(化学工業日報2002/2/4 ) 

化学品構造改革にコンビナートの壁
  旭硝子、半端さ否めぬ電解縮小   各社合意得られず 「構成バランス崩れる」

旭硝子は構造改革の一環として、ブラウン管用ガラスを製造している船橋工場の閉鎖と化学品部門の人員削減を決めた。ただ船橋工場の閉鎖がブラウン管市場の変化に対する早期の修正として積極的に位置付けられる面もあるのに対し、化学品の場合はそうとばかりはいえない。本来目指している電解事業の大胆な縮小がコンビナート各社の反対などで思うままにならないなか、中途半端な施策にとどまった感が否めないからだ。日本の化学産業は大幅な構造転換が求められている---しかし複雑に絡み合った関係企業の合意を得ずには戦略的な事業運営が一歩も進まないさまは、旭硝子にとどまらず、これからの化学再編の難しさを図らずも暗示している。

旭硝子が進める事業構造の改革は、時代の成長産業に対し素材面でのソリューションを提供することで生き残りを図ろうという発想に基づく。成長産業への追随を強める一方、成長産業ではないと位置付けた事業は縮小する。これが「シユリンクトゥグロー」だ。化学品でいえば、成長産業に対するソリューションが可能なのはフッ素とウレタンの川下製品であり、電解製品やその川下の汎用品は縮小の対象となる。事実、旭硝子では、フッ素化学で積極的な買収などを進める半面、ソーダ灰事業から撤退、電解事業を手掛ける北九州工場からも撤退を決めるなどしてきた。

複雑な出資関係
化学の縮小は、本来なら千葉、鹿島の両電解工場、さらに北海道の電解事業の縮小というかたちで完結する。地場の需要規模に見合った力性ソーダや塩素の生産規模にまで身の丈を縮めようというものだ。
結果として、塩ビモノマーなど誘導品事業からは撤退を考えることになる。
ただ、例えば塩ビモノマー製造会社の一つである京葉モノマーは丸善石油化学と呉羽化学工業との共同出資。丸善石化の千葉コンビナートの構成会社でもあり、塩素と並ぶモノマー原料のエチレンは丸善石化から供給を受けている。京葉モノマーの停止や同社向けの電解設備能力の縮小は、コンビナート全体のバランスを大きく崩してしまうことになる。

スリム化を先行
同様に鹿島地区でのウレタン事業は、三菱化学や東燃化学にとってはプロピレンの消化先だ。ウレタンの川下シフトを強めるなかで、例えば酸化プロピレンの自社製品に必ずしもこだわらない方針を掲げたところで、自社一社で解決はおぼつかない。結局のところ、鹿島や千葉の縮小を決められないまま、人員のスリム化やコスト削減を先行しようというのが今回の施策の真相。

粘り強く調整へ
そうこうしているうちに、今期の化学事業は60億円に及ぶ営業赤字を計上する見通しとなった。事業セグメントで営業赤字となるのは化学だけだ。電解などはエネルギー多消費型だけに輸入原燃料の価格動向の影響を受けやすい。石津進也社長は「私の任期中には必ずクロール・アルカリ事業の構造改革に見通しをつけたい」と、あくまでも粘り強く関係各社などとの調整を図っていく姿勢をみせている。しかし、その達成の見通しは、まだほとんど立っていないのが現状だ。


 旭硝子・石津進也社長コメント (石油化学新報 2002/2/1)

(懸案の千葉、鹿島におけるクロール・アルカリ事業の地域需要対応型への転換については・・・これまで生産体制の縮小も検討してきたが、京葉モノマーや鹿島塩ビモノマーなどにおける他社との共同運営体制に加え、コンビナート内のエチレン・塩素バランスを考慮した結果)

「現時点では本来のゴールに向けての考えを実行するに至らなかった」


(日本経済新聞 1999/6/30)
塩ビ原料設備廃棄 旭化成とチッソ、岡山で三菱化学に生産委託 

 旭化成工業、三菱化学とチッソの3社は、代表的な石油化学製品の一つである塩化ビニール樹脂の原料事業で提携する。旭化成とチッソが来年3月に岡山県にある石油化学コンビナート内のプラントを停止し、三菱化学への生産委託に切り替える。この結果、塩ビ原料の国内生産設備の約1割が廃棄される見通し。石化製品の多くは設備過剰が続いている。今回の3社提携をきっかけに、全国の石油化学コンビナートで地域的な協力関係を生かした設備廃棄の動きに弾みがつく可能性がある。
 生産停止・廃棄するのは旭化成とチッソ、日本ゼオンが共同出資する
山陽モノマーの塩ビ原料プラント(岡山県倉敷市)。生産能力は年産23万トン。国内生産能力(338万トン)の7%に相当する。ただ旭化成とチッソは山陽モノマーから原料を受け、「サランラップ」と塩化ビニール樹脂を生産しており、新たな原料調達に迫られる。このため、旭化成が基礎原料を三菱化学のプラントに持ち込み、旭化成とチッソ向けに生産してもらうことで合意した。


山陽モノマー

1968   設立
 日本ゼオン 55%、旭化成 25%、チッソ 20%
1970   ゼオン水島工場内にオキシクロリネーション法12万トン(→23万トン)
     
原料   塩素   :岡山化成(旭化成 50%、ダイソー 50%)
    エチレン:山陽石油化学(旭化成)
     
引取   ゼオン  65% PVC
旭化成 10% ビニリデン、溶剤(延岡)                 
チッソ  25% PVC

(日刊ケミカルニュース 2000/1/14) 

☆旭化成、三菱化学に7万5千tVCM生産委託  期間は4月から3年間、両原料をパイプ供給へ  

 旭化成工業は、三菱化学と塩化ビニルモノマー(VCM)の委託生産の細目について交渉を行っていたが、このほど2000年4月から3ヵ年にわたって生産を委託することで合意した。数量は年間7万5千tで、旭化成が原料のエチレンと塩素(岡山化成)を三菱化学・水島工場にパイプ供給し、生産委託のVCMのうち年間4万5千tをチッソ・水島工場に、同3万tを旭化成・延岡工場にそれぞれ振り向ける。旭化成の三菱化学へのVCM委託生産は、旭化成とともに山陽モノマーの出資親会社ある日本ゼオンが水島工場の塩化ビニル樹脂(PVC)の年産を2000年3月末で打ち切り、同時に山陽モノマーもVCMの生産を中止するため、旭化成の山陽モノマー向けエチレンが浮いてしまうことから具体化したものだ。
 一方、三菱化学は水島工場に年産30万tのVCMプラントを保有しているが、うち10万tについてはEDC(二塩化エチレン)の輸入で対応しているため、VCMの生産を受託することで年産30万tプラントはEDCからの一貫生産が可能となり、両社の利害が一致した。旭化成と三菱化学は、過去に水島でエチレンの輪番投資を実施しているほか、ポリスチレン事業統合会社のA&Mスチレンを折半出資で設立するなど友好関係にある。なお、今回のVCMの受委託生産に伴い、岡山化成・水島工場と三菱化学・水島工場間に塩素輸送パイプラインが約4qにわたって敷設され、3月中には敷設工事の全てが完了する。

