ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は http://blog.knak.jp

 


2019/11/1  米FRB、追加利下げ

米連邦準備理事会(FRB)は10月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き下げ、7月、9月に続く3会合連続の利下げに踏み切った。

貿易戦争のリスクを警戒し、金融緩和で景気悪化を未然に防ぐ。

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2008/10 2.00%→1.50%→1.00%
2008/12  0.00%〜0.25%
 0.00%〜0.25%
2015/12  0.25%〜0.50%
2016/12  0.50%〜0.75%
2017/3  0.75%〜1.00%
2017/6  1.00%〜1.25%
2017/12  1.25%〜1.50%
2018/3  1.50%〜1.75% パウエル議長
2018/6  1.75%〜2.00%
2018/9  2.00%〜2.25%
2018/12  2.25%〜2.50%
2019/7  2.00%〜2.25%
2019/9     1.75%〜2.00%
2019/10     1.50%〜1.75%

声明文では、「見通しについての不確実性が残る」との文言を残した。
しかし、「景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」との文言は削除された。

パウエルFRB議長の定例会見では以下の発言があり、利下げを当面休止すると示唆したと見られている。

「金融政策は良い状況にあると判断」
「現行の政策スタンスは適切であり続ける可能性が高い」
「利上げの前には著しいインフレ率の上昇が必要」
「米景気は底堅く、物価上昇率も2%に復するだろう。3回の利下げはこうした経済見通しを支えるものになる」

“Over in Europe and Japan they have NEGATIVE RATES. They get paid to borrow money.

Don’t we have to follow our competitors?”  Yes we do. The Fed doesn’t have a clue! We have unlimited potential, only held back by the Federal Reserve. But we are winning anyway!

発表を受け、失望を表明した。

People are VERY disappointed in Jay Powell and the Federal Reserve.
The Fed has called it wrong from the beginning, too fast, too slow. They even tightened in the beginning.
Others are running circles around them and laughing all the way to the bank. Dollar & Rates are hurting our manufacturers.
We should have lower interest rates than Germany, Japan and all others.
We are now, by far, the biggest and strongest Country, but the Fed puts us at a competitive disadvantage. China is not our problem, the Federal Reserve is! We will win anyway.


なお、FRBは7月末に
米国債など保有資産を縮小する「量的引き締め」も、2カ月前倒しして終了することにした。

3月20日の米連邦公開市場委員会で「量的引き締め」は2019年9月末で停止すると決めたが、7月末の終了を決めた。

しかし、FRBは10月11日、短期金融市場の資金不足を解消するため、短期国債を月600億ドルのペースで購入すると発表した。
10月15日から開始し、少なくとも2020年4〜6月期まで続ける。

米市場は資金需給が逼迫して短期金利が急上昇するなど不安定な状況が続いていた。

ーーー

米商務省が10月30日に発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)の速報値(季節調整済み)は年率換算で前期比1.9%増と、市場予想の1.6%増を上回った。

米国のGDP 2019/3Q 一次速報 1.9%    (2Q 確報+2.0%、1Q確報 +3.1%)

物価の状況は次の通り。

米国の9月のCPIとPCE   NY連銀の「基調的な物価指標」(UIG)  
10月の米雇用統計(非農業部門、季節調整済み、速報値) +12.8万人  8月、9月と大幅上方修正 

2019/9の失業率3.5%は、1969年12月(3.5%)以来。2019/4、5、10月の失業率は3.6%  
 
 
 
 

 


2019/11/2 トランプ大統領 弾劾の状況 -4 

 

2019/10/11 トランプ大統領 弾劾の状況

2019/10/12 ニューヨークの連邦地検、ジュリアーニ弁護士と関わりのあるビジネスマン2人を逮捕

2019/10/17    トランプ大統領 弾劾の状況 -2 

2019/10/22    トランプ大統領 弾劾の状況 -3  

10/22 ウクライナのアメリカ大使館のテイラー臨時代理大使が証言

バイデン氏の家族が役員を務める企業などに関してウクライナ側が調査すると表明することがアメリカによる軍事支援の条件だった。

このことはトランプ大統領の意向であると、ソンドランド駐EU大使からテイラー氏に伝えられた。

証言を聴き、「これはトランプが大統領になって『最悪の日』で、この証言でトランプ弾劾は100%可能になった」とのコメントも。

ホワイトハウスは「トランプ大統領には何もやましい点はない」とする声明

トランプ大統領ツイッターで、「すべての共和党員は、いま目撃しているのがリンチだということを忘れてはいけない。しかし、われわれは勝つ!」

So some day, if a Democrat becomes President and the Republicans win the House, even by a tiny margin, they can impeach the President, without due process or fairness or any legal rights.

All Republicans must remember what they are witnessing here - a lynching.    But we will WIN!

リンチは1880年代と1960年代に繰り広げられた多数のアフリカ系アメリカ人の殺害を示唆する言葉。共和党のマコネル上院院内総務は「歴史を考えると、わたしはリンチと比較することはしない。残念な言葉の選択だ」と述べた。

別途、大統領は、「トランプの罪は2016年の大統領選挙で勝ったことだけだ」と。

“The Democrats are trying to draw out this inquiry because they don’t have the support.
Donald Trump is guilty only of winning the 2016 Election.”

10/23 Laura Cooper  ロシア・ウクライナ・ユーラシア担当国防次官補代理の証言

国防省の証言禁止に反して証言

証言を非公開で始めようとしたところ、委員会に所属していない20人以上の与党共和党議員が傍聴を求めて室内に立てこもり、約5時間も開催が遅れる異例の事態となった。トランプ氏が高官の非公開証言が続いている状況に不満を示していることに呼応し、非所属の共和党議員らは傍聴を求めた。 その後5時間にわたり公聴会は膠着状態。

10/25 ワシントンの連邦地裁は、トランプ大統領に対する下院民主党の弾劾調査は適法と判断、
司法省に対しモラー特別検察官の捜査報告書で黒塗りにされた大陪審関連の情報を30日までに下院司法委員会に開示するよう司法省に命じた。

トランプ政権は弾劾調査を承認する採決が行われていないことを理由に、下院の調査は正当でないと主張してきた。

捜査報告書は2016年の米大統領選に絡むロシア疑惑を巡ってモラー特別検察官がまとめた約400ページの報告書で、トランプ陣営とロシアの共謀疑惑や司法妨害の可能性について、22カ月にわたった捜査の詳しい内容が明らかになる。大陪審が集めた捜査資料は、法律で開示が禁じられ、2019年4月に公表された捜査報告書は黒塗りにされた。

「大統領の弾劾が支持されるかを判断する重大な憲法上の義務の遂行に当たり、2年近くを費やした特別検察官の捜査を議会がやり直す必要はなく、既に情報提供した可能性のある証人によって誤った判断に導かれるリスクを冒す必要もない」とした。

10/28 トランプ米政権、モラー元特別検察官の報告書を巡り、議会委員会に無編集で全文を提出するよう命じた地裁の判断を不服として、控訴裁判所に上訴

「執行が停止されなければ、司法省は修復不可能な打撃を受けるため、執行停止は正当化される。いったん情報が開示されれば、撤回は不可能で、大陪審の情報の機密性が永遠に失われる」

判事が司法委員会の調査について、報告書全文の公開を正当化する合法的な弾劾調査の一環であるとの「誤った判断」を下した。

民主党は、弾劾訴追の調査について正式承認する決議案を下院本会議で採決することを決めた。採決は31日の見込み。

「米国民に開かれた公聴会手続きを確立し、証言内容の記録文書の公開を認め、弾劾条項を審議する下院司法委員会に証拠を送るための手続きを定めるもの」

トランプ氏と複数の共和党議員が、本会議での採決をしないまま弾劾手続きを進めようとしていると民主党を批判していることに対抗する措置

10/29 国家安全保障会議(NSC)メンバーのアレクサンダー・ビンドマン陸軍中佐がホワイトハウス当局者として初めて下院の3委員会で証言

トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に政敵のバイデン前副大統領の調査を求めたことに懸念を抱き、ホワイトハウスの弁護士に国家安全保障の観点から問題を報告したと明かした。

