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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2013/2/1 出光興産とAltaGas、カナダ産LNG、LPGのアジア向け輸出共同事業でパートナーシップを締結
出光興産とAltaGasは、カナダ産のLNGとLPGのアジア向け輸出・販売の共同事業に関する可能性を調査するため、50/50の合弁会社とパートナーシップを設立することに合意した。出光興産が1月29日に発表した。
両社は、天然ガスの液化設備をカナダ西海岸に建設することについてFSを実施し、2014
年完了を目指す。
天然ガスの輸送は、AltaGas子会社のPacific Northern Gasのパイプラインを利用する。
許認可の承認、液化設備の完成を踏まえ、早ければ2017 年のLNG輸出・販売を目指す。
天然ガスは市場から調達するが、権益を持つ企業からの直接購入も検討する。年間の輸出量は200万トン程度を見込んでいる。
合わせてLPG の輸出・販売についても、冷凍・液化設備、販路などについて共同調査を行う。
早ければ2016 年にも年間60~70万トンのLPG の輸出・販売を目指す。
合弁会社 | リミテッド パートナーシップ |
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業務 | 事業の意思決定 | 事業の遂行 | ||||||||||||
社名 | AltaGas Idemitsu Management | AltaGas Idemitsu Joint Venture Limited Partnership |
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出資 |
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カナダの場合は米国と異なり、LNGの輸出制限の動きはない。
日本向けLNG運賃は以下の通りで、米国Gulf Coastの場合の半分で、豪州からとほぼ同じである。
Kitimat(カナダ西海岸) 1.24 $/百万BTU US Gulf Coast 2.96 Cove Point(東海岸) 3.07 Gordon(豪) 1.17 Gladstone(豪) 1.21 Ichthys(豪) 1.23 資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25
カナダ西海岸ではアジア向けLNG輸出を狙って、多くの計画がある。
1)Pacific Northern Gasのパイプライン(稼働中)
AltaGas子会社のPacific Northern GasのパイプラインはSummit
LakeとPrince Rupert 港を結んでおり、途中で分かれてKitimat港にも通じている。
Summit Lake ではSpectra Energy Corp のパイプラインに接続し、各シェール鉱区につながっている。
2)Kitimat LNG輸出ターミナル計画とPacific Trail Pipelines計画
これとは別に、Summit LakeからKitimat港まで直接結ぶパイプライン(Pacific Trail Pipelines )計画と、KitimatでのLNG輸出ターミナル建設の計画が進んでいる。
この計画は当初、Pacific Northern GasとGalveston
LNGが始めたが、その後出資者の異動があり、2012年12月にChevronがEncana とEOG(Galveston
LNGを買収)から権利を買収し、Apache とChevronの50/50JVとなった。Chevronが運営する。
LNG輸出ターミナルは年産5百万トンでスタート、10百万トンまで拡張できるという。
稼働開始は2015年を予定しており、現在、Front-End Engineering and Design (FEED) の段階。
カナダ政府から年間10百万トンのLNG輸出のライセンスを受けている。
Chevron はこれに合わせて、Encana、EOG、ApacheからHorn River Basinのシェールガス田 110千エーカーの権利を、ApacheからLiard Basinのシェールガス田 212千エーカーの権利を買収した。両ガス田の権利はChevron とApache が50/50で所有することとなり、Apache が操業を担当する。
付記
日揮は2014年1月14日、米国Fluor と共同でChevronからLNGプラント建設の発注内示を受けたと発表した。
Kitimat 郊外のBish Cove に、550万トンx 2系列(合計年産1100万トン)のLNGプラントおよび付帯設備を建設する。
3)Shell、三菱商事等の「LNG Canada」計画
三菱商事は2012年5月16日、シェルカナダ、韓国ガス公社(Kogas)、中国石油天然気(PetroChina)とのLNG輸出計画、「LNG Canada」構想を発表した。
4社でカナダのブリティッシュ・コロンビア州 Kitimat港周辺においてLNG輸出基地を共同開発する。
(当初の案では立地は Prince Rupert とされていた。)
権益比率 シェル 40% 三菱商事 20% Kogas 20% PetroChina 20% 液化設備 600万トン/年x2=1,200万トン
将来的な数量拡張の可能性生産開始 2010年代末 2012/5/17 Shell、三菱商事等の「LNG Canada」計画
付記
カナダのNational Energy Board は2013年2月4日、この計画に輸出ライセンスを与えた。
25年間で670百万トンまでの輸出を承認。Kitimat LNG(Apache Corp and Chevron Corp)とBC LNG Export Cooperative に次ぐもの。
4)BC LNG Export Co-Operative (BC LNG)
売り手と買い手が加入するCo-opで、現在、13社ほどが加入しているとされている。
CanadaのNational Energy Board は2012年2月、BC
LNGに対し、年間180万トンのLNGを20年間輸出するライセンスを与えた。
2014年に最初の船積みをする計画。
Douglas Channelの西側にバージベースの浮体式海洋石油・ガス生産装置(FPSO)を設置するもので、90万トン/年規模を2系列つくる。
天然ガスは既存のPacific Northern Gas Pipeline や新設するPacific
Trail Pipelineで輸送する。
カナダでの日本企業のシェールガス開発は以下を参照
Cordova堆積盆地 | ||
2010/8/26 | 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 | |
2011/5/14 | 中部電力、東京ガス、大阪ガスとJOGMEC、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加 | |
Cutbank Ridge | ||
2012/2/21 | 三菱商事がカナダのシェールガス開発に参加 | |
Horn River、CordovaおよびLiard | ||
2011/11 | 国際石油開発帝石(INPEX)、日揮 |
Oman Oil Company (OOC) は1992年に政府100%出資で設立された。
PP計画と芳香族、PTA、PET計画、EDC計画には韓国のLGが参加している。
エチレンとPE計画にはDowが参加する予定であったが、取り消しとなった。
Sohar、Salalah、Sur の3か所で事業が行われている。
なお、Oman Oilは韓国のGSグループの中国子会社で、山東省でパラキシレンを生産する青島麗東化学工業に30%の出資を行っている。
立地:Sohar
付記 Oman PP、Aromatics Oman の株主は2010/4にOman Oil Refineries and Petroleum Industries Companyに。 |
