中国の国営メディアは2月12日、負債を抱えた民営採炭業者
山西聯盛能源への融資を裏付けとした理財商品の返済が滞ったと伝えた。
吉林省信託が組成し、中国建設銀行を通じて富裕層の顧客に販売している理財商品「松花江(77)号山西福裕能源項目収益権集合資金信託計画」の第4トランシェが2月7日の償還日に償還されず、テクニカルデフォルトとなった。
第1-3トランシェ |
4億7440万元 |
予定通りには償還されず |
第4
|
2億8900万元 |
年率9.8% 償還日 2月7日 テクニカルデフォルト |
第5-6 |
2億0900万元 |
2014年3月までに期日を迎える |
合計 |
l 9億7240万元 |
|
山西聯盛能源の経営者の邢利斌は、2012年初めに娘のために総額7000万人民元(約11億円)の超セレブ結婚式を挙げたことで話題となった「山西省一の大富豪」であった。
しかし、山西聯盛能源は石炭価格の継続的な下落が企業経営を圧迫し、債務を含まらせた。
山西県の柳林県人民法院(地裁)は2013年11月末、山西聯盛能源とその傘下会社など計12社の再編申請を受理したと発表した。
負債総額は300億人民元(約5081億円)で、税金や従業員の年金滞納、材料・設備購入費用未払いなども発生している。
付記
山西省の公安当局は3月12日、邢利斌を拘束した。
山西省の当局者は債務再編の調整に奔走している。
投資家は、商品を代理販売した中国建設銀行の販売員が商品にリスクはないと説明したと主張、中国建設銀行にも返済を求めているが、中国建設銀行は責任はないとしている。
更に、他の問題も明らかになった。
吉林省の信託会社1社が山西聯盛能源に貸し付けた9億7300万元のうち、少なくとも2億8900万元がすでに回収不能に陥っている。
また中国証券報によると、国内の信託会社6社が山西聯盛能源に対し、総額50億元以上を融資している。
このうち、長安国際信託は2013年3月に、これに関連した理財商品12億元相当を販売しており、数週間以内に償還期限を迎えるという。
今回、デフォルトが実際に発生すれば、高利回り商品でも国有銀行の暗黙の保証があるという、一般に広まった考え方が覆されることになる。
2014年に償還を迎える理財商品はおよそ4兆元(6610億ドル)あるとされる。
付記
2014年3月13日、第12期全人代第2回会議閉幕後の記者会見で李克強総理は金融商品のデフォルトについて以下の通り述べた。
確かに個別のケースで避けがたいものはある。われわれは監視を強化し、速やかに措置を講じて、地域的、システム的金融リスクが発生しないようにしなければならない。
「影の銀行」などの金融リスクに対しては、われわれも監督・規制を強化しており、すでにタイムテーブルを示し、バーゼルVの定める監督・規制措置を進めている。
2014/2/20 ジェネリック医薬品メーカーのActavis、Forest
Laboratories, Inc. を買収
後発医薬品メーカーのActavis Inc.は2月18日、米国の特殊医薬品会社Forest
Laboratories, Inc. を買収すると発表した。
買収総額は250億ドルで、先週末終値に比べ25%のプレミアムを上乗せした。
Forestの11.32%を保有し、Forestの身売りを働き掛けていた米著名投資家のCarl
Icahnは「この買収はForestの株主全てにとって大きな勝利だ」との声明を発表した。
今回の買収によりActavisは、Forestが持つアルツハイマー病治療薬「Namenda」と高血圧治療薬「Bystolic」を製品ラインアップに加えることとなり、Actavisの販売構成が変わるほか、統合会社の経費は10億ドル余り節減される。また、Forestの有力ブランド商品の販売先も広がる。
ーーー
Actavisは、アイルランドのActavis
Group と米国のWatson
Pharmaceuticals
が統合してできた世界第3位(Teva、Mylanに次ぐ)のジェネリック医薬品メーカーで、世界60カ国以上においてジェネリック医薬品、ブランドジェネリック医薬品、レガシーブランド及び一般用医薬品を、開発、製造及び販売している。
アイルランドのジェネリック医薬品会社のActavis
Group は買収を続けてきた。
2005年にAlpharma Inc.のジェネリック