「外国政府に米市民の調査を求めることが適切とは思わなかった。米政府のウクライナ支援に関する暗示について懸念した」

公開済みの米ウクライナ首脳の電話記録からバイデン氏に関する部分など「重要な文言が抜け落ちた」と述べた。政権が不都合な部分を意図的に排除した可能性がある。

10/30 下院委員会、9月に解任されたボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に公聴会で11/7に証言するよう書簡で求めた。

ボルトン氏は、トランプ氏のジュリアーニ顧問弁護士がウクライナに非正規外交ルートで影響力を行使していたことに批判的だったとみられており、トランプ氏には大きな打撃となりそう。

10/31 下院本会議で、トランプ大統領に対する弾劾調査の手続きを定めた決議案を賛成232、反対196の賛成多数で可決
弾劾調査で公開証言などを行うことが可能に。
  共和党 民主党 無所属 合計
賛成   231 1 232
反対 194 2   196
棄権 3 1   4
欠席 1 1   2
合計 198 235 1 434

9/23 共和党 Sean Duffy議員辞職で欠員1、無所属は共和党からの離党者

トランプ大統領ツイッター:

The Greatest Witch Hunt In American History!

 


2019/11/4  大日本住友製薬、Roivant Sciences と戦略的提携、30億ドルを投資 

大日本住友製薬は10月31日、米国のRoivant Sciences との間で、戦略的提携に関する正式契約を締結した。

本戦略的提携には、Roivant の子会社 5 社の株式取得、他の子会社 6 社の株式取得に関するオプションの獲得、Roivant 株式の 10%以上の取得、ヘルスケアテクノロジープラットフォームの取得が含まれている。

具体的な取得対象は後記の通りで、大日本住友製薬は対価として総額30億ドルを支払う。(子会社5社を含めた新会社に 20億ドル、Roivantの株式 に10億ドル)


大日本住友製薬が米国で年約1800億円を販売する主力薬「ラツーダ」の 物質特許は本年1月2日に失効した。

しかし、用途特許や製剤特許はなお有効であり、昨年12月に後発薬各社との間で和解が成立し、後発薬の登場を2023年2月以降に4年遅らせることに成功した。

2019/1/25 大日本住友製薬、主力薬「ラツーダ」の特許で 後発薬各社と和解

この間にラツーダの後継を育てることが事業存続のために必須である。

対策の一環として、大日本住友製薬は2012年4月25日、米国のBoston Biomedical Inc.の買収を完了した。

Boston Biomedical は癌領域を専門とするバイオベンチャー企業で、癌幹細胞への抗腫瘍効果を目指して創製された低分子経口剤であるBBI608 (ナパブカシン)及びBBI503 の2 つの有力な開発パイプラインを有している。

2012/3/3  大日本住友製薬、米国医薬品会社Boston Biomedical を買収 

しかし、2019年7月2日、同社はナパブカシンの膵がん患者を対象としたフェーズ3試験の中止を発表した。(結腸直腸がんの試験は続行中)

 

今回、多額の投資を行い、ポスト・ラツーダ候補品目に加え、初期パイプライン、ヘルスケアテクノロジープラットフォームおよび人材を獲得し、持続的成長の実現に向けてグループ全体の大変革を実現する。

ーーー

Roivantは2014年に設立された非上場企業で、機敏性と起業家精神を重視し、領域や化合物ごとに「◯◯vant」と呼ぶ子会社を複数設立している。
現在、テクノロジーを活用したプラットフォーム、臨床および非臨床開発段階にある45以上の開発中の医薬品、複数のヘルスケアテクノロジーを備えた20のVantsで構成されている。

Roivantのビジネスモデルは、ほかの製薬企業が戦略的な理由で開発を中止した化合物を譲り受け、開発を進めるというもの。例えば、今回の提携で大日本住友が獲得するレルゴリクスは武田薬品工業が、ビベグロンは米メルクが創製した化合物。

創業者Vivek Ramaswamyはヘッジファンドに勤めている際に製薬会社が多額のコストと時間をかけて開発している新薬を途中でやめてしまう事が多いことを知り、他企業が中断した新薬技術を買い取りロイヤリティの取り決めをした上で新薬を開発するビジネスモデルを思いつき、同社を立ち上げた。

膨大な公開データベースからAIを用いて新薬候補、作用機序、エンドポイントのデータを調べチャートを作る「薬群マッピング」戦略で開発薬を絞込みと商業的実用化の可能性を探る。次に製薬会社と交渉し、契約がまとまると子会社が開発を続行する。

ソフトバンクグループは2017年5月20日、サウジアラビアなどと共同で10兆円規模の投資ファンド SoftBank Vision Fundを発足させた。
Roivantは
2017年8月、11億ドルの出資を受けると発表したが、その大半はSoftBank Vision Fundによるもので、おそらくはバイオテック企業への史上最大の単一出資である。


 図のソース https://answers.ten-navi.com/pharmanews/16908/

 

具体的な取得対象は次の通り。

@下記の子会社5社の株式とヘルスケアテクノロジー等に関わる人材を移管した新会社を取得する。

初めの2社は上場しており、Roivant持ち株を全て取得(Myovantは46%保有だが、Roivantが50%超にした上で取得)

  取得比率    
Myovant Sciences Ltd.
NYSE上場
50%超 婦人科および前立腺がん レルゴリクス、MVT-602など
Urovant Sciences Ltd.
NASDAQ上場
75% 泌尿器 ビベグロン、URO-902など
Enzyvant Therapeutics Ltd. 100% 小児希少疾患 RVT802、RVT-801など
Altavant Sciences Ltd. 100% 呼吸器系希少疾患 Rodatristat ethylなど
Spirovant Sciences Ltd. 100% 嚢胞性線維症遺伝子治療 SPIRO-2101、SPIRO-2102など

これらの5社は合計9品目の有望な開発パイプラインを有し、2019年度から2022年度までの間に米国で複数の製品の承認取得が期待されている。
このうちレルゴリクスおよびビベグロンはブロックバ
スターになることが期待される。

 Roivant に残る子会社のうち 6 社の株式を取得するオプションを取得し、2024 年までの期間中、各子会社に対する当該オプションを行使することができる。

Dermavant Sciences Ltd. 乾癬対象にフェーズ3試験を、アトピー性皮膚炎を対象にフェーズ2試験を実施中
Genevant Sciences Ltd. RoivantとArbutus Biopharma CorporationとのJV
脂質ナノ粒子 (LNP)およびリガンドコンジュゲートデリバリープラットフォームを利用した核酸医薬品を開発
Sinovant
(Roivant China Holdings Ltd.)
中国の市場ニーズに合致したパイプライン(抗がん剤、感染症治療薬など)
Cytovant
(Roivant Asia Cell
Therapy Holdings Ltd.)
T細胞受容体をターゲットとした樹状細胞を利用した細胞治療
Lysovant Sciences Ltd. 感染症領域の生物学的製剤の開発
Metavant Sciences Ltd.  慢性腎臓病を伴う糖尿病を対象としたフェーズ1b試験を完了

 また、Roivant が有するAxovant Gene Therapies, Ltd.の式に関する先買権(right of first refusal)も取得する。

ARoivantの株式の10%以上を取得

BRoivantのヘルスケアテクノロジープラットフォーム取得

RoivantのヘルスケアテクノロジーのDrugOmeおよびDigital Innovationを取得

CRoivantの子会社が開発したヘルスケアテクノロジーの利活用に関する業務提携

Roivantグループのヘルスケアテクノロジー子会社 Datavant, Inc.(外部の複数のヘルスケア関連データを匿名化のうえで連結、分析)、Alyvant, Inc.(営業活動の効率化)が提供するサービスを利用

 


