ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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Clariant はこの1年半で中国で1億ドルの投資を行っている。
同社は9月15日、広州の南の大亜湾にエトキシレート工場を建設すると発表した。2011年初めに稼動の予定で、年産50千トン。
同社にとってエトキシル化は主要技術で、50年以上の歴史があり、欧州、北米、ラテンアメリカに生産拠点を持つが、大亜湾はアジアで初めての工場となる。
隣接する中海シェル石油化学(CNOOC/Shell)との間で原料のエチレンオキサイドの長期購入契約を締結した。
9月17日、同社は江蘇省鎮江市で界面活性剤工場をスタートさせた。
最新の5万m2の工場は年22千トン以上の能力をもち、既存工場を補完する。
本年3月、Clariant と杭州百合化工とのJVの杭州百合科莱恩顔料(Hangzhou Baihe Clariant Pigments)が浙江省杭州市で赤色高級有機顔料のキナクリドンの生産に乗り出すと発表した。
同JVは2006年6月に赤色、黄色の高機能有機顔料を生産する6ラインの稼働を始めた。
同じく3月、五酸化リンの製造のため、雲南省昆明にJV
Lufeng Clariant Chemicals を設立した。
JV相手は原料の黄燐の輸出業者のKunming GaoHeng
Huagong Chemical Industryと、長年 Clariantの物流を担当しているPanchem
International Trading and Industrial の2社である。2010年初めに稼動の予定。
5月には広州で新しいマスターバッチ(着色及び添加剤)の生産を開始した。
Clariant
Guangzhou Masterbatch Ltd, は1995年に設立された。
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Clariant は1995年夏にSandoz の化学品部門がスピンオフして設立された。
Sandoz はその後1997年1月にCiba-Geigy と合併し、Novartis となった。
Novartisは同年3月にはCiba-Geigy の化学部門を分離し、Ciba Specialty としている。
Clariant
は1997年にHoechstからHoechst Specialty Chemicals を買収。
1998年にはCiba Specialty
との合併の合意をしたが、破断した。
2000年には英国のファインケミカルのメーカー、BTP Plc.、2006年にはCiba Masterbatchesをそれぞれ買収した。
2008年7月に米国を基盤としたRite Systems 社とRicon Colors 社を買収・統合したことにより、マスターバッチビジネスにおける世界リーダーとしてのポジションを強化した。
2008年の同社の売上高は8,071百万スイスフラン(7,150億円)。売上高構成は以下の通り。
部門 | 内訳 | ||
Textile, Leather & Paper Chemicals | 25% | Textile | 14% |
Leather | 5% | ||
Paper | 6% | ||
Pigments & Additives | 24% | Coating business | 7% |
Plastics business | 4% | ||
Special inks, flame retardants, etc | 10% | ||
Publication inks, polymer additives, etc | 3% | ||
Masterbatches | 16% | ||
Functional Chemicals | 35% | Oik services, mining services | 8% |
Personal
care, industrial applications, industrial & home care, etc |
17% | ||
Detergents & intermediates | 10% |
中国については前身のSandozが1995年に天津第5染料化学工場との間で2つのJVを設立した。
第一はSandoz
Chemicals (Tianjin) で、現在はClariant Pigments
(Tianjin) となっている。
Clariant
が60.0%の出資。
第二は天津華士化工(Tianjin Hua Shi Chemicals)で、Clariantが25%出資している。
現在、Clariant は台湾、香港を含むGreater China に13箇所の施設(製造、研究、販売)を持ち、1300人以上のスタッフを雇用している。
