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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2022/7/20 洋上風力の世界大手、日本参入を見送り 

洋上風力発電に使う風車の世界大手が日本への参入を見直す。デンマークのベスタスは日本で補助金を使った工場建設を保留し、独シーメンスグループも日本向け製品の供給を絞る。

政府が洋上風力発電の事業者を公募するルールを見直しており、開発規模が小さくなって採算が取れない。

政府自らが自由な競争を制限するように方針を変更した結果、日本での新事業が取り止めになる結果ともなりうる。

日本経済新聞は7月15日、「洋上風車大手が日本工場建設中止 公募ルール変更」の記事を出したが、ベスタスは、事実に反する内容であるとし、日経に記事の修正または削除を要請した。
ベスタスは日本市場において、これまでと変わることなく、再生可能エネルギーの普及に貢献するべく精力的に取り組むとしている。

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国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題になっている。

日本で洋上風力発電の導入が進んでいなかったのは、@海域の占用に関する統一的なルールがない、A先行利用者との調整の枠組みが存在しないのが問題である。

これらの課題の解決に向け、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(「再エネ海域利用法」)が成立、2019年4月に施行された。
選ばれた事業者はその区域内で最大30年間の占用許可を得る。

ところが、2021年12月の大規模計画3件の公募入札で、三菱商事を中心とする企業連合がすべてを勝ち取った。最安値は11.99円/kWhで、次点とは5円程度の差があった。

240点満点のうち120点が電気の供給価格で、運転開始時期は事業能力80点のうち「事業計画の実現性」20点分の一部(点数不明)に過ぎない。

価格は最も安ければ自動的に120点を獲得できるが、運転開始はどれだけ早めても最大20点までしかとれない。 (「最も確実に事業を実現」が20点で、「早く」は評価するのか不明)

このため、公募ルールを変更することとなった。

2022/2/24 国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題に

経済産業、国土交通両省は6月23日、洋上風力発電に参加する事業者を増やすための新たな公募ルール案をまとめた。複数の海域で同時に事業者を募る場合、特定の企業連合がすべて落札するのを防ぐ仕組みとする。運転開始時期が早い提案への評価も高める。多くの企業が参入できるようにして、洋上風力が普及する環境を整える

新たなルールでは「計画の迅速性」を20点満点で評価する。価格への配点は120点に据え置く一方、両省が満点を得られる価格をあらかじめ定める。事業者がそれより安い価格で提案しても一律120点として評価する。

複数の海域で同時に公募する際には、企業連合あたり100万キロワットを上限とする。次点との点差が大きい海域から選ばれ、上限に達したら他の海域への提案は無効とする。

この結果、風車メーカーは、価格がいかに安くても、採用される計画が限定されることとなる。このため、日本で工場を建設するメリットはなくなることとなる。

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洋上風車は、デンマークのVestas Wind Systems A/S、スペインのSiemens Gamesa Renewable Energy S.A.、米国のGeneral Electric の3社が世界3強と呼ばれる。

GEはさきの大規模公募で3海域を総取りした三菱商事連合と組む。今後も三菱商事連合と組むと見られる。


デンマークのVestjysk Stålteknikは、1945年設立で、 2003年に世界最大の風力発電機メーカーとなるべく、デンマークのNEG Miconと合併し、社名を Vestas Wind Systems A/S に変更した。同社の風力発電機は世界80ヶ国以上で導入され、世界で20,000人以上を雇用している。

2014年4月に三菱重工との合弁により、デンマークに洋上風力発電設備に特化したMHI Vestas Offshore Wind A/Sを設立、洋上風力発電分野におけるトップクラスのシェアを獲得している。

三菱重工業が70%、ヴェスタス社が30%を出資し、2021年に日本にMHIベスタスジャパンを設立した。

2021年9月にVestas が長崎県内に洋上風力発電設備(ナセル)の工場建設を検討していることが分かった。

ナセルを風に正対させ風の効率を最適に保つためのヨーシステム、ブレード角度を変化させローターの回転速度を調整するピッチシステム、増速機や発電機を排熱から保護するための冷却システム、ローターの回転を安全に止めるためのブレーキシステム、風速と風向を検知する風向風速計、雷から風車を守るための雷保護システム等 を搭載し、風力発電機を安全かつ効率よく発電運転することを可能にしている。

経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を利用して工場を建設するとみられた。

補助対象:建物・設備の導入等
補助率:大企業は1/2以内
補助上限:100億円
事業期間:原則3年で、大規模投資案件は4年

しかし、今回の新しいルールが適用されると、風車メーカーは、価格がいかに安くても、採用される計画が限定されることとなる。

今回、納入先の公募落選で、同社は長崎での工場建設を保留とした。

スペインのSiemens Gamesa Renewable Energy S.A.も、日本での洋上風車の供給を見送る方針を明らかにした。

 

政府自らが自由な競争を制限するように方針を変更した結果、日本での新事業が取り止めになる結果となり得る。


2022/7/21  福島第1原発事故 株主代表訴訟 東電元役員に13兆円命令  

東京電力福島第1原発事故が起きたのは旧経営陣が津波対策を先送りしたためだとして、東電の株主48人が同社の元役員5人を相手取り総額22兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟で、東京地裁 民事第8部の3人の裁判官は7月13日、勝俣恒久元会長(82)、清水正孝元社長(78)、武黒一郎元副社長(76)、武藤栄元副社長(72)の4人に 連帯して東電に13兆3210億円の支払うよう命じる判決を言い渡した。判決要旨

4人の過失を認め、「原子力事業者の取締役として安全意識や責任感が根本的に欠如している」と厳しく批判した。 小森明生元常務への請求は退けた。

株主側は国が試算した東電の賠償見込み額などから請求額22兆円を算定したが、判決は東電が支出するなどした廃炉費など1兆6150億円、被災者への賠償金7兆834億円、除染費用など4兆6226億円の合計を賠償額とした。2017年6月2日から支払済みまで年5分の割合による損害遅延金(利息)支払いも命じた。これらについては仮執行を認めた。

