ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2008/7/1 中国のアクリル酸メーカートップメーカー SunVic Chemical Holdings
本年6月初めに、PetroChina 子会社の蘭州化学が甘粛省蘭州でアクリル酸とアクリレートの商業生産を開始した。
165百万ドルを投じたもので、能力はアクリル酸が80千トン、アクリレート(メチル、エチル、ブチル)が115千トンとなっている。
PetroChina が開発し権利を持つ、プロピレンの2段階酸化によるアクリル酸製造技術、連続エステル化によるアクリレート製造技術を使用している。
蘭州化学は年産1,050万トンの製油所と70万トンのエチレンコンプレックスを運営している。
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中国のアクリル酸(AA)及びアクリレート(AE)のメーカーと能力は以下の通り。(単位:千トン) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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藍星グループ子会社のShenyang Paraffin Wax Chemicalは三菱化学の技術を導入したもの |
最大のメーカーは SunVic Chemical Holdings のJiangsu Jurong Chemical で、AA 205千トン、AE 250千トンの能力を持つ。
2003年に創業者で会長のSun Liping が農薬原料のPMIDA (N-(phosphonmethy) liminodiacetic Acid)とシクロヘキサンの製造のため、Xiangshui Yinyan Chemical を設立した。
2004年に持株会社SunVic Chemical Holdings をシンガポールに設立(2007年2月に上場)するとともに、Jiangsu Jurong Chemical を設立して、Xiangshui Yinyanの事業を引き継いだ。
2005年にAAの第1期 40千トン、アクリレート(ブチル)60千トンが生産を開始。
2006年にAA第2期が完成し130千トン能力とし、アクリレート(メチル
40千トン、2EHA 40千トン)が生産を開始した。
2006年に第3期前半が完成し能力を150千トンとし、2007年末に後半が完成し、合計能力205千トンとした。
中国に200以上の需要家を持つとともに、アジア、欧州、北米、中南米に輸出している。
同社はこのほか、PMIDA とシクロヘキサンを生産している。
同社は従来、原料のプロピレンを中国や韓国のメーカーから購入していたが、原料遡及を目指し、このたび江蘇省塩城でプロピレン工場の建設を開始した。能力は年産23万トンで、2009年末の完成を目指す。
重油の流動接触分解によるもので、プロピレンのほか、ガスオイル、ガソリン、LPGを生産するが、プロピレン以外は外販する。
このほか、原料、製品の輸送のため桟橋と貯蔵設備を建設している。
同社では将来川下の誘導品に展開する計画で、高吸水性樹脂(SAP)、接着剤、紫外線カット塗料、ブタジェンスチレンラテックス、ポリアクリル酸ナトリウム塩などを検討している。
同社のCorporate Video http://sunvic.listedcompany.com/webcast.html
2008/7/2 シャープと関西電力、「堺市臨海部におけるメガソーラー発電計画」を推進
シャープのTVコマーシャルで吉永小百合の「救うのは太陽だと思う」が放映されている。
電気を消費するものを作るメーカーの責任として
いつか電気そのものをつくり出す存在になりたい。
半世紀前からの夢でした。2010年堺コンビナートが稼動。
シャープは、世界のソーラー・カンパニーへ。
救うのは太陽だと思う。
シャープ創業者早川徳次は1970年の「私の考え方」で、次のように述べている。
将来の最大の課題は太陽の熱や光を蓄積保存することではないかと私は思っている。生物はみんな太陽の恩恵をうけているが、電気は発電所からわざわざ引いてきている。頭の上に立派な熱や光があるのだから、これを利用することを考えねばウソだ。それが太陽電池なのである。(中略)
風は貯めておけないけれども、熱や光は貯めることができる。熱や光を電気にかえて蓄電池に簡単に安価に貯めるような方法を考えればいい。例えば各個人の屋根に装置を備えれば、電気の自給が出来るし、自動車の屋根にそれをはりつけて利用すればガソリンも不用で排気ガスの心配もない。
無限にある太陽熱や太陽光線で電気をおこすことを工夫すれば、人類にどれだけ寄与するかははかり知れないものがある。
シャープは半世紀前の1959年、太陽電池の開発に着手した。
シャープは2007年12月1日、大阪府堺市の「21世紀型コンビナート」の起工式を行なった。最先端の液晶パネル工場と、薄膜太陽電池を量産する太陽電池工場を併設する。
2007/12/5 シャープの「21世紀型コンビナート」
付記
シャープは100%子会社のRecurrent Energyを通じ、カナダ・オンタリオ州で大規模な太陽光発電事業(全9ヶ所/合計約10万kW)を進めてきた。同州が導入しているクリーンエネルギー固定価格買い取り制度に則り、発電電力をオンタリオ州電力公社に、1キロワット時当たり0.443カナダドルで20年間にわたって売電する契約を締結している。
同社は2012年6月、本事業を大阪ガス、三菱商事との共同で進めることを決めた。
大阪ガス44.95%、三菱商事44.95%、シャープ10.1%の割合で本事業に出資する。
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シャープ、関西電力、堺市は6月23日、「堺市臨海部におけるメガソーラー発電計画」を共同で推進することに合意したと発表した。
本計画では、産業廃棄物埋立処分場とシャープの堺コンビナートの2箇所のメガソーラー発電を予定している。
いずれも、シャープが平成22年3月までに稼動を予定している太陽電池新工場で生産する薄膜シリコン太陽電池モジュールを採用する予定。
シャープは、液晶パネル・テレビを一貫生産する亀山工場において、既に合計約5MW(約0.5万kW)の太陽光発電システムを導入しており、今回、それを上回る規模のシステムをコンビナートに設置することにより、亀山工場を超える環境先進型工場をめざす。
堺第7−3区太陽光発電所 堺コンビナート太陽光発電施設 事業者 関西電力 シャープおよび関西電力グループ 場 所 堺第7-3区産業廃棄物埋立処分場
(大阪府から借用)堺区築港八幡町
シャープ堺コンビナート面 積 約20ha 発電出力 約10MW(約1.0万kW) 最大 約18MW(約1.8万kW)
当初 約9MW(約0.9万kW)発電電力量 約1,100万kWh/年 約1,800万kWh/年 設置形態 陸上設置 コンビナートの各工場の屋根上等設置
自家消費電力として使用総事業費 約50億円 未定 着工予定 平成21年度 平成22年3月までに 運転開始予定 平成23年度 平成23年3月までに
合計出力 約28MW(約2.8万kW) で世界最大級の太陽光発電規模となる。