2009/9/22 大正製薬、Bristol-Myers Squibb からアジアのOTC医薬品事業買収
大正製薬は9月16日、Bristol-Myers Squibb との間で、同社がアジア地域に保有するOTC医薬品の商標権等のブランド資産とインドネシア子会社の株式を買収することで合意したと発表した。
買収するのはアジア太平洋29カ国における「Tempra」(解熱鎮痛薬)、「Counterpain」(外用消炎鎮痛薬)その他製品の商標権、製品登録と、インドネシアの OTC医薬品及び医療用医薬品の製造販売会社 PT Bristol-Myers Squibb Indonesia Tbk (BMSI)の株式の97.97%。
製品登録は8カ国:インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、香港、台湾及びマカオ。
これに加え、アフガニスタン、オーストラリア、バングラデシュ、ブータン、ブルネイ、カンボジア、フィジー、インド、ラオス、モルディブ、マーシャル諸島、ミクロネシア、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、パプア・ニューギニア、ソロモン諸島、韓国、スリランカ、東ティモール及びベトナム の合計29カ国
日本にはブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社があるが、今回の買収には含まれない。
Tempraは、インドネシア、フィリピンの解熱鎮痛薬市場において、Counterpainは、インドネシア、タイの外用消炎鎮痛薬市場におい て、トップクラスのシェアを誇っている。
1970年設立のBMSIは、ジャカルタの郊外に25,440uの敷地を持つ工場を有しており、大正製薬の将来のアジア事業の拡大戦略の中での生産拠点としての役割を果たすことが期待される。
取得金額はブランド資産が160百万米ドル、株式が 150百万米ドルの合計310百万ドル。
買収の狙いは以下の通り。 | |
@ | アジア地域で高いブランド力を有する製品群を取得することによるアジア地域OTC医薬品事業へ本格的参入。 |
A | 同社の医薬品の知識・技術及び販売ノウハウと、BMSIの知名度や 強力な販売網を融合させることにより、アジア地域における同社の事業をさらに発展・拡大。 |
B | BMSI社の生産設備を、将来のアジアにおける同社の生産拠点として活用。 |
同社は今後、アジア事業全体を統括する会社をシンガポール、クアラルンプール等を候補として新設し、成長市場であるアジア地域における事業拡大を更に進めることを目指す。
同社は1962年に日本で初めてとなるドリンク剤「リポビタンD」を発売し、翌1963年には海外進出を開始、以来、香港、台湾、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、中国、米国、英国に現地法人を設立し、「エナジードリンク」という新しい市場を形成し、ドリ
ンク剤市場の国際的リーダーとしての地位を確立した。
台湾、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナム、上海では、現地に生産拠点も構えている。
医療用医薬品の分野では、主力製品であるマクロライド系抗生物質「クラリス」を米国アボット社を通じて世界約130カ国以上で販売している。
今後は成長が見込まれるアジア地域でのセルフメディケーション事業の戦略的強化、ブランドの構築に取り組む。
2009/9/23 中国国家発展改革委員会(NDRC)、自動車の過剰能力を警告
中国国家発展改革委員会(NDRC)は最近、自動車メーカーが国内需要の増加を受けて生産能力を増やしているが、今後過剰能力になるのは必至で、放置すれば2013年までに工場の操業度は70%以下になると警告した。
政府の支援策の効果の減少と環境問題の圧力の増大により、国内市場の成長ペースはスローダウンし、新能力は今後遊ぶことになろうとしている。
中国の自動車の生産能力は来年には16百万台を超える。
中国自動車製造業者協会によれば、国産自動車の販売は2009年の8ヶ月で年率29.18%伸び、833万台に達した。中国は世界最大の自動車市場となった。本年の販売台数は2008年の938万台から1200万台に増える見込み。
現在の操業度はほぼ80%となっている。
本年1月に中国は需要促進のため、1600CC未満の自動車のSales taxを従来の10%から5%に引き下げた。
政府はまた、「汽車下郷」(農村部に自動車を)制度で合計50億人民元の補助金支払いを決めた。
Volkswagen は先週、南京と成都の工場の能力をそれぞれ30万台から35万台に増やすため、40億ユーロの投資を行うと発表した。
先月にはGeneral Motors と中国第一汽車(FAW)は50/50JVの「一汽GM軽型商用汽車」を設立し、20億人民元を投じて年産20万台の小型商用車を生産することを決めた。
