USA PP 計画
(フィリップスとのJV計画概要は別紙参照)
1980年代後半に日本の自動車メーカーの米国進出に伴い、部品材料の供給のためPPメーカーのコンパウンド事業での米国進出が続いた。
宇部興産 1985/12 ATC社 (1990英国にETC社)
三井東圧 1986/6 Color & Composit Technology (三井物産30%,東洋インキ5%出資)三菱油化 1987/2 Mylex Polymers (Exxon 50%)
新日鉄化学 1989/3 Thermofil 社買収
各社は自動車メーカーから要請されて進出した。住化の場合には全自動車メーカーに供給していたものの、それぞれへのトップサプライヤーではなかったため、特に要請を受けることはなかった。
当時の住化の考えはやるなら他社のように米国でPPレジンを購入してコンパウンドにするのではなく、当時ほぼ完成していた当社の気相法技術でレジンから進出するということであった。
第一にはこの技術に自信を持ち、海外進出したいと考えたこと、コンパウンドは単にレジンを加工した製品ではなく、レジン品質からスタートする総合品であり、他社のPPを買って混ぜ合わせる事業には関心がなかったこと、更に将来的には自動車メーカーは日米欧で同じ原材料を使うであろうと考え、日本と同じ製品を供給するのがよいと考えたからである。
このためコンパウンド事業よりもまずPPレジンでの進出を検討した。しかし米国への単独進出の自信はなく、現地企業とのJV案を考えた。
Solvay
1986/7月Solvayが来訪。
米国の100%子会社のSoltexのPP増設に当たり住化のガス法技術のライセンスを受けたいというものであった。Soltexはテキサス州 Deer Parkに工場を持ち、HDPE 400千トン、BPP法のPP 2系列で 140千トンのプラントを持っているが、PPはホモ、ランダムのみの生産で、ブロックを生産したいとしてガス法による増設をしようとした。
来訪者に対し米国でのJV案を打診したところ、9月になって関心ありとの連絡が来た。
早速社内で検討し、JVには同社の既存PP事業を出させ、住化ガス法で50千トンを新設、合わせて住化技術を使ってCAP入りOPPやコンパウンドなども生産するという案をつくった。 ** この事業形態はその後の構想でも継承し、フィリップスとのJVも同じ形態となった。
86/10/31の経営会議でSolvayとのJV案を検討したいとして付議し了承を得た。
12月に小松原事業部長と後藤企画部長がSolvay本社を訪問した。席上 Solvay側は以下のコメントをした。
・米国だけでの50:50JVはS社にとりメリットなし。欧州、日本、シンガポ−ルを含めた全世界での提携はどうか?
(これに対しては住化側は日本やシンガポールの事業に同社を入れる気はなく拒否 )
・米国子会社のSoltexには技術陣がおらず、Solvay本社が技術面を管理している。このためSoltexだけのJVは問題である。
(これについてはSoltexをJVとし、Solvayには非独占ライセンスすれば解決するとした。)87/4月Solvayが来訪。住化からPP事業とR&D状況を説明、特に当社の技術を生かせる分野であるフィルム、自動車分野の説明を行なった。
Solvay側は、住化技術に関心がありとし、半年間検討したいとした。また欧州でもライセンス受けたいとも述べた。
住化社内では欧州でのライセンスについて検討し、以下の案を考えた。・米国でのJVを前提に欧州にライセンスする。
・欧州のライセンス条件
非独占
対象:ガス法技術、コンパウンド技術
テリトリー制限:北米、メキシコ、日本、中国、東南ア除外。87/7月にSolvayから返事があった。
米国のSoltexではとりあえずはBPP法での1系列増設とし、次回の増設をガス法でやりたい、欧州でガス法で75千トン程度の規模で増設をしたいというもの。
Soltexは欧州のコピー工場でそのまま操業するため、先ず欧州でやりたいというのが理由。技術についてはUCC法などと比較検討したが住化ガス法がベストで、是非導入したいとした。
なお将来米国にライセンスするのが条件で、それがノーなら欧州でも他の技術をいれざるを得ないともした。
これに対し住化では Soltexでのガス法増設がいつになるか分からないため他社と組むしかないとし、Solvayには非独占ライセンスを行なうこととした。テリトリーとしては日本、東南ア、中国、東アジアは除外し、米国はオプションとした。
その後長期間にわたり交渉が続いた。まずテリトリ−が問題となり、Solvayは既存品をアジアに出しているとして日本以外の権利を要求。住化はこれを受ける代わりに同地での高級グレ−ド除外を提案した。
最終的にはSolvayは「住化技術採用は高級グレ−ドが目的で、それに制限あるなら採用できない」として、UCC法採用を決定した。着工は遅れ、90年にようやくパイロットを建設している。
カナダ ポリサー
87年夏に住友商事からポリサ−との提携案が来た。
ポリサ−がPP進出を希望しており、住化ガス法でのJVでどうかというもの。立地は米国ミシガン州のSarniaで原料プロピレンは用意できるとのこと。87/9月ポリサーが来訪、守秘契約に基づき情報開示を行ない、88年3月末までに一次F/Sを実施することとした。
88/3月当社チ−ムを現地に派遣したが、88年6月にノバがポリサ−を買収したため、本件は取り止めとなった。
フィリップス(P社)
フィリップスとの交渉は87/9月の同社来訪で始まった。
同社ではBPP法でソルベ−触媒を使用しているが問題があり、住化触媒に関心ありとして来訪した。住化からは触媒ライセンスではなくPP事業を一緒にやらないかと提案した。
87/10月同社よりJV案に関心ありとの連絡が来た。P社は当時は樹脂事業は Phillips Petroleumの子会社の Phillips 66で行なっていた。途中で親会社と合併。
本社及び樹脂の開発センター(Plastic Technical Center=PTC)はオクラホマ州のBarttlesville、工場はテキサス州ヒューストンの郊外の Pasadenaの Houston Chemical Complex=HCCにある。樹脂事業部は当時はHCC内にあったが、HDPE爆発後はNASA基地の近くのClear Lakeに移った。(JV本社もここに置くことになる)
HCCにはPP:バルク法3系列22万トンとHDPE82万トン、Kレジン12万トンがある。原料オレフィンはヒューストン南部のP社 Sweeny Complex(原油精製とエチレン181万トン、プロピレン54万トン生産)からパイプで輸送。
