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2009/1/16 サウジを特恵関税対象国から除外

財務省は2009年度からサウジアラビアを特恵関税対象国から除外する。

特恵関税は所得水準の低い国の輸入品に通常より安い税率を課す制度で、世界銀行の統計で高所得の国に含まれないなどの基準に該当する141カ国・14地域からの輸入品が対象となっている。

サウジは直近の2006年の1人当たり所得が13,980ドルとなり、世銀の水準(約1万ドル以上)を3年連続で上回った。

2007/3 財務省告示
当該年度の前年までの3カ年の世銀統計において、同期間中連続して「高所得国」に分類されている国・地域を特恵適用除外とする。

なお、このほかに、輸入品目別に適用除外とする措置(部分適用除外措置)があり、サウジアラビア産のエチレングリコールが特恵関税の部分適用除外品目となっている。(中国のソーダ灰もこれに含まれる)

過去には2000年度から韓国、台湾、シンガポールが除外されている。
また、
マレーシアは、2006年7月13日の日本・マレーシア経済連携協定の発効に伴い、特恵対象国から外れた。

日本の特恵関税措置の内容は以下の通り。

  農水産品 鉱工業産品
対象品目 特定の品目を選定し、その品目に対して特恵関税を供与。約340品目 石油、毛皮など一部の例外品目を除き、原則としてすべての品目に特恵関税を供与。約3,200品目
特恵税率 個々の品目ごとに一般の関税率より引き下げ
1) 原則として無税
2) ただし、シーリング対象品目は無税または一般税率の20%、40%、60%、80%
特恵停止方法 エスケープ・クローズ方式: 国内産業に損害を与える等の場合に、政令で特恵適用を停止
1) エスケープ・クローズ方式:同左
2) シーリング方式:年度当初に一定の品目ごとに特恵適用限度額または限度数量を設定。それを超えた場合には自動的に特恵適用を停止

このうち、プラスチック類(項名31)の最近の実績は以下の通り。(単位:千円) 

  2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度
付記 年度合計
付記
2009年度
タイ   4,277,195 3/16  4,034,247 11/16  4,239,067 1/16  4,681,324 1/16  6,265,393 11/18  4,316,912
サウジアラビア  4,108,413 12/16  4,221,953 11/16  4,343,870 10/17  4,648,994 10/16  4,915,918 9/17
マレーシア  2,317,071    2,794,074     824,819 7/13*    −      −  
中国  1,563,117    2,179,648    3,520,153    4,361,159    3,884,008   3,125,445
フィリピン   220,322     232,780     296,235     241,304     152,194  
インド   199,771     699,694     328,592     191,800      162,763   100,943
ブラジル    3,150      23,110      50,368     109,930      105,082   36,395
インドネシア    7,707      26,209      26,965      26,173      6,321  
ベトナム    8,177      35,062      29,812      21,053      61,353   17,471
ルーマニア    40,910      44,245      33,699            
トルコ     210                    
イラン        3,173                
合計  12,746,043   14,294,195   13,693,580   14,281,737   15,553,032   7,597,166
シーリング枠 18,468,156   19,022,200   19,592,867   20,180,653   20,786,073   22,051,945
国別限度額    20%      20%      20%      20%      20%   20%

付記

2009年4月から、フィリピン、インドネシアからの輸入関税がEPA(経済連携協定)の発効で無税となり、特恵適用国から外れた。

 

日本の特恵関税制度は2001年度に大幅に変更された。プラスチック類では以下の通り変更された。

  変更前 2001年度以降
シーリング枠 毎年6%増加 毎年3%増加
国別限度額 全体枠の25% 全体枠の20%
特恵税率 無税 一般税率の20%

このほか、国別限度の管理が日別管理から月別管理に変更された。
従来は限度枠を超えると、翌日には特恵停止の手続きがとられ2日後に停止となっていたが、月内は枠を超えてもそのままフリーとなる。
停止手続きに約半月(10営業日)かかるため、翌月中旬に停止となる。


2009/1/17 LG化学、GMに電気自動車用バッテリー独占供給へ

LG化学は113日、「2010年に発売予定のGMの電気自動車 シボレー・ボルト(Chevy Volt) に搭載されるリチウムイオン・ポリマー・バッテリーを供給する唯一の企業として選ばれた」と発表した。

LG化学が独占供給するのは2010年後半から15年までの6年間。GMがこの期間に30万台の電気自動車を製造した場合、LG化学は2兆ウォン(約1320億円)の売り上げとなる見込み。

LG化学が供給するバッテリーは、サイズが180cm、重さ180kg、電力量 16kw/h の中大型リチウムイオン・ポリマー・バッテリーで、「円筒形ではなく四角形の封筒型パウチタイプで爆発の危険も少なく、表面積も広いため熱の排出も容易なことから寿命も長い」と説明している。

付記

LG Chem の米国子会社Compact Power 86日、ミシガン州Troy に車載用リチウムイオン電池工場を新設する方針を明らかにした。 → ミシガン州Holland (ミシガン湖畔)に変更
3億〜4億ドルを投じて電気自動車 25万台分の工場を建設、2013年稼動を目指す。
オバマ政権の
24億ドルの補助金から151百万ドルを受ける。

同社はGMから2011年にデビューするBuick のプラグインハイブリッドカー(ガソリンと電気を動力源とし、家庭用電源からの充電が可能なハイブリッド車)用のバッテリーパック供給の指名を受けた。

GMが来年発売する予定のコンパクトカーのChevrolet Volt はこれとは異なり、常時電気モーターで走行し、小型のガソリンエンジンは走行ではなくバッテリーを充電するために使用する。

ーーー

GMは2007年1月のデトロイトモーターショーでChevy Volt のコンセプトモデルを展示、2008年9月16日、創立100周年記念式典で市販モデルを発表した。デトロイトで開催中の「北米国際オートショー2009」に量産型モデルを出品している。

ドアのFFセダンで、トヨタのプリウスとほぼ 同サイズだが、ボルトのほうが全幅は約75mmワイドで、全高は約60mm低い。

最大の特徴は、家庭用コンセントで充電できるプラグインハイブリッドカーという点で、最大出力16kWの大型リチウムイオンバッテリーを搭載してお り、プラグを差し込んでおけば、240Vコンセントでは約3時間、120Vコンセントでは約8時間で充電が完了する。

フル充電時の最大航続距離は40マイル、最高速度は約161km/h。

プリウスとの違いは、プリウスが駆動用エンジンを搭載しているのに対し、バッテリー充電専用のエンジンを搭載している。
バッテリー残量が少なくなると、発電用の小型エンジンが始動して充電が行われ、航続距離は数百マイル伸びる。

GMは2007年にバッテリーとその組立について、2チームと開発契約を締結した。

ひとつはLG化学とその米国子会社のCompact Power で、 陽極にマンガンスピネルを使用する。

もうひとつは
2001年にマサチューセッツ工科大学からスピンアウトした A123Systems と、ドイツを拠点とする自動車部品サプライヤー大手のContinental Automotive のチームで、Nanophosphate(リチウムフェライトを使用、粒子をナノレベルまで小さくしたもの)を使用する。

GMは最終的にLG化学を選んだ。

LG化学はソウルの90km南方の梧倉(Ochang )に730百万ドルを投じて新工場を建設する。
GMは当初は電池の組立を
Compact Power に委託するが、ミシガン州の自社工場完成後は自社で行う。

