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2008/4/16  台湾プラスチック、寧波エチレン計画取り止めか

台湾プラスチック(FPC)は台湾の麦寮に石化コンプレックスを持つとともに、米国に Formosa Plastics Corporation, U.S.A. を有している。
    
2006/4/15 台湾の石油化学 

FPCは早くも2001年に、中国にエチレン年産100万-120万トン規模の石油化学コンプレックスを建設する方向で検討に入った。

2004年後半にFPCは中国国務院に対し、石化コンプレックス建設の申請を行なった。立地は浙江省寧波市の北崙経済技術特区で、エチレン年産120万トン規模のコンプレックスを建設するもの。

台湾政府はエチレンの対中投資を開放していないため、台湾と中国の両政府の承認が必要となる。
その後、両国の関係が変転し、まだ承認が得られていない。中国では中国の石化企業からの反対も出ていた。

2007年1月にはFPCのオーナーの王永慶が本件で中国の国家発展計画委員会(NDRC)の副委員長と会談している。

現在の計画は、浙江省寧波市の北崙経済技術特区で石油精製10百万トンとエチレン120万トン、プロピレン60万トン、及び各種誘導品を建設するというもの。

寧波市には鎮海地区、北崙地区、大謝島の3つの石化基地がある。
鎮海地区にはシノペック子会社の鎮海煉油化工(ZRCC)の石油精製基地がある。
三菱化学は投資会社・寧波PTA投資(三菱化学/伊藤忠/三菱商事)と中国中信集団(CITIC) の90%/10%の合弁会社 寧波三菱化学有限公司を設立、大謝島に60万トン/年の工場を建設した。

FPCは北崙経済技術特区の梅山島に2,000ヘクタール、寧波市沿海デルタ2,000ヘクタールを確保しており、寧波市部分に精油所を、梅山島にナフサ分解工場と川下工場を集める計画。

付記

中国・浙江省が杭州湾をまたぐ嘉興市―寧波市間に建設していた「杭州湾大橋」が2008年5月1日に開通式を行った。世界最長の36キロ、3車線で上海から寧波市までの所要時間が車で2時間と従来の3時間30分―4時間に比べ大幅に短縮される。

ーーー

報道によると、FPCはこの計画を取り止める可能性が強まった。

3月22日の台湾の総統選挙で最大野党・国民党の候補、馬英九(Ma Ying-jeou)氏が当選したが、このたび、馬氏が台湾経済の発展について意見を聞くという名目で、FPCの王永慶、台湾セミコンダクターのMorris Chang 会長、鴻海グループのTerry Guo会長の3人が面会した。

席上、馬氏から麦寮港からの台湾海峡横断の直接輸送を認めるとの約束が得られたことから、FPCとしては麦寮のコンプレックスからエチレン、プロピレンほかを本土に輸送できるため、中国の石化メーカーの反対を受ける中で寧波市に巨額の投資をしないでも済むこととなる。

台湾と本土との台湾海峡横断の直接輸送は1949年以降、禁止となっている。

最近では「3通」(中台間の交通、通商、通信の直接交流)を目指す動きが出ている。
2005年の春節(旧正月)チャーター便運行を成功モデルとし、自由化を逐次進めることとなっているが、これまでは特に台湾政府が安全保障上の問題で消極的であった。
現在、直行チャーター便は旧正月などに限定され、台湾住民しか乗れず、香港上空を経由する必要がある。

福建省社会科学研究院によると(2006/9)、「福建省は台湾に一番近い省ですが、台湾当局の方針によって、人的往来や物的交流が直接出来ず、香港を経由しなければなりません。これは経営コストを大幅に高くしてしまいます。そのため、台湾企業は投資先を広東省に移したのです。」 (その後、台湾企業は上海周辺に移った)

現実には下記の通り、FPCは寧波のプラントに原料を送っているが、正式に認められない限り、中国で生産する製品の主原料を台湾から送るという体制は取れない。
(2001年には直接輸送をした船会社が罰金を取られるという事態もあった)

4月12日に台湾の蕭万長・次期副総統が胡錦濤国家主席と短時間会談し、中台間の経済関係を強化していく方針を確認した。

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FPCの寧波エチレン計画は停滞しているが、誘導品計画はドンドン進展している。

FPCは間もなく、寧波市の北崙経済技術特区で45万トンのPPプラントの商業生産を開始する。
このたび、同社は政府から原料プロピレンの荷揚げの認可を受けた。プロピレンは
麦寮コンプレックスから運ぶ。

同プラントは2007年6月に完成していたが、中国政府から原料プロピレンの荷揚げの認可待ちで本格稼動できない状況にあった。
同社は
同地区に加圧プロピレンを9,000トン、冷却プロピレンを48,000トン貯蔵する能力を持つが、冷却プロピレンの荷揚げの許可が下りていなかった。

本計画は当初は能力 30万トンで、2006年第4四半期スタートの予定であった。
中国の需要の急速な伸びに対応するため、45万トンとした。

FPCの子会社のFormosa Chemical and Fibre Corp も同地で間もなく 年産 60万トンのPTAプラントの生産を開始する。
同プラントも昨年前半に完成していたが、本年
3月にようやく、中国政府から生産開始の承認を得た。
原料パラキシレンは麦寮コンプレックスから運ぶ。