注 チッソ水島工場は能力7万t。三菱からの4万5千tの残り2万5千tは鐘化からの購入と思われる。


日本経済新聞 2000/4/4                                    設立経緯

三菱化学と旭硝子 鹿島の塩ビ原料事業譲渡  信越化学と鐘淵化学に 
       来年メド株式売却
(未) 

 三菱化学と旭硝子は、鹿島コンビナート(茨城県神栖町)での塩化ビニール樹脂原料の生産事業から撤退する。まず同コンビナートにある両社出資の共同生産会社の製品引き取り権を、同じく共同生産会社に出資する信越化学工業と鐙淵化学工業に譲渡、2001年中をめどに株式も信越化学、鐘淵化学の両社に売却する方針。国内需要の低迷を背景に化学各社は得意分野への集中を進めている。今後、競争力が劣るメーカーから優位にあるメーカーへ事業集約する形で業界の再偏が進む見込みだ。  
 三菱化学、旭硝子、信越化学、鐘淵化学の4社は塩ビ原料を生産する鹿島塩ビモノマーを共同運営している。
出資比率は信越化学工業が50%、三菱化学が25%、旭硝子、鐘淵化学が各10%。このほか旭電化工業が5%出資している。三菱化学と旭硝子はそれぞれ、塩ビ原料生産は自社にとって今後の中核事業にはならないと判断、撤退を決めた。  
 鹿島塩ビモノマーに塩素を供給する会社で、同じ5社が共同出資する鹿島電解でも、三菱化学は製品引き取り権を信越化学と鐘淵化学に譲り、株式の売却を検討する。塩素を中核事業と位置付ける旭硝子は、鹿島電解の製品引き取りは継続する。すべての引き取り権の譲渡については無償とする。  鹿島コンビナートは単体では国内最大の石油化学コンビナート。通産省の主導で競争力強化策「コンビナート・ルネサンス計画」を進めており、今回の再編もその一環。化学各社が事業の選別を進める動きが、日本各地の石化コンビナートにも広がるのは確実だ。


新引取比率:(日刊ケミカルニュース 2000/5/19
★鹿島塩ビモノマー、信越化学向けVCMは49万tに  

 塩ビモノマー(VCM)の共同投資会社・鹿島塩ビモノマーから旭硝子と三菱化学がVCMの引き取りを今年3月末で打ち切ったのに伴い、鹿島塩ビモノマーからのVCM引き取りは、4月から信越化学と鐘淵化学工業の2社となったが、このほど両社の年間引き取り数量が明らかになった。  
 それによると、50%を出資する信越化学の引き取り数量は年間49万2千tで、10%出資の鐘淵化学の引き取り数量は同10万8千tとなっている。従来の引き取り数量に対して信越化学は年間12万7千t、鐘淵化学は同2万8千tのそれぞれ増加となった。鹿島塩ビモノマーは鹿島工場に年産60万tのVCMプラントを保有、信越化学、鐘淵化学以外の出資各社は、三菱化学25%、旭硝子10%、旭電化工業5%となっており、三菱化学はエチレンを、旭硝子は塩素を鹿島塩ビモノマーに供給している。また、信越化学は鹿島地区に年産55万tのPVC(塩ビ樹脂)プラントを保有しているので、約90%のVCMを同地区で調達できる体制となった。一方、鐘淵化学は高砂工場から不足分のVCMを鹿島に運んでいる。


株主関係

  鹿島電解       鹿島塩ビモノマー  
          出資   引取量  
旭硝子     25%        旭硝子   10%       0  
旭電化 23%         旭電化       5%       0  
信越化学 23%   信越化学   50%   492,000t  
鐘化  8%   鐘化   10%   108,000t  
三菱化学 21%   三菱化学   25%       0  

*三菱化学  当初、三菱油化がエチレン供給者として参加
          三菱化学誕生でVCM増設時に50千トンの引取り権を獲得
           (東亜合成とのスワップで川崎向けに出荷)
         今回、引取権を放棄

両社設立の経緯 信越化学社史より


(Chemnet Tokyo 1999/12/14)  

三井化学、大阪工場のVCM設備休止へ
 来月1日から大洋塩ビ向けは東ソーが全量供給

 大洋塩ビに出資参加している三井化学は東ソーとの事業提携契約に基づき、大阪工場のVCM(塩ビモノマー)年産10万9千トンと、か性ソーダ同7万トンの電解設備の休止準備に入った。同工場に必要なVCM10万トンとか性ソーダ7万トンは1月1日以降東ソーから供給を受ける。
 三井化学大阪工場には大洋塩ビのPVC(塩ビ樹脂)年産21万トン設備があり、三井化学はこれまで鐘淵化学にも10万トンのVCM生産を委託していたが、この分はすでに4月から東ソー品に切り換えている。
 大洋塩ビは東ソー、三井化学、電気化学工業3社の共同出資会社で、千葉、四日市、大阪に合わせて年産61万トンのPVC能力をもつわが国の塩ビトップメーカー。
 電気化学は昨年10月からVCM供給先を東ソー品に切り換えている。このため東ソーは来年1月から大洋塩ビ向けVCMを全量供給することになる。塩ビ業界の国際競争力強化に向けた再編は一歩進むことになる。


(1998/12/7 東ソー・三井化学発表)

電解・塩ビモノマーの事業提携について

 三井化学株式会社(三井化学、社長:佐藤彰夫)と東ソー株式会社(東ソー、社長:田代圓)は、電気化学工業株式会社(社長:矢野恒夫)とともに塩ビ樹脂事業を集約して1996年に大洋塩ビ株式会社(社長:日野清司)を設立し、その運営に当たっております。

 この度、東ソーが1999年春に競争力を有する電解プラント及び塩ビモノマー(VCM)プラントの増設工事を完了することに伴い、三井化学は大阪工場の電解・VCMプラントを休止し、東ソーに苛性ソーダ及びVCMの生産を委託するとともに、東ソーはこれを受託して生産の集中化を図り、競争力を強化することで、両社合意致しました。合意内容は以下のとおりであります。

1. 三井化学は、東ソーからの製品受け入れ体制が整う1999年12月末を目途として、大阪工場の電解プラント(苛性ソーダ換算の年産能力:70,000トン)・VCMプラント(年産能力:109,000トン)を休止し、生産を東ソーに委託する。

2. 東ソーは、上記プラントの停止に伴って、三井化学からVCM、苛性ソーダの生産を受託し、2000年以降、次の数量を三井化学に供給する。
    VCM        100,000トン/年          
    苛性ソーダ      70,000トン/年

3. 三井化学は、東ソーに対し上記VCM委託生産に必要見合いのエチレンを供給する。


1999/8 千葉塩ビモノマー解散 発表  

                                               平成11年8月10日
                                               住友化学工業株式会社
                                               旭硝子株式会社

 住友化学および旭硝子の2社は、このたび共同運営している千葉塩ビモノマーを解散いたしました。
千葉塩ビモノマーは、平成10年10月以降プラントを休止し、今般解散したものです。解散日は、平成11年7月31日で、これからプラントの撤去工事に入り、清算結了時期は平成12年11月ごろの予定です。
 千葉塩ビモノマーは、これまで出資者が、生産したVCMを引き取りそれぞれ販売してきました。住友化学は、これまで、出資している新第一塩ビに販売してきましたが、平成11年7月以降は、トクヤマが責任をもち供給しています。旭硝子は、すでに子会社である京葉モノマーに生産を集中しています。

