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2021/7/1 米連邦地裁、FTCのFacebookの独禁法違反訴訟を棄却  

ワシントンDCの連邦地裁は6月28日、米連邦取引委員会(FTC)がFacebookを反トラスト法違反の疑いで訴えていた訴訟で、FTCの訴状を棄却した。訴状のみを棄却しており、FTCは内容を修正したうえで再び提出することができる 。

FTCと同時にニューヨーク州など全米48州・地域の司法長官が Facebookを反トラスト法違反の疑いで訴えているが、こちらについては訴訟そのものを棄却した。

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FTCは2020年12月9日、Facebookを反トラスト法違反の疑いで提訴したと発表した。InstagramやWhatsAppなど、将来競合する恐れのある新興企業を買収し競争を阻害したとし、両社の売却を要求している。

米46州、ワシントン D.C.、グアムの司法長官も同日、Facebookを独禁法違反の疑いで提訴した。(South Dakota、South Carolina、Alabama、Georgia の4州は参加を拒否した。)

Facebookは2012年、写真共有アプリInstagramの開発会社を約10億ドルで買収することを決めた。2010年10月にアプリの提供を始めたばかりで社員はわずか13人。売上高もまだ、ほぼゼロの状態であった。

最終的には買収額は、現金が5.21億ドル、Instagramの従業員に交付されるクラスB株式は1.94億ドルで合計7.15億ドルとなった。FacebookはInstagramの買収を発表した後、株式公開を行い、株価が下がり、結果として買収額が下がった。

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Facebookは2014年2月に、スマートフォン向けメッセージングアプリケーションを手がけるWhatsAppを買収することで両社が合意したことを発表した。

当初160億ドルだった買収額は約183億ドルに膨らみ、従業員引き止めのための制限付き株(RSU)も含めると総額218億ドルを超えた。

 

FTCは、2012年のInstagram買収と2014年のWhatsApp買収は、自社によるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)独占への脅威を排除するための戦略の一環だったと主張し、2社の売却を促す恒久的な差止命令を求めた。
また、Facebookが競合するサードパーティー開発者に対してAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)へのアクセスを制限することも違法だとし、サードパーティーのアプリ開発者に対して反競争的条件を課すことを禁じることを求めた。

「初期のライバルMySpaceを倒して独占力を獲得して以来、Facebookは反競争的手段を通じて防衛を行うようになった。Instagram と WhatsApp という強力な競争上の脅威を特定し、これらを買収することで脅威を鎮圧した」としている。

FTCはMark  Zuckerberg CEOが2008年のメールに「競合するより買った方がいい」と書いたことなど、Facebookの買収戦略を反映しているとみられる複数の例を挙げた。

各州は調査でFTCと協力したが、FTCとは別にFacebookを提訴した。

FacebookによるInstagramとWhatsAppの買収を顕著な例として挙げ、Facebookは市場支配力を増大させるため競合他社を「違法に」「略奪的に」買収したとし、Facebookが州に事前に通知することなく、1,000万ドル以上の価値のある買収を行うことを制限するよう求めた。

また、「違法に買収された企業または現在のFacebookの資産や事業部門の売却やリストラなど、適切であると判断した追加の救済」を裁判所に求めた。

Facebookはこれらの訴訟についてすぐに反論した。

FTCは2社の買収について当時承認しており、これを覆すことは危険な前例になる。「われわれは、競争の激しい市場で事業を展開し続けている。われわれの買収は、市場の競争、広告主、消費者のすべてにとって良いものだった。Facebook、Istagram、WhatsAppが同じ企業に属し、優れた製品とメリットを競う証拠が示せると確信しており、法廷での1日を楽しみにしている」と、争う姿勢を見せた。

ーーー

今回連邦地裁は、「裁判所はFacebookの主張のすべてに同意するわけではないが、FTCらの申し出は法的に不十分であり、却下せざるを得ない。FTCの申し立ては、Facebookが実際にどれだけの力を持っているかという重要な問題について具体的なことをほとんど説明していない」とした。

FTCが、「Facebookが米国のSNS市場でシェア60%超を持ち独占に当たる 」と主張しているのに対し、シェアは売上高や販売数量といった指標に基づいて導き出されてきたとの考えを示したうえで、「FTCはFacebookのシェアを計算するのに使った指標や方法を示 しておらず、主張は臆測にすぎない。Facebookが個人向けSNS市場で独占力を得た、という主張を立証するに足る事実を示していない」と指摘した。

「FTCは、『Facebookは独占だ』との社会通念に裁判所はただ頷くことを期待しているようだ」としている。

FTCが「Instagram」や「WhatsApp」の売却を求めていたのに対しては、連邦地裁は「FTCはFacebookによるInstagramやWhatsAppの買収を当時、阻止しようとしなかった」と反論した。

但し、今回は本件訴状のみを棄却しており、FTCが望めば、30日以内に修正した訴状を再提出することができるとの判断を示した。

 

一方、全米48州・地域の司法長官がFacebookを反トラスト法違反の疑いで訴えた件については、訴訟そのものを棄却した。InstagramとWhatsApp 買収がそれぞれ2012年と2014年になされたのに 、提訴が遅かったことを棄却の理由に挙げた。

 

 


2021/7/1 コロナ変異株の感染拡大国からの選手入国で差別? 

丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣は、インドで確認された変異ウイルスの感染が拡大している国などから入国する選手らに、日本への出国前の7日間、毎日検査を行うことを徹底するため、各国のオリンピック委員会などに協力を求める考えを示した。

政府は、インドで確認された変異ウイルス「デルタ株」の感染が拡大している国や地域から入国する選手らに、日本への出国前の7日間、毎日検査を行うことを求める方向で調整している。

読売新聞報道では、現在は全ての海外選手に、日本への入国時の検査のほか、出国前96時間以内に2回の検査と、入国後の毎日の検査を求めているが、インド型(デルタ株)が最も流行する6カ国(インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、モルディブ、アフガニスタン)については、下記の措置を求める という。

  一般 最も流行する6カ国
インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、
モルディブ、アフガニスタン
出国前 96時間以内に2回検査 7日間 毎日検査
7日間はチーム以外と接触禁止
入国時 検査 検査
入国後 毎日検査 毎日検査
3日間はチーム以外と接触禁止の条件で練習を認める。

このほか、ベトナム、マレーシア、英国、エジプト、バングラデシュの5カ国 については出国前3日間の毎日検査を求めるという。

本件の内示を受けてか、インドメディアの6月20日報道では、インド・オリンピック委員会が「不公平で差別的だ」と反発する文書を大会組織委に送った。

インドの選手は全員がワクチンを打ち、出発前1週間、毎日PCR検査を受けている。到着後3日間、他国の選手との接触を禁じられるのは全く不公平だ。

選手は競技のたった5日前に選手村に入るのを許される。そのうちの3日間が無駄になる。この期間は選手がモードをピークに持っていく時で、非常に不公平だ。


程度の差はあるが、既にデルタ株は世界中に広まっている。選手の入国時点で各国の状況がどうなっているか、上記の5カ国だけでよいのか、不明である。

デルタ型は感染力が1.95倍とされるが、これより強力な変異株ラムダ株がすでに大流行している。

ラムダ株は、ペルーでは4月以降の感染者の8割を占め、アルゼンチンやチリでも3割以上に広がっている。

専門家は「人間の細胞との接合部にこれまでにない変異があり、ワクチン効果が最悪で5分の1程度まで落ちる可能性がある」と指摘、WHOは6月14日に「注目すべき変異株」に指定 した。

