(住友化学 社史より)
農薬事業は昭和50年代までは事業環境にも恵まれて順調に発展してきた。しかし、60年代に入ると、世界的な農薬事業再編のうねりのなか、農産物の自由化問題をはじめ、円高の定着、海外需要国側の外貨不足、世界的な農産物の過剰など環境は大きく変化した。特に先行きの国内市場の頭打ちと円高による価格競争力の低下を考えると、海外に活路を求めていくことが重要な課題となった。
当社は従来、世界80カ国以上を対象に農薬を販売してきたものの、対米実績は少なく、かねてからアメリカ市場への直接参入を果たす機会を狙っていた。このため世界最大の農薬市場に進出し、アメリカにおける知見、経験を基礎に農薬事業の一層の国際化を図ることにした。
そこで当社の新製品である農業用殺虫剤「ダニトール」、農業用殺菌剤「S−3308L」、植物成長調節剤「S−3307D」の3剤の開発権供与先で、緊密な関係にあったシェブロン・ケミカル社との間で、63年4月、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のウォルナット・クリーク市に、折半出資の合弁会社「べ一ラント・U.S.A.・コーポレーション」
(Valent U.S.A. Corporation
、べ一ラント社)を設立した。
シェブロン・ケミカル社は強力な販売網を有し、その開発普及力には定評があった。
一方、当社にとってはアメリカ市場の末端を掌握することが事業展開上のキーポイントであった。また、現地の風土に適した大型除草剤の開発の見込みがついたことにより、当社の研究開発力とシェブロン・ケミカル社の販売力を合わせ、両社が取り扱ってきた農薬のみならず、新しい農薬についても積極的な市場開発と普及、そして販売活動を行っていくことが期待できた。なお、シェブロン・ケミカル社は63年2月に世界第2位の板硝子メーカーであるアメリカのピーピージー社(PPG
Industries)の農薬部門を買収しており、新会社の除草剤部門の強化のため、新会社設立を機に、買収したPPG社の農薬部門のうち、現地の販売開発権を新会社に供与した。
63年4月に発足したべ一ラント社のスタートは必ずしも順調ではなかった。製品の売上げの伸び悩みに加え、新製品の開発に集中投資を要した。過剰人員も抱えていたことから大幅な赤字を計上した。
平成元年9月、一方の株主であるシェブロン・ケミカル社が、当時、アメリカの化学業界に吹き荒れていたリストラクチャリングの一環として、農薬事業からの撤退を表明、当社に対してべ一ラント社株式の買い取りおよびアメリカ以外の農薬事業の買収の可能性を打診してきた。
この話はべ一ラント社を現地における農薬事業の拠点と位置付けていたこと、同社における当社新剤の開発も進んでいたことから、当社が3年9月、同社を買収して100%子会社とすることでまとまった。
当社は平成3年9月にアメリカのべーラント社を100%子会社化した後、同社の財務体質強化のため、4年2月、倍額増資して資本金を6000万ドルとした。同社はこの移行時に大幅な人員削減を実施したのをはじめ徹底した合理化と新製品の開発に努めた結果、4年には除草剤「Select」の発売などが寄与して、黒字転換を果たした。5年に同社は、当社開発の殺虫剤「Danitol」の棉花用登録を取得し、発売を開始した。
さらに同社は販売地域を中南米にも拡大するために、6年4月、メキシコに全額出資の子会社「べ一ラント・デ・メヒコ社」(Valent
de Mexico,S.A. De C.V.、資本金30万ペソ)を設立した。
(住友化学 社史より)
再編が進みつつある世界の農薬業界で生き残るためには、ディストリビューターへの原体販売に止まらず、海外現地に開発、販売拠点を築くことが急務であった。当社としてもアメリカにおけるべ一ラント社設立以後、海外拠点の強化を進めていく方針を固めた。
ヨーロッパではこれまで各駐在員事務所を通じて販路拡大に努めてきたが、ヨーロッパ最大の農産物マーケットであるフランスにおける拠点確保と地理的に近いアフリカ向け販売の強化を図る必要があった。
そこでまず、これら地域における原体ビジネスを強化するため、平成2年10月、パリの駐在員事務所を改組して当社全額出資の現地法人「スミトモ・ケミカル・フランス・S.A.」(住友化学フランス社、資本金7百万フランスフラン、現、スミトモ・ケミカル・アグロ・ヨーロッパ・S.A.)を設立、この新会社を通じ、製品の現地登録取得および現地製剤の実施を推進するほか、EC統合をにらみヨーロッパでの事業活動を強化していくことになった。
5年1月のEC市場統合を前にして、当社農薬の主力市場の1つであるヨーロッパ市場に、住友化学フランス社に続く開発と販売の拠点を築くことを検討していたところ、スペインで長年にわたりディストリビューターであったケノガード社(KenoGard S.A.)のオーナーから農薬事業の売却の申し入れがあった。買収価格を含めた条件が妥当であったことから、4年6月、同社を傘下に収めた。同年10月には、取扱製品の拡充とマネジメントを強化するため、日産化学工業と住友商事の資本参加を得た。この結果、出資比率は当社65%、日産化学工業25%、住友商事10%となった。
アメリカ、日本に次ぐ農薬の大市場であるフランスに開発、販売の拠点づくりを検討していたところ、経営効率化のためフランスにおける農薬の販売、開発、管理の組織を整理し、人員削減を企図するローヌ・プーラン社(Rhone−Poulenc S.A.)との利害が一致し、平成5年2月に同社の農薬事業の一部を買収し、当社が持分の過半を有する農薬開発販売の合弁会社を設立することで、両社は基本的合意に達した。その後、ケノガード社への資本参加などで当社と密接な関係にある日産化学工業がこのプロジェクトヘ参加を希望、当社としても将来の取扱品目の増加および投資リスクの分散が期待されるので、これを受け入れることになった。そして同社とともに新会社設立の準備作業を進めた結果、事業会社である「フィラグロ・フランス」(Philagro
France、資本金1億2800万フラン)を5年6月に、同社の持株会社である「フィラグロ・ホールディング・S.A.」(Philagro
Holding S.A. 、資本金4000万フラン、出資比率、当社60%、日産化学工業30%、ローヌ・プーランアグロ社10%)を同年9月にそれぞれ設立し、10月から営業を開始した。
さらに、ヨーロッパでの農薬の販売、開発、製造および研究開発を今後効率的に推進して行くために、6年7月、イギリスの住友化学UK社の農薬業務を住友化学フランス社に統合して機能拡大するとともに、住友化学フランス社を「スミトモ・ケミカル・アグロ・ヨーロッパ・S.A.」(住友化学アグロヨーロッパ社)と改称し、拠点をパリからフィラグロ・フランス社の立地するリヨンに移して活動を開始、当社はこの会社をヨーロッパにおける農薬事業の拠点として育成強化することになった。
なお、住友化学UK社では家庭用防疫薬を新たに取り扱うこととし、ヨーロッパでの拡販を図った。
アジア地域は経済成長が目覚ましく、生活水準の向上により蚊取線香、マット、エアゾールなどの家庭用防疫薬に対する需要増加が見込まれた。それに対応するには現地により密着した営業、技術サービスを実施するとともに、原体、製剤の販売のみにとどまらず、蚊取線香、マットの製造機械や木粉、着色料などの副資材を含めた総合的ビジネスを展開することによって、当社製品の拡販および競争力強化を図っていく必要があった。
このため平成2年7月、当社の全額出資による「ライフ・テク・アジア・プライベート・リミテッド」(Life
Tech (Asia) Pte. Ltd., ライフテク・アジア社、資本金250万シンガポールドル、現、スミトモ・ケミカル・アジア・プライベート・リミテッド)をシンガポールに設立した。新会社は東南アジア地域を中心に、家庭用防疫薬のほか、灌水資材など農業資材の同地域での生産、販売を行うことになった。
* | 1992/4 ライフ・テク・アジアをスミトモ・ケミカル・アジア・プライベート・リミテッド(住友化学アジア)に改称 |
* | 2002/7 住友化学アジアを住友化学シンガポールに統合 |
2002/7/1 住友化学
住友化学アジアと住友化学シンガポールの統合について
住友化学は、全額出資シンガポール法人であるSumitomo Chemical Asia Pte Ltd (以下住友化学アジアという)とSumitomo Chemical Singapore Pte Ltd (以下住友化学シンガポールという)を本年7 月1 日付けで統合いたしました。
存続会社は住友化学シンガポールとし、住友化学アジアは住友化学シンガポールへ資産を譲渡した後に清算いたします。
この統合により、シンガポール地域での住友化学の代表窓口として住友化学シンガポールの組織の強化とプレゼンスの拡大を図り、同地域の住友化学グループ各社の連携強化の核となる組織としてまいります。
【新会社の概要】
1.社 名 Sumitomo Chemical Singapore Pte Ltd 2.社 長 阪本 良嗣 3.本 社 150 Beach Road, #19-05 Gateway West, Singapore 189720
電話 +65-6291-29684.資本金 26.8 百万シンガポールドル 5.売上高 320 百万シンガポールドル (2001 年度連結売上高実績の単純合算) 6.従業員数 約120 名 7.事業内容 各種化学品の販売
シンガポール地域における住友化学の代表窓口業務
住友化学グループ会社の連携支援業務
1999/3/23 住友製薬
動物薬事業などを住友化学に営業譲渡
当社は、本年4月16日付で動物薬、飼料添加物、生活環境製品の事業を住友化学工業株式会社に営業譲渡いたします。
当社は、特薬営業本部特薬部で動物薬、飼料添加物、生活環境製品の事業を行ってきましたが、主力である動物薬事業では、ペット市場は拡大しているものの、国内畜産市場の停滞や競争激化などにより、事業環境が一段と厳しくなってきており、事業を継続、発展させるためには事業の再構築が課題となっています。
一方、住友化学工業(株)では、これまで培ってきた農薬・防疫薬関連の研究開発力を活用して動物関連薬剤の新製品を開発してきており、今後、世界的に展開していくことを計画しています。
当社が培ってきた販売などのノウハウと、住友化学工業(株)の研究開発力とを融合することにより、動物薬事業を将来にわたり発展させていくことができると、両社の認識が一致し、当社の動物薬、飼料添加物、生活環境製品の事業を一括して移管することとしました。
今回、農業化学周辺分野とも位置づけることのできる当該事業を住友化学工業(株)に移管することにより、事業基盤の強化と事業運営の効率化を図ることができ、今後住友化学グループとしてより一層の事業の発展を期すことができると考えています。
