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     目次
							
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2022/5/16  ロシア政府系電力会社、フィンランドへの送電を停止 
 
ロシアの政府系電力会社 PJSC 
			“Inter RAO”の北欧子会社RAO Nordic Oyは5月13日、電力代金の支払い問題でフィンランドへの送電を14日から停止すると発表した。
	RAO Nordicは、「5月6日以降、Nord 
	Pool 経由で販売した電気代の支払いがないため、ロシアからの輸入代金を支払えない。送電を止めざるを得なくなった」と主張した。
	フィンランドは5月12日にNATOへの加盟を申請する意向を表明、ロシア外務省は「報復措置」を取らざるを得なくなるだろうと述べており、送電停止は報復の可能性もある。
北欧では電力取引所(Nord Pool)が電力の仲介をしており、ロシアの電力はNord 
	Poolを通じてフィンランドの系統運用者のFingridが輸入している。
	
		
		
		https://www.kepco.co.jp/corporate/report/yaku/15/pdf/yaku15_P34_54.pdf
 
	
	Fingrid もNord Pool も、今回の支払問題の背景について説明していない。
		Fingridは、ロシアへの支払いはNord Poolが行なっており、同社としては取引当事者でないとしている。
	ロシアは天然ガスについてはルーブル払いを条件にしたが、電力については明らかでない。Nord 
	Poolは、ルーブル払いを要求されたかの問いに「我々はルーブルで決済を行ったことはない」と述べるにとどまっており、詳しい背景は不明である。
	輸入した電気の代金を支払わないということは考え難く、フィンランドのNATO加盟への報復か、又はルーブル払いの要求の可能性がある。
Fingridでは、ロシアからの電力は国内需要の1割を占めるが、「スウェーデンからの輸入増や国内の供給増で不足分を賄える」としている。
	フィンランドの電力自給体制はどんどん改善しており、特に風力発電が増加している。本年だけでも追加の2000メガワットの風力発電が稼働する。
	フィンランドのTeollisuuden Voima Oy(TVO)は2021年12月21日、2005年から建設中だったOlkiluoto原子力発電所3号機(出力172万kWの欧州加圧水型炉:OL3)が臨界条件を達成したと発表した。本年6月からは営業運転を行う。(Olkiluoto島には、原発から出る放射性廃棄物の地下最終処分場 
	Onkaloが併設されている。)
	2023年に電力自給が完成する予定。
なお、フィンランドの地元紙はロシアからの天然ガス供給が近く停止される可能性があるとも報じている。フィンランドでは2020年に国内で消費した天然ガスの7割近くをロシア産が占めた。
	付記
フィンランドの国営ガス会社Gasumは5月20日、ロシアからの天然ガス供給が21日午前7時で停止すると明らかにした。ロシアからは既に送電が止まっている。
	ロシアのGazpromは、ユーロではなくロシアの通貨ルーブルによる支払いを求めていたが、フィンランドはこれを拒否し、供給停止が決まった。 
	
	 
	天然ガスについては、欧州で下記の問題が発生している。
	1)ロシアはパイプライン経由の天然ガスについてルーブル払いへの切り替えを要求している。但し、下図の仕組みを提案した。
	
	
	
	ロシア案の仕組みであれば、買い手は契約通りのユーロで支払ったと言え、売り手のGazpromはルーブルで支払いを受けたと言うことができる。
	買い手が直接ルーブルで払う場合は各国の市中で多額のルーブルを入手するのは困難だが、この場合は問題ない。
	2)ポーランドの国営ガス会社PGNiGは4月26日、ロシア国営Gazpromから天然ガス供給を4月27日から停止するとの通知を受けたと発表した。ブルガリアも同様に4月27日からのガス供給停止を通知された。
		
		
		ポーランドがガス購入でルーブル決済を拒否し、ロシアが圧力を強めた可能性がある。
		ポーランド側がロシア天然ガスの購入を拒否したとの説もある。
	
	
	
	3)ウクライナが同国のロシア占領地域経由のパイプラインを停止、ロシア非占領地帯経由パイプラインへの切り替えを要求
	2022/5/12 ウクライナ、ロシア産天然ガスの欧州向けパイプラインを一部停止
	4)Gazpromは5月12日、ポーランドなどを経由するパイプラインYamal 
	Europeを通じた天然ガスの供給を止めると明らかにした。
	  ロシア政府が5月11日に発表した制裁対象に、パイプラインの一部を所有するポーランド企業EuRoPol GAZが含まれていたため。
	
		
	
	
	付記
デンマークのエネルギー会社Ørstedとオランダのガス会社GasTerraは5月30日、ルーブル払いを拒否したため、天然ガスを切られると発表した。
Gazpromは同日、5月31日でGas 
Terraへの供給を停止すると発表した。 
ポーランド、ブルガリア、フィンランドに次ぐもの。
 
Gazprom 
は5月31日、デンマークのØrsted向けと、Shell Energy経由のドイツ向けの供給停止を発表した。両社がルーブル払いを拒否したため。
 
	 
	2022/5/17    Pfizer、片頭痛治療薬販売の米Biohaven Pharmaceutical を買収
  
Pfizerは5月10日、成人の急性片頭痛の治療及び一時的片頭痛の予防薬 NURTEC® ODTの開発会社である米Biohaven 
Pharmaceutical を現金116億ドルで買収すると発表した。PfizerはBiohavenの借入金や優先株も引き受ける。買収は手元の現金で行う。
1株あたり148.5ドルの買収で、Biohaven 株価の
過去3か月の加重平均111.70ドルに33%のプレミアムが上乗せされている。Pfizerは2021年11月にBiohaven株 
2.6%を1株173ドル、合計350百万ドルで購入しており、残り全株を買収する。
	その後の金利とインフレ率の上昇を受けて、投資家はリスクの高い成長株から資金を引き揚げて
	おり、Biohavenの株価も1月以降、40%下落していた。
Pfizerを含む現在のBiohaven株主は別途、Biohavenの開発段階の非CGRP製品を残す新会社New Biohaven社の株を、Biohaven株1株当たり 
0.5株を受け取る。
 
片頭痛は一定の性質を満たす頭痛発作が繰り返す慢性疾患だが、確固とした神経疾患である。
病態生理の解明が進んだ結果,カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin 
gene-related peptide; CGRP)を標的にした特異的治療が行われるようになった。
Biohavenの製品もCGRP製品である。
Biohaven Pharmaceutical はPfizerによる買収後もBiohavenの社名で
子会社として存続するが、同社の製品のうち、下記のCGRP関連のみを残し、それ以外の製品を新会社New Biohavenに移すもの。
	- 一般名 rimegepant: 
	
		- 米国で承認、製品名 NURTEC® ODT、急性片頭痛の治療、一時的片頭痛の予防薬
- EUで承認、製品名 VYDURA® 
		、急性片頭痛の治療、一時的片頭痛の予防薬
 
 
- 一般名 zavegepant: 
	
		- 急性期片頭痛の治療用鼻腔内スプレイ(米国で申請済み)、慢性片頭痛予防用の口腔ソフトゲル(開発中)
 