このほか、FPCは既に北崙経済技術特区の梅山島でPVC 30万トン、ABS 24万トン、アクリル酸 16万トン、アクリル酸エステル 30万トンを操業している。

 


2008/4/17 SABIC、PBTのJVへの参加取り止め

SABICは本年1月、OSOS Petrochemical (新設)との間で、PBT などを生産するJV設立の覚書を締結した。SABIC2ヶ月以内でJV計画を検討し、参加する場合は同社は35%の出資をすることとなっていた。

    2008/1/19  SABIC、新規JV設立で MOU 締結 

SABICは4月13日、サウジ証券取引所への報告で、交渉を取り止めたと発表した。撤退の理由は明らかにしていない。

同社としては既にPBT事業を行っているため、これに参加しなくてもなんら支障はないとしている。
SABICは昨年GE Plastics を買収し、
SABIC Innovative Plastics と改称した。

Middle East Economic Digest PBTの引取コストが決裂の理由と思われるとしている。

OSOS Petrochemical は他のパートナーを探し事業を継続するとみられる。
現在、同事業のコントラクターの評価中で、候補は
Aker KvaernerとSinopecのチーム、韓国のGS Engineering & Construction、同Samsung Engineering Company、同Hanwha Engineering & Construction の4社となっている。


2008/4/18 オマーンのOctal PetrochemicalsPET樹脂 80万トン体制へ 

Octal Petrochemicals はオマーンの Salalah Free Trade Zone の年産30万トンのPET樹脂プラントを20088月にスタートさせるが、2010年に50万トンの増設を行い、80万トン体制にすることを明らかにした。

Octal Petrochemicals Octal Holding SAOCの子会社で、同社は2006年に米国の投資会社Chemlink Capital Ltd. Pound Capital Ltd.により設立され、サウジや湾岸諸国、米国の個人や投資会社が出資している。

2006年末に2万トンでスタート、2007年に1万トン増設して現在の能力は3万トンで、非結晶性シート(APET)を欧州、北米で販売し需要開拓を行なってきた。

現在の設備投資が完成すると、レジン能力は33万トンとなる。このうち、ボトル用が15万トンで、APETシートが18万トンとなる。

APETシート製造では世界初とする Direct to Sheet (DTS) 押出技術を採用している。

同社によると、通常は購入したペレット状レジンを大きな乾燥機で46時間乾燥する。水分があると次工程でトラブルが起こるためで、ここで多量のエネルギーが浪費される。
十分乾燥した後で、溶融し、押出機でシートにする。

DTSではリアクターと押出機が結びついており、リアクターから溶融したレジンをそのまま押出機にかけるため、コンタミもなく、レジンの乾燥ー溶融のための無駄なエネルギーも必要としない。

シート部分の設備はオーストリーのSML Maschinengsellschaft が供給した。

同社の会長は414日、オマーン経済フォーラムの席で、2010年に50万トンの増設を行い、能力を80万トンにすると発表した。
20103月に25万トン、5月に25万トンが完成する。
同社の狙いは欧州、米国、中東市場でのソフトドリンクや水のボトル用としている。

全計画の投資額は10億ドルに達する。完成後の輸出額は11億ドルとみている。


2008/4/19 電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルの日本での扱い 

2007年1月にEUの欧州委員会は、電力用ガス絶縁開閉装置で国際カルテルを結んでいたとして日欧10社に7億5千万ユーロの制裁金支払いを命じた。日本企業は取り決めに従って欧州で応札せず、直接的に欧州での競争を制限したとして、「欧州でほとんど売っていないのを理由に多額の制裁金を課せられる」という珍しいケースである。

   2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金 
           

対象企業と制裁金の額は以下の通り。(単位:千ユーロ)

  免責額 制裁金
Siemens(ドイツ)     396,563
Siemens(オーストリア)      22,050
ABB(スイス)  215,156       0
三菱電機     118,575
東芝      90,900
Alstom(フランス)      65,025
Areva(フランス)      53,550
日立製作所      51,750
Schneider(フランス)      8,100
富士電機システムズ      3,750
日本AEパワーシステムズ      1,350
合計  215,156   750,713

日本AEパワーシステムズ 富士電機システムズ、日立、明電舎のJV。
三菱電機、東芝、日立製作所、富士電機ホールディングスは、それぞれ欧州第一審裁判所へ提訴した。

各社が連絡をとりあって割当数量比率で受注できるよう調整し、最低価格を決めていた。また、日本企業は欧州で販売せず、欧州企業は日本で販売しないことも決めていたという。

これが事実なら、日本国内でも、日本の各社は勿論、欧州委の理屈では欧州企業も、独禁法に違反することとなるが、公取委はこれを取りあげていない。
不思議に思っていたところ、4月15日の読売新聞がこれを報道した。