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参考 Methanol Holdings (Trinidad) | |
立地:Salalah | |
2008/4/18 オマーンのOctal Petrochemicals、PET樹脂 80万トン体制へ | |
立地:Sur | |
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青島麗東化学
Oman Oil は2005年に青島麗東化学工業(Qingdao Lidong Chemical)の30%を取得した。
出資: GSアロマティックス 60% 韓国GSグループ(2005年にLGから分離)のオーナー一族のシンガポール法人 Oman Oil 30% 青島紅星化学 10% 省政府の企業で、主に無機塩(特にバリウム、炭酸ストロンチウム)、その他を生産 立地: 山東省青島市の青島経済開発区
製品: ベンゼン 250千トン
トルエン 150千トン
パラキシレン 700千トン
ラフィネート 113千トン2006/11/3 韓国GSグループの山東省パラキシレン工場、近く商業生産開始
Oman Oil とLGは上記の通り、Soharにパラキシレン、PTA、EDC、PPのJVを持っており、この関連でLGから分離したGSの中国計画に参加したと思われる。
付記
Oman Oil は2013年10月、Advent International からドイツのオキソ製品メーカーOxea を18億ユーロで買収した。
Oxeaは元はCelaneseと Degussa AG (today: Evonik)のJVのEuropean Oxo GmbHである。
住友化学は2月1日、国内石油化学事業の拠点の千葉工場の競争力強化のため、2015年9月(次の定修時期 )までに、エチレン製造設備(定修スキップ年能力415千トン)を停止すると発表した。
同社では、内需の減少や輸入品の増加などから厳しい事業環境が続いており、その基調は今後も大きく変化することはないと見込んでいる。
石油化学事業を強化・維持していくためには、製品の高付加価値化やコスト削減を一段と進めていく必要があるが、設備の老朽化(操業開始後 40年以上経過)や内需構造の変化を踏まえ、自社での生産を停止し、国内で最も新しく大型の設備である「京葉エチレン」(丸善石油化学、三井化学、住友化学の合弁会社)からの調達に一本化することが最善と判断した。
同社は1958年に日本で最初のエチレンプラントをスタートさせた2社のうちの1社であるが、日本のエチレン事業から離脱する。
2015年9月のエチレンまでに、千葉の不採算事業の縮小も進める。
千葉工場の従業員約1000人のうちの4分の1程度を他工場に配置転換する。
十倉社長は記者会見で、「エチレン生産は石油化学事業の中核。設備停止は寂しさもあるが、最善と判断した」、「誘導品の高付加価値化を進めるなどして千葉工場全体を再編し、100億円前後の合理化を目指す」と述べた。
住友化学の国内のエチレン能力はゼロとなるが、停止後のエチレンなどの基礎原料は、京葉エチレンからの調達量を増加させることにより、必要量を賄う。
丸善石油化学と三井化学も同日、三井化学が京葉エチレンから離脱し、住友化学が京葉エチレンからの引取枠を増やすことについて原則合意したと発表した。
三井化学と出光興産は両社の千葉のエチレン設備を千葉ケミカル製造有限責任事業組合に移管し、今後の内需の低下、輸出市況の低迷による低稼働を見込んで、稼働率を70%まで落としても高効率な安定運転を維持できる体制に改造をおこなっている。
丸善石化が運営する京葉エチレン
は丸善石化55%、住友化学と三井化学が各22.5%出資し、能力は768千トン(定修スキップ年)で、住友化学と三井化学が25%ずつ引き取っている。
三井化学の出資と引取枠をそのまま住友化学が引き継ぐものと思われる。
付記
丸善石化社長は業界紙のインタビューで、出資比率は過半を維持する考えを示し、エチレンの引き取り枠については「当社分(50%)が減り、住友化学の引き取り枠(25%)が増えることで、より稼働率が改善する体制を目指すのが基本姿勢」との認識を示した。
住友化学は三井化学の引取枠に加え、丸善石化の引取枠もいくらか引き受ける模様。
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産構法後のバブル時に、京葉地区にある丸善石化、住友化学、三井石油化学はいずれもオレフィン不足の状況にあった。
このため、丸善石化は1991年に京葉エチレンを設立、住友と三井への各年間15万トンの供給を前提に、同社構内に60万トンのプラントを建設した。
プラントは2004年1月に完成したが、事業環境の悪化で営業運転開始は2004年12月となった。
当時は各社が異なる共販会社に属していたため、住友と三井の出資は共販解散後の1995年12月となった。ーーー
3社と出光石化は従来からエチレン設備をパイプラインで相互に結ぶいわゆるコンビネーテッド・コンビナートであったが、京葉エチレンへの参加を契機に3社間でエチレンに加え、プロピレン、ベンゼン、分解重油などが配管で結ばれた。
このため、住友化学がエチレン設備を休止しても、誘導品の生産には支障は生じない。
ずっと昔、当時の住友化学の長谷川周重社長(故人)は「エチレンは水」とし、基礎原料のエチレンは各社が個別に生産するのではなく、(工業用水のように)共同で手当てし、誘導品で勝負すべきだと述べた。
何十年も経って、この言葉が実現されることとなる。
住友化学はシンガポールとサウジで石油化学を展開しており、サウジでは第二期計画を決めている。
2006/4/2 シンガポールの石油化学の歴史
2012/5/28 住友化学、サウジ・アラムコとの「ラービグ第2期計画」実施へ
十倉社長は2012年11月の記者会見で石油化学事業の今後の展開について以下のように述べている。
サウジのペトロ・ラービグ社が第2期計画段階に入る。
今後、バルク製品はサウジで展開し、シンガポールを高付加価値製品の供給拠点とする。
千葉工場はマザー工場として、生産技術・製品・ノウハウの発信拠点としても活用していきたい。
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現在の日本のエチレン能力は定修スキップ年ベースで800万トンあるが、2011年実績で生産は6,689千トン、内需は5,204千トンに過ぎない。
(2012年の生産実績は更に減少し、6,146千トンである。)
エチレン能力が300万トン程度余剰と見られている中で、これまで、三菱化学が鹿島1号機(390千トン)を停止することを決めているだけ。
水島の三菱化学と旭化成、千葉の出光興産と三井化学はそれぞれ、両社のエチレンを拠出して有限責任事業組合(LLP)を設立したが、本来の目標であるはずのエチレン設備の廃棄には至っていない。
三菱化学・鹿島1号機と住友化学・千葉の停止後も能力は700万トンを超えており、まだまだ過剰である。
問題点 2012/12/25 2012年 回顧と展望
工場別能力一覧表 定修スキップ年 単位:千トン/年 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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既報の通り、米国の天然ガス(LNG)輸出を巡って、Dow Chemical と ExxonMobileが米国の産業界を2分して争っている。
Peterson Institute for International
Economics のシニアフェローのGary Clyde Hufbauer
が2013年1月24日付の論文で「米国がLNG輸出を規制する一方、国内で天然ガスの自由な消費を認めるのは偽善であり、WTOルール違反だ」と述べ、話題になっている。
LNG Exports: An Opportunity for America
米国はGATTなどのルールに従うべきだ。米国の法律を修正すべきだ。
LNGの輸出制限で国内の天然ガス価格を下げた場合、天然ガス利用者への補助金となる。
これまで米国はカナダの木材輸出制限を非難し、最近では中国のレアアースなどの輸出制限を非難している。