ーーー
LG化学は現代自動車が今年7月から生産を開始する Hybrid Avante などにも、同バッテリーを供給することになった。

LG化学では世界のハイブリッドカーと電気自動車の市場は年率47%で伸びており、2008年の510百万ドルから2012年には2,300百万ドルになると見ている。

付記

LG化学は6月10日、忠清北道梧倉産業団地の梧倉テクノパークで電気自動車用バッテリー工場の起工式を挙行した。

LG化学は2010年上半期中に工場を完成させ、7−9月から現代自のアバンテ・ハイブリッドと起亜自のフォルテ・ハイブリッド向けにバッテリーを供給する。また、2010年11月からはGMの電気自動車、シボレーVOLTにもバッテリーを供給する。

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工場は2011年4月に完成、4月6日に大統領も出席して式典が行われた。

年間10万台の車にリチウム電池を供給する。

LGは同地に第2工場と第3工場を建設しており、建設中の米国ミシガン州ホランド工場まで合わせると、2013には35万台以上の電気自動車に電池を供給する生産能力を備えることになる。


2009/1/19 三菱レイヨン、アクリル繊維事業の構造改革

三菱レイヨンは1月16日、アクリル繊維事業の構造改革に伴い、第3四半期に130億円の特別損失を計上すると発表した。

同社は湿式、乾式の紡糸技術を有し、短繊維と長繊維を生産する、世界で唯一の総合アクリル繊維メーカー。

主原料アクリロニトリル価格の上昇、及びそれに伴う世界需要の減少傾向(安価なボリエステル素材への需要のシフト)に伴い、近年赤字経営を余儀なくされてきた。

付記

日本化学繊維協会は1月21日、2008年の化学繊維生産の概況(速報)を発表した。
それによると、アクリル短繊維の生産は144,969トンで前年(236,350トン)の61.3%と大幅減少となった。

このような環境下、同社はこれまで、原綿価格の引き上げ、高付加価値素材比率の向上、並びに減産を強化して対応してきたが、現状のままでは中長期的にも大幅な収益回復は困難と判断し、アクリル繊維事業の構造改革の総仕上げとして、原綿生産の縮小実施及び特別損失の計上にいたったもの。

内容は以下の通り。

(1)大竹事業所
 レギュラー品種の生産能カを大幅に縮小し、競争優位性の高い付加価値品を拡大する。
   原綿生産能力は13万トン規模から5万2千トン規模に縮小
   炭素繊維用プレカーサー製造設備への転換を加速、
    ANからブレカーサー、炭素繊維、プリブレグ、複合材料、製品加工までのANチェーンの更なる強化に邁進

(2)中国の寧波麗陽化繊有限公司
 寧波麗社は、徐々に減産を強化してきたが、抜本的改革(撤退)を早期に実施すべく、共同出資者と協議中

付記
2009年5月以降、生産を休止していたが、再開は困難と判断。
三菱レイヨンは同社を100%子会社とした上で、
出資持分を南通中新毛紡印染有限公司及び香港科基有限公司(Fordking Ltd)に譲渡した。(2009年12月に中国当局から承認を得た)
特別利益約14億円を計上する。

なお、同社は第2四半期にインドネシアにおけるアクリル繊維紡績事業からの撤退に伴い、損失見込み額 4,352百万円を計上している。

インドネシアの紡績会社P.T.VONEX INDONESIA の保有全株式(97.3%)をインドネシア人実業家Choi Wijaya氏に売却し、インドネシアに於ける紡績事業から撤退する。

同社は1974年に設立され、1990年代以降、日本市場への紡績糸の供給基地として大きな役割を果たしてきた。
しかし、日本産地の縮小により糸需要が減少し、業績が悪化した。
Vonex社の旧来の取引先で2.7%を所有(2008年3月に双日から取得)するChoi Wijaya氏に売却する。

ーーー

同社の2008年〜2010年の第6次中期経営計画では「AN系事業の事業構造改革」をうたっている。

AN系事業の戦略としては@アクリル繊維の構造改革を行い、A炭素繊維の垂直展開と水平展開を図るもの。

@アクリル繊維の構造改革
  ・アクリル繊維からプレカーサ生産設備への転換加速
  ・アクリル繊維のダウンサイジング

A垂直展開と水平展開
  ・ANモノマー〜プレカーサ〜炭素繊維・複合材料までのチェーン展開の強化
  ・炭素繊維・複合材料事業の北米、欧州展開での強化
  ・炭素繊維の焼成能力のスケールアップ

中期計画でのAN系事業のグループ設備能力は以下の通り。 (トン/年)

製品   日本 中国 北米・
カナダ
英国 年度末計
アクリロニトリル 07年度末 大竹 200,000        200,000
08-10年度新増設          200,000
アクリル繊維 07年度末 大竹 132,000   50,000      182,000
08-10年度新増設  -50,000-80,000      132,000
炭素繊維 07年度末 豊橋 5,400     2,000    750    8,150
08-10年度新増設 大竹 2,700         10,850

今回の構造改革では、
 大竹のアクリル繊維を132千トンから52千トンに縮小、プレカーサー設備への転換を加速する。
 中国からは撤退の方向。

参考 炭素繊維の世界シェア (2007年:約35千トン)

東レ   34%
東邦テナックス(帝人)  19%
三菱レイヨン  17%
Hexcel Corp米)   5%
Cytec米)   5%
台湾プラスチック    3%
その他  17%

  2008/12/26 日本経済新聞

付記

三菱レイヨンは9月16日、Cytec Engineered Materials Inc.と航空機に用いられる炭素繊維複合材料の開発および、開発材料の供給に関する戦略的事業協力を進めることに合意したと発表した。
両社は航空機構造材料市場で求められる高性能炭素繊維複合材料を開発し、その製造技術を共有するとともに、航
空機産業界への先端複合 材料の安定供給を目指す。

CEMは、三菱レイヨンの高性能炭素繊維の製造技術とその供給力を活用。
三菱レイヨンはCEMの航空機用先進樹脂・中間材料についての技術と長年の航空機用材料の設計・納入に関する経験を技術力向上に活かす。

ーーー

中国の寧波麗陽化繊有限公司浙江省寧波市でアクリル繊維の製造販売を行う会社で、2003年3月に総投資額1億ドルで設立された。
出資は
三菱レイヨン55%、三菱商事10%、伊藤忠 10%、丸紅 10%寧波連合投資控股有限公司 15% となっている。

アクリル繊維はセーター・肌着・靴下・縫いぐるみなどの衣料及び雑貨品や毛布・カーペットなどのインテリア寝装品等々の幅広い分野に使用されており、中国の国内需要は2002年で約96万トンであり、WTO加盟もあって再加工輸出も含め需要量は2005年には105万トン程度に達すると見込まれていた。
三菱レイヨンは世界のトップメーカーを目指し、事業基盤強化及び収益力の向上のため、中国政府に設立を申請した。

繊維事業においてアクリル短繊維はコア中のコア事業であり、アクリル短繊維最大市場である中国を中心に「アジアにおけるプレゼンスをさらに高めていく」としていた。

2006年11月に三菱レイヨンの繊維事業部門長は以下のように述べている。
「世界のアクリル総需要が約250万トン、うち中国の需要が120万トンですから、やはりアクリル繊維に関しては、主戦場は中国市場です。ここで勝ち抜かないと、どうしようもない。」

