米国ピレスロイドビジネス                                      

SCAIではいろいろの仕事のうち、 Manager, Pesticides としてピレスロイドの販売も担当した。
米国では後述のとおり、通常はDistributorを起用するが、歴史的なものからS.C.Johnson & Sons (SCJ)には直接販売した。

 

SCJ

MGK

FMC

Bulk Chemical


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SCJ 

1)歴史
 1965 SCJが住化訪問、NPYについて協議
      住化はNPYをSCJに販売、SCJはUSDAの登録を取る。

 1968 NPY登録取得 (その後住化がデータ補完)

 1969 SCJ NPYを含んだエアゾール "Yard Guard"販売
     NPY(knock down for flying insects)/ Methoxychlor (kill for crawling)

 1971/72  DDT批判からSCJでは塩素系殺虫剤の廃止を決定
     Methoxychlorを除いたところ、蚊に効果ないとしてBAL処方〔Uclaf製 PYN-F対応〕に変更
     "FIK"、"House & Garden"でもPYR〔天然ピレトリン〕に劣ると。

 1972/73 NPYのknock down効果を利用する為、以下を発売
      "PS-FIK" NPY0.8 / PBO1.6
      "Wasp & Hornet Killer"

 1975 "PS-FIK" BAL処方に変更 蚊、ゴキブリに対する効果

2)契約
 基本契約(SCC/SCJ) 1975/1/1
   NPY中心(他も)、原則 直、 primary price

 Letter Agreement(SCC/SCJ)  1980/11/26
  PYN−F、SUMを明記、USAではMGKを通さず直に販売

3)日本ジョンソン
  Farley(現社長)の日本ジョンソン社長時代から何度も殺虫剤への進出を検討

  昭和52/10/31 Farley、小山社長、森杉氏 来訪
     殺虫エアゾール進出決定
     住化の援助要請

  昭和52/12 まず業務用でやりたいとのことで、協力決定(53/7 家庭用も)
     54年度 業務用テストマーケティング
     55年度 家庭用 同

  その後、ライオンから殺虫剤事業買収

(ライオンかとりが同名のよしみでライオンに買収されたが、その後ライオンが日本ジョンソンに売却)

4)SCJとの交渉
   Racine Wis.の本社訪問時には通常4つの会議をもった。
    ・ Domestic R&D   米国家庭用殺虫剤事業
    ・ International R&D 米国以外の開発グループ
    ・ Innochem     PCO事業(海外を含む)
    ・ Purchasing 購買方針(全世界)と米国購買

   それぞれの専門家と懸案事項の交渉、質疑応答を行った。

   例 
    83/6/8 定例会議
     ・Domestic R&D Earth Red, Fly mat その他
     ・International R&D  カナダのcoil その他
     ・Innochem 中国でのJV(計画)での登録取得協力要請
     ・Purchasing  83/84計画、84/85計画

 84/2/9 SCJ Canada訪問  Fly matの議論

 82/9/24 NPY価格問題

 84/3/16 南米のNPY価格問題(イタリア品使用への反論)
   Purchasingとの交渉(住化からの依頼)

*SCJ本社ビルはFrank Lloyd Wrightの設計で、建物だけでなく什器や事務机まで設計したが、今もそのまま使っている。

5)アース製薬のアースレッドのSCJへのライセンス 

    日本での住化/アース間の契約
     アースレッドに関して、海外は特に協議するもの以外は住化が開発を行う。
     アースがDistributorをもつ国(特に東南ア)ではアースが行う。 
     米国、カナダや 南米・西欧のほとんどの国は住化。 

 1980/2/21 アースとSCAIがSCJに紹介。
         SCJの関心大、但し製品輸入では採算取れないとしてライセンス要望。
         アースはライセンス拒否。  
 1983/1   住化/アースで契約再確認。アースがライセンスに応じる。
 1983/6   SCAIがSCJ訪問
          SCJ:是非やりたい。アース、住友と具体的交渉をしたい。
              SCJとしてはS-2703Fでやりたい。登録をどうするかが問題。
   
 1983/12/1 アースからSCJに条件提示

 1984/2/3 SCAIがSCJと事前協議
  SCJ:R.E.Posey(GM-Insect Control), F.W.Smith, Jr.(Assistant Counsel)他
  SCOA:Zama
  SCAI:Nakayama、Sasayama

   アースからの条件に対し、SCJからcounter-proposalがあり、議論。
     ロイヤリティ:アース5%、SCJ 1%
     ミニマム:アース 5百万個、SCJ 初年度150万個、以降15万個ずつ増加

   住化にとっては使用殺虫剤が問題で、以下の議論をした。
    SCAI:我々がこれをやるのは住友の殺虫剤を売るため。
    SCJ :cost/performanceがよければ当然住友品を使う。
        S-2703Fはperformanceには問題なし。但し原体登録に何年もかかり、待てない。
        つなぎとして、SUMは効力面で落ちる。S-5602はIrritation問題あり。
        SCJとしては permethrinとNPY(or SUM)の合剤を考えたい。

