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目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2025/3/12 米下院、9月末までのつなぎ予算案可決−上院に送付
現在のつなぎ予算は3月14日が期限となっている。
下院は2024年12月20日、連邦政府の当面の資金繰りを確保する「つなぎ予算」を賛成多数で可決し、懸念されていた政府機関の一部閉鎖は回避される見通しとなった
トランプ次期大統領が強く求めていた債務上限の撤廃を「つなぎ予算案」から除外したことで、超党派での賛成につながった。
2025年3月14日までの政府の資金繰りなどを確保する新たな「つなぎ予算案」に共和党と民主党の大半の議員が賛成して可決した。
法案は上院に送られ、日付が変わった12月21日12時38分、賛成 85、反対 11 で可決した。
2024/12/21
米議会、「つなぎ予算案」可決で政府機関の閉鎖回避 トランプ要求の「債務上限撤廃」を除外
ジョンソン下院議長は3月8日、9月30日までのつなぎ予算案を公表した。
法案は国防費を約60億ドル増額する一方で、非国防費を約130億ドル削減
する 。
共和党は、党派的な政策は追加されていないと強調しているものの、移民税関捜査局による追加の送還を支援するための新たな資金などホワイトハウスからの要求が盛り込まれている。
なお、Elon Muskの「政府効率化省」から提案された歳出削減は含まれていない。ジョンソン議長
は、「これらの削減は来年度の政府歳出交渉で対処できる」としている。
野党民主党は 、国内支出を「無謀に削減」するものだとして即座に拒否 した。
下院は3月11日、つなぎ予算案を217対213の賛成多数で可決した。共和党強硬派のThomas
Massie議員が反対票を投じる一方、民主党穏健派のJared
Golden 議員が賛成に回った。
共和党
民主党
合計
欠員
賛成
216
1
217
反対
1
212
213
棄権
1
1
2
合計
218
214
432
3
つなぎ予算案は上院に送付されるが、上院ではフィリバスター(議事妨害)阻止のため60票が必要であり、共和党は民主党穏健派の支持を得なければならない。
上院の民主党に対しては、この予算案を支持するか、あるいは、トランプ氏との間の支出をめぐる対決に乗り出して政府機関閉鎖の危険を冒すか決めるよう圧力が強まっている。
上院ではポール共和党議員が反対しているため、同法案が成立するには少なくとも8人の民主党議員の支持が必要となる可能性が高い。
共和党
民主党
民主系 無所属
合計
53
45
2
100
同案が上院で否決された場合、共和党指導部はより短い期間のつなぎ法案の成立を週内にも目指す可能性がある。
付記
上院民主党トップのシューマー院内総務は、政府機関の一部閉鎖を回避するために共和党下院が可決したつなぎ予算案について、上院での可決を阻止する考えを明らかにした。
政府への資金提供は超党派の取り組みであるべきだが、共和党は党派的な道を選択し、民主党からいかなる意見も聞かずに予算案をまとめたなどと批判した。
シューマー氏はその代わり、上院共和党に対して、民主党側が提示している30日間の予算案への協力を呼び掛けた。その間、両党が予算案について協議を行うという。
ーーー
なお、債務上限については、1月1日で債務上限の凍結終了、上限は 1月1日 末の債務 約36兆ドルに設定されている。ブログ 付記
財務省は 一時的な対策( Extraordinary
measures と呼ばれる措置)を講じて、支出を継続できるようにしている。具体的には以下のような手段がある。
政府系年金基金への投資を一時停止
連邦職員退職基金や公務員退職基金の新規投資を停止し、現金を確保する。
地方政府証券の発行停止
地方自治体向けの特定の国債を発行せず、国の借入枠を維持。
連邦職員のヘルスケア基金の資産運用を制限
財務省は約36兆ドルの債務がこれ以上増えないように、資金を捻出するが、 制限範囲でほとんど通常通りに国債発行を継続しているものの、市場では債務上限到達時期の予想にかなり幅があり、中には初夏までに到達するとの見方もある。