(仮に判決が確定しても、実際には個人で支払える限度をはるかに超えている。)

付記

東電の勝俣恒久元会長ら旧経営陣4人は7月27日、総額約13兆円の賠償を命じた東京地裁判決を不服として控訴した。
一方、22兆円の賠償を求めていた原告の株主側も控訴した。

政府の地震調査研究推進本部が2002年に公表した地震予測「長期評価」に基づき、東電は2008年に高さ最大15.7メートルの想定津波を試算した。 しかし旧経営陣側は訴訟で「長期評価は信頼性に欠け、津波対策をしても事故は防げなかった」と主張し、津波の予見可能性と事故の回避可能性が争点だった。

判決は長期評価について多くの地震、津波の専門家が検討に加わっていたことなどから「相応の科学的信頼性がある」とし、巨大津波の予見可能性を認めた。原子力部門の副本部長だった武藤元副社長が2008年に長期評価に基づく想定津波の信頼性の検討を外部の土木学会への委託にとどめたことについて「津波対策を先送りしたもので、著しく不合理」と批判。武藤元副社長の直属の上司だった武黒元副社長も津波対策を指示する注意義務を怠ったとした。

勝俣元会長と清水元社長は訴訟で「想定津波に関する報告を受けていない」と主張したが、判決は2人が出席する会議で10メートル超の津波が原発に襲来する可能性が議論されていたことから「過酷事故の可能性を認識しながら必要な調査をさせなかった」と判断した。

小森明生元常務(69)については、原子力担当の常務に就いてから事故までの期間が短いため、地裁は過失を認定しつつも賠償責任を否定した。

判決はまた事故の回避可能性について、原発の建屋が浸水しないようにする「水密化」をしていれば防げた可能性があるとした。

 

判決概要:

1.取締役の善管注意義務

福島第一原発1〜4号機において、10m盤を少しでも 超える高さの津波が襲来した場合には、4m盤上の非常用海水ポンプの機能を確実に喪失し、これだけでも過酷事故に至る危険性があったことに加え、さらに、10m盤上にある交流電源設備及び主な直流電源設備の機能喪失により全電源喪失状態が生じる可能性があったから、炉心損傷ないし炉心溶融に至り、過酷事故が発生する可能性は極めて高い。

原発で大量の放射性物質を拡散させる過酷事故が発生すると、わが国そのものの崩壊にもつながりかねない。原発を設置、運転する会社は、最新の科学的、専門技術的知見に基づき想定される津波で過酷事故が発生する恐れがある場合、事故を防ぐために必要な措置を講ずべき義務を負う。取締役は、措置を講ずるよう指示すべき会社に対する善管注意義務を負う。

2. 津波の予見可能性

海溝型分科会では、津波地震について、異論を踏まえた上で、委員が合意できる案が長期評価の見解として取りまとめられ、長期評価部会及び地震調査委員会でも、委員間での適切な議論を踏まえた上での結論であった。いずれの議論でも、福島県沖日本海溝沿いでは、津波地震が発生しないとの意見を述べた者はいなかった。

慶長三陸地震、延宝房総沖地震及び明治三陸地震の3つの地震を日本海溝沿い領域で発生した津波地震とすること、三陸沖北部から房総沖までの日本海溝沿いを一つの領域とすること、このような地震が同領域のどこでも発生し得ることについて、その後の長期評価部会及び地震調査委員会での議論を経て、反対意見もなく了承されたのであるから、地震や津波の専門家による適切な議論を経た上で合意できる範囲が承認されたものといえる。

政府の地震調査研究推進本部の目的・役割、メンバーの構成などに照らせば、「長期評価」の見解は相応の科学的信頼性がある知見だった。原発を設置、運転する会社の取締役はこの知見に基づく対策を講ずることを義務付けられていた。

3. 任務懈怠の有無

<武藤栄元副社長>

(1)長期評価の見解の信頼性や成熟性が不明だと判断した上、(2)長期評価の見解も踏まえた福島県沖日本海溝沿い領域での地震の取り扱いについて土木学会に検討を委託し、その見解が提示されれば速やかに津波対策を実施するとの手順をとる判断をしたが、(3)土木学会の見解が示されるまでの間、福島第1原発の過酷事故を防ぐための津波対策を速やかに講ずるよう指示せず、ほかの被告らも判断を是認した。

経営判断として不合理とまではいえないが、福島第1原発を何らの津波対策に着手することもなく放置する判断は不合理で、善管注意義務があったのに怠った。

<武黒一郎元副社長>

上記の武藤栄決定と本件不作為を認識し長期評価の見解の概略を認識した。取締役としての善管注意義務があったのに指示せず、本件不作為の判断を是認した任務懈怠があった。

<小森明生元常務>

 小森元常務は2010年7月頃、長期評価の見解を認識したが、武藤決定により大規模構築物の工事に着手しないまま、土木学会での検討に相当の長期間を要していた。取締役としての善管注意義務があったのに怠った。

<勝俣恒久元会長と清水正孝元社長>

 2人は御前会議と呼ばれる東電内部の会議に出席し、ここで14メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいた。これが相応の権威がある機関の見解で、この津波が福島第1原発に襲来した場合に過酷事故が起きる可能性を認識した。2人とも、速やかな対策を講じない東電の原子力・立地本部の判断に不合理な点がないかを確認すべき義務があったのに怠った。

 4.任務懈怠と事故との因果関係

 被告らから指示を受けた場合、主要建屋や重要機器室の水密化を容易に着想して実施し得た。水密化の措置は多層的な対策となっていたことから、津波による電源設備の浸水を防ぐことができた可能性があった。

 この水密化措置に要する期間は合計2年程度と認められる。武藤元副社長、武黒元副社長、勝俣元会長、清水元社長らの任務懈怠はいずれも震災より2年以上前で、震災までに水密化措置を講ずることが可能だったから原発事故との間に因果関係が認められる。

