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GEは6月12日、GE Healthcareの社長John Flanneryが8月1日付でGEのCEOになり、2018年1月1日付で会長兼CEOになると発表した。Jeff Bornstein CFOが副会長になる。
現在のJeff Immelt 会長兼CEOは2017年12月31日の引退まで会長にとどまる。
Jeff Immelt 氏は2001年9月にJack Welch, Jr. の後を継いで会長兼CEOに就任した。在任16年だが、1956年2月生まれで、まだ61歳。後任のJohn Flannery氏は55歳。
付記
GEは2018年10月1日、John Flannery
CEOが同日付で退任したと発表した。
2017年8月に就任したFlannery CEOはヘルスケア事業の分離など経営のスリム化を推し進めたが、業績悪化と株価低迷の責任を取って退く。
後任CEOには2000年から2014年まで米産業機器大手Danaher Corporation のCEOを務めたH. Lawrence Culp, Jr.が就く。GEのCEOに外部の人材が就くのは初めて。
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General Electric(GE)の源は、発明家トーマス・エジソンが設立したEdison Electric Light Companyで、1892年、Edison General Electric Company とThomson-Houston Electric Companyが合併してGEが誕生した。
前任のWelch氏の基本戦略は「脱・製造業」で、小型家電事業や半導体事業などの製造業ビジネスを相次いで売却する一方で、証券会社やリース会社、消費者金融会社を買収して金融事業を強化すると共に、米三大テレビ放送局のNBCを 買収し、放送事業にも参入した。
2000年のGEの売上高の構成は次の通りで、金融が50%を占めた。
Immelt 会長兼CEOも、当初はWelch 路線を継承した。金融事業を拡大すると共に、大手映画会社Universal を買収した。
しかしその後、「事業の選択と集中」に取り組んだ。
GEは2006年9月、シリコーン事業のGE Advanced Materials をApollo Management, L.P.,に38億ドルで売却すると発表した。
GEは1971年に東芝と設立したGE Toshiba Silicones、1998年にBayerと設立したGE Bayer Silicones の2つのJVを持つが、両社からJV持分を買い取ってGE 100%とした上で、本体とともにApollo に売却した。Apollo の新会社はMomentive Performance Materials。
2007年1月、GEはJPモルガン・パートナーズなどの投資ファンドから、原油・ガス採掘関連機器のVetco Gray を19億ドルで買収すると発表した。
更に同月、自動車・航空部品大手の英スミス・グループの航空宇宙部門Smiths Aerospace を48億ドルで買収することも決めた。
また、米医薬大手のAbbott Laboratoriesの診断機器部門の一部を81億3千万ドルで買収すると発表したが、これは7月に取りやめた。
Jeff Immelt 会長兼CEOは次のように述べた。
我々はleadership businessへの投資戦略を継続して実行する。我々の狙いはより速い成長、より高い利益である。
本年に入り、原油・ガス、ヘルスケア、航空という成長プラットフォームでの150億ドルの買収を発表した。
逆に成長が遅く、変動の激しい事業からの撤退を続ける。現在、プラスチック事業の処分を検討中である。
2007年5月、子会社のGE Plastics をサウジのSABICに売却する契約を締結したと発表した。
GE Plasticsは、Welch 前会長やImmelt 会長の出身事業部で、1953年にポリカーボネート樹脂を開発して以来、エンプラのトップメーカの地位を維続するとともに、現地化を積極的に推進した。
日本では日本GEプラスチック(GE 51%、三井化学 41%、長瀬産業 8%)が変性PPO、ポリカーボネートなどを製造、販売している。GE・三井化学・長瀬産業の3社は23日、GEのプラスチック事業のSABICへの売却に伴い、3社の合弁会社の日本GEプラスチックス(GEPJ)とジェムピーシー(GEMPC)について、発展的な合弁解消の合意に達したと発表した。
2007/5/22 速報 GE、GE PlasticsをSABICに116億ドルで売却
2007/8/28 日本ジーイープラスチックスの合弁解消
GEプラスチック売却は、Vetco Gray やSmiths Aerospaceの買収費用に充当するとともに、事業構造を一気に変えることとなった。
2008年にリーマン・ショックに直面した。
GEはCPの借り換えに窮する事態にまで追い込まれた。資金繰りの危機は優先株の発行や公募増資などで乗り切ったが、GEには巨額の不良債権が残った。2015年1〜3月期決算で金融事業で160億ドルの特別損失を計上した。
Immelt 会長兼CEOはWelch 路線を大転換させ、本来の中核事業である産業機器を中心とする製造業に回帰する戦略に突き進んだ。
GEは2008年7月、組織簡素化と成長・効率を図るため、改組を実施した。
家電部門や個人向けの金融部門などを分離、縮小するのに合わせ事業体制を見直し、現在6つある事業部を4つに再編成する。
事業部 部門 Technology Infrastructure Aviation Enterprize Solutions Healthcare Transportation Energy Infrastructure Energy Oil & Gas Water & Process Technologies GE Capital
(その後、大幅縮小)
Aviation Financial Services Commercial Finance Energy Financial Services GE Money Treasury NBC Universal
(その後売却)Cable Film International Network Sports & Olympics (Spin-off)
Consumer & Industrial
(その後売却)Appliances Lighting Electrical distribution 家電事業を含む消費者・産業向け製品事業部(Consumer & Industrial )についてはスピンオフを目指しており、新体制に組み込まれていない。
2008/7/30 GE の改組
4事業部門の一つの NBC Universalについては、2011年にComcastに51%を譲渡して経営権を手放し、2013年に残りも売却して、30年近く手がけてきたメディア事業から完全に撤退した。
スピンオフ対象の家電事業については、2014年9月にスウェーデンの家電大手 Electrolux AB に厨房機器事業の売却を決めたが、司法省の反対で中止した。2015/12/11 米General Electric 、厨房機器事業の売却を中止
その後、2016年1月に、厨房機器など家電製品部門を中国の海爾集団 ( Qingdao Haier Co., Ltd.) に54億ドルで売却する契約に調印した。
2016/1/20 GE、厨房機器など家電製品部門をハイアールに売却
2015年6月、金融事業の大幅縮小を打ち出し、2017年末ごろまでに2500億ドルの資産を売却する方針を決めた。
GE Capitalは世界有数の金融機関で、その保有資産は 5000億ドル、GE全体の売上の3〜4割を占め、利益ベースでは半分近くを稼いでいる。
2015年8月、医療事業者向けの金融事業を貸出債権を含めて85億ドルで米金融機関のCapital One売却すると発表、また GE Capital Bank のインターネット銀行事業と預金約160億ドルをGoldman Sachs Bankに売却することで合意した。
2015年10月に、消費者ローンやリースなど金融部門の一部を米銀行大手Wells Fargoに売却すると発表した。譲渡する資産の規模は約320億ドル。
2015年12月、日本における法人向けのリースおよび融資事業を三井住友ファイナンス&リースに売却することで合意した。対象となる最終正味投資額は約46億米ドルで売却価格は約48億米ドル。今後の金融事業は産業機器のリースや融資など本業の支援業務だけにとどめる 。
他方で、2015年11月に仏重電大手 Alstomのエネルギー部門の買収手続きを完了した。買収額は97億ユーロで、再生可能エネルギー部門、送配電部門の各子会社の発行済み株式の50%、原子力発電向けのタービン事業子会社では80%をそれぞれ取得した。(AlstomはGEの鉄道信号システム事業を譲り受け、鉄道ビジネスの専業企業になる。)
新設の上場企業を通して、GE はPartnership の権益の 62.5%を、
Baker Hughesの既存株主は権益の 37.5% を受け取る。
2016/11/8 GE、Baker Hughes と石油・ガス事業統合
2016年の売り上げ構成は次のように、産業機器がほとんどを占める。 また、Industrial Internetを標榜し、IoTや3次元プリンターを駆使した新たな製造業の姿を模索した。
なお、Immelt氏は原子力発電については'hard to justify' と述べている。
原子力発電は他のエネルギー源と比べて高くなり、正当化は本当に難しくなった( “really hard” to justify)。
天然ガスは安くなり(“permanently cheap”)、これからは天然ガスと風力発電だ。(“It’s really a gas and wind world today.”)