Fiat Auto SpA は7月に長沙市に広州汽車集団とのJVを設立、2011年の完成当初に乗用車14万台、エンジン22万基を生産する。
NDRCでは自動車メーカーは冷静に判断し、盲目的に通常の車の生産能力を増やさないよう警告した。
自動車メーカーがするべきことは、研究開発と、省エネで環境に優しい新エネルギー車の生産にもっと投資することであるとしている。
また、政府は国内自動車メーカーの統合、合併、買収を奨励するとしている。
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中国の合成樹脂の現在の好調も「家電下郷」などの政府支援策の効果が大きい。
都市部と農村部の所得格差は拡大している。輸出も依然、前年比マイナスを続けている。
政府の支援策の効果が切れた時が心配である。
2009/6/29 中国の現状
欧州ではスペイン政府の太陽光発電の補助金削減などで「太陽電池バブル」が崩壊した。
2009/9/16 欧州で「太陽電池バブル」崩壊
2009/9/24 中国石油天然気集団(CNPC)、カナダの石油会社買収でリビア政府に敗退
カナダの石油会社Verenex Energy はリビアのGhadames
Basin に利権を持つが、2009年2月24日に、中国石油天然気集団(CNPC)に対し、会社を499百万カナダドルで売却する契約を締結した。
これより有利な提案があった場合には15百万カナダドルの解約料で解約できる条件がついている。
Verenex Energy はカナダの石油会社Vermilion Energy Trust がフランスの石油開発のため2004年に設立した。
その後、フランスの利権はVermilion Energy Trust が買い取っている。
Vermilionは現在、Verenexの株式の45%を所有する最大株主である。
その後、この取引は難航した。
リビヤとのExploration and Production Sharing Agreementでは、石油利権の移譲についてはLibyan National Oil の承諾が必要となっており、Verenex はLibyan National Oil に対し、これを要請した。承諾は不当に拒否できないこととなっている。
しかしLibyan
National Oilは承諾せず、CNPCと同じ条件での買収など、代替案を検討していると述べた。
また、移譲の承諾の場合には approval bonus の支払いが必要ともした。
Verenex ではこのbonus を46.7百万カナダドルと推定しており、これをCNPCが支払うこととなっている。
Libyan National Oil は5月に、CNPCと同じ条件での買収の権利行使を検討していると伝えた。
カナダ政府はリビヤ政府に対し、決定がなされないことに対し懸念を表明した。
Verenex はCNPCに対し、同社との契約期限を8月24日まで延長すると伝えた。
6月11日にLibyan National Oil はVerenex に対し、2005年1月にVerenex がリビヤで利権を取得した入札で不正があった疑いで捜査が行われていると伝えた。(Verenex は全面否定)
Verenex がCNPCとの契約期限を延長した8月24日が過ぎたが、両社は解約しないことで合意した。
Libyan National Oil は売却同意をせず、リビヤ政府はVerenex に対し、もっと安い価格での購入を求めることを明らかにした。
これに対し、Verenex は仲裁手続きの準備をしつつ、友好的な解決のためリビヤ政府と交渉を続けた。
9月8日、CNPCはVerenex に対し、買収の契約を取り止めると通知した。
9月18日、Verenex Energy とLibyan Investment Authority(LIA)は共同で、Verenex の全株式をLIAが314.1 百万カナダドルで買収することで合意したと発表した。
LIAは2006年にリビヤの石油収入の余剰分を運営するために設立された政府投資ファンド(Sovereign Wealth Fund)で、現在650億米ドル以上の資産を有している。
Verenex の取締役会は、本取引が最善のものであるとしている。
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国連と米国がリビヤに対する制裁を解除して以来、石油資源の豊富なリビヤには海外からの投資が殺到している。
1988年12月にスコットランド南部ロッカビー上空で米パンアメリカン航空機が爆破され、270人が死亡した事件の犯人とされるリビアのアブデル・バセ ト・アルメグラヒ元情報将校が本年8月20日に末期がんで余命3カ月であるという理由で終身刑で服役中のスコットランドの刑務所から釈放されたのも、リビヤの石油のためとされている。
