ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は http://blog.knak.jp/


2007/1/16 インドの Reliance Industries

インドの新興財閥でインド最大の私企業 Ambani 財閥のReliance Industries が GE プラスチックの買収を狙っているとインド紙が報道している。

同社はグローバルに石油化学、合成樹脂事業を拡大する機会を狙っており、2005年8月には、失敗はしたが、BPの石化子会社 Innovene 買収(80億ドル)のためのDue diligence を実施している。(Innoveneは最後に Ineos が買収した)

2004年には同社は欧州のポリエステル繊維メーカーのTrevira を買収し、ポリエステル繊維トップメーカーとなった。

GEプラスチックについては、最終意思決定のための情報を収集中だが、買収は戦略的には十分意味があり、プラスチック業界で急成長するのには、こんな機会はめったにないとしている。同社の樹脂事業はほとんどが汎用品で、スーパーエンプラは開発を開始した段階。

 

一方で同社はダウとの提携強化を希望しており、GEプラスチック買収は、これがうまくいかない場合の代替案であるとも言われている。

同社はインド北西部のJamanagar経済特区に新しく年産27百万トンの製油所を建設中で、川下の石化事業実施のために、ダウ、シェル、エクソンモビル、三菱化学等に声をかけたが、ダウが10億ドルを投じて参加する覚書を締結した。
Relianceは新製油所で年産100万トンのPPプラントを建設するが、ダウからの技術供与が決定している。

現在交渉中だが、ダウが正式に参加する場合には、ダウは見返りにRelianceに対して米国の石化事業への参加を認める可能性がある。

 

Reliance Group の事業は多岐にわたり、ガスパイプライン、石油精製、化学繊維、アパレル等の上流から下底までの石油化学事業、通信、電力等インフラ事業を行っている。

中心は石化事業のReliance Industries で、パラキシレンでは世界3位、高純度テレフタル酸では、世界4位となっている。
インドの拠点は4箇所。

Jamnagar に新設する製油所の隣には年産27百万トンの製油所があり、石化原料のナフサ、芳香族とPPを生産している。
PPは当初の3系列77万トンに、2006年第4系列28万トンが加わった。
同じく27百万トンの新製油所では上述の通り、100万トンのPPを新設する。

HaziraではJamnagar から送られるナフサを原料に石化コンプレックスがある。エチレン能力75万トン(100万トンに増設中)と、PE(16万+20万トン)、PP(36万)、VCM・PVC(16万)、PTA(35万x2)、その他を生産している。

PatalgangaではPTA、ポリエステル繊維、LAB等を生産し、Naroda インドで最も近代的な繊維のコンプレックスである。

 

2002年5月、同社はインド政府から国営石油化学会社Indian Petrochemicals Corp. Ltd. (IPCL)の株の26%を買収し、同社の経営権を取得した。現在IPCLの取締役10人のうち、5人はReliance指名で、RelianceのMukesh Ambani 会長がIPCLの会長を兼務している。

IPCLは3箇所にコンプレックスを持っている。エチレン能力はVadodara が13万トン、Nagothaneが40万トン、GandharDahej)30万トンである。TPA能力は100万トンを超えている。
2006/6/5 「インドのエチレン計画」 参照

 

それにしても、日本にはGEプラスチックスを買収しようという元気のある会社はいないのであろうか。


2007/1/17 PetroChina Sinopec の初の合弁製油所が着工

20061230日に広西壮族(チワン族)自治区欽洲市でPetroChina広西石油化学」の10百万トンの製油所の鍬入れ式が行われた。投資額は約20億ドルで、2010年完成を目指す。製品にはガソリン、ディーゼル、LPG、PP等を含むが、それぞれの能力は明らかにされていない。

中国南西部の四川省, 雲南省, 貴州省, 重慶市、広西壮族自治区では市場が拡大しており、石油製品の不足が生じている。.

本事業はPetroChinaとSinopecの初の共同事業で、PetroChinaが70%、Sinopecが30%の出資比率となっている。
当初、両社がそれぞれ別個に
広西壮族自治区での製油所建設を計画したが、中国政府が過剰能力、過剰投資を懸念して介入した。

この製油所が処理する原油がPetroChinaの親会社の中国石油天然ガス集団公司(CNPC)のスーダン原油であるため、PetroChinaが70%のシェアを獲得した。
(Sinopecの場合は国際市場からの購入となり、市場価格の変動にさらされる。)

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中国の石油関連海外進出は盛んである。2006/5/30 「中国の石油関連 海外進出」)

スーダンは、1970年代から80年代にかけ、Agip(現Eni)、Chevron、Totalなどの欧米石油企業が進出したが、1984年に南北内戦が勃発、鉱区周辺でゲリラによる攻撃が行われ死傷者が出たため、Totalは1985年以降、探鉱活動を休止、Chevronは1992年に同国から撤退した。

欧米企業に代わって進出したのが、CNPC(中国)、Petronas(マレーシア)、ONGC(インド)などアジアの国営石油会社で、製油所や原油パイプラインの建設も手がけており、3社がスーダンの石油産業を支えている。

スーダン原油の最大の輸入者はCNPCで、2005年にはスーダンの原油生産量の4割に相当する約13万バレル/日(中国の原油輸入全体の5.2%)を輸入している。

(資料 http://oilresearch.jogmec.go.jp/information/pdf/2006/0611_out_g_sd_asia_nocs.pdf )

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中国では1998年半ばまではCNPCは石油探査と生産を独占し、シノペックは独占的な精油業者であった。

1998年7月に大規模な資産交換がおこなわれ、両社それぞれが「上流」から「下流」までの事業を受けもつように再編成された。当初はシノペックには東部と南部が、CNPCには北部と西部があてられたが、その後、両社は激しい争いをしている。