天然ガスが非常に安くなり、いずれかの時点で経済原則が効いてくる。
(Gas is so cheap and at some point, really, economics rule.)世界の多くの国が天然ガスと、風力か太陽光のいずれかとの組み合わせ(some combination of gas, and either wind or solar)に向かっている。
2012/7/31 原子力発電の正当化困難にーGE会長
Immelt 会長兼CEOはGEの大改革を成り遂げたが、株価が上がらないのが問題とされた。
物言う株主(アクティビスト)として著名なNelson Peltz 氏率いるTrian Fund Management は、DuPontの前CEOのEllen Kullman 氏を退任に追い込んだが、2015年にGE株を取得し、圧力を強めていた。
2017/6/16 米司法省、Dow と DuPontの合併を条件付きで承認
Dow とDuPont は6月15日、米司法省が両社の合併を条件つきで承認したと発表した。
EUと同様で、DuPontの特定の農薬の売却、Dow のグローバルなエチレンアクリル酸とアイオノマー事業の売却が条件となっている。
EUとの間では、両社は下記の対策をとることで承認を得た。
1)DuPontの農薬事業のかなりの部分をR&D組織を含めて売却する。(DuPontは「1社に売却」としている。)
- グローバルで、DuPontの除草剤 thifensulfuron, tribenuron, metsulfuron, chlorsulfuron, triflusulfuron, lenacil, flupyrsulfuron, ethametsulfuron and azimsulfuron、殺虫剤 indoxacarb, cyazypyr and rynaxypyr。
- 殺菌剤については、European Economic Areaにおけるイモチ病殺菌剤の独占技術供与
- DuPontのグローバルなR&D組織。売却対象外のDuPont殺虫剤用のものを除く。
2)Dow はスペインと米国のアクリル酸コポリマー製造拠点の売却及び購入販売しているアイオノマーの購入契約の譲渡
2017/3/28 EU、条件付きでDow / DuPont 合併を承認
裁判所への提出資料によると、米国でDuPont が処分を求められた農薬は、冬小麦用除草剤 Finesse(一般名chlorsulfuron)と殺虫剤Rynaxypyrで、司法省によると米国での年間売上は1億ドル以上である。これらはいずれもEUとの交渉でDuPontが売却する農薬に含まれている。
Dow製品については、Dowは2017年2月2日、グローバルのエチレンアクリル酸(EAA) コポリマーとアイオノマー事業をSK Global Chemical に売却する契約を締結した。
2017/2/15 Dow とDuPont、合併承認を求め、事業売却を提案
このため、両社が今回、改めて売却が必要となるものはない。
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欧州委員会は3月27日に、中国商務部は4月29日に条件付きで承認した。
2017/3/28 EU、条件付きでDow / DuPont 合併を承認
2017/5/8 中国商務部、DowとDuPontの合併を条件付きで承認
ブラジル当局は5月17日、ブラジルのコーン種子事業の一部の売却を条件に承認した。
豪州は6月8日 合併を事実上、承認した。
今回、米国が承認し、あとはカナダなどが残っている。
両社は引き続き、承認を得るべく努力するとしており、2017年8月の合併、その後18カ月以内のスピンオフの予定を再確認した。
付記 カナダのCompetition Bureauは 6月27日、合併を承認した。EUの求めに応じ、問題事業の売却を約束したことを理由とした。
2017/6/17 フィリッピンのSan Miguel、石油化学事業推進のため新製油所建設へ
能力は日量25万バレルで、投資額は150〜200億ドルのフィリッピンでの最大の単一投資になるとしている。「石油化学製品は価格が安定しており、利益が高く、安定しており、国内の消費も輸出の可能性も大きい」と述べた。
立地については南部というだけで明らかにしていない。
着工後、3年半で稼働することを見込んでいる。海外の2社と協議中だが、守秘条項があり、相手を明らかにできないとする。
石油を精製し、ディーゼル油や灯油、石化製品などを生産する統合プラントを考えている。
Limay 製油所の現在の能力は18万バレル。年産16万トンのPPプラントを BataanのMarivelesに持つ,
麒麟麦酒は東南アジア市場への足がかりを得るため、2002年に
San Miguel 株の15.55%を取得。その後も出資を重ね、現在ではビール子会社の発行済み株式の48%を持つ。
Petronは1933年設立で、Limayでは日量18万バレルの製油所を運営、32箇所のデポ・石油貯蔵ターミナルを運営、国内に1300のガソリンスタンドを展開している。
フィリピン証券取引所へ上場しており、フィリピン国営オイルl(PNOC) 40%、Saudi Aramco 40%、一般株主 20%の株主構成であったが、2008年に英国の投資会社 Ashmore Groupが、Saudi Aramco の40%と一般株主から11%を取得して51%株主となり、同年末にPNOCの40%も取得した。
その後、San Migel がAshmoreから51%を買収した。
Petronは2011年にマレーシアに進出、2012年にExxonMobil
の子会社を買収した。
現在のマレーシアでの子会社は次の通り。
Petron Malaysia Refining & Marketing Bhd 旧 Esso Malaysia Berhad
Petron Fuel International Sdn Bhd 旧 ExxonMobil Malaysia Sdn Bhd
Petron Oil (M) Sdn Bhd 旧 ExxonMobil Borneo Sdn Bhd
Port Dickson 製油所は日量88千バレルの能力で、ガソリン、ディーゼル、潤滑油、LPG、産業用、商業用燃料、航空燃料を生産する。
2017/6/19 ユーロ圏財務相会合、 ギリシャ融資再開で合意
今後、ドイツなど一部加盟国の議会承認を経て、計85億ユーロを融資する。
第1弾として77億ユーロを7月はじめに融資する見通しで、7月の約70億ユーロの国債償還にメドがたち、金融危機の再燃はひとまず回避された。
返済期限を迎える69億ユーロのギリシャ債の償還と8億ユーロの返済遅延分に充てる。
融資再開に向け、ギリシャ側は5月に年金削減や増税策などの財政構造改革法を成立させるなど、ユーロ圏やIMFの要求に応じてきた。
融資再開を巡ってはIMFの融資団復帰を求めるドイツなどユーロ圏と、抜本的な債務軽減策の履行をユーロ圏に求めるIMFの対立が続いていた。
IMFは2015年夏にまとめた現行の第3次金融支援に基づくギリシャ融資への参加を見送っている。
IMFは融資復帰の条件としてギリシャに対する抜本的な債務軽減策 をユーロ圏に求めている。
一方、ドイツなどは、国民感情から、さらなる債務軽減に慎重な半面、IMFが融資に復帰しなければ融資再開を認めない構えで、膠着状態が続いてきた。
今回、ユーロ圏側は一部債務の返済期限を最大15年延長する用意があるなどと表明し、危機再発回避に向けてIMFに歩み寄り、IMFも融資団への復帰を約束した。