本計画によるCO2削減量は、合計で年間約1万トンになる見込み。関電によると、現在の世界最大はスペインにある2.3万キロワットの発電所。
太陽光発電を家庭や工場向けの電源として活用するのは、国内の電力会社では初めて。
関西電力は、太陽光発電所を事業用として建設・運営することで、諸課題を検証し、太陽光発電の推進に役立てていくとともに、得られた知見は広く公表していきたいとしている。
付記
川崎市と東京電力は、2010年10月、川崎市の浮島、扇島地点で、合計出力約2万kWの太陽光発電所を建設するメガソーラー計画を共同で進めていくことについて合意した。平成23年度の運転開始を目指す。
川崎市は、太陽光発電所の一部土地の提供をはじめ、太陽光発電の普及啓発活動を推進し、東京電力は、電力供給設備としての太陽光発電所の建設・運転を担う。
扇島 | 浮島 | 合計 | |
太陽電池能力 | 13,000kw | 7,000kw | 20,000kw |
発電電力量(年間) | 1,370万kwh | 740万kwh | |
太陽光パネル面積 | 20ha | 10ha | |
土地所有 | 東京電力 | 川崎市 |
2008/7/3 三菱商事と三井物産、移転価格税制で更正通知
三菱商事と三井物産は6月30日、西豪州LNG事業に関し移転価格税制に基づく更正通知を東京国税局より受領したと発表した。
両社は2005年に、2000年3月期から2005年3月期の6事業年度について東京国税局から移転価格税制に係る調査を受け、2006年6月に除斥期限(時効)が到来する2000年3月期の更正通知を受けた。
両社は東京国税局に対して異議申立を行なうと共に、日豪租税条約に基づき相互協議の申立を行なった。
日豪両当局は二重課税の排除を目指し、2006年9月から二国間協議を継続しているが、現時点では合意に達っしていない。
このため、両社は昨年6月に2001年3月期分、今回2002年3月期分の更正通知を受けた。残る3年度分も順次通知を受けることとなる。
通知を受けた所得増差額と追徴税額(法人税、事業税及び住民税:本税及び付帯税を含む)は以下の通り。
三井物産 | 三菱商事 | |||
所得 | 追徴税 | 所得 | 追徴税 | |
2008/6(2002/3月期) | 100億円 | 47億円 | 116億円 | 48億円 |
2007/6(2001/3月期) | 82億円 | 39億円 | 89億円 | 36億円 |
2006/6(2000/3月期) | 49億円 | 25億円 | 不明 | 22億円 |
なお、三菱商事は2006年3月期決算に6事業年度分として法人税等234億円を見積もり計上している。
問題になっているのは、両社が共同出資したオーストラリアの合弁会社に対する情報提供や経営指導などに関する取引。
三菱商事と三井物産は、西豪州沖合のNorth West Shelf のLNGプロジェクトにおける6分の1の権益保有者で、1985年に各々50%の出資により豪州法人 Japan Australia LNG (MIMI) Pty. Ltd.を設立した。
MIMIはほか5社のパートナー、豪BHP Billiton Petroleum、豪BP Developments Australia、豪ChevronTexaco Australia、豪Shell Development、豪Woodside Energyと共に天然ガス・コンデンセート・原油・LPGの開発、生産、輸送、販売に参画している。
North West Shelf プロジェクトは1970年代初頭に西豪州北西部沖合い約130kmにある鉱区で発見された天然ガスの開発案件。LNGの他、原油・コンデンセート・LPG等を生産・販売する豪州最大の総合エネルギープロジェクト。
参画比率は各社1/6(16.67%)。
1984年にコンデンセート販売を開始、1989年からは日本の電力・ガス会社向けにLNG供給を開始、1989年にはWanaea油田、Cossack油田が発見され同油田からの原油及びLPG生産が1995年から開始された。2004年8月に完工した第四液化系列と併せ、LNG生産能力は年間1,170万トンとなったが、需要旺盛なアジア市場への供給に向け、2008年央の立上げを目指し、約1,600億円を投じて年間420万トンの生産規模を有す第五系列を建設している。
第五系列により生産能力は約4割増の計年間約1,590万トンとなる。
MIMIは日本の買主10社へのLNG販売(年間約1,100万トン)を柱とする一方、豪州国内向けに天然ガスを、また国際市場にコンデンセート、原油、ならびにLPGを販売している。
販売損益そのものは豪州に帰属し、日本には(配当送金があるまでは)課税権がないため、情報提供や経営指導料を査定して課税するものと思われる。
参考
2006/6/29 武田薬品、移転価格税制に基づく更正
2008/2/7 信越化学の移転価格課税
2008/5/1 ホンダの中国四輪車事業の移転価格税制問題
EU の欧州委員会は6月30日、企業の価格カルテルに絡んで新たに「示談制度
(settlement
procedure)」の導入を決めたと発表した。
昨年10月に提案し、各方面からの意見を求めていた。
捜査の終了段階で欧州委は対象企業にカルテルの証拠を示す。
企業がカルテルへの参加を認め、責任を認めた場合、制裁金の10%を減額する。
法的手続きの簡素化・迅速化や訴訟の負担軽減が目的で、米国の “plea bargaining system” とは異なり、証拠の利用や罰則に関して交渉も取引もせず、協力した企業に決まった見返りを与えるだけである。
また、情報提供などで協力的な企業に制裁金の免除や減額を認めるLeniency 制度とは別。
Leniency による減額と示談での減額は重複して受けられる。
付記 日本の公取委解説
公正取引委員会メールマガジン 第13号 2008/8/25本年7月1日,欧州委員会はカルテル事件における和解手続を施行させました。この手続を利用する事業者は,欧州委員会が提示した違反行為への関与や自らの責任を認める見返りとして,賦課される制裁金について一律10%の減額を受けることができます。
○和解手続の性格
和解手続は,審査手続の迅速化・簡略化を目的としていますが,すべてのカルテル事件に適用されるわけではありません。欧州委員会は,事業者との間で事件 についての共通理解が得られるか,手続をどの程度効率化できるかといったことを踏まえて,和解手続を適用するかどうかを判断します。
また,和解手続は,事件発掘や証拠収集を目的として制裁金を減免するリニエンシー制度とは性格が異なります。事業者は,リニエンシーでの減額と和解手続での減額を重複して受けることが可能です。
○和解手続の主な流れ
正式審査の開始後,欧州委員会は,事業者に対して和解協議への意向確認を行い,その実施を要請してきた事業者と和解協議を行います。
和解協議では,欧州委員会が,違反行為の内容,収集した証拠及び想定される制裁金額等を提示します。これを受けた事業者は,和解協議の内容に同意して違反行為への関与や自らの責任を認める場合,欧州委員会に対して和解案を提示します。
欧州委員会は,事業者からの和解案を踏まえて,通常手続よりも簡略化された異議告知書を事業者に送付し,口頭の聴聞手続等を経ることなく最終的な決定を採択することができます。