本件は初の共同事業となる。

付記 2010/9/17 PetroChina、広西チワン族自治区で製油所をスタート、Sinopec も近くで製油所を建設中


2007/1/18 中国、「今年の消費成長はやや減速」

国家発展改革委員会(NDRC)研究院は13日、2007年の消費成長は減速するとした予測レポートを発表した。

中国の個人消費が経済に占める割合は1991年の48.8%から、昨年は史上最低の水準38.2%まで落ち込んでいる。
NDRCは、現在の消費問題は今年、さらに目立ってくると予測し、「中国の70%以上の商品は供給過剰であり、需要が供給を上回るような商品は無い。供給過剰という問題は明らかで、今年はこの矛盾がさらに悪化するだろう」
としている。

2006/8/8 杉本信行著 「大地の咆哮 元上海総領事が見た中国」で、杉本氏は以下のように述べている。

消費の伸びが減速したのは98年以降であるが、農民の収入が急減したことに加え、都市部においても朱鎔基内閣が国有企業の住宅保障制度の廃止や、医療保険などの社会保障機能を分離し、3年以内に再就職できない余剰人員をリストラするなどの大胆な経済改革を推進したため、国民の将来に対する不安が一挙に高まり、国民の貯蓄率は46%まで高まった

日本同様、年金制度は実質破綻状態に陥っており、遠くない将来、1人が8人の面倒を見なければならないという試算もあるほどで、そのため、将来の不安から、貧困者のみならず一般の給与所得者の間でも消費を控える傾向が強まっている。

NDRCは最近の消費拡大の重要な障害として、住民の教育費・医療費支出の増加を挙げている。 中国の教育費と(幼稚園などの)保育費は、1998〜2002年までのわずか5年間で112.1%上昇しており、医療・保健サービス価格も年平均10%以上の成長を続けているという。

 

杉本氏はまた、次のように述べている。

任期5年の党大会のサイクルの中で結論を出す必要に迫られている指導者たちにとり、5年間で成果をあげるために一番てっとり早いのは、工場や住宅建設を中心とする固定資産投資を積極的に行うことにより経済成長率を上げることで、経済成長率を高めることが、国家レベルから地方レベルまでの各指導者の至上命題となり、その達成度が評価基準になった。消費が伸びなくてアンバランスであろうが、固定資産投資を伸ばせば一定の成績を上げられることから、彼らはそうした政策に走らざるを得なかった。

現在の中国の高成長は設備投資が中心である。それらが完成した時点では需要と供給のギャップは更に広がることとなる。


2007/1/19 ニュースのその後 日本のバイオガソリンの動き

2007/1/8 「日本のバイオガソリンの動き」で環境省補助事業の廃木材からエタノールを製造する世界で初めての商業プラント竣工と、石油連盟の「バイオマス燃料供給有限責任事業組合」設立について述べた。

112日のNHK ニュースは、バイオエタノールの国内初の商業用プラント完成を報じたが、「車の燃料にする際のガソリンとの混ぜ方をめぐって環境省と石油業界が対立しており、操業開始を来週に控えた今も流通ルートを確保できない異例の事態となっている」とし、以下のように伝えた。

環境省などはエタノールをそのままガソリンに混ぜる直接混合方式を採っているが、石油業界はエタノールと石油ガスを化学的に合成してからガソリンと混ぜる方式で計画を進めており、対立が続き、プラントは16日に操業を始めるが、石油業界は、エタノールと混ぜるガソリンの供給や混合燃料の販売に協力しない意向を示し、流通ルートはいまだに確保されていない。

石油連盟は「直接混合はガソリンの品質を悪化させるおそれがあり、現段階での導入には反対だ」とし、環境省は、「直接混合はアメリカなどで広く実用化されている技術で、二酸化炭素の削減目標を達成するためにも引き続き協力を求めたい」としている。

NHKは16日夜7時のニュースでも 「バイオエタノール 問題抱えスタート」 として詳しく伝えている。

若林環境大臣は「日本が世界に誇れる画期的な技術で、品質にもまったく問題はない。石油業界には引き続き協力を求めていきたい」と話している。

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石油連盟の渡文明会長は新年賀詞交歓会で、今年注力するテーマの一つとして、バイオガソリンに向けた本格的な取り組みをあげたが、「最近、安心、安全を無視した単純拡大、あるいは直接混入といった安易な動きが出てきている」と述べ、その先行きに懸念を示した。

石油連盟は、26日に設立するバイオマス燃料供給有限責任事業組合バイオガソリン原料としてETBEを輸入することを明らかにした。

2010ー11年のETBE混合レギュラーガソリンの本格販売に備え、まず、フランスからETBEを7500KLを輸入し、新日本石油の根岸製油所でガソリンと混合し、4月末までに首都圏の50の給油所で販売する。ETBE混合ガソリンはレギュラーガソリンと同じ価格にするとしている。

石油連盟ではETBEの供給体制が整うまでの間は欧州からETBEを輸入することを考えている。

 

付記 2007/4/5

安井至先生は「市民のための環境学ガイド」で「4月5日:バイオ燃料 市販へ」 でこれについて触れている。
http://mntrav.cocolog-nifty.com/kankyo/2007/04/index.html

C先生:この話、業界の我が侭である。
 ETBEの毒性は、以前、わが国でも似た化合物であるMTBEを使っていた。しかし、漏れて地下水に混じり、地下水が飲料不可になるといった環境問題が米国で起きて、日本でもMTBEの使用を止めた。
ETBEの毒性は、場合によっては、MTBEよりも高いという。
 そもそも、毒性のある物質をガソリンのように大量に使用すること自体に賛成できない。長期的に見れば、石油業界に対するリスクは極めて高いと言えるだろう。短期的に利益を確保するためには、ETBEを使うことが必要だが、後日、石油業界も後悔することだろう(もっともエタノールにだって毒性はあるが)。
 エタノールを混ぜても、ある一定量以下ならば、通常の自動車にも悪影響が出ないことは、すでに米国・ブラジルなどで証明済みである。
 渡文明石油連盟会長が「賛同できない」理由は何か。