リビヤ政府は事業に関してはOpen であると伝えたきた。
しかし今回、Verenex とCNPCの契約に承認を与えず、当初は同条件での買収を匂わせながら、途中で過去の不正疑惑に触れたりして、最終的にCNPCよりもはるかに安い金額での買収を行った。
本件はリビヤでの今後の事業に不安を与える事件である。
2009/9/25 ホーユー、クラシエグループ株式の60%を買収
染毛剤最大手のホーユーは9月24日、アドバンテッジパートナーズ、MKS
パートナーズ、ユニゾン・キャピタルの3ファンドの共同出資会社から、クラシエホールディングス、クラシエホームプロダクツ、クラシエ製薬、クラシエフーズの発行済普通株式のうち60%を取得する株式譲渡契約を締結したと発表した。
残りの40%についても3年以内に取得することを基本方針としている。
株式取得額は100億円程度とみられ、約150億円の有利子負債も引き継ぐ。
付記
ホーユーは2012年3月30日、3ファンドが保有する残りのクラシエグループの発行済普通株式の40%を取得し、クラシエグループを当社の完全子会社とすることになったと発表した。
ホーユーは一般消費者用ヘアカラーで国内シェア約40%を占めるトップメーカーだが、一般消費者用及び業務用ヘアカラー市場は成熟期に入っており、製品ラインナップの拡充等による更なる事業成長の機会を模索していた。
新たな成長機会を獲得するためにも、技術面、生産面、営業面それぞれに高い実力を備えたクラシエグループと共に事業を展開することが、必要不可欠であると考えたとしている。
クラシエグループの事業とホーユーの技術・研究開発力とが組み合わさることにより、以下のシナジー効果の創出を期待する。
@バリューチェーンの共同利用によるシナジー
ホーユー海外拠点・代理店の活用によるクラシエグループ製品の販売拡大
最適な物流・調達・生産体制の構築
Aマーケティング活動の協働による成長機会の拡大
製品ラインナップの拡充
新規事業の開発
B薬品・食品事業におけるシナジー
製薬技術の化粧品及びヘアカラーへの応用
健康食品等への展開
3ファンドは、2回目の株式取得までの間、引続き事業運営ノウハウの提供、効率化施策の浸透、ガバナンスの強化等でクラシエグループの成長をサポートする。
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カネボウは2004年に経営危機に陥り、産業再生機構の支援で再建に取り組んだが、過去の巨額の粉飾決算が表面化し、上場廃止に追い込まれた。
産業再生機構はカネボウの非中核の多くの事業を整理・売却した後、カネボウ化粧品を花王に、ホームプロダクツ、製薬、フーズ事業を3社連合に譲渡した。
「カネボウ」の商号は花王が独占使用権を取得したため、残り事業は2007年7月に「クラシエ」に改称した。
2007/3/6 カネボウ・トリニティ、社名をカネボウからクラシエに変更
2007/7/1 ニュースのその後 カネボウ解散
今回ホーユーが株式の60%を取得する事業は以下の通り。
クラシエホールディングス:グループ経営戦略の策定・推進、経営管理・監督
クラシエホームプロダクツ:
トイレタリー商品(石鹸、洗剤、シャンプー、リンス等)関連商品、その他日用雑貨の製造、加工、輸出入
クラシエ製薬:漢方薬を中心とした医療用医薬品と一般用医薬品の製造・販売
中国にJV 青島華鐘製薬有限公司を設立し、生薬の産地指定から製剤原料(エキス粉末)生産までを行っている。
また、保健食品、医薬品、漢方エキス粉末等の販売会社 華鐘高科医薬(北京)有限公司(同社65%)を持っている。
クラシエフーズ:菓子、新規食品、アイスクリーム等の製造・販売
菓子部門:「甘栗むいちゃいました」や機能性ガム、おもしろお菓子「ねるねるねるね」など
海外商品部門: ミント系錠菓「フリスク」など
新規食品部門:カロリーゼロの健康機能食品「プルジュレ」など
冷菓部門:焼き菓子とアイスの複合や、生のフルーツとの加工、ヘルシーな豆乳を使用したアイスクリームなど
ーーー
ホーユーは1905年に家庭薬製造販売業「水野甘苦堂」として創業、1921年には しらが染め「元禄」を発売、以来73年間のロングセラーとなった。
1923年に「株式会社朋友商会」を設立、1964年に「ホーユー株式会社」に改称した。
1957年に粉末しらが染め「ビゲン」、1971年に「ビゲンヘアカラー」を発売した。
現在の事業内容はヘアカラー・頭髪化粧品・家庭薬の製造、販売で、2008年(10/31決算)の売上高は409億円、経常利益は38億円となっている。
経産省化学課は2009年2月、高吸水性樹脂(SAP)の2008年出荷実績を発表した。
他の樹脂が大幅減収となるなかで、国内向け出荷は前年比105.3%の137,577トン、輸出は106.2%の299,154トンで、ともに過去最高を更新した。
国内の2008年末の能力は480千トンとなっている。
