日本経済新聞 2003/1/31 一審 和解
銀行税訴訟 二審も都が敗訴 高裁判決 負担、均衡欠き違法
森脇裁判長は、従来の税負担より重くなるアンバランスな制度導入を禁じた地方税法の「均衡要件」に、同条例が抵触すると指摘。
一方で、地方自治体の課税自主権について幅広く認定。条例の根拠となった「『事業の情況に応じて』事業税の課税方法を変更できる」とする同法の規定に該当しないとした一審判決を覆した。資金量5兆円以上の銀行に限定した点も「中小事業者への妥当な政策的判断として一応の合理性が認められる」とした。
「業務粗利益」を課税標準とした点についても「貸倒損失などから、最適とは考えられない」としたが、「銀行業等の規模・活動量を表すものとして合理性を欠くと断定できない」として都側の裁量に理解を示した。
東京都と政府の外形標準課税(法人事業税=都道府県税)の仕組みの違い
東京都 | 政府案 | |
対象 | 都内で事業を営む資金量5兆円以上の銀行 | 全国一律・全業種で資本金1億円超の企業 |
課税の基準 | 従来の所得課税を全廃、業務粗利益だけを基準に課税 | 税収全体の4分の1について「付加価値(人件費や支払利子など)」と「資本金」を基準に課税。残り4分の3は従来通り所得課税 |
税率 | 3%(農林中央金庫など特別法人は2%) | 所得課税は従来の9.6%を7.2%に下げ、付加価値は0.48%、資本金は0.2%を課税。人件費と資本金への課税に軽減措置 |
時期 | 2000年度から5年間 | 2004年度から恒久制度 |
税収 | 年1000億円程度の増収見込み | 税収全体の水準は導入前と変えない |
日本経済新聞 2003/9/13 解説 一審 二審
銀行税訴訟和解へ 都と銀行、税率0.9%で
都、差額など2300億円返還
東京都が大手銀行に対象を絞って導入した外形標準課税(銀行税)条例を巡り銀行側が納めた税の返還などを求めた訴訟で12日、双方が最高裁で協議、税率を3%から0.9%に引き下げ、銀行側15行が納めた3年度分の税金の差額など約2300億円を返還することで和解する見通しとなった。
都・銀行、痛み分け メンツ維持/「臨時収入」確保 「台所」双方厳しく
外形標準課税(銀行税)条例訴訟の経緯
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日本経済新聞 2003/9/19夕刊
都の銀行税訴訟和解 弁護団主導 あうんの呼吸
強引な導入手法で批判を浴びる一方、税金を払わずに税金投入を受ける銀行への懲罰的性格に喝さいも博した東京都の銀行税。大物対決とはいえ、体力不足同士の訴訟の先には「和解」の道しか残っていなかつた。