2003/10/22 塩野義製薬
北海道大学との産学共同 Projectのお知らせ
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=57656
塩野義製薬(本社:大阪市中央区、社長:塩野元三)と、北海道大学大学院理学研究科西村紳一郎教授とは、西村教授が開発した糖鎖工学技術を基に次世代ポストゲノム創薬の共同研究をはじめとする包括的な契約を締結いたしました。
契約の主な内容は、西村教授の糖鎖を特定アミノ酸に結合させる自動合成技術他の複数特許を利用し、次世代バイオ医薬品の創薬研究を共同で行います。共同研究の一環として、塩野義製薬が北海道大学に寄附講座を設置(講座名:「生命分子機能学講座」)し、西村教授の技術指導を仰ぎます。
近年ガンや免疫異常あるいは老化といった生命現象には、糖鎖を介した細胞間相互作用の異常応答が関与していることが明らかになってきました。このような異常応答を制御するには、糖鎖の機能の特異性や構造の多様性を十分に理解することが必要ですが、その構造と機能に関する情報は多くない現状です。特に、各種の糖タンパク質や糖脂質研究は、糖鎖を切り離してそれぞれのタンパク質や脂質の機能だけに注目して研究を進めてきたため、本来の糖タンパク質や糖脂質の本質的な機能解明が不完全であったと考えられます。
その原因として、糖タンパク質や糖脂質を手軽に研究材料として入手することが困難であったという問題がありました。西村教授らが世界で初めて開発に成功した糖鎖自動合成装置は、これら複雑な生体内機能分子(糖鎖、糖タンパク質、糖脂質)を容易に研究材料として手に入れるための最も有力な研究ツールとなります。
糖鎖は近年の研究によりタンパク質などの機能を制御する重要な物質であることが明らかにされ、医薬品創製への応用研究に直結する重要な生命分子として、現在次世代ポストゲノムの有力分子であると考えられています。糖鎖の生理機能の解明と同時に、これまで合成が困難な糖鎖を短時間に自動で合成することを可能にし、今後多くの機能性糖タンパク質医薬の創製にも重要な働きをすることが期待されています。
中国でのポリスルホン人工腎臓の組立工場の建設と延岡(宮崎県)での中空糸膜工場の新工場建設について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=57767
旭メディカル株式会社(本社:東京都千代田区 社長:中前憲二)では、ポリスルホン人工腎臓(商標名APS)の生産能力を大幅に拡充するため、中国浙江省杭州市での組立工場の建設と宮崎県延岡市岡富(旧レーヨン工場跡地)での紡糸工場の建設を行うことを決定しましたので、お知らせいたします。
1.中国でのポリスルホン人工腎臓組立工場建設計画
(1)場所 中国浙江省杭州市
(2)着工 2004年5月頃
(3)敷地面積 約34,000m2
(4)生産能力 約400万本/年
(5)経営形態 旭メディカル100%子会社設立
2.宮崎県延岡市でのポリスルホン中空糸膜工場の建設計画
(1)場所 宮崎県延岡市岡富(旧レーヨン工場跡地)
(2)着工 2004年1月
(3)敷地面積 約13,000m2
(4)生産能力 約400万束/年
3.投資額
総額;約50億円(組立工場;約20億円。紡糸工場;約30億円)
4.工場新設の背景
人工腎臓の市場は、医療技術向上による長命化と世界的な人工透析環境の整備進行によって、需要量は日本をはじめ全世界で増加の一途を辿っており、中でも特にポリスルホン膜の人工腎臓が大きな伸びを示し、今後も世界的にこの動きは続くことが予想されます。
当社は、既に国内においては業界トップの地位にあり、本年、ポリスルホン人工腎臓1,000万本/年体制を確立しましたが、近い将来の需要に対応することができないと判断し、この度、生産能力を紡糸、組立ともほぼ同時期に増設することと致しました。
工場立地に関しては、中長期戦略としての3,000万本/年体制の確立のため、両工場とも将来の拡大可能な新たな土地への展開とし決定しました。特に中国での組立工場の建設は、当社にとって初の海外工場であり、今後の海外展開の拠点としてグローバルな競争力強化を図ってまいります。また、今回の紡糸、組立製造プロセスともに生産効率化を実現し、優れた技術開発力で積極的な事業展開をしてまいります。