IMFのラガルド専務理事は、ユーロ圏とは別に20億ドル(約2200億円)度の支援規模を見込んでいると表明した。
しかし、ユーロ圏側は、9月のドイツ下院選挙を控え、債務軽減策は即時実行されず、2018年夏に開始するとの立場を変えなかった。このため、IMFは実際の資金拠出は、ユーロ圏が検討するギリシャ債務軽減策の詳細が判明するまで見送る。
ユーロ圏は2016年5月、現行のギリシャ金融支援プログラムが終了する2018年夏に、債務返済の猶予や返済期間の延長など抜本的な債務負担の軽減策を導入することでは大筋合意済みである。
ただ独連邦議会選挙に配慮し、具体的な軽減内容の決定は2018年夏に先送りしている。
金融危機の再燃を避けるため、ユーロ圏側とIMFそれぞれが表面上のみ、相手の主張を受け入れた形である。
付記
IMFは7月20日、ユーロ圏による債務負担軽減策の具体化を条件に約16億ドルの融資再開を承認した。
ギリシャ政府は7月24日、5年ものの国債を新たに発行すると発表した。ギリシャが国債を発行するのは3年ぶり。
利回りは4.625%で、前回 2014年4月に出した5年債の利回り4.95%を下回る。
付記
欧州安定メカニズム(ESM)は14日、ギリシャに対し10億ユーロの追加融資を正式決定した。3月に承認した67億ユーロの追加融資枠を全額実行することになる。
2015年夏に合意した3年間で最大860億ユーロを支援する第3次金融支援に基づく融資額の累計は、これで469億ユーロに達する。
現行支援に資金を拠出していないIMFは債務負担の軽減策が不十分だとして、最後まで資金拠出に応じない可能性が高まっている。
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IMFは当初から、債務の減免や返済期限の延期を主張してきた。
IMFのラガルド専務理事は2015年7月8日、ワシントン市内で講演し、財政危機で金融支援を受けたポルトガルやアイルランドなどが改革に取り組んだことを踏まえ、ギリシャについても「財政健全化と重要な改革が必要だ」と強調する一方、EUに対しては「ギリシャのケースでは、財政持続のために債務の再編が必要だ」と述べ、債務の減免や返済期限の延期を促した。
2015/7/13 ギリシャ対策 難航
ギリシャは2015年8月、最大860億ユーロの支援でEUと合意し、2015年中に合計214億ユーロの融資を実行した。
(IMFは、EUの条件が厳しすぎ、融資分が返済できない恐れがあるとし、参加を見送った。)
2015/7/14 ユーロ圏首脳会議、ギリシャ金融支援で合意
その後はギリシャ政府の財政再建努力を見極めるため、融資を中断し、支援継続にはギリシャが更なる改革を行うことが条件となった。
ギリシャ国会は2016年5月9日、EUによる金融支援継続の前提となる財政改革法案を与党の賛成多数で可決した。更にギリシャ政府は、2015年7月20日に13%から23%に引き上げたばかりの付加価値税の税率を24%に引き上げるほか、燃料やタバコ、アルコール類の増税などを柱とする新たな財政改革案を議会に提出し、議会は5月22日、賛成153、反対145で可決した。
これを受け、ユーロ圏諸国の財務相らとIMFは5月25日未明、ギリシャ支援協議で合意に達した。
総額103億ユーロの融資が数回に分けて実施される。
6月21日、最初の融資75億ユーロを実施し、10月25日、28億ユーロの追加融資を承認した。
2016/5/31 ギリシャ追加支援決定
しかし、その後はギリシャが約束していた増税や年金の削減など構造改革が進んでいないとして、これを最後に融資を中断していた。
ギリシャは7月に約70億ユーロ(約8600億円)の国債償還を控えており、融資再開にメドをつけられなければ、ギリシャが債務不履行となる可能性が強まり、「ギリシャ危機」再燃の懸念がくすぶっていた。
今回の決定は危機回避のための妥協の産物であり、対立再燃の可能性を抱えている。
また、第三次支援は2018年夏で終了するが、その後の見通しも立っていない。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)は6月15日、総額約324百万ドルの新プロジェクト3件を発表した。
その1つはインドのインフラ基金への150百万ドルの株式投資で、AIIBにとって初の株式投資プロジェクトとなる。
承認された3件は下記の通り。
India India Infrastructure Fund への出資 150百万ドル Georgia Batumi Bypass Road Project 114百万ドル ADBと共同 Tajikistan Nurek 水力発電改修第一期 60百万ドル 世銀と共同
India Infrastructure Fund は750百万ドルの規模で、このうちAIIBが150百万ドルを出資する。
このファンドは、インフラ計画とインフラサービス企業への投資を行うもので、主としてインドでの事業を対象とする。
対象は下記のように多岐にわたる。
・エネルギー、ユーティリティ(再生エネルギー、送配電ネットワーク、水及び廃水処理 システム、スマートシティなど)
・輸送、 物流(道路、空港、橋、トンネル、港湾、鉄道、水路、輸送統合システム、都市交通、物流と物流インフラなど)
・その他(テレコム、ブロードバンド、都市Public Private Partnershipプロジェクト、健康、教育ほか)
AIIBの D. J. Pandian 副総裁兼Chief Investment Officer (インド) は、「初の株式投資プロジェクトの展開は、AIIBがまた新たな一里塚に到達したということで、質の高い民間部門プロジェクトを獲得し支援するためのAIIBの潜在力を高めることになる」と述べた。
中国のインドへの厚遇が目立つ。
インドは、5月14日から2日間、北京で開催された「一帯一路フォーラム」をボイコットし、中国のメンツを傷つけた。
インドは、パキスタンと領有権を争うカシミール地方を通る「中パ経済回廊」が「一帯一路」に含まれていることに反発、「主権と領土保全における核心的な懸念を無視した事業計画を受け入れる国は1つもない」との声明を発表した。
しかし今回、AIIBは初の株式投資をインドに対して行い、更に第3回年次総会を2018年6月にインドのMumbai で開催することを決めた。
また、インド(とパキスタン)の上海協力機構への正式加盟を承認した。
2017/6/14 上海協力機構にインドとパキスタンが加盟
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アジアインフラ投資銀行(AIIB)の第2回年次総会は6月16日から18日まで、韓国の済州島で開催され た。
日本政府は年次総会の「招待状」を受け取っていたが政府代表を派遣しなかった。
2017/6/9 AIIB 第二回年次総会 韓国・済州島で開催
6月16日、アルゼンチン、トンガ、マダガスカルの参加が承認され、加盟国は域内46カ国、域外34か国、合計 80か国となった。(加盟国一覧表)
英国のEUからの離脱交渉が6月19日、ブリュッセルで始まった。交渉にはEUのMichael Barnier 首席交渉官(フランス元外相)、英国のDavid Davis EU離脱担当相(Brexit minister)が出席した。
今回の選挙で少数与党に転落した英保守党は、まだ下院の信任投票を受けていない状況のため、交渉は1日だけで終了した。
