ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2012/12/25      2012年 回顧と展望 

化学各社の2012年9月中間決算は惨憺たるものであった。

大半の企業の営業損益が前年同期を下回っている。

2012/11/12   2012年中間決算−4 まとめ

三菱ケミカルホールディングス、旭化成、住友化学三井化学ソー など で、石油化学基礎化学の損益が激減している。

石油化学だけが不振なのではなく、ポスト石油化学として注力してきた情報電子化学、エレクトロニクス
関連で減益となった企業も多い。
信越化学とトクヤマでは半導体シリコンが大幅減益となった。

国内のエチレン能力は800万トンであるのに対し、エチレン換算内需は500万トン強である。
輸出については、円高が進んだうえ、中国経済の低迷と中国の設備能力過剰の顕在化で期待できない。

海外では中東で依然として設備新設が盛んである。
従来の計画と異なるのは、これらでは汎用品だけでなく、最新技術を入れた高付加価値製品が生産されることである。

10月にはChevron Phillips Chemical のJVのSaudi Polymers Company (SPCo) が商業生産に入った。
  
2012/10/5 Chevron Phillips Chemical のサウジ石化コンプレックス、商業生産開始

DowとSaudiAramcoは2011年11月に石化JVのSadara Chemicalの設立を発表、本年9月には米国のEx-Im Bankから49億75百万ドルの直接融資の承認を受け、建設を進めている。
  
2011/7/26  DowとSaudi Aramco、石油化学JV設立を最終決定

住友化学とSaudiAramcoのJVのPetro Rabigh は第二期計画の実施を決めた。
  
2012/5/28 住友化学、サウジ・アラムコとの「ラービグ第2期計画」実施へ

サウジ政府のJubail/Yanbu王立委員会は2月12日、Jubail Industrial Cityでの総額56.5億米ドルの石化計画を承認した。
  
2012/2/17 サウジ、Jubail地区の大規模石化計画を承認 

このほかにも、多くの計画が進んでいる。

さらにシェール革命を受けて、米国の天然ガス価格が大幅に下落し、米国の石油化学産業が大々的に復活しつつある。

DowのCEOは以下のように述べ 、米国への復帰を宣言、同時にLNGの輸出に反対している。

Dowはこれまで安いエネルギーを求めてサウジなど海外で石化事業を拡大してきた。
しかし、米国
の豊富で安いシェールガスの出現で、Dowは再び米国での投資を始めた。
10年ぶりに新しいエタンクラッカーを建設するとともに、米国の施設をリフレッシュする。

天然ガスを輸出する代わりに、液体形態ではなく、これを加工した固体形態で輸出するべきだ。
天然ガスからプラスチック、肥料、その他化学製品に加工して輸出すれば、LNGで輸出するよりも8倍もの価値を生む。

Dowは2011年4月に、安価なシェールガスを利用するエチレンとプロピレンの能力増強を発表した。
   2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表

このうち、プロピレンについては、2012年3月にテキサス州Freeportにプロパン脱水素により新しいプラントを建設することを発表した。
   2012/3/12  Dow、ワールドスケールのプロピレン建設を決定

エチレンについては、メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設することを明らかにしていたが、同社はこのたび、テキサス州Freeport に同社としては世界最大の年産150万トンのプラント建設を決定し、政府の認可を申請した。
投資額は17億ドルで、2014年に建設を開始し、2017年1月に操業開始の予定。

Dow以外にも多くの企業が米国でシェールガスの利用に動いている。

2011/6/14 Shell、アパラチア地方でエチレンクラッカー建設へ 
2011/12/20   LyondellBasellの成長戦略

2011/12/29  Chevron Phillips Chemical、シェールガス利用で大規模石化計画 

ExxonMobilもテキサス州Baytown に年産150万トンのエチレン工場を建設することを決め、認可手続きに入っている。

三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長は、日本経済新聞景気討論会で、米国のシェールガス革命による産業界の活性化 を挙げ、米国での事業も検討したいと述べた。

12月23日の日経報道ではダウの新エチレン(150万トン)プラントに隣接して、MMAモノマー25万トンを建設する計画とされる。三菱レイヨンが買収したLuciteのエチレンを原料とするアルファ法を採用すると思われる 。

更に本日(12/25)の日経は、三菱ケミカルが医薬品カプセル製造で世界シェア2位の奈良のクオリカプスをカーライルから負債を含め約500億円で買収すると報じた。
クオリカプスは1965年に
塩野義製薬と米国イーライ・リリーが50:50の合弁で設立した「日本エランコ」で、1992年に塩野義100%となり、その後「シオノギクオリカプス」と改称、2005年にカーライルが買収した。カプセル充填機等の機器も製造する。

三菱ケミカルは収益環境の悪化から、好調な医薬品事業を強化する。

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三菱ケミカルホールディングスの小林社長は、週刊ダイヤモンドで以下のとおり述べている。

日本の製造業は国際競争力が削がれる「6重苦」(@円高、A通商政策=FTAの立ち遅れ、B高い法人税率、C電力問題、D労働規制、E温暖化ガス削減の重いコミットメント)に見舞われているが、化学産業が背負うのは「F原料コスト高」も加わった「7重苦」だ。