1989年にはカナダとのFTA協定に、カナダから米国へのエネルギーの輸出で、カナダ国内と異なる税金を課すことを禁じ、供給を制限する場合には国内と輸出市場で同じ比率で制限するという規定を押し込んだ。
これは偽善である。こんなことをしていると、非FTA締結国から同様の輸出制限を受けるかも分からない。またそれらの国からWTOに提訴されるかも分からない。
GATTは輸入と同じく、輸出についても原則として数量制限を禁止している。
第11条 数量制限の一般的廃止
締約国は、他の締約国の領域の産品の輸入について、又は他の締約国の領域に仕向けられる産品の輸出若しくは輸出のための販売について、割当によると、輸入又は輸出の許可によると、その他の措置によるとを問わず、関税その他の課徴金以外のいかなる禁止又は制限も新設し、又は維持してはならない。
同条では、「食糧その他の危機的な不足を防止し、又は緩和するための一時的なもの」など、例外について記載している。第20条 一般的例外
例として、
有限天然資源の保存に関する措置。ただし、この措置が国内の生産又は消費に対する制限と関連して実施される場合に限る。
中国はレアアースの輸出枠設定について、上記の「有限天然資源の保存」を理由にしたが、日本や米国は、但書を引用し、輸出だけを制限する理由にはならないとしてWTO協定に基づく協議を要請した。
WTO上級委員会報告は、「環境保護や資源保護は、国内の環境規制や生産数量制限で対応することが基本」としている。
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米国ではNatural Gas Act of 1938 により、天然ガス輸出入にはエネルギー省の許可 が必要とされており、輸出許可の判断基準には①公共の利益に反するか否か、②輸出先国で内国民待遇が与えられるかどうかがある。
①の公共の利益については、国内供給を脅かさないことと、自由競争を阻害しないことが要件となる。
輸出許可申請には、以下の点の記載が必要である。
国内の天然ガスの需給
国内ガス価格への影響
米国および地元経済(生産活動と雇用、税収)への影響
貿易収支と国家安全保障上の影響
輸出許可を得ても、輸出契約は長期契約が中心のため、途中で状況が変化すれば、許可取り消しも有り得ると記載されている。
②についてはGATT加盟国は内国民待遇を約束しているため、原則として問題はない。
米国とFTAを締結している国のなかで、イスラエルとコスタリカは天然ガスに関する内国民待遇の合意がなく、LNGの輸出対象国から外れている。
判断基準としては「米国との間に内国民待遇を含む有効な自由貿易協定を結ぶ国に対する天然ガスの輸出は、公共の利益に適うと判断された場合、修正及び遅滞なくその申請は許可される」となっており、これまで全て認められた。
非締結国向けについては個別審査となっており、これまで認められたのは、Cheniere EnergyのSabine Pass プロジェクトのみである。
詳細は 米国・カナダ産LNG輸入構想に関する通商法面からの考察 (2012年3月 IEEJ)
唯一の事例としてCheniere Energyが非締結国向けに認められたのには経緯がある。
Cheniere Energy が海外からのLNG受入基地に天然ガスのLNG化設備を建設してLNGを輸出する計画に関しては、2010年9月に米国がFTAを締結している国(将来締結した国も含む)に限定して輸出許可が出された。
これに対し、同社は2010年9月7日付で、非締結国向けの輸出を認めないのはGATTに違反するという長文の申請書を提出した。
GATTでは輸出制限を禁じているとし、天然ガス輸出はGATTの例外規定には該当しないとして、個別に詳細に論じている。
http://www.cheniereenergypartners.com/lng_documents/application_exhibits.pdf
これを受け、エネルギー省は2011年5月、CheniereのSabine Pass プロジェクトに条件付きですべての貿易相手国への輸出を認めた。
Cheniereは申請に当たり、「公益面の検討」として投資や雇用面のメリットに加え、以下を挙げた。(上記のIEEJレポート)
①国際的な天然ガス貿易の自由化を推進:市場メカニズムに基づく取引が浸透
(石油価格連動からのデカップリング推進)
②天然ガス供給源の分散化:同盟国のenergy
security強化
③中南米等との通商関係の深化
当然、他の業者も同様の申請を行っていると見られるが、これ以外は一切認められていない。
なお、Cheniere Energy のGATT違反との主張に対し、「裁判所がGATTの規定は既存の法律に優先しないとの判断を示した」との記載を見付けたが、事実かどうか確認できていない。
1947年のGATTではGrandfather
Clause(成立前に既に認められていた既得権を認める条項)があったが、WTO設立協定の1994年GATTの下ではこの規定が撤廃されたため、既存の国内法令を理由としてGATTを適用する義務を免れることはできない。
GATTに違反するこの法律は撤廃又は改正することが必要である。
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野田前首相は2012年4月30日のオバマ米大統領との首脳会談で、LNGの対日輸出拡大などエネルギー面での協力を求めた。
オバマ大統領は首相の輸出要請に対し、「日本のエネルギー安全保障は米国にとっても重要」と理解を示す一方、「(対日輸出は)政策決定プロセスにある」として、明言は避けた。
日本政府は中国のレアアース輸出規制についてはGATT違反として是正を要求している。
米国のLNG輸出規制については、なぜ、要請ではなく、GATT違反であるとして是正を要求しないのであろうか。
東燃ゼネラル石油は1月31日、東燃化学とDow子会社Union Carbide (UCC)
との50/50JVである日本ユニカーのUCCの全持株を取得することで合意したと発表した。
本年第3四半期をめどに合弁関係を解消し、100%子会社とする。
付記
東燃ゼネラルは7月2日、上記の取引が完了したと発表した。
同日付で英文社名をNUC Corporationとし、2014年1月1日付で社名を㈱NUC とする。
日本ユニカーのLDPEの高圧電線被覆分野は、高度な技術のもと国内でも希少な製品として高い競争力を有しており、東燃化学は今後同分野を化学部門の柱のひとつとして強化していくとしている。
Dowも1月31日の決算発表会でこれを発表した。
Dowは2012年12月にコアでない資産10億ドルを2年間で売却する方針を発表しており、その一環であるとしている。
DowはサウジのAramcoとのJVと米国でのシェールガスを利用しての石化再開発に注力しており、現在の日本市場は処分すべき非コア事業である。
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日本ユニカーは1961年に日東化学工業とUCCの合弁で日東ユニカーとして設立され、1962年に高圧法LDPEの生産を開始した。
1965年に日本側が日東化学に出資した三菱レイヨンに代わり、社名を日本ユニカーと改称した。
1980年に日本側が東燃石油化学(現東燃化学)に代わった。
2001年にDowがUCCを統合した。
現在の能力は、LDPEが 180千トン、LL/HDPEが120千トンで、合計300千トンとなっている。
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東燃化学は日本ユニカーとは別に、川崎にHDPEプラントとPPプラントを持っていた。
三菱化学と東燃化学は、両社のポリオレフィン事業の統合し、日本ポリケムを設立し、1996年9月に営業を開始した。HDPEは1979年に昭和電工から川崎のプラントを購入したもので、大分石油化学コンビナートヘの集中を目指す昭電と、エチレン誘導品を強化拡充しようとする東燃石化の利害が一致した。
PPは1974年にExxonから技術導入した。
この時点で、日本ユニカーのポリエチレン事業(電線被覆グレードを除く)の参加について交渉したが、まとまらなかった。