それによると、欧州委からの通報がなかったために、公正取引委員会がカルテルの調査に入れなかったとのことである。

日本とEUは2003年7月に、カルテルや企業合併の調査で連携することを定めた「独占禁止協力協定」を締結しており、相手の利益に影響する違反行為の調査などを相互に通報する規定が設けられている。
しかし、欧州委が通報を忘れ、公取委は制裁金の発表で、初めてカルテルの存在を把握した。

欧州委は、スイスのメーカーABBから2004年3月にカルテルを結んでいたとする申告を受理。同年5月に立ち入り検査に着手している。
このため、2007年1月の欧州委による制裁金発表時点では、既に排除勧告の時効は過ぎ、課徴金納付命令の時効も約4か月後に迫っていた。

課徴金納付命令の時効(除斥期間)は現在は3年となっている。
今回の独禁法改正案ではこれを欧米並みの5年に延長している。

  2008/3/18 独禁法改正案 

また、排除勧告については、独禁法で行政処分の期限として「談合行為から1年以内」となっている。

2003年の長野市の浅川ダム談合事件でも、第三者機関が「談合」と認定したが、公取委はこの理由で「独占禁止法上の措置は取らない」とした。

 

公取委は京都市で14日に開会した「国際競争ネットワーク」年次総会出席のために来日した欧州委幹部に通報態勢の改善を求めた。

なお、EUのクルス欧州委員(競争政策担当)は京都市で記者会見し、英豪資源大手BHPビリトンによる同リオ・ティントの買収計画の取り扱いについて「日本の公正取引委員会と緊密な連絡をとっていく」と述べた。

 


2008/4/21 東洋エンジニアリング、ロシア向けエチルベンゼン生産設備を受注

東洋エンジニア
リングは4月15日、ロシアのGazprom の傘下の Sibur Holding Sibur-Khimprom CJSC が西ウラルのPerm 市に建設を計画する22万トンのエチルベンゼン生産設備の基本設計、詳細設計、機器調達及び工事テクニカルアドバイザリーサービス業務を受注したと発表した。

付記 右図のSibur 株主はその後、変更されている。

Gazprom はその後、石油化学をnon-core とみなし、2008年にSibur 株をGazfundのエネルギー資産と交換した。
Gazprombankは2010年にSibur 株を個人株主  Leonid Mikhelsonに売却した。

その後も変遷があり、2014年末時点の株主は下記の通り。

 Leonid Mikhelson 50.2% 会長(Novatekの創業者・CEO) 
 Kirill Shamalov      21.3%    取締役
   Gennady Timchenko 15.3%(Novatek 取締役)
   役員等(新旧)      13.2%

TECの韓国子会社Toyo-Korea がメインコントラクターとなり、TECはサブコントラクターとなる。
Toyo という名前の下で、市場・顧客に密着しながらTECとグループ各社が相互に連携し、かつ自立的に活動するGlobal Toyo 案件の一つ。

プラントの完成は2010年末を予定しており、米国Badger Licensing の最新の技術を採用する。
Sibur 技術選択に当たり、環境対策と安全性に配慮した。従来の塩化アルミではなく、ゼオライト触媒を使用することで、塩化水素や芳香族系の排出を失くし、水の汚染も防止できる。

Badger Licensing Shaw Group の子会社のStone & Webster ExxonMobil Chemical 50/50JVで、元はStone & WebsterBadger Technology の資産をWashington Group International から買収したもの。

Sibur Holding はロシア国営Gazprom の子会社で、ロシアの30社以上の石油化学・化学企業を統括し、ガス精製からタイヤ生産まで幅広く手がけている。
Sibur-Khimprom CJSC 2000年に設立された西ウラルで最大の石油化学コンプレックス。

  2007/7/6 Solvay、ロシアでワールドクラスの塩ビJV

今回の22万トンのエチルベンゼン工場新設は、Sibur エチレン増産、スチレンモノマー増産、発泡ポリスチレン新設など一連の投資の一環。

Sibur SIBUR-Neftekhim JSC Nizhny Novgorod 市)のエチレン能力を2010年末に現在の240千トンから360千トンに増強する。

Sibur-Khimprom Perm のスチレンモノマーを100千トンから135千トンに増やし、新たに50千トンの発泡ポリスチレン工場を建設する。ノルウェーのSunpor Technology S.A を採用するもので、将来100千トンに増強する。


2008/4/22 旭硝子、北米板ガラス事業の構造改革

旭硝子は4月17日、北米の板ガラス事業の構造改革を発表した。

本年4月から12月にかけてフロートガラス生産拠点(3工場)及び建築向けコーティングライン(2工場)での生産を停止するとともに、建築用加工ガラス事業を売却する。

フロートガラス生産拠点 
   
Victorville Plant(カリフォルニア州)
   
St. Augustine Plant(カナダ ケベック州) 
   
Greenland No. 1 Plant(テネシー州)の概要
建築向けコーティングライン
   
Victorville Coating Plant(カリフォルニア州)
   
Hampton Coating Plant(アイオワ州)

これにより、同社の北米におけるガラス生産能力は約40%削減される。
北米板ガラス事業については今後は、太陽電池用ガラス、自動車用ガラス素板、及び建築用の付加価値製品の3つの分野に経営資源を集中する。

