2001年12月10日 中外製薬、ロシュ発表 

ロシュ社と中外製薬 戦略的アライアンスを締結
新しいビジネスモデルの確立をめざし新生“中外製薬”を創生

 F・ホフマン・ラ・ロシュ[本社:スイス・バーゼル市/会長兼CEO:フランツB.フーマー](以下、ロシュ)と中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山治](以下、中外製薬)は、日本国内における両社の医薬品事業(OTCを含む)の統合を柱とする戦略的アライアンスを締結することで合意に達し、2001 年12 月10 日、それぞれの取締役会における必要な手続きを経て、アライアンスにかかわる基本契約に調印したことをお知らせいたします。
 これによりロシュは、世界第2位の日本市場における強固な新薬開発・販売基盤を確立すると共に、日本発の創薬パイプラインへのアクセスを通じてR&D機能の多様性を拡大し、グローバル競争における優位性を一段と強化することが可能となります。
 一方、中外製薬は、筆頭株主かつ最も重要なビジネスパートナーとなるロシュとの緊密な連携を通じて、わが国トップクラスの、グローバルな事業基盤を有する研究開発型製薬企業としての飛躍が可能となります。
 この両社の中長期的な成長にとって極めて大きな意義を持つアライアンスは、同時に日本の創薬研究活動やライフサイエンスの分野においても、今まで以上の貢献を可能とします。ロシュ・グループの一員となることで強化される中外製薬のグローバル研究・開発体制は、日本における創薬基盤整備の取り組みと相俟って、大きく進展する可能性を有しており、わが国を新薬の発信基地とするための産業側の役割の多様化に大いに寄与することが期待されます。

1. アライアンスの概要
(1) アライアンスの目的
 本アライアンスは、中外製薬とロシュの100%子会社である日本ロシュ株式会社[本社:東京都港区/社長:小川渉](以下、日本ロシュ)の合併によって新生“中外製薬”を誕生させ、その中外製薬を日本でトップクラスの製薬企業にするという、ロシュと中外製薬双方にとってwin-win の新しいビジネスモデル確立を目的としています。
 このビジネスモデルが確立されると、ロシュには世界第2位の日本市場における医薬品事業基盤の飛躍的な強化が、中外製薬には新薬開発型メーカーとしてグローバル競争に勝ち残るためのクリティカルマスの確保がもたらされることになります。

(2) アライアンスの内容
 株主総会での承認ならびに内外関係当局の承認を前提に、以下の合意事項の実現を図ります。
@ 中外製薬と日本ロシュの合併
 中外製薬と日本ロシュが合併し、両社の日本における医薬品事業(OTCを含む)を統合する。合併後の存続会社および社名は引き続き「中外製薬株式会社」とし、東京、大阪、名古屋、福岡の各証券取引所での上場を維持する。
A ロシュによる中外製薬株式の50.1%取得
 ロシュは、中外製薬と日本ロシュの合併に加え、
株式公開買付(TOB)の実施および中外製薬による第三者割当増資を通じ、中外製薬の発行済株式の50.1%を取得する。
B 中外製薬の日本における独占的地位とロシュ製品に対する第一選択権
 中外製薬は、ロシュの日本市場における唯一の医薬品事業会社となり、同社グループが有する開発候補品の日本における開発・販売権について第一選択権を保有する。
C ロシュの中外製薬製品に対する第一選択権
 中外製薬が海外開発・販売をするにあたりパートナーを必要と判断した場合に、ロシュは中外製薬が有する開発候補品の海外(韓国を除く)における開発・販売権について第一選択権を保有する。

D
ジェン・プローブ社のスピンオフ
 中外製薬は、ロシュによる株式取得に先立ち、100%保有の米国診断薬子会社であるジェン・プローブ・インコーポレーテッド[本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ市/社長兼CEO:ヘンリーL.ノードホフ](以下、ジェン・プローブ)の株式を有償減資により中外製薬株主に分配し、ジェン・プローブのスピンオフを実施する。
 なお、ジェン・プローブはスピンオフ実施後に
アメリカン証券取引所(AMEX)に上場する。
  
*親会社の株主に子会社株式を分配することで会社分割をすること

(3) 新生中外製薬の経営体制
 本アライアンスは、通常の企業買収や合弁事業とは異なる新しいビジネスモデルの確立をめざしています。
 ロシュは、中外製薬株式の50.1%を取得することにより中外製薬を連結決算の対象としますが、両社で合意したガバナンス契約に基づき、中外製薬は今後も引き続き独立した上場企業として、日本の文化・社会に即した経営を行うとともに、海外事業を含む研究・開発・製造・販売活動を独自に展開します。
 これは、ロシュ・グループメンバーとしての密接な連携の維持、すなわち経営資源を共有できる部分での協調メリットは十分生かしつつも、両社が独自の個性とカルチャーを尊重しながら発展していくことで、グループ全体としての事業展開に、より一層の奥行きと拡がりが期待できる、との経営判断によるものです。
 なお、中外製薬現社長の永山治は引き続き新生中外製薬の代表取締役社長に就任し、日本ロシュ社長の小川渉は専務取締役に就任する予定です。また、ロシュのフランツB.フーマー会長兼CEOおよびウィリアムM.バーンズ医薬品事業本部本部長と日本ロシュの繁田寛昭会長も、取締役として新たに就任する予定です。

(4) 新生中外製薬の競争力
 中外製薬と日本ロシュの合併により、新生中外製薬は売上高2,530 億円(2000 年度実績ベース)、国内医療用医薬品売上ランク第5位、研究開発力、販売マーケティング力では国内トップクラスの製薬企業となります。
 また、中外製薬を含むロシュ・グループ全体の推定売上高(2000 年度実績ベース)は304 億スイスフラン(約2 兆3000 億円)、グローバル医薬品事業(OTCを含む)では205 億スイスフラン(約1 兆5000 億円)となり、世界ランク10 位以内の企業となります。

 本アライアンスにより期待されるシナジーは、次の通りです。
* 営業面では、両社合計で約1,400 人というMR数のみならず、学術活動支援要員も増えることから、EBM(Evidence Based Medicine)、およびクリティカルパスへの対応を可能とする効率的な新営業体制の構築が期待されます。また両社は製品面での重複が少なく、販売製品の品揃えが充実する一方で、がん/血液、腎、骨、感染症領域等、成長市場領域での強力な適合力の確保が期待できます。

* 研究開発では、経営資源の研究開発費への集中度で業界トップクラス(売上高比率20%)の中外製薬が加わることにより、統合後のロシュ・グループのグローバル研究開発投資額は年間40 億スイスフラン(約3,000 億円)を超えるなど、競争力が格段に強化されます。
 とりわけ、世界的に注目されつつあるゲノム研究、プロテオミクス、ライフサイエンス技術への事業機会が増大し、抗体医薬品のような高分子のバイオテクノロジー製品の開発・製造では、世界トップレベルの能力を生み出す協力体制の構築が可能となります。

* 開発パイプラインは、臨床開発中の新規医薬品としてロシュ・グループ由来は46、中外製薬由来は14あり、両社のコンビネーションにより、短期的にも中長期的にもバランスのとれた強力なラインアップが実現します。

* 研究面では、ロシュ鎌倉研究所を中外製薬の富士御殿場研究所を中核とする研究開発ネットワークに組み込むことにより、がん領域での競争力が飛躍的に強化されます。また、中外製薬の抗体やビタミンD誘導体を含む低分子研究を基盤とした、がん、骨、腎、循環関連疾患への研究の取り組みは、ロシュが永年誇ってきた革新的新薬の創薬へのコミットメントや戦略治療領域とも一致し、ロシュ・グループとして一層のパイプライン強化が図られることになります。

* 海外開発・販売面では、基盤構築に必要な経営資源が確保されることにより、現在臨床開発段階にある抗体医薬品を中心とした独自の開発が加速されるほか、ロシュのグローバルネットワークを有効に活用したコラボレーションの推進など効率的な事業展開が可能となります。

* OTC事業についても、中外製薬のOTC市場でのプレゼンスとロシュ製品を融合させることで、ロシュ・グループとしての成長基盤を作ることが可能になります。

(5) 当面の売上目標
 新生中外製薬は、合併から3年目(2006 年3 月期)の国内医療用医薬品売上高の目標を3,000 億円(業界ランク4位を想定)としています。

2. ジェン・プローブのスピンオフ

 ジェン・プローブは、1989 年の中外製薬による買収以来、中外製薬の診断薬事業の中核としてDNAプローブ技術を用いた独自の臨床診断薬事業、および血液スクリーニング事業で確固たる地位を築いてきました。しかし、本アライアンスを契機に中外製薬はロシュの診断薬事業と競合するジェン・プローブを分離し、コア事業である医療用医薬品事業およびヘルスケア事業に経営資源を集中することを決意しました。
 同社の分離にあたっては、中外製薬株主からジェン・プローブの成長性に強い期待が寄せられている点も考慮し、中外製薬株主に引き続きジェン・プローブ株式を保有いただくための方法として、有償減資によるスピンオフを選択しました。
 ジェン・プローブは、スピンオフ実施後にアメリカ証券取引所に上場し、中外製薬から完全に独立した米国の上場企業となりますが、経営に関しては現経営陣が引き続きその任にあたります。
 なお、第三者の鑑定評価によるジェン・プローブの公正な事業価値は約800億円です。

