2002/11/5 呉羽化学
呉羽化学における事業再構築について
(プラスチック添加剤事業の営業権譲渡と今後の施策)
呉羽化学工業梶i本社:東京、社長:天野宏)は、このたびプラスチック添加剤(モディファイヤー)事業のローム・アンド・ハース社への営業権譲渡を決定いたしました。
当社は現在進行中の中期経営計画「中計DC(ダイナミック・コンバージョン/大胆な変革)」に沿って、高収益体質への転換を目指しておりますが、「選択と集中」の観点から事業再構築の施策として、今般のプラスチック添加剤事業および先に発表されました塩化ビニル樹脂事業、塩化ビニリデン・ラテックス事業といったコモディティー事業からの撤退を決定する一方、重点分野である樹脂製品、高機能材、医・農薬分野にこれまで以上に注力し、既報のクレメジン(慢性腎不全治療剤)の韓国展開、熱膨張性マイクロスフェアーの本格展開およびマツタケ菌糸体による健康食品の新規事業化をはじめ、ハイバリアー包装材、エレクトロニクス・パッケージング(電子材料包装材)、医薬、農薬など、ニッチであってもグローバルに通用するファイン・スペシャリティ製品の拡大に努め、高収益体質の確固たる事業基盤の構築を図ってまいります。
つきましては、下記資料を添付いたしますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
1.呉羽化学の事業再構築(高付加価値事業の推進)について
1)ハイバリアー包装材のグローバル展開
2)高機能材事業のさらなる展開
3)医・農薬関連事業の拡大とサプリメント・ビジネス(健康食品)への参入
2.ローム・アンド・ハース社への全世界にわたるプラスチック添加剤事業の営業権譲渡について
3.公表済資料(ご参考)
1)大洋塩ビ鰍ヨの塩化ビニル樹脂事業の営業権譲渡について
2)慢性腎不全治療剤クレメジンの韓国におけるライセンス契約締結について
3)熱膨張性マイクロスフェアーおよびその加工品の製造販売開始について
4)マツタケ菌糸体の工業的な培養に成功 健康食品市場に参入決定
5)塩化ビニリデン・ラテックス事業の撤退(当社の発表ではないため、添付資料はありません)
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呉羽化学の事業再構築(高付加価値事業の推進)について
当社は「選択と集中」の観点から、塩化ビニル樹脂、プラスチック添加剤(モディファイヤー)および塩化ビニリデン・ラテックスのような当社の歴史を築いてきた事業からの撤退を決定いたしました。
今後の方向としては、グローバルに通用するファイン・スペシャリティーの分野に集中し、現在進行中の中期経営計画「中計DC(ダイナミック・コンバージョン/大胆な変革)」に沿って樹脂製品、高機能材、医・農薬分野を重点とした事業再構築をさらに推進して行きます。
具体的には新たに次の施策を追加実行することにより、コモディティー事業からの撤退を補って余りある高収益体質へ転換して行く所存です。
1. ハイバリヤー包装材のグローバル展開
当社のコア事業でもあり、得意分野でもあるハイバリヤー性(腐敗/変質防止効果の高いガス遮断性)フィルムはクレハロン(ポリ塩化ビニリデン)、ベセーラ(アクリル酸系コートフィルム)、新MLシリーズ(ハイバリヤー性収縮多層フィルム)、PGA(ポリグリコール酸)からなる包装材ポートフォリオを形成していますが、各々具体的な事業戦略の下に新たなる展開を開始します。
1) クレハロン(ポリ塩化ビニリデン)の中国における生産
中国における急速なソーセージ包装フィルムの需要増加に対応して、これまでのフィルム用樹脂の輸出に留まらず、現地企業との合弁も視野に入れた樹脂から包装用フィルムまでの一貫生産体制の下に、本格的なビニリデン樹脂の現地生産を計画しています。基本的には、今後の需要増分に対応する計画であり、製造拠点を中国へ移転して日本での生産を空洞化させるものではなく当社錦工場の稼働率を維持しながら事業拡大をするものです。
2) ベセーラ(アクリル酸系コートフィルム)
本製品は、食品包装の代表的なものである缶詰やアルミパウチ等の代替品として、食品保存の最大要件である @高度なガスバリヤー性があること、A金属探知による異物検出が可能なこと、またB中身が見える、という消費者のニーズに応えた特徴があります。この強みを活かした包装資材として近年倍増を続けて伸びて来ましたが、このたび製造方法の画期的ブレークスルーを達成し、ベースフィルムの使用範囲が耐熱ポリエステル・ナイロンのみであったものから更にポリプロピレン等へも一気に適用範囲を広げる事ができたことにより飛躍的なマーケットの拡大を期待しております。それに伴う事業拡大の具体的活動がまず国内で始まっておりますが、海外においてもユーザーからの直接引き合いが多く、推定マーケットはさらに一桁上の単位になると考えております。