一方、小森元常務の任務懈怠は2010年7月ごろで、(それから対策をとっても間に合わず)因果関係は認められない。

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なお、勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長は福島第1原発事故を巡って業務上過失致死傷罪で強制起訴され、1審・東京地裁判決(2019年9月)では無罪とされた。

この控訴審で、東京高裁は6月15日、判決期日を2023年1月18日に指定したと明らかにした。

今回の株主代表訴訟で原告側が提出した証拠は、刑事裁判でも使われている。原告側代理人の弁護士は、今回の判決を踏まえ「上申書を作ることになると思う」と話し、刑事裁判にも影響が及ぶ可能性を示唆した。

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参考

普通の民事訴訟では、請求額に比例して印紙税がかかる方式となっており、仮に通常の民事訴訟で13兆円の賠償請求を行う場合、100億円を超える印紙代が必要となる。

しかし、株主代表訴訟では支払いが確定した賠償金は、訴訟の原告である株主ではなく会社に支払われるため、例外的に、一律1万3000円の印紙代を支払うことで兆単位の賠償でも、要件を満たせば訴訟を提起できる。


2022/7/22 東芝再編、4陣営に絞り込み? 

東芝は2022年4月21日の取締役会で、パートナー候補となりうる潜在的な投資家やスポンサーから、企業価値向上に向けた戦略的選択肢(非公開化を含む)に関する提案を募集することを決議した。

同日から、フィナンシャル・アドバイザーの野村證券を通じて、提案の提出を前向きに検討する意向を示すパートナー候補との協議を実施し5月30日を期限として、法的拘束力のない提案の提出を要請してきた。

6月2日現在、非公開化に関する初期的な提案を8件、上場維持を前提とした戦略的資本業務提携に関する初期的な提案を2件、受領している。これらの提案は、いずれも法的拘束力を有するものではなく、ビジネス・法務・財務・税務その他の詳細なデューディリジェンスは、実施されていない。

東芝は7月19日の取締役会で、上記の10件のなかから第2次入札プロセスに招聘する複数の本パートナー候補を選定した。非公開化関する提案と、上場維持を前提とした戦略的資本業務提携に関する提案が含まれている。

今後、選定された本パートナー候補がデューディリジェンスを実施する。ただ、入札から離脱したファンドの再合流や、新たに事業会社が参画する可能性もあり、再編の枠組みはまだ見通せない。

東芝は原子力や防衛関連事業など経済安全保障上の重要技術を持っており、外国資本の経営参加を規制する改正外為法で審査対象となっている。経済産業省などは「国内勢の参加が不可欠」と判断している模様。

関係者によると、「国内外のファンド4社程度に絞られた」という。

報道では、下記の各社が選ばれたとされる。

1.産業革新投資機構(JIC) / 日本産業パートナーズ(JIP)
    なお、東京電力ホールディングスがこれに参加する検討をしているとされる。

2.  米大手投資ファンド Bain Capital

東芝の筆頭株主で旧村上ファンド出身者がシンガポールで設立した Effissimo Capital Managementは、Bain Capitalが東芝株を公開買い付けした場合、保有株をすべて応募する方針であることが、Effissimoが3月31日に関東財務局へ提出した変更報告書で明らかになった。

2022/4/5 Bain Capital が東芝の買収を検討

3.  欧州拠点のCVC Capital Partners

4.  カナダのBrookfield

各社が東芝に提示した買収価格は一株5000円台後半から6000円前半とみられるが、一株7000円の高額な買収価格を提示していたアジア系ファンドは、資金的に実現性が乏しいことなどを理由に二次選考には進めなかった。

買収候補として有力視されていた米投資ファンドのKKRが再編案の提出を見送った。

KKR関係者は、「東芝の株価が高すぎる。外為法への対応など不確実性もあり、コストに見合わない」などと話している。

東芝の7月19日の株価は5301円。

2021年4月にCVC Capital Partnersが買収提案をした前日の株価は3830円で、約30%のプレミアムを加え、1株5000円での買い取り価格を提案した。

2021/4/14   英投資ファンド、東芝に買収提案 

 

4陣営は2カ月程度のデューデリジェンス(資産査定)を経て、正式な提案を出すかどうかを判断する。東芝が提案を受け入れるかどうかの判断は今秋になる見込み


2022/7/22 ECB、政策金利を一気に0.5%引き上げ、マイナス金利政策終了 

 

欧州中央銀行(ECB)は7月21日の理事会で、政策金利を0.5%引き上げると決めた。利上げは11年ぶりで、上げ幅は2000年以来22年ぶりの大きさ。

ロシア産天然ガスの供給不安で景気悪化懸念が急速に高まるものの、インフレ阻止を優先した。

主要政策金利をゼロ%からプラス0.5%、中銀預金金利はマイナス0.5%から0%に引き上げられ、2014年に導入したマイナス金利政策が終了する。

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欧州中央銀行(ECB)は6月9日、5月のインフレ率が8.1%と高い水準を維持しているため、量的緩和政策を終了し、政策金利を引き上げることを発表した。

これについて、7月21日に開催予定の次回理事会で11年ぶりに金利をそれぞれ0.25ポイント引き上げる。さらに、9月の理事会で発表されるユーロ圏に関するマクロ経済予測に基づき、さらなる引き上げを決定する。「中期的インフレ見通しが変わらないか悪化すれば、9月理事会でより大幅な引き上げが適切になる」としており、9月以降も、徐々に持続的なさらなる引き上げが適切だと予想している。

2022/6/13 欧州中銀、7月に0.25%利上げへ、量的緩和は終了

実際には今回、一気に0.50ポイント引き上げた。

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英国のイングランド銀行(中央銀行)は2021年12月16日、政策金利を0.15ポイント引き上げ、年0.25%とすると発表した。

新型コロナウイルス感染拡大以降、利上げによる金融政策の正常化に踏み切ったのは、日米欧の主要中銀では初めてとなる。

その後の利上げ   2022/2/3 →0.50%、3/17→0.75%、5/5→1.00%、6/16→1.25%

米連邦準備理事会(FRB)は6月14-15日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を75ベーシスポイント引き上げ、1.50〜1.75%とした。