2005年末から湿式アクリル短繊維「ボンネル」(能力:50千トン/年)の商業生産を開始した。
2008〜09年頃には更に50千トンの増設を考えていた。

しかし中国の需要は2006年に入り、減少に転じた。

減少理由として以下の点が挙げられている。

・原料高による製品価格高が川下企業の消費意欲を減退させた
・製品リニューアルの遅さが末端需要の動きを鈍くさせている
・人民元切り上げ等の要素が繊維品の輸出に影響を及ぼした
・改質ポリエステルや新しい複合繊維によるアクリルの代替が進んだ

寧波麗陽では徐々に減産を強化してきたが、撤退を検討する。

 


2009/1/20 BASF、韓国のBDO、THFプラントを永久停止

BASFは15日、韓国蔚山の1.4ブタンジオール(BDO) テトラヒドロフラン(THF) プラントを永久停止すると発表した。
両工場ともに昨年8月から需要不振で停止していたが、現状では競争力ある価格での生産が出来ないとして永久停止を決めた。

蔚山のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEGBASF商標ではPolyTHF) はBASFの他のプラントからTHFを供給し、生産を継続する。
蔚山の
PolyTHF は高級スパンデックス用の標準グレードと、接着剤、塗料、熱可塑性エラストマー用の特殊グレードを持つ。

同社のこれら製品の製造は下記の場所で生産されている。

付記

BASFは2012年8月27日、 製造能力を、世界全体で年産185,000トンから250,000 トンまで増強したと発表した。

  BDO THF PolyTHF  
Ulsan (Korea)  ○→X  ○→X  ○ 今回 BDOTHF停止
Ludwigshafen (Germany)  ○  ○  ○  
Feluy (Belgium)  X     2005年停止
Geismar (USA)  ○  ○  ○  
Caojing (China)  ○  ○  ○  
Kuantan (Malaysia)  ○  ○   BASF Petronas
千葉  ○     BASF千葉:BASF 67%(当初は50/50の出光BASF
四日市    X  X 2006年停止

蔚山工場は三菱化学のブタジエン法BDOTHFの技術のライセンスを受けており、三菱化学は製品の一部を引取る契約をしている。

上海Caojing 工場はBASFの独自の新技術でBDOを通さず直接ブタンからTHFを製造する技術を採用した。
しかし、技術的問題から
THF プラントを停止させ、その後改造してブタン→無水マレイン酸→BDOTHF とした。

他のBDOプラントは一般的に使われるアセチレンとホルマリンを原料とする方法を採用している。

ーーー

韓国BASF BASF Company Ltd.)はBASF 100%で、199812月に韓国BASF ウレタン、韓国BASF StyrenicsBASF KOREA が 合併して誕生した。

蔚山(3プラント)、安山、麗水、群山に工場を持ち、スチレン系樹脂、ポリウレタン、化学品・機能製品(PolyTHFなど)、ファインケミカルを製造販売している。

同社は群山でリジンを製造していたが、2007年にリジン事業を止め、工場を停止した。BASFのNutrition 事業のうち、リジンは唯一のアミノ酸で、今後は非アミノ酸事業に集中する。


2009/1/21 金融危機の原因は中国の高貯蓄率か

金融危機の原因は中国の高貯蓄率であるという米国の論調に対し、中国で猛烈な反発が出ている。

発端は昨年1225日付の New York Times の記事「Chinese Savings Helped Inflate American Bubble」である。
  
http://www.nytimes.com/2008/12/26/world/asia/26addiction.html

2005年3月に Bernanke (2006年にFRB議長に就任)は、「問題はアメリカ人が金を使いすぎることではなく、外国人が貯めすぎていることだ。中国人は余分な貯金を積み上げ、米国に低利で貸し、アメリカ人の消費を助けている。」と述べた。

過去10年で中国は1ドル以上(大部分は製品の輸出収入)を米国に投資してきた。これが米国の金利を引き下げ、消費意欲を高め、住宅バブルを引き起こした。

Bernanke は今、もっと金融機関を規制し、中国を含め投資の洪水がまずい使い方がされるのを防ぐべきであったとするが、しかしFEDの銀行規制には限度があり、規制をもっと厳しくしていても十分ではなかっただろうと述べている。

アメリカは中国からの投資を21世紀版の鉄道建設に使わず、政府はイラク戦争に、国民は緩い信用調査を利用して高価なSUVや大きな住宅を買うのに使った。金融機関はより高い利潤を求めて、リスクのある投機に走った。・・・・・

1月2日付けのFinancial Times は「Paulson says excess led to crisis」と題し、任期終了を迎えるHank Paulson 米財務長官とのインタビューを載せた。
  
http://www.ft.com/cms/s/0/c56df5aa-d86f-11dd-bcc0-000077b07658.html 

国により異なる貯蓄と消費の違いが金の余剰と不足を生み、この世界経済の不均衡が金利を押し下げ、投資家をリスキーな資産に向けさせた。

今回の危機に先立つ何年もの間、中国や石油輸出国のような急成長の途上国の余剰資金が、金利を引き下げ、リスクを広めた。

これがグローバルなバブルの種となり、米国のサブプライム市場を超えて拡大し、悲惨な結果を生んだ。

 

人民網日本語版は早くも1月8日に、「『金融危機の原因は中国の高貯蓄率』は責任逃れ」と題する反論記事を掲載した。
   
http://j.people.com.cn/94476/6570538.html

ニューヨークタイムズやPaulson 米財務長官のロジックは全くのでたらめとしか言いようがない。

中国が米国の債券を買っていたというのは事実だ。だが問題は中国のせいと言うよりは、ウォール街の金融機関が作り出した卑劣なトリックのせいだろう。

今回の危機は基本的には信用危機であり、ウォール街や米国の信用に起こった問題だ。
米国人の過剰な消費や金融市場の過度の発達、金融監督の甘さ、財政赤字と経常赤字の双子の赤字などが危機の根源となった。

現在の危機は世界の経済不均衡と確かにつながりを持っている。この不均衡の原因は一概には言えないが、米国を代表とする先進国の経済構造に大きくかかわる。
世界一の経済大国である米国が巨大で急速に増加する経常赤字を抱えていたことは根本的原因の一つになった。
欧米諸国の過剰消費や貯蓄不足、ハイテク製品の輸出制限なども重要な原因の一つだ。

現在のこのような合理的でない不均衡システムに対しては、発展途上国は早くから変更を希望していた。だが既存の国際的な経済や貿易のシステムは先進国の 主導で動かされている。

米国はカギとなるこの時期、他国の貯蓄率の高さを非難するようなことをやめ、勇気を出して自らを検討し、持続不可能な経済モデルに適切な調整を加え、財政赤字を抑え、貯蓄率を高めなければならない。さもなければ、米国自身の利益を損なうばかりでなく、国際社会の共同利益も損なってしまうことになる。 

張健華・中国人民銀行研究局長はPaulson 米財務長官の発言を批判し、これは極めて愚かな、無責任なものであり、gangster logic’であるとしている。


2009/1/21 SABIC業績速報

SABICは20日、第4四半期の業績を発表した。

SABIC業績                (単位:10億SAR)
      4Q      年間
2008 2007 前年比 2008 2007 前年比
Gross profit  3.51  13.35  -74%  48.1  47.73  
Operating profit  1.61  11.11  -86%  37.27  41.0   -9%
Net profit  0.311   6.87  -95%  22.0  27.0  -19%

2008/3QのNet profit は7.24 billion SARで、4Qはこれに対して-96% となっている。

第4四半期の業績悪化の原因は、金融危機、経済危機による需要減少と、それに伴う石油化学製品の価格下落で、特に自動車や建築分野での石化製品の需要減がサウジ国外のSABIC関連会社の業績に強い影響を与えたとしている。