2001年6月、日本ポリケムと日本ポリオレフィン(昭和電工と日本石油化学の事業統合会社)はポリエチレン事業について、また、日本ポリケムとチッソは、ポリプロピレン事業について、それぞれ両社の事業を統合することにつき検討を開始することで合意したと発表した。
しかし、公取委は、日本ポリケムの親会社の東燃化学を通じて新会社が日本ユニカーと結びつくことを問題とした。このため、三菱化学と東燃化学が交渉し、2003年6月に三菱化学が日本ポリケムの東燃化学保有株式を全て買取った結果、統合が承認され、日本ポリエチレンが2003年9月、日本ポリプロが2003年10月に営業を開始した。
三菱化学は2012年6月、日本ポリエチレンと日本ポリプロが川崎のHDPE(52千トン)及びPP(89千トン)工場各1系列を2014年4月に停止すると発表した。
これはいずれも旧東燃化学のプラントで、これにより、日本ユニカーのプラントのみが残ることとなった。
2012/7/9 三菱化学、旧東燃化学川崎のPEとPPを停止へ
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東燃ゼネラル石油は2012年6月に、ExxonMobilからエクソンモービル有限会社の持分の99%を取得した。ExxonMobilは東燃ゼネラル持株の一部を売却し、持株比率を22%に落とした。
2012/1/30 ExxonMobilが東燃ゼネラル石油から実質撤退
この結果、日本ユニカーは実質的にはExxonMobilとDowの子会社であったが、以下の通り、ExxonMobilから自立した東燃ゼネラル石油の事業となる。
↓ 2012/6
↓ 今回
既報の通り、中国の大気汚染が悪化している。
中国の周生賢環境保護相は1月に開かれた全国会議で、1月の大気汚染は中国全土の4分の1、全人口の半数近い6億人に影響が出たと述べた。 スモッグは17の省や自治区、直轄市に及んだとしている。
環境保護相はまた、1年間に車が約1500万台増える状況が続く中で汚染物質の排出量も増え、7割前後の都市で大気が環境基準を満たしていないことも明らかにした。
さらに、呼吸器や循環器の疾患を引き起こす微小粒子状物質「PM2.5」に対する国民の関心が高まっていることを認め、2015年までに濃度を5%下げる目標の達成に取り組む姿勢を強調した。
中国科学アカデミーの研究員によると、北京市街地 (750平方キロメートル) の上空の浮遊粒子状物質は4千トンに達し、北京の空気汚染はすでに非常に顕著な状態 となっている。
国務院は2012年末に、北京・天津・河北省地域、長江デルタ、珠江デルタなど大気汚染の深刻な地域への思い切った対策を旨とする「重点区域大気汚染対策第12次五カ年計画」を了承した。
これらの地域は汚染物質の排出が高度に集中し、単位面積当たりの汚染物質排出度は全国平均の2.9-3.6倍に上る。
これらの地域は経済規模で全国の71%、石炭消費量で全国の 52%を占める。
国土面積の14%を占めるこれらの地域は二酸化硫黄排出量で全国の48%、窒素酸化物排出量で全国の51%を占める。
重点地域内の82%の都市が2011年改定の大気の質の評価基準の国家2級基準に達していない。
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米国自然資源保護委員会北京代表部によると、石炭消費量は北京で2000万トン、天津で7000万トンに達し、河北省は3億トン、山東省は4億トンにおよぶ。華北地域全体では毎年10億トンの石炭を燃やしている計算になる。
1月30日の国務院常務会議では、中国のエネルギー総消費量を2015年までに標準石炭換算で40億トンに抑制する方針が打ち出された。
2011年の一次エネルギー消費量は石炭換算で34億8000万トンで、前年から約7.1%増加した。
2012年から2015年の平均伸び率を約3.5%に抑える必要がある。
今後石炭消費量の伸びは厳格に規制されるが、この結果、エネルギーを大量に消費する重化学工業もエネルギーのボトルネックに直面する こととなる。
(このスキームの裏には大手国有企業などとの駆け引きがあり、長い間遅れが生じていたという。)
また、全体のエネルギー消費に占める石炭の割合を約65%に低下させ、天然ガスのシェアを7.5%に高めることが打ち出された。
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大気汚染の原因として、自動車のガソリンも槍玉にあがっている。
中国にはガソリン中の硫黄分について国としての基準はなく、地域ごとに異なっている。
北京市のみがEURO-5に相当する「京5」を本年2月1日から施行した。
2月1日から第5段階基準を施行し、自動車メーカーからの第4段階基準の軽量ガソリン車の届出の受理を停止し、第5段階排出基準を満たさないバスなど大型ディーゼル車の販売、登録を停止する。
3月1日から第5段階排出基準を満たさない軽量ガソリン車の販売、登録も停止する。
また、「京5」を満たす車両には青色環境マークを発行するという。
北京市以外では、上海、広州、南京がEURO-4相当の「国4」の基準を採用しており、2013年1月からは江蘇省、浙江省、広東省などの10以上の地域も「国4」を採用した。
しかし、その他の地域はEURO-3相当の「国3」に止まっている。
EUの自動車排ガス規制(硫黄分規制値)
欧州での
導入時期ガソリン 中国での適用 EURO-3 2000年 150ppm 以下 一般 EURO-4 2005年 50ppm以下 上海、広州、南京等 EURO-5 2009年 10ppm以下 北京 日本では2008年から10ppm以下となっている。米国では80ppm以下。
シノペックの傅成玉董事長は1月末、「汚染の原因は燃料の品質が悪いせいではない。政府の品質規制の基準が低いためだ」と責任は政府にあるとの考えを示した。
これに対し、インターネット上で、「国の基準は国有企業が決めているのではないのか」、「責任感がまったくない」、「国有企業の道徳感が低すぎる」などの批判が噴出した。
環境問題の専門家は規制が進まないことは「石油業界が反対したためだ」と批判する。排ガス規制の基準作りに関与する公的組織のメンバーの7割が石油業界関係者で、環境問題の専門家は1割未満 に過ぎない。
関係者の間では、「国内で広範囲にわたる石油製品の基準引き上げが難しいのは価格面に問題があるため」と見ている。
グレードアップによるコストが市場に転嫁出来ない場合、業界の損益は激減する。中国の業界筋によると
「国4」へのアップグレードに Sinopec ,CNPC、 CNOOCの精製3社で500億人民元(7500億円)が必要という。
高品質のガソリンについては税金を低くするべきだとの声も出ている。
インターネット上での非難を受け、Sinopec は2月1日、2013年末までに300億人民元を投じて 12の製油所に最新の脱硫装置を建設し、2014年から「国4」の基準(50ppm以下)に合格する石油製品を販売すると発表した。
ソウル中央地裁は1月31日、株式投資によって生じた損失を補填するため、グループ会社の資金を横領した特定経済犯罪加重処罰法違反の罪に問われたSKグループ会長の崔泰源被告に対し、懲役4年の実刑判決を言い渡し、身柄を拘束した。
検察が横領事件の主犯として同時に逮捕した弟の崔再源副会長は無罪を言い渡された。
会長は2月5日に一審判決を不服として控訴した。
会長と副会長は系列会社2社(SKテレコム、SK C&C) から497億ウォン(現在のレートで約41億円)を横領した罪で、2012年1月に在宅起訴された。
2008年10月に、系列会社2社に出資金の名目で送金させた497億ウォンを、会長と副会長の先物投資を代行していた海外在住の韓国人に送金したという。
裁判所は、「崔泰源会長の個人資産を管理する組織が投資を主導した点などを見る限り、グループ会社の資金の横領は崔泰源会長が指示したものと考えられる」との結論を下し、副会長は無罪とした。
裁判長は、「崔会長が大企業の経営トップとして、経営や財務に関し透明性を確立しなければならない立場にありながら、むしろグループ会社の資金を私的に流用したことから、厳しい処罰は避けられない」と述べた。
また「2003年にSKグループ系列会社に対する背任行為などにより有罪判決を受け、赦免により復権(2008年8月)してから3カ月もたたないうちに横領行為を行った点を考慮すると、実刑判決は避けられない」と指摘した。