2019/11/5 日本の年金制度、37カ国・地域中31位 

 
米コンサルティング会社 Mercerが10月にまとめた2019年度の年金制度の国際ランキング(Melbourne Mercer Global Pension Index :MMGPI) によると、日本の年金制度は先進国を中心とする37の国と地域のうち31位だった。

年金の持続性を問う項目の評価が低かった。
Mercerは日本の年金制度を「改善がなされなければ、年金制度の効果と持続性には疑義が生じる」と指摘している。

発表(日本) https://www.mercer.co.jp/newsroom/2019-global-pension-index.html
発表(原文) https://info.mercer.com/rs/521-DEV-513/images/MMGPI 2019 Full Report.pdf

MMGPIは、Monash Centre for Financial Studies (MCFS、メルボルンにあるMonash University Business Schoolの研究センター) とプロフェッショナルサービスを提供するMercerとの共同研究プロジェクトであり、豪州ビクトリア州政府の支援を受けている。

調査開始から今年で11年目となる今回は、 世界人口のほぼ3分の2を網羅する37ヵ国の年金制度を比較検証した。

MMGPIは、「十分性 (Adequacy)」、「持続性 (Sustainability)」、「健全性 (Integrity)」に大別される40以上の項目から構成され、この3つの項目指数を加重平均して算出している。

 1) 十分性:老後への備え、預貯金や持家などの資産状況、福利厚生、税制面の補助等に関する評価

 2)持続可能性:年金基金の資産状況、人口動態、政府の負債、国の経済成長の見通し等

 3)制度面の健全性:監督規制、ガバナンス、制度運用コスト等

現行制度における将来の年金給付継続の可能性を測定することで、「持続性」サブ指数は多くの年金制度の弱点を引き続き浮き彫りにしている。

 

オランダは指数が最も高く(81.0)、過去11年のMMGPIレポートのうち10年において一貫して1位または2位の座を維持している。最も指数が低かったのはタイであった(39.4)。

各サブ指数で最も高い指数となったのは、十分性ではアイルランド(81.5)、持続性ではデンマーク(82.0)、健全性ではフィンランド(92.3)であった。
最低指数は、十分性ではタイ(35.8)、持続性ではイタリア(19.0)、健全性ではフィリピン(34.7)だった。

日本の総合指数で、下から7番目である。サブ指数でもそれぞれ下位にある。特に持続性が低い。

Grade     綜合指数 サブ指数
十分性
(40%)
持続性
(35%)
健全性
(25%)
A >80 Netherland 81.0 78.5 78.3 88.9
Denmark 80.3 77.5 82.0 82.2
B+ 75-80 Australia 75.3 70.3 73.5 85.7
B 65-75 Finland 73.6 73.2 60.7 92.3
Sweden 72.3 67.5 72.0 80.2
Norway 71.2 71.6 56.8 90.6
Singapore 70.8 73.8 59.7 81.4
New Zealand 70.1 70.9 61.5 80.7
Canada 69.2 70.0 61.8 78.2
Chile 68.7 59.4 71.7 79.2
Ireland 67.3 81.5 44.6 76.3
Switzerland 66.7 57.6 65.4 83.0
Germany 66.1 78.3 44.9 76.4
C+ 60-65 UK 64.4 60.0 55.3 84.0
Hong Kong 61.9 54.5 52.5 86.9
USA 60.6 58.8 62.9 60.4
Malaysia 60.6 50.5 60.5 76.9
France 60.2 79.1 41.0 56.8
C 50-60 Peru 58.5 60.0 52.4 64.7
Columbia 58.4 61.4 45.0 70.8
Poland 57.4 62.5 45.3 66.0
Saudi Arabia 57.1 59.6 50.5 62.2
Brazil 55.9 71.8 27.7 69.8
Spain 54.7 70.0 26.9 69.1
Austria 53.9 68.2 22.9 74.4
South Africa 52.6 42.3 46.0 78.4
Indonesia 52.2 46.7 47.6 67.5
Italy 52.2 67.4 19.0 74.5
D 35-50 Korea 49.8 47.5 52.6 49.6
China 48.7 60.5 36.7 46.5
Japan 48.3 54.6 32.2 60.8
India 45.8 39.9 44.9 56.3
Mexico 45.3 37.5 57.1 41.3
Philippines 43.7 39.0 55.5 34.7
Turkey 42.2 42.6 27.1 62.8
Argentina 39.5 43.1 31.9 44.4
Thailand 39.4 35.8 38.8 46.1
E <35 該当なし        
平均     59.3 60.6 50.4 69.7

 


2019/11/5 米トランプ政権 「パリ協定」離脱を正式通告

ポンペオ米国務長官は11月4日、地球温暖化防止のための国際枠組み「パリ協定」から離脱するための手続きを開始したと発表した。国連に対し、離脱すると正式に通告した。
パリ協定が「米国の労働者や企業、納税者に不公正な重荷」を負わせるものだと批判。「米国は経済成長を遂げながら、あらゆる種類の(ガス)排出を削減してきた」と環境問題への取り組みを強調した。

国連の報道官も同日、米国からグテレス事務総長宛てに正式に離脱を通告する書簡が届いたことを明らかにした。

米国に対してはこれまで国連や欧州などがパリ協定に戻るよう働きかけていたが、離脱手続きの正式開始を受け、国際社会の反発を呼びそうだ。

 

Trump 大統領は2017年3月28日、Obama 前政権の地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名した。「私の政権は石炭との戦争を終わらせる」と述べ、温暖化関連の規制を180日以内に見直すよう指示した。

大統領当選前の2016年10月に、大統領に選ばれた場合の就任前の公約 "Donald Trump's Contract With The American Voter" を発表した。

北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表、TPPからの撤退を宣言、中国を為替操作国に指定などに加え、環境問題で以下を挙げている。

シェール、原油、天然ガス、クリーンな石炭など50兆ドルものエネルギーの開発への制限を取り除く。
Obama-Clinton が停めた Keystone Pipelineなどのエネルギー関係のインフラ計画を進める。
国連の気候変動計画への数十億ドルの支払を取り止め、その資金を米国の水と環境のインフラの補強に使用する。

2016/11/11 トランプの公約 

大統領は2017年6月1日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から米国が離脱すると正式表明した。パリ協定が「米国にとって不利益になっている」と語り、米経済の重荷になっていることを離脱の理由に挙げた。加えて「(米国にとって)公平な条約が必要」と述べ、新たな環境対策の合意に向け交渉を始める意向も明らかにした。

先進国が総額103億ドルを資金支援する国連「緑の気候基金」(Green Climate Fund)への約束分30億ドルのうちの残り20億ドルの拠出も停止する。

米政府は2017年8月4日、「パリ協定」の離脱方針を国連気候変動枠組み条約事務局に正式に通知した。

2018/6/12 G7 サミットと気候変動問題 

パリ協定は、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたパリで、2015年12月12日に採択された気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定である。

2016年4月22日のアースデーに署名が始まり、同年9月3日に温室効果ガス二大排出国である中国とアメリカ合衆国が同時批准し、同年10月5日の欧州連合の法人としての批准によって2016年11月4日に発効した。

国連気候変動枠組み条約に参加する197カ国・地域のうち、現時点で187か国が批准している。

協定の規則では、離脱の手続きが始められるのは発効から3年後となっている。

協定発効後3年以内は脱退を通告できない。
脱退通告はその1年後に効果を生じる。
条約を脱退した国はパリ協定からも脱退する。

発効から3年後の2019年11月4日から離脱の手続きが可能で、米国からの同日の通告に基づき、1年後の2020年11月4日に効果を生じる。

前日の11月3日が大統領選挙投票日である。トランプ氏が再選されれば、直後に正式に離脱する。
逆に野党・民主党候補は「パリ協定に再加盟する」(バイデン前副大統領)と主張しており、選挙戦でも争点となりそうだ。

 

 


2019/11/6   富士フイルム、米 Xeroxの買収断念

富士フイルムホールディングスは11月5日、Xerox Corporationとの間で、Xerox が保有する富士ゼロックスの株式の全てを富士フイルムホールディングスが取得する契約を締結したと発表した。富士フィルムは米Xeroxの買収を断念した。