コストが安い中東勢などの低価格製品が増え、国内生産は今後さらに輸出競争力を失っていく。

加えて高齢化で内需も減っていく。さまざまな石油化学製品の基礎原料であるエチレンを製造する設備は国内に15基。内需に対して設備の3分の1が余剰だといわれている。

この結果が上記の中間決算に表れている。
しかも
ポスト石油化学として注力してきた情報電子化学、エレクトロニクス関連でも問題が生じている。

エチレン能力800万トンに対し、エチレン換算内需は500万トンで、内需に対し300万トン(37.5%)が過剰であり、今後は輸出は利益の寄与が期待できない。
2000年頃の不況時にはその後中国需要という神風で業績が好転したが、今や状況が再度よくなる可能性はほとんどない。

三菱化学は鹿島第一エチレン(390千トン)を2014年の定期修理をもって停止(第二エチレン能力を50千トン増)するが、それ以外のエチレン停止はない。
水島と千葉でエチレン統合はあるが能力減は当面の計画に入っていない。

エチレンを止めるべきだと考えても、止められないというのが実態だろう。
石化に代わって雇用を続ける事業がないからだ。

上記の6重苦のD労働規制は、通常は「製造業の派遣禁止」などとされるが、最大の問題は
「解雇権濫用法理」である。

日本をダメにした10の裁判」では第一に解雇権濫用法理を挙げている。

東洋酸素事件の東京高裁判決(1979)では整理解雇の要件は以下の通り。
  ・事業部門を閉鎖することが企業の合理的運営上やむを得ない場合であること
  ・従業員を他の事業部門の同一又は類似職種に充当する余地がないこと
  ・具体的な解雇対象者の選定が客観的、合理的な基準に基づくものであること
  その後の判例では「労働組合との協議」が条件に加えられた。

具体的には、このままでは倒産もありうるというような状況でないと、解雇が認められない。
この結果、エチレンを動かし続けることとなる。

しかし、いつまでもこの状態を続けるわけにはいかないだろう。

某社の社長の発言が伝えられている。

需要が落ちているというが、その需要だって構造的な要因によるものか、景気循環によるものか、よく見極める必要がある」
「エチレンだけ見て、500万トンにしようというのはあまりにも短絡的だ。誘導品までみて、国際競争力のあるコンビナートにしていかないと意味がない」

本音ではないと思われるが、今や、そんなことを言っている時期ではない。
 

このなかで、住友化学は状況変化に適応するよう、明確な方針で進めているように思われる。

同社の十倉社長は11月21日の記者会見で石油化学事業の今後の展開について以下のように述べている。

サウジのペトロ・ラービグ社が第2期計画段階に入る。

今後、バルク製品はサウジで展開し、シンガポールを高付加価値製品の供給拠点とする。
千葉工場はマザー工場として、生産技術・製品・ノウハウの発信拠点としても活用していきたい。

    同社の株主向け中間決算報告から

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石油化学プラントでの大事故が相次いでいる。

古くは2006年の信越化学直江津工場、2007年の三菱化学鹿島事業所の事故があるが、この1年で3つの大きな事故があった。

2007/4/16 信越化学 爆発事故のその後

2008/3/17 三菱化学鹿島事業所火災事故 事故報告書

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2011/4/11  東ソー、南陽事業所爆発事故の調査報告書を発表

2012/9/11   三井化学、岩国大竹工場の事故のその後  

2012/10/1    日本触媒・姫路製造所で爆発事故

東ソーの場合は緊急停止の後、プラント点検のための液抜き作業中にガス漏れが起こり爆発したが、反応に対する知識が不十分で誤操作を行ったこと、異常時の対応マニュアルが十分でなかったこと等が指摘されている。

三井化学の場合はプラントの緊急停止の際に取った操作が関係したが、問題点についての認識が不足しており、またマニュアルにも記載が無かった。

日本触媒については事故原因等は調査中で未報告だが、タンク内の温度管理は管制室での監視ではなく、タンクに付いている温度計を目視するシステムであったとされている。
また、事故当時の報道では、出入りの業者は火災等の場合、消防への直接通報を禁止されていたという。

これらから見えることは、これら事故はいつ起こっても不思議でないということで、恐ろしいことである。

石化協では事故を受け、企業トップによる保安トップ懇談会を開催しているが、以下のような発言があったとされる。

トラブル対応経験の減少、自動化・デジタル化による現場感覚の希薄化、コミュニケーション機会の減少、プロセス全体の把握・理解の不足が問題である。
対策は従業員教育がポイントになる。ベテランOBを活用した伝承教育が不可欠。
トップとして保安・安全への方針を定め、確実に実行し評価、これを最先端まで浸透させることが重要だ。

世代交代で、マニュアル通りに運転するだけで、各プロセスでの反応の意味や潜在的な危険性を認識せず、異常事態時に対応が出来ないというのである。

トップからこのような発言があるのは驚く。

もう一つは、コスト認識のためか、いまだに安全軽視のケースが見られる。

日本触媒のケースは、報道が事実なら、これに当て嵌まる。

JX日鉱日石エネルギー の水島製油所では虚偽の保安検査記録のケースがあり、コスモ石油千葉でも市原市消防局の特別検査で消防用の屋外給水栓や、石油製造施設の排水管の老朽化など多数の不備が見つかり、改善命令を受けている。