当社はこの新工場の建設により、日本のトップメーカーの地位をさらに確固たるものにすると同時に、人工腎臓分野で世界トップグループの地位を揺ぎないものにしていく計画です。
なお、今後とも、透析医療の向上にあわせた患者様のQOL(Quality of Life)の向上要請に応えるため、積極的に研究開発,投資を行い高性能、高品質の製品を開発し続け、世界の医療に貢献していくことを目指します。
≪ご参考≫
1.旭メディカル株式会社の概要
(1)代表者:中前 憲二
(2)設立 :1974年7月24日
(3)資本金:8億円(旭化成ファーマ(株)100%出資)
<注>旭化成ファーマの持株会社は旭化成(株)
(4)本社
:東京都千代田区神田美土代町9−1
(5)工場
:延岡工場(人工腎臓向け中空糸膜製造)、大分工場(人工腎臓他の組立加工)
(6)従業員数:約1,500名(2003年6月末)
(7)売上高
:345億円(2003年3月期)
(8)主要製品:人工腎臓、輸血用白血球除去フィルター、血液浄化関連製品等の開発・製造・販売
2.人工腎臓について
(1)慢性透析患者数(2002年12月末現在)
国内 約 23万人(腹膜透析を含む)
世界 約100万人(日本を含む)
(2)人工腎臓の市場規模(2003年当社推定)
国内 約 3,400万本
世界 約10,000万本
(3)当社の市場シェア(2003年当社推定)
国内シェア:35%(国内第1位)
世界シェア:18%(世界第3位)
(4)人工腎臓の主要メーカー
国内:旭メディカル、ニプロ、フレゼ川澄、東レメディカル、クラレメディカル等
海外:フレゼニウス(独)、ガンブロ(スウェーデン)、バクスター(米)等
〔用語解説〕
1.人工透析
血液を体外に誘導し、中空糸膜(人工腎臓)を介して血液と透析液を接触させ、本来尿中に排出される尿素、クレアチニン、尿酸などの老廃物を除去して浄化された血液を体内に戻す療法。国内で23万人超が人工腎臓等による透析治療を受けている。1回4〜5時間、週3回の治療が必要。
2.人工腎臓(ダイアライザー)
上記の治療を行う際の血液と透析液を接触させるための半透膜を容器に組み込んだもの。透析療法の初期にはコイル型とかキール型といわれるものも使用されていたが、紡糸技術を応用した中空糸膜が開発され、取扱性、効率性などの特長から現在ほとんどが中空糸膜型になっている。
素材としてはセルロース系(再生セルロース、アセテート)、合成高分子系(ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタアクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体等)がある。
透析膜として使用される中空糸は、内径180〜230μm(1μmは1mmの千分の1)、膜厚10〜50μm、長さ約30cm。この中空糸を1万本前後束ねてカートリッジに組立てて人工腎臓にする。
ナノキャリア(株)とCTTは新規ターゲティング抗癌剤の共同研究契約を締結
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=57788
ナノキャリア株式会社(ナノキャリア社、本社:千葉県柏市、代表取締役社長 中冨一郎)とCTT Cancer Targeting Technologies Oy Ltd.(CTT社、フィンランド、ヘルシンキ 代表取締役社長 オウラ ペナテ メディナ)は、新規の抗癌剤の研究・開発に向けて共同研究契約を締結した。
契約の内容は、ナノキャリアが所有するミセル化ナノ微粒子の徐放性製剤にCTT社が所有する腫瘍特異性のあるペプタイドを結合させ、選択的に腫瘍部位へ抗癌剤を運搬させるいわゆるアクティブターゲッテイング療法を目指した従来にない全く新しいタイプの抗癌剤を開発する事を目的にしているものである。両者がそれぞれ所有する最先端の技術を融合させることによって画期的な新薬を開発することを目標としている。
