ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから
目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は
2006-5-1
http://blog.knak.jp
2014/6/16 明治HD、インドの製薬会社Medreichを買収
明治ホールディングスは6月11日、傘下の製薬会社Meiji Seika ファルマがインドの製薬会社メドライク(Medreich Limited)
の全株式を2億9000万ドルで取得し、完全子会社化すると発表した。
規制当局の許認可を得て年内にも買収手続きを完了させたい考え。
Medreichの株主はMed
Holdings(UK)、Nokha Holding、V-Sciences等である。
Medreichの創業者がMed Holdings(UK)、Nokha Holdingを通じ、またシンガポールのTemasekの子会社Temasek Life
Sciences Laboratory がV-Sciencesを通じて出資している。
Medreichはインドを生産拠点として、医薬品製剤の受託製造(CMO)・受託開発製造(CDMO)およびジェネリック医薬品の製造・販売を欧州、アジア、アフリカなどに向けてグローバルに展開している。
同社の医薬品製剤のCMO事業は、大手グローバル製薬企業を主要顧客としており、コスト効率の高さと品質レベルにおいて、高い評価を得ている。
2005年以降は、医薬品製剤のCDMO事業およびジェネリック医薬品事業に進出し、多くの医薬品製剤の開発・申請・承認取得実績を有するとともに、インド国内および世界各国へのジェネリック医薬品の輸出販売を展開している。
1994年 Smithkline
Beechamからアフリカ向けのジェネリック医薬品の供給を受託、同社から技術や規制対応の指導を受けた。
2000年 GSK、Pfizer、Sanofi に供給を開始
2005年 Temasek Life Sciences Laboratoryが出資
2009年 インド市場に参入
現在の主要事業パートナーは、GSK、Adcock Ingram、Pfizer、Sanofi、Mylan等
である。
2013年3月期の連結売上高は157百万ドル、経常利益は22百万ドル、当期利益は11百万ドルとなっている。
ーーー
明治ホールディングスは2009年4月1日に、明治製菓と明治乳業が設立した共同持株会社。
2011年4月に、明治グループ内事業再編により、
食品事業を竃セ治、薬品事業をMeiji Seikaファルマ鰍ニした。
竃セ治:食品事業(菓子、乳製品、健康栄養)
Meiji Seikaファルマ梶F薬品事業
医療用医薬品
生物産業:農業用(除草剤、殺菌剤等)、動物薬(ペット用、畜産・水産用)
薬品事業は1946 年にペニシリンの開発を行って以来、60 年を超える歴史があり、ペニシリン製造を皮切りに1950
年に結核治療薬「ストレプトマイシン」を、1958 年には国内初の国際的医薬品として抗菌薬「カナマイシン」を発売した。
抗菌薬のトップメーカーとして自社独自の製造・開発技術を確立し、次々に優れた抗菌薬を提供してきた。
1906 |
明治製糖 設立 |
|
1917 |
|
明治製糖が極東煉乳を設立 |
1924 |
明治製菓に改称 |
|
1940 |
|
極東煉乳を明治乳業に改称 |
1946 |
ペニシリンの製造開始 |
|
1950 |
抗菌薬「ストレプトマイシン」発売 |
|
1958 |
抗菌薬「カナマイシン」発売 |
|
2009 |
明治製菓・明治乳業が経営統合 共同持株会社「明治ホールディングス」設立 |
2011 |
事業再編
・ 竃セ治
・ Meiji Seikaファルマ |
同社の長期経営指針「明治グループ2020ビジョン」において、Meiji
Seikaファルマは、国際展開力を有する「スペシャリティ&ジェネリック・ファルマ」として、
・感染症・中枢神経系領域における新薬の研究開発・製造・販売
・高品質で安価なジェネリック医薬品の提供
・農薬・動物薬事業を通じて、
世界の人びとの健康と生活充実に貢献することをミッションとして掲げている。
そのなかで、医薬事業の持続的成長を図るべく、ジェネリック医薬品事業の一層の拡大とアジア・新興国を中心とした海外事業の積極拡大に取り組んでいる。
今回の買収により、下記の効果を狙う。
・低コスト生産かつ生産数量の拡大のためのインフラ獲得
・低価格薬剤の需要増加が見込まれるインドやアジア・アフリカ諸国におけるジェネリック医薬品の販売網拡大
・大手グローバル製薬企業との長年の取引をベースとしたCMO・CDMO事業の拡大
・これらを推進する人材の獲得
2014/6/17 世界の石油化学製品の今後の需給の動向
経産省は6月13日、エチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品等の石油化学製品についての、2018年までの世界の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめて発表した。
(以下のグラフはMETI発表の数値に基づき、当ブログで作成したもの)
本年の需給動向の作成に当たっては以下の見方をしている。
@
中国の石炭化学プラントの新設計画の具体化により、中国のエチレン生産能力の見通しは昨年度版より1割程度増加し、2017年には3千万トンを超える勢い。
A 米国のエチレン生産能力は2018年までに1千万トンを超える新増設計画が確実視され、それ以降も増加傾向が続く。
ただし、建設コストの高騰や輸出環境の変化などにより計画の後ろ倒しの動きも見られる。
B 世界全体の需要量の伸び率は、エチレン系誘導品は年平均4.2%、プロピレン誘導品は年平均4.0%とした。
今後も引き続き中国、インドが需要の伸びを牽引していくが、今後の両国の経済成長率の鈍化により小幅な需要の伸びに止まることも考えられる。
世界のエチレン系誘導品の需給は以下の通り。(エチレン換算:百万トン)
|
|
世界計 |
韓国 |
台湾 |
中国 |
ASEAN |
インド |
日本 |
アジア計 |
欧州 |
北中南米 |
中東 |
2012
実績 |
需要 |
120.4 |
4.3 |
2.3 |
30.2 |
6.6 |
5.8 |
4.9 |
54.2 |
20.7 |
32.7 |
8.8 |
能力 |
157.7 |
7.8 |
4.8 |
22.5 |
12.1 |
5.1 |
7.4 |
59.7 |
26.7 |
38.9 |
26.7 |
|
2018
予想 |
需要 |
158.6 |
4.5 |
2.7 |
42.9 |
8.2 |
10.6 |
4.9 |
73.8 |
22.2 |
39.7 |
13.0 |
能力 |
186.2 |
8.6 |
5.0 |
30.2 |
12.7 |
9.2 |
7.1 |
72.7 |
25.7 |
46.9 |
33.1 |
原料であるエチレンの生産能力は、2012年末の150.1百万トンから、2018年末に188.1百万トンに増加する見通し。
増加幅で見ると中国、北米がそれぞれ10百万トンを超えると予測されている。
世界のプロピレン系誘導品の需給は以下の通り。(プロピレン換算:百万トン)
|
|
世界計 |
韓国 |
台湾 |
中国 |
ASEAN |
インド |
日本 |
アジア計 |
欧州 |
北中南米 |
中東 |
2012
実績 |
需要 |
82.3 |
3.0 |
2.2 |
24.5 |
4.8 |
3.3 |
4.1 |
41.9 |
15.7 |
17.2 |
4.5 |
能力 |
102.6 |
6.2 |
3.2 |
22.9 |
7.0 |
4.5 |
5.7 |
49.4 |
18.4 |
23.3 |
8.5 |
|
2018
予想 |
需要 |
104.3 |
2.9 |
2.2 |
36.0 |
6.2 |
6.1 |
3.9 |
57.3 |
16.6 |
20.8 |
5.7 |
能力 |
126.0 |
6.5 |
3.2 |
35.3 |
8.3 |
6.1 |
5.2 |
64.5 |
18.4 |
27.6 |
11.1 |
2014/6/18 三菱レイヨンと三井物産、米国でのMMAモノマー製造販売JVの基本合意 付記
2020/1時点でなお検討中
三菱レイヨン(三菱ケミカルホールディングスの一員)と三井物産は6月16日、米国でMMAモノマー製造・販売事業を行う合弁会社の設立に向け、覚書を締結した
と発表した。