EUはカルテルに対して巨額制裁金を課しており、この結果、欧州司法裁判所に提訴するケースが相次いでいる。
日本企業については以下の通り。(詳細 2008/2/12 欧州カルテル制裁金への対応)
対象分野 | 主な対象企業 | 制裁金 (百万ユーロ) |
日本企業対応 |
送電設備 | 三菱電機、東芝、日立製作所、独・シーメンス | 751 | 提訴 |
エレベーター | 三菱電機、米・オーチス | 992 | 受諾(少額) |
ファスナー | YKKグループ、独・プリム | 329 | 提訴 |
業務用ビデオテープ | ソニー、富士フィルム、日立マクセル | 75 | 受諾(少額) |
建築用板ガラス | 旭硝子、日本板硝子、仏・サンゴバン | 487 | 受諾(裁判費用などを考慮) |
クロロプレンゴム | ENI、DuPont Dow Elastomers、電気化学、東ソー | 243 | 電化提訴、東ソー受諾(少額) |
NBR (2008/1) | Bayer、日本ゼオン | 34 | 受諾(少額) |
示談制度により法的手続きの簡素化や訴訟案件の減少を狙う。
欧州委のNeelie Kroes 委員(競争政策担当)は、「示談制度によりカルテル事件を迅速に処理し、新たな案件の調査が出来る。企業側も早く決着でき、制裁金も減るというメリットがある」としている。
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これに対して、10%の減額では少なすぎるとの意見が多い。10%では企業側は司法裁判所に提訴する権利を放棄しないだろうと見られている。
これでやってみて効果がなければ、減額率を見直すのではないかとのコメントもある。
これまでは提訴すれば必ず制裁金が減額されていた。大幅な減額の例もあり、10%程度の減額で権利を放棄するかどうかは疑問である。
但し、昨年12月に(手続上の問題で)初めて増額例が出た。今後は必ずしも減額されるとは限らない。2007/12/14 欧州第一審裁判所がカルテルの制裁金を増額
英国では独自の示談制度があり、いろいろな段階での示談が行なわれるが、最近では乳製品関連で
“early resolution
agreements”が行なわれた。
英国では25〜30%の減額が行なわれる。
このほか、オランダとフランスに示談制度がある。
2008/7/5 BHP Billiton の Rio Tinto 買収、EUが徹底調査を決定
2008年5月30日、BHP Billiton は European Commission に対し Rio Tinto 買収の事前届出を行なった。
BHP Billiton は2007年11月、Rio Tinto に対して、Rio Tinto の株式1株に対してBHP株3株を与えるという案で、買収提案を行った。
これに対し、Rio Tinto は買収価額が著しく安すぎるとし、拒否した。BHP Billiton は本年2月6日、当初の案を修正し、BHP株3.4株で再提案を行なった。
2008/6/6 BHP Billiton、EC に Rio Tinto 買収の事前届出
BHPのRio Tinto買収には欧州、米国、豪州、カナダ、南アの独禁法当局の承認が必要である。
BHPでは、自発的に日本、中国、その他アジア諸国にも承認を申請するとしている。
日本は鉄鋼原料等の輸入で本買収で大きな影響を受けるが、両社の資産が日本にほとんどないことから、現在の独禁法では規制が行なえない。
仮に公取委が資産の売却等を命じたとしても、これを無視されても何らペナルティを与えられない。単に面子を潰すだけとなる。ロイターの記事で、元公取委事務総長で英国の法律事務所Freshfields Bruckhaus Deringer の東京オフィスのシニアコンサルタントの上杉秋則弁護士は、「日本の法律は外国と比べ余りにも古く、影響を受ける企業がいるのに日本の当局はコントロールする手段を持たない」と述べている。
公取委事務総長は6月4日の定例会見で、以下の通り述べた。
「引き続き、欧州委員会をはじめ、海外の競争当局と連携をとりつつ、情報収集、実態把握を行い、独占禁止法上の問題点の有無について、検討を進めていきたい。
(現行法では)株式取得については、問題がないかどうかをチェックするために、取得後30日以内の届出を義務付けているだけ。
EU等諸外国と同じように事前届出にしようという改正法案を、今、国会に提出している。」
(独禁法改正案は審議入りも出来ず国会が閉会した。事前届出でも効果は少ないと思われる)
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米国ではHart-Scott-Rodino Antitrust
Improvement Act (1976) に基づく事前通知が必要で、通知の提出の後、待機期間の進行が開始し、米司法省及び連邦取引委員会(FTC)は、@調査活動を開始しない、A限定調査を開始する、ないしはB調査活動を開始する――のいずれかの対応を選択することになる。
待機期間中、当事者は、調査活動等を行っている政府機関の許可を得なければ、取引を完成させることができない。
BHP Billiton は7月3日、司法当局がレビューを終え(@調査活動を開始しない)、米司法省とFTCが待機期間の早期終了を承認したと発表した。
「待機期間の早期終了は買収での重要な一歩だ」としている。
しかし、欧州と豪州の決定が最も重要である。
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EUは7月4日、徹底調査を開始した。事前調査に1ヶ月かけたが、更に90日間
調査を行なう。
世界最大と世界第二位の鉱山業者の統合には多くの懸念があり、更なる調査が必要としている。
もし欧州か豪州の当局が買収の条件として
Rio
の事業の大きな部分の売却を求めた場合、買収は破綻する。
逆に買収を認めた場合は、 Rio
の株主が提案について投票することとなる。
EU は「買収により、特に鉄鋼、石炭、ウラン、アルミ、鉱物砂の市場で、値上げや需要家側での選択余地が減るという懸念がある」としている。
鉄鋼メーカーは両社の統合が鉄鉱石の36%のシェアを握ることに懸念している。
EUのNeelie Kroes 委員(競争政策担当)は「最近のコモディティ価格の上昇は需要家業界と世界中の需要家に深刻な影響を与えており、更なる悪影響を与えかねない変化は有害である。EUではこの買収が欧州での競争に悪影響を与えないかどうか、十分検討する」としている。
EUの事前調査の結果は以下の通り。
・ 両社が統合すれば鉄鉱石の供給で大きなシェアを占め、3番手と合わせると鉄鉱石の供給の大きな部分を支配する。
原料炭に関しては、BHP Billitonの支配力が強化され、競合者ははるか後方に置かれる。・ 鉄鉱石と原料炭の市場支配力の強化で、この統合が鉄鋼メーカーの価格交渉力を弱める。
更に、統合会社が投資計画を減らしたり遅らせたりして供給を減らし、価格を上げる恐れがある。・ ウランは電力会社が原発用に購入するが、ウランの主要供給2社の統合により、供給者の選択余地を減らす懸念がある。 ・ アルミと酸化チタンを含有する鉱物砂に関しても、懸念がある。