国内の石油化学事業の採算が極めて悪化し、今後の見通しが暗いなか、これまで以上の十分な安全対策が取られるのか、懸念される。

更に、事故による工場休止で安全供給の問題も出てくる。今回にも供給不安が懸念される製品もあった。
他社製品に差をつける 特殊品の場合、需要家側が採用をためらうケースも出てくると思われ、供給責任体制も求められる。

アップルは、シャープのオンリーワン技術の新型液晶IGZOを新型の「iPad」で採用したが、これにはシャープ製のIGZOと韓国サムスン電子などのアモルファス液晶という2種類のパネルが混在しており、それが消費者に分からないよう、性能で勝るIGZOの解像度をわざと落としているという。
シャープに何かがあっても供給が止まらないよう、また価格を競わせるためという。

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日本の石油化学は7重苦という大きなハンディを持つが、なくなることはない。

アルミニウムの場合は電力料の高騰で競争力を失った結果、1978年に6社で「164万体制」であったのが、現在は日本軽金属・蒲原工場の7千トンが動いているだけである。

アルミの場合は全くのコモディティで品質に差がなく、安価な輸出品に対抗できなかった。

石油化学製品の場合も、モノマーのようにスペックが合えばよいような製品は既に輸入品に置き換わっている。今後も海外品の品質向上と価格差による置き換えは進む。

メタノールの場合、1970年代には東西の共同生産会社(東日本メタノール、西日本メタノール)、三菱ガス化学、三井東圧化学、協和ガス化学の5社体制であったが、安値海外品流入で相次ぎ操業停止、1995年に最後の国産メーカー・三菱ガス化学が新潟 264千トンを操業停止し、設備は中国内蒙古の伊克昭盟化工集団総公司に売却した。 

しかし、多くのポリマー製品は需要家のニーズに合わせた特殊品で、少数グレードを大量生産する輸入品に置き換えるのは難しい。

日本のメーカーはカタログに載った製品を供給するだけではない。

需要家の求める「機能」の充足のため、製法や触媒、添加剤の改良を行い、コンパウンド化するなどで、需要家の製品をより良くするための改良材料、新材料をつくり、需要家に提案を行っている。
多くの企業が開発センターを有し、例えば自動車バンパーの衝突試験でバンパー材料の改良検討を行うことまで行っている。

更には、これまでに無かった新しい機能を持つ材料を供給することで、新しい需要を創出している。

住友化学のように海外展開を図る場合も、日本のマザー工場での開発改良が役に立つ。

このやり方は日本独自のものであった。
その後、GE Plasticsが米国にこの方式を導入、次第に広がった。 (日本と異なり、追加費用は価格に上乗せしている)

しかし、頻繁なグレード切り替えによる多数グレード・少量生産で、Just in timeで供給するというのは、本来の装置産業製品に合ったものではなく、輸入品が入る可能性は少ない。

この「非合理性」で、逆に日本品が生き残ることが可能となる。

楠木 建「ストーリーとしての競争戦略」は、他社のようにハブ空港を使わない SouthWest 航空や大量の在庫を持つAmazon などを取り上げ、 「部分の一見不合理」が全体としての合理的戦略になるとしている。

但し、現在のような過当競争体制の下では、これらが無料のサービスと化している。
メーカー数を減らして追加費用を求償出来る体制にすることが必要である。

参考 2012/12/7   ベンゼン価格高騰 ー 市況ベース価格体系とコストベース価格体系 後半部分


2012/12/26 三菱ケミカルホールディングス、クオリカプスを買収 

三菱ケミカルホールディングスは12月25日、医薬品カプセル製造で世界シェア2位の奈良のクオリカプス(Qualicaps)の 全株を取得し、子会社化するための株式売買契約をカーライル・グループとの間で締結したと発表した。

付記

当初、クオリカプスを生命科学インスティテュートの傘下に置いた。

2020年71日付で、三菱ケミカル移管。

クオリカプスの有利子負債を含む買収金額は558億円で、三菱ケミカルは金融機関からの借り入れで賄う方針。

クオリカプスは1965年の設立以来、医薬品・健康食品用カプセルならびに製剤関連機械の開発・製造・販売を日米欧の3拠点を軸に展開するグローバル企業で 、2011年の連結売上高は176億円、海外売上高比率は64%。

高品質・高機能のハードカプセルの提供とともに、長年培ったカプセル製造技術のノウハウを活用した製剤関連機械の設計・開発、製作・据付け、技術サービスの提供というトータルなアプローチで、カプセル市場において確固たる地位を築いてい る。

三菱ケミカルの推定では、
世界のカプセル市場の規模は約1,000億円で、年率数%の安定的な成長が見込まれる。
そのうち医薬品用は半分以上を占めており、クオリカプスは医薬品用カプセル市場において20%を超える世界シェアを有している。
今後年率10%以上の成長が予想されるセルロース系カプセル市場において、クオリカプスは技術・品質の優位性によってリーディングカンパニーとしての地位を確立して いる。

