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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2019/10/15   つばめBHB、エレクトライド触媒を用いたアンモニア製造パイロットプラント 竣工

つばめBHBは10月7日、味の素・川崎事業所内に設置する同社のR&Dセンター川崎分室において、年間数10トンの生産を可能とするオンサイト・アンモニア製造パイロットプラントを竣工したと発表した。

従来の化成品は大規模な工場で大量に生産されるが、オンサイトは必要としている場所で、必要な分だけ生産する省エネルギー型生産手法。

このパイロットプラントは、東京工業大学の細野秀雄栄誉教授らが発見・発明したエレクトライド触媒を用いたアンモニア製造装置であり、今月より連続運転を開始する。

科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業「エレクトライドの物質科学と応用展開」の研究開発による。

今後、連続運転を通じて長期耐久性、最適な運転条件などの実用化に向けた各種データを取得し、年産数千から数万トンスケールのオンサイトアンモニア製造装置の量産に向け、準備を進める。

その後、味の素の国内外発酵素材工場に本技術を導入し、2021年頃を目処に世界初のエレクトライド触媒を用いたオンサイトアンモニア生産の実用化を図る。

将来的には様々なパートナー企業と連携し、農業肥料、食品・医薬品、化成品等への適用拡大を図り、より環境に配慮したサステナブルな生産システムの実現を通じて社会への貢献を目指すとしている。

ーーー

現在、アンモニアはHaber–Bosch 法により、窒素ガスと水素ガスから工業的に合成されている。

しかし、高温・高圧の過酷な反応条件(
使用されている鉄系触媒では約400〜500°Cかつ10〜30MPaと、高温・高圧下での反応が求めらる)が必要で、高いエネルギー負荷がかかる大型プラントでの一極集中・大量生産を行わなければならず、設備投資が高額になるという課題がある。

加えて、アンモニアを生産拠点から世界各地に点在する需要地に輸送するためには、専用の運搬装置と保管設備が必要であることから物流コストが非常に大きいことが課題となっている。 

 

東京工業大学の細野教授等は、高エネルギー加速器研究機構の阿部仁准教授らと共同で、ルテニウムなどの貴金属の担持を必要としない高活性触媒を開発した。

電子が陰イオン(アニオン)として働く「電子化物(エレクトライド)」のコンセプトを拡張することで新触媒を検討し、ランタンLaとコバルトCoの金属間化合物 LaCoSiが貴金属を用いずに高い活性を示すことを見い出した。

エレクトライドは電子が陰イオンとなって形成されるイオン結晶で、1974年に米国ミシガン州立大学のJames L. Dyeが発見、命名した。

LaCoSiはこれまで報告されてきたコバルト系触媒でアンモニア合成において最高の活性を示す。LaCoSi内でのLaからCoへの電子供与が高活性発現の鍵と考えられる。

また、LaCoSiは従来の触媒に比べ窒素分子の切断(開裂)をより速やかに行うことができ、より低温でのプロセスに有利である。

このエレクトライド触媒は、低温・低圧(目標 300〜400℃、3〜5MPa)条件下で高効率のアンモニア合成が可能であることが特徴で、低温・低圧の反応条件であることから、従来法(1基当たり約100万トン)では難しいとされた年産数万トン以下の小規模プラントでの生産が可能となる。(目標 2〜10万トン)


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これとは別に、東大大学院工学系研究科は4月25日、西林仁昭教授らの研究グループが、常温・常圧の温和な反応条件下で窒素ガスと水からアンモニアを合成する世界初の反応の開発に成功したと発表した。

モリブデン触媒を用い、窒素ガスおよびプロトン(H+)源として水、還元剤としてヨウ化サマリウムを用いることで、常温・常圧の反応条件下で世界最高の触媒活性を達成した。

今回新たに開発したルテニウム触媒で、約400°C、5MPaの低温・低圧下でのアンモニアの合成が可能となった。

2019/5/3 世界で初めて窒素ガスと水からのアンモニア合成に成功  

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つばめBHBは東京工業大学の細野秀雄グループが発明した優れた触媒を用いた、世界で初めてとなるオンサイト型のアンモニア合成システムの実用化を目指す 。

社名 つばめBHB株式会社
事業 オンサイトアンモニア生産システム・触媒の研究開発・製造
R&D拠点 東京工業大学すずかけ台キャンパス内
川崎分室 味の素株川崎事業所内
事業開始 2017年4月25日
出資比率 UMI 1号投資事業有限責任組合 53.8%
味の素 45.1%
細野 栄誉教授ほか 1.1%

ツバメは東京工大のシンボルマーク、BHBの意味不明(どなたか教えてください)

味の素は、グルタミン酸をはじめとする多種のアミノ酸等の発酵素材の生産において多くのアンモニアを原料として利用しており、従前より細野教授らの発明・発見をアンモニアの安価・安定供給を実現する画期的な基本技術として高く評価し、本技術の実用化に関する共同開発を実施してきた。

味の素は、つばめBHBと協力して自社工場でのオンサイトアンモニア生産の実現を図り、発酵素材のコスト競争力を高めるドライバーとする 。

UMI(下図)はつばめBHBに対して、今後の事業推進に必要な資金を供給するとともに、取締役等の経営メンバーの派遣、事業開発体制の強化等の経営サポートを行う。


 


2019/10/16   Brexitの状況 (10/15)

 

既報

ジョンソン英首相は10月10日、アイルランドのバラッカー首相と会談した。

両首脳は会談後にツイッターで合同声明を発表し、「詳細にわたる建設的な話し合い」の中で合意への道筋につながる可能性を見いだしたと評価した。

EU
のミシェル・バルニエ首席交渉官と英国のバークレイEU離脱担当相が11日の朝に会談した。バルニエ氏はこの会談後、法的文書の草案作成作業に入るための十分な進展があったと、EU 27カ国の代表に説明した。

合意案について詳細な交渉に入る。

 

離脱延期法では10月19日までに新たな離脱案が通らなければ、離脱日を10月末から2020年1月末に延ばすこととなる

英各紙は10月10日、ジョンソン首相が19日に下院を招集すると報じた。10月17〜18日にブリュッセルで開催されEU首脳会議の結果を受け、月末に期限が迫ったEU離脱に政府としてどう対処するかを表明、下院の賛否を問うとみられる。

EU首脳会議では17日夜にも結論が出るとみられる。 首相が決議案を提出するとすれば18日で、翌19日に審議・採決の運びとなる。

19日は土曜日で、週末の開会は異例。

土曜の開会は1939年以降の80年間で、@第2次世界大戦勃発時の1939年9月、Aスエズ危機時の1956年11月、Bフォークランド紛争時の1982年4月、など4回のみで、37年ぶりとなる。

 

しかし、週末の英国とEUの交渉は成果が無かった模様。EUは13日に出した声明で「多くの仕事が残されている」としている。引き続き交渉を行う。

EUのバルニエ首席交渉官はEU各国の代表に、アイルランド島内での関税についての英国の提案はリスクがあり、容認できないと述べた。今週中にまとめるにはジョンソン首相からの新しい政治的な衝動的行為が必要としている。

クロン仏大統領は13日、首都パリの大統領府にメルケル独首相を招き首脳会談を行った。離脱の条件について残された時間でEUとしてイギリスと合意することが可能かどうか協議を行ったものとみられる。

ジョンソン英首相は10月8日夜、議会を13日まで休会した。再開後に施政方針を示すためとした。

エリザベス女王は14日に施政方針を示す演説を行った。女王の施政方針演説は、政権の重点政策や法案の概要を説明するもので、政府が原稿を起草し、国家元首である女王が読み上げた。要旨は以下の通り。 

政府の最重要課題は常に、10月31日のEUから離脱を確実にすることだ。自由貿易と友好的な協力に基づくEUとの新しい関係を目指す。離脱によって生まれる機会を漁業、農業、貿易の分野が享受できるような体制を作る。

英国に大きく貢献し、生活拠点を持つEU市民は居住する権利を持っており、それを保証する。金融サービスや法律に関する分野の仕事を保証し、新しい機会を与えられるようにする。

4つの国(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)が結束し、繁栄することが最も重要だ。英国がEUを離脱しても、国際情勢の中でのリーダー的役割を担い続け、利益を守りながら価値を高める。

 

EUと英国は15日、交渉を続行した。

欧州メディアによると、双方は最大の懸案となっている英領北アイルランド国境管理問題などで歩み寄りを模索、離脱協定案の修正に向けた詰めの調整が進んでいるもようで、合意に近づいているとの見方が広がっているという。但し、まだ課題は残されており、首脳会議前の合意実現には懐疑的な声もある。

