米トウモロコシの対中輸出を急減させたとして物議を醸している遺伝子組み換えトウモロコシについて、中国農業省が輸入解禁を認めた。トム・ビルサック米農務長官が17日、明らかにした。

中国は昨年11月以来、米国産トウモロコシの一部にスイスのバイオ大手 シンジェンタが開発した遺伝子組み換えトウモロコシが含まれていることが判明したとして、米国産トウモロコシの輸入を拒否してきた。シンジェンタは遺伝子組み換えトウモロコシを2011年から米農家に販売していたが、中国からはまだ承認を得られていなかった。

穀物輸出会社と農家は、中国の輸入禁止をめぐってシンジェンタを提訴している。中国が米国産トウモロコシを積んだ貨物船の受け入れを拒否したため、数千万ドルの売り上げが失われ、トウモロコシ価格が落ち込んだと主張する。

しかし、輸入解禁が認められたことで1年に及ぶ難局は転機を迎えそうだ。ただし、解禁によって中国への輸出量がすぐに以前の水準にまで回復するとは期待できない。

ビルサック長官は17日、中国の汪洋副首相がシカゴで今週開催されている合同商業貿易委員会(JCCT)の会合で輸入解禁を認めたことを明らかにした。中国は独医薬品大手バイエルと米化学大手デュポンがそれぞれ開発した遺伝子組み換え大豆の2変種も承認したという。

シンジェンタの広報担当者は、中国から正式な承認書類を受け取るまでコメントは控えると述べた。同社は12日、中国から「近い将来」承認が得られる見通しを示していた。同社が開発した遺伝子組み換えトウモロコシは害虫を殺すタンパク質を生成する点が特徴で、10年に中国規制当局に承認を申請していた。

中国は約4年前、急速に米国産トウモロコシの大きな買い手となったため、米国にとって今年のトウモロコシ輸出の急減は一段とこたえた。アナリストは、中国の輸入解禁後も、近い将来に米国産トウモロコシの新規大口契約が急増する公算は小さいとみている。中国では最近、価格維持制度の拡大で国内のトウモロコシ生産が増加し、大量の備蓄を抱えている。米農務省は今月、中国のトウモロコシ備蓄量は15年8月末までに7870万トンに達するとの予測を示した。