日本経済新聞 2002/12/8
マラリア予防用蚊帳を本格生産 住友化学
住友化学工業はマラリア予防用蚊帳を増産する。住化は防虫剤入り樹脂ペレットを国内で生産し、ペレットを糸にする押し出し加工から蚊帳の組み立てまでを中国企業に委託している。月内をメドに中国の製造委託先を約20社にまで増やし、年間供給能力を12万セットから約8倍の100万セットにまで増やす。
蚊帳の販売価格は1セット7ドル程度。ユニセフ(国連児童基金)などへ販売する。マラリアは蚊が媒介する病気で、世界で年100万人を超える人が死亡しているという。
住友化学がマラリア防圧作戦に参加
マラリアはハマダラカという蚊が媒介する病気で、年間3 億人が感染し、そのうち100 万人を超える人が亡くなっています。その半分以上は5 才以下の子供です。30 秒に1 人が亡くなっていることになりますが、犠牲者の90 %がアフリカのサハラ砂漠以南に集中しています。
世界保健機関(WHO)は、1998 年よりRoll Back Malaria キャンペーン(マラリア防圧作戦)を提唱し、国際児童基金、世界銀行、国連開発計画、非政府組織、民間企業など幅広いパートナーとともに推進しています。このキャンペーンの目標は、マラリアによる犠牲者を2010 年までに50%減らすことです。昨年、毎年4 月25 日をアフリカマラリアデーと定めました。この日は、各種行事を開催し、世界の人にマラリアのことを知ってもらい、キャンペーンに参加してもらおうという日です。
キャンペーンではマラリア感染予防方法として、蚊に吸血されないために防虫剤を施した蚊帳の使用を普及しています。しかし、この方法の問題点は住民がその蚊帳を洗濯すると、せっかくの防虫剤が洗い流されてしまい、効果がなくなってしまうことです。このためキャンペーンでは、洗濯しても効果の落ちない蚊帳を、毎年600 万から1000 万張り必要としています。
住友化学では、かねてよりこの問題に着目して、防虫剤を樹脂に練り込み、その樹脂を用いて蚊帳を作ることを検討してきました。この蚊帳は、洗濯をすると糸の表面の有効成分は洗い流されますが、その後、糸の内部より新たに有効成分が表面ににじみ出てきて再び効果を発揮します。そのとき、加温するとそのにじみ出しを促進することができます。商品名をオリセット蚊帳といいます。
WHO ではこのオリセット蚊帳の効果を確認し、蚊の吸血予防に使用することを推薦しています。しかし、必要数が膨大なため、また低価格で供給するために、アフリカにおいて大量生産できるよう、住友化学に技術の移転、協力を要請してきています。住友化学は、Roll Back Malaria キャンペーンのパートナーとして、世界の公衆衛生に寄与するため、協力体制を準備中です。
January 20, 2003/1/20 Financial
Times
Sumitomo Chemicals plans wholesale
trading in insecticides.
The Sumitomo Chemicals India Pvt Ltd
(Sumitomo Chemicals India), a subsidiary of $7.6 bn Japanese
chemicals major Sumitomo Chemicals Co, is planning to expand in
the Indian market by wholesale trading of household insecticides
and agro-chemical intermediaries, with a mix of both import and
domestic outsourcing. Sumitomo Chemicals India is also planning
to sell value-added products by processing the sourced
intermediaries by formulation and repackaging on a wholesale
basis. Besides these, Sumitomo Chemicals India plans to expand
its product portfolio in India by repackaging the products
produced by its affiliates overseas, and sell those on wholesale
cash and carry basis. The company is also planning to develop
additional sources for supply of household insecticides and
agro-chemical products or intermediaries.
(株)日本グリーンアンドガーデンと保土谷アグロス(株)の合併について
住友化学と保土谷化学は、家庭園芸、ゴルフ場、林地、鉄道などの非農耕地分野における農薬事業の一層の強化・発展を行うため、住友化学100%出資の子会社である日本グリーンアンドガーデン(以下
日本G &G )と、住友化学と保土谷化学の折半出資の合弁会社である保土谷アグロス株式会社(以下
保土谷アグロス)の2 社を本年4 月1
日をもって合併させることで合意しました。
日本の農薬市場は、
家庭園芸ブームや緑化意識の高まりもあって、家庭園芸や芝生用等非農耕地用分野は高い成長性を示しており、
今後もより一層の需要の拡大が期待されています。
このような状況下、 住友化学では2001
年10
月に非農耕地分野での農薬等の開発販売を行う会社として設立した日本G&G
を通じて同分野の事業拡大に努めつつ、
より一層の事業の強化を図るべく他社との事業提携をも含めた可能性を検討してきました。
一方、保土谷アグロスは、1994
年に設立され、主に保土谷化学の農薬事業を継承する形で、原体メーカー支援のもとに非農耕地分野での農薬等の開発、製造、販売を行ってきましたが、
より一層の事業経営の効率化による競争力強化や製品のラインアップの充実が求められていました。
こうしたことから、住友化学と保土谷化学は、日本G&G
と既に非農耕地用除草剤で幅広いメーカー協力関係を築いている保土谷アグロスを統合させることにより、主力剤の相互補完による製品ラインナップの充実ならびに末端に対する販売力強化、さらには、研究開発の効率化など、合併によって得られる効果が大きいことから、このたびの合意に達したものです。
住友化学にとって、農業化学事業は成長を支えるコア事業の一つであり、本合併は農業用農薬の「周辺分野への展開」という事業戦略の一環として実施するものです。今後は、統合新会社を非農耕地分野における住友化学グループの製品の開発・普及・販売センターとして位置付け、そのプレゼンスをより一層高め、今後の事業展開の基礎としていく所存です。
【統合の概要】
@統合内容 | ||
合併期日 | : 2003 年4 月1 日(予定) | |
合併方法 | : 日本G&G を存続会社とする通常合併 | |
A新会社概要 | ||
商号 | :
株式会社日本グリーンアンドガーデン (Nihon Green & Garden Corporation ) |
|
本社所在地 | :東京都中央区東日本橋1 丁目1 番7 号 | |
代表者 | : 社長 大塩 裕陸(予定) | |
資本金 | : 90 百万円(住友化学65%、保土谷化学35%)(予定) | |
事業内容 | : 非農耕地分野用の農薬、農芸用資材の製造・販売 | |
売上高 | : 約4,000 百万円(予想) | |
従業員数 | : 約25 名(発足当初) | |
事業所 | : (営業所)東京、大阪、九州(研究所)宝塚、筑波 | |
【合併2
社の概要】 保土谷アグロス(株) |
||
本社所在地 | :東京都中央区東日本橋1 丁目1 番7 号 | |
代表者 | : 社長 大塩 裕陸 | |
資本金 | : 50 百万円(住友化学50%、保土谷化学50%) | |
設立 | : 1994 年1 月 | |
従業員 | : 14 名 | |
(株)日本グリーンアンドガーデン | ||
本社所在地 | :東京都中央区東日本橋1 丁目1 番7 号 | |
代表者 | : 社長 大塩 裕陸 | |
資本金 | : 50 百万円(住友化学100%) | |
設立 | : 1988 年8 月 | |
従業員 | : 16 名 |
ベーラント・バイオサイエンス社によるセルティスUSA社からの
パブリック・ヘルス分野、森林分野の殺虫剤事業の買収について
住友化学が子会社を通じて100%出資しているベーラント・バイオサイエンス社(VBC、米国イリノイ州)はこのたび、セルティスUSA社(米国メリーランド州)のパブリック・ヘルス分野(※1)用のBt剤Teknar®(テクナー)事業の買収とBt剤Thuricide®(チューリサイド)の森林分野における独占販売権のライセンスを受けることについて同社と合意しました。
Bt剤は、自然界に広く存在する微生物Bacillus thuringiensisが産生する蛋白質の殺虫力を利用した殺虫剤で、パブリック・ヘルス分野、森林分野、農業用分野で使われています。最近、蚊が媒介するウエスト・ナイル・ウイルス、デング出血熱、マラリアなどの伝染病が世界的に問題になっていますが、Bt剤を用いることで環境にやさしい防除ができるため、今後のBt剤の使用量の伸びが予想されています。
住友化学は「環境・安全」を経営の重要な柱の一つとしており、環境保全型農業への積極的な対応の一環として、2000年に米国の大手医薬会社アボット社の生物農薬事業を買収してVBCを設立しました。VBCは、Bt剤や植物成長調節剤についての住友化学の研究開発拠点であり、全世界への生産・販売の拠点でもあります。
Bt剤に関してパブリック・ヘルス分野、森林分野、農業用分野いずれにおいても世界のリーディングカンパニーであるVBCは、今回の買収および販売権の取得によって、パブリック・ヘルス分野、森林用分野の事業を拡大し、事業基盤を一層確固たるものにして、住友化学のコア事業を担う農業化学部門の戦略展開に貢献していきます。
※1 パブリック・ヘルス分野…蚊の防除に代表される公衆衛生分野。
【ご参考】
ベーラント・バイオサイエンス(Valent BioSciences Corporation)社概要
本社: 米国イリノイ州リバティービル
設立: 2000年
社長: Michael D.Donaldson
主要な株主:
住友化学の100%子会社米国ベーラント社
売上高: 約104百万US$
