ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2016/6/1    Lotte Chemical、ウズベキスタンで石化工場の完工式

Lotte Chemical が主導するウズベキスタンと韓国の石化JVのUz-Kor Gas Chemical は5月21日、現地で完工式を行った。

Uz-Kor Gas Chemical はSurgil ガス田の45億立方メートルのガスを処理し、エチレン/HDPE 387千トン、プロピレン/PP 83千トン、分解ガソリン102千トンなどを生産、発電した電気の余剰分を外販する。37億立方メートルのガスも外販する。
製品は
中央アジアやロシアのほか、中東や北アフリカの顧客に供給する。

Surgil ガス田の埋蔵量は1300億立方メートルで、液化天然ガス換算で9600万トン、原油換算で8億3000万バレルに上る。

ロッテグループの辛東彬(重光昭夫)会長は完成式典で、「今回の事業で北アフリカなど新たな市場に進出できる橋頭堡を確保した」と述べた。

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2011年8月23日、ウズベキスタンのアラル海に近いSurgil ガス田を開発し、ガス化学プラントを建設する総額41億6千万ドル規模の超大型プロジェクト契約が締結された。

2006年に韓国ガス公社 (KOGAS) とウズベキスタン国営ガス公社(UNG) が了解覚書を締結し、2008年に双方が50%ずつ出資する合弁会社(Uz-Kor Gas Chemical ) を設立し交渉を続けてきた。

2011/8/29   韓国の李大統領、中央アジア3か国歴訪、ガス田開発、石化事業などで合意 

Uz-Kor Gas Chemical の韓国側株主には、当初、KOGAS、ロッテ大山石化、STX Energy のほか、LG International とSK Gaz が入っていたが、2011年末にLG International とSK Gaz が離脱し、出資比率が変更になった。

    当初 現在
ウズベキスタン Uzbekneftgaz(UNG) 50.0% 50.0%
韓国 韓国ガス公社(KOGAS) 17.5% 22.5%
Lotte Chemical
(当初は子会社のロッテ大山石化)
17.5% 24.5%
STX Energy(双竜グループ) 5.0% 3.0%
LG International 5.0% 0%
SK Gaz 5.0% 0%



 

 

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ロッテは米ルイジアナ州など海外で大規模プラントの建設を相次いで進める

2015/6/22  韓国 Lotte Chemical、米国で石油化学


2016/6/2    新潟水俣病の患者認定申請、7人の請求認める 

新潟市から法律に基づく水俣病の患者認定申請を棄却された市内の9人(故人1人を含む)が、市に処分の取り消しと患者認定を求めた裁判で、新潟地裁は5月30日、 市の処分を一部取り消し、原告7人を水俣病と認定するよう市に命じた。2人については請求を退けた。

原告は新潟市の50〜80代の男女で、1人は申請後に死亡した未認定患者の遺族。阿賀野川のメチル水銀に汚染された魚を食べ、しびれなどの症状があるとして市に認定申請し2007〜13年に棄却された。

水俣病の行政認定を巡る判決は最高裁が認定の幅を広げる判断を示した2013年4月の判決以来で、新潟水俣病では初めて。


水俣病未認定患者の遺族が熊本県に認定を求めた2件の訴訟の上告審判決が2013年4月16日、最高裁第3小法廷で言い渡され、いずれも患者側の勝訴となった。

それまで、裁判所が患者認定審査をできるというものと、県の裁量を重視し、司法は県の判断が不合理かどうかを審理するというものに分かれていたが、司法が独自に審査しうるとし、県の判断を覆した。

また、環境庁の「手足のしびれや視野狭さく、運動障害など複数の症状の組み合わせ」を条件とするという「(昭和)52年判断条件」に基づく高裁判決を破棄した。
「52年基準」に合うものは個別的な因果関係について立証の必要がないとするものにすぎず、それ以外でも諸般の事情と関係証拠を総合的に検討し、水俣病と認定する余地を排除するものとはいえないとした。

2013/4/17  水俣訴訟、最高裁判決

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最高裁判決を受け、環境省は2014年1月に、メチル水銀との因果関係が認められれば、手足の先のしびれなどの感覚障害だけでも認める方針を固めた。
しかし、認定基準そのものの変更ではなく、認定基準の「補足」とした。

「補足」された認定基準は非常に厳しく、多くの被害者にとって水銀ばく露を証明する書類を今から確保するのは極めて困難で、これが救済対象の拡大につながる可能性は低いとみられた。

2014/1/14  水俣病認定基準  

環境省は2014年3月7日、これを関係自治体に通知した。

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今回の訴訟は、「症状が複数でない場合でも認定する余地がある」とした最高裁判決をきっかけに2013年12月に提起された。

新潟市が昔の「複数症状の組み合わせ」を原則とする認定基準に基づき判断したと指摘し、「基準は医学的に間違っている。原告らは少なくとも感覚障害がある」と訴えた。

一方、新潟市側は、大半の原告は食べた川魚の量が少なく、症状は新潟水俣病によるものではないなどと反論していた。

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水俣病と診断されながら国の基準では認定されなかった新潟市などの男女11人が2007年4月に、国と新潟県、原因企業の昭和電工に1人当たり1200万円の損害賠償などを求めた新潟水俣病3次訴訟の判決が2015年3月23日に出た。

原告7人を患者と認定し、昭電に1人330万〜440万円(総額2420万円)の支払いを命じた。

国と県は、国の認定基準で棄却されているため、水俣病患者ではないとしたが、判決は、「症状が手足末端の感覚障害のみの人も存在する」とし、水銀摂取から40年以上経過後に発症する「遅発性水俣病」の存在も否定できないと指摘した。

同居家族に認定患者がいることを重視する見解を示し、7人を患者認定した。
しかし、3人については感覚障害を認めたが、同居家族に認定患者がいないなどとして請求を退けた。

国と県の賠償責任については、工場排水を規制しなかったことが違法とはいえないとして認めなかった。

2015/3/26   新潟水俣病 3次訴訟判決

この3次訴訟については、高裁で係争中で、第1回口頭弁論で、被告の国や昭和電工などは請求の棄却を求め争う構えをみせた。

他に2009年6月の5次訴訟も係争中。

1次訴訟は1971年9月に、昭和電工の工場排水が原因と確定、患者側勝訴となった。
2次訴訟は、1995年12月の未認定患者救済策の閣議決定を受け、1996年2月に和解。
4次訴訟は、和解勧告を受け、2010年10月に和解合意。