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Rio Tinto はさきに中国及び日本の鉄鋼メーカーとの間で豪州産鉄鉱石の大幅値上げで妥結したが、BHP Billiton は7月4日、宝鋼集団との間で豪州産鉄鉱石について Rio Tinto と同じ水準で決着した。
2008/4/8 鉄鋼原料価格 急騰
2008/7/7 ファイザー中央研究所、ラクオリア創薬株式会社としてスタート
米国 Pfizer の研究開発グループの一翼を担ってきた愛知県の中央研究所は7月1日、ラクオリア創薬株式会社(RaQualia Pharma Inc.)として事業を開始した。
資本金は1000万円で、出資予定者は
・エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ
(2005年10月に大和証券Groupのエヌ・アイ・エフ
ベンチャーズと三井住友フィナンシャルGroupのSMBCキャピタルが合併)
・Coller Capital(1990
年に設立された英国のプライベートエクイティの投資会社)
・その他投資会社7社
・ファイザー株式会社
出資額は111億円で、エヌ・アイ・エフが38億円を負担、32%の株式を持つ筆頭株主になり、ファイザーも22億円を出資し、19%の株式を保有する第三位株主として協力していく。
ファイザーでは「ラクオリアが研究を継承する一部の新薬候補品は、ファイザーが優先的にその後の開発や販売の権利を取得できる」としている。
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米国 Pfizer は2007年1月、今後取り組むべき優先事項を発表した。
業績向上、将来の成功に向けたあるべき姿、そして株主利益の増大を目指して | |
・ | 既存製品からの収益の最大化 |
・ | 社内パイプラインと社外からの導入品を活用し、中・長期の成長の機会に投資 |
・ | より低く柔軟なコスト基盤の実現 |
・ | より小規模、集中的で事業責任のある組織の確立 |
・ | Make Pfizer a great place to work |
「より低く柔軟なコスト基盤の実現」のため、2008年末までに全世界の従業員の1割にあたる1万人を削減することとした。
(米国での営業組織の20%、ヨーロッパの営業組織の20%強、日本においては、医薬品事業の人員の15〜20%の削減)
製造拠点を2003年時点の半分に相当する48カ所に絞り込むほか、研究開発では米国の3箇所を閉鎖し、名古屋工場にある中央研究所(愛知県武豊町)とフランスのAmboiseの研究所の閉鎖を検討するとした。
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これを受けて中央研究所の長久厚所長が中心となり研究者らが従業員による企業買収(EBO)を提案、米本社も閉鎖に伴う混乱や雇用不安を避けるためにも同研究所の独立を認めた。
当初は本年4月にスタートする計画であったが、世界的な株安などを背景に投資家集めが難航していた。
今回と似たケースに、先般、三井物産の米国のベンチャー投資会社 と米国投資会社 がBoehringer Ingelheim に売却することとした Actimis Pharmaceuticals がある。
Actimis Pharmaceuticals, Inc. の元はバイエル薬品中央研究所の喘息領域部門で、バイエル薬品中央研究所の閉鎖に伴い、喘息領域主席研究員が中心にスピンオフしたものである。2008/6/24 三井物産ほか、バイオベンチャーをBoehringer Ingelheim に売却
このほか、日本のEBOでは、旭電化(現ADEKA)が2000年6月、化学品の包装等加工事業の一部を製造ラインに携わる従業員に売却した。
グループ企業の再編を柱とする経営構造改革の一環で、退職金等を原資に従業員の出資による地域密着型の専門会社を鹿島・富士・三重・明石の4工場に設け、これに社員と加工業務を移管したもので、旭電化は一切出資していない。
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新会社は、自ら新薬の化合物を開発する創薬ベンチャー企業で、グローバル研究開発型ライフサイエンス企業を目指す。
従業員は70人で、既存の研究施設や最先端研究機器を活用する。(中央研究所の研究者は約380人であった)
当初3年間は、探索研究と前臨床開発研究を中心にプロジェクトを推進し、4〜5年目にはPOC(臨床効果の検証)までの臨床試験を実施できる組織へと事業の拡大を図る。
まず、「疼痛疾患」と「消化管疾患」の領域において6つの創薬研究プログラムを推進し、2008年度から継続して臨床開発候補品を創出し、開発ステージに進めていく。
また、世界中の製薬企業、大学、公的研究機関やベンチャー企業と積極的に提携・共同研究を進めていく。
長久社長は、「毎年2つの新薬候補品を生み出し、2010年12月期に売上高41億円を目指す」としており、2010年後半から2011年前半をメドに株式公開をしたいとしている。
東ソーや旭硝子など国内苛性ソーダメーカーはオーストラリア向け本年下期(7-12月)積み輸出価格を1トン495ドル(本船渡し)に引き上げた。Rio Tinto の100%子会社Comalco などとの交渉で決めた。
本年1-6月の価格はアルミナ精錬向けの需要が堅調で、需給が締まり、過去最高の300ドルとなったが、下期はこれより更に 65%も高い。(昨年までの最高は1991年下半期と1992年上半期の295ドル)
付記
メーカー各社はこれを材料に国内価格の値上げを行った。
需要家が一斉に反発したが、需給逼迫を受け、11月にはほぼ決着した。
ローリー輸送で中心値66,500円/トンと、85年9月(67,000円)以来の高値となった。
但し、世界経済の減速で、来年には需給緩和で反落の可能性がある。
付記 2009/11/13 豪州向け苛性ソーダ輸出価格、大幅値下がり
日本からの輸出はその70%が豪州向けである。豪州には多くのアルミナ工場があり、主にアルミナ製造用に使用される。
ボーキサイトを苛性ソーダで溶融し、水酸化アルミニウムとし、更にこれを焼成してアルミナを製造する。
アルミナの電解でアルミニウムができる。各社のアルミナ工場は 2007/7/17 Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に の末尾参照
注) 輸出内訳は財務省貿易統計で、合計数量は下記のソーダ工業会の数値とでは差がある。
日本では塩ビが好調で、塩素主体で電解設備を稼動させるため、苛性ソーダが常に余剰となり、輸出でバランスをとっている。
輸出実績 (97%換算 千トン) ソーダ工業会統計 | ||||||||||||||||||||
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一時は米国品との競合で価格が下がり、FOBでゼロという時代もあった。
しかし、米国のソーダプラントが燃料の天然ガス高騰による採算悪化を理由に相次ぎ閉鎖され、輸出国だった米国が輸入国に転じたこと、中国でも経済成長を背景に苛性ソーダの需要が増えたこと、豪州でアルミナ生産の拡大により苛性ソーダ需要が急増したことなどから、上昇に転じた。