崔会長は2003年にSK Global の債務を減らして1兆5587億ウォンの利益を水増しするなどの粉飾決算を行い、またSKの筆頭株主としての支配権を維持するため、本人所有のウォーカーヒルホテル株とSK C&C所有のSK株を交換する際に非上場株のウォーカーヒル株を過大評価した疑いで起訴され、2008年5月に懲役3年、執行猶予5年が確定した。
会長は、系列会社の役員に毎年の賞与金を多く支給してから返却させる方法で2005~2010年に約140億ウォンの不正資金を蓄財し、私的な用途で使った容疑でも訴えられたが、これについては無罪となった。
付記
韓国政府は、2015年8月14日、光復節(独立記念日)65年を迎えて、2493人を特別恩赦、減刑、復権した。
崔泰源会長も8月14日に出所した。
付記
2016年3月18日、崔泰源会長が2年ぶりにSKの代表取締役に復帰した。
SKの定期株主総会で取締役に選任され、取締役会で代表取締役に選任された後、取締役会議長職も引き受けた。
ーーー
韓国ではこれまで、大企業のオーナーに対しては、「経済への悪影響が懸念される」、「経済発展に貢献した」といった理由で執行猶予付きの判決が下されるケースが多かった。
しかし、裁判所はこの1年間、財閥の公私混同を問題にし、「社会的責任」や「相応の処罰」を強調する傾向にある。
泰光グループの李豪鎮前会長は2012年2月、会社の資金445億ウォンを横領したとしてに懲役4年6月の実刑判決を受けた。
(検察は2012年11月の2審で、懲役7年、罰金70億ウォンを求刑している。)
大法院は量刑の基準として、300億ウォン以上の横領や背任罪で起訴された被告が、被害額を弁償するなど減軽の余地がある場合、懲役4−7年とするよう勧告しており、今回、SKの崔会長は横領した額を全て弁償したが、裁判所は検察の求刑通りの量刑を適用した。
SKの崔会長は今回、オーナーを中心とする経営体制を解体した。グループ会社社長団協議会の議長を専門経営者に任せたり、役員に対する人事権も社長団協議会傘下の人事委員会に譲渡した。
これまで、株式を含む自らの資産をグループの財務部門に預けて管理してきたが、自らの資産はグループ外の会社に管理を依頼する。
公正取引委員会は2月4日、愛知電線の請求に基づく審判で、愛知電線の審判請求を棄却した。
公取委は2011年7月22日、VVFケーブル(主に建物内のブレーカーからコンセント等までの屋内配線として使用)の製造業者及び販売業者に対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
これを受け、愛知電線は課徴金納付命令の取り消しを求めるとともに、予備的請求として、課徴金の30%の減免を求めていた。
VVFケーブル カルテル 排除
命令課徴金
(千円)備考 矢崎総業 ○ 2,460,670 30%減額 富士電線工業 ○ 1,617,180 弥栄電線 ○ 688,950 協和電線工業 ○ 499,100 愛知電線 ○ 326,960 カワイ電線 ○ 323,070 菅波電線 ○ 50,220 協和電線 ○ 0 課徴金100万円未満 住電日立ケーブル(日立電線、住友電工、タツタ電線) — 203,520 50%減額 古河エレコム(古河電工) — 53,190 30%減額 昭和電線ケーブルシステム — — 最初に自主申告 合計 8社 6,222,860
本件の調査に当たり、公取委は2009年12月17日に同社以外の4社に立入検査を行った(一次立入検査)。
その後、2010年4月13日に、同社ら7社に立入検査を行った(二次立入検査)。
愛知電線では同社への立入検査(二次立入検査)の当日に、課徴金減免申請を行うため、公取委の担当に電話で事前相談を行った。
これに対し、20日間の期限を既に経過しているとして、申請は受け付けられない旨の回答があり、立入検査の当日に事前相談を行ったにもかかわらず20日間の期限を過ぎているとの回答に疑問を抱いたものの、減免申請は行わなかった。
課徴金減免の要件としては、調査開始から20日以内に申請を行うこととなっている。
7条の2 12項
当該違反行為に係る事件についての調査開始日以後公正取引委員会規則で定める期日までに、公正取引委員会規則で定めるところにより、単独で、公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行つた者課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則 第五条
当該違反行為に係る事件について・・・・処分が最初に行われた日から起算して20日(行政機関の休日に関する法律掲げる日の日数は、算入しない。)を経過した日とする。
愛知電線の主張:
1)期限を経過しているとして減免申請を不可とした公取委の対応は違法・不当なもので、適正手続の保障を定めた憲法第31条に違反。
一次立入検査、二次立入検査ともに、告知書には「建設・電販向け電線・ケーブル」となっていて、「特定VVFケーブル」の取引を対象としたものかどうかが明確ではないから、これに基づく立入検査は課徴金減免申請の認められる期間の起算日にはならない。
一次立入検査は建設用電線のうち3品種の取引について行われたものであって、特定VVFケーブルの取引を対象としたものではなく、一次立入検査を「調査開始日」とするのはおかしい。
従って、相談した時点では、調査開始から20日の期限は経過していない。
2)それにより課徴金減免申請の機会を逸した被審人には、課徴金減免申請の効果(30%減免)が認められるべき。
今回の審判では以下の理由でこれを却下した。
・特定VVFケーブルが「電線・ケーブル」に含まれることは明らか。
・一次立入検査と二次立入検査の留置物の双方に本件違反行為に関する書類が含まれている。
・一次立入検査は本件違反行為についての調査であるといえるから、一次立入検査の日が「調査開始日」に該当する。
・20日間の期限を既に経過しているとして、申請は受け付けられないとした回答には違法・不当な点はない。
・回答には違法・不当な点はないため、また、実際に課徴金減免申請を行っておらず、課徴金減免申請の効果が認められるべき理由はない。
2013/2/11 OxyChem、シェールガス利用でエチレン新設
Occidental Chemical (OxyChem) がシェールガスを利用し、VCM原料用にエチレンを新設することが、同社のEPAへの申請書で判明した。
計画概要は以下の通り。
立地:テキサス州Ingleside
能力:年産 545千トン
原料エタン:隣に新設する液状天然ガスの分解装置からパイプラインで輸送
製品エチレン:隣接する100%子会社OxyVinylsのVCMプラントにパイプラインで輸送
建設開始:2014年12月
生産開始:2017年2月
米国では安価なシェールガスを原料とする石油化学計画が続出している。
Dow:2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表
2012/3/12 Dow、ワールドスケールのプロピレン建設を決定
エチレンについては、メテキサス州Freeport に同社としては世界最大の年産150万トンのプラント建設を決定し、政府の認可を申請した。投資額は17億ドルで、2014年に建設を開始し、2017年1月に操業開始の予定。
Shell:2011/6/14 Shell、アパラチア地方でエチレンクラッカー建設へ
Lyondell:2011/12/20 LyondellBasellの成長戦略
Chevron Phillips:2011/12/29 Chevron Phillips Chemical、シェールガス利用で大規模石化計画
ExxonMobil:テキサス州Baytown に年産150万トンのエチレン工場を建設することを決め、認可手続きに入っている。
ーーー
OxyChemはOccidental Petroleumの化学部門。
同社は1997年にオレフィン、ポリオレフィン事業をLyondell 及び
Millenniumの事業と統合し、Eqistar を設立した。
(Lyondell 41%、Millennium 29.5%、Oxy 29.5%)
同社は2001年にEquistarの持分をLyondellに売却し、売却代金でLyondell株を取得した。