国内メーカーは、日本触媒、サンダイヤポリマー、住友精化、荒川化学、花王の5社。
(サンダイヤは三洋化成60%/三菱化学40%のJV)
このうち、日本触媒が260千トン、サンダイヤが125千トン、住友精化85千トンとなっている。
ーーー
住友精化は9月17日、堅調な需要の伸びに対応するため、姫路工場で高吸水性樹脂製造設備(設備能力24千トン/年)を新設すると発表した。新設備の稼動は2010年秋を予定している。
これにより同社グループの供給能力は190千トン/年となる。
姫路工場 86千トン(公称85千トン)→110千トン→164千トン シンガポール 60千トン(公称55千トン) → 69千トン フランス 20千トン → 47千トン 合計 →190千トン→280千トン 付記
2011年5月、フランスでの27千トン増設を発表、合計47千トンに
2011年7月、姫路で54千トン新設を発表、姫路の合計能力 164千トンにシンガポール:Sumitomo Seika Singapore (Sakra島)
住友精化 80%、住化シンガポール 20%
当初 35千トンフランス:2008年3月、Arkema から高吸水性樹脂事業を買収
Arkema社 Carling工場の製造設備を活用、Arkemaに製造委託
当初生産能力は年産15千トン→20千トンに増強
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日本触媒は8月31日、米国の子会社NA Industries の高吸水性樹脂生産拠点の移設を発表した。
NA Industries は当初 Alco社とのJVであったが、同社が買収されたため日本触媒100%となっている。
テネシ−州チャタヌ−ガのSAP
生産設備(60 千トン/年)は旧式プラントで、老朽化に加え、次世代向けSAP
の品質並びに生産において顧客の要求に十分対応できなくなっている。
このため、NA Industries は同社の関係会社のAmerican Acryl(テキサス州ヒューストン)のアクリル酸工場の横に、最新鋭のSAP プラントを建設し、アクリル酸からSAP の一貫生産を行う。
生産能力は現在と同じ60 千トンとし、2012 年6 月から商業運転を開始する。
American Acryl はNA Industries とAtofina Chemicals の50/50JVで、アクリル酸能力は120千トン/年。
なお、NA Industriesは現工場の他の製品、コンクリート混和剤用ポリマー(15千トン)、アクリル酸系ポリマー(30千トン)、アクリル系エマルション(7 千トン)等は生産を続ける。
日本触媒グループの高吸水性樹脂の生産能力合計は470千トンで変わらない。
付記 インドネシアで90千トン新設→合計560千トンに
2011/4/6 日本触媒、インドネシアでアクリル酸と高吸水性樹脂を増強
姫路 320千トン 米国 60千トン NA Industries ベルギー 60千トン Nippon Shokubai Europe 中国 30千トン 日触化工(張家港)有限公司 合計 470千トン 従来、欧州ではBASFと提携し、年産24千トンの高吸水性樹脂を生産委託していたが、提携を解消した。
これに伴い1999年にBASFとの折半出資の販売子会社ULTRASORB Chemikalien を100%子会社化した。
その後、2001年にアントワープに自社工場を稼動させた。
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サンダイヤポリマーは三洋化成工業 60%/三菱化学 40%のJVで、2001年4月に営業を開始した。
それまでは、三洋化成は名古屋に年産85千トンのプラントを有し、三菱化学は日本合成化学工業との合弁のダイヤポリアクリレート(三菱化学 51%/日本合成化学 49%)大垣工場に年産10千トンのプラントを有していた。
現在の能力は以下の通り。
名古屋 105千トン 大垣 20千トン 中国 20千トン →65→135 合計 145千トン →260 中国は三大雅精細化学品(南通)有限公司
付記
三大雅精細化学品はその後、65千トンに増強した。
2010年4月、70千トンの増強を行い、能力を135千トンにすると発表した。2011年7月完成予定。
参考 2007/8/31 日本触媒 アクリル酸工場再編 (アクリル酸、高吸水性樹脂の状況)
アイルランド環境省は9月24日、買物袋を持たないでくる客の抑止効果(“sufficient deterrent”) を狙い、レジ袋税を倍増して0.44ユーロにすると発表した。来月に提出する環境法に含まれる。
アイルランドは世界で初めてレジ袋税を導入した国である。
2002年3月4日、0.15ユーロのレジ袋税
Plastic Bag Levy が課せられた。
効果は絶大で、一人当たり328枚(合計12億枚)のプラスチック袋が21枚にまで減少した。.