付記 ベッセント財務長官は3月14日、財務上限突破を避けるための「Extraordinary
measures」を6月27日まで延長すると連邦議会に通達した。
2025/3/15 米上院、つなぎ予算案を可決、政府機関閉鎖を回避
米連邦議会上院は3月14日、下院共和党が可決し上院に送ったつなぎ予算案を可決した。
これによって政府機関の閉鎖は期限の深夜を数時間後に控え、回避された。一方で、民主党内部では深刻な亀裂が生じている。
下院が法案を議決した時点で、上院民主党トップのシューマー院内総務は、 民主党からいかなる意見も聞かずに予算案をまとめたなどと批判し、上院での可決を阻止する考えを明らかにした。
シューマー氏はその代わり、上院共和党に対して、民主党側が提示している30日間の予算案への協力を呼び掛けた。その間、両党が予算案について協議を行うという。
しかし、最終段階で シューマー院内総務は、政府機関の閉鎖は共和党のつなぎ予算案を受け入れるよりも米国にとって「はるかに悪い」と述べるとともに、「政府が機能を続けて、それを閉鎖させぬよう、票を投じる」と演説で表明した。
閉鎖に陥れば、ホワイトハウスと政府職員削減を主導する実業家Elon
Muskに、どの機関をいつ再開するか決定する権限を与えることになると述べた。
投票では、共和党から1名反対したが、民主党系からシューマー院内総務など10名が賛成に転じ、62対38で可決した。(可決には60票が必要)
共和党
民主党
民主系 無所属
合計
賛成
52
9
1
62
反対
1
36
1
38
合計
53
45
2
100
トランプ大統領による大胆な権力拡大にいかにして抵抗するかをめぐり、民主党内部では深刻な亀裂が生じている。
2025/3/17 INCJ(旧産業革新機構)、ジャパンディスプレイ(JDI)の保有株をすべて売却
INCJ(旧産業革新機構)は活動期限を2025年3月までと定めており、保有株の売却を進めている。
同社は3月14日にジャパンディスプレイ(JDI)の保有株をすべて売却したと発表した。これまで4,620億円の投融資をしており、1,547億円の損失が確定した。
支援決定
実投資額
回収額
損失
2011/8/31
2,000億円
2011/6/9 東芝・ソニーが携帯向け液晶統合、 産業革新機構が出資
2016/12/21
750億円
2017/8/4
ジャパンディスプレイ、1千億円融資要請
2017/8/9
1,070億円
2018/6/26
200億円
2019/4/18
200億円
2019/8/7
200億円
2019/9/2
200億円
2025/3
3,073億円
売却完了、持株比率 0%
合計
4,620億円
3,073億円
1,547億円
ーーー
JDIは、東芝、ソニー、日立製作所と官民ファンドの産業革新機構が2012年春に中小型液晶パネル事業の統合会社として設立を発表したもの。
3社は10%ずつ出資、残り70%を産業革新機構が出資した。
当初は事業を拡大させ、2014年に株式を上場したが、中韓勢の参入で競争が激化した。2016年にも750億円の追加支援を決定するなどしたが、JDIは上場以来、一度も黒字化できず、株価も公募価格の900円を上回ることなく、現在は10円台で推移しており、INCJは当初想定した売却益を得られなかった。
ーーー
経営再建中のJDIは2020年1月31日、独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントから最大1008億円の出資を受け入れる方向で最終契約を結んだと発表した。
いちごアセットは、 日本開発銀行客員研究員やモルガン・スタンレー証券の株式統括本部長を務めたScott
Callon 氏が2006年5月に設立した 。 社名の 「いちご」は千利休が説いた茶人の心構え「一期一会」から採った。
2020/2/3 JDI、いちご アセットマネジメント と最終契約
いちごアセットの2024年9月末時点で出資比率は 78.19%である。
その後、JDIはいちごアセットのもとで経営改革を進めているが、ディスプレイ事業は厳しさが増している。そのため、 「世界初、世界ー」の独自技術での成長を狙っている。