なおP社はシンガポールにPPSC(Singapore)を持ちHDPE16万トンを生産する。当時は住化はPSC運営のための投資だけであったが、後の増設時に本格的な出資を行なうことになる。これを受け、87/11月に広岡取締役が米国出張時にサンフランシスコでP社の樹脂事業担当ベンツ氏と会談した。
席上住化からは、「50/50JVを設立し、P社の既存PP事業を移管するとともに住化ガス法で増設を行なう」との提案をしたがP社はこれを検討に値するとした。
88/1月にベンツが来訪したが、両社の考えの食い違いが明らかになった。P社は、「まずブロックのみでJVをつくり、軌道にのった時点で既存事業を移管する」とした。
これに対して住化からは、「既存プラントでの製造はP社に残すが販売は全てJVが行なう。軌道にのれば製造も一体化する」との対案を出した。
P社は、既存PP事業の強化が目的であり、住化技術の導入と引き換えにそれの50%を譲渡せよというのは無理筋である、どうしてもそれが条件というなら、まず触媒の評価をしたいとした。88/4月広岡取締役とP社化学品トップのバンバスカ−クとの会談が行われた。
P社からは「住化との協力関係を深めたい。但し50/50が前提ではない。触媒はハイモントとも交渉したが、住化優先ということで調印しなかった。P社コンパウンド子会社(ATC)の利用も考えたい。」とのコメントがあった。
同月ベンツが来訪。「検討を進めたいが、先ず触媒評価をしたい。7月末までかかる。その後F/Sをしよう」との提案した。
その後P社で触媒評価を行ない、好結果であった。
以後JVの仕組みについての議論が始まった。P社からは関連全特許について独立特許弁護士の意見取得の要請があった。 ** 米国では特許裁判になった場合、独立弁護士の意見をとっていないと、悪意があったとみなされ、賠償金が3倍になる。
コンパウンド/フィルム分野の検討
住化では河西工業からタルク入りコンパウンドの供給要請を受けており、レジン進出の遅れから、とりあえず現地レジンによる委託生産で先行進出することになり、Colonial社 *に委託することとした。
* Hannaの子会社
89/4月、米国のコンパウンド会社のFerroの社長ほかが来訪、小松原常務が会談した。
同社は米国でPPを35千T(全世界で83千T)を使用する有力コンパウンド会社で米国の自動車、家電需要家にル−トをもち、アロイなどにも進出している。2年前西沢専務が訪問、その後当社からコンパウンドの委託の検討を依頼しており当社の技術についてもよく知っている。
当社の米国進出希望を知っており、その時にはコンパウンドで是非組みたい、又シンガポールTPCのガス法完成後ブロックを米国に持ち込むなら使いたいとの話があった。89/5月事業部と経営企画室で米国でのフィルム分野でのPP事業の進め方の打ち合せをおこなった。
CAP-M 入りコンパウンドをフィリップスのPPでつくり供給することを考えていたが、需要家(ハ−キュレス、モ−ビルなど)は各社とも認定メ−カ−のPPでないと困るとしている。
今後の事業のためにも他社PPで実績をつくるのはマズイため、早急にDX−V触媒によるフィリップスPPで認定を受けるべく準備することとした。
P社との交渉
89/6月チ−ムをP社に派遣、当方の販売方針を説明するとともにP社の状況を聴取し、問題点を協議したが、その結果に基づき社内で協議した。
・特許問題:
7月に当方米国特許弁護士も入れP社と協議するが、当方見解では三井ハイモント特許は大丈夫、SGK* はSGK/ハイモント裁判の結果次第。
これに対しP社はかなり慎重。* SGKはドイツのMax Planckの特許管理会社。チーグラーの触媒関連製法特許が米国の先発明主義により23年ぶりに特許となったもの。三井の触媒は住化のDX−Vと同様SGK特許対象外と考えられるが米国で係争中であった。 (SGK特許係争の項 参照)
・工場運営:既存工場はP社所有、販売はJVとなるが、新旧両工場の操業度調整が問題になろう。
・営業体制:P社はインジェクション、フィルム分野はこちら任せ
ダウ
PCで提携しているダウがPPに関心を持っており、既存メーカーを買収して住化とPPを一緒にやることをトップに図りたいとの連絡があった。
但しダウ・ジャパンの話では、ダウはPP販売をダウのチャネル(インジェクション、フィルムなど)を利用して行ないたいとしており、考え方に大きな差がある。
P社との交渉
89/8月P社から2名来訪、PP合弁事業に関する協議を行なった。同社はこれに本気で取り組んでおり、社内会議用資料で組織、運営などについて詳細に案をまとめている。
問題点は同社は汎用品の商売しかしておらず(7人の営業でこなしている)、コンパウンドについての認識がなく、TSの必要性の認識もうすいことである。
この分野については住化が中心に動かざるをえない。
場合によってはコンパウンド事業はJVと切りはなし(少なくとも当初は)、SCAIとして行なうことも考える必要もあると考えた。(この頃 FerroよりTPCのブロックを1千T/月買いたいとの話がきた。ハイモントとうまくいっていない由。独立コンパウンダ−としての将来について不安をもっており、4月の来訪時にも提携の可能性を検討したいとしていた。コンパウンドでFerroと組むことも考えることとした。)
89/9月経企、ライセンス、法務、経理、事業部でフィリップス対策会議を開き、P社の社内会議用のP社担当者私案について打合せた。
P社は税務上の問題から Partnershipを主張している。これはP社の税務対策上のもので、当社としては税務上中立(JVと同じ)であり、運営はJVの場合と同じにできると思われるが、経験がないこと、Valentの際に社内に反対が強く採用しなかった(農薬の場合は Product Liabilityの問題がある)ことから法務部が慎重な姿勢を示した。
なおコンパウンドについてはP社の認識が薄く、JVで最初からやるのは大変な為、当社(SCAI)でやりたいと説明、Ferro(TPC品1千t/月を買いたいとしている)をJV候補としてあげた。
アリステック問題
89/9月 アリステックと親しい関係にある住友商事から以下を聴取した。
A社はフェノ−ル、ビスフェノ−ルの増設計画に注力している。
PPについては今後4−5社に集約されると見ており、同社としては事業を売却するか拡大するかの瀬戸際にあり、拡大の手段としては他社とのタイアップがある。日本メ−カ−とのJVに関心あり。
同社工場(W. VirginiaとTexas )を出し、50/50 のJVでもよい、としている。
W. Virginia工場はエチレンがなく、三石・ハイモント法でホモだけ生産している。その後の住商情報では、アリステック経営者はPP部門を切りはなし、住化と50/50 JV にしてもよいとしているとのこと。既存事業の対価は3−4億ドルとしている。(住化としては最高2億$程度と見た。)