(1SAR は約24円)


2009/1/22 DOWAエコシステム、東南アジアの廃棄物処理会社を買収

DOWAホールディングスの100%子会社のDOWAエコシステムは1月20日、東南アジアの廃棄物処理会社 Modern Asia Environmental Holdings Inc.(MAEH)の全株式を投資ファンドから譲り受ける契約を締結した。

DOWAホールディングスは2006年10月に同和鉱業が持株会社制を導入して改称した。
主要事業会社は5つで、DOWAエコシステムはその一つ。

 DOWAメタルマイン:貴金属銅事業、亜鉛事業、レアメタル事業、リサイクル事業
 DOWAエコシステム:廃棄物の収集・運搬、減容化・無害化する中間処理、最終処理までの一貫したリサイクル事業
 DOWAエレクトロニクス:半導体、電子材料、磁性材料
 DOWAメタルテック:金属加工事業、めっき事業
 DOWAサーモテック:熱処理加工事業、熱処理加工事業

DOWAエコシステムは、近年日本国内において最終処理施設を機軸として、廃棄物の中間処理事業→土壌浄化事業→リサイクル事業へと展開し、急速に成長してきた。

MAEH社は、2000年に米国の大手廃棄物処理会社Waste Management, Inc の海外部門の元社員が設立した会社で、東南アジア3カ国、4拠点で廃棄物処理事業を展開している。

インドネシア PT Prasadha Pamunah Limbah Industri 最終処理施設や廃油・廃液処理施設などを保有
廃棄物処理事業、燃料再生事業、土壌・施設浄化事業など
(インドネシアで唯一、有害廃棄物の最終処理の営業許可を所有)
タイ Bangpoo Environmental Complex Co Ltd. 廃棄物の焼却処理施設
(タイに2ヶ所しかない廃棄物焼却処理施設の1つ)
Eastern Seaboard Environmental Complex Co Ltd. 廃棄物の最終処理、廃油・廃液処理などの拠点
(タイ最終処理施設保有大手4社の1社)
シンガポール Technochem Environmental Complex Pte Ltd. 廃棄物の焼却処理、蒸留・再生などの拠点
(シンガポール有害廃棄物処理企業6社のうち1社)

今後、同社をベースにして、現在の最終処理、焼却処理の廃棄物処理事業にとどまらず、土壌浄化事業やリサイクル事業を東南アジアで展開する。

1) 廃棄物処理事業の拡大
   日系企業等をメインに廃棄物処理などの既存事業を拡大

2)土壌浄化事業の拡大
   最終処理施設を機軸に土壌浄化市場を創設・拡大

3)リサイクル事業の拡大
   現状の収集運搬システムや集荷拠点、保有している許認可等を活用、
   プロダクションスクラップなどを中心とした貴金属リサイクル原料を回収し、リサイクルを促進、
   日本・中国・東南アジアにおけるリサイクルネットワークを構築

DOWAは2003年、中国蘇州市に、産業廃棄物から貴金属をリサイクルすることを主な目的として蘇州同和資源総合利用有限公司を設立した。

4)CDM・環境コンサルティング事業の拡大
   フィリピンで開始したCDM事業を東南アジアに拡大
   環境コンサルティング事業も強化

2008年5月、DOWAと伊藤忠商事は、フィリピンの養豚場における糞尿処理工程にて発酵するメタンを回収・燃焼させることで、温室効果ガスを削減し、排出権を創出するCDM事業を共同推進することを決定している。

5)日本政府の環境支援プロジェクトなどとの連携
   東南アジア諸国の環境改善、人材交流・育成などにも貢献

 


2009/1/23 アブダビ石油の油田権益 20年延長へ

アラブ首長国連邦(UAE)アブダビのユセフ・オメール国営石油会社総裁は、2012年に45年間の期限を迎えるコスモ石油の油田権益について20年(→30年)の更新を認めることを明らかにした。最高石油評議会がアブダビ石油の権益更新を承認している。

権益更新が決まったのは、コスモ石油子会社のアブダビ石油が単独で権益を保有し1973年から操業しているアブダビ沖合のムバラス油田。

同社の生産量は日量18千バレル程度で、処理設備は同25千バレルの能力があるため、この水準まで生産量を増やすことができる新鉱区も与える方向で検討しているという。

付記

アブダビ石油の63%を持つコスモ石油と31.5%を持つJX日鉱日石開発は2011年2月3日、アブダビ沖の油田権益の30年更新(2012年12月から)が正式に決まったと発表した。
同日、アブダビ石油が新利権協定を締結した。
既存のムバラスなど3油田の24千バレルに加え、同程度の生産量が見込めるヘイル油田の権益も取得する。
ヘイル油田は2017〜18年の生産開始を目指す。

付記

アブダビ石油とアラブ首長国連邦アブダビ首長国最高石油評議会との間で締結した新利権協定が、2012年12月6日に発効した。

同協定の発効により、アブダビ石油が同国において操業中の既存3油田(ムバラス油田、ウルアルアンバー油田およびニーワットアルギャラン油田)の利権が今後30年にわたり更新されるとともに、既存3油田と同程度の生産規模が見込まれる既発見未開発の新鉱区(ヘイル油田)について、新たに30年の権益が確保される。

また、アブダビでは国際石油開発帝石子会社のジャパン石油開発も2018年に権益期限を迎えるが、オメール総裁は「まだ時間があるが、大丈夫ではないか」と楽観的な見方を示した。

アブダビでの日本企業の石油開発の詳細については
    
2008/1/8 アブダビの石油権益は延長か   

ーーー

中東では2000年2月にアラビア石油のカフジ油田のサウジの利権協定が終了、2003年1月にはクウェートとの利権協定も終了した。

その後はカフジの操業はサウジとクウェート両国の国営石油会社子会社の共同操業に移行し、アラビア石油はKuwait Gulf Oil との技術サービス契約で、人員を派遣、技術、経営管理等のサービスを提供する形で共同操業に参画してきたが、この契約の更新が出来ず、2008年1月4日、アラビア石油は撤退した。

2008/1/5 アラビア石油、カフジ撤退

このため、ムバラス油田(期限 2012年)を初めとして順次期限がくるアブダビの油田については、日本政府も強力に支援を行ってきた。

2007年12月福田康夫首相は、来日中のムハンマド・アブダビ皇太子と会談したが、その席でアブダビ石油の自主開発油田の契約更新に向け、原油の安定供給について意見交換した。

2008年1月、アブダビ首長国を訪問した甘利明経済産業相は、アブダビ石油公社のユセフ総裁と会談した。
席上、総裁は「油田開発には日本企業の関与継続を求める」と述べ、権益延長・拡大を認める方針を示唆している。

コスモ石油はアブダビのIPICからの出資を受け入れている。

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コスモ石油は2007年9月、UAEのアブダビ首長国の政府系投資機関、国際石油投資会社(IPIC) が約900億円を投じコスモに20%出資し、筆頭株主になると発表した。

IPICは非常勤取締役2人を派遣、コスモが増資で調達する資金の使途など具体的な業務提携内容を両社で詰めるとし、アブダビ政府が同国で計画する石油精製と石油化学の複合事業にコスモが出資することも検討に入った。

IPICはオーストリアのOMV、韓国・現代精油など石油・石油化学関連の海外8社に投資しており、コスモヘの出資は9社目。

コスモ石油は以下の通り述べた。

昭和シェル石油がサウジアラムコから15%の出資を仰いでいるが、サウジアラムコの狙いは原油販売の拡大であるのに対し、コスモとIPICの提携は海外での新たな展開が主眼。