JDI は 2022 年 5 月に、世界で初めてマスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式で画素を 形成し、輝度・寿命を大幅に高める次世代 OLED 「 eLEAP 」の量産技術を確立した。
また20 22 年 3 月には、世界で初 めて第 6 世代量産ラインにおいて、従来の酸化物半導体薄膜トランジスタと比較して電界効果移動度 が
2 〜 4
倍以上となるバックプレーン技術「 HMO 」 の開発に成功しており、 早期の量産化を目指している。
そのほかを加え、6つの 「世界初、世界一」独自技術を持つ。
eLEAP
(次世代OLED) %
e nvironment
positive (環境ポジティブ)
L ithography
with maskless deposition ( マスクレス蒸着+フォトリソ方式 )
E xtreme
long life, low power, and high
luminance (超長寿命・省電力・高輝度)
A ny
shape
P atterning (フリーシェイプ・パターニング)
広発光領域でピーク輝度2倍または寿命3倍、フリーシェイプで明るく鮮明な画像を実現
OLED蒸着用マスクを使用せず、洗浄不要
HMO
(High Mobility Oxide)
電界効果 移動度 が 、 従来 の
OS - TFT
技術 と比較し て
2 倍以上 となる 高移動度酸化物 半導 体 ( HMO 、 H igh
Mobility Oxide ) 技術
及び
4 倍以上 となる 超高移動度酸化物半導体 ( UHMO 、 Ultra
High
Mobility Oxide ) 技術
メタバース
(超高精細ディスプレイ)
圧倒的なリアリティと没入感
高い歩留りと安定した品質
AutoTech
EV に対応した統合コックピットの実現
HUD の進化による安全性の向上
Rælclear
(透明ディスプレイ)
高い技術開発力により実現したバックライト無しで表示が可能な液晶ディスプレイで、電源や駆動回路、HDMIと組み合わせて作られた透過率84%を誇るモニターセット。
映し出された映像は、表と裏の両面からクリアに見ることが可能。
新技術・新商品・新事業
独自技術の用途拡大
課題解決型の新規事業
「世界初、世界ー」独自技術での成長のためにも、過去の負の遺産を処分する必要がある。
JDIは2023年2月10日、資本増強による財務基盤の抜本的改善ー成長戦略「METAGROWTH
2026」の加速化を発表した。
グローバルディスプレイ産業の市場環境が大変厳しい中、更なる事業モデル改革と収益向上の抜本策が必要不可欠
◼ 大幅資本増強と無借金化により、財務基盤を抜本的に改善し、成長戦略である「METAGROWTH 2026」を加速化
◼ 脆弱な収益構造の主たる原因は、当社がコモディティ競争に陥ったことによる既存商品の差別化の不十分さによるもの。即ち、当社が提供する独自の顧客価値の欠如
◼ 「METAGROWTH 2026」は、世界のトップテクノロジーカンパニーも認める、絶大なビジネスチャンス
◼ 「METAGROWTH 2026」の進化と深化を通じて当社の唯一無二の顧客価値を具現化し、収益基盤を飛躍的に強化
今回の 資本増強の全体像
施策
下図
いちご債権
目的、効果
@
(2022/12)いちごから借入
2
280億円
A
親会社「いちご」からの200億円の新規借入金→INCJからの同額の借入金の弁済
1
+200億円
資金調達(いちごからの借入金合計額480億円)
B
2023/2/27
INCJが保有するA種優先株式のすべてを無償取得、消却
1
将来の希薄化の回避(A種優先株式は普通株式に転換可能
C
「いちご」がINCJより合計537億円の貸付金債権を譲受
2
+537億円
INCJからの借入金を完済
D
「いちご」によるJDIに対する150億円の債権放棄
2
-150億円
資本増強、完全無借金化に向けた借入金削減、財務基盤の強化
E
2025/3/14 INCJがJDIの普通株10百万株を市場で売却 持ち株ゼロ
3
F