3. 今後の日程
 2002 年6 月開催予定の中外製薬定時株主総会で承認され次第、有償減資によるジェン・プローブのスピンオフを実施し、2002 年の第4四半期を目処に中外製薬と日本ロシュの合併を含む一連の取引を完了する予定です。

<付記>
1.合併当事会社の概要
(1)商号      中外製薬株式会社    日本ロシュ株式会社
(2)事業内容    医薬品の製造販売    医薬品の製造販売
(3)設立年月日   1943 年3 月10 日    1932 年5月12日
(4)本店所在地   東京都北区浮間     東京都港区芝二丁目6番1号
          五丁目5番1号
             
(5)代表者     代表取締役社長 永山治  代表取締役社長 小川渉
(6)資本金     23,993 百万円      8,800 百万円
(7)発行済株式総数 252,000,233 株     88,000 株
  (額面金額) (額面金額50 円)    (額面金額10 万円)
(8)株主資本    190,256 百万円     24,300 百万円
(9)総資産     340,174 百万円     72,600 百万円
(10)決算期     3月31日         12月31日
(11)従業員数    4,886 人        1,691 人
(12)主要取引先 略  
(13)大株主および持株比率
          ザチェースマンハッタンバンクエヌエイ  ザチェースマンハッタンバンクエヌエイ
           ロンドン9.18%       ロンドンエスエルオムニバスアカウント2.81%
          鰍さひ銀行3.41%    住友生命保険相互会社2.78%
          鰹Z友銀行3.17%    ロシュ・ファイナンス・リミテッド100%

(注)中外製薬は2001年3月31日現在(連結ベース)
   日本ロシュは2000年12月31日現在(単体ベース)

4.ロシュの概要
 スイスのバーゼルを拠点とするロシュは、医薬品、診断薬、ビタミンの事業を持つ世界有数の研究志向のヘルスケア企業として位置付けられている。
 ロシュにおける研究は、がん、代謝性疾患、ウイルス性疾患、血管系疾患、泌尿器系疾患、神経系疾患、そして炎症の7分野の十分に満たされていない医療ニーズがある領域に注力して行われている。
<売上>
 ロシュ全体の年間売上は275 億43 百万スイスフラン。うち医薬品は176 億86百万スイスフラン。
 世界170 カ国以上で製品を販売。
<従業員数>
 約63,500 人。
<代表者>
 Dr. Franz B. Humer 会長兼CEO
<沿革>
 1896:F・ホフマン・ラ・ロシュ社設立
 1933:ビタミンC 合成に成功
 1938:ビタミンE 合成に成功
 1946:ビタミンA 合成に成功
 1989:PCR 技術(ポリメラーゼ連鎖反応法)取得
 1990:ジェネンテック社に資本参加
 1994:シンテックス社を買収
 1997:コランジュ社を買収し、臨床診断薬大手のベーリンガー・マンハイム社を傘下に

5.ジェン・プローブの概要
 アメリカのサンディエゴを拠点とするジェン・プローブは、独創的なTMA法(Transcription Mediated Amplification)という核酸増幅技術を用いたヒトの疾病の臨床診断を行う製品を開発、製造、販売しており、この分野におけるグローバルリーダーの一社である。
 同技術はまた、1996 年にNIHが公募した核酸増幅法による血液スクリーニングシステム開発において正式採用され、現在では、カイロン社と提携しブラッドバンクを対象にしたワールドワイドな展開を強化している。
<売上>
 1 億2 千万j(約137 億円:2000 年12 月期)
<従業員数>
 約630 人
<代表者>
 Henry L. Nordhoff 社長兼CEO
<沿革>
 1983:ジェン・プローブ社設立
 1985:遺伝子プローブ技術による診断薬、FDA初の認可
 1989:中外製薬により買収される
 1995:TMAに対する米国での特許を取得
 1997:ビオメリュー社(仏)とのコラボレーションに合意
 1998:血液事業等を対象とした事業でカイロン社と戦略提携
 1999:バイエル社とウイルス検査製品に関し提携

6.ロシュによる中外製薬株式の取得
・中外製薬によるジェン・プローブのスピンオフ後、ロシュは中外製薬の発行済株式の約10%(約30 百万株)を対象に、一株当たり2,136 円で公開買付を行う。
・公開買付実施後、ロシュは中外製薬と日本ロシュの合併および中外製薬の第三者割当増資引受(発行価格1,780 円)を通じて、中外製薬発行済株式の50.1%を取得する。
・中外製薬は、第5 回無担保転換社債の任意償還条項を行使し、2002 年6 月
28 日付で未償還残高の全額を償還する予定である。
・中外製薬の第6 回無担保転換社債の保有者は、2002 年の定時株主総会後に指定される基準日以前に転換権を行使した場合は、有償減資によるジェン・プローブ株式の分配とロシュによる公開買付への参加が可能となる。
・減資基準日時点で中外製薬の転換社債が未償還で残っている場合には、ロシュは新たに発行される転換社債を取得し、将来のロシュの持株比率低下を回避する。
・中外製薬は、有償減資後に未償還で残っている第6回無担保転換社債に関し、その転換条件に必要な調整を行うことを社債管理会社と検討する。
 なお、中外製薬/日本ロシュの合併比率は61:39 で合意している。また、ロシュの投資総額は、公開買付が予定通り中外製薬発行株式数の約10%に到達したと仮定して約1,550 億円となる。

7.有償減資に伴う課税上の取扱い
 中外製薬は、ジェン・プローブ株式および現金により行う有償減資において、ジェン・プローブ株式の価値を約800 億円(第三者による時価評価額)とした場合に、法人税と源泉徴収税相当額の合計で371 億円の負担を見込んでいる。
 中外製薬の株主は、有償減資により、中外製薬の株式1 株に対して260 円相当のジェン・プローブ株式と現金40 円を受け取ることになる。なお、みなし配当税額*に相当する現金40 円は源泉徴収される。
*株主は、有償減資により受け取るジェン・プローブ株式と現金のうち、会社の留保利益の分配とみなされる部分がみなし配当額とされ、課税(原則として税率20%)される。1 株当たりのみなし配当額は204 円、みなし配当税額は40 円と見込んでいる。なお、これらの数値は、現在時点で入手可能な情報に基づいた予想額であり、有償減資実行時に確定する。また、実際の課税状況については、株主毎に異なる場合がある。

8.アドバイザー
 中外製薬はJPモルガンを、ロシュはゴールドマンサックスをフィナンシャルアドバイザーとして採用した。
 なお、中外製薬は新薬開発型の製薬メーカーとしてグローバルに事業を展開するうえで、国際的に優れた産業人ならびに専門家によるアドバイザリーボード(International Advisory Board)の助言を得てきた。
 現行メンバーは、Ambassador Paul Bremer, Prof. Victor Halberstadt, Dr.Gerald Laubach, Judge Abraham Sofaer, Prof. Dieter Spethmann の5 名であり、今回のロシュとのアライアンスについても全面的な支援を得ている。


2002/4/3 中外製薬

米国子会社
ジェン・プローブ社 SEC への届出

中外製薬株式会社(本社:東京都中央区/社長:永山治)の100 %子会社であるジェン・プローブ社(Gen-Probe Incorporated /本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ/社長兼最高経営責任者:ヘンリー ノードホフ)は4 月2 日(現地時間)、米国での上場のための登録を米国証券取引委員会(SEC )へ届出ましたのでお知らせいたします。

日本経済新聞 2003/4/23

M&Aの落とし穴 法・税制整備追いつかず

(前略)
 M&Aで売り手側になる場合も、日本企業は税制上、欧米企業と比べ不利な立場にある。
 「どうしてこんなに税金を払わなきゃならないのか」。中外製薬の須沢悠自副社長は最初、耳を疑った。
 昨年、スイスの医薬品大手ロシュの傘下入りにあたり、米子会社ジェン・プローブのスピンオフ(事業の分離・独立)を決めたが、370億円の税金を負担することになったからだ。
 スピンオフでは、ジェン・プローブ株を中外薬の株主に無償で割り当てる。中外薬に売却益は一切発生しないが、グループの外に切り離したことにより、利益が発生したと見なされる。
 さらに中外薬の株主はジェン・プローブ株と中外薬株を別々に持つ格好になる。理論上、スピンオフ前と後で株主が保有する持ち株の価値は変わらないはず。だが、ジェン・プローブ株を割り当てられたことで株主も配当を受け取ったと見なされ課税される。結局、中外薬が株主負担の税金も肩代わりせざるを得なかった。

 


2002/05/24 中外製薬、日本ロシュ

日本ロシュ(株)との合併決議のお知らせ

 当社〔中外製薬株式会社、本社:東京都中央区/社長:永山 治〕は、2002年5月24日開催の取締役会において、2002年6月27日に予定されている定時株主総会での承認を前提として、2002年10月1日を期して、日本ロシュ株式会社〔本社:東京都港区/社長:小川 渉〕(以下、日本ロシュ)と合併することを決議いたしました。これは、当社とエフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド〔本社:スイス/会長兼CEO:フランツ・ベルンハント・フーマー〕(以下、ロシュ)が、日本国内における両社の医薬品事業(ヘルスケア事業含む)の統合を柱とする戦略的アライアンスに合意し、2001年12月10日に基本アライアンス契約を締結したことに基づくものであります。(ただし、ロシュ側の契約当事者は、ロシュ・ファームホールディング・ビー・ヴィ〔本社:オランダ〕(以下、ロシュ・ファームホールディング)また、あわせてアライアンス実現のために必要な諸契約の締結につき決議いたしました。これらの概要は以下のとおりであります。