英国は、単一市場からの離脱による英経済への影響を最小限にするため、将来のEUとのFTAを優先的に議論することを求めていたが、交渉入りを急ぐため、下記の協議を最優先する方針で一致した。
(1)英国で暮らすEU市民の権利や地位の保護
(2)最大600億ユーロ(約7兆4000億円)とされる英国の未払い分担金など「清算金」支払い
(3)離脱後の英国とアイルランドの国境管理
三つの分野で十分な進展があったとEU側が認めた後、貿易協定など離脱後の関係に関する交渉に移る。
これは、欧州理事会(EU首脳会議)のDonald Tusk 常任議長が3月31日に原案を発表し、4月に採択されたEUのBrexit 交渉ガイドラインに沿ったものである。
2017/4/6 EUのBrexit 交渉ガイドライン
三つの分野でそれぞれ作業チームを作り、毎月1週間ずつ交渉会合を開く方針で、次回は7月17日から開く。
今回の会合では、英国は離脱に伴う費用の法的根拠に疑問を持っており、清算金支払いに合意しなかったとされる。支払いに関する相違を狭めることが今後の進展のキイとなる。
Davis EU離脱担当相は交渉後の会見で姿勢の弱さを問われ、「重要なのは貿易協定の交渉がいつ始まるかではなく、いつ終わるかだ」と反論した。
英国内で単一市場への残留を主張する声も高まっているが、「姿勢は変わらない。国境管理を取り戻すめ、単一市場を出る」と述べた。
EUの基本条約「リスボン条約」の50条によれば、離脱の通知(3月29日)から原則として2年の間で「離脱協定」を結ぶことが必要になる。EU側は欧州議会の承認などの時間も考慮すると、2018年10月までの合意が必要だとしている。
もし交渉期限までに協定がまとまらなければEU首脳会議の全会一致で交渉期限を延長することも可能だが、協定がまとまらず延長も認められなければ、英国は新しいルールがないままEU加盟国としての権利を失うことになる。
メイ首相が政権基盤を強化するため前倒しに踏み切った総選挙で、与党・保守党は過半数の議席を維持できず、メイ首相の求心力は大幅に低下している。
交渉の進展に伴い、強硬な離脱派から残留派まで議会のさまざまな勢力から横やりが入ることも予想される。
金教授は、経済分析を通じて大企業の不当な利益確保を追求し、「財閥狙撃手」の異名を持つ。
最大財閥サムスングループの企業間での株式を持ち合う「循環出資」を批判するなど、財閥のあり方を問題視し、大企業の不当な利得確保を追及したことで知られる。
「韓国の不公正な市場経済秩序が経済活力を弱化させた一因」とし、大企業による中小・下請け企業への圧力などを徹底解明する方針とされる。青瓦台の人事首席秘書官は、「大企業と中小企業の新しい関係の確立など、経済改革の方向を決める適任者」と説明した。
就任後の財閥改革加速は必至とみられている。
文在寅大統領は、格差是正や財閥改革を公約として大統領に当選した。
5月10日に大統領に就任し、17日に主な政府機関のトップとしては最初に金教授を指名した。
金教授は6月2日に国会の人事聴聞会に出席したが、実際に住んでいない場所を居住地として届け出る「偽装転入」をしていたほか、不動産取引の不正、論文盗作などさまざまな疑惑が明るみに出て、野党が金氏の任命に反対した。
公正取引委員長は国会人事聴聞会の対象だが、任命に国会の承認を得る必要はない。
このため、大統領は6月13日に金教授を公正取引委員長に任命した。青瓦台の尹広報首席秘書官は、「自由で公正な競争秩序で公正な経済民主主義の秩序を作らなければならない。大事な時間を浪費することはできない」と述べた。
野党はこの強硬策を激しく批判している。
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文大統領は大統領選で、「偽装転入、兵役逃れ、不動産投機、脱税、論文盗用の『五大不正』に関与した人物を高官には任命しない」との原則を掲げていた。
5月31日に李洛淵・前全羅南道知事が国会で任命同意案可決を得て首相に就任した。
同氏も、高校の美術教師だった妻が1989年に希望する学区に赴任するため偽装転入したことを認め、問題となった。
韓国大統領府は6月18日、外相に康京和・元国連事務総長特別補佐官を任命した。韓国で女性外相の誕生は初めて。
康氏は学者出身で、外交官試験合格者でもソウル大出身でもないが、外交通商相補佐官を経て、2003年から国連で勤務し、本年1月からAntónio
Guterres 現事務総長の特別補佐官も務めた。
康氏は国会の人事聴聞会で、外交政策について不明確な答弁を連発、長女の入学のための「偽装転入」や税金の申告漏れなど過去の不祥事も発覚した。
(長女が米国の高校から韓国の高校に転校する際に、康氏の出身校に入るために親族の家に「偽装」転入したというもの。なお長女は二重国籍だったが成人に達した時に韓国籍を放棄したことも問題とされた。これらは「不正」とは考え難い。)
日韓合意については、国会の人事聴聞会で、「国連で人権を6年間担当した立場から、合意が出た際、非常に疑問を感じる部分が多くあった」、「被害者中心のアプローチで引き出した合意なのか、過去の歴史の教訓として残る部分をしっかり受け入れたものなのかについて疑問点が多かった」と述べた。
野党は「外相として不適格」として反対してきたが、今月下旬に迫った米韓首脳会談など外交懸案への対応が急がれることから、大統領権限による任命に踏み切った。
2017/6/23 韓国のSKグループ、
韓国SKの100%子会社の
韓国企業がグローバル製薬会社の生産設備をまるごと買収するのは初めて。両社の協議に基づき具体的な買収金額は公開していないが、親会社のSKが上半期に結んだ契約としては最も大きいという。
今回の買収により
同工場では、Bristol-Myers
SquibbとPfizerが共同開発した経口抗凝固薬のエリキュース(Eliquis)の原体も製造する。
両社はスムースな移行のため協力する。
Bristol-Myers Squibbが売却を決めたのは、原料生産は製造受託会社(CMO)に任せるのが効率的との判断によるもの。
グローバル製薬企業は新薬開発に専念し、生産は信頼できる専門企業に任せる形態で製薬産業が再編されている。
Bristol-Myers
Squibbは自社の主力製品の原料供給契約まで譲渡することになるため、売却先選定に厳しい条件を提示し、交渉に3年ほどかかったとされる。
SK Biotek は10年間にわたりBristol-Myers
Squibbに原料を供給し信頼を築いてきた。
今回の買収はアイルランド政府とアイルランド投資庁が積極的に支援して実現した。
2017/6/24 公取委によるDow とDuPont の統合の審査
公取委は6月14日、平成28年度における主要な企業統合事例についての発表を行った。
事例2 が「ダウグループとデュポングループの統合」である。
Dow とDuPont の統合については、EU、中国、ブラジル、豪州、米国などの独禁法当局が承認しているが、豪州を除き、いずれも農薬や種子事業を問題にし、一部事業の売却を条件に承認している。
2017/3/28 EU、条件付きでDow / DuPont 合併を承認
2017/5/8 中国商務部、DowとDuPontの合併を条件付きで承認
付記 カナダのCompetition Bureauは 6月27日、合併を承認した。EUの求めに応じ、問題事業の売却を約束したことを理由とした。
付記 2017年8月4日、全ての手続きが終了、2017年8月31日の株式取引終了後に合併すると発表。