 1984/3/22 SCJ/アース/SCAI会談
   SCJ  Posey、Smith、Pettibone
        Jane M. Hutterly (New Product Development Manager)
   アース 原田
   SCOA Zama
   SCAI Nakayama, Sasayama
    
    License fee ほか
      長時間の議論の後、決着
      K-H fee 130千$
      Minimum  年150 万個 
      Royalty 2.5% on SCJ sales
      Exclusive (minimum相当額を払うことで)
  
    使用原体で激論
     SCJ :S-2703Fのテスト結果は良好だが登録は先。当面permethrinで。
     SCAI:登録が取れたらS-2703Fに切り替えるというunderstandingが欲しい。
     SCJ :License契約でspecific productsを使うことを条件にするのは違法。
         先のことは約束できない。両社の友好精神で、その時点で考慮。

 その後、契約締結。Permethrinでスタート。ブランドは Red Earth。
 アースからはSCAIの協力に感謝された。


MGK   

1)MGK(McLaughlin Gormley King Co.)
  McLaughlin、GormleyとKing が3人で始めたDistributor。
  前社長William D. Gullickson, Senior (現社長William D. Gullicksonの父)の夫人がMcLaughlinの娘。


米国の家庭用殺虫剤のDistributorについては別項(
米国における家庭用・防疫用殺虫剤の開発・普及体制)に詳しく記載。

他に、Penick、Fairfield American(FMCから独立)、Prentiss Drugなどがあるが、MGKが最大。

ブランド "Multicide"

2)経緯  
    1977/10/27 Distributorship Agreement (MGK/SCAI)締結

その後1978年頃、子会社のHardwicke ChemicalをEthyl Corporationに売却するとともに、MGKそのものを買ってくれないかとの提案があった。手元に記録がないが、対価としては当時のレートで20〜30億円程度であった。

これに対し以下の発想で提案を断った。 
・MGKは製造メーカーではなく、ノーハウと需要家との関係で事業を行っているが、住化が買収した場合に、中心の従業員が辞めてしまえばどうしようもない。
・MGKの実力について十分認識せず。(SCAIからも積極的説得なし)
・当時としては高額であること。
・丁度、MPCCが難航している時期で、米国の会社を買うなど上にもっていけない。

*当時としてはやむを得ない判断であったが、後から考えると惜しい話であった。
  Gullickson前社長からも「あの時なぜ買わなかったのか」と言われた。

その後、MGKは住化ピレスロイドの拡販に貢献、関係を深めていった。

1981年に本社から、SCAI独自で事業を進めるべきでないかとして、MGKを切るとの提案が出た。多数の有望な新製品が出る可能性があり、米国の事情も分かってきたので、高い口銭のMGKを切って、登録はICRを使って取り、直接 marketingを行ってはどうかというもの。
SCAIからは詳細に事情を説明してこれに反対し、むしろMGKとの関係を深めるべきだと提案した。別項(
米国における家庭用・防疫用殺虫剤の開発・普及体制

その後の動き
 1989年に住商と共同でMGK株式20%を購入し、社員を派遣
 その後、買い増し、1999年に住化持ち株比率32.9%(住商込みで38.9%)とした。
  
 
住化発表文

3)契約
    Distributorship Agreement
      1977/10/27 MGK/SCAI
      Territory: USA, Canada
      Exclusivity (但し Same levelでの)
        SCAIのfinal customerへのDirect Sales OK
        例外 FMC向けNPY (prior commitment)
      期間 1984/9/30、以降自動延長 (1982/5/26に期間延長、1981/10/1遡及)
      Margin  NPY 25%
            PYN−F、SUM 当初15%→20%(1980/12/24修正)
      Minimum 当初15t→20t(1980/12/24)→28t(1982/5/26) 

    Distributorship Agreement拡大
      1978/6/13 SCAI/MGK
      中米・カリブへのDistributorship拡大
      但しSCAIは any resellerへの販売可
      対象国: El Salvador, Haiti, Mexico, Dominica, Guatemala, Grand Bahama,
            Tobago, Nicaragua, Trinidad, Costa Rica, Barbados, Panama, Martinique,
            Jamaica, St. Vincent, Grenada, Antigua, Dominica

    Letter Agreement 1980/12/24
       上記で 「SCAIは any resellerへの販売可」とあるのに加え、
       「日本の住化もany resellerへの販売可」とした。       

    S-4068F、S-2852F、S-2703F、NPY-F開発契約
       1982/6/21 SCC/MGK
       Exclusive Territory
       Non-exclusive Territory(中米、カリブ)
       既存のDistributorship Agr'tと同様のAgr'tのoptionを与える。

4)交渉(例)
    
83/6/7 訪問議事録
      MGK:米国市場の分析(Nuventures reportについて)
      MGK:military use SUM をBulk Chemicalにやらせたことに対するクレーム
      SCAI:1984 season価格通知
      SCAI:PYN-F販売要請(MGKは競合のBALを使用継続してきた)