付記 2007/4/7

フランスからのエチル・ターシャリー・ブチル・エーテル(ETBE)約7800KLが6日、新日本石油精製の根岸製油所で荷揚げされた。
ガソリンにETBEを7%(エタノール分として3%)混入し、石油連盟に加盟する石油元売り各社が4月27日から首都圏50カ所のサービスステーションで試験販売する。
2008年度に100カ所、09年度に1,000カ所。10年度には全国約46,000カ所にある全サービスステーションで供給される。
この時点でのETBE混合ガソリンの利用量は年84万キロリットル。バイオエタノールでは36万キロリットル、原油換算では21万キロリットルに相当する。

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環境省は平成19年度の環境省の重点施策として「バイオエタノール導入加速化戦略」を挙げ、今回完成したプラントのバイオエタノールを大都市圏でのE3大規模供給実証のために供給する予定としているが、こんな基本的なことを調整していなかったのであろうか。

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エタノール混合燃料は、混合割合によって低温始動性への影響度、空燃比や出力などが変化するため、安定した動力性能や燃費、排出ガスレベルを維持することが課題であるようだ。

韓国では20067月からバイオディーゼル使用がスタートしたが、試験事業では20%混合であったが各精油会社が品質問題を取り上げた結果、軽油に0.5%を混ぜたものとなった

但し、自動車各社は技術的対応を進めている。

トヨタ自動車(2006/6/13発表 「環境対応技術の開発とエコカーの市場導入を強化」)
     
  エネルギー多様化への対応  
  @ バイオエタノール燃料対応車の導入
  全てのガソリンエンジンにおいて、バイオエタノール混合率10%燃料に対する使用時の耐久性確保など、技術的対応を完了
  バイオエタノール燃料が普及しているブラジル市場に、エタノール100%燃料にも対応するFFVを、2007年春を目処に導入
     
日産自動車(2006/12/11発表 「ニッサン・グリーンプログラム 2010」)
     
  バイオエタノール燃料対応車をグローバルに投入
  - グローバルに全てのガソリンエンジンで、バイオエタノール混合率10%燃料(E10)に対応済
  - 北米で2005年から発売しているタイタンFFV(バイオエタノール混合率85%対応車)に加え、2007年よりアルマーダFFVを投入
  - ブラジル市場へバイオエタノール混合率100%燃料(E100)対応車を3年以内に投入
     
ホンダ(2006/9/25発表 「ブラジル向けフレキシブル・フューエル・ビークル(FFV)を開発」 )
     
  エタノール燃料でもガソリンとエタノールの混合燃料でも走行可能な「フレキシブル・フューエル・ビークル(FFV)」を開発した。
     

なお、ホンダは2006年9月14日に、地球環境産業技術研究機構(RITE)と本田技術研究所による、セルロース系バイオマスからのエタノール製造新技術に関する共同研究の成果を発表している。

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付記 2007/1/25

石油連盟は24日、大阪や北海道で生産する国産バイオエタノールを購入する方針を明らかにした。石連はバイオエタノールを石油製品と合成した「ETBE」を4月末からガソリンに混合して販売する予定で、その原料に国産エタノールを使う。
(北海道では地元の農業協同組合がテンサイなどを原料にしたバイオエタノールの工場を建設、08年度中の稼動を目指している。)


2007/1/20 中国の話題、清水建設の敗訴

大連の大型商業施設、「マイカル大連商場」の工事費用の残金支払いなどを巡り中国で争われていた裁判で、清水建設の敗訴が確定したことが17日分かった。

中国の最高裁にあたる最高人民法院が昨年12月26日に言い渡したもので、2004年末に遼寧省高級人民法院が下した判決を全面的に支持した。

1998年9月にマイカルは大連の老舗デパート大連商場と提携し、大連の中心部の一等地に「マイカル大連商場」をオープンさせた。
マイカルの売場は新築の37階建てのビルの地下1階から地上6階までを使い、1階には吉本興業が中国で初めてプロデユースする劇場「龍舞天堂」が入り評判になった。
ビルの上階には「スイスホテル大連」(327室)のほか、マンション(14〜20階)、オフィス(11〜13階)が入った。

マイカルは2001年9月14日に第一勧業銀行から金融支援の打ち切り宣告を受け、経営破綻。その後、銀行と社長が会社更生法申請を考えたが、他取締役が民事再生法申請を主張して社長を解任するという事態となった。
その後、民事再生は難航し、結局、会社更生法を申請してイオンの完全子会社となり、2005年末に更生手続きを終えている。
この間、マイカル大連商場は中国側の手に移った。

清水建設は1996年1月に、このビルの建設を1億5400万ドルで大連国際商貿大厦(国貿大厦)から請け負い、98年10月に完成物件を引き渡した。
契約では契約締結時から引渡し時までに工事代金を4分割で支払われることとなっていたが、最後の1/4の3,850万ドルが未払いとなった。

このため清水建設は、中国の時効となる2000年10月に日本の高裁にあたる遼寧省高級人民法院に国貿大厦を提訴した。

清水建設側の主張は、当初契約通りの、中国の建築基準に従った建物を建てた。引き渡しも終えているので約束通りに代金を支払えというもの。
これに対して、一方の国貿大厦側は、契約通りの建物ではなく、正式な引き渡しを終えていない、
工事代金の1億5400万ドルは概算に過ぎず、第三者機関の鑑定結果によれば、実際は多く支払いすぎていると反論した。

2004年末の遼寧省高級人民法院の判決は意外なものであった。
清水建設は契約通りの引き渡しを国貿大厦に行っておらず、清水建設が建てた建物は1億5400万ドル(契約締結時)の価値はない。この結果、
新たな鑑定結果から支払済みの1億1550万ドルから差し引いた938万841ドルの返還に、工事の品質に起因する改善費用などを加えた約1590万ドルを国貿大厦に支払えというものである。「建物の瑕疵」は後になって主張されたものという。

清水建設はこれを不服として、北京の中国最高人民法院に上訴した。
昨年12月26日の判決は
一審と同様、溝水建設に対し、工事費用の過払い分の払い戻しや欠陥工事の修理費用などに加え、二審の裁判費用全額の合計約20億円の支払いを命じ、清水建設の敗訴が確定した。