三菱ケミカルは石化事業の収益環境の悪化を受け、好調な医薬品事業を強化する。

但し、世界の医薬品メーカーは目指す分野に投資を集中させ、それ以外の分野を売却しているなかで、本件のカプセル事業は医薬関連であるとはいえ、医薬品の補助材料であり、競合する医薬品メーカーを需要家とする。

三菱ケミカルでは、クオリカプスのグローバルな顧客ネットワークは同社の医薬品原体・中間体事業との補完性が高いとしているが、高いノレン代(クオリカプスの2011年営業利益は30億円に過ぎない)を払って買収する意義があるのか、疑問がある。

付記

クオリカプスは2016年2月8日、ブラジル同業の Genix Industria Farmaceutica Ltda の全株式を買収したと発表した。買収額は50億円程度。
Genix はブラジルの医薬品用カプセル市場で5割のシェアを持つ。 

 


付記
 

三菱ケミカルグループは2023年7月28日、三菱ケミカルが株式100%保有するクオリカプス鰍フ全株式を、フランスのRoquette Frères SAへ譲渡することで同社と合意し、株式譲渡契約を締結した。
 
クオリカプス:奈良県大和郡山市 
      事業内容   ハードゼラチンカプセルおよびHPMCカプセルの製造販売、錠剤印刷機・外観検査機など医薬品関連機器の製造販売
Roquette Frères SA:Lestrem, France
      事業内容   健康・栄養市場向け植物由来成分と医薬品賦形剤のグローバルリーダー
 
クオリカプスが培ってきたハードカプセルおよび医薬品関連機器の事業は今後も一定の需要伸長が期待されており、ベストオーナーのもとで持続的に発展し、事業を成長させていくことが最善であると考え、今般の株式譲渡を決定した。

 

ーーー

塩野義製薬と米国イーライ・リリーが1965年に50:50の合弁で「日本エランコ」を設立した。

1992年に塩野義100%となり、その後「シオノギクオリカプス」と改称した。
1995年に米国とスペインにカプセル工場を建設した。

2005年10月にThe Carlyle Groupをスポンサーとして、マネジメント・バイアウト(MBO)方式で塩野義製薬から独立した。

塩野義製薬は医療用医薬品への経営資源集中を進め、カプセル事業はノンコアビジネスであった。

クオリカプスは当時、日本市場では業界首位の地位にあったものの、海外市場では各国法人が個別に経営されており、大手医薬品メーカー顧客獲得に苦戦していた。

Carlyleは以下の方針で立て直しを図った。

・グローバル化する顧客ニーズに対応するため、グローバルなカプセルメーカーとしてグループ経営を確立すること。
日米欧連携により製造品質の改善を行い、米国大手医薬品メーカーの顧客を獲得すること。
・植物性カプセルの早期投入による業界におけるリーダーシップを確立
・日本における機械事業をグローバルに展開。
カーライルのグローバルネットワークの活用

独立後、2007年1月に、カナダのハード・カプセル製造会社Pharmaphilの買収した。

そして同年5月には世界的なカプセル製造機械メーカー、カナダのTechnophar Equipment and Service を買収した。
同社はカナダとルーマニアにカプセル機械の製造工場を有しており、さらに、ルーマニアでハード・カプセル工場を建設中であった。

この結果、現在の拠点は下記の通り。

現在はCarlyle group 3社が全株式を保有している。

Carlyleは以上の戦略で企業価値を向上させ、2010年末にクオリカプスの売却を試みた。

しかし、Pfizerによる子会社のカプセルメーカーCapsugel の売却と重なったため、その時は失敗に終わった。

Pfizerは2011年4月1日、Kohlberg Kravis Roberts (KKR)との間でCapsugel を23億75百万ドルで売却する契約を締結したと発表した。
Capsugelはハードカプセルで世界一で、2010年の売上高は約750百万ドル。


2012/12/26 EUの新財政協定、2013年1月1日発効 

EU加盟国の財政規律を強化する「新財政協定」('Fiscal Compact')の批准国が12月21日にユーロ圏諸国だけで12カ国に達し、発効要件を満たしたため、2013年1月1日付の発効が決まった。
フィンランドが21日に批准書を提出した。

'Fiscal Compact' は正式にはThe Treaty on Stability, Coordination and Governance in the Economic and Monetary Union

EU首脳会議は2011年12月9日、ユーロ圏の政府債務危機を受け、財政規律強化のための新条約の制定を協議した。
しかし英国の反対で決定できず、ユーロ圏を中心とした条約とすることとした。

もともとユーロ圏諸国には「財政赤字がGDP比3%以下」など厳しい財政規律が義務付けられ、罰則もあったが、過去に違反した独仏両国を含む各国は制裁はされておらず、骨抜きになっていた。