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新潟県の泉田知事は4月2日、水俣病特別措置法(特措法)に基づく救済策で一時金の支給の対象と認められず、新潟県に異議を申し立てた92人のうち、3人を救済対象とし、2人を棄却したと発表した。残る87人も審査を進めるとした。

2015/4/3   新潟県、水俣病 3人の異議認める

 

 

今回の判決で西森裁判長は、軽度の水俣病の場合、手足の感覚障害の症状だけのものが存在すると指摘し、最高裁の見解を踏襲した。

その上で、請求を認めた7人について「阿賀野川の魚介類を摂取するか、摂取した母親の胎内にいたことにより、高度のメチル水銀の暴露を受け、水俣病になった」と判断した。
また、メチル水銀が取り込まれてから数年後に発症した例や、発症後10〜20年後に症状が悪化した例があるとして、長期間経過後、老化に伴い症状がはっきり現れる「遅発性水俣病」があり得ることも認めた。 

認められた7人は、症状は感覚障害だけだったが、同居する家族に認定患者がおり、食生活が同じという点からもメチル水銀を摂取した可能性が大きいとし、水俣病と判断した。

7人は2015年3月、国や県、原因企業の昭和電工に未認定患者らが損害賠償などを求めた新潟水俣病第3次訴訟の地裁判決で、水俣病と判断されている。

一方、請求を棄却された2人は、感覚障害はあるが、家族に認定患者がおらず、「汚染された阿賀野川の魚を多食した確かな証拠がない」とした。

判決後、記者会見を開いた高島章・原告弁護団長は、訴えを退けられた2人については「7人と同じような症状がある。家族が認められているかの違いしかない」と複雑な表情を見せ、「家族の有無による線引きがいかに非科学的で根拠がないか、今後も主張していきたい」と述べた。

棄却された2人は東京高裁に控訴する。

原告側弁護団は新潟県内に住む男女3人が新たに認定を求めて提訴すると明らかにした。

新潟地裁判決を受けて、新潟市の篠田昭市長は「判決を真摯に受け止めるとともに、判決内容の詳細を確認し、今後の対応を検討したい」とのコメントを発表した。

本年4月末現在、認定を申請した2,129人のうち患者として認められたのは705人。
認定患者は原因企業の昭和電工から約1千万円の一時金(死亡の場合は500万円上積み)や年約140万円の年金などの補償が受けられる。



2016/6/3 Hanwha Chemical、蔚山のクロルアルカリ工場をUNIDに売却 

Hanwha Chemical は5月25日、収益性と競争力アップの方策の一環として、蔚山コンプレックスのクロルアルカリ工場を約71百万ドルで水酸化カリウムなどのメーカーの韓国のUNIDに売却したと発表した。

韓国では、自主的な企業のリストラの推進を狙った企業再生特別法(Special Act for Corporate Revival)が8月に発効し、いろいろなインセンティブが与えられるが、化学会社の工場売却も対象となる。化学業界は過剰設備に悩み、リストラが必要な分野であり、Hanwhaの先制的な動きは政府に歓迎される。

クロルアルカリ工場は海水を電気分解し、塩素と苛性ソーダを生産するもので、塩素はPVCの原料となる。

UNIDは水酸化カリウム、 炭酸カリウムなどの化学品と中密度繊維ボードを扱う。世界の水酸化カリウム市場で最大シェアを誇る。

1980年に東洋化学とDiamond ShamrockのJVの韓国カリ化学(Korea Potassium Chemicals)として設立された。
1987年にDiamond Shamrockが撤退し、Korea Investment Corporation となり、1995年に現在の UNID に改称 した。
社名は “You need ”の発音から採った。You は顧客、株主、従業員。

UNIDは電解で水酸化カリウム(KOH)と炭酸カリウム(K2CO3)を生産する唯一のメーカー。

水酸化カリウムは塩化カリウム(KCL:ニガリの構成成分の一つで、カリ鉱石として採掘される)の電解で生産される。
炭酸カリウムは通常は水酸化カリウムに炭酸ガスを吸収させて生産する。

UNIDでは、購入したプラントを改造し、水酸化カリウム(KOH)を生産する計画。水酸化カリウムは石鹸の原料や半導体の洗浄用に使われる。

Hanwhaとしては売却により苛性ソーダの過剰状況を緩和できる一方、UNIDでは不要の塩素を引き取ってPVCの原料に使用でき、一石二鳥となる。
UNIDとしては、既存工場の移転を求められており、Hanwha の蔚山工場を取得し、水酸化カリウムに転用することでコスト引き下げが可能となる。

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日本政府は本年4月5日、韓国と中国原産の水酸化カリウムウムに対して暫定的な不当廉売関税を賦課する政令を閣議決定した。

2015年4月にカリ電解工業会から申請を受け、5月から調査を実施してきた。
この結果、本年3月5日に日本産業への実質的損害等の事実を推定する仮決定を行った。4月9日から8月8日までの間、暫定的な不当廉売関税が課せられる。

2016/4/8   日本政府、反ダンピング課税申請要件を緩和 


2016/6/4 SABIC、神華寧夏煤業集団と中国での石油化学(石炭化学)計画で合意

SABICは5月30日、神華寧夏煤業集団 (Shenhua Ningxia Coal Industry Group) との間で中国で石油化学コンプレックスを建設する協定書にサインしたと発表した。

SABICは声明で、共同計画は寧夏回族自治区での新規の石油化学コンプレックスで、SABICの原料ソース多様化に役立つとしている。
寧夏では、神華が供給する石炭を利用出来るメリットがあるとしている。

 

計画の詳細は明らかにされていない。

協定書では、3年間でFeasibility Study を行い、その後、国家発展改革委員会(NDRC)の承認を求める。

SABICにとって、計画は事業を他地域に広げ、新しい市場に展開する戦略の一環であるとしている。
中国のコンプレックスは、原料を幅広いソースで得るのにも役立つとしている。国際市場での原料価格のサイクリカルな変動からSABICを守り、利益ある成長戦略を確実にすると述べた。

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SABICは現在、中国でSinopec とのエチレンコンプレックスJV、韓国でSK Global Chemicalとの高機能ポリエチレンのJV を持っている。

SABICSinopec との50/50JVのSINOPEC SABIC Tianjin Petrochemical を設立し、天津でエチレン100万トンのコンプレックスを運営している。

