樹脂開発センター(PTC)の設立
住友化学工業最近20年史から
3.合成樹脂加工の進展
樹脂開発センターの開設
大阪府高槻市の樹脂開発研究所は昭和58年以来、樹脂加工、新規製品開発に努めてきたが、合成樹脂事業の支援強化のため既存樹脂の応用研究、新規加工、加工解析技術に加え、63年4月、新たな機能を付与した新規材料、高付加価値商品の開発体制を整備し、商品開発研究のセンターを目指して名称も「機能開発研究所」に改めた。
合成樹脂・合成ゴムの応用・加工研究やユーザー向け技術サービスは、同研究所と千葉研究所の東西2拠点で実施したが、近年は素材そのものの特性だけでなく加工方法や部品設計までを包含した総合的な技術が強く求められるようになった。また、素材や部品の性能評価に関しても実物を試作して行う実用レベルでの性能評価が不可欠になってきた。そこで、ますます高度化、多様化する需要家の二一ズを先取りし需要家に新しい事業機会を提案できるように、平成4年7月、千葉工場内に新しい応用加工棟の建設、大型加工設備、実用評価設備の増強に着手し、6年1月、完成した。
新応用加工棟には、射出成形機(型締力3500t)、ガスアシスト射出成形機、共押出フイルム成形機などの大型加工設備や、製品設計技術開発用コンピュータシミュレーションシステム、樹脂リサイクル関連研究設備などを備え、関係会社、需要家にも開かれた研究センターを目指した。
機能開発研究所は、新応用加工棟の完成に伴い、同年1月にこれを統合するとともに「樹脂開発センター」と改称した。なお、同年4月の部門再編成に伴い、樹脂開発センターで扱っていた光学製品、メタクリル樹脂応用研究は、以後基礎化学品研究所の組織のもとで進めることになった。従来の千葉研究所は同年4月に「石油化学品研究所」と改称し、樹脂開発センターとともに石油化学部門に属する研究所となった。
合成樹脂の製造設備の増設が一段落し、PTC設立の準備を始めた。
上記にあるように、自動車分野を中心に 加工方法や部品設計までを包含した総合的な技術が強く求められるようになり、素材や部品の性能評価に関しても実物を試作して行う実用レベルでの性能評価が不可欠になってきた。
このため、ますます高度化、多様化する需要家の二一ズを先取りし需要家に新しい事業機会を提案できる体制をつくろうとした。
同業では三菱油化が 90/6に四日市に工業材料開発センター、包装材料開発センターを完成させていた。(日泉化学の一宮社長はこれを見学して絶賛していた。)
90/12 研究と技術開発部を中心に案をまとめ、建屋35億円、設備30億円の合計65億円の投資案として経営会議に付議した。
森社長からは、昔からやれと言っていたのに遅すぎる、何故もっと早くやらなかったのかとコメントがあったが、森本副社長は当社は川下も関係会社も弱いので、関係会社と一体でやれと激励があった。
武内専務からは資金面から段階実施の提案があった。
結論としては、3月までに研究組織を含め案を作成することになった。
91年3月の経営会議で中期計画の議論があった。
武内専務からは起業が初年度に多いのでばらすよう要請があり、研究がPTCをBとしたが、香西常務がAを主張した。小林取締役が「農薬を削ってでも」と応援してくれた。
当初案は加工棟と研究棟を一挙に作る案であったが、住友ノーガタックからは40人分のスペースが欲しいとの要請が出た。
91年4月に予算がでてきたが、建設費のアップで経営会議提出64億円に対し大幅に増加し、倉庫部分をカットしたが(6.3億円)、76億円となった。ほかに汚水処理、純水・受電など袖1地区BL外増強に9.3億円必要と判明した。
このまま出すと延期を求められる可能性があるため、遅らせることのできない加工棟・機器を第一期とし、研究棟を第二期とする案を準備することとした。この場合は加工棟の倉庫は復活する。
91/4央に左納所長と角五樹脂開発部長から森社長に説明した。
社長コメント以下のとおり。
・必要性は十分理解するが、何故もっと早くもってこなかったか。
・時期が悪い(苦しい時期)。分割できないか。
・場所が分かれている(千葉・高槻)のが支障にならないか。
