ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は http://blog.knak.jp/


2008/3/26  主要石油化学製品 生産能力調査

経済産業省は21日、2007年末時点の我が国の主要石油化学製品生産能力調査の結果を発表した。(単位:千トン)

若干の増減はあるが、前年末と大差はなく、相変わらずの小規模多数工場体制である。

1.エチレン

 
  定修年 スキップ年
東ソー   493   527
昭和電工   615   691
東燃化学   491   540
三菱化学  1,301  1,422
山陽石化(旭化成)   443   504
丸善石油化学   480   525
京葉エチレン   690   768
住友化学   380    415 
大阪石化(三井化学)   455   500
三井化学   553   612
新日本石油化学   404   443
出光興産   997  1,101
合計  7,302  8,048
(前年末比増減)   (+13)   (+25)
 
東燃化学 手直し増強 (+13)
 
・三菱化学 鹿島火災事故は折り込まず。
  2008年3月の操業再開後の生産能力 約32
0千トン(第2エチレン能力476千トンの67%程度)
   (第2エチレン8基のうち、5基。残りのうち1基は検査、補修及び安全対策工事を実施中。
 
  三菱化学のエチレン能力は以下の通り。
  定修あり 定修なし 全国比
(定修なし)
鹿島第1   375   410   5.1% 
鹿島第2   476   516   6.4%
(小計)  (851)  (926) ( 11.5%)
水島   450   496   6.2%
三菱合計 (1,301) (1,422)   17.7% 
 
ーーー  

2.ポリエチレン

 
チッソ    63
日本ユニカー   300
日本ポリエチレン  1,184  
東ソー   308
三井化学     4
プライムポリマー   489
三井・デュポンポリケミカル   170
日本エボリュー   240
住友化学   305
丸善ポリマー   111
宇部丸善ポリエチレン   197
旭化成ケミカルズ   283
合計  3,655

前年比 -1 (三井化学)

 
 
社名 LDPE LLDPE
日本ユニカー   180  
日本ポリエチレン   345   364
東ソー   152    31
プライムポリマー     145
三井・デュポンポリケミカル   170  
日本エボリュー     240
住友化学   172   133
宇部丸善ポリエチレン   147    50
旭化成ケミカルズ   120  
合計  1,286   963
   2,249
 
 前年と変わらず
 
チッソ    63
日本ポリエチレン   475
東ソー   125
三井化学    4
プライムポリマー   246
丸善ポリマー   111
旭化成ケミカルズ   116
合計  1,141
 
 
前年比 -1 (三井化学)
 
 
社名 LL/HD併産
LL HD
日本ユニカー   110    10
プライムポリマー    11    87
旭化成ケミカルズ      47
合計   121   144
   265
 
 前年と変わらず
 
* 日本ポリエチレン、併産設備をLL、HDに専用化
 
参考:2006/9/29 「日本のポリオレフィン業界の変遷」  
 
ーーー

3.PP

 
浮島ポリマー    ー
サンアロマー   347
日本ポリプロ  1,082
住友化学   316
プライムポリマー  1,071
宇部ポリプロ    90
徳山ポリプロ   200 
合計  3,106
 

 前年比 −68

 ・浮島ポリマー解散、サンアロマーが譲受(±127+2) 
 ・住友化学溶液法停止(-70) 

 
参考:2006/9/29 「日本のポリオレフィン業界の変遷」 
ーーー

4.SM

 
日本スチレンモノマー
新日鐵化学65%/東ソー35%)
  232
太陽石油化学
04/1/1 三井化学から譲受け
  335
日本オキシラン
(住友化学60%/Lyondell 40%
  412
千葉スチレンモノマー
(電気化学60%/住友化学40%)
  270
電気化学   240
新日鐵化学   190 
出光興産   550
三菱化学   371
旭化成   678
合計  3,278
 

 前年比 −125
 ・旭化成 1系列停止

なお、東ソーが2008/3末で日本スチレンモノマーから撤退(新日鉄化学 100%に)

 
参考:2006/4/22  「スチレンモノマー業界」 
 
ーーー

5.PS

 
日本ポリスチレン
(住友化学/三井化学)
  162
大日本インキ化学   131
東洋スチレン
(電化/新日化/ダイセル)
  278
PSジャパン
(旭化成/三菱化学/出光)
  445
合計  1,016
 