(千葉塩ビモノマー株式会社概要)
(1) 設立    昭和44年12月           歴史
(2) 本店所在地 東京都中央区(住友化学・東京本社内)
(3) 工場    千葉県袖ヶ浦市(住友化学・千葉工場内)
(4) 資本金   804百万円(住友化学62.68%、旭硝子37.32%)
(5) 事業内容  塩ビモノマーの製造、販売
(6) 社長    河内 哲(住友化学・常務取締役)
(7) 従業員   0名(住友化学に業務委託)
                                                             以上


1998/2/27住友化学発表 

                                                平成10年2月27日
             塩化ビニールモノマー関連事業の再構築について

 住友化学は、塩化ビニール樹脂の原料である塩化ビニールモノマーの関連事業について、共同出資の製造会社である、千葉電解、千葉イー・ディー・シー、千葉塩ビモノマーの3社により運営をしてまいりましたが、このほど、
千葉電解、千葉イー・ディー・シーの2社は解散し、千葉塩ビモノマーは新たな体制で事業を継続することで関係各社と合意し、本事業の再構築を図ることといたしました。
 千葉電解、千葉イー・ディー・シー、千葉塩ビモノマーの3社は、いずれも電気化学工業の出資を仰ぎ事業を進めてまいりましたが、かねてより、電気化学工業から本合弁3社からの撤退の申し入れを受けていました。このほど、当社は、本事業の競争力向上施策に目途を得たことから、電気化学工業をはじめ、関連出資会社であるトクヤマ、旭硝子と協議した結果、本年10月を目途に、千葉電解、千葉イー・ディー・シーの2社は解散し、千葉塩ビモノマーは電気化学工業の撤退に合意いたしました。
 当社は、千葉電解および千葉イー・ディー・シー両社の操業停止後は、旭硝子に苛性ソーダとEDCの生産を委託することとしております。
 一方、
千葉塩ビモノマーは、当社と旭硝子の2社により、さまざまな合理化を実施するなかで、塩化ビニールモノマーの事業を継続してまいります。
 住友化学は、塩化ビニールモノマー関連事業に関して、このように旭硝子と生産委託をはじめとした協力を行うことにより、今後ともより一層の競争力強化を図っていく考えです。
 なお、千葉電解の塩素を使用して、液体塩素、次亜塩素酸ソーダを生産している
袖ヶ浦ケミカルについても、千葉電解等と同様、共同出資会社のトクヤマと、本年10月を目途に解散することで合意しております。
                                                           以上
(ご参考)

【塩化ビニール原料:製造会社の概要】
1.千葉電解株式会社(Chiba Chlorine & Alkali Co.,Ltd.)
 (1)本社   東京都中央区新川二丁目27−1(住友化学内)
 (2)代表者  代表取締役河内哲(非常勤:住友化学取締役千葉工場長)
 (3)設立   昭和42年12月(日本塩化ビニール株式会社として設立。
         昭和60年に現在の社名に改称)
 (4)資本金  1,600百万円
 (5)出資比率 住友化学:39% 電気化学:39% トクヤマ:22%
 (6)事業内容 塩素、苛性ソーダの製造、販売
 (7)工場   住友化学千葉工場内
2.千葉イー・ディー・シー株式会社(Chiba EDC Co.,Ltd.)
 (1)本社   東京都中央区新川二丁目27−1(住友化学内)
 (2)代表者  代表取締役河内哲(非常勤:住友化学取締役)
 (3)設立   昭和59年11月
 (4)資本金  50百万円
 (5)出資比率 住友化学:50% 電気化学:50%
 (6)事業内容 EDCの製造、販売
 (7)工場   住友化学千葉工場内
3.千葉塩ビモノマー株式会社(Chiba VCM Co.,Ltd.)
 (1)本社   東京都中央区新川二丁目2−27(住友化学内)
 (2)社長   河内哲(非常勤:住友化学取締役)
 (3)設立   昭和44年12月
 (4)資本金  1,200百万円
 (5)出資比率 住友化学:42% 電気化学:33% 旭硝子:25%
 (6)事業内容 塩化ビニールモノマーの製造、販売
 (7)工場   住友化学千葉工場内
4. 袖ヶ浦ケミカル有限会社(Sodegaura Chemical Co.,Ltd.)
 (1)本社   東京都渋谷区渋谷3−3−1(トクヤマ内)
 (2)社長   西野義彦(非常勤:トクヤマ専務)
 (3)設立   昭和59年5月
 (4)資本金  50百万円
 (5)出資比率 トクヤマ:60% 住友化学:40%
 (6)事業内容 液体塩素、次亜塩素酸ソーダの製造、販売
 (7)工場   住友化学千葉工場内


参考 各社歴史

*千葉塩ビモノマー
   千葉地区の3計画(日本塩化ビニール、旭ペンケミカル、日産化学工業の各10万トン計画)を
   通産省の指導で統合

「・・・・塩化ビニルモノマーセンター計画は相次いで出され、塩化ビニル樹脂の需要予測と量的に乖離してその調整が必要となった。塩化ビニル業界とEDCおよび塩化ビニルモノマー業界は、1968年夏再三にわたって協議し、1972年度の塩化ビニル樹脂需要を140万トンと想定、これをもとに通産省は翌1969年3月水島、千葉、川崎、鹿島の4つの塩化ビニルモノマーセンターを認めた。」
(日本ゼオン社史)


(化学工業日報 98/5/12)
旭硝子、VCM生産を再編 
 旭ペンの5万トン停止  プロセス改良で溶剤独立型に 余力EDC、住化に供給

 旭硝子は、塩化ビニルモノマー(VCM)の生産体制を再編する。今年8月、旭ペンケミカル(APC)が年5万トン能力のVCM生産を停止し、二塩化エチレン(EDC)の供給能力を拡大する。APCの設備はVCMとトリクロロエチレン・パークロロエチレンの並産となっており、塩素系溶剤の需要が縮小するなかで操業率が半分以下に落ち込んでいた。APCは塩素系溶剤を独立生産できるようにプロセスを改良、日本では設備過剰となっているVCMの生産を停止することにした。これによって、VCMに振り向けていたEDCに余力が生じることになり、旭硝子は千葉地区の塩ビ原料再編に絡んで、EDCの生産を受託することになった住友化学工業に供給を行う。