「いちご」の貸付金債権の合計額867億円をデット・エクイティ・スワップ
3
計867億円
資本増強、完全無借金化、財務基盤の強化
G
新株予約権をいちごに割当て(総額1,736億円)をいちごに割当て
ー
資本増強、資金調達、「METAGROWTH
2026」による成長の加速化、財務基盤の強化
2025/3/24 日本全国の30年間の健康傾向の包括分析
慶応技術大学医学部とワシントン大学保健指標評価研究所は3月21日、 全国47都道府県の30年間の健康傾向の包括分析の結果を発表した。
Press release
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2025/3/21/250321-1.pdf
新型コロナウイルス感染症( COVID- 19 )を含む
371
の疾病・傷害および
88
のリスク要因について、日本および
47
都道府県にお ける各種健康指標の1990年から2021年までの30年間の推移を詳細に評価した。
日本が世界に先駆けて経験し ている超高齢社会の健康課題を明らかにし、 健康格差の縮小や疾病構造の変化への対応など、 保健医療 ・ 社会政策における優先課題を科学的に提示してい る。
本研究成果は、 Lancet
Public
Health
に 2025
年
3
月
21
日付け でオンライン公開され た。
本研究で得られた知見:
1. 日本の平均寿命は過去
30
年で
5.8
年延伸したが、 健康寿命との差 (何らかの健康問題を抱えて生活する期間) は拡大
1990年
2021年
増減
平均寿命
79.4歳
85.2歳
+5.8歳
健康寿命
69.5歳
73.8歳
+4.4歳
差異*
9.9年
11.3年
+1.4年
うち男性
8.7年
9.9年
+1.2年
女性
11.1年
12.7年
+1.6年
健康寿命(Healthy Life
Expectancy)は健康上の問題が生活の質に与える影響を考慮した平均余命を示す指標。
平均寿命と健康寿命の差
=何らかの健康問題を抱えて生活する期間
本研究では、平均寿命に疾病・傷害の有病率と、その影響の程度を示す障害の重み付け(Disability Weight)を統合し、算出している。
健康寿命 は、 延伸したが、 平均寿命と健康寿命の差(つまり、何らかの健康問題を抱えて生活する期間)は、 9.9
年から 11.3
年へと拡大している。男女別では、この差は女性で
11.1
年から
12.7
年に、男性で
8.7 年から
9.9
年に拡大しており、いずれも増加傾向にある。
2. 47
都道府県間の健康格差が拡大:平均寿命の地域差は 1990 年の 2.3 年から 2021 年には2.9 年に拡大し、特に男性で格差が顕著(3.2 年→3.9
年)。
3. 認知症(アルツハイマー病など)が主要死因の第1 位に浮上
4.脳卒中や虚血性心疾患を含む主要疾病の死亡率低下が鈍化
5.糖尿病の状況が悪化、肥満のリスクも高まる
発表では、1990年、2005年、2015年、2021年の死亡率の順位を比較しているが、ここでは1990年と2021年を比較する。
* COPDは慢性閉塞性肺疾患、
肺の生活習慣病で、気管支炎や肺気腫などの症状を総称した病気
2021
年の主要死因 は、 アルツハイマー病を含む認知症 ( 10
万人あたり
135.3
人) 、 脳卒中( 114.9
人) 、虚血性心疾患( 96.5
人) 、肺がん( 72.1
人) 、下気道感染症( 62.3
人) 。 認知症は
1990
年の
6
位から
2021 年には
1
位へと上昇した 。
平均寿命の延伸は、脳卒中( 1.5
年) 、虚血性心疾患( 1.0
年) 、がん( 1.0
年) 、下気道感染 症( 0.8
年)の死亡率低下に最も起因し、これらが
7
割以上を占めた。
本研究は、日本の健康指標が長期的に向上している一方で、その改善ペースが鈍化してい ること、また地域間の健康格差が依然として解消されていないことを明らかにした。
ま た、認知症や糖尿病の増加、肥満やメンタルヘルスの悪化が顕在化しており、平均寿命と健 康寿命の差が拡大してい
る。