これに対し、日本の公取委は、日本市場の状況から、農薬や種子は問題とせず、@酸性コポリマー と AKrFフォトレジストポリマー及びKrFフォトレジスト を取り上げている。
@
酸性コポリマーは、EUや米国も問題としたエチレンアクリル酸コポリマーで、日本の国内シェアがデュポンが約
90%、ダウが5%弱で、合計シェアが95%になることから問題としたが、
Dowが本事業の売却を約束したことから、問題なしとした。
Dowは2017年2月2日に、グローバルのエチレンアクリル酸(EAA) コポリマーとアイオノマー事業をSK Global Chemical に売却する契約を締結した。
2017/2/15 Dow とDuPont、合併承認を求め、事業売却を提案
A KrFフォトレジストポリマー(川上)及びKrFフォトレジスト(川下)
KrFフォトレジストポリマーについては、日本でのDuPontのシェアは35%で1位だが、他3社がそれぞれ20%、15%、10%のシェアで競合している。
KrFフォトレジストについては、Dowが約20%で、他3社がそれぞれ35%、25%、15%のシェアとなっている。
川上のポリマーのDuPontと川下のDowが合併した場合、DuPontがDowと競合する川下企業にポリマーの出荷を拒否し、競争を阻害するかどうかを検討したが、ポリマー分野では競合各社があり、川下のフォトレジストの市場が減少していることもあり、競争の阻害は考えにくいとした。
この結果、統合により、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
ーーー
事例では、他に下記を取り上げている。
事例3 出光興産(株)による昭和シェル石油(株)の株式取得及びJXホールディングス(株)による東燃ゼネラル石油(株)の株式取得2016/12/20 公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得と JXホールディングスによる東燃ゼネラル石油の株式取得を承認
事例4 サノフィグループ及びベーリンガー・インゲルハイムグループによる事業交換
事例9 アボットラボラトリーズグループとセントジュードメディカルグループの合併2015/12/19 仏Sanofi と独 Boehringer Ingelheim、事業交換の交渉
事例10 キヤノン(株)による東芝メディカルシステムズ(株)の株式取得2017/4/18 Abbott、診断薬・機器の米Alere の買収で再合意 に記載
2016/7/4 公取委、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの株式取得を承認
中国人民銀行(中央銀行)は5月26日、人民元の対米ドル取引の基準値の決定に新たな手法を導入すると発表した。
今回、新たに反循環的要因(counter-cyclical factor:中国語で「逆周期因子」)を勘案する。counter-cyclical factorとは変動抑制を意味し、前日の相場が大きく変動した場合でも、基準値の変動を緩やかに抑える仕組みとされる。
2017/6/5 中国、人民元の中心レート設定方法を変更
6月22日付 日本経済新聞は、「基準値」の新しい算出方法を報じている。人民銀行は四半期ごとにまとめる金融政策に関する報告書で8月に新手法を一般に公表する見込み としている。
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人民銀行は毎朝、基準値を公表、その上下限範囲内での変動を認めている。これまでの推移は下記の通り。
5月末に急に元高となったが、最近はまた元安に転じている。
上下幅 基準値の決定方法 その他 2012/4/16〜 1%
実績にほぼスライド 2014/3/17 2% 実績に関係なく、ほぼ横ばい 2015/8/11 前日終値などを参考(市場の実勢を反映)
中国、人民元/米ドル取引の基準値の算出方法を変更、人民元2%切り下げ2015/12/11 中国人民銀行、人民元の新指数導入
CFETS指数2016/春 前日終値+
「通貨バスケット」(CFETS指数、BIS指数、SDR指数)平均に対する元の変動幅
2017/5/26 上記+
「逆周期因子」
更に、通貨バスケット変動の扱いの変更通貨バスケットの推移
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日経報道によると、基準値算出方法に新しく2つの変更が加えられた。
@「逆周期因子」という激変緩和要素を新たに加える。
前日の相場変動のうち、どれだけが実需による値動きかを算出する。実需に拠らない変動は除外する。
実需による値動きに「マイナス3分の2」をかけたものが激変緩和要素となる。
従来は実需の値動きをほぼそのまま反映させていたが、今後は実需の値動きの1/3だけを反映させる。
架空の例で、基準値6.70元/$に対し、実績が6.60元と、0.10元の元安となったとする。
従来なら、6.60元近くに設定していたが、今後は差の1/3だけを反映させ、6.733元とする。
基準値 実績 差 逆周期因子 調整分 6/27 6.70 6.60 0.10 -0.067 0.033 6/28 6.733
(6.60でなく)
A 通貨バスケットに対する元の変動幅に特殊な係数をかける。
変動幅 「0〜0.2%」の場合、元高は1、元安は0.7。
変動幅 「0.2〜0.5%」の場合、元高は0.8、元安は0.5。
変動幅 「0.5%以上」の場合、元高は0.6、元安は0.3。
元安を進みにくくする仕掛けで、元安時は基準値への反映を抑え、元高時はより大きく反映する。
「逆周期因子」の場合、なぜ1/3なのかの説明はなく、通貨バスケットに対する変動幅の係数の根拠の説明もない。
いずれにせよ、市場との連動を強めるというこれまでの動きに逆行し、管理強化に動いている。
2017/6/27 Rio Tinto と三菱商事、豪石炭子会社を中国系に売却
Rio Tintoは2017年1月にC&AをYancoal に一時金19.5億ドル+5年分割で5億ドルの条件で売却する契約を結んだ。
その後、Glencoreが買収提案を行い、6月9日に25.5億ドルの一時払いの提案を行った。
今回、Yancoalが24.5億ドルの一時払いの提案を行い、Rio
Tintoがこれを受諾した。
(C&Aの親会社の兗州煤業に56.2%を出資する中国国有企業の兗鉱集団が、最大21億ドルの買収資金を提供する用意があると発表していた。)
Glencoreの方が1億ドル高いが、Yancoalからは、中国の各当局(NRDC、国務院国有資産監督管理委員会、商務部、國家外匯管理局) 及び豪州のCompetition & Consumer CommissionとNew South Wales州の資源局の認可を取得または取得予定であるとの確認を得ている。
これに対し、Glencoreは豪州、中国や韓国、台湾の当局の承認を得て いない。時間がかかることが想定され、中国の国営企業系列との競合のため、承認を得られない恐れもある。
Rio TintoのCEOは、Yancoalが分割後払いを無くしたことを好感し、Yancoal がすでに中国や豪州の規制当局から買収に必要な認可を得た点を「迅速な売却完了につながる」と評価した。