 APCは、旭硝子と米PPGインダストリーズが66年に折半出資で設立した合弁会社で、旭硝子・千葉工場内においてEDC,VCM、塩素系溶剤であるトリクロロエチレン・パークロロエチレンなどを生産している。これまでの同社のプロセスは、VCMと塩素系溶剤を一貫して生産するもので、設備能力はEDC年25万トン、VCM同5万トン、溶剤が合計で同73千トン。
 塩素系溶剤は環境問題から需要量の減少が続き、VCMも日本では設備過剰の状況にある。このようななか、APCの設備の稼働率は半分以下に落ち込んでおり、採算性に問題を抱えていた。APCでは独自の技術によって並産プロセスを抜本的に見直し、塩素系溶剤を独立して生産できるように改良した。従来はEDCをVCMに分解した時に生じた塩酸を塩素系溶剤の原料としていたが、これを電解設備からの塩素ガスに置き換えた。すでにPPGの了解を得ており、今年8月の定修を利用し約1億円を投じて変更することにしている。このプロセス改良によって旭硝子は、電解設備を増強せずに住友化学工業へのEDC供給を行うことが可能となった。住化は塩ビ業界の再編にともなって、10月に千葉電解と千葉イー・ディー・シーを解散、千葉塩ビモノマーは旭硝子と2社で継続する。
 住化は旭硝子にEDCと力性ソーダの生産を委託するが、旭硝子は塩素源の確保が課題だった。APCがVCMの生産を停止することで、EDCは能力ベースで年8万トン程度の余力が生まれる。旭硝子では今回のプロセス変更で塩素系溶剤の供給を需要見合いで継続できるとともに、設備過剰となっているVCMの需給バランス改善にも貢献できるとしている。


(日刊ケミカルニュース 1996/11/26)

☆サン・アロー化学、新設VCM設備、来月営業運転へ 

 サン・アロー化学は、徳山工場に完成した塩化ビニルモノマー(VCM)プラントの試運転が順調なため、予定通り来月1日から営業運転を開始する。同社は約140億円を投資して、年産30万tのVCMプラントを新設、既設の13万5千t設備は休止している。この休止プラントは1月−2月までに撤去し、排ガス焼却炉を新設する予定。また今回はエチレンタンク(3500t)、二塩化エチレン(EDC)タンク(3千t)、VCMタンク(3千t)を新設したことで、外部からの原料調達に対応していく方針だ。さらにEDC供給を受けているトクヤマの本社工場でもEDCプラントの手直しを行い、各種配管を新設をしたことで、全体の設備増強を図っている。また、VCM設備も新設をしたことで全工程で1系列を実現、とくにオキシクロネーション工程は3系列からの工程減となる。
 「日本で全工程を1系列で年産30万tを製造するのは当社の新プラントが初めてとなる。そのため、運転管理、人員、メンテナンスなどの面で高い競争力を持つのは確実だ。とくに原料EDCからの一貫体制となっている強みが一層生かされる。また今回はオキシクロネーション工程に、従来の空気法から酸素法を採用したことで世界トップレベルの環境対策を実現しており、今後の環境規制にも十分対応していける」(守田凱夫常務・工場長)


(95/7/19 日経) 
呉羽化学 京葉モノマーに出資 塩化ビニール事業を強化  

 呉羽化学工業は18日、旭硝子と丸善石油化学が共同出資で設立した塩化ビニール樹脂原料メーカー、京葉モノマー(本社市原市、吉田貞夫社長)に資本参加することで両社と合意した、と発表した。出資比率は25%で、年間5万トンの塩ビモノマー(VCM)を引き収る。今回呉羽は塩ビ原料を確保し、塩ビ樹脂事業の強化につなげる。
 京葉モノマーは93年、旭硝子が75%、丸善石化が25%を出資して設立し、千葉地区に今春、年産20万トンのVCM設備を稼働させた。7月中に資本金を20億円から24億円に増資するのに合わせ、呉羽は全額を引き受けるとともに、旭化成と丸善石化の保有株の一部を取得する。出資額は6億円。

-----------------------
注 
出資比率

旭硝子 75% 56.25%
丸善石化 25%   18.75%
呉羽   25.00%

 


セントラル化学

1963 設立 セントラル硝子/東亜燃料

1969 東亞合成化学参加

     →セントラル硝子74%、東亞合成 13%、東燃化学 13%


化学工業日報 2000/1/20

セントラル化学 川崎の塩ビ競争力強化へ
 VCMコスト低減推進 東亞合成と新価格体系 制御室統合など検討

 セントラル化学は塩化ビニルモノマー(VCM)の競争力強化に取り組む。同社は川崎地区の塩ビコンビナートにおけるVCM拠点であり、三菱化学/東亜合成の塩ビ事業統合会社にもVCMを供給する役割を担う。新会社の始動にあたって、東亜合成はセントラル化学との間でVCMの価格体系の変更について合意しており、これを受けてセントラル化学は一層の合理化を進める方針。分散している制御室の統合などの検討に着手しており、固定費削減を図っていく。塩ビ事業のコスト競争力は原料が大きな要素を占める。新会社としてもVCM拠点の整備は事業基盤の強化につながる。
 川崎地区における塩ビコンビナートはエチレンを持つ東燃化学、電解・VCMのセントラル化学、塩ビ樹脂の東亜合成(川崎有機が生産子会社)で構成される。東亜合成は年20万トンの生産能力を持ち、原料のエチレン、二塩化エチレン(EDC)を持ち込むかたちでセントラル化学にVCMの生産を委託している。
 東亜合成は今年4月、三菱化学と塩ビ事業統合会社を発足させる。塩ビ樹脂のコストのうち、VCMが約7割を占めるとされるだけに原料面の整備が大きな課題。
 水島地区については三菱化学が年30万トン能力のVCM設備を持つ。今年3月末の山陽モノマー操業停止にともなって、旭化成工業から生産を受託することで合意。塩ビ樹脂の設備廃棄でVCMは余剰ポジションにあったが、フル操業の継続にめどを得ている。
 一方、川崎地区は年20万トンの塩ビ樹脂能力に対して、セントラル化学のVCM能力は13万トンと少ないのが不安要因。これまでも川崎地区の3社は塩ビ再建プログラムを実施しており、VCMの手直し増強や貯蔵タンク設置などを行い、一定の成果をあげている。
 東亜合成は不足分のVCMを系列にとらわれず調達できる利点があるが、新会社への事業移管によって川崎のさらなる競争力強化も課題となっていた。3社は長期的な協力関係を確認。そのうえで東亜合成とセントラル化学は、VCMについて固定費、委託加工費などを見直して新しい価格フォーミュラを結ぶことで合意した。
 セントラル化学は新会社の川崎工場に対して優先的にVCMを供給する一方、コスト低減に向けた合理化についても鋭意検討中。同社の工場は3カ所に分かれている問題があるが、制御室の統合などによって効率的な生産体制を追求していく考えだ。


Asahi-Penn Chemical (APC)      http://www.ppg.com/chm_finechemicals/chiba.htm

is a 50/50 manufacturing joint venture between Asahi Glass Company, Ltd. and PPG Industries, Inc.