 
- 臨床研究前段階の5つの CGRP 製品 
なお、Pfizerは2021年11月にBiohaven株2.6%を購入しているが、この時点でBiohaven 
社のrimegepant とzavegepant の米国外での商業化の協力の契約を結んでいる。
Pfizerはこれらの年間売上高総額がピーク時に60億ドルを超える可能性があると見込んでいる。
NURTEC® ODTは昨年463百万ドルの売上高を記録、Biohavenでは、今年の売上高が825ー900百万ドルを見込んでいる。
CGRP受容体拮抗薬で現在最も売上高が大きいのは、Eli 
Lilly(製品名Emgality、第一三共と提携)とAmgen(製品名 Aimovig) が販売する注射タイプの薬で、経口薬としてはAbbvie(製品名Qulipta)
 が販売し、NURTEC® ODTと競争を繰り広げている。
ーーーーー
Pfizerは5月3日に2022年1〜3月期決算を発表したが、新型コロナウイルスワクチンの売り上げが伸びたことなどから、大幅な増収増益である。
(単位:百万ドル)
	
		|  | 2022/1-3 | 2021/1-3 | 増減 | 
	
		| 売上高 | Pfizer 
		Biopharma | ワクチン | 14,941 | 4,894 | 10,047 | 
	
		| Hospital | 3,191 | 1,886 | 1,305 | 
	
		| 抗がん | 2,967 | 2,862 | 105 | 
	
		| 内科 | 2,440 | 2,594 | -154 | 
	
		| その他 | 1,784 | 1,889 | -105 | 
	
		| 合計 | 25,323 | 14,125 | 11,198 | 
	
		| Pfizer 
		CenterOne (CDMO) | 338 | 391 | -53 | 
	
		| 合計 |  | 25,661 | 14,516 | 11,145 | 
	
		| 税引前損益 | 9,050 | 5,692 | 3,358 | 
	
		| 株主帰属損益 | 7,864 | 4,877 | 2,987 | 
 
2022/5/18   IMF、人民元のSDR通貨バスケット構成比率引き上げ 
	
	国際通貨基金(IMF)は5月11日、5年に1度の特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットの構成比率見直しを行い、人民元の比率を10.92%から12.28%まで引き上げた。
	人民元が2016年にSDR構成通貨に正式採用されて以来、初の見直しとなった。
	
	新たなSDRの通貨バスケット構成は今年8月1日から正式に適用される。次回の見直しは2027年に行われる。
	
	 
	
	構成比率の推移は下記の通り。2000年比でみると、日本円の比率が大きく減少しているのが目立つ。
	
	
	
	
	
	特別引出権(SDR)は、加盟国の準備資産を補完する手段として、国際通貨基金(IMF)が1969年に創設した国際準備資産。
	
	現在までに6,607億SDR(約9,430億ドルに相当)が配分されている。
	
	このうち、4,565億SDRが2021年8月2日に承認された史上最大の配分によるもので、この最も新しい配分は準備資産の長期的かつ世界的なニーズに対処することを目的としており、コロナ禍の影響に各国が対応できるよう支援することが狙い。
	
	
	
	ーーー
	
	
	SDRの価値は当初、純金0.888671グラム
	(当時の1米ドルと等価値)に相当すると決められていたが、1973年のブレトンウッズ体制の崩壊に伴い、SDRは通貨バスケットとして再定義された。
	
	主要16カ国通貨の加重平均による価値に結びつけるとする「通貨バスケット方式」を1974年7月1日から採用することを決定
	した。
	
	
	
	
	
	
	1981年に計算の簡便化を図った。
	
	
	ある通貨がSDRバスケットの構成通貨として採用されるためには、「輸出基準」と「自由利用可能基準」という2種類の条件を満たす必要があ
	るとした。
	
		
		
		「輸出基準」:発行する国または通貨同盟の輸出額が世界で5本の指に入る
		こと。
		「自由利用可能」:国際取引の支払いで広く使われており、主要な為替市場で広く売買されている。
	
	
	
	
	1981年に「5
	
	
	年間の財・サ−ビス輸出量が上位
	
	
	5
	
	
	位以内の加盟国通貨」(ドル、マルク、円、仏フラン、英ポンドの
	
	
	5
	
	
	通貨)の加重平均方式に変更、その後、ユ−ロ導入で2001年に4
	
	
	通貨(ドル、ユーロ、円、英ポンド)の加重平均になった。
	
	通貨バスケットは、世界の貿易制度と金融制度における通貨の相対的な重要性を反映するために、5年ごとに見直しが行われ
	る。
	
	
	
	2015年11月に終了した前回の見直しでは、中国人民元がSDRバスケット入りの条件を満たしたとの決定がIMF理事会によって下され、2016年10月1日から実際に中国人民元がSDRバスケットを構成することになり、中国国債の3か月物のベンチマーク利回りがSDR金利バスケットに組み入れられることになった。
	
	2021年3月、IMF理事会はSDR価値バスケットの見直しを2022年7月31日まで延期することを決定し、5年周期で行っているSDR価値見直しの流れを実質的に変更した。今回の見直しで2022年8月1日に新たなバスケットが発効する。
 
 
2022/5/19 主要企業の2022年3月期決算  三菱ケミカルホールディングス 
増収、大幅利益となり、増配した。
	
		| 単位:億円 | 売上高 | 営業損益 | 税引前 損益
 | 株主帰属 損益
 | 配当(円) | 
	
		| コア | 非コア | 合計 | 中間 | 期末 | 
	
		| 2020/3 | 35,805 | 1,948 | -505 | 1,443 | 1,220 | 541 | 20 | 12 | 
	
		| 2021/3 | 32,575 | 1,747 | -1,272 | 475 | 329 | -76 | 12 | 12 | 
	
		| 2022/3 | 39,769 | 2,723 | 309 | 3,032 | 2,904 | 1,772 | 15 | 15 | 
	
		| 増減 | 7,194 | 976 | 1,580 | 2,557 | 2,575 | 1,847 | 3 | 3 | 
	
		| 2023/3予 | 44,360 | 2,750 | 20 | 2,770 | 2,660 | 1,530 | 15 | 15 | 
前年の2021/3ではコア営業利益が減額で、多額の減損損失を計上し、株主帰属損益が赤字となり、減配。
今期はコア営業利益が前々年比でも増益で、減損損失もなく、大幅増益となった。
	前期には下記の非コア損益があった。(百万円)
	
		
		
		
		
		
			
				| ヘルスケア (田辺三菱製薬)
 | -84,534 | 2019/10/18にイスラエルの中枢神経系治療薬(パーキンソン病等)の研究開発 
				を行なうNeuroDerm 
				Ltd.を総額11億ドル(経費込み1,252億円)で買収したが、予定した収益性が低下する見込みとなり、技術に係る無形資産を減額 (詳細 2021/2/10ブログ参照)
 | 
			
				| MMA (旧 三菱レイヨン)
 | -19,382 | 米国子会社 
				
				
				Lucite Internationalのテキサス州BeaumontにおけるMMAモノマー及びMAA生産を終了し、工場を閉鎖することを決め 
				、減損損失を計上した。 
					