なお三菱商事は、C&AがNew South Wales州で所有・運営するHunter Valley炭鉱とWarkworth炭鉱に共同出資しているが、三菱商事の持つTag Along権(他の株主も同じ条件で同じ買い手に売却する権利)に基づき、Hunter Valley炭鉱の権利をYancoalに7.1億ドルで売却することを決め、Warkworthについても2.3億ドルでの売却のオプションを付与した。
三菱商事はGlencoreからも買収提案を受けていた。GlencoreがC&Aの買収者となる場合に、両鉱山の権利を合計 9.2億ドルで売却する予定であった。
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C&AはNew South Wales州にHunter Valley、Warkworth、Mount Thorley、Bengallaの4鉱山を持っていた。WarkworthとMount Thorleyは一体運営している。Hunter ValleyはC&Aが100%を所有、他は子会社が各社と共同所有していた。(下図参照)
C&Aは炭鉱に加え、豪東部の主要港であるニューカッスル港の石炭輸出施設の権益36.5%も保有している。
Rio Tintoと三菱商事は、C&Aに対し、それぞれ75.7%、10.2%の出資を行っていたが、2011年に残りの株式を共同で買収し、出資を80%と20%とした。
しかしその後、石炭価格の下落、コストアップなどで重荷となり、Rio Tintoは売却に向け、動いた。
まず2015年9月にBengalla炭鉱の40%の権利をNew Hope
Corpに売却した。
同時にC&Aの三菱商事の持分 20%を買収してC&Aを100%子会社とした。三菱商事は対価としてHunter Valley炭鉱の権利の32.4%を得た。
今回、YancoalによるC&A買収、Yancoalによる三菱商事の両鉱山の権利の買収(&買収Option) により、Yancoalは、Hunter Valleyの権益の100%、Warkworth の84.47%、Mount Thorleyの80%を取得する。
2017/6/28 Trump 大統領の米入国制限令、最高裁が一部容認
米連邦最高裁判所は6月26日、イスラム圏6カ国からの入国を制限する米大統領令を巡り、一部を執行することを認める判断を下した。
10
月以降に同大統領令の合憲性を巡る審理の最終判断を下すまで、条件付きで執行を認める。但し、実際の執行に当たっては多くのトラブルが予想される。
Trump大統領は「国家安全保障にとって明確な勝利だ」とし、「私の最大の責任は国民の安全確保。今日の決定により、国土を守るための重要な手段を使える」と強調した。
大統領はこれに先立ち、最高裁の承認を得られれば72時間以内に執行すると表明している。
ーーー
Trump大統領は1月27日、イスラム圏7か国へのビザ発給の90日間停止、シリア難民受け入れ無期限停止などの大統領令を出した。
ワシントン州が大統領令の緊急停止を求めて連邦地裁に提訴したのに対し、シアトルの連邦地裁のJames L. Robart 判事は2月3日、一時差し止めを命じる仮処分の決定を出し、サンフランシスコの連邦控訴裁判所は2月9日、3人の判事の全員一致で、即時停止を命じた連邦地裁の仮処分を支持する判断を示した。
2017/2/5 米連邦地裁、移民の入国一時禁止の大統領令の即時差し止め仮処分
政府は最高裁への上告も考えたが、Scalia 判事が亡くなり、残る 8人の判事はリベラル派が4人、保守派が3人、保守寄りの中間派が1人で拮抗しており、最高裁で覆るのは確実ではない。
このため、Trump大統領は3月6日、前回の大統領令の問題個所を修正し、イラクを対象から除外した新たな大統領令を出した。
これに対し、各州が憲法違反として訴追した。
メリーランド州地裁は3月16日、一時差し止めの仮処分を命じた。
米司法省は3月17日、リッチモンド連邦高裁にこの仮処分の取り消しを求めて上訴の手続きを取った。
リッチモンド連邦高裁は事案の重大性を考慮し、判事3人による通常の合議とは異なり、十数人の大法廷で審理し、5月25日、10対3で地方裁判所の決定を支持した。
「この大統領令がイスラム教徒に対する入国禁止ではなく、国家の安全保障のためだとするトランプ政権の主張には、依然として疑問が残っている」と指摘し、「大統領は外国人の入国を禁止する広範囲の権限は与えられているが、それは絶対のものではない。地方裁判所の決定を支持する」とした。
司法省は6月1日、最高裁に上告した。
2017/3/14 Trump大統領の新たな入国禁止命令
なお、亡くなったScalia 判事の後任として、トランプ大統領は1月31日に保守的な信条で知られる Neil Gorsuch 判事を指名した。
しかし、上院本会議では野党・民主党の抵抗は強く、承認に必要な60議席には達しない見通しとなった。
このため、米上院本会議は4月7日、「核オプション」(nuclear option)と呼ばれる禁じ手を使って、Neil Gorsuch 連邦控訴裁判事を 54 対 45 の賛成多数で承認した。
この結果、最高裁判事は下記の通りとなった。(最高裁判事には任期はなく、終身制である。)
最高裁判事 年齢 指名した大統領 判断傾向 Anthony Kennedy 80歳 Ronald Reagan 中間 Clarence Thomas 69歳 George H. W. Bush 保守 Ruth Bader Ginsburg 84歳 Bill Clinton リベラル Stephen Breyer 78歳 リベラル John Roberts (長官) 62歳 George W. Bush 保守 Samuel Alito 67歳 保守 Sonia Sotomayor 63歳 Barack Obama リベラル Elena Kagan 57歳 リベラル Neil Gorsuch 49歳 Donald Trump 保守 2017/4/8 米上院、異例の手続きで最高裁判事を承認
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最高裁の判断の概要は下記の通り。
10月以降に同大統領令の合憲性を巡る審理の最終判断を行う。
米国の最高裁は10月から4月までの間に審議を行う。
それまでの間、条件付きで入国禁止措置の執行を認める。
条件として、米国人や米国内の団体と真正の関係を有すると正当に主張できる外国人(foreign nationals who have a credible claim of a bona fide relationship with a person or entity in the United States )は禁止措置の対象外とする。それ以外の全ての外国人は大統領令の対象となる。
米国内の人物・団体と「真正の関係」を持つ外国人には、(1)米国内にいる家族と共に暮らしたい、あるいは家族と会いたい外国人、(2)米国の大学の学生、(3)米国企業の従業員、(4)米国の聴衆のために招かれた講師――などが含まれると説明した。
「単に大統領令の適用を避けるために、関係を結ぶ者」はこれに含まれないとし、「たとえば、移民問題に取り組む非営利団体は、特定6カ国の人物に連絡し、顧客リストに加えることで、入国禁止による権利侵害を主張し、入国を確保しようとしてはならない」とした。
しかし、最高裁の判断は玉虫色で、解釈を巡って混乱が起きる可能性もある。(例えば家族とは何親等までか不明)
付記
政府の決定は次の通り。