2009/7/13 中国、シノペック天津石化計画へのSABICの参加を承認

SABICと韓国のSK総合化学は2014年5月26日、SKの最新ポリエチレン技術(Nexlene™ )を使って高機能ポリエチレン製品を製造するための50/50JVを設立する合弁契約に調印した。

シンガポールに本社を持つSabic SK Nexlene Company を設立し、韓国に100%子会社Korea Nexlene Company を設立し、SKの蔚山の年産23万トンのプラントを買収して運営する。   

2014/5/31 SABIC、韓国のSK総合化学と高機能ポリエチレンのJVを設立

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神華集団はDow Chemical とのJVで陜西省楡林市でワールドスケールのCoal-to-Chemicals コンプレックスを建設している。

2007年5月21日、中国の国有石炭最大手・神華集団との間で、を建設するための詳細FS実施の契約を締結。

2009年11月、起工式

2012年10月、環境評価書を提出

2012/10/27  Dow/神華集団、楡林市の石炭化学コンプレックスの環境評価書を提出


2016/6/6 米電力大手Exelon 、採算悪化で 原発閉鎖 

米電力大手Exelon は6月2日、米中西部イリノイ州にある2つの原子力発電所を閉鎖すると発表した。廃炉の公算が強い。

原発名 場所 基数 能力 タイプ 閉鎖時期
Clinton Clinton, Ill. 1基 1,069MW BWR 2017/6/1
Quad Cities Cordova, Ill. 2基 1,871MW BWR 2018/6/1

シェール革命によるガス価格の下落(10年前に比し約1/3に低下)で電力卸売価格も大きく低下し、採算が合わなくなっていた。
同社では両原発は同社の原発のうち、最も効率がよいものだが、過去7年間で合計8億ドルの損失を計上していたとしている。
両原発で1500人を雇用しており、間接人員も含めると4200人となる。

ExelonやComEd などはイリノイ州議会に以下の点を含んだ “Next Generation Energy Plan” の法制化を求めている。

・ Zero Emission Standard の導入
  州が監査し、収入が支出をカバーできない原発に限り、補償を行う。
・Renewable Portfolio Standards の強化・拡張
・太陽光発電の推進
・電力料の50%引き下げ

州議会はこれを議論中だが、成立するかどうか見通しがつかないため、廃止を決めたとしている。
引き続き、 “Next Generation Energy Plan” の法制化に向け、運動を続ける。

Exelonは、2000年にUnicom (シカゴを基盤とする Commonwealth Edison の親会社) とフィラデルフィアに本拠を置く PECO Energy が合併し誕生した。

11箇所の原子力発電所を運営しているが、その中にはかつて大きな原子力事故を起こしたことがあるスリーマイル島原子力発電所が含まれている。

今回閉鎖する2原発以外の原発は下記の通り。

原発名 場所 基数 能力 タイプ
Braidwood Illinois 2基 2,389MW PWR (Westinghouse)
Byron Illinois 2基 2,347MW PWR (Westinghouse)
Dresden Illinois 2基 1,845MW BWR (General Electric)
LaSalle Illinois 2基 2,320MW BWR (General Electric)
Fort Calhoun #1 Nebraska 1基 484MW PWR (Combustion Engineering)
Limerick Pennsylvania 2基 2,317MW BWR (General Electric)
Oyster Creek #2 New Jersey 1基 636MW BWR (General Electric)
Peach Bottom #3 Pennsylvania 2基 2,599MW x 2 BWR (General Electric)
Three Mile Island Pennsylvania 1基 837MW PWR (Babcock and Wilcox)

#1 Fort Calhoun原発はOmaha Public Power District が所有し、Exelonが操業している。
#2
Oyster Creekは認可期限の2019年末までに停止を発表済み
#3 Peach Bottom はExelon とPublic Service and Gas of New Jerseyの共有で、Exelonが操業している。


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米国では主として採算を理由に廃炉する原発が相次いでいる。今回の2原発を含めると、合計9原発となる。

社名 原発 立地 発表 詳細
Dominion Kewaunee Wisconsin 2012/10 2012/10/26   米の発電会社、不採算を理由に原発を閉鎖
Entergy Yankee Vermont 2013/8 2013/9/2 米・電力大手Entergy、Vermont Yankee原発の廃炉を決定 
Duke Energy Crystal River Florida 2013/2
Southern California Edison San Onofre California 2013/6
Exelon Oyster Creek New Jersey 2010
Entergy James A. Fitzpatrick New York 2015/11 2016年末〜2017年初めに閉鎖 採算悪化
Entergy Pilgrim Massachusetts 2015/10 2019/6/1までに閉鎖

このうち、San Onofreは三菱重工業の蒸気発生器の欠陥を理由にするもの
  
2013/10/22 米国原発会社、三菱重工業の蒸気発生器の欠陥で仲裁申立て
 

 

2012年7月30日付の英 Financial Times は、“Nuclear 'hard to justify', says GE chief” のタイトルでGeneral ElectricのCEOのJeff Immeltのインタビュー記事を掲載した。
シェールガス革命で天然ガスが豊富に供給され、再生可能エネルギーの選択肢も増えたことから、原子力発電を正当化することは難しくなったというもの。

2012/7/31 原子力発電の正当化困難にーGE会長


新設の原発は旧基準に基づき稼動認可を得たものが1つで、新基準では3件の建設運転一括許可が出ている。

1) Watts Bar 原発2号機 (稼動認可)

米原子力規制委員会(NRC)は2015年10月22日、テネシー州のWatts Bar 原発2号機の稼働を認可したと発表した。
米Westinghouse製の加圧水型原子炉で、出力は約110万kw。1973年に建設認可を得たが、79年のスリーマイル島原発事故の影響で85年に建設を中断、2007年に建設再開に乗り出し、完成にこぎ着けた。

2015/10/31 米国、19年ぶり原発稼働認可 

2) Vogtle原発 3・4号機 (2012/2 建設運転一括許可=COL)
3) Virgil C. Summer 原発2・3号機 2012/3 建設運転一括許可=COL)

      いずれも新型加圧水型原子炉「AP1000」

2012/4/4 米、2件目の原子力発電所新設を承認 

4) South Texas 原発 3・4号機(2016/2 建設運転一括許可=COL)

東芝のSouth Texas 原発の事業開発会社Nuclear Innovation North America は2016年2月9日、NRCから、South Texas Project 3・4号機建設の建設運転一括許可(COL)の承認を受けた。ABWRとしてCOLが承認されたのは今回が初めて。