医薬品事業を買収した。
AlpharmaはHoechstのgeneric部門を買収している。
2006年に米国のジェネリック医薬品会社Amide
Pharmaceutical
を5億ドルで買収、米国に進出した。
日本では2009年4月にあすか製薬との合弁会社あすかActavis製薬を設立している。
米国のジェネリック医薬品会社のWatson
Pharmaceuticals Inc.も2006年に米国のAndrx Corporationを19億ドルで買収している。
2012年10月、Watson
Pharmaceuticals Inc. がActavis Group を42.5億ユーロで買収・統合し、統合会社をActavis
Inc.とした。
これにより、2012年の売上高80億米ドルを超える世界第3位のgeneric 医薬品会社が誕生した。
統合によるシナジー効果から今後3年間で年間3億米ドルのコスト節減を予測した。
Actavis
は2013年10月、アイルランドの特殊医薬品メーカーのWarner
Chilcott を債務も含め85億ドルで買収した。
経皮吸収避妊パッチなどに強みを持つWarner
Chilcott を買収することで、後発医薬品のポートフォリオを拡大するとともに、global
headquartersをアイルランドに移し、節税効果も狙う。
(アイルランドのDublinにglobal
headquartersを置き、米国ニュージャージー州ParsippanyにAdministrative Headquarters を置く。)
アナリストは、Actavis
はカナダの特殊医薬品メーカーのValeant Pharmaceuticals International や米国のジェネリック医薬品メーカーのMylan
Incによる買収の標的とされているとされ、これを避けるためではないかとみている。
なお、最近の報道では、Valeant
Pharmaceuticals、Mylan Inc. とActavis がそれぞれ、Pfizer Inc のジェネリック business
の買収を狙っているとされる。
Actavisは2014年1月、中国の子会社
Actavis (Foshan) Pharmaceuticals を Zhejiang Chiral Medicine
Chemicals に売却した。
Actavis (Foshan) は小規模なため、Zhejiang Chiral に任せる方がよいと判断したとしているが、政府の介入など、厳しい事業環境が理由とされている。
2014/2/21 Abu Dhabi の石油戦略
2014年1月20日、国際石油開発帝石(INPEX)の
子会社ジャパン石油開発の上部ザクム油田の権益の契約期間が、15年延長されることになった。
2026年3月9日までの契約が2041年12月31日まで延長されることになった。1日あたりの生産能力は全体で約55万バレルで、INPEXの取り分はその12%分の日量6万バレル以上になる。
他油田の延長については先送りとなった。
|
期限 |
ジャパン石油開発 |
アブダビ国営石油
ADNOC |
BP |
TOTAL(仏) |
ExxonMobil |
下部ザクム油田 |
2018 |
12% |
60% |
14.67% |
13.33% |
ー |
ウムシャイフ油田 |
2018 |
12% |
60% |
14.67% |
13.33% |
ー |
ウムアダルク油田 |
2018 |
12% |
88% |
ー |
ー |
ー |
上部ザクム油田 |
2041 |
12% |
60% |
ー |
ー |
28% |
サター油田 |
2018 |
40% |
60% |
ー |
ー |
ー |
アブダビ石油(コスモ石油63%、JX日鉱日石開発31.5%)の権益は2012年が45年間の期限であったが、2011年2月に30年更新(2042年まで)の新利権協定を締結した。
既存のムバラスなど3油田の24千バレルに加え、同程度の生産量が見込めるヘイル油田の権益も取得した。
ヘイル油田は2017〜18年の生産開始を目指す。
2009/1/23 アブダビ石油の油田権益
20年延長へ
付記 韓国も油田開発権を取得した。
2012/3/9 韓国、アブダビの油田開発権取得
---