1.日本ロシュ株式会社との合併

 1)合併の目的
  日本市場における強固な新薬開発、販売基盤を確立し、グローバルな競争における優位性を強化するため、当社と日本ロシュが合併し、合併後の新生"中外製薬"がロシュグループの日本市場における唯一の医薬品事業会社となることが、中外製薬グループおよびロシュグループ双方にとって企業価値向上のために最善の方法と確信し、基本アライアンス契約に基づき決定いたしました。

 合併の要旨
(1)合併の日程
  合併契約書承認取締役会   2002年5月24日
  合併契約書調印         2002年5月24日(予定)
  合併契約書承認株主総会   2002年6月27日(予定)
  合併期日              2002年10月1日(予定)
  合併登記              2002年10月1日(予定)

(2)合併方式
 当社を存続会社、日本ロシュを消滅会社とする吸収合併方式によります。

(3)合併比率
  会社名    中外製薬    :   日本ロシュ
  合併比率  2,234.42  :    1

(注)株式の割当比率
 日本ロシュの普通株式1株に対して、当社の普通株式2,234.42株を割当て交付いたします。

(4)合併比率の算定根拠
 当社は、ロシュとの間で日本ロシュとの合併を含むアライアンスに関する協議に先立ち、公正性、妥当性を確保する観点から、中立な第三者機関たる財務アドバイザーとして、J.P. Morgan Securities Inc.(以下、J.P.モルガン)を任命し、当社と日本ロシュの普通株式の価値算定案の作成を依頼いたしました。当社はそれを参考に、ロシュとのアライアンスの効果を念頭におき、ロシュとの交渉、協議を行った上で合意したものであります。なお、2001年12月10日にJ.P.モルガンより、基本アライアンス契約で企図される一連の取引が全体として、当社株主にとって財務的見地から公正、妥当である旨の意見表明書の提出を受けております。

(5)合併により発行する新株式数 
  普通株式   196,628,960株

(6)合併に際して就任する取締役
 合併に際して合併の日に新たに取締役に就任を予定している候補者は次のとおりです。
  小川 渉
  フランツ・ベルンハント・フーマー
  ウィリアム・エム・バーンズ
  繁田 寛昭


2002/08/15 ロシュ・ホールディング

ロシュグループによる株式会社中外製薬株式の公開買付けの開始に関するお知らせ

 ロシュ・ホールディングは[本社:スイス・バーゼル市/会長兼CEO:フランツ B.フーマー](以下、「ロシュ社」といいます。)は、その間接的な100%子会社であるロシュ・ファームホールディング・ビー・ヴィ(以下、「ロシュ・ファームホールディング」といいます。)を通じて、東京証券取引所第一部上場の中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/代表取締役社長:永山 治、銘柄コード:4519](以下、「中外製薬」といいます。)の普通株式の約10.84%(30,000,000株)の取得を目指して、現金を対価とする公開買付けを実施することといたしましたので、お知らせいたします。

 公開買付価格は一株当り2,800円であり、公開買付価格に基づく買付総額は840億円となります。

 公開買付者は、ロシュ社の間接的な100%子会社です。ロシュ社およびそのグループ会社(以下、総称して「ロシュ・グループ」といいます。)は、医薬品、診断薬、ビタミンの事業を持つ世界有数の研究志向型ヘルスケア企業であり、世界170カ国以上で製品を販売しており、全世界で約63,500人の従業員を有しております。日本では、公開買付者の100%子会社である日本ロシュ株式会社[本社:東京都港区/社長:小川 渉](以下、「日本ロシュ」といいます。)を通じて医薬品事業の展開を行ってきました。日本ロシュは1932年に設立され、従業員約1,700人、資本金88億円で、現在、広範な医薬品を開発、輸入、製造、および販売を行っております。

 本公開買付けの目的は、ロシュ・グループと中外製薬の戦略的アライアンスを実現すべく、本公開買付け、中外製薬による公開買付者に対する第三者割当増資および中外製薬と日本ロシュの合併とをあわせて、合併後の新会社を
ロシュ・グループが約50.1%を所有する連結対象子会社とすることです。これによりロシュ・グループは、世界第2位の日本市場における強固な臨床開発・販売基盤を確立すると共に、日本発の創薬パイプラインへのアクセスを通じて研究開発機能の多様性を拡大し、グローバル競争における優位性を一段と強化することが可能となります。また、中外製薬と日本ロシュの医薬情報担当者(MR)は両社あわせて約1,400名となり強力な新営業体制の構築が期待されます。

 合併後の存続会社および社名は引き続き「中外製薬株式会社」とし、東京、大阪、名古屋、福岡の各証券取引所での上場を維持します。両社で合意した基本提携契約に基づき、中外製薬は今後も引き続き独立した上場企業として、日本の文化・社会に即した経営を行うとともに、海外事業を含む研究・開発・製造・販売活動を独自に展開します。なお、中外製薬の永山治社長は引き続き合併新会社の代表取締役社長に就任し、日本ロシュの小川渉社長は合併新会社の代表取締役副社長に就任する予定です。

 ロシュ社と中外製薬は、日本国内における両社の医薬品事業の統合を柱とする戦略的アライアンスを締結することで合意に達し、2001年12月10日、ロシュ・ファームホールディングをロシュ・グループ側の直接の契約当事者として、基本提携契約に調印しています。
 また、中外製薬の取締役会は、ロシュ・ファームホールディングが本公開買付けにより中外株式を取得することについて、賛同の意を表しております。


【公開買付けの概要】 略



2002年9月30日 中外製薬

主要株主ならびに筆頭株主の異動に関するお知らせ

 2002 年9 月28 日付で、当社の主要株主および筆頭株主に異動がありましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1 .異動が生じた経緯
 当社は、ロシュ・ファームホールディング・ビー・ヴィより、同社が2002 年8 月16 日から同年9月19 日まで実施した当社株式に対する公開買付けによって、当社株式30,000,000 株を保有することになった旨の連絡を受けました。また、当社は、同社に対し、2002 年9 月28 日に、第三者割当増資による新株式発行を行いました。これにより、当社の主要株主および筆頭株主に異動が生じました。

2 .当該株主の名称等

名 称: ロシュ・ファームホールディング・ビー・ヴィ(Roche Pharmholding B.V.)
所在地: オランダ王国、マイドレヒト エヌ・エル-3641 アール・アール、
ナイファーハイズベッグ38

3 .当該株主の所有株式数および発行済株式総数に対する割合

  所有株式数
(議決権の数)
総株主の議決権の数に
対する割合
大株主順位
異動前

0 株
(0 個)

0.0 %

―――

異動後

51,103,544 株
(511,035 個)

15.8 %

第1 位

(注)総株主の議決権に対する割合は、直近における総株主の議決権の個数の把握が困難なため、直近で判明しうる2002 年8 月31 日における発行済株式総数302,474,688 株に平成14 年9 月28 日の第三者割当増資による新株式発行数21,103,544 株を合計した株式数に対する当該主要株主の所有株式数の割合であります。

4 .今後の見通し
 当社は、2002 年10 月1 日を合併期日として、ロシュ・ファームホールディング・ビー・ヴィの100 %子会社である日本ロシュ株式会社を吸収合併します。また、ロシュ・ファームホールディング・ビー・ヴィは、2002 年10 月1 日以降、日本ロシュ株式会社が発行した新株予約権付社債(上記合併により当社が承継します)に付された新株予約権を行使して当社普通株式を取得し、これらの手続により、当社の発行済株式総数の約50.1 %を取得する予定です。


日本経済新聞 2002/10/2

中外製薬 ロシュ傘下入り 医薬情報担当1400人

 「がん、腎疾患、骨疾患で国内最大となる。社員はこれに甘えず自らの行動を改革してほしい」。1日付でスイス製薬大手ロシュの日本法人と合併、ロシュ傘下に入った中外製薬。午前9時から半時間、永山治社長らが通信衛星を通じ5千人超の社員に語りかけた。ロシュのフランツ・フーマー会長兼最高経営責任者(CEO)も「グループの一員として最大限支援する」と発言した。
 大手製薬会社が外資に買収されるのは初めて。国内の医療用医薬品市場での中外の順位は10位から5位に浮上。医薬情報担当者(MR)の数も、合併前の約800人から約1400人に増え、国内最大手の武田薬品工業を上回る。地域別に配置していたMRのうち、がんなどの専門知識を持つ70−80人を選抜し、集中的に医師を訪問するチームも導入。外資系企業としての再出発にかける。


2002/10/01 中外製薬

「新生・中外製薬」発足について

 中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山 治、以下中外製薬]は10月1日、F・ホフマン・ラ・ロシュ[本社:スイス・バーゼル市/会長兼CEO:フランツ B.フーマー](以下、ロシュ)との戦略的アライアンスの一環として
日本ロシュ株式会社と合併し、新生・中外製薬を発足させたことをお知らせいたします。

 新生・中外製薬は、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことをMission(存在意義)と定め、ロシュ・グループの最重要メンバーとして、国内外において革新的な新薬を継続的に提供する、日本のトップ製薬企業を目指します。

 中外製薬はこれまで、外部研究機関とフレキシブルに連携する中で、先端技術を活用した独自性の高い研究開発基盤を構築してきました。とくにバイオテクノロジーで培った知識や技術は、いま注目の抗体医薬の開発に結びついています。一方、ロシュは、バイオ医薬の研究開発や製造において世界トップレベルの能力を有しており、米国ジェネンテック社もその一員として多くの成果を生み出しています。このロシュのグローバル研究体制の下で、がん領域や創薬化学で実績のあった鎌倉研究所の機能が新たに加わり、新生・中外製薬は国内屈指の創薬基盤を有する製薬企業として、日本発の画期的な新薬を生み出す環境を整えました。