ーーー

同社は2005年から3年間の中期経営計画 “JIKKO-2007” の重点施策の1つとして北米地域の収益改善を掲げ、板ガラス事業についてもコスト削減等の施策を検討してきた。2007年2月には、ニュージャージー州のCinnaminson工場の閉鎖を発表した。

北米の板ガラス市場は、住宅用ガラスが大きな割合を占めているため、近年の住宅市場の減速により、供給過多の状況が続いている。
同社製品は競合他社との差別化が難しい汎用品のフロートガラスに過度に依存していることに加えて、原燃材料費高騰によるコスト上昇により、事業採算は悪化を続けており、今回の構造改革に踏み切った。

既報の通り、米国の住宅着工件数は2006年1月の年率2,265千戸をピークに急降下し、本年3月は947千戸で、19913月の921千戸以来 17年ぶりという低迷状況である。回復の兆しは見えない。

旭硝子の2007年の地域別・事業別の売上高・営業損益の状況は以下の通りで、アメリカのガラス事業は赤字となっている。
欧州の高収益との違いが著しい。

地域・事業マトリックス 2007年                          単位:億円
  日本 アジア アメリカ ヨーロッパ 消去 合計
売上高 営業
利益
売上高 営業
利益
売上高 営業
利益
売上高 営業
利益
売上高 営業
利益
売上高 営業
利益

ガラス

2,792

68

949

63

1,475

-77

3,966

588

-521

-8

8,660

637

電子・ ディスプレイ

3,666

770

2,805

483

277

5

206

2

-2,303

-78

4,652

1,182

化学

2,189

80

877

48

166

-1

132

-5

-170

2

3,194

124

その他

835

36

60

3

4

-6

5

0

-28

-2

876

32

消去

-473

4

2

-1

-3

0

-6

1

-90

2

-569

0

合計

9,010

 957

4,692

 595

1,919

 -79

4,303

 586

 -3,111

 -85

16,812

 1,975

アメリカ地区全体の損益は2004年に赤字に転落し、その後赤字が続いている。
(2004年 -32億円、05年 -70億円、06年 -62億円、07年 -79億円)
売上高から考え、ほとんどがガラス事業の赤字と思われる。

ーーー

本ブログで米国の住宅着工件数の減少に着目したのは2006年11月である。(サブプライムローンについては2007年4月)

     2006/11/18 米国住宅着工件数、続落  

     2007/4/21 ニュースのその後 米国住宅着工件数、低迷続く 

当時は、これが米国経済にどう響くかについては、いろいろ意見があった。
しかし、これほどまでに住宅の低迷が続き、サブプライムローンの破綻を通じて、これほどまで実体経済に悪影響を与え、世界中に波及するとは誰も思わなかった筈である。

金融機関のサブプライムローンによる損失は増大しつつあるが、サブプライムローンの残高は1兆3000億ドルあり、住宅価格の下落でさらに損失が増える可能性がある。(日本の金融機関を含め、これまで発表している損失は確定したものではなく、その時点での評価損に過ぎず、貸し倒れが増えると損失は更に増大する。)

今後更にいろいろな面で悪影響が出てくる可能性が強い。


2008/4/23 BASF、遺伝子組み換え馬鈴薯の承認求め、訴訟も

BASFは欧州で遺伝子組み換え馬鈴薯 “Amflora”の販売承認の申請を行なっているが、承認が下りず、本年度の植え付けにも間に合わないことから、早期に承認が下りない場合は欧州委員会に対して法的行動も取る可能性を示唆した。

付記 BASFは7月24日、Luxembourg の欧州第一審裁判所に欧州委員会を訴えた。

欧州委員会は2010年3月、Amfloraの一般圃場での栽培を認めることを発表した。食用に使われることはないが、皮などの残渣が餌として家畜に提供されることは規制されていない。

Amflora は遺伝子組み換えにより、馬鈴薯に通常 20%ほど含まれているアミロースをなくし、アミロペクチンのみで構成されるでん粉を製造することができるもので、製紙などの産業用途に好ましい性質をもつとされている。

Amflora はBASFにより開発され、2003年に承認申請がなされた。

承認申請では、この馬鈴薯は食用ではなく、産業用途のみに利用されるとの制限が付けられている。(欧州ではでんぷん需要の56%が食品用で、製紙用は約25%を占める。)
ただし、でん粉を製造した後のパルプについては、動物の飼料として供給することが可能であること、さらに食品用にも0.9%の偶発的な混入がありうるとなっている。

欧州食品安全機関が科学的安全性評価を行い、2005年に「これらの製品による人類や動物の健康、環境に対してリスクがない」とし、環境への影響に関しては通常の馬鈴薯と同一であるとの結論を出した。

これを受けて欧州委員会は承認することを推奨したが、メンバー国の農相の過半数の賛成を得られず、規定により欧州委員会に判断を委ねられた。

しかし、本年3月に欧州委員会は結論を延期した。

本件に関し、環境保護団体からは、欧州食品安全機関による検討は生物多様性や生態系への影響について十分行われていないとか、GM作物を導入するより環境親和的な農法を導入するほうが経済的な波及効果が大きいなどとして、反対活動が行われている。