3) 新MLシリーズ(バリヤー性収縮多層フィルム)
新MLシリーズは従来のPVDC(ポリ塩化ビニリデン)に替えEVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)を芯材とした収縮性フィルムですが、特に欧州においては狂牛病や口蹄疫の逆風下にありながらも急速に需要が伸びており、生産設備の増強を行っておりますがアメリカでも新MLシリーズの物性に対する評価が高く、本格的なアメリカ進出を計画しております。
4) PGA(ポリグリコール酸:超バリヤー性フィルム用樹脂)
PGAは開発の最終段階に達しており、これまでのマーケット・リサーチをベースに事業化のターゲットが明確になってきました。これを受けて本年9月より10トン/月のパイロット・プラントがテスト稼動しており、具体的な製造性の確認や、試作品をベースとした詳細な物性検討が出来る状況となりました。本年中には当社内部での物性評価を完了し、来年早々には限定されたポテンシャル・カスタマーにサンプル提供が出来る段階に進む予定です。具体的なターゲットとしては従来の技術では達成できなかったハイバリヤー性を武器とした清涼飲料水用PETボトルやビール瓶への応用等、当社にとっても初めての食品用から炭酸飲料用への事業拡大のエースに育てたいと思っております。
2. 高機能材事業のさらなる展開
フォートロンKPS(ポリ・フェニレンサルファイド樹脂)やKFポリマー(フッ化ビニリデン樹脂)等のエンジニアリング・プラスチックスや球状活性炭、ピッチベース炭素繊維は当社独自のスペシャリティー商品として今後も事業拡大を続けて行きますが、この度クレファイン(静電気対策コンパウンド)の上市を機に下記の先端技術商品群をエレクトロニクス・パッケージング(電子材料包装材)事業と位置付けさらなる事業拡大することに致しました。
1) エレクトロニクス・パッケージング(電子材料包装材)のグローバル展開
・ クレファインESD(静電気対策)コンパウンド
・ バイヨン(帯電防止ポリマー)
この商品群のコア技術は当社のエンジニアリング・プラスチックスの重合技術、加工技術にカーボンの導電性制御技術を組み合わせて完成したものであり、大手半導体各社を含めた世界中のエレクトロニクス関連ユーザーに対し、積極的なマーケッティングを展開しています。
これらの商品群の開発・展開の背景は、半導体・ハードディスクの急激な高性能化により製造工程内で使用するキャリア、テストソケット、トレー等のプラスチック部材に対する静電気対策が急務となってきた市場ニーズに基づくものです。当社製品によって得られる安定した表面抵抗値によって従来品では得られなかった静電気破壊発生率の低下が達成されています。当社が開発した静電気コントロール技術は独自の特殊炭素材料とコンパウンド技術を組み合わせたもので、あらゆる熱可塑性プラスチックスを対象とし、表面抵抗を±1乗の範囲でコントロールできるという画期的商品を生み出しました。 永久帯電防止性を持つバイヨンは当社のポリマー重合技術を駆使した樹脂で、何よりも透明性を維持した帯電防止ポリマーということでユニークな商品となっています。また、いづれもクリーンルーム内使用にふさわしい高クリーン材であることもユーザーからの信頼性を得られる大きな理由になっています。
これらの先端技術を必要とする分野は、市場全体の約20%(80億円)と推定され、高付加価値分野として当社の進むべき市場と捉えています。
先に、大日精化工業株式会社と共同発表致しましたこの商品は当社独自の重合技術を生かしたマイクロサスペンション重合法による球状中空微粒子です。加熱発泡させることにより立体感のある壁紙や印刷物とするなどの用途が拡大し、近年販売量が倍増を続けてきたことから新プラントを当社錦工場内に建設し積極的事業展開を行うことに致しました。この商品は発泡粒子とすることで軽量化を図る分野に用途が広がるばかりでなく微粒子そのものとしても種々の用途展開が可能なハイテク素材として今後の需要増加を期待しています。ミクロン(千分の1ミリ)オーダーのポリマー微粒子を精密設計により製造する技術は、当社が培ってきた懸濁重合技術、乳化重合技術が基本となっており、奇しくもこの度コモディティー化したことから事業撤退を決定した塩ビの重合技術やモディファイヤーの重合技術がその背景にあります。コモディティーの事業は消えていきますが、例えばマイクロスフェア−の重合技術といった形で技術は伝承され、新しい形で次の事業に受け継がれて行きます。当社の高機能材事業はこれらの技術伝承と新しい技術の融合によりさらに有用な技術に発展させ当社独自のスペシャリティー製品を生み出すことが基盤となっております。
3.