ウイルスが細胞の中に侵入する「入口」に変異が起こるものでウイルスの侵入を防ぐ抗体が効きにくくなり、侵入しやすくなる。だから、ワクチンも効きにくくなる。

ペルー、アルゼンチン、チリ、エクアドルなど南米のほか米国やドイツ、スペイン、イスラエルなど計29カ国で感染が確認されたとし、警戒を呼び掛けている。

ワクチン効果が1/5程度まで落ちるというのは脅威である。デルタ株などとは比べものにならない。

政府はこれらの国からの選手、役員の入国に対し、どういった措置をとるのだろうか。これが広まると、オリンピック中止しかないのではなかろうか。


 

WHO  2021/6/15 時点

WHO
判断
WHO label   最初に発見   変異
VOC:
Variants
of
Concern
アルファ VOC-202012/01
B.1.1.7)
2020/9
英国
従来株よりも感染しやすく(1.32倍)、
重症化しやすい可能性あり。
23箇所の変異
H 69/V70欠失、Y144欠失、N501Y、A570D、P681H等
ベータ 501Y.V2
(B.1.351)
2020/5
南ア
従来株よりも感染しやすく(1.5倍)、
免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。
N501Y (easily gain access to our cells)
E484K, K417N (affect our immune system)
242-244欠失
ガンマ 501Y.V3
 
2020/11
ブラジル
従来株よりも感染しやすく(1.4〜2.2倍)、
免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。
N501Y (easily gain access to our cells)
E484K, K417N (affect our immune system)
デルタ B.1.617.2 2020/10
インド
感染力 1.95倍 L452R
VOI:
Variants
of
Interest
イプシロン B.1.427およびB.1.429 2020/3
米国
従来株よりもやや感染しやすく、一部治療薬の効果を低下させる可能性あり。 L452R
ゼータ P.2
 
2020/4
ブラジル
   
イータ B.1.525 2020/12
多数国
   
シータ P.3系統
 
2021/1
フィリピン
従来株よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。 N501Y
E484K
イオタ B.1.526 2020/11
米国
   
カッパ B.1.617.1
 
2020/10
インド
  L452R、E484Q、P681R
ラムダ C.37 2020/8
ペルー
感染力の強さに加え、ワクチン効果が最悪で 1/5落ちる。
南米のほか米国やドイツなど計29カ国で感染が確認
490番目のまったく違う新しいところに変異

Source:  https://covdb.stanford.edu/page/mutation-viewer/#sec_delta

 

WHOは変異株に国名をつけると差別につながるとして、ギリシャ語アルファベットに切り替えた。

アルファベットは24しかなく、既に11に達した。その後はどうするのか、検討中である。

小文字 大文字    
α Α alpha アルファ
β Β beta ベータ
γ Γ gamma ガンマ
δ Δ delta デルタ
ε Ε epsilon イプシロン
ζ Ζ zeta ゼータ(ツェータ)
η Η eta イータ
θ Θ theta シータ
ι Ι iota イオタ
κ Κ kappa カッパ
λ Λ lambda ラムダ
μ Μ mu ミュー
ν Ν nu ニュー
ξ Ξ xi クサイ(グザイ)
ο Ο omicron オミクロン
π Π pai パイ
ρ Ρ rho ロー
σ Σ sigma シグマ
τ Τ tau タウ
υ Υ upsilon ウプシロン
φ Φ phi ファイ
χ χ chi カイ
ψ Ψ psi プサイ
ω Ω omega オメガ

 

 


2021/7/2 韓国政府、半導体対策に続く「Kバッテリー戦略」

韓国政府は5月13日、ソウル南方にあるサムスン電子の平沢事業所で「K(韓国型)半導体戦略」の報告会を開き、「総合半導体強国」の実現に向けた戦略を発表した。

半導体メモリだけではなくシステム半導体(非メモリであるシステムLSI 製造やファウンドリサービス)でも世界一を目指す。

企業と協力し、2030年までに世界最大・最先端の半導体供給網「K半導体ベルト」を国内に構築することが戦略の柱で、半導体の製造、素材・部品・装備(装置や設備)、先端装置、設計などをひっくるめた半導体製造インフラを整備する。

2021/5/20  韓国、官民協力で「K半導体ベルト」構築  

韓国政府はこれに続き、7月8日にLGエネルギーソリューションの梧倉工場で、「Kバッテリー戦略」報告大会を開くことを決めた。

Kバッテリーの生態系育成に向けた官民協力案と共に、LGエネルギーソリューション、三星SDI、SKイノベーションのバッテリー3社の中長期的投資戦略などが発表される見通し 。

△政府のバッテリー産業人材育成および研究開発予算支援案、
△バッテリー産業インフラおよびインセンティブ案、
△バッテリー3社の次世代バッテリー研究開発および投資計画などが提示されるという。

「Kバッテリー産業の競争力確保のためのバッテリー3社の包括的協力メッセージが出る可能性もある」という。

バッテリー業界の関係者は、「電気自動車のバッテリー販売から管理サービス、エネルギー貯蔵装置(ESS)などの再使用・リサイクルまで多様な事業分野で新規市場を創出し、付加価値を高められる多様な戦略が発表される見通しだ」と語った。

 

2020年の車載電池シェアは次の通り。

SK Innovation と LG Chemは、特に米国で、車載電池の特許紛争で争ってきた。

LG Chemは2019年4月30日、SK InnovationがLG技術者を採用することにより、リチウムイオン電池技術を盗用したとし、LGの米国子会社と共同で米国ITCとDelawareの連邦地裁に提訴したと発表した。
SK InnovationがLGのリチウムイオン電池部門の77人の高度の技術と経験を持つ従業員を雇用し、LGの企業秘密を取得したと主張した。

ITCは2020年2月10日、SK InnovationがLG Chemの営業秘密を侵害したと判断し、関税法第337条の違反を適用し、営業秘密を侵害したバッテリーと部品に対する「アメリカ国内への輸入禁止10年」を命じた。

特許権侵害については、LG Chemは2019年9月にSK Innovation をITCに提訴したが、ITCは3月31日、SK側の主張を認める仮決定を下した。

また、SKがLGをITCに提訴した特許権侵害訴訟に関しては、LGがこの訴訟を却下することを求めていたが、ITCは4月2日、LG側の要請を棄却した。

ITCは上記の営業秘密侵害については、事実上の猶予期間を設定し、LG Chemとの和解を促した。

ITCの2月10日の「輸入禁止」の決定は、大統領の60日間のレビュー期間がある。

SKは3月30日、Biden大統領が60日間のレビュー期間内 (4月11日まで)にITCの判断を覆さない場合、米国から撤退し、欧州か中国に移転すると発表した。

両社は、Biden大統領が最終判断を下す期限の数時間前に和解した。

和解条件は次の通り。

SKはLGに対し、18億ドル(両社の主張額のほぼ中間)を支払う。うち9億ドルは現金、残り9億ドルは売上高の数%相当のロイヤリティで支払う。

SKとLGはともに、国内外の全ての訴訟を取り下げ、今後10年間互いを訴訟しない。

 2021/4/13 SK Innovation と LG Chem、車載電池の特許紛争で和解 

 

今回、車載電池分野で争ってきたSK Innovation と LG Chemとの和解を受け、Samsung SDI を含めた3社を国が支援し、韓国勢でCATLやパナソニックを抑えて主導権を握ろうとするものである。

 


2021/7/3 慶応大のiPS角膜内皮細胞移植計画 

厚生労働省の再生医療等評価部会は6月30日、iPS細胞から作った細胞を、目の角膜が濁る病気「水疱性角膜症」の患者に移植し、視力の回復を図る慶応大の臨床研究計画を大筋で了承した。
この病気の患者にiPS細胞由来の細胞を移植するのは世界初で、来春にも患者に移植される予定。