ハンツマンがアリステック買収を計画しているため、住化としてはハンツマンに対抗して高値で買うのは無理とコメント。
89/11 アリステックが来訪。ハンツマンのTOBの経緯の説明があり、PPのJV計画で得た資金でこれに対抗したいとした。月末にハンツマンに返事するため興味あるかどうか返事欲しいと。
再度来訪あり、検討途中であるが、ハンツマン対策としてJV設立の検討を始める旨の公表したいとの要請があった。しかしP社とはまだ切れていないこともあり、この提案は断った。
89/11/30アリスティックがハンツマンのTOBを拒否。ハンツマンは情報をもらえれば条件を見直すとアリスティックに伝え、アリスティックは守秘契約を結べば情報を出すと返事したとのこと。なおアリスティックより住商経由で「1−2週間待つので是非よい返事を」とのメッセ−ジがあった。
89/12/19 ハンツマンの会長が来訪。アリステックを買収し、PPとフェノ−ル系製品の会社をつくるので参加しないかとの提案があった。同社の計画以下のとおり。
アリステック買収所要資金 約 1050百万$
他部門売却 350
差し引き所要資金 700
JV設立
ハンツマン出資 50百万$*
住化出資 50 #
住化貸し付け 75
(合計) (175 )
借入れ 525
再計 700
H社既存PP現物出資 100*
JV出資比率 H社 150*/住化 50#=75/25
同会長はアリステック会長とも友好的に話し合っている模様。さきのアリステック社のJV提案はH社への売値を上げるための工作* であった可能性も考えられた。* この頃売りにでていた Rexene社のPP(136千t),LDPE(57千t)が Lyondell(Atlantic Richfield子会社)に買収された。
当初の提示価格は300百万$(再取得価額123+ノレン代 174)に対し成約価額はたった88百万$。入札に残ったうえで一つ一つ問題点をあげ、値切ったとのこと。
住商情報ではアリステックは次の4案について 90/1/16に社外取締役も入れて協議を行なうことになった。1) 三菱グル−プの資金援助を受けて経営陣が Management Buy-out を行なう。
2) Huntsmanに売却
3) 証券会社を中心としたグル−プに売却
4) 住化とのPPのJV90/1/17 三菱商事がアリステック社の買収を提案(同社経営陣と共同で)した。買収価額は1株$26(ハンツマン提案は$25)で総額 800百万$となる。
1/19にはハンツマンが近く新買収提案を行なう旨発表した。その後、同社はGEケミカルと組んで買収することで検討し、締め切りを 2/20まで延ばすよう要請した。
90/2月初め A社社外取締役会は三菱商事による買収を承認。三菱商事は買収価格を27$にアップした。
90/2/20 ハンツマンがアリステック買収をあきらめると発表。これで三菱商事による買収が確定した。(三菱商事情報)
株式代金は 850百万$だが借入金の引継ぎなどをいれると10億$以上となる。マ−シャル現会長ほかの経営陣は20%程度までの権利のオプションをもつ。買収後も会社の分割はおこなわず、5年間は現経営陣に経営を任せる。三菱グル−プ各社に出資を求める。
(シェアソン情報:アリステック側で助言)
非常に大ざっぱな計算で買収価格が決められており、5年間分割しないこと、5年間経営陣をそのまま使い、5年後には多額の株を無償で与えるなど経営陣に非常に有利な取引となっている。
三菱銀行、三菱信託から低利の融資があるため可能となった取引であるが、三菱商事として少なくとも短期的にはメリットがあるとは考えられない。
なお三菱グル−プ各社は出資は当面しないが、人は出す模様。又調査の段階では各社の専門家が工場を見たと。
(90/7 三菱化成、三菱油化、三菱瓦斯化学、三菱レ−ヨンが各4.48%出資した。
→その後、再度三菱商事100%となり、2000/11 Sunocoに売却)
P社との会議
89年10/16-20 Houston郊外のホテルでP社と協議した。*
* 10/15ホテル到着後停電で廊下の非常灯で他の宿泊客とパーティ。10/17夕刻P社から Galveston湾のクルーズの招待を受けた。ホテルに帰るとサンフランシスコ大地震のTV報道があった。
F/Sのベ−スを確認、先方で計算し、11/17 の MR. BENZ 来日時に基本線を出す予定としていた。
協議を通じて以下の問題点が明らかになった。
・カルチャ−の違い
P社は利益率の高い分野に専念しており、量的拡大に余り関心なし。
・世界、米国の需給バランスを重視、増設は急がないとの考え当方は技術優位を利用し早くガス法設備をと主張
P社は当社計画(8-9万Tx2系列でフィルム、インジェクション分野進出)に対し、数量面で懸念・フィルムのプレマ−ケティング
当初計画ではP社既存設備の1系列をDX−Vに転換し、CAP-M をねりこんでプレマ−ケティングすることとしており、需要家と交渉を始めていた。ところがP社は触媒転換の決定をのばしており、計画に支障がでてきた。
89/10/24 チーム帰国直後にP社のHDPE工場が爆発で全壊となった。PPのJVについては当分ペンディングかと思われた。
フェロ
89/10月P社との打ち合わせのための訪米を機にFerro(クリーブランド州 Ohio) を訪問し、コンパウンドJV設立を提案した。F社は非常に乗り気になった。
住商からフェロとのJV計画に参加させて欲しいとの要請があった。住商はフェロとの間で当方には言わずに提携契約を締結しており*、日系需要家には住商を通すこととなった由。
(その後住商アメリカからもフェロとのJVの日系需要家向けは全て住商に扱わせて欲しいとの要請があった。これについては需要家との関係から考えても無理であり、住商でないとやれない仕事をもってきてはどうかと返事した。)
* 住商とフェロの契約は有期限契約で、最後は期限切れで解消した。
フェロの来日が遅れることになり、まず守秘契約を締結し、12月住化チームがフェロを訪問、当社からのプレゼンテ−ション(当社の技術・事業内容、米国計画など)をおこなうとともに、関連工場を見学した。
89/12/11 Bersticker社長ほかと会談した。フェロの意向は以下のとおり。
・フェロの既存汎用PPコンパウンド事業を含めてのJV設立に前向き(F/S次第であるが)・・・・・ このままではハイモントなどのレジンメ−カ−にやられる。
・ただし既存事業を出し売上が減少するのは困る。Fortune 500 の売上順位が重要。このため先ず自動車分野を出し、その後順次(全社売上の増加に応じ)出すことを考えたい。