また、両社はDow Chemical との間で、DowからJVへの原料エチレン供給、JVからDowへのMMAモノマー販売の基本骨子の覚書を締結した。
計画概要は以下の通り。
・JVは三菱レイヨンが過半の出資を行う。
・三菱レイヨン子会社のLuciteが開発した新エチレン法(アルファ法)を採用
・工場立地は未定
・能力 年産25万トン
・生産開始 2018年末
・原料エチレンはDowが米国湾岸地区に展開するエチレン製造供給網から三井物産を経て購入
・製品の一部をDowに供給
三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長はかねてより、米国のシェールガス革命による産業界の活性化を挙げ、米国での事業も検討したいとしていた。
また、同社はMMA事業について、グローバルオペレーションの確立と競争力強化を目標としており、上海での増設、サウジ計画に次ぎ、米国立地を検討していた。
三井物産は2010年12月にDow Chemical との間で折半出資でDow-Mitsui
Chlor-Alkali LLCを設立、本年からテキサス州フリーポートで電解事業を行う。
三菱ケミカルとしては、三井物産とDow の関係を考慮し、三井物産を加えたと見られる。
Dowはシェール革命を背景に、2011年4月に、エチレンとプロピレンの能力増強を発表した。
エチレン
・停止していたルイジアナ州St. Charles のエチレンクラッカーを2012年末までに再開
・ルイジアナ州Plaquemineのエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2014年)
・テキサス州のエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2016年)
・メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設(2017年)
プロピレン
・テキサス州に新しいワールドスケールのプロピレン製造設備の建設(2015年スタート)
・自社の新技術を使って、プロパンからプロピレンを製造する計画の検討(2018年製造開始)
2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表
なお、Dowは2009年4月にRohm
& Haasの買収を完了したが、Rohm & HaasはMMAモノマーのメーカーであり、米国でも現在、三菱レイヨンと競合している。
JVの製品を一部購入し、供給不足を補うのではないかと思われる。
以下、各社の状況。
三菱レイヨン
2009年5月に英国Lucite
International Group Limitedを経営統合した。
Lucite
の前身はICIのMMA事業で、ICIは1934年に世界で初めてMMAの商業生産を行なった。
ICIは1993年にDuPont
のMMA事業をナイロン事業との交換で取得した。
ICIは1997年に事業の転換を決定、既存事業を次々に売却した。
MMA会社は当初
Ineos Acrylics
として発足したが、その後2002年に、現在のLucite
International に改称した。
MMAの生産方法は昔からのACH法(アセトン+青酸)、日本メーカーの開発した直酸法(イソブチレン+メタノール)が中心だが、Lucite
はエチレンを原料とするAlpha
technology を開発した。
現在の事業は以下の通り。
国 |
社名 |
立地 |
千トン |
製法 |
備考 |
日本 |
三菱レイヨン |
大竹 |
217 |
直酸法 110
ACH法 107 |
|
台湾 |
Kaohsiung Monomer |
高雄 |
100 |
ACH法 |
Lucite
(ICI) / CPDC |
韓国 |
大山MMA |
大山 |
90 |
直酸法 |
湖南石化50%、三菱レイヨン50% |
麗水 |
98 |
タイ |
Thai MMA |
Map-Tha-Phut |
180 |
直酸法 |
三菱レイヨン50.01%/
SCGケミカルズ 46%/その他 3.99% |
中国 |
恵州恵菱化成 |
恵州市 |
90 |
直酸法 |
三菱レイヨン100% |
Lucite
China |
上海市 |
100
(+82) |
ACH法 |
Lucite
2015年1Q 増設・合理化82千トン |
シンガポール |
Lucite
Singapore |
Jurong Island |
120 |
アルファ法
(エチレン法) |
2005/6(買収前)
Lucite
と三菱レイヨンが提携契約 |
英国 |
|
Cassel, Billingham |
210 |
ACH法 |
Lucite
(ICI) |
米国 |
Lucite |
Memphis, Tennessee |
180 |
ACH法 |
Lucite (ICI) |
Beaumont, Texas |
156 |
アルファ法
(エチレン法) |
2005/6(買収前)
Lucite
と三菱レイヨンが提携契約
三菱レイヨンが建設の予定であった。 2020/1時点でなお検討中 |
以下、計画 |
サウジ |
Saudi Methacrylates Company |
Al-Jubail
|
250 |
アルファ法
(エチレン法) |
三菱レイヨン 50% / SABIC 50% |
米国 |
未定 |
未定 |
250 |
アルファ法
(エチレン法) |
三菱レイヨン
/ 三井物産 |
付記
三井物産
2010年12月にDow Chemical との間で折半出資でDow-Mitsui
Chlor-Alkali LLCを設立
社名:Dow-Mitsui Chlor-Alkali LLC
能力:苛性ソーダ約88万トン、塩素約80万トン
操業:Dow
操業開始:2014年初め
製品:折半引取り
三井物産は塩素はDowに委託してEDCにし、アジアで販売、
苛性ソーダはDowを通じて米国で販売
2010/7/2 三井物産とダウ、合弁でテキサスで電解事業
Dow Chemical
Dowは2009年4月1日、Rohm
& Haas(R&H)の買収を完了したと発表した。
2009/4/3 ダウ、Rohm
& Haas の買収を完了
Rohm & Haas はMMAポリマー事業についてはAtofinaとのJVの持分を売却したが、MMAモノマーについては事業を継続している。
Deer Park, Texas にACH法 年産 475千トンのプラントを持つ。
2014/6/19 矢崎総業、ワイヤーハーネスの価格カルテル問題で米国の集団訴訟で和解
矢崎総業と米国のTRW Automotive
Holdingsの独子会社は6月4日、自動車部品のカルテル問題での需要家等による米国の集団訴訟(MDL:複数管轄地同時継続訴訟)で和解案に合意した。和解額は公表されていない。
両社は他の自動車部品メーカー(大部分は日本メーカー)とともに米国司法省との間で司法取引を行い、罰金を支払っているが、それとは別に自動車部品の需要家や自動車ディーラー、消費者等から訴えられていた。
自動車部品カルテルでの最初の集団訴訟は2011年12月に過去にワイヤーハーネスのメーカーであった米国のMartinez
Manufacturing Inc.に対してである。
その後、司法取引を行った各社に対し、訴訟が行われた。
2013年2月に日本精機が初めて和解に応じ、600万ドルを支払った。
本年5月には米国のLear Corp.がwire harnessesでの価格カルテルの集団訴訟で875万ドルで和解した。
同社は米国司法省の調査を受けたが、司法省が訴追を取り止め、当然罰金も支払っていない。
Lear
Corpは集団訴訟裁判で、原告側はLearのマーケットシェアや、共謀の機会があったこと、業界の構造、他のメーカーが有罪を認めたということを主張するだけで、同社がカルテルに加わっていたことを立証していないとし、訴えの却下を要求したが、裁判長は認めなかった。
同社は和解後も本件では法律に違反していないと主張している。
本年6月にはスウェーデンのAutoliv Inc.が65百万ドルで和解した。
日本精機もAutolivも司法取引での罰金額よりもはるかに多い額での和解である。
他の多くのケースは裁判の初期段階にある。
本年2月には、パナソニック、日立オートモティブシステムズ、ミツバの3社に対し、別の集団訴訟
でnが出された。
和解の実績は以下の通り。
|
|
司法取引での罰金 |
集団訴訟 |
日本精機 |
自動車用計器 |
2012/8 1百万ドル |
2013/12 和解額 6百万ドル |
Lear Corp.