これに対し、BP等の陸上油田の権益は2014年1月10日に期限切れで失効した。
陸上油田は1939年以降、外国の石油会社に採掘権を与えられてきた。
1971年の独立を機に、Abu
Dhabi 国営石油会社(ADNOC)が参加し、Abu Dhabi Company for Onshore
Oil Operations (ADCO)を設立した。
当初
ADNOCの出資比率は15%であったが、1974年に60%となった。
他のメンバーは以下の通り。
BP、Shell、Exxon Mobil、Total
各9.5%、計38%
PortugalのPatex
Oil and Gas 2%
ADCO は現在、主に下記の6つの油田で採掘し、日量160万バレルを生産している。
Asab、Sahil、Shah、Bab、Buhasa、
North-East Bab (Dabbiya、Rumaitha & Shanayel)
期限切れを目前に、各社は期限の延長を求めたが、Abu
Dhabi政府は40年間の新しい生産契約の入札を行うこととした。
BP、Shell、Exxon Mobil、Total
の4社には入札を求めたが(PortugalのPatex
Oil and Gasには求めず)、新しい競合者からの入札も求めた。
そのなかには、Eni、Statoil、Occidental Petroleum のほか、国際石油開発帝石(INPEX)、ロシアのRosneft、韓国のKorea National Oil Corporation、中国のCNPC(PetroChina)
などが含まれる。
条件は非常に厳しく、40年間にわたり、通常の2倍の回収率70%を達成する計画の提出を義務付けている。
各社は 5〜10%の権益を与えられる。鉱区は4つに分けられる。
これまでの権益保有者5社は1月10日で権益を失ったが、Patexを除く4社は新しい権益が決まるまでの間、作業を継続し、一定価格で従来の数量の引取りを行う。
現在各社の提案を比較検討中で、3月に結果を発表する予定だが、2015年までかかるとの見方もある。
Abu
Dhabiには、石油の重要顧客である日本、中国、韓国との関係を強化しようという考えがある。
Abu Dhabiの最高石油評議会は中国政府と話し合いをしていると報じられている。
2013年初めにCNPCとADNOCは戦略的協力協定を結んだ。
CNPCは未開発地区の評価を技術と経済性の面から研究して、研究結果を
ADNOCに提出する。
また、CNPCと ADNOCは、石油・天然ガスの探査開発、技術サービス、事業建設、設備と物資、石油貿易や人員の教育訓練などの面でも全面的に協力を展開する。
CNPCは西部の7ブロックの評価を行ったが、最高石油評議会はこれに満足しているとされ、CNPCへの権益供与を検討しているとされる。
2013年2月にアブダビ首長国を訪問したの茂木経済産業相は、石油関係の同国高官と会い、2018年に期限切れとなる海上鉱区の権益更新と、陸上鉱区の新規参入をそれぞれ要請した。アブダビ側は「しっかり検討したい」と応じた。
これに対し、欧米勢も巻き返しを図っている。
付記 その後については、
2016/12/28 BP、アブダビの権益取得、見返りにアブダビ政府がBPに出資
2014/2/22 日本のGDP(2013/4Q)
内閣府が2月17日に発表した2013年第4四半期のGDP速報値は季節調整の年率換算で実質1.0%、名目1.6%増となった。
|
実質GDP
(年率) |
名目GDP
(年率) |
年間換算 実質ベース増減 |
個人消費 |
設備投資 |
住宅投資 |
公共投資 |
輸出 |
輸入 |
13/1Q |
4.8 |
3.0 |
4.2 |
-3.5 |
7.2 |
13.3 |
17.8 |
4.5 |
2Q |
3.9 |
4.1 |
2.6 |
4.4 |
3.6 |
30.3 |
12.3 |
7.2 |
3Q |
1.1 |
0.7 |
0.9 |
0.8 |
13.9 |
31.9 |
-2.7 |
10.1 |
4Q |
1.0 |
1.6 |
2.0 |
5.3 |
17.8 |
9.3 |
1.7 |
14.9 |
付記
3/10改定 |
0.7 |
1.2 |
1.6 |
3.0 |
17.6 |
8.7 |
1.7 |
14.7 |
民間調査機関では、本年初めまで4Qの実質成長率を3%台半ばと見ていた。