IPICとの上流での協力はアブダビ以外のアジアなどの油田開発が広く対象となる。
コスモが35%の権益をもつ豪州北部の海上鉱区についても、開発段階に進めば一緒にやる候補になる。

今回の提携はムバラス油田権益更新に直接関係はないが、アブダビ政府との関係強化が後押しになるかもしれない。

IPICは以下の通り述べている。

コスモは経営が良好で石油化学や液化石油ガスなど様々な下流部門を持っており、資本参加で油田開発などの上流部門と精製や販売など下流とのインテグレーショ ンを進めたかった。

アブダビは石油やガスの生産能力を拡張する。アブダビ産の原油や天然ガスの安定供給先の確保も出資の狙い。


2009/1/23   2008年12月の米国の住宅着工件数、過去最低を更新

米商務省は1月22日、2008年の住宅着工件数を発表したが、それによると12月の季節調整済み年率換算は550千戸となり、1959年の統計開始以来最低となった。バブル最頂時の2006年1月の2,273千戸と比べると24%にしか過ぎない。

年間では904.3千戸で、2007年の1,355千戸から大幅に低下した。

12月の着工許可件数も市場予測を下回る549千戸で、米国経済の回復の兆しはまだ見えない。


  注. 12月の数値はあと2回見直され、3月中旬に確定します。

 


2009/1/24 Ineos Phenol に192百万ドルの賠償命令

アラバマ州Mobile の巡回裁判所判事はこのたび、Ineos Phenol が1科学者からフェノールの危険廃棄物をリサイクルしタイヤなどの原料とする技術を盗んだという裁判で昨年10月に陪審員が有罪とした判断を支持し、Ineos Phenol に192百万ドルの支払いを命じた。
192百万ドルのうち、25百万ドルはこれまでの被害に対するもの、残り167百万ドルは今後2025年までの被害に対するもの。

Mobile にあるDegussa子会社の元社長が2006年に訴えたもので、2001年にIneosがDegussaから買収しPHENOLCHEMIE が彼のアイディアを勝手に特許にしたとするもの。2004年に自分のアイディアがEUや米国で特許となって使われていることが分かったという。

特許の発明者として5人がリストされており、そのうち4人が生存しているが、全員が自分のアイディアではなく、誰のアイディアか知らないとしているという。

Ineos Phenol はこれを否定しており、控訴する。

ーーー

PHENOLCHEMIEは1952年に設立されGladbeck(ドイツ)、Antwerp (ベルギー)にフェノール工場を建設した。
1994年にHulsが全株式を取得した。(1998年にDegussa とHuls が合併して Degussa-Hulsとなり、2007年に改組し、Evonik に改称した。)
2000年にMobile工場をスタート。

2001年、IneosがPHENOLCHEMIEを買収し、Ineos Phenol と改称した。

現在のフェノール能力は以下の通り。

  Gladbeck 工場  650 千トン
  Antwerp 工場  500
千トン
  Mobile 工場   540
千トン

同社はまた、2005年にフェノール原料のキュメン工場を買収している。

  Port Arthur 工場 500 千トン (Chevron Phillips から)
  Marl
工場     250 千トン (BPから)

 


2009/1/26 FTC、Dow と Rohm and Haas の統合を条件付で承認

Dowは1月23日、Rohm and Haas (R&H) との統合でFTCの承認を得たと発表した。ECは既に1月8日に承認している。

これを受け、Dow とR&H は合併契約の実施について打ち合わせを行っている。

FTCの発表によると、両社は塗工紙製品、ペイント、接着剤などをつくるためのアクリル酸やその他化学品の市場で直接競合しており、両社の合併は、アクリルモノマー(精製アクリル酸、ブチルアクリレート、エチルアクリレートなど)、塗工紙に光沢等を与えるための中空粒子、道路に線を引くために使われるアクリルラテックスポリマーの、北米市場での研究開発・製造・販売で競争を減らすことになる。

合併後の精製アクリル酸のシェアは40%、ブチルは75%、エチルは90%となり、中空粒子とアクリルラテックスポリマーは2社だけのため、独占となる。

このため、下記の点について同意審決を行った。
Dowはアクリルモノマー、中空粒子、アクリルラテックスポリマーを含む一連の施設をFTCが承認する相手先に売却する。
DowRohm and Haas から取得する事業に関して、独禁法上 問題がある非公開の情報にアクセスしないよう、手続きを取る。

売却対象として下記が指定されている。
1) DowClear Lake, Texas のアクリルモノマー製造設備
2) Dow St. Charles, Louisiana のアクリルポリマー製造設備
3) DowAlsip, Illinois のアクリルポリマー製造設備
4) Dow Torrance, California のアクリルポリマー製造設備
5) DowSouth Charleston, West Virginia のアクリルモノマー研究開発グループ
6) Dow Cary, North Carolina のアクリルラテックスポリマー研究開発グループ
7) その他、これら事業の関連施設

これら事業に関連する全ての技術を含み、Dowはこれらに直接関係はないが、事業に使用される知的資産をライセンスすることとされた。

なお、売却は買収実施の240日以内に行わなければならない。

Dowは2008年9月に、独禁法問題対応のため、一部工場の売却を検討していることを明らかにしている。

Clear Lake, Texas の設備は20042月に、アクリル酸、アクリレートの技術とともに Celanese から買収したもの。
St. Charles, Louisiana の設備は Union Carbide のもの。

付記

2009年8月、Arkema Clear Lake のアクリル酸、エステル工場と、子会社UCAR Emulsion Systems の北米のspecialty latex business を 50百万ドルで買収することで合意した。FTCの承認を求める。

2010年1月25日に取引完了。

Arkemaは2010年1月28日、買収した事業を同社のIndustrial Chemicals business segmentに統合すると発表した。
Clear Lakes Acrylic Monomers production site は既存のAcrylics unitに統合。
Acrylic Latex Polymers (
UCAR Emulsion Systems )は塗料、接着剤、建設資材マーケット向けの新しいbusiness unitとなる。

ーーー

Dow は20087月10日、 R&H を188億ドルで買収する契約を締結したと発表した。
現金153億ドルで全株式を買収し、R&Hの35億ドルの借入金を引き継ぐ。
1株 $78 は前日終値の74%増し。

2008/7/11 速報 Dow ChemicalRohm and Haas を買収

ダウは11月13日、合併後の新組織を発表した。
 R&H事業を新しく
Advanced Materials Division とする。
 これは次の6つの
Business Group から成る。
  
* Coatings,
  * Building and Construction,
  * Paper and Textiles,  
  
* Specialty Packaging and Films,
  * Designed Polymers and Separation Technologies,
  * Electronic Materials

付記

2009/3/9の説明会ではAdvanced Materials Division は以下の通りとなっている。

ーーー

R&H 買収契約によれば、契約上はあらゆる条件が満たされた2日後に買収を実行することとなっている。
FTCの承認が得られたため、あらゆる条件が満たされたこととなる。

なお、契約では実行が本年110日より遅れる場合、ダウは 1日ごとに約3百万ドルの "ticking fee"を支払う義務を負うこととなっており、既に始まっている。
これはR&H 株主に対する買収遅延の金利の意味を持つ。買収価格78ドルの年8%相当を1月10日以降支払うこととなっている。
R&H の株主に帰属し、契約を実行してもダウに返済されることはない。