Full product line of acid chlorides and chloroformates
Specialty isocyanates and polycarbonates
Glass-lined reactor systems
Batch and semi-continuous production
Full analytical capabilities
Pilot plant operations
Integrated chlorine production and phosgene plant
Shared infrastructure of Asahi Glass chemical plant

1966/2 設立 (1968生産開始)
  EDC 224千トン 京葉モノマー向け増設
  自社VCM 1998/7 停止


1998.02.27 旭硝子・トクヤマ発表

旭硝子、トクヤマが電解事業で業務提携

 旭硝子株式会社(本社:東京、社長:瀬谷博道)と株式会社トクヤマ(本部:東京、社長:三浦勇一)は、このたび、
苛性ソーダ及び塩素誘導品関連の電解事業において業務提携を行うことで基本合意に至りました。
 日本の電解事業は、苛性ソーダ及び塩素誘導品の国内需要の先行き不透明感、拡大した苛性・塩素のインバランス、世界的規模での電解設備増設による供給過剰の懸念、塩素を巡る環境対策問題の深刻化等により、今後ますます厳しい状況に直面するものと予想されます。
 このような環境の下、旭硝子及びトクヤマは、各々電解事業の国際的な競争力を強化し、ユーザーへの良品質の製品の安定供給を目ざして企業努力を継続してきましたが、今後、生き残りのためにさらなる業務の合理化及び効率化が不可欠と判断し、電解製品に関する生産受委託、物流面の協力、生産技術面での交流及びその原料の供給といった業務提携を広範囲に実施することで、大筋において合意しました。
 その具体的な提携の内容及びその進め方については、今後両社にて協議・検討することとしていますが、中心となる提携内容は次の通りです。  

生産委託
  既に、トクヤマが旭硝子に塩素系溶剤のひとつであるパークロルエチレンの生産委託を実施していますが、これに加え、両社間で補完関係が成立する苛性ソーダや塩素誘導品についても生産委託の検討を行い、経済合理性を追求して行きます。
   
物流面における協力
  a)  苛性ソーダ及び液体塩素・塩酸・次亜塩素酸ソーダ等の塩素誘導品を中心とする電解製品は、旭硝子が東日本(千葉・鹿島他)に、トクヤマが西日本(徳山)に生産拠点を持つことから、各々地理的にも補完的な位置関係にあります。そこで、積極的に製品相互融通(スワップ)を実施し、物流の合理化を徹底しコスト削減を図ります。
  b)  提携後のスワップとして、トクヤマが出資し同社苛性ソーダの東日本での製造拠点である千葉電解株式会社の解散(平成10年10月目処)に対応し、東日本では旭硝子が千葉電解に代わり、トクヤマに対し苛性ソーダ(年間約2万トン)及び塩素誘導品(年間約1万トン)を供給する予定です。一方、西日本では、トクヤマが旭硝子に対し同規模の供給を行います。
   
生産技術面での交流
  両社の取扱品目の中には、電解製品、ソーダ灰、クロロメタン、塩化ビニールモノマー等共通する製品もありますが、いずれも環境や公害対策等技術改善が急務であり、必要な技術分野において交流及び提携を行い、技術面でも一層の向上を図ります。
     
原料の供給
  両社が必要とする原料について、条件が合う場合には、その原料供給を相互に実施し、各々コストダウンを加速して行きます。

《ご参考》
・旭硝子及びトクヤマの電解生産能力(平成10年1月現在、苛性ソーダ100%換算)

 (1)旭硝子

・千葉工場(千葉県市原市)     235 千トン/年  
・鹿島工場(茨城県鹿島郡)   291    
・北九州工場(北九州市戸畑区)    14    
・鹿島電解(株)(茨城県鹿島郡)   157   :旭硝子引取量
・関西クロールアルカリ(株)(大阪市大正区)    22   : 同 上
・北海道曹達(株)(北海道苫小牧市)   137   : 同 上
合 計   856    
         
         

 (2)トクヤマ

・徳山工場(山口県徳山市)            370 千トン/年

1998.12.24 潟gクヤマ発表

サン・アロー化学(株)を吸収合併
(有)エムティティ解散を決定


 当社は関連会社のサン・アロー化学株式会社(社長、西野義彦)を来年4月1日をもって吸収合併し、同時に(有)エムティティ(社長、中原茂明)を解散することを決定した。
 サン・アロー化学(株)は当社の徳山製造所東工場内にあり、当社から電気、蒸気等のユーティリティをはじめ原料のEDCの供給を受け、主としてVCMの製造販売を行っている当社の100%出資会社である。
 当社は「新たなる成長」を目指して「素材型基盤事業の強化」と「スペシャリティ・加工型事業の拡大」の二正面作戦を推進しているが、特に素材型基盤事業では「選択と集中」及び「事業構造の改革」が大きな命題になっており、コア事業の一つとして位置付けているクロルアルカリ事業の体制整備を課題としていた。当社の塩ビ事業は、EDC:(株)トクヤマ、VCM:サン・アロー化学(株)、PVC:新第一塩ビ(株)と三つの会社に分かれて運営されてきたが、この度、当社がサン・アロー化学を合併することにより、クロルアルカリ、EDC及びVCMがトクヤマに集約されると同時に、トクヤマと新第一塩ビが直接結ばれることになる。
 その結果、
トクヤマの電解設備とサン・アロー化学の30万トン/年の新設VCM設備が一元化し、より効率的かつ機動性のある事業展開が可能になるものと期待している。また、実質的に責任をもつトクヤマと新第一塩ビが直接結びつくことで、両者間の原料から製品に至る相互協力関係はより緊密なものとなり、今後の塩ビ事業の競争力強化に向けてプラス効果を期待している。

 (有)エムティティは徳山製造所徳山工場内にあり、当社からユーティリティをはじめ電解塩素の供給を受け、エピクロルヒドリンを製造販売している当社の100%出資会社である。当該製品を取り巻く事業環境は、台湾等の新規進出に加えて、市場が国内需要からアジアを中心とした海外需要へとシフトしており、国内最後発で生産能力の小さいエムティティは国際競争力の面で限界があると判断し、今回解散を決断した。
 今後のユーザーへの製品供給については、同業メーカーとの業務提携と塩素誘導品間のスワップ契約が成立したことにより安定供給の目途をつけた。この結果、当社及び提携先双方ともクロルアルカリ事業全体としての競争力強化につながると判断している。


 会社概要(サン・アロ−化学)
 

(1) 商   号 : サン・アロ−化学株式会社
(2) 事業内容 : 塩ビモノマ−及び塩ビコンパウンドの製造・販売
    (生産能力:塩ビモノマ−300,000t/年)
(3) 設立年月日 : 昭和41年9月19日(1966年)
(4) 本社所在地 : 徳山市晴海町1番2号
(5) 代 表 者 : 西野 義彦((株)トクヤマ専務取締役)
(6) 資 本 金 : 10億円
(7) 出   資 : (株)トクヤマ 100%
(8) 決 算 期 : 3月31日
(9) 従業員数 : 133人
(10) 売 上 高 : 188億円(平成10年3月期)

※備考
サン・アロ−化学株式会社は昭和41年9月に3社((株)鉄興社[現 東ソー(株)]、徳山曹達[現 (株)トクヤマ]、ダイセル(株)[現 ダイセル化学工業(株)])の合弁会社として設立された。(出資比率は以下の通り)

(株)鉄興社 : 45%
徳山曹達(株) : 35%
ダイセル(株) : 20%

その後、昭和50年に鉄興社が、東洋曹達工業(株)[現 東ソー(株)]に吸収合併されたことから出資比率の見直しが行われ、昭和53年に東ソー、ダイセル化学工業の持ち株の全株をトクヤマが取得し、100%出資会社とした。