LyondellとMillenniumは2004年に両社の事業とEquistar を統合し、新Lyondellとしたが、2007年にBasellがLyondellを買収してLyondellBasellとなった。Oxyは2007年にLyondell株を全て売却し、関係を断った。
OxyはEquistar設立時に以下のエチレンコンプレックスを拠出した。現在はLyondellBasellのプラントとなっている。
Corpus Christi, TX : 旧 Corpus Christi Petrochemical 、1988年にCain Chemicalから買収
Chocolate Bayou, TX : 当初MonsantoとConocoのJV、1988年にCain Chemicalから買収
Lake Charles, LA : 当初Cities Service が建設し、停止。1986年に買収
OxyChemの現在の事業は以下の通りで、塩素系事業が中心となっている。
OxyChem 塩素、苛性ソーダ
炭酸カリウム(世界最大)
塩化カルシウム(世界最大)
有機塩素化合物、そのOxyVinyls EDC
VCM(世界最大)
PVC(世界3位、北米2位)INDSPEC Chemical レゾルシン(米国唯一)
(当初、Koppersが建設、その後MBOで独立、1999年Oxyが買収)Armand Products
(Oxy /Church & Dwight)炭酸カリウム Carbocloro:ブラジル
(Oxy /UNIPAR)クロルアルカリほか VCM用のエチレンは外部(恐らく LyondellBasell のCorpus Christiの旧自社工場)から購入している。
今回、シェール革命により、一旦は売却し、購入に切り替えていたエチレンの自製を再開することになる。
OxyVinylsも変遷を経ている。
OxyChemとGeon(1993年にGoodrichから独立)は1999年に塩ビ樹脂事業を統合し、OxyVinylsを設立した。(Oxy 76%)
残るGeonはコンパウンド事業を行っていたが、2000年にコンパウンド会社のM.A. Hannaが合併統合し、Polyoneとなった。
この結果、OxyVinylsはOxyChem とPolyoneの76/24%のJVとなった。2007年にOxyChemはPoly OneからOxyVinyls株式を261百万ドルで買収し、OxyChem の100%子会社となった。
参考
日本ゼオンは1950年に古河グループ(日本軽金属、古河電工、横浜護謨)とGoodrich のJVとして設立され、Goodrichの塩ビの商標のGeonを社名に使用した。(英文社名:Nippon Geon)
1970年にGoodrich が撤退したため、英文社名をNippon Zeonに変更した(現在はZeon Corporation)。
水銀に関する条約の制定に向けた議論のため、1月13-18日にスイスのジュネーブで「水銀条約政府間交渉委員会第5回会合」が開催され、水銀の使用や貿易、排出を国際的に規制する条約の条文案に合意するとともに、日本の提案を受け、条約の名称を「水銀に関する水俣条約」(Minamata Convention on Mercury)とすることを決めた。
本年10月9日-11日に熊本市及び水俣市で条約の採択・署名のための外交会議が開催される。
発効は50カ国の批准が必要で、国連環境計画は2016年をめざしている。
水俣条約については 2011/1/18 水銀条約とPVC
国連環境計画(UNEP)によると、人の活動で大気中に排出された水銀は2010年で推定1,960トン。途上国を多く含む東アジア・東南アジアが40%を占めるほか、サハラ砂漠以南のアフリカ16%、南米13%となっている。EUは5%、北米は3%、日本は1.5%程度。
会議では、中国やインドなど途上国からは「自分たちだけが発展し、有毒性が分かったから、強い排出規制を押しつけるのは横暴だ」との声が続いた。また、途上国からは「貧しい人々は鉱石や砂金か金を抽出する際、水銀がなければ生活できない」「健康に有害でも発展には必要」との声も聞かれた。
合意された条約案の内容は以下の通り。
1)前文
「水俣病を教訓にして水銀を適正に管理し、将来同じ問題を引き起こさない」と明記。
2)鉱山からの水銀産出
条約発効後の水銀一次鉱出(水銀を鉱出することを一義的な目的とする鉱出活動)は禁止。
既存の水銀一次鉱山は条約発効後15年内に廃止。
3)水銀の貿易
金属水銀の輸出は、条約上で認められた用途や、環境上適正な保管に限って許可。
水銀の輸出にあたっては輸入国の事前同意が必要。
4)水銀添加製品
電池(水銀含有量が重量比2%未満のボタン電池は対象外)、スイッチ・リレー、電球型蛍光灯、石鹸、化粧品、殺虫剤、局所消毒剤、非電化の計測機器(血圧計、体温計、気圧計など)などについては、2020年までに、製造、輸出、輸入を禁止。
(研究用、校正用、標準用などの用途は除外、一部は補修用や特殊用途、チメロサール含有ワクチン保存剤等 は適用除外)歯科用アマルガムについて、使用等の制限のための措置を講ずる。
5)水銀使用製造プロセス
苛性ソーダ製造は2025年、アセトアルデヒド製造は2018年までに水銀利用を禁止。
水銀法電解
陰極(水銀)でナトリウムアマルガム(Naと水銀の合金)を生成、これを解汞塔で加水分解し苛性ソーダを得る。
陽極で塩素ガス(Cl2)が発生アセトアルデヒド(エチレン法以前)
水銀触媒を使ってアセチレンを水和PVC、ポリウレタン等の製造工程において使用する水銀量の削減等の制限措置を実施。
アセチレン法PVC
アセチレンと塩酸を塩化水銀(HgCl2)触媒下で反応させ、VCMを製造
ポリウレタン製造で水銀を触媒に使うケースがある。
新規施設のプロセスにおける水銀利用の抑制。
(日本ではこれら工程で水銀は使用されていない)
6)人力小規模金採掘
小規模金採掘が実施されている締約国はその使用や環境中への放出を削減、可能であれば廃絶するための行動を行う。
砂金の採掘では金を含む砂に水銀を通し、砂中の金を溶け込ませた後に水銀を回収・蒸発させて金を回収するという手法がとられる。
7)大気への排出
石炭火力発電所、セメント製造設備、非鉄精錬設備等、5つのカテゴリーを対象に、5年以内に以下の排出削減対策を実施。
石炭中に水銀が含まれる。セメント製造では飛灰や残土・汚泥を使用するため水銀が含まれる。
・新規施設:利用可能な最善の技術、環境のための最善の慣行、排出限度値の設定等。
・既存施設:排出管理目標設定、排出限度値設定、利用可能な最善の技術/環境のための最善の慣行、
他の有害物質の制御の活用等
8)水・土壌への放出
放出限度値の設定、利用可能な最善の技術/環境のための最善の慣行等
9)保管、廃棄物対策、汚染地対策
10)途上国への資金援助、途上国の能力強化・技術支援・技術移転
ノルウェーが100万ドル、スイスが100万スイスフランの拠出をそれぞれ表明。日本政府 も100万ドル規模の貢献を表明した。
ーーー
日本と世界の水銀の状況は下記の通り。
ソース:http://www.env.go.jp/chemi/tmms/seminar/20110626/mat01.pdf
日本への影響については、毎日新聞が以下の通り報じている。
日本では、水銀を使わない血圧計や体温計が普及しており、照明器具も蛍光灯から発光ダイオードへの転換が進んでいる。
一方、金属製錬の過程で副産物として発生した水銀や、蛍光管、乾電池のリサイクルで出る水銀を、インドやシンガポールなどに輸出しており、輸出量は年間平均約100トンに上っている。 (2006年には250トンを輸出)
条約が採択されれば、輸出できなくなった水銀を国内で安全に保管する技術の開発が急務となる。
保管費用を誰が負担するかも検討課題だ。
2013/2/13 ブリヂストン、中国メーカーの商標権侵害訴訟で勝訴
ブリヂストンは2月1日、中国メーカーに対する商標権侵害訴訟に勝訴したと発表した。
広州市宝力輪胎有限公司(Guangzhou Bolex Tyre、宝力タイヤ)が同社の登録商標である「BRIDGESTONE」に類似した「GEMSTONE」を使用してタイヤを生産・販売した行為に対し、2010年3月に天津市浜海新区人民法院に提訴した。