当初は既存分野は出さないという考えで、同社負担で老朽工場のS&Bを検討していたが、これは当面ペンディングとする。
(同社の既存設備は旧式で老朽化しており、あまり利用出来ない状況)
P社
アリステック、フェロの話が進行していたため、社長指示もあり、P社の意向を確かめることとなり、12/8 米国出張中の広岡取締役がP社ベンツ氏と電話会談した。
P社としては本計画に依然として関心もつとのこと。
当方からはフィルム関係需要家への供給責任、アリステック社からの提携提案の点からも早く決めたいと説明。後刻文書で以下の要請を行なった。
・ JVのF/Sを90/2月末迄に完了
・ JVを来年央に設立
・ 既存設備1系列をテストなしでDX−V触媒に切り換え、フィルム用に供給90/1初めにP社より以下の返事があった。
・JV計画に依然として強い関心をもつ。
・しかしP社として住化のガス法の技術を理解するに足る情報の開示をうけていない。事業計画についてもまだ合意していない点がある。
・これの議論のため1−2か月内に日本を訪問したい。
・(住化要請の)CAP-M 入りフィルム・グレ−ド販売のため、P社既存設備の1系列をDX−Vに切り換える点については技術的に可能性あり、更に検討して報告する。これを受け社内会議を開き、2月に会談を行なうべく次により進めることとした。
・当社ガス法技術についてはかなり説明しているが、書類の形では渡していないため早急に作成する。要請があればTPCの設備は見せる。
・F/S前提での未定事項については早急に当方の考えをまとめ、先方F/Sチ−ムとすりあわせを行なって、2月会談までに損益の計算を行なう。
運営については以下の方針を決めた。
・P社側の税務上のメリットを勘案し、パ−トナ−シップ提案を受け入れる。
運営上は一般の会社組織と同一とする(税務対策としてのパ−トナ−シップ)。
SCAIを増資し、これを当社側パ−トナ−とする。(SCAIはパ−トナ−として無限責任を負うが、この責任は日本の住化には及ばない。JVは全体として税務申告を行ない、このうちの1/2 をSCAIがその本体の業績と合体して納税する。)
フェロ
90/1 Ferroチ−ムが来訪。千葉で協議の後、住化カラ−埼玉工場見学、その後、東京本社で協議した。
先方は非常に熱心で、途中にクリスマス休暇があったにかかわらず、当方で要請した資料(先方の実態、設備投資試算:膨大な、かなり詳しいもの)のほか、JV案(6つのオプション)を準備してきた。
さきに送った当社サンプルを分析した結果、現在使用中の米国製とくらべ優れているとの評価であった。
工場、研究所を見学した結果、予想をはるかに越えていた模様で、月末に来訪する同社の社長、副社長に是非見せてほしいと。米国ではレジンメ−カ−がコンパウンドに進出し(ハイモントがリパブリックほかを買収、アモコもワシントン・ペンを買収する予定と)、独立コンパウンダ−の存在が難しくなっており、マ−ケティング力のあるフェロと技術(レジン、コンパウンド)のある住化とが組んで、ハイモントなどと対抗したいとしている。ハイモントはレジン価格を上げ、自社コンパウンド価格を下げていると批判。
フェロとしては住化からのブロックPP購入を強く希望しており、米国での製造に先立って早急にTPC品を供給してほしいとの要請があった。90/1月末にフェロ Bersticker社長、Barr副社長ほかが来訪。千葉工場、研究所見学と協議をおこなった。
先行の同社チ−ムと同様、社長ほかも千葉の工場、研究所を見て同社のそれとの差の大きさに驚いており、今後のコンパウンダ−としての存続のためには当社との提携が必須であることを認識したとのこと。今回は特に6CRを見せたがこんな素晴らしい工場は初めて見たとしている。
協議事項は以下の通り。・出資比率:先方はフレキシブルとしながらもマジョリティを希望。当面は当方40%程度とし、米国でのレジン供給開始後はそれを50%にアップするという方向で検討する。
・現行他社委託品の扱い:河西向けにつきコロニアル社に委託しているが、メンツ上即刻フェロに切り換えて欲しいと。契約(1年毎で更新可)があるため、またフェロでのテストも必要なためこれは無理で、可及的速やかに切り換えるということで了承をとった。
・TPC品ブロックの供給要請:ホンダに納入しているが、三菱油化がホンダ本社と交渉し Mytex(油化とExxonとのJV) に切り換えさせようとしている。これに対抗するため高級グレ−ドを早急に供給して欲しいと。
先方要請は6千t/年。東南ア市況とFOBで400$/t以上の差があるため問題だが、レジンJVのためにもプレマ−ケティングは必要なため今後早急に対策を検討することとした。・日程:事務局では2月末(それまでにフィリップスとの会議があり、レジンJVの見通しが明らかになる)にチ−ムを派遣しF/Sを行なうことで合意しているが、同社社長は3月にトップ会談でJV設立を決めたいとしている。
その後の社内会議で、同社の Evansville 工場の第3プラント(新しい工場)を増設してJVの工場とし、同社の自動車分野の営業、開発をJVに移し、この分野でスタ−トするという案を考えた。
90/3月のトップ会談を前に、小松原常務が住友ダウ社長就任が決まり、後を香西常務が引き継ぐこととなり、以下のレターを出した。
・3月には訪問できないが、出来るだけ早く訪問したい。
・先方提起項目について:出資比率:当初は当方マイナリティで可
分野:当初自動車分野で順次拡大
ホンダ防衛:日米でホンダと接触中。三菱油化の攻勢厳しくフェロ側の努力要
コロニアル委託分のフェロへの移管:フェロ品が合格することが先決で作業を開始する。・JV基本構想(フェロの自動車分野を移し、開発・製造・販売のJVとする)を提示、問題なければ当方で覚書を作成し送付する。
90/3月中旬チームを派遣。フェロ社長*は当社との提携を希望しているが、マジョリティに固執(当方も同意)するとともに、独占権を主張した。これまでのレジン供給元のハイモントがコンパウンドを始め、競争相手になった経験からとのこと。
* これまでフェロのバ−副社長が窓口となり、当社ペ−スで話を進めてきたが、Bersticker社長はこれが不満で、その後は社長主導で進み、4月には副社長は退社した。
90/4月初め 香西常務が訪問。事業の性格上独占権がありえないことを説明。先方も考え方としては理解するも、住化が競争相手になる可能性を懸念。
その後フェロより Letter of Intent の修正案の送付があった。当方は先方のマジョリティを認めたが、先方は更に Exclisivityを強硬に主張した。またレジンJV設立後は当方に高品質レジンの供給義務を課している。