対象: 親(義理の親を含む)、配偶者、婚約者、子供、成人した息子や娘、義理の息子と娘、兄弟姉妹、血縁がない兄弟姉妹、異父母の兄弟姉妹
対象外:祖父母、孫、おじ、おば、めい、おい、いとこ、義理の兄弟姉妹
「米国内の人物や団体と真正の関係があると正当に主張できる」者以外の難民申請については、120日間の受け入れ禁止を容認した。
この最高裁の判断に対し、Clarence
Thomas判事が部分的に異議を提示し、Samuel A. Alito判事とNeil M. Gorsuch
判事(いずれも保守系)が賛成した。
入国禁止の完全執行を支持するとし、この案では、世界中の公使館でビザ支給で機能不全となり、また、ビザを拒否された人から訴訟の洪水が起こるとしている。
この3人は10月からの審議で政権側につくとみられている。
一方、リベラル系のRuth Bader Ginsburg、Stephen Breyer、Sonia Sotomayor、Elena Kagan の4判事は反対するとみられている。
残るは、中間派のAnthony Kennedy判事と、保守系のJohn Roberts 長官の二人。
「核オプション」と呼ばれる禁じ手を使って、Neil Gorsuch判事を承認したのが効いてくるかも分からない。
付記
ハワイ州の連邦地裁は7月13日、トランプ政権が「近い親族」に祖父母やおじ・おばを含めなかったことは、条件付きで施行を認めた最高裁の決定に反するとして、全米で親族の定義を広げて運用するよう命じた。
これに対し、トランプ米政権は7月14日、これを不服として、高裁を通さずに連邦最高裁に直接上訴する方針を発表した。
最高裁は7月19日、祖父母や孫を「近い親族」に含める判断を下した。
2017/6/29 サウジ、副皇太子が皇太子に昇格、副首相に就任、国防相などのポストは継続
国王や皇太子を選ぶ「忠誠委員会」でメンバー34人中31人がこの人事案に賛成した。
新皇太子は副首相を兼務し、国防相としての地位も維持する。(首相は国王が兼務)
ムハンマド・ビン・ナエフ皇太子は副首相や内相などすべての職務を解任された。
サウジ王家の関係は下記の通り。(名前の右の数字は生年)
第一世代 | 第二世代 (* 同母) | 第三世代 | 国王 |
皇太子 |
|||
Abdullah 国王 | Salman 国王 | ||||||
Abdulaziz Ibn Saud | @1932/9-1953/11 | ||||||
Saud | 1902 | A1953/11-1964/11 | |||||
Faisal | 1906 | B1964/11-1975/3 | |||||
Nasser | 1911 | ||||||
Turki bin Nasser | 1948 | ||||||
Khalid | 1913 | C1975/3-1982/6 | |||||
Fahd * | 1921 | D1982/6-2005/8 | |||||
Abdullah | 1924 | E2005/8-2015/1 | |||||
Mutaib bin Abdullah | 1952 | ||||||
Talal (The Red Prince) |
1931 | ||||||
Alwaleed bin Talal | 1955 | ||||||
Nayef | 1934 | 2011/10-2012/6 死亡 | |||||
Muhammad bin Nayef | 1959 | A2015/4-2017/6 解任 | |||||
Salman * | 1935 | F2015/1- | 2012/6-2015/1 国王に | ||||
Mohammad bin Salman | 1985 | B2017/6- | |||||
Muqrin | 1945 | @2015/1-2015/4 解任 |
サルマン国王は第7代国王で、2代以降はすべてIbn Saud 初代国王の息子である。
これまで、第二世代が順に王位を継承してきたが、サルマン現国王がこのルールを覆した。
2015年4月に、弟で王位継承者のムクリン皇太子を解任し、亡くなった兄のナーイフの息子(第三世代)ムハンマド副皇太子を皇太子にした。
継承順位2位の副皇太子には、自身の息子(第三世代)のムハンマド国防相をあてた。
ムクリン皇太子は当時70歳のため、王室の若返りが理由であった。
今回、ムハンマド皇太子を解任し、自身の息子を王位継承者、皇太子にした。
ムハンマド皇太子はまだ58歳、新皇太子は32歳で、若返りの必要性があるとは思えない。
サルマン国王がムハンマド新皇太子を次期国王にするのを確実にするために行ったものと見られる。
これまで第二世代の兄弟が順に継いできたが、今後は、 サルマン国王の系統が続く可能性が出てきた。
第二世代で国王になれなかったナーイフやムクリンの息子や、他の国王の息子など、権力から遠ざけられている一族に不満は強いと思われ、王家の中の争いの火ダネになる恐れがある。
ーーー
新皇太子は、国防相として、イランへの強硬路線を取り、カタールとの断交も主張したとされる。イエメン内戦への軍事介入も指揮した。
新皇太子はまた、サウジ経済の改革を担当している。
サウジアラビアの公的投資基金 (PIF) は1971年の設立以来、サウジ財務省が管轄し 、石油精製、肥料、石油化学、電力などの大事なプロジェクトのファイナンスを担ってきた。
2015年3月からは、新皇太子が率いるCouncil of Economic and Development Affairs (CEDA) へ移管された。新皇太子はPIF のチェアマンを務める。
2016年3月に、Saudi Aramcoの所有権が政府から PIFに移管された。
本年5月に発足した10兆円規模の投資ファンド SoftBank Vision Fund には、PIFは450億ドルを出資する。
CEDA は、2030年までの経済改革計画「ビジョン2030」を作成、サウジ政府は2016年4月25日、国王主宰の閣議でこれを承認した。
石油依存型経済から脱却し、投資収益に基づく国家を建設していく。
公的投資基金(PIF)の資産を6,000億リヤールから7兆リヤール(約 2兆ドル)に増やす。
目標を達成するための手段として、
・ 国営石油会社Saudi Aramcoの5%未満の新規株式公開(IPO)、
・ 民営化による透明性の向上と汚職抑制、
・ 軍事産業の育成による国内調達の軍装備品支出の割合を50%まで拡大、
・ 外国人による長期的な労働・滞在を可能するグリーンカード制度の5年以内の導入
などがあわせて発表された。Saudi Aramco の5%分の株式公開は2017年までに行われるが、これにより PIF は資産規模が2兆ドルの世界最大のファンドとなる。
皇太子、副首相、国防相、公的投資基金 (PIF) のチェアマンなどとして、国家の全てを掌握する。
Stone &
Websterの売却価額清算をめぐり、売り手のCB&Iは428百万ドルの支払いを求め、Westinghouseは逆に2,150百万ドルの支払いを求めた。
この問題は最終的に第三者の会計士に判断を委ねることとなっているが、CB&I側は第三者会計士へ判断を委ねることの差し止めを求める訴訟をデラウエア州公衡平法裁判所に行った。
デラウエア州最高裁は6月27日、 デラウエア州衡平法裁判所 の2016年12月2日の判決は誤りであるとし、CB&Iの主張を認めた。
最終決定は下級審に差し戻される。
Westinghouse は2015年10月にCB&Iの子会社のS&Wの無償での買収を決め、12月31日に子会社とした。