EUで商業的に栽培するのが認められている遺伝子組み換え作物は1998年に承認されたMonsanto のはトウモロコシだけである。

BASFは4月15日、EUのDimas 環境代表委員と面会したが、結論が得られなかった。

このため、BASFは4月17日、EUに対する公開文書を出し、発表した。

Amflora のようなアミロペクチンのみの馬鈴薯は欧州のでんぷん産業や農家に年に1億ユーロの付加価値を創出する。
遺伝子組み換え作物は既に世界で
12百万人の農民により 114百万ヘクタールの農地で栽培されているが、欧州ではたった10万ヘクタールである。
世界で競争するためには、欧州の農民が安全で革新的な技術を直ぐに使えるようにすべきだ。
欧州食品安全機関は
Amflora が不通の馬鈴薯と同様に安全としており、全ての科学的証拠が安全性を認めている。
Amflora は何年も前に承認申請をしている。EU2006年にこれの承認の推奨をしている。
しかし、全ての手続きが完了しているのに、
EUは昨年7月以降、これをペンディングにしている。
我々は再度、遅延無く承認手続を行い、
Amflora を承認するよう求める。

この発表の席上、「我々は欧州委員会に対して法的行動をとる用意がある」とのコメントがなされた。


2008/4/24 Rohm and Haas、サウジにアクリル酸のJV設立

Rohm and Haasは416日、サウジのTasnee and Sahara Olefins (TSOC)との間でJVを設立し、サウジのジュベイルでアクリル酸及びエステルを生産すると発表した。

設立するのはSaudi Acrylic Monomer Company で、Rohm and Haasが25%、TSOC が75%を出資する。
サウジのジュベイルで Rohm and Haas の技術でアクリル酸(年産25万トン)とエステルを生産する。2011年稼動を目指す。

製品は主にRohm and Haas の水性アクリル塗料等の原料に使用されるが、TSOCも製品の一部を湾岸諸国で販売する。

TSOCはサウジの私企業のTasnee Petrochemical とSahara Petrochemical のJVで、Basell(現 LyondellBasell )とのJVのSaudi Ethylene & Polyethylene Company (SEPC
を設立している。(Basell 25%、TSOC 75%)
ジュベイルにエチレン100万トン、プロピレン285千トン、HDPE 400千トン(Basell
Hostalen ACP process) 、LDPE 400千トン (Basell のLupotech T technology)のプラントを建設中で、本年末に完成の予定。

今回の原料のプロピレンはここから供給を受ける。

なお、Tasnee Petrochemical とSahara Petrochemical はそれぞれ別個に、BasellとのJVでプロパン脱水素によるPPプラントを建設中である。
このうちTasnee
JVはSEPCが完成すれば、プロピレンの供給を受けて、PPを増強する。

各社については 2006/5/13 サウジの民間ポリオレフィン計画

 

各社の関連は下記の通り。

なお、Sahara Petrochemical Company の親会社の Al-Zamil Group はSaudi International Petrochemical CompanySipchem)に出資している。同社はJubail で3段階で石油化学事業を計画している。

    2008/2/29 サウジ Sipchem の石油化学計画 


2008/4/25  中国政府、SinopecとPetroChinaに毎月損失補てん

中国政府は4月から毎月、SinopecとPetroChinaに対して石油精製の赤字の補填を行なう。

中国では石油製品の価格は政府が低く決めており、輸入原油を精製する場合は赤字となる。
Sinopecは原油価格がバレル当たり76ドルで精製事業がトントンであるとしており、115ドル/バレルを超える現在では大赤字となっている。

このため、中国政府はSinopecに対して、2005年に100億人民元、2006年には50億人民元、2007年は49億人民元、2008年第1四半期は74億人民元の赤字補填を行なった。
これに対し、自社原油の多いPetroChinaはこれまで補填を受けていない。

  
2008/3/21 Sinopec、政府から石油精製事業の赤字補填金受領

今回政府はSinopecのほかにPetroChinaに対しても、毎月赤字補填を行なうこととした。

付記  2008/4の補填額  71億人民元

これに加え、中国財務部はこのたび、SinopecとPetroChinaの輸入する石油類について、増価税(17%)の75%を払い戻すと発表した。

これらの処理により、原油価格高騰のなかで、石油製品価格の大幅引き上げなしに、供給の増大を図る。

 注  増価税については、企業は販売製品に対する増価税と購入原料等に対する増価税との差額を納付する。
従い、単に購入品に増価税がかからない場合は納付する税額が増えるだけで、企業にとってメリットはない。
今回の処置は、購入品に増価税を払った上で(販売品に対する増加税から控除)、相当額を利益として受け入れるのではないかと思われる。

付記 
Sinopecは7月初め、第2四半期分の
増価税(17%)の75%、25.1億人民元を受け取った。

中国国家発展改革委員会は6月20日、ガソリンやディーゼル油の価格を1トンあたり1000元引き上げた。値上げは昨年10月以来8か月ぶりで、上げ幅は16〜18%となる。航空燃料価格も約25%引き上げた。