水疱性角膜症は、遺伝性疾患(フックス角膜内皮変性症)や白内障手術の合併症として、角膜内皮細胞が減少し、角膜に過剰な水分が流入して浮腫(むくみ)を生じ、混濁する病態 。

これまで、水疱性角膜症に対しては角膜全部を移植する全層角膜移植や、角膜内皮側の部分を移植する角膜内皮移植などが行われてき た
角膜
には血管が入り込んでおらず、他の臓器移植に比較し拒絶反応がおこりにくいため、血液型などのマッチングを行わずに他家移植(他人の組織を移植すること)が行われてい る。

年間2000人弱が移植を受けているものの、手術による傷口が大きかったり、移植片の定着が不安定だったりと課題が多い。
角膜の提供数も不足しており、移植まで1年以上待つ状況が続いている。

 

慶応大のこれまでの研究により、iPS細胞から角膜内皮細胞と同等の機能をもつ「角膜内皮代替細胞」を製造し、その細胞を眼内に注射器で注入し角膜の後面に移植すれば、水疱性角膜症に対する有効な治療となる可能性が高いことがわかってきた。

この方法であれば、傷口が既存の角膜移植術に比べてはるかに小さいため、合併症を大幅に減らせる可能性がある。

また、この細胞を、製造の最終段階で凍結保存することも可能となったため、移植治療に必要な角膜内皮代替細胞を、事前に、大量に作成・保管しておき、必要に応じて速やかに移植することが可能となる。

本臨床研究では、京都大学iPS 細胞研究所財団が構築している再生医療用iPS 細胞ストックプロジェクトから、医療用iPS細胞の提供を受け、あらかじめ移植細胞を作製して用いることを計画している。

移植後は、ステロイド剤や抗生剤の点眼治療などを行い、約1年間の経過観察を詳しく行う。

 

ーーー

眼科分野におけるiPS細胞による治療例

2013年に理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーが網膜の外側のRPE細胞の異常の加齢黄斑変性の治療に網膜の再生を行っている。

大阪大学大学院医学系研究科の西田幸二教授(眼科学)らのグループは、2019年7月にヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した角膜上皮細胞シートを角膜上皮幹細胞疲弊症の患者1名に移植した。

2020年4月、大阪大学の研究グループはiPS細胞から作製した様々な眼の細胞を含む細胞群から、角膜上皮細胞のみを純化する新たな方法を確立した。

詳細は 2019/3/8 厚労省、iPS細胞の角膜移植臨床研究計画を了承 

神戸市立神戸アイセンター病院は2020年10月16日、他人由来のiPSから作製した網膜シートを、網膜色素変性患者の網膜下に移植する世界初の臨床研究「網膜色素変性に対する同種iPS細胞由来網膜シート移植に関する臨床研究」で10月上旬に1例目の移植手術を実施したと発表した。

2020/10/19  iPS細胞から作った網膜神経細胞、難病患者に世界初移植 

 



2021/7/5 法人課税強化、大枠で国際合意 

経済のデジタル化に対応した国際的な法人課税ルールを巡り、経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む130カ国・地域が7月1日に大枠合意した。 詳細については10月31日までに決める。

法人税の国際的な最低税率とデジタル課税の同時決着をめざす。

付記

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は7月10日、経済協力開発機構(OECD)が1日に事務レベルで合意した内容をG20として承認した。制度の詳細を詰め、10月の最終決着をめざす。OECDの交渉に参加した139カ国・地域のうち、8カ国がまだ合意に加わっていないが、こうした国にも同意を呼びかける。

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フランスが2019年7月にDigital Services Tax法案を可決して以降、多くの国が追随、米国は制裁関税をかけた。

バイデン政権のイエレン米財務長官は2021年2月26日、バイデン政権発足後初めて参加したG20財務相・中央銀行総裁会議で、大手IT企業を対象としたデジタル課税をめぐり、「骨抜き案」の導入を主張していたトランプ前政権の方針を転換すると表明し、国際的な協議の進展へ歩み寄りを示した。

本年4月に米国が新たに提案した内容が判明した。

2020年10月にOECDがまとめた素案は、オンライン広告やクラウドサービスなどの業種で線引きしようとした。オンライン教育やIoTは対象外とする。
この案については業種の区分の定義が曖昧などとの批判があった。

米国案は、売上高と利益率の規模で機械的に対象を決める。米企業の狙い撃ちになるのを避け、対象を世界で100社ほどに絞り込む。
企業の国別売上高に応じて税収を各国に配分するという現行案の仕組みは変えない。

経済協力開発機構(OECD)は米国の新提案を採用する調整に入った。5月19〜20日に開いたオンライン会議で、関係国の交渉担当者に新たなルールに基づく複数の試算を示した。

2021/5/25 OECD、デジタル課税で米提案を採用へ 

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OECDは下記の発表を行なった。

世界のGDPの90%以上を占める130の国と区域が、国際課税規則を改革し、多国籍企業がどこで事業を行っても公正な税負担を確実に支払うようにするための新しい2本柱計画に参加し、国際税制改革の新しい枠組みを確立した。

実施計画を含むフレームワークの残りの要素は、10月に最終決定される。

協議に加わった139の国と区域のうち、小グループは、現時点ではまだ参加していない。10月までの参加を狙う。

OECDは明らかにしていないが、次の9カ国が参加していない。  

Ireland、Estonia、Hungary  (以上 EU)、Kenya、Nigeria、Peru、Sri Lanka、Saint Vincent、Grenadines and Barbados

このフレームワークは、グローバル化およびデジタル化された21世紀の経済における目的にもはや適合しない100年前の国際税制の重要な要素を更新する。

2つの柱のパッケージは、大規模な多国籍企業(MNE)が事業を行い、利益を得る場所で税金を支払うことを保証すると同時に、国際税制に確実性と安定性を追加することを目的としている。

第一の柱は、デジタル企業を含む最大の多国籍企業に関して、各国間で利益と課税権をより公平に分配することを保証する。企業がそこに物理的に存在するかどうかに関係なく、多国籍企業に対する課税権の一部を母国から彼らが事業活動を行い利益を得る市場に再配分する。

1,000億米ドルを超える利益に対する課税権が毎年、市場管轄区域に再割り当てされると予想される。

第二の柱は、各国が課税基盤を保護するために使用できるグローバルな最低法人税率の導入を通じて、法人所得税をめぐる競争の底を打つことを目指している。

最低法人所得税(最低税率は少なくとも15%)は、年間約1,500億米ドルの追加の世界税収を生み出すと推定される。

国際税制の安定化と納税者と税務当局の税の確実性の向上からも、追加のメリットが生まれる。

 

具体的な規定は下記の通り。

1) 多国籍企業課税

現在の国際税制では、課税はPermanent Establishment(恒久的施設)のある国が行うこととなっており、多国籍企業がある国で膨大な利益を上げても、その国にPermanent Establishmentがなければ、一切課税できない。

一定の巨大多国籍企業について、Permanent Establishmentがない国も、その国での利益に一定の課税ができるようにするもの。

対象となるのは、金融取引を除くグローバルな売上高が200億ユーロ以上、利益率が10%以上の企業

100社程度を想定している。米国企業が多い。
日本企業について、財務省は「限定的だろう」(幹部)とみている。

売上高は実施の7年後に検討し、100億ユーロ以上とする可能性あり。

下図の通り、売上高の10%を超える利益の20〜30%を市場国に売上高比で配分 する。

配分対象国:

配分を受けるのは、その国での売上高が少なくとも100万ユーロある国
(GDPが400億ユーロ以下の国の場合はその国での売上高が25万ユーロ以上)

利益は財務上のものとし、調整は限定される。損失は繰延される。二重課税は行わない。

 

2) 最低税率

最低税率を設け、多国籍企業が税率の低い租税回避地(タックスヘイブン)に子会社を置いて税負担を軽くするのを防ぐ。
国際的な法人税率の引き下げ競争に歯止めをかける。

最低法人税率はすくなくとも15%とする。
子会社がある国で納める税率が15%未満の場合、差額を親会社の所在国で徴税可能に。

先進7カ国(G7)の財務相は2021年6月、最低税率を15%以上とすることなどで合意したが、これに対し、中国や一部新興国は経済特区を最低税率の適用除外とするよう主張していた。
(中国の
「深圳経済特区などでは一定期間の法人税免除や半減を実施し、減免期間後の税率も15%を下回るケースが多い。経済特区は長年、中国の高い経済成長率の源泉となっている。)

ーーー

交渉に参加した139か国のうち、9カ国が現時点では賛成しなかった。

アイルランド:12.5%の法人税率で多くの企業を誘致しており、これを継続するとしている。
ハンガリー:9%
エストニア:税率は20%だが、内部留保している限り、課税されない。
Barbados、Saint Vincent & the Grenadines はTax Haven

ケニア、ナイジェリア、ペルー、ナイジェリアについては反対理由不明
 


 

2021/7/6 米最高裁、アリゾナ州の投票規制は合法  

米連邦最高裁判所は7月1日、アリゾナ州で共和党が支持する投票規制強化は1965年に制定された人種差別を禁じる「投票権法」に違反せず合法との判断を示した。各州の投票規制導入に追い風とな る。

保守派6名が賛成、リベラル派3名が反対した。

  性別 年齢 人種背景

指名した大統領

就任日 判断傾向
Clarence Thomas 男性 72歳 アフリカ系 George H. W. Bush 1991年10月23日 保守
Stephen Breyer 男性 82歳 ユダヤ系 Bill Clinton 1994年8月3日 リベラル
John Roberts  (Chief) 男性 65歳 白人系 George W. Bush 2005年9月29日 保守
Samuel Alito 男性 70歳 イタリア系 2006年1月31日 保守
Sonia Sotomayor 女性 66歳 ラテン系 Barack Obama 2009年8月8日 リベラル
Elena Kagan 女性 60歳 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
Neil Gorsuch 男性 53歳 白人系 Donald Trump 2017年4月10日 保守
Brett Kavanaugh 男性 55歳 白人系 2018年10月6日 保守
Amy Coney Barrett 女性 48歳 白人系 2020年10月26日 保守

1965年に制定された「投票権法」は次のような人種差別を禁じている。

・投票には「試験あるいは仕組み」(識字試験、教育または知識の要件、道徳的に良い性格の証拠等)に適合することを求めること
・大統領選挙における投票の有資格者となるまでに30日以上の居住期間を求める「居住期間要件」を課すること
・資格ある人の投票あるいは資格ある有権者の票を数えることを拒みあるいはさせないこと
・他の者が投票するあるいは投票としようとするのを怯えさせ、嫌がらせを行いあるいは強制すること
・偽りと知りながら有権者登録申請書を提出すること
・連邦の選挙で二重投票すること
・英語を話せない者、あるいは障害のある者が、その人の選んだ助手によって投票箱のところまで連れて行ってもらうことを妨げること 等

問題となったのはアリゾナ州法の下記の点:

・有権者が指定された投票所以外で投じた票を無効とする。

・家族などを除く第三者が有権者に代わって票を投票所に運ぶことを犯罪と見なす。

 

民主党全国委員会などは2016年、中南米系や黒人、先住民などが規則違反になるケースが多いとして「マイノリティーに不利な規定だ」と州を提訴した。
1審は州側が勝訴したが、2審は民主党側の訴えを認めていた。

最高裁は今回、指定投票所の規則について「有権者にとって過度の負担とは言えない。マイノリティーの方が無効票の割合は多いが、白人との差は小さく、投票機会が不平等だとは言えない」とした。

第三者による票の回収禁止も「郵便など他の手段が確保されている」と指摘した。

判決は保守派判事6人の多数意見で、リベラル派の判事3人は「統計上もマイノリティーに不利な規則なのは明らかだ」などとして反対した。

保守派のアリト判事は判決文で「影響に違いがあるからといって制度が平等ではないとは言えず、投票の機会が平等でないということにもならない」との見解を示した。

リベラル派のケーガン判事は判決を「悲劇的」とし、「識字率テスト」など過去に一部の州で行われてきた黒人の投票を阻止するための取り組みが「今までにない新しい形の差別」に変わっていると批判した。

バイデン大統領は「投票権に対する広範な攻撃だ」と非難し、「民主主義の心臓部を守るために追加の法律が必要なことがこれまで以上に明確になった」と主張した。

バイデン政権は連邦法で「投票機会の保障」を実現しようと、投票権拡大法の成立を目指しているが、共和党の反対で法案審議は頓挫 している。

ーーー

米国での投票機会の制限を巡る最近の動き

3月 南部ジョージア州で投票機会を制限する「2021年公正選挙州法」成立

期日前投票や郵便投票の実施方法を従来よりも制限
投票所に行列する有権者に水や食べ物を提供することを規制 等

5月 南部フロリダ州で投票機会を制限する州法成立

期日前投票の時間を大幅に制限
有権者の身分証明の厳格化
郵便投票希望者に選挙ごとの申請を義務付ける 等

6月 司法省がジョージア州法は「選挙権侵害」と提訴

期日前投票の規制強化などによって黒人有権者は長い行列となりがちな投票所投票を強いられるとし、
「投票方法を制限しようとする不法な試みがなされているのを司法省として決して座視しない」と述べた。

   連邦上院で投票権拡大法案「For the People Act」の審議入り否決 (50:50)

下院は3月に可決(共和党全員と民主党1名が反対)

15日間の期日前投票を導入
選挙日を祝日とする。
運転免許証を持っている人には自動的な有権者登録を保証 等


2021/7/6  OPECプラス、8月以降の減産で合意に至らず

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成するOPEC Plusは8月以降の産油政策で合意に至らず、7月5日に予定していた閣僚級会合を中止した。
次回会合の日程でも合意できなかった。

ーーー

OPEC Plus は4月1日、5月以降の減産幅縮小を決めた。7月の減産は580万バレルで、これまでサウジが追加でおこなってきた減産はゼロとなった。

(万バレル)

OPEC+ サウジ追加 合計
2020/5〜6  970   970
2020/7  960   960
2020/8〜12  770   770
2021/1  720   720
  2 712.5 100 812.5
  3  705 100 805
4 690 100 790
5    -35 655 -25 75 -60 730
6  -35 620 -35 40 -70 660
7  -44.1 575.9  -40 0 -84.1 575.9

2021/1/6  サウジの自主的減産増でOPECプラスが減産維持

今回、8月以降に12月までについて、毎月40万バレルずつ生産を増やし、年末時点では7月末より200万バレル増やす方向で調整した。
その一方で、生産調整は2022年4月末までとしていたのを、2022年中は続けるとの提案がなされた、

しかし、7月1日にアラブ首長国連邦が、8月以降の減産規模縮小は支持するものの、もし生産協定を延長するならば自国の生産割当を著しく増やすよう要求した。同国は増産投資を進めており、減産の基準となる生産量を引き上げるよう求めている。8月以降の減産縮小には同意している。