 


2019/10/17  トランプ大統領 弾劾の状況 -2  

大統領の財務記録の公開をめぐる2件の裁判(刑事事件と下院の召喚状に関するもの)で、トランプ大統領は敗訴した。今後、控訴裁や最高裁で争うが、これまで開示を拒否してきた納税記録が公開される可能性が出てきた。

財務記録の開示は大統領弾劾への影響がある。

10/7 マンハッタン連邦地裁は大統領のMazars USA会計事務所に8年分の納税申告書をマンハッタン地検に提出する必要があるとの判断を下した。

大統領は直ちに連邦控訴裁に控訴した。
控訴裁は最終決定まで、一時的執行停止を認めた。

マンハッタン地検は8月29日、刑事捜査の一環として、大統領の会計事務所に過去8年分の納税記録などの提出を求める召喚状を出した。
大統領は、現職大統領は刑事捜査の対象にはならないとして訴訟を起こしていた。

地裁判決は、トランプ氏と不倫関係にあったと主張する女性2人への「口止め料」支払いについての捜査に関連するもの。

米誌は本年2月、トランプ氏が大統領選挙前に、同時に複数の女性たちと不倫していたが、女性たちに多額の口止め料を支払うなど、メディアに知られないようにさまざまな工夫をしていたと報じた。

Playboy誌のプレイメイト Karen McDougalがCNNのインタビューで、トランプ氏が自身との性行為の見返りに金を払おうとしたと明かした。
ポルノスターStormy Danielsは2016年の大統領選挙の直前に口止め料をもらったことを暴露した。

裁判は、コーエン元顧問弁護士がトランプ氏の不倫相手とされる2人に口止め料を支払ったことに関するもの。

トランプ氏は、元弁護士への支払いは選挙資金を使ったわけではないので、合法だと主張。これに対して、地検は、トランプ陣営による選挙資金法違反があったかどうかを捜査している。

 

10/11 ワシントンの連邦高裁、大統領の財務記録を議会に提出するようMazars USA会計事務所に求めた下院監視・政府改革委員会の召喚状を2対1で合法だと判断

大法廷(所属判事全員)がパネルの判断を再審理するか、連邦最高裁で判断が覆らない限り、会計事務所は、開示の義務を負うことになる。

米下院歳入委員会のリチャード・ニール委員長(民主党)は4月3日、過去6年分を提出するよう内国歳入庁(IRS)に求めた。
トランプ氏が過去に脱税や節税、不適切な資金取引をしていなかったか調べる狙いがある。
トランプ氏は歴代大統領と異なり、納税申告書の公開を拒んでいる。

大統領は本年4月、自身の納税記録を巡る下院委の調査は憲法上の制限を越えているとして、情報公開の阻止を求め提訴したが、連邦地裁は5月、大統領の財務記録が議会の助けになる可能性があるとの判断を下した。

判事は「歴史的に、歴代大統領やその行動を巡り調査は行われている」と指摘した。さらに、最高裁や主要な下級裁判所は1880年以来、召喚状について議会が権限を越えたと判断したことはないと述べた。

下院監視・政府改革委員会は先月、トランプ氏と同氏の不動産会社や財団、その他の所有企業について、Mazars USA会計事務所に財務諸表など8年間の記録を求める召喚状を出した。
トランプ氏はその差し止めを求め提訴していた。

 

 

10/10 ニューヨークの連邦地検、ジュリアーニ弁護士と関わりのあるビジネスマン2人を逮捕
 
10/11 Marie Yovanovitch元駐ウクライナ米大使が証言

元大使はバイデン副大統領に関する調査に非協力的だったとされる。
ジュリアーニ弁護士と親しい
実業家Lev Parnasと Igor Fruman 被告が共和党の Pete Sessions下院議員(当時)への献金を通じて、解任を政権側に働きかけ、元大使は任期を残して召還された。

証言:
2019年3月に任期延長の打診を受けたが4月末に「次の航空便」でワシントンに戻るよう突然指示された。
国務副長官はその理由をトランプ氏が同大使に信頼を失ったからだと説明。さらに同大使には落ち度はないとも説明した。

ニューヨークの連邦地検、ジュリアーニ弁護士の訴追の可否を含め捜査との報道

ヨバノビッチ前駐ウクライナ米大使に関し、前大使に不満を抱いていたウクライナのルツェンコ前検事総長とともに解任を画策し、米政府内に働き掛けた疑い。米連邦法は、外国政府の意を受けた全てのロビー活動の届け出を義務付けており、これに違反した疑い。

ジュリアーニ氏は「ルツェンコ氏でなくトランプ氏の代理人として活動している」と違法性を否定。

トランプ大統領は、これを魔女狩りと批判

So now they are after the legendary “crime buster” and greatest Mayor in the history of NYC, Rudy Giuliani.
He may seem a little rough around the edges sometimes, but he is also a great guy and wonderful lawyer.

Such a one sided Witch Hunt going on in USA. Deep State. Shameful!

10/14 国家安全保障会議(NSC)の元欧州・ロシア担当首席顧問、フィオナ・ヒル氏が下院情報特別委員会で、非公開証言に応じた。

報道によると、その発言:

ウクライナ支援を話し合うため招集された7月10日の会議で、ジュリアーニ弁護士らと協力して対ウクライナ工作を進めていたソンドランド駐EU代表部大使は、ウクライナがバイデン氏に関する調査を開始すれば、「ウクライナが望むトランプ氏との首脳会談を行うことができる」という認識を表明、マルバニー大統領首席補佐官代行とも話をつけてあると語った。

外交を政治利用する動きに懸念を募らせたボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は即座に会議を打ち切った。
ボルトン氏は、「彼らが手を染める『麻薬取引』には私は一切関わらない」と激怒。NSCの弁護士に問題を報告するようヒル氏に指示した。

10/15
民主党の米大統領選候補者討論会、ウクライナ疑惑の弾劾手続きに関し、バイデン前副大統領ら各候補は一様に賛意を表明。
バイデン前副大統領は「私の息子も私も間違ったことをしていない」と釈明
 

 


2019/10/18    Brexitで合意

欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は10月17日、トゥスク大統領に宛てた書簡に「英国とEUの交渉担当者は17日に新たな離脱協定案で合意した」と明記した。自身のツイッターで書簡を公表した。

Where there is a will, there is a #deal - we have one!
It’s a fair and balanced agreement for the EU and the UK and it is testament to our commitment to find solutions. I recommend that #EUCO endorses this deal.

(本来の諺は、Where there is a will, there is a way.)

 

概要は以下の通り。経済や市民生活の面でEUやアイルランドとの関係の方が強くなる可能性が高く、「連合王国としての英国の一体性の維持」を党是とするDUPとしては容認しがたいと見られる。

アイルランド国境をめぐる「バックストップ」は削除

英国は北アイルランドを含め、EU関税同盟から離脱。

アイルランド島の国境には物理的な関税等は設けない。

2020年末までの移行期間終了後、名目上は北アイルランドを含む英全土がEUとの関税同盟から抜ける。
しかし、アイルランド島の国境付近での税関業務を省略できるよう、北アイルランドに限り関税手続きをEU基準に合わせる。英本土から北アイルランド向けの品物はいったんEUの関税を徴収されるケースも出る。

本土から北アイルランドに入る段階でEU関税を支払い。(英国が実施するが、EUは立ち合いの権利を持つ。個人の荷物はチェックしない。)
北アイルランドに留まるものは関税還付。
アイルランドに運ばれるものは関税還付なし。

実質的には北アイルランドだけEUの関税同盟に残る状態に近い。

北アイルランドはEU単一市場に部分的にとどまる。農産物や工業品の基準、付加価値税などでEUルールを適用

VATのEUルール適用はモノに対してのみで、サービスは除く。
北アイルランドにアイルランドと同じ率の適用もありうる。
英国が、EU規定での最低レートを下回る率を定めても、北アイルランドには適用できない。

北アイルランド議会はEUルール適用を受け続けるかどうか4年ごとに判断(移行期間終了の4年後の2025/1以降)

移行期間は2020年12月末まで

ーーー

英国を除くEU加盟国27カ国の首脳は新たな合意案を承認した。

ジョンソン首相 は19日(土曜日)に下院を招集し、審議・採決の運びとなる。首相はツイッターで、「議会は土曜に承認しろ」と述べた。

We’ve got a great new deal that takes back control — now Parliament should get Brexit done on Saturday so we can move on to other priorities like the cost of living, the NHS, violent crime and our environment
#GetBrexitDone #TakeBackControl

