオテクノロジーや、培養から抽出、精製にいたるプロセスの管理ノウハウ、経験豊かな人材などを有したバイオ医薬品の受託製造会社です。2014年にはワクチン製造および多品種少量生産に強みを持つKalon Biotherapeutics, LLC(米国、現FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC)を買収し、バイオ医薬品の受託製造事業を拡大させてきました。拡大する需要に対して外部リソースも含めた戦略的な生産体制を構築するとともに、グループの技術を結集して高効率・高生産性の技術開発を進め、さらなる事業成長を図っていきます。

*2 薬剤開発初期の細胞株開発からプロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを、製薬企業などに対して提供する。
*3 FDBはFUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited(英)、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies USA., Inc.(米)、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC(米)の3社を指す。*4 北米以外では、Merck Sharp & Dohme(MSD)の社名を使用。

*5 長期にわたって、性質が変化することなく、増殖することのできる微生物の種類。遺伝子組み換えの結果、長期間に渡って安定的に増殖し、タンパク質を産生することができる。インスリンや成長ホルモンなど分子構造が単純なタンパク質の産生に使用される。
*6 長期にわたって、性質が変化することなく、増殖することのできる動物細胞の種類。例えばヒトの正常細胞は分裂できる回数が決まっているが、ある種の細胞は無限に増殖を続ける能力を持つ(人為的に増殖能を与える場合もある)。抗体医薬品などの製造に広く用いられるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が一例で、遺伝子組み換えの結果、長期間に渡って安定的に増殖し、タンパク質を産生することができる。
*7 富士フイルム調べ。
*8 動物細胞培養は2,000Lまで対応。

<FUJIFILM Diosynth Biotechnologies概要>

会社名 FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited FUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A., Inc. FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC
設立 1996年 1994年 2011年
所在地 Billingham, United Kingdom Morrisville, North Carolina, United States College Station,TX, United States
株主構成 富士フイルム(80%)
三菱商事(20%)
富士フイルム(80%)
三菱商事(20%)
FUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A., Inc.:49%
テキサス州:21.4%
テキサスA&M大学:29.6%

 



2016年10月13日 富士フィルム 

中国有数の複合企業である「華潤(集団)有限公司」の中核会社「華潤医薬集団有限公司」へ出資

 
富士フイルムは、中国有数の複合企業である「華潤(集団)有限公司」の中核会社「華潤医薬集団有限公司」と、同社の香港証券取引所上場に際し、同社普通株式 8.2億香港ドル相当を取得する契約を締結いたしました。

華潤医薬集団は、低分子薬やバイオ医薬、漢方薬など多種多様な医薬品の製造・卸売・小売ビジネスを展開しています。2007年の設立以降、中国内の製薬・流通企業の戦略的な買収を通じて成長し続け、2015年の売上高では中国第2位の医薬品事業会社となり、医薬品卸売業としても有力なプレーヤーです。中国本土において、109の販売子会社、114の物流センターといった強固な基盤を保有しており、4.1万以上の病院へ直売しています。

また、華潤医薬集団の傘下には、健康食品・サプリメントの小売を行う東阿阿膠を、華潤集団グループには中国最大級の小売大手チェーンで華潤万家を有するなど、華潤グループとしては多数の流通網を持っています。

富士フイルムは、X線画像診断機器や内視鏡、医療ITなどの医療診断システム・サービスを中心に中国でヘルスケアビジネスを展開してきました。昨今では、中国有力製薬会社である深圳万楽薬業有限公司とキノロン系経口合成抗菌薬「ジェニナック錠」の独占販売契約を締結し、また中国大手製薬会社の浙江海正薬業股份有限公司と抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の有効成分に関する特許ライセンス契約を締結するなど、中国製薬企業との協業を加速させヘルスケアビジネスの拡大に向けて取り組んでいます。

富士フイルムは、今回の華潤医薬集団への出資を機に、当社がもつ良質な医薬品やサプリメント、再生医療、医療機器といったヘルスケア分野での中国ビジネスのさらなる拡大を検討していきます。
 

<華潤集団の概要>
社名 華潤(集団)有限公司(China Resources (Holdings) Company Limited)
董事長 傅育寧(Dr. Fu Yuning)
所在地 49/F, China Resources Building, 26 Harbour Road, Wanchai, Hong Kong
設立 1938年
売上 4,729億元(2015年、約7兆2,000億円(15.27円/元で試算))
事業内容 中国有数の複合企業(電力、不動産、消費財、医薬品、医療、金融、セメント、ガス)