医・農薬関連事業の拡大とサプリメント・ビジネス(健康食品)への参入
医・農薬関連事業に関しましては、引き続き既存の事業拡大を図ると同時に、当社の培ってきた独自の技術をベースに独創的発想に基づく新規商品の開発を続けて参ります。当社でなければ出来ないという観点に立った医・農薬事業を目指し資源の投入を図って行きます。
1) クレメジン(慢性腎不全用剤)の海外展開
発売11年目を迎えた製品ですが、着実にその効能が世の中で認められ慢性腎不全用剤として定着してきました。
国内におけるこの実績を背景に、このたび積極的な海外展開を図ることに致しました。具体的には本剤の展開について、@韓国のCJ Corp社に対し10月10日付けで開発・販売権の許諾を行いました。当局の認可が下り次第、具体的な営業活動を開始する予定です。A米国展開についても具体的に計画が進行しておりFDA(米国食品医薬局)のIND(治験薬としての許可)を10月に取得し、Phase‐U(第二段階)の臨床試験が開始しております。 Phase‐Uの臨床試験を来年中に完了しその後Phase‐Vに進み最終的な認可を得て販売開始できるのを2008年頃と想定しております。
2) メトコナゾール及びイプコナゾール(農業用殺菌剤)の事業拡大
当社が培ってきた有機合成技術と薬剤評価技術にコンピューター・ケミストリーの手法を組み合わせて短時間に完成をみましたメトコナゾールはBASF社(独)との共同事業としてヨーロッパ、南米、アフリカ諸国の30ヶ国以上の国で麦、菜種などの病害対策剤として農薬登録を取得し順調に販売を伸ばしてきましたが、これまで積み重ねてきた実績を背景にさらにアジア・オセアニア地区への事業展開を加速することに致しました。すでに韓国、イスラエルでは販売を開始し現在日本、台湾、ベトナムにおいて麦、果樹、稲を対象とした農薬登録に向けて計画を進めています。また、メトコナゾールの延長技術として開発致しましたイプコナゾールは日本国内で種子消毒剤として販売しておりますが、海外展開も積極的に計画しており、北米、南米、ヨーロッパにおける種々の作物の種子・茎葉病害への適応性を開発中です。
メトコナゾール、イプコナゾール両剤の特徴は特定の病害と作物にのみ効果があるという通常の農薬と異なり「幅広い病害に高い効果がある」という特徴があり、効果の確認が即ち用途拡大につながるという強みを最大限に活かして事業拡大に結びつけるつもりでおります。
当社が医薬品で培ってきた培養技術と食品包装分野からの食品研究をベースに、従来難しいと言われていたマツタケ菌糸体の工業的培養に成功したことを発表(10月31日)致しましたが、この技術的成功を背景に健康食品分野に参入することに致しました。
当社はマツタケ菌糸体由来の糖タンパク複合体(α−プロテオ・グルカン)が感染症の予防、抗ストレス、抗腫瘍性など高い免疫賦活性を示すことに着目し、その活性効果の極めて高い菌株(クレハM6271株)を発見致しました。この度、その培養技術を基に従来極めて難しいと言われて参りましたその安定的な工業生産に初めて成功致しました。本開発品により、高い免疫賦活性の期待できる健康食品として免疫力向上に関心の高い消費者の皆様に多くのご支持をいただけるものと確信しております。本商品の市場展開につきましては、提携販売も視野に入れあらゆる事業形態の可能性のもとに事業計画を策定中です。
2002/10/31 呉羽化学 健康食品の販売 呉羽・三共が協力 マツタケの成分商品化
マツタケ菌糸体の工業的な培養に成功 健康食品市場に参入決定!!