ーーー

ダウはPICとの合弁会社 K-Dow Petrochemicals 設立により、事業売却額マイナス出資で75億ドル、配当15億ドルで、合計90億ドル(税引後では70億ドル)を受け取ることとなっていた。

Dow はR&H 買収資金188億ドルを、つなぎ融資 130億ドル、著名な株式投資家Warren Buffett のBerkshire Hathaway Inc. からの投資 30億ドル、Kuwait Investment authorirty からの投資10億ドルで賄うことにしており、PICへの売却資金でつなぎ融資の一部を返済する予定であった。

K-Dow Petrochemicals の破談により、DowR&H 買収を取り止めるのではないかとの噂も出ていた。

しかし、DowのCEOのAndrew Liveris はつなぎ融資によりR&H買収を進めると述べた。また、PICに対して違約金の25億ドルを求償する意向を示している。

だが、これは本来、ごく短期間のつなぎである。このままでは格付け会社がグレードダウンする可能性が強い。
DowとしてはPICの代わり(SABIC、Oman Oil
Saudi ArmacoAbu Dhabi's International Petroleum Investment などが噂されている)を見つけたり、他の事業を売却する手があるが、これには時間がかかる。
理想は銀行と交渉して、つなぎ融資を1〜2年のローンに変更し、その間に上記のいずれかで資金を得ることのようだ。

 


2009/1/27 PfizerWyeth を買収

世界第一位の医薬会社 Pfizer が1月26日、Wyeth 680億ドルで買収すると発表した。数ヶ月にわたって買収交渉を続けていた。

買収は現金と株式交換の組み合わせで行われ、Wyeth 1株に対し、現金33ドルとPfizer 0.985株を支払う。23日終値ではPfizer株部分は17.19ドルに相当する。
Pfizer は現金部分については自己資金と借入金で賄う予定で、コンソーシアムが既に225億ドルの融資を約束している。

Pfizer は昨年9月末現在で現金・短期運用資産で255億ドルを有しており、世界でもっともcash-rich な企業のひとつである。
金融危機のなか、他の業界の企業が資金借り入れに四苦八苦しているが、現金が豊富な医薬会社は唯一借り入れが可能である。

Pfizer のベストセラーのコレステロール薬 Lipitor (2007年の売上高137億ドルで、同社の年間売上高の30%を占める)が2011年の特許切れを迎え、generic 薬に売り上げを奪われることが懸念されるが、買収により売り上げ減少のいくらかを補うことが出来る。

統合により、研究開発、製造、販売、管理面での合理化を行い、3年後には40億ドルの節約を狙う。

中国商務部は929日の公告77号で、豚マイコプラズマ性肺炎ワクチンのRespisureRespisure One の中国本土の事業の売却を条件に買収を承認した。

ーーー

Lipitor の特許切れを控え、Kindler CEOの対策に対し、投資家は満足せず、株価は下落していた。

同社は2007年1月以降、1万4600人を削減したが、さらに、本年に入り、研究員のレイオフを始めた。2009年末までに全研究員1万人のうち、5-8%をレイオフする予定だという。これまでの開発が成果を挙げていないことを認めた。
営業職員も約
2400人削減する方針と報じられた。

現経営陣に批判的な向きの一部は、大規模な買収を検討すべきと主張しており、Kindler CEOも買収を検討する用意があると語っていた。

Wyethには子供の肺炎薬として米国政府が奨励している7価結合型肺炎球菌ワクチンPrevnar やうつ病治療薬Effexor がある。

統合会社は売上高が700億ドル以上となり、Sanofi Aventis GlaxoSmithKline の売上高を大きく上回ることとなる。

Pfizer CEO Jeffrey B. Kindler は、「両社の合併はこの産業を変革する強力なチャンスである。多様性と柔軟性と規模のブレンドが世界のダイナミックなヘルスケア事業分野で成功する基盤となる」としている。

ーーー

ユート・ブレーンによると、2007年の医薬品メーカーの売上高は以下の通り。(単位:億ドル)
  
 http://www.utobrain.co.jp/news-release/2008/

    売上高 R&D
1 Pfizer  444.24  80.9
2 Sanofi Aventis  413.18  66.8
3 GlaxoSmithKline  384.14  66.5
4 Roche  345.05  67.5
5 Novaltis  326.46  64.3
       
9 Wyeth  186.22  32.6
       
17 武田薬品工業  107.82  24.6

ーーー

しかし、この買収に対し疑問を呈する向きもある。

Pfizer 2003年に603億ドルで Pharmacia を買収し、鎮痛剤のCelebrex Bextra を得たが、Bextra は市場から撤退、Celebrex も安全性の懸念から売上高は40%減っている。

ーーー

Wyeth (旧称はAmerican Home Products 2002年に改称)Pfizer には Lipitor を巡って因縁がある。

Lipitor Warner Lambert の製品で、Pfizerが販売権を持っていたが、1999年11月4日、American Home ProductsWarner Lambert は友好的合併(対等)を発表した。
数時間後、
PfizeLipitor を失うことを恐れ、Warner Lambertの敵対的買収を発表した。

その後、両社の訴訟合戦などがあったが、最終的にPfizeが合併した。

  2007/10/11 高杉良 「挑戦 巨大外資」

ーーー

また、American Home Products 1998年にMonsanto との合併で合意したが、直ぐに破談となった。Monsanto はその後2000年にPharmacia & Upjohn と合併してPharmaciaとなった。このPharmacia を後にPfizerが買収した。
Pharmacia 2002年に農薬部門を分離、Monsanto として独立させた。)

ーーー

なお、American Home Products 1994年にAmerican Cyanamid と合併した。
(その後、
2000年にAmerican Cyanamid を分離し、BASFに売却している。)

同社は1998年にSmithKline Beecham と合併で合意したが、すぐ破談している。

ーーー

医薬業界は今後4年で、年間1210億ドルもの売上高の製品が特許切れを迎えることとなり、これを契機に医薬業界で買収が相次ぐとの見方がある。

Johnson & JohnsonMerck & Co.Bristol-Myers Squibb などのCEOは買収を狙っているとしており、これら3社は合計で290億ドルもの現金・短期運用資産を持っている。

Johnson & Johnson 抗精神病薬Risperdal 抗てんかん薬 Topamax が特許切れを迎える。昨年9月末で148億ドルの現金・短期運用資産を保有しており、既に昨年12月に2つの小さな買収を行っている。

Merck は喘息薬のSingulair (売上高40億ドル以上)が2012の特許切れを迎える。

 


2009/1/27  Dow、Rohm and Haas 買収を延期

既報の通り、Dowは1月23日、Rohm and Haas (R&H) との統合でFTCの承認を得たと発表した。ECは既に1月8日に承認しており、買収の全ての条件が満たされた。

契約ではすべての条件が満たされた2日後に買収を実行することとなっており、土・日曜を除き、1月27日が期限となる。

しかし、Dowは1月26日、R&Hに対して27日に買収を実施しない旨伝えたことを明らかにした。

金融・経済危機による情勢の変化、PICとのJV計画の破綻を理由にしている。

Liveris CEO は、Dowの長期戦略は変わっておらず、R&H 買収はこの戦略に沿ったものであるとしている。

なお、契約では実行が本年110日より遅れる場合、ダウは 1日ごとに約3百万ドルの "ticking fee"を支払う義務を負うこととなっており、既に始まっている。これはR&H 株主に対する買収遅延の金利の意味を持つ。