ナノキャリア社は将来的には、本製剤の独占的製造権を有する以外は、両社は再実施権の許諾、販売テリトリー等については対等の権利を有しており、今後協力して研究・開発を進めるものとし、遅くとも今後四年以内には前臨床、臨床試験をスタートさせる計画である。
ナノキャリア社の技術は、ナノメーターサイズのミセル化ナノ微粒子を医薬品、遺伝子ならびに診断薬などに応用され、その構造はブロックコポリマーである親水性のポリマー(外殻)と疎水性のポリマー(内核)の二層構造からなるミセル化ナノ微粒子製剤である。
同社は、グラクソスミスクラインビーチャム、キリンビール(株) 等との一連の共同研究・開発契約の締結に続き今回の契約締結で更に一歩進んだ製剤の開発を目指す事になった。
これらのことから、代表取締役社長の中冨一郎は、「当社が所有する技術が広く評価され、当社が目指す癌ターゲット・デリバリー・システムが益々拡大されることになり、今後の発展のためにも大きな礎を築く事になると確信している」と述べている。
CTT社の最高経営責任者、オウラ ペナテ メディナは、「日本とフィンランドのハイテクノロジーの会社が共に全世界の市場に向けて、新しい競争力のある技術開発をするために協力することは、今後の方向性を示唆する良い例となるだろう」と述べている。
又、CTT社の取締役会長である、イルッカ コウホネンは、「ナノ微粒子と腫瘍指向性ペプタイドのドッキングによるターゲティングを目指したDDS製剤の研究開発が大きなトピックとなることに強い期待を抱いている」と述べている。
CTT社は、2001年4月にフィンランドのヘルシンキに設立された名称のとおり癌をターゲッテイングしたベンチャー企業であり、ヨーロッパ、フィンランドで優秀ベンチャー企業としてその技術は高く評価されている。その技術は、ファージディスプレイ法により腫瘍に選択性のある各種ペプタイドを選択・合成し、腫瘍特異性の高い医薬品として開発する事にある。既に数種類の腫瘍特異性のあるペプタイドを発見し、腫瘍部位での血管新生に置ける酵素阻害をするペプタイドなどを所有し、ある種の腫瘍に有効であることが確認されている。
ナノキャリアは、ナノメートルサイズのミセル化ナノ粒子を医薬品、遺伝子、診断薬などに応用することを目的に設立された研究開発型ベンチャー企業で、その中心は注射用の徐放性製剤である。その技術原理は東京大学、東京女子医科大学、東京理科大学の研究者たちによって成されたもので、同社はそれら開発技術・材料を利用して新しい医薬品製剤の開発・製造を基盤に社会に貢献を目指す。ナノキャリアに関する会社概要やその他の情報は
http://www.nanocarrier.co.jp をご覧下さい。
「ワイス株式会社」への社名変更について
日本ワイスレダリー株式会社(本社:東京都中央区、社長:ルネ・ブレンバーグ)は、本日開催されました株主総会において、平成15年12月1日より社名を「ワイス株式会社」(英文表記:Wyeth
K.K.)に変更することを決定しました。
今回の社名変更は、米国親会社が昨年3月、ワイス(本社:米国ニュージャージー州マディソン、会長、社長兼CEO:ロバート・エスナー)に社名を変更し、多種多様な事業体を含む持ち株会社から、研究開発に基盤を置く世界有数の製薬企業として新たな一歩を踏み出し、日本市場においても確かな地位を確立するために、ワイスが本格的に事業展開を開始することを表すものです。
また、国内の株主であります武田薬品工業株式会社とは、今後とも当社製品の一手販売を継続するとともに、ワイス本社が開発し日本ワイスレダリーが申請中の関節リウマチ薬のコ・プロモーションなど、新たな提携関係がスタートいたします。これは、患者さん、医療関係者をはじめ、健康を目指す方々の満足度を更に高める重要な一歩と考えています。
新たにスタートします「ワイス株式会社」は、患者さんのニーズにあった新製品のより早い開発と上市を通して、人々をより健康で幸福な暮らしに導くことを基本理念としています。そして、社会全体から国内医薬品業界のリーディングカンパニーとして認められ、価値ある存在となることを目指します。
≪会社概要≫
日本ワイスレダリー株式会社の概要
社名 : 日本ワイスレダリー株式会社
本社所在地 : 東京都中央区京橋1−10−3
