日本経済新聞 2004/9/3
UFJ 不良債権8000億円圧縮
双日とアプラス決着へ 大口融資先の処理加速
UFJグループの大口融資先企業の抜本処理が加速している。アプラスは、新生銀行に保有株だけではなく2千億円(簿価べース)を超す貸し出しも売却するため、不良債権残高が一気に2千億円減る。双日も、5900億円に上る貸出債権を正常化するため、大幅な資本支援を実施する。ダイエーなど他の企業との調整を早期に終え、9月中間期で不良債権処理完了への道筋を付けたい考えだ。
UFJの大口融資先企業の再生・処理策 | |||
融資先企業 | 有利子負債額 (2004年3月末) |
作業状況 | |
決着へ |
アプラス |
6454億円 |
不採算部門を切り離し、新生銀行に売却 |
双日 |
1兆5570億円 |
UBSなどと資本支援。含み損を処理 |
|
ほぼ決着 |
国際自動車 |
約2000億円 |
系列のシナジー・キャピタルが支援。 |
大詰め |
ダイエー |
1兆751億円 |
主力3行で産業再生機構活用を説得中 |
調整中 |
大京 |
4859億円 |
産業再生機構の活用を検討 |
約3300億円 |
帝国ホテル株売却など検討 |
||
ミサワホーム |
2963億円 |
トヨタグループとの提携模索 |
双日は7月下旬に2500億円の資本支援を柱とした再建策を発表したが、その後、厳しい資産査定を実施。リストラを強化して支援額を1千億円上積みした。今回の再建案ならば、UFJの双日向け貸出債権の評価は不良債権から脱することができるとみられる。
双日ホールディングスの新再建計画
7月発表の骨子 今回の最終案 損失処理額 2500億円規模 4100億円 増資額 同上 3500億円強 純有利子負債 3年後に1兆円 2005年3月末に1兆円強 純有利子負債倍率 : 3年後に4.5倍以下 : 2005年3月末に4倍弱
UFJにとって双日は最大級の大口融資先企業。UFJは双日問題決着で、他の企業の再生・処理に弾みをかけたい考えだ。
国際興業、米ファンド傘下に…UFJなどの債権売却
UFJ銀行の大口融資先である国際興業の再建計画の最終案が23日、明らかになった。
UFJなど取引金融機関の保有する国際興業グループ向け貸し出し債権の大半にあたる約5000億円を、米投資ファンド、サーベラスが約2000億円で一括して買い取り、サーベラス傘下で再建を目指す。サーベラスは、買い取った債権(国際興業にとっては債務)を出資に振り替え、国際興業株の過半数を取得して経営権を握る見通しだ。簿価と売却額との差額の約3000億円は、金融機関が事実上、債権放棄する。国際興業は関係金融機関との調整を急ぎ、11月中に合意したい考えだ。
日本経済新聞 2004/10/8
金融庁 UFJ銀を告発 「検査妨害は悪質」
大企業開拓新規に融資 6ヵ月停止命令
金融庁は7日、UFJ銀行が昨秋の金融庁検査の際に重要書類を隠すなど検査妨害をしたとして、法人の同行と元担当役員ら3人を銀行法違反(検査忌避)容疑で東京地検特捜部に告発した。妨害が悪質なことを重くみた結果で、UFJ銀の東京と大阪本部の法人営業部が大企業の新規融資先を開拓することを半年間禁止する業務停止命令も新たに出した。東京地検は告発を受け、8日にも東京本部などの強制捜査に着手するもよう。UFJの一連の問題は刑事事件に発展、大きな節目を迎える。
∪FJへの行政処分
「業務停止命令」(10月7日)
◎検査忌避
東京と大阪の法人営業部での新規顧客への貸し出しを禁止
(2004年10月18日から2005年4月17日まで)↑
↑ より重い処分へ
↑「業務改善命令」(6月18日)
◎検査忌避
適正な業務管理。検査忌避に関係した役職員の責任の所在の明確化。
法令順守態勢の確立
◎2期連続の業績悪化
ガバナンス強化や収益改善策を盛り込んだ新たな業務改善計画を提出
◎中小企業向け融資の水増し
改善策を盛り込んだ業務改善計画を提出
◎業績修正と本決算の大幅なかい離
リスク管理態勢の充実・強化
きょうにも強制捜査 UFJに東京地検
金融庁 揺れた4ヶ月
弱気の幹部 「十分に制裁」
強気の現場 「権威保てぬ」
UFJを巡る金融庁の対応
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