事業内容: 生物農薬、植物成長調節剤、防疫薬等の研究開発、生産、販売
セルティスUSA社(Certis USA, L.L.C.)概要
本社: 米国メリーランド州コロンビア
設立: 2001年
社長: Dennis Banasiak
主要な株主: 三井物産
事業内容: 生物農薬等の研究開発、生産、販売
ベーラント・バイオサイエンス社による植物生長調節剤の独占的開発販売権の取得について
住友化学が子会社を通じて100%出資しているベーラント・バイオサイエンス社(VBC、米国イリノイ州)はこのたび、ロモン・バイオテクノロジー社(中国、四川省)との間で、中国、台湾を除く全世界での植物生長調節剤アブシジン酸(ABA)の独占的開発販売権のライセンスを受けることで合意しました。
ABAは、天然に存在する5種類の主要な植物生長調節物質の一つで、環境ストレスへの応答、休眠、成熟、老化、生長など、植物のさまざまな生理過程での制御に重要な役割を担うものです。特に、植物が行う蒸散の調節に中心的な役割を果たすため、乾燥、降雨過多、極端な温度などが引き起こすストレスに対処するための優れた道具となり、環境に大きな負荷をかけることなく、作物収量や品質の向上、自然条件の変動に影響されにくい安定的な作物生産などが可能となります。また、休眠、成熟、老化の調節についても今後、利用法の広がりが予想されます。
ABAはこれまで、生産が限られるため商業的開発が思うようにならず、市場が限られていました。今回、ロモン・バイオテクノロジー社がABAを低コストで生産する方法を見出し、VBCはその世界的な販売網によって、積極的に開発を推進していきます。果樹(リンゴ、ミカンなど)、野菜(トマトなど)、花卉など幅広い作物に有効で、全世界の農業・園芸用の、特に、厳しい自然条件、激しく変動する自然条件下の作物に有効な道具として期待されます。
住友化学は「環境・安全」を経営の重要な柱の一つとしており、環境保全型農業への積極的な対応の一環として、2000年に米国の大手医薬会社アボット社の生物農薬事業を買収してVBCを設立しました。VBCは、天然物に由来する植物生長調節剤や生物農薬についての住友化学の研究開発拠点であり、全世界への生産・販売の拠点でもあります。
今回のABAの開発販売権取得により、VBCの植物生長調節剤の製品ラインナップ(ProGibb®、ReTain®、Promalin®など)は、より一層充実したものとなり、住友化学のコア事業を担う農業化学部門の戦略展開に貢献していきます。
【ご参考】
ベーラント・バイオサイエンス(Valent BioSciences Corporation)社概要 | |||
本社 | : | 米国イリノイ州リバティービル | |
設立 | : | 2000年 | |
社長 | : | MichaelD.Donaldson | |
株主 | : | 住友化学の100%子会社米国ベーラント社100%出資 | |
売上高 | : | 約104百万US$ | |
事業内容 | : | 生物農薬、植物生長調節剤、防疫薬等の研究開発、生産、販売 | |
ロモン・バイオテクノロジー(Lomon Bio Technology Co.,Ltd.)社概要 | |||
本社 | : | 中国四川省成都 | |
設立 | : | 2000年 | |
社長 | : | 范先国 | |
株主 | : | ロモン社(中国四川省、飼料用リン酸カルシウム等製造販売大手)、 中国科学院成都生物研究所 |
|
事業内容 | : | 植物生長調節剤の研究開発、生産、販売 |
Sichuan Lomon Corporation http://www.lomonbio.com/
Sichuan Lomon Corporation, founded in 1985, is the largest manufacture of feed grade Calcium phosphate in Asia. It is located in Sichuan, China. Lomon Corporation is mainly composed of 3 businesses: Phosphate, Titanium, Bioscience. Twelve subsidiaries owned by Lomon Corporation are producing over 10 main products, including (+) cis, trans-abscisic acid (S-ABA).
Lomon Bio Technology Co, Ltd. is a joint venture between Lomon Corporation and Chengdu Biology Institute, China Academy of science. Lomon Bio Technology has a strong force for scientific research and development, advanced production lines, modern analysis and test instruments. Lomon Bio Technology has established extensively collaboration relationship with many researchers and institutes of S-ABA in the world and engaged in over ten excellent specialists of S-ABA as consultants.
In 2001, S-ABA has been successfully industrialized by Lomon Bio Technology using bio-fermentation method.
日刊工業新聞 2000/7/17
住友化学工業 大型M&Aで規模拡大も
・・・
同社には、すべての分野をまんべんなく育成する「優等生」(証券アナリスト)との見方もある。しかし、ファイン型分野を中心に「合併・買収(M&A)も考えたい」(同)と、財務的余裕を背景に積極的な規模拡大に臨む姿勢を示す。事実、独BASFが38億ドルで買収した米アメリカン・ホーム・プロダクツの農薬事業(注 サイアナミッド農薬事業)売却に際し、数千億円で応札していたと見られる。昨年、米アボット社から生物農薬関連事業を買収するなど、グローバル展開を加速している農薬事業を中心に大型のM&Aを仕掛ける公算は大きい。
殺虫剤分野でのベルギー、ゲノム・ベンチャーとの提携について
住友化学はこのたび、ベルギーのゲント市郊外に本社を置くゲノム研究のベンチャー企業、デブジェン社(Devgen NV 社長:T.ボガート博士)との間で、新規殺虫剤の標的(ターゲット)探索と効率的スクリーニング実施のための共同研究契約を締結しました。住友化学としてゲノム技術を農業化学の分野に応用することによって、殺虫剤として有望な化合物を高速スクリーニング技術により迅速に見いだし、販売開始までの期間の短縮を目指すものです。
デブジェン社は1997年に設立されたベンチャー企業で、大量の遺伝子やタンパク質に関する情報をコンピューター処理するバイオインフォマティクス技術において世界最高レベルの技術を有し、特に線虫(センチュウ)のゲノム(遺伝子の構造、機能)に関する膨大なデータベースを蓄積しています。線虫は比較的単純なゲノムを持ち、遺伝学の研究材料として非常に扱いやすいので、遺伝子の機能を解析するための有力なモデル生物です。このため、医薬品や農薬の標的となる遺伝子を科学的に同定し、その標的に基づいた薬剤の評価システムを構築するのに最も適した生物の一つと考えられています。
住友化学は優れた化合物合成技術をもとに、殺虫剤はじめ除草剤、殺菌剤などの創薬型農業薬品メーカーとして、世界有数の地位を保っています。今回の提携では、デブジェン社が新規殺虫剤の標的となる遺伝子を探索し、その遺伝子に作用する化合物を高効率に選別するスクリーニングシステム(ハイ・スループット・スクリーニング)を構築します。住友化学がこのシステムを導入することにより、自らが設計した数多くの新規化合物の中から、殺虫剤として有望なものを効率的に選別することができるようになります。
住友化学は現在推進中の中期経営計画において、ライフサイエンスを選択と集中の方針に基づく最重点分野の一つと位置づけ、農業化学・医薬部門の拡大と強化を進めています。農業化学の分野では、大手農薬メーカーとの競争が激化しており、事業を一層拡大するためには新製品ラインの充実が急務であり、研究開発力を強化し自社による新製品開発力を一層高める必要があります。ゲノム創薬研究は、創薬研究の効率化に有効な手法であると考えられ、住友化学ではゲノム科学研究所を2000年に設立しました。医薬分野では既にいくつかの新規医薬標的候補遺伝子を見いだしています。このたびの共同研究契約締結により、最新のゲノム創薬技術を導入することで農業化学分野におけるゲノム研究がさらに充実し、新規殺虫剤の早期開発が促進されることが期待できます。
About Devgen http://www.devgen.com/devpage/corporate/framecorp.html
Devgen is a privately held
biotechnology company focused on the rapid discovery of novel,
validated targets and active compounds for the pharmaceutical and
agrochemical industries.
Devgen is focused on the development and industrialization of the
model organism Caenorhabditis elegans which has unique benefits
over traditional animal models or biochemical in vitro approaches
in drug discovery. Because biochemical pathways have been highly
conserved throughout evolution, the company is able to use this
animal model to rapidly analyse human disease states and identify
and validate high-quality screening targets for drug development.