呉羽化学工業株式会社(本社:東京、社長:天野宏)では、抗腫瘍性、抗ストレス活性、感染症の予防、など免疫腑活活性が高いマツタケ菌糸体由来の糖タンパク複合体に着目し、研究開発を進めてまいりました。その結果、活性の極めて高い菌株(クレハM6271株)を発見し、安定的な菌糸体の工業生産に成功、健康食品分野への市場参入を決定しました。
マツタケ子実体は、キノコ類の中でも腫瘍に対する増殖阻止率が極めて高いことが知られておりますが、原料確保の制約や、活性が時間経過とともに低減してしまうなど品質劣化の問題があり、新鮮な菌糸体の確保が求められてきました。呉羽化学工業株式会社では、抗がん剤クレスチンなどの医薬品開発・製造で培った技術を応用し、新鮮子実体に匹敵する活性を持つ菌株のスクリーニングを行ない、難しいとされるマツタケ菌糸体の培養技術を確立し、安定的な供給を可能にしました。
当開発品は、腸管免疫増強活性も非常に高いというデータが得られており、また、ストレス時のナチュラル・キラー(NK)細胞活性の回復促進に著しい効果があることも実証されました。
当社では、セルフメディケーション時代に向け、免疫腑活活性の期待できる健康食品として、提携販売も視野に入れた幅広いチャネルを基盤とした事業展開を策定しています。
マツタケ菌糸体について
■マツタケ菌糸体(クレハM6271株)
当社では、「高齢化社会のもと治療から予防へ」の理念のもと、食品機能を通じて、高齢者の健康管理に対応する可能性を検討するため、1998年から食用キノコ由来の新規機能素材の探索に着手しました。約35年に渡って収集した担子菌の菌株ライブラリーおよび食用キノコ子実体を対象に、生理活性、増殖性及び安定性を指標としてスクリーニングした結果、マツタケ菌・クレハM6271株を有望候補として選択しました。この菌株は1972年に京都府亀岡市(丹波マツタケの名産地)で採取した子実体から分離したもので、当社オリジナル菌株です。遺伝子解析等、最新の解析技術により、この菌株の特性を把握し、諸形質が長期間安定なことを確認し、さらに活性成分として新規α-グルカン・蛋白質複合体(通称α-プロテオ・グリカンと命名する)を含むことが判明したことを受け、特許を出願しました。
次いで、タンク培養による量産システム構築に着手し、大型槽での培養に到達、各種評価用の菌糸体サンプルを確保しました。医薬品の安全性試験の基準であるGLPに準拠した形で安全性が外部評価され、細菌復帰突然変異試験は陰性、ラット急性毒性試験およびラット28日間投与毒性試験で本剤による異常所見は全く観察されませんでした。また、経口投与により肝臓の薬物代謝酵素系(肝ミクロソーム蛋白質およびP-450含量)に殆ど影響を及ぼさず、薬物相互作用の可能性は低いと考えます。
免疫を中心とした生物活性試験が外部施設と共同で実施され、これまでに以下のようなユニークな活性が見出されています。
@ストレスモデルマウスのNK細胞活性改善作用
拘束によるストレスモデルを作成し、マウスに本開発品を経口投与したところ、拘束負荷によるNK細胞活性の低下が軽減され、NK活性の回復が促進されました。他キノコ製品にはこの作用は見出されませんでした。つまり、本開発品摂取により、ストレスによる免疫系の抑制状態が防止され、免疫監視機構が正常に働くため、ストレスに由来する各種症状、感染症や癌発生の機会が少なくなることが期待できます。
A大腸がんモデルマウスの腸管リンパ球活性増強作用
大腸癌細胞を盲腸部に移植したマウスでは、抗腫瘍免疫活性は抑制されますが、本開発品摂取により、当該マウスの腸間膜リンパ節細胞のがん細胞障害活性(キラー活性)は増強されました。他のキノコ製品にはこの作用は見出されませんでした。つまり、本開発品摂取により、消化器がんの発生や進行の防止が期待できます。
B発がん物質処置ラットの大腸前がん病変抑制作用
発がん物質アゾキシメタンで処置したラットにおける大腸前がん病変の観察は、発がん予防物質の評価に汎用されている実験系です。本開発品添加飼料を与えたラットでは、前がん病変が有意に抑制されました。つまり、本開発品摂取により、消化器がんの発生抑制が期待できます。