富士フイルムおよびXerox の各取締役会において、全会一致で承認された。本件の取引完了は2019年11月中を予定している。

ーーー

富士フイルムは2018年1月にXerox買収を発表した。

富士フィルムが持つ富士ゼロックスの株式(75%)を61.8億ドル(6710億円)と評価し、これを Xerox に渡す見返りにXerox株の50.1%を取得する。
Xerox株主はXeroxの株式100%の代わりに、Xeroxの49.9%と特別配当25億ドルを受け取る。

 

しかし、Xeroxの大株主がこの取引に反対、Xeroxが同年5月に富士フイルムと結んだ買収契約を一方的に破棄した。
富士フイルムはXeroxに損害賠償を求めて訴訟を起こした。

推移:

2018/2/1 富士フィルム、米国Xerox Corporationの50.1%を取得
2018/2/15 富士フイルムによる買収、ゼロックス大株主が差し止め提訴
2018/2/22 ゼロックス大株主、富士フイルム以外への身売り提案
2018/3/5 米ゼロックス、大株主が再び提訴
2018/4/23 Xeroxを巡る戦い 激化、委任状争奪戦に発展か?
2018/4/30 富士フイルムの Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分
2018/5/2 Xerox、富士フィルムとの統合見直し、株主のCarl Icahn、Darwin Deason と和解
2018/5/4 Xerox、株主との和解を撤回、現取締役会メンバー全員が留任
2018/5/11 Xerox、富士フィルムと条件面で再交渉へ
2018/5/14

Xerox、再び株主と和解、富士フイルムによる買収契約を破棄

2018/6/21

富士フイルム、米Xerox を提訴

2018/6/27

Xerox、富士フイルムによる提訴に反論、提携解消も

 

その後、事態は進展せず、今回、富士フィルムは米Xeroxの買収を断念し、富士ゼロックスのXerox持分を買い取り、100%子会社とする。

取引概要:

富士フイルムホールディングスによるXerox保有の富士ゼロックス株式25%ならびに
富士フィルムとXeroxのJVでレーザープリンターや消耗品のOEM販売とサポートを行う  Xerox International Partners のXerox 持分(51%) の取得

対価は総額23億ドル(約2,530億円)で、富士ゼロックス株は22億ドル、後者が1億ドル。

2018年1月に富士フィルムは富士ゼロックスの75%を61.8億ドル(6710億円)と評価した。
これによると、25%分は20.6億ドルに相当する。
今回、これを22億ドル(7%増し)で購入することとなる。Xerox株主を満足させるためか?

 欧米市場を含むワールドワイドでOEM供給の拡大を可能にする新たな契約の締結

富士ゼロックスによる Xeroxへの5年間の製品供給の継続

取引完了時に富士フィルムが2018年6月18日に提起したXeroxに対する10億ドルの損害賠償請求訴訟を取り下げ
 

富士フイルムの古森重隆会長は「ドキュメント事業を成熟産業と捉える見方もあるが、私はそうは思わない。富士ゼロックスは販売地域を全世界に広げる」と述べた。

 

Xeroxは、富士ゼロックス株の売却で得る23億ドルのうち、5億5000万ドルを負債の返済にまわし、残りは株主還元とM&Aに充てる。


付記

Xeroxは米パソコン大手HP Inc. (Hewlett-Packard)に対して買収提案を行った。現金と株式交換の組み合わせによる買収で、買収額は約330億ドルとされる。
HP Inc. は11月6日、協議が進行中と発表した。

We have had conversations with Xerox Holdings Corporation from time to time about a potential business combination. We have considered, among other things, what would be required to merit a transaction. Most recently, we received a proposal transmitted yesterday (2019/11/5).
We have a record of taking action if there is a better path forward and will continue to act with deliberation, discipline and an eye towards what is in the best interest of all our shareholders.”

 

ーーー

富士フィルムとXeroxの問題が、これで全て解決した訳ではない。

現在、Xeroxと富士ゼロックスの技術契約に基づき、富士ゼロックスはアジア太平洋で「Xerox」の商標を使って独占的に販売する権利を持つ。事務機器市場が縮小するなかで、アジア太平洋市場は成長が続いている。

この契約では営業地域などを決めており、5年ごとに更新する。次回は2021年の更新で、更新がなければ、2021年からはXeroxが「Xerox」の商標で独占的に販売できることになる。

Xeroxの大株主で「物言う株主」として知られる著名投資家 Carl Icahn と同じく大株主のDarwin Deason は富士フィルムによる買収に反対し、株主に訴え続けてきた。

Carl Icahn とDeasonは2018年2月20日、Xeroxの株主に対し「競合他社との合併や身売り」や「買収ファンドへの身売り」を提案する書簡を公開したが、その中で、「契約上、Xeroxは2020年に契約を終息するプロセスを始める権利を持つ。その場合、Xeroxは世界で唯一の成長市場であるアジア太平洋市場でXerox商標で事業ができる」と述べている

2018/2/22 ゼロックス大株主、富士フイルム以外への身売り提案

 


2019/11/7 主要企業の2019年9月中間決算 − 三菱ケミカルホールディングス 

大幅減益となった。

MMAが売買差で大幅減益となった。

ヘルスケアは2017年3月期には1000億円程度の営業利益があったが、当期実績及び年間予想は100億円程度にとどまる。田辺三菱製薬の項を参照。

                                     単位:億円(配当:円)
  売上高 営業損益 うちコア うち
持分法
税引前
損益
法人
所得税
税引後
損益

うち

配当

少数株主 株主帰属 中間 期末
17/3 33,761 2,686 3,075 170 2,583 -444 2,165 603 1,563 8.0 12.0
18/3 37,244 3,557 3,805 266 3,441 -677 2,764 646 2,118 15.0 17.0
19/3 39,234 2,980 3,172 269 2,881 -713 2,167 472 1,695 20.0 20.0
20/3予 37,650 2,410 2,500   2,210       1,310 20.0 20.0
増減 -1,584 -570 -672   -671       -385    
18/9中 18,819 1,856 1,872 171 1,830 -369 1,469 267 1,202    
19/9中 18,277 1,306 1,308 81 1,224 -376 1,017 204 813    
増減 -542 -550 -564 -90 -606 -10 -452 -63 -389    

       税引後損益には非継続事業損益を含む。

 

営業損益

  17/3 18/3 19/3 20/3予 増減 18/9 19/9 増減 内訳
売買差 数量差 コスト削減 その他
機能部材 623 580 382 520 138 237 253 16 -19 -14 26 -45
機能化学 319 360 331 290 -41 220 152 -68
MMA 379 1,096 944 450 -494 635 253 -382 -310 16 14 -180
石化 209 259 87 90 3 72 18 -54
炭素 38 124 249 190 -59 113 89 -24
産業ガス 521 575 633 930 297 269 443 174 -9 172 4 7
ヘルスケア 984 812 538 100 -438 343 98 -245 0 -261 36 -20
その他 2 -1 8 -70 -78 -17 2 19 1 11 0 7
合計 3,075 3,805 3,172 2,500 -672 1,872 1,308 -564 -337 -76 80 -231

      その他差には受払差、持分損益差(-90億円)等

産業ガスについては、子会社の大陽日酸が2019年3月に米国Praxairの欧州事業を買収したため、増収増益となった。

2018/7/13 大陽日酸、米国Praxairの欧州事業を買収

付記 MMAの足元の国際価格(アジア地域)は1トンあたり1600ドル弱で、18年夏から4割も下落した。(2019/11/30 日経)

ーーー

田辺三菱製薬   (三菱ケミカルHDの出資比率は56.3%)