アラブ首長国連邦は減産幅が他国より大きく、「最も犠牲が大きく、能力の1/3を2年間止めている」と述べており、OPEC Plusの減産がサウジとロシアにより決められていることに不満を持っている。
実際には増産をしたいのに、どの国も耳をかたむけないと不満を漏らしている。

2021年1月の報道でも、UAEはOPECプラス産油国の減産措置における減産目標の配分が「不公平」であるという意識を持っていた。
サウジアラビアの原油生産目標が日量899万バレル程度と原油生産能力(同1,200万バレル程度と推定される)の約75%と見られる一方、UAEは原油生産目標が同251万バレル程度と原油生産能力(同353万バレル程度と推定される)の約71%と見られるなど、原油生産能力を基準とするとUAEの方が減産率が高いことを指していると見る向きもある。

将来の世界石油需要見通しに関する不透明感が強まる中、早期に原油を生産し収入を確保しておく必要性があるかもしれないと同国が認識している。

これに対しサウジは、UAEの比率を変更すれば他国も変更を求め、混乱することになるとして反対した。サウジはまた、2022年末までの減産継続を強く求めた。

数日間の緊迫した協議を経てもサウジアラビアとアラブ首長国連邦の厳しい対立は解消できず、週明けの5日、会議を開くことなく解散した。

 

付記

OPECプラス関係者は7月14日、減産期間の延長を巡って対立していたサウジアラビアとUAEが譲歩案で合意したと明らかにした。

両国ともに8月から12月にかけて減産規模を日量200万バレル縮小する案は支持したが、2022年4月までとなっている減産期間を同年末までに延長する案については、UAEが自国の生産割当の引き上げを要求し、それが認めらない限り反対するとしていた。

今回、UAEは減産水準を算出する際の同国の基準生産量を2022年4月以降、現状の日量316万8000バレルから365万バレルに増やすよう要求し、これをサウジが受け入れたという。他国の基準生産量については不明。

 

一方、UAEのエネルギー省は声明を発表し、同国の基準生産量に関してはまだOPECプラスと合意に至っておらず、協議が継続していると表明した。

 

   



2021/7/7  英国日産、電気自動車と電池の増設プロジェクト発表 

 

日産英国法人は7月1日、世界初の電気自動車(EV)生産のエコシステムを構築するハブとして10億英ポンド(1536億円)の新たなプロジェクト Nissan EV36Zero を発表した。

既存のSunderland工場を中心にカーボンニュートラルへの取り組みを加速させ、ゼロ・エミッション実現に向けて、新たに360度のソリューションを確立するとしている。

このプロジェクトでは、日産とパートナーの電池メーカーEnvision AESC、そしてSunderland 市議会によって10億英ポンドが投資され、「新世代のクロスオーバーEV」、「次世代EV用バッテリーの生産」、「再生可能エネルギー」という相互に関連した取り組みによって実現される。

 

日産は最大423百万英ポンドを投じて新世代完全電動化クロスオーバー車を生産する。ルノー日産三菱アライアンスの「CMF-EV」プラットフォームをベースとし、最大で年間10万台の生産を計画している。
グローバルカーとして設計され、欧州市場にも輸出される。

日産の強みのクロスオーバー車に対するノウハウと、世界で「LEAF」を50万台以上販売してきた実績をもとに、新たな時代にふさわしいスタイリングと効率性、バッテリー技術を備え、ユーザーのEVへの乗り換えを促進する。

CMF-EVプラットフォームは、日産の新型EVの「ARIYA」に初採用された。

重量物であるバッテリーを車体中央に配置し、低重心かつ前後の重量配分が均等になるように設計されたプラットフォームで、バッテリーケース内にクロスメンバー(車体の剛性や強度を向上させるための部材)を配し、フロアトンネル(車室内のフロアの中央部にある、大きなトンネル状の突起)が無いフラットなフロアによって、高い剛性を追求する。
組み合わされるサスペンション部品にも高剛性部品を使用するなど、操縦安定性能を向上させるだけでなく、揺れにくい快適な乗り心地と高い静粛性も追求している。

現在、Sunderland工場では、「LEAF」に加え、スポーツタイプ多目的車(SUV)の「JUKE」と「Qashqaiキャシュカイ)」も生産し、約70%を欧州諸国に輸出、約20%を英国内で販売、約10%を南米、オーストラリア、北欧、南アフリカなど、世界各地の市場に輸出している。

2020年12月24日に英国とEUが合意した自由貿易協定(FTA)では、原産地規則を満たす場合には自動車への関税10%が免除される。日産はEnvision AESCが英国で生産する電池を使用するため、欧州での関税はかからない。

増設分の自動車に輸入の電池を使う場合には関税がかかることとなるため、今回、増設自動車分の電池を英国で生産、引き続き免税となる。

 

パートナーの電池メーカーEnvision AESCが能力9GWh の英国初の gigafactoryを日産工場に隣接するInternational Advanced Manufacturing Parkに建設し、再生エネルギーを使用し、次世代バッテリー技術で年間10万台分の電池を生産し、供給する。

新工場では、航続距離と効率性を向上させるためにエネルギー密度を30%向上させた新しい第5世代のバッテリーセルを採用するなどし、英国で生産されるEV用バッテリーのコスト競争力を高める。

Envision Groupは、統合AIoT スマート技術(Artificial Intelligence &  Internet of Things:人工知能とモノのインターネットの統合)で新しいGigafactoryのエネルギー消費、生産、メンテナンスを監視、最適化する。

なお、Envision AESCは、2030年までにバッテリー工場に追加で18億英ポンドを投資し、生産能力を25ギガワット時に引き上げ、4500人の新規雇用を創出する可能性がある。

Envision AESCはかつての日産とNECのJVのAutomotive Energy Supply Corporation で、両社は2018年8月に再生可能エネルギー事業者である中国のEnvision Group遠景能源集団)に譲渡する契約を締結した。

売却するのは、日産とNECのJVのAutomotive Energy Supply Corporation AESC)や北米日産が保有するSmyrnaのバッテリー生産事業、英国日産が保有するSunderlandのバッテリー生産事業及び日産の追浜や厚木、座間にあるバッテリーの開発や生産技術部門

日産自動車はEnvision Groupが本買収で設立する新会社の株式の25%を保有する。

2018/8/7   日産自動車とNEC、バッテリー事業を譲渡

Sunderland 市議会は、100%再生エネルギー電力 'Microgrid' を担当する。日産の既存の風力、太陽光発電に加え、10個の太陽光発電をつくり、132MWの発電を行う。

 

本計画で、サプライヤーを含め英国内で6200人の雇用を創出する。(うち、日産で900人、Envision AESCで750人が新規に採用される。)

ジョンソン英首相は「英国とその北東部の高スキル労働者に対する大きな信頼の証だ」と評価した。


2021/7/8     米国、大統領貿易促進権限(TPA)法が失効

米議会が大統領に通商交渉権限を与える大統領貿易促進権限(TPA)法が7月1日、期限切れとなり失効した。

バイデン政権が貿易協定を今後まとめる場合は新たなTPA法を成立させる必要がある。

但し、バイデン政権は米経済の再建を優先する方針で「米国製造業強化に向けた投資をするまで、貿易協定は締結しない」と明言しており、TPA再付与にも慎重な姿勢を示している。

 

合衆国憲法第2章第2条第2項では、大統領は上院の助言と承認を得て条約を締結する権限を有するとされるが、同憲法第1章第8条第3項では、連邦議会の立法権限として諸外国との通商を規制する権限も認めている。