|
wire harnesses |
−−−− |
2014/5
和解額 8.75百万ドル |
Autoliv Inc |
seatbelts, airbags, steering wheels |
2012/6 14.5百万ドル |
2014/6/3
和解額 65百万ドル |
矢崎総業 |
wire harnesses |
2012/1 470百万ドル
社員6名が禁固刑と罰金 |
2014/6/4 和解額 非公表 |
TRW
Deutschland |
seatbelts, airbags, steering wheels |
2012/7 5.1百万ドル |
2014/6/4 和解額 非公表 |
自動車部品カルテルは2010年2月に日米欧豪加で同時に調査が開始された。
日本の公取委は、ワイヤハーネスについて住友電気工業、古河電気工業、矢崎総業などに立入り調査を行い、調査を進めた。
EUはワイヤーハーネスについてLear Corp.、Leoni
AG、その他の企業の調査を行った。
米FBIは矢崎、デンソー、東海理化の米本社の立ち入り調査を行った。
米国では現在、27社が司法省と司法取引をおこなって罰金を払っている。
このほか、各社の社員32名が訴追され、うち23名が禁固刑を受け入れた。(残り
9名は恐らく日本在住で、裁判を受けていない)
2013/10/1 米司法省、自動車部品カルテルで更に9社、2名と司法取引
公取委は自動車用ワイヤーハーネス、自動車用部品で課徴金を課した。
2012/1/28 公取委、自動車用ワイヤーハーネスのカルテルで課徴金
2012/11/24
公取委、自動車メーカー発注の自動車用部品コンペ参加業者に 排除措置命令と課徴金納付命令
EUも2013年7月にワイヤーハーネスのカルテルで、2014年3月には自動車用ベアリングのカルテルで制裁金を課した。
ワイヤーハーネスのカルテル(千ユーロ)
矢崎総業
|
125,341 |
各社とも協力度合いに応じ、20-50%の減額
他に、争わないことで10%減額 |
古河電工 |
4,015 |
SYS
|
11,057 |
Leoni |
1,378 |
住友電工 |
0 |
自己申告で制裁金 291,638千ユーロ免責 |
計 |
141,791 |
|
ベアリングカルテル(千ユーロ)
|
減額 |
制裁金 |
Leniency |
Settlement |
ジェイテクト |
100% |
10% |
0 |
日本精工 |
40% |
10% |
62,406 |
NFC |
30% |
10% |
3,956 |
NTN |
|
10% |
201,354 |
SKF(スウェーデン) |
20% |
10% |
315,109 |
Schaeffler (ドイツ) |
20% |
10% |
370,481 |
合計 |
|
953,306 |
settlement はこの決定を争わないことによる減額
2014/6/20 Chevron Phillips
Chemical、年産50万トンのPEプラント2基の建設着工
Chevron Phillips Chemical は6月17日、テキサス州Old
OceanのSweeny工場で
Gulf Coast Petrochemicals Project
での2回目となるポリエチレン計画の起工式を開催した。
同社は2011年3月に、シェールガス開発で得られる有利な原料を利用する計画のFS実施を進めることを発表したが、2011年12月にテキサス州のメキシコ湾岸で大規模エタンクラッカーと誘導品設備を建設する計画(Gulf
Coast Petrochemicals Project)のFSを完了した。
2011/12/29 Chevron
Phillips Chemical、シェールガス利用で大規模石化計画
計画概要は以下の通りで、完成時期は2017年となっている。
製品 |
能力 |
立地 |
技術 |
エチレン |
年産150万トン |
Cedar
Bayou工場(テキサス州Baytown) |
Shaw
Energy and Chemicals の技術 |
ポリエチレン |
年産50万トンx 2基 |
Sweeny工場(テキサス州Old
Ocean) |
自社のLoop
Slurry Technology |
Sweenyのエチレン能力は1,860千トンだが、同社は2013年6月に、1炉増強して90千トン増やすと発表した。
同社は本年4月2日にCedar Bayou 工場でエタンクラッカーの起工式を行った。
今回はOld Oceanでワールドスケールの年産50万トンのポリエチレンプラント
2基の起工式を行った。
これにより、石油化学産業のなかでシェールガスを利用して米国でワールドクラスのエチレンと誘導品プラントを建設する最初の企業となる。
エタンクラッカーの設計・購買・建設は日揮とFluor
EnterprisesのJVが、ポリエチレン工場の設計・購買・建設はTechnip USA とZachry Industrial の共同体 Gulf Coast
Partnersが行う。
付記
Chevron
Phillips Chemical は9月19 日、テキサス州 Sweeny のOld
Ocean工場で年産50万トンのPEプラント2基が完成し、スタートアップしたと発表した。
メタロセンLLDPEフィルムからフィルム、容器まで幅広い用途に使われる。
Chevron Phillips Chemical は2017年11月10日、Old
Ocean, Texas の年産100万トンのPE工場がスタート式典を行った。
ーーー
このほか6月9日には、Sasaol と Ineosがテキサス州 LaPorteでHDPEプラントを建設するJVの設立について合意した。
2013年7月に覚書を締結し、その後検討を行っていたもので、50/50のJVを設立し、IneosのInnovene S process
技術を使用して、年産47万トンのHDPEをテキサス州 LaPorteに建設する。
Ineosが操業を請け負い、出資比率に応じて原料エチレンを持ち込み、製品を引き取る。
必要な認可は既に得ており、資金の借り入れ契約のみがペンディングとなっている。生産開始は2016年央を目指している。
2014/6/20 ExxonMobil
もエチレンとポリエチレン工場の建設開始
ExxonMobil Chemical
は6月19日、テキサス州Baytownコンプレックスのでエタンクラッカー、近くのMont Belvieuでポリエチレン工場の建設を開始したと発表した。
エタンクラッカーは年産能力150万トンで、Mont Belvieu
のプラスチック工場で建設する年産65万トンのhigh-value ポリエチレンプラント2基(計130万トン)などにエチレンを供給する。
同社では、この計画は豊富で廉価な天然ガスの供給で可能になったと述べ、米国でのシェール開発は米国の化学企業にとって、プラスチックの生産のためのエネルギーと主原料供給という二重のメリットを与えるとしている。
2017年のスタートを予定している。
付記 エチレンは2018年7月スタート、PEは2017年秋にスタートした。
建設担当は下記の通り。
オレフィン回収設備:LindeとBechtel
オレフィン炉:三井造船とHuertey Petrochem
ポリエチレン2基:三菱重工
両工場の管理調整:Jacobs Engineering,
ExxonMobil Chemical ではこの計画により輸出が著しく伸びると想定している。
付記
ExxonMobil Chemical は2019年5月2日、20億ドルのBaytown
拡張計画を発表した。
・400,000 tons of Vistamaxx™
polymers プロピレン系エラストマー
・350,000 tons of linear alpha olefins
付記
ExxonMobil
は2016年7月25日、SABIC とExxon Mobil が米国 Gulf
Coast で石油化学JV構想を検討していると発表した。
両社は2017年4月19日、San
Patricio County, Texas
を選んだと発表した。年産180万トンのエチレンとエチレングリコール、2基のPEプラントを建設する。
2018年5月1日、JVを設立したと発表した。
2016/7/28 SABIC
とExxon Mobil、米国 Gulf Coast で石油化学JV構想
2014/6/21
中国商務部、欧州海運3社の提携を独禁法違反と認定、提携断念に追い込む
中国商務部は6月17日の公告46号で、デンマークの海運大手 AP
Møller - Maersk のコンテナ輸送子会社 Maerskline
とフランスのCMA CGM、スイスの Mediterranean Shipping Company(MSC)の3社が提携して「P3ネットワーク」を結成する計画を独禁法違反と認定した。
競争制限の可能性があるとし、集中のメリットが公共の利益への悪影響より著しく大きいことを3社が証明できなかったとしている。
最大の問題点は、2014年1月時点でのアジアー欧州ルートの船腹シェアがMaersk が20.6%、CMA CGM が15.2%、MSC