営業損益のほとんどを占めていたロイヤリティ収入が激減し、大幅減収減益となった。

  売上高 営業損益 うちコア ロイヤリティ 税引前 株主帰属 配当
中間 期末
17/3 4,240 941 945 822 961 713 24.0 28.0
18/3 4,339 773 785 791 788 580 38.0 28.0
19/3 4,248 503 558 631 504 374 28.0 28.0
20/3予 3,760 115 100 192 120 50 28.0 28.0
増減 -488 -388 -458 -439 -384 -324 0 0
               
18/9中 2,097 345 345 363 348 250    
19/9中 1,881 126 117 92 121 83    
増減 -216 -219 -228 -271 -227 -167    

問題は多発性硬化症治療剤「ジレニア」のロイヤリティ収入である。

田辺三菱製薬の前身の吉富製薬が創製し、海外ではノバルティス(スイス)に導出したこの薬剤のロイヤリティ収入は、収益の柱となっている。

2019年2月、ノバルティスから本件契約の規定の一部の有効性について疑義が提起され、2019年2月15日、国際商業会議所より、ノバルティスを申立人とする仲裁の申立てがあった旨の通知を受領した。

ノバルティスは、米国、EU等における製品の売上ベースのロイヤリティ支払い義務を定める本件契約の規定の一部は無効であり、ノバルティスにはロイヤリティの一部の支払義務がないことの確認を求めている。

本仲裁は、ICCの仲裁規則に従い、英国ロンドンを仲裁地として行われる。

IFRSルールでは、収益認識基準の要件の一つ に「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」 があり、ノバルティスが契約の有効性について疑義を提起している部分がこれを満たさなくなったため 、売上収益から除外する。

田辺三菱は、本件契約の有効性を検討した結果、何ら問題はないという結論に至っているとしている。今後、仲裁で勝利した場合、売上収益から除外している部分については一括収益計上する。

もう一つのロイヤリティの「インヴォカナ」は、ヤンセンファーマシューティカルズに導出した2型糖尿病治療剤。

 


2019/11/7 主要企業の2019年9月中間決算 − 住友化学 

石油化学(石油化学製品、メタアクリルの交易条件悪化)と健康・農業(メチオニンの交易条件悪化、農薬出荷減 )で大幅減益、下期配当未定に。

期初に1ドル110円と見込んでいた為替レートを、下期予想では105円に見直し、為替差損を見込んだ。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 うちコア うち
持分法
税引前
損益
法人
所得税
税引後
損益

うち

配当

少数株主 株主帰属 中間 期末
17/3 19,390 1,265 1,845 422 1,223 132 1,091 326 765 7.0 7.0
18/3 21,905 2,509 2,627 553 2,408 627 1,782 444 1,338 10.0 12.0
19/3 23,186 1,830 2,043 372 1,884 359 1,525 345 1,180 11.0 11.0
20/3予 23,300 1,700 1,600           500 11.0 未定
増減 114 -130 -443           -680    
18/9中 11,221 919 1,021 239 1,023 208 815 200 615    
19/9中 11,076 1,025 845 122 966 466 501 204 297    
増減 -146 106 -176 -117 -57 258 -314 4 -318    

税金の増加は、大日本住友製薬の影響(下記参照)

 

営業損益

  17/3 18/3 19/3 20/3予 増減 18/9 19/9 増減
石油化学 589 946 616 240 -376 354 174 -180
エネルギー・機能材料 60 192 230 230 0 128 125 -3
情報電子化学 87 123 262 270 8 148 153 5
健康・農業関連 474 440 197 110 -87 25 -82 -107
医薬品 699 948 808 810 2 393 469 76
その他 101 111 94 100 6 32 52 20
全社 -165 -132 -164 -160 4 -59 -46 13
コア営業損益合計 1,845 2,627 2,043 1,600 -443 1,021 845 -176
非コア -580 -118 -213 100 313 -102 180 282
営業損益合計 1,265 2,509 1,830 1,700 -130 919 1,025 106

石油化学は石油化学製品、メタアクリルの交易条件悪化(三菱ケミカルと同様)

付記 MMAの足元の国際価格(アジア地域)は1トンあたり1600ドル弱で、18年夏から4割も下落した。(2019/11/30 日経)

健康・農業関連はメチオニンの交易条件悪化、農薬出荷減

住友化学は2018年10月4日、愛媛工場において、飼料添加物メチオニン製造設備1系列の建設工事を完了した。増強規模は年産約10 万トンで、増設後の能力は既存設備15万トンとあわせ年産約25 万トンになる。

住友化学は2019年10月1日、生産効率の低い旧式のプラントについては本年9月末をもって停止し、コスト優位性のある他のプラントも必要に応じた生産体制の見直しにより、競争力を強化すると発表した。

ーーー

大日本住友製薬の業績は次の通り。  (住友化学出資比率 50.22%)

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 うちコア 税引前
損益
法人
所得税
税引後
損益
配当(円)
中間 期末
17/3 4,084 403 644 428 115 313 9.0 11.0
18/3 4,668 882 906 849 314 534 9.0 19.0
19/3 4,593 579 773 650   486 9.0 19.0
20/3 4,750 880 770     360 14.0 14.0
増減 157 301 -3     -126 5 -5
18/9中 2,262 296 372 376 97 279    
19/9中 2,306 668 448 641 338 303    
増減 44 372 76 265 241 25    

19/9 中間決算では、コア営業利益の増は76億円だが、非コアが296億円の増益となっており、税引前損益の265億円増益につながっている。
逆に税金が241億円増え、最終損益ではほぼ前期並みである。


事情は下記の通り。

同社は7月2日、米国子会社であるBoston Biomedical, Inc.が創製し、抗がん剤として開発中の経口剤ナパブカシンの膵がんを対象としたフェーズ3 試験の中止を発表した。

この関係で、減損損失を197億円計上したが、Boston Biomedicalの買収に係る条件付き対価公正価値(費用)が大きく減少することとなり、費用を418億円戻入した。

(所定の業績が達成できない場合には売主から対価を返還してもらう、または支払うべき対価を減額する契約)

この二つの費用の前期比増減が296億円の営業利益増となった。

税務上では、この影響で米国で繰延税金と取り崩しを行うこととなり、税金が増加した。


2019/11/8 主要企業の2019年9月中間決算 − 三井化学、東ソー、信越化学 

三井化学

基盤素材(石油化学品・工業薬品)の交易条件悪化で大幅減益となった。

                         単位:億円(配当:円)
  売上高 営業損益 持分法 経常損益 特別損益 株主帰属
損益

配当

中間 期末
17/3 12,123 1,021 2 972 -114 648 5.0 9.0
18/3 13,285 1,035 71 1,102 -160 716 9.0 9.0
19/3 14,829 934 108 1,030 23 761 10.0 10.0
20/3予 13,650 840   790   420 10.0 10.0
増減 -1,179 -94   -240   -341    
18/9中 7,209 497 86 584 -27 418    
19/9中 6,749 345 28 326 -94 118    
増減 -460 -153 -58 -258 -67 -300    

営業損益

  17/3 18/3 19/3 20/3予 増減 18/9 19/9 増減

内訳

数量差 交易条件 固定費他
モビリティ 407 423 427 410 -17 201 198 -3 -3 11 -11
ヘルスケア 101 108 136 145 9 63 60 -3 0 6 -9
フード&パッケージング 206 199 178 195 17 88 79 -9 -13 10 -6
基盤素材 385 389 278 175 -103 184 49 -136 -13 -120 -3
その他 -3 -9 -14 -10 4 -12 -11 1     1
全社 -75 -75 -71 -75 -4 -27 -30 -3     -3
合計 1,021 1,035 934 840 -94 497 345 -153 -29 -93 -31

 

ーーー

東ソー

クロルアルカリの交易条件の悪化などで大幅減益となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 当期損益

 配当

中間 期末
2017/3 7,430 1,112 1,131 -26 757 7.5 16.5
2018/3 8,229 1,306 1,323 -19 888 12.0 16.0
2019/3 8,615 1,057 1,130 3 781 14.0 14.0
2020/3予 8,000 840 860   570 14.0 14.0
増減 -615 -217 -270   -211    
 