					
					2020/11/6 
					
					三菱ケミカル、テキサスのLuciteのMMAプラント閉鎖 これに関連し、コア営業損益のなかに、特別退職金 
				-901百万円、工場閉鎖関連損失引当金繰入額 
				-3,318百万円 
				、合計 -4,219百万円を計上した。 なお、2020年12月に新エチレン法(アルファ法)によるMMAモノマーのプラント建設を前提にルイジアナ州ガイスマーの土地を取得した。2022年半ばを目途に投資の最終判断を行い、2025年中に35万tのMMAモノマー生産設備の稼働を目標とする。 | 
		
		
		
		
		
		2021/2/10 三菱ケミカルHD、2021年3月期決算 
		480億円の赤字予想 
	
コア損益  数量差の影響が大きい。
	
	
	
		
			|  | 18/3 | 19/3 | 20/3 | 21/3 | 22/3 | 増減 | 売買差 | 数量差 | コスト差 | その他 | 23/3 | 
		
			| 機能商品 | 940 | 713 | 613 | 597 | 787 | 190 | -51 | 313 | 56 | -128 | 850 | 
		
			| MMA | 1,096 | 944 | 238 | 131 | 318 | 187 | 179 | 140 | 95 | 450 | 350 | 
		
			| 石化 | 259 | 87 | -21 | 17 | 446 | 429 | 200 | 
		
			| 炭素 | 124 | 249 | 81 | 10 | 258 | 248 | 200 | 
		
			| 産業ガス | 575 | 633 | 880 | 851 | 989 | 138 | 11 | 201 | 6 | -80 | 1,050 | 
		
			| ヘルスケア | 812 | 538 | 165 | 179 | -70 | -249 | -80 | 116 | 32 | -317 | 140 | 
		
			| その他/全社 | -1 | -23 | -8 | -38 | -5 | 33 | -4 | 39 | 0 | -2 | -40 | 
		
			| 合計 | 3,805 | 3,141 | 1,948 | 1,747 | 2,723 | 976 | 55 | 809 | 189 | -77 | 2,750 | 
	
	MMA、石化、炭素の増益が大きい。この損益差のうちの「その他」は原料価格上昇に伴う在庫評価益(総平均法による)が大きい。
	
		MMAと石化の損益推移  MMA価格は2019年に@2650であったが、2020年に@1550弱となった。最近は@1900程度とされる。
		
		
	
	産業ガスは好調で推移。下記日本酸素ホールディングス参照
	ヘルスケアについては、下記の田辺三菱製薬を参照
  なお、三菱ケミカルホールディングスは2021年12月1日、新経営方針「Forging 
the future 未来を拓く」を策定した。
	
		石油化学事業及び炭素事業については、分離・再編し、独立化を進めることで、国内基礎化学産業の再編を主導するとしている。
		
			2021/12/2 三菱ケミカルホールディングス、石油化学事業及び炭素事業を分離・再編へ 
		
	
田辺三菱製薬
三菱ケミカルホールディングスは田辺三菱製薬の普通株式の全てを取得し、田辺三菱製薬は、2020/2/27に上場廃止となった。
	
	
	2019/11/22 三菱ケミカルホールディングス、田辺三菱製薬に公開買付け
	
		
			| 単位:億円 | 売上高 | 営業損益 | 税引前 損益
 | 株主帰属 損益
 | 配当(円) | 
		
			| コア | うち ロイヤリティ
 | 非コア | 合計 | 中間 | 期末 | 
		
			| 2019/3 | 4,248 | 558 | 631 | -55 | 503 | 504 | 374 | 28 | 28 | 
		
			| 2020/3 | 3,798 | 191 | 174 | -252 | -61 | -65 | 1 | 非公表
 | 
		
			| 2021/3 | 3,778 | 210 | 159 | -795 | -585 | -577 | -46102 | 
		
			| 2022/3 | 3,859 | -30 | 133 | -127 | -157 | 非公表 | -102 | 
		
			| 増減 | 81 | -240 | -26 | 668 | 428 |  |  | 
		
			| 2023/3予 | 4,095 | 180 | 非公表 | 0 | 180 | 非公表 |  | 
	
 コア営業利益
	
	
	
	
	Medicagoが開発を進めている新型コロナウイルスワクチンやNeuroDerm社が開発を進めているパーキンソン病の治療薬など、複数のグローバル後期臨床試験が同時進行したことに加え円安の影響もあり、研究開発費が一時的に増大し、コア営業利益は前期比240億円減益となった。
	
	なお、カナダの60%出資子会社Medicagoが開発しているCOVID-19の植物由来のウイルス様粒子ワクチン(商品名:COVIFENZ)について、2022年2月24日、カナダで承認を取得した。
	しかし、WHOは同社がタバコメーカーのPhilip 
	Morrisからの出資(Philip 
	Morris 40%)を受けていることを理由に、WHOの緊急使用承認を「受けられない可能性が非常に高い」と発表した。タバコや武器会社との提携に関するWHOの「非常に厳しい」ポリシーに抵触する恐れがあるため、緊急使用承認が一時停止されているという。
	
	
		2021/10/3 田辺三菱製薬、カナダ子会社のCOVID-19ワクチン候補の日本における臨床試験開始
	
	コア営業損益のほとんどを占めていたロイヤリティ収入が2929/3期以降、激減し、大幅減収減益となった。
	同社はロイヤリティ収入を除くと、コア営業損益はほとんどゼロであった。
	問題は多発性硬化症治療剤「ジレニア」のロイヤリティ収入である。
	
		
		2019年2月、ノバルティスから本件契約の規定の一部の有効性について疑義が提起され、2019年2月15日、国際商業会議所より、ノバルティスを申立人とする仲裁の申立てがあった旨の通知を受領した。
		
		ノバルティスは、米国、EU等における製品の売上ベースのロイヤリティ支払い義務を定める本件契約の規定の一部は無効であり、ノバルティスにはロイヤリティの一部の支払義務がないことの確認を求めている。 
		
		IFRSルールでは、収益認識基準の要件の一つ 
		に「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」 
		があり、ノバルティスが契約の有効性について疑義を提起している部分がこれを満たさなくなったため、売上収益から除外する。
		
			2019/5/16  
			
			注目会社の決算  田辺三菱製薬
		
		
		
	
 非コア損益については2021年3月期に下記の大幅減損(845億円)があった。
	
		
		
		
		2019/10/18にイスラエルの中枢神経系治療薬(パーキンソン病等)の研究開発 
		を行なうNeuroDerm Ltd.を総額11億ドル(経費込み1,252億円)で買収したが、予定した収益性が低下する見込みとなり、技術に係る無形資産を減額(詳細 2021/2/10ブログ参照)
	