 会社概要(エムティティ)

(1) 商   号 : 有限会社 エムティティ
(2) 事業内容 : エピクロルヒドリンの製造・販売
     (生産能力:12,000トン/年)
(3) 設立年月日 : 平成元年1月31日(1989年)
(4) 本社所在地 : 徳山市御影町1番1号(潟gクヤマ徳山製造所内)
(5) 代 表 者 : 中原 茂明(潟gクヤマ取締役 化成品事業部長)
(6) 資 本 金 : 6億円
(7) 出   資 : 潟gクヤマ 100%
(8) 決 算 期 : 3月31日
(9) 従業員数 : 3人
(10) 売 上 高 : 9.5億円(平成10年3月期)

※備考
有限会社エムティティは3社(徳山曹達(株)[現(株)トクヤマ]、東都化成(株)、松下電工(株))の合弁会社として設立された。(出資比率は以下の通り)

徳山曹達(株) : 70%
東都化成(株) : 20%
松下電工(株) : 10%

3社は、平成7年6月に合弁を解消し、東都化成、松下電工の出資持ち分をトクヤマが取得し、100%出資会社とした。


呉羽化学のVCM

 錦工場でカーバイドアセチレン法でスタート
    1964年混合ガス法VCM、1970年原油分解法VCM 

   1973-1976   「常陽モノマー」構想検討
       旭硝子、日本ゼオン、三菱油化との共同事業(鹿島2期計画の一環)
 並行して「常陽ポリマー計画」 (旭硝子・三菱モンサント化成と)
 コンビナート拡張計画見直しで交渉打ち切り
       
  1978/12   原油分解法VCM 停止
  1982/3   混合ガス法VCM 停止
      → VCMを全量、旭硝子・住友化学に委託
       
  1995/7   呉羽 京葉モノマーに参加
      (自製停止後は小名浜港からローリー輸送)

   


化学工業日報 1996/12/19

三菱化学・鹿島コンビナート 電解,VCMを増強 98年央、40万、65万トン体制に

 三菱化学・鹿島コンビナートの鹿島電解およぴ鹿島塩ビモノマーの両社は、電解、塩ビモノマー(VCM)の能力増強に踏み切る。電解は年産10万トン(カ性ソーダ換算)、VCMは同20万トンの設備をそれぞれ新設するもの。これに連動して鹿島北共同発電も、発電設備およびボイラーを各1系列増設する。すでに出資各社の合意が得られており、年明けには計画の詳細を固め、98年央の完成に向けて着工する。これにより、三菱化学のエチレン第二期計画は同45万トンのフル操業体制が完成する。

 鹿島電解および鹿島塩ビモノマーを構成する各社は、電解、VCMの能力増強で合意した。来春には設備建設に入る。カ性ソーダは出資見合いで各社が引き取り、塩素はVCMに振り向けられる。
三菱化学はこれまで、VCMを引き取っていなかったが、増設分については出資見合いで引き取り川崎有機に持ち込む。増強後の能力は、電解が現有年産30万トンから40万トンに、VCMは同45万トンが65万トンとなる。(→ VCM 60万トン)
 今回の能力増強は
三菱化学にとっては、東日本にVCMソースを確保するとともに、鹿島のエチレン計画を完結させる点で大きな意義をもつもの。また、信越化学工業、鐘淵化学工業の両社にとっても、国産塩素によるVCMソース拡大のメリットは大きい。
 電解のイニシアチブをとる旭硝子は、余剰感を強めているカ性ソーダ市況への影響が懸念されることから電解の能力増強には消極姿勢を取ってきたが、VCMの能力増に強い意欲を示す各社の要請に押し切られたかたちだ。
 95年から96年にかけて、国内塩ビ業界の合従連衡が相次ぎ具体化、ポリマー段階では上位五強体制に再編された。そうしたなかで塩ビ各社は、ポリマーコストの最大要因である原料モノマーについて、供給ソースの組み替えを含めたコスト低減の動きを活発化させている。こうした国内塩ビ業界再編および、モノマー各社のアジア市場戦略を背景に、国内VCMは昨年から今年にかけて増設ラッシュ。95年4月の京葉モノマーの新設を皮切りに、鐘淵化学のボトルネック解消、東ソー・南陽の増設、サン・アロー化学のスクラッブ・アンド・ビルドなどが相次ぎ実施されている。今回の鹿島地区の電解ーVCM増強も、こうした流れの一つ。
 ただ、塩ピ向け塩素の国内供給確保のため、電解設備の能力増も相次いでいる結果、カ性ソーダの余剰感が強まり、市況下落を来している。内需拡大要因はなく、バランスを保つうえでは輸出を増やすしか消化策はないが、国際市況は低レベルにあり、安値輸出を避けがたいのが実情。
 なお、鹿島電解は旭硝子25%、旭電化23%、信越化学13%、三菱化学21%、鐘淵化学8%、また鹿島塩ビモノマーは信越化学50%、三菱化学25%、旭硝子10%、鐘淵化学10%、旭電化5%という資本構成。


エチレン2期完結へ
 三菱化学のエチレン第2期計画は塩ビ計画の決定により完了することとなつた。旧三菱油化時代に進めた第2期エチレン増設年産30万トンは同45万トン含みで建設され、故吉田正樹社長の悲願であったフル生産体制が確立する。92年央スタートから、誘導品ではポリエチレン、ポリプロビレンの増設に加え、エチレシオキサイド、グリコール(EOG)、スチレンモノマー(SM)を増設、エチレン30万トン体制を整え、現在は同38万トンに拡張している。だが、最終目的の45万トンにするためには塩ビ関連の増設が必要であった。もともと鹿島コンビナートは塩ビリッチであったが、三菱化学にとって、余剰エチレンを全量塩ビ向けに消化していいのかという問題もあり、慎重に検討してきた。しかし、水島と並んで関東地区に塩ビの拠点を持つことは塩ビ事業の強化につながる。また、この間、東亜合成と塩ビ事業で提携したことで、川崎有機内けの塩ビモノマー(VCM)を確保する必要がでてきており、鹿島でのVCMの増強を進める方針を固めた。 
 VCMの増設はコンビナートを形成する信越化学、鐘淵化学からも強い要請がでていたが、基礎原料の塩素をいかに確保するかがポイントとなっていた。電解を増設するためには競争力ある電力の確保が不可欠であり、鹿島北共同発電の増設も含めたフィジビリティスタディをする必要があった。鹿島電解のイニシアチブをとる旭硝子は当初、計画に難色を示していたが、鹿島コンビナートの競争力を確保するためには増設はやむを得ないと判断、増設計画に合意した。
 増設が完了する98年後半には、鹿島はエチレン2系列年79万トン、VCM同65万トンの一大塩ビコンプレックスとなる。


European Chemical News 1999/9/13

EVC First ethane-to-VCM plant will be built

(EVCはエタン法VCMの最初のプラントの設計を開始した。ベクテルの助けを借りて、米国のガルフに15万トンプラントを1〜2系列建設する。2003年スタート。
500℃以下の操業のためCorrosionを減らし、触媒ライフも長くなる。コストは2,3割安。回収システムにより塩素は全量、エタンは90%がVCMになる。)