今回合意したが、協定にはイギリス議会の承認が必要である。ジョンソン首相は北アイルランドの民主統一党(DUP)や与党・保守党の親EU派による支持固めに奔走しているが、与党は多数を割っており、議決できるかどうか不明である。

「このままでは新離脱案を支持できない」。北アイルランドを地盤とする閣外与党の民主統一党(DUP)はコメントを出した。

ーーー

英国とEUの交渉は、 当初は15日深夜が妥結の期限とされていたが、協議はその後も続いた。アイルランドと英領北アイルランドの間の国境問題については、双方の意見がなお一致していなかった。

ジョンソン首相は北アイルランドをEUの単一市場、関税同盟に残すという妥協をした模様。Donald Tusk 欧州理事会議長は、「15日にはこれで決まったと思ったが、英国側に問題があるようだ」と述べた。

報道では主な問題点は下記の通り。

提案 反対
EU アイルランド国境での厳格な国境検査を避けるため、北アイルランドをEUの単一市場と関税同盟に残す。 北アイルランドの民主統一党(連立与党)は一貫してこれに反対 
  英本土と北アイルランドの間で通関検査が必要となる

 

英政府 北アイルランドを巡る取り決めの実施に当たっては、北アイルランドの定期的な承認を必要とする仕組み
 北アイルランドの民主統一党(連立与党)が強く要求
EUが懸念
IRA 国境をつくれば、国境施設・要員に軍事攻撃する。  

英議会は、17〜18日のEU首脳会議で新たな合意が結ばれなかった場合、EUに延期を要請するよう首相に命じる通称「ベン法」を可決している。

ーーー

その後、「英政権に閣外協力する北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)が譲歩し、合意の可能性が高まった」と報道された。

欧州メディアは、バルニエEU首席交渉官が16日夜、加盟各国に対し、付加価値税(VAT)の取り扱い以外の課題は全て英国と合意したと説明したと報じた。

北アイルランドにEUのVATが適用されるのかどうかという問題とされる。
Another major issue in the PM's proposals are whether EU VAT rates would apply in Northern Ireland.

VAT税率

  基本税率 軽減税率
英国 20% 0、5%
アイルランド 23% 0、4.8%、9%、13.5%

現在は、北アイルランドでは英国の税率が課せられている。離脱後に何故変更が必要なのか分からない。

なお、現在は、アイルランドと北アイルランドの取引は、同じEU内のため、消費地の税率(アイルランド品を北アイルランドに運べば英国の税率、逆ならアイルランドの税率)が課せられてい る。
離脱後は、本来ならば、域内のアイルランドと域外の北アイルランドの製品移動は輸出入となり、輸入側で輸入品の税率がかかる。


BBCによると、交渉の焦点となっていた国境に関する問題は「ほぼ解決された」が、なお技術的な詳細について協議が続いていた。

しかし、民主統一党(DUP)は、税関や地方政府の発言権についての現在の提案を受け入れることはできないとツイートした。付加価値税(VAT)についても明瞭性を欠いていると主張した。

"We have been involved in ongoing discussion with the Government.  As things stand, we could not support what is being suggested on customs and consent issues and there is a lack of clarity on VAT.

We will continue to work with the Government to try and get a sensible deal that works for Northern Ireland and protests the economic  and constitutional integrity of the United Kingdom."

関係者によると、DUPは「数百万でなく数十億ポンド」単位の資金を北アイルランドに拠出するよう要求し、支出を増やすことが合意を支持する条件だとジョンソン首相に伝えたという。

 

2019/10/16  Brexitの状況 (10/15)

 


2019/10/19 Brexit 協定案 本日採決 

英議会は10月19日土曜日に協定案を採決する。会が週末に開かれるのは1982年のフォークランド戦争以来

ジョンソン英首相は18日、態度を決めかねているユーロ懐疑派の保守党議員や野党・労働党の議員を中心に最後の支持を呼びかけた。

下院の現状は下記の通り。

  2017/6/8
 選挙結果
  現状 投票
保守党 317 -29 288 287
民主統一党(DUP) 10 0 10 10
(与党) (327) (-29) (298) (297)
労働党 262 -18 244 242
スコットランド国民党 35 0 35 35
自由民主党 12 +7 19 19
保守党の党籍停止   +21 21 21
独立グループ 0 +13 13 13
The Independent Group for Change 0 +2 2 2
Change UK 0 +5 5 5
シンフェイン党 7 0 7  
ブライドカムリ 4 0 4 4
緑の党 1 0 1 1
無所属 1 -1 0  
議長 1 0 1  
合計 650 ±0 650 639

投票するのは639人で、過半数は320となる。

投票せず:議長、副議長(保守1、労働2)、Sinn Fein党7 合計11

連立与党の民主統一党は反対を表明しており、保守党は、党籍停止者を含めても309で過半数に足りない。

英下院は9月3日、議会進行主導権を政府から議会に移す動議を賛成328票、反対301票の賛成多数で可決し、野党・労働党などが提出した離脱延期法案の審議入りを可能にした。

事前の警告通り、与党保守党はこれに賛成した議員21名を党籍停止した。

2019/9/5 英下院、EU離脱延期法案を可決、解散案は否決

党議拘束はないため、保守党のなかにも反対者が出るが、野党からも賛成者が出る。

保守党の党籍離脱者を含めた309人から何人が反対に回るか、野党から何人が賛成に回るか、どちらに決まるにせよ、ギリギリである。

投票は午後になると見られている。午後11時までに決まらない場合、通称「ベン法」により首相はEUに延期を要請するよう求められている。

 

バックストップ案が問題となったメイ首相の離脱協定案は3回否決されたが、賛否は下記の通りであった。

  メイ首相の離脱協定案
1回目(1/15) 2回目(3/12) 3回目(3/29)
賛成 反対 賛成 反対 賛成 反対
保守党 196 118 235 75 277 34
民主統一党   10   10   10
労働党 3 248 3 238 5 234
スコットランド国民党   35   35   34
自由民主党   11   11   11
独立党 3 5 4 6 4 5
独立グループ       11   11
シン・フェイン党            
プライド・カムリ 4     4   4
緑の党 1     1   1
合計 202 432 242 391 286 344
賛否差 -230 -149 -58

 


2019/10/20   Brexit 協定案、採決先送り

英下院は10月19日(土曜)、新協定書の審議を行った。

Johnson首相は、「Brexitの更なる遅延は意味なく、犠牲が大きく、国民の信用を深く蝕むものだ」と述べた。

これに対し、労働党のCorbyn党首は、「首相は離脱協定をより悪くした。政府は信用できず、議会は騙されない」と述べた。

Theresa May 前首相は、「合意なき離脱を望まないなら、これに賛成せよ」と述べた。

議員からはいろいろな修正案が出た。

議長はその中から、次の順で投票することを決めた。

1)  Oliver Letwin 修正案

9月に保守党の党籍を停止されたOliver Letwinが、「新協定書に基づく法律が可決されるまで離脱協定案承認を棚上げする」との議案を出した。

離脱協定案が可決された後に「合意なき離脱」に転じる可能性を回避するもの。協定案が下院通過後に上院で却下されたり、可決後の法制化プロセスで一部の議員が態度を変えたりすることを懸念している。

この修正案には労働党のヒラリー・ベン議員、自由民主党のジョー・スウィンソン党首、ウェールズ党プライド・カムリのリズ・サヴィル・ロバーツ英議会代表といった野党議員に加え、元保守党で閣僚経験のあるデイヴィッド・ゴーク議員、フィリップ・ハモンド議員なども賛同を示し た。

とにかく離脱を遅らせるという点で賛成する議員も多かった。

2) Peter Kyle修正案

最大野党・労働党のPeter Kyle議員は、合意なし離脱を拒否するとともに、イギリスとEUの将来の関係についての「最終決定」を国民投票に委ねるべきだという修正案を提出した。

