2003/1 http://www.gov-online.go.jp/news/office/maff/maff_200301.html
●「バイオマス・ニッポン総合戦略」を閣議決定(農林水産省)
地球温暖化の防止、循環型社会の形成、競争力のある新たな戦略的産業の育成、農林漁業、農山漁村の活性化に向け、稲わら、食品廃棄物、家畜排せつ物、木くず等のバイオマスを総合的に活用し、持続的に発展可能な社会「バイオマス・ニッポン」を実現するため、我が国のバイオマスの活用の促進に向けた国家戦略となる「バイオマス・ニッポン総合戦略」を閣議決定しました。
小泉内閣メールマガジン 第61号 ==========2002/09/12
「バイオマス・ニッポン総合戦略」を推進します (農林水産大臣 武部勤)
皆さんは「バイオマス」という言葉を聞いたことがありますか。「バイオマス」とは「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」のことで、わかりやすく言えば、農産物や木材に加え、食品廃棄物、稲わら、おがくず、家畜排泄物、下水汚泥などの有機性資源を全て含む概念です。今回は、こうしたバイオマス資源を飼肥料のほか新たにエネルギー源や生分解性素材などの製品等に活用する「バイオマス・ニッポン総合戦略」についてお話します。
我が国は、火力発電、ガソリン、プラスチック等日常生活の多くを化石資源に依存し、経済的豊かさと便利さを手に入れて発展してきました。しかし、この化石資源の大量消費により、二酸化炭素の排出が増加し、地球温暖化、大気汚染、ゴミ問題など様々な環境問題が深刻化しています。
農林水産省では、本年4月、稲わら、おがくず等のあらゆるバイオマスを高効率でメタノールへ変換する我が国初の実証規模プラント(通称「農林グリーン1号機」)を稼働させ、更に実用化に向けた研究を進めています。また、バイオマスを活用した燃料電池の研究も進んでいます。このように最近の技術の進展は、バイオマスを活用して、化石資源を代替する可能性を生み出しています。また、このようにバイオマスを活用することは、地球温暖化の防止、循環型社会の形成、地域の活性化に貢献でき、大きな期待が寄せられています。
これからは、化石資源を焼却・燃焼するいわば「化石資源使い捨て」の非持続的経済社会構造を改め、農林水産物を中心とするバイオマスを活用し、真に持続的な循環型の経済社会構造を構築するべきと考えています。バイオマスの利活用による新たな産業の創出により、農林水産省における来年度予算要求ベースで、約2,500億円の経済効果と1万7千人の民間雇用効果があると見込んでいます。
7月には、農林水産省が中心になって、関係府省と連携し、バイオマスを最大限活用する社会へと転換していくための「バイオマス・ニッポン総合戦略」の骨子を策定したところです。今後さらに幅広い意見を踏まえながら年内にこれを国家戦略として完成させ、政府一体となって取り組む方向付けを明らかにしていきます。
こうした取組を通じ、当省の改革のコンセプトを「農林水産業の生産振興」から「生物資源の持続的活用」に変えるとともに、国内産業全般、さらには国内経済社会の革命にもつなげていきたいと考えております。皆様方のご理解をお願いいたします。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/bt/dai1/1siryou7.pdf
バイオマス・ニッポン総合戦略骨子(農林水産省案)のポイント
1 背景
なぜ、今、バイオマス・ニッポンか。
以下の理由からバイオマス・ニッポンへの移行が求められている。
@ | 地球温暖化の防止:二酸化炭素(CO2 )の排出源である化石資源由来のエネルギーや製品を、カーボンニュートラルという特性を持つバイオマスで代替 |
A | 循環型社会の形成:バイオマスの利活用により、限りある資源を有効活用し、持続的に発展可能な社会への移行を促進 |
B | 農山漁村に豊富に存在するバイオマスの利活用:自然の恵みを受けて成長する豊富なバイオマスを利活用し、農林漁業、農山漁村の活性化 |
C | 競争力のある新たな戦略的産業の育成:バイオマス関連産業を日本発の戦略的産業として育成することにより、我が国の産業競争力を再構築 |
米国、EU においても、バイオマスの利活用の促進に向けた取組が進みつつある。 |
2 バイオマス・ニッポン総合戦略の目指すもの
(1) | バイオマス・ニッポン総合戦略の対象(スコープ) | ||
・ | 「バイオマス・ニッポン総合戦略」は、農林水産資源、有機性廃棄物などの生物由来の有機性資源であるバイオマスを、エネルギーや製品として総合的に利活用する社会「バイオマス・ニッポン」を実現するための戦略。 | ||