Devgen combines its expertise in the biology of C. elegans
with its powerful high-throughput screening and bio-informatic
capabilities.
*C. elegans =caenorhabditis elegans シノラブディス・エレガンス 線虫の一種
A compelling advantage resides in
Devgen’s ability to use C.
elegans to evaluate the function of all of the targets in
the genome and the proteins that they encode and to rapidly
select those targets that restore the disease physiology to
normal. This is achieved using a state-of-the-art, proprietary
knockdown technology to evaluate the function of all genes in
specific disease pathways. This technology is the most rapid,
elective and broadly applicable tool to get drug targets from
gene sequences. In a next step, Devgen’s proprietary comparative genomics tool
rapidly identifies human homologues of the selected targets. in
vitro or in vivo assays, using the human targets, are then
configured to perform target specific high throughput screening
and to initiate drug discovery programs.
Devgen’s C. elegans-based
high throughput screening platform allows rapid screening of
libraries of chemical compounds to identify those compounds that
affect valuable targets, which require an in vivo biological
context to function. These assays enable rapid selection of those
targets and compounds that produce a desired therapeutic effect
in vivo. This not only enables these targets to be screened but
also provides compounds, which are pre-selected for
bio-availability and specificity. In particular, high throughput
screening in C. elegans is ideally suited to screen
complex neuronal or neuromuscular targets including voltage-gated
ion channels and GPCR’s.
Devgen’s C. elegans
based technology is also used to identify molecular targets for
drugs and pesticides with an unknown mode of action. Many
compounds that are active in humans and pest species are also
active in C. elegans in disease relevant assays. When
such compounds are found, high throughput genetic tools are used
to identify genes and proteins that give sensitivity or
resistance to the applied compound. The genes and proteins
identified through such a mode of action program may provide new
opportunities for therapeutic intervention and design of new
compounds.
Devgen’s universal compound
library contains highly diverse small-molecule compounds and is
assayed against a wide range of target classes. A complete data
and compound tracking system is implemented during screening and
forms the basis of a rigorous quality assurance system. Further
lead optimisation is established using hit-to-lead chemistry,
pharmacology and secondary assay systems.
Devgen provides focused solutions to its partners by delivering
validated targets, in vivo and in vitro high throughput screening
assays and lead compounds as well as by identifying the molecular
mechanism of compounds. Systematic use and application of its
proprietary technologies enables the company to quickly and
cost-effectively address key drug, agricultural and veterinary
product discovery questions.
Devgen has signed collaborations with FMC Corp. in the discovery
of novel insecticides and with Janssen Pharmaceutica (a division
of Johnson & Johnson) in target discovery.
In parallel with its activities with partners, Devgen generates
an internal high value pipeline through its expertise in
metabolic and central nervous system diseases.
Devgen was founded in December 1997 and is based in Ghent,
Belgium. To date the company has raised EUR 37 million and
employs over 90 people.
マラリアからアフリカの子どもを救う新たなパートナーシップ
ユニセフ・住友化学工業・日本政府・タンザニア政府が、マラリア問題に取り組む「民間参加」の国際的パートナーシップを紹介します
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/1newsrelease/pdf/20030924.pdf
マラリアは毎年世界で100
万人以上、特にアフリカの5
歳以下の多くの子どもの命を奪っています。その予防に絶大な効果が期待されているのが、住友化学工業(株)が開発したオリセット®(OLYSET ®)蚊帳。今月、タンザニアのプラスチック加工会社AtoZ
が、アフリカでの現地生産を始めました。
「オリセット®の技術は、マラリアに立ち向かう私たちの闘いに新たな転機を与えてくれました。もしこのような蚊帳が、必要としている全ての人々に届けられたなら、毎日3000人もの子どもの命を奪うこの病気の被害をこの世の中から一掃できる日も、そう遠くはない将来にやってくるでしょう。」(ユニセフ事務局長・キャロル・ベラミー)
蚊帳に防虫効果を持たせるためには、最低年に一度殺虫剤に蚊帳を浸す必要があります。「オリセット®」蚊帳は、防虫剤が繊維の中に織り込まれており、5年以上マラリア防除効果が持続するため、現時点で世界に唯一WHO
に認定された長期残効型の防虫剤含浸蚊帳(Long
Lasting Insecticide-treated Net - LLIN )です。
「マラリア問題に取り組む国際社会のこの取り組みに、私どもが民間セクターとしてリーダーシップを取らせていただけたことは大変光栄なことです。オリセットR技術のタンザニアへの技術移転が、タンザニアの人々の健康を守る一助となり、また同国の経済発展に資するとともに、持続可能なアフリカの開発を目指す民間セクターを含めた国際的な取り組みの先例となってくれることを期待しています。」(住友化学工業会長・香西昭夫)
防虫処理を施した蚊帳の使用で、マラリアの伝染を60
%、マラリアによる子どもの死亡を50 %減らすことが出来ます。しかし、高価であったり、あまり市場に出回っていないなどの理由から、アフリカでは蚊帳があまり普及していません。最近の調査では、防虫処理を施した蚊帳の下で寝ている5
歳以下の子どもは全体の5
%以下。防虫処理を施されていない普通の蚊帳で寝ている子どもも15
%以下に過ぎないことが分かりました。
「この新技術によるLLIN
が、普通の蚊帳さえ買えないような貧困にあえぐ人々やコミュニティーに普及できるかどうかが鍵です。」(ユニセフ事務局長・キャロル・ベラミー)
住友化学は、LLIN
のコストを下げるため、オリセット®技術をAtoZ