EUは12月16日、新条約の原案をまとめ、加盟27か国に送付した。

2011/12/12 ユーロ新条約、最大26カ国参加へ 

2012年3月2日のEU首脳会議で、財政規律の強化に向けた新条約に英国とチェコを除く25か国が署名した。
ユーロ圏17か国のうち、12か国の批准で発効する。

2012/3/7 欧州金融危機への今後の対応

英国は主権制限を懸念して拒否した。チェコは憲法上の理由としている。

チェコの国家主権を移譲する必要がある場合、憲法の規定に従って大統領は首相にその権限を与えなければならないが、大統領は拒否する考えを明らかにしている。

ユーロ圏17か国のうち、まだ批准していないのは、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、スロバキア、マルタの5か国。
署名した非ユーロ圏8か国では、デンマーク、リトアニア、ラトビア、ルーマニアの4国が既に批准している。

新条約の概要:

各年の一般政府の構造的財政収支赤字がGDP比0.5%を超えない。
但し、公的債務残高の対GDP比が60%を大幅に下回り、長期的な財政の持続可能性リスクが低いと判断される場合、対GDP比で1%までの構造的財政赤字が認められる。

従来の基準は
・単年度の財政赤字額の比率がGDPの 3%を上回わらない
・国債残高が GDP の60%を下回ること
但し、違反に対する罰則は骨抜き

構造的財政収支が中期目標から逸脱した国は、各国毎の目標に向かって速やかに収支を収斂させなければならない。
   
上記の財政均衡化ルールは、協定発効から1年以内に、批准各国の国内法規(憲法上の規定が望ましい)で定められなければならない。
   
一般政府の公的債務残高の対GDP比が60%を上回った場合、当該国は毎年、基準を上回った金額の20分の1ずつ債務を減らさなければならない。
   
国内法規が均衡化ルールに適合していない場合、欧州司法裁判所は是正措置を採るよう求め、是正勧告に従わない場合、GDPの0.1%未満の罰金を科すことができる。

 


2012/12/27  三井住友銀行、メキシコのBraskem Idesa向けファイナンス取りまとめ 

Braskem Idesa は12月20日、米大陸の石化計画では最大の32億ドルの借り入れに成功したと発表した。

Braskem Idesa はブラジルのBraskemとメキシコのGrupo IDESAのJVで、メキシコのVeracruz石化コンプレックスを建設する。

同社のエチレンXXI 計画の内容は以下の通り。
・エタンベースのエチレン 100万トン(Technip技術)
・HDPE 2系列(INEOS Innovene 技術)
・LDPE (Basell Lupotech 技術)
 (HDPEとLDPE 合計で能力100万トン)

総投資額は約45億ドルで、設備投資額は32億ドル、2015年に操業開始の予定

2009/11/17 Braskem、メキシコでProject Ethylene XXI を実施

完成すれば、メキシコの現在の15〜20億ドルの輸入ポリエチレンに置き換わり、メキシコの貿易収支改善に寄与する。
 

融資は三井住友銀行が単独でファイナンシャルアドバイザーを務めたもので、7つの公的機関(イタリアの輸出信用機関SACEを含む)と商業銀行10行が参加する。

構成は以下の通り。

IFCは世界銀行グループ、IDB(米州開発銀行)は、中南米・カリブ海諸国の経済開発を促進するため1959年に米州機構会議で設立を決めた多国間開発金融機関。

銀行 融資額
(百万ドル)
種類
ブラジル BNDES   623 Direct Loan
メキシコ Nafin 280 Direct Loan
メキシコ Bancomext 120 Direct Loan
Export Development Canada 300 Direct Loan
International Finance Corporation (IFC) 285 A Loan
Inter-American Development Bank (IDB) 285 A Loan
三井住友銀行 200 IFC&IDB- B Loan
SACE Guaranteed
HSBC 200 IFC&IDB- B Loan
SACE Guaranteed
ドイツ復興金融公庫 150 SACE Guaranteed
Banco do Brasil 140 IFC&IDB- B Loan
三菱東京UFJ銀行 140 IFC&IDB- B Loan
韓国産業銀行 140 IFC&IDB- B Loan
スペイン BBVA 100 SACE Guaranteed
イタリア Intesa Sanpaolo 100 SACE Guaranteed
スペインSantander 100 SACE Guaranteed
みずほ 30 SACE Guaranteed
TOTAL 3,193  

SACEはイタリアの輸出信用機関


2012/12/27  東シベリア太平洋石油パイプラインが全線で稼働 

東シベリア太平洋石油パイプライン(ESPO)が12月25日、ナホトカ近郊までの全線で稼働した。

スコヴォロディノとナホトカ近郊のコズミノ港を結ぶ第2期工事がこのほど完了し、25日に稼働した。

終着ターミナルについては、当初、ペレヴォズナヤとコズミノの2案があった。(下記地図には前者が載っている)

最終的にコズミノとなり、
200912月、タンカーへの原油積み替え設備などを備えた埠頭が完成した。
パイプライン全線開通までは
スコヴォロディノで鉄道貨車に積み替えて輸送することとなり、同年1228日、プーチン首相立会いでタンカーへの原油積み出しが開始された。

年間の輸送能力は従来の鉄道輸送に比べ2倍の3000万トンとなる。
アジアでの需要拡大をにらみ、中期的に5000万トンまで増やす計画で、プーチン大統領は25日「ロシア極東のインフラが持つ可能性を飛躍的に高める」と語った。