・ | 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002 」において位置付け。 | ||
・ | バイオテクノロジー等広い領域とも関連があるが、当面、「バイオマス・ニッポン」への転換の緊急性にかんがみ、実現可能な利活用方策から早急かつ集中的に推進。 | ||
(2) | 「バイオマス・ニッポン」のビジョン | ||
@ | 全体ビジョン | ||
・ | 利用可能なバイオマスを循環的に最大限活用することにより、将来にわたって持続的に発展可能な社会の実現を目指す。 | ||
・ | 地域ごとに地域の実情に即したシステムを構築。 | ||
A | 達成すべき具体的な目標 | ||
バイオマス利活用に関するいくつかのシナリオを描き、それぞれにあわせた目標値の設定を検討 |
3 現状と問題点
バイオマスは、賦存量は十分にありながら、収集が困難であること、効率の高い変換技術の開発が不十分であること等により、有効活用が十分に行われていない。 また、我が国の資源、技術、ノウハウを活かした競争力のある総合的なバイオマス利活用が不十分、バイオマス利活用に関する国民各層の共通認識がない等の問題点がある。 |
4
バイオマス・ニッポン実現に向けての基本的視点
(1) | バイオマス利活用促進に向けた全般的事項に関する戦略(総論) | |
@ | 国民的理解の醸成 | |
「バイオマス・ニッポン」の構築が、今後の国民一人一人の生活に深く結びついていることを十分周知することが必要。 | ||
A | システム全体の設計 | |
バイオマスの生産、収集、変換、利用の各段階が有機的につながり、全体として経済性があり、かつ、地域の実情に即した循環システムを構築。 | ||
B | 関係者の役割分担・協調 | |
バイオマスの利活用の促進に当たっては、国、地方公共団体、バイオマス供給・利用者等がそれぞれの役割に応じた取組を進めることが重要。 環境NPO の活用、産学官の連携を図ることが重要。 |
||
C | バイオマス利活用促進のための競争条件の整備 | |
取組が始まったばかりのバイオマス産業については、立ち上がり支援策、全国の取組のモデルとなるべき事例の構築が重要。 | ||
D | 国際的視点の考慮 | |
地球環境問題、海外技術協力、国際競争力の確保等国際的視点の考慮が必要。 |
これらを踏まえ、当面、次の施策を緊急に進める。
O 国民の理解の醸成に資する普及啓発の充実、モデル展示の実施。
O モデル地域における資源循環型コミュニティづくり。
(2)〜(4) バイオマスの生産、収集、変換、利用に関する戦略(各論) | ||
バイオマスの生産、収集、変換、利用に関しては、経済性の向上、革新的な変換技術の開発、経済的要因以外のコスト高の是正、他分野技術との連携、食用利用との調整、農林漁業、農山漁村の活性化への貢献、利用に必要な設備の整備等の各点について、戦略的な対応を図ることが重要である。 |
これらを踏まえ、当面、次の施策を緊急に進める。
O 各種バイオマスを効率的に生産、収集するシステムの構築。
O 技術、システム等の面で先導的な施設について立ち上がり支援。
O バイオマス関連技術の開発・実用化支援。
O 政府等公的機関による率先導入を通じた需要拡大について検討。
O RPS 法の円滑な施行の準備。
O 各種バイオマス規格化、識別マーク設定等の検討。
O 各種バイオマスについてのリスク評価、モデル的利用実証の実施。
(5) | 総合戦略の着実な実施 |
今後、この総合戦略の骨子をもとに、検討すべき課題等につきアドバイザリーグループ等から意見を聴取し、「バイオマス・ニッポン」の早期実現に向けた具体策、スケジュール等を加えた政府としての「バイオマス・ニッポン総合戦略」を平成14年内に策定する。 | |
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002
」 抜粋
(平成14 年6 月25 日閣議決定)
第2部 経済活性化戦略
2
.6つの戦略、30のアクションプログラム
(5 )地域力戦略
(地域産業の活性化)
地方が、「自助と自立の精神」の下、多様な資源を生かし、知恵と工夫の競争を通じて、個性ある地域、特色ある地域産業を形成する。その際、IT 、バイオ、環境、高齢化対応への取組みは、産業誘致や生活向上の面でも地域発展の基礎となり、地方間の競争力を大きく左右する。 | ||
・ | 農林水産省、環境省、関係府省は協力して、動植物、微生物や有機性廃棄物からエネルギー源や製品を得るバイオマスの利活用の推進について具体策を平成14 年度中にとりまとめる等、計画的に取り組む。 |
第4部
歳出の主要分野における構造改革
4 .その他
(1)食料産業の改革 | |||
イ. | 食料産業の改革の基本戦略 | ||
