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2007/3/28 主要石油化学製品生産能力調査

経済産業省は23日、2006年末時点の我が国の主要石油化学製品生産能力調査の結果を発表した。

今後輸出が減少することが予想されるため、国内販売数量のみと比較すると、各製品ともかなりの過剰能力である。

1.エチレン

  定修年 スキップ年
東ソー   493   527
昭和電工   615   691
東燃化学   478   515
三菱化学  1,301  1,422
山陽石化(旭化成)   443   504
丸善石油化学   480   525
京葉エチレン   690   768
住友化学   380    415 
大阪石化(三井化学)   455   500
三井化学   553   612
新日本石油化学   404   443
出光興産   997  1,101
合計  7,289  8,023
 

昭和電工・大分で改造工事で能力増(+38)
三菱化学・鹿島2号機で原料多様化工事で能力増(+25)

  * 2006年実績
   生産 7,525、エチレン換算輸出 2,295、差引 国内販売対応 5,230千トン   
   他にエチレン換算輸入 489千トン、差引 エチレン換算内需 5,719千トン

 2006/9/22 「エチレン業界の変遷

2.ポリエチレン

チッソ    63
日本ユニカー   300
日本ポリエチレン  1,184  
東ソー   308
三井化学     5
プライムポリマー   489
三井・デュポンポリケミカル   170
日本エボリュー   240
住友化学   305
丸善ポリマー   111
宇部丸善ポリエチレン   197
旭化成ケミカルズ   283
合計  3,656
   
社名 LDPE LLDPE
日本ユニカー   180  
日本ポリエチレン   345   364
東ソー   152    31
プライムポリマー     145
三井・デュポンポリケミカル   170  
日本エボリュー     240
住友化学   172   133
宇部丸善ポリエチレン   147    50
旭化成ケミカルズ   120  
合計  1,286   963
   2,249
   
チッソ    63
日本ポリエチレン   475
東ソー   125
三井化学    5
プライムポリマー   246
丸善ポリマー   111
旭化成ケミカルズ   116
合計  1,142
   
社名 LL/HD併産
LL HD
日本ユニカー   110    10
プライムポリマー    11    87
旭化成ケミカルズ      47
合計   121   144
   265

日本ポリエチレン、
併産設備をLL、HDに専用化

   
     *2006年出荷実績 (千トン)
  国内 輸出 合計 能力
LDPE  1,572   228  1,800  2,370
HDPE   971   116  1,087  1,286
  他に次の輸入あり 
        (千トン)
レジン(LD)   201
レジン(HD) 16
PE袋 480
PEフィルム 121

 2006/9/29 「日本のポリオレフィン業界の変遷」 

3.PP

浮島ポリマー   127
サンアロマー   218
日本ポリプロ  1,082
住友化学   386
プライムポリマー  1,071
宇部ポリプロ    90
徳山ポリプロ   200 
合計  3,174

*2006年出荷実績 (千トン)
国内 輸出 合計
 2,756   321  3,077

 2006/9/29 「日本のポリオレフィン業界の変遷」 

4.SM

日本スチレンモノマー
(新日鐵化学65%/東ソー35%)
  232
太陽石油化学
04/1/1 三井化学から譲受け
  335
日本オキシラン
(住友化学60%/Lyondell 40%
  412
千葉スチレンモノマー
(電気化学60%/住友化学40%)
  270
電気化学   240
新日鐵化学   190 
出光興産   550
三菱化学   371
旭化成   803
合計  3,403

*2006年出荷実績 (千トン)
国内 輸出 合計
 1,949  1,405  3.354

  2006/4/22  「スチレンモノマー業界」 

5.PS

日本ポリスチレン
(住友化学/三井化学)
  162
大日本インキ化学   131
東洋スチレン
(電化/新日化/ダイセル)
  278
PSジャパン
(旭化成/三菱化学/出光)
  445
合計  1,016
*2006年出荷実績 (千トン)
国内 輸出 合計
  876   22   897