2022/6/16  米国、大幅利上げ  

日本だけが取り残される形となる。

日銀は7月20〜21日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めた。

記者会見で黒田東彦総裁はエネルギー価格の上昇などを背景に「価格転嫁の動きが広がっている」と指摘し、経済の下支えと物価上昇に見合う賃上げが必要だとして、金融緩和を継続する考えを改めて強調した。利上げは「全くない」と言い切った。

更に円安が進み、輸入品の価格が上昇すると見られる。


2022/7/23   イタリア・ドラギ首相辞任、議会解散 9月25日に選挙

イタリアのドラギ首相は7月21日、マッタレッラ大統領に再び辞表を提出し、受理された。
大統領は上下院の解散を表明、政府は9月25日に前倒し総選挙を実施することを決めた。

大統領はドラギ氏に暫定的に首相にとどまるよう求めた。

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2018年6月1日に 「五つ星運動」と「同盟」の連立で、法学者で政治経験のないGiuseppe Conteの第一次内閣が発足したが、2019年8月に「同盟」が離脱、連立が崩壊した。ライバル関係にあった「五つ星運動」と野党の「民主党」、その他が連立を組み、第二次Conte内閣が誕生したが、2021年に「民主党」から独立した少数政党「イタリア・ ヴィーヴァ」がConte首相を批判、連立を離脱した。

Conte首相は大統領に辞表を提出、新たな連立政権で第3次内閣を目指したが失敗した。

欧州中央銀行(ECB)の第3代総裁を務め、'Super' Mario と呼ばれたMario Draghi は2021年2月13日、イタリア首相に就任した。

連立与党の中核だった「五つ星運動」と中道左派「民主党」に加え、1月に連立離脱した「イタリア・ヴィーヴァ」や、これまで野党であった中道右派の「同盟」や「フォルツァ・イタリア」なども含めた大連立内閣が発足した。

考え方が異なる多くの党の連立である。

合従連衡の経緯             与党〇、野党X
  第一次
コンテ内閣
第二次
コンテ内閣

2021/1

ドラギ内閣
五つ星運動
同盟

 離脱

民主党 民主党  分離
イタリア・ヴィーヴァ

 離脱       X

フォルツァ・イタリア
混合会派
自由と平等
イタリアの同胞(極右)


2021/2/15 
イタリア、ECB前総裁のマリオ・ドラギ氏が次期首相に 

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イタリアでは議会最大勢力で、ドラギ首相が率いるテクノクラート政権を支える左派ポピュリスト政党「五つ星運動」が6月21日に分裂した。

同党内ではウクライナへの武器供与などを巡って、政権の積極方針を支持する前党首のディマイオ外相を中心としたグループと、武器供与が紛争長期化につながるとして反対する現党首のコンテ前首相を中心としたグループとの間で意見相違が続いてきた。51名の下院議員と11名の上院議員が同党を離党し、ディマイオ外相を党首とする新党「未来に向けてともに(IpF)」を結党した。

IpFはドラギ政権を今後も支えることを明言しているが、「五つ星運動」内には来年に予定される総選挙を前に政権への協力を取り止めるべきとの声も浮上し た。

物価高騰による家計負担の軽減措置を巡って政権が崩壊の危機に瀕していた。

ドラギ内閣はインフレ対策として230億ユーロの支援パッケージ案を提出した。これには、「五つ星運動」が以前から反対してきたローマ市内のゴミ焼却場建設条項が含まれている。

五つ星運動は最低賃金の導入など政府の物価高騰支援策の修正を求めており、こうした要求が通らない限り、法案採決に棄権するとした。但し、政権不信任の立場ではないとしていた。

イタリアではこの法案の採決を内閣の信任投票とみなし、ドラギ首相は五つ星運動が参加しない形での政権維持が難しいとして、同党が信任投票に参加しない場合、首相を辞任する可能性を示唆していた。


イタリア議会上院は7月14日、ドラギ内閣の経済対策案への投票を実施した。 経済対策案は賛成172、反対39で可決されたが、連立与党の中心の「五つ星運動」が投票をボイコットした。

選挙を経ていない実務家出身のドラギ首相は、連立の結束を重視し、「大統領に辞表を提出する」とし、「政権を支えてきた国民的な統合連立はもはや存在しない」と述べた。

しかし、マッタレッラ大統領は政局の不安定化を懸念して首相辞任を認めず、議会での解決を指示した。

 

イタリアの議会上院は7月20日、ドラギ首相が率いる内閣の「信任投票」を実施した。首相は上院での演説で、政府を維持する唯一の方法は「信頼に基づいた合意を再構築することだ」と強調し、各政党に協力を求めた。

今回も95対38の賛成多数で可決したものの、与党の左派「五つ星運動」と中道右派「フォルツア・イタリア」、極右「同盟」は投票前に離席し、事実上の「不信任」を示した。

 

ドラギ首相は7月21日、マッタレッラ大統領に再び辞表を提出し、受理された。
大統領は上下院の解散を表明、政府は9月25日に前倒し総選挙を実施することを決めた。

 

世論調査では、極右政党「イタリアの同胞」率いる保守連合が過半数を獲得する可能性が高まっている。


2022/7/25  塩野義コロナ飲み薬、「緊急承認」見送り

最終的に、塩野義が2022年11月以降にも結果をまとめる最終段階の臨床試験(治験)データを待つという結論になった。

 


2022/7/26 米Illuminaの元子会社Grail 買収に関する欧米での独禁法問題 

米Illuminaは、遺伝子変異や遺伝子機能の大規模解析のためのライフサイエンスツールや統合システムの開発、製造、販売を手がけるリーディングカンパニーで、シーケンサー(遺伝子配列解析装置)で世界最大規模のシェアを誇る。

米Grailは早期がんの検出技術を開発する新興企業で、2016年にIlluminaから分離・独立した。Amazon創業者のJeff Bezosなど有力者が出資していることでも知られる。