 
 前年と変わらず  
 
参考:2006/10/7 「日本のPS業界の変遷」  
ーーー

6.VCM

 
テック   391
東ソー  1,480
トクヤマ   330
京葉モノマー   200
カネカ   540
鹿島塩ビモノマー   600
合計  3,541
 
 
 前年と変わらず  
 
参考:2006/9/18 「日本のVCM業界の変遷
ーーー

7.PVC

 * グラフでは東ソーのペーストは大洋塩ビに含む
 
徳山積水   115
テック   304
大洋塩ビ   558
東ソー    28
新第一塩ビ   292
信越化学   550
カネカ   466
合計  2,313
 
 前年比 -37
  ・徳山積水  -1
  ・ヴイテック -30
  ・大洋塩ビ  -6

 新第一塩ビの高岡工場(40千トン)は2008年停止、愛媛工場(27千トン)は34千トンに増強
 
参考:2006/9/13 「日本のPVC業界の変遷と現状」 
 
ーーー

8.アクリロニトリル

 
旭化成 419
ダイヤニトリックス
(三菱レイヨン65/三菱化学35)
196
昭和電工 50
住友化学 52
合計 717
 
 
 前年と変わらず  
 
参考:2006/5/19 「アクリロニトリル業界」  
 
ーーー

9.EO

 
丸善ケミカル 197
日本触媒 254
三井化学 219
三菱化学 283
合計 953
 
 
 前年と変わらず  
 
ーーー

10.アセトアルデヒド

 
協和発酵ケミカル   60
昭和電工  300
日本アルデハイド   69
合計  429
 
 
前年と変わらず  
 
参考:2006/5/20 「酢酸業界 
 

 


2008/3/27 藍星グループ、シリコーン事業拡大

ChemChinaの子会社の藍星グループはこのたび、天津の臨港工業区で大規模なシリコーンモノマー(メチルクロロシラン)製造の子会社を設立することを明らかにした。

設立するのは
Bluestar OrganoSilicone (Tianjin) Companyで、本社が23%、江西省南昌にシリコーンモノマー工場を持つBluestar New Chemical Materialsが52%、Rhodiaから買収したシリコーン事業のBluestar France Company(下記参照)が25%を出資する。

Bluestar France Companyの技術を使用するもので、能力は400千トン、第1期 200千トンは2009年後半にスタートの予定で、第2期 200千トンは5年以内に完成させるとしている。
また、同地でシリコーン製品の生産を行い、この工場からの引取りを増やす予定だが、詳細は明らかにされていない。

付記

藍星グループは2009年8月9日、江西省九江市の星火産業パークで統合シリコーン計画の建設を開始した。

同社は現在、同地に年産20万トンのシリコーンモノマー工場を持っているが、これを30万トンに増設するとともに、新しく20万トンのシリコーンモノマーと12万トンの誘導品工場を建設する。
2010年末のスタート後は、同地のモノマー能力は50万トンとなる。

更に第二段階として20万トンのモノマーを建設する予定で、総能力は70万トンとなる。

上記の天津計画は取り止めた。

付記

Cabot Bluestar (Tianjin) Chemica20081016日、天津の天津臨港工業区で新しいフュームドシリカ計画の起工式を行なった。

同社はキャボットが 75%、藍星グループが25%出資するJVで、40百万ドルを投じて年産6400トンのフュームドシリカ工場を建設する。2010年央に生産開始の予定。

原料のメチルトリクロロシランは上記の20万トンのシリコーン工場(2009年末に完成、2010年央に生産開始予定)から供給する。

キャボットと藍星はほかに
Cabot Bluestar (Jiangxi) Chemical というJVをつくっている。
キャボット
90%、藍星10%の出資で、20068月に江西省九江市に公称能力4800トン、実質5000トンのフュームドシリカ工場をスタートさせている。

付記
両社は2010年1月、増設を発表した。
第一段階として現在の5千トンから2011年末までに15千トン以上とし、最終20千トンとする。

ーーー

藍星集団では、Bluestar New Chemical Materials が江西省南昌市に能力100千トン(+100千トンの増設中)のシリコーンモノマー工場を持っていたが、2004年10月にフランスのローディアとの間でシリコーン事業での提携で覚書を締結、翌年5月に天津でローディア技術によりメチルクロロシランのプラントを建設する合意書を締結した。

年産20万トン(スター時10万トン)のメチルクロロシラン工場で、生産開始は2007年第1四半期を予定していた。

ローディアはローヌ・プーランの特殊化学品部門が独立したもの。
残ったライフサイエンス部門はヘキストと合併してアベンティスとなり、本年8月、サノフィと合併してサノフィ・アベンティスとなった