代表者 : 代表取締役社長 ルネ・ブレンバーグ
売上高 : 496億6200万円(2002年度)
従業員数 : 1,300名(2002年12月末現在)
事業の内容 : 医薬品の開発、輸入、製造並びに販売
ワイスの概要
社名 : ワイス
本社所在地 : 米国、ニュージャージー州マディソン
代表者 : ロバート・エスナー
売上高 : 146億ドル(2002年度連結ベース)
従業員数 : 52,000名(2002年12月末現在)
事業の内容 : 医薬品、動物薬品の開発・製造・販売
武田薬品工業株式会社の概要
社名 : 武田薬品工業株式会社
本社所在地 : 大阪市中央区道修町4−1−1
代表者 : 代表取締役社長長谷川閑史
売上高 : 10,460億円(2002年度連結ベース)
従業員数 : 14,547名(2003年3月末現在)
事業の内容 : 医薬品、食品、化学製品、農薬、生活環境製品などの製造・販売
会社分割による食品・化学事業部の分社化に関するお知らせ
http://www.eisai.co.jp/news/news23_38.html
当社は、平成15年11月5日開催の取締役会において、平成16年4月1日をもって、下記のとおり当社の食品・化学事業部を会社分割(以下「本件分割」といいます。)し、新たに設立する当社100%子会社のエーザイフード・ケミカル株式会社に承継させることを決議いたしました。
1.会社分割の目的
当社の食品・化学事業部は、食品添加物、医薬品原料、天然および合成ビタミンE等の分野で事業を展開しておりますが、顧客の皆様に一層の満足をいただくため、同事業を分社化することにいたしました。
2.会社分割の要旨
(1)分割の日程
分割計画書承認取締役会 | 平成15年11月5日 | ||
分割期日 | 平成16年4月1日(予定) | ||
分割登記 | 平成16年4月1日(予定) |
本件分割は商法第374条ノ6(簡易新設分割)の規定により、株主総会の承認を要しません。
(2)分割方式
1.分割方式
当社を分割会社とし、「エーザイフード・ケミカル株式会社」を新設会社とする分社型の新設分割(簡易分割)です。
2.当分割方式を採用した理由
当社は、食品・化学事業部の分社により、当該営業における責任体制を明確にし、独立した経営を行うことで、顧客の皆様に一層の満足をいただくことを目指しております。
このため、当社の食品・化学事業部を分社するにあたっては、その営業を新設会社に承継させ、新設会社の株式全部を当社に割当てる分社型新設分割の方法により行うことといたしました。
(3)株式の割当て
発行される新設会社の普通株式2000株はすべて分割会社である当社に割当てることといたしました。
(4)分割交付金
分割交付金の支払いはありません。
(5)新設会社が承継する権利義務
当社の食品・化学事業部にかかる資産、負債、契約上の地位及びこれに付随する権利義務を承継いたします。
なお、雇用契約については承継されず、分割期日において本件営業に主として従事する当社の従業員については、新設会社に出向、または個別同意に基づく転籍等の措置をとることを予定しています。
(6)債務履行の見込み
本件分割後の当社および新設会社が負担すべき債務については、その履行の見込みに問題はないと判断しております。
(7)新設会社に新たに就任する役員
本件分割に際して就任する取締役および監査役は以下のとおりです。
略
3.分割当事会社の概要
(1) 商号 | エーザイ株式会社 (分割会社) |
エーザイフード・ケミカル株式会社 (新設会社) |
(2) 事業内容 | 医薬品、医薬部外品、製薬用機器等の製造、販売 | 食品・化学品等の販売 |
(3) 設立年月日 | 昭和16年12月6日 | 平成16年4月1日(予定) |
(4) 本店所在地 | 東京都 文京区小石川4丁目6-10 |
東京都中央区内(予定) |
(5) 代表者 | 代表取締役社長 内藤 晴夫 |
代表取締役社長 釣 昭夫(予定) |
(6) 資本金 | 44,985百万円 | 100百万円(予定) |
以下略
4.分割する事業部門の内容
(1)食品・化学事業部の事業の概要