宝力タイヤは広州国際集団の子会社の広州広橡企業集団(広州Rubber)が75%、香港宝盛発展が25%出資するJVで、1992年に設立され、宝力(BOLEX)、捷通(GEMSTONE)、東尼(TONY)の3ブランドでタイヤを販売している。
広州国際集団は、タイヤとソーダ灰を主とする企業集団で、3つの子会社を持つ。
・広州華南橡膠輪胎(Guangzhou South China Rubber Tire):万力ブランドのタイヤ
・広州広橡企業集団(Guangzhou Rubber Enterprise Group):フルレンジのタイヤ
・広東南方鹼業 (Guangdong Southern Alkali Industry) : ソーダ灰等
宝力タイヤの商標とブリヂストンの商標対比
一審でのブリヂストンの勝訴判決の後、宝力タイヤは天津市第2中級人民法院に控訴したが、2013年1月にブリヂストンの主張が認められ、控訴が棄却され、ブリヂストンの勝訴判決が確定した。
宝力タイヤに対して「GEMSTONE」を表示したタイヤの生産・販売の停止及び損害賠償金の支払いなどが命じられた。
ーーー
ブリヂストンはこれまでも中国で商標権侵害訴訟で成果を挙げている。
同社は山東三泰の「ROCKSTONE」ブランドのタイヤは商標権侵害等に該当するとして、
2008年4月に、中国上海市第一中級人民法院に提訴した。
第一審では請求が認められなかったため、2008年10月に上海市高級人民法院に上訴した。
併せて、山東三泰のオランダの販売代理店を相手取り、オランダで商標権侵害で提訴するなど、積極的な対応を実施した。
この結果、2008年11月にオランダの販売代理店との間で「ROCKSTONE」タイヤの販売の停止等を含む内容での和解に達し、2008年12月には、山東三泰との間で「ROCKSTONE」タイヤの製造販売の停止等を含む内容での和解に達した。
また、杭州普利斯帝橡胶(BridgeSteel Rubber) の「BRIDGESTEEL」ブランドのコンベヤベルトが商標権侵害等に該当するとして、2007年
9月に中国杭州市中級人民法院に商標権侵害で提訴した。
裁判では同社の主張が認められ、「BRIDGESTEEL」及び「普利斯帝」の使用停止と金型の廃棄、「普利斯帝」の企業名称としての使用停止等の命令が下された。
判決では、商標権侵害の有無の判断では、商標の「形」と「音(サウンド)」と「義(意味)」の3つの要素が重要とし、侵害を認めた。
ーーー
ブリディストンでは、「商品やサービスに関する模倣行為については、お客様の安心・安全を最優先することを基本とし、関係当局への通報等や訴訟などを通じて厳正に対処していくことで、今後ともブランド価値の維持・向上を図っていく所存です」としている。
米科学誌 The
Bulletin of the Atomic Scientists は1月14日、オバマ大統領宛ての公開書簡を発表した。
http://www.thebulletin.org/web-edition/features/open-letter-to-president-obama-the-time-the-doomsday-clock-five-minutes-to-midn
同誌はManhattan Projectに参加したシカゴ大学の科学者たちが1945年に設立したもので、1947年に世界終末時計(Doomsday Clock)を作った。
書簡は同誌の理事会が作成したもので、タイトルは
「終末時計は真夜中の5分前」となっており、
・核兵器の役割低減や一層の核削減を大統領に求め、
・核物質の管理強化に向けた戦略が必要と指摘し、核拡散の潜在的リスクを避けるため、日本に六ケ所村での再処理を断念させるとともに、韓国に対しても再処理構想を見直すよう求めるべきだと訴えている。
ーーー
最近、日本の核燃サイクルが破綻しており、六ヶ所村の再処理工場も、高速増殖炉も撤退するしかないという2つの報告が出た。
1)六ヶ所村再処理工場
毎日新聞が2月2日から6回にわたり、「虚構の環(サイクル) 再処理撤退阻む壁」という連載を行った。
核燃サイクルは資源に乏しい日本が「準国産エネルギー」を目指し60年代後半から具体化させた。しかし再処理工場の完成は19回延期され、再処理後の燃料を使うはずの高速増殖原型炉「もんじゅ」がトラブルで停止したままである。
実際には政府も業界も、ずいぶん前から、核燃サイクルは「完成のめどの立たない虚構」と考えているが、責任問題、費用負担問題、原発への影響などから撤退に動かず、国民に嘘をついてきたという。
2012年9月、民主党のエネルギー・環境調査会が「30年代に原発ゼロを目指す」「核燃サイクルを一から見直す」とする政府への提言を決めた。
日本原燃が提示した「ひな型」をもとに六ヶ所村が「再処理堅持」の意見書を可決、「国際問題になりかねない」との意見書は猛烈に効き、「見直す」とする党の方針はわずか8日で覆った。「(2003年)村田成二・経産事務次官が『六ケ所から撤退できないか』と提案してきた。電力から『撤退したい』と言えという。冗談じゃない。国から言い出し国が責任をとるべきだと考えた」(東電首脳)
言い出した方が責任を負う。だから言い出せない−−。この構図はエネ庁内部で「ばば抜き」と呼ばれた。再処理工場の重大な弱点として、分割発注を挙げる声は根強い。
国の原子力政策作りを担う原子力委員経験者の一人が明かす。「プラント設計がばらばらで、分断されて施工している。うまくいくわけがない。トータルで仕切っている会社もない」2004年4月27日、経産省職員2人は意を決して自民党商工族で大臣経験もある重鎮に接触した。撤退には政治の後押しが不可欠だ。
重鎮は黙ったまま聞き、説明が終わるとこう言った。
「君らの主張は分かる。でもね。サイクルは神話なんだ。神話がなくなると、核のごみの問題が噴き出し、原発そのものが動かなくなる。六ケ所は確かになかなか動かないだろう。でもずっと試験中でいいんだ。『あそこが壊れた、そこが壊れた、今直しています』でいい。これはモラトリアムなんだ」2004年、六ケ所村の再処理工場を動かすと18.8兆円のコストが生じると公表されていた。一方、再処理工場を動かさず使用済み核燃料を地中に捨てる直接処分を選んだ場合のコスト試算について、エネ庁や原子力委、電事連などが共同で作業を進めていた。
自民党議員から「意図的に直接処分のコスト試算を膨らませろ」という意味の発言が出た。「撤退」唱える共同研究、電力業界異論で連載中止
経産省上層部「維持」で意思統一、「撤退派」を次々更迭
「再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合、日本原燃は使用済み核燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講ずる」。1998年に日本原燃、青森県、六ケ所村が締結した覚書だ。
国も電力もこの文書に基づき「再処理から撤退→工場に貯蔵中の使用済み核燃料が各原発に送り返される→収容しきれなくなり全原発が即時停止」というシナリオを最も恐れる。現職のエネ庁課長級職員が取材に答えた。「核燃サイクルは恐らく完成しない。早く撤退した方がいいと思う。でも実際の政策となると無理」。電力会社首脳も「『サイクルをやるべきだ』とは思わない。しかし仕方がない」と言う。
2)高速増殖炉
原発推進派の池田信夫氏と止めるべきだとする河野太郎衆院議員などが2月10日に裏磐梯で開催されたG1
Summit 2013で、
「核燃料サイクルは破綻しており、撤退するしかない。高速増殖炉が将来実用化しても、採算に乗らないからだ」という点で一致したという。
池田信夫ブログ http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51842127.html
付記 福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅは、高速増殖炉実用化のための原型炉として建設されたが、冷却用ナトリウム漏れ事故等のトラブルにより、ほとんどの期間は運転停止状態であった。2016年12月21日に廃炉が正式決定され、現在、廃炉作業中。
池田氏は補足して以下の通り述べている。
高速増殖炉の致命的な問題は、採算性である。
そもそも再処理の目的である高速増殖炉が経済的に意味をなさないのだ。通常のウラン(価格130ドル/kg以下)の埋蔵量は、消費量の100年分ぐらいだが、それ以上のコストで採掘可能な非在来型ウランの埋蔵量は、・・・「きわめて保守的な推定」でも350年分である。