Illuminaは2020年9月、Grail を再び傘下に収めることを決め、71億ドル(約7800億円)で買収すると発表した。

米連邦取引委員会(FTC)は2021年3月30日、IlluminaによるGrail 買収計画を巡り、差し止めを求める訴訟を首都ワシントンの連邦地裁に起こした。

GrailはIlluminaから解析装置を購入する関係にあり、競合はしておらず、「垂直統合」と呼ばれるM&Aである。競合しない企業同士の統合について、米当局が「もの言い」をつけるのは珍しく、バイデン米政権の競争政策を映す動きとして注目を集めた。

FTCは、今回の買収が早期がん検出サービスの技術革新を停滞させると主張した。
がん検出技術を開発する企業は、遺伝子解析装置の購入先として最大手 Illumina以外の選択肢が乏しく、IlluminaがGrailのライバル会社に対して、装置を高く売りつけ、研究開発を阻害する可能性があると指摘した。

Illuminaは「FTCによる買収差し止めの動きは、長年の反トラスト法執行実務からかけ離れている」と主張、買収計画の遂行に向けて裁判で争う姿勢を示した。

2021/4/8 米FTC、Illumina によるGRAIL買収に異議  

Illuminaは2021年8月18日、GRAILの買収を完了したと発表した。ただし、米連邦取引委員会(FTC)や欧州委員会(EC)の独禁法審査が終わっておらず、それまでは、独立した別会社のままにするとした。

米国では現在、F.T.C. administrative judge(行政法判事)が審理中だが、FTC勝利はほぼ確実である。その場合、Illuminaは連邦控訴審に控訴することになる。

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欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は7月19日、IlluminaによるGrail 買収をめぐり、EU競争法違反の疑いがあると警告する「異議告知書」を両社に送付したと発表した。

欧州委は2021年7月から独禁法の調査を開始したが、調査終了前の2021年8月に買収を完了した。

Illuminaは、Grailは欧州での売上高がないため、欧州委員会には調査する権限はないとして訴えていたが、EUの General Courtは本年7月13日にこれを棄却した。Illuminaはこれを不満とし、控訴すると発表した。

欧州委員会は、委員会による独占禁止法の調査終了前に買収を完了し、市場競争がゆがめられたとの見解を示した。

両社には今後、異議告知書に対する反論の機会が与えられる。その上で欧州委が最終的に違反を認定すれば、両社に年間売上高の最大10%を罰金として科すことになる。

 

付記

F.T.C. administrative judge(行政法判事)は9月1日、買収は競争を阻害しないとし判断した。

FTCのルールでは、この決定は Federal Trade Commissionでレビュー可能で、スタッフは手続きを行った。

他方、EUは9月6日、IlluminaによるGrail 買収を禁止した。

買収は技術革新を抑制し、血液ベースの早期がん検出検査の新興市場での選択肢を減らすとし、Illuminaは、これらの懸念に対処するのに十分な救済策を提供しなかったとしている。



2022/7/27    バイデン大統領、半導体法案の早期成立訴え 

バイデン米大統領は7月25日、経済安全保障の観点から半導体の国内生産を補助金で後押しする超党派の法案について、「議会は一刻も早く通過させなければならない」と述べた。大統領は半導体供給に関するオンライン会合を開き、「米国は半導体で世界をリードする必要がある」と強調、巨額補助金をつぎ込んで国産半導体の育成を加速させる中国に対抗する構えを見せた。 

今週にも上院で法案を通し、下院でも同じ法案を通して成立する可能性がある。

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米議会下院は1月25日、中国に対抗するため先端技術の競争力向上をめざす包括法案The America COMPETES Act of 2022 を公表した。

上院は2021年6月8日に同様の法案 United States Innovation and Competition Act を異例の超党派で可決している。しかし、この法案は「中国対抗法案」との位置づけで、新興技術の研究開発や台湾の支援強化など様々な条項を盛り込んだため、下院との法案すり合わせに時間がかかっ ていた。

米政府は半導体業界へ計520億ドルの補助金を拠出する方針で、Samsung は補助金支給条件などを確認した上で、新工場建設を決定したという。Intelも補助金を前提にしている。

今回、与党・民主党の議会指導部が公表したAmerica COMPETES Act では、2022会計年度(21年10月〜22年9月)から5年間で上院と同じ計520億ドルの補助金を出す。うち390億ドルは新設設備に直接供与される。

台湾積体電路製造(TSMC)のアリゾナ州の120億ドルの設備、Intel のオハイオ州の200億ドルの設備など、これの対象となる新設備はこれを前提に既に着工されている。

法案には、サプライチェーン(供給網)を強化するために450億ドルをあてる条項も盛った。ハイテク製品や医療品などの生産の国内回帰を促すほか、備蓄を増やす。先端技術の研究開発で政府の支援を増やす。

途上国向けの温暖化対策基金や、太陽光関連に投じる資金が盛り込まれた。

2022/2/1    米下院、半導体補助金法案を公表 

下院は2月4日、America COMPETES Act を賛成222、反対210で通した。ほぼ党派通りで、民主党から1人だけ反対、共和党から1人だけ賛成した。

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今回下院で通った法案と昨年の上院の法案とは、半導体業界への520億ドルの補助金は同じだが、異なる点が多い。

バイデン政権は11月の中間選挙を控え、インフレ対策で成果を急いでいる。半導体不足で生産が止まった自動車が値上がりした。政府高官は、 夏季休暇入りの前に補助金を実現させるよう与野党の議会指導部に促してきた。

米インテルは6月、補助金の支給が遅れていることを理由に、中西部オハイオ州で7月に予定していた新工場の起工式を延期すると表明した。法案の成立がこれ以上遅れれば「世界の投資合戦で米国が後れを取る。台湾に調達を依存するリスクが続く」との危機感がバイデン政権や与野党で高まった。当初案から縮小された内容でも国家安全保障の観点から可決を急ぐ必要があるとした。

 