円安でも輸出が伸びないことから、内閣府幹部は公表前に2%台半ばと見ていたという。
実際には、消費税増税前の駆け込み需要も自動車と住宅以外は広がらず、予想を下回る数字となった。
公共投資は補正予算に盛り込んだ公共工事の執行が一服したため、鈍った。
輸出は伸び悩み、輸入は大きく増加した。
2月20日発表の1月の貿易統計(通関ベース)速報では、貿易収支は2兆7900億円の赤字で、1979年1月以降、単月の赤字額としては過去最大となった。
貿易赤字は19カ月連続で、これまで最大だった2013年1月(1兆6335億円)より7割増えた。
項目別の寄与度は下記の通り。
2013年4Qでは、個人消費と民間設備投資が日本経済を牽引しているのが見える。
逆に輸出から輸入を引いた外需は大きなマイナスとなり、成長率を引き下げた。
同時に発表した2013年年間のGDP成長率は実質が前年比1.6%増、名目1.0%増で、2年連続のプラスとなった。
日銀の2013年度の見通しは実質
2.7%であるが、これを達成するには、2014年1-3月期に前期比で年率換算10%の高成長が必要となる。
黒田東彦日銀総裁は2月18日の会見で、以下の通り述べた。
今のところ順調に経済は推移しているし、経済見通しとして発表しているところに沿って動いていると思っており、今の時点で2.7%が達成できないことは考えていない。
経済物価情勢を点検して上下双方向のリスクが明らかになれば、それぞれに対応した政策の調整を行うということにしているので、その点はまったく変わりない。(達成困難という)リスクが顕在化することがあれば、ちゅうちょなく現在の量的・質的金融緩和の調整を行うということになろうと思う。
2014/2/24 ブリヂストン、円安と原料安で最高益更新
ブリヂストンは2月18日、2013年12月期の決算を発表した。
この決算には特異な点がいくつもある。円安と原料価格安で営業利益が大きく増加したこと、多額の特別損失を計上したことである。
売上高は3兆5681億円(前年比
5284億円増)、営業利益は4381億円(前年比 1521億円増)、当期利益は2021億円(前年比
304億円増)となり、2005年以来8年ぶりに最高益を更新した。25円の増配とする。
単位:億円、配当は円 |
|
売上高 |
営業損益 |
経常損益 |
当期損益 |
配当 |
中間 |
期末 |
2010/12 |
28,616 |
1,665 |
479 |
989 |
10 |
10 |
2011/12 |
30,244 |
1,913 |
1,793 |
1,030 |
10 |
12 |
2012/12 |
30,397 |
2,860 |
2,850 |
1,716 |
16 |
16 |
2013/12 |
35,681 |
4,381 |
4,348 |
2,021 |
27 |
30 |
前期比 |
5,284 |
1,521 |
1,498 |
304 |
11 |
14 |
2014/12予 |
38,000 |
4,600 |
4,420 |
2,850 |
40 |
40 |
|
この決算には、特異な点がいくつもある。
1) 円安
同社は円安効果をフルに受けている。
売上高は前年比 5283億円の増となったが、このうち為替変動によるものが 5290億円ある。
すなわち、売り上げ増は全て円安によるものである。
営業損益も、前年比で1521億円増となったが、このうち円安によるものが1140億円ある。
為替変動以外の売上高の影響(売価、数量、売上ミックス)は逆に 629億円のマイナスである。
|
営業損益 |
前年比 |
前年比 増減内訳 |
為替変動 |
原材料 |
売値・数量・
売上Mix |
戦略商品 |
その他 |
2010 |
1,665 |
907 |
-270 |
-1,310 |
2,527 |
300 |
-340 |
2011 |
1,913 |
248 |
-370 |
-2,550 |
3,138 |
210 |
-180 |
2012 |
2,860 |
947 |
-120 |
920 |
226 |
-50 |
-29 |
2013 |
4,381 |
1,521 |
1,140 |
1,000 |
-629 |
150 |
-140 |
2014予 |
4,600 |
219 |