・製品で分けるか(例えば塩ビ・MMAは高槻、他は千葉)、機能で分けるか(例えば商品開発は全て高槻、他は全て千葉)という方がよいのではないか。
別途石化業務から社長の考えを聞いたところ、@必要性は十分分かっており、以前からやれと言ってきたのにやらなかった、A住化の石化事業と三菱油化の石化事業で差がつきすぎた。今からやっても遅いのではないかというもの。このため、設備予算案作成に並行して、石化事業の将来性と本計画の必要性の説明をすることとなった。前年末に癌で入院し、ようやく出社した谷口常務* の陣頭指揮で石化業務で作業を開始した。 * 退院後 5/17から出社。
91/5 設備予算の考え方を協議し、最終的に2期に分けて実施することとした。
1期:下期計上 加工棟&機器 5274百万円
2期:93年までに 研究棟 3090百万円
なお当初一括計上のケ−スでは縮小することになっていた加工棟はもとに戻した。
これに対し社長からは、機器についても一度に必要ではないのではとのコメントがあった。
社長説明資料の検討
社長の不満は住化の石化部門(有機、樹脂、ゴム,MMA事業部合計とした)の売上損益が1988年のバブル最盛期の376億円から 1990年には51億円にまで落ち込んだこと、それに対して三菱油化の経常損益が1990年に471億円にも達するという事実である。この事実から今更研究開発設備に多額の金をかけても仕方がないのではとのこととなった。
このため徹底的に住化の損益構造を分析すると同時に、三菱油化の損益構造も分析した。更に谷口常務* 等の指示で今後の損益予想と対策案を作成した。また研究体制のあり方についてもまとめた。 最終版「当社の石化の損益構造」(1991/8/21)参照* 谷口常務は癌が再発、しばらく休んでいたが7/25の本件打ち合わせのために出社。終了後エレベーターまで見送ったのが最後になった。再入院し、9/22逝去。
概要は以下の通り:
当社の損益構造については、原料価格のアップ、労務費・補修費やインフラ投資の結果の償却費の大幅アップのほかに、決算では特別損失に含めている多額の退職年金過去勤務分負担が管理損益では労務費に入っていることや、定率法への変更による償却費負担の増、LIFO低価法による棚卸資産評価損(コストアップが全て当期損益となる)などの影響を指摘した。退職年金過去勤務分については一般の説明がなく、この分析で初めて知ったという人が殆どであった。*
* 逆に経理部からは健全経理処理にけちを付けるのかとの方向違いのクレームがあった。石化業務としては製造コストは厳密に分析しながら本社費の内容の説明がないのはおかしいとして、この後、内容や配賦基準の分析を行った。
三菱油化の業績については償却費、退職年金処理など経理面では極力負担繰延で表面の利益をよく見せていること(節税を犠牲にしても表面利益をよくし、株価を高めて資金を集める戦略で、将来の負担が大きい)、スチレンモノマーの利益が膨大なこと(値下がりにより翌年度には利益は激減すること)、連結の実力では当社は決して三菱油化にひけを取らないことを証明した。
そのうえで当社の石化の将来の損益予想と戦略を説明している。結論としてPTCにより研究を増強し、日本を研究基地にしてシンガポールのPTCや米国ポリプロ計画などを含めた当社の樹脂事業の発展を図りたいとした。
住化の経理処理の問題点 税務上、許される範囲でできるだけ損金に落とし、税金を減らす。 経理の健全化であるが、それを最優先した。 経理処理:定率法償却、後入れ先出し法(高い原料を先に使用)
退職年金制度開始で、年金過去勤務分を一挙に落とす。管理会計:特別損益もすべて事業部の営業損益にいれる。 現在では特別損益は事業損益から除外(世界共通)
特別損益を含む本社費、研究費は、人員費50%、固定資産費50%で各事業部に配賦。 石化では約50%を負担。
金利は1990年代まで、社内資本金制度により配賦 累積損失のある石化は負担大。
以上により、当時の石化の損益は現在のシステムと比較し、異常に赤字が多くなる。
三菱油化 SMの世界的不足時に増設 異常な高利益 税務上、許される範囲でできるだけ損金を減らす。
経理処理:定額法償却、総平均法評