これを受け、共和党の上院上層部は、これまでの法案から米半導体業界に520億ドル強の補助金・奨励金を交付する件に限った法案(通称 半導体法:Chips Act)の審議入りを決めた。

上院(定数100)は7月19日、64対34の賛成多数で半導体法案の採決に進む方針を決めた。与党・民主党に加えて、野党・共和党から16人が賛成に回った。 民主系無所属のSanders議員は反対した。

  共和党 民主党 民主系 合計
無所属
賛成  16 47   1

 64

反対 33    1

34 

棄権 1 1  

2

合計 50 48 2 100

7月25日の週に上院で可決し、それを受けて下院も同法案を可決する見通し。上院の法案可決には60票が必要になる。

高速通信機器の開発や科学研究を政府が支援する条項も加えられる可能性がある。

逆に、米国の半導体企業の中には、このままのCHIPS法ではIntelなどのメーカーにしか支援が行き届かないとして反対しているところもある。

半導体メーカーはCHIPS法で補助金、FABS法(Facilitating American-Built Semiconductors Act)で製造装置購入のための投資税額控除の両方の恩恵を受けるが、AMD、NVIDIA、QualcommなどIntelと競合するファブレス半導体メーカーは、半導体を製造していないため補助金の対象にはならない。

法案成立は簡単ではない。

 

当初の中心であった 対中法案は成立のメドが立たなくなっていた。民主党が下院の法案に気候変動や格差是正など中国とは直接関係ない条項を取り入れ、共和党が反発した。対中投資規制や貿易の条項でも与野党で意見が分かれた。


2022/7/28  経産省、キオクシアの半導体工場計画を認定

萩生田経済産業相は7月26日の閣議後会見で、キオクシアと 、同社と米Western Degitalの合弁会社から共同で申請されていた生産設備整備の計画を 、「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律」(5G促進法)に基づく「特定半導体生産施設整備等計画」に認定したと明らかにした。
  • 経産省として同計画が5G促進法の認定基準を満たし、日本における先端メモリー半導体の安定的な生産に資するものと判断
  • 足元の半導体サプライチェーンの強靱化や半導体産業の発展への貢献に加え、半導体に関する日米連携の強化にも資する
  • 助成額の上限は約929億円

キオクシアと米Western Degitalも同日、三重県四日市市のキオクシア四日市工場第7製造棟における第6世代の3次元フラッシュメモリー設備投資計画が認定されたこと 、これにより、四日市工場における設備投資等に助成金が交付されることを発表した。JVはフラッシュパートナーズ有限会社、フラッシュアライアンス有限会社、フラッシュフォワード合同会社

2020/10/29 キオクシア、四日市工場で新製造棟を建設 (四日市 No.7 )

両社は、国内最大規模の半導体工場である四日市工場において、20年にわたるジョイントベンチャーパートナーシップを基に、最先端フラッシュメモリの開発・生産を加速させ る。また、半導体関連産業の発展や半導体人材の育成に貢献していくとしている。

 

台湾積体電路製造(TSMC)は2021年11月9日、日本で初めてとなる工場をソニーグループと共同で熊本県に建設すると発表した。

子会社 Japan Advanced Semiconductor Manufacturing (JASM)を熊本県に設立、ソニーセミコンダクタソリューションズは約5億米ドルを資本金として出資し、20%未満の株式を取得する。

22/28nmプロセスを皮切りとした半導体の製造受託サービスを提供する。当初の設備投資額は約70億米ドルで、2022年の建設開始を予定しており、2024年末までに生産開始を目指す。

経済産業省は2022年6月17日、TSMCが熊本県で建設中の半導体の工場に最大4760億円の助成をすると決めた。TSMCとJASMが申請していた計画を同日付で認可した。
半導体産業の強化に向けた6170億円の基金から補助する第1号の案件になる。

2022/2/16 台湾積体電路製造の熊本工場にデンソーが出資

今回の認定はこれに次ぐ第2号である。これで合計5,689億円となり、残りは481億円しかない。

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先端半導体工場の新増設を支援する改正法が2021年12月20日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。

高速・大容量通信規格「5G」のシステム構築に不可欠な「特定半導体」を製造する事業者が対象で、継続的な生産、需給逼迫時の増産対応などを条件とし、工場の新増設にかかる設備費用の最大半額を補助する。(その後、最低10年間は生産を続けることを求めることとした。)

5G促進法による「特定半導体生産施設整備等計画」に認定手続きは下記の通り。


2022/7/28  IMFによる世界のGDPの予測

IMFは7月26日、減速する世界経済成長に立ち込める不透明で暗い見通しと題する報告を発表した。

「世界の3大経済国・地域の失速が世界経済見通しに大きく影響している。インフレが主要な懸念事項だ。

パンデミックとロシアのウクライナ侵攻によって混乱が続く世界経済は、不確実性の高い暗澹たる見通しに直面している。4月の世界経済見通し(WEO)で警告した下振れリスクは、その多くが現実になり始めている。

インフレは米国と主要な欧州諸国を中心として想定以上に上昇し、世界金融環境のタイト化を招いている。
中国は新型コロナウイルス感染拡大とロックダウンを受けて予想以上に鈍化しており、ウクライナ戦争からはさらにマイナスの波及効果が生じた。

その結果として、今年の第2四半期は世界GDPが縮小した。」

IMFによる2022年と2023年の各国・各地域のGDP予想は下記の通りで、2021年実績から大きく下落するとしている。

「世界経済成長率は昨年の6.1%から減速して今年は3.2%、来年は2.9%となる見込みであり、それぞれ4月の予測値から0.4%ポイント、0.7%ポイントの引き下げとなった。
これには米国、中国、ユーロ圏という3大経済国・地域の失速が反映されており、世界経済見通しはその影響を強く受けた。」

 

「経済活動が減速する一方で、世界のインフレ率は食料・エネルギー価格の上昇を一因として上方改定された。

インフレ率は今年、先進国で6.6%、新興市場国・発展途上国で9.5%に達すると予想され、それぞれ0.9%ポイント、0.8%ポイントの上方改定となった。同率は今後も高止まりする見込みである。