S&Wの買収に際し、WestinghouseはAP1000プロジェクトクトすべてに関し、過去・現在・将来の責務を負担し、CB&Iを免責するとしている。
東芝の2016年8月12日の発表によると、S&Wの買収契約には下記の「価格調整条項」がある。
購入契約上、CB&Iは S&B の運転資本額として1,174百万ドル相当額を計上した状況で株式を譲渡する義務を負う。
買収完了後に運転資本額を精査し、運転資本額がこれを下回った場合は、差額をCB&Iが支払い、
逆に、上回った場合は、差額をCB&Iに支払うこととなっている。見解に相違があった場合は、第三者の会計士が判断する。
CB&Iや裁判の報道によると、CB&Iは運転資本の算定の結果として基準を428百万ドル上回るとし、返却を求めた。
これに対し、Westinghouseは2,150百万ドル不足であるとし、支払いを求めた。S&Wがこれまで数年にわたり、一般に認められた会計原則(GAAP)に従っていなかったとする。
Westinghouseの発表によると、CB&I は2016年7月21日に、第三者会計士へ判断を委ねることの差し止めを求める訴訟をデラウエア州公衡平法裁判所に行った。
契約上は、WestinghouseはAP1000プロジェクトクトすべてに関し、過去・現在・将来の責務を負担し、CB&Iを免責するとしており、価格調整は、企業価値の計算ではなく、運転資本の清算に過ぎない。
1,174百万ドルと想定していた運転資本が基準を428百万ドル上回るという)主張からみても、である。
CB&I としては、これは契約に反するものであり、第三者会計士の判断で最終決定になるのを恐れ、これの差し止めを求めたもの。
Westinghouseの2,150百万ドル不足
2017/1/24 東芝の原子力事業の損失の実態
デラウエア州最高裁は6月27日、 デラウエア州衡平法裁判所 の2016年12月2日の判決は誤りであるとし、CB&Iの主張を認めた。
最高裁は、WestinghouseのGAAPに関する主張を認めず、Westinghouseがその主張の大半を第三者の会計士に提示することを禁止した。
衡平法裁判所がCB&Iの主張を認めなかったことは誤りであるとし、衡平法裁判所は売買契約書の解釈で誤ったと述べた。
Westinghouseの主張は、「当初はCB&Iを免責するとしたが、やはり負担してほしい」と言っていることだとし、CB&Iを免責するとした契約は、CB&Iを売買価格の再交渉から防御していると述べた。
Ford Motorは6月20日、次世代のFocus compact car
をメキシコのHermosilloではなく、中国で生産すると発表した。
米国へはまず中国製を販売し、その後、追加形式車を欧州から持ち込む。次世代モデルは現行モデルより広く、需要家の求める技術を詰め込んだものとなる。
現モデルは米国と中国と欧州で生産しているが、中国と欧州の設備で次世代モデルを生産する。
Michigan 組み立て工場での現モデルの生産は2018年央で停止する。
Michigan 組み立て工場では、それ以降は、2018年後半にRanger midsize pickup truckを、2020年にBronco
midsize SUVを生産するため、雇用は継続する。
Fordは本年1月3日、Trump大統領候補(当時)の反対を容れ、メキシコのSan Luis Potosi での新工場建設計画(投資額 16億ドル)をとりやめ、代わりに米ミシガン州 Flat Rock工場で7億ドルを投じて電気自動車と自動運転車をつくると発表した。
ただし、メキシコの既存のHermosilloで次世代のFocusを生産し、Focusを生産するMichigan 組み立て工場では2種の新しい車種を生産し、3,500人の雇用を維持するとした。
2017/1/5 米フォード、メキシコ工場建設を中止
しかし、Trump
政権はメキシコで生産し、米国に輸入された車に関税や税金を課すなどとして、メキシコ生産に脅しをかけていた。
今回、次世代Focus をメキシコの既存のHermosilloではなく、中国で生産する。
同社では、これにより年間10億ドルのコスト削減になるとしている。
この発表に当たり、印象を和らげるためか、「中国での生産」はタイトルにはなく、タイトルはもう一つの発表の「Kentucky Truck Plant
への投資」とした。中国生産は本文での追加記事という形式にした。
同社はKentucky Truck Plantの改造に9億ドルを投資し、新しい Ford ExpeditionとLincoln Navigator を生産する。これらのフルサイズのSUVは世界中の55の市場に向け輸出される。中国にもLincoln Navigator を輸出する。
9億ドルの投資で、1000名の時間給労働者の雇用が生まれる。2015年に13億ドルを投資し、2000名の雇用を生んでいるが、それへの追加となる。
米国ではこの数年、ガソリン価格の低下で大きく、ガソリンを食うSUVやトラックの販売が増加し、小型車の販売は減少している。
本年の最初の5カ月で、Focusの売り上げは前年比で約20%も減少している。
業界のアナリストは、自動車メーカーは一般的に、米国では人気のSUVを生産し、売れ行きのよくない、利益の少ない乗用車は低コスト国に集中する傾向があるとしている。
この発表を受け、Wilbur Ross 商務長官は、「トランプ政権は米国内に工場を設けるよう政策改革を進める」と述べた。
Robert Lighthizer 通商代表は6月22日、議会下院の歳入委員会の公聴会で「very troubling」と述べ、Fordの対応を批判した。
米格付け会社 Moody's は6月29日、アジア投資銀行(AIIB)に最高の「Aaa」の格付けを与えた。格付けの見通しは「安定的」とした。
リスク管理政策、妥当な自己資本、流動性の高さを含め、ガバナンスの強固な枠組みを考慮したとしている。
これにより今後、海外市場で低金利で債券を発行しやすくなる。
格付けが最上級だったことに驚きを示す向きが多い。
世界銀行やアジア開発銀行、欧州復興開発銀行などが、Moody'sやS&Pから最上級の格付けを得ているのに対し、AIIBの場合は、中国の格付けが5月24日にAa3からA1に引き下げられたこともあり、Aaaは無理だろうとされていた。米国や日本の参加を求めて信用力を高めないと最上級の格付けは無理で、低金利の資金が調達できないのがAIIBの弱点になるだろうとの見方であった。
これに対し、AIIB の金立群総裁は6月の年次総会後の記者会見で「2017年中に3つの格付け会社から格付けを取得できる」との見通しを示していた。
今後、S&PとFitchからも高位の格付けを取る可能性が高い。
付記 Fitch Ratingsは7月13日、AIIBの格付けを「AAA」の最高評価とし、見通しは「安定的」としたと発表した。
この場合、「信用力を高める」ための日本の参加は必ずしも必要ないこととなる。
現在の主要国、組織の格付けは下記の通り。
S&P | Moody's- | ||||||||
AAA |
|
Aaa |
|
||||||
|
|
||||||||
AA+ |
|
Aa1 |
|
||||||
AA |
|
Aa2 |
フランス 韓国 |
||||||
AA- |
|
Aa3 | |||||||
A+ |
|
A1 |
|
||||||
A | A2 | ||||||||
A- | サウジ |
最新分は http://blog.knak.jp