Sinopec ではこれらを入れても赤字としており、第3四半期も継続を希望している。

 

参考 SinopecとPetroChinaの2007年の決算 

       2008/4/10  2007年決算 Sinopec 


2008/4/26 揺れる韓国サムスングループ

4月22日、三星(サムスン)グループの李健煕会長が退陣を発表した。
息子の李在鎔・三星電子専務はCOOの席を退き、海外勤務で白衣従軍(一兵卒に格下げ後、功を積んで元の地位を目指すという意味)する。
戦略企画室は解体し、李鶴洙副会長と金仁宙戦略企画室社長は、残務処理を終えた後、辞任して経営一線から退く。

今後はサムスン生命保険の会長がグループ代表となり系列企業社長団によるグループ合議制となるが、グループ司令塔の戦略企画室が廃止され、成長戦略が描けるかどうかが焦点となる。

付記

2010年3月24日、李健煕氏がグループ社長団会議の要請を受け、サムスン電子の会長に復帰した。

世界シェア首位のメモリーや液晶パネルで中国などの追撃を受け、「今後10年以内にサムスンを代表する製品は大部分無くなる」と危機感を示し、新規事業育成に注力する。

付記

サムスングループは2010年11月19日、過去に設置していた戦略企画室に当たるグループ組織を復活させた。
李健煕会長が中国出張から帰国し、グループの組織の復活を指示した。

李会長は「21世紀の変化は予想を上回るほど急で著しい。サムスンは過去10年間にわたり、21世紀の変化に備えてきたが、今後の変化を考えると準備が不足している。未来に備えるためには、グループ全体の力を結集し、人材も入れ替えなければならない」と指示したという。

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200710三星グループの法務チーム長を3年前に退職した金勇K弁護士が「自分が知らない間に開設された銀行口座に50億ウォン(約6億3200万円)を超える現金や株式が預けられていた」と証言し、同グループが借名口座を使って裏金をプールしている疑惑が浮上した。
金弁護士はさらに三星グループが1兆ウォンもの裏金をプールし、2002年の大統領選の資金を提供したり政治家や判事・検事などに特別手当を支給するといったロビー工作を行っていたとも証言した。

これを受けて「三星グループの裏金疑惑に関する特別検事任命法案」が国会で大多数の賛成で可決成立され、特別検事による捜査が2008年初めから開始された。

News Week 2007年12月10日号は、Dark Days For The Empire」というタイトルで、Republic of Samsung を解体し、Korea Inc. の姿を変えようとしていると伝えた。

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特別検察官チームは4月17日、李健熙・三星グループ会長を背任と脱税など3つの容疑で起訴するなど、前・現職の三星幹部10人を書類送検した。

第一の容疑 経営権継承疑惑

李健熙会長が長男の李在鎔に経営権を継承する過程で、三星エバーランド(ソウル南方の龍仁市にあるテーマパーク運営:事実上の三星グループ持株会社)の転換社債の97%を長男に配分し、不当に安い価格で引渡し、エバーランド側に少なくとも969億ウォンの損害を与えたというもの。これにより、李在鎔はエバーランドの25.1%を所有し筆頭株主となった。

李健煕会長と副会長ほかに特定経済犯罪加重処罰法上の背任が適用された。

第二の容疑  裏資金疑惑

李会長ほかが、三星生命の2兆3000億ウォンを含め、4兆5000億ウォンの資金を隠し、1,199の借名口座を利用して、系列会社の株を売買して得た差益5,643億ウォンに対する譲渡所得税1,128億ウォンを脱税した容疑で特定犯罪加重処罰法上の脱税が適用された。

第三の容疑  不法ロビー疑惑

政官界および法曹界を対象にした疑惑については、金勇K弁護士の供述に信憑性がないか、または嫌疑が発見できなかったなどの理由で、内部捜査を終結させた。
また、三星の債券が2002年の大統領選挙資金や最高権力層に提供されたという疑惑を立証する証拠も発見できず、三星重工業などの粉飾会計疑惑も嫌疑をつかめずに終結させた。

付記

ソウル中央地裁は7月16日、李健煕 前三星会長に対し、懲役3年、執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約110億円)を言い渡した。

エバーランド転換社債(CB)発行・三星SDS新株引受権付社債(BW)発行に関する容疑については無罪を認めた。
エバーランドCB発行関連容疑(特定経済犯罪加重処罰法上背任)については「犯罪の証明がない」とし、
三星SDSのBW発行関連容疑については公訴時効を理由に無罪を宣告した。

しかし脱税容疑の一部と証券取引法違反容疑については有罪と判断した。
借名保有株式の取引と関連し、譲渡所得税4,656億ウォンを脱税したと判断した。 しかし「借名株式の規模を減らしている途中であり、株式の売買を通じて財産を増やそうという不正な行為があったという証拠もないため、重い犯罪に該当するとは考えにくい」とした。

李鶴洙前副会長に対しては脱税で懲役2年6月、執行猶予5年、罰金740億ウォン
金仁宙前社長は懲役3年、執行猶予4年、罰金740億ウォン、
崔匡海前戦略支援チーム長は懲役3年、執行猶予4年、罰金400億ウォンの宣告を受けた。
玄明官前秘書室長と柳錫烈三星カード代表は無罪となった。