東芝は、今後 15年間で Westinghouseで 64基の原発を受注するとしており、うち米国では18基となっているが、現状では実現は非常に難しい。

今回COLを得たSouth Texas 原発 3・4号機も、当初の運営主体であったNRG Energyが離脱したため、東芝が抱え込んでおり、認可は得たものの、パートナーが見つかるまでは建設に入れない状況にある。

2016/5/16 東芝、米国大手エンジニアリング会社との原発建設に関する協力関係を解消

 


2016/6/7   JX、Petronas LNG 9 への資本参画

JXエネルギーは6月3日、マレーシア国営石油 Petronas の子会社 Petronas LNG 9 の発行済み株式10%を取得する株式売買契約を締結したと発表した。

合わせて、Petronasの100%子会社 Petronas LNG とLNG販売における販売支援を行う契約も締結した。
Petronas LNG 9 が生産する年間360万トンのLNG販売の一翼を担う。

Petronas LNG 9 への資本参画は、マレーシアにおいてMalaysia LNG Tiga プロジェクトに次ぐLNGプロジェクトとなる。

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PetronasのBintuluのLNG生産基地は世界最大級で、現在8系列のLNGプラントが稼働しており、第9系列目のLNGプラントが建設されている。

既存8系列は生産開始順に3社に分かれており、1番(Satu)、2番(Dua)、3番(Tiga) の名がついている。
建設中の第9系列の運営会社は仮称で LNG 9 と呼ばれている。当初、Petronas 100% であったが、今回 JXが出資する。

既存 3プロジェクト計8系列のLNGプラントの生産能力は実質年間2,570万トン(下表では2,320万トン)と、単一場所でのLNG液化基地としては最大級。
同プラントからの日本へのLNG輸入量は、2014年で約1,500万トン、日本の全LNG輸入量の約16%を占める。

 

株主

能力

生産開始
Petronas サラワク州 その他
MLNG (Satu) 90% 5% 三菱商事  5% 260万トンx 3
= 780万トン
1983
MLNG Dua 60% 10% 三菱商事 15%
Shell             15%
260万トンx 3
= 780万トン
1985
MLNG Tiga  60% 10% JX             10%
Shell             15%
ダイヤモンドガス 5%
380万トンx 2
=760万トン
2003/3
MLNG 9 90%   JX               10% 360万トンx 1
=360万トン
2017/1Q

ダイヤモンドガスは三菱商事 80%、石油資源開発 20%出資のJV

これらは、いずれもマレーシア、サラワク州沖のガス田から生産される天然ガスをBintuluで液化し、日本、韓国、台湾などの電力・ガス会社向けにLNGを販売している。

LNG基地は隣接している。

JXが出資しているMLNG Tiga の運営は下記の通りとなっている。

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/1/1808/200709_107e.pdf

 


2016/6/8 欧米の医薬業界の変遷 -1 

欧米の医薬業界は1980年代から買収、分離を相次いで行ってきたが、最近になって活動が一層活発になった。

各社の動きをまとめた。

1.Pfizer

1999年にAmerican Home Products とWarner Lambert の合併が合意された直後、敵対買収を行ってWarner Lambert を買収、2009年にはそのAmerican Home Products (Wyeth と改称)を買収した。
2003年にPharmacia を買収している。

最近では、2015年にAllerganを買収し、本社を税率の低いアイルランドに移そうとしたが、米国の新たな税制では本社移転による恩恵がなくなり、断念した。
AstraZenecaに買収を打診し、断念している。

2006/3/6 世界の医薬会社の構造改革
2007/10/11 高杉良「挑戦 巨大外資」    Pfizer / Warner Lambert / American Home Products
2009/1/27  Pfizer、Wyeth を買収
2014/5/12 Pfizer が AstraZenecaに買収提案
2015/2/11   Pfizer、米製薬会社 Hospira, Inc. を買収 
2015/11/26 Pfizer、アイルランドのAllerganを買収 
2016/4/7 Pfizer とAllergan、合併計画断念

 

2.Glaxo SmithKline

SmithKline Beecham と Glaxo \wellcome は1998年に一旦合併合意しながら破談となったが、2000年に合併した。
Pfizer、塩野義とHIV治療薬のJVを持つ。

2006/3/6   世界の医薬会社の構造改革 
2009/4/29   GlaxoSmithKline の動き
2012/11/2   塩野義製薬、HIV治療薬JVの枠組み変更

3. Merck と Schering

両社はいずれもドイツの企業で、米国に子会社を持っていたが、第一次大戦でドイツ資産が没収され、別会社となった。

ドイツではMerck がSchering を買収しようとして断念、ScheringはBayer に買収された。

米国ではMerckがSchering-Ploughを買収、合併した。

なお、米国Merckは米国、カナダ以外の地域では「MSD」(Merck Sharp & Dohme)の名称を使用、逆にドイツのMerck KGaAは米国とカナダでは「EMD」(Emanuel Merck, Darmstadt)の社名を使用している。

2006/3/23   2つのMerck社
2006/3/24   バイエルがシェーリングの買収合意
2014/9/25   独Merck KGaA、研究用試薬の米 Sigma-Aldrich を170億ドルで買収
     
2009/3/11   Merck、米Schering-Plough を買収
2014/5/10   Bayer、米 Merckの大衆薬事業を買収

4.  Sanofi

Hoechst は米国で Celanese や Marion Merrell Dow を買収、1999年にRohne Poulent と合併してAventisとなった。(Celanese を再分離)

2004年にSanofi Synthelabo がフランス政府の支援を受け、Aventisを吸収、Sanofi Aventisとなった。現在名は Sanofi。

2006/3/6   世界の医薬会社の構造改革
2011/2/17    Sanofi-Aventis、Genzymeを買収 
2015/12/19   仏Sanofi と独 Boehringer Ingelheim、事業交換の交渉

 

5. AstraZeneca、Novartis

AstraZeneca はICI から分離したZeneca とスウェーデンのAstraが合併してできた。

2014年にPfizerから買収提案があったが、拒否した。その後、買収を続けている。

NovartisはSandozとCiba-Geigyの合併で生まれた。

AstraZenecaの農薬部門とNovartisの種子部門が合併し、Syngenta となった。

 

2014/5/12   Pfizer が AstraZenecaに買収提案
2015/11/12   AstraZeneca、米製薬会社 ZS Pharma を27億ドルで買収
2015/12/22   AstraZeneca、買収による事業拡大 
2015/7/27   富士フイルム協和発酵キリン、バイオシミラー医薬品の開発・販売で AstraZeneca と提携