食品、飲料品、調味料、食品添加物、化学工業薬品、農業用薬品、肥料、飼料、飼料添加物の製造、販売、輸出入
(2)食品・化学事業部の平成15年3月期における売上高
食品・化学事業部(a) | 当社(b) | 比率(a/b) | |
売上高 | 7,068百万円 | 289,603百万円 | 2.4% |
(3)食品・化学事業部の資産、負債の項目及び金額(平成15年9月30日現在)
略
5.本件分割後の当社の状況
本件分割後当社の商号、事業内容、本店所在地、資本金および決算期について変更はありません。 また、本件分割が連結業績に与える影響は軽微です。なお、当社個別では、本件分割により総資産は1,127百万円減少する見込みです。
なお、本日付で、当社の100%子会社であるEisai
Pharma-Chem Europe Ltd. (本店:英国)は同社取締役会で解散を決議し、当社はその旨公表いたしました。
日本経済新聞 2003/11/25
伊藤忠 漢方薬原料で合弁 中国医薬最大手と 工場新設、日本に供給
伊藤忠商事は中国医薬最大手の三九企業集団(深セン市)と漢方薬の原料事業で提携する。来春にも合弁会社を設立、生産履歴を徹底管理できる工場を中国に共同で設置して2005年初めから日本市場向けに漢方原料の生薬エキスを供給する。生活習慣病の増大で漢方への注目が高まる中、両社は日本市場を開拓する。
両社は25日に合弁生産について正式調印する。漢方原料の加工・分析拠点は上海近郊に置く計画。投資額や合弁会社への出資比率などは今後詰める。
中国で三九が所有する1万坪(約40平方キロメートル)の農地で葛根や甘草など千種を超す生薬を栽培。日本の生産管理基準を満たした工場で加工し、抽出したエキスの全量を伊藤忠子会社の伊藤忠テクノケミカルが日本市場に供給する。
生薬に含まれる農薬や重金属などのデータを収集する成分分析センターも設け、産地名や産地の農薬使用状況とともに購入者に提出。日本では今年6月、中国から輸入した生薬から残留農薬が検出されたため、生産管理と安全対策を徹底する。
日本の漢方薬市場はツムラが最大手で、市揚規模は医薬品全体の1.5%にあたる1100億円程度。
住化ファインケム株式会社の吸収合併
−医薬化学品事業体制の強化−
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/1newsrelease/pdf/20031128.pdf
住友化学は、2004年7月1日をもって、当社の100%子会社である住化ファインケム株式会社(以下住化ファインケム)を吸収合併し、精密化学部門の事業と統合することといたしました。これにより、医薬化学品ビジネスを精密化学部門の中核事業に位置付け、強化してまいります。
医薬化学品ビジネスは、製薬メーカーからの医薬原体、中間体の受託生産を中心とした事業であり、市場規模は世界で220
億ドル(2.6
兆円)程度と推定されています。製薬メーカーが開発・販売に特化を進める中で、原体・中間体の生産を外部委託する動きが加速しており、これらの市場は年7~8%程度の高い成長が見込まれています。また、国内では2005
年4 月の改正薬事法の施行により、製造委託の自由度が増し、製薬メーカーによる医薬原体・中間体製造委託の動きが加速されると同時に、今後、業界の淘汰が始まることが予想されています。
当社は、精密化学部門において、得意とする有機合成化学で培った各種反応技術、総合的なプロセス開発力、あるいは多目的生産設備の運営技術などの強みを生かし、医薬原体・中間体および写真薬等の精密合成品事業に取り組んでまいりました。一方、住化ファインケムは1992
年に、住友化学の子会社であった淀川製薬、大栄化工、岡山ケミカルの3
社が合併して設立され、医薬原体・中間体や染料中間物、ゴム薬、写真薬といった精密中間物事業において、同社の持つ機動力を発揮し、住友化学の精密化学事業の補完的役割を担う中核企業として発展してまいりました。現在は特に医薬原体・中間体をその中心に据え、国内外の製薬メーカーからその高度な工業化技術、GMP
(Good
Manufacturing Practice 、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)やISO