 新生・中外製薬は今後、「がん」「腎」「循環器」「骨・関節」「移植・免疫・感染症」の5領域に資源を集中し、より効果と安全性の高い革新的な医薬品を開発していきます。
 今回の国内における医薬品事業統合により、現時点における開発パイプラインは22品目と国内有数の強力なラインナップが整いましたが、今後さらに、ロシュ・グループが各国で開発中の製品が加わるなど、中長期的にも豊富なパイプラインが期待されています。
 ちなみに、これらの臨床開発には国内最多数を誇る開発スタッフがあたるとともに、既存品および新たに開発・上市される製品の情報提供には1,400名のMRがこれにあたります。

<会社概要>

【商号】 中外製薬株式会社(Chugai Pharmaceutical Co., Ltd.)
【代表者】 永山 治                                           
【創業】 1925(大正14)年3月
【設立】 1943(昭和18)年3月
【本社】 東京都中央区京橋2−1−9
【役員および監査役】 代表取締役社長 永山 治
代表取締役副社長 須澤 悠自
  後町 健一郎
  小川 渉
 (後町、小川の両名については、10月2日開催の取締役会で
  代表取締役に選任の予定)
取締役副社長 上野 幹夫
取締役 児玉 龍三
尾形 悦郎
エイブラハム・E・コーエン
フランツ・B・フーマー
ウィリアム・M・バーンズ
繁田 寛昭
監査役 萩原 隆
小笠原 嗣朗
藤縄 憲一
小林 一信

 


日本経済新聞 2002/10/4 

中外・ロシュトップ会見 相乗効果で新薬開発加速

 スイス製薬大手ロシュのフーマー会長兼最高経営責任者(CEO)と同社の子会社となった中外製薬の永山治社長は3日都内で記者会見し、両社の得意分野を生かしてがんやリウマチ治療薬の開発などを加速させる方針を表明した。中外の一部工場閉鎖を柱とする生産体制の見直し計画は、年度内をめどに細部を詰める。
 中外製薬は1日に日本ロシュと合併、フーマー会長は中外の取締役に就任した。会長は「中外製薬は日本市場で最大の成果を出すために自主的に経営してもらう」と言明。その上で、「中外はロシュの開発・販売力をフルに生かせる」と相乗効果を強調した。中外とロシュはがん治療薬など抗体医薬のほか、合成化合物医薬でも研究協力することを確認した。
 永山社長は2005年度に連結売上高3150億円、営業利益率20%という目標を示したが、フーマー会長は「目標は前倒しできる」との見通しを示した。また、会長はロシュと他の大手製薬会社との大型合併は「企業価値を低下させるだけなので、実施するつもりはない」と断言した。


発表 2002/10/03 中外製薬、ロシュ

新生・中外製薬とロシュとの研究協力について

 中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山 治(以下、中外製薬)]と、F・ホフマン・ラ・ロシュ[本社:スイス・バーゼル市/会長兼CEO:フランツ B.フーマー(以下、ロシュ)]は9月30日、低分子合成医薬品の探索研究において、新生中外製薬とロシュとの間で研究協力体制を構築することで合意し、研究協力趣意書を締結しましたのでお知らせいたします。

 中外製薬とロシュはこれまで、低分子合成医薬を基盤とした、がん、骨、腎、循環器疾患への研究において、ロシュが有する創薬研究技術基盤にアクセスでき、ロシュも中外製薬固有のデータベースを利用できるということを戦略的アライアンス・シナジーの一つと位置付けてきました。
 ロシュは世界有数の化合物バンク、研究情報(化合物の構造と薬理、動態、毒性に関するデータベースとツール)を保有しています。また、研究資源、研究情報は高度にネットワーク化されており、それらは医薬品創製の効率性に大きな力を発揮しています。

 今回の研究協力趣意書の締結は、今日の世界的な新薬開発競争の激しさに鑑み、(1)これまでの日本ロシュ鎌倉研究所における研究の持続性が失われないこと (2)広く研究技術基盤を共有することで二重投資を避け、研究の効率性を確保すること、の2点について両社の認識が一致したことによります。

 これにより両社は今後、抗体を含むバイオ医薬品以外の研究で、共通する研究技術基盤の構築に取り組むことになりますが、構築にあたっては、ともに国内外で積極的に参画している共同研究やコンソーシアム等、第三者の権利に抵触しないことを前提としています。

 中外製薬はこれまで、先端技術を活用した独自性の高い研究開発基盤を構築してまいりました。とくにバイオテクノロジーで培った知識や技術を抗体医薬の開発に結びつけてきましたが、今回、ロシュとの間で低分子合成医薬品の探索研究の遂行に関するネットワークの構築に着手したことで、世界的に注目されつつあるゲノム研究、プロテオミクス、ライフサイエンス技術への事業機会の増大と相俟って、国内屈指の創薬基盤を有する製薬企業としての成長可能性を確固たるものにしました。


2002/5/21 中外製薬

シンガポールでのジョイントベンチャー設立について

 中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山治(以下、中外製薬)]は、三井物産株式会社[本社:東京都千代田区/社長:清水慎次郎(以下、三井物産)]の100 %子会社である
Biostar Research Pte.Ltd.[本社:シンガポール/社長:野村龍太(以下、Biostar社)]および実験動物中央研究所[研究所:神奈川県川崎市/所長:野村達次(以下実中研)]との間で、5 月20 日、アジア人医療への貢献を柱にしたアジアにおけるポストゲノム研究拠点として、シンガポールに3 社によるジョイントベンチャー「PharmaLogicals Research Pte.Ltd.(以下、PharmaLogicals 社)」を設立することで合意しましたのでお知らせいたします。
 中外製薬は、1980 年代から血球の増殖・分化にかかわるタンパク性因子(サイトカイン)の研究を1 つの柱として、それを遺伝子工学的に大量生産して医薬にすることに注力してきました。その結果、腎性貧血治療剤『エポジン』や好中球減少症治療剤『ノイトロジン』(海外では『グラノサイト』)といった造血因子製剤の上市に成功し、今日では、バイオ医薬の国内トップ企業との評価を得るに至っています。
 また近年は、サイトカイン研究を発展させた抗体医薬の研究を重点課題としており、加えて昨年12 月には、バイオ医薬の開発では世界有数の米国ジェネンテック社をグループの一員に擁するロシュと戦略提携の締結をするなど、世界的に注目されつつあるゲノム研究、あるいは抗体医薬品のような高分子のバイオテクノロジー製品の開発・製造において、さらなる優位性確保の可能性を拡大・強化させています。
 PharmaLogicals 社の設立は、こうした中外製薬の持つ創薬技術を集約し、既にシンガポールにおいてゲノム解析と診断事業に取り組んでいる三井物産、バイオサイエンス研究への動物実験のノウハウを持つ実中研と共同して、新しいポストゲノム研究に取り組むことで同国のバイオ産業育成政策に貢献するとともに、中外製薬として、アジアにおけるゲノム創薬研究の拠点を新たに確保することを狙いとしています。
 シンガポールを拠点設立の適地と判断したのは、同国がバイオ産業育成に力を入れていること、また、国民の医療向上に向けた施策を掲げ、国民の健康情報を厳格に管理した環境下でゲノム研究を積極的に展開するアジア最先端の国であること、などによります。
 三井物産は、シンガポールにおけるアジア人のためのゲノム解析と診断事業に取り組んでおり、昨年、シンガポール国立癌センターとゲノム研究の会社AGENICA 社を折半出資により設立、その研究成果として、既にいくつかの有用な遺伝子を発見しています。
 さらに、現地子会社Biostar 社を設立するなど、遺伝子工学、分子生物学研究分野で豊富な産官学のネットワーク、インフラを確立しており、シンガポールと日本のバイオ事業を核に据えた新しいバイオ疾病診断を念頭に、アジア各国と連携をとったアジアンジェノミックス構想を展開しています。
 一方、実中研は、1952 年の創立以来50 年の長きにわたり医学研究、バイオサイエンス研究に貢献できる疾患解析システムを開発。その成果としては、良質な実験動物の開発と生産システムの確立、実験動物の品質規格を監視する国際的な「モニタリングセンター」の設立、遺伝子導入など先端技術を応用した「ヒト疾患モデル動物」の作出、そして、これらを用いた新しいin vivo 評価システム等があげられます。
 中でも特筆されるのは、30 年も前からヒトの腫瘍を実験動物に移植する研究を続け、これまでのノウハウを傾注した超免疫不全マウスの開発に近年成功したことです。このマウスを用いることで、従来の免疫不全マウスでは移植が成立しなかった、前立腺や肺などの難移植性癌の移植が可能となり、癌疾患研究のさらなる進歩と、診断、新薬開発に大きく貢献する疾患モデル解析評価系との期待が高まっています。
 中外製薬は、ヒト遺伝子の配列決定が終了し、遺伝子情報が飛躍的に増加したにもかかわらず、こと遺伝子情報から新薬を導くことに関しては、膨大な費用投入に見合う成果がなかなか得られ難いという状況下にあって、モデル動物を用いた疾患解析と遺伝子解析が新たなブレイクスルーを生み出すアプローチになると考えており、ParmaLogicals 社をその実践の場と位置付けています。
 社名にPharmaLogicals の名称を用いたのも、治療の理解に欠くことのできない生理学的(physiological )、病理学的(pathological )、薬理学的(pharmacological )基礎技術に加え、先端的な分子生物学(molecular biological )を基盤とした新しい創薬研究を実施することこそが、基礎研究と臨床研究をつなげた最良の創薬戦略との考えに由来します。
 中外製薬は今後、国内外研究拠点が密接に連携し、PharmaLogicals 社の設立から得られる付加価値の高い研究情報を活かした、質の高いポストゲノム時代における新しい創薬研究を展開していきます。