こうした状況を踏まえ、国や各地域における疾病負荷の軽減 を目的とした保健活動(ヘルスプロモーション)の推進や、社会環境の整備が、これまで以 上に求められ
る。
2025/3/28 高浜原発1号機 60年運転の管理計画 初の認可
原子力規制委員会は3月27日、福井県にある関西電力高浜原子力発電所1号機について、本年6月6日に施行される新たな制度(2023年5月31日に参院本会議で可決のGX脱炭素電源法
) のもとで、運転開始から60年まで運転するための管理計画を全国で初めて認可した。
新制度:
規制委員会は10年ごとに検査する。
原則は「運転期間は40年、延長期間は20年」だが、予見しがたい休止期間の範囲で60年超を認める。
予見しがたい休止期間: 東日本大震災発生後の新規制基準制定による審査やその準備期間、裁判所による仮処分命令その他事業者が予見しがたい事由によって生じた運転停止期間など
高浜原発1号機は、昨年11月以降、国内の原発で初めて50年を超えて運転しているが、原子力規制委員会は2023年5月31日に法案が議会を通過した新たな制度のもとで申請された運転開始から60年までの管理計画を3月27日に認可した。
GX脱炭素電源法
に基づき、 同法の施行日前においても申請することができる。
新たな制度で60年までの運転が認められるのは全国で初めて。
原発の運転期間は運転開始から60年以降も 予見しがたい休止期間の範囲 で延長できるように法律が改正された。高浜原発1号機が60年以降運転を続けるには、再度、管理計画を提出し認可を受ける必要がる。
また、3月27日には関西電力美浜原発3号機の運転開始から50年までの管理計画も認可された。
なお、運転開始から40年を超えた関西電力美浜原発3号機と高浜原発1、2号機を稼働し続けるのは危険だとして、愛知、福井両県などの住民が国に運転延長の認可取り消しなどを求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は3月14日、「原子力規制委員会の判断に不合理な点はない」として、原告の請求を棄却した。
経緯:
従来のルール:
運転開始から40年を迎える原発は、規制委の運転延長の審査に合格した場合に限り1回のみ最長20年の延長が認可される。 また、これとは別に、運転開始から30年以降の原発は、10年ごとに「高経年化対策」も実施されている。
2022/12/21
原子力規制委員会は2022年12月21日、原子力発電所の運転開始から30年以降 、10年以内ごとに繰り返し運転を認可する新ルール 案を了承した。現行ルールを上回る「60年超」運転が可能になる。
2023/1/4
原発運転期間延長
2023/2/13
原子力規制委員会は2023年2月13日夜に臨時の委員会を開き、運転開始から60年を超える原子力発電所の安全規制の新たな制度案と原子炉等規制法の改正条文案を多数決で了承した。
石渡明委員が反対するなか、山中伸介委員長と他の委員の計4人が賛成した。政府は今国会に関連法案の提出をめざす。
2023/2/10 原子力規制委員会、原発60年超運転に向けた規制制度案の承認持ち越し → 承認
2023/2/10
「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定された。
気候変動問題への対応に加え、ロシア連邦によるウクライナ侵略を受け、国民生活及び経済活動の基盤となるエネルギー安定供給を確保するとともに、経済成長を同時に実現するため、主に以下二点の取組を進める。
@ エネルギー安定供給の確保に向け、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などのエネルギー自給率の向上に資する脱炭素電源への転換などGXに向けた脱炭素の取組を進めること。
A GXの実現に向け、「GX経済移行債」等を活用した大胆な先行投資支援、カーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブ、新たな金融手法の活用などを含む「成長志向型カーボンプライシング構想」の実現・実行を行うこと。
2023/2/28