東シベリア産の原油を極東に輸送する東シベリア太平洋石油パイプライン(ESPO)は全長4740キロメートル。

東シベリアのタイシェトと中間地点のスコヴォロディノをつなぐ区間が先に完成したが、ここから中国の大慶を結ぶパイプラインが2009年末に完成し、2011年1月1日から、同パイプラインを通して年間1500万トンの原油がロシアから中国に供給されている。

中国は2009年2月、ロシアとの間で政府間協定を結んだ。

中国開発銀行がロシア国営石油会社 Rosneft に150億ドル、東シベリア太平洋パイプラインを運営するTransneftに100億ドルを低利で融資する見返りに、Rosneft は2011から20年間、毎年15百万トンの原油の供給を行い、Transneftはパイプラインを中国に延長する。

CNPC2009年7月、ロシアからの原油処理のため、遼陽市の製油所の拡大(11%) を開始したと発表した。

   2009/7/22  CNPC、ロシアからの原油用に遼陽市の製油所を拡大

ーーー

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2010年10月、ロシアのイルクーツク石油と共同で探鉱調査を行っているイルクーツク州北部のセベロ・モグジンスキー(Severo-Mogdinsky) 鉱区で可採埋蔵量が1億1000万バレルと想定される大規模油田の試掘に成功したと発表した。

2010/10/25 石油天然ガス・金属鉱物資源機構、東シベリアで大規模油田を確認

JOGMECは2012年6月、東シベリアの油田を、ガスプロム・ネフチと共同開発すると発表した。

イルクーツク州北部に位置するイグニャリンスキー鉱区で、埋蔵量1億バレル級の中規模油田。2013年末までに地質調査や試掘などを行い、2010年代後半から日量数万バレルの生産を見込んでいる。将来的に日本企業が49%の権益を獲得する。

同油田から採掘した原油は、東シベリア太平洋石油パイプラインでコズミノまで運び、日本に輸送する。


2012/12/28  オマーン石油とLG、オマーンでPTA、PETのJV 

オマーン石油 (OOC) とLG International は12月18日、オマーンでの石油化学JV計画の契約を締結した。

OOCが70%、LGが30%出資のJVを設立し、Sohar PortでPTA 110万トン、PET 50万トンのプラントを建設する。

所要資金は約850百万ドルで、2016年末に商業生産を開始する。

原料パラキシレンは、Soharで2009年から操業しているAromatics Oman LLC(OOCとLGが出資)から供給する。

Aromatics Oman LLC概要:
出資:Oman Oil Co.    60%
   Oman Refinery    20%
   LG International  20%
立地:Sohar
製品:Benzene  210千トン
   Paraxylene 814千トン
原料:Sohar Refinery Companyの日量74,260バレルの残渣油流動接触分解装置から

製品販売:現在はLGが20%の引取権を持ち、アジアで販売。
        残り80%は2005年にOOCがオランダの商社Vitol と設立したJVの
OOC-Vitol が販売している。

OOCでは、この事業がPETの川下産業育成に役立つと考えている。

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オマーンの石油化学については、下記参照。

2006/6/3 湾岸諸国の石油化学ー4 オマーン

オマーンではOctal Petrochemicals がSalalah Free Trade Zone で3万トンからスタート、2008年に年産30万トンのPET樹脂プラントをスタートさせ、2010年に50万トンの増設を行った。2012年の能力は100万トンとしている。

製品はボトル用レジンとPETシート。
中東最大のPETレジンメーカーで、世界最大の統合PETシートメーカーと称している。

原料PTAはSABICのIBN RUSHD (Arabian Industrial Fibers Company)から購入している。

IBN RUSHD:
  PTA 75万トン
  PET 72万トン(30万トン+42万トン)

Octal Petrochemicals 社は2006年に米国の投資会社Chemlink Capital Ltd. と Pound Capital Ltd.により設立され、サウジや湾岸諸国、米国の個人や投資会社が出資している。


2012/12/28  アラビア石油、油田開発から撤退

AOCホールディングスは12月27日、連結子会社のアラビア石油が会社分割により新たに設立する子会社をJX日鉱日石開発に譲渡する契約を締結したと発表した。

新会社は2013年4月に設立の予定で、石油上流事業に携わってきた過程で蓄積した技術と豊富な経験を有する人員と、AOCグループが保有する日本オイルエンジニアリングの全株式を承継する。(日本オイルエンジニアリングの他の株主はコスモ石油)

付記

JX日鉱日石開発は2013年4月1日、アラビア石油より、アラビア石油の高度な専門知識を持つ技術者80人などを承継させるため新設分割した「JX日鉱日石開発テクニカルサービス」の発行済株式の全てを譲り受けた。

80人はJX日鉱日石開発テクニカルサービスに籍を置いてJX鉱日石開発の各部門に出向する。

当初、アラビア石油が保有する日本オイルエンジニアリングの株式も取得する予定であったが、その後協議の結果、譲渡対象から除外することで合意した。

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アラビア石油は1958年2月に設立された。

サウジとクウェートの旧中立地帯で、1957年に(前身の日本輸出石油が)サウジの採掘権を、1958年にクウェートの採掘権を取得、1960年1月にカフジ油田を発見して 1961年2月に生産を開始した。1963年11月にはフート油田を発見した。