上記提携時に、両社はそれぞれのシリコーンの上流及び下流分野での活動をグローバルに戦略統合する可能性について2006年央までに検討することとしていた。

これに基づく両社の話しあいの結果、2006年10月に藍星集団はローディアのシリコーン事業を買収する契約を締結した。

BlueStar は、その後、旧アベンティスの動物栄養製品部門のAdisseoCVC Capital Partners から買収している。

いずれも 2006/10/30 中国化工集団公司(ChemChina)の海外進出 

この結果、ローディアのシリコーン事業は藍星集団の子会社 Bluestar Silicones International となり、フランスに Bluestar France Company を持つ。

今回の計画はローディアとの合弁計画を藍星集団で実施するもので、能力は合計、第1期とも当初計画の2倍となっている。

ーーー

既存のBluestar New Chemical Materials の江西省南昌市のシリコーンモノマー工場は、現在の能力が200千トンで、2010年にこれを300千トンにする計画である。

ーーー

藍星集団は天津の臨港工業区でシリコーンモノマーのほかに、多くの化学工場の建設を計画している。

主なものは下記の通り。
 PTMEG:30千トン
 フュームドシリカ:10千トン  
 MDI :100千トン
 PC:10千トン
 メチオニン:140千トン
 苛性ソーダ:200千トン
 1-4 ブタンジオール:55千トン
 フェノール/アセトン: 300千トン  
 ビスフェノールA:150千トン
 ブチルアルコール:150千トン

 


2008/3/28 Bluestar Group (藍星集団)の活動一覧

前回にBluestar Group のシリコーン事業について述べた。

中国国営ChemChina 子会社のBluestar Group 3つの上場会社と多数の子会社・関係会社で幅広い活動を行なっている。
同社の活動を下の表にまとめた。

上場会社は1) Bluestar New Chemical Materials Co.,Ltd.、2) Blue Star Cleaning Co.,Ltd.、3)Shenyang Chemical Co.,Ltd3社。

1) Bluestar New Chemical Materials Co.,Ltd. は北京に本社を持ち、主工場を江西省、無錫、ハルビン、南通に持っている。
 主たる製品群は次の4つ。
 ・シリコーンモノマー、シリコン油、シリコンゴムほか
 ・フェノール、アセトン、ビスフェノールA、エポキシほか
 ・PBTほかエンプラ
 ・
発色現像液関連

2) Blue Star Cleaning Co.,Ltd. 
  洗剤及び関連製品

3) Shenyang Chemical Co.,Ltd
  クロルアルカリ事業が中心。

  Shenyang Kansai Paint Co., Ltd.は藍星60%、関西ペイント40%JV
  
Shenyang Paraffin Chemical は三菱化学から技術供与を受け、アクリル酸 80千トン、同エステル120千トンを建設。

子会社・関係会社
 Adisseo旧アベンティスの動物栄養製品部門をCVC Capital Partners から買収
 
Bluestar Silicones InternationalRhodia Siliconesを買収

1) Bluestar New Chemical Materials Co.,Ltd.
  Jiangxi Xinghuo Organic Silicone Plant organic silicone monomers200,000 t/a (to 300,000 t/a in 2010)
caustic soda 80,000 t/a
fumed silica
5,000 t/a JV with Cabot(US)〉  
Lanzhou Bluestar Resin Co., Ltd Epoxy Resin 20,000 t/a(→80,000 t/a
Constructing a new 10,000 t/a
Bluestar (Beijing) Chemical Machinery Co., Ltd ion-exchange membrane electrolytic cells
Bluestar Silicon Materials Co., Ltd Metal Silicon
Bluestar Harbin Petroleum Corp. Phenol-Acetone120,000t/a
PA
30,000t/a
MA
5,000t/a
Bluestar New Chemical Materials Co., Ltd, Ruicheng Subsidiary PPE10 million t/a ??
phenols
3,000 t/a
Nantong Xingchen Synthetic Material Co., Ltd PBI resin21,000 t/a (→ 30,000 t/a
Shanxi Synthetic Rubber Group Co., Ltd Chloroprene Rubber25,000t/a
Caustic Soda
20,000t/a
PVC Resin
3,000t/a
cement
100,000t/a
Wuxi Resin Work Co., Ltd epoxy resin10,000 t/a 15,000 t/a
bisphenol A
16,000 t/a 25,000 t/a
China Bluestar International Chemical Corporation (importing & exporting)
   