しかし、2006年には一人当たり31枚に上昇した。
このため、市民団体の要求を受け入れ、2007年7月1日に0.15ユーロから0.22ユーロに引き上げた。
2007/3/3 ニュースのその後 − レジ袋税
この結果、2007年には一人当たり28枚、2008年には27枚に減少した。
プラスチック袋によるゴミも、制度施行前の5.00%から、2008年8月には0.32%に減っている。
参考 アイルランド環境省資料
7年にわたる制度は120百万ユーロ以上の税収をもたらしている。この一部は環境保護サービスに使われている。
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アイルランドのレジ袋税はゴミ減少を狙ったもので、生分解性プラスチック袋も一般のプラスチック袋と同様の扱いとされている。
分解には時間がかかるため、ゴミとして捨てられた場合、一般のものと変わらない。
再利用可能なプラスチック袋は、0.70ユーロ/袋以上の値段を付けた場合には税を免除される。(無償配布は免除されない)
LGグループは9月23日、京畿道坡州(Paju)市の月籠産業団地で「LG坡州先端素材団地」の起工式を開いた。
2018年までに4兆ウォン(約2950億円)を投資し、面積84万平方メートル規模の素材専門産業団地を建設する。
坡州市は軍事境界線を隔てて北朝鮮と接する最前線で、市域に非武装地帯がある唯一の市で、板門店は同市にある。
坡州市月篭地域にはLG Display (旧称 LG Philips LCD)の産業団地がある。
173万平方メートルの敷地で、8000人を雇用し、地域経済活性化に寄与している。LG Displayは本年3月、Pajuの第8世代(2200×2500mm)LCD工場が量産を開始したと発表した。
6月には、同地に500億ウォンを投じ、2009年後半に太陽電池研究開発用のパイロットラインを建設する他,屋外にテスト用の発電施設を建設すると発表した。
LCDプラントから6km離れた新しい先端素材産業団地では、LG化学とLG Innotekが2018年までに総額4兆ウォンを投資する。
LG化学は2018年までに3兆ウォン(約2210億円)を投資し、液晶パネル用ガラス基板の生産ライン7本を建設し、年5000万平方メートルのガラス基板生産を見込む。LG化学はガラス基板事業を偏光板、二次電池に続く成長源として育成していく方針を立てている。
同社の当初の計画では4300億ウォンを投資するというものであったが、大幅に拡大した。
LG化学の金磐石副会長は、今回の投資について、「未来の成長産業分野で市場支配力を高めることが狙いだ」と話した。
液晶パネル用ガラス基板は、液晶パネルの生産原価の20%以上を占める重要部品。
LG Innotekも2012年までに1兆ウォン(約740億円)以上を投資し、発光ダイオード(LED)によるバックライトユニット、照明用LEDパッ
ケージの生産ラインを建設し、来年5月から本格生産に入る。
同社は2012年に1兆5000億円の売り上げを達成し、世界のLEDパッケージ市場で10%以上のシェアを獲得したいとしている。
LG Innotek は1970年にGoldstar-Alps Electronics として設立され、1995年に LG Electro-Componentsと改称、1999年にLG Precisionと合併し、2000年5月に LG Innotekと改称した。
現在、次の8つのコア事業をもっている。
Tuners、Motors、Power modules、LCD modules、Camera modules、
LEDs、MCMs(Multi Chip Modules)、Car Electronic Components
2007年2月15日に中国のPTAと原料パラキシレンの状況を報告した。
2006年末の中国のPXの能力は3,830千トン、それに対し需要は4,360千トンだが、PTAの伸びで2007年には需要は6,150千トンに増大する。
PTA/PET業界の急成長に伴う原料PX不足に対応するため、中国政府は6つの大規模PXプラントの新設と、4つの増設計画を承認している。ウルムチ石油化学は増設で一気に100万トン体制となる。
PX新増設計画(単位:千トン)
社名 立地 能力 新設 福建聯合石油化工(ExxonMobil/Aramco/Sinopec) 福建省泉州 700 金陵石油化学 江蘇省南京 600 茂名石油化学 広東省茂名 600 大連福佳・大化石油化工 遼寧省大連 450 中国海洋石油(CNOOC)/Kings Group (60/40JV) 広東省恵州 800 騰龍アロマティックス(Dragon Aromatics) 福建省厦門 800 合計 3,950 増設 ウルムチ石油化学 930 天津石油化学、揚子石油化学、上海石油化学 900 合計 1,830 総合計 5,780