清水建設は「契約も残高確認書も全く無意味という事態は経験がなく、どうにも理解し難い判決」としているという。

契約が無意味というのであれば、中国での事業は難しい。
この判決が広まると、同様の口実での不払いが起こる可能性がある。


2007/1/22 GEについて

2007/1/11 「GEがGEプラスチックスを売却か?」 参照
(追加情報 2007/1/16
 「インドの Reliance Industries)

GE18日に米医薬大手のアボット・ラボラトリーズの診断機器部門の一部を813千万ドルで買収すると発表した。

今年に入り、GEは先ず8日にJPモルガン・パートナーズなどの投資ファンドから、原油・ガス採掘関連機器のVetco Gray 19億ドルで買収すると発表した。同社の2006年の売上高は16億ドルで、従業員は30カ国以上で5000人。
石油・ガス産業でのGEの存在を拡大するもので、インフラストラクチャー部門の強化となる。

更に15日には自動車・航空部品大手の英スミス・グループの航空宇宙部門Smiths Aerospace 48億ドルで買収することも決めた。
この買収はGE Aviation
部門の民間機及び軍用機用エンジンに、Smith の飛行管理システムその他を加えることにより、この分野での活動を高める効果がある。

今回GEが買収するのは、アボットの診断事業のうち試験管を使った血液検査機器などin vitro diagnostics businesses and Abbott Point-of-Care diagnostics business
アボットの糖尿病治療ビジネス(Diabetes Care business)やエイズ検査に使う分子診断薬(Molecular Diagnostics business)などは含まれない。
今回の買収は、アボットの診断事業とGEの情報技術を組み合わせることにより、早期検診→発症前の病気発見→病気予防という、新しい "early health" model をつくるという GE Healthcare部門の戦略に大いに役に立つとしている。

付記 

2007/7/15 GE、Abbott の診断機器部門買収を取り止め

この3つの買収で、今月だけで総額約150億ドルの買収となる。
検討中のGEプラスチック売却は、これらの買収費用に充当するとともに、事業構造を一気に変えることとなる。

同社は1月19日に第4四半期結果を発表したが、その中でプラスチックス事業の処分を検討していることを正式に明らかにした。

発表のなかで、GEのJeff Immelt 会長兼CEOは次のように述べている。
「我々はleadership businessへの投資戦略を継続して実行する。我々の狙いはより速い成長、より高い利益である。
本年に入り、原油・ガス、ヘルスケア、航空という成長プラットフォームでの150億ドルの買収を発表した。
逆に成長が遅く、変動の激しい事業からの撤退を続ける。現在、プラスチック事業の処分を検討中である」

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General Electric(GE)の源は、発明家トーマス・エジソンが設立したEdison Electric Light Companyで、1892年、Edison General Electric Company Thomson-Houston Electric Companyが合併してGEが誕生した。

GEはダウ・ジョーンズ工業株平均株価が1896年に導入された当時指標銘柄に選ばれた会社の中で、現在もリストされている唯一の企業。

GEの現在の事業ポートフォリオと売上高、損益の推移は以下の通り。
(部門別損益は税引前、金利控除前。連結損益は税引き後)

事業ポートフォリオ

  コンシューマー・ファイナンス  クレジットカード、パーソナルローンなどの個人向け金融
  コマーシャル・ファイナンス 機器・自動車リース、不動産などの法人向け金融
  NBCユニバーサル 放送、エンターテイメントなど、子会社にUniversal Pictures
   ヘルスケア 医療用画像診断装置、ライフサイエンスなど
  インダストリアル 高機能プラスチックス(売却検討)シリコーン(2006年売却)、クオーツ等の素材、
セキュリティやセンサー、家電、照明、FAシステムなど
  インフラストラクチャー エネルギー関連機器、航空機エンジン、水質浄化システム等

 


2007/1/23 ニュースのその後、米国住宅着工件数

2006/11/18 「米国住宅着工件数、続落」参照。

2006年の住宅着工件数は1,801千戸で、前年比13%減となった。1月は前年を上回り、1-6月は平均2,000千戸であったが、下期は急降下して平均1,639戸と2003年もはるかに下回った。

前回にも述べたが、住宅の動向はPVCの需要に影響する。

米国では住宅関連がPVCの需要の60-70%を占めるといわれる。
第4四半期にはいり、米国のPVC需要は減少しており、業界では操業度が第3四半期の94%から76%程度に下がったと見ている。

塩ビメーカーで建材大手でもあるCertainTeed は本年2月に4つある塩ビサイディング工場のうち、カンサス州の工場を閉鎖するが、Georgia Gulf が一部のPVCプラントを一時的に停止したとの報道もされた。

信越化学の金川千尋社長は日本経済新聞(2006/11/29)インタビューで以下の通り述べている。

「主戦場である米国の経営環境は悪い。8月までは良かったが、9月以降、需給が悪化している。米住宅着工戸数は年初に200万戸を超えていたが、10月は148万戸まで減った。かなりひどい落ち込みだ。中国勢の増産のあおりで、アジアの需給も良くない」

「米国の需給が回復しなければ、米子会社は輸出で補う。中南米、インド、中東に加え、11月からトルコにも出荷を始めた。
来年(2007年)末には米国で増産設備を稼働させる。売り切るには相当な努力が必要だが、米子会社は最高益となる今期並みの業績を来期も確保したい」

シンテックの新工場はルイジアナ州イバビル郡プラクミンの南の元アッシュランドケミカルの工場敷地に建設しているもので、塩素45万トン、ソーダ50万トン、VCM75万トン、PVC60万トンの一貫生産を行う。二期に分けて建設し、第一期は塩素30万トン、ソーダ33万トン、VCM50万トン、PVC30万トンを建設する。当初は2006年末完成を目標としていた。
住宅建設が今後も停滞すれば、苦しいスタートとなる。

これまで米国の内需減少時には、メーカーは輸出に走り、アジアの市況を下落させた。(逆に内需増加時は輸出をやめるため、アジア市況は高騰した。)
最近は中国需要増大がこれを吸収し、原油価格アップもあって、アジア市況は堅調だった。

しかし今回は、中国の増設で中国は逆に輸出を伸ばしている状況であり(かつ、原油価格下落で値下げ要請が高まっており)、米国の輸出増は確実にアジア市況に影響を与える。

 


2007/1/24 台湾の中国石油、中東進出か?