退職年金の過去勤務分は一挙に落とさず、長期で償却棚ぼた利益がありながら、損金はできるだけ減らし、公表利益を異常に高める。財テク、株価アップで時価発行増資
社長のいう三菱油化に負けたというのはこの状況による。
その後
SMの他社の増設で価格は一挙に下がり、SMは赤字に社長報告時はこの直前で、SM価格は激減 今後は両社の損益の差はなくなり、住化が健全経営、三菱は未処理費用が大きいため、実質では住化のほうが強い。
(以上の報告を社長は理解したが、投資はペンディングのまま。半年後に査業部が進言し、投資許可)
関連事項
その後、企画部に三菱油化が来訪、赤字でどうしようもないと述べた。(小林さんから聴取) その後、三菱油化と三菱化成が合併 実質は三菱油化の救済
当時の社内の動き
石化の赤字を取り上げ、石化をやめてファインをやるべきだとのコメントが拡大 石油危機と円安によるナフサ高、石油危機での需要減により赤字は確かだが、上記のような「健全経理」、「特別損失まで営業損益にする誤った管理会計」によるものが大きい。
かつ、研究・一般管理部門のそれら費用の約50%は石化が負担している。かりに石化をやめると、それらを負担する部門はない。
ファインをやるべしというが、その時点では何もない。
当時の経理部門 武内専務は、日本オキシランの赤字で一時、株式配当をやらざるを得なかったことなどから、赤字事業に厳しい。
TPCのPP増設に際し、経営会議で「沈みゆく船に金をかけるべきでない」と発言(経営会議資料参照)井口、伊藤ラインは可能な限り損失に落とし(国税庁係官が呆れていた)、健全経営を誇った。
伊藤は、神戸大学経営学部の修士卒業で、管理会計で有名な溝口博士の弟子であるが、財務会計の実績をそのまま管理会計に適用、「管理会計がなにか」を全く分かっていない。
四面楚歌のなかで、社長を説得、なんとか実施にこぎつけた。
91/8 中旬から経営会議メンバーに上記資料を説明した。
宇田専務からは「高槻を統合してはどうか」、水野専務からは「グレ−ド問題が諸悪の根源、難しいが背水の陣で努力すべし」とのコメントがあった。
社長はそれぞれの説明に理解を示したが、最後の結論については、連結で当社の樹脂事業がよくなるのはよいが、当社単独の損益も大事、配当も必要だとし、TPCなどから研究費を取れないのかとした。これに対し社内協議の結果、TPCから研究分担金を取ることし、92年4月、シェルの了解を取った。
期間:1992/7より3年間
対価:120百万円/年
期間終了後は2期分も含め延長する。
根拠としてはLDPE,BPP−PPについては 0.3 %、ガス法PPについては0.7 % としたが、シェルからはガス法について高いとのコメントがあり、2期完成後(数量増加後)に別途交渉することとした。
91/8/30の経営会議では社長がOKせず、ペンディングとなった。
経営会議後、香西専務より以下の指示があった。
「社長はPTCの必要性は分かっている。社長は来年ならよい、今までやらずにきたのだから、4か月位遅れてもよいだろうと言った。
社長は樹脂事業部の姿勢を問題にしている。交際費、出張旅費を減らしてでもやらせて欲しいとするべきだとのコメントがあった。事業部長から社長に在庫縮減、グレ−ド統合、コンパウンド合理化案を具体的に説明せよ。」
事業部から在庫縮減その他を社長に説明。
9/12の経営会議でPTC起業がOKとなった。
91/12 査業部が92/上期起業予算案を社長に説明、了解を得た。
PTCは建屋のみの2,865 百万円とし、93年秋の建屋完成までに来年下期以降の予算で機械を揃えることとした。
92/1 社内打ち合わせを行った。
スタ−トの遅れから若干完成時期が遅れ、建屋完成検査は93年11月末、使用開始は94年1月央となる予定。
とりあえず本年1月に千葉第十研究室が出来たが、PTCの組織、運営を検討する委員会を設置することとした。
92/7/1 森社長の記者会見を機会にPTCの対外発表を行った。
発表文は以下のとおりだが、この中で、樹脂・ゴム事業を、単に「素材を販売する事業」という発想にとどまらず、素材・加工法・製品設計までも包含した総含的な技術を開発することによって、ユーザーの視点に立脚した「ユーザーが必要とする機能を充足する事業」と位置付けるとした。(この概念は1982年に既に考えている。)