今回の値上げは大幅で、メーカーはこれを材料に国内価格の値上げを図る。
最近の塩ビの損益悪化で悩む各社にとっては好材料である。
しかし、アルミメーカーは資源価格高騰のなかで、この苛性ソーダ価格値上がりをアルミの価格に転嫁するのは目に見えており、日本に跳ね返る。
双日は8日、高機能樹脂や合成ゴムの原料として需要が拡大しているDCPD(ジシクロペンタジエン)を製造するアメリカのCymetech, LLCを買収し、完全子会社化したと発表した。Cymetech Corporationに社名変更する。
Cymetechは、独自の技術でCalvert City (KY)でDCPDを製造しており、25,000トンの生産能力を持つ。
DCPDは、液晶フィルム、光学レンズの原料の環状オレフィン・コポリマーや、EPDM の原料として需要が拡大している。
EPDMの第3成分はDCPDのほかに、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン(1,4-HD)などがある。
また、DCPDは、双日の子会社のMetton America が製造・販売しているメトン樹脂(DCPD-RIM成形法用配合液)の原料であり、両社のシナジーが期待できる。
双日は、米国、欧州に加えて、経済成長が著しいアジアでの化学品事業の拡大を図っていくとしている。
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RIM(Reaction-Injection-Molding)
は反応射出成型方式で、DCPD-RIM成形法の特長は、極めて短時間で大型形状の成型物や複雑形状の成型物が経済的なコストで得られることにあり、主要用途は以下の通り。
・建機、農機、大型トラックなどのボディーパーツ
・合併浄化槽筐体
・ユニットバス周りのプラスチックパーツ
・量水器ボックス、パイプ継ぎ手などの土木資材
米国にはDCPD-RIM成形法用配合液のメーカーが2社あった。
1社は Hercules のMetton で、現在は上記の通り、双日の子会社Metton America である。
他の1社はBFGoodrich が開発したTelene で、Cymetech LLC が製造していたが、日本ゼオンと帝人化成のJVのRIMTEC(株)が事業を買収し、全額出資のフランス子会社
Telene
SAS となっている。
また、Metton America が双日の連結子会社となったのは、RIMTEC設立に際してEUから条件を付けられ、帝人が手放したためで、これらの事業の間には複雑な関係がある。
ーーー
Cymetech:
2000年4月、BFGoodrich のPerformance Materials 部門と、ポリウレタンメーカーの
Advanced
Polymer Technologiesが合弁会社Cymetech を設立し、DCPDとTelene の製造を開始した。
2001年2月、BFGoodrich はPerformance Materials 部門を投資家に売却、同部門はPMD Group Inc.となったが、同年7月に Noveon Inc と改称した。コーティング材料、ポリウレタン材料等を製造・販売した。
2002年、Noveon 所有の Cymetech 株を投資会社Sterling JA, LLC が買収した。
但し、Telene 事業はNoveon が引き取り、Cymetech はDCPD製造会社となった。
(Noveon
はTelene
の自社製造を止め、日本ゼオンからのOEM供給品に切り替えた。)
2004年、Lubrizol が低成長の潤滑油添加物事業の多角化のため、18.4億ドルでNoveon を買収した。
ーーー
Metton America:
Hercules, Inc. のMetton 事業を1995 に帝人、丸善石油化学、ニチメン(現
双日)の3社が買収し、Metton America を設立した。
3社で投資会社 MTN
Chemicals (帝人化成 60%)を設立してMetton America の60%を出資。
日本では帝人化成が100%子会社・帝人メトンを設立した。(帝人メトンもMetton America に25%を出資した)
ーーー
日本ゼオン:
日本ゼオンはGPI法(イソプレン抽出技術)を開発、ジシクロペンタジエンを主原料としてRIM(反応射出成形)方式によって得られる大形成形品「PENTAM(R)」を販売した。
ーーー
RIMTEC:
2003年8月、日本ゼオンと帝人化成はDCPD-RIM配合液および各種RIM成型品の製造、販売のため、合弁会社 RIMTEC(ゼオン 60%、帝人化成 40%)を設立した。
両社はDCPDを主原料とし、RIM方式により成型される新規の熱硬化性樹脂として日本ゼオンはPENTAMを、帝人メトンはMETTONを販売していたが、両事業を統合することとした。
Metton America:
EUはこの合併に関して、欧州市場でのDCPD-RIM成形法用配合液の販売で懸念を示した(帝人:Metton America とゼオン)。その結果、帝人がMetton America の直接・間接出資を処分することを提示、2003年8月、合併が承認された。
2003年9月、ニチメンは帝人化成のMetton America への直接・間接出資分を買取り、85.11%を取得して傘下に収めた。
2005年11月、RIMTEC はLubrizol との間で、Noveon のDCPD-RIM成形法用配合液(Telene)事業の買収について基本契約を締結した。
買収にあたり、RIMTECの全額出資の子会社Telene SASをフランスに設立し、新会社がNoveon より従業員、研究開発設備などを含む全てのTelene事業を引き継ぐ。
Noveon はDCPD-RIM成形法用配合液(Telene)をRIMTEC社からのOEM供給品に切り替えており、両社は良好な協力関係を構築してきた。
RIMTECの販売拡大の速度を上げる為に直接EU市場を開拓したいという意向と、Noveonの親会社Lubrizol のコア事業集中方針とが合致し、Telene事業買収の合意に至った。
ーーー
当初の各社の現状は以下の通りとなる。
DCPD | DCPD-RIM成形法用 配合液 |
現所有者 |
Metton America (帝人→双日) |
双日 | |
Cymetech (→双日) |
Cymetech(Telene) (→Noveon→RIMTEC) |
RIMTEC (ゼオン/帝人) |
当初、DCPDと配合液の一貫メーカーであったCymetech は、BFGoodrich の離脱でTelene との縁が切れたが、今回、双日の下で、別系列のMetton にDCPDを供給することとなる。
2008/7/10 ジャパンエナジー、石油精製設備を活用した廃プラスチック熱分解油処理の実用化
ジャパンエナジーは2日、水島製油所で実証試験を行なってきた廃プラスチック熱分解油の石油製品への再生処理技術を7月から実用化段階に移行したと発表した。本処理技術の実用化は国内石油会社として初めて。