3) 政府提出の新協定案

4) 合意なき離脱案

ーーー

午後11時までに決まらない場合、通称「ベン法」により首相はEUに延期を要請するよう求められている。

しかし、新協定案が可決されても、Letwin 修正案が可決された場合は、首相はEUに来年1月末までの離脱期日の延期を要請する必要がある。

ジョンソン首相はこの議案が通った場合、離脱協定案を取り下げ、保守党員は全員引き上げさせることを決めた。首相案の敗北を避けるのが目的。

1番目のLetwin 修正案の採決結果は下記の通り。

保守党の党籍離脱(除名)者のうち5名が反対したが、民主統一党は賛成し、可決された。

  議席数 投票  10/19  Letwin 修正案
2017/6/8
 選挙結果

増減

現状

賛成 反対 棄権
保守党 317 -29 288 287   283 4
民主統一党(DUP) 10 0 10 10 10    
(与党) (327) (-29) (298) (297)      
労働党 262 -18 244 242 230 6 6
スコットランド国民党 35 0 35 35 35    
自由民主党 12 +7 19 19 19    
独立グループ 0 +34 34 34 18 17 1
The Independent Group for Change 0 +2 2 2
Change UK 0 +5 5 5 5    
シンフェイン党 7 0 7        
ブライドカムリ 4 0 4 4 4    
緑の党 1 0 1 1 1    
無所属 1 -1 0        
議長 1 0 1        
合計 650 ±0 650 639 322 306 11

投票せず:議長、副議長(保守1、労働2)、Sinn Fein党7 合計11

2番目以降の議案の投票は中止となった。

 

ジョンソン首相は、「10月末の離脱を実現するためにできる限りを尽くす」と離脱を諦めない姿勢を示した。週明けの21日にも、今回求められた離脱法案を通すための議会手続きに着手する。

しかし、議会の賛成多数を得られるかどうか、見通せない。

 

ジョンソン首相は9月上旬、EUに離脱期限の延長を申し入れるくらいなら「野垂れ死にした方がましだ」と発言。その後もことあるごとに「離脱は延期しない」と繰り返した。

今回、通称「ベン法」の規定により、首相はEUに離脱期限延長を要請する書簡 (@)を送ったが署名を入れず、代わりに離脱を今月末から先延ばしにしたくない旨を表明する書簡(A)に署名した。

英国の駐EU大使は別の書簡の中で、離脱延期を要請する書簡は、法律に従うために送っただけだと説明した。

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2019/10/21 BASF、Adani Group 、
ADNOC、Borealisの4社、インドでの石化計画のFS実施の覚書締結  

 

BASFとインドの複合企業 Adani Group は、2019年1月17日、共同でアクリル酸チェーンの投資の検討を行う覚書に調印した。

BASFにとってインドでのこれまでの最大の投資となるもので、立地はGujarat州のMundra 港。2019年末にFSを完了する。

投資額は約20億ユーロで、BASFが過半を出資する。

プロパン脱水素、ブタノール、2-エチルヘキサノール、精製アクリル酸(GAA)、ブチルアクリレート及びその他の下流製品を考えており、製品は主にインド市場で建設、自動車、塗料その他の幅広いローカル企業に販売し、モディ首相の主導する “Make in India” 政策に貢献する。

BASFのcarbon neutral 成長戦略に沿い、Mundraの工場はBASFで最初のCO2-neutral な工場となる。新技術や100%再生可能エネルギー導入を考えており、BASFはJVへの参加に加え、風力・太陽光発電基地にマイナリティなパートナーとして参加することも計画している。

JV相手のAdani Groupは、Ahmedabadに本拠を置く企業で、資源(石炭採掘・販売)、物流(港湾、船舶・鉄道輸送)、エネルギー(再生可能エネルギー、石炭火力、送配電)、農業(コモディティ、食用油、食品、冷凍倉庫、穀物サイロ)、不動産、公共交通インフラ、消費者金融、防衛などを行うインド最大の統合インフラコングロマリットの一つ。

2019/1/19 BASF、インドに石化新工場 

 

BASFとAdani Groupは10月18日、Abu Dhabi National Oil Company (ADNOC) と Borealis AG を加えた4社でMundraでの化学コンプレックス建設のFSを進める覚書を締結した。

両社の参加で当初計画のうち、プロパン脱水素の設備の規模を拡大する。

増量したプロピレンの一部はADNOC と Borealis が計画するPPコンプレックスで使用される。

両社は、両社のJVのBorouge(Abu Dhabi Polymers)との戦略的フレームワークの一部として、最初の海外での生産JVを検討している。

なお、Borougeは2018年12月、RuwaisのBorouge 3でPP第5系列の建設を着工した。完成すればBorougeのPP能力は25%増の224万トンとなる。

当初の投資額は約20億ユーロとしていたが、今回は40億米ドルとしている。各社の負担割合は明らかにされていない。

共同のFSを2020年第1四半期末までに終え、2024年の生産開始を目標としている。

 

 

Borealis は1994年にノルウエーのStatoil とフィンランドのNeste の石化事業を統合して設立されたが、1997年にNesteが、2005年にはStatoilも、持分をオーストリアのOMVとアラブ首長国連邦 Abu DhabiのIPICに売却した。

Abu Dhabi政府100%出資のInternational Petroleum Investment Company (IPIC) Mubadala Development Companyと合併し、Mubadala Investment Companyとなった。

Mubadala Investment とADNOCは2018年11月にFramework Agreement を締結、Mubadalaの石油精製と石油化学、ADNOCのダウンストリームの国際展開を共同で推進する。


2019/10/22     トランプ大統領 弾劾の状況 -3 

2019/10/11 トランプ大統領 弾劾の状況

2019/10/12 ニューヨークの連邦地検、ジュリアーニ弁護士と関わりのあるビジネスマン2人を逮捕

2019/10/17    トランプ大統領 弾劾の状況 -2   

10/15 ケント国務次官補代理(欧州・ユーラシア担当)が下院委員会で証言

「ウクライナに関する政策決定の会議から5月以降は外されていた」
トランプ氏周辺が政策を決める仕組みは「間違っている」

ジュリアーニ・大統領顧問弁護士、大統領弾劾調査で出された文書提出命令を拒否、弾劾調査を「違法」で「違憲」と断言

議会侮辱罪に問われる恐れ

10/16 共和党の上院トップ、大統領の弾劾裁判が年内には終結するとの見通しを示す。

11月末の感謝祭までに下院が大統領を弾劾訴追し、上院では週6日のペースで弾劾裁判の審議を行い、クリスマスまでには終結するとの見通しを示した。

上院は共和党53、民主党系 47で、弾劾に必要な2/3 には上院から20名の賛成が必要で、否決されると見ている。

マイケル・マッキンリー元国務長官上級顧問が下院の複数の委員会で証言

自身が10/11に上級顧問を辞任した理由について、駐ウクライナ米大使の解任を巡るポンペオ国務長官の対応への不満を挙げた。
「政敵に打撃を与える情報を外国政府に求めることに当惑した」
 

同氏はウクライナとの対応で直接の関与はなかったものの、パイプ役を果たしていたとみられる。

10/17 大統領、Rick Perry エネルギー長官の年末辞任を発表

米下院委員会は10月10日、ペリー長官に、ウクライナとのやりとりに関する文書を18日までに提出を命じる召喚状を出した。

長官は16日公開のインタビュー記事で、ウクライナでの汚職疑惑をめぐり、トランプ大統領の指示で大統領のジュリアーニ弁護士に連絡を取ったと述べていた。

10/18 後任にダン・ブルイエット副長官を指名

米大統領の弾劾調査で中心的役割を担ってきた民主党のElijah Cummings議員が68歳で死去

下院は、民主党 234、共和党 198、無所属 1 (共和党離党)に。 欠員 2 (他に、9/23 共和党議員が辞職)

米国のGordon Sondland 駐EU大使が下院で証言

トランプ氏とジュリアーニ顧問弁護士が米国内の選挙問題をウクライナ側との会談に持ち込んだと述べた。

トランプ大統領がウクライナ政策については顧問弁護士のジュリアーニ元ニューヨーク市長と直接話すよう5月下旬の米政府高官との会議で指示した。これを受け、大統領が米外国政策を民間人に任せているとの懸念が高まった。

大使自身に加え、ペリー・エネルギー長官とボルカー・ウクライナ担当特別代表(当時)はトランプ大統領の指示に失望したが、それでも命令に従った。

ホワイトハウスのマルヴェイニー大統領首席補佐官代行、「 トランプ政権がウクライナへの軍事支援を一時凍結したのは、ウクライナに米民主党の捜査をするよう圧力をかけるためだった」

その後、「メディアが曲解した」と否定する声明を発表

ホワイトハウスは来年のG7サミットを6月10日から12日の日程で、南部フロリダ州マイアミ近郊のDoral 市にあるトランプ大統領の会社が所有するTrump National Doral Miami Resortで行うと発表。利益相反の可能性を懸念する声。

合衆国憲法には、大統領が外国政府から金品を受け取ることを事実上禁止する条項がある。サミットはこの条項に抵触することを避けるため、利益なしの「実費で」開催される。

10/19  トランプ大統領がツイッターで白紙還元を表明、メディアと民主党がうるさいからと。

I thought I was doing something very good for our Country by using Trump National Doral, in Miami, for hosting the G-7 Leaders.
It is big, grand, on hundreds of acres, next to MIAMI INTERNATIONAL AIRPORT, has tremendous ballrooms & meeting rooms, and each delegation would have its own 50 to 70 unit building.
Would set up better than other alternatives.