社長会見での社長挨拶、PTC発表および記者会見で用意した想定問答は以下の通り。想定問答のなかにPTCの詳細が記されている。
社長あいさつ
本日は、お忙しいところご参集いただきまして、有難うございます。
平素は、当社の広報活動につきまして、何かとご理解とご協力をいただいており、改めてお礼申し上げます。先日は北米のPP計画を発表させていただきましたが、本日は特定のテーマの発表ということではありませんので、皆様からのご意見やご質問をお聞きしながら忌揮無く懇談させていただきたいと思っております。
それでは、初めに当社の現況についてご説明いたします。
まず、当期の業績については、今月末に中間決算の発表を予定しておりますが、先般お知らせいたしましたとおり、残念ながらかなり厳しい数字となる見込みであります。景気の急速な悪化に伴い、自動車、家電、住宅等の関連業界の需要が減退し、石油化学を中心に需給の緩和、市況の低迷が進行したことにより、通期でも売上高、利益とも前期に比べ、減少の見込みであります。ただ、その中ではスペシャリティ分野は、前年実績に比べると横ばいの予想で、不況下としては健闘していると言えます。今年は、このように苦しい年になりそうですが、来年は景気の回復を期待しております。
さて、当社は平成元年12月に策定した長期経営戦略「チャレンジ21」の方針に則り、積極的に事業のグローバル化を推進しております。石油化学事業では、シンガポールのプロジェクトに続いて、米国においても、先日発表しましたとおり、フィリップス社と提携してポリプロピレン事業を進めることにいたしました。また韓国でもEPゴム事業やMMAモノマー事業を現地企業と合弁で展開しております。
さらに、農薬、家庭用殺虫剤などの農業化学品事業、染料をはじめとする精密化学品事業についても着実にグローバル化を推進しております。
このようなグローバル化を推進していく上で重要なキーとなるのは、国際的に通用する独自のユニークな技術、ユニークな商品をもっていることであります。ユニークな技術、ユニークな商品をもっていれば、国内でのビジネスを有利に展開できることはもちろん、海外のマーケットでもスムーズに受け入れてもらえるし、外国の企業にも評価され、事業提携が可能となるのであります。
こうした独自のユニークな技術、ユニークな商品は、研究開発の成果として生まれるものであります。そのため、当社は、これまでも筑波研究所の新設をはじめ、研究開発の強化に相当の経営資源を投入してきております。その成果として、石油化学分野では、気相法ポリプロピレン技術や直酸法MMAモノマー技術など世界でもトップレベルの技術を開発し、国内だけでなく海外でも積極的に事業展開を進めているところであります。
今般、お手元の資料にありますとおり、千葉工場において樹脂・ゴム分野の応用加工研究の増強に着手いたしました。詳細はお手元の資料をご参照いただきたいと思いますが、今回の増強は、ユーザーに対して、素材の開発・改良にとどまらず、複合化技術や加工技術まで含めた総合的な技術情報を提供しうる研究体制の一層の充実を目指したものであります。自動車や家電など、わが国の厳しいユーザーニーズに対応できる独自の加工評価技術を確立し、こうした成果を海外事業にも広く生かしていきたいと考えております。
現在の化学工業を取り巻く経営環境は確かに厳しい状況にありますが、「チャレンジ21」の目標実現に向かって、今後とも、やるべきことは着実に実行していきたいと考えております。
なお、お手元に「地球イズム」というパンフレットをお配りしております。当社は、昨年7月、地球環境対策推進委員会や地球環境室を設置し、さらに地球環境保全基本方針なども策定して、地球環境の保全に積極的に取り組んでおりますが、当社の取り組み内容について、最近、パンフレットとしてとりまとめました。ご一読いただきたいと思います。
簡単ではございますが、以上で私からの話は終わり、皆様からのご質問やご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