札幌プラスチックリサイクル株式会社の油化プラントで産出される廃プラ油を水島製油所に受け入れ、水素化精製装置を活用して石油製品(主にナフサ)へ再生する。
当面、実証試験段階と同量の年間1,000KL程度の廃プラ油を処理するが、将来的には処理量を拡大していく。
同社は、この技術について、容器包装プラスチック油化事業者協議会(札幌)と共同研究を行っており、2004年4月から水島製油所の商業装置による実証化運転をしていた。
わが国で排出される廃プラスチックは年間約1,000万トン(2006年)あり、そのうち約1万トンが油化プラントで処理され、年間約 5,000KLの廃プラ油が生産されている。
ーーー
札幌市では、地域内でのゼロ・エミッションをめざした資源循環型社会の構築や環境産業の誘致による経済活性化などを図るため、「エコタウン札幌計画」を策定し、1998年9月に通商産業省及び厚生省の承認を受けた。
その一つが札幌プラスチックリサイクル株式会社のプラスチック油化施設で、高度な脱塩素処理を行う大型油化プラント3基などを稼動させ、市内で分別収集されたプラスチックをプラスチック選別センターから受け入れて油化処理を行なっている。A重油相当品のみ市内の熱供給事業者などへ販売している。
事業主体 | 札幌プラスチックリサイクル株式会社 |
資本金 | 3億円 (東芝グループ80%、三井物産15%、札幌市5%) |
会社設立 | 平成10年10月27日 |
処理能力 | 14,800t/年 |
再商品化量 | 11,050kl/年(炭化水素油) |
建設費 | 5,182百万円 |
補助金 | 国庫補助 2,547百万円、札幌市補助 26百万円 |
このほか、札幌では分別収集されたペットボトルを市内はもとより道内各地から受け入れ、フレーク化からシートの製品化までを一貫して行っている。
2008/7/11 公取委、「レジ袋一律5円」 一転して「問題なし」に
新潟県佐渡市は2007年、トキの放鳥を控え、「美しい島づくり」を目指し、「レジ袋ゼロ運動」のPRを始め、市内全域の店に4月からレジ袋を1枚5円に有料化するよう要請した。レジ袋の代金の5円は、買い物袋「マイバッグ」の製作費に充てる計画だった。
しかし、公正取引委員会が「行政が価格を一律にするよう指導するのは好ましくない」と指摘したため、市は「一律1枚5円」を撤回し、店舗が袋代を自由に決められるよう変更した。「5円」をうたって作製したポスターも廃棄した。
公取委は、「値段は各社が自由に決めるもの。目的は別にして、強制したり、離脱が困難だったりする価格設定には問題がある」とした。
安井至先生の「市民のための環境学ガイド」がこれを取りあげている。
2007/3/18 「公正取引委員会とレジ袋」 http://www.yasuienv.net/JFTCvsSado.htm
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公正取引委員会は10日、「独占禁止法に関する相談事例集(平成19
年度)」を公表した。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.july/080710.pdf
事業者又は事業者団体がこれから行おうとする具体的な行為に係る独占禁止法上の問題の有無等について相談を受け付けており、併せて独占禁止法違反行為の未然防止の観点から、寄せられた相談のうち他の事業者等にも参考になると思われる事案について、その概要を事例集にまとめ公表するもの。
その中に、「レジ袋の利用抑制のための有料化の取組」がある。
公取委は、「市、住民団体及び小売事業者が、平成19 年×月△日以降、市内の小売店舗での商品の販売に際して、レジ袋の提供を有料化するとともに、提供するレジ袋の単価を1枚5円とする内容の協定を締結することは、直ちに独占禁止法上問題となるものではない」と回答している。
その理由として、以下の通り述べている。
(1) | 本件は、参加小売事業者らが共同してレジ袋の有料化及び単価を取り決めているものとして検討する必要がある。 | ||
(2) | 本件取決めの対象となっている事業活動は、参加小売事業者各社が、レジ袋を1枚5円で提供するというものであるが、レジ袋は、一般的に、その購入を目的として顧客が来店するものではないといえ、小売事業者の事業活動という観点からすれば、レジ袋の提供は商品提供というよりも副次的なサービスの一つと捉えられる。 よって、参加小売事業者間の競争が行われている場は、レジ袋の取引ではなく、当該小売事業者が販売する商品全体の取引と捉えられる。 |
||
(3) | A市においては、ほとんどすべての小売事業者が本件取組に参加することになるため、レジ袋が必要な顧客にとっては、レジ袋を無償提供又は安値で提供する小売事業者を選択する余地がほとんどなくなることになる。 | ||
しかし、 | |||
ア. | 本件取決めによって、小売事業者間での商品の販売についての競争は制限されないこと | ||
イ. | レジ袋は、顧客にとって小売店舗での商品購入に当たり必要不可欠なものとはいえず、また、顧客はその購入を目的として来店するものではないこと | ||
ウ. | レジ袋の利用抑制の必要性について社会的理解が進展しており、正当な目的に基づく取組であるといえること | ||
エ. | 本件取決め内容は、 | ||
(ア) | レジ袋の利用の抑制という目的達成のための手段として、以前から行われてきたポイント制等の手段ではその効果に限界がみられる一方、レジ袋の有料化は、ポイント制等に比べて効果が高いと認められること | ||
(イ) | 単価を取り決めなければ、レジ袋の利用の抑制という目的を達成できないような安価な提供に陥る可能性があること | ||
(ウ) | 取り決められる単価の水準として、単価5円は、目的達成のために顧客が受忍すべき範囲を超えるものとは考えられないことから、目的に照らして合理的に必要とされる範囲内であること | ||
から、直ちに独占禁止法上問題となるものではない。 | |||
ーーー
「相談事例集」には次のようなものが記載されている。
競合する建築資材メーカー同士が、運送コスト削減のため、遠隔地販売先向け製品について、毎月一定量を相互にOEM供給を行うことについて。
ーーー 直ちに独占禁止法上問題となるものではないと回答
原油価格及び穀物価格の高騰に伴う原材料費等の値上がりを受けて、製造コストが大幅に上昇し、業界が困窮していることから、事業者団体が会員事業者の取引先事業者に対して、業界の窮状を訴える文書を発出することについて。
ーーー 直ちに独占禁止法上問題となるものではないと回答
但し、文面上特段の問題がない場合であっても、本件文書の作成等を契機として、価格の引上げ等について、会員事業者間で共通の意思が形成されるなど、競争制限的な行為が行われるような場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある。
2008/7/11 速報 Dow Chemical、Rohm and Haas を買収
Dow Chemical
は10日、
188億ドルでRohm
and Haas (R&H)を買収する契約を締結したと発表した。
現金153億ドルで全株式を買収し、R&Hの35億ドルの借入金を引き継ぐ。
1株
$78 は前日終値の74%増し。