    2009/1/26 FTC、Dow と Rohm and Haas の統合を条件付で承認

R&H はこれを受け、株主の利益のためあらゆる手段を追求すると述べた。

仮に契約を破棄した場合は、ダウは違約金750百万ドルの支払いが必要となる。

ーーー

R&Hは1月26日、契約の履行を求め、Delaware州の裁判所にDow を訴えた。
  
http://www.rohmhaas.com/investors/media_files/irol/86/86174/ROH_v_DOW_26Jan2009.pdf

全ての条件が満たされた。Dow2009127日までに契約を実行する義務がある。
Dowが実行しないのは契約違反であり、直ちに契約を実行することを求める。

Dowは、2009630日までには契約を実行する能力を確認できると信じる、としているが、将来の時点での実行の約束を拒否した。

Dowの義務はファイナンスによって左右されない。Dowが契約を実行しないのは、契約上認められていない。

付記

Dow は裁判所に対し、裁判を4月後半に延ばすよう要請したが、判事はこれを拒否、3月9日の開廷を決めた。

 

参考 両社の契約書 Agreement and Plan of Merger は公開されている。

http://yahoo.brand.edgar-online.com/EFX_dll/EDGARpro.dll?FetchFilingHtmlSection1?SectionID=6043250-19594-239471&SessionID=QwdMWWvshMrhXd7

 


2009/1/28  オバマ大統領、温室効果ガス規制へ

オバマ米大統領は126日、温室効果ガスの排出量削減と自動車の燃費向上に関する政策の見直しを、EPAと運輸省など関係省庁に指示した。
新政権が地球温暖化の原因の排出を規制しようとしていることの明白なシグナルである。

20074月に米連邦最高裁はEPAに自動車からの二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出規制を強く促す判決を下した。
しかし、
Bush政権はこれまで、温室効果ガスを抑えるために既存の法律を使うことを繰り返し拒否しており、排出規制よりも燃費向上に焦点を当ててきた。

2007/4/5 米連邦最高裁、温室効果ガス規制で政府に促す判決

オバマ大統領は、カリフォルニアや16の州、Washington D.C. のトラック、自動車の排ガス規制法の不許可決定を見直すようEPAに指示した。
EPAがこれら州法を認めた後には、連邦法がこれに追随するだろうと見られている。

運輸省に対しては、2011年モデルからの新しい燃費基準を設定するよう命じた。

ーーー

連邦Clean Air Act では、製油所、工場やその他の固定排出箇所については、州に対して連邦政府よりも厳しい排出規制を行うことを認めている。
しかし、自動車については、連邦法より厳しい州法成立には
EPAの承認が必要となっている。

200712月に EPAはカリフォルニア州が認可を求めていた自動車に対する独自の温暖化ガス排出規制案を認めないことを決めた。

Californiaの規制案では、SUV、ミニバン、乗用車は2009年モデルから、2016年までに排ガスを30%減らすことを求めており、他の州(Arizona, Connecticut, Florida, Maine, Maryland, Massachusetts, New Jersey, New Mexico, New York, Oregon, Pennsylvania, Rhode Island, Vermont, Washington, Utah, Colorado の各州)とWashington D.C. が追随した。

この実現のためには、他の方法もあるが、最終的には平均して2016年までにガロン当たり35.7マイル、2020年までに42.5マイルにする必要がある。

2007年のエネルギー法では2020年までの目標をガロン当たり35マイルとしている。

参考 2007/9/25 米連邦地裁、カリフォルニア州の自動車メーカー訴訟を却下


2009/1/29 DuPont、第4四半期赤字に

DuPont は1月27日、第4四半期の業績を発表した。

建設、自動車、消費財の需要の減少、サプライチェーンでの在庫縮減により、Safety & Protection Pharmaceuticals を除き、赤字となり、税引き後の損益は629百万ドルの赤字となった。前年同期と比べると1,174百万ドルもの減益である。
第4四半期には退職金その他のリストラ費用を535百万ドル含んでいる。

年間の税引き後損益も2,007百万ドルとなり、前年を981百万ドル下回った。

単位:百万ドル
        4Q        年間
2008 2007 前年比 2008 2007 前年比
Net Sales   5,820  6 ,983   -1,163   30,529   29,378   1,151 
税引前損益   -961    493   -1,454   2,391   3,743   -1,352
Net profit   - 629    545   -1,174   2,007   2,988    -981 
             
税引前内訳            
Agriculture & Nutrition   -182    -89    -93   1,087    894    193
Coatings & Color Technologies   -301    216    -517    326    840    -514
Electronic & Communication Technologies    -46    156    -202    436    594    -158
Performance Materials   -223    53    -276    128    626    -498
Safety & Protection     4    277    -273    829   1,199    -370
Pharmaceuticals    265    246     19   1,025    949     76
Other   -112    -55    -57    -181    -224     43
(小計)   (-595)   (804)  (-1,399)   (3,650)   (4,878)  (-1,228)
Net exchange loss   -116    -35    -81    -255    -85    -170
Corporate expenses & net interest   -250   -276     26   -1,004   -1,050     46
合計   -961    493   -1,454   2,391   3,743   -1,352

第4四半期には退職金その他のリストラ費用を535百万ドル含んでいる。

内訳は
 
Agriculture & Nutrition -18百万ドル
 
Coatings and Color Technologies -236
 Electronic & Communication Technologies -55
 Performance Materials -94
 Safety & Protection -101
 Other -31

特別損益を除いた前年比対比は以下の通り。(単位:百万ドル)

        4Q
2008 2007 前年比
税引前内訳(除 特別損益)      
Agriculture & Nutrition   -164    -89    -75
Coatings & Color Technologies    -65    216    -281
Electronic & Communication Technologies     9    156    -147
Performance Materials   -129    186    -315
Safety & Protection    105    277    -172
Pharmaceuticals    265    246     19
Other    -81    -55    -26
(計)   (-60)   (937)   (-997)

 


2009/1/29 EU、マリンホースカルテルに制裁金

欧州委員会は1月28日、マリンホースの国際カルテルに関し、5社に合計131.51百万ユーロの制裁金支払いを命ずる決定を下した。

2007/7/9 マリーンホース国際カルテル事件

内容は以下の通り。(千ユーロ)
  自主申告・協力
での免除
 制裁金  
免除率 免除額
Bridgestone (Japan)       58,500 リーダーとして30%増し
Parker ITR (Italy/US)       25,610 リーダーとして30%増し
Trelleborg (France/Sweden)       24,500  
Dunlop Oil & Marine/Continental (UK/Germany)       18,000  
Manuli (Italy)   30%   2,100   4,900 捜査協力
Yokohama (Japan)  100%  14,400      0 Leniency制度
合計   131,510    

ブリヂストンでは、追って送られてくる詳細な決定書を受領後、内容を検討の上、適切な対応をとりたいとしている。
Trelleborg
は罰金が予想より少なかったと喜んでいる。

ーーー

本件に関して、米国では個別に裁判が行われており、2008年12月現在で、2社に罰金、横浜ゴムを除く5社の社員とコンサルタント1人に禁固刑と罰金が科せられている。

このうち、Dunlop Oil & Marine 2人とコンサルタントは、英国でも同じ刑期の禁固刑の判決を受けている。(米国の禁固は免除)

2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決

公正取引委員会は昨年2月、横浜ゴムを除く 5社に排除命令を出し、ブリヂストンに238万円の課徴金を科している。

2008/2/25 公取委、マリンホース国際カルテルで排除命令

 