 特別検事は、「判決の法理と量刑ともに受け入れることはできない。 控訴する」と述べた。

付記

2009年5月29日、韓国の最高裁判所は李健煕・前三星グループ会長が長男の李在鎔サムスン電子専務に、グループの事実上の持株会社のエバーランド転換社債を安値で発行し会社に損害をもたらした背任容疑に対し、無罪を宣告した原審を確定した。

判決では、「エバーランドの転換社債は当初、株主割り当て方式で募集されたと認められ、転換価額が必ずしも時価を考慮した適性価額でなくても、取締役としての背任行為があった とは言えない」と判断した。
また、「発行された転換社債の引き受けを株主が放棄し、権利消滅した部分の引き受け権を李在鎔氏ら第三者に与えたとしても、これは単一の機会に発行された転換社債と見なし、転換価額を調整しなくても業務上背任罪には当たらない」と指摘した。
意見は6対5と僅差で、少数意見を示した判事は「株主がエバーランドの転換社債の大半を引き受けなかったとすれば、会社は社債発行を中断すべきだった」とした。

しかし李前会長が三星SDSの新株引受権付社債を自分の子供に安値で発行し会社に損害を与えた容疑に対しては無罪を言い渡した原審を破棄し、事件をソウル高裁に差し戻した。
三星SDSの新株引受権付社債発行は株主割り当てではなく、第三者割り当て方式で、時価よりも安く新株を発行した場合、差額分は背任となるとした。

李前会長の脱税容疑も破棄され、差し戻された。

付記

2009年8月14日、李健熙前会長の差し戻し審判決で、ソウル高裁は、関連会社であるサムスンSDSの新株引受権付社債を不当に安く発行したとして懲役3年、執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約85億円)の判決を言い渡した。
李氏側は上訴するかどうか検討するとしている。

高裁は背任による損失額を227億ウォンと認定した。損害額が50億ウォンを越えることになり、特定経済犯罪加重処罰法上、背任容疑が認められ、控訴時効10年が適用されて有罪が決定した。
しかし、被害額がみな回復し、李前会長がサムスンSDS発展に寄与した点を考慮して、有罪判決にもかかわらず、執行猶予を宣告した原審から刑量を増やすことはなかった。

付記

2009年12月29日、韓国政府は執行猶予付きの刑が確定している李健熙前会長を31日付けで特別赦免すると発表した。
国際五輪委員会委員の資格を回復させ、2018年冬季五輪招致に弾みをつけるためとしている。

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特別検察官は書類送検とした理由として、「この事件は、財閥グループの経営および支配構造を維持する過程で長期間内在し黙認されていた不法行為を、現時点で厳格な法規定で裁断し、犯罪として処断するものであり、典型的な背任および脱税犯罪とは異なる面がある」、と述べた。
  「大株主が株式を一定以上保有することができないように規定されている。そのため経営権を守るためには、借名口座をつくるほかない状況が生じる」と、三星に同情的である。

三星側も李会長の脱税容疑について、「今回、問題になった部分は、基本的に経営権の保護と防御のための持分分散の必要性から起ったことであり、一般的な脱税事件の動機や過程、内容とは異なる」と釈明した。

財界にも、「1987年に李健煕会長が三星グループ会長に就任した当時は、社会全般に大企業に対する否定的な見方が多かったうえ、とくに大株主の持分に対する規制継続して強化されていた状況だった」、「李会長が脆弱な持分構造のもとで、経営権保護や防御のために借名ででも持分を確保することが切実な状況であったという事情もあった」とする見方がある。

財界では、今回の事件を契機に「経営権問題」に対する企業側の現実的な苦慮を理解し、関連法令の見直しを求める声が強まっており、特に、「相続税を納めるためには相続を受けた株や不動産を売却しなければならない場合が多く、経営権の維持さえも脅かされている」として、相続税の改正求める声も出ている。

韓国の相続税率は世界で最も高い50%で、大企業の支配株主の経営権に対する割増税率を含めると、最高65%に達する。

なお三星は、李会長の4兆5千億ウォン規模の借名口座の財産を実名に転換し、未払いの税金を納付後、残額は社会貢献などに充てる方針を打ち出した。


2008/4/28 ダノン/ワハハのその後 ー 宗慶後会長の脱税事件

ワハハの宗慶後会長は16日、所得税の支払いについて調査を受けていることを明らかにした。

同氏によると、税務当局は昨年11月から宗会長とワハハについて調査を行なっており、同氏は調査に協力している。
パートナーのダノンがシンガポールで同氏にサービスフィなどを払った際に、ダノンが約束していた税金の支払いをしていないことを知って、昨年後半に税金と遅延税を支払ったとしている。