210 |
-230 |
488 |
290 |
-539 |
2)原材料
日本の石油化学会社の場合、円安によりナフサ等の価格が上昇し、コストアップとなっている。
それに対し、同社の場合、上の表の通り、原材料価格差で前年比1000億円もの差益となっている。
報道では、このうち天然ゴム価格の下落で500億円の益とされる。
天然ゴム市況は下記の通りで、2010年、2011年の差損も理解できる。
天然ゴム以外でも500億円程度の原料価格差益がある。
2013年では、ブタジエン市況の下落に伴い、合成ゴムの海外市況が下落している。
3)特別損失
営業損益、経常損益が大きく増加しているのに対し、当期損益の増益幅は小さい。
これは特別損失によるものである。
特別損失 (億円) |
|
2012 |
2013 |
減損損失 |
140 |
113 |
米国独禁法関連損失 |
|
448 |
リコール関連損失 |
|
225 |
国内生産体制再編費用 |
|
87 |
欧州生産体制再編費用 |
|
50 |
その他 |
101 |
74 |
合計 |
241 |
997 |
|
1)米国独禁法関連損失:448億円
米国で日本企業を中心とした自動車部品のカルテルの摘発が続いている。
司法省は2014年2月13日、ブリヂストンが自動車の防振ゴム部品の価格カルテルで有罪を認め、罰金425百万ドルの支払いに同意したと発表した。
同社は米国でマリーンホースカルテル事件で有罪となったが、その際に本件について開示しなかったため、高額の罰金となった。
これで自動車部品カルテルでの摘発は26社と29名となった。 詳細は http://www.knak.jp/blog/2013-10-1.htm#cartel
ブリヂストンは以下の通り発表した。
マリンホースに関する2007年5月のカルテル捜査及び(ラテンアメリカその他での)外国公務員に対する不適切な支払の可能性についての自主公表を受けて、種々の施策により再発防止策を実行してきた。
今回のカルテル行為は、これらのガバナンス・コンプライアン体制の強化・改革をきっかけに2008年に終了した。
しかしながら、2008年時点で本件を見つけ出すことができなかった。
同社は本件の影響を勘案し、社内取締役全員及び関連執行役員が本年3月に支給される予定の賞与全額を辞退し、更に代表取締役は
月次報酬の50%を6か月、関連執行役員は月次報酬の25%を6か月の自主返上を行う。
2)リコール関連損失:225億円
栃木工場と普利司通(瀋陽)輪胎で製造した中・大型トラック及びバス用タイヤの一部でリコールを実施
3)生産体制再編費用:137億円
日本:黒磯工場の閉鎖
欧州:Bridgestone Italia
のバリ工場における競争力向上計画
2014/2/25 東レ、サウジで水処理膜事業
東レは2月19日、サウジのAbunayyan
Holdingとの間でサウジアラビアのダンマン市に水処理・排水処理技術の合弁会社を設立する契約に調印した。
調印式には来日中のサウジのサルマン・ビン・アブドルアジーズ皇太子と安倍晋三首相が立ち会った。
安倍首相は同日、公賓として来日中の皇太子と首脳会談を行ったあと、下記の調印に立ち会った。
1)サウジアラビア総合投資院と中東協力センター間での投資促進協力に関する覚書
2)本件
3)日本・サウジアラビア・ビジネスカウンシルの共同声明への署名
合弁会社は以下の通り。
社名 |
Toray Membrane
Middle East LLC |
出資 |
Toray Membrane
Europe AG(スイス)50%
Abunayyan 50% |
事業 |
水処理膜の製造・販売および技術サービス |
総投資額 |
300百万サウジリアル(80百万米ドル) |
サウジアラビアのダンマン第3工業区内に世界規模の逆浸透(RO)膜エレメント生産工場を新たに建設し、2015年から東レの生産技術と世界品質管理基準を適用した生産を開始する。
海水からの飲料水製造は従来、蒸発法が主流であったが、現在は省エネルギーとライフサイクルコストで利点のある逆浸透法の採用が増加している。
東レはナノテクノロジーをベースとした高分子分離膜技術などの深化により、海水淡水化に最適な逆浸透(RO)膜を開発、現在では世界市場の
30%のシェアを獲得している。