に無償で供与しました。また、アフリカ人の技術者の育成、現地での品質管理体制の確立も計画されています。
9 月28
日(日)、ユニセフと住友化学は、9 月29
日から東京で開催される「第3
回アフリカ開発会議」(TICAD V)を記念し、アフリカのマラリア問題を提起し、このオリセットR蚊帳を通じた日本政府・国際機関・民間セクターのパートナーシップを紹介する式典を開催します。この式典には、タンザニア共和国大統領・ベンジャミン・W
・ムカパ閣下をお迎えし、住友化学工業(株)会長・香西昭夫、ユニセフ事務局長・キャロル・ベラミー、日本政府・WHO
・AtoZ 関係者などが出席します。
********
第3 回アフリカ開発会議開催記念:
アフリカのマラリア問題に立ち向かう日本とユニセフのパートナーシップ−オリセット®に見るプライベートセクター参加のアフリカ開発支援
とき: 9 月28 日(日) 15 :00
−16 :00
ところ:
日本ユニセフ協会(ユニセフハウス)
東京都港区高輪4-6-12
ブイハンター事業の開始について
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/1newsrelease/pdf/20031222.pdf
住友化学は、このたび、潟Nボタから生物農薬ブイハンター事業(ブイハンターフロアブルおよびブイハンター粒剤)の全世界における開発・販売権などの権利を譲り受けることといたしました。
ブイハンターフロアブルは、本年上市された新製品であり、難防除害虫の一つであるコガネムシ類幼虫に優れた殺虫効果を持つ唯一の生物農薬として、環境保全型農業にも対応できるものです。特にカンショ、ヤマノイモ等のいも類で幅広く使用できることから、販売が順調に拡大することが期待されます。
また、住友化学は、今後、芝・茶・イチゴ等、新たな分野への本剤の適用拡大も検討し、一層の拡販に注力してまいります。
住友化学グループは、「環境・安全」の重視を経営の重要な柱の一つとしており、世界最大の生物農薬メーカーとして、環境保全型農業へも積極的に対応しています。今回のブイハンター事業の継承により、住友化学は生物農薬の品揃えを一層拡充し、お客様の様々なニーズにお応えする体制を強化して、住友化学のコア事業を担う農業化学部門の戦略的な事業拡大を加速させてまいります。
(ご参考)ブイハンター事業の概要
1.製品 | ブイハンターフロアブル(登録番号:第20837号) ブイハンター粒剤(登録番号:第20654号) |
||
2.適用 | 作物名 | ブイハンターフロアブル:
いも類 ブイハンター粒剤: かんしょ |
|
適用害虫名 | コガネムシ類幼虫 | ||
3.販売 | 住友化学工業 サンケイ化学 |
バイオ農薬「ブイハンター」 クボタ技術開発本部
http://www.kubota.co.jp/kubota-ep/report/2001pdf/P21-22.pdfブイハンターはコガネムシ類幼虫にのみ殺虫活性を示す世界で初めてのバイオ農薬(BT 剤)として現在実用化を進めています。主要な土壌害虫であるコガネムシ類幼虫の防除剤として、ブイハンターの製品化を図るため、経済的な培養法・製剤法を開発検討しています。
ブイハンターは現行の化学合成農薬と比較して同等以上の防除効果があります。化学合成農薬による土壌害虫の防除は土壌、水質を汚染する恐れがありますが、ブイハンターは、人畜等標的外生物に安全であり、環境汚染の恐れがほとんどありません。
これは、ブイハンターの有効成分であるBacillus thuringiensis var.japonensis strain Buibui という菌の電子顕微鏡写真です。大きさ1 〜2μm 程度。特微は、細胞内に芽胞(胞子)と殺虫性蛋白質を作ることです。この殺虫性蛋白質を昆虫が食べると食中毒様の状態になり死亡することから、欧米では30 年以上も前から使用されていました。これまでのBT 剤は蝶や蛾などの防除剤として使われていましたが、このブイハンターは世界で初めてコガネムシ類幼虫をターゲットとしたBT 剤です。
(この菌は(株)クボタが見つけました)
日本経済新聞 2003/12/23
クボタ、生物農薬から撤退
住友化学に一部商権売却
クボタは22日、全額出資子会社で微生物を利用した生物農薬の製造・販売を手掛けるクボタバイオテックを清算すると発表した。国内農薬市場の縮小で業績が低迷していた。また、一部製品の開発・販売権は住友化学工業へ売却した。
クボタバイオテックの2004年3月期の累積損失は1500万円になる見込み。今後も業績の改善が見込めず、本業の農業機械事業などと相乗効果も期待できないことから解散を決めた。2004年3月末までに会社清算手続きを終える予定。
住友化学には微生物を利用してコガネムシ類幼虫を殺虫する製品の商権を売却した。住友化学はこの製品で年間1億円の売り上げを目指す。
住友化学が農薬販売強化、特約店を子会社と相互活用
http://www.jij.co.jp/news/chemical/art-20040106191907-NKTESBKVIF.nwc
住友化学工業は来年度から、農薬子会社の住化武田農薬(東京都中央区)と、それぞれ異なる特約店で扱ってきた農薬販売を、両系列の特約店で両社の農薬を取り扱う体制に改める。両社の特約店でそれぞれの製品を購入できる体制に切り替えることで、グループ資源の効率化を図り、農薬事業を強化する。これに伴い、両系列合わせて130ある特約店についても今後、統合を進める考えだ。
住友化学は2002年11月に武田薬品工業と共同出資で住化武田農薬を設立した。出資比率は、住友化学60%、武田薬品40%だが、農薬事業を強化する住友化学本体との統合を視野に入れ、07年度にも共同出資関係を解消する。一方、武田薬品は主力の医療用医薬品事業に経営資源を集中する。
02年の住化武田農薬の設立以来、住友化学本体とで、それぞれ別個の特約店契約を締結する販売店で、それぞれの農薬を販売してきた。これを両系列の特約店で販売できる体制に改める。両系列で販売することに伴い、地域が重複する特約店については統合を進め、グループ資源の効率化につなげる。
住友化学は農業化学部門で、農薬や家庭用殺虫剤、飼料添加物、化学肥料などの製造と販売を手掛ける。住化武田農薬を含む同部門の04年3月期の売上高は、前期比8%増の1720億円の見込み。昨年末には、クボタから土壌細菌を使用した生物農薬事業を買収するなど、農薬を中核(コア)事業と位置付け強化している。
日本経済新聞 2004/1/21
住化発表
住友化学 農薬事業を再編 子会社合併、工場も集約
住友化学工業は2002年11月に武田薬品工業から農薬事業を買収して設立した住化武田農薬の吸収を控え、傘下の企業、組織を再編する。農薬製剤、非農耕地向け農薬の2分野で子会社を合併させるほか、工場の集約も進める。国内農薬市場の縮小傾向が続く中、収益体質の強化を図る。
住化武田は武田の農薬事業の継承会社で、住化が60%、武田が40%を出資する。2007年10月に住化の本体に取り込む予定。
4月に農薬製剤会社の西部化成(広島県庄原市)と住化武田アグロ製造(山口県下松市)、ゴルフ場や家庭園芸向け農薬会社の日本グリーンアンドガーデン、海和緑化をそれぞれ合併させる。合併により間接部門などを合理化するとともに、農薬の原料に用いる界面活性剤や増量剤などの購買を一本化し、資材調達コストの低減を狙う。
また、住化武田の光工場(山口県光市)の生産品目を順次、住化の大分工場(大分県大分市)に移管し、5年後程度をメドに光工場は閉鎖する。茨城県つくば市にある住化武田の研究所も10月に住化の農業化学品研究所(兵庫県宝塚市)内に移転する。
アグロ事業子会社を統合
〜住化武田とのシナジー効果を発揮〜
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/1newsrelease/pdf/20040121.pdf
住友化学は、子会社である住化武田農薬梶i住化武田)の農薬製剤子会社である「住化武田アグロ製造乾と住友化学の同分野の子会社である「西部化成乾を合併させ、「住化アグロ製造乾としてスタートさせることといたしました。
また、非農耕地向け農薬関連事業分野においても、住化武田の子会社である「海和緑化乾と住友化学の子会社である「鞄本グリーンアンドガーデン」を合併させ、「鞄本グリーンアンドガーデン」として新たにスタートさせます。いずれも2004年4月に営業を開始いたします。
当社は、農薬を中心とするアグロ事業をコア事業の一つと位置付け、積極的な事業買収や提携により拡大・強化を図ってきています。2002年11月には住化武田が武田薬品工業鰍ゥらアグロ事業を譲り受け、住化武田の子会社である住化タケダ園芸梶A住化武田アグロ製造梶A海和緑化鰍ネどと共に事業を順調に展開・強化しています。今後、販売ルートの整理統合などの準備を進め、2007年に当社アグロ事業と住化武田を完全統合させる計画ですが、それまでの間においても、当社のアグロ事業グループとして最適な事業運営体制を順次構築し、シナジー効果をできるだけ早く実現していくこととしています。
今回の子会社間の再編はその一環として実施するものです。
住化アグロ製造は両社の製剤技術を融合して技術力の強化ならびに生産性の向上を図ります。また、生産工場の最適配置によりコスト低減を実現する他、資材調達コストの低減、間接業務の合理化、効率化などを推進し競争力を高めます。さらに外部からの製剤受託にも取り組んでまいります。
日本グリーンアンドガーデンは両社の販売力や製品開発力を結集し、商品開発から販売・請負防除まで一貫した体制を強化し、ゴルフ場農薬事業、鉄道分野の除草剤事業など非農耕地分野全般にわたる事業の拡大を図ると同時に、間接業務の合理化、効率化を進め競争力を向上させます。
住友化学と住化武田はこの他、営業、研究、製造の各面で最適な事業運営体制を着実に構築しつつあります。営業面では、国内営業事務所の統合や海外営業の人事交流を実施し、両社が築いてきた営業力、信用などの事業基盤をいかしつつ、営業政策を統一し、グループとして一体的な営業活動を本格化させています。これにより販売の効率化を図ると同時に、農家の多様なニーズにこたえる体制を整え事業を拡大してまいります。研究についても本年10月には住化武田の農業科学研究所(茨城県つくば市)を住友化学農業化学品研究所(兵庫県宝塚市)内に移転させ、情報の共有化、研究資源の効率的活用を進め、研究開発の強化を図ってまいります。また、農薬原体の製造については住化武田光工場(山口県光市)で現在、生産している品目を順次、住友化学大分工場(大分県大分市)での生産へ移行し、原体製造の効率化を進めることを検討しています。
住友化学はこのように住化武田との統合へ向けてシナジー効果の実現策を着実に進めるなど、これまで実施してまいりました戦略的M&Aの効果を最大限に発揮すべく諸施策を推進し、アグロ事業をグローバルな競争に打ち勝つ高収益事業として強化してまいります。