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6. Johnson & Johnson

Consumer Healthcare 傷ケア、ベビー用品、スキンケア・化粧品、オーラルケア、コンタクトレンズ、OTC医薬品
Medical Devices 外科手術関連、感染予防、心臓疾患関連、整形・脳神経外科関連、糖尿病関連、コンタクトレンズ
Pharmaceuticals 中枢神経系、真菌症、鎮痛・麻酔、がん、その他領域



 

 


2016/6/9 欧米の医薬業界の変遷 -2

中小の医薬品メーカーの動きも激しい。買収に出たメーカーが他のメーカーに買収を仕掛けられるケースも多い。

 

7.  Valeant

Valeant はこれまで、成長の大部分を買収や、買収で手に入れた割安な医薬品の値上げに依存していたが、業績が著しく悪化している。
武田薬品が買収提案を行ったと報道された。

2015/2/28 Valeant Pharmaceuticals、米同業Salix Pharmaceuticalsを買収
2015/3/18 Salix Pharmaceuticals の買収合戦
2015/8/26 Valeant Pharmaceuticals、女性用バイアグラの Sprout Pharmaceuticalsを買収
2016/5/30 武田薬品、カナダのValeant Pharmaceuticalsに買収を提案、拒否される

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8. Allergan 

二度にわたる買収で、いずれも買収された会社の社名を新社名にしている。

本社を税率の低いアイルランドに移すため、Pfizerが買収したが、米国の新たな税制では本社移転による恩恵がなくなり、断念した。
最近、Carl Icahnが同社の株を大量に取得したとされる。

2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦
2015/11/26 Pfizer、アイルランドのAllerganを買収
2015/7/29 後発薬最大手のTeva、米 医薬大手の Allerganから後発薬事業買収
2016/4/7 Pfizer とAllergan、合併計画断念
   
2015/11/19 ジェネリック医薬品大手のMylan、アイルランド製薬大手Perrigo のTOBに失敗

 

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9. AbbVie / Shire

AbbVieもShire Pharmaceuticals の買収を決めたが、米政府の新規制で撤回した。

2014/10/20   買収・合併による節税目的の海外移転禁止の動き強まる
2015/3/9   米国の製薬会社 AbbVie、同業のPharmacyclics Inc を210億ドルで買収
2015/1/17   アイルランド製薬Shire Pharmaceuticals 、米バイオ医薬品 NPSを買収
2015/8/8   アイルランドのShire Pharmaceuticals、Baxalta に買収提案  

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10. Endo International

EndoはDuPontに買収され、DuPont Merck Pharmaceutical の部門となったが、DuPontとMerckがJVを解消した際に、Management Buyoutで独立した。
最近、多くの企業を買収している。

2015/3/18   Salix Pharmaceuticals の買収合戦
2015/5/20   アイルランドの製薬大手 Endo、米の Par Pharmaceutical を買収

 


2016/6/10   Bayer の医薬品事業の変遷

Bayerは2004年7月にBayer Chemicalsの大半とBayer Polymersの一部を新会社 Lanxess として分離し、2005年に上場した。

2006/9/6 Bayer と Lanxess

2015年9月1日にMaterial ScienceをCovestro として分離した。

今後は完全にLife Science 事業(HealthCare と CropScience )に注力する。

2014/9/22   Bayer、ライフサイエンス事業に注力、MaterialScienceを分離、上場

2015/9/2    Bayer のMaterial Science 部門、Covestro として分離独立  

HealthCare とCropScience 部門の変遷は下記の通り。

2006/6/12    2つの買収劇  Schering 買収
2012/11/23   米ビタミンメーカー Schiff Nutrition International の買収 
2014/3/4   Bayer、中国の漢方薬メーカーを買収
2014/5/10   Bayer、米 Merckの大衆薬事業を買収
     
     

なお、Bayer はアスピリンで有名だが、米国などでは1994年まで、Bayer アスピリンをSterling Drug が売っていた。
また、Bayer は米国では1995年に改称するまで Miles Laboratories の社名で活動していた。

第一次大戦でのドイツの敗戦で、米国子会社が商標権も含め接収されたためである。

2012/1/31 Kodak と Bayer

経緯は下記の通り。


 


 

2016/6/11   新元素 113 はニホニウム 

IUPAC (国際純正・応用化学連合)は2015年12月30日、新元素113、115、117、118 を公式に認めた。
発見者に命名権が与えられる。

2012/10/1   新元素 113
2016/1/1   理研に新元素113 の命名権 

付記

「国際純正・応用化学連合(IUPAC)」は2016年11月30日、新元素113を日本の提案通りのニホニウム(nihonium)に決定すると発表した。
元素記号も提案どおり「Nh」に正式に決定した。

 

IUPACは6月8日、新しい4元素の名称案を発表した。
5ヶ月間のパブリックレビューの後、IUPACから正式な元素名と元素記号名が発表される。

元素番号 元素名 元素記号
113 Nihonium Nh
115 Moscovium Mc
117 Tennessine Ts
118 Oganesson Og

・ 113=Nihonium

理研仁科加速器研究センター超重元素研究グループの森田浩介グループディレクター(九州大学大学院理学研究院教授)を中心とする研究グループが発見。

「日本」からNihonium と命名した。(ニッポニウムは下記の理由で使用できない)

1908年に当時第一高等学校教授であった小川正孝が第43番元素を発見し、ニッポニウム(Nipponium: Np)と命名した。
しかし後にそれは43番元素ではなかったことが判明し、ニッポニウムは幻の元素となった。
これは原子番号75のRheniumであった。
一度間違いとされた元素名ニッポニウムは使用できない。

原子番号93のネプツニウム (Neptunium) に元素記号 Np が使われている

115=Moscovium と 117=Tennessine

これらは、ロシアのドゥブナ合同原子核研究所(Joint Institute for Nuclear Research, Dubna)と米国のOak Ridge National Laboratory、Vanderbilt University、Lawrence Livermore National Laboratory の合同チームが発見した。

それぞれが立地する Moscow とTennessee州からとった。

・ 118=Oganesson

ロシアのドゥブナ合同原子核研究所 と米国のLawrence Livermore National Laboratory の合同チームが発見した。

ゥブナ合同原子核研究所のフレロフ核反応研究室(Flerov Laboratory of Nuclear Reactions)のリーダーの Professor Yuri Oganessian (1933年生まれ) の功績を讃え、彼の名前をとった。