2) Blue Star Cleaning Co.,Ltd.   detergents60,000 t/a
   BlueStar Cleaning Engineering Co., Ltd.  
Lanzhou BlueStar New Materials Co., Ltd. silicane cross-linked polyethylene1,200 t/a
that of black LLDPE
2,000 t/a.
Lanzhou BlueStar Daily Chemicals Co., Ltd. washing powders50,000 t/a
soaps
10,000 t/a
liquid detergents
6,000 t/a
glycerin
500 t/a
water glass (sodium silicate)
20,000 t/a
epoxy resins
3,000 t/a.
Bluestar Chemicals Co., Ltd highly sophisticated TDI
Shandong Dongda Chemical Co., Ltd Propylene Oxide (100,000 t/a)
Polyether Polyols
( 150,000 t/a)
   
3) Shenyang Chemical Co.,Ltd caustic soda170,000 t/a
hydrochloric acid
165,000 t/a
liquid chlorine
60,000 t/a
fumed silica
1, 500 t/a
paste resin
80,000 t/a
chlorinated paraffin
12,000 t/a.
  Shenyang Kansai Paint Co., Ltd. GT-10 lead-free cathode ground coat
TB-515 metallic lustrous coat
SK-01 amino-alkyd car top coat
SP-01 intermediate coat and plastic coat etc.
Shenyang Paraffin Chemical Co., Ltd. アクリル酸、エステル
Shenyang Radial Tire Mould Co., Ltd.  
Shenyang G.Billow Chemical Co., Ltd. propylene oxide28,000t/a
polyether
12,000t/a
   
4)子会社・関係会社
  Adisseo nutritional additives for animals
Bluestar Silicones International former Rhodia Silicones
Shenyang Chemical Industry Group product oil, propylene, chlorinated paraffin, liquid chlorine,
caustic soda, PVC paste resin, silica white, auto painting,
radial tire segmented mold, and machine-made paper, etc.
China Bluestar Daqing Petroleum Co., Ltd  
Jinan Great Wall Oil Refinery  
Lanzhou Bluestar Chemical Co., Ltd. methanol200, 000 t/a
caustic soda
150, 000 t/a
PVC paste resin
130, 000 t/a
1, 4-butanediol
55, 000 t/a
special fiber
20, 000 t/a
PPE
30, 000 t/a
CPP
500, 000 t/a
Bluestar Tianjin Chemical Materials Co., Ltd (under construction)
Silicone
400,000t/a Bluestar Silicone (Tianjin)〉
PTMEG30,000t/a
fumed silica
10,000t/a
MDI
100,000t/a
PC
10,000t/a
methionine
140,000t/a
Caustic Soda
200,000t/a
1-4 BDO
55,000t/a
Phenol-Acetone
300,000t/a
Bis-phenol A
150,000t/a
Butyl Alcohol
150,000t/a
DCC
1,600,000t/a
CPP
300,000t/a
Port and Dock
200,000t
Waste water treatment
220KV Transformer Station
Storage
Bluestar Oil Co., Ltd  
Bluestar New Chemical Materials Co. Ltd, Nanjing Company 1,4-Butanediol 55,000 t/a (under construction)
Shanghai Bluestar New Chemical Materials Co., Ltd POM40,000t/a (under construction)200,000t/a
Bluestar Sichuan Machinery Co., Ltd  
Bluestar Yima Chrome Chemical Materials Co.,Ltd chrome20,000t/a

付記

藍星グループは2009年8月9日、江西省九江市の星火産業パークで統合シリコーン計画の建設を開始した。

Jiangxi Xinghuo Organic Silicone Plant は現在、同地に年産20万トンのシリコーンモノマー工場を持っているが、これを30万トンに増設するとともに、新しく20万トンのシリコーンモノマーと12万トンの誘導品工場を建設する。
2010年末のスタート後は、同地のモノマー能力は50万トンとなる。

更に第二段階として20万トンのモノマーを建設する予定で、総能力は70万トンとなる。

Bluestar Silicone (Tianjin)の天津計画は取り止めた。

 