RO膜では、海水に含まれるホウ素を効率よく除去できる高ホウ素除去膜や、下廃水再利用用途でも汚れにくい低ファウリング膜等の高性能膜を開発する等、技術水準でもシェアでも世界トップクラスの地位を確立している。
RO膜に加えてNF膜(ナノろ過膜)、UF膜(限外ろ過膜)、MF膜(精密ろ過膜)の4種類の膜をすべて保有し、これらの膜の組み合わせについてのプロセス技術も有している。
Abunayyan
は、水・電力・エネルギー分野における統合的なソリューションを提供する総合企業。
東レとAbunayyan は、急速に成長する巨大な中東および北アフリカ全域(Middle East and North Africa,
MENA)市場の需要に対応し、水処理膜分野でリーディングカンパニーとしての強固な地位を確立する。
これにより東レグループのRO膜エレメントは世界4工場体制となる。
日本 |
愛媛 |
東レ |
|
米国 |
カリフォルニア |
Toray Membrane USA |
東レ 51%、三井物産 6%、 Ionics,
Inc. 43%
Ionicsは世界最大級の水処理プラントメーカー
同社からROエレメント生産設備を買い取り、東レ技術で改造・増設 |
中国 |
北京 |
藍星東麗膜科技(北京) |
東レ
40.1%、東麗(中国)投資
10%、中国藍星(集団) 49.9% |
サウジ |
ダンマン |
|
|
ーーー
サウジでは既に東洋紡が海水淡水化用RO膜エレメントの製造・販売を行っている。
社名 :Arabian
Japanese Membrane Company, LLC
出資者:Arabian
Company for Water & Power Development 49%
東洋紡 36.1%
伊藤忠 14.9%
場所
:ラービグ
設立 :2010/3
竣工 :2012/5
東洋紡の海水淡水化逆浸透膜は、独自の技術と20年を超える実績により、中東で最大級のサウジアラビア・シュケイク地区(日量24万立方メートル)や
ラービグ地区(日量22万立方メートル)の海水淡水化施設に採用されており、中東湾岸諸国では50%以上のシェアを誇っている。
2012年にはサウジアラビアのラスアルカイル地区に建設される世界最大級の大型海水淡水化設備「Ras Al Khairプラント」(日量約100万立方メートル)に採用が決定した。
日量約100万立方メートルのうち、34.5万立方メートル分を逆浸透膜法、残りを蒸発法により生産するが、逆浸透膜法設備に納入する。
2014年に運転開始の予定。
2014/2/27 旭化成と三菱ケミカル、水島地区エチレンセンター集約で合意
旭化成と三菱ケミカルホールディングスは2月25日、水島地区の両社エチレンセンターの集約で合意したと発表した。
(経緯)
両社は水島地区に隣接して各年産50万トンのエチレン設備を運営している。
1967年2月、石油化学協調懇談会が「エチレン製造設備の新設の場合の基準」(30万トン基準)を決め、新規増設を認めた際に、輪番投資のため、三菱化成と山陽石化(旭化成
60%/日本鉱業 40%)が、ともに50/50出資で、水島エチレン(三菱化成内=先番)と山陽エチレン(山陽石化内=後番)を設立した。
両社は2009年6月に水島コンビナートでエチレン事業を統合することを検討していることを発表した。
2009/5/19 三菱化学と旭化成、水島でエチレン統合
その後、中国需要の急回復で統合を急ぐ必要性が薄れたこと、3年後をメドに2基のうち1基を停止・廃棄する考えだったが、どちらの設備を止めるかで交渉が難航したことで、一時は破談の危機を迎えたとされる。
設備能力削減については将来の需要をみて統合会社で柔軟に判断するとの方針に転換し、1年遅れで合意にこぎ着け、2010年5月に水島地区エチレンセンターの統合について発表した。
2010/6/2 三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合の共同出資会社の設立
両社は折半出資で西日本エチレン有限責任事業組合を設立し、2011年4月から、水島地区の両社のエチレンセンター事業の一体運営を開始した。エチレン需要3割減を前提とした減産体制を取り、更にエチレン需要が縮小すれば、その時点でエチレンを1基に集約するとした。