さらに海水中にはほぼ無尽蔵のウランが含まれているが、その精製コストも下がり、日本の原子力委員会の報告によれば25,000円/kgまで下げられる。これは通常のウランの価格基準(130ドル)の2倍程度で、今後の技術進歩で在来型のウランと競争できる可能性もあり、そのコストは核燃料サイクルよりはるかに低い。高速増殖炉が完璧で安全な技術だとしても必要ないのだ。
池田信夫ブログ http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51842217.html
池田氏は「使用ずみ核燃料の直接処分」(再処理せずにそのまま地下に埋める)しかないとし、候補地として、六ヶ所村や福島第一原発を挙げ、政治的には厄介だが、技術的には問題ないとしている。
河野代議士は以前から使用済み核燃料の処理が出来ないから原発を止めざるを得ないと主張しているが、ブログでは以下の通り述べている。
再処理はやめ、高速増殖炉からは撤退、使用済み核燃料をドライキャスクで暫定保管しながら、もはや守ることができない国と自治体の数々の約束について、守れないという現実を認めて具体的な方策を考えるという方向性でほぼ一致したといっても良いと思います。
ーーー
フィンランドの高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2012年12月 、世界初の使用済燃料の処分場の建設許可申請書を政府に提出したことを公表した。オルキルオト島に建設する。
日本でこれを建設し、稼働するまでには何十年もかかるであろう。それまで暫定保管で続けられるであろうか。
2010年7月15日、 オバマ米大統領がLG化学子会社 Compact Powerのミシガン州Hollandのリチウムイオン電池工場の起工式に出席し、祝辞を述べた。
工場は2012年稼動の予定で、A123 Systems(下記参照)及び Johnson Controls-Saft と組み、2013年末までに"Chevy Volt"ベースで6万台分を生産する予定であった。
投資額は303百万ドルで、オバマ政権から150百万ドルの補助金を受ける。
更に州税や市税などで175百万ドル以上の支援を受ける。
オバマ大統領は祝辞で、「これは新工場の建設以上を意味する。この町や州、米国の新たな未来を建設するものだ」と評価し、「この工場で数百人が働くことになり、これによって小規模な企業の基盤も確保される。こうした努力が米国経済の発展に寄与するだろう」と語った。
「米国経済は困難に直面しているが、エコカーの量産を通じて未来型の雇用を創出し、外国に対する原油依存度も減らせる」と強調した。そして、「この工場はミシガン州と米国が進む方向を示す象徴だ」と指摘した。
2010/7/17 オバマ大統領、LG化学の米工場起工式で祝辞
2013年2月13日、エネルギー省のInspector General (監察官)は以下の内容の、LG Chem とエネルギー省職員を非難する報告書を発表した。
LG Chem は、Holland工場が完成しているのに1個たりとも販売せず、GMのChevy Volt用の電池を引き続き韓国から供給している。
Holland工場の従業員は、ゲーム、映画、ボランティアなどで時間をつぶしている。エネルギー省の景気刺激のための補助金の管理が十分にされておらず、LG Chemはプロジェクトに関係のない労務費を不当に請求し、それが支払われている。
正確な損失は不明だが、従業員の証言などから、非生産作業に少なくとも160万ドルが使われ、その半額がコスト分担の取り決めにより、補助された。 (エネルギー省は今回、LGに対し 842千ドルの返還を命じた。)
工場は実際に販売される電気自動車用に使う電池をまだ製造していない。
151百万ドルの補助金のうち、142百万ドルが既に払われているのに、合意された能力の60%(5ラインのうち3ライン)しか建設されていない。
LG Chem側は、契約で決められた5ラインを完成させるには政府の金が更に22百万ドル必要としている。
(枠は9百万ドルしか残っていない。)LG Chemは労務費を非常に低く見積もっていた。
補助金給付の際の書類では電池生産は2012年初めに韓国からミシガンに移るとなっているが、実施されていない。
計画でうたわれた440人の雇用の半分以下しか生まれていない。
この工場は、米国の自動車メーカーが米国で2015年までに100万台の‘Made
in America’の電気自動車(ハイブリッドを含む)を売るというオバマ政権の政策のコーナーストーンである。
しかし、LG Chemはこの目標を十分認識しておらず、エネルギー省も十分な対策を取っていない。
LG Chemによると、
Chevrolet Voltの電池需要が2012年に月間平均で
1,955台分あり、ミシガンで完成している設備で十分生産出来るのに、ミシガンでの電池生産を遅らせる決定を行った。
エネルギー省によると、補助金給付の際の書類に、当初の韓国での生産からミシガンでの生産に切り替えるとの文言がなかったため、強制できないと考えたという。
電気自動車の不振も影響している。
GMは2012年に、「Volt」を5万台売るという目標を設定したが、10月までの販売台数は1万9000台に止まっている。
付記
地元紙のHolland Sentinelは社説で、残念なことではあるが、LG Chemは工場建設に自費を150百万ドル投じており、200人の従業員をレイオフせずに給料や健康保険料を支払っていると擁護している。
付記
LGは2013年5月5日、Holland工場でリチウムイオン電池の製造
を7月に開始すると発表した。
製造部品承認プロセス(Production
Part Approval Process)が完了し、需要家の承認を得た。
付記
LGは2013年11月5日、米政府に1,231千ドルを支払うことで司法省と合意した。
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既報の通り、LGと組む米リチウムイオン電池メーカーのA123 Systems, Inc が2012年10月に破産法11条の適用を申請した。
同時に、自動車関連の技術、製品、ミシガン州にある2工場、中国のcathode powder製造工場、上海汽車とのJVのShanghai Advanced Traction Battery Systemsの持分などを、自動車部品メーカーのJohnson Controls, Inc.に1億2500万ドルで売却することで合意したことを明らかにした。
同社も、オバマ政権が打ち出したGreen New Deal 政策を通じ、2億4900万ドルの助成金を受けていた。
2013/2/16 Dow会長、米上院で天然ガス輸出反対の証言
DowのAndrew Liveris 会長兼CEOは2月12日、上院の Energy
and Natural Resources Committeeのヒアリングに出席し、無条件の輸出承認に反対する証言を行った。
証言全文
http://www.dow.com/company/insights/pdf/Dow-Senate-Written-Testimony.pdf
会長は、エネルギー産業、製造業、国民の利益を勘案したバランスの取れた戦略をとるよう求めた。
"製造業のルネサンス" についての持論を述べ、天然ガス価格が上昇すると失業が増えると説明し、天然ガスをそのまま輸出するのではなく、米国で加工したうえで輸出すべきだと述べた。
2000年から2009年の間で天然ガス価格は百万BTU当たり約3.50ドルから14.50ドル近くまで上昇し、需要は24%減少した。
この間、製造業の失業は540万人に達した。
日量50億立方フィートの天然ガスを製造業で使用すると、GDPは49億ドル増加し、雇用は直接分とサプライチェーンを通じるものとを合わせると18万人増える。
これに対し、同じ量の天然ガスをLNGに加工して海外に輸出すると、GDPの増加は23億ドルに過ぎず、雇用増は22千人に過ぎない。
参考 2013/1/30 米国の天然ガス輸出論争、激化
2013/2/5 米国の天然ガス輸出規制はGATT違反?
最新分は http://blog.knak.jp