日本酸素ホールディングス (三菱ケミカルHDの産業ガス部門)
	2014年に三菱ケミカルHDがTOB 三菱ケミカルと合わせ、50.56%
	
		2014/5/19  
		
		三菱ケミカルホールディングス、大陽日酸株式の公開買い付け 
	
	2020年10月に大陽日酸から日本酸素ホールディングスに改称。
	
	
	2018年に米国のPraxair, Inc.の欧州事業を買収、損益に大きく貢献している。
	
		2018/7/13 大陽日酸、米国Praxairの欧州事業を買収
	
	 
2022/5/20       主要企業の2022年3月期決算  住友化学 
増収、増益、増配となった。
	
		| 単位:億円 | 売上高 | 営業損益 | 税引前 損益
 | 株主帰属 損益
 | 配当(円) | 
	
		| コア | うち 持分法
 | 非コア | 合計 | 中間 | 期末 | 
	
		| 2020/3 | 22,258 | 1,327 | 92 | 49 | 1,375 | 1,305 | 309 | 11 | 6 | 
	
		| 2021/3 | 22,870 | 1,476 | -125 | -105 | 1,371 | 1,378 | 460 | 6 | 9 | 
	
		| 2022/3 | 27,653 | 2,348 | 422 | -198 | 2,150 | 2,511 | 1,621 | 10 | 14 | 
	
		| 増減 | 4,783 | 872 | 546 | -93 | 779 | 1,133 | 1,161 | 4 | 5 | 
	
		| 2023/3予 | 31,200 | 2,000 |  | -200 | 1,800 |  | 1,250 | 12 | 12 | 
 
コア損益
	
	
	
		
			|  | 19/3 | 20/3 | 21/3 | 22/3 | 増減 | 23/3 | 
		
			| エッセンシャルケミカルズ | 616 | 145 | -120 | 535 | 655 | 410 | 
		
			| エネルギー・機能材料 | 230 | 203 | 203 | 201 | -2 | 180 | 
		
			| 情報電子化学 | 262 | 251 | 397 | 578 | 181 | 610 | 
		
			| 健康・農業関連 | 197 | 21 | 315 | 423 | 108 | 475 | 
		
			| 医薬品 | 808 | 753 | 717 | 617 | -100 | 330 | 
		
			| その他 | 94 | 88 | 128 | 158 | 30 | 155 | 
		
			| 全社 | -164 | -134 | -164 | -164 | 0 | -160 | 
		
			| 合計 | 2,043 | 1,327 | 1,476 | 2,348 | 872 | 2,000 | 
	
	石油化学をエッセンシャルケミカルズに改称
	コア損益のうち、持分損益は下記の通りで、石油化学部門のコア営業損益の推移と相似している。
	
		サウジのPetroRabigh(37.5%出資)は2020年は定期修理で長期停止したため、大きな赤字を計上したが、2021年は大幅な黒字となった。
	
	
	情報電子化学は好調が続く。
	
	健康・農業関連は2020年3月期には飼料用メチオニンの価格低下で採算が悪化していたが、その後、市況が上昇、海外農薬の出荷増もあり、採算向上した。
	
	医薬品は下記、住友ファーマ(旧称:大日本住友製薬)を参照。
 
非コア項目 
	
		
			|  | 合計 | 住友ファーマ | 
		
			| 2020/3 | 2021/3 | 2022/3 | 2020/3 | 2021/3 | 2022/3 | 
		
			| 減損損失 | -373 | -408 | -81 | -352 | -357 | -16 | 
		
			| 条件付対価 公正価値変動 | 485 | 225 | 33 | 485 | 225 | 33 | 
		
			| 事業構造改善費用 | -78 | -63 | -106 |  |  |  | 
		
			| 固定資産売却益 | 9 | 187 | 7 |  | 167 |  | 
		
			| その他 | 6 | -45 | -51 | -20 | -19 |  | 
		
			| 合計 | 49 | -105 | -198 | 113 | 16 | 17 | 
	
	条件付対価 公正価値変動 (2020/3 & 2021/3):
	事業買収に当たり、買収額と純資産との差は「のれん」となるが、一定条件を満たした場合に追加支払いをする契約がある。
	IFRS基準ではこの場合、買収時点で将来の追加予想支払額を「のれん」と負債に計上する。
	その後、追加支払い契約分が確定した時点で、買収時に計上した「のれん」は修正せず、損益処理する。
	さらに追加支払いの場合はその分を費用計上、支払い不要の場合は負債を消し、利益を計上する。別途、過大であった「のれん」を減損処理する。
	
	大日本製薬の場合、いくつかの買収で追加支払いが不要となり、買収時に計上した負債を消し、利益に計上した。合わせて、「のれん」を評価しなおし、減損損失を計上した。
	大日本製薬の売却益は既に休止している茨木工場跡地の売却益である。
ーーー
住友ファーマ(旧称 大日本住友製薬)
   
2005年10月1日に住友製薬と大日本製薬が合併し、大日本住友製薬となったが、2022年4月1日付で住友ファーマに改称した。
Sumitovant関連(下記)で減益となったが、2023年3月期はさらに大幅減益となる。
	
		| 単位:億円 | 売上高 | 営業損益 | 税引前 損益
 | 株主帰属 損益
 | 配当(円) | 
	
		| コア | うち Sumitovant
 | 非コア | 合計 | 中間 | 期末 | 
	
		| 2020/3 | 4,827 | 720 | -156 | 113 | 832 | 839 | 408 | 14.0 | 14.0 | 
	
		| 2021/3 | 5,160 | 696 | -636 | 16 | 712 | 779 | 562 | 14.0 | 14.0 | 
	
		| 2022/3 | 5,600 | 585 | -869 | 17 | 602 | 830 | 564 | 14.0 | 14.0 | 
	
		| 増減 | 441 | -111 | -233 | 1 | -110 | 51 | 2 | 0 | 0 | 
	
		| 2023/3予 | 5,500 | 300 |  | -60 | 240 |  | 220 | 14.0 | 14.0 | 

大日本住友製薬は2019年10月31日、米国のRoivant 
Sciences 
との間で、戦略的提携に関する正式契約を締結し、米国に運営会社Sumitovant 
Biopharmaを設立した。
	2019/11/4 大日本住友製薬、Roivant 
	Sciences と戦略的提携、30億ドルを投資 
仕掛研究開発費として2,659億円を資産計上した。
Sumitovantの販売活動の本格化で、同社の販管費、研究費は増加している。
全社損益のうち、Sumitovantの 
部分は下記の通り。既存製品の
収益でSumitovantの費用を賄っている。
	
		| 単位:億円 | 売上高 | 販間費 | 研究費 | 営業損益 | 株主帰属 損益
 | 
	
		| コア | 非コア | 合計 | 
	
		| 2020/3 | 0 | 65 | 90 | -156 | 0 | -156 | -119 | 
	
		| 2021/3 | 78 | 465 | 246 | -636 | 0 | -636 | -443 | 
	
		| 2022/3 | 357 | 903 | 243 | -869 | 4 | -869 | -716 | 
	
		| 増減 | 279 | 438 | -3 | -233 | 4 | -229 | -273 | 
	
		| 2022/3予 |  | 1,179 | 258 |  |  |  | 非開示 | 
 
2022/5/21 インド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework)
					
						
						ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官は、5月22日からのバイデン大統領の日本訪問中に、岸田首相も同席して中国への対抗を念頭にしたIPEF(インド太平洋経済枠組み)の立ち上げを表明すると明らかにした。
						
							
							東南アジアなどの国の首脳もオンラインで出席する。米国としては各国との連携をアピールする場にしたい考えとみられる。
							
							「デジタル経済のルール作りや強固で強じんなサプライチェーンの確保、エネルギーの転換など、新たな経済の課題に立ち向かうためにデザインされた21世紀の新たな枠組みだ」と説明した。
 
 
				