フェロがハイモントなどのコンパウンド進出で影響を受けている現状からこの主張は理解はできるが、このままでは呑めず、対策を検討することとした。
P社
90/2月 F/Sチ−ムがP社を訪問。
P社はこれまでJVに消極的な感があったが、今回は極めて積極的で 2/19 のMR.Benz 来訪時 *に話を決めたいとした。
・F/S 前提(設備規模、建設費、販売量、価格、組織 etc. )で合意
・CAP-M 入りフィルム用レジンの生産のためP社負担で1系列をDX−V触媒用に切り換えると。
・コンパウンドについてもこのJVでやるべきだとの意見にかわった。(これまでは関心なかったため、当社単独でフェロとJVをつくろうとしていた。このため将来レジンJVがフェロとのJVに参加する線で検討することとした)* 90/2/19の来訪は延期になったが、理由はP社がアライド社からHDPE工場(50万トン)を買う交渉をしており、その関係で2−3週間延期したいというもの。その後P社はアライドからのHDPE工場買収をとりやめ、爆発した工場(70万t)を建て直し、3系列82万tにすることとした。同社は爆発事故で利益保険込みで保険金13億ドルを得た。
90/4月下旬のサンフランシスコ会議を前にP社からMOU (Memorandum of Understanding)の送付があった。これまで議論をしてこなかった条項が入っている。
・今後他の地域で住化がPPをやる場合にはP社が50%参加するオプションをもつ。
・P社がやりたいと提案し、住化がやらないと決めた場合には、住化はP社にガス法技術をライセンスする。
住化としてはこの提案は将来全世界でP社と組むことを決めることとなり呑めず、これが絶対条件であれば決裂ということも考えざるを得ないと考えた。この場合は、他社との提携、買収も考えるが、思い切って自社でやる(例えばP社の敷地に建設)ことも検討することとした。
サンフランシスコの交渉で基本的に合意に達した。
・F/S結果:P社としては満足
・海外事業(当初P社は全地域でのJV又はライセンスを要求):
JVは拒否。期間、地域を限りライセンス(期間は5年/地域は中近東、アフリカ、メキシコのみ)
P社は10年を希望、ペンディング
・JV運営:意志決定は Jointで行なう。
・コンパウンド事業:JVの仕事として行なう。
・スケシュ−ル:
6月初 MOU調印、対外発表
11月 合弁契約調印、政府認可次第会社設立
1993年央 ガス法プラント完成90/5月下旬にP社からサンフランシスコ会議の結果を折り込んだMOUの送付があった。合わせてバンバスカ−ク氏より森本副社長宛レタ−も送付があった。
さきに同社より、当社が他の地域に進出する場合は同社の参加を認めること、同社が参加しない場合は同社に当社技術をライセンスすることの要求があり断ったが、今回再度下記の形で要求があった。
・10年の期間内で同社が他の地域で計画をした場合、住化の参加を認める。この合意が得られない場合、住化は同社に最新のガス法技術をライセンスする。但し地域は中南米、中東、アフリカ、ヨ−ロッパ。
(住化が進出する場合に同社の参加を要求していたが、今回はこれは除外)
・同社が中国で同社のBPP技術で製造しようとする場合、住化は触媒技術をライセンスする。(当初中国でのガス法ライセンス要請あり、断った)
バンバスカ−ク・レタ−では上記のほか、将来問題として下記を述べている。
・当面同社の既存工場は離さないが、将来順次移すことも考える。
・ 将来PPS,ポリメチルペンテン、熱可塑性ポリエステルなど新製品も対象にしたい。
・ コンパウンド設備についても共同で検討したい。これに対して住化よりMOU修正案を送付した。
問題となっていた米国外でのガス法権利要求に対しては、地域制限(欧州除外)、期間短縮(8年に)の逆提案を行なった。中国での触媒提供(P社プロセスで)は受諾。
90/6/25にフィリップスの経営会議で承認された。但し海外での権利など若干の問題があり、日本で詰めを行なうこととなった。
フェロ
90/7月にフェロの社長より交渉を進めたいとの催促があり、以下の返事をした。
本計画の前提であるレジン計画の進展を待っていたため遅れているが、間もなくフェロとの交渉を始められよう。但しフェロが独占権を主張するなら、JVには進めない。フェロは契約の文言で解決しようと提案しているが、本質の問題である。考えなおして欲しい。いずれにせよフェロとは今後協力関係を続けたい。
(なおハンツマンがフェロの株式買い取りに着手した(独禁法の届出)。目的不明で、フェロ社長は買収は無理と楽観視しているとのこと。)
90/9月に入り住商アメリカがフェロからの新提案を持参した。当面フェロと住商で自動車分野でのコンパウンドのJVを設立し、住化から技術供与(非独占)とレジン供給(当面日本とTPCから、米国でレジンJV設立後はJVから)を受けるというもの。住化としては技術を出す以上はJVに参加することが必要と考えた。
このため90/10月に住化からフェロを訪問し、住化出資の方向で協議した。フェロは住化と是非一緒に仕事をしたいとし、住化への要請も非常にリ−ズナブルなものに変わった。
先方が妥協を示したため、これに基づいた Letter of intent案を先方に送付したが、これに対し再び修正提案を行なってきた。このなかには、必要な設備投資についてフェロとしてはやりたくないので日本側だけでやれとか、自動車分野についてはJVにFirst refusal rightをよこせ(さきの独占権主張と同じ)とか住化として呑めない基本にかかわる提案があった。当面棚上げにすることも考えざるを得ない状況となった。
フェロは Letter of Intentを結ばないとF/Sにも入らないとしたため、JVの姿がはっきりしない段階で(F/S次第でどこまでの会社にするかが変わる)JV設立のL/I締結という異例の形をとることとなった。このため互いに出来るだけコミットしないような形で、まずF/Sをするというのが中心のものとなった。90/11/19 香西常務がフェロを訪問しL/Iを締結。フェロの自動車向け既存コンパウンド事業を移し住化の持ち込むビジネスも加えたJVのF/Sをするというのが主眼。
JV設立はF/S結果次第ということのほか、レジンJVが最恵価格でレジンを供給するというコミットをするのが条件となった。
JV構想:
・出資比率:フェロ 55%、住化 35%、住商 10%
・事業内容:当初は自動車分野に限定したコンパウンド製造販売
基本構想としてはフェロの既存の当該部門をJVに移管する。
その後他の分野にも広げる。
・技術:住化(非独占)、フェロ
・原料:住化のレジンJVから供給(フェロはここから最恵国待遇条件で原料レジンを供給することがJV設立の条件としている)