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しかし、別の報道では話は異なっている。

昨年8月に税務当局に、宗会長が国内、国外所得の大部分を隠しており、所得税を正しく申告していないとの密告があった。
税務当局は杭州の当局に調査を指示した。

調査の結果、ダノンとワハハがJVをつくった1996年から2006年までの間にダノンは宗会長に対して、サービスフィや海外子会社株式供与などで合計71百万ドルを支払った。宗会長の要請で、これらのうち50百万ドルは宗会長名義で、残りは婦人や娘の名義で、香港の銀行に振り込まれた。宗会長はこれらについて、中国、香港やダノンの支店のあるシンガポールのいずれでも税金を払っていない。
脱税額は3億人民元(約45億円)に達するといわれている。

調査の開始後、宗会長は2億人民元以上の税金を支払った。
中国の税務当局は著名な事業家の宗会長に対する訴訟はまだ行なっていない。未払税金がいくらかを協議しているという。

ダノンとの争いで、宗会長はフランスの巨人と戦う中国の地方事業家として同情を得ていた。中国が企業の責任、納税義務を強調している今、この脱税の報道はワハハに不利に働くとみられている。

この密告はダノンによるものとの噂が一部に流れている。

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ワハハとダノンは昨年12月に、「中国政府とフランス政府の期待に沿い、両社は対立を終え、和平交渉に戻ることで合意した」との共同声明を出した。両社は2ヶ月の交渉期間を決めた。

     2007/12/23 ダノンとワハハ、和解交渉へ  

両社は解決策として3つの案を考えた。
@JVとその他のワハハ子会社を統合し、上場する。
Aダノンが持株をワハハに譲渡する。
Bワハハが持株をダノンに譲渡する。

しかし、いずれも株の評価で合意に達しなかった。

交渉期限は1ヶ月延長して3月20日としたが、まとまらず、更に4月10日まで延長された。

しかし、4月10日までに合意に達せず、休戦期間延長の合意もされずに終わった。

 

ダノンとワハハの構想が長引き、特に将来の中国戦略の絵が描けないダノン側にあせりが強い。

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付記

Hangzhou Intermediate People's Court 730日、昨年12月のarbitration を支持し、Wahaha Group がブランドのオーナーであると認めた。

Danoneは「裁判所は手続的にレビューしただけで、事実の正確性や適法性、法の適用などの実質的なレビューをしていない」とし、 調停としてはファイナルだが、上位の裁判所に問題を提起するとした。また、来年1月にストックホルムの調停も始まるとしている。


2008/4/29  Ineos の製油所がスト突入、原油パイプラン停止

スコットランドの Edinburgh 西部にあるGrangemouth 製油所で4月27日、労働者1,200人が年金をめぐり2日間のストライキに突入した。
同製油所からの電力と蒸気の供給が止まったため、BPは北海油田のForties Pipeline を停止した。
英国でストによって製油所が閉鎖したのは、過去70年以上で初めて。
これを受けて原油価格は値上がりした。

Grangemouth 製油所は2005年にIneos がBPから買収したInnovene のもので、能力は日産20万バレル、英国のガソリンとディーゼル油の10分の1を生産し、スコットランドや北アイルランド、イングランド北部へ石油を供給している。
フル稼働に戻るのに3週間が必要とされる。
スコットランドのガソリン需要の10日分をまかなう65千トンの燃料がタンカーで大陸から輸送される。

Forties Pipeline は日量70万バレルを送油し、英国の石油・ガスの約4割を供給、国際市場へも原油を供給している。
パイプラインの一時閉鎖は50の北海油田の停止につながり、1日当たり約100億円の経済損失をもたらす。
製油所のストライキ解除後は、パイプラインも再開するが、「一度止めてしまうと、完全に復活するには時間がかかり」影響は長引く可能性がある。

付記
ストライキは2日で終り、29日に製油所が再開、すぐに電気と蒸気が送付され、パイプラインが動き始めた。
週末には完全復活する予定。

Ineos は製油所のストライキ予告を受け、4月24日に同地にある石油化学プラントを全面停止した。
同地には年産72万トンと32万トンの2系列合計104万トンのエチレンプラントがある。1ヶ月程度停まる可能性があるとしている。

ストライキは今後採用される社員に対する新しい年金制度に関して起こった。組合との交渉は4月23日に決裂し、その後の予定はない。
会社側は現在の年金制度(社員側の積み立てなし)の負担は労務費の25%に達し、寿命が延びる現在では維持不可能とし、今後必要な12億ドルの投資をするためには新制度が必要であるとしている。


2008/4/30 2008年1-3月国産ナフサ基準価格

2008年1-3月の国産ナフサ基準価格は66,700円/kl となり、前期の61,600円(史上最高)を大きく上回った。

最近の輸入ナフサの通関価格は以下の通り、上昇を続けている。(円/kl)

  通関価格 平均 国産ナフサ
基準価格
07/10   56,744   59,560   61,600
07/11   59,037
07/12   62,850
08/1   65,961   64.653   66,700
08/2   64,562
08/3   63.597

しかし、最近の価格は更に上昇している。

この東京市場オープンスペックナフサは2ヶ月後の入着である。従って、現在の円高が続くと仮定しても、今後の国産ナフサ基準価格は更に上昇するものと思われる。

3月期決算では原料価格高騰を受け、従来の予想を下方修正する会社が増えているが、今後より一層厳しさが増すものと懸念される。


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