アラビア石油はここで日本の石油消費量の5%に相当する日量27万バレルを生産して日本に持ち込み、エネルギーの安定調達に大きく貢献してきた。(原油累計生産量は約39億バーレルに達し、その内、約28億バーレルを日本向けに供給)

しかし政府の全面的な後押しを受けて臨んだサウジとの権益更新交渉に失敗して2000年2月にサウジの利権協定が終了、2003年1月にはクウェートとの利権協定も終了した。
利権協定の期限は当初から決まっており、それに対して手を打ってこなかった後継首脳に対する批判がある。

コスモ石油子会社のアブダビ石油が単独で権益を保有し1973年から操業しているアブダビ沖合のムバラス油田は、2012年に45年間の期限を迎えたが、30年の更新が認められた。

新利権協定は2012年12月6日に発効、アブダビ石油が操業中の既存3油田(ムバラス油田、ウルアルアンバー油田およびニーワットアルギャラン油田)の利権が今後30年にわたり更新されるとともに、3油田と同程度の生産規模が見込まれる既発見・未開発の新鉱区(ヘイル油田)について、新たに30年の権益が確保された。

   
2009/1/23 アブダビ石油の油田権益 20年延長へ

その後はカフジの操業は両国の国営石油会社子会社の共同操業に移行し、アラビア石油はKuwait Gulf Oil との技術サービス契約で、人員を派遣、技術、経営管理等のサービスを提供する形で共同操業に参画してきたが、この契約の更新が出来 ず、2008年1月4日、クウェート・カフジ油田の操業から撤退、半世紀に及ぶ元祖「日の丸油田」の役割を終えた。

クウェート石油公社との間では2023年1月まで、最低日量10万バーレルのカフジ原油・フート原油あるいはクウェート原油の売買に関する取り決めを結んでおり、これは今後も継続する。

2008/1/5 アラビア石油、カフジ撤退

なお、アラビア石油と富士石油は2002年10月に事業統合で合意、2003年1月、株式移転によりAOCホールディングスを設立した。

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アラビア石油はこのほかに2か所で石油開発を進めているが、いずれも諸問題の発生で操業開始が大幅に遅延、巨額な損失が発生している。このため、同社では権益売却を模索する。

(1)ノルウェー領北海・イメ油田再開発プロジェクト

ノルウェーにおける石油・天然ガスの探鉱・開発プロジェクト実施のための現地法人として1988年に100%子会社Norske AEDC ASを設立した。

ノルウェー領北海2/1鉱区のギダ油田(オペレーターはTalisman Energy)に5%の権益を保有している。1990年6月より原油生産を開始し、日量約4千バレルの水準で原油を生産している。

2009年2月に、新たなプロジェクトとしてイメ油田とそれに隣接する2 つの探鉱鉱区の権益をそれぞれ10%取得した(オペレーターはいずれもTalisman Energy)。

イメ油田は、Talismanによる開発作業が行われているが、海上生産設備の不具合等により生産開始が大幅に遅れており、生産開始の目途は立って いない。

(2)エジプト・スエズ湾ノースウェスト・オクトーバー鉱区

アラビア石油は2005年2月、スエズ湾北部のノースウェスト・オクトーバー鉱区の国際入札に成功し、同年7月にエジプト政府およびエジプト石油公社と生産分与契約を締結し、2006年9月に商業量の原油の賦存を確認した。

プロジェクト推進のため、2008年10月に100%子会社のAOCエジプト石油(株)を設立し、開発作業を進めた。

現在、エジプトの政治情勢を注視しつつパートナーのエジプト石油公社と協議を続けて いるが、同国の情勢はなお安定に至っておらず、今後は権益の売却を模索する。

石油上流事業のポートフォリオを整理し同事業から実質的に撤退することも視野に入れ、アラビア石油が半世紀以上にわたり石油上流事業に携わってきた過程で蓄積した技術と豊富な経験を新たな形でわが国石油開発業界において活用する ため、今回の決定を行った。

移籍する社員の半分の約40人が技術系。うち10人はノルウェーとエジプトの現場で腕を磨いている。

現行の上記2件のプロジェクトと、クウェイト石油公社との原油売買契約に基づく原油の購入・販売は引き続きアラビア石油が行う。

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一方、JX日鉱日石開発は、2020年を目途に原油換算で日量20万バーレルの石油・天然ガスの生産体制を確立するべく、新規事業案件の獲得および既存プロジェクトの価値の最大化を推進している。

この達成を確実なものとした上で、更なる発展を図るためには、上流事業についての高度な専門技術と幅広い知見を有する人材を拡充することが必要にな るが、昨今の資源開発ブームの影響により、石油開発業界の人材は世界的に不足しており、その確保は難しい状況にある。

このため、承継される人材のアラビア石油時代に培った技術・知見を存分に活用し、同社の事業基盤の更なる強化を図る。


2012/12/29  中国の西気東輸 第三パイプライン 

中国国家発展改革委員会(NRDC)は12月19日、2012年に新たに着工した西部大開発重点プロジェクトは22件、投資総額は5778億元に達することを明らかにした。