Professor Yuri Oganessian は1998年にプルトニウムとカルシウムの衝突実験で原子番号114のフレロビウム(flerovium:Fl)を生成した。

生存中の人物にちなんで名付けられた元素は、Glenn Theodore Seaborg の名前をとった原子番号106のSeaborgium=Sg についで2件目。

Seaborg は加速器を用いて多くの新元素を発見した。
アクチニウム(89 Actinium=Ac) からローレンシウム(103
Lawrencium=Lr)までの元素を「アクチノイド系列」と命名し、この系列に属する元素の大半、すなわちプルトニウム(94 Plutonium=Pu) 、アメリシウム(95 Americium=Am)、キュリウム(96 Curium=Cm)、バークリウム(97 Berkelium=Bk)、カリホルニウム(98 Californium=Cf)、アインスタイニウム(99 Einsteinium=Es)、フェルミウム(100 Fermium=Fm)、メンデレビウム(101 Mendelevium=Md)、ノーベリウム(102 Nobelium=No)、ローレンシウム(103 Lawrencium=Lr)の発見に寄与した。

参考 

2009/8/26  112番目の元素 Copernicium
2011/12/8  新元素 Flerovium(原子番号114) とLivermorium(原子番号116)

 



2016/6/13 Monsanto、Bayer の提案を再度拒否 

Monsanto は5月24日、Bayer からの総額620億ドル(債務込み)での買収提案を拒否した。

取締役会は満場一致で、Bayer の提案は不完全で適切なものではないと看做した。
合併のメリットは認めつつ、提案額は企業価値を著しく低く評価しているとし、更に、買収資金の調達や規制上のリスク(potential financing and regulatory execution risks)などについて懸念があるとした。

2016/5/23   Bayer、Monsantoに買収提案

6月11日付けのWall Street Journal によると、Bayer は新たな提案を行ったが、Monsantoはこれを拒否した。

Bayer はMonsantoに次の内容の書簡を送った。

・Monsantoが懸念する資金調達については準備が整っており、規制上の障害を乗り越えられる自信がある。
 (BayerはMonsanto買収の資金を債券と株式の組み合わせにより調達する方針を表明している。)

・買収額の引き上げのため、詳細な情報へのアクセス(Due diligence)を求める。
 (新しい買収額はそれをみて決めるとし、提示していない。)

これに対しMonsantoは、提案が変わっていないと考え、Bayerが買収額を引き上げるまでは詳細情報へのアクセスを拒否した。
さらに、合意の前に、規制上のリスクを含む他の諸点について明確にすることを求めた。

巨額の買収資金を巡り負債リスクを懸念する声が市場に根強いなか、Bayerが買収を実現するためには買収価格を引き上げるかどうかが焦点になっている。

付記

BayerはMonsantoに7月1日口頭で、7月9日文書で、これまでの買収価格122ドルから125ドルに引き上げると通知した。

これは、5月9日の終値に40%のプレミアムを乗せたものとなる。全株を取得すれば635億ドルとなる。

独禁当局の認可取得に自信があり、もし認可が得られない場合、15億ドルの“reverse antitrust break fee” を支払う。 

付記

Monsantoは7月19日、この提案を安すぎるとして再度拒否した。交渉は続ける。

Bayer は9月6日、127.50ドルに引き上げた。

ーーー

農薬・種子業界では、Dow Chemical と DuPont が2015年12月11日に経営統合で合意した。両社の農薬・種子事業を統合するとMonsantoを上回り、業界トップに躍り出る公算となった。

統合会社の社名はDowDupont で、統合後に無税スピンオフで Agriculture、Material Science、Specialty Products の3つの会社に分離し、それぞれ上場する。

2015/12/14   Dow と DuPont、経営統合を発表

しかし、この合意の前に BASFが数週間にわたりDowに対抗してDuPont の買収を検討していることが判明した。
正式なオファーはしていないが、DuPontに打診を行っている。

DuPontは1999年に種子会社のPioneer Hi-Bredを買収した。
BASFは種子事業を持っておらず、もしDuPontを買収できれば、農業科学分野でのギャップを埋めることが出来るとともに、Monsantoに次ぐ世界第二位のメーカーとなる。

2016/3/7 BASF、DuPontの全部又は一部の買収を検討 

農薬と種子合計で世界一、農薬で世界二位のSyngentaは本年2月3日、中国の化学メーカーの中国化工集団(ChemChina)による買収提案受け入れを支持した。TOBは数週間のうちに開始され、年末に買収が完了する見込み。

2016/2/5 中国化工集団(ChemChina)、スイス農薬のSyngentaを買収 

DuPontはDowと合併する。もし、BayerがMonsantoを買収すれば、BASFは取り残されることとなる。

BASFの副最高経営責任者は6月8日、本社で開いたR&Dに関する会見で、BayerによるMonsanto 買収計画により、自社の事業モデルが影響を受けることはないとの立場を示した。
「市場で起こっている出来事により、われわれが窮地に追い込まれることはない」と述べた。BASFの農薬事業は収益性が高く、革新にあふれており、規模も小さくないとしている。


 


2016/6/14 米、インドに原発6基建設で基本合意、Westinghouseが建設

オバマ米大統領は6月7日、訪米中のインドのモディ首相とホワイトハウスで会談し、東芝傘下のWestinghouseが原子炉6基をインドに建設することで基本合意した。
共同声明で「インドで拡大する電力需要に応え、化石燃料への依存を減らすという両国の意志を示すものだ」と意義を強調した。

2008年発効の米印原子力協定に基づく最初の契約となる。

またオバマ大統領は48カ国で構成される原子力供給国グループ(NSG)へのインド加盟について改めて支持を表明した。
NSGは民生用の原子力関連資機材の軍事転用防止を目的として輸出管理を行っている。
(インドは核拡散防止条約に加盟していないため、米国がインドのNSG加盟を後押しすることを問題視する声もある。)

Westinghouseとインド原子力発電公社(Nuclear Power Corporation of India Limited =NPCIL) が、2030年までに加圧水型軽水炉「AP 1000」6基をインドに建設する契約を2017年6月までに締結する。米輸出入銀行が資金支援する。原子炉設計や立地選定は「すぐに始める」としている。

ーーー

インドは経済成長に伴う電力不足への対応に加え、温暖化対策として2030年までに総発電量に占める非化石燃料の割合を40%に引き上げる目標を掲げる。
太陽光などの再生可能エネルギーとともに原発の増設を重視している。