2008/3/29 資源戦争 激化 

中国を初めとする需要の高まりにより国際価格が上昇しているなかで、世界の資源大手の間で買収の動きが激化している。

ロシアではアルミ最大手のRusal が2位のSUALを買収し、スイスの商社 Glencore を加え、United Company RUSALが設立された。

    ボーキサイト鉱山、アルミナ、アルミ精錬、アルミフォイル生産
    出資比率は
 RUSAL 66%SUAL 22%Glencore 12%

    2006/9/5 ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収

ーーー

付記
2008年4月、UC RUSAL はOnexim Group からニッケル生産の世界最大手 Norilsk Nickel
25%+1株買収で合意した。
Norilsk はロシアのニッケル生産を独占、他に米国、豪州、フィンランドなどに工場を持つ。

 

BHP Billliton によるRio Tinto 買収問題は中国アルミAlcoa も参加し、複雑な動きとなっている。
Rio Tinto はそれに先立ち、Alcoa から敵対的TOBをかけられていた
Alcan を買収している。

    2007/7/17 Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に 

    2007/11/15 BHP Billiton Rio Tinto に買収提案 

    2008/2/8  中国アルミとアルコア、Rio Tintoに出資、BHP Billiton はオファー引き上げ

ーーー

ブラジルの資源大手リオドセ(Vale do Rio Doceは3月25日、年初から交渉していたスイスの同業の Xstrata の買収交渉が決裂したと発表した。

Xstrataはスイスに本拠を置く資源会社で、銅、コークス用石炭、発電用石炭、クロム鉄、ニッケル、バナジウム亜鉛の7つのコモディティを中心に国際市場で活動しており、このほか、プラチナ、金、コバルト、鉛、銀なども扱っている。
発電用石炭では世界最大の輸出業者である。

Rio Doce は同社の買収を狙い、買収価額を780億ドルから900億ドル(9兆円)まで引き上げた。
中国需要の高まりの中で銅、石炭、亜鉛の生産を高め、世界最大の鉱山会社の
BHP Billiton を追い越すことを目指した。

しかし、Xstrataの株の34%を握るGlencore International AG(上記の Rusal に出資)が障害となった。
Rio Doceが45ポンド/株を提案したのに対し、Glencore50ポンドを要求した。
同社はまた、
Rio Doce によるXstrata 買収後に両社の製品を販売する権利を要求した。
世界最大のコモディティ商社であるGlencore は、Xstrata のニッケルコバルト、クロム鉄、バナジウム全量を初め、製品販売権を有している。

Rio Doceにとっては同社のブランドは世界で有名であり、Glencore の要求は呑めるものではなかった。

Rio Doceは今後6カ月間、別の企業がXstrataに買収提案した場合などに、再度買収を提案できる。
あるアナリストは、そのうち市況が下がる可能性があり、6ヶ月の猶予は
Rio Doce にとって好ましいものだとしている。

ーーー

そのXstrata は英国の Anglo American の買収交渉を進めているといわれている。

1917年9月、ダイヤモンドへの投資で成功したSir Ernest Oppenheimer、金鉱床の開発を目的としてAnglo American Corporation of South Africaを設立した。これがAnglo American の前身である。

鉱物資源、製紙・林業、建設業、金融サービス業など幅広い分野に事業を展開する。
プラチナ(
Anglo Platinum)では世界最大で、世界需要の37%を扱う。
ダイヤモンドではDe Beers Investments に45%出資している。
このほか、金・ウラン、ベースメタル、石炭。

逆にAnglo American Alcoa の買収を検討しているとされる。

資源大手の再編を巡る攻防は一段と激しくなりそうだ。

ーーー

付記 鉱物資源 進む寡占化 (日本経済新聞 2008/8/4)

主な鉱物資源の世界シェア(2006年)

プラチナ鉱石 Anglo Platinum (南アフリカ)  40.9
Impala Platinum (南アフリカ)  22.2
Norilisk Nickel (ロシア)  12.7
Lonmin PLC ()  12.0
Vale do Rio Doce (ブラジル)   2.2
5社合計  90.0
鉄鉱石 Vale do Rio Doce (ブラジル)  39.6
Rio Tinto (英豪)  24.4
BHP Billliton (英豪)  14.2
LKAB (スウェーデン)   3.2
Kumba Resources (南アフリカ)   3.0
5社合計  84.4
ニッケル鉱石 Norilisk Nickel (ロシア)  20.6
Vale do Rio Doce (ブラジル)  17.6
BHP Billliton (英豪)  10.9
Xstrata (スイス)   5.7
中国 (国全体の生産量)   4.8
5社合計  59.6
亜鉛鉱石 中国 (国全体の生産量)  28.3
Xstrata (スイス)   7.7
Teck Cominco (カナダ)   5.9
Zinifex Limited (豪州)   5.6
Glencore International (スイス)   4.8
5社合計  52.3
銅鉱石 CODELCO (チリ国営)  11.8
BHP Billliton (英豪)   8.2
Phelps Dodge (米国)   6.7
Xstrata (スイス)   6.4
Rio Tinto (英豪)   5.3
5社合計  38.4