建国以来、関税の変更は議会が主導し、大統領の役割は議会の立法に対する拒否権の行使に限られていた。

1890年のマッキンレー法はアメリカ商品への不平等、不当な関税を課す国へ追加的関税を賦課する権限を大統領に付与した。

その後、いろいろの変遷があった。

George W. Bush政権は、2002年8月に成立したTrade Promotion Authority法(2002年超党派貿易促進権限法)によって貿易促進権限を得た。
これによって、議会への事前通告や交渉内容の限定などの条件を満たす限り、議会側は行政府の結んだ外国政府との通商合意について、個々の内容の修正を求めず、一括して諾否のみ決することとされた。

米国がこれまで締結したFTAの大半は、TPA手続きにのっとるかたちで発効している。

TPAは2005年6月に延長されたが、その後は再延長が認められず、2007年7月1日に失効した。

Obama政権は環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉参加を決めたが、このままでは議会を通すことは難しい。

米超党派議員は2015年4月16日、大統領に強力な通商交渉の権限(Fast track negotiating authority ) を与える貿易促進権限(通称TPA)法案で合意し、議会に提出した。

いろいろな経緯があったが、最終的にオバマ大統領が2015年6月29日、TPA法案に署名、成立した。

2015/6/25    米上院がTPA法案可決 近く成立

ーーー

日米など環太平洋連携協定(TPP)参加12カ国は2016年2月4日、ニュージーランドの最大都市オークランドで協定文に署名した。

発効には名目GDP合計85%以上が必要なため、1国で15%以上の日本と米国の批准は必須となる。

Trump大統領は2017年1月23日、TPPからの離脱を宣言、米通商代表部(USTR)は1月30日、TPPからの離脱を参加各国に書簡で正式に伝達した。

2016/11/23   Trump 次期米大統領、「就任初日にTPP離脱通告」を確認

その後、日本が中心となり、米国を除く11カ国での交渉を行った。米国を除く TPP 参加11カ国は2018年3月8日午後、チリのサンティアゴで新協定「TPP 11」に署名した。

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「2015年TPA法」は、2018年6月末を期限としていたが、その後、2021年6月30日まで3年間延長された。

結局、TPAの議会手続きに則したFTAは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)のみとなった。

2020/1/18  米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)実施法案可決 


2021/7/9 膵炎などの2つの治療薬、コロナ治療薬としての開発中止 

ドイツ霊長類センターなどの研究班は2020年3月初め、カモスタットメシル酸塩(商品名フォイパン)が新型コロナウイルスのヒト細胞への感染を妨げることを培養細胞などを使った実験で確認したと報告し た。

カモスタット(商品名フォイパン)は、小野薬品工業が創出し、1985年に発売した。既に物質特許は切れており、国内で多数の後発品メーカーが同じ成分の薬を販売している。
日医工は「カモスタットメシル酸塩」として販売している。

東京大・医科学研究所の井上純一郎教授らは2020年3月18日、急性膵炎の治療薬として国内で長年使われてきた点滴薬剤「ナファモスタット(商品名フサン)」が新型コロナウイルスの感染を阻止する可能性があると発表した。

原因ウイルスの外膜と、感染する細胞の細胞膜との融合を阻止することで、ウイルスの侵入過程を効率的に阻止する可能性がある 。

ナファモスタットの類似の薬剤であるカモスタット(商品名フォイパン)と比較してナファモスタットは10 分の1以下の低濃度でウイルスの侵入過程を阻止した。  

ナファモスタット(商品名フサン)鳥居薬品1986年に発売、主力製品として販売してきた。
鳥居薬品は
201941日付で日本における製造販売承認を日医工へ承継した。

ナファモスタット、カモスタットともに急性膵炎などの治療薬剤として本邦で開発され、すでに国内で長年にわたって処方されてきた薬剤である。安全性については十分な臨床データが蓄積されており、速やかに臨床治験を行うことが可能である。 

2020/3/18   急性膵炎治療薬が新型コロナウイルス感染阻止の可能性

2020/5/12 東京大学、アビガンとフサンの併用療法の臨床研究開始

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日医工は「カモスタットメシル酸塩」については米国子会社で新型コロナ治療薬とした開発を行った。

日医工は7月5日、新型コロナウイルスへの治療効果が期待されている「カモスタットメシル酸塩」について、米国の100%子会社Sagent Pharmaceuticals, Inc. が実施するコロナ治療薬を目的とした開発を中止すると発表した。

Sagent Pharmaceuticals, Inc.は、注射薬に特化し、北米市場向けに医薬品を開発、製造、供給、販売するスペシャルティ医薬品メーカー で、2016年8月にTOBで買収した。

2016/7/15 日医工、米後発薬メーカーを730億円でTOB

第2相臨床試験(治験)で安全性上の懸念事項は確認されなかったものの、同試験の主要評価項目である「入院率」ならびに「死亡率」の低減に関して統計上の有意差の確認には至らなかった。

ーーー

「ナファモスタット(商品名フサン)」については点滴静注製剤しかないが、気道や肺に高濃度で移行できる吸入製剤の効果が期待され るため、2020年6月8日に東京大学、理化学研究所、日医工、第一三共が吸入製剤の共同開発について基本合意した。

第一三共は2021年6月15日、日医工が製造販売する急性膵炎薬「フサン」の成分を転用した新型コロナウイルス向け治療薬候補のナファモスタット吸入製剤について、開発を中止すると発表した。

2021年3月からの初期の臨床試験(治験)で安全性に懸念が生じたという。

点滴静注製剤としては長期間使用されており、問題はなかったが、吸入での投与では「安全性に懸念があった」という。

 


2021/7/10    興和、 新型コロナウイルス感染症患者を対象としたイベルメクチンの臨床試験を開始  

興和は7月1日、新型コロナウイルス感染症患者を対象イベルメクチンを投与する臨床試を開始すると発表した。

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大村智博士がノーベル医学・生理学賞を受けた抗寄生虫薬の「イベルメクチン」がCOVID-19に効果があるとする報告が出た。

2020年4月29日付のSSRN(旧称 Social Science Research Network) に  “Usefulness of Ivermectin in COVID-19 Illness” というタイトルで報告された。

イベルメクチン(ivermectin)は腸管糞線虫症の経口駆虫薬、疥癬、毛包虫症の治療薬である。

アフリカや中南米では、全身の皮膚にかゆみを起こし、視力を奪われる河川盲目症(オンコセルカ症)という寄生虫による感染症が流行していた。
1970年代には35の発展途上国で8500万人が感染の危機にあった。

Merck & Co., Inc.(米国とカナダ以外では独のMerck と区分さるため MSDの社名を使用)のDr. William Campbell 治療薬の開発を進めていたが、大村智・北里大特別栄誉教授が静岡県伊東市内のゴルフ場近くで採取した土壌から見付けた新種の放線菌「ストレプトマイセス・アベルメクチニウス」(Streptomyces avermitilis)が生産する物質を元にイベルメクチンをつくった。

イベルメクチンは、河川盲目症(オンコセルカ症)に加え、象皮病にもなるリンパ系フィラリア症、世界で数千万人が感染しているとされる糞線虫症(糞線虫が消化器官に寄生する寄生虫感染症)などにも効果があるということが分かった。

大村智特別栄誉教授とDr. William Campbell は2015年にノーベル医学・生理学賞を共同受賞した。

日本ではMSDが、腸管糞線虫症および疥癬用に商品名ストロメクトールで製造、マルホが販売する。

2020/4/27  「イベルメクチン」新型コロナに効果か

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イベルメクチンの新型コロナウイルス感染症に対する臨床試験世界各国で実施されてい る。