【新会社の概要】
「住化アグロ製造株式会社」 | ||
1 .所在地 | : | 本社(本店)
山口県下松市(現住化武田アグロ製造本店と同じ) 工場 下松市、福島県郡山市、広島県庄原市 (両社の工場はそのまま新会社に引継ぐ) |
2 .資本金 | : | 495 百万円 |
3 .株主構成 | : | 住化武田農薬 89.52
% 住友化学工業 9.43 % 勝光山鉱業所 1.05 % |
「株式会社日本グリーンアンドガーデン」 | ||
1 .所在地 | : | 本社(本店) 東京都中央区(現日本グリーンアンドガーデン本店と同じ) |
2 .資本金 | : | 95 百万円 |
3 .株主構成 | : | 住友化学工業 48.72
% 保土谷化学工業 26.23 % 住化武田農薬 25.05 % |
【ご参考】 住化武田農薬鰍フ概要 |
||
1 .本 社 | : | 東京都中央区 |
2 .営業開始 | : | 2002 年11 月 |
3 .売 上 高 | : | 約292 億円(2003 年度見込み) |
4 .従業員数 | : | 約290 人 |
5 .株主構成 | : | 住友化学工業 60% 武 田薬品工業 40% |
住化武田アグロ製造鰍フ概要 | ||
1 .本 社 | : | 山口県下松市 |
2 .設 立 | : | 1973 年11 月 |
3 .売 上 高 | : | 約30 億円(2003 年度見込み) |
4 .従業員数 | : | 約100 名 |
5 .株主構成 | : | 住化武田農薬 100 % |
西部化成鰍フ概要 | ||
1 .本 社 | : | 広島県庄原市 |
2 .設 立 | : | 1968 年8 月 |
3 .売 上 高 | : | 約12 億円(2003 年度見込み) |
4 .従業員数 | : | 約60 名 |
5 .株主構成 | : | 住友化学工業 90 % 勝光山鉱業所 10 % |
鞄本グリーンアンドガーデンの概要 | ||
1 .本 社 | : | 東京都中央区 |
2 .設 立 | : | 2001 年10 月 |
3 .売 上 高 | : | 約38 億円(2003 年度見込み) |
4 .従業員数 | : | 約30 名 |
5 .株主構成 | : | 住友化学工業 65 % 保土谷化学工業 35 % |
海和緑化鰍フ概要 | ||
1 .本 社 | : | 東京都北区 |
2 .設 立 | : | 1978 年4 月 |
3 .売 上 高 | : | 約8 億円(2003 年度見込み) |
4 .従業員数 | : | 30 名 |
5 .株主構成 | : | 住化武田農薬 100 % |
2004年6月4日 全国農業協同組合連合会/住友化学/八洲化学/住化武田農薬
全農と住友化学が農薬事業において事業提携
両者の関連会社である八洲化学と住化武田農薬の系統事業を核とした「協友アグリ株式会社」を設立
系統での農薬事業体制を強化及び新たな事業展開を目指す
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20040604_2.pdf
全国農業協同組合連合会(以下全農)、住友化学工業(以下住友化学)、八洲化学工業(以下八洲化学)および住化武田農薬(以下住化武田)の4者は、全農が八洲化学へ追加出資し、住友化学は住化武田の全農を通した流通(系統流通)販売事業部分を分割のうえ八洲化学へ吸収させることにより、2004年11月の営業開始を目標とした系統新会社「協友アグリ株式会社」(承継会社は八洲化学、以下協友アグリ)を設立することに合意いたしました。
現在、農薬を取り巻く環境は厳しく、農薬取締法改正・マイナー作物への農薬登録対応などの一連の動きが示すとおり、より安全・安心を求める消費者ニーズに応えることが必要となっております。また農家の作業軽減や環境問題に配慮した防除への取り組みなど農業生産者の要望も高まってきており、このため従来のあり方にとどまらない、より消費者の指向に沿った防除方法の推進、より生産者を支援できる事業の展開が求められております。
一方農薬市場においては、外資メーカーの積極的参入や国内メーカーも含めた事業再編への動きが活発化するなど非常に厳しい環境となっており、農薬販売会社の新たな事業展開が必要となっております。
全農はこれらのニーズに応えるため、JAグループと住友化学グループが提携して農薬事業を展開することにより、従来農薬メーカーの取組みが不充分であった@フェロモン剤や生物農薬などを取り込んだより安全・安心な総合的防除(IPM)への取り組み強化や、A受託防除事業などの総合的農薬事業への取り組み強化、また同時に、B要望の多様化が顕著な園芸分野での事業力強化、を図ることが出来ると考え、検討を重ねてまいりました。
住友化学は、国内事業強化の一環として、2001年10月に子会社であった農薬商系メーカーの「アグロス」を統合し、さらに武田薬品の農薬事業を譲り受け、2002年11月に「住化武田農薬」を設立して、商系流通において強固な直販体制の構築を推進してまいりました。さらに今回、今後日本農業全般に事業を展開している全農と事業提携を行うことにより、系統流通への関与も高め、日本農業により一層の貢献を果たし、また農業総合資材メーカーとしてさらなる事業発展を目指すことが出来ると考え、協議をしてまいりました。
さらに住友化学と全農がともに出資している八洲化学は、販売品目の拡大と共にフェロモン剤を含めた総合的防除関連資材の普及や営農支援事業としての受託防除の分野などにおいて事業強化を図るべく、事業再構築の可能性を検討してまいりました。
また住友化学の子会社である住化武田は、住友化学との営業施策の一体化等により商系流通である卸商等への販売体制についてはより強固なものとなったものの、系統流通販売体制については他系統流通専業メーカーと比較し販売体制で遅れをとっており、自社製品の系統流通での販売力を高める方策を検討してまいりました。
今回、全農は生物農薬などに強みを持ちさらに園芸分野で競争力のある住友化学と事業提携し、住友化学は農業全般での事業展開を行っている全農と提携することで、両者の目指す方向が合致し、一方、八洲化学および住化武田の2者も事業体制強化等の農薬市場における効果が期待できると判断できたため、全農と住友化学の事業提携の第一段階として系統新会社「協友アグリ」を設立することといたしました。
系統新会社「協友アグリ」は、今後八洲化学および住化武田で培われた系統流通事業基盤を生かしつつ、全農および住友化学の共同運営による強力な支援のもと、販売普及・開発・製造体制の強化を図り、また総合的防除の推進や受託防除などの新たな事業への取り組み体制を早期に構築して、系統流通において中核会社としての地位を築くとともに、農業生産に貢献してまいります。
【新会社の概要】
1.社名 | : | 協友アグリ株式会社 |
2.営業開始日 | 平成16年11月1日 | |
3.資本金 | 約22億円(予定) | |
4.売上高 | 230億円を目標 | |
5.本社所在地 | 神奈川県川崎市高津区 | |
6.社長 | 淺山哲夫(予定、現八洲化学社長) | |
7.事業所 | 支店 札幌、仙台、山形(天童)、関東(下館)、東京、長野、名古屋、 大阪、広島、福岡 工場 山形(天童)、長野、福岡(甘木) 研究所 長野 |
|
8.社員数 | 約250名(予定) | |
9.事業内容 | 農薬・農業用資材の開発・製造・販売 | |
10.連結対象子会社 | ヤシマ産業株式会社
ヤマト種苗緑化株式会社 株式会社ヤシマトマス 株式会社エスコ 株式会社シー・ジー・エス 長崎三笠化学工業株式会社 |
《参考資料》
【全国農業協同組合連合会】 | ||
設立 | : | 1972年3月 |
本所所在地 | 東京都千代田区 | |
会員数 | 1,203会員(JA:1,045、経済連:11、ほか) | |
出資金 | 約1,089億円 | |
事業内容 : | 生産資材・生活用品の供給と共同利用施設の設置、農畜産物の運搬・加工・貯蔵または販売、農業技術・農業経営向上のための教育、連合農業倉庫の経営、その他 | |
営農・生産資材関連事業取扱高 約9,173億円 | ||
経営管理委員会会長 木下順一 | ||
職員 | 12,794名 | |
【八洲化学工業株式会社】 | ||
設立 | 1938年3月 | |
本店所在地 | 川崎市高津区 | |
資本金 | 1,400百万円 | |
事業内容 | 農業用薬品の製造・販売および不動産の賃貸・管理 | |
売上高 | 約150億円 | |
代表 | 取締役社長淺山哲夫 | |
社員 | 241名 | |
【住化武田農薬株式会社】 | ||
設立 | 2002年11月1日 | |
本店所在地 | 東京都中央区 | |
資本金 | 9,380百万円 | |
事業内容 | 農薬、農芸用資材の製造・販売 | |
売上高 | 約297億円 | |
代表 | 取締役社長生津嘉朗 | |
従業員 | 241名 |
日本経済新聞 2004/6/5
住友化学と全農 農薬事業で提携 製造・販売会社を傘下に
住友化学工業と全国農業協同組合連合会(全農)は4日、農薬事業で提携すると発表した。農薬製造・販売会社の八洲化学工業(神奈川県川崎市)を共同で傘下に収め、同社に住友化学グループの農薬事業の一部も移管する。農地縮小や減農薬志向で市場が低迷するなか、住友化学は全農と組み、競争力を高める。
住友化学と全農はともに八洲化学の大株主で、それぞれ19.7%、17.5%ずつ出資している。住友化学は農薬原料で取引があり、八洲化学は製品の全量を全農経由で販売している。
八洲化学は11月をメドに社名を「協友アグリ」に変更し、全農が追加出資する。住友化学の子会社、住化武田農薬も全農経由の販売事業を協友アグリに譲渡して株式を取得する。住友化学グループ、全農で協友アグリの株式の過半数を握る。
現在の八洲化学と住化武田農薬からの移管予定分を合わせた年間売上高は約200億円。住友化学の技術力と全農の販売網を組み合わせ、早期に230億円まで引き上げる。
住友化学の農薬販売は全農ルートが約3割で、残りは卸会社などに販売している。
八州化学は全農系の有力販売会社3社のひとつであり、住友化学は今回の提携で全農ルートを強化できる。
オリセット®ネット増産計画
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20050311_1.pdf
住友化学は、防虫剤を練り込んだ蚊帳「オリセット®ネット」の生産能力を2005年中に、現在の500万張り/年から2,000万張り/年に増強することを決定し、3月10日にセネガルのダカールで開かれた「アフリカライブ2005
ロールバックマラリアコンサート」の記者会見において発表いたしました。