 EVC is starting design work on the world's first commercial ethane-to-VCM plant using technology which has been developed in a demonstration unit at Wilhelmshaven, Germany.
Bechtel, which has signed an alliance agreement with EVC to market the technology and build plants, will assist in the design and construction of the new facility.
 The plant is likely to be located in the US on the Gulf of Mexico where quantities of ethane are available, said an EVC spokes-woman. VCM capacity has not been finalised but it could be one or two lines of 150,000 tonne/year in US Gulf each. Design work is expected to be completed in the second half of 2001 with the plant due on-stream around 2003.
 EVC says successful laboratory studies and promising results from its 1,000 tonne/year plant at Wilhelmshaven have confirmed the viability of the process, although a number of technical aspects remain to be proven. The plant has now operated for over a year with excellent catalyst life and no signs of corrosion, adds EVC.
 The patented process converts ethane and chlorine to VCM in one step, It decouples VCM/PVC manufacture from the ethylene cracker and avoids the ethylene dichloride intermediate.
EVC's process operates at less than 500℃ which reduces corrosion and extends catalyst life. Previous attempts to develop ethane-based VCM technology have failed to solve problems related to high reaction temperatures, added EVC.
 Using a proprietary catalyst, the process is said to over a 20-30% reduction in production costs across the PVC chain. The use of raw materials is maximised through a recycle system with all the chlorine and over 90% of ethane converted to VCM.


日本経済新聞 2002/10/9     会社発表

セントラル硝子 塩ビ事業撤退 来年3月 需要低迷で過剰感

 セントラル硝子は8日、子会社で手がける塩化ビニール事業から撤退すると発表した。2003年3月に生産を中止する。塩ビ業界では国内向けを中心に需要が低迷しており各社の収益が悪化、設備過剰が続いている。セントラル硝子の撤退で業界の整理統合が加速しそうだ。
 子会社のセントラル化学(川崎市、安田幸雄社長)は塩ビ樹脂の基礎原料を年間13万2千トン生産しているほか、外部(注 ヴイテック)に生産委託した塩ビ樹脂2万トン強を販売している。基礎原料生産、樹脂販売双方から撤退する。
 塩ビ事業撤退でセントラル化学の売上高は30億円減少するが、3億−5億円の採算改善につながるという。
 国内の塩ビメーカーは需要低迷に直面しており、今年度の業界全体で100億円近い赤字が見込まれている。国内の塩ビ樹脂出荷量(輸出含む)は2001年で219万6千トンとピーク時に比べ40万トン少ない。国内の塩ビ樹脂生産能力は257万4千トンあり、依然、設備過剰感が強い。


日刊工業新聞 2002/10/9

VCM自給体制ヘヴイテック水島から川崎に供給

 ヴイテック(東京都手代田区、今村信和社長)は8日、塩化ビニール事業の生産再編計画をまとめ発表した。03年4月以降、水道管などに伸う塩ビ樹脂(PVC)の直接原料となる塩ビモノマー(VCM)年10万トン程度を同社の水島工場(岡山県倉敷市)から川崎工場(川崎市)に供給する。03年3月末でセントラル化学からの同社向けVCM供給年10万トンが停止することを受けた措置。
 これによりヴイテックは、水島工場のVCM設備稼働率を向上させ、コスト削減につなげる。中国向けのVCM輸出中止も検討し、国内市場に特化した事業戦略を推進する。合理化効果は年数億円の見込みで、00年の発足以来赤字続きの業績の改善を目指す。同社は三菱化学が60%、東亜合成が40%出資するVCM、PVCの専業メーカー。


2002/10/08 セントラル硝子         セントラル化学沿革

セントラル化学(株)の塩ビ事業からの撤退について

 当社は、かねてより化学品事業の再構築に取り組んでまいりましたが、昨今の塩ビ事業の不振に伴い、子会社であるセントラル化学(株)における塩ビモノマー生産、及び当社における塩ビポリマー販売からの撤退を下記のとおり決定しましたので、お知らせいたします。

1. 概要

 セントラル化学(株)は1963年、当社と東亜燃料工業(株)(現東燃ゼネラル石油(株))グループの合弁企業として電解事業を開始しました。その後、1970年から塩ビモノマー生産を開始、川崎有機(株)(現ヴイテック(株))向けに販売を行い、塩ビポリマーについては1974年から同社に生産を委託し、当社が販売を行ってきました。

 しかしながら、昨今の塩ビ事業を取り巻く環境を鑑み、塩ビ事業撤退に向け、提携関係にあるヴイテック(株)及び東燃化学(株)と話し合いを続けてきましたが、この度合意に達しましたので、2003年3月をもって塩ビモノマー製造プラント(生産能力132千t/年)の操業を停止し、同時に塩ビポリマーの販売を中止することとしました。

(当該子会社の概要)
 (1)名称     セントラル化学株式会社
 (2)所在地    神奈川県川崎市川崎区浮島町10番2号
 (3)代表者    取締役社長 安田幸雄
 (4)資本金    23億5千万円
 (5)事業内容  苛性ソーダ、塩素化学製品、塩ビモノマー、弗素化学製品の製造販売
 (6)株主構成  セントラル硝子(株)100%

2. 今後のセントラル化学(株)運営

 セントラル化学(株)につきましては、既に本年8月30日をもって
東燃化学(株)所有の同社株式を購入し、当社の100%子会社として運営しており、塩ビ事業撤退後も電解事業は継続いたします。更に、2003年10月には同敷地内において硬質ウレタンフォーム発泡剤HFCー245faの生産を開始、当社化学品事業の構造改革を進めてまいります。
 なお、塩ビ製造に従事する従業員については、新規事業と当社グループ他事業所への配置転換を考えております。

3. 当社業績に与える影響

 2003年3月期の業績に大きな変動はありません。
 2003年度以降に関しましては、塩ビ関連売上が30億円前後減少しますが、収益は3〜5億円の改善が期待されます。

注 EDCも引き続き生産の予定


化学工業日報 2003/2/21

東ソー、京葉モノマーから呉羽分VCM引き取り開始  大洋塩ビ向け

 東ソーは、京葉モノマーからの塩ビモノマー(VCM)の実質的な引き取りを開始する。関連会社の大洋塩ビが呉羽化学工業から塩ビ樹脂(PVC)事業を買収したことなどにともない、呉羽化学の京葉モノマーからのVCM引き取り分のうち自消以外の2−3万トンを購入する。当面は大洋塩ビの呉羽化学への生産委託分として供給するが、来年に予定している呉羽の生産停止とともに大洋塩ビの自社製造用原料として使用することになる。
 旭硝子、呉羽化学、丸善石油化学の共同出資会社である京葉モノマー(千葉県)から呉羽化学は20万トン能力のうち5万トンのVCM引き取り枠を保有。旭硝子から受託していたPVCと自社の塩化ビニリデン(PVDC)の製造用として使っていた。しかし、今年から大洋塩ビにPVC事業を譲渡、旭硝子もPVC事業から撤退したため、自社のPVDC製造用として使用する2−3万トンを除いた分については、大洋塩ビの親会社の東ソーに任せることになった。形の上では呉羽化学を間にはさんで融通を受ける格好となるが、実質的には東ソーが京葉モノマーからVCMを直接引き取る。
 呉羽化学では、大洋塩ビ向けの受託生産を錦工場(福島県)で来年までは続けるが、その後は設備も廃棄して完全撤退することにしている。このため、東ソーが引き取るVCMは、呉羽が製造を停止するまでは委託分として呉羽に供給する。東ソー・大洋塩ビの原料持ち込みによる委託生産となり、呉羽はモノマー、ポリマーの売買差は発生しない。
 呉羽の設備停止後は、大洋塩ビのPVC製造に使用することになる見込み。錦工場や京葉モノマーの立地からいって、同じ東日本に位置する千葉工場で消費することになるとみられる。東ソーにとっては、グループでビニールチェーンを強化していくなか、アジアで先行きの不足も予想されるVCMの新ソースを確保できることにもなる。