樹脂・ゴムの応用・加工研究の強化について
平成4年7月
住友化学は、樹脂・ゴム分野の応用・加工研究をより一層強化するため、このほど、千葉工場内において、平成5年11月完成を目途に、応用加工棟の建設および大型加工設備・実用評価設備の増強に着手しました。
今日、ポリプロピレン、ポリエチレンをはじめとする樹脂・ゴムの事業においては、自動車分野や家電分野、あるいは包装材科分野をはじめとする市場の二ーズが、ますます高度化・多様化しています。
ユーザーの二一ズも、以前は、「こういう特性の樹脂が欲しい」というものでしたが、最近では、「自動車の軽量化のために、何かいい方法はないか」というように、素材そのものの特性だけではなく、加工方法や部品設計まてを包含した総合的な技術が強く求められるようになっています。
また、素材や部品の性能評価に関しても、実験室でのデータや小型成形機でのテスト緒果では不十分で、実物を試作して行う実用レベルでの性能評価が不可欠になってきています。
住友化学は、樹脂・ゴム事業を、単に「素材を販売する事業」という発想にとどまらず、素材・加工法・製品設計までも包含した総含的な技術を開発することによって、ユーザーの視点に立脚した「ユーザーが必要とする機能を充足する事業」と位置付け、従来から、機能開発研究所(大阪府高槻市)および千葉研究所(千葉県袖ヶ浦市、干葉工場内)の東西二拠点で、樹脂・ゴムの応用・加工研究やユーザーに対する技術サービスを行っております。
今般、ますます高度化かつ多様化するユーザー二一ズを先取りし、ユーザーに新しいビジネスチャンスを提案していく「提案型の事業」としての樹脂・ゴム事業の基盤を一層強固なものとしていくために、千葉工場内に応用加工棟を新たに建設するとともに、射出成形機・ガスモールド成形機など実用加工評価のための大型加工設備や、製品設計技術開発のためのコンピュータシミュレーション(CAE)システム、樹脂リサイクル関連研究設備などを拡充・整備することにしたものです。
今回増強する設備を含め、住友化学の応用.加工研究施設を関係会社である樹脂メーカーや加工メーカーにも積極的に活用してもらうことによって、グループ力の強化を図るとともに、ユーザーにも開かれた研究センターを目指し、「ユーザーとともに発展」していきたいと考えています。
また、住友化学は、シンガポール石油化学コンビナートの増設計画や、米国フィリップス社との提携による北米におけるポリブロピレン事業の推進など、石油化学分野においてもグローバル化を積極的に推進していますが、今回の樹脂・ゴム分野の応用・加工研究の強化によって、日本を、石油化学事業のグローバル化における研究センターとして位置づけていく考えです。[応用加工棟の概要〕
@ 応用加工棟の完成時期 平成5年11月
A 応用加工棟の延床面積 5600m2
B 投資額 約40億円
C 導入予定の主な加工評価設備
(ア) 大型射出成形機(型締力4000〜5000m3)
(イ)ガスモールド成形機
(ウ)成形品塗装ライン
(エ)大型多層Tダイ成形機
(オ)CAE関連設備増強
以上
想定質問
1.導入予定の設備は何のための設備か。1) 大型射出成形機:バンパーのような大型自動車部品の外観や成形性、耐衝撃性等の実用物性評価に活用すると共に、デザイン込みの新製品提案に活用する。
2) ガスモールド成形機:射出成形時に樹脂の代わりに一部気体を充填し中空部分を形成する設備で、自動車、家電などの部品の軽量化や外観改良に活用する。
3) 成形品塗装ライン:自動車などの大型部品の塗装外観、塗膜密着性等といった塗装性の評価と塗装した成形品の耐衝撃性等物性評価に活用する。
4) 大型多層Tダイ成形機:食品用複合包装材料(3種5層フィルム)の高速加工性などの成形性、実用物性評価と新製品開発に活用する。
5) CAE関連設備とは:CAEとは Computer Aided Engineering(計算機支援工学)の略称。CAE関連設備としてはコンピュータによるシミュレーション実験のためのハード(コンピュータ端末)とソフト。樹脂製品の製品設計(形状、構造による強度予測)、金型設計(樹脂流路や冷却回路)、成形条件等の予測と最適化および材料設計に現在活用しているが、さらに深化充実を図る為増強する。