それまでは出来るだけ現地レジンを使用するが(住化が選択援助)、特殊品は住化が日本、シンガポ−ルから供給する。
フェロがマジョリティを主張したため、当方は当然非独占ライセンスを主張したが、この結果先方が疑心暗鬼から慎重な態度になった。
P社
P社では90/6/25の経営会議で若干の条件つきでOKになったと、7/16からの交渉、7/20調印の予定を伝えてきていたが、MOU の修正案を送ってきた。これによると下記の重要な新提案を含んでいる。
・JV(税務上の問題でパ−トナ−シップの形態となる)の比率は50/50だが、P社のノレン代を勘案し出資額に差をつけたい。
・P社既存製品との関係当方主張: Co-Prosperity、 Co-Misery の精神
当初、増設分がフルでない場合は、フィリップス・ファイバ−向けに供給せよ(使用分の2/3 程度を他社品でまかなっている)。
P社主張:既存事業保護、 Co-Misery否定
ファイバ−向けは自社で供給。JV品供給はP社承認を要する。既存工場がフルにならない場合、直接輸出も。
*この限りではP社主張は理解出来るが、販売が既存品、JV品でタテ割になるおそれがあり、そうなればJVの意味がなくなる。・海外での権利
P社では米国で当社ガス法を導入する以上、その他の地域でも当社技術を使いたいとしている。当社としては期間(8年)、地域(メキシコ、中東、アフリカ。他に中国にはP社技術にDX−V触媒を供給)を限定し了解したが、今回P社よりメキシコについて独占権の要請があった。メキシコはP社の強い要請で入れたが、北米との一体化を考えると、独占はありえない。
・コンパウンド
P社よりこれをJVの事業範囲にいれ、将来は他の製品もやりたい、コンパウンドはJVで直接販売するべきだとの提案あり。
当方が以前より主張していたことで、バンバスカ−クが強く希望しているとのこと(日本でのPPS販売の経験からと)90/7月P社来訪、7/16-17 事務局会議、7/18-19 広岡−ベンツ会談、7/20 森本−バンバスカ−ク会談を行った。
フィリップス側は 7/20 のMOU調印を希望したが、基本事項で食い違いを残したままでの調印はまずいということで延期となった。7/18の住化経営会議にもかけず。
最大の問題は今回急にP社が持ち出した「両社の貢献度の違いを勘案し、出資額に差をつけよう」という要求。これは6/25のP社の経営会議でフィリップス石油のCEOであるサイラス会長が言い出したとのこと。
住化はガス法技術、高活性触媒の供与などの貢献はあるが、それは他社からでも買える。P社側は物質特許、整備されたインフラ、樹脂メ−カ−としての顧客への信用度(ノレン)などで住化の貢献よりも大きな貢献をするので、それを評価せよというもの。
当方からは1)当方の将来にわたるJVへの技術面での貢献と日米自動車メ−カ−を中心としたマ−ケティング面での貢献が大きいこと、2)両社が異質の貢献をするのがJV設立の理由であり、貢献度の金額評価など出来ない、3)これまでの多数のJVでそんな例はないと主張。
また既存事業をJVに出すならノレン代の支払いは当然であり、そうなれば他の問題の Co-Prosperity,Co-Miseryも同時に解決するとして、P社既存事業を出すことを再検討するよう要請した。
P社としては住化から正式要請あれば、トップに伝え検討するとした。なお Co-Prosperity, Co-Misery についてはP社としても考え方としては異論なく、文章表現でキツクなっただけと。90/8/21 フィリップス66のトンプソン社長が来訪。森社長より、先方提案の出資額に差をつける案は受け入れ難く、P社既存事業を包含する案で進めたいと提案。先方からは両案を協議したいとの返事があった。
既存事業包含ケ−スについては当方より買収金額案の提示が必要なため8月末にP社に対し、既存事業評価のための情報提供を要請した。10月初めにP社から既存PP事業の価値の評価資料を受領、検討に入った。
90/11月に入り森社長名でフィリップスのトンプソン社長宛てに下記の点の確認のレタ−を出状。・ 既存事業をJVに含める検討をしているが、P社として既存事業を一般のM&Aでの常識的な価額で売却する気があるのか。(無茶なことはいわないなとの意味)
・ その場合出資比率は 50/50 でよいか。90/11月バンバスカ−ク副社長、ベンツ事業部長が個別に来訪、P社としては既存事業をJVに移管する用意があることを確認した。
但し、当初住化からP社に対し50/50でなくてもよいから既存事業を包含して欲しいと要請したこともあって、既存事業をJVに包含する場合は50/50の出資比率は考えていなかったとのこと。
今後のスケデュ−ルを次のとおりとした。
・12月上旬 住化から既存事業評価額提示
・ 来年2月頃 ガス法プラント増設のP社役員会一次承認
・来年4月頃 社外弁護士による関連全特許の鑑定完了
・早くて来年夏 合弁諸契約の交渉、調印90/11月下旬に社内で協議し、P社の既存事業の価値を225百万$* で提示することとした。
90/12/5 SCAIでP社に対し提示した。P社はこれを妥当なものとし、今後具体的に詰めていくこととなった。* この段階ではこの金額に対してP社がどう反応するか全く検討がつかなかった。森本副社長はそんな安い金額では無理だろうとのコメント。P社が満足したため高く言いすぎたかと心配したが、在庫が含まれているほか、P社負担で多額の改造投資をしたため、事業としてはかなり安いものとなった。
91/2 P社からJVの進め方で対案が出た。
住化からは6月頃のP社での概算F/S承認(AFD:Approval for Development)後、直ちに Partnershipを設立し、P社既存PP事業を移すよう提案していたが、P社としては増設が確実になるまでは移したくないとの考え。
即ちP社提案スケデュ−ルでは
・ 91/6頃 AFD
・その後 対外発表
・プレマ−ケティング開始(住化が供給するレジンで)
・詳細設計を30%まで実施(6百万$)
・以上の結果により92/11 AFE(Approval for Expenditure)
・これをうけパ−トナ−シップ設立
当初は住化比率は Negligibleとし、ガス法建設資金を住化が支出し最終40%程度まで増やしていく。91/2/18-20 P社と交渉を行ない、両社の相違点を調整した。
住化案はインジェクション用、フィルム用のガス法2系列だが、P社案はBPP増強、ガス法1系列(12万トン)。フィルム用の大半はBPP改良で製造可能であるが、目玉のOPP用シ−ラントとCPP用タ−ポリマ−は製造不能で問題。
フェロ
91/3月にフェロを訪問したが問題が多い。