IPEFは、(1)公平で強靭性のある貿易、(2)サプライチェーンの強靭性、(3)インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー、(4)税、反腐敗の4つの柱から構成される通商枠組み
。米国の輸入拡大につながる関税の引き下げは交渉しない、としている点が、TPPとは大きく異なる。通常の多国間協定とは違い、議会の承認は得ず、緩やかな連携を目指す。
米国は、各国が枠組みのすべてに賛同しなくても、参加したい分野だけを選んで参加できる珍しい仕組みも検討している
。
林外相は5月17日の会見で次のように述べた。
	
		日本は、このインド太平洋経済枠組み(IPEF)を、米国のインド太平洋地域への積極的なコミットメントを示すものとして、歓迎をして
			いる。
同時に、米国によるインド太平洋地域の国際秩序への関与という戦略的な観点からは、米国のTPP復帰が「より望ましい」という我が国の立場、これは変わらない。
			日本としては、自由で開かれたインド太平洋の実現という戦略的観点から、引き続き、この米国のTPP復帰を求めていくとともに、IPEFを通じても協力を推進し、米国を含む形での、地域の望ましい経済秩序の構築に向けて、日米で緊密に連携して取り組んでいきたい
			。
  
インド太平洋地域にはTPPのほか、1月に発効した日中韓など15カ国による地域的な包括的経済連携(RCEP)といった大型自由貿易協定(FTA)が複数存在するが、いずれも「米国抜き」の枠組みで、中国はTPPへの加入を申請し、域内貿易の主導権を握るため先手を打っている。
政府関係者によると、IPEFへの参加がほぼ確定しているのは、米国のほか、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、フィリピンの8か国と
される。
関税の引き下げは交渉しないため、米国の市場開放を通じて輸出を拡大したい東南アジア諸国の一部は、「参加をしてもあまりメリットがない上、アメリカの関与を嫌がる中国との関係が悪化するかもしれない」と懸念の声もあり、参加に慎重である。インドとインドネシアは条件が折り合わず参加に難色を示している。
 
付記 
バイデン米大統領は5月23日、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を表明した。日米と韓国、インドなど計13カ国を創設メンバーとし、中国に対抗してサプライチェーン(供給網)の再構築やデジタル貿易のルールづくりなどで連携する。
赤字がIPEFに参加する国:当初13カ国、青字が追加参加
	
		|  |  | ASEAN | 東アジア | 南アジア | ANZ |  | 旧NAFTA | Mercosur | その他 |  | 参加申請 | 
	
		| RCEP | TPP | マレーシア | 日本 |  | 豪州 |  | カナダ | ペルー |  | 英国、中国、 台湾、
 エクアドル
 | 
	
		| シンガポール |  |  | NZ | メキシコ | チリ |  | 
	
		| ベトナム |  |  |  |  |  |  | 
	
		| ブルネイ |  |  |  |  |  |  | 
	
		|  | フィリッピン | 韓国 |  |  | 米国 |  | フィジー(5/26) |  | 
	
		| インドネシア | 中国 |  |  | 
	
		| タイ |  |  |  | 
	
		| ミャンマー |  |  |  | 
	
		| ラオス |  |  |  | 
	
		| カンボジャ |  |  |  | 
	
		|  |  |  |  | インド |  | 
	付記
	
	米国連邦上院議員52人が5月18日、バイデン大統領宛にインド太平洋経済枠組み(IPEF)の参加メンバーに台湾を含めることを要請する書簡を送付した。
	しかし、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は5月22日、IPEF発足時に台湾は参加しないと明らかにした。バイデン政権も「一つの中国」政策を堅持しており、中国を除外して台湾の参加を認めれば、中国を過度に刺激しかねないと判断したとみられる。 
	
	
	補佐官は、「しかし、われわれは台湾と経済パートナーシップを深化させる考えだ。これにはハイテク、半導体、サプライチェーン(供給網)が含まれる」と述べた。
	 
付記 インドも参加する。
Indo-Pacificという名前にもかかわらず、インドが参加しないのは米国にとって残念なことであろう。
	インドは米国の対中包囲網のコアの一つである日米豪印のQuadのメンバーであるが、ロシアと中国との関係も深い。
	
	中国、ロシア、中央アジア4カ国でつくる上海協力機構に2017年6月にパキスタンとともに正式に加盟した。中国とは国境紛争はあるが、両国首脳の関係は良好である。
	
	2月25日に、ウクライナ問題でロシア軍の即時撤退を求める国連安保理事会の決議が当事者のロシアの拒否権で否決されたが、ロシアの拒否権に加え、中国、インド、UAEが棄権した。
	
インドはRCEPからも最終段階で離脱した。
 
2022/5/23    
化学メーカーの2022年3月期決算 
化学メーカーの3月期決算がほぼ出揃った。
	各社の決算状況は https://knak.jp/kessan/ 
	下記3社は詳細を既報
	 信越化学、三菱ケミカルホールディングス、住友化学   三菱&住化
 
売上高
石油化学製品の値上げによる増収が目立つ。
JSRの売上高減少は、合成ゴム事業を2022年4月1日付でENEOSに譲渡したため。
2021/3月期と2022/3月期の損益は
非継続事業損益に含めたため、売上高からは除外された。
 
営業損益(IFRS方式の企業はコア営業損益を表示)
ほとんどの企業が増益だが、損益が急増している企業もある。信越化学の増益額は驚異的である。
信越化学はShintechの増益(増設による数量増、売価アップなど)が大きい。ブログ記事参照
三井化学は基盤素材(石油化学等)の増益(+555億円、うち交易条件が+444億円)が大きい。
東ソーはクロルアルカリ(+280億円)、機能商品(+200億円)が増益。
 
株主帰属損益
前期の日本触媒の赤字は欧米関係の減損(-212億円)、
JSRは(-552億円)エラストマー事業売却に備えての減損(-772億円)や構造改革費用(-102億円)による。
2022/5/24 現代自動車、米にEV工場  
韓国の現代自動車は5月21日、米ジョージア州に電気自動車(EV)の専用工場を新設すると発表した。
投資額は55億ドルで、2025年の稼働を目指す。生産能力は年産30万台規模で、車載電池工場も併設する。
鄭義宣会長は訪韓中のバイデン米大統領と5月22日に単独で会談したが、その後の記者会見で、上記に加え、ロボティクス、Urban Air Mobility (UAM:人や物を空を使って輸送する都市交通システム)、自動運転技術など未来新事業で米国と協力するため2025年までに50億ドルを追加投資すると明らかにした。今後3年で合計105億ドルを米国に投資する。
鄭会長は「米国で高品質の電気自動車を生産し、現代自動車グループが米国の自動車産業のリーダーとして跳躍できると自信を持っている。ロボティクスや自動運転などへの投資を通じても米国の顧客に高い便宜と安全を提供したい」と発言した。
バイデン大統領は会見で「ジョージア州の電気自動車工場を通じて8000人以上の雇用が生まれる。これは米国国民にとって、より多くの経済的恩恵を意味する」と述べた。
 
現代自動車グループは5月20日、ジョージア州政府と電気自動車・バッテリーセル工場など電気自動車生産拠点を構築する内容の投資協約を締結した。
ジョージア州Bryan 
Countyに来年着工し、2025年上半期から稼動する。生産量を次第に増やし2030年に年産30万台とする。
ジョージア州政府は税制優遇などインセンティブを提供し、持続的な諸般の支援を約束した。
電気自動車工場の近くにバッテリーセル工場も建設する予定で、「バッテリーセル工場は合弁形態で設立するだろう。合弁対象は確定しておらず検討中」と説明した。SKオン、LGエネルギーソリューション、サムスンSDIの韓国企業3社のうち1社が有力という。
	