    83/10/21
      ・米国価格、欧州価格
      ・R&Dの考え方説明
         NPY-F、S-2703F、S-4068F、S-2852F、IGR

    84/1/30
      IGR 3剤の開発契約案の説明、協議


FMC→Fairfield American 

  FMCがそのIndustrial Sales Dept.で家庭用殺虫剤のDistributor事業を実施
 
  1970/6/3 Exclusive Distributorship Agr't を締結
   しかし minimum quantityを満足せず
 
  1977/1/1 Industrial Sales Dept.をFairfield Americanに売却

  1977/10/13 住化から契約のterminationを提案するも、FMCは権利維持を希望
     non-exclusive distributorshipとする。

  1979/10にFairfield AmericanにNPY 1000kg 販売
   (FMC宛てにlist price x 85%で販売、同社がFACに転売)

  なおNPY/104合剤パテントで紛争
   1975/12/24 FMCとの和解決定、共有

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Fairfield AmericanをSMTのPCO用途のDistributorに起用したが(MGK、Prentissとともに)カーペット汚染問題でSCAIが販売を取り止めたため実績なし。


Bulk Chemical
   SUM aerosol (military use)のメーカー


SCAIで2%SUMと10%SUM のaerosolの登録を取り、当初は Case Masonに製造委託して(のち1979/1 Bulk Chemicalに切り替え)、SCAIとしてmilitaryおよびairlineに販売した。
 *のち、米国で訴訟問題が発生した。
 
Bulkはその後、John Doe labelで販売した。
 Military useのN−PYR、104からSUMへの切り替えに協力
 販売価格 list price からrebate 6$/kg引き

1983年度のtender取得 
 MGKから苦情あり。 

 *John Doe label 

米国では法律上の書類等で本名を出せない場合や本名が不明の場合、仮名でJohn Doeを使う。(女性の場合は John Doe、赤ん坊の場合 Baby Doeなど使う)
(a party to legal proceedings whose true name is unknown)

殺虫剤の登録の場合、Formulatorが処方を登録した場合、全く同じ処方であればメーカーがこの処方を自社ブランドで販売できる。これを John Doe labelという。

MGKはMulticideというブランドで登録を取り、この処方をJohn Doe Labelとして需要家に供給する。

 


発表文 

                                               平成11年2月9日
                    MGK株式買い増しの件

 住友化学は、このほど、北米における防疫薬事業の拠点強化を図る目的で、米国ミネソタ州のMcLaughlin Gormley King Company (MGK社)の発行済普通株式を買い増し、持株比率を飛躍的に増加させました。
 今回の買い増しにより、住友化学のMGK社持株比率は18.2%増加し、32.9%になりました(住友商事株式会社が保有している株式を含めると、合計持株比率は38.9%になります)。MGK社の株式の過半数は、同社の社長でCEO(最高経営責任者)でもあるWilliam D. Gullickson Jr.氏の一族が保有しています。
 MGK社は、北米を主な対象市場として防疫薬の開発・製造・販売を行っていますが、オーストラリアの天然ピレスロイド製造会社への資本参加等も行っています。
 住友化学は、MGK社とは数十年にわたって事業提携関係にあり、1989年の資本参加を機にMGK社に役員を派遣するなど、近年、提携関係を強化してきました。MGK社は、住友化学・生活環境事業部の北米における事業拠点の一つであり、主に米国およびカナダの防疫薬最終製品の製造販売会社向けに、住友化学の防疫薬原体を販売すると同時に、これらの原体を使用した混合剤の開発・製造・販売を行っています。
 今回、北米における防疫薬事業の拠点を強化すべく、MGK社の発行済普通株の買い増しによる提携強化を行いましたが、今後とも引き続き世界各地で防疫薬事業を鋭意拡大する予定です。
 なお、今回の株式買い増しを実施するにあたり、シュローダーズ投資銀行を当社アドバイザーとして起用いたしました。
                                                      以 上

(添付資料)
MGK社の概要等

1. MGK社の概要

 (1) 商号: McLaughlin Gormley King Company
        (マクローリンゴームレイキングカンパニー)
 (2) 本社所在地: 米国ミネソタ州ミネアポリス
 (3) 準拠法: 米国ミネソタ州法
 (4) 設立: 1902年
 (5) 社長兼最高経営責任者: William D. Gullickson Jr.
                    (ウィリアムDガリクソンジュニア)
 (6) 資本金: 137,995米ドル
 (7) 株主(非上場): Gullickson一族    15,482株 56.1%
             当社             9,075株 32.9%
             住友商事株式会社   1,656株  6.0%
             その他          1,386株  5.0%
 (8) 役員: 8名 当社役職者1名(非常勤)
 (9) 従業員: 約60名

2. MGK社に対する資本参加の経緯

(1) 1989年に住友商事株式会社と共同で、MGK社の発行済普通株式の20%にあたる5,520株(うち、当社取得は3,864株)を取得。
(2) 1996年から1997年にかけて、当社単独で少数株主保有株185株を買い増し。
(3) 今回、当社単独で少数株主保有株5,026株を買い増し。
                                                          以  上

 

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