インドは現在21基 (5,780MW) の原子炉を抱え、6基(4,300MW)を建設中。これに加え、既に政府は2015年4月に10発電所、44基の新設承認を行った。さらに2基の計画 (Kalpakkam)がある。
計画には今回のWestinghouseの案件や、フランスのArebaと三菱重工の案件、GEの案件、ロシアの案件も含まれている。

しかし、これまでインドへの原発輸出には2つの障害があった。

第一は、インドが核拡散防止条約(NPT)に加盟せず核兵器を保有したため、米国が原発輸出を禁じていた。

このため、インドはかつて導入した米製技術を元に国産化した。1974年以降に納入された外国製原発はロシアの2基だけで、うち1基が稼働、1基が建設中。

しかし米国は2008年の米印原子力協定の調印で方針を転換した。
日本も日本の原発輸出を可能とするため、2015年末に日印原子力協定の締結に向けて原則合意した。

第二の問題は、インド国会が2010年8月末に可決させた「原子力損害賠償法」 である。

インドで1984年に起きた史上最悪の産業事故であるボパール化学工場有毒ガス漏出事故は未だに解決をみていない。

2010/12/8 インド政府、Bhopal事故補償で13億ドルの追加請求

インドはこの経験から、「汚染者負担の原則」を原子力にも取り入れた。

放射能漏れなどの原発事故が発生した際、通常は原発の操業会社のみに負わせていた賠償責任を、原子炉などのメーカーつまり供給企業にも負わせるとしたもの。
これにより、万一の際の保障体制がより強力な形で整うことになる。
いざという場合には政府のバックアップが期待できるロシアやフランスなどに比べ、米国企業は相対的に不利益を受ける可能性が出てくる。

インド政府は国会審議の過程で、原子炉供給企業の責任を軽減する修正案を閣議了承するなど、米企業などへの配慮を示したが、結局これは野党の激しい批判で撤回に追い込まれた。
米国の駐印大使や国務次官補らが懸念を表明し、これがまた野党の反発をあおるという悪循環に陥った。 

これでは海外の原子炉を使えないため、インドは2016年2月4日、原発事故の賠償に関する国際的なルールとなる「原子力損害補完的補償条約」(CSC)を批准した。
CSC加盟国は、過失の有無にかかわらず電力会社などの原子力事業者が賠償責任を負うとされる。

CSCが発効すれば「国内法は事実上骨抜きとなり、外国企業が進出しやすくなる」と指摘されている。

ただし、国民から反発を招く可能性もあり、対外条約と矛盾する国内法の改正に課題が残る。

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インドの原子力発電の現状と計画は下記の通り。

付記
Westinghouseは当初、Gujarat州での建設を計画していたが、地元の反対を受け、Andhra Pradesh州に変更した。

*1  Westinghouse

*2 Areva & 三菱重工業の原発建設計画

*3 VVER-1000 はロシア製のWater-Water Energetic Reactor
        旧ソ連で開発され、旧ソ連・東欧諸国で広く発電炉として運転されている加圧水型原子炉
  Kudankulamで1基が稼動、1基が建設中で、さらにKudankulamで4基、Haripurで6基を計画している。

*4  ESBWR(Economic Simplified Boiling Water Reactor)
  設計はGE日立ニュークリア・エナジー 

2016年1月、インドのModi 首相とフランスのHollande 大統領は、年内にJaitapurでArevaのEPR 6基 建設の契約をまとめると述べた。
同月にインドの内閣は、Westinghouseとの契約を年内にまとめることを確認した。

Kovvadaに建設する原発では、GEのEconomic Simplified Boiling Water Reactor (ESBWR) を初めて採用する。

計画分で、Kalpakkam の600x2 以外は 2015年4月に政府の承認を受けている。

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回、WestinghouseのAP1000が採用され、6基が建設されることとなるが、東芝の計画では、インドで35基を建設するとなっており、道は遠い。


2016/6/15  韓国検察、ロッテグループを家宅捜索 

韓国の検察は6月10日、ロッテグループの幹部が帳簿外の裏金づくりを行った疑いがあるとして、大々的な家宅捜索を行った。

ソウル中央地検が、ソウル市内のロッテグループ本社にある辛東彬(重光昭夫)会長の執務室と自宅、グループ会社など計17カ所を家宅捜索した。グループ創業者、辛格浩(重光武雄)氏の執務室なども捜索した模様。

持ち株会社にあたるホテルロッテをはじめ、ロッテショッピング、ロッテホームショッピング、ロッテ情報通信などと、これら企業の主要役員の自宅も捜索対象となった。検事や捜査官約200人を投入し、コンピューターのハードディスクや会計帳簿、下請け契約書、資産取引に関する資料などを確保したとされる。
また、グループナンバー2のロッテショッピング政策本部長(副会長)ら数人の役員に出国禁止措置を取ったとされる。

付記

韓国紙は7月8日、ソウル中央地検が創業者の辛格浩(重光武雄)氏と次男の辛東彬(重光昭夫)会長に対し出国禁止措置を取ったと報じた。

ロッテは李明博前大統領の政権で最も恩恵を受けた企業だとされる。

辛格浩氏の宿願だったソウルの複合商業施設「ロッテワールドモール (第2ロッテワールド)」の認可を受けるために裏金を使って政界に金品を供与した疑いをはじめ、釜山のロッテワールド用地の用途変更やビール事業進出、免税店運営事業の受注など、前政権時代の恩恵に絡む数々の疑惑がある。

検察は役員が下請け業者との取引単価を水増しして差額を受け取ったことを示す手がかりを確保した。グループ会社間の資産取引の過程で裏金をつくった疑いがあるともされる。

韓国メディアは、前政権の関係者に捜査の手が及ぶ可能性に言及する。

また、辛格浩(重光武雄)氏の長女・辛英子ロッテ福祉・奨学財団理事長が化粧品会社から免税店入店に関して20億ウォン台の裏金を受け取った容疑で検察の捜査を受けている。

2年前にはロッテホームショッピングの前社長・現社長・役員らが複数の納品業者から20億ウォンを受け取った容疑で実刑判決を受けた。
特にロッテ免税店は中国人観光客の増加により「金の卵を産むガチョウ」になっているため、入店のためのロビー活動もいっそう激しさを増しているとされる。