	SKイノベーションは2021年10月1日、電池事業を分社し、全額出資の「SKオン」(SK 
	on)を設立した。EVの世界的な普及による需要急増に対応するため、電池事業を上場させて増産資金を確保する狙いがある。
	
	SKは現在、米国や欧州、中国の3大市場で合計5つの新工場建設を進めている。足元で年間40ギガワット時の電池生産能力を2025年には200ギガワット時まで拡大する。
	
	なお、同じ10月1日にSKイノベーションから石油開発事業の「SKアースオン」(SK earthon) が分社した。
現代自動車グループが米国に生産工場を作るのはヒョンデ(現代自動車)のアラバマ工場、起亜のジョージア工場に続き14年ぶり。既存の工場はエンジン車だけ生産してきた。
現代自グループの2021年の世界小売販売台数710万台のうち北米地域は23%を占める。
同グループは起亜と合わせて2030年にEVの世界販売目標を323万台に設定、2021年実績の約25万台から13倍に引き上げる方針で、韓国や米国、欧州の既存工場でのEV増産を進める。
このうち米国では2030年まで84万台の販売が目標。
5月18日には、21兆ウォン(165億4千万ドル)を投資し、韓国でのEV生産台数を今年の35万台から2030年には144万台へと4倍以上増やすと発表している。
2022/5/25    東南アジアから中国経由で欧州へ貨物輸送 
中国ラオス鉄道の国際貨物輸送列車と中国各都市から欧州や「一帯一路」沿線国を結ぶ貨物列車便「中欧班列」が試験的に開通した。
2022年5月18日、20feet換算50個のコンテナを積み込んだ国際定期貨物列車「中欧班列」が、貴州省貴陽市の国際陸上海上連携物流港を出発し、ハンガリーのブダペストに向かった。
貨物の一部はベトナムから中国ラオス鉄道を経由して貴陽に輸出され、それから「中欧班列」に積まれて欧州に直接輸出されている。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、東南アジアの航空路線は便数が減り、海上輸送費は変動が大きく、貨物を積み込むスペースが不足している。
このため、「中欧班列」の南方路線が東南アジア各国からの海上輸送の穴を効果的に埋めることになった。
 
2016年6月以降は中国各都市から欧州や「一帯一路」沿線国を結ぶ貨物列車便を「中欧班列」という統一ブランドで総称し、中国各都市と欧州23カ国180都市を結んでいる。

 
中国ラオス鉄道の開通式典が2021年12月3日、ラオスのビエンチャン駅と中国の雲南省昆明駅で同時に開催された。
ビエンチャン〜昆明間1,035キロ10時間で結ぶ。これまで両区間はトラックの貨物輸送で48時間を要していた。

式典の後、貨物列車がラオス中部の鉱山で採掘されたカリウム塩、天然ゴムなどを積載し、ラオスから中国に向けて初運行を行った。昆明駅からも、飼料用添加物などを載せた貨物列車がラオスに向けて出発した。
旅客列車については、運行時に乗務員の交代は不要となり、越境後もそのまま相手国内の運行が可能となる。貨物列車については越境後に機関車と乗務員を相手国側と交代する。
2022/5/26 三菱商事と三井物産等、米国キャメロンLNGプラント近接地
でCCS事業化検討、LNG増設も 
米国のSempraの子会社 Sempra Infrastructureは5月23日、Cameron 
LNGのパートナーである三菱商事、三井物産、TotalEnegiesとの間でルイジアナ州でのCO2回収・貯留事業(Hackberry Carbon 
Sequestration project ) に参加する契約に調印したと発表した。
Sempraの100%子会社であるHackberry Carbon Sequestration 
LLCが既に2001年8月に本案件の事業予定地におけるClass VI 
圧入井掘削に関して米国環境保護庁宛に許認可を申請済みである。
	
		
			
				本事業は、年間最大200万トンのCO2を
Cameron LNGプラントの近接地に地下貯留するもので、Cameron LNG 
				の既存のPhase 1と本年4月に合意したPhase 2 の操業時に排出されるCO2の削減に貢献する。
今後、4社はHackberry 
				Carbon Sequestration project のためのJVを設立する。
				ーーー
キャメロンLNGプロジェクトは、米Sempra Infrastructure、三菱商事と日本郵船の合弁会社
のJapan LNG Investment、三井物産、TotalEnergiesが参画しているLNG輸出プロジェクト。
				
					
					
					当初はフランスガス公社(GDF)と旧Suez の合併によるGDF SUEZが参加していた。GDF SUEZは2015年4月にENGIEに改称したが、ENGIEは2018年7月にこの権益を含むLNGの上流・中流事業をフランスのTotalに売却した。
					
					
				
	
		
		2012/4/20 三菱商事と三井物産、米国産LNGを輸入へ
	
				Sempra 
				Infrastructureは2022年4月、三菱商事/日本郵船のJapan LNG 
				Investment、三井物産、TotalEnergiesとの間でCameron LNG Phase2 輸出計画についてheads 
				of agreementを結んだ。
				
				既存の3系列(各400万トン)のデボトルネッキングによる能力増に加え、第4系列(675万トン)を建設する。
				heads of 
				agreementでは、第4系列の製品の50.2%と、既存系列のデボトルネッキングによる増産分の25%をSempraに割り当てる。増加分の残りは既存3社が配分する。
				
				コンプレッサーの駆動にガスタービンではなく、電動モーターを活用する「E-Drive」の採用が検討されており、LNGプラントにおけるCO2排出の低減に寄与する。
 
	 
 
2022/5/27  Stellantis、米国での2つのEV向け電池合弁会社の内容が確定 
Stellantis N.V.は2021年10月、LG Energy Solution及びSamsung 
SDIとの間でそれぞれ、北米で電動車用の電池生産の合弁会社を設立すると発表した。
Stellantis N.V.は、2021年1月16日付でFiat 
Chrysler Automobiles N.V.とPeugeot S.A.の統合により創設された。
ーーー
Stellantis N.V.は2021年10月18日、LG Energy Solutionと合弁会社を設立し、北米で電動車用の電池を生産すると発表した。
	2021/10/21 Stellantis 
	N.V.、米国でLGと合弁で電池生産 
StellantisとLG Energy Solutionは2022年3月23日、本契約を締結した。
	立地:カナダ オンタリオ州 Windsor (デトロイト市に隣接) 
	能力:45 gigawatt hours (GWh) 
	投資額:41億米ドル
	雇用:2,500人
	予定:本年後半に建設開始、2024年第1四半期生産開始
	 
付記
両社のこのJV名はNextStar Energyと名付けられた。
NextStar Energyは2023年7月6日、「ウィンザー市に建設しているバッテリーセルとモジュール生産の安定的な未来を保障する契約書に最終的にサインした。カナダ政府は、米国のインフレ削減法(IRA)並みの補助金の支給を約束した」と明らかにした。
米国の「先進製造業生産控除」では、米国で生産されたセル1kWh当たり35ドル、モジュールは1kWh当たり10ドルを支給する。業界では、カナダ政府がNextStar 
Energyに150億カナダドル規模の補助金を支給するものと見ている。
 