C実験的細菌感染モデルマウスの延命作用
緑膿菌やリステリア菌を静脈内接種すると、マウスは敗血症等をおこして感染死します。本開発品を投与することにより、生存率が改善されました。つまり、本開発品摂取により、感染の頻度減少や感染症からの回復促進が期待できます。
Dがん転移モデルマウスの抗腫瘍作用
がんが恐れられている理由の一つに転移があり、転移の有無が癌患者の予後に大きな影響を与えるとされています。転移モデル系マウスに本開発品を投与したところ、腫瘍増殖が抑制されました。すなわち、本品摂取により、がん転移の予防や進行防止が期待できます。
さらに、このような活性を担う活性構造を検討したところ、α-グルカンと蛋白質の複合体であり、新規物質であることが判明しましたので、特許を出願しました。活性に関わる微細構造を更に解析中です。
また臨床試験としては、健常者を対象に本開発品の過剰摂取の安全性試験が行われ、異常所見は認められませんでした。
今後、EBS(Endorsement Based Supplement)を目指すため、基礎並びに臨床知見など更なる科学的根拠を蓄積して参ります。
■マツタケ選択の経緯
・制がん及び各種薬効が知られている
・古来より食され、安全性が高い
・当社培養技術により、均質な菌糸体の安定的工業生産が可能である
・高級食材として浸透しており、知名度が高い
・現時点で他社製品が未だなく、先駆性がある
■マツタケ
マツタケは担子菌類に属するキノコの一種であり、アカマツの根に寄生し、秋季にアカマツ林の地上に自生します。このキノコは、万葉集にも記載があるように、古くから食されており、安全な食材と云えます。
マツタケには芳香があり、美味なことで有名ですが、最近では収穫量が減少し、季節限定の高級キノコとされています。技術的には、マツタケ菌糸体の人工培養は可能ですが、生殖体である子実体の人工栽培は非常に難しいとされています。アカマツ林を手入れするなど、自然環境整備による増産が試みられているのが現状です。過去に、マツタケ菌糸体を培養・加工して子実体類似食品の開発がトライされた報告がありましたが、成功には至らなかったようです。
キノコにはβ-グルカンなどの生理活性物質が含まれ、免疫増強作用などの多彩な作用を発揮することが知られています。マツタケ子実体においても、動物実験で他キノコを凌駕する極めて強い抗腫瘍性成分が報告され、がん細胞に特異的に、がん細胞の自殺、つまりアポトーシスを誘導するユニークな蛋白質が報告されています。一方、臨床効果も、古くは「本朝食鑑」に記載されていますし、最近では胃癌の体験例があります。しかし、子実体には、原料確保の制約や、野外採取時や流通中の品質劣化など多くの問題があります。このような理由により、子実体を用いた研究の大きな進展はありませんでした。
会社概要
社名 :呉羽化学工業株式会社 設立 :1944(昭和19)年6月 所在地 :東京都中央区日本橋堀留町1-9-11 代表者 :天野宏 資本金 :124億6,000万円 売上 :840億円 事業内容 :機能製品、化学製品、樹脂製品、医薬製品の製造販売
1962 : 東京研究所に安全性試験設備完成 1977 クレスチン(抗悪性腫瘍剤)発売 1991 クレメジンカプセル200(慢性腎不全用剤)発売 1999 コバルジン(動物用医薬品)発売 2000 クレメジン細粒(慢性腎不全用剤)発売 2001 三共株式会社と抗HIV剤(CXCR4ブロッカー)の共同研究契約締結
食品関連開発の経緯
1954 : クレハロンケーシングの完成以降、魚肉・畜肉加工品包装システムの構築、
包装材料の提供、並びに海外における食品の製造指導を実施1960 食品研究所設立。クレラップ発売。 1975 ラミネート用フィルム(ケイフレックス)を契機に、無菌化包装システムの開発推進、
並びに包装材料の提供1977 多層収縮バッグ(MLバッグ)を契機に真空包装技術、紫外線殺菌システムの開発、