が10.9%でそれぞれ 1〜3位を占め、合計シェアは46.7%に達すること。
問題点の指摘に対し、3社からは対策案が出されたが、満足できるものではなかったとしている。
この計画は米連邦海事委員会(FMC)が3月24日に、海事法第6条(g)項に抵触するような不当なコスト増やサービスの低下をもたらす競争制限的なものではないと判断して認可した。
欧州委員会も6月3日、反競争的な問題は見られず、現段階で審理の対象にならないとし、事実上承認した。
(ただし、市場動向により発生する可能性のある反競争的なリスクには警戒を示し、必要に応じて介入を検討する意向である。)
3社は準備作業に入っていたが、中国の承認が得られなかったことから、提携計画を破棄した。
ーーー
ロンドンとシンガポールに3社から独立した共同運航センター(Joint Vessel Operating Centre ) を設立してコンテナ船の運航を一元化、総積載量
260 万TEU(20フィートコンテナ換算)の255 隻を投入、アジア/欧州・地中海、アジア/北米、大西洋航路で28ループのサービスを実施する。
営業、マーケティング、カスタマーサービスはそれぞれ個別に行う。
(独禁法対策)
ーーー
今回の海運アライアンスは中国政府の不認可で破綻したが、巨大化するコンテナ船の建造と保有、世界網の定期航路を維持していくためには莫大な投資が必要なため、共同運航によるグループ化が進んでいる。
1)G6
Alliance
旧New World Alliance
に属した商船三井(日本)、APL(シンガポール)、現代商船(韓国)と旧Grand Alliance
に属した日本郵船(日本)、Hapag-Lloyd(ドイツ)、OOCL(香港)の6社で構成される。
2012年3月にアジア-北欧州航路、アジア-地中海航路でサービスを開始、2013年5月にはアジア-北米東岸航路に協調範囲を拡大した。2014年4-6月期より東西の主要3航路全てにわたって計29のサービスからなる高品質なネットワークを提供する。
2)CKYH Alliance
2001年に中国遠洋運輸集団(COSCO)、川崎汽船(日本)、陽明海運(台湾)、韓進海運(大韓民国)が各社のイニシャルを採ったCKYH
Alliance を形成、2014年2月に新たに台湾の長栄集団(Evergreen)を加えた。
2014/6/23
英国と中国、「包括的な戦略的パートナー」として関係強化、BPとShellが中国企業と契約
英国のキャメロン首相は4月17日、ロンドンで中国の李克強首相と会談し、経済中心に「包括的な戦略的パートナー」として関係強化を進める内容の共同声明を発表した。
英中関係は、キャメロン首相が2012年にダライ・ラマ14世と面会したことで、一時冷え込んだが、2013年12月にキャメロン首相が北京を訪ねて習近平国家主席と会談し、人権問題を封印する一方、経済中心に関係の再構築を進めてきた。
今回の李首相の訪英にあたり、英政府は通常国家元首に限定しているエリザベス女王との面会を設定するなど厚遇で迎えた。
(複数の英紙は中国側から「女王と面会が認められなければ訪英をやめる」との強い圧力があったと報じた。)
首脳会談に合わせ、英中の民間企業間でエネルギー、金融、環境技術などの分野で総額140億ポンドの貿易・投資契約も締結した。
中断したままの英中人権対話については「平等な立場で対話を強化する」と触れるにとどめ、対話再開を明記しなかった。
人権問題や強引な海洋進出を巡る批判を封印したい中国と、「中国マネー」取り込みを図る英国の思惑が一致した会談となった。
両国間でくすぶるチベットなどの人権問題には深入りせず、経済優先を鮮明にする英政権への批判も出ている。
経済面では、資源エネルギー、高速鉄道、人民元などがとりあげられた。
共同声明では、英国側は、中国企業の最近の英国への投資が増加していることを認識しており、引き続き、鉄道やエネルギーのようなインフラ部門(たとえば、原発、高速鉄道、洋上風力、太陽光発電)への投資を歓迎するとし、以下の通り述べている。
高速鉄道:
双方は鉄道(高速鉄道を含む)について両国の間での実質的な協力を推進することで合意した。
この目的のため、両国は鉄道輸送分野での協力に関する覚書を歓迎する。
(高速鉄道については、日本勢の受注にも影響を与える恐れがある。)
エネルギー:
英国は中国が英国の新設原発計画に参加するのを歓迎する。
両国はHinkley Point 原発が出来るだけ早く成功するよう協力する。(中国広核集団と中国核工業集団の参加が決まっている)
両国は核燃料供給チェーンの分野での協力協定の調印を歓迎し、核廃棄物処理や廃炉を含む分野での協力強化で合意した。
人民元については、以下の通り。
ロンドンでの人民元決済取引銀行の設立を歓迎する。
英当局は中国の銀行が英国でホールセール事業(企業向け金融)の支店設立申請を検討する。
また、中国企業がロンドン取引所で人民元建てボンドを発行するのを推奨する。
両国はそれぞれの外為市場での人民元と英ポンドの直接取引を歓迎する。
首脳会談に合わせ、両国首脳の見守るなか、一連の民間契約の調印が行われた。
キャメロン首相は会談後の共同記者会見で総額140億ポンド(約2兆4200億円)以上の契約をまとめたと表明した。
1)Shell と中国海洋石油総公司(CNOOC)
のグローバル戦略パートナー契約
Shell と CNOOC は6月17日、既存の戦略的パートナー契約を再確認するGlobal
Strategic Alliance Agreement に調印したと発表した。
中国国内外の石油・天然ガス開発から石油精製・化学まで、上流、中流、下流の各分野で双方の技術や資金面などで協力する。
両社は既に、海南島沖の鶯歌海での石油開発や広東省恵州市の石油化学JVの中海シェル石油化学などで協力関係にある。
2)BP とCNOOC、LNG供給契約
BPとCNOOCは6月17日、LNG供給契約の覚書 (Heads of
agreement) を発表した。
2019年から20年間にわたり、年間150万トンのLNGを供給するもの。
正式契約は本年央に締結される見込みで、BPは世界各地の拠点から自社のLNGタンカーや傭船を使い、中国のターミナルに輸送する。
CNOOCは2013年に1300万トンのLNGを輸入しており、広東省、福建省、浙江省、上海市、天津市に合計6箇所のLNG受入ターミナルを持ち、更に数箇所で建設中である。
BP は豪州、UAE、インドネシア、エジプト、トリニダード、アンゴラのLNG計画に参加している。
3) 中国の民間投資グループ最大手の中国民生投資による15億ドル投資
ロンドンに欧州部門の拠点を設置。
投資分野には金融サービス、海洋土木、新エネルギーや環境保護などが含まれる。
このほか、英国は中国からの観光客やビジネスマンに対するビザ発給制度を緩和する。
中間層が拡大している中国の観光客による消費を呼び込むのが狙いで、ビザ申請から発給までの手続きが24時間以内に完了できるようになる。
2014/6/24 改正会社法が成立、チッソの事業会社売却が容易に
改正会社法が6月20日、参院本会議で可決・成立した。
ポイントは以下の通り。
・社外取締役の起用を促進
社外取締役の起用を義務づけることは経営側の反対で見送られたが、
起用しない大企業は株主総会でその理由を説明しなければならなくなる。
(法務省は「事実上の義務づけ」としている。)
法律の施行から2年後に「社外取締役」を置くことを義務づけるかどうか検討する。
取締役の親族や親会社の役員らは社外取締役とみなさない。
・株主など外部の企業統治を強め、適正な経営を促す
重要な子会社を売るときは株主総会で3分の2以上の賛同(特別決議)を得なければならない。
総資産額の20%以上を占める子会社の株式を売却する場合で、親会社が少数株主に転落(50%未満の株式しか保有しない)するときに限る。
(第467条第1項に追加)
親会社の株主が、不祥事を起こすなどした子会社の経営陣を訴えられるようにする
問題となったのは、子会社売却時の特別決議である。
政府の原案に対し、日本維新の会から修正案が提出され、可決された。この条項の適用対象からチッソのみを外すというものである。
これにより、チッソは事業会社のJNC を、環境大臣の承認があれば、株主総会の特別決議なしで売却することが出来るようになる。
ーーー
環境省は2010年7月に、水俣病特別措置法に基づき、チッソの分社化に向けた手続きの一環として、同社を「特定事業者」に指定した。
「分社化」はチッソの事業部門を100%子会社化して上場・独立させ、現在のチッソは補償部門だけを担う親会社とする内容である。
環境省に提出した事業再編計画によると、第三者機関による事業会社の評価額は1950億〜2350億円で、上場後の株式売却益で、約1500億円の公的債務と約400億円の金融機関に対する債務に加え、将来も続く患者補償を担う計画で、チッソは当面、子会社の株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するとなっている。
特別措置法によれば、チッソは環境大臣の承認を得て、事業会社の株式の全部又は一部を譲渡できることとなっている。
