日本経済新聞 2002/11/13

日本ポリケム 三菱化が全額出資へ      → 公取委結論

 三菱化学と東燃化学は12日、両社の共同出資会社で汎用樹脂メーカーの日本ポリケムを三菱化学の完全子会社にする方向で協議していることを明らかにした。三菱化学は日本ポリケムの汎用樹脂事業を昭和電工の子会社とチッソとの間でそれぞれ統合する計画。完全子会社化により同計画を円滑に進める。
 日本ポリケムは三菱化学が65%、東燃化学が35%を出資。東燃化学の保有株式を三菱化学が買い取る交渉を進めている。譲渡は年内になる可能性が高い。日本ポリケムは代表的な石化樹脂であるポリエチレン(能力は年72万トン)、ポリプロピレン(同71万トン)を生産している。

 

注:日本ユニカーとの関係切断が目的と思われる。
     旧東燃化学の川崎工場ポリオレフィンプラントは日本ポリケム資産のため、そのまま。

 



平成15年5月30日 公正取引委員会

 「平成14年度における独占禁止法第4章関係届出等の動向及び主要な企業結合事例 」
  
事例12 日本ポリケム葛yび日本ポリオレフィン鰍フポリエチレン事業の統合について 

東燃の出資する日本ユニカーを含めるとLDPEの合算販売数量シェアは約45%,上位3社累積シェアは約80%となることから,LDPE の取引分野における競争を実質的に制限することとなるおそれがある。
ポリケムの親会社である三菱化学が,東燃化学からポリケムの株式をすべて譲り受け,ポリケムを同社の100 %子会社にしたことから,当事会社であるポリケムとB社との間の企業結合関係が解消された。このため本件統合により,LDPE の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

 サンアロマーとの間接的な結びつきは問題にしていない。


2003/01/21 三菱化学       背景:上記

日本ポリケム株式会社の全額出資子会社化について

 三菱化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:冨澤龍一)は、東燃化学株式会社(本社:東京都港区、社長:工藤保男)との間で、ポリオレフィン事業における合弁会社である日本ポリケム株式会社(本社:東京都千代田区、社長:高下悦仁郎)の株式について、当社が東燃化学社保有分の全てを買い取り、同社を当社の全額出資子会社とすることで本日基本合意いたしました。今後、早期に詳細契約を締結し、株式の買い取りを実施いたします。

 当社は、東燃化学社との間で、日本ポリケム社が現在計画している日本ポリオレフィン株式会社とのポリエチレン事業の統合及びチッソ株式会社とのポリプロピレン事業の統合を含む日本ポリケム社の経営方針について意見の相違が生じたため、この解消を図るべく協議を続けてまいりました。その結果、当社グループにおけるポリオレフィン事業の今後の展開をより迅速かつ効果的に行うため、当社が日本ポリケム社を全額出資子会社化することが最適であるとの結論にいたりました。

 日本ポリケム社が現在計画する日本ポリオレフィン社及びチッソ社各々との事業統合につきましては、従来の方針通り、両社のご協力を得ていち早く実現してまいります。

 当社は、当社グループの中で大きな位置づけを占める石化事業において、オレフィン及びその主要誘導品であるポリオレフィンの競争力は極めて重要であると認識しており、そのために必要なアライアンス、投資などを推進してまいります。今回の日本ポリケム社の全額出資子会社化は、その一環として実施する第一歩でありますが、今後とも必要な施策をスピーディーに行うことで、2004年に向けての関税引き下げに伴う一層の輸入増を始めとする様々な環境変化に対して迅速かつ効果的に対応し、オレフィンセンターから石化誘導品に至るまでの石化事業全体の競争力強化を図ってまいります。

[日本ポリケム株式会社の概要]

発足   平成8年9月1日
本社   東京都千代田区有楽町一丁目10番1号
代表者   高下 悦仁郎
資本金   200億円
出資比率   三菱化学65%、東燃化学35%
事業内容   ポリオレフィンの製造、販売及び研究開発
売上高   約1,400億円(平成14年12月期見込み)
従業員数   約830名(平成14年12月31日現在)

日刊工業新聞 2003/1/22

 三菱化学と、東燃化学の親会社筋である米エクソンモービルは、日本ポリケムを中核にした合成樹脂の統合計画をめぐり意見が対立。エチレン生産に経営資源を集中させたいエクソン側の思惑もあって関係解消となった。

 東燃化学からの買い取り金額は明らかではないが、実施は遅くとも6月までを予定している。


日本経済新聞 2003/5/8

樹脂事業統合2社、10月めどに 三菱化学、50%以上を出資

 三菱化学はポリエチレン樹脂事業の統合会社とポリプロピレン事業の統合会社をそれぞれ10月をめどに設立する。昭和電工系メーカーとポリエチ会社を、チッソとポリブロ会社を設立することで2001年に合意したが発足が遅れていた。いずれの会社にも三菱化学が50%超出資して子会社とする。2つの新会社は代表的樹脂である両製品でそれぞれ30%以上の国内シェアを持つ最大手メーカーとなる。
 三菱化学は両樹脂を生産・販売する子会社の日本ポリケムを通じて新会社2社に出資、日本ポリケムの生産・販売機能を製品ごとに新会社に移管する。
 ポリエチの統合会社には日本ポリケムが52%、昭和電工系の日本ポリオレフィンが48%出資する方向でほぼ合意した。同樹脂はフィルムや容器などに広く使われる。新会社の年産能力(2002年末時点)は約127万トンでシェアは34%。主に自動車部品などに使われるポリプロの統合会社には日本ポリケムが65%、チッソが35%出資する。年産約107万トン(同)で国内シェアは38%。
 三菱化学は2つの
樹脂統合会社を設立することで相手先と基本合意。当初は2002年春の設立を目指したが、日本ポリケムに35%出資する東燃化学との調整難航で発足が遅れていた。三菱化学は東燃化学の保有株を買い取り、日本ポリケムを全額出資子会社にすることを決めており、これで樹脂事業統合の交渉も進んだ。