疫病や貧困に苦しむアフリカへの支援は、今年1月にスイスで開催された世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)においても、主要な議題のひとつとして取り上げられたとおり、現在、国際社会が抱える喫緊の課題となっています。特に、マラリアは世界全体で年間3億人が感染し、百万人以上の人々が死亡していますが、その大部分はアフリカで発生しています。マラリアによる経済被害は、アフリカのGDPを1年間に120億ドル(GDPの2%)減少させているとも言われています。アフリカの経済発展のためにはマラリアの防圧が必要不可欠と言っても過言ではありません。
マラリアを予防するには蚊帳を使用しマラリアを媒介する蚊から身を守ることが経済的で有効な方法であることは、これまでも認識されていましたが、従来の蚊帳は耐久性や薬剤の持続性の点で問題がありました。当社はそうした問題に着目し、洗濯しても防虫効果が持続し、通気性がよく丈夫な「オリセット®ネット」を開発しました。そして、2000年から本格生産に着手し、さらに2003年にはタンザニアの蚊帳メーカー(A
to Z Textile Mills社)にその生産技術を無償供与し、製品の量産体制を整え、国連児童基金(UNICEF)や世界保健機関(WHO)を通じてアフリカ各国へ供給してきました。
現在、WHOなどが中心となって進めるロール・バック・マラリア・キャンペーン(マラリア防除作戦)は2010年までのマラリアによる死亡率を現在の50%とすることを目標として、防虫蚊帳の普及などを積極的に推進しています。当社も「オリセットRネット」の供給を通じ、このキャンペーンに協力してまいりました。WHOの予測によると、需要は今後5年の間、年間3,000〜4,000万張りに達することから、それに応じるため、当社はこれまでの生産能力を4倍にする大幅な能力増強を決定いたしました。
なお、当社が主要スポンサーを務める「アフリカライブ2005
ロールバックマラリアコンサート」もロール・バック・マラリア・キャンペーンの一環として行われるもので、3月12・13日の2日間16時間にわたり、アフリカの著名な音楽家であるユッスー・ン・ドゥール氏をはじめ約20組のミュージシャンが出演しマラリア防圧の重要性を訴え、その具体的な方法として蚊帳の使用を呼びかけます。
当社は、これからも、CSRの一環としてマラリア防圧への取り組みを通じ、アフリカ開発支援へ積極的に貢献したいと考えています。
日刊工業新聞 2005/5/9
住友化学、中国・タンザニア殺虫剤入り樹脂製蚊帳を増産
住友化学は殺虫剤を練り込んだ樹脂でつくる蚊帳「オリセット」の生産能力を、現在の年産500万張りから05年末に同2000万張りに増強する。中国とタンザニアの生産拠点を強化するもので、投資額は15億円程度となる見込み。同製品は世界保健機関(WHO)が認可した長期残効性の蚊帳。アフリカではマラリア予防キャンペーンなどで需要が急増しており、これに対応する。
同社は防虫剤を練り込んだポリエチレン系樹脂を紡糸し、ネット状に編んだ後に縫製して蚊帳に仕上げている。日本から原料となるコンパウンド材を輸出し、中国とタンザニアの両国で紡糸から縫製を行っている。
中国では上海の加工メーカーに生産委託している。タンザニアでは現地企業に生産技術を供与し、現地企業が独自に販売する形をとっている。増産分については住友化学が引き取る方針。
「すみともかがく」 2005/1-2 オリセット蚊帳が米誌「タイム」の“2004年の最も素晴らしい発明"に選定 当社が開発し、マラリア感染予防に大きな効果を発揮しているオリセット蚊帳が、米誌「タイム」の“2004年の最も素晴らしい発明”(Coolest inventions of 2004)の一つに選ばれました。同誌04年12月6日号は、「アフリカの危険なマラリア感染蚊に新たな敵が出現」と題して、オリセット蚊帳の効力が5年間にわたることや、タンザニアで現地生産されていることなどを紹介しています。
|
「すみともかがく」 2005/1-2 タンザニアでマラリア対策用「オリセット蚊帳」の製造開始 * Olyset Net |
タンザニアにおけるオリセット(R)ネット増産について
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20050907_1.pdf
住友化学は、マラリアを媒介する蚊を防除し感染を予防するために、独自技術により防虫剤を練り込んだ蚊帳「オリセット(R)
ネット※」を開発し、タンザニアの蚊帳メーカーに技術を無償供与し現地生産体制を整えてきましたが、この度、この工場の生産能力増強や新たに現地メーカーとの合弁会社による新規工場の建設などにより、生産能力を増強することといたしました。これらにより、タンザニアでの年間生産能力は、今年度内に現在の200万張り/年から800万張り/年となる計画です。今回の能力増強により現地で多くの新規雇用が見込まれるため周辺地域の経済活性化にも貢献できるものと期待しています。
現在、世界では年間3億人がマラリアを発症し、100万人以上が亡くなっていますが、その大部分がアフリカで発生し、アフリカでは30秒に1人の割合で子供が犠牲になっています。こうした深刻な状況を一刻も早く改善するため、世界保健機関(WHO)などが中心となって2010年までにマラリアによる死亡率を現在の50%に半減させることを目標に、ロール・バック・マラリアキャンペーン(マラリア防圧キャンペーン)を展開しています。
これまで、当社はこのキャンペーンに協力し「オリセット(R)
ネット」を提供してきましたが、キャンペーンの浸透と共に長期残存型の防虫剤処理蚊帳の必要量が急速に拡大していることに対応するために今回のタンザニアにおける増強を決定しました。今回の増産を含めた世界での「オリセット(R)
ネット」の生産能力は現在の 700万張り/年から2,000万張り/年に増加します。今後、さらに多くの蚊帳が必要になるとの予測もあるため、当社はさらなる増産についても検討を進めてまいります。
※
WHOが認定する唯一の長期残効型の防虫剤処理蚊帳(LLIN)
【ご参考】 合弁会社について
・会社名称 Vector Health International Limited(ベクター・ヘルス・インターナショナル・リミテッド)
・出資比率 住友化学株式会社 50%、Net Health
Limited(ネット・ヘルス・リミテッド) 50%
・所在地 タンザニア連合共和国 アル−シャ市
・事業内容 「オリセット(R)
ネット」の生産
・設備能力 年間 420万張り/年
・設立時期 2005年9月予定
・操業開始 2005年度中
住友化学グループの生活環境事業を再編
〜 シントーファインと有恒薬品が経営統合 〜
住友化学株式会社(以下、住友化学)とその100%子会社であるシントーファイン株式会社(以下、シントーファイン)ならびに住友化学の有力な取引先である有恒薬品工業株式会社(以下、有恒薬品)は、このたび、シントーファインと有恒薬品が2007年3月1日に経営統合し、「住化エンビロサイエンス株式会社」(以下、住化エンビロ)として営業を開始することで基本的に合意いたしました。
住友化学は、家庭防疫用殺虫剤を中心に、木材保存剤、動物用殺虫剤等の生活環境事業を農業化学部門のコア事業の一つと位置付け、グループ企業を含め国内外で積極的な事業展開を図っています。
シントーファインは、住友化学の農業化学部門のグループ会社として、主に国内における環境管理薬剤分野および木材保存剤分野製品の開発・製造・販売を行っています。
一方、有恒薬品は、国内における環境管理薬剤分野製品の開発・製造・販売を中心に事業を展開しており、またその開発・製造技術を生かし、同分野の受託製造にも力を入れています。
現在、当分野の国内における事業環境は、市場が成熟する中で競争が激しさを増しておりますが、環境管理薬剤分野や木材保存剤分野で一定のプレゼンスを有するシントーファインと有恒薬品が統合することにより、開発・製造・販売一体化による効率的な事業運営が可能となり、大きな相乗効果を得ることができると考えています。
統合により新しく設立される住化エンビロは、住友化学の生活環境事業の一翼を担う中核企業として、両社がこれまで蓄積した事業基盤を生かしつつ、住友化学とより密接な連携を図りながら、効率的な研究開発体制、製造体制ならびに販売サービス体制を構築し、現在の売上高70億円(05年度両社合算)を5年後100億円(予想)に拡大させるなど、将来に渡り事業を発展させていく考えです。
* 環境管理薬剤:
業務用に使用される防疫用薬剤。
* 木材保存剤 :
シロアリ被害の防除や建材などの防腐防黴を目的とした薬剤、等。
【統合会社の概要】
1. 社名 住化エンビロサイエンス株式会社
2. 営業開始日 2007年3月1日(予定)
3. 社長 未定
4. 資本金 未定
5. 本社所在地 兵庫県西宮市
6. 売上高 100億円(2011年2月期予想)
7. 事業の内容
環境管理薬剤、木材保存剤、工業用殺菌剤等の製造・販売
シントーファイン株式会社の概要
1. 社名 シントーファイン株式会社
2. 本社所在地 大阪市東淀川区
3. 社長 河合 史郎
4. 資本金 450百万円
5. 売上高 44億円(06年3月期)
6. 従業員数 60名
7. 事業の内容
環境管理薬剤、木材保存剤、工業用殺菌剤等の製造・販売
有恒薬品工業株式会社の概要
1. 社名 有恒薬品工業株式会社
2. 本社所在地 兵庫県西宮市
3. 社長 前田 一行
4. 資本金 54百万円
5. 売上高 26億円(06年2月期)
6. 従業員数 70名
7. 事業の内容
環境管理薬剤、木材保存剤等の製造・販売
住友化学、イギリスの農薬会社を買収−欧4カ国で体制整備
住友化学は10日、フランスの完全子会社「スミトモ ケミカル アグロ ヨーロッパ」を通じ、英国の農薬開発・販売会社であるインターファームを買収したと発表した。同国での農薬事業を強化するのが狙い。住友化学は今回の買収でフランス、英国、スペイン、イタリアの欧州主要4カ国で農薬の開発・販売体制を整備したことになる。
インターファームは英国とアイルランドで農薬を開発・販売している企業で売上高は約10億円。住友化学は仏子会社を通じてインターファームの株式の80%を取得し買収した。取得金額は明らかにしていない。英国の農業は麦、ジャガイモ、菜種などを主要作物とし、農薬市場は欧州第4位の規模。今回の買収により農薬開発や関係当局への登録作業の迅速化が図れる見通し。
Sumitomo Chemical Invests in UK and Ireland
Sumitomo Chemical Company Ltd (Tokyo, Japan) has acquired a majority holding in Interfarm UK Ltd., distributor of crop protection products in the UK and Ireland.