付記

ソウル中央地検は7月4日、辛英子理事長について、背任収財や横領などの疑いで逮捕状を請求した。業者から便宜を図るよう頼まれて不正に30億ウォン(約2億7千万円)を受け取った疑い。自身が実質的に運営する会社から資金40億ウォンを横領した疑いもあるという。

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ソウル中央地検は7月7日、辛英子容疑者を背任収財や横領の疑いで逮捕した。
韓国の化粧品会社などからロッテ免税店への出店を認めるよう頼まれ、リベートとして計30億ウォン(約2億6400万円)を受け取ったほか、辛容疑者が実質的に運営する企業から40億ウォン(約3億5200万円)を横領した疑い。
 

検察は、家宅捜索の過程で、辛英子理事長の長男が所有する会社がコンピューターサーバーを交換し、関連文書を破棄するなど、組織的な証拠隠滅を行っていたことも確認したと発表した。

別途、大型スーパーのロッテマートが有毒物質を含む加湿器用殺菌剤をプライベートプランド商品として販売し多数の被害者を出したとして、業務上過失致死傷の疑いで捜査が進んでいる。 検察は6月11日、ロッテマートの元代表で現ロッテ物産社長を業務上過失致死容疑で逮捕した。

ソウル中央地方検察庁は5月14日、有害な化学物質、PHMG(ポリヘキサメチレングアニジン)入りの加湿器用殺菌剤を製造・販売したイギリスに本社を置く Reckitt Benckiser の韓国法人の元代表ら3人と別の会社の代表1人を業務上過失致死傷の疑いで逮捕した。

2001年から2011年に韓国で販売され、妊婦と乳幼児等221人が被害を受け、そのうち95人が死亡した。

問題を放置した政府の不作為を、修学旅行中の高校生ら300人以上が犠牲になった旅客船セウォル号の沈没事故になぞらえ、「家の中のセウォル号」とも呼ばれている。

ロッテマートは、2006年からPHMGを原料とした加湿器殺菌剤をプライベートブランド商品として製造して販売した。

ロッテマートは、「2011年8月以来、加湿器殺菌剤の問題点が提起され、被害者が発生したという報道が出る中でも、『正式に明確な調査結果が出ていない』、『被害状況の確認が難しかった』などの理由で、原因究明と事態の解決により積極的でなかった点について、おわび申し上げます」と述べた。


ロッテでは武雄氏の長男の重光宏之氏と次男の昭夫氏が経営権を巡って争っているが、さらに経営に不安が出てきた。

長男の宏之氏は、下記のコメントを出した。

家宅捜査されている事実について、グループの社会的信用や企業価値が毀損される極めて深刻な事態であると認識しており、-------  現経営体制の重大な問題点が新たに顕在化したものと受け止めている。

事態の全容解明に向けて説明責任を果たすことを求めるとともに、----- 経営正常化のための緊急協議の場を設けるよう求める。

韓国ロッテグループの事実上の持ち株会社、ホテルロッテは6月13日、韓国の金融委員会に上場撤回申告書を提出し、7月中に予定していた株式上場を無期延期すると決めた。検察の捜査が進む中で投資家保護を考慮した。

ロッテは6月10日、米国のAxiall への買収提案(下記)を撤回すると発表した。

付記

ロッテホールディングスは6月25日、東京の本社で定時の株主総会を開いた。

総会では、3月の臨時の株主総会に続いて、長男の宏之氏側が求める、現在の取締役8人のうち、次男の昭夫氏ら7人を解任する議案や、みずからを含む新しい取締役を選ぶ議案などが諮られたが、採決の結果、これらの議案は反対が過半数に上り、否決された。

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Lotte Chemical は6月7日、米国でWestlake Chemical から買収を仕掛けられている米国の塩ビメーカー Axiall に買収提案をしたと発表した。

Westlake Chemical は1月29日、Axiall Corporationの全株式を14億ドルで買収する提案をしたと発表した。
1株当たり20ドルの買収で、現金11ドルとWestlakeの株式 0.1967株で支払うもので、総額で約29億ドルとなるが、約15億ドルの負債込みとなるため、ネットでは14億ドルでの買収となる。

しかし、Axiallの取締役会はAxiall の資産価値と将来性を著しく低く評価しているとして 拒否した。

Westlakeは4月4日、新提案を行った。
1株当たり23.35ドル(20ドル)の買収で、現金14ドル(11ドル )とWestlakeの株式 0.1967株(同じ)で支払うもので、買収額は約15億ドルの債務込みで31億ドル、ネットで16億ドル(14億ドル )となる。

Westlake側はAxiall の株主に対し、Westlakeの提案を通すため、6月17日のAxiall の株主総会でWestlake側の推薦する取締役を選任するよう要請、これに対し、Axiall も会社側に投票するよう要請している。

2016/2/4 Westlake Chemical、Axiall に14億ドルでの買収を提案、拒否される 

Lotteは買収額を31億ドル(Westlake の修正提案)以上というだけで、詳細は明らかにしていない。

ロッテによるAxiall買収提案は、Westlakeに対抗するWhite Nightの役割のほか、相乗効果を狙ったものでもある。 

Axiall はロッテが手薄なカセイソーダやVCM、PVCなどに強く、顧客の大半が北米地域であるのに対し、ロッテはエチレンなどオレフィン系に強みがあり、事業の中心はアジア地域で、製品群や顧客基盤が重ならない。

また、両社は米国で提携している。Lotte と Axiall は2015年6月18日、ルイジアナ州に石油化学JVを設立すると発表した。

シェールガスに付随するエタンを分解し、エチレンを生産するもので、 Lotte Chemicalが90%、Axiall Corp.が10%出資する。

エチレン能力は年産100万トンで、出資比率に応じ、Lotteが90万トン、Axiallが10万トンを引き取るが、Lotteは自社枠のうち40万トンをAxiallに販売する。Axiallはエチレンを自社のPVCに使用する。Lotteはエチレングリコール 70万トンを生産する。

2015/6/22  韓国 Lotte Chemical、米国で石油化学

ロッテは6月10日、Axiall への買収提案を撤回すると発表した。

 

付記

ルイジアナ州 Lake Charlesで開かれたエタンクラッカーおよびエチレングリコール合弁事業の起工式に出席した辛東彬(重光昭夫)会長は6月14日、グループが裏金疑惑で検察の捜査を受けていることについて「申し訳なく思う」と謝罪した。

ホテルロッテの韓国取引所への株式上場延期については「無期限延期ではない。年内上場に向け努力する。国会で国民と約束したので必ず上場する」と説明した。

 


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