	ーーー
	
	LG Chemの電池子会社LG Energy Solution 
	は2021年3月12日、2025年までの5年間で米国に45億ドル以上を投資すると発表した。少なくとも2工場を建設、米国での電気自動車の成長に対応し、能力を70GWh増やす。
	LG単独ではミシガン州Hollandに5GWhの工場を持ち、GM、Ford 
	Motor、Chrysler などに供給しており、米国では単独で75GWhの能力となる。
	別途、GMとのJVで2工場を建設中で、合計能力は65GWh(単独分を加えると135GWh)となる。
	 
	
	
Stellantis N.V.は2021年10月22日、韓国電池大手のSamsung 
SDIとも米国で合弁会社を設立し、電気自動車用の電池工場を建設する覚書を締結したと発表した。
	
	
	2021/10/25 Stellantis、米国でSamsung 
	SDI とも合弁でEV電池生産  
Stellantis N.V.とSamsung SDI 
は2022年5月24日、本契約を締結した。
	立地:Kokoma, Indiana
	能力:当初 23GWh、2〜3年で33GWhに増強。Stellantis車需要に合わせ更に増強も
	投資額:25億ドル以上、最終31億ドル
	雇用:1400人
	予定:本年末に建設開始、2025年第1四半期に稼働
Samsung SDI 
はここで、2021年12月28日に発表した新バッテリー「PRiMX」を採用する。
	PRiMXは「最高品質のバッテリーで顧客に最上の経験をプレゼントする(Prime Battery for Maximum 
	Experience)」という意味を持つ。
	
	PRiMXブランドには@最高の安全性を保有した品質 A超格差高エネルギー技術 B超高速充電と超長寿命技術の3つの核心キーワードが盛り込まれた。
	
	「最高の安全性を保った品質」:バッテリー開発段階から製造そして出荷に至るまで、全プロセスに対する品質管理を強化した。開発段階ではバッテリー品質を高めることができる素材とデザインを選定し、製造・出荷段階ではディープラーニング基盤のAI検査を導入し、不良検出アルゴリズムを高度化した。すべての製造工程で約500種類の品質項目をチェックするなど、厳しい品質検査も行っている。
	
	「超格差高エネルギー技術」:ハイニッケル陽極とシリコン陰極など、最新素材技術と独自の製造力量を土台に実現した高容量・高出力バッテリー技術。これらは電気自動車の走行距離や、電動工具ぼ出力などの重要な性能を決定する。
	
	「超高速充電および超長寿命技術」:独自技術で実現したユーザー便宜機能。新しい工法で実現した超高速充電技術は、バッテリーセルの内部抵抗を減らし、リチウムイオンの移動距離と移動時間を最小化した技術。
	
	ーーー
	Stellantis はこれまでもSamsungから「Fiat 500e」や「Jeep 
	Wrangler 4xe」向けに電池供給を受けてきた。今回のJV設立で、両社の協力関係はさらに堅固になる。
	Samsung SDIは現在、韓国と中国、ハンガリーで電池工場を持つが、米市場のEVシフトの潮流に乗り遅れないように米国進出を検討してきた経緯がある。(同社はミシガン州にバッテリーパックの組み立て工場は持っている。)
	
2022/5/28    シャープ、決算修正、LGディスプレーへの損害賠償で特別損失追加 
シャープは5月11日、2022年3月期の決算を発表した。
しかし、同社は5月24日にこれを修正した。
特別損失に「訴訟損失引当金繰入額」として11,747百万円を追加し、これがそのまま株主帰属損益の減額となった。
	
		| 単位:百万円 | 
	
		| 
			
				|  | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 特別損失 | 株主帰属損益 |  
				| 5/11発表 | 2,495,588 | 84,716 | 114,964 | 26,409 | 85,738 |  
				| 5/24発表 | 2,495,588 | 84,716 | 114,964 | 38,156 | 73,991 |  
				| 増減 | ー | ー | ー | 11,747 | -11,747 |  
				| 2021/3月期 | 2,425,910 | 83,112 | 63,175 |  | 53,263 |  
				| 修正後増減 | +69,678 | +1,604 | +51,789 |  | +20,728 |  | 
	前期比での経常利益増は、持分法損益がマイナスからプラスになったほか、投資関連利益があり、さらに為替差益が増大したことによる。、
 
事態は下記の通り。
シャープは2013年12月19日に韓国LG
Displayとの間で特許ライセンス契約
を締結している。ディスプレー分野で、知的財産の利用を相互に認める「クロスライセンス契約」である。
これに関し、LG 
Displayはシャープ側に本契約違反があったとして、シンガポール国際仲裁センターに賠償等を請求する仲裁申立を行ない、2019年12月6日付で受理された。
今回、5月16日付で下記の仲裁判断がなされた。
	
	シャープがLG Dsiplayに対して、損害賠償額等として95,190千USD(11,747百万円)を支払うこと
	。
シャープも特許侵害を認めたことになる。ただ、意図的な特許侵害があったかどうかは明らかではない。
 
 
2022/5/30 東芝、取締役候補を発表 
東芝は5月26日、取締役候補13名を発表した。当初、5月13日に公表を予定していたが、人選を巡って「追加の時間を要する」として急遽延期していた。
社外取締役に主要株主で米資産運用会社Farallon 
Capital と米Elliott 
Investment Management
の2社から幹部を1人ずつ受け入れる。物言う株主(アクティビスト)の幹部が直接取締役を務めるのは珍しい。
取締役会議長には、公認会計士で、M&A助言会社Houlihan Lokey会長の渡辺章博氏を提案する。
暫定的に取締役会議長を務めている前社長の綱川智氏と前副社長は取締役を退任
する。代わりに現在の社長、副社長を取締役候補とした。
	東芝は2022年3月1日、同日付での代表執行役の異動を発表した。2人しかいない社内取締役が社長、副社長を退任し、新たに社内から3人の代表執行役(いずれも取締役ではない)を選任した。
	
		2022/3/2 東芝、綱川社長が退任 
	
現在の社外取締役6名は全員留任、新たに社内2名(現社長、副社長)のほか、社外取締役5人を候補とした。
全体で本来の13名で、社内2名、社外11名となる。事業経験者は非常に少ない。
東芝は4月7日、取締役会を開き、社外取締役で構成する特別委員会を設置し、株式非公開化を含む戦略的選択肢を検討することを決めた。買収を検討する投資家との交渉にも関与し、最良の非公開案を特定するという。
既報の通り、米投資ファンドのBain 
Capitalが東芝の買収を検討しており、株式の非公開化を前提にした提案の策定を進めていることが判明している。
2分割案を主導してきた戦略委員会は解散、2分割案を前提としていたエレベーター事業等の売却手続きも中断する。
	2022/4/8 東芝、2分割案の検討中断、非公開化も検討 エレベーター事業等の売却を再検討
4月に非公開化を含めた再編策の公募を始め、5月30日に締め切る。KKRとBlackstoneが連合を組むとされる。ほかにBainCapitalとカナダのBrookfieldが有力視される。
産業革新投資機構が東芝の買収を検討していることが判明した。
今回、アクティビスト(物言う株主)から新たな取締役候補2名を選んだことから、非公開化に向けて大きく舵を切ったと見られている。
	付記 2名の候補については、綿引万里子
	取締役が反対、初めて多数決で決めた。
	付記 6月28日の総会では、留任6人
	と、アクティビスト(物言う株主)からの新たな取締役候補2人を含む新任7人、合計13人
	全員が承認された。
	しかし、綿引万里子 
	取締役はこれを不満とし、直後に辞表を出した。
	 