物価上昇は多くの国々へと拡大したが、その背景には、サプライチェーンの混乱やかつてない労働市場のタイト化から生じたコスト圧力がある。」

 

「今日のインフレ水準は、現在および将来のマクロ経済の安定性にとって明白なリスクを示しており、政策当局者は中央銀行の目標値までインフレ率を戻すことを最優先目標に掲げるべきである。

主要先進国の中央銀行は、IMFが4月に予想したよりも速いペースで金融政策面の支援を解除しており、多くの新興市場国・発展途上国では昨年からすでに金利上昇が始まっている。

このように金融政策の引き締めが諸国間で同期化する状況は過去に例がなく、その効果は来年の世界経済鈍化やインフレの減速という形で現れるだろう。

金融政策の引き締めを強化すれば必ず大きな経済的代償を伴うが、後延ばしにすれば一層苦境に立たされるだけである。引き締めに着手した中央銀行は、インフレを制御できるまで今の方針を堅持すべきだ。」


2022/7/28  米国、連続大幅利上げ

米連邦準備理事会(FRB)は7月27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍となる0.75%の利上げを決めた。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25〜2.50%とした。

前回の6月会合で約27年ぶりに0.75%の利上げを決めており、連続の実施となる。
 

 
2018/6  1.75%〜2.00%
2018/9  2.00%〜2.25%
2018/12  2.25%〜2.50%
2019/7 2.00%〜2.25%
2019/9  1.75%〜2.00%
2019/10

1.50%〜1.75%

2020/3

1.00%〜1.25%

2020/3

 0.00%〜0.25%

2022/3 0.25%〜0.50%
2022/5 0.75%〜1.00%
2022/6 1.50%〜1.75%
2022/7 2.25%〜2.50%

パウエル議長発言:

我々は物価上昇率を抑えることに注力し、迅速に動いている。米国の家庭と企業のため、物価安定を取り戻すべく必要なツールと決意がある。あらゆる人に恩恵をもたらす強い労働市場が持続していることを考えれば、インフレを目標の2%まで下げることが不可欠だ。現在は労働市場が極めて逼迫し、インフレは進みすぎている。

本日、FOMCは政策金利を0.75%引き上げると決めた。利上げの継続が適切と予測している。バランスシートの規模を大幅に縮小するプロセスも続ける。

 


2022/7/29 EU、ガス消費15%削減で合意 

EUのガス在庫の枯渇懸念が強まっている。Gazpromは7月25日、Nordstreamについて、新たに送ガス用タービン1台の修理を始めると発表。27日から供給量を6月中旬までの約2割に減らす。

欧州連合(EU)は7月26日、ブリュッセルでエネルギー相理事会を開き、 ロシアが欧州へのガス供給を一段と減らし、欧州のガス在庫が枯渇する懸念が強まっているのを受け、8月から2023年3月までの天然ガスの消費を過去5年の平均に比べて15%減らすことで合意した。 ただ一部の加盟国に配慮して例外規定を設けるなど実効性には課題もある。

EUは2021年にロシアから需要全体の4割にあたる1550億立方メートルの天然ガスを輸入 した。15%の削減が実現すれば450億立方メートルの節約になるが、例外規定を設けたことで効果は薄れる可能性が高い。

島しょ国など他の加盟国とガス網で結ばれていない国は除外する。
発電をガスに大きく依存している国は目標を免除される可能性がある規定も設けた。
鉄鋼や化学など重要な産業で使うガスは目標の対象外とできるルールも設けた。

具体的には加盟国が自主的な目標として実現に努める自発的削減である。但し、ロシアがガス輸出を止めるなどの緊急事態になれば、欧州委が‘Union alert’を出し、削減を義務付ける可能性もあるとしている。

ーーー

ロシア国営 Gazprom は6月14日、天然ガスパイプラインNordstream 1 の供給量を40%減らすと発表した。従来の日量最大1億6700万立方メートルから1億立方メートルになる。

Gazpromは翌15日、さらに33%削減すると発表した。合計60%のカットとなる。モスクワ時間の16日午前1時半をもって供給量は最大6700万立方メートルになる。

Gazpromは7月11日から2週間ほどの「定期検査」を実施し、その間はガス供給が完全に止まった。

点検の期限である7月21日に天然ガスの供給を再開したが、21日の供給量は点検前と同じ、通常時よりおよそ60%削減された状況である。

Gazpromは7月25日、Nordstreamについて、新たに送ガス用タービン1台の修理を始めると発表。27日から供給量を6月中旬までの約2割に減らす。

2022/7/11 独エネルギー大手Uniper ドイツ政府に金融支援を要請 

 

 

EU各国のロシア天然ガス依存度は下図の通り。

欧州は例年、ガスの不需要期の夏場に在庫を蓄え、暖房需要が増える冬になると消費量の半分を在庫でまかなう。

7月24日時点では、ガスの貯蔵能力は67%と平年並みの水準に回復している。液化天然ガス(LNG)の4〜6月の輸入量を約3300万トンと前年同期比5割増やしたのに加え、ロシアからの調達を継続した効果も大きかった。

ただ、LNG輸入量はすでに受け入れ能力の上限に近い水準まで増やしており、これ以上の拡大は難しい。ドイツなどが進めるLNG受け入れ基地の新設や拡充も、今冬には間に合わないものが多い。

 


2022/7/29 米 議会、「CHIPS法」を可決  

米上院は7月27日、国内半導体産業向けの補助金を含む「The CHIPS and Science Act of 2022」(「CHIPS法」)を64対33の賛成多数で可決した。
  共和党 民主党 民主系 合計
無所属
賛成  17 46 1 64
反対  32   1 33 
棄権 1 2   3
合計 50 48 2 100

下院は翌28日、これを可決した。バイデン大統領の署名を経て成立する。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 24 219 243  
反対 187   187  
棄権   1 1  
合計 211 220 431 4