チッソにとって公害からの解放は「悲願」で、株売却によって、JNCは世界トップレベルのチッソの事業と技術を継承しつつ、水俣病とは無関係になる。
一方、国はこれまで「チッソ支援」として貸与した債権を、一気に取り戻すことができる。
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第二段階
事業会社売却
譲渡益を熊本県に納付、補償業務委託
チッソは清算 |
2010/7/6 チッソを「特定事業者」に指定
チッソは2011年1月12日に「事業再編計画」に記載した事業会社(100%子会社)のJNC鰍設立した。
チッソは2月8日、事業譲渡について、大阪地方裁判所の許可を得たと発表した。
「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」には、この許可があった場合は株主総会の決議があったものとみなすとなっている。
JNCはチッソが営んでいる事業活動を継続するために必要な土地、設備など有形・無形の事業財産の譲渡を受け、4月1日に事業を開始した。
2011/1/12 チッソ、「事業再編計画」に基づく、新会社「JNC株式会社」を設立
しかし、今回の会社法改正で、事業子会社の売却にあたり、環境大臣の承認のほかに、株主総会での特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)が必要となると、子会社の売却が難しくなる。チッソの株主には個人が多く、中には水俣病被害者や関係者も含まれるとみられるからである。
チッソが会社法改正案を知ったのは2年ほど前に法務省のパブリックコメントがきっかけで、株売却に新たなハードルが課されることを恐れたチッソは、環境省に迫ったとされる。
環境省はチッソを適用外とする措置も検討したが、「被害者団体の反発を恐れ」、最終的には見送った。
政府は昨年11月に改正案を提案した。
法案審査の段階で、熊本県選出の自民党議員から異論が上がり、さらに水俣病被害者救済法の成立に関与した与野党議員にも批判が広がった。
この結果、自民党時代に救済法の成立に関わった日本維新の会の園田博之衆院議員(熊本4区)が中心となって、衆議院に「チッソがJNC株を売却する際には、この規定の適用を除外する」という修正案を提出し、これが可決された。
参議院本会議でも自民・公明両党と日本維新の会・結いの党、みんなの党、生活の党などの賛成多数で可決され、成立した。
被害者団体は、救済未了のまま水俣病問題が幕引きされかねないと反発している。
社民党は衆院可決時に、「チッソ」子会社株の売却緩和法案に強く抗議する旨の幹事長談話を発表した。
子会社株の売却時に株主総会の決議を義務づける新規定からチッソのみを免除するもので、安易な水俣病問題の幕引きにつながりかねず断じて認められない。
被害者団体はチッソが子会社株を売却し、売却益で補償債務を返済した上で会社の清算を念頭に置いていると強く危ぐしている。今回の法案はこうした動きを助長・加速させかねず、被害者救済が道半ばで同社や国を相手取った損害賠償請求訴訟も続いている中で加害企業の特別扱いは決して許されない。
安倍政権は患者認定基準を抜本的に改めるとともに、これまで一度も行っていない不知火海沿岸や阿賀野川流域での健康調査や被害者の実態調査を実施し、水俣病の全容解明と全ての被害者への救済・補償を図ることにこそ全力を挙げるべきである。
今回の法案成立を受け、最大の未認定患者団体「水俣病不知火患者会」(熊本県水俣市)の事務局長は「800人を超す認定申請者に対する審査のめども立っていないなど、被害者救済が道半ばであるにもかかわらず、加害企業チッソを免罪する法案可決であり、断固抗議したい」と話した。
集団訴訟を進める園田昭人弁護団長は「水俣病問題が未解決であることは明らかなのに、なぜこのタイミングで株式売却をしやすくし、チッソの消滅を急ぐようなことをするのか。幕引きを計りたいという思惑が背後に見える」と話した。
新聞報道では、チッソや国からさまざまな相談を受けているという元政府高官の自民党国会議員が、「(各方面から)そろそろチッソを解放してやれ、という声が聞こえてくるのは確かだ」
と述べたという。
2014/6/25 アルゼンチン、再び債務危機
2015/6/10 アルゼンチンの債務危機、更に深まる
アルゼンチンの2002年のデフォルトに係わる債務再編をめぐる米国の地裁判決について、アルゼンチン政府が米最高裁に判決見直しを求めていたが、最高裁が6月16日、これを却下したため、アルゼンチンが再びデフォルトとなる可能性が出てきた。
付記
アルゼンチンは、結局 6月30日の支払いが出来なくなった。
その後の30日間の猶予期間中にファンドとの交渉を行ったが、まとまらず、7月30日にデフォルトに陥った。
アルゼンチンは支払い原資の5億ドル超を6月にBank of New
York Mellon の口座に振り込んだが、銀行は裁判所の判断に従い、債権者への支払いに応じなかった。
アルゼンチン政府は8月7日、「米国は国の主権を尊重する国際的義務に違反している」として、国際司法裁判所に提訴したと発表した。
アルゼンチンの借金整理を米司法当局が侵害しており、米国はこれに責任を負うと主張している。
但し、米国が同意しない限り、国際司法裁はいかなる裁判手続きも起こさない。
(経緯)
アルゼンチンは1990年代半ば以降、財政赤字と対外債務の拡大が続き、ブラジルの通貨危機等をきっかけに、2001年に債務危機が発生し、政府は2002年1月、イタリア・リラ建て国債(2,800万ドル相当)の利払い停止を発表、国債のデフォルトとなった。3月には、円建て国債の利払いも不履行となった。
デフォルト発生後、債権者との交渉は難航した。資金協力を受けていたIMFとの交渉は長引き、2003年1月にようやく暫定合意に達した。
その後、他の国際機関とも債務返済について合意、民間債務について2004年12月に債務再編案を提示した。
対象となる民間保有の国債の元本総額は約810億ドルで、この75%
をカットするというものであったが、2005年に対象国債保有者の76%がこの提案に応じた。
その後、アルゼンチン政府は国際的な資本市場へのアクセスを回復するため、
残る債権者との交渉を行い、2010年にデフォルト国債183億ドルのうち、約121億ドル分の保有者が新たな債券との交換に応じた。
これで2005年の債務再編と合わせると、デフォルトに陥った国債全体の92.4%が交換された。
この結果、デフォルト状態の債務の残高は未払いの利息も含めてざっと150億ドルになっている。
これらの債権者は "holdout"
(不服)債権者と呼ばれる。
ーーー
今回の問題は、このうちの約15億ドルの債務について起こった。
米国の富豪Paul
Singerが支配するヘッジファンド、
Elliott Managementの子会社のNML
Capital が支払いを求め、米国で訴訟を起こした。
Paul
Singerは2006年のリポートでサブプライムローンの証券化市場は歴史的な詐欺と宣告し、並外れた洞察力を示した。
2012年にニューヨーク連邦地裁のThomas Griesa判事が判決を下した。
2005年と2010年の2度にわたる債務再編に応じて新しい債券を受け取った債権者(新債券保有者)にアルゼンチンが支払いを続けるのであれば、債務再編に応じなかった債権者(不服債権者)の保有債券についても、負っている金額を全額支払わねばならない
とした。
しかし、米国の判事が直接、アルゼンチン政府に支払いを命じることは出来ない。
このため判決は、もし不服債権者に支払わない場合は、米国の金融機関はアルゼンチン政府から新債権保有者への支払い手続きをしてはならないとした。
現在、支払いは全てニューヨークで行われている。
アルゼンチン政府は米国の最高裁判所に対し、アルゼンチンの債務再編に応じていない債権者への支払いを命じた下級審の判決を見直すよう求めていたが、最高裁はこれを却下した。
地裁は、NML側が支払いを確保するため、アルゼンチンの資産を調べることを認めた。
アルゼンチンと米国の両政府は米国法は主権国家に対する証拠開示命令を禁じていると主張したが、最高裁はForeign Sovereign
Immunities Act は裁判所が命じる証拠開示命令を禁じていないとしこれを却下した。
Elliott
Associatesは2012年にガーナでアルゼンチンの海軍練習船を一時差し押さえたことがある。
この時は国連の国際海洋法裁判所が、海軍の船は免責特権があるとして釈放を命じた。
最高裁はまた、地裁判決を取り消すことを拒否した。
アルゼンチンの国債で異常な点は、1994年の売り出しにあたり、如何なる紛争も米国法に基づき解決するとの条項を入れたことである。
アルゼンチン大統領はTVで、判決には従わないとし、今後交渉は続けるが、大統領としてこんなゆすりに負けるわけにはいかないと述べた。
大統領によると、NMLは既にデフォルトしていた債券を2008年に購入し、これで1608%のリターンを上げることになる。「犯罪組織だってこれほどのリターンをこれほどの短期間では上げていないと思う」と述べた。
しかし、問題は深刻である。