台湾の中国石油が中東進出を検討中であることを明らかにした。

台湾国営の中国石油は高雄に日産 270千バレルの製油所と50万トンのエチレンコンプレックスを所有しているが、高雄の石油・石化基地は住民からの公害問題での苦情を受け、2015年までに閉鎖することが決まっている。

* 台湾のエチレンは別紙参照
  高雄のエチレンは
隣接する林園コンプレックスに送っている。

中国石油は、2006年1月に、同社43%出資誘導品各社との合弁会社 Kuokuang Petrochemical Technology Co 國光石化科技)を設立し、雲林に120億米ドルを投じて、日産30万バレルの製油所とエチレン120万トンを建設することを決めたが、政府認可取得、土地買収に失敗した。
温室効果ガスの増大の懸念から政府の環境アセスメントをパスできず、850戸の漁民の立ち退き交渉もまとまっていない。

このため中国石油では、最後の手段として、サウジか、オマーンか、アラブ首長国連邦に進出し、石化事業を行うことを検討しているという。

中東進出は、これまで中東のどの国とも国交のない台湾にとって政治的な意味合いもある。

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他方、台湾のもう一つのエチレンメーカーFormosa Plastics は以前から浙江省寧波市北崙経済技術特区に石油・石化基地の建設を目指して中国、台湾両政府に陳情を行っている。現在の計画は、年産10百万トンの製油所、120万トンのエチレン、60万トンのプロピレン、及び各種誘導品である。

1月17日に中国国家発展改革委員会の副委員長とFPCのオーナーの王永慶がFPCの寧波計画に関して会談したと伝えられている。


2007/1/25 エジプトのPP事業

Thyssenkrupp社は15日、子会社のエンジニアリング会社UdheEgyptian Propylene & Polypropylene Company(EPPC) からターンキイベースで石油化学コンプレックスの建設を受託したと発表した。ライセンス、基礎及び詳細設計、機器手当、建設、訓練、試運転までを含む。

EPPC社はエジプト唯一のPPメーカーOriental Petrochemicals Company (OPC)とエジプト政府のエジプト石油化学公社. Egyptian Petrochemicals Holding Company(ECHEM) の50/50の合弁会社で、Port Said にそれぞれ35万トンのプロピレン及びPPを建設する。投資額は680百万ドルで、2009年末の完成を目指す。

同国の天然ガスを原料とし、Uhde STAR (STeam Active Reforming) プロセスでプロパンからプロピレンを製造し、BasellSpheripolプロセスでPPを製造する。PP65%以上は欧州と北アフリカ市場に輸出する。

STARプロセスはUhde1999年にPhillips Petroleum から導入し、その後開発を進めたもので、プロパン脱水素でプロピレンを、ブタン脱水素でブチレンを製造する技術。
(技術の詳細
 http://www.uhde.biz/cgi-bin/byteserver.pl/archive/upload/uhde_brochures_pdf_en_12.00.pdf

この建設工事を巡っては、Uhde と東洋エンジニアリングの2社(当初はLinde も加わったが、他の事業が忙しく離脱)で争った。TECOPCPP工場の建設を請け負った実績があったが、Uhdeが勝ち取った。

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OPC1996年設立のPPメーカーで、ECHEM が 6%、カーペットメーカーのOriental Weavers が5%出資している。
工場はSuez
にあり、現在の能力は16万トン(当初は12万トン)。原料プロピレンはリビアから輸入、製品の6割はOriental Weavers のカーペット用で、残りは外販及び輸出。

建設を巡っては1996年から日本(TEC)と欧米5社が争い、最終的に1998年3月にTECが選ばれた。
契約金額8千万ドルのターンキー・ランプサム契約で、
UNIPOL技術を使用している。2000年10月には早くも試運転を開始している。2001年7月完成。

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ECHEMは2002年1月にエジプト政府がエジプトの石油化学を運営・管理するために設立した。
エジプト政府は20036月に、同国の豊富な天然ガスを利用した石油化学20戦略計画を発表しており、同社はこれの立案、遂行、管理を担当する。

 


2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金

EUの欧州委員会は24日、電力用ガス絶縁開閉装置で国際カルテルを結んでいたとして日欧10社に7億5千万ユーロの制裁金支払いを命じた。日本企業は「欧州でほとんど売っていないのを理由に多額の制裁金を課せられる」という珍しいケースとなる。

ガス絶縁開閉装置は、しゃ断器、断路器、母線等をガスを封入した金属容器に収納して構成された開閉機器システムの総称。

少なくとも1988からカルテルを結んでいたとされる。各社が連絡をとりあって割当数量比率で受注できるよう調整し、最低価格を決めていた。また、日本企業は欧州で販売せず、欧州企業は日本で販売しないことも決めていた。

日本企業は欧州での販売実績はほとんどないが、上記の取り決めに従って欧州で応札せず、直接的に欧州での競争を制限したため制裁金が課せられた。

スイスのABBが免責制度に基づき申告し、20045月に抜き打ち検査が行われ、調査が開始されたもの。

対象企業と制裁金の額は以下の通り。.(単位:千ユーロ)

  免責額 制裁金
Siemens(ドイツ)     396,563
Siemens(オーストリア)      22,050
ABB(スイス)  215,156       0
三菱電機     118,575
東芝      90,900
Alstom(フランス)      11,475
Areva/Alstom(フランス)   53,550
日立製作所      51,750
Schneider(フランス)      8,100
富士電機システムズ      3,750
日本AEパワーシステムズ*      1,350
合計  215,156   750,713

* 富士電機システムズ、日立、明電舎のJV

欧州委員会では本件はECの独占禁止ルールの重大な違反であり、制裁金額は市場の大きさ、カルテル期間、関与した企業のサイズなどを勘案したとするが、詳細は明らかにしていない。
上記のうち、Siemens, AlstomAreva の3はカルテル主導社として制裁金が50%増しとなっている。
また、ABBは再犯のため
制裁金50%となっているが、自主申告により全額免責となった。