Dow のAndrew
N. Liveris CEO は、この買収はDowを、高付加価値で多角化した化学品・先進材料会社という「明日のダウ」に変貌させる重要な一歩であるとし、機能製品と先進材料で世界の主導的地位を占める米国最大のスペシャルティケミカル会社になると述べた。
付記
ダウは9月10日、独禁法問題対応のため、一部工場の売却を検討していることを明らかにした。
対象:
アクリル酸、同エステル工場(Texas 州Clear Lake)
子会社UCAR Emulsion System の特殊ラテックス製品工場(Louisiana、Illinois、Californiaの3工場)
技術センター(North Carolina州)付記
ダウは11月13日、合併後の新組織を発表した。
R&H事業を新しく Advanced Materials Division とする。
次の6つのBusiness Group から成る。
* Coatings,
* Building and Construction,
* Paper and Textiles,
* Specialty Packaging and Films,
* Designed Polymers and Separation Technologies,
* Electronic Materials
ーーー
Dowは基礎化学品と機能性化学品のバランスが取れ、多角化し、上流から下流までの統合会社で、グローバルに活動し、生産性と信頼性が高い、技術優位の企業となることを目指し、原料価格変動の影響を受けやすい基礎部門をAsset
light strategy(JV化)により進めることを明らかにしている。
同社は昨年12月、クウェート国営石化会社
Petrochemical Industries Company (PIC)
との間でグローバルな石化JV(50/50)を設立すると発表した。JVは米国に本拠を置き、PE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンを製造販売する。
2007/12/14 速報 ダウとクウェートのPIC、グローバル石化JVを設立
石化のPICとのJV化と今回のR&Hとの合併を合わせると、2007年ベースで、機能製品・先進材料の売上高比率が、従来の51%から69%に高まる。
この買収に際し、米国の億万長者のWarren Buffett
の Berkshire Hathaway が30億ドル、クェート投資庁が10億ドルを優先株購入の形で出資する。
これによりBerkshire Hathaway はDow の最大株主となる。
ーーー
Rohm & Haas について
1907年に2人のドイツ人、ケミストのRohmと実業家のHaasがドイツでRohm & Haasを設立した。
1909年にHaasが米国に移住してフィラデルフィアに支店を設立した。
第一次大戦でドイツ企業が接収されるのを避けてHaasが本社と縁を切って米国企業のRohm
& Haasとした。
(Haasは戦後 Rohmにその持分の対価を払っている)
ドイツ本社はRohmと改称、1989年にHulsに買収された。
Hulsは1899年にDegussaと合併してDegussa-Hulsとなり、2001年にSKW
Trostbergと合併して現在はDegussaとなっている。
MMAの海外メーカーの推移
Rohm and Haas の事業 売上高は2007年、単位:百万ドル
Group | 部門 | Sales | 製品 |
Electronic Materials Group | Electronic Technologies | 1,666 | Semiconductor、Circuit
Board、 Packaging and Finishing |
Display Technologies | 45 | 韓国SKCとのJV | |
Specialty Materials Group | Paint and Coating Materials | 2,120 | |
PacPrimary Materialskaging and Building Materials | 1,826 | Polymers、additives、 formulated value-added products |
|
Primary Materials | 975 | MMA、アクリル酸とエステル、 Specialty monomer products |
|
Performance Materials Group | Performance Materials | 1,205 | Process
Chemicals & Biocides、 Powder Coatings、others |
Morton International | Salt | 1,060 | Morton International 買収 |
Total | 8,897 |
住友商事は2日、マレーシアの発電事業会社 Malakoff Corporation Berhad 、サウジアラビア民間財閥 Al-Jomaih Automotive Company とコンソーシアムを組み、サウジアラビアのRas Azzour 造水・発電プロジェクト(IWPP:Independent Water and Power Producer) の入札で一番札を獲得したと発表した。
入札には関西電力がArabian Co. for Water & Power Development (ACWA Power)と組み、また、丸紅が Suez Tractabel と組んで参加した。
サウジアラビア東部のRas Azzour (or Ras Al Zour) 地区に、日量100万トンの造水プラントと 850〜1,100MWの原油焚き通常火力発電プラントの建設を行い、完工後は同プラントを操業し、20年間にわたりサウジアラビア水利電力省傘下のWater & Electricity Company(WEC)に対して電気・水の販売を行う。
総事業費は、新設プラント建設費用他を含み、総額約60億ドル規模となる見込みで、2012年夏完工を予定している。
サウジ政府が40%を出資、住友商事ほか2社が20%ずつ出資する。
日本政府も公的融資などで事業を支援する。
付記
2009年5月、サウジ政府は本事業を政府事業にする方針に転換し、住商らとの交渉を白紙に戻した。
金融危機の影響でマレーシア企業が撤退の意向を示したり、資金調達コストが上昇、交渉が滞っていた。
ーーー
Water & Electricity Company (WEC)は2003年にサウジ政府の Saline Water Conversion Corporation (海水淡水化公団)と政府70%出資のサウジ電力会社のpartnership として設立された。
今回のWECのRas Azzour IWPP は、サウジ西海岸の
Shuaibah
IWPP、Shuqaiq IWPP に次ぐ三番目のもの。
(このほかJubail
IWPP 計画もあったが、取り消しとなった)
Shuaiba はJeddah の南110kmに、 Shuqaiq はJizan の北140 km にある。
Shuqaiq
IWPP には三菱商事が参加している。
.