D | 農林水産資源の活用に向けたバイオマス戦略等の推進 農林水産資源を活用したバイオマス産業等を国際競争力のある新たな戦略産業として育成する。このため、規制改革、融資・補助制度、バイオマス生産・エネルギー活用等の技術開発等の政策手段を活用し、農林水産業を環境保全やバイオマス生産の場として再活性化させる施策を関係府省一体となって推進する。 |
第5部
経済財政の姿と15年度経済財政運営の基本的考え方
3 .平成15 年度財政運営のあり方
(3)重点的に推進すべき分野・効率化の考え方
C循環型社会の構築・地球環境問題への対応
【重点化・効率化の考え方】
・ | 廃棄物処理、リサイクル等いわゆる3R の着実な実施、バイオマスの利活用 | |
・ | 地球温暖化についての研究開発、我が国の温室効果ガスの削減・吸収、多様で健全な森林の育成など自然生態系の保全・再生に直接つながる事業 |
化学工業日報 2003/8/18
農水省、バイオマス由来プラの実用化実験開始
農林水産省は、バイオマスに由来するプラスチックの実用化実験をスタートする。政府により昨年末、戦略的な産業創出をにらみ策定された「バイオマス・ニッポン総合戦略」に掲げた施策の一環となる。同省では、日本有機資源協会を実施主体に選び、食器製品にして同省食堂で導入実験を行う。このため、実験に参画する食器生産メーカーを募り、製品性能やリサイクル可能調査など通じ、検証を進める計画。
2005/12/19 Petrobras
Incorporation of company in Japan for the import and distribution
of ethanol
http://www2.petrobras.com.br/publicacao/imagens/_2548_empresa_no_japao_ing.pdf
PETROBRAS, a Brazilian
international energy company, announces that its subsidiary,
Petrobras Internacional Braspetro BV- PIB BV, with registered
offices in the Netherlands, is incorporating Brazil-Japan Ethanol
Co., Ltd. in Japan (in Japanese, to be known as Nippaku Ethanol K.
K.). The
company’s purpose will be to import and
distribute Brazilian-produced ethanol and the developing of
technical and commercial solutions for the reliable and long term
supply of alcohol to the Japanese market.
The ownership of Brazil-Japan Ethanol Co., LtD will be shared
equally between Petrobras and Nippon Alcohol
Hanbai K.K.,
with a 70% share in the distribution of ethanol to the Japanese
market.
日本アルコール販売梶@昭和22年政府専売アルコール元売捌人として設立
http://www.aruhan.gr.jp/aruhan/index.html
August 02, 2005 Petrobras ethanol-pipeline
ブラジルPetrobras(ペトロブラス)社、エタノールの輸出を開始
http://greencars.air-nifty.com/news/2005/08/petrobras_9c6d.htmlブラジルのPetrobras(ペトロブラス)社は今週、エタノールの輸出を開始した。初出荷はベネズエラ向けで、同国向けの当面の輸出予定量は25,000立方メートル(約660万USガロン)。
Petrobrasは、国営の石油・ガス・エネルギー会社で、今年初め、再生可能エネルギーの貿易市場に参入する意思を表明していた。
同社は、事業に必要な輸送用基盤施設開発のため、今後5年間に3億3千万ドルを投資する計画で、2010年までに輸出可能容量を年間80億リットル(21億USガロン)にしたいとしている。
ブラジルの燃料業界全体では2004年に24億リットル(6億3千4百万USガロン)を世界市場に販売した。
Petrobras社の輸出先としてはベネズエラに続いて中国が、さらにそれを追う形で日本が予定されている。