The acquisition strengthens Sumitomo Chemical's position in the UK and Irish markets, providing an excellent platform for the launch of its newly-registered SumiMax 30SC (flumioxazin) winter wheat herbicide.
John Martin, current Managing Director, will be nominated Managing Director of the new business. Sumitomo Chemical intends to take full advantage of the competence and experience of the current Interfarm employees to reinforce the development of its existing and new product portfolio.
The new business is set to grow strongly over the next 5 years, with the introduction of several new products which are currently in development for arable and speciality crops.
Chris Forrest has now left the company and in future will be continuing independently, as a consultant, with his on-farm agronomy.
Valent
USA and Sumitomo Chemical File Complaints at ITC and in Courts
Against Syngenta AG and Subsidiaries in a Dispute over
Insecticide Patents
Syngenta's
Actions Stifle Competition in Sale of Versatile Insecticide,
Company Says
Valent U.S.A. Corporation and its parent company, Sumitomo Chemical Co. Ltd., announced today that they have filed complaints against Syngenta AG and a number of its subsidiaries in the International Trade Commission (ITC) and against one Syngenta subsidiary in the U.S. District Court for Western Wisconsin. These cases seek relief for infringement of Sumitomo Chemical's patent on an insecticide compound known as clothianidin. Valent and Sumitomo Chemical filed a separate complaint against Syngenta Crop Protection, Inc. in the U.S. District Court for Northern California, alleging that Syngenta's later use patent on clothianidin is invalid.
The three complaints involve patents covering the invention and use of clothianidin, an insecticide used to control insect pests on plants. The ITC and Wisconsin court complaints allege that Syngenta is violating Sumitomo Chemical's basic patent on clothianidin ("the '404 patent"). The Northern California case alleges that Syngenta is trying to prevent Valent and Sumitomo Chemical from selling their clothianidin insecticide for controlling insects on transgenic useful plants by threatening to enforce a separate clothianidin use patent ("the '469 patent") that was issued to Syngenta about 15 years after the '404 patent was issued. In that case, Valent and Sumitomo Chemical are asking the court to declare that patent invalid.
Bayer AG or one of its affiliates is also involved in the dispute because it has contractual relationships with Syngenta that have been invoked by Bayer to bar Valent and Sumitomo Chemical from selling clothianidin to control insect pests on transgenic useful plants, the lawsuit states. Bayer is not named in the lawsuits, but Sumitomo Chemical did undertake substantial negotiations with Bayer.
"It is both ironic and unfair that Syngenta and Bayer seek to prevent Valent and our parent company, Sumitomo Chemical, from fully marketing clothianidin products in the U.S. even though Sumitomo Chemical owns the basic patent on this versatile and effective insecticide," said Trevor Thorley, President and Chief Operating Officer of Valent.
Clothianidin is a later generation of neonicotinoid insecticides, an important class of powerful insecticides. Sumitomo Chemical, through a subsidiary, acquired the agricultural chemical business of Takeda Chemical Industries, Ltd. ("Takeda") including the '404 patent. "Acquisition of the '404 patent was the 'crown jewel' of the transaction because it is the landmark patent that claims the invention of the clothianidin compound," the Northern California court complaint states.
The ITC complaint and the companion civil complaint filed in the U.S. District Court for Western Wisconsin allege that Syngenta and a number of its subsidiaries are violating Sumitomo Chemical's '404 patent, which covers the invention of clothianidin and its use in controlling insect pests on plants in general. The ITC complaint seeks an exclusion order and a cease and desist order prohibiting the importation and sale by Syngenta and its subsidiaries of infringing products containing clothianidin and converting into clothianidin after intended use.
According to the complaint filed at the ITC, Syngenta and its subsidiaries violate Sumitomo Chemical's '404 patent in two ways. First, Syngenta sells products in the U.S. that contain clothianidin. Second, Syngenta's products contain a chemical compound called thiamethoxam, some of which is metabolized into clothianidin by the intended use of the products. According to U.S. law, selling a product that contains any amounts of a patented compound is an infringement of the patent, and selling a product containing a compound that metabolizes into a patented compound also constitutes a violation of the patent.
The Northern California case against Syngenta Crop Protection, Inc. asks the court to invalidate a separate patent (the '469 patent) that was issued to Syngenta in 2006. That patent "claims patent protection for controlling pests on transgenic useful plants with clothianidin, whereas the earlier '404 patent received patent protection for controlling insect pests on plants in general with clothianidin," the Northern California court complaint states.
"The '469 patent is both anticipated and obvious and therefore invalid in light of the prior art," the complaint continues. The complaint states that this prior art includes earlier patents and publications that describe the use of clothianidin for controlling insects on plants in general; recognition that clothianidin kills certain insects that are common pests for both transgenic and non-transgenic plants, so that it would be obvious to control the same insects with clothianidin on both types of plants; recognition that transgenic plants need to be treated with a broad spectrum insecticide, and clothianidin is a known broad spectrum insecticide; and the prior art use of imidacloprid, another neonicotinoid similar to clothianidin, on transgenic plants.
During lengthy negotiations with Syngenta and Bayer, Sumitomo Chemical "expressed its view that the '469 patent is invalid, but that it nonetheless wished to pursue a reasonable licensing agreement to protect its product launch plans and to avoid costly patent litigation," the complaint states. However, Sumitomo Chemical's "efforts to negotiate with both Bayer and Syngenta have been fruitless and futile," the complaint says.
About Valent U.S.A. Corporation
Valent U.S.A. Corporation markets and sells fungicides, herbicides, insecticides, bioinsecticides, insect growth regulators, nematicides, baits and plant growth regulators for the agricultural, horticultural, turf, ornamental, industrial vegetation management and professional pest control markets. Valent is a wholly owned subsidiary of Sumitomo Chemical Co., Ltd. Its headquarters are in Walnut Creek, CA. For more information about Valent, visit the company's web site at http://www.valent.com.
About Sumitomo Chemical Co. Ltd.
Sumitomo Chemical Co. Ltd. is a diversified global chemical company. It has six business sectors, including the Agricultural Chemicals Sector. The Agricultural Chemicals Sector is one of the Company's most globalized Sectors, with more than half of its sales coming from its overseas operations. The Sector is composed of the Crop Protection Division - Domestic, the Crop Protection Division - International, the Environmental Health Division, and the Animal Nutrition Division. The Crop Protection Divisions have been building a global sales network for such products as insecticides, fungicides, herbicides and plant growth regulators. They hold one of the largest shares of the market for agrochemicals in Japan and rank among the top ten players in the world. The Sector places a great emphasis on R&D as the source of its long-term competitiveness to launch a continuous stream of unique products with a view to capturing one of the two top positions in niche markets or particular regions. For more information visit the company's web site at http://www.sumitomo-chem.co.jp/english/.
Note to Editors
The patent for Clothianidin is United States Patent 5,034,404, issued July 23, 1991. The disputed patent for controlling pests on transgenic useful plants with Clothianidin is United States Patent 7,105,469, issued September 12, 2006. The ITC complaint includes diagrams that depict the molecular structures of clothianidin and thiamethoxam.
日本経済新聞 2009/9/15
住友化学が農業参入 全国で農場展開
製造業に進出の動き 規制緩和が後押し
住友化学は農業事業に参入する。5年間で全国30〜40カ所に農場を展開し、果物や野菜を百貨店など大手小売りに直接販売する。2015年度に50億円の売上高を目指す。住友化学は農薬・肥料の国内最大手で、農産物の生産・販売まで一貫して手がけ、相乗効果を狙う。農業の規制緩和が進む中、流通大手などに続き、製造業にも新規参入の動きが本格化してきた。
全国10カ所に農業事業子会社を設立して直営農場を経営するほか、20〜30カ所の農場に生産を委託する。農産物は自社ブランドで販売する。三菱化学などが屋内で野菜を水耕栽培する「野菜工場」を手がけたり、食品メーカーが原料の野菜などを栽培したりする例はあるが、全国規模で農地を確保して異業種参入するのは大手製造業で初めてとなる。
第1弾として長野県中野市に高級イチゴを生産する子会社「住化ファーム長野」を設立した。出資比率は住友化学が30%で、同社の農業資材子会社の日本エコアグロが70%。同市内の耕作放棄地
1ヘクタールを賃借してハウス栽培し、12月から出荷を始める。同農場で年間約1億円の売上高を目指す。
大分県などの地方自治体とも連携し、全国10カ所で直営農場を運営する計画だ。農場への生産委託も進め、日本エコアグロの商標でトマトやピーマン、レタスなど各地域の特産農産物を販売する。耕作放棄地の活用や自治体との連携による地元の雇用創出などを通じ、地域の農家や農協と良好な関係を保てるようにする。
農産物の生産には住友化学製の農薬や肥料、農業資材を使う。栽培計画や生産コストをインターネット上で管理する独自開発の情報システムを使い、小売店に農薬の種類や使用量などを開示する。食の安全意識が高まる小売業に売り込む。
企業の農業参入を巡っては、イオンが3年間で全国十数カ所の農場を運営する計画を打ち出している。セブン&アイ・ホールディングスも2年以内に全国10カ所に農業生産法人を展開するなど流通・食品関連企業や商社の動きが活発化している。