I announced that I would be willing to do it at NO PROFIT or, if legally permissible, at ZERO COST to the USA.

But, as usual, the Hostile Media & their Democrat Partners went CRAZY!

Therefore, based on both Media & Democrat Crazed and Irrational Hostility, we will no longer consider Trump National Doral, Miami, as the Host Site for the G-7 in 2020.

We will begin the search for another site, including the possibility of Camp David, immediately. Thank you!

 

 


2019/10/23   トルコ大統領、トランプ 大統領の手紙を「ごみ箱へ」

トルコのエルドアン大統領が、同国によるシリア北部進攻の停止を求めるトランプ大統領からの手紙をその場で「ごみ箱に」捨てていたことが明らかになった。


トランプ大統領が10月6日にシリア北東部からの米軍撤退を発表すると、トルコは9日、クルド人民兵組織「人民防衛部隊」が支配するシリア北部への進攻を開始した。

トランプ大統領は9日付の書簡で「タフガイの真似はするな。馬鹿な真似はするな!」と書き、即時停戦を求めた。

  取引をしよう! あなただって何千人もの人びとを虐殺する行為の責任を負いたくはないだろうし、私もトルコ経済を崩壊させた責任を負いたく ない。でも、そうする。我が国のAndrew Brunson牧師を拘束したときにも、ちょっとした例をお見せ した。

Andrew Brunson はキリスト教福音派の牧師で、20年以上トルコに在住していたが、2016年にクーデター未遂事件に関与したとしてテロ関連の罪に問われ、トルコ当局が拘束した。
釈放を要求するアメリカ合衆国との間で、国際問題化するきっかけとなった。
トランプ大統領は、釈放しなければトルコに「大規模な制裁」を発動すると警告した。
米財務省は2018年8月1日、トルコの法相と内相を経済制裁対象に指定した。

2018年10月12日に釈放された。

世界をがっかりさせるな。(クルド人の民兵組織の)Mazloum 司令官は交渉を望んで おり、これまで決してしなかった譲歩もするつもりだ。

この局面を正当かつ人道的なやり方でのり切れば、歴史はあなたを好意的に見ることになる。しかし、そうでなければ、歴史はあなたを悪魔とみることになる。Don't be a tough guy!  Don't be a fool !

I will call you Later.

 

 

しかしエルドアン大統領は「停戦宣言などしない」と述べ、この働きかけに応じない姿勢を示した。
これについてエルドアン氏に近い関係者はBBCに対し、「エルドアン大統領は書簡を受け取り、要請内容を徹底的に拒絶し、ごみ箱に捨てた」と明かした。

ーーー

ペンス米副大統領は、即時停戦を直接交渉するため、トルコの首都アンカラで17日、エルドアン 大統領と会談、軍事作戦を5日間「一時停止」することで合意した。

しかし、トルコ側は、クルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」が同地域から完全に撤退するまでは「停戦」しないとしている。

YPGは、トルコ南部と国境を接するシリアで活動しており、アメリカ軍の支援を受けてイスラム過激派組織 IS の掃討に貢献した。

トルコの狙いは、同国がテロ組織と認定しているYPGの戦闘員を安全地帯から完全に排除すること だが、トルコの一連の動きは、クルド人に対する民族浄化だとの批判も出ている。

クルド人勢力はアサド政権への接近を模索している。IS の復活も懸念される。

トランプ大統領の米軍撤収などのシリア政策には、IS 掃討で米軍に協力してきたクルド人への裏切りだなどと与党共和党からも批判の声が上がっている。
 


2019/10/23   Brexit の延期 濃厚に

英議会下院は10月22日夜、ジョンソン首相がEUと合意した離脱協定案の批准に必要な関連法案について、スピード審議を可能にする動議を反対多数で否決した。政権がめざす10月末の離脱に向けた法案の早期成立は絶望的になった。

EU側は「合意なき離脱」はないとしており、3度目の延期となる見通しが強まった。

ーーー

下院は10月19日土曜日に、「新協定書に基づく法律が可決されるまで離脱協定案承認を棚上げする」との第1の議案を 322対306で可決した。政府提出の新協定案などの残り3議案の投票は中止となった。

ジョンソン首相はEUに離脱期限延長を要請する書簡と、離脱を先延ばしにしたくない旨を表明する書簡を送付 、期限通り10月末に離脱することはなおも可能だと主張した。

2019/10/20 Brexit 協定案、採決先送り    

 

10月21日、下院は離脱に必要な関連法案の審議手続きに入ったが、議事進行をめぐり、空転 した。

首相は、離脱協定案の採決を優先して行うよう下院に要請 したが、議長は却下した。

1604年にさかのぼる議会規定で、首相は同じ質問を何度も問うことはできないと指摘。「動議は本質的に同じ内容であることは明らかだ。動議の審議は繰り返しであり秩序を乱すことになるため、本日は審議しない」

下院院内総務は、「24日までに関連法案の下院での手続きを終わらせたい」と述べた。


10月22日、首相は、もし議員が首相の日程案を拒否し、EUが延期を認めた場合、総選挙を行うと述べた。

同日、下院はまず、離脱関連法案の大枠での賛否を問う「第二読会」議案を329対299で可決した。保守党285、独立グループ25(主として保守党離脱者)に最大野党・労働党の19人の議員が賛成した。

議会の審議は以下によって行う。第二読会で法律原案の概要の審議を行い、 その後、関係委員会で詳細審議をする。

下院(第一読会 ⇒ 第二読会 ⇒ 関係委員会 ⇒ 下院本会議 ⇒ 第三読会)⇒ 上院
 第一読会と第三読会はほとんど形式的過程。

しかし、その直後に、離脱関連法案を早期に成立させるために政府が提出した「議事進行動議」を308対322の僅差で否決した。

法案の下院審議を10月24日に終わらせ、月内の成立をめざす内容だった。通常は数週間かかる審議を3日間に縮めようとする政権の強引さに反発が広がり、否決された。

否決後、ジョンソン首相は「立法手続きを中断する」と述べ、今後についてはEU各国首脳と協議する考えを示した。

 

議席数

投票 「第二読会」議案   「議事進行動議」
賛成 反対 賛成 反対
保守党 288 287 285   285  
民主統一党(DUP) 10 10   10   10
(与党) (298) (297)        
労働党 244 242 19 217 5 233
スコットランド国民党 35 35   35   35
自由民主党 19 19   19   19
独立グループ 34 34 25 8 18 15
The Independent Group for Change 2 2
Change UK 5 5   5   5
シンフェイン党 7          
ブライドカムリ 4 4   4   4
緑の党 1 1   1   1
無所属 0          
議長 1          
合計 650 639 329 299 308 322

投票せず:議長、副議長(保守1、労働2)、Sinn Fein党7 合計11

 

EUのDonald Tusk 大統領は「合意なき離脱を避けるため、EUの27加盟国に延期の要請を受け入れるよう勧める」と述べた。

ジョンソン首相は、今も10月末に離脱するのが方針だとEU首脳に伝えると述べた。

官邸は、EUが延期を受け入れるなら、唯一の方向は総選挙だと述べた。


2019/10/24    Biogenとエーザイ、一旦治験中止したアルツハイマー薬の承認申請へ 

Biogenエーザイは10月22日、早期アルツハイマー病患者を対象に臨床試験を実施した抗アミロイドβ(Aβ)抗体アデュカヌマブ(aducanumab:BIIB037)についてBiogenが米国食品医薬品局(FDA)との協議に基づいて、新薬承認をめざすことを発表した。

両社は2019年3月21日、aducanumab(BIIB037)の有効性、安全性を評価する臨床第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)を中止することを決定したと発表した。
本試験において主要評価項目が達成される可能性が低いと判断されたことに基づくものであり、安全性に関する問題によるものではない。

しかし、結果を再分析したところ、高用量を投与した一部の患者に効果が確認できた。重篤な副作用も認められなかった。

臨床第III相試験であるEMERGE試験は 、アデュカヌマブの高用量投与群がプラセボ群と比較して、統計学的に有意な臨床症状の悪化抑制を示し、主要評価項目を達成した 。

