2005/9/9 毎日新聞夕刊                        発表   解説

独露3社でパイプライン 天然ガス直送調印 素通りの中東欧が反発


 ロシアの準国営天然ガス企業「ガスプロム」とドイツの電力会社など3社は8日、ベルリンで、ロシアからドイツに直接、天然ガスを供給する「
バルト海パイプライン(North European Gas Pipeline)を建設する契約文書に調印した。

 The name was changed to Nord Stream in October 2006

 パイプラインは、露サンクトペテルブルク北方のビポルクから独北東部グライフスバルトまで、バルト海海底約1200キロを結び、年間最大550億立方メートルの天然ガスを供給する。世界最大の天然ガス生産・供給会社であるガスプロムと、独電力大手エーオン社、化学大手BASFの関連会社が出資。57億ドル(約6300億円)をかけ、今秋着工、10年の完成を目指す。
(Gazprom 51%/Eon 24.5%/
BASF子会社Wintershall 24.5%)

  →Gazprom 51%/Eon 205%/BASF ・Wintershall Holding 20%/オランダ・Gasunie 9%

2010/4/8

パイプライン敷設開始。2011年秋稼動を目指す。

2010/2 バルト海環境評価で北欧諸国の許可
2010/3 総工費74億ユーロのうち、39億ユーロを欧日銀行団から調達
2010/4/9 ロシア北部で建設開始の式典


2005/9/8 BASF

BASF, E.ON and Gazprom Sign Agreement on North European Gas Pipeline Through the Baltic
http://www.corporate.basf.com/en/presse/mitteilungen/pm.htm?pmid=1960&id=1KQcj7O20bcp.eI

OAO Gazprom, BASF AG and E.ON AG today signed a basic agreement on the construction of the North European Gas Pipeline (NEGP) through the Baltic Sea. The parties to the agreement intend to set up the North European Gas Pipeline Company as a joint German-Russian venture, with Gazprom holding 51 % and BASF and E.ON each 24.5 %.


Germany is today Gazprom's largest export market. The NEGP gives Gazprom as the world's leading gas producer a further supply route to this still growing market and, in addition, improves its position as a reliable supplier in Germany and western Europe. As a result of the NEGP, Germany gains a direct link to Russia's huge gas reserves. This helps to cover the rising demand for imports in Germany and other European countries and thus reinforces their security of supply. E.ON and BASF will also procure new gas volumes via the NEGP, to which the pipeline systems of
WINGAS and E.ON Ruhrgas in Germany will be linked. Consequently, they will enhance their gas procurement, which is marked by growing international competition.

The pipeline will be over 1,200 km long. It is planned to be commissioned in 2010, initially consisting of a single pipeline with an annual transmission capacity of approx. 27.5 billion m^(3). The project envisages laying a second pipeline and doubling the transmission capacity to approx. 55 billion m^(3) per annum. The total investment for the twin-pipeline project exceeds EUR 4 billion.


2005/7/11 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)

ロシア: ガスプロムとドイツ・エネルギー企業との関係が進展
−北ヨーロッパ・ガス・パイプラインを始動、西シベリアのガスプロム権益をWintershallに解放−
http://oilresearch.jogmec.go.jp/information/pdf/2005/0507_out_j_north_europe_gas_pipeline.pdf

この4月、ガスプロムとドイツBASFグループのWintershallが以下の3事業で提携に入った。
@
北ヨーロッパ・ガスパイプライン(NEGP;North European Gas Pipeline)の建設
A西シベリアYuzhno-Russkoyeガス田新規開発、
B国内ガス販売企業Wingasでの提携強化。
これはガスプロムがガスの生産、輸送、マーケティングの一貫事業をドイツ企業と連携して立ち上げたもの。
北ヨーロッパ・ガスパイプラインにより、ガスプロムは従来のウクライナ、ベラルーシ経由でなく、バルト海経由で西欧諸国に直接、天然ガスの輸出が可能となり、両国への対抗手段となる。
また、時を同じくして、米国市場を主に念頭においたバレンツ海のシュットクマノフ・ガス田のLNG開発計画が始動し始めた。これは、パイプラインガスを他国を経由せず直接欧州へ、LNGを米国へという、ガスプロムの国際的な戦略と見られる。
北ヨーロッパ・ガスパイプラインに供給するYuzhno-Russkoyeガス田の開発では、ガスプロムの保有するガス田への外国企業の初の本格的な参加となる。
欧州におけるロシアのエネルギー資源の受容には30年以上の歴史があり、双方の利益が見込める体制が築かれている。北東アジアにおける受容においても優れたレッスンが込められている。

西シベリアYuzhno-Russkoyeガス田新規開発:
 西シベリア北部のザポリヤルノエガス田のすぐ南に位置するYuzhno-Russkoyeガス田を対象とした開発計画で、ガスプロム(51%)、Wintershall(49%)の比率で参加する。
 当初、本ガス田の開発にはE.ON.Ruhgasが25%参加ということで先行して交渉に入っていたが、Wintershallが49%を保有することとなった。

Wingas:
 Wingasは1993年にGazpromとWintershallにより設立された合弁企業である。ドイツ国内のガスネットワークを扱う企業で、4本の幹線(全長4,000km)ガスパイプラインを保有する。