鉄道、道路、電力関連などがほとんどだが、その中に「中衛-貴陽天然ガスパイプライン」と「西気東輸第3パイプライン」が入っている。
いずれも中国西部及びその西の中央アジアの天然ガスを中国中部および東部に送るパイプラインである。

中衛-貴陽天然ガスパイプラインは西気東輸第1及び第2パイプライン で送られた天然ガスを寧夏自治区の中衛から重慶経由で貴州省の貴陽まで送るもの。

西気東輸第3パイプラインは新疆ウイグル自治区のコルガスから寧夏自治区の中衛を経由し、広東省福州に天然ガスを送るもの。

          第3西気東輸の中衛以東の詳細ルートは不明。

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2000年3月東部沿海地区の経済発展から取り残された内陸西部地区を経済成長軌道に乗せるため、「西部大開発」が全国人民代表大会で正式決定された。

その目玉が、「西気東輸」、「南水北調」、「西電東送」、「青蔵鉄道」など。

西気東輸」は西部の天然ガスを東部に輸送するもので、新彊のタリム盆地から甘粛、寧夏、陝西、山西、河南、安徽、江蘇、浙江、上海と続く総延長4000キロのパイプラインを建設、2005年に開通した。

2006/7/6 中国、今年の西部開発12事業を発表

その後、西気東輸第二パイプラインが建設された。
新疆ウイグル自治区のコルガスから寧夏自治区の中衛を経由し、
広州から香港までの5000kmのパイプラインで2011年6月に稼働した。
珠江デルタ、長江デルタなど14省・自治区・直轄市と香港に天然ガスを輸送する。

香港には海南島沖の崖城(Yacheng) ガス田から780kmの海底パイプラインで送られている。
2012/12/24 BP、南シナ海の天然ガス権益を売却 

付記

2012年12月30日、西気東輸第二パイプラインの支幹線が広州から広西チワン族自治区南寧に到達し、幹線と支幹線が全て完成した。

これは国内のタリム盆地などの天然ガスを輸送する第1ラインとは異なり、中央アジアの天然ガスを陸上輸入するために建設する戦略インフラとなる。

中国とカザフスタンは2007年8月に政府間協定に調印し、2期に分けて天然ガスパイプラインを建設することとした。
第1期はカザフスタン国内を通過する中央アジア天然ガスパイプライン(南ルート)の建設で、ウズベキスタンとカザフスタンの国境シムケントから
新疆ウイグル自治区のコルガスまでの全長1,300キロで、2009年12月に竣工した。

第2期はカザフスタン国内のパイプラインであり、西部のベイネウからシムケントまでの1,400キロで、2011年9月に着工した。



西気東輸第三パイプラインは同様に、新疆ウイグル自治区のコルガスから寧夏自治区の中衛を経由し、河南省、湖北省、湖南省、江西省、福建省、広東省を経由し、福州までの総延長は7378キロメートルで、天然ガスの年間輸送量は300億立方メートル。

この完成により、中央アジア及び中国西部の天然ガスが中国全土に送られることとなる。

このほかに、四川省の普光から上海まで通じる全長1,700キロに達する天然ガスパイプライン「川気東送」も完成している。

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中央アジアと中国とは石油のパイプライン(カザフスタン北部を経由)でも結ばれている。

2006/5/29 中国−カザフ石油パイプライン正式稼動

 


2012/12/29  中国商務部、2013年上半期の中国のレアアース輸出割当を発表

中国商務部は12月27日、各企業別の2013年上半期のレアアース輸出割当を発表した。

希土は13,563トン、中重希土は1,938トンで、合計15,501トンとなった。

中国のレアアースの2012年輸出実績は過去10年間で最低水準に落ち込み、1万3千トン前後にとどまる見通しとされているが、中国政府はこれを上回る輸出を許可する。

中国のレアアース輸出量は激減している。
2012年1-6月のレアアース輸出総量は、輸出枠21,226トンに対し、2011年同期比42.7%減の4,908トンとなった。

付記 2012年の実績は16,265トンで、前年比3.5%減となった。

企業別には、2010年1月から2012年10月までの輸出数量比(50%)、輸出金額比(50%)で割り当てられた。
  http://www.mofcom.gov.cn/aarticle/b/e/201212/20121208504001.html

  2009 2010 2011   2012 2013

2011/12/7
      承認

上期追加

2012/8/22
  承認
2011/12/7
仮承認 
2012/5/17
  承認
上期合計
上期 25千トン 14,446トン 22,282トン 軽希土 9,095トン 12,605トン 9,490トン 18,585トン   13,563トン
中重希土 1,451トン 1,753トン 1,190トン 2,641トン   1,938トン
合計 10,546トン 14,358トン 10,680トン 21,226トン   15,501トン
下期 25千トン 15,738トン 7,976トン 軽希土         8,537トン  
中重希土         1,233トン  
合計   約6,000トン     9,770トン  
年間 50,145トン 30,184トン 30,258トン 軽希土         27,122トン  
中重希土         3,874トン  
合計   約31,000トン     30,996トン  

 


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