に基づく確かな品質管理、顧客ニーズを満たすスピーディかつきめ細やかな対応力に対する高い評価を得ています。
当社は、近年の市場環境の変化を、これらグループの持てる力を生かして競合他社に対する競争優位を築く絶好の機会と捉え、両者の組織を統合・再編することといたしました。
住化ファインケムのもつ機動力と迅速性に加え、住友化学のもつ高度な有機合成技術や工業化技術、あるいは最先端の安全性評価能力といった総合的な技術力と豊富な経営資源を投入することで、顧客サービスの一層の向上を図り、品質・コスト、スピードの各面でより高いレベルのソリューションを提供してまいります。住友化学は医薬化学品事業を「高度な有機合成技術を基盤としたSynthetic Specialty Chemicals 」を事業領域とする精密化学部門の中核事業として発展させたいと考えています。
<ご参考>
住化ファインケムの概要
設立 : 1992 年4 月
資本金: 12 億円
総資産: 246 億円(2003 年3 月末)
売上高: 222 億円(2003 年3 月期)
税引後利益: 24 億円(2003 年3 月期)
社長 : 後藤 宗久
事業内容 :
医薬原体、医薬中間物、農薬中間物、化成品等の製造・販売
主な事業所: 大阪、岡山、岐阜
従業員: 455 名
日本経済新聞 2003/12/5
アイルランド工場
藤沢薬品が増設 20億円投算 免疫抑制剤が好調
藤沢薬品工業は生産子会社のフジサワアイルランド(FIL)で免疫抑制剤の生産ラインを増設する。現在の工場の隣に新しい生産棟を建設、2004年末の操業開始を目指す。投資額は約20億円。免疫抑制剤の販売が世界的に伸びていることや販売国・地域が増えているごとに対応する。
新生産棟の延べ床面積は約2500平方メートル。粉状の薬剤をカプセルに充てんする設備を1ライン設け、既存工場と合わせて3ラインに増やす。
FILでは欧州、アジア向けのカプセル剤を生産しているが、現在フル稼働している。同地域向けの免疫抑制剤はさらに増え、注射剤を含めた2004年3月期売上高が15%増の386億円になりそうなことから、主力のカプセル剤の設備を増強する。完成した製品を包装する設備も増設する。
免疫抑制剤「プログラフ」は世界67カ国で販売しており、2004年3月期の売上高が1千億円を超える主力製品。FILは現在、2万7千平方メートルの敷地内に8800平方メートルの生産棟がある。
特殊な技術が必要な原薬(薬の原料)はすべて日本で生産しているが、FILでは原薬を使って欧州・アジア向けのカプセル製剤と全世界向けの注射製剤を生産している。
2003/12/08 塩野義製薬
植物薬品・動物薬品の製造事業の譲渡に関する基本合意について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=60835
この度、塩野義製薬株式会社(社長 塩野元三)と林化成株式会社(社長 林久二)は、塩野義製薬が赤穂工場で行っている植物薬品および動物薬品の製造事業を、林化成が100%出資の新子会社であるハヤシアグロサイエンス株式会社に譲渡する旨、基本合意致しましたのでお知らせ致します。
塩野義製薬は、2000年に策定致しました中期経営計画の骨子の一つである「医療用医薬品事業への集中」に基き、植物薬品および動物薬品事業につきましては、それぞれ他社との合弁会社を設立し、その合弁会社に事業を移管致しました。
しかしながら、それぞれの製造事業につきましては、事業移管後におきましても、塩野義製薬が合弁会社からの受託生産という形で継続して行っております。
この度の合意に基き、2004年4月1日より、当製造事業は、塩野義製薬より譲渡を受けたハヤシアグロサイエンスが行います。
今後、塩野義製薬が赤穂工場で行っている植物薬品および動物薬品の製造事業に携わる従業員は、個々の従業員の自由な意思により、他の部門・事業所への異動か、ハヤシアグロサイエンスへの就職か、あるいは転進支援への応募かを選択します。
〔ご参考〕
林化成株式会社(HAYASHI KASEI CO., LTD.)