今回問題となっている金額は約15億ドルだが、他の債権者も同じ扱いを要求すると思われる。
また、債務再編に応じた新債券保有者との契約条項から、彼らにも同じ扱いをする必要があり、外貨準備が280億ドルしかないアルゼンチンにとり、これは不可能である。
欧米各紙はいろいろな選択肢とその実現可能性を分析している。
1) NMLへの支払いを拒否
ニューヨーク連邦地裁の判決により、債務再編に応じた新債権保有者への米国での支払い手続きを出来なくなる。
このため、新債券保有者への支払いをやめ、デフォルトし、債権者に米国の裁判官に文句を言えと伝える。
債券の条項に違反したことに基づく「テクニカル・デフォルト」であるが、デフォルトには変わりはない。
この場合、大規模なシェールガス田の開発資金を新規借り入れで調達したいアルゼンチンにとり、国際資本市場へのアクセスの回復が後退することとなる。
2)新債権保有者への支払いを米国を通さない方法を考える。
アルゼンチンの経済財務相は6月17日、債務再編をめぐる米最高裁判断を受けてデフォルトの可能性が高まる中、新債権保有者への支払いを継続できるよう、米国法に準拠する再編した債券を自国法に準拠した債券と交換すると表明した。
しかし、米連邦地裁のThomas
Griesa判事は6月18日、これが米裁判所命令に違反するとの見解を示した。
いずれにせよ、次回支払期限が6月30日で、それまでに米国以外のルートで支払いをするのは間に合わないとみられる。
3)NMLにのみ支払い
債務再編に応じた新債券保有者との契約には、アルゼンチンがほかの債権者に自発的により良い条件を提示した場合には、新債券保有者も同じ条件を要求できるという
条項があり、これが本年末までは有効となっている。
このため、新債券保有者から訴えられる。
4) 2015年まで待ち、NMLと債務返済について和解
上記の新債券保有者との契約条項が期限切れとなってから和解する。
この案が実際的とみられている。
アルゼンチン政府は6月23日、米国の地方裁判所に対して、支払いの留保を求めた。
付記 米連邦地裁は6月26日、この申し立てを却下した。
6月30日の支払いが出来なくなり、今後、30日間の猶予期間に利払いができなければ再び債務不履行に陥ることになる。
ーーー
IMFなどは、これにより、今後の債務再編が難しくなると危惧する。
しかし、最近は契約に集団行動条項が盛り込まれており、債券の保有者は多数決による決定に従わなければならないため、今回のような事例は
起こらないと見られている。
2014/6/26 法人税率の引き下げ
安倍晋三首相は6月13日、法人実効税率を来年度から数年間で20%台に引き下げる方針を表明し、「日本の法人税は成長志向型に変わる。雇用を確保し、国民生活の向上につなげていきたい」と語った。
アベノミクスの第3の矢となる成長戦略の柱として6月24日の臨時閣議で策定した「骨太の方針」に
、「2015年度から引き下げ、数年で20%台を目指す」と明記した。
現行の法人実効税率は、東京都の場合は35.64%、その他の平均は34.62%である。
(2012-13年度は復興特別所得税10%割増で、それぞれ、38.01%、37.00%である。)
諮問会議の民間議員は税率を10%引き下げ、アジア近隣諸国並みの25%程度にするよう提言した。
これに対し、財務省は税率1%につき約4700億円の税収減につながるとし、難色を示していたが、「20%台」という玉虫色の表現で決着した。
実際には、政府は「20%台」
=30%を切ればよいとの考えで、首相も6月24日のTVで、「ドイツ(29.59%)を目指している」と述べた。
この場合、英国や中国・韓国・シンガポールよりはまだ高い。
浜田宏一内閣官房参与(エール大名誉教授)
は法人税率について「大幅に下げないと効果がない。相手国より低くならないと効果がない。その相手国は韓国であり、シンガポールであり、イギリスであり、たくさんある」と述べた。
法人税実効税率 |
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東京都 |
全国平均 |
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法人税 |
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25.50% |
|
25.50% |
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住民税法人税割 |
20.7% |
5.28% |
17.3% |
4.41% |
東京は制限税率いっぱい |
事業税(従来ベース) |
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(7.56%) |
|
(7.20%) |
東京は「当分の間」上乗せ |
現在 |
事業税 |
3.26% |
3.26% |
2.9% |
2.90% |
法人事業税の約半分に当たる2.6兆円を分離し、
各都道府県に再配分して地方間の税収偏在を是正 |
地方法人特別税 |
2.9% x
1.48 |
4.29% |
2.9% x
1.48 |
4.29% |
合計 |
|
38.33% |
|
37.10% |
|
(うち損金算入) |
|
(7.55%) |
|
(7.19%) |
従来の事業税(事業税と地方法人特別税) |
実効税率 |
|
35.64% |
|
34.62% |
合計税額/(1 + 損金算入分) |
〔2012〜2013年度〕 |
|
〔38.01%〕 |
|
〔37.00%〕 |
復興法人特別税(10%) 加算 |
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目標実効税率 |
|
29.59% |
|
29.59% |
ドイツ並み |
その場合の法人税 |
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20.11% |
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20.91% |
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法人税率引き下げ |
|
5.39% |
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4.59% |
法人実効税率1%引下げで4700億円の税収減 |
|
問題は財源である。
5%の引き下げで2兆4千億円程度の税収減となる。
政府は2020年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化を目標としているため、財務省や自民税調は租税特別措置や外形標準課税などの見直しによる課税ベース拡大で捻出した恒久財源の確保を掲げている。
他方、甘利再生相や諮問会議の民間議員はアベノミクス効果による税収の上振れ分を充てるよう求めている。
榊原経団連会長は、課税ベース拡大には慎重な考えで、「一番大事なのは、(増減税で)帳消しになるのを避けることだ」と述べ、減税先行を主張した。
黒田日銀総裁は記者会見で、「恒久減税については恒久的な財源の措置が必要だ。持続可能な財政構造を確立することは財政にとって重要であるだけでなく、日本経済が持続的な成長を達成していく上で必須の前提だ」と述べた。
浜田宏一内閣官房参与(エール大名誉教授) は、減税の財源は軽減税率などの特別措置を全て見直すことで捻出できるとの考えを示した。
法人税率をいつまでに、何パーセントまで下げるが、財源をどう確保するかは年末までに詰める。
政府税調の法人税改革の提言の最終案では、「単年度での税制中立(増減税同額)である必要はない」とし、減税先行を認めるが、「恒久財源を用意することは鉄則」としている。
なお、上記の通り、東京都の実効税率は全国の標準的な税率より1%ほど高い。
これについて、「20%台」にするのはどちらかでもめている。
甘利経済再生担当大臣は、全国の標準的な税率より高く、企業が多く集中する東京都の実効税率を基準とすべきという考えを示した。「東京都はビジネスの拠点であり、『そこを外した税率が30%を切ります』という説明では市場に対して明確なメッセージにならない」と述べた。
これに対し、麻生副総理兼財務大臣は全国標準の税率が基準だという考えを示した。
「東京都の増税分の取り扱いは東京都が自分で検討するものだ」と述べた。
政府は東京都に対し、上乗せ分を廃止するよう要請する方針を固めたとされる。
過去の法人税率の推移は下図の通り。
復興特別法人税は2012年4月1日から2015年3月31日までの3年間の事業に対し課税されることとなっていたが、2013年12月に自民党・公明党の両党は与党税制協議会で、1年前倒し廃止を正式決定した。
ーーー
財界が求めた円高是正では輸出数量は増大しなかった。燃料や原材料の輸入価格アップで国民の生活は苦しくなった。
法人税減税で、国内企業の投資増や賃金アップ、海外企業からの投資が本当に実現できるであろうか?
2014/6/27 イラクのクルド人自治政府が原油を輸出