付記

バイデン大統領は8月9日、国内半導体産業支援法「CHIPS法」案に署名し、同法が成立した。

 

CHIPS法は、中国との競争を念頭に国内の産業競争力を強化する目的で議論が続けられてきた。中核的要素は、2021年度国防授権法に含まれた、半導体産業向けインセンティブ制度のCHIPSに527億ドルの予算を充当することにある。

国内半導体メーカーやその声を受けたバイデン政権からの強い後押しがあり、通商条項などを削除したかたちで上院可決に至った。

2022/7/27  バイデン大統領、半導体法案の早期成立訴え 

法案の総額は約5年で約2,800億ドルとなり、その多くはエネルギー省や商務省、国立科学財団(NSF)、国立標準技術研究所(NIST)といった連邦政府機関の研究開発プログラムなどへの予算の充当となる。

産業界向けのCHIPSに関する5年間で527億ドルの予算の内訳は次のとおり。

  1. 商務省製造インセンティブ(390億ドル):半導体の設計、組み立て、試験、先端パッケージング、研究開発のための国内施設・装置の建設、拡張または現代化に対する資金援助。
       うち、60億ドルは直接融資または融資保証に使用可能。
     
  2. 商務省研究開発(110億ドル):商務省管轄の半導体関連の研究開発プログラムへの予算充当。
  3. その他下記(27億ドル)

CHIPS for America Defense Fund (20億ドル)
CHIPS for America International Technology Security and InnovationFund(5億ドル)
Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors (CHIPS) for America Workforce and Education Fund(7億ドル)

上記のほか、半導体製造に関する投資に対して4年間、25%の税額控除を導入するとしている。

補助金を受け取る企業は、先端半導体の生産で中国に投資するのを10年間禁止される。

法案可決を受けて、米半導体産業協会(SIA)は「米国の経済、国家安全保障そしてカギとなる技術におけるリーダーシップの強化に向けた決定的な進展だ」との声明を出し た。

 

半導体とは別に、科学研究に対する5年間で約2000億ドルの予算も決められた。

National Science Foundation 810億ドル
Regional Technology Hubs   100億ドル
Dept of Energy      679億ドル、etc.


2022/7/30 米民主党のインフレ対策法案:Inflation Reduction Act of 2022 

米民主党は、Inflation Reduction Act of 2022を議会に提出すると発表した。

米民主党の Joe Manchin 上院議員がChuck Schumer上院院内総務と合意した歳出法案で、バイデン大統領が公約に掲げていた大企業と富裕層への増税案が復活した。

バイデン大統領は2021年秋、1.75兆ドルの大型歳出・歳入法案の可決をめざしたが、Manchin議員らが反対したため成立しなかった。

バイデン大統領は2021年10月28日、Build Back Better Act を発表した。与党民主党内で意見が対立し、進展していない 「10年で3.5兆ドルの予算案」を修正し、早期の法案成立を目指すもの。

大統領案はBuild Back Better Act の名前で、当初の「10年で3.5兆ドル」を半減し、気候変動対策や子育て支援等に1兆7500億ドルを投じるものである。

2021/11/1  バイデン大統領、10年間3.5兆ドルの予算案を修正

今回、上院で法案通過の鍵を握るManchin議員が方針転換した。バイデン氏は大幅に規模を縮小した今回の法案について、法案は気候変動対策や法人増税など同氏が実現をめざしてきた政策を含んでいるとし、速やかな可決を議会に呼びかけた。

付記

米上院は8月6日土曜の夜から15時間以上の討議を行い、8月7日日曜にこの新たな歳出・歳入法案を可決した。

予算関連法案はフィリバスター回避のための60票を必要としないとする上院のreconciliation processを使い、単純多数決での決定としたが、党派に沿い、50:50となった。
規定により、上院議長を兼ねる副大統領が賛成票を入れ、可決した。

  共和党 民主党 民主系 合計 副大統領
無所属
賛成   48 2  50 1
反対 50     50  
合計 50 48 2 100 1

下院は8月12日、賛成多数で可決した。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成   220 220  
反対 207    207  
棄権 4   4   
合計 211 220 431 4

バイデン大統領が近く署名して成立する見込み。

付記

バイデン米大統領は8月16日に署名し、成立した。大統領は「気候変動に関するこれまでで最大の前進だ」と強調した。

 

概要は下記の通り。年収40万ドル以下の家族には追加課税なし、中小企業には新税なし。

付記 2023年1月から自社株買いをした米企業への課税が始まる。

企業が実施する自社株買いのうち、同一年度に新規発行した分を差し引いたネットの株式購入額の1%相当する額を課税する。
自社株買い実施額が年100万ドル未満の場合や、組織再編の一環の場合は課税対象外とする。

財源

金額

 法人税 minimum tax 15% 3,130億ドル
 処方箋薬の価格改革 交渉による引き下げ*1 2,880億ドル
 国税庁による徴税改革*2 1,240億ドル
 Carried Interest Loophole*3 140億ドル
 合計 7,390億ドル
   
投資  
 Energy Security & Climate Change *4 3,690億ドル
 医療保険制度改革延長 *5 640億ドル
 合計 4,330億ドル
   
差引 赤字削減 3,060億ドル

*1  Medicareが医薬品価格を交渉して引き下げ、支出上限を2000ドルにする。

*2     税の抜け穴を封じ、税法を厳密に適用

*3  Carrieed Interest Loophole:

Private Equityの収益構造はマネジメントフィー(資産の2%)及び将来の利益に対し20%の成功報酬からなっている。
この成功報酬のことをCarried interest呼び、正確には出資額に対する利益配分を指す。

アメリカの最高所得税率は37%だが、このCarried Interest の税制は長期キャピタルゲインの優遇税率20%が適用され、これは不平等でおかしいと指摘されている。

*4  エネルギーコスト引き下げ、クリーンな生産、2030年までにカーボン排出の40%削減
       太陽光投資減税(30%)を10年延長

*5  医療保険料の引き下げ


 

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