政府はエネルギー関連の5つの法改正案を閣議決定。これらをまとめた束ね法案「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」(GX脱炭素電源法)として、通常国会に提出された。
GX脱炭素電源法のうち、原子力に関しては、
原子力発電の利用に係る原則の明確化(原子力基本法)
高経年化した原子炉に対する規制の厳格化(原子炉等規制法)
原子力発電の運転期間に関する規律の整備(電気事業法)
円滑かつ着実な廃炉の推進(再処理等拠出金法)
が柱となっている。
原子力基本法の改正では、従前の条文に対し、目的、基本方針の中に、それぞれ「地球温暖化の防止」、「福島第一原子力発電所事故を防止できなかったことを真摯に反省」との文言が追加され、安全最優先、原子力利用の価値を明確化。さらに、廃炉・最終処分などのバックエンドプロセスの加速化、自主的安全性向上・防災対策に係る「国・事業者の責務」について、新たに条文立てされている。
高経年化炉の規制については、関連法案の成立を前提として既に原子力規制委員会で技術的検討が開始されているが、事業者に対し、
@運転開始から30年を超えて運転しようとする場合、10年以内ごとに設備の劣化に関する技術的評価を行う、
Aその結果に基づき長期施設管理計画を作成し、規制委員会の認可を受ける――ことを義務付ける。
運転期間については、原子炉等規制法から経済産業省が所管する電気事業法に移され、
これまで通り「運転期間は40年」、「延長期間は20年」の原則を維持 。
安定供給確保、GX(グリーントランスフォーメーション)への貢献、自主的安全性向上や防災対策の不断の改善につき、経済産業相の認可を受けた場合に限り延長を認め、 「延長しようとする期間が20年を超える」場合は、事業者が予見しがたい事由(東日本大震災以降の安全規制に係る制度・運用の変更、司法判断など)に限定して運転期間のカウントから除外 することで、実質的に60年超運転を可能とする。
2023/4/27
衆議院は4月27日の本会議で、電気事業法、原子炉等規制法、再処理等拠出金法、再エネ特措法および原子力基本法の改正案を束ねたGX脱炭素電源法案 (脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案)を賛成多数で修正可決した。 2025年6月6日に施行。
同法を巡っては自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党が衆院通過前に規制委の審査の効率化を求める文言を付則に加えた。
原発の立地地域だけでなく「電力の大消費地である都市の住民」の信頼を確保し、協力を得ることを国の責務とする内容も修正して盛り込んだ。
2023/5/31
GX脱炭素電源法が成立、原発運転「60年超」可能に
原子炉等規制法、電気事業法、原子力基本法など5つの法律を改正する束ね法案
30年を超えて運転する原子炉については、最長10年ごとに劣化状況を評価し、原子力規制委員会の認可を受けることを義務付ける
30年を超えて運転する原子炉については、最長10年ごとに劣化状況を評価し、原子力規制委員会の認可を受けることが義務付けられている。
原子炉規制委員会の審査など 予見しがたい休止期間 は運転期間に含めないため、実質的に運転期間(60年)を延長することができる。
2023/6/1 GX脱炭素電源法が成立、原発運転「60年超」可能に
2025/3/27
高浜原発1号機が初の50年超運転認可…原子力規制委の「長期施設管理計画」
原子力規制委員会は、関西電力高浜原子力発電所1号機(福井県)について、50年を超えて最長60年まで運転するのに必要な「長期施設管理計画」を認可 した。
6月に全面施行する「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」に基づく新制度に対応するもので、50年超運転が認可されたのは初めて。
現行制度では、原発の運転期間を「原則40年、最長60年」としており、高浜1号機は2016年に60年までの運転を既に認められていた。国内で運転中の原発で最も古く、昨年11月に運転開始から
50年を迎えた。
2025/6/6
GX脱炭素電源法、 2025年6月6日に
全面施行