本社 : 大阪市北区天神橋1‐2‐7
事業分野 : 無機化学薬品、食品添加物、その他化学薬品の卸および製造
代表者 : 代表取締役社長 林 久二
従業員数 : 52人
売上高約 : 77億円(平成14年12月決算)
平成13年10月 |
植物薬品事業をアベンティスクロップサイエンス社との合弁会社アベンティスクロップサイエンスシオノギ株式会社へ営業譲渡 |
平成14年4月 |
動物用医薬品事業をベーリンガーインゲルハイム社との合弁会社ベーリンガーインゲルハイムシオノギベトメディカ株式会社へ営業譲渡 |
化学工業日報 2003/12/9
林化成、農薬・動物薬事業に参入へ
タルク(ケイ酸マグネシウム)など無機材料メーカーの林化成(本社・大阪市北区、林久二社長)は塩野義製薬との間で、塩野義の赤穂工場(兵庫県)の農薬と動物用医薬品にかかわる製造事業を継承することで合意した。林化成100%出資で製造部門運営会社「ハヤシ アグロサイエンス」をこのほど設立、事業を継承する新体制を構築する。同工場は国内のバイエルグループやベーリンガーインゲルハイムグループなどが販売中の品目を引き続き受託製造するほか、生産余力を利用して新規受託製造先を開拓する計画で、来年4月から本格的に始動する。
化学工業日報 2001/5/28
林化成、タルクでアジア市場攻勢
林化成(大阪市北区、林久二社長)はアジア市場展開を加速する。中国遼寧省海城市の新拠点で進めていたケイ酸マグネシウム(タルク)の圧縮微粉設備(年産8000トン)の移設がこのほど完了・稼働を開始したもので、さらに年産1万トンの汎用タルク設備も導入、本格生産を開始した。これによりファイン製品はもとより、あらゆるグレードのタルク生産が可能となり、日本を含めアジア向けに展開を図る。一方、4月から社内に専門部署を新設、海外市場の体制も整備したほか、現地連絡事務所設置にも動き出しており、さらなる増強を視野に市場拡大を目指す。
日本経済新聞 2003/12/10
人工遺伝子の合成受託 東洋紡とiGENE バイオ医薬向け
東洋紡とバイオベンチヤーのiGENE(アイジーン、茨城県つくば市、須藤鎮世社長)は2004年1月から共同で、バイオ医薬の開発に役立つ人工遺伝子の受託合成事業を始める。がんやウイルス性の病気などを抑える新しい治療法と期待されている技術「RNA(リボ核酸)干渉」に利用する。
東洋紡が窓口となって製薬会社や大学、研究機関などから注文を受け、iGENEが特定の遺伝子の働きを抑える「短いRNA干渉分子(siRNA)」と呼ばれる人工遺伝子を設計する。合成にかかる期間は3週間。価格はsiRNA
1種類あたり10万円程度になる見通し。
RNA干渉は、狙った遺伝子の働きだけを確実に抑える技術。創薬につながる疾病関連遺伝子の探索や機能の解明に加えて、新しい治療法の開発に役立つ。特にがんやウイルス性の病気などを抑える新しい治療法として、バイオ医薬分野では抗体医薬に続く有望技術とみられている。大手製薬会社が研究に乗り出しているほか、パイオベンチャーも相次いで誕生している。