18/9中 4,245 560 607 -7 417    
19/9中 3,964 404 419 -9 268    
増減 -281 -156 -189 -2 -149    

 

営業損益は下記の通り。

 

  17/3

18/3

19/3 20/3予 増減   18/9 19/9 増減

内訳

数量差 交易条件 固定費他
石油化学 201 225 134 117 -17 80 53 -27 -5 5 -27
クロルアルカリ 479 666 460 279 -181 251 112 -138 0 -63 -76
機能商品 354 339 353 307 -47 193 154 -39 -29 2 -12
エンジニアリング 51 49 83 113 30 24 72 48 47 0 1
その他 27 27 27 24 -3 13 13 0 - - -
合計 1,112 1,306 1,057 840 -217 560 404 -156 14 -56 -113

ーーー

信越化学

2019年3月期は2期連続の最高益になった。

本年度は価格の下落で各社が大幅減損となったが、 信越化学は価格下落の環境のなかでも好調を維持した。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
当期損益

 配当

中間 期末
2017/3 12,374 2,386 2,421 1,759 60 60
2018/3 14,414 3,368 3,403 2,662 65 75
2019/3 15,940 4,037 4,153 3,091 100 100
2020/3 15,500 4,050 4,180 3,140 110 110
前年比 -440 13 27 49 10 10
 
18/9中 7,917 2,092 2,171 1,588    
19/9中 7,865 2,105 2,182 1,650    
増減 -52 13 11 62    

 

営業損益

 

セグメント  17/3 18/3 19/3 20/3予  

 

 
18/9 19/9 増減  
塩ビ・化成品 532 932 1,065   597 517 -80 市況の影響があったが高水準の出荷
シリコーン 425 520 585   291 311 21 汎用製品の価格下落があったが、機能製品を中心に拡販
機能性化学品 222 257 266   135 139 4  
半導体シリコン 560 930 1,320   666 745 79 半導体デバイス市場に軟化の動き
電子・機能材料 552 616 670   341 333 -8  
その他 96 115 133   64 73 8  
全社 -1 -2 -3   -2 -13 -12  
合計 2,386 3,368 4,037 4,050   2,092 2,105 13  


半導体シリコンは市況は落ち込んだが、信越化学は
主力の直径300ミリメートル品の約95%以上が長期での販売契約を結んでおり(世界で3割のシェアを持ち、契約条件で強気に出られる)、おおむね契約に基づく価格で出荷できた。(日本経済新聞 2019/10/25)

 

なお、Shintechのエチレン新設(14億ドル)は2019年下半期に、また、PVC新増設(塩〜電解〜VCM〜PVCの一貫:14.9億ドル)は2020年下半期に完成する。
 

立地 PVC VCM カ性ソーダ エチレン
Texas州 Freeport  145   −   −  
Louisiana州 Addis   58   −   −  
Plaquemine   60   160  106  
  2013/6 増設 32 30 20  
手直し     4  
2019 完成       50
(認可取得)   (86) (66)  
2020年末 完成 29 27  
今回増設後合計 324  ?   157 50

 


2019/11/8 米 Amgen、中国バイオ企業BeiGene に27億ドル出資 

米医薬品大手 Amgenは10月31日、中国のバイオテクノロジー会社、百済神州(BeiGene)の株式20.5%を現金約27億ドルで取得すると発表した。

Amgen はBeiGeneと提携して世界2位の医薬品市場である中国での抗がん剤事業を拡大する。

AmgenのCEOは「がん治療薬を中国で展開する上で、中国に販売や臨床研究の基盤を持つベイジーンは強力なパートナーとなる」と強調した。


BeiGeneは研究開発ベースで癌に特化したバイオテクノロジー企業で、開発部門に600名を抱える。

BeiGeneのパイプライン https://www.beigene.com/sites/default/files/2019-08/BeiGene Pipeline_8.13.19.pdf

FDAは2019年1月、BeiGeneの開発後期のBTK 阻害剤zanubrutinib について、成人のマントル細胞リンパ腫患者の2 次療法をBreakthrough Therapy に指定した。

BeiGeneは、中国で非扁平上皮非小細胞肺がんの第一選択治療として、化学療法と併用したtislelizumabの第3相試験を開始したと発表した。

BeiGeneと米のCelgeneは2017年7月5日、BeiGeneが開発中の免疫チェックポイント阻害薬BGB-A317の開発・販売に関する戦略的提携契約に合意した。Celgeneは米国、欧州、および中国以外のアジアで、2018年に固形癌患者を対象とする大規模臨床試験を開始する。
しかし、Bristol-Myers SquibbによるCelgene買収が決まったことを受け、BeiGeneは2019年6月17日、国際的な提携を終了することで合意したと発表した。CelgeneはBeiGeneに1億5000万ドルを支払う 。

2019/1/9  ブリストル・マイヤーズスクイブ、米バイオ製薬大手セルジーンを買収


今回の提携の内容は下記の通り。

・ BeiGeneの株式20.5% の取得  取得株価は36%のプレミアム

・ BeiGeneは中国でAmgenの3つの製品を販売する。利益と費用を折半する。

XGEVA® (denosumab) 癌転移による骨損傷(SRE)の予防薬 2019/9に中国で販売開始
KYPROLIS® (carfilzomib) プロテアソーム阻害剤(多発性骨髄腫の治療薬)
2013年にAmgenが104億ドルで買収した
Onyx Pharmaceuticalsの製品
中国でPhase 3 trial
BLINCYTO® (blinatumomab) 再発あるいは前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病(前駆B細胞ALL)を対象

このうち、1剤は5年後、1剤は7年後にAmgenに戻す。
BeiGene は期間終了後も他の1剤は販売を続ける権利を持ち、Amgenに戻した製品についてもその後の5年間は販売ロイヤリティを受ける。

AmgenBeiGeneAmgenの革新的な癌治療薬パイプラインのうちの20品目を中国及び全世界で進めるよう協力する。

BeiGeneはグローバルな研究開発コストを負担し、これらの薬を進めるため12.5億ドルを支出する。

Amgenはこれら製品の中国外での販売についてロイヤリティをBeiGeneに支払う。
但し、固形腫瘍治療薬として研究されているAmgenの画期的なKRASG12C inhibitor(AMG 510)は除く。

・ 開発中の20品目について、AMG 510を含め、BeiGeneは 発売後7年間、販売権を持つ。
 その後、AMG 510を除き、6年間の販売の権利を留保する。

権利がAmgenに戻るまでの間、両社は中国での利益を折半する。権利がAmgenに戻ってから5年間はAmgenはBeiGeneに販売ロイヤリティを支払う。

・ Amgenは癌以外の薬を引き続き中国で販売する。

本年初めに心臓発作のリスクを下げるLDLコレステロール低下剤のRepatha® (evolocumab)を発売した。
このほか、閉経後の骨粗鬆症のリスクを下げるProlia® (denosumab)などを7〜8年内に中国で販売する計画である。

・ XGEVA, KYPROLIS、BLINCYTO及びその他の癌治療薬はAmgenの既存のプラントで生産する。

・ AmgenはBeiGeneに取締役を1人派遣する。


 



2019/11/9 Nord Stream -2
、年内完工へ
 
デンマークは10月30日、建設中のロシアとドイツを結ぶガスのパイプラインNord Stream -2について、デンマーク領海での建設を許可したと発表した。
ガスプロムが主導する建設企業に対し、パイプラインが通るバルト海におけるデンマークの大陸棚での工事を許可した。

Nord Stream -2 は全長約1200キロメートルで、バルト海を通ってロシアと独北部を結ぶ。輸送能力は年550億立方メートルで、ロシアの欧州へのガス輸出量の約4分の1に当たる。ドイツなど欧州企業も事業に参加し、これまでに建設作業の9割弱の建設が終わっており、デンマークの判断を受け、年内に完工するとの観測が出ている。

 

ロシアのGazpromは2015年、シベリアの天然ガスをサンクトペテルブルク北方のビポルクからバルト海海底約1200キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトまで供給するNord Stream Pipelineの倍増計画に着手した。(Nord Stream 1 は2011年に完成)