イラク政府は6月22日、クルド人自治区がイスラエルに原油を「違法」に売却したと非難した。 クルド人自治区産の原油を積んだタンカー SCF
Altai 号は6月20日、イスラエルのアシュケロンに入港した。
イラク石油省はクルド政府がイラク憲法に反して割引価格で原油を輸出していると主張しており、今後も輸出を監視し、クルド自治政府から原油を購入した者を訴えると表明した。
クルド自治政府は、パイプラインを通じてトルコに2度目の輸出を行ったと認めた。買い手は明らかにして
おらず、原油の販売は憲法違反ではないと主張している。
ーーー
イラク政府は、クルド人自治区が独自に石油を開発することを認めず、また、石油を直接輸出することを認めていない。
中央政府が認めた場合は輸出は認められており、2009年6月からはノルウェーのDNO
International が開発するTawke油田、カナダのAddax
Petroleumなどの企業連合が開発するTaq Taq油田から、中央政府が管理する既存パイプラインを使ってトルコの地中海岸の積み出し港ジェイハンに運び、そこから輸出された。
2009/6/9 イラクのクルド自治区の原油輸出開始
韓国石油公社などが参加する韓国コンソーシアムが2008年にイラクの北部クルド自治区内の油田4つの鉱区の開発とインフラ建設を並行して進める内容の覚書をクルド自治政府と締結した。
これに対し、イラク政府は油田権益の外資企業への開放に際し、韓国の韓国石油公社とSKエナジーを除外した。
2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外
クルド自治区の原油埋蔵量は600億バレルで、自治区は中央政府の反対を無視してすでに外資系資源開発会社と約50件の開発契約(生産物分与契約)を締結した。
クルド自治政府は2013年末にトルコに直接向かう原油パイプラインを完成させ、既存のトルコ南部の積み出し港ジェイハンに向かうパイプラインに接続した。
自治区は2015年に現在の約3倍となる日量100万バレルまで生産能力を増強する計画で、パイプラインの輸送能力の増強計画もある。
従来は中央政府の管理するパイプラインで輸出していたが、自ら管理するパイプラインの設置で原油収入の分配で主導権を握りたい考え。
イラクでは現在、
スンニ派武装組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」が攻勢を強め、バグダートを目指すなか、クルド自治政府はイラク政府軍が撤退したKirkuk
を抑えた。「要衝のキルクークをテロリストから守る」ためだと説明している。
イラク北部の国内最大のBaiji 製油所(文末地図参照)でもISISと中央政府軍との間の攻防が続いている。
付記
クルド自治政府の保安部隊は7月11日、Kirkuk油田とBai
Hassan油田を管理下に置いた。生産能力合計は日量40万バレルでイラクの生産量の1割強に当たる。
中央政府は「憲法と国富を侵す行為」と非難、即時撤退を求めた。
クルド自治政府はこのたび、KirkukのAvana dome と自治区内のKhurmala dome
を結ぶパイプラインを完成させた。
これにより、Kirkukの石油をクルドのパイプラインを通じてトルコ経由で輸出する道が出来たことになる。
Kirkuk
油田には3つの構造(dome):Khurmala、Baba、Avanaがある。
このうち、KhurmalaはKirkuk地区 と自治区のArbil 地区にまたがっており、2008年の協定でクルド自治政府が管理している。
BabaとAvanaは中央政府の管理のもと、BPが開発している。
これに対し、中央政府は国営石油販売会社(SOMO)を通じた輸出の一元管理を要求しており、国家予算のうち17%と定められた自治区の取り分の支払いを留保すると圧力をかけている。
また、中央政府は各国に対して、クルド自治政府から石油を買った場合、法的措置を取るとしており、米国や欧州の各国は企業に対して購入しないよう警告している。
クルド自治政府は現在、日量12万バレルの石油をトルコのCeyhan
のタンクに送り込んでいる。
5月に積み込んだ第一船は米国に向かったが、引き返し、現在はモロッコ港に停泊しているが、モロッコは原油の引取りを拒否している。
6月20日、第二船がイスラエルのAshkelon
に入港、22日には空船で出港した。イスラエルはイラクと国交が無く、これにより大きな影響を受けない。
クルド自治政府は発表で、直接にも間接にも原油をイスラエルに売っていないと述べた。自治政府首相の顧問は、この石油の転売を示唆した。
専門家は、この原油がAshkelon から紅海沿岸のEilat
にパイプラインで送られ、アジアなどに出荷されるとみている。
ーーー
イラクでは、西部や北部を中心にアラブ人のイスラム教スンニ派が人口の2割、中南部を中心に同シーア派が約6割、主に北部に居住するクルド人が約15%を占める。
旧フセイン政権下ではスンニ派が主導権を握り、シーア派の多くは冷遇されてきた。
逆に現在のイラク政権は、スンニ派を冷遇している。
「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」はスンニ派武装組織である。
クルド人はトルコ、イラク北部、イラン北西部、シリア北東部等、中東の各国に広くまたがる形で分布する国家を持たない世界最大の民族集団である。
イラクのクルド人はフセイン元大統領から迫害を受けていた。
湾岸戦争後、グリーン・ラインと呼ばれる境界線内でクルド自治政府が統治していた。しかし、2003年のイラク戦争で、自治政府軍はグリーンラインを越えて南進し、支配地域を広げている。
2014/6/28 中国の女性実業家 ベスト10
Forbes誌は本年6月、The World's 100 Most Powerful
Women を発表した。
http://www.forbes.com/power-women/
ベスト10は以下の通り。
#1 |
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Angela Merkel
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ドイツ首相 |
#2 |
|
Janet Yellen |
FRB 議長 |
#3 |
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Melinda Gates
|
Bill & Melinda Gates Foundation |
#4 |
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Dilma Rousseff
|
ブラジル大統領 |
#5 |
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Christine Lagarde |
IMF専務理事 |
#6 |
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Hillary Clinton |
元国務長官 |
#7 |
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Mary Barra |
CEO, General Motors |
#8 |
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Michelle Obama |
First lady |
#9 |
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Sheryl Sandberg |
COO, Facebook |
#10 |
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Virginia Rometty
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CEO, IBM |
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Best 100に中国からは9人が入っているが、日本はゼロ。
これを受け、Forbes China がこのたび、中国の女性実業家ベスト10を発表した。
1. |
Sun
Yafang(孫亞芳)59才
通信機器メーカー華為技術(Huawei
Technologies)会長、「華為の女王」と呼ばれる。
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2. |
Dong Mingzhu(董明珠)59才
エアコンのGree Electric
Appliances 社長
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3. |
Song Guangju(宋廣菊)54才
不動産業の保利集団(Poly Real
Estate Group)社長
|