もう一つの臨床第III相試験であるENGAGE試験は、アデュカヌマブの高用量投与を受けた被験者の サブグループにおいてEMERGE験を支持する結果であったと考えている。

アデュカヌマブを投与された被験者では記憶、見当識、言語などの認知機能において顕著なベネフィットが見られた。 また、金銭管理、事(掃除、買い物、洗濯など)や単独での 外出などの日常生活動作において もベネフィットが見られた。

アデュカヌマブが承認された場合、早期アルツハイマー病の臨床症状悪化を抑制する初の治療剤となるとともに、アミロイドベータ(Aβ)の除去が臨床上のベネフィットをもたらすことを実証する世界初の薬剤となる。

これを受けて米食品医薬品局(FDA)と相談し、承認申請の手続きを進める方針を固めた。2020年の早い段階で新薬承認申請を予定している。
欧州や日本など他の地域でも承認申請を予定している。

ーーー

エーザイとBiogen は2017年10月23日、臨床第III相試験進行中のaducanumabを含むアルツハイマー病治療剤の開発・販売に向けた提携契約を拡大すると発表した。

両社はアルツハイマー関連で下記の製品を開発しており、エーザイが以前から販売しているアリセプトを除き、開発で提携している。

今回の提携契約拡大で、エーザイは、Biogenの抗アミロイドβ(Aβ)抗体BIIB037=aducanumab に対する共同開発・共同販促オプション権を行使した。

エーザイ アリセプト 〈既存製品〉
(donepezil)
エーザイの杉本八郎博士らが開発
 
アルツハイマーでは、神経伝達物質のアセチルコリンが脳内で減少している。

アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、アセチルコリンの濃度を高める。

新規ヒト化モノクローナル抗体
「BAN2401」
2007/12 スウェーデンのBioArctic Neuroscience ABから全世界の研究・開発、製造、販売の独占ライセンスを受ける。 アルツハイマー病の原因と考えられるベータ・アミロイド成分を除去
βサイト切断酵素(BACE)阻害剤
elenbecestat「E2609」 
 
x試験中止(下記)
エーザイが創製

 

βアミロイドの脳内の沈着はアルツハイマー型認知症の病因の一つ
アミロイド前駆体タンパク質のβサイト切断酵素であるBACEを阻害することでβアミロイドの総量を低下させる。
Biogen 抗アミロイドβ(Aβ)抗体  
aducanumab
(BIIB037)
 
→ 今回申請へ
Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとに導入 アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。

aducanumab 投与でアミロイドプラークのレベルを下げる

2017/10/27 エーザイとバイオジェン、アルツハイマー治療剤での提携契約を拡大 

Biogenとエーザイは2019年3月21日、aducanumab(BIIB037)の有効性、安全性を評価する臨床第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)を中止することを決定したと発表した。本試験において主要評価項目が達成される可能性が低いと判断されたことに基づくものであり、安全性に関する問題によるものではない。

今回、これについて承認を目指す。

エーザイとBiogen は2019年9月13日、経口βサイト切断酵素(BACE)阻害剤elenbecestat「E2609」 について、早期アルツハイマー病(AD)を対象とした臨床第V相試験(MISSION AD1、AD2)の中止を決定したと発表した。独立安全性データモニタリング委員会(DSMB)により行われた安全性レビューにおいて、本試験を継続しても最終的にベネフィットがリスクを上回ることはないとの判断から試験の中止が勧告されたことに基づく。


2019/10/25 Tesla、中国工場の試運転開始 

Teslaは10月23日、上海市で建設中だったEVの新工場で主力小型車である「モデル3」の試作車の生産を始めたと発表した。2019年末としていた予定よりも前倒しで実現した。

同社は2018年7月に中国政府との間で上海での工場建設の契約を結んだ。これまでは外国企業は中国メーカーと合弁を組むことが義務付けられ、合弁先への出資比率も50%以下に制限されてい たが、Teslaには初めて100%出資を認めた

中国政府は2018年4月17日、自動車分野における外国企業の出資制限を2022年までに順次、撤廃すると発表した。

2018年内に電気自動車(EV)など新エネルギー車の生産会社で出資制限を撤廃し、2020年に商用車、2022年に乗用車に拡大する。
外国メーカー1社が設立できる合弁企業数を原則2社に制限している規制も撤廃される見通し。

2018/5/24 中国、自動車関税を一律引き下げ 米に歩み寄り

Tesla は本年1月に起工式を行っており、10カ月で試運転という「前例のないスピードの建設」(CEO Elon Musk )である。

2019/6 時点
現状
Stamping Press
Body Shop
Paint Shop
モデル 3

米国の複数メディアは10月17日、中国工業情報化部が公布したリストによると、Teslaが自動車生産企業のリストに掲載され中国で自動車生産資格を得たと報じていた。

今回、車体部品のプレス加工から塗装、組み立てに至る全工程で試作を始めた。

試作の後、本格生産、出荷を開始する。

生産能力は年15万台。同社の唯一の完成車生産拠点だった米カリフォルニア州Fremont工場の年産能力は44万台(Model 3:35万台、Model S/X :9万台)で、上海新工場を合わせた年産能力は59万台となる。

なお、Teslaは中国生産分の「モデル3」については、韓国のLG Chemが南京市で製造する次世代電池セル「NCM811」を使用する。

 

Teslaは現在、フリーモント工場で多目的スポーツ車(SUV)タイプの新型EV「モデルY」の生産準備を進めており、当初の予定よりも早く、2020年夏までに発売する見通しだと明らかにした。

同社は更に、欧州での第三工場の立地の選択の最終段階にあることを明らかにした。欧州工場ではModel 3 と Model Yを生産する。

モデルYは、ロードスター、モデルS (ラージサイズセダン)、モデルX、モデル3 (プレミアムミッドサイズセダン) に続くテスラのEVで、モデル3の車台をベースにしたコンパクトな電動SUVになる。

ーーー

Teslaは現在、中国市場にカリフォルニアのFremont工場から出荷しており、米中貿易摩擦の影響を受ける。

中国の自動車関税:

  全体 対米国
当初 25% 25%
2018年5月 引き下げ 15%


 
15%
2018年7月 対米追加関税 25% 40%
2019年1月〜3月 対米追加関税免除 15%
2019年4月1日より追加関税を一時停止 15%
2019年12月15日以降 復活+追加 10% 50%

2019/8/26 中国、米国製品750億ドル分に追加関税

上海工場の稼働で関税負担が無くなる。

Teslaでは、中国はModel 3の最大の市場となるとしている。

ーーー

Teslaが同日発表した2019年7〜9月期決算は、売上高が前年同期比8%減の63億300万ドル、最終利益が54%減の1億4300万ドルで、主力のモデル3の輸出がほぼ計画に沿って拡大し、3四半期ぶりに黒字に転換した。

 


 

2019/10/26  英首相、12月12日総選挙を提案

ジョンソン首相は10月24日、総選挙の12月12日実施を提案した。 短期間の離脱延期で関連法案を成立させ、離脱の道筋をつけたうえでの総選挙を狙う。

首相は、労働党のコービン党首に宛てた書簡で総選挙への支持を求め、「この悪夢を終わらせ、理にかなった形で可及的速やかに解決策を提供することがわれわれの責務だ。何度も繰り返される離脱延期は、景気はもとより、企業や将来の計画を立てようとする大勢の国民にとって良くない」と訴えた。
「11月15日か30日」までの短期間の離脱延期が「好ましい選択肢」だとしている。

首相は、総選挙の前倒し実施を求める動議が下院で10月28日に採決されることになるだろうと発表した。
英国
では首相に解散権はなく、総選挙を行うには下院の3分の2以上の賛成が必要になる。(又は、過半数での内閣不信任案可決)

最大野党・労働党のコービン党首は24日遅く、EUが離脱期限の延期を認めるかどうか見てから判断したいとした上で、「合意なき離脱の可能性が排除されるなら、われわれは総選挙を全面的に支持する」と語った。「私は前回の選挙以降ずっと解散総選挙を求めている。この国の社会的不正義を正すために必要だからだ。でも合意なき離脱は除外されなくてはならない」と述べた。

EUは25日にも、要請受け入れの可否を表明する見通し。

英国を除くEU 27か国は10月23日、大使級会合を開いた。英国から出ている離脱期限の延期要請への対応を協議したが、延期の幅や条件を巡り、意見集約ができず、25日以降に持ち越すことで一致した。