三菱電機は「通知の内容を詳細に確認のうえ、裁判所への提訴も含めて対応を検討する」としている。
東芝も「当社は、欧州委員会の調査に協力して参りましたが、当社の調査では欧州競争法に違反する行為を行っておらず、欧州裁判所において今回の決定を争っていく方針」としている。

Siemensは「価格カルテルは2002/10〜2004/4の短期間に2、3のプロジェクトであっただけで、1988年からのカルテルはない」としてカルテルの存在は認めるが小規模のものとし、「制裁金の額は無茶苦茶で、どうしてこんな額になるのか理解できない」として、欧州裁判所に訴えるとしている。

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欧州委員会の主張が事実なら、逆に日本では、日本企業は欧州に出ない代わりに欧州企業に販売させないことで、欧州企業は日本で販売しないことで、ともに日本での競争を制限していることとなる。

日本の公正取引委員会は、日本企業及び欧州企業に対して、どういう行動を取るのであろうか。

 

付記 2007/4/19

 東芝と日立製作所は18日、制裁を不服として欧州司法裁判所(第一審裁)に提訴した。三菱電機も19日にも提訴する予定。
 欧州の送電設備市場は地元勢が強く、機器の仕様も独特。製品投入には新た場開発投資が必要になる。
 欧州市場参入を見送った経緯について「参入しても採算を取るのは難しい」との判断があったと説明する。


2007/1/27 中国のバイオ企業、BBCAグループ

2006年末、BBCA Biochemical が安徽省宿州市(Suzhou, Anhui )でバイオベースのMEGプラントの建設を開始した。

170百万ドルを投じて年産18万トンのMEGプラントを建設するもので、トウモロコシやタピオカからバイオルートでメタノールをつくり、メタノールからエチレン、更にMEGを生産する。年間60万トンのトウモロコシを使用する。建設期間は1年半。
同社はバイオエチレン、EO生産の実績を持っている。

中国ではこの数年PETの生産が拡大し、MEGの輸入が増大している。(2004年輸入量 339万トン、2005年 400万トンで、2006年 410万トン)
なお、原料トウモロコシの供給元である政府系の食料関係コングロマリットの中国糧油食品集団(COFCO: China National Cereals, Oils & Foodstuff Corp )がBBCAグループからBBCA Biochem
ical の20.74%の買収を決め、政府の認可待ちとなっている。

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BBCA Biochemical は、安徽省に本拠を置くバイオ企業BBCAグループに属している。

BBCAグループは大規模のバイオケミストリーのメーカーで、従業員は19,200人、2005年売上高は約1,000億円。
エネルギー、化学品、医薬品等、6つの子会社と1つの合弁会社から成り立っている。

1) BBCA Biochemical

BBCAグループの中核で、先進的なバイオ醗酵技術と分離技術を使って、農産物からバイオエネルギー、化学品を生産している。
製品には
@クエン酸、L-乳酸、グルタミン酸ナトリウム、スターチ糖などの食品添加物、Aリジン、コーングルテン等の飼料添加物、B燃料用エタノール、バイオディーゼル等のバイオエネルギー、Cバイオエチレン、EO、生分解性ポリマー、同繊維等のバイオ化学品がある。

バイオエタノールは能力
44万トンで、安徽省、山東省、江蘇省、河北省に供給している。

なお同社は2006年に、ブラジルでサトウキビ農園を買収してサトウキビ原料のエタノールを生産する構想を打ち出している。

2) BBCA Pharmaceutical

GMP適合の38のラインで漢方薬も含め360種の医薬品を製造している。

3) BBCA Food

ビスケット、菓子、繊維含有食品、天然植物性たんぱく質、朝食シリアル("cereal breakfast")、ジェリー、レモネード等。

4) BBCA (Suzhou) Biochemical

トウモロコシ等を原料にエチレン、EO、EGを生産(能力2万トン

5) BBCA Edible Oil

トウモロコシ胚芽、ナタネ、ピーナツ、大豆などからの良質の食用オイルの生産。

6) BBCA Gelatin Company

医療用ゼラチン、食用ゼラチン、写真用ゼラチンの生産。

7) Jiangsu Jiangshan Pharmaceutical Co., Ltd

1990年設立のビタミンCのメーカーで、Jiangsu Worldbest Pharmaceutical Co. 等との合弁会社。
BBCAは2005
年に同社の株主のResistor Technology Limited を買収して参加した。

 


2007/1/29 米国のエネルギー政策と温暖化対策

ブッシュ大統領は1月23日、一般教書演説を行い、その中でエネルギー政策の強化を表明した。

米国が海外の原油依存が高いため、敵対国やテロ集団に原油輸送を妨害されると価格アップが生じ、経済に悪影響を与えるとし、クリーンな石炭、太陽・風力発電、クリーンで安全な原子力発電の利用や、ハイブリッド車、バイオ燃料等により、10年でガソリン消費を2割削減しようと提案した。これが出来ると、現在中東から輸入している原油の75%分をカットできることとなる。

このために2017年に再生可能燃料を350億ガロン使用するという目標を決め、代替燃料の供給を増加させねばならないとした。
従来の目標は2012年に75億ガロンであった。昨年の使用実績は約40億ガロン。

更に、不時のトラブルを避けるため、戦略石油備蓄を倍増し15億バレルに拡大することを提案した。

演説の前日には米国の有力企業10社が温暖化ガスの排出量の削減を目標にする新規立法を要請しているが(下記)、大統領は演説のエネルギー部分の最後に、技術開発を進めて「地球温暖化の悪影響に対応する」とし、地球温暖化に触れはしたが、温暖化ガスの削減義務を企業に課す措置には踏み込んでいない。

また、バイオ燃料については、「木くずから草、農業から出る廃棄物まで全てを使ってエタノールをつくる」とし、現在の主力であるトウモロコシには触れなかった。トウモロコシ相場の高騰を招いていることも配慮した模様である。

エネルギー部分の全文は以下の通り。

Extending hope and opportunity depends on a stable supply of energy that keeps Americas economy running and Americas environment clean. For too long our nation has been dependent on foreign oil. And this dependence leaves us more vulnerable to hostile regimes, and to terrorists, who could cause huge disruptions of oil shipments and raise the price of oil and do great harm to our economy.