(注) 単位%。鉄鉱石は海上輸送量べースのシェアで、日経推定。
   他は生産量べ一スで、石油天然ガス・金属鉱物資源機構まとめ

付記 Xstrata (スイス) 200886日、プラチナのLonmin PLC () に買収提案したと発表した。
    買収額は約
50億英ポンド。

→ 市場でLonmin の株式を10.68%取得したが Lonmin は本提案を拒絶、10月にはXstrata自身が、現下の金融情勢の下、買収資金の調達が困難になったとして、買収を断念することを表明。しかし、同時に市場において、Lonmin の株式の買い増しを行い、持分を24.9%まで増加させた。


2008/3/31 Rhodia Lyondell、イソシアネート事業売却

Rhodia Lyondell 3月19日、イソシアネート事業をPerstorp Group に売却する交渉に入ったと発表した。

売却するのは、Rhodia フランスのPont-de-Claix と米国のFreeport の脂肪族イソシアネート(HDI、IPDI:イソホロンジイソシアネート、及び誘導体)事業、及び、Lyondell がPont-de-ClaixRhodiaに製造委託しているTDI事業。

付記 2008年7月7日、契約締結を発表。

ーーー

ローディアは元はローヌプーランで、1998年に化学品事業部と繊維・ポリマー事業部を統合し、新会社ローディアとなった。
ローディアでには3グループ、7事業がある。

Performance Materials Polyamide
Acetowcellulose acetate fiber
Functional Chemicals Novecaresurfactants, phosphorus derivatives, natural polymers and specialty polymersand monomers
Silcea“Electronics & Catalysis” (rare earths), “Silica Systems” (highperformance silicas) and “Silicones”(売却)
Organics and Services   Eco Servicessulfuric acid
Organics:diphenols and derivativesisocyanatesfluorinated compounds and derivatives
Energy Servicesreduction of greenhouse gases

このうち、Siliconeは中国の藍星集団に売却した。

イソシアネートについては脂肪族イソシアネート(Aliphatic Isocyanates)のみで、欧州第二のメーカーであったが、今回の売却で同事業から撤退する。
(欧州
Aliphatic Isocyanates Producers Association のメンバーは同社のほか、BASFBayer MaterialScienceEvonik Degussa3社)

ーーー

Lyondell は当初、 Lake Charles, LA TDIと脂肪族イソシアネートの工場を持つとともに、Pont-de-Claix Rhodia の工場にTDIプラントを持ち、Rhodiaに委託加工していた。
Lake Charlesプラントは元はARCO Chemical 1996年にOlin Corporation から買収したもので、1998年のLyondell によるARCO Chemical 吸収でLyondell の事業となった。

2001年にLyondell はイソシアネート事業の再構築を発表した。
脂肪族イソシアネートから撤退、
Pont-de-Claix TDIに新技術を採用するというもので、完成後はPont-de-Claix 工場は欧州最大のTDIプラントとなる、将来はLake Charlesプラントにもその技術を入れるというものであった。

しかし、200510月、同社はLake CharlesTDIプラントの停止を発表、Rhodiaに製造委託している Pont-de-Claix プラントのみが残っていた。

200711月、EUBasell による Lyondell 買収を承認、統合新会社はLyondellBasell Industriesとなった。

ーーー

Perstorp はスウェーデンの企業であったが、2001年6月にフィンランドのNesteの親会社Industri Kapital が買収し、Neste Chemicals のオキソ部門と合併させた。(合併会社の持株会社がSydsvenska Kemi)

2005年10月にIndustri Kapital はSydsvenska Kemi をPAI Partners に売却した。

現在のPerstorp の事業は以下の通り。
  
Waterborne Coatings
  Radiation Curing
  Intumescent Coatings
  Polyurethanes (polyol)
  Food additives & Feed 
  
Formaldehyde Technology



次ぎへ

最新分は http://knak.cocolog-nifty.com/blog/