PSは構造改革の優等生で、メーカーも4社となり、安値の輸出はほとんどやらず(中国のダンピング調査ではシロとなったが)、能力も内需に合わせ縮小した。

2006/10/7 「日本のPS業界の変遷」 

しかし、これが最後の業界再編に障害となった。
2004年6月、PSジャパンと大日本インキ化学のPS事業と統合を発表したが、公取委は競争を実質的に制限する恐れがあるとの指摘を行い、計画は白紙に戻った。

国内の製造業者は4社であり,これら国内の競争業者に供給余力がほとんどないことと,輸入品については輸出国に供給余力がない状態が当分継続するというのが理由である。

2006/02/20  競争政策研究会の「企業結合審査における改革の進展状況と今後の課題」 

 

6.VCM

テック   391
東ソー  1,480
トクヤマ   330
京葉モノマー   200
カネカ   540
鹿島塩ビモノマー   600
合計  3,541
*2006年出荷実績 (千トン)
国内PVC用  1,373
国内その他用    42
輸出PVC用   744
VCM輸出   888
合計  3,048

  2006/9/18 「日本のVCM業界の変遷

7.PVC

徳山積水   116
テック   334
大洋塩ビ   564
東ソー    28
新第一塩ビ   292
信越化学   550
カネカ   466
合計  2,351
*2006年出荷実績 (千トン)
国内 輸出 合計
 1,364   744  2,109

VCMの場合、能力 3,541千トンに対して、国内向けPVC用その他は1,415千トンと40%に過ぎない。
PVCの場合も、能力2,351千トンに対し、国内販売はその58%である。

 2006/9/13 「日本のPVC業界の変遷と現状」 

但し、PVCの場合には、米国などと比較すると、潜在需要は大きい。これを顕在化できるかどうかが問題である。

 2006/3/3 「日本の塩ビ事業」 参照 

 


2007/3/29 BASFとモンサント、バイオテクノロジーで提携

BASFは21日、農産物のバイオテクノロジー分野でモンサントとの提携に合意したと発表した。

両社は合計で15億ドルの研究開発費を投じ、収穫量が多く、干ばつなど異常気象への耐性も強い農産物を共同で研究・開発する。

対象となるのは、今後も世界的に大きな需要が見込まれるトウモロコシ、大豆、綿花、菜種(canola:セイヨウカブラナ)の
種類の農産物。遺伝子組み換えの技術などを持ち寄り、共同で商品化を早める。
201
0代の最初の5年をメドに第1弾の販売を目指す。

有望な遺伝子が見つかれば相手に通知し、共同で開発する。開発費は50/50で負担する。
商品化した場合、製品はモンサントの販売網で販売する。
販売から得られる収益は、モンサントが60%、BASFが40%の比で配分する。

ーーー

BASFの農業科学部門 BASF Plant Science は1998年に設立され、モンサント、シンジェンタと並んで遺伝子組み換え作物の開発で世界をリードしている。
2006年にはオーストラリア分子植物育種協同研究センターとの協力関係を拡充し、オーストラリアでの干ばつ耐性や真菌病抵抗性のGM小麦を共同開発している。

ーーー

モンサントは1901年に設立され、最初はサッカリンを製造した。
(創業者のJohn F. Queeny
が妻の名前Olga Monsanto Queenyの旧姓を社名にした)

1945年に除草剤2.4D、1976年に除草剤Roundupを商業生産した。

1985年に医薬会社のG.D. Searle & Co (1888年設立)を買収し、医薬部門とした。

1997年に化学品、繊維部門をスピンオフし、Solutia Inc. とした。

2000年、Pharmacia & Upjohn と合併し、Pharmacia Corporation となった。  付記 Pharmacia & Upjohnの狙いは医薬部門のSearle。

2002年、旧モンサントの農薬部門がPharmacia からスピンオフし、新モンサントとして独立した。
Pharmacia 2003年にPfizer に吸収合併されている。)

新モンサントは2005年に野菜や果物の種子のグローバルリーダーの Seminis, Inc. や、綿花の種子メーカーStonevilleを買収している。


 


2007/3/30 デュポンの部門別損益

海外の各社のAnnual Report が順次発表されている。

DuPont の部門別営業損益(PTOIpre-tax operating income)で不思議なことを見つけた。

DuPont200110月に医薬部門をBristol-Myers Squibb 78億ドルで却している。
しかし部門別PTOI (特別損益を除く)で「医薬部門」で多額の益が出ている。(単位:百万ドル)