<PharmaLogicals 社の概要>

社名 :PharmaLogicals Research Pte.Ltd.
所在地 :シンガポール/グレンイーグルズ病院地内
資本金 :株主資本S$1,600 万≒約11.2 億円(うち資本金S$100 万≒約7,000 万円、
 資本剰余金S$1,500 万≒10.5 億円
*研究開発を目的としたコストカンパニーとして運営資金(3 年MIN )を資本金と
して持つ
出資比率 :中外製薬 48 %、BIOSTAR 社 48 %、実中研 4 %
事業内容 :ヒト遺伝子情報、臨床情報、動物実験情報、薬物情報を統合し、新規診断薬お
よび新規医薬品開発のための情報の創造
設立 :2002 年5 月
稼動 :2002 年9 月
要員 :設立当初は研究、管理を含めて10 名前後を予定

 


2002/08/08 藤沢薬品工業

スキャンポ ファーマシューティカルズへの藤沢薬品の出資のお知らせ

 このたび、藤沢薬品工業株式会社(藤沢薬品)は米国の医薬品企業スキャンポ ファーマシューティカルズ インク(スキャンポ社)に対して、約8百万ドル(約10億円)の出資を行いましたので、お知らせします。

 スキャンポ社は、米国に本社を置き、日米欧の三極にグループ企業が存在し、医薬品の研究開発を中心に活動しております。藤沢薬品は、スキャンポ社のグループ企業である日本法人・株式会社アールテック・ウエノが製造する医療用医薬品緑内障・高眼圧症治療剤「レスキュラR点眼液」(一般名:イソプロピル ウノプロストン)を、日本、韓国および台湾で独占的に販売しております。さらに、本年2月スキャンポ社と藤沢薬品は、藤沢薬品の免疫抑制剤「タクロリムス」(一般名)について、欧米における同剤の点眼剤での開発並びに販売をスキャンポ社が独占的に行うライセンス契約を締結しています。

 このように両社は眼科領域において従来から提携関係にありますが、スキャンポ社は欧米での事業拡大を進めるための資金調達を検討しており、藤沢薬品は提携関係をより一層強化することを目的として、今回出資を行うことにしたものです。出資はスキャンポ社の優先株式を新規に購入する形で、2002年7月31日に行われました。

 「タクロリムス」の欧米での点眼剤については、現在欧州でスキャンポ社のグループ企業であるスイス法人スキャンポ ファルマ アーゲーによるドライアイの臨床開発がフェーズ2段階にあります。また、米国においてもスキャンポ社は季節性アレルギー性結膜炎およびドライアイでの開発を予定しています。国内における「タクロリムス」の点眼剤は、藤沢薬品が自ら開発しており、現在春季カタル並びに通年性アレルギー性結膜炎を目標適応症としてフェーズ2段階にあります。

なお、スキャンポ ファーマシューティカルズ インクの概要は以下の通りです。

(1)社名   Sucampo Pharmaceuticals, Inc.
(2)設立   平成8年(1996年)
(3)本社   米国メリーランド州ベセスダ
(4733 Bethesda Avenue, Suite 450 
 Bethesda, MD 20814 USA)
(4)代表者   上野 隆司 MD, PhD, PhD(Chair and CEO)
(5)事業内容   医薬品の開発、研究、製造及び輸出入
(6)グループ会社   日本・株式会社アールテック・ウエノ社
スイス・Sucampo Pharma AG

2002/08/05 田辺製薬、大日本製薬

動物薬事業の譲渡について

 大日本製薬株式会社(本社:大阪市、社長:宮武健次郎)と田辺製薬株式会社(本社:大阪市、社長:葉山夏樹)は本日、田辺製薬の動物薬事業を大日本製薬へ営業譲渡することに合意しましたのでお知らせいたします。

 大日本製薬では、動物関連事業を医薬品事業に次ぐ重要な事業として位置付けています。現在、小動物分野に注力して事業活動を展開しており、動物関連分野でのリーディングカンパニーとしての位置にあります。しかし、業界内での再編・統合が活発化しており、動物薬市場で勝ち残るには従来の小動物分野の拡大化に加えて、畜産・水産などの産業動物分野の事業充実化を図って事業規模を拡大していく必要があります。

 一方、田辺製薬の動物薬事業は、日本国内において主に家畜や水産などの産業動物を対象にした特徴ある動物薬を提供し、市場で高い評価を得ています。しかしながら、これら畜産・水産向け市場に特化したままでは、単独での事業継続は難しいとの判断から、他社との提携や売却なども視野に入れ今後の事業展開を検討していました。

 このたびの営業譲渡により、大日本製薬は田辺製薬の畜産・水産市場の経営資源を活用して、動物薬のメイン市場である産業動物分野への本格参入が可能となり、小動物分野へのシナジー効果も期待しています。また、動物薬市場での確固たる地位を確立すべく事業発展に取り組んでいきます。

 他方、田辺製薬はこれまで取り組んできた事業再構築を一歩進めることで、中核事業である医療用医薬品事業に経営資源をさらに重点投下することが可能となり、医療用医薬品市場における競争力および研究開発力の一層の強化に取り組んでまいります。

(参考資料)
1)営業譲渡予定日:平成14年11月1日

2)大日本製薬のアニマルサイエンス(動物関連)事業の概要
   売上高:246億46百万円(平成14年3月期)
   売上構成:小動物関連(94%)、畜産関連(5%)
   従業員数:75名

3)田辺製薬のアニマルヘルス(動物薬)事業の概要

   売上高:26億43百万円(平成14年3月期)
   売上構成:畜産関連(63%)、水産関連(36%)、小動物関連(1%)
   従業員数:25名


2002/07/30 第一製薬、サントリー

サントリー(株)と第一製薬(株)が医薬品事業新会社を設立

 サントリー株式会社(社長:佐治信忠、本社:大阪府)と、第一製薬株式会社(社長:森田清、本社:東京都)は、両社の資本提携により、医薬品事業新会社を設立することで基本的な合意に達しましたのでお知らせいたします。

 新会社は、サントリー(株)が医薬品事業部門の会社分割によって分社化するもので、その目的は昨今の医薬品業界における世界的な競争の激化、およびゲノム創薬をはじめとする科学技術の進歩などの経営環境変化に対応し、サントリー(株)がこれまで22年間にわたり培ってきた研究成果および研究開発力など医薬品に関する様々なノウハウを最大限に活かし、さらに成長発展させていくことにあります。

 医薬品事業新会社の設立にあたり、医薬品専業メーカーとして長い経験とノウハウを有する第一製薬(株)と資本提携を行うことで、これまでに培われたサントリー(株)の医薬品研究の蓄積を大きく飛躍させることができると考えました。

 第一製薬(株)は、1991年に承認されたサントリー(株)の第一号医薬品である抗不整脈治療剤「サンリズム」(一般名:塩酸ピルジカイニド)に関して販売提携しており、また、2002年3月には、アルツハイマー型痴呆を対象としてサントリー(株)が開発中のSUNY7017(一般名:塩酸メマンチン)に関して、日本における共同開発および販売提携契約を締結するなど、長年にわたって良好な信頼関係を築いてきました。第一製薬(株)は、サントリー(株)の医薬品研究開発力を高く評価しており、今回の医薬品事業新会社への資本提携により、研究開発をはじめとした医薬品事業に大きなシナジー効果が得られるものと期待しております。

 新しく設立される医薬品事業会社は、サントリー(株)34%・第一製薬(株)66%の出資比率で資本構成され、サントリー(株)の医薬事業部門が現在行っている事業活動の全てが新会社に承継されます。なお、新会社としての事業活動は2003年1月から開始し、社長には現サントリー(株)取締役医薬事業本部長中山讓治が就任の予定です。


2002/06/10 三菱化学、三菱ウェルファーマ

会社分割による医薬原体・ファインケミカル事業の統合に関するお知らせ

 三菱化学株式会社(以下「三菱化学」という。)、三菱ウェルファーマ株式会社(以下「三菱ウェルファーマ」という。)及び
三菱ウェルファーマの全額出資子会社である吉富ファインケミカル株式会社(以下「吉富ファインケミカル」という。)は、平成14年10月1日をもって、三菱化学の機能化学品カンパニーが所管する医薬原体事業(以下「API<Active Pharmaceutical Ingredients>事業」という。)及びファインケミカル事業の一部を会社分割の手法により吉富ファインケミカルに承継させることに合意し、本日、三菱化学、吉富ファインケミカル間で分割契約書を締結いたしましたのでお知らせいたします。なお、10月1日付けで吉富ファインケミカルは、株式会社エーピーアイコーポレーション(以下「エーピーアイコーポレーション」という。)に商号変更いたします。