 


石油化学新報 2003/6/6

ヴイテック、川崎・水島で港湾設備を整備〜VCM搬出入増加に対応
 −水島でVCM増強が6月完了/電解設備増強は年末完了ヘー

 三菱化学(60%出資)と東亜合成の塩ビ事業統合会社であるヴイテックは川崎、水島地区で港湾設備を整備する。PVC(塩ビ樹脂)原料のVCM(塩ビモノマー)について、川崎で今年3月にセントラル化学からの年間10万トン受給が終了したことに伴い、6月中に水島で自社のVCM生産能力を年産5万トン増の35万トンに引き上げることで、川崎へのVCM搬出量と川崎での搬入量が増えることに対応する。

 水島では今年末に電解設備の増強も完了し、VCM生産能力に見合った年間28万トン程度のEDC(二塩化エチレン)を全量自社で生産できる体制を確立するが、電解で塩素と併産されるか性ソーダの生産能力が現在の135,000トンから45,000トン増えることで、か性ソーダの輸出増加にも対応する。


石油化学新報 2004/4/2

トクヤマ、徳山でVCM設備増強完了〜中国向け輸出拡大に対応

 トクヤマは徳山製造所で昨年11月の定期修理時にVCM(塩ビモノマー)設備のボトルネック解消を実施、生産能力を年産3万トン増の33万トンに引き上げた。近く生産能力の実証を完了する。中国向けを中心とする輸出拡大に対応するのが狙い。投資額は1億円程度とみられる。
 同社の現有VCM設備の増強は96年12月の操業開始以来初めて。 トクヤマの現有VCM設備は95年から96年末にかけて従来13万5,000トン設備とのスクラップ&ビルドにより新設。比較的新鋭であるうえ、徳山製造所における工業塩や石炭など原燃料の受け皿となる港湾設備、石炭火力自家発電設備といったインフラの優位性を武器に電解設備からの一貫生産体制で高いコスト競争力を確保している。
 生産されるVCMのほとんどをPVC(塩ビ樹脂)事業子会社の新第一塩ビ(千葉、徳山、高岡、愛媛の4工場合計PVC年産能力29万2,000トン)に供給しているほか、一部を中国で積極的なPVC増設を進める韓国・LG化学などに安定的に輸出する体制にある。
 VCMの需給環境は近年、世界最大の輸入国である中国の需要が大幅に拡大している一方で、特に北米の大手メーカーが原料天然ガス価格高騰に伴う競争力低下を背景に電解〜VCM設備の稼働を落とし、供給が細っている。当面は世界的に原料の塩素不足により大型の新増設計画が少ないことから、需給バランスはタイト基調で推移する公算が大きい。トクヤマにとっても中国向けを中心にVCMの引き合いが活発化していることから、徳山での小規模な設備増強でこれに対応した。


2004/7/22 東洋エンジニアリング

東ソー南陽事業所向け塩ビモノマー(VCM)製造設備を受注
〜同社向けアニリン製造設備に続く国内での大型プラント受注〜

 東洋エンジニアリング株式会社(TEC、取締役社長山田豊)はこのたび、東ソー株式会社(東ソー、取締役社長土屋驕jが同社南陽事業所にて計画している年産40万トン(能力60万トン含み)の塩化ビニルモノマー(VCM)製造設備の建設工事を受注いたしました。
 本設備は同社が現在進めている「ビニル・イソシアネート・チェーン」事業の競争力強化のための主要施策のひとつであり、今回増設するVCMは、同社グループ内の塩化ビニル樹脂(PVC)の中国をはじめとする新増設への原料供給、並びに需要が大きく伸びている中国等のアジア地域への外販を予定しています。

<受注概要>
■ 客先: 東ソー株式会社
■ 建設地: 同社南陽事業所(山口県周南市)
■ 対象設備: 年産40万トン(能力60万トン含み)VCM製造設備
■ 役務範囲:設計、機器資材の調達、工事までの一括請負、及び試運転助勢
■ プラントの完工予定:2005 年秋
■ 客先投資金額:約150 億円
■ 受注の意義

  今回のVCM 設備完成後は、南陽事業所全体で年産123万トン、四日市事業所を併せ東ソー全体で年産148万トンと、客先にアジア最大級のVCM生産体制が確立します。
  今回のVCM 設備は、TEC にとって昨年受注の同社向けアニリン製造設備に次ぐ国内大型プラントの受注となります。

 


2007/5/30 信越化学

シンテック社 テキサス州に塩ビモノマー工場の建設許可を申請

信越化学の100%子会社であるシンテック社は、塩ビ樹脂の原料である
塩ビモノマー工場、塩ビモノマーの原料となる塩素を生産する電解工場をテキサス州に建設するために許可申請を同州の環境庁に行なった。

 この申請は、シンテック社がアメリカでの塩ビ樹脂製造のための原料モノマーを長期的に確保する計画において、新たな一歩となる。工場の能力は、
塩ビモノマー82.5万トン/年、カ性ソーダ55万トン/年、塩素50万トン/年。

 シンテック社は1974年にアメリカ・テキサス州で塩ビの生産を開始して以来、業界の成長率を上回る速さで能力を拡大し続け、トップメーカーとして北米を中心に全世界の塩ビ市場で確固たる地位を築いてきた。その間、塩ビの原料であるモノマーは、主にダウケミカル社から購入してきた。ダウケミカル社は、長年にわたり信頼できる優れたサプライヤーであり、現在でもシンテック社にとって最も重要なサプライヤーである。

 シンテック社は、世界で成長を続けている規模の大きな塩ビ市場の伸びを確実にとらえていく戦略を継続的に進めている。そのため、シンテック社は、かねてから原料であるモノマーの調達への関与を深め、モノマーを必要とする時にいつでも増産できる、原料からの一貫生産を検討していた。実際、ルイジアナ州で塩ビの一貫生産工場の建設を2年半前に決定、目下、その工場の建設が進行中。更なる一貫生産を進めることは、シンテック社がモノマーを長期的に調達する計画の核になる。

 この投資には膨大な投資資金が必要となるが、外部からの借り入れはせず信越グループの手持ち資金で行なう。

 シンテック社の工場は現在テキサス州とルイジアナ州にある。信越化学は世界一の塩ビメーカーであり、シンテック社は信越化学の塩ビ事業の中核を担っている。