・ F/S実施中であるが、短期損益が重要として設備投資に全く消極的。
・ ホンダ対策として住化処方への置き換えを共同で推進してきたが、黙って独自処方をホンダに持ち込んでいた。
・ 住化がコロニアルに委託しているもののフェロへの切り換えが遅れていることに激怒。(フェロ側の実機での試作が出来ていないのが原因)
一つにはレジンJVの話が進まないため先方が疑心暗鬼になっているのではないかと思われた。
その後フェロ要請に基づきM−TEK(河西)向け委託をコロニアル社から切り換えるべく改良グレ−ドをフェロで試作したが、結果はバラツキが大きすぎ、採用不可となった。
原因は設備で、改造が必要。M−TEKは来年から改良グレ−ド採用を決め金型を既につくっており時間がないためコロニアルで早急に試作することとした。
またJV案に基づいたF/Sの結果を送ってきたが大幅赤字、計算の根拠を見た上で検討することとしたが、先行き悲観的となった。91/8月末にフェロより、「F/Sの結果採算悪く、改善策なし。自動車分野以外をJVに出すという考えはない。この為、期限切れでL/Iを打ち切りたい」との連絡があり、了承した。* この結果コロニアルとの関係を深めることとした。
* この結果、住商はDICと共同でやっている着色JVを拡大発展させることとした。同社とフェロの Collaboration Agreementも翌年10月で期限が切れた。
P社
91/4月中旬にP社から2月会議のペンディング事項について同社案の送付があった。
・技術料
P社物質特許 1 C/LB 3 MM $/Y
住化技術 既存分(触媒) 当社案 1.5%に対しP社案 0.725 %
ガス法 〃 2.5%に対しP社案 1.45 %
技術料合計 3 MM $/Y (他に一時金 4 MM $ )P社からは当初JVを成功させるためにお互いに差し違いでゼロにしようとの提案があったが受益比率の違い、税務上の問題で拒否した。今回は金額を同じにしてきたもの。
・ガス法稼働前の出資比率と受益比率
当初ガス法稼働までの既存事業からの利益はP社のみが受けると主張していたが今回は住化が資金ニ−ズに合わせ出資し、その比率で受益することに同意。
・メキシコの扱い
P社のみのテリトリ−としたいとの主張を変えず。91/4月下旬にP社バンバスカ−ク副社長が来訪、「技術料とメキシコの2つが問題として残っているが、解決可能と考えている。サイラス会長ほかは前向きで、作業を早め、6月早々にもAFDをとりたい」とのコメントがあった。
91/5月下旬現地で交渉。P社では早くまとめたいとの態度で、問題点はほぼ全て解決した。フェロとのコンパウンド提携構想を一つの案として説明したが、P社ベンツ氏はフェロの経営状態が悪いとして提携に難色を示した。
91/6月に森社長が訪米、6/9 BartlesvilleのP社本社を訪問、6/10 Washington D.C.でサイラス会長と面談した。P社は大歓迎で、トップが本計画にやる気マンマンであった。
91/7月に入り住化特許の鑑定を依頼していたMr.Oshaから問題なしとの鑑定が出た。P社もいれた会議で結果を説明。
91/8月P社による建設費見積もりが出来た。住化の 11O百万$に対し139 百万$という高いものとなった。理由は設計の工数が多過ぎる(住化想定の2.5倍)、コンティンジェンシ−を高く見過ぎている、エスカレ−ションが高過ぎることで、議論の結果先方もこれを認め、見直しに同意した。
しかし見直し案でも 128百万$と依然高く、住化で更に分析し問題点を連絡することとした。91/9月P社ベンツ氏が来訪。
「既存PPの触媒変更工事はEPAとの約束で期限が切られているため10月に同社社内のAFDをとり、着工する。但し予算が高すぎるとし、一部みて欲しい」との要請があった。しかし増産に結びつくものではないため拒否。
ガス法についても極力急ぎ、11月にはAFDをとりJVを設立したいとのことであった。住化からはフェロとのJV案をとりやめる旨説明した。* 日本勢のこの頃の動き
・三菱油化/エクソンJVのマイテックス(米国)が拡大計画を発表。
8千t/年を95年に45千tに拡販、デトロイトに販売、TS部門を設置
・新日鉄化学が英国ハイドロポリマ−(ノルスクハイドロ子会社)のコンパウンド部門を買収 (22億円)。
H社は住化が欧州での委託先候補の一つ。(身売りの話でとりやめた)
・新日化はニチメンと提携して米国でサ−モフィルを既に買収済。91/9月中旬にP社と日本で契約関係中心の議論を行なった。主な問題点は以下の通りで、P社持ち帰りとなった。
・P社は既存事業に関して一切の保証(Warranty) を拒否*。Due Diligence の過程で住化の責任で調べるべきであるとした。
住化は例えば評価の基礎となる損益デ−タの正しさ、異常な契約の有無など一定の範囲の Warranty を要求した。* 以前に Mount Pleasant Chemicalの解散交渉の際には排水をDeep Wellに流した責任が問題になった。これについてP社では Houstonのように多数の工場がある場合どこの排水が影響しているのか分からないため保証など出来ないとした。
・既存事業の価額の見直し
住化は Due Dilligence で問題が出れば当然見直すべきであると主張した。さきに事業価値の評価のためにP社が出した損益見込みと実績に大きな差があること(損益悪化)が判明。HDPE休止、PP補修休止の影響が大きいことは分かっているが、分析が未完成のため9月末に分析結果をもらったうえで10月中旬にこれをもとにした今後の損益予測を共同で行なうこととした。
・住化特許の保証
P社は無制限の特許保証を要求。住化は一般原則である「特許料の範囲内」を主張。
91/10 損益関係聴取、建設費協議のため訪米。
建設費については担当のKelloggを入れて議論。途中石化業務と経理がBartlesvilleの本社を訪問し、経理・税務問題を議論した。
P社コメント:
・ コストが高いことについては住化の懸念は理解、下げる。
・ 50:50では何も決まらないので組織はP社主導としたい。但し重要事項は合意の下でとして実質対等とする。
・ 契約関係ではいろいろ問題あり、11月のトップ会談で決めたい。91/11 P社から固定費予想(1994)の見直しの連絡があった。
本年の固定費は当初の想定16百万$に対し爆発事故での保険料の大幅アップを含め28百万$にもなっているが、1994年にはこれを19百万$まで下げるとなっている。本当に出来るのかとの疑問があった。
91/11 P社来訪。問題点はほぼ解消し、契約書の文言の整理に入った。
ライセンス契約の特許保証で意見が対立、P社は無制限の保証を要求、住化は特許料の50%頭打ちを主張した。住化主張はP社が既存事業について一切保証しないことにも対応している。