英国ではオックスフォード大学の研究者たちが、通常の治療法と成果を比較する臨床試験に入った。

アジアではその高い効果に注目が集まり、一部地域では需要が殺到している。東南アジア地域の一部医療関係者が「奇跡の治療薬」と称賛しているほどだと報じられている。

インドネシア、マレーシア、フィリピン、インドなどで適応外使用が進んでいる。

米国でもFDAはコロナ治療で利用を承認していないが、個人の選択において適応外使用が行われている。但し、慎重な声もある。

WHO、FDA、米感染症学会のいずれもが、現段階では治験を除き、イベルメクチンをコロナに適用しないよう勧告している。

イベルメクチンは比較的安全だが、血液凝固剤などの薬と薬物相互作用を起こす可能性があるほか、過剰摂取による嘔吐や昏睡などの危険があると指摘する 声がある。

日本において企業が主体となった臨床試験は行われていない。

Merck & Co., Inc.は国内で子会社MSDがイベルメクチン を製造するが、適応拡大に向けて動いていない。 同社は2021年2月4日、イベルメクチンを新型コロナウイルス感染症治療に使う可能性について、データを検証したところ、安全性と効果は示されなかったと発表、寄生虫病の治療以外の用途で使用すべきでないと警告した 。

そのなかで興和は、北里大学大村智記念研究所 の大村智特別栄誉教授より直接、興和での本臨床試験実施に関する依頼を受け、本臨床試験実施 を決断した。北里大学大村智特別栄誉教授、花木秀明教授、愛知医科大学・三鴨廣繁教授ならびに東京都医師会協力の下、イベルメクチンの新型コロナウイルスに対する臨床効果を早急に確認し、早期に治療薬用化を目指す。

治験の方法や開始時期は、医薬品の審査を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議して決めるが、現段階では、東京、大阪、名古屋などで陽性判明から3日以内程度の患者約1千人を対象に 、「二重盲検」で実施する予定で、「一刻でも早く始めたい。年内の治験終了をめざす」としている。

イベルメクチンを投与される処置群と、プラセボを投与される対照群に分け、処置群と対照群は無作為に選択するが、医師にも患者にも知らさない。

但し、プラセボを投与される患者は、イベルメクチンを投与されておれば治ったのにプラセボを投与されたために亡くなるという可能性もあり、倫理上問題であるため、北里大と興和では医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議して方法を決めたいとしている。

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なお、北里研究所とMeiji Seikaファルマは6月9日、次世代型イベルメクチン誘導体によるCOVID-19に対する画期的治療薬創出と抗ウイルス薬の基盤構築を目的とした共同研究開発を開始 すると発表した。

日本医療研究開発機構(AMED)の「本年度 医療研究開発革新基盤創成事業:第5回公募」に係る研究開発課題「次世代型イベルメクチン誘導体によるCOVID-19に対する画期的治療薬創出と抗ウイルス薬の基盤構築」として採択されている。

北里研究所は、感染症研究の伝統と実績を有し、北里大学大村智記念研究所は独創的な抗感染症薬の創製を目指している。Meiji Seikaファルマは、ペニシリン製造を皮切りに多くの感染症治療薬を上市した実績があり、現在も感染症領域を中心に研究開発を行っている実績を有している。

 


2021/7/12 FDA、アルツハイマー新薬承認手続きにつき調査を要請 

米食品医薬品局(FDA)のJanet Woodcock長官代行は7月9日、米製薬企業Biogenと日本のエーザイが共同開発したアルツハイマー病新薬ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について、FDAの承認手続きに疑義が生じたとして、米保健福祉省の監査部門に調査を要請したと発表した。

「現状の疑問を考慮し、承認過程の検証を求めた」と説明した。

米メディアの一部はエーザイ/バイオジェンとFDAがFDAの規範を超えて不適切に接触した恐れを報じている。両社とFDA担当者の間での承認前のやりとりや、承認への影響の有無を評価してもらう狙い。

ーーー

2020117日、アルツハイマー病治療薬候補であるアデュカヌマブについて、米国食品医薬品局FDA)の末梢中枢神経系薬物諮問委員会が開催された。
投票の結果、
有効性に対して否定的な見解を公表した。

諮問委員会は、バイオジェンが臨床上の有効性を十分に示せなかったと結論づけている。

  賛成 反対 保留
アルツハイマー病治療としての有効性に関する説得力のあるエビデンスを示している 1 8 2
試験がアデュカヌマブの有効性裏付けとなるデンス示しているか 0 7 4
アデュカヌマブの薬力学的効果に関して説得力のあるエビデンスしているか 5 0 6
302アデュカヌマブのアルツハイマー病に対する有効性に関する主要なエビデンスとみなすことができるか 0 10 1

FDA諮問委員会の提言はFDAによる審査において考慮されるが、拘束力はない。

2019/10/24  Biogenとエーザイ、一旦治験中止したアルツハイマー薬の承認申請へ

FDAは当初、2021年3月に判断するとしていたが、追加データを求め、3か月延長した。

米食品医薬品局(FDA)は6月7日、エーザイと米バイオジェンが共同で開発するアルツハイマー型認知症治療薬候補ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について、脳内アミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一治療薬として迅速承認(accelerated approval)したと発表した。

諮問委員会の提言は拘束力はないが、提言に反する承認は異例。

今回の迅速承認は、アミロイドβプラークの減少に対するADUHELM効果を実証した臨床試験のデータに基づくもので、迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となる。

2021/6/8   エーザイとバイオジェンのアルツハイマー新薬、米で承認

なお、バイオジェンとエーザイはアルツハイマー病の初期段階の患者に重点を絞って臨床試験を実施したが、FDAは迅速承認にあたり、アルツハイマー病の初期段階だけでなく、患者全般を対象にアデュヘルムを承認していた。

バイオジェンとエーザイは7月8日、軽度の認知機能障害または軽度認知症の段階にある患者に使用を限定した。(FDAが変更を承認)

ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度アルツハイマー病の患者様において開始する必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはありません。

 

6月7日の承認を受け、諮問委員会で承認に反対票を投じたワシントン大学の神経学者、Joel Perlmutter がFDAが諮問委と追加の協議をせずに承認を決めたことを理由に6月8日に辞任した。

Mayo Clinicの神経学者 David Knopmanは同治療薬の臨床試験に治験責任医師として参加していたため、11月の諮問委の会合および採決への参加を見送っていたが、「FDAによる諮問委の意見の扱い方に非常に失望した」と述べて6月9日に辞任した。

バイオジェンとエーザイは2020年12月10日、アデュカヌマブについて、厚生労働省に新薬承認を申請したと発表している。

 


 

2021/7/13 バイデン大統領、米経済での競争促進のための大統領令 

バイデン米大統領は6月9日、企業間の競争を促すため大企業への監視強化を求める大統領令:Executive Order on Promoting Competition in the American Economy に署名した。

Fact Sheet  大統領スピーチ 

フェアでオープンで、競争的な市場が米国経済の発展を支えてきたが、この数十年、 企業が統合され、競争が多くの市場で弱まり、Open economy のメリットがなくなり、人種、所得、富の不公平が広まっているとし、今や、この危険な兆候を反転させる必要があるとする。