6) 樹脂リサイクル関連研究設備とは:バンパーのような部品を扮砕し塗膜等を分別除去し、ペレットに再生する設備などであるが、設備の改良、システムの構築等も含め樹脂リサイクルについて総合的に研究していく。
2.既存の設備はどのようなものがあるのか種々の成形設備を揃えているが大型設備の代表例としては
1)SPM成形設備:当社独自の樹脂成形技術。
(ユーザーにライセンスしている。国内30数社、海外10数社にライセンス済)表皮材貼合一体成形技術が自動車内装部品の合理化工法(数工程を一工程で成形、従来工法に比較して新設べ一スで30%程度のコストダウンが可能)としてユーザーに好評で、ドアトリム、セーフティパッド、インパネ等の新工法として普及しつつある。
機能研にインパネ等が成形できる大型設備を設置している。
2)テンター2軸延伸設備;フィルムを縦・横に引き伸し、高透明、高強度化するための設備。共押出タイプであるので異種材料を貼合した複合フィルムの2軸延伸で威力を発揮している。こうして得られたフィルムはタバコのパッケージ(外装の透明フィルム:以前はセロブァンが使われていた。)をはじめ食品包装等に使用されている。
3)共押出ラミネート技術;食品包装やミルクカートンでは異種材料を貼合した複合フィルム(紙/PEノアルミ/PE等)が主流になっている。このような異種材料を押出しと同時に貼合成形する設備。
3.投資額のうろ応用加工棟の建設費と設備費はそれぞれどのくらいか。
建屋が約29億、設備が約13億であるが設備は今後逐次増強していく予定。
4.人員は何人か。新たに増員されるのか。既存の千葉研、機能研のこの分野の人員は何名か。
現在、応用.加工分野の研究者は千葉研、機能研あわせて180名程度である。設備完成後はこれらの研究者を中に再編成と一部増強により200名規模となる。(千葉地区は現状30名程度から50〜60名となる) 逐次この分野の研究者を増強していく考えである。
5.千葉研、機能研の役割分担は。
現状:
千葉研 触蛛、素材、プロセス開発、品質改艮、グレード開発、ポリオレフィンのテクニカルサービス、等。
機能研 商品化研究、新規加工研究、CAE,PVC,MMA、ゴムの応研とTS。
増強後:千葉、高襯、東西両拠点の強みを生かすべく、重複は避けるが、ユーザーにとって役立つような有機的連携をもった役割分担を考えている。6.応用加工棟が完成すると組織としては千葉研に属するのか。組織の再編があるのか。
千葉、高槻、東西両拠点の強みを生かせるような組織の在り方を検討中。例えば、組織としては干葉研とは別にした、応用・加工・商品化技術開発センター(仮称)のようなものが考えられる。その場合、干葉研は素材開発のメッカとして、より経済合理性の高い材科生産技術(新規ポリマー、触媒、ブロセス開発等)に注力し、両者相俟って国際的にも一段と競争力のある樹脂・ゴム事業の研究開発拠点としたい。
7.着工はいつか。
本年10月現地工事着工の予定。8.他社にも例があるのか。それらと比べて特徴は。
応用研究組織としては三菱油化、三井石油化学など他社にもある。総合化学の強みを生かした、他社とは一味違った研究開発活動を目指して、素材(樹脂のみならず当社は幅広い素材の専門集団を擁している)、加工法、製品設計までをも包含した総合化された技術開発に取り組んでいきたい。例えばSPMや光学機能性フイルム(掛脂十染料十延伸加工)のようにユーザーへの提案ができる技術を今後も開発していく。
9.対象とする樹脂・ゴムは何か。
当社の扱っている樹脂・ゴムすべて。10.住友ダウなど関連樹脂メーカーにも利用させるのか。
関係会社にも積極的に活用してもらいグループ力の強化を図っていきたい。11.「ユーザーに開かれた」とはどういうことか。
ユーザーの方にも気軽に設備を活用していただくことや、共同研究の場にもしていきたい。ユーザーとともに発展していくことが当社の願いである。
12.TPCやPSPCとの連携はどうしていくのか。
日本を石化事業のグローバル化における研究センターとして位置付けていく。現地と連携し各地域の二一ズに密着した技術開発に取り組んでいく。