Shuqaiq IWPP は、サウジの政府公共投資基金(PIF)とサウジ電力会社、ACWA Power、三菱商事、クウェートのGulf Investment Corporationが出資する。
WECとの間で、20年間にわたり電力と水を供給する契約を締結しており、大規模な発電・海水淡水化設備の建設を進めている。
火力発電は、総出力102万kWで、34万kW蒸気タービン3基、原油焚きボイラー3基、発電機3基などで構成され、海水淡水化設備は、二段の逆浸透膜の活用により海水を濾して脱塩する逆浸透法プラントで、1日当たり216千m3の飲料水を供給する予定。
2007年3月、三菱重工業はShuqaiq IWPP
から、原油焚き火力発電設備及び海水淡水化設備をフルターンキー契約で受注したと発表した。2010年4月からの商業運転開始を目指す。
三菱重工は、設備の設計・製作から建設・試運転までを担当し、発電機は三菱電機が供給する。
2008/7/14 Ashland がHercules を買収
米国最大の化学品のディストリビューターのAshland は11日、約33億ドルでHercules を買収する契約を締結したと発表した。
合併は本年末に完了する予定で、“ major, global
specialty chemicals company”が誕生する。
本年3月末までの年間ベースで統合会社の売上高は海外分35億ドルを含め、100億ドル以上となる。
同期間のEBITDA(金利・償却費・減耗費・税金前損益)は特別損益を除き、Ashland が365百万ドル、Hercules が392百万ドルとなっている。
Ashland では両社の合併により、3つのコア事業が出来ると述べている。
・specialty
additives and ingredients
Hercules のwood rosin 製品(Aqualon) は接着剤、ペイント、食品、医薬品、化粧品等広く使用されている。
統合により、この事業からEBITDAの1/3が産み出される。
・paper and water
technologies
両社事業の統合により売上高20億ドルのグローバルなpaper and water
technologies 事業が誕生
・specialty resins
Ashland の得意分野で、Ashland の商事部門と自動車用品部門(Valvoline) が補完する。
ーーー
Ashland は1924年に地方の石油精製業としてスタートした。
現在の事業と、2007年の売上高(単位:百万ドル)は以下の通り。
部門 | 製品 | 売上高 |
Distribution | chemicals、plastics、composite
materials、 environmental services |
4,031 |
Performance Materials | metal casting consumables
and design services unsaturated polyester、vinyl ester resins、gelcoats high-performance adhesives、specialty resins |
1,580 |
Valvoline motor oil | automotive lubricants、transmission
fluids、gear oils、 hydraulic lubricants、automotive chemicals、 specialty products、greases、cooling system products |
1,525 |
Water Technologies | 818 | |
(Inter-segment) | -169 | |
合計 | 7,785 |
ーーー
Herculesは1912年にHercules Powder CompanyとしてDuPont からスピンオフして設立され、同様のAtlas Powder Company とともに、米国の火薬市場の2/3を占めた。
1920年代にニトロセルロースなどで化学分野に進出、1950年代に石油化学に進出した。
1960年代にはDMTとPP
のトップメーカーとなった。
しかし1970年代に入り、汎用石化製品からスペシャルティケミカルに転換、1983年1月にPP事業をイタリアのMontedison とのJVのHimont に移した。これが変遷のうえ、Basell となった。
2006/4/19 ポリプロピレン技術導入競争
現在の事業と、2007年の売上高(単位:百万ドル)は以下の通り。
部門 | 製品 | 売上高 |
Aqualon Group | wood rosin derivatives | 985.6 |
Paper
Technologies and Ventures Group |
Paper Technologies | 903.4 |
Ventures Pulp and Biorefining Water Management Adhesives Lubricants |
247.2 | |
合計 | 2,136.2 |
2008/7/15 The Global Warming Swindle(地球温暖化詐欺)
池田信夫 blog の2008/7/12記事 が英国の公共放送TV Channel 4 の長編ドキュメンタリー「The Global Warming Swindle(地球温暖化詐欺)」 を紹介している。 http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f660cfa25cd1fa208644f5c92c2f46ef
ある人が Channel 4 の番組(2007年3月放映)の録画を日本語字幕を入れて youtube に投稿したもので、1時間程度の番組を8つに分けている。
人間の活動で作られたCO2が温暖化の主な原因であるとは信じない専門家の見方を紹介している。
番組の中で、赤祖父俊一・アラスカ大学国際北極圏研究センター所長も「CO2排出増加の以前から気温上昇は始まっており、CO2と気温には関連性がない」(2/8)、「北極圏の氷は常に変動しており、何も異常はない」(6/8) と述べている。
主な内容:
・ | IPCC報告は偏ったもので、多くの専門家が内容を否定している。 「温暖化はScienceではなく Propagandaだ。」「温暖化と人類が放出する温室効果ガスを関連付ける直接的な証拠はない。」 反対意見が抹消されたと告発する学者がいる。(IPCCもそれを認めた) |
・ | CO2と気候変動は相関関係があるように見えるが、実際は気候変動の数百年後にCO2の変動が起きている。 |
CO2の最大の発生源は海で、気温が上がればCO2を放出するが、海水量は大きいので、温度アップに時間がかかるため。 | |
・ | 真犯人は太陽の活動。 |
宇宙線と水蒸気で雲が出来るが、太陽の活動が活発になる(太陽黒点が増える)と、太陽風で宇宙線を吹き飛ばし、雲が出来なくなって気温が上がる。 | |
太陽活動が弱まると、雲が増えて、気温が下がる。 | |
・ | CO2温暖化論は地球寒冷化の恐れの際に、スウェーデンの気象学者
Bert Bolin
が打ち出した仮説。 (CO2を増やせば、少しは温度を上げられるかもしれないというもの) |
炭鉱ストに怒ったサッチャーが原子力への移行を狙い、この仮説を利用した。 | |
・ | 気候変動のモデルは変数を少し変えれば希望の結果が出せる。 |
・ | 温暖化でマラリア被害が北上するというのはウソ。ロシアでマラリアが大発生した。 |
・ | 開発途上国の活動を抑えようとする動きに対するアフリカの視点 |
ーーー
洞爺湖サミットを機会に、温暖化対策の必要性の議論が増えるとともに、懐疑論も増えている。
池田信夫 blog でも懐疑論の立場でこれまで多くの記事が掲載されているが、「温暖化懐疑論のまとめ」(2008/7/5)として最近の懐疑論の文献を紹介している。
1.そもそも温暖化は起きていない(寒冷化が起こる)とするもの
- 丸山茂徳『地球温暖化」論に騙されるな! 』
- Lawrence Solomon, The Deniers
2.温暖化は自然現象であり、人為的な要因は重要ではないとするもの
- 赤祖父俊一『正しく知る地球温暖化』 上記
- 槌田敦『CO2温暖化説は間違っている』
- Roy Spencer, Climate Confusion
3.温暖化をCO2削減で止めることは不可能だとするもの
- デニス・エイヴァリー&フレッド・シンガー『地球温暖化は止まらない』
4.地球温暖化のリスクよりその対策(京都議定書)のコストのほうが大きいとするもの
- 池田清彦・養老孟司『ほんとうの環境問題』
- Nigel Lawson, An Appeal to Reason
5.排出権取引は非効率であり、課税で解決すべきだとするもの
- William Nordhaus, A Question of Balance
同blogの温暖化問題記事
2008/7/9 地球は温暖化しているのだろうか
2008/6/28 地球と一緒に頭も冷やせ!
ーーー
上記の赤祖父氏は「もったいない学会」(http://www.mottainaisociety.org/)の講演(2008/2/19)で、次のように述べている。
地球の長い歴史で、今と同様に暖かい時期が何度もあった。
西暦1000年頃は温暖期で、その後小氷河期が始まり、1800年頃から温度が上がり始めて今に至っている。
化石燃料使用でのCO2排出増加は1946年以降であるが、それ以前から今の状況が始まっている。
IPCCは1975年以降を捉え大変だとするが、「気候変動」であり、なにも異常ではない。
氷河の後退も、海水の上昇も1800年代から始まっている。
白熊はもっと暖かい時期でも生きていた。
氷河崩壊は自然現象。氷河は流れており、先端が崩壊するのは当たり前。
永久凍土がとけて家が壊れたのは、パイルを打たずに安く家を建てたため、冬の暖房で凍土がとけたもの。
ーーー
付記
安井至先生が「市民のための環境学ガイド」でこのビデオを含め、温暖化懐疑論を取り上げている。
2008/7/20 「温暖化懐疑本の論理構造」
いろいろな「懐疑論」の論拠を整理し、それぞれに批判を加えているが、いつもと異なり、あまり歯切れはよくない。
最新分は http://knak.cocolog-nifty.com/blog/