2009/1/29 米でピーナツバター食中毒、死者8人 

米国でピーナツバターによる食中毒が広がっており、43州で500人以上が被害を受け、8人が死亡した。被害者には 5歳未満の子供100人以上が含まれている。

Peanut Corporation of America が出荷したピーナツバターを塗ったクラッカーなどを食べたもの。

ジョージア州の工場ではケロッグなど大手食品メーカーにピーナツペーストを出荷しており、クッキーやクラッカーなど、100以上の製品がリコールされた。

調査の結果、工場はサルモネラ菌の汚染を知りながら出荷をしていたことが分かった。

2007年と2008年に同社による製品テストでサルモネラ菌での汚染が12件発見されたが、いずれのケースでも再検査の結果、問題なしとしてそのまま出荷されたという。

シロになるまで検査を続けるのは違法で、サルモネラ菌の汚染が発見されれば、汚染除去の手続きを取る必要がある。しかし、同社はこの手続きを取っていなかった。

また、天井や壁に細菌がついており、天井に30cmの裂け目があった。清掃や製品貯蔵の手続きにも問題が見つかっている。

付記

Peanut Corporation of America 製のピーナツバターを使ったポップコーンが、日本で流通していることがわかり、厚生労働省は1月31日、輸入会社に対し、販売中止と自主回収を指示した。 昨年7〜8月にポップコーン437ケース(約540キロ)が輸入されていた。


2009/1/29 第4四半期 国産ナフサ基準価格

財務省が1月29日に発表した昨年12月の輸入通関速報によると、12月のナフサ輸入価格は29,780円/kl となった。

この結果、第4四半期のナフサの平均輸入価格は 50,162円/kl となり、これを基にした国産ナフサ基準価格は52,200円/kl となる。

付記 2009年3月に、2008年10月と11月の輸入統計が修正された。

第3四半期は史上最高の85,800円/kl であったが、第4四半期は52,200円/kl で、一気に 33,600円/kl も下がった。
しかも、12月単月ベースでは31,800円であり、今後も更に下がるのは必至。
(三井化学は1〜3月を26,000円/kl と予想している。)

計算根拠は以下の通り。(単位:円/kl)

  輸入平均   基準価格     修正後
輸入平均   基準価格
08/7  81,933          
08/8  86,801          
08/9  82,708          
3Q平均  83,820  85,800      
08/10  67,110      66,923    
08/11  48,593      48,456    
08/12  29,780      29,780    
4Q平均  50,162  52,200  50,047  52,000

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)

 


2009/1/30 「世界で最も持続可能な100 社」

カナダの出版社Corporate Knights Inc.と米国の投資調査会社 Innovest Strategic Value Advisors は1月28日、スイス・ダボスで開催されている世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)初日に合わせて、Global 100 Most Sustainable Corporations を発表した。

http://www.global100.org/PR_Global_2009.pdf

「Global 100」とは、2005年から発表しているもので、イノベスト社の格付調査をもとに、15カ国の全分野の大企業から、環境、社会、コーポレート・ガバナンス、リスクマネジメントに優れている企業を上位100社選出するもの

2009年では日本企業は、米国の20社、英国の19社に次いで、15社が選ばれた。次はドイツの7社。
2005年の5社から、06年10社、07、08年各13社となっており、初年度からの5年連続ではクラレ、NTTドコモ、リコー、トヨタの4社が選ばれている。

Corporate Knights は2002年設立のカナダの独立系雑誌社。
企業の社会的責任関連の雑誌で世界規模の発行部数を誇る。環境、教育、エネルギー・投資、責任投資などをテーマとした雑誌の発行や、環境に優しい企業や良き企業市民ランキングなどの公表などを行っている。

Innovest Strategic Value Advisors 1995年設立の独立系SRI(社会的責任投資)調査機関。
従来の投資分析手法 のみでは測る事が困難な、コーポレート・ガバナンス、環境、人的資本、ステークホルダー資本の4 項目を重視する。
大手年金基金や、機関投資家、国連、NGO等の資産運用に関するアドバイスを行っている。

分析の基礎となる研究は以下を参照。

Corporate Social & Environmental Performance
Can Environmental Factors Improve Stock Selection
The Corporate Value of Eco-Efficiency

ーーー  

各年に選ばれた日本企業は以下の通り。

社名 09 08 07 06 05
イオン      
ベネッセ        
キヤノン        
ダイキン工業    
大和証券        
デンソー  
JR東日本      
ホンダ      
クラレ
三菱重工    
日興コーディアル        
日本郵船    
野村證券        
日本精工      
NTTデータ        
NTTドコモ
パナソニック(松下電器産業)    
リコー
積水化学      
損保ジャパン        
凸版印刷    
トヨタ
合計社数 15 13 13 10

クラレによると、同社は1970年、環境保全の専門部署を設置し、環境負荷低減にいち早く着手した。1991年には社会環境委員会を設け、地球環境問題への総合的な対応とともに、社会への貢献活動を本格的にスタートした。さらに2003年、これをCSR委員会に改組し、企業倫理、人権・雇用、リスクマネジメントに至る広範なテーマを、重要な経営課題として取り組んでいる。

クラレは、ジョイセフ(JOICFP:家族計画国際協力財団)と日本かばん協会・ランドセル工業会の後援を受け、2004年から「ランドセルは海を越えて」キャンペーンを行っており、使用済みのランドセルにノート・えんぴつ・ボールペン・クレヨン等の学用品を入れて、世界で最も物資が不足している国のひとつであるアフガニスタンやモンゴルの子供たちにプレゼントしている。

2009年度ランドセルの応募受付を1月20日(火)から開始した。
  http://www.kuraray.co.jp/release/2009/090119.html

 


2009/1/31 Petrobras、新油田開発で大規模投資計画を発表

ブラジルのPetrobras 1月24日、主に深海の油田、ガス田開発のために2009年から2013年までの5年間で1,740億ドルを投じると発表した。

本年
280億ドルを投資する。
所要資金のうち、119
億ドルはブラジル政府開発銀行から、50億ドルはその他の借り入れとなっており、残りは明らかにされていない。

2013年までの1,740億ドルのうち、1,200億ドルは原油販売収入で賄う予定で、平均47ドル/バレルを見込んでいる。

Petrobras 2007年と2008年にパートナーのスペインRepsol YPF や英国の天然ガス生産大手 BG Group1986年に民営化されたBritish Gas が前身)などと組んで、海面下4000m以上で石油を発見した。80億〜120億バレルの埋蔵量と見込まれている。

そのうちのTupi 油田は軽質油50〜80億バレル相当で、2000年にカザフスタンで発見された120億バレルの油田以来の最大級である。

Tupi 油田はおよそ2,140メートルの海の下、さらに地中5,000メートル以上の深さにある。
Tupi の所有権はPetrobras 65
%、BG Group 25%、Petroleos de Portugal 10% となっている。

ブラジル大統領は、これらの開発はブラジルにとって不可欠のものとしている。

新しい油田から、2013年に日量 219千バレル、2015年に582千バレル、2020年には1,820千バレルの生産を見込んでいる。
また、天然ガスについては、
2013年の日量7百万m3から2020年には40百万m3に増えるとしている。

Petrobras 1月15日、ブラジル国内の埋蔵量(上記を含まず)を発表した。それによると、
  石油とコンデンセート 119.7億バレル
  天然ガス        3,376億m3
  合計(石油換算)    140.9億バレル

Petrobras は2008年に平均して日量2,180千バレルの石油・ガスを生産した。

 


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