1.会社分割・事業統合の目的

(1)事業統合決定にいたる経緯
 三菱化学のAPI事業は、医薬品の中間体プロセス開発から原体受託製造まで広範囲のニーズに対応し、基礎技術力並びに改良製法を提案できる、優れた研究開発力を保有しております。また、ファインケミカル事業は、長年培った有機合成技術を基盤として、各種特殊中間体を広範なマーケットに展開しております。
 一方、吉富ファインケミカルは、吉富製薬株式会社(現三菱ウェルファーマ)の化成品事業及び医薬原体製造部門を引き継ぎ、平成8年10月に独立しました。プラスチック添加剤や情報紙用関連薬剤、殺菌剤、医薬原体等の「スペシャリティ・ケミカルズ」分野を得意とし、昨今は最新鋭医薬原体マルチプラント及び治験薬製造設備を新設しており、高度なGMP対応力と、優れた工業化技術を保有しております。
 医薬品業界を取り巻く環境は、厳しさを増しております。また、薬事法の改正により、製造承認制度が製造販売承認制度に変更されようとしております。三菱化学と三菱ウェルファーマ並びに吉富ファインケミカルは、このような環境変化に対応し、薬事法改正後のビジネスチャンスを積極的に取り込むためには、三菱化学と吉富ファインケミカル両社のAPI事業及びファインケミカル事業を統合することが必要であるとの判断から、事業統合を実施することを合意いたしました。

(2)事業統合後の予定
 事業統合後は、両社が培ってきた広範かつ高い技術開発力及び市場アクセス力をベースに、医薬分野・ニッチファイン分野をコア・ターゲットとした世界トップクラスの企業となることを目指してまいります。当面の事業目標としては、統合後3年目の2005年度に売上高500億円、売上高営業利益率10%の達成を目指します。再編強化後のAPI事業については、世界の製薬会社からの多くの受託ニーズに応えるべく、三菱化学グループのバイオ・有機合成・プロセス技術等世界トップクラスの技術開発力をベースにR&D受託、治験薬製造から医薬中間体・原体製造まで幅広く対応してまいります。また、ファインケミカル事業については、経営資源を効果的に活用し、事業利益の最大化を図ってまいります。


2.会社分割の要旨 略
3.分割当事会社の概要 略
4.分割する事業部門の内容 略

5.分割後の承継会社の状況

   株式会社エーピーアイ コーポレーション(商号変更後)
     (1)事業内容:化成品及び医薬品原体の製造販売
     (2)本店所在地:大阪市中央区平野町二丁目4番9号
     (3)取締役社長:成田 嘉宏(予定)
     (4)資本金:4,000百万円
     (5)総資産:約287億円
     (6)決算期:3月31日


The Wall Street Journal - 25 February 1997.  
David P. Hamilton, Staff Reporter of The Wall Street Journal

Beset by Scandal, Green Cross to Fold Into Japanese Rival

Green Cross Corp., battered financially and psychologically by a long-running AIDS scandal, has opted to deal with its problems by disappearing. In a transaction scheduled for Oct. 1, the Japanese company will be fully absorbed by Yoshitomi Pharmaceutical Industries Ltd., another major drug maker. The move spells a dramatic end for Green Cross, an internationally known maker of blood products whose troubles have mounted over the past year as a result of civil and criminal actions in the AIDS scandal.

Green Cross and other drug companies stand accused of continuing to sell bloodclotting products that were tainted with the HIV virus that causes AIDS, despite mounting evidence in the early 1980s that the products were unsafe. Some 1,800 Japanese hemophiliacs, the main users of such products, were infected with the virus, and more than 400 have died.

The combined company will use the Yoshitomi name, the companies said in a statement. The move will retire a corporate name in use since 1950, when Green Cross was founded by a member of Japan's Unit 731, an army unit that conducted biological experiments on Chinese prisoners during World War II.

In addition to an array of civil lawsuits from hemophiliacs and their families, Green Cross also is reeling from a boycott of its products by Japanese hospitals. For a year, Green Cross has been engaged in a frantic attempt to restructure itself by closing factories and cutting employment by attrition. The company reported an unconsolidated pretax profit of 520 million yen ($4.22 million) on sales of 36.2 billion yen for the fiscal six months ended Sept. 30, and forecasts a meager parent pretax profit of 500 million yen on sales of 71 billion yen for the fiscal year ending March 31.

What's more, last year then-Green Cross President Takehiko Kawano and two former company officials were indicted on charges of criminal negligence in the scandal. They still are awaiting trial.

The combination is also partly a consequence of a much tougher operating environment for Japanese drug companies. For decades, high government-mandated drug prices and generous health-care reimbursement kept profits fat. But with health-care costs accelerating, the government is starting to lower drug prices and cap national health-insurance spending, moves that analysts say will lead to consolidation within the industry.

In the combination, the two companies will exchange five shares of Green Cross for three shares of Yoshitomi. Yoshitomi's president will become president of the new company; the current Green Cross president will become a vice president of the new company. Green Cross shares closed Monday in Tokyo at 566 yen, up 36 yen; Yoshitomi fell 10 yen to 890 yen. The transaction was announced after the close of trading. Green Cross shares had risen sharply before the news, prompting Tokyo Stock Exchange officials to tell the Kyodo News Service that they would investigate the sudden surge in trading.


ミドリ十字と吉富製薬が合併(1997年2月24日発表)
         
http://www.page.sannet.ne.jp/uchida/aids/news/midori.htm 
大枠
 血液製剤のトップメーカーであるミドリ十字と、製薬メーカー準大手の吉富製薬は、10月1日付けで合併すると発表しました。
 仕組み上、吉富製薬が存続会社(そのまま引き続き業務を行う)となって、ミドリ十字が解散することとなっています。合併比率は吉富製薬が1に対して、ミドリ十字が0.6ですから、ミドリ十字の株5株が吉富製薬の株3株に割り当てられます。会社規模(資本金・売上げ)がほぼ同じ企業で、このような合併比率であると、ミドリ十字の方が救済された、と思うかも知れませんが、合併発表時点での両者の株価の比がほぼミドリ:吉富=3:5なので、妥当な合併比率と考えられます。
 社名は当分の間「吉富製薬」となりますが、21世紀スタートをめどに新社名にすると報道されています。

5月21日の記者会見
 テレビでは21日夜に報道されたことですが、2社の合併は半年延期されて、1998年4月1日づけで行われることになりました。
 薬の販売権の移転や書類の統一などに予想以上の時間を要することがわかったため、と両社では説明しています。

ミドリ十字の現状
 ミドリ十字は、1996年の薬害エイズ和解以来、ミドリ製品の不買運動にさらされ、大幅に売上げが減少(96年3月期決算で5億3000万円の赤字)し、また支払うべき和解金の額は240億円にものぼります。「自主再建の感触はあった」と合屋社長は発表しているものの、厳しい経営環境にさらされ続けることは確かです。また、ミドリ十字には過去にも問題を抱えており、方法(合併などの)はともかく、イメージを一新できるような方法を探っていたことは十分に考えられます。

メディアの分析
 この合併を、「薬害エイズの問題を製薬業界全体でフォローする」ととらえているメディアもあります。というのは、
吉富製薬が製薬業界最大手の武田薬品工業の関連会社であることに関係があります。薬品トップが、薬害問題に直面した企業を支配下においたという図式から導き出したものなのでしょう。

製薬業界の現状
 私は、今回の合併を「薬害エイズの問題によってミドリ十字が危機に追い込まれたから」という理由でくくるのには、賛成できません。確かに、ミドリ十字1社での経営が苦しいというのは、合併への1つの弾みであることは間違いがないと思いますが、それだけでは「吸収」する事になる吉富製薬の経営を逆に苦しい方向へと押しやることになってしまいます。どこに合併のメリットがあるのかを考えることが大切です。
 そのメリットとは、今の日本の製薬業界をちょっと知ると見えてきます(ちょっとだけですよ>詳しく知っている人は教えて下さいね)
 今年に入り、日本でエイズ治療薬(正確に言うとHIV治療薬)の新薬5つが相次いで登場しました。これは、今までの新薬の承認(臨床試験開始から発売まで約5年)とは違い、半年(臨床試験の開始と新薬としての申請が同時)で承認という、ハイスピードで行われました。これは、薬害エイズ問題が和解し、被害者救済という面から厚生省がHIV治療薬に限り申請・審査の方針を転換した結果です。欧米での承認・採用実績が国内新薬の審査に取り入れられる、その第1歩となっています。(5新薬は、欧米では以前から採用されていました。)
 また、1996年5月にワシントン近郊で行われた「医薬規制ハーモナイゼーション国際会議」の運営委員会で、新薬の臨床試験に関する統一基準が決められました。これによって、国を越えて臨床試験のデータがやり取りできる道が開けました。
 それがどのように日本の製薬業界に影響を与えるのか。
 今までは、外国で新薬が登場しても、日本での臨床試験をパスするまでの期間、日本でその新薬は発売できなかった。したがって、その時間を利用して日本の製薬メーカーは新薬を開発・臨床試験を行い、結果的に外国製と「同時」に新薬を発売することができ、シェアを保ってきました。(今回の薬害エイズ問題は、まさにこのシステムが悪い方向に利用されて起こったのでした)しかし、外国の臨床試験のデータが利用できることになると、まさに早く新薬を開発した者が全世界でシェアを獲得できる、という状態になるのです。ということは、製薬会社の開発力が勝負になってくるわけです。
 そこで日本とアメリカを比較してみると、大手10社の平均の研究開発費は、日本320億円に対してアメリカ9億ドル(約1000億円)と大きな差があります。また外国でも製薬会社どうしの合併は起こっているようです。日本の製薬会社が生き残るためには、企業の「大型化」が必須な状況になりつつあるのです。
 そのような現状から考えると、今回の2社の合併は、製薬業界の現状を反映したものといえなくもありません。