It
s in our vital interest to diversify Americas energy supply, and the way forward is through technology. We must continue changing the way America generates electric power by even greater use of clean coal technology, solar and wind energy, and clean, safe nuclear power. We need to press on with battery research for plug-in and hybrid vehicles, and expand the use of clean diesel vehicles and biodiesel fuel. We must continue investing in new methods of producing ethanol, using everything from wood chips, to grasses, to agricultural wastes.

We made a lot of progress, thanks to good policies here in Washington and the strong response of the market. And now even more dramatic advances are within reach. Tonight, I ask Congress to join me in pursuing a great goal. Let us build on the work we
ve done and reduce gasoline usage in the United States by 20 percent in the next 10 years. When we do that, we will have cut our total imports by the equivalent of three-quarters of all the oil we now import from the Middle East.

To reach this goal, we must increase the supply of alternative fuels, by setting a mandatory fuels standard to require 35 billion gallons of renewable and alternative fuels in 2017. And that is nearly five times the current target. At the same time, we need to reform and modernize fuel economy standards for cars the way we did for light trucks, and conserve up to eight and a half billion more gallons of gasoline by 2017. Achieving these ambitious goals will dramatically reduce our dependence on foreign oil, but it
s not going to eliminate it. And so as we continue to diversify our fuel supply, we must step up domestic oil production in environmentally sensitive ways. And to further protect America against severe disruptions to our oil supply, I ask Congress to double the current capacity of the Strategic Petroleum Reserve. Americas on the verge of technological breakthroughs that will enable us to live our lives less dependent on oil. And these technologies will help us be better stewards of the environment, and they will help us to confront the serious challenge of global climate change.

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米大手企業10社と環境政策のシンクタンクなどでつくるUnited States Climate Action Partnership (USCAP) 22日、温暖化ガスの削減を義務化する立法を促す提言 A Call for Action を発表した。
http://www.us-cap.org/ClimateReport.pdf

温暖化問題を懸念し、議会は出来るだけ早く法律を作るべきだとしている。
環境目標の設定、段階的な費用効率のよりアプローチ、短期目標と中期目標の設定が必要で、Cap & Trade (排出権取引)が重要とし、議会に対して、温暖化ガスを5年で現在レベルの100-105%、10年で90-100%、15年で70-90%という削減義務の設定を求めている。

USCAPのメンバーは以下の通り。

企業:AlcoaBP AmericaCaterpillar Inc.Duke EnergyDuPontFPL GroupFlorida Power & Light Company)、
   
General ElectricLehman BrothersPG&E CorporationPacific Gas and Electric)、PNM Resources (Utilitly)
非政府団体:Environmental DefenseNatural Resources Defense Council
        
Pew Center on Global Climate ChangeWorld Resources Institute.

付記 2007/5
 自動車メーカーとして初めて、GMが参加。追加参加は以下の通り。
  
GM, Shell, ConocoPhillips, American International Group (AIG, insurance), Alcan, Boston Scientific (medical instruments),
  Deere (farm equipment), Dow Chemical, Johnson & Johnson, Marsh (financial), PepsiCo, Siemens

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このほか、民主党のビンガマン、共和党のスペクター両上院議員は22日、温暖化ガス削減の義務を盛り込んだ提案を公表した。自動車の燃費規制の強化を求める動きも相次いでいる。

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1996年の国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2次報告書では「識別可能で人為的な影響が地球の気候に表れていることが示唆される」と初めて人間活動による温暖化を認めたが、米国は「温暖化は科学的に証明されていない」として、2001年に京都議定書からの離脱を表明した。

今回、第4次報告書が2月2日に公表される予定だが、報告書案では、地球の平均気温の上昇や氷雪の融解増などから、人間活動による温室効果ガスの排出で温暖化が確実に起きていると強調( "extremely likely" and "almost certain"温暖化への懐疑論を否定する内容となっている。

IPCC第4次報告書案骨子(毎日新聞から)
▽二酸化炭素(CO2)の大気中濃度は産業革命前の280ppmから2005年には379ppmに上昇した。
▽2000〜05年の化石燃料からのCO2年平均排出量は90年代に比べ12%増加した。
▽南極の氷床から得られた過去65万年のデータから、現在の
CO2やメタンの大気中濃度は、産業革命前に比べてはるかに高い。
  化石燃料の使用、農業が主因。
▽地球の平均気温の上昇、氷雪の融解の増加などから温暖化は明白。
▽21世紀末の平均気温は20世紀末に比べ1〜6.3度上昇と予測。
▽21世紀末の海水面は20世紀末に比べて19〜58センチ上昇と予測。
▽温暖化で海水のpHは0.14〜0.35下がり、酸性化が進む。
▽地球の平均気温が1.5〜2.5度高まれば、20〜30%の生物種が絶滅する恐れがある。
▽4度上昇で30億人が水不足に直面する。

なお、現在の大量消費型の社会から環境配慮型に転換すれば、21世紀末の温度上昇幅は、生態系への大きな悪影響を避けられる1度に抑えられるとしている。


2007/1/30 インドのEssar グループ、石油化学に進出

インドのコングロマリットのEssarグループ傘下のEssar Chemicals は今年に入り、相次いで2つのプロジェクトを発表した。

1月22日、Totalの塩ビ・化学品・機能製品部門 Arkema と Essar Chemicals はインドでのアクリル酸とアクリル酸エステルの製造販売の50/50JVのFS実施の覚書を締結した。インドでのアクリル酸の事業化は初めて。ワールドスケールの工場を2010年にスタートさせる計画で、インドとアジア市場を狙う。

更に26日、Eastman とEssar Chemicals は年産15万トンのオキソアルデヒドとその誘導品の製造販売についてのFSの完了と覚書の締結を発表した。