この数十年で企業統合が進み、ヘルスケア、金融、農業、等々、米産業の75%以上で、ごく少数の大企業が産業を支配している。

競争の削減は消費者価格を引き上げる。小数の大企業が市場を支配し、mark-up (利益)は3倍になった。消費者は必要品の購入に高い価格を払わされている。

 競争削減の結果、企業数が減り、労働者の賃金は下がる。

不十分な競争が経済成長、イノベーションを抑える。その結果、所得、富、人種の不平等が広まる。

このため大統領は、企業集中の傾向を減らし、競争を促進し、米国の消費者、労働者、農民、中小企業に具体的な利益を与えるための行動をとるとした。

大統領の競争政策の特別補佐官(Special Assistant to the President for Technology and Competition Policy)を務めるコロンビア大学のTimothy Wu教授は、巨大企業の分割を求める急先鋒として知られる。政権発足前の昨年の論文で「政府一丸」('whole government' approach to the tech industry)の表現を使い、今回の大統領令の方向性を既に示していた。

 幅広い業界を標的とする もので、消費者や労働者、中小企業を保護する狙いだが、企業の競争力をそぐリスクもある。

 

具体的な問題とそれに対する行動は以下の通り。

  問題点 対応
労働市場 競業避止条項:約3,600万から6,000万人の労働者に影響 FTCに競業避止条項 を禁止or 制限させる。
職業免許要件:免許を必要とする職業の5%未満が50州すべてで一貫して扱われている。 FTCに不要な職業免許要件を禁止させる。
司法省およびFTCの既存のガイダンスでは、賃金データが開示され、賃金抑制に利用される。 経営者が互いに賃金データを交換することで賃金を抑えることを防ぐ独禁法ガイダンス強化
上記対応は、大統領が議会に法案通過を求めているProtecting the Right to Organize Act (労働組合に自由に参加し、団体交渉に加わる権利を保証)を補填する。
Healthcare  
  処方薬 米国では他より2.5倍以上高い。インフレ率以上に上昇
  →4人に1人は支払い困難、3人に1人は利用できず

原因は業界での競争の不足
金を払ってジェネリック医薬品上市を遅らせる“pay for delay”も問題
FDAにMedicare Modernization Act of 2003に基づき、カナダから処方薬を輸入させる。
保健福祉省にジェネリック、バイオシミラーへのサポートを増やさせる。
保健福祉省に45日以内に処方薬の高価格対応策、価格つり上げ対応策を求める。
FTCに“pay for delay”や同様の協定を禁止するよう求める。
補聴器 価格が高すぎ、利用できる人が少ない。
 医者を通してしか買えない。
 メーカー4社がシェア84%
議会は店頭での over-the-counter 販売を認めたが、FDAは必要手続きを取らず。
保健福祉省に120日以内に店頭販売を認めるルールをつくらせる。
病院 農村部では便利で安価な施設が少ない。合併で統合されたものが多い。
統合で競合のない病院は高い入院費を請求
司法省とFTCに、合併が患者に不利にならないよう、合併ルールをレビューし、改正させる。
保健福祉省に既存の入院費の透明性ルールをサポートさせ、異常に高い入院費(surprise hospital billing)に対応する超党派法をまとめさせる。
健康保険 保険会社の統合で消費者は選択が少なくなる。
選択できる場合も、説明が複雑すぎ、比較が困難。
消費者が簡単に比較できるよう、保健福祉省に、健康保険のオプションを標準化させる。
輸送   
  航空機 4社が国内市場の2/3を占める。
結果、荷物料金やキャンセルフィが上がった。
サービスが低下 預けた荷物の遅れが急増
運輸省に、荷物が遅れた場合やサービスがされなかった場合の費用払い戻しの明確なルールを検討させる。
荷物料金やキャンセルフィなどを明確に顧客に示すルールの作成の検討をさせる。
鉄道 1980年代に33あった鉄道が7つに減り、4大鉄道会社がそれぞれの地域を支配する。貨物優先で、旅客列車は時間通りの運用をしない。 陸上運輸委員会に、線路保有者に旅客列車に通行権を与えさせ、他の貨物会社も公平に扱う義務を強化させる。
海上輸送 10社の大企業が80%を抑え、製品を輸出しようとする企業は輸送会社の言うがままになるしかない。コンテナー会社は輸出業者に荷物の積み下ろしを待つ期間にも多額のフィを請求する。 連邦海事委員会に、米国の輸出者に過大な費用を請求する輸送業者に強力な対応をさせる。
農業 種子、機器、飼料、肥料は小数の大企業が支配し、価格は上昇している。
統合の結果、農家の製品販売オプションも狭まる。
最終市場では値上がりしながら、農家の手取りは減少する。
消費者と農家の手取りは減り、中間の大企業が大儲けする構図となる。

これに対応するためのPackers and Stockyards Actはトランプ政権により弱められた。
農務省にPackers and Stockyards Actを改正し、搾取を無くす。
肉に“Product of USA” の表示をするための新ルールを検討し、真の米国製を選べるようにする。
農家が市場にアプローチできる新ルートを開発
新基準、新ラベルをつくり消費者が農家をフェアに扱う製品を買えるようにする。
独立の機器修理メーカーやDIY修理を使うのを機器メーカーが制限するのをやめさせる。
インターネット  
  競争欠如 地域に1〜2のbroadband providerしかない。 テナントの選択を制限する家主との契約を禁止
価格透明性 比較困難 簡単なBroadband Nutrition Label を復活、比較可能とするとともに、FCCに報告させる。
高い解約費 約200$程度 過大な解約費を制限
接続スローダウン 差別的に接続をカットしたり、スローダウンさせる。 オバマ時代の“Net Neutrality” ルールを復活
Big Tech  
   未来の競争相手の買収  killer acquisitions 合併審査の厳格化、
Big platform 個人情報の集め過ぎ FTCにデータ収集ルールを決めさせる。
他社の売り方を自社製品に適用 ネット市場でのアンフェアな方法禁止のルール作成
携帯メーカー 第三者による修理を禁止 独占的制限禁止ルール作成
銀行、消費者金融 統合結果、数が激減→金利アップ 銀行合併のガイドラインの見直し
顧客は自己のデータをダウンロードし、他の銀行に示せるようなルール作成

 


2021/7/14 発電コスト試算 太陽光が原発より安価に

経済産業省は7月12日、総合資源エネルギー調査会の作業部会で、2030年時点の電源別の発電コストについて新たな試算を公表した。

電源を新設し、数十年稼働させて廃棄するまでにかかる費用を総発電量で割って算出した。

原発は1キロワット時あたり11円台後半以上で、前回試算より1円ほど高くなった。福島原発事故後も原発のコスト面の優位性を強調してきたが、 今回の試算では、太陽光、陸上風力、LNG火力よりも高くなり、前提が崩れることになる。

太陽光は、想定より導入が進み、設置費用が下がっていることを反映させた。

原子力発電コスト試算の推移は下記の通りで、福島第一原発事故前の2004年試算の2倍となった。

 

コスト試算

  増加理由

 
2004年試算 5.9円      
       2011/3/11 福島第一原発 事故
2011年試算 8.9円〜  廃炉、除染費加算 依然 最安値
2015年試算 10.3円〜  安全対策費増加
2021年試算 11円台後半〜  安全対策費増加 最安値でなくなる。

  

なお、2015年試算の内訳は下図の通りで、通常の資本費、燃料費、運転維持費に加え、追加的安全対策費、CO2対策費、事故リスク対応費、固定価格買取制度の創設による政策経費を含んでいる。

2015/5報告では2030年モデルのほかに2014年モデルの試算もしており、この場合は若干安く、10.1円となっているが、その内訳は下記の通り。

事故リスク対応費用、政策経費として立地交付金やもんじゅ等の研究開発費、核燃料リサイクル費用、追加的安全対策費などを含んでいる。

 

 


 
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