<華潤医薬集団の概要>
社名 華潤医薬集団有限公司 (China Resources Pharmaceutical Group Limited)
董事長 傅育寧(Dr. Fu Yuning)
所在地 41/F, China Resources Building, 26 Harbour Road, Wanchai, Hong Kong
設立 2007年
売上 1,466億香港ドル(2015年、約1兆9,000億円(13.15円/香港ドルで試算))
事業内容 医薬品の製造業、卸売業、小売業

 


 

2016年12月16日 富士フイルム 

ロシア有数の製薬企業である「R-PHARM(アールファーム)社」と医薬品・医療機器、再生医療分野等における事業提携に関する覚書を締結

 
富士フイルムは、12月14日、ロシア有数の製薬企業であるR-Pharm JSCと、ヘルスケア領域を中心に包括的な事業提携を進めることで合意しました。

ロシアの人口は、約1億4千万人、国民の平均寿命は72歳です。国民が健康で豊かな生活を送るために、また生産年齢人口の維持・拡大のためにも、ロシア政府は医療サービスの充実、および、高度化を、喫緊の課題と捉えています。ロシアの医薬品・医療機器市場は現在約4兆円で日本の三分の一程度であり、今後の急速な拡大が見込まれています。

R-Pharmは、2001年に設立された、ロシア国内約60か所に拠点を有する製薬会社です。欧米の製薬会社などと、がん、感染症、リウマチなど、幅広い領域の新薬を共同開発し、ロシア国内で販売しています。また、子会社では医療機器を扱っており、今後、医療機器の開発・製造・販売にも注力する意向を示しています。

今後、富士フイルムは、R-Pharmと、以下のテーマを含めたヘルスケア領域で幅広く協業を進めていきます。

  1. 富士フイルムグループが有する医薬品、再生医療などのヘルスケアビジネスのロシアにおける事業展開。
  2. 富士フイルムグループの医療機器のロシアでの事業展開。
  3. 機能性化粧品やサプリメントのロシアでの事業展開。
  4. 上記を実現するための合弁会社など設立の検討。

なお、富士フイルムグループ会社の富山化学は、2015年に、R-Pharmの傘下企業であるトルコの製薬企業TR-Pharmと抗リウマチ薬「イグラチモド」に関するライセンス契約を締結しています。

今般、日ロ首脳会談が実施され、両国経済協力の進展が期待される中、富士フイルムはロシアにおけるビジネス拡大を進めます。今後、R-Pharmを通じ、ヘルスケア以外の事業を含めた幅広い分野でロシアでの事業拡大も図っていきます。

<R-Pharmの概要>

社名 R-Pharm JSC
代表者 Alexey Repik (代表取締役)
所在地 111B, Leninskiy Prospect Moscow, 119421, Russia
設立 2001年
売上 2015年 776億ロシアルーブル(約1,500億円)
事業内容 医薬品(がん、HIV、感染症、リウマチなどの治療薬)の開発・製造・販売および診断機器の販売。

 

2015年10月13日 富山化学工業

リウマチ薬「イグラチモド」に関するライセンス契約をトルコの製薬企業「TR-Pharm」と締結

 
富士フイルムグループの富山化学工業は、トルコに本社を置き医薬品の開発・製造・販売を行うTR-Pharmと、当社が創製した抗リウマチ薬「イグラチモド」(開発品コード:T-614)に関するライセンス契約を本年9月に締結しました。

「イグラチモド」は、エーザイ株式会社との共同開発により、2012年6月29日に国内で製造販売承認を取得し、同年9月より販売が開始された抗リウマチ薬です。本剤は、関節リウマチ患者を対象とした、標準治療薬であるメトトレキサート(以下、MTX)との併用試験において、MTXの効果不十分な患者に対して、国内で初めてMTXと併用での有効性が確認された経口剤です。これにより、本剤は、関節リウマチの薬物治療に対して新たな選択肢を提供し、関節リウマチ患者の状況に合わせた投与薬剤の選択を可能にする、新たな抗リウマチ薬として期待されています。

今回ライセンス契約を締結したTR-Pharmは、ロシアの有力製薬企業であるR-Pharmの関連会社で、トルコ・中東・北アフリカにおける開発・製造拠点として設立された会社です。現在、事業拡大に向けて、がん、炎症、感染症などの領域に注力し、10以上の新薬を開発中です。

富山化学は、本契約に基づき、TR-Pharmにトルコ・中東・北アフリカにおけるリウマチ治療を目的とした「イグラチモド」の開発、製造、販売の独占的実施権を付与し、TR-Pharmより一時金およびロイヤリティを受け取ります。
 

<TR-Pharmの概要>

本社所在地: トルコ イスタンブール

創業: 2013年

代表者: Tuygan Göker

資本金: 30百万ユーロ

従業員数: 13名(2015年9月末現在)

事業内容: 医薬品の開発・製造・販売 等