薬害は終わらない
 当たり前のことですが、ミドリ十字の薬害エイズ問題における責任は、合併によってもなくなることはありません。新会社においても、ミドリ十字が負うべき補償は引き続き行われます。それは当然として、「ミドリ十字」という問題のある企業がなくなると同時に、どう考えても「利益本意」だった「命を預かる商売」に、発想の転換もおこって欲しいと思います。


2000/7/19 味の素

アベンティス ファーマ株式会社白河工場の買収の件

 味の素株式会社はアベンティス ファーマ株式会社の白河工場の買収に向けて交渉を開始します。
 現在までの内容としては、7月4日(火)に当社100%出資の味の素ファルマ株式会社とアベンティス ファーマ株式会社との間でアベンティス ファーマ株式会社白河工場を買収することを目的とした基本合意に至りました。詳細は未定ですが、今後買収の資産内容、金額、従業員の引継ぎ、等について順次、決定していきます。

 当社においては、昨年12月に
ヘキスト・マリオン・ルセル株式会社(現在のアベンティス ファーマ株式会社)より輸液・栄養医薬品事業を買収し、味の素ファルマ株式会社を設立しました。
 味の素ファルマ株式会社はトータル・ニュートリション・ケアを支援する日本初の医薬品会社として活動を展開し、当社の医薬品事業の基幹会社として順調に推移しております。

 当社は今回の基本合意により、アベンティス ファーマ株式会社白河工場を買収し、
味の素ファルマ株式会社の生産工場として、味の素グループの医薬品事業全体の中での錠剤等固形剤の生産拠点のひとつと位置付け、一層の事業基盤の強化を目指します。
 この買収により、医薬品原末、粉末・顆粒剤生産の当社の川崎工場、東海工場、さらに輸液類生産の味の素ファルマ株式会社埼玉工場と並んで、現在、所有していない錠剤に関する生産拠点を確立することになります。
 具体的には現在、アベンティス ファーマ株式会社に一部製造工程の委託をしている経口腸管洗浄剤「ニフレック」、腎不全用必須アミノ酸製剤「アミユー」顆粒、尿素サイクル異常症薬アルギU顆粒、糖尿病薬「ファスティック」錠をはじめ、今後上市を目標としている錠剤等固形剤の新薬も含めてグループ内で内製化をはかり、事業の収益基盤の一層の強化を実現すると同時に、治験薬製造のベンチプラント


以下、現状のアベンティス ファーマ株式会社白河工場の概要です。
@ 所在地  福島県白河市白坂字牛清水103-1
A 敷地面積 約67,000u(建物延面積16,000u)
B 設備   錠剤、カプセル剤、軟膏剤、粉末剤の生産設備
C 品質保証 グローバルレベルのGMP、及び環境・安全・衛生


http://www.ajinomoto.co.jp/ajinomoto/A-Company/company/ajino/mdicn.html

 1999年12月に、“トータル・ニュートリション・ケア”を通した栄養治療分野への一層の貢献を目指して、味の素ファルマ(株)を設立しました。同社は、医薬品の研究・開発から生産・販売までを行う体制をもち、上記に掲げる輸液・臨床栄養・消化器分野の製品及び同社の製品であり、糖・電解質・アミノ酸から成る高カロリー輸液「ピーエヌツイン」、高カロリー輸液用微量元素製剤「エレメンミック」、経腸栄養剤「ハーモニック」、腸管洗浄剤「ニフレック」などを販売しています。また、医療食ビジネスでは「メディエフ」ブランドの濃厚流動食や「ヘルッシュ」シリーズなどを中心に事業拡大を図っています。


2000/1/8 読売新聞 

冨士レビオが医薬品事業売却 ベルギーの製薬会社に 

 検査薬大手の冨士レビオは7日、総売上高の4分の1を占める医薬品事業をベルギーの製薬会社
UCBの日本法人、ユーシービージャパン(東京都千代田区)に4月に総額50億円で売却すると発表した。


2000/1/7 UCB

UCB : Pharmaceutical Acquisition in Japan

UCB has acquired the pharmaceutical division of the Japanese company Fujirebio, Tokyo. Its annual turnover amounts to about E 60 million (BF 2,400 million).

The activities of Fujirebio, which will be integrated into UCB Japan, cover the production, marketing and distribution of prescription drugs in several fields. The first product is Cinalong, a calcium channel blocker for the treatment of hypertension. A new compound, Stogar, for the treatment of gastric ulcer, is expected to be approved shortly by the Japanese health authorities and should be launched in the spring of 2000.

UCB Japan will integrate 270 people of Fujirebio in its team, mostly in the field of sales and marketing; the take over includes as well a plant at Saitama. Further to this operation, the total numbers employed by the Pharma Sector of UCB in Japan will be about 370.

Through this acquisition, UCB intends to develop its own presence in the Japanese market. The existing range of Fujirebio will be a base for the sale in Japan of products resulting from UCB's own research, which will be progressively introduced.


2000/6/1 富士レビオ

医薬事業部門の営業譲渡完了のお知らせ

 本日6月1日、富士レビオ株式会社(本社:〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町2-62-5、代表取締役社長:徳光達生、資本金37億円)は、ユーシービージャパン株式会社(本社:〒101-0032 東京都千代田区岩本町2-4-10共同ビル、代表取締役社長:折原祐治、資本金25億円)への医薬事業部門の営業譲渡を完了いたしましたのでお知らせいたします。
 なお、本事業年度の業績見通しは、売上高205億円、経常利益22億円、当期利益0億円としておりますが、現在、経営体質強化、収益性向上を図るべく修正計画を鋭意策定中であり、適時ディスクローズを行うことにより、弊社の経営方針をご理解いただきたいと考えております。


富士レビオ株式会社   http://www.fujirebio.co.jp/company/index.html   


■所在地  東京都中央区日本橋浜町2-62-5

■設立  1950年12月18日

■資本金  37億1,208万円

■従業員数  590名

■主な事業  臨床検査薬、医療機器及び器具の製造、販売、輸出入

 当社は1950年(昭和25年)に富士臓器製薬株式会社として設立され、その後1983年(昭和58年)に業務拡大と東京証券取引所への上場を機に現在の社名に変更いたしました。
 わたしたちの社名は、甦生を意味するREと生命をあらわすBIOからなり「生命の甦生(よみがえり)を願う」という当社の創業以来の夢と目標をあらわしています。


UCB Pharma    http://www.ucbpharma.com/Pages/StartUp/FrameBuild.htm

UCB was created in 1928, by the merger of a number of chemical laboratories. Since the early 1950's, UCB has been developing its overall pharmaceutical business on a more intensive basis. The expansion of its own research facilities has resulted in the discovery of a variety of drugs for treating allergic diseases and disorders of the central nervous system.

Because UCB Pharma Sector is a medium-sized company, it focuses on two major axes of development, allergic diseases and cerebrovascular disorders, and it has acquired great expertise in these fields.

Its first antihistamine, hydroxyzine, was developed in the early 1950's. Other antihistamines, such as buclizine and meclizine, followed. The expertise acquired in this field led to the discovery of UCB's leading drug, cetirizine, for the treatment of allergic diseases. Cetirizine, the biggest drug ever developed by the company, is market leader in most European countries and is growing fast in the USA and Japan, two of the three largest pharmaceutical markets in the world.
According to IMS figures, cetirizine is world's most widely used second generation antihistamine, as measured by the number of standard units sold worldwide from July, 1, 1999 to June, 30, 2000. A new antihistamine, levocetirizine, has obtained marketing authorisation in Germany in 2000 and has been launched early 2001.

UCB Pharma Sector developed Nootropil for cerebrovascular disorders. This drug was so unique that it gave its name to an entirely new class of drugs, the nootropics, for the treatment of cognitive disorders of pathological or traumatic origin. UCB's expertise in this field has led to the discovery and development of levetiracetam, a new compound for the treatment of epileptic diseases. It has been registered and launched in the USA, Switzerland, Germany and UK in 2000. Other European countries are expecting registration in the next few years.