離脱期限の延期には英国以外の27加盟国全体の合意が必要となる。

複数のEU当局者は、来年1月31日までの離脱延期をEUが認める可能性がなお最も高いが、EU当局と英国を除く加盟27カ国との間で協議が続いており、ジョンソン首相の総選挙の前倒し提案を労働党が拒否する可能性があることが事態を複雑にしていると述べた。

  

ジョンソン首相は次の日程を考えている。

10月28日 総選挙前倒しを下院で採決、10月31日の離脱は延期  (EUが離脱延期を認めることが前提)

11月6日までに離脱合意案を議会で成立  「週末も含めて関連法案の審議や採決にあてる」

11月6日 議会解散  (法案が成立しない場合、政府の離脱案か労働党の離脱案かの選択になる。)

11月15日 or 11月30日にEU離脱 (法案が成立しない場合は、総選挙で過半数を取って成立させ、2020年1月中に離脱)

12月12日 総選挙

 

なお、議会はエリザベス女王が10月14日に読み上げたジョンソン政権の施政方針を採決、賛成多数で可決した。

 


2019/10/28 米国クラレ、工場火災事故で作業員へ損害賠償  

クラレは10月24日、子会社Kuraray Americaが火災事故で被害を受けた外部委託業者作業員等から民事訴訟を提起されていたが、一部原告との間で和解の基本合意をしたと発表した。

原告13名との間で、和解金92百万米ドル(約100億円)で基本合意に至った。

クラレでは特別損失(訴訟関連損失)として、これを含め140億円を計上する。

今後、本件訴訟について新たに合理的な見積りが可能となった損失についてはその時点で公表するとしている。

ーーー

2018519午前10時43分Kuraray America, Inc.のテキサス州Pasadenaのエバール工場で火災が発生した。

当時は定期修理と能力増強の工事のため、従業員と外部の委託業者作業員の合計266名が現場にいた。このうち19名が救急車で、2名がヘリコプターで病院に運ばれた。いずれも命に別条はない。

配管に高い圧力がかかったことが原因で安全バルブが外れ、エチレンガスが流出し、溶接の火花で火災が起こった。火はすぐに消し止められた。

この事故に関連し、身体的または精神的傷害を受けたことを理由として、160名超の外部委託業者の作業員から損害賠償等を求める民事訴訟テキサス州ハリス郡巡回裁判所に提起された。

入院は21名で、そのうち、合理的に見積りが可能な原告13名分 との間で合意したという。残り150人程度は身体的障害は軽いか、無く、精神的障害をうけたことを理由の訴えと思われる。

今回、最も大きな被害を受けたものを含む13名の原告協議を行った結果、本件訴訟の早期解決を図るべく和解に関する基本合意に至ったもの。

なお、 事故直後に数人が訴訟を行ったが、その時点では1人が100万ドル以上の賠償を求めるとの報道があった。被害の程度にもよるが、13人で93百万ドルというのはどういう計算なのか分からない。

 

当該火災事故に関しては、U.S. Occupational Safety and Health Administration(OSHA)の事故調査が行われ、2018年11月に行政処分として83,713米ドル(約920万円)の支払いを命じられた。

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エバール工場はEval Company of Americaとして設立され、2008年1月に、熱可塑性エラストマー<セプトン>を製造販売するSEPTON Company of America とともに、Kuraray America, Inc.に統合された。

工事は定期修理と能力増強工事(年産47千トンから11千トン増強し、58千トン)で、火災事故の影響で遅延していたが、2018年11月28日に発災ラインの稼働を再開し、全ラインで定常運転となった。

本能力増強工事完了後のエバールのグローバル生産能力は下記の通りとなる。

岡山事業所 10,000トン
クラレアメリカ 58,000トン
エバールヨーロッパ(ベルギー) 35,000トン
合計 103,000トン


クラレの米国事業については http://www.knak.jp/kakusha/maker-n-ame/kurare.htm

 


2019/10/29   EU、英離脱の来年1月末まで延期で合意 、議会解散案は否決

英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、EUは10月28日、離脱期限を最長で2020年1月31日まで3カ月延期することで合意した。
英国に時間の猶予を与え、社会や経済に混乱をもたらす「合意なき離脱」の回避を優先する。

EUのTusk大統領はツイッターへの投稿で「EU27カ国は20年1月31日までの柔軟な離脱延期を求める英国の要請を受け入れることで合意した」と明かした。

The EU27 has agreed that it will accept the UK's request for a #Brexit flextension until 31 January 2020. The decision is expected to be formalised through a written procedure.

各国は合意なき離脱を避けるため、ジョンソン英首相が書簡で申請していた3回目の延期を認める方針では一致しており、延期の幅(1カ月〜3か月)が焦点になっていた。

フランスはこれまで、長期の延期を認めるには、総選挙や再国民投票など明確な理由が必要だと主張していた。

英の一部野党が12月の総選挙実施に傾いていることを受け、総選挙後に離脱案を審議する時間を確保する必要があるとの判断に傾いたもよう。

1月末を待たなくても、英・EU双方で離脱案を批准すれば、批准した翌月の1日に離脱を前倒しできる。また、ジョンソン英首相とEU側で合意した新しい離脱協定案の再交渉は受け入れない方針も盛り込んだ。

ジョンソン首相はこれを受け入れた。これ以上の延期はないことを確認することを求めた。(恐らくEUは確認しないとみられる。)

10月31日のEU離脱は延期となった。


ジョンソン首相は次の日程を考えた。

10月28日 総選挙前倒しを下院で採決、10月31日の離脱は延期  

11月6日までに離脱合意案を議会で成立  「週末も含めて関連法案の審議や採決にあてる」

11月6日 議会解散  (法案が成立しない場合、政府の離脱案か労働党の離脱案かの選択になる。)

11月15日 or 11月30日にEU離脱 (法案が成立しない場合は、総選挙で過半数を取って成立させ、2020年1月中に離脱)

12月12日 総選挙

2019/10/26  英首相、12月12日総選挙を提案  


10月28日、議会で総選挙前倒しの採決が行われた。

下院の任期は法律(Fixed-Term Parliament Act)で固定化されており、解散総選挙には、下院(定数650)の3分の2以上 (434) の賛成が必要だが、賛成は299にとどまった。反対70で、多くが棄権した。
ジョンソン首相の総選挙の提案が否決されるのは9月4日10日に続き3回目。

 

議席数

賛成 反対 棄権
保守党 288 280   5
民主統一党(DUP) 10     10
(与党) (298)      
労働党 244 1 38 201
スコットランド国民党 35     35
自由民主党 19   18 1
独立グループ 34 18 4 13
The Independent Group for Change 2
Change UK 5   5  
シンフェイン党 7     7
ブライドカムリ 4   4  
緑の党 1   1  
無所属 0      
議長 1      
合計 650 299 70 272

 

最大野党・労働党のコービン党首は24日遅く、EUが離脱期限の延期を認めるかどうか見てから判断したいとした上で、「合意なき離脱の可能性が排除されるなら、われわれは総選挙を全面的に支持する」と語った。「私は前回の選挙以降ずっと解散総選挙を求めている。この国の社会的不正義を正すために必要だからだ。でも合意なき離脱は除外されなくてはならない」と述べた。

しかし、今回、EUが離脱期限の延期を認めたが、総選挙の時期(12月12日)が好ましくないと主張した。
  @大学が休みに入り、学生が故郷に帰るため、労働党を支援する多くの学生が投票しない。
  A寒いため、またクリスマス前のため、老人が投票しない。
合意なき離脱の除外がなければ支持できないとしており、首相は信用できないとしている。

ジョンソン首相は採決後、「EU離脱を実現するため、12月12日の総選挙のための法案を出す」と述べ、総選挙にこだわる姿勢を示した。29日にも法案を審議する。
この法案(
単純過半数で解散総選挙が認められるようにする修正法案)は今回限りのもので、議会任期固定法に縛られず、一般の法案と同じ位置づけで、過半数の賛成で可決される可能性がある。

保守党は過半数を割っており、他党からの賛成が必要である。

少数野党の自由民主党とスコットランド民族党はこの日の議会で、12月9日に総選挙を実施する案を示した。今後、両党と政権の間で、総選挙実施に向けて何らかの妥協が成立する可能性もある。

両党はBrexitを中止することを綱領に選挙を戦おうとしており、解散までの間に離脱案が通ってしまうことを防ぐことを目的とする。
議会の解散から総選挙の投票日までに、平日が少なくとも計25日は必要だと定められている。解散日を早めるのが狙い。
労働党の12月12日を理由とする反対を防ぐことにもなる。

しかし、12月9日総選挙案は、下院と上院を通し、女王の裁可を得るのに時間が少なすぎる。
(法案を上下両院で通過させた後、11月1日午前0時1分までに女王の裁可を得なくてはならない。)