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2021年6月25日の定時株主総会で、永山治取締役会議長と監査委員会の小林伸行委員の再任案が否決された。
当初の13人の候補のうち、2人を事前に下したが、更に2人が否決された。
また、選任された新任のジョージ・オルコットが辞任し、取締役は8人となった。
	2021/6/15 東芝、異例の取締役候補者変更 
	
		
		
		
			
				|  | 取締役 | 社外 | 新任 |  | 2022/3/1 | 今回 | 
			
				| 綱川 智 | 〇 | ー |  | 
				
				
				社長 | 社長辞任 | 取締役退任 | 
			
				| 永山 治 | 否決 | 〇 |  | 元 中外製薬 |  |  | 
			
				| 太田 順司 | 撤回 | 〇 |  | 元 新日鉄 |  |  | 
			
				| 小林 伸行 | 否決 | 〇 |  | CPA |  |  | 
			
				| 山内 卓 | 撤回 | 〇 |  | 元 三井物産 |  |  | 
			
				| Paul J. Brought | 〇 | 〇 |  | 元 KPMG |  | 留任 | 
			
				| Ayako Weissman | 〇 | 〇 |  | 元 投資会社 |  | 留任 | 
			
				| Jerry Black | 〇 | 〇 |  | イオン顧問 |  | 留任 | 
			
				| George Zage V | 〇 | 〇 |  | 元 Farallon |  | 留任 | 
			
				| 畑澤 守 | 〇 | ー | 〇 | 代)副社長 | 副社長辞任 | 退任 | 
			
				| 綿引 万里子 | 〇 | 〇 | 〇 | 元 裁判官 |  | 留任 | 
			
				| George Olcott | 〇→辞任 | 〇 | 〇 | 元 投資銀行 |  |  | 
			
				| 橋本 勝則 | 〇 | 〇 | 
				〇 | 元 
				デュポン |  | 留任 | 
			
				| 合計 | 13人→8人 |  |  |  |  | 留任6人 | 
		
		
		 
		新任取締役候補
		
			
				|  | 社外 |  | 
			
				| 渡辺 章博 | 〇 | 取締役会議長 (CPI) 
				Houlihan Lokey会長 | 
			
				
				| 島田 太郎 | ー | 代)社長 
				(2022/3/1より) | 
			
				
				| 柳瀬 悟郎 | ー | 代)副社長 
				(2022/3/1より) | 
			
				| 望月 幹夫 | 〇 | 元 IHI | 
			
				| 宇澤 亜弓 | 〇 | (CPI) | 
			
				| 今井 英次郎 | 〇 | Farallon Capital Japan | 
			
				| Nabeel Bhanji | 〇 | Elliott Investment Management | 
			
				| 合計 | 留任6人、新任7人、合計13人 | 
		
		  
 
2022/5/31 ウクライナ問題と食料危機 
欧州委員会のUrsula  von der Leyen委員長は5月24日、ロシアはエネルギー供給と同様に食料供給を「武器」として利用していると
述べ、ロシア軍による海上封鎖でウクライナから輸出できなくなっている小麦の輸送を可能にするよう、ロシアとの協議を呼びかけた。
委員長は世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で「ロシア軍はクライナで穀物や機械を没収しているほか、黒海ではロシア軍の艦船が小麦やヒマワリの種を積載したウクライナの船舶の航行を阻んでいる」と指摘
、世界的な協力こそが「ロシアの脅迫に対する解毒剤」になると述べた。
委員長はその後のインタビューで、「黒海の封鎖解除が最重要」とし、ウクライナのサイロに滞留している2,000万トンの小麦の輸出を可能にし、間近に迫っている食料危機を回避するためにロシアとの協議が必要と指摘し、「ロシアのせいで世界の人々が飢餓で死んでいくことはロシアの国益にかなわない」とし、食料輸出の「回廊」を設定するなどの解決策を模索する必要があると述べた。
ウクライナ政府によると、ウクライナは2021年に小麦20百万トン、とうもろこし24.6百万トンを輸出したが、ほとんどすべてが海路であった。貨車やトラックでの輸出はこのような大量輸出には向かず、倉庫や輸出関連施設は全てオデッサ周辺の港にある。
ロシアについては経済制裁の影響で海外との取引がしにくくなり、輸出量が減る可能性が指摘されている。欧米からの経済制裁や黒海沿岸の保険コストの上昇で海上輸出が止まった状態にある。
ロシア政府は、制裁の一部を解除する見返りとして、食料を積んだ船がウクライナを出港するための人道回廊を提供する用意があると明らかにした。ルデンコ外務次官は「食料問題の解決にロシアの輸出や金融取引に科せられている制裁の解除を含め、包括的なアプローチが必要であることは繰り返し述べてきた」と語った。 
プーチン大統領は5月28日、仏独首脳と電話会談し、ウクライナが黒海の港から穀物輸出を再開できる方法を議論する用意があると述べた。また、ロシアへの制裁が解除されればロシアは肥料や農産物の輸出を増やす用意があると伝えた。
 
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ウクライナは
「ヨーロッパの穀倉」といわれ、国土の約7割を農用地が占める。
西の国境付近を除き緩やかな丘陵地で、チェルノーゼムと呼ばれる肥沃な黒土が広がる。第2次大戦中、侵攻してきたナチスが土を貨車で運び出した。
国連のFAOは農業市場におけるロシアとウクライナの重要性について報告をまとめている。
	
	
	
	
	The importance of Ukraine and the Russian Federation for global agricultural
	
	
	markets and the risks associated with the current conflict
1) ウクライナとロシアの生産

2) 輸出量(2021年) 万トン
	
		
			|  | ロシア | ウクライナ | 
		
			| 小麦 | 3,292 | 2,005 | 
		
			| 大麦 | 516 | 561 | 
		
			| とうもろこし | 414 | 2,468 | 
		
			| ひまわり油 | 311 | 514 | 
	


3) 価格上昇

4) ウクライナの農業カレンダー

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なお、農作物の肥料に使われるカリウムの世界的な供給ではロシアとベラルーシが合計で35%を占めている。
	
	世界のカリウム生産量(2020年:万トン) source: USGS
	
		
			| カナダ | 138 | 31% | 
		
			| ロシア | 81 | 18% | 
		
			| ベラルーシ | 74 | 17% | 
		
			| 中国 | 60 | 14% | 
		
			| その他 | 87 | 20% | 
		
			| 合計 | 440 | 100% | 
	
2021年に米国とEUがベラルーシに対する経済制裁を発動したため、ベラルーシ産のカリウム肥料の輸出が滞り、国際価格の上昇が始まった。
そこに追い打ちをかけたのがロシアのウクライナ侵攻である。
中国データでは、4月の時点で輸入カリウム肥料の港渡し価格は1年前の2倍に上昇している。
 
	
	
	
	
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