2015年9月にShareholders’ Agreementが調印された。

  Nord Stream -1 Nord Stream -2
Gazprom 51.0% 51.0%
E.ON 15.5% 10.0%
Wintershall(BASF子会社) 15.5% 10.0%
Nederlandse Gasunie 9.0%
GDF SUEZ 9.0%
Shell 10.0%
OMV 10.0%
ENGIE   仏電気・ガス事業者 9.0%

2015/7/1  Nord Stream 倍増計画

Nord Stream -2は2017年にデンマークが領海での建設許可を保留したため工事が中断された。
2014年にロシアがウクライナ南部クリミア半島を一方的に編入して以降、欧州はロシアへの警戒心が増大した。米国やポーランドなどが、ロシアへのガス依存を高め、欧州の安全保障を脅かすとして中止を訴え、デンマークが許可を保留した。

これに対し、ロシアはパイプラインを純粋に商業的な事業と主張し、許可を求めていた。

また、ドイツは安価な天然ガスを安定需給できるとして計画に賛成してきた。
ドイツの国防相は10月11日、
Nord Stream -2の現状を踏まえると、建設を中止できると考えるのは非現実的だと述べた。ドイツのエネルギー供給確保においてNord Stream -2 は重要な要素だと指摘、また同パイプラインに関する法的枠組みには、ウクライナの保護策が盛り込まれる必要があると述べ、従来のドイツの立場を繰り返した。

ロシアとウクライナの天然ガスパイプラインに関する抗争については 2014/11/4 ロシアとウクライナ、天然ガス交渉で合意 を参照

ロシアが欧州各国にガスを輸出するためウクライナ国内のパイプラインを利用する契約は、今年末に期限を迎える。
両国はEUを仲介役として新規契約を交渉しているが、立場の隔たりが埋められていない。ロシアは1年ごとの契約更新を主張する一方、ウクライナは長期契約を求めているという。

ロシアは
Nord Stream -2完工のメドが立ったことにより、より強気で交渉に臨む可能性も指摘されている。
Nord Stream -2
が完成すれば、従来のパイプラインが通るウクライナのガス通過料収入が大幅に減ることが予想される。

このため、ドイツのメルケル首相はロシアのプーチン大統領に対し、「ウクライナ経由のガス供給は続ける」との確約を求めた。

 

ウクライナを迂回したロシア産ガスの輸出ルートでは、黒海からトルコに輸出し、さらにブルガリアやハンガリーなどに輸出するTurkish Stream も建設されている。 2020年に運用開始の予定。

ロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン South Stream 計画は、EUの規制で、ブルガリアが認可しないことが理由で、2014年12月1日に中止となった が、ロシアとトルコは同日、黒海経由でトルコにつながる新たなガスパイプラインの建設で合意し、Gazpromトルコの Petroleum Pipeline Corporation (BOTAŞ) との間で覚書を交わした。 

ロシアからトルコまでは黒海を通るBlue Stream Pipeline があるが、新しいパイプラインを建設する。

海底部分のうち660kmはSouth Stream用に予定されていたルート、その他に 250kmがトルコ向けの新ルートとなる。黒海南西部沿岸の都市 Kıyıköyから陸上に入り、ギリシア国境のİpsala までの180kmが敷設される。
年間輸送能力は630億m3で、うちトルコが140億m3 を引き取る。
トルコからブルガリア、セルビア、ハンガリーを経由して欧州へと輸送する。

2014/12/4 ロシア、South Stream 計画を取り止め

2015/7/15    ギリシャへの中国、ロシアの接近  


 


2019/11/11    Xerox、HPに買収提案

Xeroxは米パソコン大手HP Inc. に対して買収提案を行った。現金と株式交換の組み合わせによる買収で、買収額は330億ドルとされる。

HP Inc.
は11月6日、協議が進行中と発表した。HPは今後数日、買収案を検討し、回答する見通し。

We have had conversations with Xerox Holdings Corporation from time to time about a potential business combination. We have considered, among other things, what would be required to merit a transaction. Most recently, we received a proposal transmitted yesterday (2019/11/5).
We have a record of taking action if there is a better path forward and will continue to act with deliberation, discipline and an eye towards what is in the best interest of all our shareholders.

Xeroxは11月8日、保有する富士ゼロックスの株式(25%)と、富士フィルムとのJVでレーザープリンターや消耗品のOEM販売とサポートを行う Xerox International Partners の持分(51%) を富士フイルムホールディングスに売却する手続きが完了したと発表した。

Xeroxは総額23億ドルを受け取る。このうち、5億5000万ドルを負債の返済にまわし、残りは株主還元とM&Aに充てるとしていた。

同社は11月7日、HPに買収提案したことを認め、「我々の業界は再編が遅れていたため、最初に動く企業には明確な利点がある」とコメントした。

シティグループから買収のための資金調達の了解を得ていると報道されている。

付記

HP Inc. は11月17日、「評価が低すぎる」として買収提案を拒否したと発表した。条件次第で交渉に含みを残している。

Xeroxは11月21日、買収提案を拒否した HP に対し、買収の前提となる資産査定を25日までに受け入れるよう求めた。応じない場合は「株主に直接持ちかける」とし、敵対的買収も辞さない構え 。

 

Hewlett-Packard Company は、コンピュータやプリンターなどコンピュータ関連製品の開発・製造・販売・サポートを行う企業であった。

2011年時点では、売上高が世界最大のIT機器メーカーで、パソコン、サーバ、プリンターのすべてで世界トップシェアを持っていた。

2014年10月6日、PC・プリンタ部門と企業向け部門が分割されることが発表された。収益が伸び悩んでいる個人向けパソコン事業を切り離すという考えであった。

HP Inc.:パーソナルコンピュータおよびプリンターなどのハードウェアの製造・開発
Hewlett Packard Enterprise:
企業向けサーバ・ネットワーク・ストレージの製造・開発

2015年11月1日に会社分割が完了した。

Xeroxが買収提案をしたのはHP Inc.である。

Xeroxは6月4日、HP Inc. との間でプリンターやトナーの調達で相互契約を結んだと発表した。
HPから家庭用や業務用の低価格機種のプリンターを調達する一方、HPに印刷用トナーを供給する。高機能機種は富士ゼロックスからの調達を続ける。

Xeroxの時価総額が80億ドルをわずかに超える程度なのに対し、HPは290億ドルとそれよりはるかに大きい。

HP Inc. とXeroxの業績は下記の通り。(単位:百万ドル)

HP Inc.

  2017 2018
売上高    
  Personal Systemes    
      Notebooks 19,782 22,547
      Desktops 10,298 11,567
      Others 3,241 3,547
      小 計 33,321 37,661
  Printing    
     Supplies 12,524 13,575
     Commercial Hardware 3,792 4,674
     Consumer Hardware 2,412 2,556
      小 計 18,728 20,805
     
  合 計 52,056 58,472
     
営業損益    
  Personal Systems 1,210 1,411
  Printing 3,146 3,323
  Others -837 -670
  合 計 3,519 4,064
     
Net Earnings 2,526 5,327

 

Xerox

  2017 2018
売上高    
   Equipment 2,295 2,200
   Post sales revenue 7,970 7,630
   合 計 10,265 9,830
     
株主帰属 Net income 195 361

 

 


 


2019/11/12 主要企業の2019年9月中間決算 − 三菱瓦斯化学

三菱瓦斯化学が47%出資し、これまで多額の持分法損益を計上してきた日本・サウジアラビアメタノール(JSMC)は2018年11月29日に合弁契約の期限が到来した。

1977年11月に投資会社の日本・サウジアラビアメタノール梶iJSMC) を設立した。
三菱ガス化学が47%、海外経済協力基金が30%、三井東圧・住友化学・協和ガス化学が各5%、日本化成・新日鐵化学・東邦理化が各1%、それに伊藤忠が5%出資した。

