日本経済新聞 2008/3/15
電機大手各社 事業再編で損失計上相次ぐ 中下位、生き残りへ苦闘
社名 | 対象事業 | 主なリストラ内容 | 損失額(億円) |
日立製作所 | プラズマパネル | 生産体制見直し(生産継続) | 設備の減損(560)、在庫処分(370)など |
液晶パネル | 松下電器にPS αテクノロジーの経営権譲渡 | ||
東芝 | 次世代DVD | 撤退 | 生産ライン見直し(500)、採算悪化(500) |
三菱電機 | 携帯電話機 | 撤退 | 設備の減損(170) |
三洋電機 | 携帯電話機 | 京セラに譲渡 | |
パイオニア | プラズマパネル | 生産撤退(松下から購入) 液晶ではシャープと提携 |
設備の減損(190) |
ソニー | 携帯電話機 | ドコモ向け撤退(KDDI向けの開発・生産は当面継続) |
同社は2001年から製造販売を始め、売上高はピークの06年度には約250億円と、デジタル素材で主力製品の一つだった。三井化学の光学フィルターの世界シェアはピークの06年度で30%強と、旭硝子やブリヂストンと首位の座を争っていた。
薄型テレビの価格下落にともない、部材価格も値下がりが進行している。同フィルターはここ3年間、年20〜30%で下がり続け、韓国メーカーの日本市場参入によって下落に拍車がかかった。また、07年はパネル各社の販売が計画を下回り、数量の伸び悩みも誤算となった。
2003年6月 三井化学 光ディスク完全撤退 電子材料「プラズマ」用に重点
三井化学は電子材料事業を再構築する。シェアが低く国際競争力に劣るCDーR(追記型コンパクトディスク)など記録用光ディスク事業から完全撤退。約40%の世界シェアを持つ薄型テレビ画面用のフィルターなどに絞り、2007年度までの5年間で300億ー400億円を投資、電子材料事業の売上高を千億円に倍増させる計画だ。
液晶
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日立、今期最終赤字700億円・薄型TVリストラで損失
日立製作所は14日、2008年3月期の連結最終損益が700億円の赤字(前期は327億円の赤字)になる見通しだと発表した。これまでは100億円の黒字を見込んでいた。不振が続く薄型テレビ事業のリストラで930億円の損失を計上するほか、将来に回収できる可能性が低いとして繰り延べ税金資産を取り崩す。大手電機で事業リストラに伴う損失が膨らんできた。
薄型テレビは競争激化で販売価格が下落しているうえ、北米で大型機種の販売が伸びず採算が悪化している。旧型製品の在庫処分などを進めた結果、営業利益の段階で370億円の損失が発生する。ただ、情報通信など他の事業が好調なため、連結営業利益見通しは前期比64%増の3000億円と従来の予想を変えなかった。連結売上高も前期比5%増の10兆8000億円と従来予想のまま据え置いた。
薄型テレビ事業のリストラに伴い一時的に発生する損失が560億円になる。宮崎県にあるプラズマディスプレーパネル製造設備の評価額の引き下げが中心だ。一方で保有株式の売却で1000億円の利益を計上する