2002/06/11 ジャパンエナジー、住友製薬


医薬事業の営業譲渡について

1.株式会社ジャパンエナジー(本社:東京都港区虎ノ門二丁目,社長:高萩光紀,以下「Jエナジー」)と住友製薬株式会社(本社:大阪府大阪市中央区道修町二丁目,社長:横塚実亮,以下「住友製薬」)は,本年10月1日を目途として,Jエナジーの医薬事業の一部を住友製薬へ営業譲渡することで基本合意に達し,本日,契約を締結いたしました。

2.本譲渡の対象は,Jエナジーが研究開発中のテーマに係る成果(特許権,研究データおよびこれらに基づき独占的に事業化する権利)(注)で,対価として,住友製薬はJエナジーに一時金を支払うとともに,当該研究テーマが医薬品として発売された場合,ランニングロイヤルティを支払うことになります。
(注)Jエナジーが既に第三者に特許等の実施権を付与している抗エイズ薬等の開発品目は,今回の譲渡対象には含まれておりません。

3.Jエナジーは,本年秋の持株会社制への移行を踏まえ,経営資源の適正配分の観点から,医薬事業の在り方について検討を進めてまいりましたが,かねてよりインターフェロン誘導剤の共同研究等で協力関係にあった住友製薬に医薬事業の一部を営業譲渡することが最善の方策であると判断いたしました。

4.住友製薬は,循環器系・精神神経系・免疫系などを重点領域として研究開発の強化を図っており,免疫疾患を研究テーマの中心とするJエナジーの医薬事業を譲り受けることにより,重点領域での研究資源が強化されるとともに,その研究成果を引き継ぎ,さらに発展させることができると判断いたしました。

5.なお,Jエナジーの医薬研究開発に携わる従業員につきましては,希望する場合,住友製薬へ移ることになります。


2002/05/13 中外製薬

国内診断薬子会社の株式譲渡について

 中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山治](以下、中外製薬)と
富士レビオ株式会社[本社:東京都中央区/社長:徳光達生](以下、富士レビオ)の両社は本日、中外製薬の100%子会社である中外診断科学株式会社[本社:東京都豊島区/社長:加藤治男](以下、中外診断科学)の全株式を富士レビオに譲渡することで合意しましたのでお知らせいたします。

 中外診断科学は、1998年から同社の一部製品の販売を富士レビオに委託してきました。今回の合意は、日本における
DNA診断の確固たるプレゼンスの確立をめざす富士レビオと、中外製薬の100%子会社であるジェン・プローブ・インコーポレーテッド〔本社:米国カリフォルニア州/社長兼CEO:ヘンリー L.ノードホフ〕(以下、ジェン・プローブ)が有するDNA診断関連製品の、日本における一層の浸透、および同社DNAプローブ技術の活用が見込める企業への事業移管を企図した中外製薬とが、互いに現状最適な選択であると判断したことによります。
なお、株式譲渡の時期は薬事対応および業務の引継ぎが完了する本年9月末を予定しています。

 中外製薬はこれまで、グループの経営資源をコア事業である医薬事業へ集中化する方向で、医療用具事業の営業権譲渡を始めとする各種施策を展開してきました。また、当年第4四半期には、F・ホフマン・ラ・ロシュ〔本社:スイス・バーゼル市/会長兼CEO:フランツ B. フーマー〕の100%子会社である日本ロシュ株式会社〔本社:東京都港区/社長:小川渉〕と合併することを、そして、それに先立ち、当年第3四半期にジェン・プローブの株式を有償減資により中外製薬株主に分配し、同社のスピンオフを実施することを予定しています。


1997/3/28

『中外診断科学株式会社』設立について

 当社は、全額出資による子会社である『中外診断科学株式会社』を、平成9年3月21日付で設立しましたのでお知らせいたします。

 ご案内のように、国内の診断薬市場は行政指導による医療費適正化策等の推進により、今後も低成長下に推移するであろうことが予測されています。
 一方、近年の技術革新に伴い研究・開発から発売に至るスピードはますます加速し、製品寿命は急激に短くなってきており、また、そうした中、医薬品に比し参入障壁が低いといった特性もあって、国際的な過当競争を余儀なくされるといった構造下にあります。
 そういう意味では、今後の診断薬事業にあっては、こうした激変する環境に柔軟に適応し、先行する欧米企業との戦略的提携あるいは差別化を図りながら、国内市場のみならずグローバルに事業展開することが必須になってきたと言えましょう。

 当社診断薬事業も、こうした状況変化を踏まえ、これまで事業領域の絞り込み等による構造改革に努める一方、米国子会社であるGen-Probe社との技術協力を主体とした連携強化を図ってきました。
 しかしながら、グローバルな事業展開を一層推し進めるには同社との戦略共有、およびコ・オぺレーションのさらなる推進が急務であること。加えて、医家向事業中心の事業構造・風土の中にあって、いわば診断薬固有のスピードある事業展開、および収益構造の抜本的改革の断行には困難性があり、そこで、これらの課題の同時解決を図る、すなわち、事業の自立化と競争力のある独立採算体制を構築するため、診断薬事業の分社化による新たな体制を構築することといたしました。

 なおこれにより、低成長が予測されている診断薬市場の中にあって拡大傾向を示しているDNA診断薬分野、およびEIA診断薬分野に特化するとともに、Gen-Probe社との協力体制を推進することで、グローバル・ニッチをめざす企業として今後の独自のプレゼンスを確立していく所存です。

「新会社の概要」

(1)設立形態   中外製薬(株)の100%出資子会社として設立され、
現診断薬事業部の事業・業務をそのまま移管する。
(2)社名   中外診断科学株式会社
英文表示 Chugai Diagnostics Science Co., Ltd.
(3)本店所在地   東京都中央区京橋2-1-9
(4)事業内容   体外診断薬・一般研究用試薬・医療機器・体内診断薬の研究・開発・
販売・生産・物流・輸出入・診断薬機器のリース・修理
(5)資本金   1、000万円(設立時)
(6)設立年月日   平成9年3月21日
(7)営業開始日   平成9年10月1日予定
(8)組織、要員   65名予定

 


2002/03/27 武田薬品工業

アイルランドにおけるバルク工場の新設について

 当社は、この度、グローバルな生産体制構築の一環として、製品の安定供給とコスト競争力の向上を目指し、アイルランドに医薬品のバルク(原薬)製造工場を新設することを決定しました。
 2004年の稼動に向けて、2002年10月より建設に着手する予定です。

 当社では、「01−05 中期計画」のもと世界的製薬企業を目指し、国内外における事業基盤の整備を積極的に進めています。海外における自社バルク工場の新設とスムーズな稼動は、本中期計画における重要課題の一つです。

 アイルランドにおける新工場は、医薬品バルク工場としては海外で初めての生産拠点であり、日本の光工場(山口県光市)と合わせ、2つの生産拠点から全世界にバルクを供給することになります。まずは、治験薬や糖尿病治療薬ピオグリタゾン(製品名:アクトス)など、欧米市場向け医薬品のバルクを生産する予定です。

 当社は、すでにアイルランドで、製剤包装工場である武田アイルランド株式会社を設立していますが、新バルク工場は別会社として運営いたします。

 当社常務取締役・製薬本部長の中村省三は、「アイルランドにおける新バルク工場の建設は、当社がグローバルに事業を展開していく上で非常に重要な投資です。これにより、今後の生産需要増加への対応が可能となり、欧米市場におけるタケダ製品の安定供給が確保できます」と述べています。

 なお、製剤工程の生産拠点については、日本、アジアのほか、欧州のアイルランドとイタリアに製剤工場があり、特にアイルランドからは、糖尿病治療薬ピオグリタゾン、高血圧症治療薬カンデサルタン(日本での製品名:ブロプレス)、消化性潰瘍治療薬ランソプラゾール(同タケプロン)などの製剤を欧米各国に供給しています。

<アイルランド新バルク工場の概要>
1.会社名     武田アイルランド株式会社(英文名Takeda Ireland Limited)

注)現製剤包装工場は、社名を武田アイルランド製剤株式会社(Takeda Ireland Products Limited)に変更します

2.工場所在地  アイルランド国サウスダブリン州クロンダーキン(ダブリン郊外)
3.敷地面積    8万m2
4.投資額     約80百万ユーロ
5.着工時期    2002年10月
6.稼動時期    2004年


日本経済新聞 2002/12/6

石播 製薬設備を受注 武田のアイルランド工場

 石川島播磨重工業は武田薬品工業がアイルランドで計画している医薬品の原薬製造プラントを受注した。受注金額は100億円弱。臨床試験に使う治験薬や糖尿痛治療薬などの複数の原薬を製造できる最新鋭設備を2004年7月までに完成させる。石播は今回の実績を足がかりに医薬プラント事業を本格展開する。
 医薬プラントはこれまで医薬メーカーの工務部門が設計する例が一般的だったが、最近は医薬開発などに経営資源を集中するため、外部に設計から試運転までを任せる動きが広まっている。化学プラントなどでの技術蓄積がある石播など有カエンジニアリング会社は受注拡大を競っている。
 受注したのは武田薬品子会社の
武田アイルランド製薬がダブリン郊外に計画している原薬製造工場。武田薬品にとって海外初の原薬工場で、完成すれば欧州で原薬から製剤までを一貫生産し、低コストで薬品を販売する体制が整う。
 石播は生産設備、事務管理棟、研究施設、原材料倉庫などプラント全体について、設計、現地工事、試運転までを一括して請け負う。基本設計は石播が手掛け、詳細設計は米エンジニアリング大手フォスター・ウイラー社に委託する。建設資材は約9割を現地調達してコストを低減する。
 石播は受託生産などをにらんだ中小規模の原薬製造工場が今後増えるとみている。今回の受注を機にこれまで年数十億円にとどまっていた受注を2、3年後をめどに150億円に拡大する計画。


日本経済新聞 2002/9/19

科研製薬 農薬・飼料添加物の開発、撤退へ 医薬品に集中

 科研製薬は農薬と飼料添加物の研究開発から来春をメドに撤退する。政府の減反政策で農薬の売り上げ低迷が続くほか、安価な海外製品との価格競争で飼料添加物の需要拡大は見込めないと判断した。農薬・飼料添加物向けの研究開発費を圧縮し、主力の医薬品事業に経営資源を集中する。
 農薬や飼料添加物を研究する特薬部研究グループに所属する15人は、農薬・飼料添加物の営業や工場の要員に振り向ける方向で検討中。農薬・飼料添加物の研究費圧縮により、年間約3億円のコストを削減する。科研製薬の農薬・飼料添加物などの売り上げは2002年3月期で50億円。