2011/3/1 三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合のためのLLP設立
その後、国内需要の縮小、中東・中国での供給能力拡大、シェールガス革命を背景とした米国での供給能力拡大など、石油化学事業を取り巻く環境は今後も厳しさを増していくものと予想されるに至った。
両社は現行の体制のままでは事業存続が困難になるとの共通認識のもと、2013年8月に、両社の水島地区におけるエチレンセンターを
1基に集約し、最適生産体制による効率的な事業運営を確立することで合意した。
2013/8/5
水島地区エチレンセンター集約へ
ーーー
今回、下記の通り、水島地区の両社エチレンセンターを1基に集約することで合意した。
(1)集約時期 |
: |
2016年4月 |
(2)集約方法 |
: |
三菱設備に集約し、旭化成設備は廃棄。 |
(3)対象製品 |
: |
エチレン、プロピレン、C4、分解ガソリン(C5、ベンゼン、トルエン、キシレン、C9などの混合物)、
粗水素その他の副生ガス(メタン、エタン、プロパン)、ヘビーエンド |
(4)集約後の運用形態 |
: |
両社折半出資の株式会社を設立しエチレン設備を共同運用 |
(5)集約後の生産能力 |
: |
57万トン/年(非定期修理年)
圧縮機の主要部品(ローター)の交換を行い、現状の50万トン/年(非定期修理年)から増強する。 |
付記
三菱ケミカルと旭化成の両社は2015年5月28日、水島地区のエチレン設備統合検討が進み、2016年4月1日をめどにエチレン1基体制による運営を開始すると発表した。
新会社は資本金20億円(両社折半出資)の「三菱化学旭化成エチレン」。エチレンは三菱化学(年産50万トン)に集約し、集約後57万トンに増強する。旭化成のエチレン設備は廃棄する。
現在、両社のエチレン製造設備を運営する西日本エチレン有限責任事業組合(LLP)は、新会社発足後、集約に伴い不要となる設備の撤去を行う。
ーーー
旭化成は同時に、国内石油化学事業の基盤強化策を発表した。
|
現状 |
対策 |
エチレン |
水島 500千トン |
2016年4月停止、三菱化学との設備集約(計1000千トン→570千トン) |
ANM |
川崎 150千トン |
2014年8月停止 |
水島 |
100千トン |
他製品の生産に特化 |
200千トン |
3拠点体制 |
国内市場 |
韓国 560千トン |
韓国・台湾・中国市場 |
タイ 200千トン |
アセアン市場 |
計 1210千トン |
計 960千トン |
SM |
320千トン |
2016年3月停止 |
390千トン |
国内市場及び自社消費中心 |
ABS |
65千トン |
2015年12月停止 |
SBラテックス |
水島 24千トン |
2015年12月停止 |
川崎 36千トン |
固定費削減、生産効率向上、製品の高付加価値化 |
汎用エポキシ樹脂 |
水島 37千トン |
2015年5月停止
富士地区で生産する潜在性硬化剤など高付加価値製品事業に集中 |
旭化成は2014年3月期に180億円の特別損失を計上する
。
水島コンプレックスでの両社の生産品目は下記の通り。三菱化学については今回の対応については未発表。
|
旭化成 |
三菱化学 |
現状 |
処理 |
処理後 |
現状 |
処理 |
処理後 |
エチレン |
500 |
-500 |
0 |
500 |
|
570 |
エチレン |
LDPE |
120 |
|
120 |
JPE 66 |
|
66 |
LLDPE |
|
|
|
JPE 53 |
|
53 |
LL/HD |
47 |
|
47 |
|
|
|
HDPE |
116 |
|
116 |
JPE 94 |
|
94 |
α オレフィン |
|
|
|
60 |
|
60 |
SM |
710 |
-320 |
390 |
|
|
|
PS |
PSJ 108 |
|
108 |
|
|
|
ABS |
65 |
-65 |
0 |
|
|
|
SBラテックス |
24 |
-24 |
0 |
|
|
|
VCM |
|
|
|
(391) |
2011停止 |
|
プロピレン |
PP |
|
|
|
JPP 100 |
|
100 |
ANM |
300 |
-100 |
200 |
ダイヤ 111 |
|
111 |
汎用エポキシ |