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4. |
Wu
Yajun(呉亜軍)50才
不動産業の龍湖集團(Longfor
Properties)の共同創業者で会長
|
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5. |
Sun
Yiping (孫伊萍)47才
蒙牛乳業(China Mengniu
Dairy )社長
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6. |
Yang Huiyan (楊惠妍)33才
不動産開発の碧桂園集團(Country
Garden Holdings)の株主で社長
資産 83億ドルで、中国の女性金持ちの1位
|
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7. |
Wang Fengying (王
凤英)44才
長城汽車(Great Wall
Motor)社長
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8. |
Zong
Kelly
Fuli
(宗馥莉) 32才
Hangzhou Wahaha Group
社長、宗慶後会長の娘
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9. |
Cheung
Yan(張茵)57才
玖龍紙業 (Nine
Dragons Paper) 会長、通称 「廃紙女王」
古紙回収業でスタート、日本の製紙企業全体に匹敵する量の段ボールを生産。
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10. |
Zhang Xin (張欣)49才
不動産のSOHO
Chinaを夫と共同で創業、CEO
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ーーー
上記のThe World's 100 Most Powerful Women
の9名は下記の通り。
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Margaret Chan (陳馮富珍) |
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World Health Organization 事務局長 |
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Lucy Peng(彭蕾) |
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B2BのAlibaba Groupの最高人事責任者 |
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Peng Liyuan (彭麗媛) |
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習近平主席夫人で歌手 |
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Yao Chen(姚晨) |
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人気女優 |
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Hu Shuli(胡舒立) |
|
財新網(caixin.com)の創業者、編集長 |
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Jennifer Li(李マ晢) |
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百度(Baidu)のCFO |
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女性実業家ベスト10から |
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Wu
Yajun(呉亜軍) |
|
龍湖集團(Longfor
Properties)の共同創業者で会長 |
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Zhang Xin (張欣) |
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SOHO
Chinaの共同創業者、CEO |
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Sun
Yafang(孫亞芳) |
|
華為技術(Huawei Technologies)会長 |
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このほかに、香港から1人選ばれた。 |
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Solina
Chau(周凱旋) |
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李嘉誠基金会(Li Ka Shing
Foundation)のDirector
香港の実業家の李嘉誠が財産の3分の1(2兆2000億円とされる)を寄付した福祉基金 |
2014/6/30 米国が原油輸出を一部解禁
米国は1973年のアラブ石油禁輸
(Arab oil embargo)に伴い、
米国の石油資源を保護し、米国の消費者が値上げショックを受けるのを防ぐため、1975年12月にEnergy
Policy and Conservation Act:EPCAを成立させ、原油の輸出を禁止した。
カナダ向けは特別に輸出可能。
EPCAでは他に、企業別平均燃費(CAFE)の導入、戦略石油備蓄の開始などが決められている。
現在もこの法律は生きており、ガソリンやディーゼルなど精製燃料は輸出できるが、原油そのものの輸出はできない。
Pioneer
Natural ResourcesとEnterprise Products Partners は6月25日、商務省がテキサスのEagle Ford Shaleの超軽質油を輸出する計画を承認したと発表した。
いずれも個別の申請による承認(private ruling)である。
報道によると、早ければ8月にも輸出が開始されるという。
輸出するのはシェールガスに随伴して出る超軽質油(コンデンセート)で、蒸留装置を通すことで蒸気圧を下げ、揮発性の軽質炭化水素を除外する。
買い手はこれを精製してガソリンやジェット燃料、ディーゼルを生産できる。
Pioneer
Natural Resourcesでは、蒸留装置を通すことにより、(許可なしで輸出可能な)加工石油製品と看做しうるという同社の解釈を商務省が認めたと述べた。
同社では原油換算日量43千バレル以上を生産しているが、どれだけ輸出するかは明らかにしていない。
Enterprise Products Partners
も、コンデンセートを処理しているため原油ではなく、承認を必要としないが、念のため、この解釈が正しいかどうかを確認したとしている。
商務省では原油輸出についての方針に変更はないとし、Pioneerのやり方は「精製」というには足りないが、コンデンセートをもはや原油とは言えないほど変質させているとしている。
付記 コスモ石油が30万バレル分を購入、10月初めに入荷する。
価格はWTI連動のため、ドバイ、ブレントより4〜5ドル/バレル安い。
米全土でシェール層からの石油採掘が増えるなか、一部の超軽質原油の生産は十分すぎるほどの量になっており、超軽質油の価格は普通の原油と比べ、バレル当たり10ドル以上安くなっている。
輸出すればもっと高く売れるため、企業は禁輸を緩めるよう、ロビー活動を行っており、企業や政府は1970年代に決めた法律(EPCA)を避ける方法を探していた。
原油の禁輸取消には、原油価格上昇を懸念する米石油精製業界や環境団体は反対姿勢を強めており、与党・民主党内を中心に慎重論も強い。(LNG輸出についてもDow
Chemicalなどが反対している。)
このため、「2016年の次期大統領選前にオバマ大統領が法改正を伴う全面解禁に踏み切る可能性は低い」と見られている。
今回の許可を受けて、他社が同様の申請に動くことが予想される。
ブルッキングス研究所によると、来年から日量70万バレルもの超軽質原油が輸出される可能性がある。
付記
今回の2件の承認が明らかになり、米国内で論争が起こっており、米上院議員が商務省に対し、商務省が少しだけ処理した原油の輸出を承認する権限があるのかとの質問状を送った。
商務省はその後の個別申請に対し、保留している。
次へ
最新分は
2006-5-1
http://blog.knak.jp