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
 263  133   58  468  548  681  751  819

* Textiles & Interiors 部門のINVISTA 2004年にKoch Industries に売却

 

DuPont 1950年代終りから医薬品開発に注力したが、新規製品の登録取得・販売の能力がなかった。
1969年にEndo Laboratories を買収して血液溶剤Coumadin(R) を上市したが、業績には寄与しなかった。

1991年にMerck との50/50JVDuPont Merck Pharmaceutical を設立し、勢いがついた。パーキンソン病の薬Sinemet(R)、心臓画像診断剤Cardiolite(R)、抗高血圧薬のCozaar(R)Cozaarチアジド系利尿剤 との合剤 Hyzaar(R)などが上市された。
Cozaar Hyzaar Merckで販売された。

1998年にDuPont はDuPont MerckのMerck 持分を買収し、同社をDuPont Pharmaceuticals と改称した。その後、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)用の薬としてSustiva (R) が上市された。

しかし、DuPont の力をもっても医薬事業で生き抜くのは難しかった。
1999年から2000年に営業利益が半減しているが、これは販売減と、研究開発費・販売費の増大によるものである。

2001年、同社は世界の事業の構造改革を実施した。4月に競争力を失ってきたポリエステルおよびナイロン工場の閉鎖を発表、3カ月後にはポリエステル事業の一部を売却した。
同年6月、
DuPont PharmaceuticalsBristol-Myers Squibbに売却するという決断をした。医薬品事業に必要な巨額投資は、同社にとっても、あまりにリスキーだったからである。

売却額は78億ドルで、税引き後利益は38億6,600万ドルである。
但し、条件として、
Cozaar Hyzaar の権利は DuPont が維持し、Merckにライセンスした。
現在の「医薬部門」の利益はこの特許料である。

多額の研究開発費・販売費を投じて事業を続けるよりも、過去の成功品のライセンス料の方がはるかに利益が大きいという実態は、医薬事業の難しさを表している。


2007/3/31 ニュースのその後 公取委ガイドライン、Styrindo Mono Indonesia 

1)公正取引委員会、企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針発表 

公正取引委員会は328日、企業合併の可否を審査する際に使う新しいガイドラインを発表、同日から新指針の運用を開始した。

企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針  
  

1月31日に一部改正案を自民党の委員会に示し、了承を得た。
その後、一般から意見を募集していたもの。

内容は下記参照

 2006/12/19 合併審査基準の公取委案  
 
2007/2/5  公取委、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」の一部改正案を発表 
  

問題は具体的な事案で公取委が当該製品のアジアの能力などをどう扱うかである。

2)インドネシアのStyrindo Mono Indonesia

豊田通商は、インドネシアのスチレンモノマー製造・販売子会社、PT.Styrindo Mono Indonesia(SMI) の全株式を、エチレン供給会社のChandra Asriに売却することを決めた。売却価格は9,500万ドル。
 
国際競争の激化に伴い、安定した原料の確保と販路の拡大が、課題となっているなか、原料のエチレンを製造しているChandra Asriに売却するのが最適と考えた。

Styrindo Mono Indonesia はトーメンが出光石油化学、サリム・グループ、ビマンタラなどとを設立したもので、現在の能力はEB 44万トン/SM 40万トン。

 2006/4/28 インドネシアの石化事業への日本企業の参加 

当初の出資比率は
トーメン75%、出光5%、ビマンタラ10%、サリム10%であったが、2006年4月にトーメンが豊田通商に吸収合併された後は、一時、豊田通商84.62%PT Bimakima 7.69%、Salim Chemicals 5.13% ほかとなっていたが、その後、豊田通商100%となった。

豊田通商は、グループ事業価値最大化の観点から、事業ポートフォリオの見直しと経営資源の再配分を進めており、赤字のStyrindo Mono Indonesiaは整理の対象となっていた。

    最近の業績 : (単位:US$ 1,000)

  平成17 年12 月期
売上高      344,591
営業利益      ▲27,410
当期純利益     ▲127,721

売却先のChandra Asri については下記参照

 2006/4/26 インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加−1 


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