Essar Chemicals の計画はいずれも、Vadinar製油所の製品のプロピレンを利用して高付加価値製品を製造するもの。

Arkema はフランスのCarling と米国 Bayport (USA) にアクリル酸の拠点を持つが、この計画でグルーバルプレヤーとしての地位を強化するとしている。また、Eastmanはこれによりインド市場への進出をしたいとしている。

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Essar Group はインドで急成長しているグループで、製鉄、石油・ガス、電力、モバイル通信、海運、建設など、幅広い活動をしている。グループの資産は60億ドル、従業員は約2万人。

石油・ガス部門のEssar Oils はインドとミャンマーで石油と炭層メタン(coal bed methane採掘を行っている。
製油所は西海岸の
Jamnagar の近郊のVadinarに昨年11月に操業を開始した。能力は1,050万トンで、当面750万トンでスタートし、半年でフル稼働にもっていく。
この製油所の建設は
1996年に始まったが、98年に60%完成した時点でサイクロンの被害を受けて中断、その後も環境問題や資金不足で建設が遅れ、2005年に建設を再開した。120MWのコジェネや港湾、ターミナル設備を備えている。

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付記

2006/6/5 「インドのエチレン計画」でインド国営石油会社(IOCL)がニューデリー近郊のPanipatに建設する初のエチレンプラントについて述べた。

Foster Wheeler は25日、IOCLの Paradip製油所計画の基本設計等を受注したと発表した。
インドの東海岸の新しい製油所は原油処理能力 15百万トンで、芳香族とPPのプラントを含んでいる。
能力は石油製品 1050万トン、PP 70万トン、TPA 120万トン、SMが60万トンとなっている。

今回の契約にはParadipの第二期のナフサクラッカー計画の詳細FSの実施も含まれている。
計画では、
エチレン能力100万トンで、HDPE、LLDPE、PP(増設)、MEG等を建設する。

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なお、SABICがインド進出を検討しているが、サウディアラムコもインド進出でインド政府と交渉している。インド紙の報道では、アラムコはPanipatの製油所の少なくとも26%を取得する方向である。

 


2007/1/31 Sanofi-Aventis Bristol-Myersと合併か?

欧米の報道機関は、フランス/ドイツのSanofi-Aventisと米国のBristol-Myers Squibbが合併し世界最大の医薬品会社となるとの噂を報じた。両社が合併で基本合意したとしている。
これに対して両社ともコメントしていないが、
Sanofi-Aventisの株は下がり、逆にBristol-Myers 株は値上がりした。

Bristol-Myers1887年開業、Squibb 1856年開業で、1989年に両社が合併しBristol-Myers Squibbとなった。

Sanofi-AventisはHoechstと Rhone Poulenc が合併してできたAventisと、フランスのSanofi-Synthelaboが2004年に合併したもの。
2006/3/6 「世界の医薬会社の構造改革 参照
Sanofi-Aventisの2005年の医薬品売上高(324億ドル)はPfizer(443億ドル)に次ぎ世界第二位。Bristol-Myers(153億ドル)は第10位で、合併するとPfizerを抜きトップとなる。
(世界の医薬品ランキングはUto Brain 資料から 
http://www.utobrain.co.jp/news-release/2006/061200/ 参照) 

Sanofi-Aventisにとってはこの合併は以下の意味をもつ。
 ・規模拡大
 ・両社とも有力薬品が特許切れ間際になっているが、
Bristol-Myersは新薬候補を持つ。
 ・米国進出手段
 ・乗っ取り回避(13%の株主のトタルは本年後半の株の売却を匂わしている)

Bristol-Myers も、Sanofi-Aventis もからむが、有力薬品のジェネリック品をめぐってトラブルを起こして経営がガタガタし、昨年9月にCEOのPeter Dolan が辞任に追い込まれており、株価は低落、Schering-Plough AstraZenecaなどが売却先に噂されている。

 

事態は以下の通り。

Sanofi-Aventisの開発した抗血小板剤 Plavix に関して、米国ではBristol-Myersが、米国以外ではSanofi-Aventisが販売する契約を結んでいた。
この特許は
2011年まで有効だが、カナダのGenerics 医薬品会社のApotex が特許無効を主張して米国でこれを販売しようとした。

20063月に3社は和解契約を締結した。
内容は、
Bristol Sanofi Apotex 4,000万ドルを支払い、Apotex2011年までgeneric品販売を延期するというものであった。

合意にはApotex側の要請で、和解の政府承認が得られない場合には、Bristol が特許侵害訴訟に勝利した場合にApotexに請求できる損害賠償金額に上限を設定すること、Bristol Sanofi Apotexgeneric発売後5営業日までは差し止め命令を求めることができないという条項が入っていた。

この合意はFTCに認められず、Apotexは和解が不可能になったとして、8月8日にgeneric品を発売した。Bristol Sanofi 米連邦地裁に販売の暫定的差し止め命令を14日に求めたが、判事が数週間後に販売の一時差し止めを命じるまで Apotex は大量に出荷する時間を稼いだ。
更に、両社の帳簿に不審な点が発見され、合意に関して政府を欺いたのではないかとして捜査が開始され、
BristolのCEOのPeter Dolanの事務所が捜索された。2006年 9月 12日、CEO が辞任に追い込まれた。

なお、本特許の有効性に関する裁判は本年1月22日に始まったが、確定までに最低3ヶ月かかるとみられている。

 

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2007/1/31 速報 2006/4Q 国産ナフサ価格 決定

国産ナフサ価格=3ヶ月平均輸入価格+2,000円

2006/10輸入価格  49,143円
2006/11  45,071円
2006/12  44,129円
平均  46,117円
国産ナフサ価格  48,100円

付記

 2006/7/17  「原油、ナフサ価格 急上昇
 2006/7/29  2Qの国産ナフサ基準価格 49,800円/klに」 (「国産ナフサ基準価格」の説明)
 2006/9/25  ナフサ価格 急落 
 2006/11/1  速報 3Q国産ナフサ価格 54,100円/kl に
 2007/3/17  OPEC総会、生産量維持を決定 
 2007/4/18  「ナフサ価格、高騰続く」 

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