2019/10/9   米、中国の少数民族弾圧でハイテク企業と公安部門をEntity Listに追加 

トランプ米政権は10月7日、監視カメラ世界首位の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)など中国の28団体・企業に禁輸措置を課すと発表した。

米国は中国が新疆ウイグル自治区で少数民族を弾圧していると批判している。中国の人権問題でも圧力をかけるとともに、新興ハイテク企業をけん制する思惑がみられる。

米商務省が10月9日付で輸出規制の対象である「エンティティー・リスト(EL)」に加えるのは、下記のハイテク8社と、新疆ウイグル自治区各地区の公安部門など20機関の合計28団体・企業である。

米国政府は、新たに登録された企業は新疆ウイグル自治区の住民たちに対し先進技術を用いた監視によって抑圧、大量の恣意的な拘留などを強いるのに協力していたと判断されると述べた。

 
Hikvision(杭州海康威視数字技術 ) 監視カメラ世界首位
Dahua Technology (浙江大華技術) 監視カメラ世界2位
Sense Time(商湯科技) AIスタートアップの先頭集団に位置 自動運転向け画像認識技術
ホンダが提携
Megvii Technology(曠視) アリババが支援する顔認識およびディープラーニングソフトウェア
バイデン前副大統領の次男の関連投資会社が出資
iFLYTEK(科大訊飛 音声認識や自動翻訳技術大手
Xiamen Meiya Pico Information
美亞柏科信息
情報セキュリティ(データフォレンジック)
Yitu Technologies(依圖科技 顔認識
Yixin Science and Technology
溢鑫科創科技
ナノテクノロジー

日本経済新聞によると、中国には監視カメラが2億台以上あるとされ、当局は顔認識技術を連動させて特定人物を探せるシステムを複数運用している。ハイクビジョンやダーファが監視カメラを製造し、センスタイムやメグビーは人工知能(AI)で精度を高めた顔認識技術を監視用システムに提供している。すでに人間の目よりも高い精度で人の顔を判別することが可能だ。

米政府は「中国共産党は100万人以上のウイグル族を含むイスラム教徒を強制収容施設に投獄している」(ペンス副大統領)と批判。監視システムが少数民族の人権侵害に使われていると非難する。

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Entity List 対象は、これまでは、大量破壊兵器(WMD)プログラム、テロリズム又はその他の行為のリスクをもたらす恐れのある企業であった。

「知財戦争」に適用したのは、2018年10月29日に中国の福建省晋華集成電路(JHICC)、本年5月15日の華為技術(Huawei)の2つである。

2019/5/16 米国、Huawei を対象に2施策

米商務省は6月21日、輸出管理法に基づき安保上懸念がある企業を列挙したEntity List にスーパーコンピューター大手5社とそれぞれのグループ会社を追加した。

8月13日には、中国国有の原子力発電最大手、中国広核集団とその子会社をEntity List に加えると発表した。

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