 

 


2019/10/30  米財政赤字4年連続拡大

米財務省が10月25日に発表した2019会計年度(2018/10〜2019/9)の財政収支の赤字額は、前年度比26.4%増の9843億88百万ドル(約107兆円)となり、1兆ドルの大台に迫った。
赤字額は4年連続で拡大し、7年ぶりの高水準となった。

昨年実施した法人税などの大型減税の影響で歳入の伸びが鈍い一方、歳出拡大を進めた結果、財政赤字が膨らんだ。

2020年度以降は赤字額がさらに膨らみ、財政赤字は「1兆ドル時代」となる。貿易赤字とともに「双子の赤字」となる。

米議会予算局(CBO)は2020会計年度の財政赤字額を1兆80億ドルと予測する。赤字幅はその後も広がり、2028年度には1兆4790億ドルに膨らむと試算する。

トランプ大統領は7月22日、今後2年間の連邦政府の歳出と債務の上限について与野党で合意したとツイッターで発表した。

2020会計年度(2019年10月〜20年9月)と21会計年度の歳出上限を計3200億ドル引き上げるほか、債務上限については、2021年7月末まで2年間棚上げする。

2019/7/25 米 歳出上限と債務上限を引き上げ 

 

概要:

(単位:億ドル) 2018年度 2019年度 増減
歳入 33,287 34,622 1,335
歳出 41,077 44,466 3,389
収支 -7,790 -9,844 -2,054

歳入は4.0%増の3兆4621億96ドル。所得税や法人税の伸びが小さかった。ただ関税収入は7割増え707億84万ドルに達した。

(単位:億ドル) 2018年度 2019年度 増減
個人所得税 16,835 17,179 343
法人所得税 2,047 2,302 255
社会保障料 11,707 12,431 724
物品税 950 989 39
関税 413 708 295
その他 1,335 1,013 -322
合計 33,287 34,622 1,334

歳出は8.2%増の4兆4465億84百万ドルとなった。国防費や国債の利払い費の増加などに加え、中国の報復関税で打撃を受けた農家を救済するための費用も膨らんだ。

(単位:億ドル) 2018年度 2019年度 増減
農務省 1,367 1,501 134
ペンタゴン 6,007 6,540 533
退役軍人省 1,785 1,996 211
保健福祉省 11,205 12,138 933
社会保障局 10,399 11,018 619
国債金利 5,216 5,729 514
その他 5,099 5,544 445
合計 41,077 44,466 3,388

 


2019/10/30 英、12月12日に総選挙へ 

英議会下院は10月29日、EUからの早期離脱を目指すジョンソン首相が提出した12月12日に総選挙を実施する特例法案を可決した。

同氏は選挙で与党・保守党の過半数議席を取り戻し、2020年1月末の離脱期限に向け、膠着する内政の打開を狙う。足元の世論調査では保守党の支持率が労働党をリードしている。

解散に慎重だった最大野党・労働党が、EUが10月末からの離脱延期を認めたことを口実に「合意なき離脱が取り除かれた」として、早期選挙の支持に転じた。

上院の承認、女王の裁可を経て正式決定する。

11月6日に議会は解散する。これまでに離脱法案が成立しない場合、政府の離脱案か労働党の離脱案かの選択になる。

付記

John Bercow下院議長が10月31日に議員を引退した。

2009年から議長を務め、大声で "orderrrr!"と叫ぶので有名になった。

後任の議長の選任は11月4日に行われた。

7人が立候補し、3回目の投票で労働党のSir Lindsay Hoyleが267、労働党のChris Bryantが169で残り、保守党のDame Eleanor Laingが127で落ちた。

4回目の投票でSir Lindsay Hoyleが325、Chris Bryantが213となり、これまで副議長であったSir Lindsay Hoyleが議長に選任された。

下院は6日未明に解散した。


10月28日に行われた総選挙前倒しの採決は否決された。

下院の任期は法律(Fixed-Term Parliament Act)で固定化されており、これに反する解散総選挙には、下院(定数650)の3分の2以上 (434) の賛成が必要である。
28日はこの法律にもとづき、解散総選挙を実施するための動議であった。修正案は出せず、賛否だけを決めるもので、下院だけで決定される。

今回は、今回限りの解散総選挙実施の一般法案で、修正動議も可能であり、過半数の賛成で可決されると上院に回され、女王の裁可で法律となる。

英国は慣例法であり、新しい法律が古い法律に反する場合は新法が優先される。

今回の法律は、Early Parliamentary General Election Act 2019で、2019/12/12に総選挙を行うという法律で、Fixed-Term Parliament Actに優先する。
これ以降に行われる選挙にはFixed-Term Parliament Act が適用される。

審議に先立ち、与党保守党は党籍停止者のうち、10名を党に復帰させた。

英下院は9月3日、議会進行主導権を政府から議会に移す動議を賛成328票、反対301票の賛成多数で可決し、野党・労働党などが提出した離脱延期法案の審議入りを可能にした。

事前の警告通り、与党保守党はこれに賛成した議員21名を党籍停止した。

まず、自由民主党とスコットランド民族党が提案した12月9日投票案が審議され、295対315で否決された。
労働党以下、野党がほとんど賛成したが、保守党と元保守党のほか、民主統一党も反対に回り、ぎりぎりでの否決となった。

次いで、政府提案の12月12日投票案が審議され、今回は労働党の半分が賛成にまわり、過半数で可決された。

今後、上院に回るが、上院の賛成は確実のため、女王の裁可を得て、法律となる。

 

 

議席数

10/28 解散動議   議席 12/9 投票案   12/12投票案
賛成 反対 棄権 賛成 反対 棄権 賛成 反対 棄権
保守党 288 280   5 298   291 7 290   8
民主統一党(DUP) 10     10 10   10   10    
(与党) (298)                    
労働党 244 1 38 201 244 228 1 15 127 11 106
スコットランド国民党 35     35 35 35       1 34
自由民主党 19   18 1 19 19         19
独立グループ 34 18 4 13 24 8 13 2 11 4 16
The Independent Group for Change 2 7
Change UK 5   5  
シンフェイン党 7     7 7     7     7
ブライドカムリ 4   4   4 4       3 1
緑の党 1   1   1 1       1  
議長 1       1            
合計 650 299 70 272 650 295 315 38 438 20 191
   

賛成が2/3未満で否決

  否決 過半数で可決

今回の投票結果はBBCによるが、内訳には若干誤差がある。


2019/10/31 住友商事、日豪水素サプライチェーン構築実証事業に参画

住友商事は10月28日、川崎重工、電源開発(Jパワー)、岩谷産業、丸紅と豪州のエネルギー企業 AGL Energy Limitedが取り組んでいるHydrogen Energy Supply Chain Project(HESC Project )の実証事業に参画すると発表した。

HESC Project は豪州ビクトリア州 Latrobe Valleyの褐炭から製造された水素を液化し、日本へ輸送するもの。

2014/11/24 川崎重工、産業用では初の純国産独自技術の水素液化システムを開発

豪州政府とビクトリア州政府が共同で1億ドルを供与する。

実証設備の建設は、2019年から順次開始しており、最初の水素製造および輸送試験は、2020年から2021年の間に実施する。成功すれば2030年以降に商用化を行う。

豪州側部分は、川崎重工、Jパワー、岩谷、丸紅とAGLのコンソーシアムが担当する。

川崎重工と岩谷産業は、液化水素積荷基地の建設および運用評価を担当
Jパワーは、褐炭をガス化し、製造された水素ガスの精製設備を担当
丸紅はそれぞれの実証を基に将来の商用サプライチェーン構築に向けた具体的な道筋の構築を行う。

AGL はガス化プラントの土地を提供、褐炭を供給するとともに、諸サービスを提供する。

海上輸送及び日本での受け入れは、日本側のコンソーシアム CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA )が担当する。

組合員:

 州でのガス化設備担当:Jパワー
 液化水素運搬船及び液化水素受入基地担当:シェルジャパン、川崎重工、岩谷産業
 商用化検討担当:丸紅、JXTGエネルギー


 

液化水素受入基地 神戸空港島

 

 

住友商事は、本実証において、豪州連邦およびビクトリア州政府が取り組んでいるCarbonNet Project(二酸化炭素回収・貯留事業化における調査・実証に関するプロジェクト)とのコミュニケーションを促進する役割を担い、将来のCO2フリー水素サプライチェーンの構築を目指し実証事業の完遂に貢献するとしている。


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