契約延長交渉でまず25%分をSABICに売却し、2019年3月末まで4カ月の延長を行った。

それ以降については2つの案を提示されたが、2019年3月に 1,350百万ドルをSABICに支払い、25%の持ち分比率での延長を決めた。

  JSMC SABIC  
従来 50% 50%  
2018/11/29 25% 75% SABICは 150百万ドルをJSMCに支払い
2019/3/末      
 Case 1  契約延長 25% 75% JSMCは 1,350百万ドルをSABICに支払い
新設備の検討
 Case 2  契約延長せず 0% 100% SABICは 150百万ドルをJSMCに支払い

2019年3月22日、Case 1 の20年延長を決定。 1,350百万円は3年分割払い(費用としては20年分割算入)

2018/12/7 三菱瓦斯化学、Saudi Methanol でSABICと合意、最終的には2019年3月末に決定

この結果、2018年11月29日以降は、持ち分比率が従来の50%から25%に減少し、持分法損益は半減する。

三菱瓦斯化学の連結決算での本件の投資損益は、2008〜2017年度平均で約120億円(日本側全体ではその倍)となっていた。

今回、株式売却関連費用(追加税金を含む)や契約延長対価の計上など、179億円の営業外損失を持分法損益に計上した。
契約手続きが完了した2019年度1Qに、201812月以降の持分比率の減少、延長対価の償却を計上)

メタノール等の市況も大きく下落しており、大幅な減益となった。

                         単位:億円(配当:円)
  売上高 営業損益 持分法 経常損益 株主帰属
損益

配当

中間 期末
17/3 5,565 438 211 624 480 8.0 11.0
18/3 6,359 627 183 807 605 12.0 17.5
19/3 6,490 414 284 692 550 17.5 17.5
20/3予 6,100 310 -15 270 180 17.5 17.5
増減 -390 -104 -299 -422 -370    
18/9中 3,284 290 173 465 379    
19/9中 3,034 160 -39 117 81    
増減 -250 -129 -211 -348 -298    
   
経常損益  
   
  17/3 18/3 19/3 20/3予 増減   18/9 19/9 増減 増減内訳
営業内 営業外
天然ガス系 143 149 227 -47 -274 157 -64 -221 数量差 +26
価格要因 -134
固定費 -22
持分法 -211
(メタノール -179
芳香族 175 251 140 127 -13 98 74 -24
機能化学品  268 386 282 175 -107 179 94 -85
特殊機能材 62 63 45 38 -7 30 23 -7
その他全社 -24 -43 -1 -23 -22 2 -10 -12
合計 624 807 692 270 -422 465 117 -348 -129 -219

メタノール市況:2018/上期 408ドル/t →2019/上期 277ドル/t →2019/下期予 270ドル/t

 


2019/11/13  イラン、大油田発見と発表 

 
イランのロウハニ大統領は11月10日、イラン南西部フゼスタン州で埋蔵量530億バレルの大規模油田を発見したと明らかにした。 「政府からイラン国民へのささやかな贈り物だ」と述べた。

IEAによると、イランの原油確認埋蔵量は2018年1月時点で1570億バレルで、ベネズエラ、サウジアラビア、カナダに続いて第4位。

確認されれば、イランの埋蔵量が3割ほど増加することになる。

しかし、イランのザンギャネ石油相は翌11日、新油田の推定原油埋蔵量は220億バレルだと明らかにした。
同地区ではこれまでに310億バレルの埋蔵量が確認されていたが、今回、新たに220億バレルが発見されたと説明した。

立地の問題(due to the area's "dense and stone material") で、現在の技術によると1/10の22億バレルの採掘が可能としている。

石油相の示した地図(下の左)では、油田は2400 km2 に亘る。更なる開発で南西側、東側に拡大する可能性もあるとしている。

既存のイランの油田、ガス田は下記の通り。(黒が油田、赤がガス田) 

赤の四角が上図の地域。

ソース:https://theintercept.com/2016/01/06/one-map-that-explains-the-dangerous-saudi-iranian-conflict/

 



2019/11/14 インド後発薬大手のルピン、子会社 共和薬品を売却 

インド後発薬大手のLupin Limited は11月11日、傘下の共和薬品工業を投資ファンドのユニゾン・キャピタル4号投資事業有限責任組合及びUnison Capital Partners IV (F), L.P .(「ユニゾン」)に売却する 契約を締結したと発表した。

Lupinの子会社Nanomi B.V. が保有する共和薬品の株式約99.82%を573億61百万円で売却するもので、2020年3月末までに譲渡する。

Lupinが米国とインドに投資を集中する選択をしたことが理由とされる。Lupinは、相次ぐ薬価改定で市場の成長が期待できない日本市場に見切りをつけたともみられる。

Lupin Limited は2015年に米のGAVIS Pharmaceuticals LLC とその姉妹会社Novel Laboratories を買収する契約を締結した。
GAVISのNew Jerseyの工場はLupinにとって最初の米国の生産基地となる。

2015/8/11 インドの後発薬大手Lupin、米の同業  GAVIS Pharmaceuticalsを買収   

なお、共和薬品が現在扱う製品の一部はLupinの工場で製造しているが、ユニゾンへの株式譲渡後も、共和薬品とLupinの間の製品開発および製造の提携関係は継続させ、製品の安定供給に支障がないようにする。
 

ーーー

Lupinは1968年設立の世界第7位のジェネリック医薬品メーカーで、アメリカ、EU、オーストラリアなど世界約100ヶ国以上の国で販売している。特に、抗結核薬およびセファロスポリン等で世界市場をリードし、CVS(心血管系)、CNS(中枢神経系)等の領域において存在感を強めている。

世界市場を対象とした原薬から医薬品まで自社一貫製造を行う製造施設(FDA認定工場)を複数有し、コスト競争力においても定評がある。日本の品質管理基準に合致した原薬・医薬品の供給が可能。


共和薬品工業は2007年10月、Lupin と資本提携することとし、Lupinが共和薬品の発行済み株式の大半(99.82%)を100億円弱を投じて取得した。

共和は2005年8月より、Lupinとジェネリック医薬品に関する協力契約を締結し、共同開発を推進してきたが、より密接な関係を構築することとした。

共和の製品開発、製造販売に対して、Lupinの研究開発力及び国際マーケティング力が戦略的に加わり、相乗的に大きな価値を生み出すとした。

インド系企業による日本のジェネリックメーカーの買収は、2007年4月のZydus Cadila による日本ユニバーサル薬品の買収に続き2社目だった。

日本ユニバーサル薬品は2010年6月に「ザイダスファーマ」に社名変更した。
Zydusは2014年にインド本社の経営方針の変更により日本市場から撤退した。


共和薬品は、ジェネリックメーカーとして、特に中枢神経系(CNS)の領域においてトッププレイヤーの地位を確立してきた。

「長期収載品」と呼ぶ特許切れ薬にも注力しており、2016年12月には塩野義製薬の特許切れ医薬品を獲得した。

対象となる医薬品は21製品で対価は154億円。

塩野義は特許切れ医薬品を切り離すことで経営資源を新薬開発に集中する方針を固めており、今回の売却はその一環となる。

2017年にはアステラス製薬のうつ病の新薬「ビプレッソ徐放錠50mg、150mg」の販売を開始し、ジェネリックメーカーから中枢神経系(CNS)領域に焦点を当てたスペシャリティ・ファーマを目指し、トランスフォーメーション(変革)を推し進めている。

2019年3月期の売上高は282億円。

今回の株式譲渡を通じて、共和薬品は、ユニゾンおよびユニゾンの持つヘルスケア分野のネットワーク(研究機関・専門家・企業などの戦略的パートナー)と連携し、医薬品にとどまらず、医療機器や人工知能(AI)を用いたソリューションを手掛ける「中枢神経系(CNS領域)の総合ヘルスケアカンパニー」を目指すとしている。

ユニゾンも、共和薬品の総合ヘルスケアカンパニーになるとの方向に共感しているという。

 


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