なお相手側の Phillips 66が91/12に親会社の Phillips Petroleumと合併。Peroleumの Cox社長は引退(Cilas会長は留任)、66のThompson(66の社長)が副会長となった。91/12/16のP社経営会議で Phase-1が承認された。(92/1/13の役員会で承認)
91/12/27の住化経営会議でJV計画が承認され、準備段階に入った。・JVはPartnershipとなるが、住化側はSCAIの100%子会社を設立し、Partnerとする。
・ 社名についてはSumitomo名はグループ商標委員会の規定で50%未満の持ち株会社には認められない為、他の候補を検討。
当初 Sumichemを考えたがP社からはEnichemとの連想で好ましくないとのコメントがあり、最終的に Phillips Sumika Polypropylene Companyとすることとなった。92/2 P社のベンツ氏が樹脂担当から外れ、バンバスカーク副社長が直轄することとなった。またJVの社長にシンガポールのPPSC社長の John Hubby氏が内定した。
92/3チームが訪米、契約交渉はほぼ終了。
92/4/16 サイラス会長が来訪、土方会長、森社長以下と会談。
92/5/11 P社役員会で既存設備改造起業が承認された。投資は52百万$で、プロピレン精製部分は入っていないが、これは後にP社負担で実施する約束。
これに伴い契約書を持ち回りで調印、5/22(米国は5/21)発表した*。 なお住化はSCAIの子会社として Sumika Polymers Americaを設立した。
住化では事前にMITIと米国に進出している主要需要家に報告した。* 発表直前にダウから同社経営会議でPP事業化を決めたとして提携の可能性の打診があった。フィルム、繊維などは除外、耐久用途のみに関心ありと。住化からは他社との話が進んでいるが、何らかの協力の可能性はあるかもしれないと伝えた。
--------------------
JV概要
社名:Phillips Sumika Polypropylene Company(PSPC)
会社形態:Partnership
独立組織で経済活動を行なうが、損益は出資比率で出資会社に直接帰属し、税金も出資会社で課税される。出資会社は無限責任を負う。
JVのpartner:
Phillips Petroleum
SPAC(Sumika Polymers America← (100%)←SCAI←(100%)←住化
JVの運営:一般の会社とほぼ同じ
取締役会に相当する経営委員会(4名ずつ)で方針決定
General Manager(社長)はP社、Deputy GM(副社長)は住化。
株式会社との違い:・資金は必要分を毎月親会社が出資、余剰分は返還。
・損益は親会社に帰属。税金は一旦JVとして計算し、配分して親会社の税金と合算して納税。
・ 親会社が無限責任を持つ。具体的運営
Phase-1 準備期間(92/5JV設立から、ガス法プラント建設の承認まで)
・所要資金は必要の都度両社が均等出資する。
(第一回資本金払い込み 92/6/17 各2百万$)
・JVは事業計画を作成
・住化はP社既存事業のdue diligenceを行なう。
・P社はP社負担で既存プラントの改造を行なう。
・両社で諸契約を締結する。
Phase-2 本格事業
・P社既存事業の現物出資(操業はP社に委託)
・ガス法プラントの建設
・P社は既存事業を現物出資(在庫込みで225百万$の評価)
・ 住化はガス法プラント建設に必要な資金を順次出資。
・ 将来増設する場合は50:50になるまでは住化、以後は均等出資。--------------------
92/6 ヒューストンでキックオフ・ミ−ティングを開催、今後の進め方を打ち合わせた。P社は Mr.Hubby(JV社長、P社PP事業部長)がチ−ムリ−ダ−になり、うまく会議を運営してくれた。
1.Phase-1
・ガス法建設関係
92/6/24-7/1 Design Conference (千葉)
mid Dec. Engineering Package 引き渡し。
それまでにBL外の基礎設計を米国で実施。
以後 米国で基礎設計、詳細設計、コスト見積もり。
93/5/1 AFE 用 資料完成
・住化によるDue diligence
一次 92/9
二次 93
・住化からの派遣時期 mid Nov.
石川、太田両氏(JV出向)とエンジニアリング、市場開発2−3人・契約交渉
要員派遣契約、業務委託契約などJV運営関連と Phase-2の事業移管後の原料供給、 sales agency契約など多数残っており、それぞれの所要期限までに締結する。
2.既存設備の Refit(改造)計画聴取
建設費が70百万$にも達したため、Fractionation は遅らせたうえ(但しP社負担でやる)、一部をカットした。この結果今回は 50.9 m $ となった。なおrefit で不要になる設備の取り除きは設備予算には含まない。補修費予算の扱いとなり、損益を見ながら、どうするか考える。
3.既存設備のDX−Vへの切り替え
当初 92/秋の予定であったが、refit の遅れから1993/8にずれる。93/12/1がEPAによるAPP焼却禁止の期限で、このため3系列を一挙に切り替える。
4.DX−V品への供給切り替え計画
担当のMs.Graves は元 Exxon勤務で、住化BPP技術導入のため愛媛に来訪した。2年前にP社に移った。
・日程 93/1H 需要家・製品分析
Bartlesvilleのpilot plant でDX-V製品試作
PTC のテスト機(fiber,injection) でテスト
93/2H レシペ変更、試作、テスト、需要家評価を繰り返す。
・レシペ変更 合わせてBHTを含まない新添加剤採用
(color,volatility 問題で他社は全て変更済)
・PFC(Phillips Fiber)の懸念
HAC品はCSXが低すぎる。(2%)
fiber用には加工性の点で高い方が良い。
(当方よりDX−VでCSXが高いものもあると説明。)
分子量分布が狭すぎる。なおP社の組織はHDPEとPPを一体運営する形となっていたが、JVへの移行に備え、分離した組織に変更した。
92/6/17 JV(Phillips Sumika Polypropylene Company)の第1回資本金払い込みを行なった。両社(住化側は米国法人 Sumika Polymers America) それぞれ2百万$を払い込み。
91/6/19付けでこの内2百万$が技術のオプション・フィとして住化に払われた。