37 |
-37 |
0 |
|
|
|
JPE:日本ポリエチレン、JPP:日本ポリプロ、PSJ:PSジャパン、ダイヤ:ダイヤニトリックス
2014/2/28 エチレンとSMの生産能力
旭化成が水島工場のエチレンとSM(1系列)の停止を発表した。
既に三菱化学が鹿島のエチレンの1系列の停止を、住友化学がエチレンとSM(日本オキシラン)の停止を発表している。
この結果、日本のエチレンとSMの能力は下記の通りとなる。
これでも内需と比べると、能力は過剰である。
エチレン
工場別能力一覧表 定修スキップ年 単位:千トン/年 |
会社名 |
工場 |
2001年 |
2012/12/末 |
変更後 |
|
三菱化学 |
鹿島1 |
410 |
390 |
0 |
2014年停止 |
鹿島2 |
491 |
490 |
540 |
|
四日市 |
270 |
- |
- |
2001/1 停止 |
水島 |
496 |
494 |
570 |
2016/4 |
新しいJV |
計 |
(1,667) |
(1,374) |
|
|
旭化成 |
水島 |
504 |
504 |
0 |
2016/4 |
三井化学 |
堺 |
500 |
500 |
500 |
|
千葉 |
612 |
612 |
612 |
千葉ケミカル製造
有限責任事業組合
|
(京葉) |
(192) |
(192) |
( 0) |
計 |
(1,304) |
(1,304) |
(1,112) |
出光興産 |
千葉 |
413 |
413 |
413 |
徳山 |
498 |
688 |
688 |
|
計 |
(911) |
(1,101) |
(1,101) |
|
住友化学 |
千葉 |
415 |
415 |
0 |
2015年停止 |
(京葉) |
(192) |
(192) |
(384) |
|
計 |
(607) |
(607) |
(384) |
|
丸善石油化学 |
千葉 |
525 |
525 |
525 |
|
(京葉) |
(384) |
(384) |
(384) |
計 |
(909) |
(909) |
(909) |
京葉エチレン |
丸善石化 |
千葉 |
384 |
384 |
384 |
|
住友化学 |
192 |
192 |
384 |
三井離脱 |
三井化学 |
192 |
192 |
0 |
合計 |
(768) |
(768) |
(768) |
|
東燃化学 |
川崎 |
515 |
540 |
540 |
Exxon 少数株主に
日本ユニカー100%化 |
JX日鉱日石エネルギー |
川崎 |
443 |
443 |
443 |
|
東ソー |
四日市 |
527 |
527 |
527 |
|
昭和電工 |
大分 |
635 |
691 |
691 |
|
合計 |
8,022 |
8,000 |
6,817 |
|
|
SM
会社名 |
工場 |
2012/12 |
変更後 |
備考 |
旭化成 |
水島 |
678 |
390 |
2004/2 330千トンプラント稼動
2007 125千トン停止
2016/3 320千トン停止 |
出光興産 |
千葉 |
210 |
210 |
: |
徳山 |
340 |
340 |
: |
合計 |
(550) |
(550) |
: |
(新日鐵化学) |
大分 |
0 |
0 |
2011/8 SM事業をNSスチレンモノマーに移管 |
NSスチレンモノマー |
大分 |
422 |
422 |
新日鉄化学51%/昭和電工49% |
(電気化学工業) |
千葉 |
0 |
0 |
2012 停止 240千トン |
千葉スチレンモノマー |
千葉 |
270 |
270 |
電気化学60%/住友化学40%
2012/4 住友化学離脱、電気化学100% |
日本オキシラン |
千葉 |
412 |
0 |
住友化学60%/ライオンデル・ケミカル40%
PO併産 2015年停止 |
太陽石油化学 |
宇部 |
335 |
335 |
04/1/1
三井化学から譲受け |
(三菱化学) |
鹿島 |
0 |
0 |
2011/3 停止
371,000トン |
合計 |
2,667 |
1,967 |
|
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