包装材料の提供、並びに海外における技術指導を実施1977 多層収縮フィルム(ペアフレックス)を契機にガスパックシステム開発推進、
並びに包装材料の提供実施上記で培われたハイバリアー技術は、最近の「ベセーラ」パウチ・フィルムへと発展を続けている
熱膨張性マイクロスフェアーおよびその加工品の製造販売開始について
呉羽化学工業株式会社(以下 呉羽化学、天野宏社長 東京都中央区日本橋堀留町1-9-11)と大日精化工業株式会社(以下 大日精化、高橋靖社長 東京都中央区日本橋馬喰町1-7-6)は、かねてより共同開発していた熱膨張性マイクロスフェアーおよびその加工品の製造販売をこの度本格的に開始いたします。
呉羽化学が特徴ある重合技術を生かしマイクロスフェアーの製造を行い、大日精化がプラスチック、塗料、印刷インキ等への加工技術を生かしマイクロスフェアーの応用開発を行います。また、市場開発は呉羽化学と大日精化が共同して行い、マイクロスフェアー単体および加工品は商品名「ダイフォーム」として大日精化が販売いたします。
熱膨張性マイクロスフェアーとは液化された低沸点炭化水素を熱可塑性樹脂の殻壁で内包したプラスチック微小球で90℃〜180℃の加熱により殻壁内部のガス圧が増し同時に熱可塑性樹脂の殻壁が軟化することで、マイクロスフェアーの体積が最大70倍程度に急激に膨張し、中空の球状粒子を形成するものです。
用途は衣料、壁紙への立体プリント、紙、テーブルクロスの防滑剤、紙カップの保温・断熱材、紙管・ガラスビンのクッション材、自動車・建材・各種プラスチック成型品・紙等の軽量化材、環境対応非塩ビ壁紙用コート剤、等に使用され、幅広い分野で意匠性、機能性の付与に役立ちます。
開発された製品群は現在、発泡温度別に低温タイプから高温タイプまで各用途別に10種類のマイクロスフェアーを品揃えしており、更に軽量化材用、塩ビ艶消し用としてマイクロスフェアーの加工品を「ダイフォームV」の商品名で試験的に上市いたしております。この種の熱膨張性マイクロスフェアーはこれまで世界で2社しか製品化しておらず、本製品が3番目となります。
製品は使用される用途に最適な商品を目標に開発した結果、各グレードともにマイクロスフェアーの粒度分布が従来品に比べシャープであり均一発泡できること、発泡倍率が高く少量の添加で目的の発泡が得られること、マイクロスフェアーの殻壁の耐熱性が優れており、黄変しにくい等の従来品にない特徴を数多く有しております。
呉羽化学と大日精化では当商品を世界戦略商品と位置付け、従来の意匠性中心の用途から、防滑、軽量化、保温断熱、防音吸収、等への用途開発を進め、今年度1億円、3年後の2005年には10億円の売上を見込んでおります。
本商品は11月9日(土)から13日(水)に幕張メッセで開催されるIPF(国際プラスチックフェア)2002の大日精化の小間において商品説明を行います。
慢性腎不全治療剤クレメジンの韓国におけるライセンス契約締結について
三共株式会社(東京都中央区 社長 高藤鉄雄)は、呉羽化学工業株式会社(東京都中央区 社長天野宏)が開発した慢性腎不全治療剤クレメジンを日本において販売しておりますが、この度、両社は世界戦略の一環として、韓国における本剤の展開について合意し、CJ
Corp社(ソウル市 代表 孫京植氏)に対し、10月10日付で、韓国での開発・販売権の許諾を行いましたので、お知らせいたします。
CJ Corp.社(シージェイ・コーポレーション)概要
【旧名:チイルジェダン株式会社】
創業 : 1953年 代表 : 孫京植(Sohn Kyung Shik) 資本金 : 103百万ドル(約130億円) 主要業務 : 食品、医薬(研究、開発、販売、製造) 本社所在地 : 韓国、ソウル市 従業員数 : 4,544名(内、医薬品部門650名 MR数190名) 売上高 : 2001年度 1,743百万ドル(約2,200億円)
内、医薬売上高 165百万ドル(約210億円)主力品 : 腎性貧血治療剤 EPOKINE(Erythropoetin)
抗菌剤 CITOPCIN(Ciprofloxacin)等