シノペック上海石油化学は9月15日、上海市金山地区でパラキシレン起業の試運転を開始した。
30億人民元を投じたもので、能力はパラキシレンが60万トンにベンゼンが28万トン。2008年2月に建設を開始したもので、技術はUOPからライセンスを受けた。原料ナフサは自給、製品は主に市場に販売する。
同社は既に25万トンのパラキシレン、40万トンのPTA、28万トンのベンゼンをもっており、パラキシレン能力は85万トンとなる。
本年2月に中国政府は経済危機に対応して石油化学部門の景気振興策を発表したが、本計画はそれに含まれている。
このほか、上記の計画のうち、福建聯合石油化工(70万トン)、金陵石油化学(60万トン)、大連福佳・大化石油化工( 45万トン→70万トン)、CNOOC/Kings Group(80万トン)が既に完成している。
福建聯合石油化工(Fujian Refining & Petrochemical)
出資:ExxonMobi 25%
Saudi Aramco 25%
Fujian Petrochemical 50%(Sinopec 50/Fujian Government 50)金陵石油化学:Sinopec Jinling Petrochemical
大連福佳・大化石油化工:大連福佳企業集団(Fujia)と大化集団(Dahua)のJV (PTAも)
CNOOC/Kings Group
中国海洋石油(CNOOC)60%/Kings Group 40%
PX 80万トン、ベンゼン 105千トン(2009年6月スタート)
騰龍アロマティックスは公害問題で福建省厦門から古雷半島に移転することとなり、2年遅れで本年に建設を開始した。
2007/6/11 中国のインターネット反対運動が石化計画を止める
ウルムチ石油化学は既存能力6万トンを100万トンにする工事を行っている。
なお、茂名石油化学は環境面の承認待ちとなっている。
この結果、2007年1月に総能力は383万トンであったが、本年9月末現在では723万トンに拡大し、ウルムチが完成すれば800万トンを超えることとなる。
2008年のパラキシレンの輸入は3,404千トン、輸出は448千トンでネットで2,956千トンの輸入となっている。
生産量は370万トン程度とみられており、消費量は合計670万トン程度となっている。
このため、現時点で既に供給能力が需要を超えている。今後は輸入は大幅に減少すると思われる。
ウルムチ石油化学は既存能力6万トンを100万トンにする工事を行っており、年末にスタートする予定だが、経営陣は操業開始を出来るだけ遅らせることを主張し、地元の景気刺激と雇用のため早期操業開始を主張する地元政府と争っている。
当初、ウルムチ石油化学はNDRCにPTAプラント建設の申請を行った。しかし建設費が40億人民元以上かかることが判明した。
工場から最も近いPTAプラントは河南省洛陽で、1900kmも離れている。
PetroChinaではPXを生産しても、どうしたらよいのか分からない状況だという。
中国のパラキシレンの能力は以下の通り。(単位:千トン)
Producer | Location | 2007/1 能力 |
2009/9 能力 |
Sinopec 上海石油化学 | 上海 | 250 | 850 |
Sinopec 揚子石油化学 | 江蘇省南京 | 800 | 800 |
CNOOC/Kings Group (60/40JV) | 広東省惠州 | 800 | |
青島麗東石油化学 | 山東省青島 | 700 | 700 |
PetroChina 遼陽石化化繊 | 遼寧省遼陽 | 700 | 700 |
大連福佳・大化石油化工 | 遼寧省大連 | 700 | |
福建聯合石油化工 | 福建省泉州市 | 700 | |
Sinopec鎮海煉油化工 | 浙江省寧波 | 650 | 650 |
Sinopec金陵石油化学 | 江蘇省南京 | 600 | |
Sinopec 天津石油化学 | 天津 | 390 | 390 |
Sinopec 洛陽石油化学 | 河南省洛陽 | 215 | 215 |
Sinopec 斉魯石油化工 | 山東省Zibo | 65 | 65 |
PetroChinaウルムチ石油化学 | 新疆ウイグル自治区ウルムチ | 60 | 60 |
Total | 3,830 | 7,230 |
注 青島麗東石油化学は韓国のGS Aromatics
60%、オマーン石油
30%、Red Star
Chemical Group 10%のJV。
2006/11/3 「韓国GSグループの山東省パラキシレン工場、近く商業生産開始」
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